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1957-03-13 第26回国会 衆議院 運輸委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月十三日(水曜日)     午前十一時一分開議  出席委員    委員長 淵上房太郎君    理事 今松 治郎君 理事 木村 俊夫君    理事 畠山 鶴吉君 理事 山本 友一君    理事 井岡 大治君 理事 松尾トシ子君       有田 喜一君    伊藤 郷一君       佐伯 宗義君    關谷 勝利君       中嶋 太郎君    永山 忠則君       濱野 清吾君    小山  亮君       下平 正一君    楯 兼次郎君       中居英太郎君    正木  清君       松原喜之次君    山口丈太郎君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 宮澤 胤勇君  出席政府委員         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      權田 良彦君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  細田 吉藏君  委員外出席者         日本国有鉄道総         裁       十河 信二君         日本国有鉄道副         総裁      小倉 俊夫君         日本国有鉄道常         務理事     小林 重国君         日本国有鉄道常         務理事     吾孫子 豊君         日本国有鉄道常         務理事     石井 昭正君         日本国有鉄道参         与         (営業局長)  磯崎  叡君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 三月十三日  委員楯次郎君辞任につき、その補欠として松  岡駒吉君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案(内閣  提出第五三号)     —————————————
  2. 淵上房太郎

    淵上委員長 ただいまより委員会を開会いたします。  この際お諮りいたします。本委員会において審議いたしております国有鉄道運賃法案はきわめて重要な法案でありますので、この際参考人を招致し、意見を聴取して審議参考にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 淵上房太郎

    淵上委員長 それではさように決定いたします。  なお十五日午前十時より参考人のおいでをいただきたいと存じまするが、その人選、人数等に関しましては委員長に御一任いただきたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 淵上房太郎

    淵上委員長 それではさよう決定いたします。  この際、国鉄総裁から発言を求められております。これを許します。十河国鉄総裁
  5. 十河信二

    十河説明員 私は国鉄総裁といたしまして、国鉄経営に関しましては総合的な責務を負うておる者であります。従って一面においては部下職員を統率いたしまして秩序を保持し、職員がみんな満足して愉快に働けるようにすることが私の任務であります。また他面におきまして経営者労働組合とは互いに協力して、車の両輪のごとく一体となって国鉄経営を円満ならしめるものでなければならぬと思います。私はこの趣旨で極力努力いたして参りましたが、不幸にして事志と違って、不幸な事態を引き起しまして、皆さん方に多大の御心配をかけ、御迷惑をかけたことは、まことに申しわけなく存じております。この上は事態収拾に渾身の努力を傾けまして、皆さん方にできるだけ御心配と御迷惑をかけないように、この上とも努力いたすつもりでおります。またこの事態収拾いたしますにつきまして、兼松職員局長経営者の側に立って組合側交渉の第一線に立ちまして、日夜折衝いたしましたため、疲労こんぱいいたしまして、また少々興奮もいたしておりました際に、新聞記者の方と会見が行われまして、その際つい不適当な放言をいたしましたことは、まことに申しわけなく恐縮に存じております。私は常々職員を家族同様に考えておるのであります。今後一そう私のこの心持が徹底いたしますように努力いたす考えであります。何とぞ御了承を願いたいと存じます。私は一昨夜も事態収拾のために明け方まで徹宵いたしまして、少々へこたれまして昨日国会に登院することができませんでした。その際当委員会におきまして皆さんからいろいろと御注意をいただいたと承わりまして、まことに恐縮に存じております。つきましてはお答えかたがた一言おわびを申し上げる次第であります。     —————————————
  6. 淵上房太郎

    淵上委員長 次に、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題として質疑を続行いたします。通告により松尾トシ子君。
  7. 松尾トシ子

    松尾委員 私は運輸委員会にかわって参りましてから、まだ日がたちませんので、今回の質問をするに当って用語などを取り違えてお聞き苦しいところがあるかもしれませんけれども専門家皆さんによろしく御理解を願いながら御答弁をお願いいたします。  国鉄運賃値上げというものは、各層にわたって反対をしていると思うのです。運賃はできるだけ安いのが皆さんの望むところでありますし、また昭和二十三年の七月以来運賃値上げは六、七回にわたって行われまして、そのつど理由をつけてございますが、さて値上げ実施を行なった暁にも、依然として殺人的電車が走っている。そうして輸送の回復も遅々として進まない。昨今に至りましては、滞貨はますます増強するばかりである。これは政府も予想しなかった産業の伸びで、神武以来の景気に押し流されて、今日の状態を来たしているという御説明を願っておりますけれども、そればかりでなく、運輸交通全般にわたって絶えず御研究を重ねて、これらを防止していくのがほんとうであったと私は思います。運賃値上げというものは、日本経済並びに国民生活に基本的に大きな影響を与えるものでありますから、この際大衆反対がありますので、あらゆる方策を講じてこれを防止して、運賃値上げをしないでやっていかれるような方法がありはしないかということをまず研究しなくてはならないと私は思うのです。特に国鉄運営、経理の面においては、一般大衆はそのずうたいがあまりに大きいために、ここがという急所をつくことができないほど了承できないような感じを受けているので、この点まず値上げを主張する前に明らかにしなくては納得できないのじゃないのかという建前から、私は御質問を申し上げたいわけです。一体私が他の人に聞きましたり、研究しましたりしている中で知り得ましたことは、運賃において客車は大体総体的に黒字だ、貨物は赤だというふうに聞いております。しかもその内訳は、客車といえども全線がもうかっておるものではなく、一等、二等は全く赤で、そうして三等の殺人電車に乗っている人だけが黒で、一生懸命かせいでいるという状態であります。地域的に申しますと、大阪とか東京を中心にした七〇%の乗客によってもうけているとも言えるわけであります。貨物なんというのは、等級別を見ましてもまことに政治運賃になっておりまして、これを徹底的に改正していかない限りは、原価を割るものばかりではないかというふうに見られているわけです。その内容は、原価を割っているのが三六%で、原価とんとんが三〇%で、そのあとの三四%がもうけているというような状態ですから、こういう点から考えて、私はどうしても採算の合わない、非採算の線を整理していくのが一番いいのじゃないか、こういうふうに考えているのです。こんな点を考えないで、ただ運賃値上げによってバランスをとっていこうという目標は、まことに安易な方法ではないかというふうに考えますので、この点政府としては、今後、二百七十七本あるうちわずかに十一本が黒で、あとがみんな赤であるというようなときに当って、今日飛行機自動車その他の交通が盛んになりつつある世界情勢から見ましても、日本も依然として鉄道電車が通ったころの時代と違って、これらを改廃していくのがほんとうでないか。しかも改廃しても公共性というものからしますれば、全然交通機関をとめてしまうということではなくして、道路をよくして、そこにトラックなりあるいは自動車なりを通して、交通の便益をはかるという方法にした方が、大きな資金を投資して路線を張るよりいいのではないか、現実に都市中心電車も、路面電車というものは赤字になっていて、これらをどうして収拾していこうかというところまで追い込まれている事実を見ましても、日本鉄道というものは、この点にどういう考えをお持ちになっているか、大臣から一つお聞かせ願いたい。
  8. 宮澤胤勇

    宮澤国務大臣 お答えいたします。御質問の前段の概括的なお話は、お話通りだと思います。国鉄運賃はできるだけ安くしていかなければならぬ、これはお話通りでありまして、その趣旨にのっとって、現在も国鉄運賃は他の輸送機関に比べて非常に安くなっておる。ですから、その点はお話通りであると思うのであります。また今回の値上げにつきましても、値上げの前にもっと合理化を初め経営の面から費用が出てくるのではないか、この点ももとより今日まで国鉄経営合理化調査会その他を設けまして、また世論から申しましても、国鉄運賃を軽々しく値上げしてならないというので、この一両年も、国鉄当局としては値上げをしたいという意向が強かったのでありますけれども世論に押されて今日まで値上げもできないで、そして合理化の一点張りで経営をやってきました。ところがその赤字がだんだん累積をいたしまして、ただいまお話がありましたが、客車貨物両方、やはり三十年度の決算で見ますと、赤字になっております。両方とも赤字になっております。ただ割合がやや客車の方が歩がいいというだけで、赤字になっております。今度三十二年度からの値上げ後の計画におきましては、客車貨物もちょうどペイするような形に持ってきておりますが、今までは赤字であります。従って今度の値上げにつきまして、今日まで——お話のもっと総合的に輸送のことを考えたらいいじゃないか、今ごろ経済拡大するからといって、あわてるということは何事だというおしかりもごもっともお話であります。これもやはり今日まで国鉄当局並びに関係者のやったことはすべて完全で、全く余すところないようにやっておるのだとまでは申し上げませんけれども、まあそのときどきできるだけのことはやってきたわけであります、しかしやはり予想以外の経済の拡大というものも出てきて、しかもこれが一年とか二年ではない、世界情勢から今後長く続く——これはけっこうなことでありますが、続くという見通しに立ちますと、どうしても根本的な対策を立てなければならぬ、こういうわけで、国鉄運賃値上げもそのうちの費用の一部を負担していただく、こういう意味において値上げをしたわけであります。  次に鉄道赤線黒線の問題でありますが、これは一応御意見はごもっともであります。ことにまた今日の交通機関の上から、レールを敷いた鉄道によるよりも、トラックバスを初めその他飛行機というような輸送機関を総合的に考えたらいい。この点はごもっともで、今までは、そうは口には言っておりませんが、総合的に考えて、実施するまでを、いろいろなところでやってはおりまするけれども、少くとも根本的に一つの新しい計画を立てなければならぬという時期には、もうなってきておると思いますので、その点については御注意により、また世論もそこにありますので、これから一つ陸上輸送について、国鉄中心として、そういう点に一つ新しい構想を立てていきたい、かように考えております。  それから次に次に新線の問題ですが、新線はできるだけは避けて、バストラックその他の自動車輸送と連絡をしていく、この問題でありますが、しかしただ鉄道もやはり貨車に積んだままずっと通らなければならぬ。それから幹線幹線との間を結んでいくということもやらなければならぬ。日本のような国土の狭小なところは、たとえば農業におきましても、非常に集約的な農業をやって、日本はようやく維持しておる。輸送機関においても、狭い国土を生かすためには、あらゆる交通機関の網を張っていかなければ、今後の一億の人口を養う交通輸送任務を全うすることはできないのじゃないか。その意味において、テンポは違うとしても、赤線であるからといって排撃しないで、やはり全土に鉄道の網も張っていかなければならぬのじゃないか。黒線があると申しますが、黒線黒線自体黒線になるのではないと私は思う。赤線が四方にあって、それの網があるから、まん中主要線が黒になっているので、赤線がなくなってしまえば、この黒線というものも、そんなはこんな大きな負担力を持つ黒線にはなり得ない、こういうように考えられるわけで、やはり総合的に赤線黒線を総合して、日本国鉄任務を果させるということにいかなければ、私企業ならば赤線は捨ててしまって、黒のそろばんだけやっていくけれども、そうではない。これは公共性のあるものですから、赤線のある部分の荷物も人間も集めてきて、このまん中黒線を作るということになっているのだろうと思いますので、そういう意味から、これはやはり単純に赤線だからと経営だけで、私企業経営ならばそろばんに合わないものはやめしてまうけれども、ここに国鉄の使命というものがあるのじゃないか、かように考えておりますけれども、しかし今のお話の御趣旨はごもっともでありますから、そういう線に沿ってはこの仕事をやっていかなければならぬ、かように考えております。
  9. 松尾トシ子

    松尾委員 私もそういう点をよく心得た上で質問をしたつもりなんです。それでは一歩譲りまして、今度の新しい三十二年度以後の第一次五カ年計画ですか、これを実施した暁には、今まで非採算的路線であったところの赤を里に転換する御自信があるかどうか、この点をお伺いしておきます。
  10. 宮澤胤勇

    宮澤国務大臣 この赤線のところが端からみんな五年後には黒になるかというと、なかなかそうはいかないと思います。それはいかないと思いますが、国鉄全体として、今の二百数十億の赤字というものは消えていく、こういうように考えております。
  11. 松尾トシ子

    松尾委員 まだ私はぼつぼつと考え出しながら、あえて一番やさしい値上げでもってつじつまを合せなくてもいいのじゃないかという点をお聞きしたいと思います。  さっきもちょっと触れましたけれども、赤をなくすのにはどうしても今おやりになっている貨物運賃等級制度を徹底的に改正をして、今日の原価に合せるようにしなくてはだめだというような気持を持っておりますが、この点一つお聞かせ願いたい。  それから公聴会ですかのときに、石井常務もこの問題はやるべきであるけれども、おそらく大問題になろうと思うから将来に譲りたいと言っておられます。こういうことを承知しながらなぜ今度おやりにならなかったかを承わりたい。
  12. 宮澤胤勇

    宮澤国務大臣 その点は政府委員からお答えいたします。
  13. 權田良彦

    ○權田政府委員 お答え申し上げます。御承知の通り等級制度というものは、その貨物の持っております経済的価値と申しますか、価格並びに運送原価との見合いで深甚な考慮を払わなければならないものでありますが、昭和二十八年に全面的な改正をいたしたわけであります。自来三、四年たっておりますので、その間において著しく不合理の出ております個々のものについては、今回若干の修正を加えておりますが、再び全面的な改正をするかどうか、私どもといたしましてはその後の経済伸びあるいはいろいろな物資経済界に占める地位の変動、あるいはその価格の問題、経済価値の問題、運送原価についての配慮問題等もございますので、これは引き続きまして近い将来において再び根本的に再検討を加えてしかるべきであると存じておりますが、これの再検討に当りましては各界の広くかつ深い御意見をとる必要もございますので、将来においては国鉄に適当な機構を設けしめまして、これの再検討に当りたいと存じております。
  14. 松尾トシ子

    松尾委員 将来適当な時期において一つ委員会を設けて深く検討をさせたいというようなことをおっしゃっておりますけれども公聴会の記録を見ますと、結局二十八年に改正を行なったとき、それがどうも政治的であってうまくいかなかったという批判をされている方があるのですけれども、二十八年と今日とそんなに違わないと思うのです。ですからこの二十八年のときのいきさつをお話しいただきたいと思います。
  15. 權田良彦

