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1957-03-15 第26回国会 衆議院 運輸委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月十五日(金曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 淵上房太郎君    理事 今松 治郎君 理事 木村 俊夫君    理事 畠山 鶴吉君 理事 松山 義雄君    理事 山本 友一君 理事 井岡 大治君    理事 松尾トシ子君       有田 喜一君    伊藤 郷一君       生田 宏一君    佐伯 宗義君       關谷 勝利君    中嶋 太郎君       永山 忠則君    濱野 清吾君       堀内 一雄君    眞鍋 儀十君       米田 吉盛君  早稻田柳右エ門君       池田 禎治君    小山  亮君       下平 正一君    中居英太郎君       正木  清君    松原喜之次君       森本  靖君    山口丈太郎君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 宮澤 胤勇君  出席政府委員         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      權田 良彦君  委員外出席者         日本国有鉄道常         務理事     石井 昭正君         日本国有鉄道参         与         (経理局長)  久保 亀夫君         参  考  人         (東京大学経済         学部教授)   今野源八郎君         参  考  人         (日本経済新聞         論説委員長)  友光 正昭君         参  考  人         (日本商工会議         所常務理事)  高城  元君         参  考  人         (主婦連合会文         教部長)    佐々木いす君         参  考  人         (鉄道貨物協会         理事)     宮野 武雄君         参  考  人         (日本労働組合         総評議会福祉対         策部長)    塩谷 信雄君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案内閣  提出第五三号)     —————————————
  2. 淵上房太郎

    淵上委員長 ただいまより運輸委員会を開会いたします。  本日は国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案内閣提出)を議題として審議を行いますが、午前中は御列席の参考人各位より後意見を拝聴いたすことといたしたいと存じます。  この際参考人各位に、委員会を代表して委員長より一言ごあいさつ申し上げます。本委員会審議いたしておりますこの国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案は、御承知のように国民生活にも多大の影響を持つ法案でありますがゆえに、一般国民にも多大の関心を持たれている次第でありまするが、当委員会といたしましても、法案の結果の国民生活に及ぼす影響の大なることを考え、連日熱心に法案審議に当っておる次第であります。この際学識経験者立場から、あるいは一般利用者立場等から、配付いたしてあります名簿の方々より、それぞれ貴重なる御意見を承わり、もって法案の審査に遺憾なからんことを期しておる次第であります。参考人方々には御多忙の中を、本委員会の意とするところを了とせられてここに御出席をいただき、御意見を拝聴できますことを心から感謝いたします。何とぞ忌憚のない御意見お願い申し上げます。なおお願いでございまするが、時間の関係等もありますので、できますればお一人大体十分程度までにおまとめいただければと存じております。参考人各位意見の開陳が全部終りましたならば、各委員の質疑を許したいと思いますので、御了承いただきたいのであります。  それではこれよりお願いいたしますが、参考人の方の御都合等もありますので、順番等委員長におまかせいただきたいと存じます。なお当初鉄道貨物協会からは大槻丈夫君が御出席予定でありましたが、御病気のため理事宮野武雄君が御出席になりましたので、御了承願いたいと存じます。それでは今野源八郎君よりお願いいたします。
  3. 今野源八郎

    今野参考人 ごく簡単に意見を申し述べさせていただきます。法律案提案理由を拝見いたしますると、旅客貨物ともに一三%の値上げ案のように伺います。運賃値上げが必要であるかどうかという問題につきましての考え方でございますけれども、私たち運賃というものは一種の商品の価格と思いますから、少くとも原価をカバーするということが原則でありまして、それに再生産に必要な利潤を見るということが原則であろうと思います。こういう点から考えますと、国鉄のただいまの運賃原則関係を見ますと、貨物におきましては、少し統計は古いかもしれませんけれども、一〇%ほど原価を割っているような状態でございますし、旅客につきましては、若干それを上回っているような状態でございます。全体的に見ますと、運賃値上げはある程度やむを得ないじゃないかという気がするのであります。しかもこの国鉄で出されております運賃原価というものの中には、十分な減価償却費を含んでおりませんので、企業立場からしますと、当然減価償却費を十分に見込むべきでありますので、原価も、従って若干高くなるということも考えられますので、平均して一割程度値上げはやむを得ないじゃないかという気がいたします。  しかし、それでは貨物旅客と同率の運賃値上げが必要であるかということを考えてみますならば、伝統的に貨物運賃原価と一割ないしひどいときには二、三割下回っている、そしてそれを旅客運賃でカバーするというのが日本の伝統的な運賃体系でございます。これはちょっと珍しい体系でございまして、よく世間では、貨物運賃を上げると物価に大きな影響があるから、それで貨物運賃を押えて、旅客運賃を高くしてカバーするのだというお考えのようでありますけれども、しかしこれは必ずしも正しくないと思うのでありまして、大きな荷主を保護するというふうな目的にも使われないこともないのであります。一般的に申しまして、原価を少くともカバーするという建前が堅持さるべきだと思うのであります。  またこの法律案提案理由のところを研究してみますと、必要な将来の設備改良のために、つまり輸送力増強のために資金が要るから、それを運賃値上げによってカバーするというふうな面もございますが、これは企業立場から申しますと、主として外部資金調達によるべきでありまして、このことは提案理由の中にも触れておられますけれども、その点をもう少しはっきりしていただいた方がいいのじゃないかという気がいたすのであります。六千億の投資を今後五カ年間必要とする、そのうち固定資産の維持に充当するものは四三%、これは企業の内部において調達すべきものであり、残りの五七%は経済の拡大に伴う輸送力増強、その他電化工事等鉄道近代化に充当されるものであるとなっております。提案理由の中にもこれは極力外部資金に依存すべきものであるといわれておりますが、まことにごもっともでございます。外部資金にどうしてよられないのか、これを運賃値上げに主としてよられるというようなことでは、いささか納得しにくいのでございまして、普通の企業経営の理論から申しますならば、こういった将来何十年かにわたって償却されるべきようなものを運賃値上げ、つまり今の鉄道を利用する人が払わなければならないという理由はいささか乏しくなるわけでございます。従いましてこういうものは主として外部負債あるいは外部資金調達によるのが、企業建前から申しますと正しいのだと思います。その点につきまして国家資金民間資金の両方から資金調達さるべきだと思いますが、民間金融事情がただいま御存じのような状態でございますし、残りますのは国家がどこまで国鉄めんどうをそういう面で見られるかという問題になるわけでございます。そういたしますと、結論的には一三%の値上げをするか、それとも値上げ率を低くして、国家資金国鉄の必要な経費をまかなうことにもう少しめんどうを見るかという二つの案が考えられるわけでありますが、原案は一三%値上げによって、それを主としてカバーしょうという案のようにうかがわれます。私たち一般利用家といたしまして、やはりなるべく運賃は安い方がよろしいのでございます。でありますけれども、また企業立場から見ますと、独立採算という採算基礎確立しておりませんと、金を借りる場合にも金を借りられないということもございますので、外部負債によりましても、ある程度の少くとも原価をカバーして、再生産に必要なだけの利益率が確保できるというような企業採算ベース確立されることが必要でありますので、私個人といたしまして、学者としてまた一鉄道利用者といたしまして、十三%の貨物値上げはやむを得ないという気がいたします。しかし旅客におきましては、運賃につきましてはなるべく値上げ率を低くしていただいて、それだけの不足国家資金の融資その他によってめんどうを見ていただければ非常にありがたいと思うのでありますが、ただその場合にも国家資金金利が問題になりますけれども、なるべく低利の金利で融資していただけるような方法が講ぜられることが望ましいのであります。と申しますのは、国鉄がここに問題にしております数千億の設備改良費というものが非常に長期にわたるものであるということ、その中にはかなりの採算に乗らないものがあるのでありまして、いわば政治的に新線を作るとか、社会政策的な立場からやむを得ず設備投資をするわけでありますが、それに対しましてはだれが負担するかという問題が起きるわけでありまして、国家めんどうを見るか、あるいはこれを運賃値上げその他によってカバーすることがやむを得なくなるわけであります。  結論的に申しますならば、この法律提案理由は、主として運賃負担力説によっておるような感がするのでありますけれども、もう少し原価主義というものを適正運賃確立に際しまして、今後御考慮願うような御方針が望ましいと思うのでございます。世界運賃学説大勢も、大体厚生経済学、パブリック・ウエルフェアーの立場から見まして、やはりコストを厳密に計算する——非常に困難なことでありますけれども、全知を集めて計算をされて、そして原価主義に基いて再生産に必要な利潤を織り込んだ適正な運賃体系というものを、貨物旅客についてそれぞれ確立されるということが、世界大勢だと思うのでありまして、負担力のあるものに負担をかけるというふうな考え方、あるいはこれだけ金が必要であるから運賃値上げをするというふうな考え方よりは、その方が合理的じゃないかと思われます。これは非常に時間を要する問題でありますから、数年間を要して、今後適正な日本運賃体系確立に努めなければならないのではないかということを常に痛感しているものであります。
  4. 淵上房太郎

    淵上委員長 次に高城元君。
  5. 高城元

    高城参考人 ただいま御紹介にあずかりました高城でございます。今回の国鉄運賃の改訂問題につきましては、われわれ日本商工会議所といたしましては、すでに昨年の九月に運賃値上げは極力抑制すべきものであるという趣旨の決議をいたしまして、国会はもちろん政府並びに関係当局に御要望申上上げておったのであります。昨年の十二月四日に運賃審議会が開かれまして、その際私出席いたしましていろいろなお願いを申し上げたわけであります。その趣旨といたしますところは、鉄道輸送力増強は今日最も必要なことでありまするが、国鉄当局の御計画によりまして、五千億の設備資金の大半を運賃値上げによってまかなわんとされておりまする計画に対しましては、今日のややもすればインフレ化せんとする状況、また運賃値上げ物資コストに占めまする比率が、個々にとりますると小さいとは申しまするが、連鎖反応的影響を見ますると、極力運賃値上げの率は低くすべきものであるという趣旨であります。当時の五カ年計画におきまする予想収入見方につきましては、現実の実績から見まして非常に予想収入見方が少いという点、さらに年間収入増加率を三%と計算されておったのでございますが、これまた実績から推定いたしまして増加率見方が少い、さらに五カ年計画におきまする借り入れ計画が毎年二百七十億フラットとなっておるわけでございます。これは事業量の増大に伴いまして、借入額が年々ふえていくということは当然のことでありますが、この点の見方もおかしいのじゃないか、また国鉄経営合理化全般につきましては、収入増加をはかる方法といたしましては、土地、建物等の部外の使用料引き上げ広告料増収対策、また今日広範に上っております無賃パス廃止の問題、また共済組合物資部等に対する運賃八割引の制度の廃止等が考えられる。一方支出節約の面につきましては、共済組合物資部専従職員でまかなっておる、これを廃止したらどうか。また石炭の節約を一そう徹底化すること、また資材の調達方法改善によって、支出面節約ができるのではないかというような趣旨によりまして、国鉄五カ年計画の実施に伴う運賃値上げに対しましては、にわかに賛成を表しがたいということを申し上げたのであります。  ところで今回の政府運賃一割三分値上げ案によります国鉄修正五カ年計画を見ますと、運賃値上げ率は一割三分と下げたのでありますが、輸送能力増強目標については当初の計画よりさらに九%がた引き上げられております。なお五カ年間における総輸送収入の点につきましても、昭和三十二年度の輸送収入は三千三百八十三億円と見込まれており、また毎年の増収率を三%を四・五%に引き上げられておるのでございまして、五カ年間収入予想量を一兆八千五十八億円・当初計画から申しまする二千七百億円の増を見込んでおられます。また支出の面につきましては、当初計画より実質的には約一〇%がたの圧縮がはかられておるようであります。なお輸送力増強資金としては、当初の五千二十億円に対して五千九百七十億円の計画になっておるようでございますが、さらにこれを五千六百三十六億円に圧縮して遂行するというような計画を立てておられるようでございます。この計画内容を見ますと、ただいま申し上げました輸送収入の算定の仕方、あるいは借り入れ計画の設定の方法国鉄の今後の経営合理化方向等の問題については、さきに私どもが要望いたしました線を相当取り入れて、大体同様の趣旨によりまして、当初の計画修正を加えておられるように見受けられるのであります。このような内容計画であれば、輸送力増強の今日の緊急性に照らして、この程度運賃値上げということについては、大いに賛成であるとも申しかねるのでございますが、またやむを得ないのではないかと考える次第でございます。  ところで修正五カ年計画によりますと、年間事業量は当初計画より百億円程度増加をいたしております。大体年間一千一百億円見当と思われるのでありますが、この事業を円滑に遂行していくということは、相当困難ではないかと考える次第であります。今日の御承知鉄鋼不足、また一般機械受注の旺盛さ等の点から申しましても、また量的に工事量を見ますと、鉄鋼非鉄金属等の値上りの傾向からいたしましても、なかなかこれだけの事業量を遂行するということは困難ではなかろうか。よほどの努力が要るのではなかろうかと考える次第であります。この問題については、運賃値上げはしたが、事業計画通りに進まぬということでありましては、経済的に非常なマイナスをもたらすので、特に事業の遂行についてよほどの御決心と御努力をいただかなければならぬのじゃないかと、この機会に御努力お願い申し上げる次第であります。  最後に運賃値上げをした場合において、一、二の点について述べさせていただきます。運賃値上げによる増加財源というものを何か別ワクのような形でとっておかれて、これはすべて輸送力増強に使うというような方向でやっていただきたい。ほかの方面にこれが流れて輸送力増強にならぬというようなことでありますと、運賃値上げの筋が通りませんので、この点を特に御考慮願いたいということが一つ。もう一つ遠距離逓減率の問題であります。これは海陸輸送の調整であるとか、あるいは交錯輸送抑制等による輸送力増加という見地から必要と思われるのでございますが、物資によっては海運を利用し得ない物資というものが相当あるのじゃないか。これらの点について今後料金の値上げに当っては十分の御考慮を願いたいということを申し上げる次第でございます。以上簡単でございますが終ります。
  6. 淵上房太郎