    ○權田政府委員 昭和二十八年に全面的な改正をいたしましたときには——これのこまかいことは省略さしていただきますが、主要な点は、在来等級貨物に対する割り振り方が、負担力と申しますか、価格にのみ重点を置きまして、比較的に運送原価についての配慮がなされておらなかったのであります。元来貨物等級制度は、先ほど申し上げましたような諸般の事情を考慮して合理的にいたすべきものでありますので、この機会等級審議会の結論に基きまして、これを一歩原価主義に近づけて合理化をはかったのであります。従いまして制度そのものとしては非常に合理的になったのでありますが、その半面従来において等級の低かったものが勢い原価主義に近づきましたので、値上りの幅が大きくなったのであります。大きくなったもののうち、一般社会生活に特につながりの多い物資で、その影響の著しいものについて急激な変化を与えますることは、経済界にいろいろな支障も来たしますので、公共的な意味調整を行いまして、ここに特別等級並びに特別割引というような公共政策を加味するという措置をとって、今日に至って調整を加えたものであります。従いましてただいま申し上げましたように、根本的に再検討するということは、将来において再び広くかつ深い検討を加えないといけないと存じまするが、今回の運賃改正機会においては、二十八年から今日までの時間的経過において不合理の生じましたもの若干について、これを合理化した制度改正は加味しておるのでありますが、根本的な点についてはさらに将来検討を加えさせたい。今御指摘のような、当時はむしろ合理化に近づけたのでありまして、その調整策として今言った措置を講じたので、当時の根本的な改正は、非常に政策的といいますか何といいますか、それによって不合理な方向へ行ったのとは逆なんであります。さような経過でございます。
  16. 松尾トシ子

    松尾委員 それから数年たっておりますが、今日また新しい運賃値上げを提唱しているのですから、その点を大いに明らかにした上の方が、かえって国民不明朗感を幾らかでも緩和できるように思われるのです。それまでお待ちになった方がいいのじゃないかというような気が私はするのです。そういう点で一つ改正を行いまして国鉄の売り上げを増していただけば、運賃改正をしなくても済むのではないか、こういうふうに考えることをつけ加えておきます。  それからまだそのほかにも多々ございます。国鉄旧債を大へん大きくかかえ込んでおられる。ただし政府から資産をもらっているのだから、こういうふうにおっしゃれればそれまでですけれど……。これは戦前の旧債だと思うのですが、これに対する利子を相当お払いになっているのではないか。こんな面も運賃値上げをしなくてはならない一つ理由になりはしないかと思うのですが、旧債はどのくらいあるのですか。それからまた三十二年度に予測されました利子払いの中にどのくらい含まれているのかをお知らせ願いたい。
  17. 權田良彦

    ○權田政府委員 お答え申し上げます。概数で申し上げますが、ただいま国鉄が背負っております負債と申しますか、外部資金累積額大約二千億でございます。そのうち御案内のようにいわゆる政府鉄道から公共企業体にかわりました際に、それまで政府からの貸付といいますか、負債大約六百五十億くらいかと存じます。従いましてそれ以外のものは民間債と申しますか、公募債でございまして、これはいろいろの諸設備資金その他に充当されて、これはそれぞれの発行条件によって利子を負担しております。それから政府からいっております負債につきましても、政府利子がついているものがほとんど大部分でございまして、つかないものはごくわずかだと思いますが、そういった状況が今の負債に対する概況でございます。
  18. 松尾トシ子

    松尾委員 私の立場から申しますと——旧債なんかの利子あるいは元利償還の問題は、別途の方法政府が責任をとるような御交渉をなさったことがございますでしょうか。
  19. 權田良彦

    ○權田政府委員 ただいまは概数で申し上げましたが、ここに数字がございましたからもう一ぺん正確な数字で申し上げます。  国鉄長期負債昭和三十年度末で総額千六百九十六億でございます。これに三十一年度の債務が加わりますと約二千億になりますが、その千六百九十六億の内訳でございます。一般会計で五百八十五億、資金運用部で八百十三億、鉄道債券で二百九十八億、これに三十一年度分を加えましたのが先ほど申した概数になるわけですが、これらの長期債に対する支払い利子は、先ほど申し上げましたように大部分払っておりますが、三十年度で九十七億でございます。これは年々外部資金もふえて参りますので、御指摘通りに逐年累加の一途をたどることに相なります。この中でも資金運用部あるいは鉄道債券、これは当然利子を支払うべきものでございまして、これらについては当然また原価でございまするし、今回の一割三分程度の値上げをいたしましてやっていきます場合には、将来の見通しにおいても十分利子は払えるわけでございます。御指摘の点は、一般会計から出した分については政府の方で負けてやらぬか、こういう御趣旨かと存じますが、現在のところではやはり債務になっておりますので、原価として扱っておりますので経費で支払うべきものである。この分は原価としては毎々御説明申し上げましたように、今回の改正によっては支払い可能となるわけであります。しかしそれ以外に、少し行き過ぎかと存じまするけれども、実は新線建設なんかの金もこの中に入っておるわけでありまして、これらについては政府出資ですべきである、あるいは政府出資ができないならば、何らか利子の補給をも考慮すべきであるということは、当委員会においても御指摘をいただいておりますが、また建設審議会においても数回にわたって建議をいただいておる、この点については私ども運輸省といたしましては、そのしかるべきゆえんがあると存じまするので、これをどういう具体的な内容にいたしますか検討中でありますが、事務的にはこれの実現を目ざして努力しておりますが、在来は公式の妥結といいますか、予算編成に当って毎年議論を繰り返しておりまするけれども、まだ政府としてはそこまで決定をしていない。運輸省としてはこれを希望して、目下鋭意作業及び検討努力中である、こういう段階でございます。
  20. 松尾トシ子

    松尾委員 その点はわかりましたが、今回の五カ年計画工事その他をあげていらっしゃるように実施ができるかどうかということも、ちょっと私は不安に思っておるのです。というのは、今のお話から引き続きまして、この旧債支払いの期間がやがて来るであろうというものに、三十二年度に三百十億円、三十五年度に四百三十五億円あると聞いております。利子国鉄運営に相当のガンになるところに持ってきて、旧債償還期が近づいている、こういうような時期に当って運賃改正をやっても、実際の新しい再建の工事ができなくて、そっちの方に使われてしまったのでは何もならない、こういうような考えも持つわけですが、この点はどういうふうに御整理なさる見通しを持っていらっしゃるか。
  21. 權田良彦

    ○權田政府委員 そういう長期負債利子に関しましては、先ほど御説明いたしました通り、これは年々の原価として経費の中に織り込んでございまして、十分御心配、御懸念のないように支弁できるようになっております。それからもう一つの元本の返還につきましては、借入金等返還として、計画数字をあげておりますが、さっき申しました一般政府債については、今回も、法律改正が目下国会で御審議中でありますが、年々五億ずつくらい返せる、それからその他についても約六百億足らず、五百何億になりますが、これについても二十億程度のものは返せる、こういうめどがついております。それからその他の鉄道公債の分につきましては、これは大体現在の状況が推移いたしますれば、一部は借りかえをいたしまして、一部はこれが償還可能である。従いまして今の約二千億に上る負債利子及び元本の償還のために、設備資金の方へ回す金が食われてしまうということはないように計画いたしてございます。
  22. 松尾トシ子

    松尾委員 引き続いて資金の問題が出ましたからちょいと伺いますが、予算説明を見ますと、ことしは損益勘定から八百二十八億円を受け入れて、また資金運用部から八十億円を、そうして鉄道債券発行二百三十五億円、工事費にそのうちの千六十九億円を回すと書いてありますが、その二百三十五億円という外部資金国鉄債券というものは、今日の経済がいいから消化できると政府はおっしゃるのでしょうが、こういったような歩率の悪いものが市中で消化できるという御自信がおありであるかどうか、もしこれが実施できないとすると工事に差しつかえるし、こういう不安定なものでは再建はできない。ただこれは予算の文字の上の現われだけであって、実績は現われないと思いますが、いかがですか。
  23. 權田良彦

    ○權田政府委員 御指摘のように、外部から借り入れます三十二年度の予定額は二百三十五億でございまして、そのうちの二十億は利用債と申しまして、都市計画等の必要に基いて、いろいろな改良工事を行いますときに利用債を持っていただいて工事をする。この消化については、もう在来とも、むしろもっとこれをふやしてくれという御希望があるほどでございまして、御懸念なく、足りないくらい十分消化しております。それから二百十五億のいわゆる鉄道公募債でございますが、この点につきましては、最近の実績からいたしますと、これの消化能力については十分可能でございます。この点については金融界その他の御意見等も私ども聴取をいたしましたけれども、これの消化は十分できると存じます。
  24. 松尾トシ子

    松尾委員 どうも政府答弁としては消化ができないでは話が始まりませんから、そういう結果になろうかと思いますので、その点実施をしてからの暁に、またこれがうまくいかなかったときに質問させていただくことにいたします。  次にお尋ねいたしたいのは、経営調査会の方では運賃値上げ賛成の答申をいたしておりますけれども政府部内の行政管理庁ですか、あそこでは大体現状におきましては、国鉄運賃値上げをしないで内容をよくしていけるという言葉を吐いておるように記憶をしております。それからもう一つ国鉄の組合も運賃値上げには反対をしております。考えますと、この三者というものは、私のようにただ汽車へ乗るということだけでなしに、専門家的存在なのです。この専門家的存在の人の三者のうち二者が反対をし、経営調査会だけが運賃値上げに賛成の答申をしておるという格好なのですが、結局考えてみると、どこに問題があるかと申しますと、何といっても資産評価の問題だろうと思うのです。これによって運賃値上げしなくてもよい、あるいはするという線がしかれるのだと思うのです。聞くところによりますと三十年度のときに時価評価をしたのが、ばかに高く押えられているのじゃないかというような問題があるのではないかと思う。昨日局長は、時価評価は高くしたけれど、耐用年数を民間よりも延ばしているからとんとんになっているのだというお話をなさいましたけれど、この点におきまして、いわゆる償却積み立ての額が高くなるので、運賃値上げにまで波及するのだと思いますけれど、私たちの考えでは、この線が非常に高く押えられているので、むしろもっと低い方がいいのじゃないか、こういうふうに考えます。本来でしたら昭和二十八年の一月一日の物価ベースでもって第三次再評価をやらなくてはならないのを三十年になされたというけれど、この間のベースの違い、並びにどのくらいの差額があるか、こういうことを一つお聞かせ願うと同時に、あまり減価償却の線が高いのじゃないか、これを低くすれば運賃値上げをしなくてもよろしいという考えを私は持っておりますので、この点をもう一度御説明願いたいと思います。
  25. 權田良彦

    ○權田政府委員 お答え申し上げます。最初の行政管理庁の勧告と申しますか、あれでございますが、あの内容運賃値上げの問題については全然触れておらないのでありまして、行政管理庁の調査結果に基く勧告には、運賃のことについての見解は見当らないのでございます。それから経営調査会のメンバーでございますが、経営調査会には御承知の通りにメンバーとして各界から御参加願っておりますけれども、国労、機労、そういう労働組合の代表の方々も御参加願って、委員として最後の答申に御決議願っております  それから減価償却の問題でございますが、御指摘のように減価償却をどう考えるか、これのいろいなことについては昨日御説明いたした通りでありまするが、民間企業におきまして、商品なら商品の生産コストで価格をきめます場合に、減価償却をフルに見るか内輸に見るか、こういうことはいろいろ経済界の実情で考え得るところであります。経営調査会の当時におきましても、この減価償却を運賃原価としてどう見るかということは深く御議論のあったところであります。当時においては、一応中居先生も御指摘になったような数字原価を見たらどうかという御議論もありましたが、国鉄という公共企業体の場合にどう減価償却を見るべきか。これをかりに全額を認めないで一部を認めるという結果はどういうことになって参るかと申しますと、国民の資産である公共企業体の資産が将来において維持できない。その不足分は赤となって累積して参る。そのことは公共企業体における原価として適当であるかどうか。一種のタコと申しますか、自分で自分の手足を食う結果になるのではないか。これが累積して参ると、かえって国民に甚大な悪い影響を与えて被害をこうむらせる場合も予想できます。従って私どもとしては、この資産の実体を維持すべく、昨日御説明いたしました三十年四月ベースのいわゆる時価評価ベースによったのでありまして、これを第三次評価ベースによらない理由はこういうところにあるのであります。  その額について今御質問がございましたので、これを申し上げますと、三十年四月一日現在で資産価額は二兆一千百二十三億、こう相なるわけであります。この中から減価償却対象資産を抜き出しまして、これをただいま申した通りやりますると、今年度の予算で四百八十九億、三十年度で四百六十九億、こういう数字になるわけでありますが、その中には、その後の取得いたしました資産については、その価額において経年減価でやっておるわけであります。  減価償却の経年耐用年数の問題でありますが、この耐用年数についてこれをどう考えるか。これがまた民間企業でございますると、法人税法その他から一つの耐用年数表がございまするが、これをそのまま公共企業体のときに適用すべきかどうか、これが各方面で非常に御議論願った点でありますが、一応公共企業体で必要最小限度の資産維持をいたしまするには、工作物におきましても、土工関係、隧道関係についてもある程度考え直せるし、その他いろいろな点もございまするので——これは個々のものによってこまかく耐用年数表が出ておりますが、あまりくどくどしくなるので省略して御説明いたしておきますが、民間に比べますと、一割くらい積上算の結果として延びた結果になっておりますけれども、そういうことでこれをいわゆる時価評価の耐用年数延長でやったわけであります。  これをかりに第三次評価でやったら減価償却費がどのくらいになるかという御質問でございますが、かりに第三次再評価ベースで耐用年数を民間並みでいたしますると、あまり大きな数字の違いは出て参りません。法人税法の耐用年数を用いますと大体同じ数字に近い数字が出て参ります。従ってこれを民間並みの耐用年数でなしに新しい時価評価ベースでやれば年数が一割くらい延びております。しかし考え方といたしましては、第三次再評価ベースでやってなおかつ法人税法の年数を延ばすということは理論的に矛盾がございまして、第三次評価ベースというものは、耐用年数もそれとあわせて見合ったもので考えられているわけでありますから、第三次評価ベースでやるならば、耐用年数は法人税法の耐用年数でやらなければならない、私どもはかように考えておるわけでございます。
  26. 松尾トシ子

    松尾委員 当局の方の御趣旨はよくわかりました。しかしここで世論反対を押し切ってまで、急場の数字のつじつまを合せるために耐用年数を延ばし、評価額を上げていくというようなことをする必要がないじゃないか、また年たてばそこに回転よろしきを得て、運賃値上げをしなくても順次解決できるのではないか、こういうふうに私は考えるのです。特に国鉄というようなものは、民間から営利をしぼり取る機関でもなければ、配当する機関でもなければ、あるいは税金をこわがってこれを経理に隠すという機関でもないのですから、今日のありのままの状態でおやりになって、年をかせぎ時間をかせいで、むしろ努力によって経理の合理化をはかって、運賃値上げよりも経理の合理化をはかってやるべきがほんとう趣旨ではないかというふうに考えるのですが、この点をお聞きしても、今の御説明通りにまた繰り返すだけでしょうと思いますから、私の意見を述べておきます。  それからその次にお尋ねしたいのは、委託業務という制度がございますけれども、この委託業務の点とか、工事費の支出の点とかに非常に浪費があるのではないかという世論がありますが、こういう点を一つ説明願いたいと思います。
  27. 石井昭正

    石井説明員 御質問が非常に広い御質問で、お答えも抽象的なお答えになって恐縮でございますが、委託業務と申しますか、私どもの方で当然やらなければならないもの、私どもの責任においてやるべき仕事を民間の業者に委託している例は、貨物の積みおろしその他多々ございます。これらは主として、何と申しますか労務的な仕事でございまして、いわゆる国鉄職員がこれを行います場合には、経費の関係、ことに季節的な波動というようなものに対応して適切な手が打てない、あるいは単純労務でございまして、昇進というようなことを考えない労務体制をとっていかなければ、非常に経費が年々重なるというふうなこと等を勘案いたしまして、これを直営でやる場合と比較してはるかに有利であるという観点に立つものを、委託業務に切りかえておるわけでございます。ただこの委託業務につきまして、契約単価その他につきまして積算方法その他に疑問があるという点で、会計検査院等から御指摘を受けることも若干はございます。これらにつきましては、御指摘趣旨をよく検討いたしまして、改善を重ねて参ってきておるわけでございます。また工事費につきましては、これは御承知の通り非常にたくさんの各種の工事を行なっておりますので、全部が全部非常に精細な積算で、間違いのない工事単価でやっているということも申し上げかねるのでございますが、しかしながら私どもとしては、この点につきましては過去数年来いろいろと国会等においても御注意をいただいておりますし、私どもも今度のような場合、国民の御負担を増してまでいろいろと輸送力の増強の設備もしなければならないというような場合には、この点に非常な努力をしなければならないことを痛感しております。昨年は御承知のように、各界の専門家を御委嘱申し上げて、国鉄の中に請負業者指名審議会あるいは積算基準委員会というような各種の委員会を設けて御検討を願いまして、その成果も、昨年の十月ごろだったかと思いますが、まとまりましたので、これを実施に移すべくただいま逐次やっております。なお契約につきましても、部内におきまして牽制組織を設ける、あるいは部内監察を強化するという手も講じておりまして、御趣旨に沿うように努力いたすつもりでございます。
  28. 松尾トシ子

    松尾委員 監査委員その他も大いに注意して努力を傾けておるとおっしゃっておりますけれども工事問題について、予算書を見ますと、三十二年度は千六十九億円を工事勘定としてあげておりますけれども、これを完全に消化する御自信がおありになるかどうか。この間濱野さんもおっしゃっておりましたけれども、要員はふやさないで事業量、工事の全体は二倍以上にするという点でございます。ところがこれをその筋の方から聞きますと、要員はふやさないかわりに外注へどんどん出すのだ、外注へ出すということは結局相当高くつく。また、そうは説明しているものの、本来でしたらいろいろの数字のかね合いから、こんなお金も集まらぬかもしれぬし、仕事はせいぜい八〇%も上げれば内々の目的を完成できるのだ、こういったようないろいろな思惑があるのじゃないかと思うのですけれども、千六十九億円の工事費を完全に消化し、そしてだれが見ましても、監査委員の方から見ましても適正妥当な価格で委託がさせられ、外注へ出せる御自信がおありになるかどうかお伺いしたい。
  29. 石井昭正

    石井説明員 確かに工事経費が相当増額いたしておりますので、これを適正な方法でもって消化して、しかも目下輸送力増強の急務に迫られております事態を打開するためには、なみなみならぬ努力が要ることはおっしゃる通りでございます。しかしながら私どもも、昨年大体予算の編成後、政府において御決定願いましたときから今日まで、その準備に懸命の努力を傾けております。従いましてこれを十分消化する自信のあることを申し上げますし、またこれを適正に消化することについては、国鉄全体一致いたしまして、御趣旨に沿うように万全の努力を傾倒する決意であることを申し上げて、御了承いただきたいと思います。
  30. 松尾トシ子

    松尾委員 時間もありませんので、この点について深く質問をいたしたいのですが、まだ同僚の井岡氏も待ちかまえておりますから、その点は井岡さんに譲ることにして、私は今度は収入を多くはかるということ、これは小さい面だからといってお笑いにならないで、一つまじめにお聞きを願いたいと思います。  国鉄はまだ他面において収入をふやすことができるのじゃないか、こういう点から一つ質問をいたします。今国鉄が所有していらっしゃる土地とか建物、こういったものの賃貸の問題を一つお尋ねしたいわけです。いわゆる鉄道弘済会を初め、各種団体との契約を根本的に改正して、これによって国鉄収入の飛躍的増収をはかるというお考えがあるかどうか、この点についてお伺いしたい。
  31. 石井昭正

    石井説明員 雑収入の増加につきましてはお言葉の通り国鉄財政に幾分とも寄与するためにできるだけの努力を重ねて参ったのでございます。この点につきましては私どもといたしましては、はなはだ泣き言を申し上げて恐縮でございまするが、過去数年来運賃値上げというようなことを、今日のような法案として国会の御審議をいただくまでには至っておりませんが、予算折衝の過程その他においてはたびたびお願い申し上げたのでございます。これはもちろん輸送力増強という趣旨もございましてお願い申し上げたのでございまするが、結局いろいろの御事情でお認め願えなかった。その際におきましていつも私どもには、この努力を傾倒しろという強い御指示がございまして、毎年々々この雑収入の増加に努力を重ねて参ったのでございまして、その成果も相当上っております。昭和二十四年以降の雑収入は、昭和二十四年を一〇〇といたしますと、土地物件貸付料では三十年度は五五〇、広告料も五五〇、構内営業料は七〇〇というふうに、これは料率も上げまた量も増してそういうふうになっております。そういうわけで懸命の努力を重ねておりまするが、なお明年度におきましては広告料金、構内営業料金については精細に検討いたしまして、特段の増収をはかるために、目下料率の改正検討いたしておりまして、四月一日から実施にいたす予定にいたしておる次第でございます。
  32. 松尾トシ子

    松尾委員 それは一つ民間のいわゆる料金、家賃なんかと非常なかけ離れたものにならないようにしていただきたい。一方に公共性、また一方に採算制という二枚看板ですから、その点大へんにむずかしいと思うのですけれども、独立採算制を貫く意味において、そういった各種団体には少くとも民間と同じ標準で貸付を行なっていいのじゃないかというふうに考えております。大体全国に広く網を張っている弘済会、こういったようなものはどんなふうな比率で貸しているか。これの起りは、聞いてみますとなるほどなかなかいい趣旨でやっているにもかかわらず、最近は営利化して大企業化している。これがもう国鉄経営の不明朗を招いているわけなんです。たとえば一つこういうことを石井さんにお話しておくのですが、決算委員会でも問題になったのですけれども、鉄友会が新橋のあすこを五十万円で借りていた。ところが今度失敗したから京浜デパートに貸したときには、家賃は二百五十万円、権利金は三千万円取ったとか四千万円取った、こういうような話であります。ところがたまたまこれが国会で問題になりますと、国鉄は直接に契約したとおっしゃるけれども、百万円だったそうじゃありませんか。三井が査定すると月二百五十万円の家賃が妥当だというふうに言っているとさえ聞いている。これは民間から比べるとどうもすごく安い。その安いのはどういうわけかといって聞けば、国鉄の事情によってはいつ何どきでもどいてもらえるという契約が結んであるからというのですけれども、あれだけの大きな施設をし、営業をしているものはなかなかどかないのです。ガード下の小さな十五坪や二十坪のところでしたら、ちょっとどいてくれで済むかもしれませんが、あれだけの営業をやっているところをどかせる力が国鉄におありになって、そういう契約を結んでいるのかどうかということをお尋ねしたい。と同時に、こういう例もあるのですから、民間とあまりかけ離れたような査定をしないで、全国に網を張っている各種団体に使用料を払わせたら、相当の金額が増収になるのではないか。あるいは一般が又貸しをして権利金を取っているなら、独立採算制という建前からいって、取れるならば国鉄が権利金をお取りになったらいい。間に入って仲介者がもうけているということは、許すべからざることだと私は思います。この点お伺いしたい。
  33. 石井昭正

    石井説明員 いろいろのお話がございましたが、土地物件の貸付料金の算定につきまして、民間と著しく価格を失しているのではないかというお話でございますが、その点につきましては、御承知の通り昭和二十九年にいろいろ問題がございましたので、二十九年に土地物件建物評価委員会というものを東京と大阪に設けまして、ガード下などにつきましては、これらの評価委員会——これは専門家、特に委員長には、東京の場合でありますと勧銀の監査役で、しかも私ども承わりますと、この方面の非常なエキスパートだそうでございますが、そういう方々を御委嘱いたしまして、妥当な御答申をいただいたものによって査定をいたしました料金を取ることにいたしたのであります。その結果といたしまして、非常な値上りができたために、かえって居住されておる方々から不払い同盟等いろいろの抵抗にあって、これまた多少難渋をいたしておることは御承知かと思うのでございます。  また鉄友会の例がございましたが、鉄友会につきましては、私ども承知いたしております限りでは、百八十万円の家賃でございますが、これを今度国鉄が直接契約する場合に百万円というようなお話がございます。直接契約は四月からということで、まだその点ははっきりきまってはおらないのでございます。ただお考え願いたいのは、そういうように直接契約になりますと、直接契約をなさった方が施設物の償却費なり、あるいは公租公課というようなものをお払いになる、その分はやはり差し引いて計算しなければならないので、内容的には異なっておると思いますので、百八十万円イコール百万円というお考えは、これは少し無理かと存じております。  なお弘済会について特別の料金的な措置をしておるのではないかという御趣旨の御質問かとも思いまするが、確かに過去におきましては、弘済会の使命にかんがみまして、他の一般民業者と違った料率を適用しておりましたが、これも昨年度から改めまして、一般の業者と何ら異なるところのない料率の使用料を徴収しておる次第でございます。
  34. 松尾トシ子

    松尾委員 そんなに安く貸すならば、一つどかしていただいて私も借りようかと思います。  それではもう一つお伺いしたいのですが、八重洲口の鉄道会館なんですが、あそこに名店街、ターミナルがあるのですが、趣旨としましては、あそこには大体旅行者に関係のあるものを入れるというのが普通だと思うのです。ところが、あそこをぶらぶら歩いてみますと、全然旅行者に関係のない、すなわちからかさとかちり紙とか、そういうものを売っているものとは関係のない野村証券なんかに大きなところを貸しているのですが、これは旅行者と一体どういう関係があるのか、また野村証券からどのくらい家賃をお取りになっているのか、この点を一つお聞かせ願いたい。
  35. 石井昭正

    石井説明員 あの地帯一帯は、鉄道会館という建物を建てております会社と私どもの方は契約しております。これからは、昨年度は四千万円でございますか、本年度にいたしますと約七、八千万円程度の地代を取っております。ただこれに対しましては、鉄道会館がこれを分割して各店舗に貸し付けております。その家賃については私ども詳しいことは承知いたしておりませんが、野村証券が入りまして広い面積をとっておりますことは私ども日常見ておりまして、必ずしも旅行者の利便という点から見れば適当ではないという御批判もごもっともだと存じます。しかしながら今すぐこれを措置するということにはいかない実情にあるかと思っております。
  36. 松尾トシ子

    松尾委員 鉄道会館にお貸しする場合に、そういったこまかい制約というようなものは全然なかったわけですね。そうして貸し付けるのは鉄道会館の方の自由にまかせるという立場になっておるから、すぐさまどかせるというわけには参らない、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  37. 石井昭正

    石井説明員 何でもかまわないという考え方ではございませんので、駅の品位、あるいは旅客の迷惑になるようなものは困るという考えは持っております。
  38. 松尾トシ子

    松尾委員 私は、証券を買うなんということはじっくりとやるべきであって、旅行中に証券を買うというようなことはないので、全然関係がない、これはいわゆる鉄道会館の収入面の都合によって、ああいった大証券会社に貸しているのだと思うのです。これをどかせる、どかせないは別問題としても、私の申し上げるのは、旅行者あるいは駅のターミナルに無関係だ、こういうところ、これらも将来においてはよき監督を経てやっておりませんと、国鉄運賃値上げなど申しましても、一般の大衆は理解をしてくれないと思う。この点を一つ大いに留意をしていただきたいと思います。  またそのほかに、借金をして利子を相当高く払っておる。この利子がともすれば国鉄運営のガンになるかもしれぬ、こういった金を使っておる、そういう時期ですからお尋ねしますけれども国鉄のいわゆる連絡精算の事務はどういうふうになっているかということと、荷物の運賃払い、日通関係、これはどういうふうになっておるか、あるいは交通公社の切符代の支払いはどういうふうになっているか、この三点をまずお伺いいたしたい。
  39. 石井昭正

    石井説明員 連絡精算と申しますのは、御承知の通り他の運輸機関、主として私鉄でございますが、バス会社あるいは船舶会社等もございまするが、その間におきまして通しでもって乗車券を売る、あるいは荷物をお送りするということをいたしまして、旅客、荷主の御便宜をはかっております。従いましてその際に、私の方では私鉄線内の分までお売りする。逆に私鉄の方では国鉄の線内まで売り、一たんはおのおのの運輸機関の収入に入るのであります。それを取りまとめまして、中央で精算をいたしまして相殺をいたします。そうして差引残りました分につきまして、払い分は私の方が払い、いただく分は私どもがいただくという建前でやっておるのが連絡精算でございます。この連絡精算につきましては、精算じりの取り立てについて、過去におきまして未納会社が非常に多かったのは事実でございます。これは私鉄が非常にもうかっておると申されておりますが、大都会付近の大電鉄というようなものは経営が非常に楽であるかどうか、私詳しいことは存じませんが、そう困難ではないと思っておりまするが、地方の非常に小さな私鉄が困っておるのでございます。御列席の山口先生なども十分この間の御事情は御承知のことと思うのでございます。そういうわけでございまして、なかなか収入がままにならないで延納をいたしておるものもございまして、会計検査院等から指摘を受けて非常に恐縮した次第でございます。その後私どもも鋭意努力いたしますし、また運輸省も各会社にいろいろ強力な御指導をしていただきました。それからまた昨年の末でございますか、適当な銀行保証を立てたものについては、過去の延納分というものを一括いたしまして、別の債務に切りかえて計画弁済をするというような制度に改めたのでございます。その結果三十年度の当初におきましては五億八千万円程度ございましたが、十二月末の現在におきましては二億九千万円に減っております。非常な成績が上って参っております。なお一そうこの努力を続けて参りたいと思っておる次第でございます。  それから貨物運賃の後払いでございまするが、貨物運賃の後払いは、御承知のように貨物運賃というものは、通運会社を利用して託送するものが大部分でございます。従いまして通運業者と荷主との間が月末払い、あるいは手形払いというような格好になっているものが大部分でございます。従いまして私どもの方も、これを毎日駅で収納するという事務の煩瑣を防ぐために、まとめて後払いとする制度をとっておりまして、この分につきましては延納金が相当あった事実もございます。これは終戦後例の日本通運に対しまして、新免業者というものを政府の御方針でお認めになりました。そのときに若干資力的にあまり十分でない業者も出て参りまして、たまたま経済界の不況等ともかち合いまして延納を生じたものも相当ございました。これが昭和二十九年の九月に約四億四千万円程度になったのでございまするが、これに対しましては二十九年の六月に今までの延納分をたな上げにいたしまして、そのかわり各業者の経営規模に応じて、完済の能力に応じて、毎月きちっきちっと完済していただく。今後収める金については一切滞納を起さない。その場合においては今までの延納分の完済計画も取り消す、後払い契約も取り消すという非常に厳重な制度を作りました。幸い業者の御協力を得まして、この計画が今日まできわめて円滑に参っております。また昨年は保証制度をチェック・システムに改めまして、貨物受託の際一々保証額から運賃額を差し引きまして、保証の範囲内において後払いの取扱いをするという制度をとりましたために、今後はそういう延納ということはほとんど起る余地のないような制度になって参りました。あわせて各会社の御努力によりまして、規定の毎月の完済分が進んで参っておりまして、現在では二億一千九百万円になっておる次第でございます。  それから交通公社の問題につきましては、これはもう私思い出しましてもぞっとするのでございますが、昭和二十八年でございましたか、私経理局長になりました当初、この問題につきまして御列席の正木先生、中居先生から非常に厳重な御質問を受けまして、いろいろ適切な御指示をいただきましたので、この点を参酌いたしまして、十分契約を改めまして——ただ何と申しましても交通公社といたしましては、代売手数料の支払いを禁止されました当時、いろいろな事業に手を出して失敗をいたしました穴というものは何ともならない。その穴を一応今後の経営努力によって埋めていくということにいたしました。しかしながら今後公社が国鉄運賃の収納金を他の費途に流用することのないように、厳重な監督規定とその制裁規定、あるいはやり方等をきめまして、逐次努力さして参っております。幸い公社の業績も逐次改善されて参りまして、公社の作りました穴、いわゆる特損の償却も予定以上に進捗して参りました。この分では五カ年計画で財政を立て直すのは、一年間くらい早めて完成できるものと考えている次第でございます。
  40. 松尾トシ子