    淵上委員長 次に友光正昭君。
  7. 友光正昭

    友光参考人 日本経済友光でございます。国鉄運賃法の改正について問題になりますのは、申すまでもなく第一に国鉄運賃を引き上ぐべきかどうか、それから引き上げるとした場合に、一三%という率が妥当なものであるかという点であると考えます。  第一の点につきましては、引き上ぐべきである、あるいは引き上げはやむを得ないと考えます。その理由としましては、あまりくどくど申す必要はないと思いますけれども輸送施設改善、それから現在輸送力経済の重大な隘路になっており、将来ますますその危険があるというふうな場合に、輸送量をいわば画期的といっていいくらいに増強しなくてはならない。その点はおそらく議論の余地がないと思うのであります。またわれわれの通勤、通学といった乗りものの混雑は、よく殺人的といわれておりますが、このためにわれわれが消耗しなければならないエネルギーというものは相当大きなものであろうと思います。これを緩和するというふうなことはだれも望むところである。そうして輸送力増強には資金が要るということは当然であります。この際運賃値上げによってこの資金調達することはやむを得ないことと思うのであります。もちろんこの資金調達方法としては、運賃値上げ以外に借入金等もありますし、一般会計からの繰り入れというふうなこともありますが、現在国鉄独立採算制をとっております。またこの独立採算制をとるということは、それ自体妥当なことであると考えます。これは国鉄一つ企業である以上は、やはり独立採算建前とするのが当然である。また実際的な見地からも、簡単に言いますと、赤字が出れば一般会計から補てんするというふうなやり方は、企業経営合理化ということを促進する意味でも必ずしもよくない。そういう点から独立採算制建前を貫くべきである。そうしますと、これを借入金にするとしても、借入金にはおのずから借入金によってまかなわるべき資金の性質というものがありますから、それに当てはまらない部分についてはやはり運賃を上げる以外に方法がない。それから物価倍率運賃倍率を比較して、運賃の方が上り方が少いということがいわれております。物価は三百倍、運賃は百十倍とか百六十何倍とかいわれておりますが、その数字をそのまま取り上げるわけではありませんけれども、この運賃倍率がかなりと申しますか、ある程度と申しますか、低いことは事実だろうと思います。つまり戦後の低物価政策のための低運賃政策というもののために押えられている、従って非常にばく然とではありますが、運賃がほかのものに比較して安いということは言えるだろうと思います。そのような点からこの際運賃引き上げはやむを得ない、あるいは必要であるというふうに私は考えます。  そうしますと第二に、運賃引き上げが必要であるとして、あるいはやむを得ないとして、今回提案になっておりますように、平均普通いわれている一三%という率が、妥当かどうかという問題であります。国鉄理事会の方は当初一八%を申請したのが、一三%に切り詰められたわけであります。もちろん運賃引き上げの幅は狭ければ狭いほどいい、運賃が安ければ安いほどいいのでありますが、ただそれが今までもそうだったのじゃないかと思いますけれども、単に安かろう悪かろうといったのでは意味がないと思うのであります。これまでも戦後何回かの運賃引き上げについて——これはあるいは国鉄の方も多少掛値をして引き上げを申請したかもしれませんけれども、また実際にはかなり値切ってその引き上げが行われてきたという傾向はあるだろうと思います。その結果がいつも足りない足りないというふうなことになって、ここ二、三年はありませんでしたけれども、ほとんど毎年のようにまた今年も運賃引き上げをやるとかやらないとか、必要であるとか必要でないとかいうふうなことがいわれてきたのでありますが、その結果の一つとして現在のような輸送力不足というふうなことも現われてきた。今度上げるときにもまたそういうふうな今までのようなことをやったのでは、これは低い方がいいのではありますけれども、来年また足りなくなる、何とかしなくちゃならぬというふうなことになったのでは、これは必ずしも引き上げ率を低く押えた意味がないと思うのであります。その意味で簡単に言いますと、今度上げるからには、少くとも五カ年計画を遂行するここ五年間は、もうほかの事情にしてよほど大きな変化がない限り、絶対に運賃を動かさずに済むという運賃を、ここできめてもらいたいというのが私の考え方であります。そういう点からいって今度の一割三分に低くなったことはけっこうでありますが、私はむしろこれが実行と申しますか、また五年間にもう一回か二回か知りませんけれども、また運賃引き上げが問題になるのではないかということを心配するのであります。そういうことは絶対になくしてほしいのでありますが、この一割三分にしたについては多少——むろん他方で増収というふうなこともありますが、何かかなり切り詰めたところもあるようであります。また経費節約によって今後ますます経営合理化を進めて、その方面からも経費の捻出ということの努力をし、あるいはそれを今から予定をしておくことも必要でありますが、つじつまを合わせるために無理な資金計画を立てるといったことがありはしないかということを、多少懸念するのであります。早い話が今度のこの国鉄給与ベース引き上げというふうなことが、すぐもうこの現在のといいますか、この一三%を基礎にした資金計画に響いて、どうにも動きがとれなくなるということでもこれは困るのでありまして、この点一三%で果してこれで大丈夫という確信が当局にあるのかどうかを、私は多少不安に思っております。しかももしこれで資金が足りないというようなことで、五カ年計画そのものを圧縮するというようなことになりますと、これはやはり無意味になってくるのでありまして、五カ年計画を既定通り遂行する。そのためにもう一度あるいは二度、三度と、そんなにはないでしょうけれども運賃引き上げをやらずに済むような運賃をここできめてほしい。ここで一割三分やっておいて、来年かまた再来年になって上げるということになると、結局今上げておいたより高いものになるといった危険もないとは言えないと思います。国鉄道楽むすこにたとえては悪いかもしれませんけれども、ないから出せといってせびられるより、ここで少し気前よく出しておいて、あとは絶対やらないぞといったような、非常にたとえはおかしいかもしれませんけれども、その方が国鉄自身経営合理化ということについてもやりやすいのではないかというふうに考えます。  結局、私の結論は引き上げはやむを得ない、むしろ必要である。そしてその一三%というのは何といいますか最小限、最低限度といいますか、低いことがいいのではありますけれども、これで果して今後五年間、五カ年計画が完全に遂行できるかどうかを疑問に考えるというのが、私の考え方の荒筋であります。
  8. 淵上房太郎

  9. 佐々木いす

    佐々木参考人 私主婦連合会佐々木と申します。値上げにつきましては、私どもは専門的なむずかしいことはよく存じませんので、ごく常識的なことを取り上げまして、ちょっと申し上げたいと思います。大体運賃値上げにつきましては、私ども家計簿の上から見ますと賛成できないと申し上げたいのであります。国鉄運賃値上げ率が、国民生活物価への影響を十分に考えて、最小限度の一割三分の値上げにとどめることになったようでございますが、私どもはたった一割三分の値上げでも、納得がいかないものにはどうしても賛成できない。国鉄側では老朽施設や車両の取りかえを急速に行なって、運送の安全と確保をはからなければならない。また国内の生産増加による輸送力増強も行わなければならない。さらに鉄道の電化もはかって、サービスの向上と、いろいろと一応はごもっともな御意見に聞こえますが、これはごく変りばえのしない当りまえの御意見のように私には思われるのでございます。向う五カ年間で六千億ほどの費用が必要だから、ここでどうしても運賃値上げによるよりほかに方法がないということになったから、国民の皆様は運賃値上げにぜひ賛成して下さい、こう言われます。私どもが何とかぐずぐず申しましたら、皆さんの命は保証できないということになるようでございます。確かに国電の一区間の十円は安いと思いますが、これは楽に乗れる車であれば十円では安いのでございまして、朝夕のラッシュにもみくちゃにされて通学、通勤する人たちは、ほんとうに悲惨なありさまなのでございます。定期の運賃が安いから仕方がないとあきらめていらっしゃる善良な方があるかもしれませんが、定期券使用のお客様は運賃前払いの、国鉄にとっては大切なお客様であることを常にお忘れにならないで、できるだけ楽にそういう通勤、通学の人たちが乗れるように努力していただきたいと思います。幸いにして今度学生定期が現行の割引率をそのまま据え置かれることは、不幸中の幸いだと思います。しかし無料パスを利用される特権階級の人たちがあまり多過ぎるのじゃないかと私どもは思いますが、いかがでございましょうか。まことに失礼な言い分でございますが、お手本を示される意味におきまして国会議員の方々は、この際率先して無料パスを辞退されるお気持はございませんでしょうか。混雑緩和のために私どもの願いをお聞き入れいただければほんとうに仕合せだと思います。国民の国鉄が正しい運営ができるまで、汽車や電車は皆さんは切符を買って乗るものだということをあらためて御認識いただきましたらよろしいのじゃないかと思うのでございます。国鉄一家の方は割引は当然の権利だと主張されているようでございますが、大衆の喜ばれる国鉄のできるまでは、しばらくごしんぼういただきまして、目的達成に御尽力下さるようにお願いしたいものでございます。今日ここにいらっしゃいます運輸委員会の皆様におかれましても、以上の私どものささやかな願いにとくとお耳を傾けられてお聞き願いまして、重税に苦しめられております庶民階級の私どもが、これ以上生活にいじめられないように、御良識ある正しい御判断をお願いいたしまして、終りたいと思います。
  10. 淵上房太郎