    松尾委員 ただいまいささか数字をおあげになりましたけれども昭和三十一年二月末の帳じりを明らかにしていただきたいと思います。
  41. 石井昭正

    石井説明員 公社につきましては、先ほど申し上げましたように既定計画に基いて契約通り納入をいたしておりまして、未納額というものはございません。
  42. 松尾トシ子

    松尾委員 では後ほどそのデータをでき得る限りの範囲で刷りものにでもしていただいたらけっこうだと思います。  それからもう一つお尋ねしたいのは、国有鉄道法の四十二条に「日本国有鉄道は、業務に係る現金を国庫に預託しなければならない。」云々とあるところの2に「前項の規定により国庫に預託された預託金については、大蔵大臣の定めるところにより相当の利子を附するものとする。」こう書いてあるのですけれども、「大蔵大臣の定めるところにより相当の利子を附する」というのはどういうものですか。
  43. 石井昭正

    石井説明員 これはただいまのところ大蔵大臣の方で私どもに御指定になっております大体四十億円というものを、これは当座的な意味があるというので無利子にいたしまして、四十億をこす分につきましては日歩八厘という利子が付いております。私どもの方で、大体昨年度あたりの実績で見ますと、無利子と有利子の分を総計いたしまして、日歩五厘くらいになっているかと思います。
  44. 松尾トシ子

    松尾委員 その点一般企業とは違うからとおっしゃればそれまでですけれども、現金収入の多い事業というものは、なかなか有利なものだと思うのです。ところが四十億というのはなかなか大きな金額であって、いわゆる当座的性格のものだというふうにしないで、大蔵大臣の定めるところによってというのを利用なさって、当座的のものはもっと低くしていただいて、できるだけ金利をつけてもらうように御交渉を願うことが、やはり国鉄収入の一抹の利益になるのじゃないかと思うのですが、こういうことができるかどうか。
  45. 石井昭正

    石井説明員 私どもの方といたしましては、御趣旨のようにお願いしたいと常に大蔵御当局にお願いしておりまするが、実は私の方といたしましても、短期資金の不足いたします場合には、国庫余裕金から拝借をいたしております。その場合に日歩八厘で御融通を願っておりますので、そういう点もあわせ考え、大蔵御当局の方でそういうふうに御査定になっておるのであります。御指摘趣旨はごもっともでございまして、なるべくたくさんの利子をつけさせていただくようにお願いするつもりであります。
  46. 松尾トシ子

    松尾委員 いわゆる金の要るときに融資をしてもらうから、しかも八厘で融資をしてもらうために、そういう状態になっておるとおっしゃられるのですね。ところが預け入れと融資とは別に利子を払えばそういうことをしなくても私はいいと思う。それからもう一つは、そういうような事項があるから他の民間銀行にお預けになっておるのですか。だいぶお預けになっておるという話も聞きましたけれども……。
  47. 小林重国

    ○小林説明員 民間の銀行に預けておりますのは、終戦後輸送が相当困難しておりましたし、現金を直接駅から出納役のところへ送りますのに非常に危険を伴います関係上、民間の市中銀行を利用いたしまして、駅の収入金をさしあたり市中銀行に預け入れまして、それから市中銀行から日銀の代理店へ送金をするというような方法をとったわけであります。市中銀行の方はサービスと申しますか、駅の方へ、出向きまして、収入金の計算もして下さいますし、また銀行まで持っていくというような手続もやっていただいておるわけでございます。しかし市中銀行に置いておきます期間はできるだけ短縮すべきだという御意見もございまして、現在は五日ないし六日くらいになっておったと思いますが、最近はできるだけ縮めまして、三日ないし四日で日銀の代理店の方へ回すというような方法をとっております。
  48. 松尾トシ子

    松尾委員 私いろいろお尋ねしたのですが、まだなかなか国鉄経理の不明朗、運賃値上げ大衆意見を押し切ってまでする理由があるかないか、これは伺ってないのでありますが、まだ質問したい点もありますが、時間がありませんからきょうはこの程度にするに当りまして、一つお願いがあるのです。というのは、八重洲口の鉄道会館、名店街ですね。これの各使用業種と使用面積、会館の方から、いわゆる大家なんですから、資料をとっていただいて、この委員会に配っていただきたい。そうしてまたどういうふうな条件で貸しているのかも書き添えていただいて、なるべく詳細にお願いしたいと思うのです。どうも国鉄運営が不明朗だという観念が一般大衆にはあるのです。同時に、十河総裁にはまことに気の毒ですが、国鉄総裁をきめるときには、大体自分の畑から大きな政治力を発動して呼んできて、ほかからはどうしても入れたがらない。これはどうも国鉄一家の不明朗があばかれては大へんだから自分の親分を呼んでおくのだ、こういうふうに思われるのですが、総裁はどうですか。あなたのときにはどういうことがございましたか。
  49. 十河信二

    十河説明員 その間の事情は私よくわかりません。しかし私に関する限りは、政府から再三のお言葉がございましたけれども、私は極力辞退いたしました。しかし当時の政府お話では、他に引受手がないからどうか、国鉄はお前の祖国ではないか、祖国復興のためにやってくれ、こういう仰せでありましたので、私はやむを得ず出て参ったような次第でございます。
  50. 松尾トシ子

    松尾委員 もう一つ、資料を追加させていただきます。五カ年計画の人員並びに資金計画を年次別にこまかく一つ出していただきまして、その上で大衆世論を納得させるような点を教えていただきたいと思います。今の状態では、そうやすやすと運賃値上げということに対して引き受けられないというような感じを持っております。これで私の質問を終ります。
  51. 淵上房太郎

    淵上委員長 この際一応休憩いたします。    午後零時二十六分休憩      ————◇—————    午後三時二十五分開議
  52. 淵上房太郎

    淵上委員長 午前に引き続き開会いたします。  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を許します。井岡大治君。
  53. 井岡大治

    ○井岡委員 国鉄運賃国民生活の関係については、同僚の議員から詳しく質問がございましたので、時間の関係上、私は省略をいたします。従ってごく概要について二、三の点を質問させていただきたいと思います。  第一に、国鉄法の第二条に「能率的な運営により、これを発展せしめ、もって公共の福祉を増進することを目的として、」こうようにうたっておるわけです。従って能率的な運営によって公共の福祉を増進するわけでありますが、本年の予算を見てみますと、必ずしも能率を増進するように考えられないのです。たとえば先般濱野委員からお尋ねになりました本年の千六十九億に対する工事建設でありますが、少しも人間が増員されておらない。果してこれだけの大きな建設並びに改良工事が、本年度にできるかどうかということを考えてみますと、私は非常に疑問を持つわけです。同時にまた損益勘定から千五百名の人間を振りかえてこれらの人間不足を補う、こういうように答弁をされるわけですが、この千五百名を振りかえるにいたしましても、単に命令によってこれを振りかえるわけには参りません。やはり組合と十分協議をして、そうして納得をさしてからでないと振りかえるというわけにも参らないのではないか、こういうように考えるのです。そうなって参りますと、本年の工事予算千六十九億というものが十分に完全に消化ができるかということになると、非常に疑問が生じて参ります。しかも日鉄法の目的は明らかにいたしております。こういう点で一応この間の事情を明らかにしていただきたいと思うわけであります。
  54. 權田良彦

    ○權田政府委員 今特に御指摘に相なりました工事計画と要員との関係、特にお手元にも御要求の資料をただいまお配りいたしましたわけでありますが、三十二年度は改良費において九百九十九億ということになっております。この五カ年計画工事経費は、御指摘のように従来の二倍に近いものでございますが、このうちここにお示ししてありますように、車両費がほとんどその半分近くを占めておりまして、これは民間の車両工場へ注文を発するわけでありますが、車両工場の製造能力は御承知の通り十分ございます。問題は資材の手当でございますけれども、これも三十二年度については所要鋼材の確保ができる見通しがつけてございます。その他の普通の工事でございますが、これは一部については実はもうすでに測量設計の完了を見ているものもございます。もう計画を立てまして進行しております。その他の工事についても設計を標準化するとか、測量設計作業を機械化するということも実現できまするので、私どもはここで査定をこういうふうにいたしましたのは、こういう事情によって、この要員で十分処理消化できるという見通しのもとに、こういう数字にいたしたわけでございます。
  55. 井岡大治

    ○井岡委員 一応十分処理ができるという見通しでない限り、御提案にならないことは私も了承します。けれども、たとえば昭和三十年度の決算の報告書を見てみますと、人員不足、監督不足からくるいわゆる工事の手直しをかなりやっているのがあります。従って今度の建設工事、改良工事にいたしましても、こういう問題が起ってくるであろうことを私たちは予測ができるのです。特に時間外手当で、昨年度に比較いたしましてかなり大幅な金額を計上されております。しかもこの金額を計上いたしたのは、先日の濱野委員の御質問に、当局は超過勤務手当等のことが考えられる。工事を施行するのには、いわゆる人員が増加をされておらないのでありますから、当然現在人員でやらなければいけない。そうなって参りますと、いわゆる超過勤務をさせなければならぬ、こういうように小林常務は答弁をされておるわけです。従ってこの千六十九億の工事を行うに当っては十分自信を持っておる、こういうように言われるわけですが、私はその自信というものはかなり大まかな自信であり、しかもそのためにかなり国鉄工事その他に手直しをするということになっては、これが運賃値上げの一番大きな理由である限り、私は国民に対して申しわけないじゃないか、こういうように思うわけです。この点どういうようにお考えになっておるか一つお聞かせ願いたい。
  56. 權田良彦

    ○權田政府委員 これはすでに当委員会でもお答え申し上げましたが、まず予算の関係の方から申し上げますと、予算人員は四十四万七千七百二十五人でございまして、これは損益勘定、工事勘定、中間勘定のすべての人員を含んでおります。この予算人員は、一般の公務員の定員法等とは違いまして、定数で拘束しているわけではございません。この予算人員も、予算の中ではどうにでも人数の方は自由になる、こういうことでございますが、これらの中におけるいろいろな合理化、配置転換等によりまして、この総体予算ワクにおいて私どもは十分やれると思っておりますし、それから超過勤務手当につきましては、三十二年度予定額といたしましては百二十億七千万円ばかりを見込んでおりまするので、これにおいてそういう点は十分消化できる、こう思います。ただ具体的の、しからばどういう手配をいたすかというような点につきましては、これが施行に当る国有鉄道の方から一つ説明させていただきたいと思います。
  57. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 仰せの通り工事費が平年度から見ますと、大体倍になっておりまするが、先ほどの答弁にありましたように、半分に近い四百四、五十億であると記憶いたしておりまするが、それは車両費でございます。車両費の方につきましては車両のメーカーを呼びまして、その製作の可能不可能をただしましたら、これは十分製作能力があるということになっております。あとの土木工事その他の工事でございますが、先般各支社の工事局長を全部招集いたしまして詳細な注意を与えました。これにつきましては工事費の単価をできるだけ切り下げてやることも必要であるが、また他方せっかくいただいた工事費を莫大に余すということになりましてはまことに相済みませんものですから、工事局長を全部招集いたしまして、こまごまな注意をいたさせました。しかし土木工事その他は、これまた大体におきまして民間の業者が実施に当るのでございまして、鉄道はその設計、監督ということが主たることになりますので、ただいまから設計陣を強化することを考えてみまして、そういう点につきましては、御心配の人員の不足は現在のところないと申し上げてけっこうだと存じます。
  58. 井岡大治