    淵上委員長 次に宮野武雄君。
  11. 宮野武雄

    宮野参考人 貨物協会の宮野でございます。まず私はこういう問題から先に出してみたいのでございますが、二月末現在で鉄道沿線の在貨がどれくらいあるかということから、私の意見を申し上げたいと思います。二月末には二百四十万トンの在貨が駅頭にございます。昨年の二月末では八十三万七千トンでございましたので、約三倍になっているわけでございます。この二百四十万トンの在貨が一体どういう数になるかということを、ごく大ざっぱに品目別のトン当りの価格から一応算定してみたのでございます。そういたしますと、これはごく大ざっぱに私出したのでありますが、鉄道の沿線には六百九十四億四千六百万円という金の在貨がある、こういう数字に一応なるわけでございます。鉄道の輸送におきまして在貨が少しもなくなるということはあり得ないことでございますが、かりに今まで鉄道の輸送が一日大体四十万トンといたしまして、この一日半分が大体ごく大ざっぱな常識でノーマルな状態であろう、こういうふうに考えますと、ノーマルな状態である在貨というのは六十万トン見当だ。そういたしますと、現在の在貨というのはノーマルの状態の四倍あるのだということになります。今申しました六百九十四億四千六百万円のうちで四分の一はノーマルの状態のものだといたしまして、四分の三という数字を一応拾い出しますと五百二十億八千四百万円という数字が、鉄道貨物輸送が非常に不円滑であるために駅頭に残っておる在貨だ、こういうふうに一応推察したわけでございます。これは私どろしろうとでよくわかりませんが、これだけのものが年中駅頭にあると仮定いたしまして、年利八分として日歩で計算してみますと、これは一億一千四百万円というものが、利息八分だけの分として毎日かかっているということになるわけでございます。これを三百六十五倍いたしますれば、年間四百十六億三千四百万円が鉄道輸送が不円滑なために利子としてそれだけかかっているということが、これはごく大ざっぱですが言えるのではないだろうかというふうに考えるわけでございます。この在貨の二百四十万トンと申しますのは、昨年の五、六月ごろからぐんぐん在貨が伸びまして、去年の夏は、平常の年では夏枯れと申しまして貨物の輸送はそう要求がないわけでございますが、昨年は要求が強く、去年の秋ごろには輸送の不円滑のためにいろいろ問題が起ったわけでございます。その状態が今日でもなおこうして続いておるわけでございます。荷主等の立場から申しますと、こういった輸送の不円滑のためにトラックが利用できるものは極力トラックに回しておる。船が利用できるものは、極力船を利用しておる。しかも非常な負担をかけてそうした輸送をやっておる。あるいはそのほかいろいろな手段を講じて輸送いたしておるわけでございますが、二百四十万トンと申しますのは実は鉄道によるよりほかに方法がなくて、現在鉄道輸送を要請しておるというものであろうと思われるのであります。それが今申したように年間の利子だけでも一応四百十六億になる。そのほかに考えられますことは、たとえば駅の近間にこういった貨物を持ち込んでおるわけでございますから、倉庫の使用料の料金とか、あるいはそのための荷いたみとか、あるいは輸送の不円滑なために契約が取り消されたとかいったような問題が、各地に起っておるわけでございます。実際上のそうした荷主の負担から見ますれば、はるかに大きな額となるのではないだろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。こういった点から各地で非常に熾烈な輸送の要請があるわけでございます。ここで御参考のために九州のある地区の地方新聞を持って参りましたが、滞貨の山が実に多くてどうにもしようがないということを九州で訴えておりますが、これは九州だけではなくて、全国の問題であるわけでございます。私ども伺っておる場合では、輸送の不円滑のために資金の回りが悪いから、遅配といったようないろいろの問題を起しているところもあるようでございます。それからまた材料が来ないために、生産をストップしなければならないといったところも多々あるように聞いておるのでございます。  こういった前提で、実は昨年の秋国鉄から運賃値上げの案を私どもに示されたわけでありまして、先ほどからお話がございましたように、そのときは一八%の値上げ、一方において五カ年計画として五千二十億円の資金を投じて改良する、こういうお話であったわけでございます。私ども協会といたしましては全国に三十の支部がございますが、これらの支部がいろいろそれぞれに打ち合せをいたしまして、また地方でも理事会を数回開いたり委員会を開いたりしていろいろ検討したわけでございますが、その結果は、これは運輸審議会の公聴会で私どもが公述いたしたわけでございますが、何よりも今要求されていることは、私ども立場から申しますと輸送力を拡充してほしいことだ、輸送力拡充という点から今までいろいろ国鉄方面にもお話をしたり、それからいろいろお話を承わったりしておりまして、どうしてもある程度の施設というものは増強しなければ輸送力拡充にはならない。現在の施設はいかに有効に使いましても、もう限度がきているということを大体私どもも了承したわけでございます。そういった点から、輸送力拡充ということを前提にいたしまして、ある程度運賃値上げはいたし方がないのじゃないか、しかしながらそれまでの過程におきまして、先ほどお話もございましたが、設備資金調達については政府民間からの外部資金の活用もはかってほしい、また一八%の値上げではなくて、できるだけ値上げの率は少くしてほしい、そのほかいろいろなことをそのときまとめまして、お願いの公述をしたわけでございます。その後国鉄におかれましては、一八%の値上げが一三%に切り下げられ、さらに輸送力増強の五カ年計画を九百五十億円プラスして五千九百七十億円に増額をされて、五年後における輸送は相当緩和できるという案をお示しになったわけでございまして、設備資金調達政府民間からの外部資金の活用をはかるという問題もいろいろ折衝をされた結果、そういった最後案をお出しになったのだというふうに私どもうかがうのでございますが、実際上増強できる五カ年計画国鉄がお出しになっておりますように、貨車も二万四千両増備できる、それから各地の線区の増強もできるのだ、三十二年度を初年度にした五年後においては貨物輸送力が三四%増強できるのだという前提におきまして、私どもこの程度運賃値上げは一応やむを得ないのじゃないだろうかと了承いたすわけでございます。  なおこの際一つ申し上げたいのでございますが、若干関係のある問題でございます。実は荷主の立場からいたしますと、貨物運賃というものは鉄道運賃だけではないのでございます。工場から出て向うの工場まで、あるいは家庭の台所まで届ける。それまでの間全体が輸送でございまして、その全体を通じた全部の経費が、一応荷主の考える広い意味運賃だということになると思うのでございます。この場合におきまして、国有鉄道運賃がお示しになりました表にありますように、価格に含める割合が三・八%だということだと思うのでございますが、そのほかに荷主の払うものといたしましては、工場からトラックに積んで駅まで持っていって、駅でおろして貨車積みをする経費、それからまた到着の駅で貨車からおろしまして、これをトラックに積んで向うの荷主さんの家に持っていく、こういった通運事業、運送店関係の費用が相当かかる。ただこれが幾らになるかはっきりわかりませんが、かりに価格の一%ずっといたしますと、これで二%になります。国鉄運賃が三・八%で、それに二%ですから五・八%になります。それから到着地、発送地では、倉庫に入れる倉入れ倉出しの問題も起りましょう。こういったものを一・一%見ますと六・九%ぐらいになるのですが、そのほかに私どもが案外気がつきませんものに、この貨物を送るには荷作りをしなければならぬ、その荷作りの費用がどのくらいかかるかという問題がございます。これは今までのはっきりした推定のものがないのでございますが、国鉄でお調べになりましたのを自分の目の子で計算したのでございますから、はっきりいたさないと思うのでございますが、昭和二十二年の六月の調べをもとにいたしますと、大体現在鉄道輸送にかかっておりますうちで、石炭とか木材とか荷作りのないものが六割、あとの四割が荷作りを要するものでありますが、その残りのものについて価格の七・四%というのが実は荷作りの費用だ、こういうことになります。そういたしますと、大体合計して価格の一五%程度が実は荷主から見た全体の運賃ではないだろうか、こういうふうに考えられるわけであります。この七・四%というのは、それでは昭和二十二年六月現在としてどのくらいになるかと申しますと、その当時といたしまして三百四十六億円になります。これを二十二年から今日まで、私は去年の十月ごろまでを推定してみたのですが、十月現在として一般物価の値上りから一応推定してみたら、三千五百四十八億という金を荷作りの関係に使った。これは昭和二十二年当時と現在はだいぶ違って参っておりましょう。たとえばそのころあまり使っておりませんでしたダンボールとかワイヤー・バンド・ボックスというような、割合に簡単な荷作りも出て参ったのでございますが、一方において荷作りの関係の資材の値上りも考えますと、大体三千五百億程度の荷作り費がかかっているのではないだろうか、こういうふうにも考えられるのでございます。こういうふうにいたしますと、たとえば一五%が全部の荷作りの費用だと考えまして、荷主から見ましたら、輸送に関する費用は相当大きなものでございます。ですから私どもよく考えるのでございますが、輸送というものは一つの流れとして取り上げなければいけないのでございます。この流れ全体を見まして、もっといろいろな問題で検討する必要があるのではないだろうかというようなことを、私ども最近痛切に感じているわけでございます。この荷作り費がこういった高い費用になっておりますのを合理化することによって、荷主の負担はある程度軽減することができるのではないだろうか、またもう一つ荷作り自体の重量の問題で一応考えてみますと、これは昭和二十七年の調べになるわけでございますが、それで見ますと、その全体の荷作りをした品物の重さのうちで八・八%、約一割近いのは実は荷作りの重さだ、こういうことになるわけでございます。卑近な例で申しますと、リンゴの箱を見ますと、中身のリンゴよりは箱だとかもみがらだとかいうものが非常に重い、こういうことが言えるわけでございます。重さから見ましても、荷作りを軽くすることによって、いろいろなそういった運賃の軽減がはかり得るのではないだろうか。それからまたリンゴの箱の荷作りの値段を、私どももこれはしろうとでございますからよくわかりませんが、いろいろ伺うところによりますと、箱代や中のもみがら、あるいはなわがけ料、くぎ打ちを入れまして大体百八十円から二百円近くはする、こういうふうなことが考えられるわけでございまして、そういった点から見まして、貨物の輸送に適当な荷作りを合理的に見出すということが、現在の輸送の問題として一つの大きな問題ではないだろうか。鉄道貨物運賃値上げの問題にこういった問題が出るのはおかしいかもしれませんが、荷主から見れば全体が運賃であるということが私ども言えるのでございまして、この全体を何とかして軽減する必要があるのじゃないか。もう一つ申しますと、日本の乏しい森林資源におきまして、荷作りのために使われる木材の量の割合は、大体一位が家屋を作る木材の消費でございますが、二位が実はこういった梱包のための消費であるわけであります。そういった点から見ましても、荷作りというものは私ども等閑に付することができない。こういう問題を是正することによって、日本の輸送というものはいろいろな面からまだまだ改善し得る余地があるのではないか。この改善によって全体の運賃というものがもう少し合理的になるのではないだろうか、というふうなことを考えるわけでございます。妙な問題を説いたわけでございますが、御参考までに申し上げた次第でございます。
  12. 淵上房太郎

    淵上委員長 次に塩谷信雄君。
  13. 塩谷信雄

    ○塩谷参考人 総評の塩谷信雄でございます。総評傘下には、この問題の根元であります運輸省の労働組合がございまして、政策的な問題または技術的な問題につきましては、おそらく後ほどこの労働組合から御意見を申し上げることになろうと思うのであります。この運賃提案は運輸省であり、かつそのもとにあります公共企業体の、国鉄労働組合の所属しておるいわゆる国有鉄道そのものが提案をしておるのでありまして、国鉄労働組合の労働者側の立場からする意見につきましては、皆様方も率直に一つお聞き取りをいただきたいと考えておるところであります。私は総評という立場、ひいてはおそらく労働者を代表するということで意見を申し上げることになろうと思いますので、きわめて素朴な立場におきまして若干申し上げることにいたしたいと思います。  戦後運賃値上げの問題は、何たびも何たびも出てきておると思うのであります。終戦直後の状況では、インフレが主として理由でありました。インフレだから赤字である、こういうことを理由にいたしておった。またときには、労働組合側の労働者の賃上げをしなければならぬ、ベースの引き上げのために必要なんだ、こういうことを理由にいたしておったときもあります。しかし今回はその理由が違っておると思うのであります。老朽資産が大へんあるから、これを取りかえる必要がある、また採算のとれない輸送の増強施設のための経費に充当すべき自己資金として、一三%の値上げをしたいのだ、こういうふうに言っております。つまり赤字という問題について表面には押し出してきておらないのであります。実はこの問題は非常に論議のあったところであることは、皆さん方の十分御承知のところであります。  私は今何もこの問題の詳細を申し上げようと思うのではありませんけれども、今日においては国鉄の施設というものは戦後の荒廃から完全に復旧しており、また現在の償却は過剰償却であるとの批判をしておる向きもあることは否定できないのであります。すでに昭和三十一年の一月十二日、国鉄経営調査会が答申しておるもののうちに、こういうことを言っておられる。国鉄側は施設の老朽化防止について積極的に努力を傾倒しているとは認めがたい。たとえばトンネルが危険な状態にさらされている。鉄橋取りかえの必要があるものも認めながら、停車場や建場、倉庫の復旧その他サービス改善等に相当多額の投資をしているのじゃないか。こういう疑問も投げかけられておる。そうして最近の減価償却費の状況を見て参りますと、三十年度の決算において赤字の原因となった四百七十億円の線をくずすまいというような操作がきれているような印象を受けるのであります。三十一年度の決算予定額を四百八十億円はしておる。そうして三十二年度はさらに増加して四百九十億円を計上しておるのであります。これはただいま申し上げました国鉄の経営調査会が答申をしておる減価償却費、その中で二十九年度の償却を基準としたものを採用いたしているように思うのでありまして、第三次評価の、たしか四百二十七億だと思いましたが、これを採用いたしてはおらない。これを上回る四百九十億円の線を出してきているのであります。——四百二十七億でありました。四百二十七億一千九百万円が第三次再評価ベースとして適当であろう、こういうことを勧告しておったのでありますが、その線を採用せずして、昭和二十九年三月ベースの四百九十八億の線に近い四百九十億という線を出してきておるのであります。かようにいたしまして毎年度十億円ぐらいずつ増加していくやり方というものは、減価償却費は適当に計算されているのではないか、その目的は利益隠匿の便法にすぎないのではないか、経営のための赤字を作っているのではないか、こういう疑惑は今日依然として存在いたしておる。これは重大な問題であろうと思うのであります。  さて現在国鉄のいろいろな施策の面における政策的なものはどうかということになりますが、これも多くを申し上げませんが、先ほど宮野さんも御指摘になっておりましたが、運送というものについて一貫性がない。われわれの立場で見ましても、国の交通政策というものがどこまで一貫性を持っておるのか、こういうことになりますると、全く乱立の状態であるということは、どなたもお認めになっているところであります。鉄道、軌道、自動車、船舶、航空など、全く乱立の状態に置かれているのであります。そして滞貨は激増しておるというお話がございました。これは全くその通りであろうと思うのでありますが、その原因はどういうところからきているか、この点を究明することが非常に重要なのではないか。私どもは、政府提案をいたしておりまする輸送力増強施設、これが必要だということを今日否定するものではございません。しかしその根源についてもっと抜本的な対策を樹立することがきわめて必要ではないか。こういう点については、実は国鉄労働組合等から、終戦以来しばしば建策をいたしておるはずであります。またいろいろの形において話し合いを進めてきているはずでありますが、ほとんど採用されておらないという点について、十分一つ各先生方の御留意をわずらわしたいと思うのであります。従ってこの国家的な交通政策の確立、また運賃制度の不合理是正という問題は、広範にわたって存在をいたしておると思うのであります。こういう各種の経営合理化対策を広範に推し進めることによって、問題の処理ができるのではないか。資本金の問題にいたしましても、現在の資産状況から見て、あまりにも問題にならないような状態に放置をされておる。こういう問題についてもっと積極的な手を打つことによって、今直ちに、先ほども御指摘がありましたが、将来にわたって利用をしていかなければならぬような設備を当面利用する人々に転嫁をする、こういう形は慎しむべきじゃないか、こういうふうに思うのであります。  私が若干これから申し上げようとしますことは、否定をしようとしても、現実問題として派生をいたして参りますインフレの問題、さらに労働強化、災害発生等の問題等よりいたしましても、この値上げ案については賛意を表しがたいという主張であります。今度の値上げ案は、いわゆる国鉄建設の当初から八十四年の歴史的伝統の本質が忠実に守られているように思われるのであります。貨物運賃を見て参りますと、依然として大資本に大きく奉仕をする、こういう体系というものはくずれておらないと思います。むしろ内容によっては、この本質は強化されているのではないか。たとえば重量減等扱い品目の増加や軽量減等扱い品目の増加等、また旅客運賃につきましても、いわゆる優等客輸送に奉仕していると思われるのでございます。特別二等料金、寝台料金の据え置きを一方においてはかっておる。そして一般大衆のサービス向上というふれ出しでありますけれども、定期券の割引率の大幅の値上げ、あるいは電車線の大幅の値上げ、最低運賃適用区間の削減の問題、先ほど聞いておりますとこれは現状維持になったというお話でありますから、これは別といたしまして、広範にわたって実は大衆の相当の犠牲というものが現われている。こういう点は否定できないのじゃないかと思うのであります。輸送力増強資金の獲得の手段としての運賃値上げというものは、総輸送量の九〇%を占めております三等旅客運賃値上げ、あるいは大衆消費物資運賃値上げ、こういうことによってあがなわれているといっても過言ではないのじゃないか。こういう点は非常に重要であろうと思うのであります。国鉄運賃旅客運賃、ことに三等旅客運賃、国民大衆から吸い上げたその分を、貨物運賃で独占資本に奉仕をするという、そういう役割を果しているのではないか。これは先ほど申し上げました国鉄の経営調査会の答申書の中でも、この点についてはこれを認めておるのであります。否定はできない。こう考えて参りますと、国民大衆こそ被害者であると申し上げなくちやならないのであります。貨物輸送の問題につきましても、時間がないから申し上げませんが、荷扱いの点については相当問題だろうと思うのであります。これまた大衆の消費物資というものの犠牲の上に、大口物資の輸送に対して大きくサービスをさせられている。こういう形となって現われているかと思うのであります。  さてこの運賃値上げの問題でありますが、政府は一三%くらいの運賃値上げをやっても、そんなものは決して物価にそうはね返るものではない、インフレになどなるものではない、こういうふうに強く主張をされております。たしか蔵相の演説の中にもそういうことがあったと思うのであります。ある業界紙によりますと、運賃値上げによって基礎物資は大体次の値上りをすると指摘されております。鉄鋼はトン当り二・二%、四百円、石炭は同様二%、九十円から百円、セメントは二%、二百円、重電機は二%、機械は二%から四%くらい上るだろう、この数字はもちろん過去の値上げ実績からとったものであろうと思うでありますが、これが次第に消費者価格に波及をしてくることは、われわれの経験上間違いがない、こう思うのであります。確かに運賃値上げが即インフレになる、物価高になる、それは一つの伝説だという主張をする人もある。今日は物価の変動はそんな単純な要素で変動するものではないのだ、こういうふうに言われる人もありますけれども、こういう基礎物資というものが次から次から上ってきた場合に、現実にどういうふうになるか、これは否定できないと思うのであります。これは当然私鉄の運賃にはね返っていく、電気もガスも水道も、このごろほとんど値上げが予想されてきておる。こういう基礎物資が上ってくると、理論的な問題はさておくとしましても、そういう基礎物資が上ったということだけで、すでに小売商人が現実に自分の今まで並べておった店の商品の札のつけかえをしておるのであります。何ぼかちゃんと引き上げた価格で並べておるのであります。これは現実であろうと思うのであります。よく賃金を上げると物価が上る、こうおっしゃる。都合のよいときにはいろいろお使いになるのでありますが、もちろん賃金を上げたからといって、賃金を上げた分を原価の中に吸収できないことはないはずであります。吸収できる場合もあるし、できない場合もあるだろう、必ずしも物価高になるわけはないはずです。これは相当の問題がある。賃金の場合は、賃金が上ったからといって、今度は一つおれのところの商品の値段を上げようなどという小売商人はあまり見たことがないのです。しかし基礎物資が上ってくるという段になりますと、おそらく皆さん方も御経験なさっていらっしゃるだろうと思う。ちゃんと上げておるのです。何といってもこれは否定ができない。理論的な問題はともかくとして、現実的な問題としてインフレになる危険性というのは非常に強い。これは今日の非常に生活に恵まれない人々にとっては重大な問題である。政府は一千億の減税をやるからそう心配はないのだとおっしゃるけれども、二十万円以下の所得層の人々をどうしてくれるのだ、二千万人に上るボーダー・ラインの貧困層をどうしてくれるのだ、こういう問題についての積極的な、納得のいくお話は聞いておらないのであります。  さて国鉄は、今度の新ダイヤの編成以来非常な労働強化になったといわれておるのであります。大へんな職場における労働強化が行われていると指摘されているのであります。この詳細につきましては、私は時間がありませんから多くを申し上げません。しかしながら最近の生産性向上運動に伴う各種機械の導入というものは、現に皆さん方が駅などでごらんになって、ある程度承知済みであろうと思うのであります。小は自動販売機の問題から、あるいはタイタンバー、マルチプル・タイタンバー、バラスト・クリーナー、カー・リターダー、IBMあるいはアイソトープの利用というような問題につきましても、これは事遠からない問題である。今日のごとく、膨大な過去の設備投資の倍にもひとしいような大量の設備投資をするならば、おそらくこの問題はわれわれの身近な問題として登場してくるだろう。そして大量の人々が職場転換もし切れなくて、やがて首になってくるだろう。こういう人々をどうしてくれるのでしょう。皆さん方が九州の炭鉱で、すでに御承知済みであろうと思う。あの炭鉱の企業設備に関する法案を通されたあと、どういうことになったか。私はこの実態というものを十分見詰めていただきたいと思う。日本経営者団体連盟が昨年の秋、相当の調査をしたはずであります。数字は申し上げませんけれども、あの炭鉱地帯の労働者諸君は、大へん気違いが多くなったということが九州の社会学会の席上で報告になっておる。気違いが大へんふえた、そうして災害がどんどんと多くなってきておる、病人が出てきておる、この事実は大へんな問題であるとして、日経連は取り上げておるのであります。この問題がやがて原子力生産の時代と結合されたならば、どういうことになるのだろう。膨大なる失業者、災害の発生、疾病の増大、社会不安、こういう問題を考えたときに、りつ然とせざるを得ないのであります。そこにこそ今日いわゆる国民皆保険の問題が、健康保険改悪の形において、われわれにとっては出されてきていると思うのであります。この社会不安を完全雇用という呼びかけだけで解消しよう、これはあまりに問題であろうと思うのであります。(「脱線しておる」と呼ぶ者あり)脱線はいたしておりません。インフレの問題は当然これらの問題に波及をするし、当然この運賃値上げの問題は、労働強化となって現われてくること必至であります。私は労働者の立場において、皆さん方に申し上げているつもりであります。どうかこういう重大な問題につきましては、十分納得のいくように皆さん方の方で慎重御審議をわずらわしたいと思うのであります。今こそ六人の参考人の中で、庶民を代表して申し上げているのはわずかに佐々木いす先生と私だけだろうと思うのであります。あとの方々の大部分は賛成論をお述べになったはずであります。しかしわれわれは二人であろうとも、われわれの背景にはたくさん生活の悩みを持っておる庶民があるということを、皆さんが国民の選良として十分お考え取りをいただきたいと思うのであります。以上で私の公述を終ります。
  14. 淵上房太郎

    淵上委員長 これより参考人各位に対して質疑を許します。参考人の御都合もありますので、お一人大体五分程度にしていただきたいと存じます。通告によりまして松尾トシ子君。
  15. 松尾トシ子

    ○松尾委員 本日は参考人各位よりまことによい意見を聞かせていただきまして、ありがとうございました。ところで私は今野先生にちょっとお尋ねいたしたいと思います。先生は御意見の中に、貨物運賃の赤字を旅客運賃がまかなっているとおっしゃいましたけれども、その通りだと思うのであります。ただいまの塩野さんのおっしゃったようにこのまかない方、カバーの仕方は、何と申しましても三等客の九〇%、しかも百五十キロ内外を利用している方の多くがこれを補てんしているという、ふうに思うのです。それでもっと掘り下げてみると、都会を中心にしたものが最もこのしわ寄せ、穴埋めをさせられているわけですが、私は今日の交通行政が陸海空といった総合的なものから、もう一度立て直すべきだということはもちろんでありますけれども世界の趨勢から、大都市においても路面電車は赤字が年々ふえてきて、これをいかに解消しようかというところに入っているのではないかと思うのです。今度運賃値上げにたよりまして、しかも旧債をかかえてなお借金を背負って、そうして大きな十年計画の中の第一次五カ年計画を遂行していこうというやさきでありますから、われわれはもう少しよく考えなくちゃならないと思うので、交通行政の非常に権威者であられる先生に、将来の日本国鉄、交通行政はどうあるべきかということを教えていただきたいと思うのです。私の考えでは、日本のたくさんの路線中、黒になっているのはごくささい——二〇%ぐらいです。ですからこの採算の合わないところを改廃いたしまして、ただそれは公共企業性からいいますと、とめてしまうというのでなく、新しい時代に沿うようないわゆるトラックとか、自動車を使った方がもっと割安ではないか、便利ではないか。駅に一日、二日滞貨されるより、その日のうちにトラックで荷物が着いた方が、資金の上でも、あるいはコストの面も安く上るのではないかというような考えもいたします。この問題について大臣に尋ねましたら、赤の線がたくさんあるゆえにだんだん黒の線まで持っていかれて、赤は必ず黒を生む原因になるのだというようなことを言っておられました。ほんとうの日本の交通行政というものは、私は非採算性のところをもっと改良していって、あるいは改廃していってやる方がほんとうではないか。そうすれば運賃値上げをしなくても、今日の減価償却の分だけで内容を充実し、もっと輸送力の速度を早めて、いいものにしていかれるのではないかというふうに考えるのです。これが十年も前でしたらこうした飛躍的な考え方を私は持ちませんけれども世界の趨勢からして、だんだんこういうふうになっていくのが日本国鉄、交通行政ではないかというふうに信じているわけなのです。この間アメリカへ行きましたときに、運賃値上げをするからもう鉄道なんかに乗ってやらないのだ、飛行機をやっていれば運賃値上げをしないで、いわゆる企業内の整備によってもっと充実したものができるはずだという声が、ああした金持ちの国でさえも非常に高かったことを思い出しているわけですが、この点について先生の御意見も伺っておきたいと思います。
  16. 今野源八郎

    今野参考人 ただいま御質問でございましたが、日本で交通政策の近代化が必要であるという御意見に対しましては、私も学者の一人といたしまして全面的に賛成でございます。日本ほど古い交通政策をとっている国は、残念ながら近代国家にはございません。約二十年のおくれがあると存じます。鉄道だけでなく、自動車を含んでの陸上交通の近代化計画につきましては、五年ないし十年間の交通需要の伸び、その背景として、やはり国民所得あるいは国民総生産の伸びとの関連において十年後の——アメリカでは千九百九十九年までの需要の測定がなされておりますけれども日本では今ここで五年ということが問題になっておりますけれども、その五年ということが十年なり三十年なり先を見た五年でなければならないと思うのでありまして、全く御質問の通り私も日ごろ考えんておりますけれども、そのことにつきましては今後とも先生方におかれまして全国的な交通政策の確立をお考え願いたい、しかも近代化をするということで考えていただきたいと思うのであります。既存の利害関係というものだけにあまりとらわれていただきたくない。もし犠牲者が出ますならば、それに必要な援助を国家がするということであって、交通機関そのものの近代化をしていただきたいと思うのであります。それでつまり採算性の悪いところを自動車に転換することによって、ただいま当面の運賃値上げをしなくてもいいのではないかという御質問でございますが、その点では私多少違いまして、長期にわたりますとそういう計画は効果がございますけれども、当面におきましてはやはり国鉄企業体として立っていくためには、ある程度原価をお客さんからもらうだけのことはしなければならないのではないか。国民に対して国鉄は親切でなければならないけれども、われわれもまた国鉄に対して親切に考えてあげなければならないのじゃないか。何とかして国鉄が健全な独立採算基礎に立ち得るように、国民として心配してあげることが義務だと思うのであります。そうしますと、企業体でありますから、自分の足代を人に払わせるということではなくて、やはりめいめいが自分の足代を自分で払うという原則が、資本主義社会でのやむを得ない原則じゃないかと思うのでありまして、将来の問題といたしましては、全く不経済線に今さら新線を建設するとか、新しい投資をするというような場合にはよほどお考えを願って、そういうことのために都会の近郊の旅客なり荷主なりが迷惑をしないように考えていただきたいという点につきましては、全く同感でございます。特に都会の近郊の交通につきましては、やはり地下鉄と鉄道と道路とヘリコプターとの輸送を体系的に考えたアメリカやヨーロッパでとられているような近代的な政策が望ましいと思います。
  17. 永山忠則

    ○永山委員 今主婦連合会関係並びに労働組香関係の皆さんの御意見の中心は、やはり物価が値上りするという点が一番大きな点でございますが、これに対しまして高城さんの日本商工会議所の方ではどういうような御調査をされているのでございますか。今のパーセンテージで運賃が値上りしますと、連鎖反応的に運賃の値上りがあるから、値上りはできるだけ押えた方がいいという意見政府に進言したのだが、この程度なら連鎖反応的の値上りから見ても、物価には影響ないということになっておるのでありますかどうか。ことに山村方面を中心とするところの小売物価でございますが、長距離逓減の縮小ということから一そう山村方面の農産物は安くたたかれて、そうして買うものは高くなるということで、非常な脅威を感じているように伝わっているのでございますが、この点の物価はね上りに対する考え方、ことに小売物価並びに山村僻地方面に及ぼす影響という点のお考えを伺いたいと思います。  もう一つは、今野さんの方は、何としても受益者が運賃値上げを適正に受けることが必要だ、それにはいわゆる厳密な意味原価計算が必要であるということに非常に賛成いたしておるのでありますが、厳密なる原価計算を諸外国の方も十分立てておるかどうかでございます。また方法があるかどうか。先刻のお説では、どうも国鉄の中に政治的要素や社会政策的な要素の施設あるいはサービスが相当含まれておるのであるから、これを切り離しての厳密な意味原価計算ということは立てかねるのだ、諸外国でもそういうところまで行っていないというような意味のお言葉であったかのごとく聞いておるのでありますが、そういうことが厳密に原価計算が立てられるものであるかどうか、またその点から見て政府出資並びに外部出資の割合と、今度の一割三分値上りの割合とが果して妥当なものであるかどうかという点でございます。すなわち一割三分をもう少し押えて、政府出資を多くし、あるいは外部出資を多くして、もっと長期の低利資金でやって、後代の国民と現代の国民が公平にこの国鉄経費に即応した協力をしていくということであると思うのですが、そこらの考え方がどういうふうにお考えになっておりますかをお聞きしたいと思うのであります。
  18. 高城元

    高城参考人 ただいま一割三分程度運賃値上げをされようとしておるわけでございますが、一割八分なら非常に響くが一割三分なら響かないということは申し上げておりません。一割三分値上げいたしましても物価影響することは当然でございます。従いまして私どもといたしましては、やむを得ないということを申し上げておるのでございまして、これ大いにけっこうだということを申し上げていないのでございます。また連絡地の方面の問題につきましては、特に今度は青凾関係のキロ数を十キロでございましたか計算から減らしておる、また関門トンネルを一キロに直しているというような御配慮を願っているのと、また伺うところによりますと、個々の遠距離逓減が現在より一七%しかふえないような配慮も国鉄の方でなさっておられるようであります。若干の影響は当然あると思いますが、そのような御配慮を願えますれば、思ったほどの影響がないのじゃないかということでございます。
  19. 今野源八郎