    ○井岡委員 副総裁は、工事局長なり、工事主任、所長を呼んで、十分訓示をされて手抜かりのないようにやってもらいたい、こういう訓示をしたということなんですが、現場の諸君に聞いてみますと、これは上の方はそういうように簡単に引き受けてくれるけれども、現実にはわれわれが工事の監督をやらなければいけない。しかもたとえばこちらで、たとえばの話ですよ。ですから、そういうことがありませんと、こういういうようにお答えにならないようにお願いいたしたいと思います。東北線の工事の監督をやっている。ところが藤沢の方でこれまた工事をやらなければいけない。こういうように二つも三つもかけ持ちをすることになる。そうなって参りますと、どうしても請負業者の監督責任者に指示を与えて、そうして自分は今どちらか重要だという方に回らなければならぬ、こう言っている。ところが御承知のようにこの建設工事鉄道工事というものは、非常に手を抜こうと思えば抜ける工事なんですね。そこからくる手直しというものが、これは非常に大きいのです。これは各民間会社にいたしましても、都市電においても、このごろ非常に請負業者にやらしておりますが、その結果というものは必ず手直しをしなければいかぬ。手直ししないまでも、たとえば命数が、平均にして五年なり八年なりというものが命数である場合、これが二割ないし三割前に早くいたんでいっておるということだけは事実なんです。こういう点から考えてみると、かなりこれは無理な工事をやらなければいかぬのじゃないか、こう思います。それから今設計の方の強化をやると言っておられますが、設計というものはそう簡単に強化をしても、なかなかそう簡単にいくものじゃないと思うのです。従ってその第一年度は私は計画を見ておりませんけれども、実際工事をやっていくというよりは、むしろ設計に重点が置かれるのじゃないか。しかもその設計に重点を置くために、デスクの方からすくい上げるとか、あるいは工事事務所の設計の諸君を集めるとかいうことになってくると、そこから来る手薄というものができてくる。そういうように考えて参りますと、この千六十九億という工事費というものは、私は非常に危険だと思います。この点はどうですか。
  59. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 先ほども申し上げました通りに、工事につきましてはもう極力重点を置きまして、工事の遂行に遺漏なきを考えて参った次第でございます。ただいま御指摘のような工事が手戻り、あるいは手直しになるというようなことがありましては、これは相済まないのでございまして、そういう点は十分考慮に入れている次第でございます。たとえて申しますれば、設計なども従来鉄道が全部いたしました中でも、あるいは業者にまかせていい比較的軽微な建屋のようなものは、ある程度業者の設計に待ってもいいというようなものもございますし、それから設計の手順でございまするが、今まで現場で設計いたしたものを局でこれを検査し、さらに本省でチェックする、その間に非常に手間が取れまして、従来以上と申し上げていいですか、十分慎重と申し上げていいのか、とにかく従来やっておりました事務手続を簡素にいたしまして、一千万円以上の工事は全部本省で見ておりましたが、今回はそういう事務の簡素化をはかるために三千万円以下は、これを局に回すということになりまして、局で設計したものは従来本省に回って、設計の打ち合せのために相当な時日がかかっておりましたものを、そういう点が省けるというようなことで、実際に支障が起らないだけの範囲で、業務の簡素化をするというようなことを計画いたしまして、いろいろな角度から研究いたしましたが、工事の遂行については万誤まりを生じないという結論に達しました。なお工事の監督につきましては、本社の監察局の工事関係のものを強化して、現場心誤まりのないようにチェックしていくというような方法も講じた次第でございます。こういう点をにらみ合せて、工事は万遺漏なく遂行できるという確信のもとに立ったものでございます。
  60. 井岡大治

    ○井岡委員 なるほど三千万円までは局でやらすようにした、そのためにいろいろ手続上からくる、時間をかけておったのが省けるようになった。私はこれは非常にけっこうなことだと思うのです。しかしながらその局自体の工事の方々が今手をあげておるわけなんです。この人方に、さらに大きな仕事を負担をさすわけです。聞くところによりますと、超過勤務時間も延べにして二時間ずつ延ばすとかいうことを聞いております。こうなって参りますと、かなり労働強化が起って参ります。そこからくる請負業者に対する、どう申しますか、まかすということ、こういうことが多くなってくるのではないかと思うのです。私は現在の国鉄職員の方々に対して疑惑の目をもって見ることは差し控えますが、今までの決算の報告等をしさいに検討して参りますと、えてして現場の方々が、あるいは監督の権限が委譲されてくると、その人方が、つい知らず知らずの間に引っぱり込まれて、汚職、疑獄というものが起ってきておることは事実なんです。一こういう点を考えてみると、いわゆる土木屋、土建屋にこれを渡していくということは、なるほどけっこうなことではあるけれども、多くの誤解を起き、多くのいわゆる犠牲者を出すことになろうかと考えるのです。こういう点について、どういう予防措置を講ぜられようとしておるのか、この点をお伺いしたいと思います。
  61. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 そういう点につきましては、従来鉄道工事に関しまして会計検査院の指摘事項もございまして、そのつど注意をいたしておりまするが、今回は工事費が倍になったので、特に厳重にいたさなければならぬという点は、先生の仰せの通りだと思いまして、私どもこの予算原案を作りましたときから、そういう点を深く内省して参ったつもりでございます。それで、そういう点につきましては特に工事局長に、今回の工事につきましては一般の批判が鋭いことでもあるし、従来鉄道がいろいろ会計検査院からも指摘を受けておるから、特にそういう点は注意しなければならぬということを再三申しましたと同時に、先ほどもちょっと申し上げましたが、工事関係の監察員制度を強化いたしまして、できるだけ現場を回って契約についての違法、不当があるかどうか、あるいはでき上りの検査について疎漏があるかないかということを特に検査して参りたい、こういうような方法をとっております。
  62. 井岡大治

    ○井岡委員 私はこの点については、ただいまの御答弁だけではどうしてもこの予算の面から見て了解ができないのです。と申しますることは、なるほど監察制度を設けられておやりになることもけっこうですが、いわゆる倍からの工事をされるのに、一人の人員もふやさないでこれをやろうとしても、現実にはできない。小林常務はだんだんやっていっておると、そこからくる冗員が出てくるから、電化をやったりいろいろやったら、それで冗員が出てくるから、その冗員を回すのだと、こうこの間答弁されておりましたが、これはできてからの話でありまして、これから作るのです。これから作るのですから、ただいま言われておるような点だけではどうしても了解できない。従ってこの点は私は保留をいたしておきます。なおこの間も要求しました五カ年計画の全部が出て参りますと、これによってもう一度お尋ねをいたしたいと思います。  次に私は大臣に一つお尋ねをいたしたいのでございますが、日鉄法の五条の二項に、「政府は、必要があると認めるときは、予算に定める金額の範囲内において、日本国有鉄道に追加して出資することができる。この場合において、日本国有鉄道は、その出資額により資本金を増加するものとする。」こういうようにうたわれておるわけです。ところが今までどのくらい国有鉄道に必要と認めて出資をされたか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  63. 宮澤胤勇

    宮澤国務大臣 今日まではしておりません。
  64. 井岡大治

    ○井岡委員 今日まではしておりませんということですが、ではこの場合はどういう場合をさすのですか、この点をお伺いいたします。
  65. 宮澤胤勇

    宮澤国務大臣 それは国鉄自体の経営政府の財政状態と見合って、どうしてもそういう必要が起ったときにはやる。どういう場合にという、通常の経営のときではない。当然非常な大きな事故でも起ればそういう必要も生じましょうが、普通の経営のときには今までやっていない。何か二十六年に四十億とか出しただけだそうです。
  66. 井岡大治

    ○井岡委員 通常の経営の場合でないとき、こういうことですが、ことしの工事計画等を見てみますと、私はおそらくこれは通常の場合でないと思うのです。五カ年計画によって国鉄のほとんどを電化し、そうして新しく新線計画を敷いていく、こういう案なんだ。これは非常な場合だと思うのです。こういう場合になぜ適用されないのか、しかも政府は、本年は二千億に及ぶ自然増収があるといわれておる。このときこそ私はこの項を適用されて、そうして国鉄の財政の健全化をはかると同時に、国民経済に貢献されることが必要でないかと思う。この点はどうですか。
  67. 宮澤胤勇

    宮澤国務大臣 お話の点は一つの御意見で、なるほどそういう道をとる方法もないというわけではないと思います。しかし現在の二千億の自然増収がありましても、御承知の通り減税と他の仕事の方へ振り向けたわけです。それを国鉄の方へ振り向けて運賃値上げをやめたらいいじゃないかという御意見だろうと思いますが、国鉄自体は企業体として、そして国鉄自体も御承知の通り増収があるように、経済拡大の全体の潤いはやはり受けていっておるわけです。従って政府資金——決して私の言う意見の方が適当で正しいので、あなたのお考えの方が間違っているという意味ではありませんけれども、このたびの予算の計画では、もっと重点的に政府の財政投融資が直接に産業の拡大に役立つとともに、力のない方面へ注いで、国鉄運賃値上げということもあわせて自分の力でこの六千億の計画をやっていける、こういう点から力のあるところにはその力でやってもらう、ないところは一つ助けていくとか投融資でいくとかいう考えがもとであんばいしたわけでありまして、これが運賃値上げということはどうしてもできない実情にある、その上にこの計画はどうしても行わなければならぬというようなときには、今のあなたのお考えも適切に生じてくるわけでありますが、今のところはこのあんばいならば、これでやっていける、しかしこの五カ年計画のうちに何か不測の、非常に重大な支障が起って、政府資金でなければいかぬというときがくれば、そのときには考えなければならぬ問題だろうと思うのであります。
  68. 井岡大治

    ○井岡委員 午前中の答弁で大臣は、国鉄運賃値上げは今までやりたかったのだが、世論に押されて今日まで延びたのだ、こういう御答弁をなさいました。当時は国鉄としては非常な赤字で悩んでおったときなんです。そういうときにもこの項を適用しない。同時に大臣は、今国鉄は企業体だ、企業をやっているのだ、こういうように言われておりますが、二面公共企業なんです。ですからもっと値上げをしてもらいたい。国鉄当局は、この間中居さんの質問、つまり一割八分の予定であったが、一割三分にやられたらこれが適正な運賃か、こう言って質問したのに対して、国鉄当局は、これは適正な運賃とは考えられない、われわれとしては一割八分をやっていただきたかったのだが、政府の方針で押えられたのだ、こう言っておられる。これは公共企業の、この公共という立場からそういうことをされたのだろうと思う。そういうようになって参りますと、これは企業としてよりは公共ということが非常に大きなウエートを持っておる。午前中の答弁からしてもそうなっている。同時に、先ほど松尾委員が御質問をされた、いわゆる国鉄を敷いたら必ずもうかるということはないじゃないか、こういう点から考えても、これまた公共という立場をとっておる。そういうためにこそ私は五条の2のこの項が設けてあるのだと思うのです。なるほど大臣の言われるように、非常に経済が活況を呈して、国鉄は恩恵を受けておることは、これは間違いありません。けれども国鉄を敷くことによってさらに経済の発展への道が開けるのではないか、こう私は思うのです。従ってなぜこういう立場でこれを適用されなかったか、もう一度お伺いしたいと思います。
  69. 宮澤胤勇

    宮澤国務大臣 これは何といいますか、見方と、それからその計画の立て方によりますので、一般産業の拡大その他に政府の方の資金も相当に出、それから資金の需要が出れば、やはり日本の今日の実情では減税に向けるとか、社会保障に向けるとかいうことを先にすべきだ、まだ今の段階ではそう考えますけれども、その上に財政的な余裕がまたできてき、国鉄の方は、一方運賃もしくはその他の借入金だけによってこれをやっていくことは——経営の自己資金も出ますが、それだけでやっていくことは非常に困難だけれども、やはり延ばしていかなければならぬというような実情が出てくれば、今のあなたのお話のように、勢いこれはそういかざるを得ないと思いますが、今日の段階ではこういう方法でいくことが、経済全体の均斉をとって進めていくという上からも、私は常識的な考えではないか、こう思っておる次第であります。
  70. 下平正一

    ○下平委員 関連して。財政のゆとりができて、一千億円減税ということもいいのですが、その面から見ても、実は減税の対象になるのは九千二百万の人口のうちで二千八百万人、六千四百万人の人間は減税の対象にならぬのです。そうしますと、この国鉄運賃は、ほとんどの人が需要しておりますので、かえって政府の方針でいけば、いわゆる低収入の人は減税の対象にはならぬ。運賃は上る、バス料金は上る、こういう形で、かえって政府考えていることとは逆な結果が出てくると思うのですが、これはまあ論議の対象外ですから、先ほど午前中の松尾さんの質問の中にもありましたしするのですが、権田さんがお答えの中で、出資金問題等は事務的な折衝をしておる、こう言われましたけれども、私ども何もこの運賃値上げに何でもかんでも反対だ、こういう意味じゃないのです。国鉄の今の輸送力の増強だとか近代化だとか、あるいは荒廃しておる施設の復旧だとか、そうしたことはどうしてもやらなければならぬ。それには一千億の金が要る。これはどうしてもやらなければならぬと思います。しかし今度の政府の案を見ますと、その前に検討すべき幾多の条件があるにもかかわらず、簡単にこれを運賃値上げに持っていってしまっておる。たとえばこの出された資料を見ても、政府資金運用部の方からたくさんのめんどうを見るかと、こういいますと、昨年は資金運用部から出ておる金が五十五億、ことしは八十億、二十五億ふえておる。鉄道債券の公募の方は二十五億減らしておるから、これでとんとん。そうしますと利用債の方で十億が二十億、たった十億しかふえていないという実情です。それ以外はすべて運賃にしわ寄せしておる、ほとんど運賃にいっておる、こういうことだと思うのです。それで、これは宮澤運輸大臣もずっと引き継いでおられることだと思いますけれども国会においてこういう論議がされているのは今が初めてじゃないです。ずっと前から国鉄の問題は論議されております。たとえば借入金の問題等を見ましても、今速記録を持ってきたのですが、昨年の二月二十二日の速記録の大臣の答弁を見ますと、こういう答弁をしておりますね。「公社に移行する際の五百三十数億円の借入金をそのまま借入金で背負ってきている。」このくらいの借入金というものは、性格からいって出資に切りかえるということの方が適当な措置ではないか、こういう私の質問に対して、大臣は「御指摘になったように、国鉄の資産を九十億近くでやっておることは、どうしても常識にも事実にも合わぬのですから、これはなるべく早く、できれば今年度中に是正する方向に進めたい、お説の点は私は全く同感でございます。」こう言っておられる。私は委員会において大臣が御答弁なさることは、そっくり信用したいのです。責任ある政府の立場、責任ある大臣の立場で……。私は当然大臣は、今年度中にも是正するという決意を表明されたので、今度の予算の中では、少くとも出資金にはもとの公社移行前のお金くらいは出資に切りかえるという方策がとられて妥当ではないか、これはそろばん玉の問題ではなく、政府の責任の問題だと思うのです。そういう点でこれらの経緯をもっと詳しく大臣からお伺いをしたいと思うわけなのです。それからまだたとえてみればこういう法律もあります。帝都高速度交通営団法という法律がありますね。この法律昭和十六年三月に出ておりますが、それから、当時国有鉄道でありましたが、ずっと出資をしているわけです。途中評価がえもしまして、今日では相当な金額になっていると思うのです。ことしの予算書を見ても、やはり三億円ですか、昨年の二億円プラス一億円で三億円の出資がされている。帝都高速度交通営団法、これは地下鉄だと思いますが、地下鉄が必要だということも認めますが、公共企業体である国鉄がその中から出資をしていくという形ではなくて、それはやはり国家がたとえば日航にも出しています、その他にも出しておりますが、そういう形で一般会計から出すということも、これは筋が通って、検討されてもいいと思うのです。そういう点について何ら検討されていない、検討されたかもしれませんが、昨年の予算も何も、こういう点がずいぶん追及されて、善処をします、今年度中にも是正されるという責任ある大臣の答弁がありながら、依然としてそういう点は全然是正されていない、これは少しお考えをいただかなければならぬと思いますが、私はきょう実は自分の質問の番でありませんので、関連した質問ですけれども、この二つの点について、一つ大臣に御答弁をいただきたいと思います。
  71. 宮澤胤勇