    今野参考人 最初の原価主義ということでございますが、厳密にということになりますと、かなり困難でございますけれども、学界の理論としてはやはり原価主義によるべきだということは、理論的に非常に認められてきている議論でございます。ソーシャル・アカウンティング、それから普通の会計学の進歩によりまして、原価主義によることができるようになってきているということも事実であります。それからまたIBMその他いろいろな計算機が発達して参りまして、従いましてこれは少くとも数年はかかると思いますけれども世界的に見まして原価の計算ということが、鉄道運賃につきましても非常に各国において研究されておる、そういう段階でございますので、国鉄におきましても今後原価の計算ということに御努力願いたいというのが私の希望でございます。  それから運賃値上げの問題につきまして、貨物の一三%は私はやむを得ないと思うのでありますが、そのことに関連しまして、外部から資金を仰ぐ問題でございますが、これはやはり長期の設備資金でございますから、なるべくならば低利の借り入れが望ましいし、それをするためにはやはり借り入れができるような魅力のある企業体になっているということからしまして、やはり独立採算制ということをただうたうだけじゃなくして、計算上はっきり国鉄企業体として採算のとれる姿になっていることが望ましいのであります。それに関連しまして、もう少し国家資金国鉄なり交通投資に回していただきたいと思うのでありまして、道路、港湾、空港を含んでの交通投資というものが最近比較的少くなってきているのじゃないか、電力や鉄鋼につきましては非常にやかましく言われますけれども、その生産性を高めるために必要な外部経済と申しますか、エクスターナル・エコノミーといわれるものの日本における条件が悪い。これは後進国における一つの特徴だといわれておりますけれども一つ企業体だけの生産性が上りましても、鉄道が今のように滞貨が多いとか、あるいは運賃が割高になってくるとかいうようなことがもしありましたならば、あるいは道路が悪いということになりますと、交通の流れあるいは輸送の流れが問題になりましたか、全体として高くなるのでありますから、一つ鉄道運賃だけでなくして、小運送を含んでの交通全体の運賃負担生産費において少くするというためには、どうしても交通投資を多くしていただきたい。それには幾ら公企体でありましても、独立採算基礎に立つような国鉄の姿にすることが必要ではないか、金融問題というものを、運賃値上げだけではなくしてもう少し先生方におかれましても御研究願って、いろいろお導きいただきたいのでございますけれども国鉄のたとえば膨大な現金というものを、一つ考え方としましては預金にして、それを見返りにして短期資金を仰ぐとか、あるいは長期なりあるいは中期の金を借りられるようにされれば、しわ寄せが運賃に従来ほど響かなくていいのじゃないか、これは少し長い間の問題でございますので、やはり交通投資というものは何十年にもわたって効果が現われるものでありますから、それをだれが負担するか、国民が負担するにいたしましても公平ということと、時代的には現在と将来というふうに分けてお考えになるのが正しいと思われるのであります。お答えになるかどうかわかりませんけれども、また御質問がありましたらお答えいたします。
  20. 淵上房太郎

    淵上委員長 参考人各位にお礼を申し上げます。本日はまことにありがとうございました。  この際暫時休憩いたしまして、午後は一時から再開いたします。    午後零時十一分休憩      ————◇—————    午後二時五分開議
  21. 淵上房太郎

    淵上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題として、質疑を許します。下平正一君。
  22. 下平正一

    ○下平委員 今度の運賃値上げは主として近代化等の方面に使われて、その他の面には運賃値上げの分は使わない、こういうようなことを言われておりますけれども国鉄輸送力増強されて、ほんとうに日本経済の要請にマッチした輸送が行われるには、機械設備とかあるいは線路の増設・車両の増備等々、そういうものが当然必要でありますが、それに応じてやはり国鉄に職を奉じている労働者諸君がそれだけ心がまえ、気がまえを持たなければ達せられないと思うのですが、そういう意味で今度の運賃値上げに伴う五カ年計画の予算を見ますと、若干そういった面に対して配慮が薄いような気がするわけであります。そこで御質問申し上げたいのでありますが、五カ年計画を実施する面における、当面今年の予算になると思いますが、給与総額の内容について、大ざっぱな御説明でけっこうです、まず御説明を承わりたいと思います。
  23. 權田良彦

    ○權田政府委員 お答え申し上げます。三十二年度の給与総額が合計千三百二十四億ばかりになっております。そのうち職員給が八百九億、扶養手当が七十三億ばかり、勤務地手当が九十億ばかり石炭手当が八億五千万ばかり、寒冷地手当が十六億三千万ばかり、薪炭手当が一億五千万ばかり、宿日直手当が八億七千八百万ばかり、特殊勤務手当が十四億ばかり、期末手当が百二十一億五千万ばかり、奨励手当として四十億五千万ばかり、超過勤務手当が百二十億七千万ばかり、休職者給与として約二十億、こういうことに三十二年度予算で相なっております。
  24. 下平正一

    ○下平委員 その中で職員給は前年度と対比しまして昇給金額はどのくらいで、あるいはそれに対しての昇給の割合等がどのくらいの見込みをしてありますか。
  25. 權田良彦

    ○權田政府委員 今年度の職員給は、ただいま申し上げました八百九億ばかりでありまして、この中には三十一年度に対して四%の昇給資金が織り込んでございます。三十一本年度予算のこれに見合うものは七百七十八億ばかりでございます。ただ本年度予算と今度の三十二年度予算と違いますところは、これは少し芸がこまかくなりますが、十七人は、日本国有鉄道法の改正によりまして新たなる役員でございますので、三十一年度予算には役職員として総体を含んでおりますが、三十二年度は職員として職員の分だけ計上いたしております。
  26. 下平正一

    ○下平委員 少しこまかくなりますので、一問一答のような形になるかもしれませんが、期末手当並びに奨励手当は、昨年はたしか二ヵ月分、二・〇の幾らだと思いましたが、ことしは期末手当、奨励手当は何ヵ月分組まれておるか。それから公務員と比較してどんな状態になっているか。その点をちょっとお伺いしたい。
  27. 權田良彦

    ○權田政府委員 期末手当、奨励手当は、三十一年度も三十二年度も公社に関しましては二・〇でございます。一般公務員の方は二・四でございます。
  28. 下平正一

    ○下平委員 職員給の四%というのは、具体的に昇給率というものはどのくらい見込まれてあるのですか。
  29. 權田良彦

    ○權田政府委員 お答え申し上げます。予算単価に対する四%で、これが昇給率と申しますか、そのかけた額がまた加わっておるわけです。
  30. 下平正一

    ○下平委員 具体的な昇給は、金額の問題ではなくて、国鉄当局と労働組合で昇給率について結ばれておると思うのですが、それは何%になっていますか。
  31. 久保亀夫

    ○久保説明員 具体的に申しますと、四%の昇給率を見るということは、一つには新陳代謝、つまり給料の高い方がやめられて新しい人が入る、こういうことも要素に入れまして、大体八〇%弱の昇給ができる、こういう形になるわけでございます。
  32. 下平正一

    ○下平委員 そこで毎年のことでありまするが、御承知のように公務員とそれから公社の職員の期末手当、奨励手当というものが、予算上に差別がつけられている。昨年は〇・二五ヵ月分の差があったわけでありますが、その差について実は昨年も質問をいたしましたけれども、昨年の御答弁では、業績が上ればそれを埋め合せていく、また業績も上る見通しもある、こういう御答弁でございましたが、今年度の予算を見ますると、昨年は〇・二五の差額というものが、今年度は〇・四、また〇・一五の差がついておるわけでありますが、これらの点についての御見解を少しお伺いをしたいと思うわけであります。
  33. 權田良彦

    ○權田政府委員 お答え申し上げます。これはただいま御説明いたしましたように、公社の場合には期末手当と奨励手当で二・〇でございますが、そのほかに今先生も御指摘のように、業績手当という収入増、経費節約に見合うものがございまするので、この差がついております。この差は三十一年度においては、当初の予算ではおっしゃる通りに一般公務員が二・二五、三公社が二・〇、〇・二五の差でございました。それを前回の法律改正で公務員の方の手当に〇・一五をふやされましたので、今年度において〇・四の差が出ました。その差は業績手当でこれを——公社の方は業績手当の制度があるが、公務員にはこの制度がない、三十二年度においてはこの考え方は持続されておりまして、二・四と二・〇、それは業績手当という制度が公社の側にはある。こういうことで予算を編成しております。
  34. 下平正一

    ○下平委員 昨年の業績手当、期末手当、奨励手当を含めた——昨年といいますか、今年度ですね。これは三月の期末がまだ確定しておりませんので、今きまっている額でけっこうですが、その総額は公務員の期末手当、奨励手当と比較してどのくらいになっておりますか。
  35. 權田良彦

    ○權田政府委員 今おっしゃいます通り、実は本年度の期末手当が確定しておりませんので、数字で二・幾らということは、ちょっと計算して査定してみませんと出て参りませんけれども、ただいま私の見通しでは、もう一般公務員は二・四出ておりますけれども、今後業績手当を入れるならば、公社の場合も期末手当、奨励手当、業績手当を足したのは、少くとも公務員を下回ることはない、多少上回るのじゃないかという予想をつけております。
  36. 下平正一

    ○下平委員 それで期末手当の分は未定ですけれども、今までにそれでは何コンマ何ヵ月分実際に出ておりますか。
  37. 久保亀夫

    ○久保説明員 今総額の正確なところを覚えておりませんが、夏と暮れのいわゆる期末手当、これと秋に出しました繁忙手当〇・一六等を合せますと、二・五何がしになったと思います。二・四プラス〇・一六、大体そんな数字になるかと思います。
  38. 下平正一

    ○下平委員 そうすると二・五六ということですか。
  39. 久保亀夫

    ○久保説明員 さようでございます。
  40. 下平正一

    ○下平委員 それはあとで数字がわかったら、ちょっとお知らせいただきたいと思います。  そこで私は、大臣もお見えになっておりますので、若干質問したいのですが、御承知のように業績手当というものは、その業績が上らなければゼロということになります。だから本来、終戦後若干の給与体系の変動があったといたしましても、今日の給与体系では、盆の賞与と暮れの賞与、こういうものは一つの賃金の要素になってきているわけです。終戦後給与体系が変ったときには基本給一本やりという形でありましたが、それはやはり日本の実情に合わないということで、盆と暮れには日本の家族制度や国情からどうしても金が要るから、この盆と暮れの手当、そういったものはもう給与の中に入っておるというのが実態だと思うのです。従ってこれは特別に何かめんどうを見るのだというような恩恵的なものでなくて、当然の給与というような形に今日では変化をしてきておると思います。そういうふうにしてみますと、私は三公社あるいは国鉄の諸君だけが特別な労働をしておるというまで考えてみなくても、一般公務員と同様の期末手当、奨励手当を組んで、もし業績をそれ以上に上げて節約するとするならば、その分が上回ってプラスされるという考え方に立たなければおかしいと思うのです。あとで国鉄の労働の実態等は申し上げますが、今公務員も国鉄の職員もほとんど同様な状況にありますので、少くとも固定に支給されるというものに当初から差をつけるということは、どう考えてもおかしいと思うのです。業績手当というもので調整をする場合には、業績が上ればいいけれども、上らなければ全然出ないということになりますので、基本的な給与というものだけは、やはり公務員のそういったものと同列に支給するという形を予算上とっておくことの方がいいと思いますが、この点はどうなんでしょうか。
  41. 權田良彦

    ○權田政府委員 先ほどから御説明いたしておりまするように、公務員には業績手当という制度がございません。従って期末手当と奨励手当で、これはきちんと手当として出ております。ここに公共企業体というものがどういうものであるかということでございますけれども、公共企業体というものは、そういう手当のほかに、能率の向上によって収入予定より増加するとか、あるいは経費予定より節約した場合においてその収入増加額または経費の節減額の一部に相当する金額を、業績手当として従業員に報いる。従って端的に申しますると、いいときには公務員を上回って出る、しかし業績が上らにいときには下回る場合もある。こういうことはやはり公共企業体としての公社のあり方から出ているものでありまして、公務員と一緒にしてしまうというならばこれも御意見でありますが、そうなると業績手当の方だけ残しておく、いいときは公務員よりいい、悪いときも公務員と同じ、こういう考え方は、公共企業体の給与の格好としてどうか。私どもはただいまのところ、今前段に申し上げましたような考え方で、やはり手当に若干差のあるのはやむを得ない。しかし業績手当というものは収入増加したり、経費が節減したら、これは従業員の努力に待つところが多いのであるからして、これは従業員に手当として出す、こういう制度が公共企業体としてはしかるべきではないかと考えて、こういう立て方になっておるわけであります。
  42. 下平正一

    ○下平委員 そういう考え方に立つと、業績がたとえば上らなかった場合には、ほんとうに働き損ということになると思うのです。それでは今の業績賞与の内容というものはどういう性格のものかといえば、私はすべてが従事員の努力だということは考えないわけであります。経済の問題もありますし、いろいろな問題が加味されてきますけれども節約によって生じた金額、こういう面を見れば、これは大部分が職員の努力の積み重ねだと思うのです。この積み重ねのためには、日常の公務員の仕事より以上の仕事というものをやっているわけです。たとえば一番大きな石炭費を節約するために、一体現場の従事員はどれだけ努力しているかといえば、自分の勤務時間をさいて、あるいは早く出動をしてきて、石炭の投炭の工夫をするとか、いろいろの勉強をするとか、従事員あるいは鉄道の下部の機関の諸君というものは、それなりに相当の努力をしているのです。従って私は、業績手当が出せるような状態にしていくということは、職員の努力というものの積み重ねが大きいと思うのです。私は業績手当はくれるのが当りまえだというような極言はしませんけれども、ほんとうに自分たちの仕事以上の努力をして生み出した金ですから、これが公務員との比較の場合において当初から差をつけられてしまって、それだけやるのが当りまえだというような考え方に立つのは、これはおかしいと思う。公務員の諸君の労働の実態と国鉄の職員の労働の実態はどうかといえば、率直にいって、国鉄の職員の労働の方が激しいと思うのです。たとえば勤務時間を見てもそうであります。あるいは一つの間違いを起した場合を考えてみてごらんなさい。それが悪質な間違いならば、汚職だとかいろいろな問題でこれは司法上の手続を受けますから、制裁を受けますが、事務上のいろいろの間違いというものはほとんど制裁を受けない。ところが国鉄職員の間違いというものは、これは事務官がインク消しを使って消すとか、消しゴムを使って消すとかいうようなわけにはいかないポイント一つ間違って汽車が脱線すれば、直ちにそれが大きな責任事故になります。仕事の内容、あるいは勤務時間等々からいっても、決して私は公務員より劣っていないと思う。だから当然期末手当、勤勉手当は、予算面において同等の支給をしていただく、その上で従業員の努力、創意、工夫等によって生み出した金額は、それに応じて多少なりとも賞与をふやしてやるという考え方をとる方が私は妥当だと思うのですが、この労働の実態等々から考えて、どうお考えになっておりますか。
  43. 權田良彦

    ○權田政府委員 お答え申し上げます。それでありますから業績の上りました場合には、その一部を従業員に還元するという業績手当制度がございまして、経費を節減するとか、収入増加すれば、これは経費を節減した場合には、その一部が手当として戻って参るわけであります。石炭の節約などについては、御指摘の通り非常に国鉄の従業員諸君も努力をしてくれまして、これには業績手当でも報いておるようでありますし、また石炭の節約の報償金については、給与総額内ではございませんが、他の費目から報償金に出しておるように聞いております。今後段に仰せられましたいろいろな職務の内容、その量と質、これはもう御指摘の通りでありまして、こういうところは、そういう手当以外においても、あるいは給与の単価なりあるいはいろいろの手当なりにおいて、そういう独得なえらい事情も考慮して、いろいろ織り込んで査定してあるわけであります。
  44. 下平正一

    ○下平委員 給与の予算単価は公務員とどのくらい違っておりますからょっと御質問します。
  45. 權田良彦

    ○權田政府委員 私どもの今の調べでは、三十一年七月一日現在で、公務員と国鉄との給与を比較してみたのがあるのでありますが、公務員を一〇〇として、国鉄の職員は一〇三・八くらいになっております。
  46. 下平正一

    ○下平委員 そういう単純比較のことは大体わかっておるのですが、御承知のように給与というものはそういう単純比較では実際の正確なデータが出ないわけであります。給与の要素になっているところの構成人員あるいは家族数、勤続年数、こういうものが相対的にかみ合わされたもので、この給与の比較をされなければならぬわけであります。たとえてみれば、一般公務員と比べて勤続年数においてはおそらく私は五年くらい上回っておるのではないかと思うのです。家族構成人員においては、国鉄職員は律義者の子だくさんといって何か本に書いてありましたが、大体家族構成人員に一人はプラスされている、こういう形になっているわけであります。そういう賃金の実態、構成をしている内容まで立ち入って見れば、一〇〇対一〇三という数字ではとても——実態は国鉄従事員の方が安い、こういう勘定になってくると思うのです。そういう点について、これは鉄監局長の權田さんの方に資料がなければ、国鉄経理局長がお見えになっているので、お答えをいただいてもいいと思うのですが、そういう実質の比較をすれば決して高くなっていないのです。そういう点についての見解はどうでしょう。
  47. 權田良彦

    ○權田政府委員 私どもの方でも今お説のような、平均年令あるいはは平均勤続年数、所定内労働時間、あるいはは男女の構成比というようなものを調べたものがございます。今先生の御指摘のように、その間においては、あるいは三公社の間においても、あるいは一般公務員との間においても、それぞれおのずから異同がございます。これらの観点から見て、予算編成上といたしましては、私が先ほど申し上げました査定と申しますか、決定額は、今のところ当を得たものと私の方は思っておるわけでございます。
  48. 下平正一

    ○下平委員 これは一つ權田さんにも十分御認識をいただきたいと思うのですが、将来の査定の場合、この構成人員の問題とか家族の問題とか、特に勤務時間の問題、労働賃金の大きな要素になるのはやはり表面的には労働時間ということだと思いますが、一般公務員の労働時間、あるいは休みの時間を見ましても、太政官達でやっている官庁の一年間の休みと、現場従業員、現業官庁の休みは、たとえば年末年始等々も大きな開きがあるわけであります。そういう点がいろいろこまかに計算されていけば、一般単価上の一〇〇対一〇三ということは、明らかに公務員の方が実質的にいいという結論にどうしてもなるのです。家族構成が一人多いということだけをとってみても、どうしても計算上そうなる。この点はどうしても權田さんにお考えをいただきたいと思うのです。  もう一点は、労働の時間と同時に労働の質の問題でありますが、国鉄職員の労働の質の問題はあらゆる観点から私は相当ひどいと思うのです。実際現場でポイントを返す人、あるいは車掌にしろ機関士にしろ、一歩間違えば大きな人命、財産を失うのでありますから、しかもその間違いの指弾というものは激しいのです。紫雲丸の船長さんの奥さんが、いまだにうちを一歩も出ることができないというように、ものすごい社会的な指弾を受けるわけであります。よしそれが本人の完全過失でなくても、どうしてもそういう形になってしまう。しかもまた私たちが、きょうの委員会の一時が二時半とか、こういう国会時間とか、東京時間とか、大阪時間とか方々にありますけれども国鉄職員だけは一分一秒を争ってやるのです。たとえば普通の旅客列車でありましたならば、十分おくれれば始末書を取られる。貨物列車でありましても、三十分おくれれば始末書を取られる、こういう形でありますから、非常に厳格な勤務であります。たとえば私どもちょいちょい官庁等へお伺いしてみると、昼休みにはマージャンをやっているところもちょいちょい見受けますが、国鉄の現業機関はそういうことはない。それこそ四六時中精神を緊張し切ってやっております。ここに国鉄の労働組合が調べた現場の実態がありますが、徹夜勤務であります。だから眠くても仕方がない、眠ったら汽車が間違いを起すということで、仮眠防止訓というのがどこの現場にもあります。その代表的なものがここに書いてありますが、こういうことまで言っている。まず立て。立てという。特に高声的確なる喚呼をせよ。でかい声をしろ。それでもいけないなら手ぬぐいを冷水に浸して顔をふけ。それでもいけなければ国鉄体操、その場飛びを五十回行え。それでも眠かったら踏板を踏み鳴らせ。それでも眠かったら上着を取って胸部をぬらせ。それでも眠かったらうんとタバコを吸え。それでも眠かったら首筋をたたけ。それでも眠かったら何か物を持ってきて、かんでおれ。それでも眠かったらほおをつねっていろ。これは仮眠防止十訓というものなのです。これほど現場の人たちというものは、それは想像外の苦労をしているわけであります。そこでどうしても労働の質という点について、よほどこれはこちらの当局方々——これは国鉄の幹部の諸君ももちろんでありますが、監督行政を預かっている運輸省の皆さん方にも、よほどしっかりした内容の把握をしていただかなくては、公正妥当な賃金の割り出しということはできないと思うのですが、この質の点については一体どうお考えになりまするか。一般の公務員、朝九時に出てきて五時には帰る、昼休みには外部へ行って飯を食ってこれる。鉄道の現場の職員は、そんなことはほとんどできません。みんな手弁当であります。冬になれば弁当が冷たくなるから、仕方がないから、昼飯の三十分くらい前に水を差して、ストーブの上に置いて、もう一ぺんたき直して飯を食っているような職場と、昼休みでサイレンが鳴れば食堂へ行かれる、留守番に給仕を残しておけば苦にならぬ、こういう職場の実態と、質の点でどういう御判断をなさっているか。質の点についてどういう御理解を持っておられるか伺いたい。
  49. 權田良彦

    ○權田政府委員 私も実は昔経験を持っておりまするし、最近の実情についても十分資料等の報告も受けておりまするので、この量と質の内容については十分承知していると自分では思っております。
  50. 下平正一

    ○下平委員 これは水かけ論ですが、おそらく權田さんは本庁選考の大学学士だと思います。大体現場へ来て、三月ぐらいちょっと切符切りをやって助役になったというような、そんなケースで局長ぐらいまでは——違っていたらなんですが、もし現場を甘く見ていたら鉄道内容を知らないものと考えております。そこでこれは業績手当というものも加味してやるということになれば、一体業績手当のもとというものはどこべ求めてやるのですか。あるいは公務員並みに支給するという一応の目安というものは、どこからどういうふうに引っぱり出してお持ちになっているのですか、その点をちょっと伺いたい。
  51. 權田良彦

    ○權田政府委員 この点は先ほどお答え申し上げましたように、能率向上で収入予定より増加するか、または経費努力によって予定より節減した場合、この場合はおのおの金額がある程度現われて参りますので、この一部を従業員に手当として支給する。これは先生の方がよく御存じだと思いますが、三十一年度においても、また三十年度においても、二十九年度においても、在来業績手当というものは実績として支給せられておりまして、今までの実績は、少くとも一般公務員を全体として下回ったことはないのであります。三十二年度については、これは前回申し上げましたが相当の増収もございまするし、私どもとしてはこれの計算についても十分慎重に配意を加えたい、かようにただいまのところ考えておる次第であります。
  52. 下平正一

    ○下平委員 ことしの予算書を見ると、近代化その他の五カ年計画に最重点が置かれておりますので、増収等もかなりの線まで見込んであると思います。昨年の実績に比べて、たしか百五十数億の増収だと思います。だからそういう面から多額の給与の予算というものを、業績賞与という形で引っぱり出すことは非常に困難だと思う。私はそういう内容——労働の質とか、あるいは今申し上げた労働の時間等々がもし考慮をされるとするならば、給与総額の中で、当初から考慮をされていなければならないと思うのです。給与総額で考慮をされていないということになりますると、これはどのくらいの金額か質問いたしたいのでありますが、この前、行政管理庁が国鉄の経理に対して各種の勧告をいたしました。その中に出てきておる一項目に、従来経費の流用が行われてきておる。表現はこういうことで書いてあります。修繕費、動力費の大幅な流用、いわゆる修繕費、動力費を業務費、人件費に大幅に流用しておる、これがいけないのだという勧告が出ておりましたけれども、給与総額自体を大体そういった状況に合うような額にしておかないで、ぎりぎりに締めておくという、そういう形の中では勢いこれが出てくると思います。そういう関係は一体どうなっておりましょうか。
  53. 權田良彦

    ○權田政府委員 ただいまのお尋ねは昭和三十二年度の予算の見込みについてのお尋ねと了承いたしましてお答え申し上げますが、先ほど給与総額で御説明をいたしましたように、職員給についてはああいう考え方で積算してございまするが、その他の手当についても、これも前回超過勤務手当で申し上げましたように、たとえば超過勤務手当は百二十億七千万円何がしが三十二年度は計上してございますが、三十一年度は九十九億でございます。さようにいろいろな手当その他については、業務量増その他に見合うものを十分織り込んでおるつもりでございます。なお今お話の一つは、三十二年度の業績手当がどうなるであろうか、それがどこから出るであろうか、これはだいぶ先の話でありまして、三十二年度の年度末において処置せらるべきことでございますが、またあるいは収入の増なり、あるいは経費節約なりという業績が上って参りますれば、当然私どもの方としては考慮したいと存じます。行政管理庁その他の指摘いたしました修繕費の項目、これはいろいろないきさつがございまして、修繕費を決算主義でなく在来持って参りまして、従いまして大体この中から余りが出て参りまして、これを業務費なり人件費——と申すのは多分退職手当だろうと思いますが、退職手当は給与総額のワク外でございます。その方へ、現実に退職される方が多いために、退職手当でお支払いする等の財源に充当しておる。しかし本年度の予算では決算主義をとりまして、それに業務量増を査定し、そういう在来の実績から予定される経費は、たとえば退職手当の方は三十二度は三十一年度に比べて著しくふやしておりまするので、これらの在来の決算上におけるいろいろな修繕費の流用問題は物件費間の流用の問題でありまして、給与総額としては先ほど来御説明しておることによってまかなってきておるわけであります。
  54. 下平正一

    ○下平委員 次に角度を変えまして、昇給資金の点でありますが、四%の資金を確保してある、これが実際の国鉄の昇給に関する協定その他に引き直していくと、約八〇%の昇給資金だというふうにお伺いしましたけれども、聞くところによると国鉄の労働組合と国鉄当局との間に一〇〇%昇給というような話し合いができているというように聞いておりまするが、そういたしますとこの八〇%の昇給資金では非常に不足してくる、あるいはこれをやることによってまた不測の摩擦が起きると思うのですが、これらの点四%の昇給資金をはじき出した際に、そういう従来の国鉄の労働組合と国鉄当局との、あるいは協定になっているかどうか、そこまでは存じませんが、協定なりあるいは慣行なり、そういうようなものが十分考慮されていないような気がするのですが、その点はどうなんですか。
  55. 久保亀夫

    ○久保説明員 ただいまの御質問は来年度一〇〇%昇給を見ていないのはどういうわけかということかと思いますが、本年度一〇〇%昇給をいたしておりますのは、三十年度末の調停案を受諾いたしまして、それに伴って本年度一〇〇%昇給ということを実施いたしたわけでございまして、従来の形で参りますと大体八〇%前後の昇給資金というのが通常の状態でございまして大体通常の状態で予算を見込んだ、こういうことでございます。
  56. 下平正一

    ○下平委員 そうすると今年度は一〇〇%昇給ということは考えていないという意味ですか。
  57. 久保亀夫

    ○久保説明員 予算上は一応見ていない、こういうことでございます。
  58. 下平正一

    ○下平委員 予算上金がなければ正確にはどこから金を持ってきて一〇〇%やるか、こういうことになりますが、やりくりは当然三千億円の予算の中であろうと思いますけれども、それはそういう取りきめとかいろいろなものはやはり予算上に明確にするということがいいではないですか。えらいやりくりをするとかなんとかでなくて、労使間の取りきめたこと、慣行というものはやはり正式に予算上に盛って、そうして持っていくという行き方の方がいいように思うのですが、その点はどう思いますか。
  59. 久保亀夫

    ○久保説明員 その点は私どもといたしましては三十一年度につきましては、先ほど申し上げました三十年度末の調停案の受諾という考え方で、通常の処置ではないが、そういう線に沿ってやったわけでございまして、三十二年度につきましては正常な状態で昇給資金を考える、こういう予算措置をいたしたわけでございます。
  60. 下平正一