    宮澤国務大臣 一応先に数字のいきさつのことを局長から答弁さして、それからあとで私がお答えします。
  72. 權田良彦

    ○權田政府委員 前国会の大臣の御答弁の内容でございまするが、その線に沿いまして、先ほど私が御説明いたしましたように、資産再評価をいたしたわけであります。従いまして二兆一千億というように相なっておるわけでありまして、これはそのように措置をいたしたわけであります。それからこの五百数十億の当時の問題、これを政府出資すべきではないか、これは御意見でございまするが、まあこの内容はいろいろございまするけれども、当時のいろいろなインフレの進行に伴う経営費の補てん、いわゆる経費赤字補てん等がその部分を占めておりまして、こういった性格のものを出資に切りかえるべきであるかどうかという点については、検討の余地がございます。ただいまのところでは、先ほど御説明いたしました通り、これは債務として取り扱っておる、こういうことでございます。なお出資にからみます、井岡先生の御質問ともからみますが、建設線については、これは私どもも事務的にはしかるべきゆえんがあると思いますが、当委員会の御指導もございまするし、建設審議会の御建議もございまするので、この点は実はよく御承知の通り、もう数年にわたって折衝しておりまするが、最高的な財政の判断から、今年度も再び資金運用部資金の借り入れというような財源的措置に相なっております。なお帝都高速度交通営団の出資の問題でございますが、これまたすでによく御承知の通りに、現在の法律の建前で、この帝都高速度交通営団は国鉄と東京都の出資においてのみまかなうという建前になっておりまして、その他の出資はできないことになっております特殊な公法人でございまして、これは東京の主要な都市交通難を緩和するために、現在地下鉄の促進を急いでおるわけでありますが、この点については、これも下平先生の御指摘のように、こういったものに政府直接の出資でいくべきではないかという意見もございます。また反面においてこの東京の交通の事情は、御承知の通りにその半数くらいは国有鉄道の力によって通勤輸送を解決しておるわけでございます。これに地方から入り込みまする私鉄あるいは都内の都電、バスによって補う以外に、都内の主要なる輸送の根幹は地下鉄でございます。従いましてこの地下鉄輸送というものは、国鉄の特に国鉄電車中心とする通勤輸送と見合って参るわけで、この間の調整をはかる。従って国鉄輸送量と地下鉄の輸送量とその間の旅客相互の調整ということについては、非常に大きな関連がある。従ってここに重大な帝都の通勤通学輸送の半分くらいの役割をになっている国鉄としても、この公共企業体が他の特殊法人の公共企業体である営団とのコネクションを考える、こういう理屈も相立つわけでありまして、その方の理屈によって国鉄と東京都のみが出資し得ることになっております。従いまして御指摘の諸点は十二分に検討を加えました結果、この予算になって現われて参っております、そういういきさつでございます。なお今下平先生も御指摘になり、また一般の国民の方々もお認め願っておりますることは、特に今の国鉄が老朽施設が多い、これを早く何とかしろ、さらにまた輸送力が不足しておる、どうしても早急に、経済の伸展に見合う輸送力拡充あるいは近代化等を行わなければならない。それに対して今日までの国鉄では財政的にもはや余力がない、この点までは皆さんすべて明白なこととして、御了解、御了承を賜わっておると思うのでありまして、問題は、ではこの資金をどうするかというところに来ておるわけです。私ども考えましたのは、これを一部は外部資金——外部資金というのは、大体輸送力拡充で採算に乗りますような事業というものは、これは金利に見合いましても事業的に見ても、外部資金でまかなえるものである、またまかなうべきものだ。その外部資金は昨年度が御指摘のように三百五億、本年度が三百十五億で、十億しかふえてないじゃないか、こういうことでございますが、これはさらにさかのぼりますと、三十年度は多分二百四十億かと思いまするが、要するにそのころから外部資金を極力ふやしたのでございます。飛躍的にふやして参りました。従いましてそのあとを追っておりますので、対前年度では十億ぐらいしかふえておりませんが、通常の今までの姿から見ますると、相当外部資金にも依存しておる量は高いのであります。なおこれは一般の財政投融資あるいは金融政策とも関連いたしまするので、大蔵省とも協議の上、諸般の事情からここに押えたのでありまして、これで一部をまかなう、さらにまたこれは中居先生の御質問にお答えいたしましたように、正当なる原価に見合いまするもの、これは前回御説明いたしましたような経費に対しましては、これは生きるための最小限度のかてとして、このものに見合うものは与うべきであります。これを借入金に依存するということは、企業の経営から非常に不健全でありまして、これが将来累積すればまた再び財政の危機になりますので、今回の運賃値上げ機会には、これは一割三分程度の値上げにとどめたわけであります。従いまして彼此勘案いたしますると、全体のそういった見合いから、今回の運賃値上げの問題、あるいは外部資金問題等については、私どもはいいところではないか、こう思っておるのでありまして、これをかりに御指摘のように一般会計等にさらに依存をいたしますることは、今申し上げました正当な経費の範囲に食い込みまするからして、これの問題になりますと、将来にとっては、国家国民にとっても大きな負担となる、やはり最小限度まかなうべきものはまかない、さらにまた大きな改良については外部資金をもそういうふうにあてがう、これが財政的に見て、最もいいのじゃないか、こういう次第でございます。
  73. 宮澤胤勇

    宮澤国務大臣 大体今政府委員からお答えしたように、私も申し上げるよりないのであります。
  74. 下平正一

    ○下平委員 高速度営団の点と、利子の点について。權田さん、あなたの御見解が数字的にもだいぶ違っております。たとえてみれば、今までの五百数十億の借金は経営の損失の補てんだと、こういうものを出資に繰りかえることがおかしいと言いますけれども経営の損失に一体どのくらい違っているのですか。それは權田さん、うそを言っちゃだめですよ。私の方で、それでは申し上げましょうか。
  75. 權田良彦

    ○權田政府委員 ただいま御指摘の五百数十億の内訳につきましては、実は私資料なしに申し上げまして失礼をいたしましたので、今資料を取り寄せまして、内容について数字で御説明させていただきます。
  76. 下平正一

    ○下平委員 權田さん、私の方もまじめにやっておりますので、御答弁も一つ慎重にお願いをしたいのですが、あなたの方で出しておられる資料からすると、昭和二十四年の運賃改正の時期のずれによる損失の補償、これとして五十億二千三百六十幾ら、そのくらいの金額が出ております。それ以外にはほとんど出ていないわけであります。完全なる赤字補償とか損失補償という意味ではそのくらいしか金額が出ていないようであります。私の方でこれは間違っておれば訂正をいたしますが、少くとも權田さんが言った今までの五百数十億というものは、ほとんどが損失補償の形だというあなた方の御見解は、これは間違いだと思うのです。これはあなたに質問するより、国鉄石井さん、どうですか。石井さんの方からお答えをいただきたいと思います。
  77. 石井昭正

    石井説明員 御指名でまことに恐縮でありますが、私もその方の担当になっておりませんので、資料を持って参りません。ただこれは、私の記憶で申し上げてまた間違っておしかりを受けるかもしれませんが、二十一、二年ごろは赤字財政でございまして、相当の補給金を政府から借金をしておったと記憶しております。資料が参りましてから正確にお答えいたしたいと思います。
  78. 下平正一

    ○下平委員 もう二、三点でやめます。それで大臣と權田さんに一言お願いしたいのですが、ことしはこの予算を見ますると借入金等の返済、これが昨年の二十四億から七十五億にふえておるわけですね。五十一億ふえている。それで私はたとえば旧債の返済を見ておりますと、旧債の返済では昭和二十七年度に一億三千五百万円、昭和二十八年度に二万五千円、これが従来の古い借金の返済をされております。それでこの内容は、ことしはどういうわけで七十五億というようにふえたか。この間大蔵委員会通りました法律が延期になりました。この七十五億、どうしてこんなにたくさんふえてきたのか、内容を少しお伺いしたいと思います。
  79. 權田良彦

    ○權田政府委員 この七十四億の内訳は、今直ちに照会いたしまして正確な数字でお答えいたしますが、このふえたうちには例の三十億ばかり政府が貸しておりましたものを、在来はそれを戻さないことにしておりましたのを、今回今大蔵委員会で御審議中の法案でこれを五年月賦で返すというので五、六億ばかり、それ以外に五百数十億に見合ううちの一部を二十億ぐらい返す。これで二十五、六億円はふえております。その他の部分は、数字あとで詳細に申し上げますが、資金運用部なり公債の償還期の来たものの一部の返却、こういうことになると思いますが、数字は今さっそく取り調べます。
  80. 下平正一

    ○下平委員 先ほど權田さんからお答えになった帝都高速度営団の関係で、これは大臣にお伺いしたいのですが、なるほど今日の法律日本国有鉄道は予算の範囲内において出資云々とこうなっております。しかし法律というものは改正しようと思えばすぐできるわけです。私は權田さんの出す意見を聞いてみますと、まず第一に法律がなっておるからいかぬ、こういうことが一つ意見法律がそうなっておる。私は法律なんというものはそのとき条件条件によって幾らでも変えることができると思うのです。法律よりもその出資しておることの妥当性がどうかということが問題になってくると思うのです。そういう点で大臣に一つ御見解を伺いたい。  それからコネクションのお話がありましたけれども、もし国鉄と東京都付近の地下鉄がそれほど密接な関係があるとしたならば、何も出資などとそんななまぬるい形でなくて、国有鉄道経営したらどうですか。その方がきわめて、どだい交通網が非常に発達をし、ないしは交通が混雑しておるという中には、交通に対する秩序、統一性が欠除しておるということが大きな問題になると思う。たとえば東京都の乗り入れの問題についてもいろいろ問題があると思う。もし本格的におやりになるなら国鉄経営してもいいじゃないか。あるいはまたその間の調整等については運輸省は、權田局長もおられるので、幾らでも運輸省の立場で、何も運輸省が出資しなくてもその間の調整というものが十分とれるのじゃないか。出資ということと帝都を中心としたところの交通の緩和ないしはその間の調整ということは、おのずから私は別の観点だと思うのです。何も出資をしなくてもできることだとこう思うのですが、これは権田さんでなくて、一つ大臣にお伺いをしたいと思います。
  81. 宮澤胤勇

    宮澤国務大臣 国鉄から三億円ですか出資しております。それが適当であるかないか、また交通営団を国で直接やってもいいじゃないかというような今の御意見に、実は私はっきり意見を申し上げるだけまだよくわかっていないわけであります。それですからそれらのことはなるほど御意見もありますから、もう少し考えさせていただいて、今のところ私に返事をしろといっても意見が立ちませんから、従来のいきさつを局長から申し上げさせます。
  82. 權田良彦

    ○權田政府委員 御説明申し上げます。さっきちょっと申し上げました七十四億の返済、数字については後ほど申し上げますが、三十億を五年月賦で五、六億ずつ返す。今大蔵委員会で御審議願っております法律案は、実は四月に三十億払わなければならないので、それを改正していただいて、五年月賦にしていただきたい。ちょっと説明が不十分でありましたから補足さしていただきます。  今の東京都の交通難緩和に関するいろいろな問題、特に帝都高速度交通営団の問題につきましては、これはすでに先生の方がよく御承知だと思いますが、これは例の交通調整法というのが戦前にございましたが、非常に長年月にわたって検討いたしました。それまでは御案内のように、ばらばらに乱立しておったわけであります。これでは都市交通の緩和ができない、都市交通形態としては適当でないというので、これはおそらく日本でもああいう公共企業体みたいなものの先駆者に近いものでございますが、大統合をやりまして、それでいろいろ東京都の都電の問題、近郊の私鉄の問題にあわせて、都内の地下鉄は一元化する、それには特殊の公法人にするということで踏み出した歴史がございます。それが戦後の形態においてもきわめて適切なものでありますので、先ほど来の論拠で、これは他の資本参加は認めてないのであります。そのために国鉄と東京都だけでやっておるのであります。これを国鉄にしてしまったらどうか、こういう御議論もまた事実ございます。御承知のように東京都の都政審議会でございますか、この方でも長年検討しておりますし、運輸省も十分腰を入れまして、御案内のように都市交通審議会というものを、法律運輸省に設置していただきまして、ここずっとやっております。これらが出しております今の答えと申しまするものは、将来においては大都市の交通機関経営形態というものは、何らかの方法でもって大統合、一元化と申しますか、特殊なものを作るべきである。これはすでによく御存じの通りに、たとえばロンドン、ニューヨーク、パリその他世界の地下鉄というものは、大都市にしかございませんけれども、そういうところではある程度の一元化が進んで、進歩した機構を持っておられます。日本においても種々検討の結果、理想論としては将来そうなるべきである。しかしそのときにも、世界各国の例もそうでございますが、今私どものそういう審議会等でいただいております結論も、またわれわれの考えも、いわゆる今日の国有鉄道と一本化すべきであるという議論はまで出ておりません。そうでなくして、むしろ国有鉄道等においても、大都市といえども、その都市内の交通については、これを分離すべきではないかというような意見がかなり多いのでありまして、これを分離して資本参加と申しますか、何らかの経営参加の形で、別企業体、もちろんこれは公共企業体の一種ですが、こういうものでやるべきである。しかし今にわかにこれでやれといっても、これは今の経済事情その他からできるものでない。外国の例なんかは、大体都市交通というものは、金がかかる割に収入が上らない。特に今後入れていく金がペイしない。たとえば地下鉄で申しますと、東京あたりではキロ十四億くらいかかる。しかしキロ当りの収入が一億なんということはちょっと考えられませんから、その償却と利子だけで参ってしまう。そういうような実情です。経済的な窮迫状況から、ロンドンやニューヨーク、パリ、ベルリン、そういうものが今日まででき上っているようでありますが、東京においても一挙にはこれは無理である、こういうことできておりますので、ただいまの段階では、私ども営団の形態というものは最も適当なる都市交通難緩和の形態ではないかと思うのであります。そういたしますと、これと国鉄との関係でありますが、これはやはり先ほど申しました関係で、東京都と国鉄の出資による特別な公共企業体という形態を持たしめることが最も適切である。そのために、法律があるからつける、法律がございますれば行政的につけるのでありますが、さらにそういう点も考慮いたしまして、この法律改正するという意思はないわけでございますので、妥当であると思いまして、今年度も三億の出資をいたしております。これに見合います出資が東京都から出ておるのでございまして、御案内のように、あれは大体出資の十倍までの借入金ができるのであります。その借入金によって、昨年度の四十何億の工事費を今年度は六十何億に、五割くらいふやして、現在の新宿まで工事しておりますのを、工事速度を上げて交通難緩和にこたえたい、こう思っておる次第でございます。
  83. 畠山鶴吉