    ○下平委員 来年の問題で少しお伺いをしたいのでありますが、五カ年計画を遂行するためにはいかに合理化をするか、あるいは不要な職場の配置転換をするとか、いろいろな手が考えられていきますけれども、あの膨大な五カ年計画を実施するためには、たとえば列車キロの増加あるいは人キロ、トン・キロ等の増加率を見ましても、これは人間の面の手当もしなければとうてい消化し切れない、こういうふうに私どもは考えているわけであります。先日工事関係の予算については一千六十九億円の工事を確実に行うためにそれ相当な人員が必要だ、こういう点は井岡君が質問しておりましたので私は略しますが、工事関係を除いた一般営業面においても、御承知のように今年の予算定員を見ると一名もふえていない、一名もふえていないのは今年ばかりではない、二十九年あたりからほとんど予算人員というものをふやしていない、こういうことは私はどう考えてみても、多少の人員というものはふやさなければやっていけない、こういうふうに考えているのです。五カ年計画と要員の点について少し見解をお聞きしたいと思います。
  61. 權田良彦

    ○權田政府委員 五カ年間の収支の見通しと申しますか、これはほんとうの見通し計画でございますが、三十二年度については前会お答えいたしましたように四十四万七千七百何がしというもの総ワク内において、これが処理できるということを申し上げました。なお念のために申しますると、これは一般公務員の定員法とは違いまして、いわゆる定員ではございません。予算人員でありまして、これに予算単価をかけた給与総額のワク内でありまするから、新陳代謝あるいはその他によってこれは予算として押えておるわけであります。その意味において五カ年間の見通しで申し上げますると、大体経営費につきましても人件費につきましても年々ある程度の増額を見込みまして、これによって今三十二年度の考え方をもって、これが実施し得るという見通しを私どもとしてはつけておるわけでありまして、現在の見通しの状況で参りまするならば、要員の点についても十分配意が加えてある、こう私どもは申し上げられると思うのであります。
  62. 下平正一

    ○下平委員 今の權田さんの言う点は、結局予算単価で、予算人員という形で給与総額で押えられてしまいますので、やはり予算単価が上って給与総額がふえていかなければ、現実の人員を見るということはできないわけであります。実際問題として国鉄職員の在職年数というものは非常に長いわけであります。またああいう貴重な経験、非常に高度な勘とか熟練を必要とするところでありますので、長い方がいいわけであります。そこで新陳代謝が非常に少いのです。これは新陳代謝が激しくて、勤続年数が大体十五年か二十年というようなことでどんどん交換をされていけば、ある程度の操作はできるのですが、非常に新陳代謝が少い。そこで具体的に例を申し上げましても、たとえばディーゼル・カーを今年はかなり入れました。長野の宮澤運輸大臣の地元でもディーゼル・カーが入りました。ところがこれがどうにも運転できない。十月十五日には運転するという計画がどこでできなかったかといえば、ディーゼル・カーが六両入ることになりまして、そうして七往復から八往復ふえるわけであります。従来の列車密度は二十くらいでありますから二十七くらいになる。そういう列車密度になる場合にはここに要員が必要になってくる。たとえてみれば踏切番が必要になってくる。従来列車回数が少かったから踏切番が要らなかったが、踏切番もつけなければならぬ、あるいは転轍手もどうしてもつけなければならぬ。あるいは列車回数がふえて参りますから、閉塞区間を作って、従来は停車してお客の乗りおりするような臨時駅のような格好のところに持っていって、閉塞機をつけて配置しなければならぬ。配置すれば最小限度六人くらいの人間は要る。こういうことでせっかく近代化あるいはサービスということで動力車、ガソリンカーを入れてもらっても、人間の配置というものが一名もない。そこでとうとうこれがずっと二ヵ月も実施が延びた、こういう実情であります。今日現場において余っているところがあるかといえば、私たちの見るところではそう極端に余ったところはほとんどないと思うのです。業務の切り捨てとか、たとえば小口混載制度の変更とかいう形でやっていけば別でありますが、通常の形の中ではおそらく人間がなくて、どうにもならぬという実態であります。なおこれからディーゼル・カーは今年も相当両数入ってくるわけであります。あるいはまた新線もさようであります。これも私どもの地元でありますが、大糸線が全通をいたしますけれども、これに対しても所要人員は六人や七人は要ると思いますが、この人員配置も全然ない。これはおそらく生み出せないと思うのです。そういうところの犠牲というものはどこにいくかというと、やはり運転保安度の低下というところに持っていかれるわけであります。たとえば今度の五年計画等を見てみまと、転轍手の人にも車掌さん的に三駅くらい持たせるのですね。汽車がとまると先に行ってポイントを返して先にやり、あとから飛び乗って、先のポイントのところでまたやる。こういう点の保安度の低下の問題、それからもう一つはサービスの極端の低下の問題です。一人三職、四職という形を持たせる、こういう強度な労働がかかりますので、これはやはり予算単価であるし、予算人員であるから、その中で操作をせよと言ってもできない、新陳代謝がなくてできないので、どうしてもやはり予算上定員というものを認めてもらわなければならぬ。結局はこの五カ年計画の工事の完全な遂行もできないし、それによってもたらされるところのサービスなり輸送力増加という点についても相当な困難がある。この人員の増加という点は、そう極端に五万人増せとか十万人増せという問題じゃなくて、わずかな人間を増すだけでもノーマルな運営ができると思いますが、多少人間の増加をする、あるいは必要性がある、こういう御見解はないものでしょうか。
  63. 權田良彦

    ○權田政府委員 先ほど御説明いたしましたように、これは定員ではございませんので、給与総額のワク内においてこれを国鉄においていろいろうまく運用していってもらう。全体として判断をいたしますると、損益、工事、中間三勘定合せて四十四万七千何がしのものがある。これらのものにつきましては今のお説のように、一部々々においてはまた増員を必要とするものもございまするし、また反面管理部門あるいは間接部門の合理化、能率化あるいは作業の機械化、設備の改良、作業方式の改善というようなことも行い得る。ことに今回の五カ年計画で所期いたしまする、大約六千億の資金を投ずるごとによって近代化も行えるわけでありまして、これらによっては相当合理的な人員配置ができる。また新陳代謝につきましても、たとえば本年度は私ども正確な数字はまだ聞いておりませんが、数千人の新陳代謝があるわけでありまして、これらを織り込んで考えまするときには、全体の計画としては私どもは妥当なものであると考える次第であります。
  64. 下平正一

    ○下平委員 これは私つまびらかなことを存じませんけれども、去年の予算編成の際にも、現場を預かっている国鉄の幹部の皆さん方は、大蔵省や運輸省に対して多少人員の増加を要求した、こう聞いておりますが、ことしもやはり多少の定員を上げてもらわなければならぬ、こういう要求を国鉄の幹部の方からは相当強く大蔵省なり運輸省当局に要請をしている、こういう話を聞くわけであります。これは国鉄の実際の業務を預かっている人は、責任が持てかねるので、そういう要求は当然だと思いますが、そういう面が、たとえば超過勤務という形で少し余分に働らかせろ、余分に金のめんどうを見てやるという形で処理をされていくような傾向が出てきていると思います。これは経営の中からは、ある一面、人員をなるべく少くしていくということは必要かもしれませんが、私はどうしてもこの人間の足りない分を金でやらせる、あるいは超過勤務でやらせるような労務管理といいますか、営業方針というものは、特に国鉄が大切な人命、財産を預かっている限り非常にまずい方向だ、なるべくなら八時間労働という形の中でやらしていくという考え方の方が正しいと思うのですが、そういう点についてはどうなんですか。
  65. 權田良彦

    ○權田政府委員 お説ごもっともでございまするが、全体の予算の判断としての予算人員及び諸手当を含めた給与総額としては、私どもは先ほど来御説明したように考えており、またこれでできると思っておるのでございます。
  66. 下平正一

    ○下平委員 これは少し予算問題とはピントがはずれてきますけれども、給与の問題、定員等の問題になりましたので、最近の問題について二、三お伺いをいたしたいと思います。この前にも、たしか細田さんでありましたか、ちょっとお伺いをいたしましたけれども、賃金の問題あるいはその他の問題で調停、仲裁等の結論について、たとえば昭和二十九年度の結論あるいは昭和三十年度の結論、こういったものは今日までどういう形で具体的な処理がなされているか、この点をお伺いをいたしたいと思います。
  67. 權田良彦

    ○權田政府委員 お答え申し上げます。仲裁裁定の結果かと存じますので、そのことを御説明いたしますと、今日まで仲裁裁定が国鉄関係のそういう問題で出ましたのが四回ございます。その最初は二十四年の十二月に出ましたいわゆる仲裁一号裁定でございますが、これについては昇給資金増額などで実施をいたしました。次のがいわゆる仲裁三号裁定で、これは二十五年三月に出た仲裁でございますが、その内容は二十五年四月以降八千二百円というのでございます。これは二十五年八月から八千二百円実施をいたしております。その次が二十七年八月に出ました八号裁定と称せられるものでありますが、一万三千四百円、二十七年八月以降という裁定内容を、二十七年十一月から一万三千四百円実施をいたしている。最後のが二十八年十月に出ましたいわゆる十四号裁定、これは二十八年八月以降一万五千三百七十円という内容でございますが、これは二十九年一月から一万五千三百七十円実施をいたしているように承知しております。
  68. 下平正一

    ○下平委員 その後昭和二十九年、三十年、三十一年ですか、ずっと調停その他が出ておりますが、それらの処理状況は一体どうなっておりますか。
  69. 權田良彦

    ○權田政府委員 お答え申し上げます。今お示しのは調停ではないかと思いますので、調停は国鉄の労使双方間において協定妥結していたすものでありまして、私どもの方は関与していないわけでございますので、もし内容についてさらにお答えいたしますなら、国鉄の方から答えるべきだと存じます。
  70. 久保亀夫

    ○久保説明員 ただいまお示しになりました二十九年度の調停案及び三十年度の調停案、これにつきましては、二十九年は主たる点は基本給二百八十円の是正であったかと思いますが、これにつきましては実施いたしております。それから三十年度の調停案、昨年度末に出ました調停案は、御案内のように、ただいま問題になっております三十年度の賃金の確定の問題と、それからもう一つは一〇〇%昇給の問題でありますが、一〇〇%昇給につきましては二回にわたって調停案を受諾した線に沿うて実施しております。それからもう一つ、昨年度の調停案でもう一つの点は、一時金五千円であったかと思いますが、これは当時そのまま先ほどお話のありました業績手当という形で実施いたしております。
  71. 下平正一

    ○下平委員 そうすると二十九年度の二百八十円ないしは三十年度の調停の五百何十円は、当然給与総額の職員給として消化をされているというふうに了解してよろしいですか。
  72. 權田良彦

    ○權田政府委員 予算の問題といたしましては、国鉄が給与総額の総ワク内で処理しで参ったと承知しておりますので、個々の給与総額の単価の問題ではないと存じております。
  73. 森本靖

    ○森本委員 ちょっと関連して。先ほど同僚下平君の質問に対してお答えをしておったようでありますが、まず私はその前に聞いておきたいのですが、この給与総額が本年度一千百八億円、昨年度が一千五十一億円ということですが、そうするとこの人員の差というものは三十一年度と三十二年度と比べてどうなっておりますか。
  74. 權田良彦

    ○權田政府委員 給与総額の損益、工事、中間合せました人員は、三十一年度も三十二年度も変りございません。
  75. 森本靖

    ○森本委員 そうすると給与総額によるところの算定の人員の異動は、本年度は全然ないわけですね。
  76. 權田良彦

    ○權田政府委員 こまかく申し上げますと、勘定別の異動はございます。損益勘定は三十一年度の予算では三十七万三千九百十八人、それが三十二年度は三十七万五千四百一人、それから工事勘定では三十一年度は一万一千六百八十九人、この点は三十二年度も同様一万一千六百八十九人、それから中間勘定が三十一年度は六万二千百十八人、三十二年度は六万六百十八人であります。なお総数で十七人違いますのは、日本国有鉄道法の改正によりまして役員と職員とが分れて職員の給与総額に三十二年度はなくなりましたから、役員の十七人は給与総額でない方に予算が計上してございますので、実質的には人数には変りがありません。
  77. 森本靖

    ○森本委員 そうすると総人員においては変りがない、こういうことになりますね。
  78. 權田良彦

    ○權田政府委員 そうです。
  79. 森本靖

    ○森本委員 それともう一つお聞きしたいのですが、そうなって参りますと今度の賃金の場合は昨年度、本年度とはどうなっておるのですか。
  80. 權田良彦

    ○權田政府委員 これは先ほどお答えいたしましたが、給与総額の中には職員給とほかにいろいろな手当がございますが、その職員給に関する限りにおきましては、三十一年度の単価に三十二年度単価は四%のアップが見込んでございます。
  81. 森本靖

    ○森本委員 私の聞いているのは、その給与総額ということでなしに、国鉄のいわゆる臨時の賃金と申しますか、そういうところの項目はないのですか。
  82. 權田良彦

    ○權田政府委員 今御質問の趣旨は、たとえばその日その日の労務者、日雇いというようなものの賃金でございますか。——これは給与総額の方ではございません。これはその他の費目に入っております。
  83. 森本靖

    ○森本委員 ですから私はその他の費目に入っておっても、給与総額に入っておらぬということは初めからわかっておるわけですが、これの異動は三十一年度と三十二年度の場合どうなっておるかということです。
  84. 權田良彦

    ○權田政府委員 賃金については三十一年度と三十二年度と同額にいたして、経費の中に入れております。
  85. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、給与総額におけるところの総人員と、それから日雇い労務者における総額は、人員については三十一年度と三十二年度と全然変りがない、こういうことですね。
  86. 權田良彦

    ○權田政府委員 給与総額については予算人員というものがございますけれども、賃金については人員でなく金額でいたしておりますので、この金額において三十一年度が一億四千万何がしでございますが、本年度も同額の一億四千万何がしという金額を計上してある、こういうことでございます。
  87. 森本靖

    ○森本委員 それは金額は計上しておることは初めから私はわかっておるわけですよ。そうでない賃金を算定をする場合にはその賃金単価が幾らで、それから年に幾ら要るということの勘定によってこの賃金単価が出てくるはずです。だからそういうところの単価を勘定した場合の人員というものは変っていないだろう、こういうことを聞いているわけです。賃金の算定はそうなんでしょうが。
  88. 權田良彦