    ○畠山委員 二、三お尋ねしてみたいと思います。運賃値上げに関しまして、ここ一週間ほど野党である社会党のお歴々と委員会はほどんど独占の形で、きょうの委員会もわが党は一人しか見えないのでおしかりを受けたのでございますが、関連をいたしまして二、三お尋ねしてみたいと思います。  運賃値上げについては、私は再三値上げ委員会に参加しておりますが、いつも同じような理由値上げをされておりますけれども、実際の運営方法については、ある一部分は申しわけ的に実行に移されておりますが、ほとんどがから手形同様に終っているから、毎年毎年かようなことを繰り返すことは、はなはだ私は遺憾と存ずる次第であります。決して与党だがらといって、ただうのみにして賛成ばかりいたしますと、何だかおかしく見られる点があってはいけませんから、私は考えましたことを率直に申し上げるのですが、私は二十四、五年から運輸委員をいたしておりますが、二十五年でありましたか、そのときに国鉄の資産が幾らあるかというと四十億円、しかもそのときに借入金が四十億円だ。それで吸収、合併の形で、その当時の見返り資金といいますか、その金を国鉄が使うということが国鉄の原案でありましたが、私ども委員会はこれに絶対反対いたしまして、借入金なら了承するが、どうも合併というような形では絶対に了承することができないといって、最後までがんばって借入金になっているはずでありますが、その後これらの問題はどうなっているかということについてお伺いしたい。国鉄は申すまでもなく大企業体であります。悪い言葉で言えば老朽でもありますから、いろいろやりにくい点と欠点が起ると思いますが、これもまた、形を変えまして民間の会社でやったならば、かようなことをいたしておったならば、理屈は抜きにして、もうとうにつぶれていなければならない。理屈はいろいろに答弁されておりますが、実際問題はそういうことになるのではないか。これはどこに欠陥があるかということを申しますと、たとえば民間の交通会社にいたしましても、一番世間からやかましく言われているような二、三の会社は、まだ労働争議を起したことがない。それでその経営者はけちんぼとか、しみったれとか言われておりますが、実際において労働争議が起っていないということは、何か運営上にいいところがあるからだと思う。国鉄が再三お言葉にある通り、りっぱにうまくいってるならば、労働争議なんか起っているはずはない。私ども委員会で再三にわたって公務員の給与等につきましては、いつでも双手をあげて値上げに賛成している。しかるにこの問題が繰り返し繰り返し起るということは、国鉄にその責任があるか、そうでなければ労働組合に責任がある、また野党である諸君があまりおだてるのに対して、そういう問題が起ってくるのか、私どもは判断に苦しむところがあるのであります。私はいつもすべてを温厚に解釈しておりますが、ただ民間の交通業者なんかの例を見ましても、大いにこれは研究して改善するところが多々あると思う。これらの点につきまして国鉄総裁初め幹部諸公は、一段と改善の方法をとっていただきたいと思うのであります。その他こまかいことを言いませんが、先ほど松尾委員からもお話がありましたが、ガード下を貸していろいろな問題が起っております。その他広告すれば広告料も取っているし、大きな商店でいえば店先の、駅頭をデパートに貸したりあるいは商店に貸したり、少しみっともないようにまで経済の確立をはかっているにもかかわらず、それでも利潤がないということは、どこか抜け穴があるのじゃないか、おかしいと思うところが私はたくさんあると思うのでありますが、根本問題についてこれらの点をどういうふうにか改善することを考えていただきたい。それから公務員との関係につきましても、公務員の要求もいれて、りっぱな鉄道の公務員としてその使命を果していただくように、事の起らないように事前の方法をとっていただきたいことを私は特に希望するものであります。まず第一番に四十億円の問題につきましてちょっとお伺いしてみたいと思います。
  84. 石井昭正

    石井説明員 畠山先生が御関係になりました当時昭和二十四、五年のころ、政府の出資金、いわゆる国鉄の資本金はたしか四十九億でありました。それはそれまでのいわゆる国鉄の施設がその当時の価格、戦前の価格累積したものでございまして、これは今日では再評価いたしまして、時価にいたしますと二兆一千億程度でございますが、経年減価を差し引きますと現在価格は一兆一千億程度になっておるかと思います。そのうちで公共企業体発足以後の分を差し引いた残りは、政府の出資金増として組み入れて資本整理をするのが当然ではないかと思います。それはただいま再評価積立金という形で貸借対照表に上っております。それからそのときにたしか見返り資金関係から、百五十億という金が国鉄の方に回ることになりまして、それを出資でやるか借入金でやるかというので、いろいろ御論争があったことを記憶いたしております。これは借入金でやりましたが、その後法律改正いたしまして、政府から直接見返り資金を受けないで、政府が見返り資金を受けてそれを国鉄に出資するというふうに法律改正して四十億追加出資したので、ただいまは八十九億という格好になっているのが、現在の貸借対照表の資本金の額でございます。
  85. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 いろいろ国鉄の企業につきまして御意見を拝聴いたしました。私率直に考えますると、現在国鉄の財政が不如意で、運賃値上げをお願いいたさなければならぬという理由は、いろいろの角度から検討されなければならぬ問題だと思いまするが、まず私が考えますには、やはり運賃が現在の物価の趨勢に合わなかったということが、一番大きな原因ではないかと率直に申し上げたいと思います。実は国鉄は石炭、まくら木、レール、車両、セメント、木材というような、国鉄で現在の資産を維持し、また列車を運転するに必要ないろいろな資材を購入いたしておりますが、その資材は年間約一千億円以上に上っております。そのうちで私がただいまあげましたような資材が大部分を占めておるのでございます。ところが石炭は戦前から比較いたしますと五百倍くらいになっております。それからレール、まくら木、車両は大体四百倍くらいに上っております。そのほかのセメント、鋼材等もかれこれ三百五十倍以上になっておるのでございますが、運賃が戦前に比較いたしまして、旅客貨物の平均が百五十倍にもなっておりません。やはりそういうところのアンバランスがございますので、私どもは各方面に節約を重ね、あるいは先ほど先生がおっしゃいましたように広告料も上げる、貸付資産の貸付料金も上げるというようなことで、いろいろ増収もはかって参りましたが、実はとうていそれで及ばなかったのでございます。戦前におきましては料金が物価と見合っておりましたので、償却に見合う工事は十分できておったのでございますが、ただいま申し上げましたように一般の諸物価が上り、それに対して運賃が一定に置かれましたために、今回多少の運賃値上げをお願いすることの余儀なきに至ったのでございまして、先ほど運賃が百五十倍と申し上げましたが、今回は戦前に対する百五十倍の一割三分でございますから、まだ現在の諸物価の値上りにはとうてい及ばないのでございますが、増収もあり、私ども企業努力を十分尽して何とかやっていきたい、かように考えておる次第でございます。  それから労働問題につきましていろいろお話がございましたが、ほかの私鉄はしなくて国鉄だけがするとおっしゃいましたけれど、ほかの地方鉄道でもずいぶん労働争議は聞いておりますが、かりに労働争議のない会社も、それはあると思います。今後そういう点につきましては私ども深く研究して参りたいと存じております。
  86. 畠山鶴吉

    ○畠山委員 ただいま副総裁お話は非常に温厚なお話でありまして、現在のままでいくならばごもっともな御意見でありますが、物価が高くなるとか物が高くなるということは、これは国だけの問題でなく、日本全国といいましょうか、世界じゅうの問題でありまして、かようなことはもう考えに入れてあることと思いますから、私は強く申しませんが、結局そこで運賃値上げするとかなんとかすることは、公務員等にもりっぱに、楽しく、総裁が言われたように働いてもらうようにもするし、すべての欠点も補い、欠陥も補ってやるというところにあろうと思うのでございます。それは、いつも言われるように経営合理化というところに言葉が尽きると思いますので、値上げとか値上げでないとかいうことになりますと、一般の物価をつり上げる言葉をそこへ出しておるような結果になりますから、今回もし値上げが通った場合におきましては、そういうことなくして、すべて言われたことを実行に移して、この次の委員会のときはこういうふうにりっぱになりました、国鉄はこういうふうに改善されたということを国民に示していただき——さっき野党からおしかりをこうむったようですが、私は野党の味方です。いつも野党の言われるようにすべて要求に応じてもっと十分に働いてもらって、成績を上げるようにしてもらいたいというのが私の希望でもありますし、私ども若干営業をいたしております関係上、やはり使用人に働いてもらう以外に手はないのですから、十分承知しておるつもりであります。  そこでもう一つ、この四十億円の問題につきまして石井常務理事から回答がありましたが、現在この金の取扱いは借入金になっているということであります。私どもは、その当時伺ったときにはアメリカの特殊関係に置かれる借入金だということを強く聞いておりますが、現在ではただ単なる借入金にこれが振りかえられておるのかどうかという点をもう一ぺんお伺いしたいと思います。
  87. 石井昭正

    石井説明員 お尋ねの四十億は、これは政府が出資して——政府が見返り資金から政府一般会計に入れまして、一般会計から国鉄に増加出資したという形のものでございます。その前に御議論のありましたのは、百五十億だかの見返り資金からの借入金、これはあのときはたしか見返り資金からの借入金であるから、利息を払って金を返せば問題はないじゃないかということになったわけであります。
  88. 權田良彦

    ○權田政府委員 ちょっと先ほど数字がなくて不正確に申し上げました点を正確にお答え申し上げます。  第一は、五百八十億ばかりの一般会計からの国鉄負債になっている分でございます。このうち、ラウンド・ナンバーで申し上げますので、ちょっと帳じりが合わぬかもしれませんが、五百三十八億ばかりとほかに五十億があるわけであります。この五十億が、先ほど申し上げましたそのうちの三十億がこの四月に期限が来る、これを今度法律改正をしていただいて、五年年賦で返すようにしたい。それから二十億は無利子、無期限でございます。この五十億は運輸省の債権として整理しておる、三十億については運輸省へ返してもらってまた一般会計へ返す、こういう格好になります。残りの五百三十八億は、赤字補てんが百三十億でございまして、残りの四百億ばかりは主として建設公債でございます。以前鉄道の建設線は建設公債でやっておりましたその引き継ぎでございます。従いましてこれについては、建設線の場合に出資すべきであるという当委員会の御意向その他について、私ども努力しております今の建設費の問題と同様に取り扱われておりまして、ただいまのところでは建設線の出資という措置はとれていない、こういうことになっております。実はそれ以外に、政府からの借入金でコーポレーションに移行する際に帳消しといいますか、棒引きした分が相当巨額なものがあるわけであります。この赤字の方と混同して説明いたしまして申しわけありませんが、正確にはこうでございます。  それから本年度予算の七十四億四千万円ばかりの借入金返還内訳でございます。この内訳が、その二十四億は、今の五百三十億に見合う分の返還金、それからその五十億の運輸省で整理しておりますうちの三十億の本年度分が六億、それからこれとは関係なく先ほど資金運用部からの長期負債を申し上げましたが、これに対して二十六億返します。それから公募債鉄道債券に対して償還期の来たもののうち十七億返します。合計七十四億、そういう内訳でございます。さよう御了承願います。
  89. 畠山鶴吉

    ○畠山委員 私は関連した質問ですからこのくらいにいたしたいと思いますが、私の申し上げることは、今後国有鉄道がりっぱに国民公共企業体としてその任務を果してもらいたいという言葉に尽きるのでありますが、しかしこの国鉄の問題は、しゅうとさんが多くて、経営に当っている方が非常につらいことは百も二百も私どもは承知しておりますが、衝に当った以上はそれを何とか知恵のあるところでうまくやっていただきたい。これが民間の会社であれば重役賞与ももらったり、いろいろの利益の配当もしたり、いろいろな税金も取られなくて、いろいろいい面も悪い面もあるのですが、国有鉄道は、いろいろの理由はありますけれども、まだまだ民間の会社よりも経営状態においては非常に楽なところがある。われわれからいうと、まだすきがたくさんあるのですから、やりようによったらまだ一段の改善ができるかと考えておる次第でございます。どうか今後の経営についてはなお一そうの万全の努力を払っていただきたいことをお願いして終ります。
  90. 淵上房太郎

    淵上委員長 小山亮君。
  91. 小山亮

    ○小山(亮)委員 ちょっとお伺いいたしますが、私は宮澤運輸大臣をいじめるわけではないのですが、さっきのあなたのお言葉の中に、自分は大臣に就任したばかりだから、まだ勉強していないからどうも返事ができない、いずれ勉強してからというふうなお話があった。それは、こまかいことについてはそういうお話もやむを得ないとも考えますが、東京とか大阪とかいう大都市周辺の交通の問題、この大都市周辺の交通が実に複雑であって、何ともしょうがないような状態になってきております。現在の東京周辺の鉄道を見ましても、私鉄だけでも西武があり、東武があり、東急があり、京王帝都があり、京浜があり、あるいはそのほかに小田急があり、それからバスに至っては都営のバスからいろいろあって複雑きわまりない。しかもまた人口がどんどんふえておる。車もどんどんふえておる。これを一、二年放置したら容易ならぬ問題になってきやしないかとだれも考えるので、大都市周辺の交通の問題は諸外国等を調べまして、どんな方法でやったらいいかというのでみな心配していろいろ考えておる。でありますから、いやしくも運輸行政を担当しようというならば、この程度の交通行政に対するところの自分の信念というものがなければ、運輸大臣を引き受けられたのがおかしいと思う。いやだいやだと言うのを無理に運輸大臣にされたのではなくて、あなたは自分で喜んで承知をされて運輸大臣になられた以上は、どんなに時間が短かくても、たとい夜自分が休む時間をさいても、この程度のものは、大綱のことは御勉強なさるのは当りまえではないかと思いますが、これを知らぬ知らぬでやられると——この前にあなたの片腕である運輸政務次官も自分の就任前のことであるからわからぬと言って逃げた。運輸大臣も勉強していないからわからぬと言って逃げられたら、一体私たちこの委員会は何のために存在するのかということなりますから、国会運営上の重大な問題でありますから、一体いつになったら私たちがあなたに質問できるのでありますか、その御答弁のできる時期をお知らせ願いたい。
  92. 宮澤胤勇

    宮澤国務大臣 この都市交通の問題は私も実はしろうとでありますけれども、就任以前から東京都を中心とする交通については、非常に考えなければいかぬとかねがね考えておりました。そこで都市交通審議会ができてわれわれの同僚もそれに入って熱心にやられておったので、それから就任いたしまして一応の話は聞いておりました。またこの都市交通審議会の方々は、普通の審議会の委員と違って非常に熱心な努力をして、結論も一応得られておる。その線に沿ってこれはいかなければならぬという点だけは私も承知しております。同時にこれが、ただいま下平さんからの御質問にもありましたが、その範囲内において、たとえば地下鉄の営団をどの程度にするか、どれにどうやらせるか、またどことどこを連絡させて、一つ乗り入れでも考えるかというような具体的な問題は、一つしっくりと話をやり、さらにもう少し検討して、考え方をきめていきたいと考えておるわけでありますので、お話のそういうこまかい点について、これを一つどうするかということは、まだここで御答弁申し上げるわけにはいかない、こういうことで、もし具体的ななにがありますれば、それは一日、二日考えれば御答弁できるのでありますから、そういう御要求があれば個々の問題については、一つ今晩でもしっくり聞きまして御答弁申し上げたいと思います。
  93. 小山亮