    ○權田政府委員 こまかいことでございますが、大体変っていない、さように私は承知しております。
  89. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、次に超過勤務手当でありますが、超過勤務手当は、先ほどの御答弁では十七億くらいでございましたか二十億でございましたか、その程度増加になっておるわけでありますが、それを総人員で割った場合には、大体月平均何時間の超勤の単価を算定しておるわけですか、予算積算として。
  90. 久保亀夫

    ○久保説明員 ただいまちょっと概数で申し上げますが、頭数に換算しますと七千人ないし八千人くらいの頭数になると思います。
  91. 森本靖

    ○森本委員 七千人、八千人とはどういう意味ですか。私の聞いておるのは、その超勤を予算として積算をする場合に平均何時間の超勤になり、平均給与において一時間単価が何ぼになって、そしてそれを全従業員に平均したら月何時間単価になるという勘定によってこれをどう出しておるか、こういうことなんです。それがわからぬと、どれだけ実際に人間が足らぬ、どれだけ人間が要るということはわかってこないわけです。  それはそれで調べてもらってあとで回答をしてもらうことにして、さらに質問しますが、次にここに出ております旅費でありますが、この旅費はどういう予算の積算の単価によって出ておりますか。昨年よりも約一三、四%ふえておるような感じでありますが、各勘定別に見ておりませんので、これはどういう積算根拠によって出しておりますか。
  92. 久保亀夫

    ○久保説明員 この旅費の増額のおもなものは、いわゆる職務旅費でございまして、列車回数の増加あるいは機関車の運転キロの増加ということで、機関車乗務員あるいは車掌等の乗務時間がふえるということを列車キロ数等から計算いたしまして、旅費の単価をかけたものでございまして、一般の旅費は来年度は増額いたしておりません。
  93. 森本靖

    ○森本委員 そうすると国鉄の異動における旅費——いわゆる人事異動による旅費はどういうようにこの中で組んでおられるわけですか。
  94. 久保亀夫

    ○久保説明員 ただいま取り調べて御説明いたします。
  95. 森本靖

    ○森本委員 超勤の予算単価はまだわかりませんか。
  96. 久保亀夫

    ○久保説明員 ただいま調べておりますから暫時……。
  97. 森本靖

    ○森本委員 それでは肝心のことがわかりませんので、給与の問題についてさらに私はお聞きしたいと思っておりましたが、話は横道にそれますけれども、あなたの方に責任がありますのでごかんべん願いたいと思います。  あなたの方で今度出資金として三億円を帝都高速度交通営団というのに出しておりますが、これは何か法的な根拠があって出すわけですか。
  98. 權田良彦

    ○權田政府委員 お答え申し上げます。これは前会お答え申し上げましたが、帝都高速度交通営団法によりまして、帝都高速度交通営団はその内容国鉄と東京都の出資だけということになりまして、年々国鉄から出資をし、これに見合います分を東京都から出資をして、それをもとにしてさらに借入金が出資額の十倍までできますので、それで借入金をいたしまして、地下鉄建設の促進に当っておる、こういうことでございます。
  99. 森本靖

    ○森本委員 それは法的に国鉄が出さなければならぬ、こういうことになっているわけですか。
  100. 權田良彦

    ○權田政府委員 さようでございまして、法律の規定に従ってやっておるわけであります。
  101. 森本靖

    ○森本委員 運輸大臣にちょっとお聞きしますが、そういう法律があってやるということならこれはやむを得ぬとしても、現在国鉄がこれだけ運賃値上げをしなければならぬ、それからよそからも借入金を持ってきてやらなければならぬ、こういうような国鉄の財政の折に、いかに少額の金であるとはいえ、こういうふうに別途に、今度は逆に国鉄が親分みたいな格好で出資をしなければならぬ、そういうようなことについて運輸大臣としてはどう考えますか。当然こういうものは国鉄というよりも、運輸省自体が出資をやるならやるという慣行にするのがほんとうじゃないでしょうか。
  102. 宮澤胤勇

    ○宮澤国務大臣 首都の交通整備という点から、運輸省とそれから地下鉄と一体の計画を立てまして、これはこの法律のできたときでない、最近に二十年計画が立ちましたがその前から東京都それから営団、国鉄、そのうちで国鉄が中心になって首都の交通の整備を進めておるわけでございます。国鉄も非常に莫大な金を投じて、今首都の電車の区間の整備を進めておりますが、その一環としての営団でございますから、国鉄がやはり東京都とともに、わずかな金でありますが出資して、それでやっておる、こういう建前でやっております。今突然のお話でしたか、その金を運輸省が持った方がいいじゃないかということになりますと、私今すぐにはお答えできませんけれども、それはもう少し考えさしていただきたいと思います。
  103. 森本靖

    ○森本委員 それは運輸大臣にもう少し考えてもらいたいと思います。  そこでまだ予算単価がわからぬということになりますと、次に行きます。次にお聞きしたいのは、同僚の委員からもいろいろ質問があったと思いますが、問題はやはりこの工事予算であります。これだけ工事予算が膨大になっておるにもかかわらず、人員も全然ふえておらない、こういうふうなことでございます。そこで本年の問題は別として、三十一年度における十二月までの各四半期ごとの工事別における発注それから契約、そういうもののパーセンテージを明示してもらいたい。そしてあと本年度の予算においてまだそういうもので完了しておらないものがどのぐらいあるか、それを、三十一年度の十二月までのものは明示ができると思いますが、第四・四半期については何ぼ残ってどういう予定である、そういうのを一つ提示願いたいと思います。
  104. 石井昭正

    ○石井説明員 ただいま御質問のありましたものはもちろん取り調べてありますが、ただいま手元にございませんので、資料として後ほど差し上げることにいたしたいと思います。
  105. 森本靖

    ○森本委員 私の質問が全部資料がないそうでありますので、一応同僚委員に質問を譲りまして、私の質問は本日のところはこれでやめます。
  106. 松原喜之次

    ○松原委員 給与の問題に関連いたしまして、ごく基本的な問題について一、二質問をしたいと存じます。  ただいまは三公社五現業の賃金ベース・アップの問題でもんでおるわけでありますが、この際伺っておきたいことは、そのうちの一つであるところの国鉄の賃金と一般公務員の賃金との間に、相当の較差があるということが問題になっておるわけでございます。ところがこの較差があるとかないとかいうことを比較するに当って、非常に簡単に単純平均金額をもって比べるような傾向があるのでありますが、私ども先ほど来鉄監局長の御答弁を聞いておりましても、あるいは同僚下平君の質問を聞いておりましても、国鉄における従業員の平均年令、あるいは平均勤務年数、あるいは男女の性別構成、あるいは家族構成等において、一般公務員と差があるに違いないと思われるのみならず、さらに労働の質と量とについてもやはり較差があるように見受けられるのであります。しかるに一面においては単純平均の比較でもってかれこれと言われておるようでありますが、国鉄当局とされましては、一般公務員の賃金ベースと国鉄の賃金ベースとの間に妥当な比率が実現しておるかどうか、こういう点についての御所見を伺いたいと思うのであります。
  107. 權田良彦

    ○權田政府委員 先ほど申し上げました私の承知いたしておりますいろいろ平均年令、勤続年数、労働時間、男女の比は単純平均ではございませんので、加重平均してございます。一部いろいろ新聞等に出ております資料にはサンプリング。メソッドと申しますか、単に一定のものを抽出して、これとの比較の数字もあるようでございますが、これらは私としては、いきさか資料としてはもう少し深く研究を要するのじゃないかと思う。私が承知いたします数字は加重平均で申し上げております。私といたしましても、ただいまお話がございましたことにはまことに同感でございまして、これは三公社の間においてもあるいは五現業の間においても、あるいは一般公務員との間においても、また民間従業員との間においても、適当な較差があってしかるべきものと考えております。ただそれが一体何%がいいかということは、実はいろいろ戦前からの数字も持っておりますけれども昭和十一年ごろの数字であるとか、昭和二十三年の数字であるとか、二十九年の数字であるとか、また最近の——さっき申し上げたのは三十一年七月一日の数字でございますが、これをどう考えるか。先ほど申し上げました三十一年七月一日は一〇〇の一〇三・八、昭和十一年ぐらいの数字になりますと一〇四・八というような数字も出て参ります。これらはいろいろと今後ともにさらに検討をいたすべき重大な問題だと思いますので、これが一体数字で幾らがいいかということは、今にわかに申し上げることはまだできませんけれども、ある程度の較差と申しますか、均衡はあってしかるべきじゃないか。国鉄法の二十八条二項の精神等もそこにあるかと考えておるのであります。
  108. 松原喜之次

    ○松原委員 そこで一〇〇対一〇三というその比率が、果して合理的に科学的にそれが正しいという結論は出せないけれども、概していえばそんな較差があっていいのではないか、こういう考え方に立っておられる。従って今日一般公務員と国鉄従業員との間の給与の較差というものは、必ずしもそう較差があってはならない、これは多過ぎる、こういう結論にもならないという御所見でございますか、重ねて御答弁願いたい。
  109. 權田良彦

    ○權田政府委員 それは先ほど申し上げましたように、今にわかに数字で幾らがいいかということは申し上げかねますけれども、私といたしましては、当然ある程度の較差はあってしかるべきものである、また先ほど業績手当等で御説明いたしました公共企業体であるというところからも、それがしかるべきじゃないかと私は考えております。
  110. 松原喜之次

    ○松原委員 そこで宮澤運輸大臣にお伺いしたいのでありますが、大蔵省当局においては、今度の調停案に対して承服しがたい唯一最大の理由といたしまして、この較差がある、従ってこの較差のある国鉄従業員の給与をこの際調停案のごとく引き上げることは、この較差をますます大きくするから困る、従ってこの較差について、調停委員会が果して考慮したものかどうかという点について、われわれは承服できない、こういう理論に立っておるようでございますが、ただいま大臣お聞きの通り、事務当局においてはこれぐらいの較差は、これは結論的に正確に言えないにしても、あってしかるべきだ、こう考えており、下平君の意見を聞いておりますと、もっと較差があってしかるべきだという結論になるようでございます。大蔵省とはその点で非常に立場が違うと思うのでありますが、一つ宮澤運輸大臣は、今回の調停案をめぐる問題、続いてこの裁定の問題について、運輸省といたしましては、そんな較差は問題ではないのだということを大蔵大臣にしっかりと一つ申入れして、そういう誤まれる大蔵省の考えを是正しようという御決意があるかどうかを伺いたいのであります。
  111. 宮澤胤勇

    ○宮澤国務大臣 大蔵省の個々の人がどういうことを言っておるか知りませんが、政府といたしましては、今度の公務員の給与改訂は、全体から見て、ほかの方は上ってきておるが、公務員だけ上げてなかったからして、これだけのものは上げよう、こういっただけのことであります。それを上げた結果、今度は他の方面とこまかく見合っていかなければならぬと思います。私はただいま政府委員の言った通り、国鉄職員の職務並びに仕事のありさまから見て、他の公務員より幾らか高くていい、こういうようには考えております。また今度の調停案につきましても、政府といたしましては、まだ国鉄当局者の態度に一応まかせてある。これは当然のことであります。しかし究極において、これは仲裁にきょう持ち込まれました。仲裁の結果は尊重する、こういう点はもうはっきり考えておりますので、その線についてはただいまの応答の上に現われたところと私どもの考えとそんなに隔たりはないように考えます。
  112. 松原喜之次

    ○松原委員 ところが現に本日大蔵委員会で、私はその質疑応答を聞いておったのであります。ところが、もちろん言葉に出してはっきりとは、大臣は言われませんけれども、事務当局の方は、この較差を大きな問題にいたしておるわけであります。こういう較差がある際にということが、この調停案をのまないところの一つの大きな理由である、こういうことが伺われる答弁があったわけでありまして、従いまして大蔵大臣は、事務当局のその意向というものを相当に尊重して、今日の春闘に対する政府としての対処策の態度に非常に大きな影響があるような心持を持つことを、私どもは見受けたのであります。そこで運輸大臣としては、それは間違いである、較差があるのは当りまえなんだ、だから較差は気にしないでこの調停案に対処したらよかったのだし、これは過ぎたことであるならば、今度は裁定案に対しては、較差があるのは当然であるという立場に立って、この裁定に対処すべきであるということを、一つ強力に運輸大臣としては主張していただきたい。このことをお伺いしておるのであって、これに対する御意見一つ聞かしていただきたいのであります。
  113. 宮澤胤勇

    ○宮澤国務大臣 政府部内のいろいろな意見が出てくることもありましょうけれども、最終的には政府において決定します。そうして国鉄当局者を経て、政府の窓口は私でございますから、私においてそういうふうに、自分の考えによってこれを処理していきたい、こう考えております。
  114. 松原喜之次

    ○松原委員 重ねてもう一度あなたに情勢を知っていただきたいと思うのでありますが、きょう多分仲裁裁定の方へ持ち込むと思うのでありますけれども、果して仲裁裁定がなされた際に、それを尊重して——言葉は尊重してということはまさに言うておられますけれども、これをほんとうにそのまま実施するかどうかについて、政府として相当の決意を固めなければ、春闘のピリオドは打てないという情勢であるのであります。そういう際に政府として、おそらく鈴木、岸会談においてもこういうことが問題になるのでありましょうけれども、その際に政府として対処せられる態度、その心がまえとして、この較差があることが不都合なんだという心持で対処するのと、いや、あってもいいのだという心がまえで対処するのとは非常に違うのでありますので、この裁定が出てから運輸省は窓口としてこの問題を解決するのだというのでなくして、きょうあすにそれらの問題についての重要な政府の態度の決定があると私は思うのでありますので、その点は一つ抜かりなく、宮澤運輸大臣において、政府に正しい態度をとらせるように、力を添えていただくのがいいのではないか。こういう立場から、あなたの御所見を伺っておるわけでございます。
  115. 宮澤胤勇

    ○宮澤国務大臣 松原さんの御趣意を体しましてやるつもりであります。
  116. 淵上房太郎

    淵上委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十九分散会