    ○小山(亮)委員 今のあなたのお話だと、都市交通審議会の一応の案ができておる。その案をあなたがごらんになって、その線に沿ってやっていきたいと思っておられる。できましたら、その審議会で審議しました案の大綱を、こまかいことは言いませんが、ごく骨の大ざっぱなところをどうするかということをお話し願いたい。
  94. 宮澤胤勇

    宮澤国務大臣 そのどうするのだということについては、もう少し私にその余地を与えていただきたい。一応この案について、まあこれでいくのだという太い線はこれでやって参るが、このうちをどうするかということは少し検討させていただきたい、こういうことであります。
  95. 小山亮

    ○小山(亮)委員 それはどういうことですか。今たくさんの鉄道がありますね。私鉄をどうしようというのですか。
  96. 宮澤胤勇

    宮澤国務大臣 それを一つ一つどうしようということより、この案全体を太い線で推し進めていけばいいのです。
  97. 小山亮

    ○小山(亮)委員 その太い線とはどういう線ですか。
  98. 宮澤胤勇

    宮澤国務大臣 太い線とは、地下鉄を営団にも作らせる、東京都にも作らせる、それから民間の計画しているものに対してある程度の考慮を加えていくというようなことで、交通審議会の今の行き方は地下鉄中心ですから一応……。
  99. 小山亮

    ○小山(亮)委員 それでは今は無理だからこの次伺いますから、もっと一つ真剣にやって下さい。  それから国鉄総裁に伺いますが、今国鉄には非常な汚職、疑獄が起きて困っております。聞くところによれば、これを解決するためにはどうしても特別法を作らなければいかぬ、特別法でも作らざる限り、現在のあのガード下の問題なんかは解決がつかぬ、従ってその特別法を考慮中であるということをおっしゃいましたが、もしその特別法を考慮中であるならば、それがこの国会に出ますかどうか。これは運賃を決定する上においてきわめて重大な問題であると思う。もし運賃を増額することがかりに必要なりといたしましても、その増額運賃がどこに使われてしまうかわからないというような疑惑を持っておりますと、どうしても運賃増額というものに賛成しないのは国民感情として当然のことです。それでありますから、たとい運賃を増額しても、あるいは国鉄に利益が十分に出てきても、その利益というものは決してどこへも消えてしまうものではなく、それはちゃんと残って、ガラス張りのように国民の前にそれが明示されるということがはっきりしておりますれば、あるいは値上げということも国民は許すかもしれません。従ってこの特別法を設定するかしないかということは非常に重大な問題でありますので、あなたの方にこれを設けられる御意思があるかどうか、もしあるとすれば今国会に御提出になるかどうか伺いたい。
  100. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 ガード下の問題については、不祥なことが起りまして深くおわびを申し上げておる次第でございます。それで私どもは、今後こういう種類の事件を繰り返さないようにするために万全の措置をとって参りたい。そのためには監察の強化をいたしたり、あるいは特殊の機構をこしらえたり、いろいろな対策を講ずるとともに、法律上からも検討してみたい。その結果特別法が必要ならば特別法を研究いたしたいと思いますが、特別法を今直ちにはっきりした形で今国会にお願いするというふうな、決定的な段階に至っておるわけではございません。ただ私どももばく然と申し上げたわけではございませんで、現在の国鉄の財産の貸付につきましては法律上疑義のある点がございますので、そういうこととにらみ合せて申し上げた次第でございます。その疑義のある点と申しますのは、たとえばガード下は室間ではございますが、私どもの方ではその上部が事業用財産でありますので、この室間の貸付も公物として貸し付けて参りたい、こう考えておりますが、あるいはこれに対して、ガードの上の方は必要な財産であるが、室間は国鉄が必ずしもこれを必要としないのであるから、これは公法的な契約でなくともよいのじゃないかという説もあります。それからガード下の貸付については、私どもは必要がある場合にはいつでもこれを解除し、しかも損害賠償をしなくとも済む公法上の契約として参りたいのでありますが、これは通説と申し上げると少し言い過ぎでありますが、国鉄はなるほど公法人であって、その業務上の活動は法人としての活動であるが、高架下の貸付のような鉄道本来の仕事でないものは私法上の活動ではないか、私法上の活動であるとすれば、借地借家法の適用がある、借地借家法の適用があるとすれば、この契約を解除する場合に、建物ではたしか三十年、用地については五十年ですか、その残存年数についての損害賠償をいたさなければならぬ、多分借地借家法ではそういうふうな趣旨だったと思いますが、借地借家法の適用をはっきり解除いたしたい。それにつきましては私どもの方ではそう考えておりますが、そういうことが法律上明確に裁判所で必ず勝つというふうなところまで行っておりませんで、そういうふうなところはもう少し各方面の権威者の御意見も聞いて慎重に考慮し、その結果どうしても特別法が要るようであれば、関係の筋にお願いして、そういう法律を作っていただくことに御努力願いたい、こういうことであります。
  101. 小山亮

    ○小山(亮)委員 どうもこの間十河総裁の言われたこととあなたの言われたこととは違う。総裁はこの疑獄事件に対して、実にこの問題は遺憾にたえない、しかしどう研究しても、契約として安く貸したのは、請求されたらいつでも返すという契約で貸したのだから、勢い高い料金は取れない。従って安く貸したのだ、それが累積して、今度すわり込んで動かない、それをやろうとすればいろいろな妨害が出てくる。だからこれはどうしても特別法を作らなければいかぬというので、その方針をきめて現在審議研究していろいろやっているのだ、なるべく早く出すからということを言われたのですが、あなたのお話だとそうでなくて、やろうかしらん、どうだろうかという程度なんです。それだといつ出るかわからないのですね。出すか出さないか、それがいつ出るのかということがあなたの方で返事ができたら私は伺いたい。それは運賃問題に対する私どもの態度をきめる上に重大な問題なんです。正確なことは、材料がなければあとでよろしゅうございます。
  102. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 それでは後ほどにいたします。
  103. 小山亮

    ○小山(亮)委員 もう一つ伺っておきたいのですが、今国鉄の疑獄が起っておりますが、ああいったような財産、たとえばガード下の敷地の賃貸料、それから建設予定地であってもうすでに鉄道は建設をしないというので土地がよけいに残っておる、そういうものを人に貸してあるというような場合、あるいは宿舎であるとか駅の中にある売店、ああいうものは現在の貸賃で果して妥当であるか。国鉄運賃を上げるならば、むしろそういうものをまずできるだけ許す範囲内において家賃を上げていき、そういうような国鉄の収入をはかっておいて、それから後に運賃値上げというふうに行かなければいけないのじゃないでしょうか。  それからもう一つ、あなた方の方がガード下なんかの問題を調査されて、今のままで一万何千坪のあの土地を直接国鉄がお貸しになった場合には、どれだけの収益が上るかというようなことも御調査なさいましたか。推定でもあなたの方で調査なさっておいでになるのじゃないかと思いますが、材料がありますか。
  104. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 衆議院の決算委員会総裁が、今後の財産貸付に対しましてかくかくのことをやることに努力いたしますということを話しました。それはこういうことでございます。全部読みましょうか。——法律関係だけについて申しますと、高架下等管理の適正化に関する措置要領としての第四番目に「国鉄の固定財産貸付に関する法律関係を明確にするため、さらにその整備等を検討する。」こう申し上げております。それですから、これはいろいろ居住権等の問題になって参りますので、法律は慎重にいたさなければならぬので、そういう点は研究いたさなければならぬ、こう申しております。それから用地その他の貸付にいたしましては、これは始終検討して参りまして、一定の基準がございます。貸付料金の算定の基準がございますし、また東京と大阪に評価委員会というものが設置されておりまして、その評価委員会の御意見を聞いて適正な料金で貸し付けておりまするが、これも再三値上げをいたしております。
  105. 小山亮

    ○小山(亮)委員 私のお尋ねしているのとちょっと線が違うのです。もう一度私申しましょう。現在幾らで貸しておるか。国鉄から中間において団体が借りて、そして今最終的に使っている人に貸していましょう。それはどのくらいの値段で貸しておるかということの御調査はもうなさいましたか。それから評価委員会、評価委員会とおっしゃったが、あなたの方の評価委員会が評価される額と、現在使っている者に貸している額と大へん差がありましたかどうか、それを伺いたい。
  106. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 第一の直接の借り受け人から転貸のないことはないのでありまして、その最終の賃借人に対して最初の名義人が取っておるさやは幾らか、こういうお話でございますが、それはいろいろ種々ございますので、この場所はどうかと御指定されれば……。
  107. 小山亮

    ○小山(亮)委員 全部です。総額です。
  108. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 それは目下調査中でございまするが、何と申しましても上野−新橋間にこま下で多分六、七百ございまして、従来の貸付人からずっと現在までの資料だけでも東京鉄道局に山のように積み上っておりますので、それを現在一つ一つ調査中でございます。それでここからここまでの区間とでもお示し下さいますれば、できるだけ早く調査いたします。
  109. 小山亮

    ○小山(亮)委員 鉄道のガード下の問題というのは、きのうきょう始まった問題ではなく、前々の国会からいつでも問題になっておったことなので、それが山のようにあって御調査ができないということになりますと、これから何年後には調査ができますか。私は総額を知りたい。すっかり御調査なさるのは何年後ですか。
  110. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 何年とはかかりません。
  111. 小山亮

    ○小山(亮)委員 何カ月ですか。
  112. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 これは調査でございますので、そう短兵急に仰せられても、今すぐに何カ月でいたしますとお約束はできませんが、できるだけ急速に努力いたすつもりでございます。
  113. 小山亮

    ○小山(亮)委員 鉄道にこれほど国民がいろいろ疑惑の目を集中しておるのに対して、あまりにも国鉄はのんきすぎはしないでしょうか。またいずれ議会でも終ってしまえば問題が過ぎるのだから、また与党が多数でおるから、しゃにむにこの運賃値上げを強行してしまいさえすれば、といったような非常に安価な気持で考えておいでになりますが、現在の日本は明朗な政治を望んでおる。これは社会主義がいいとか、資本主義がいいとかいうようなけんかでなくて、大衆は明朗な政治を望んでいるのです。しかも私ども少くとも信用したかったのは、私は戦前の役人、官吏をよく知っておるが、少くとも名誉のためには、自分が人からいやしくも疑られるようなことがあったら、これは自分が生きておられないくらいの屈辱だと感じた。あの時代の官吏の諸君の気持が今日戦後の官吏の人たちの中には、全く地を払ってなくなってしまったのじゃないかということを非常に私は憂えるのです。私は、疑獄があった、汚職があったと言われるだけで、身を切られるようないやな気持であるはずだと思うのですけれども、それを、もう少したてばそのうちに何とかなっちゃうだろう、そうしたらほおかむりしてまた一議会向うにつくまでいいのだというふうな、何か疑獄になれっこになって、当りまえのような、どこの省にもあるのだから、おれの方ばかりじゃねえといったような気持になったんじゃないかということを心配するのです。ですから、きれいな政治、明朗なことをやらなければ国民は信用しません。運賃値上げするとかなんとか言ったって、片方に何をやったかわけのわからぬことをがしゃがしゃやって隠しておいて、それで足りないから上げろ上げろといったような請求をされるような感じを国民がしております。それはあなた方は大衆の前に立って、国鉄の問題で街頭で大衆の声でも聞いてごらんなさい。大へんなことを言っておりますから。それを考えまして、もうこれからはこんなことはいたしません。あれからはいたしませんということを私は聞きあきた。もう今までの議会に鉄道会館問題、洞爺丸問題、紫雲丸問題、またこういうような問題、参宮線問題と、毎議会あなた方の総裁が声をふるわして国民の前に申しわけないと言わないことはない。それを言うと一カ月くらいは悲壮な顔をしておるけれども、それが過ぎるとけろりと忘れちゃって、またその次の事故が起きてまた申しわけない。これじゃどうもあまり無責任過ぎると思うのです。そこで私どもは今度はこういうことはやらないというならば、どうしてもそういう間違いが起るはずがないといったような何か一つ作らなければならぬのです。非常立法だとか、特別立法であるとか、とにかくそういうものを作って、これからはこうなるこうなると納得せしめなければ無理じゃないでしょうか。それを私は伺っておるのです。たとえば今のこのガード下の問題でさやをこれだけ取られた。これを法律でなくなせばこれだけの収入があるということになりますれば、それだけで運賃値上げしなくても済むじゃないかという気もするのです。そういう点から考えまし、もう少し納得のいくような材料を私どもにお示し願いたい。私どもは聞きたいことも聞けない。聞けば知らない。よくわからない。きょうは材料を持ってこなかった。大臣に聞けばまだ勉強してないと言うし、次官に聞けばおれの前だから知らないと言うし、それじゃめちゃくちゃですよ。委員会を休んでいた方がいいと思うくらいです。私どもが納得のいくような材料をお示し願いたい。ですから今おっしゃるガード下の問題ですね。大づかみでいいから大体どのくらいのさやが中間の団体に行っているかくらいお示し願わなければ、何が山のようにあるか知らないが、山のように書類があってわからないじゃどうも話になりませんね。一つどうか誠意のある御答弁を願いたい。
  114. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 今回ガード下で不正容疑が起りました点については、実は運賃値上げをお願い申し上げているときに、そういうことが行われつつあったということを承知いたしまして、ほんとうに一番情なく残念に思ったのは、国鉄と申しますか、総裁だったろうと思います。私もまことに身を切られるようなことでございましたが、それで総裁は、それに基きまして議会にもおわびを申し上げましたし、今後の施策としてはこういうことをいたしますとお誓いしましたのがこれでございます。先ほどの前段にございまするが、高架下等管理の適正に関する措置要領といたしまして、一が「三月中に部外学識経験者及び関係官公庁職員をもって構成する特別委員会を設置し、高架下管理の適正化に関する基本方針を樹立する。」二が「東京都区内の土地建物、高架下管理の現場執行業務の強化をはかるため、三月十五日をもって東京鉄道管理局に管財区を設置する。」三「現在の不法占拠対策関係については、関係官公署の協力を求め、行政権の発動、訴訟等の手段により積極的解決を推進する。」四が先ほど申し上げました「国鉄の固定資産貸付に関する法律関係を明確にするため、所要の規定の整備を検討する。」こういう決議ができまして、特にガード下について不正事故の二度と起らぬように強力に進めて参りたい、こういうことでございます。
  115. 淵上房太郎

  116. 松尾トシ子

    松尾委員 先ほど畠山先生の御質問に対して、小倉副総裁の御答弁がございましたときに、戦前は運賃は諸物価と見合っておった。戦後になってから、あるものは二百倍、三百倍、あるいはそれ以上だけれども国鉄は百五十倍、こういうお話がございましたけれども、戦後になりましてからの低額所得者が非常に多いところへ、まだまだそういう人たちにおきましては、エンゲル係数も高いというときですから、戦後と戦前とを比べてみますと、家計費に交通費がどのくらい占められているかということは、戦前が一・三%、戦後は二・七%になっているというふうに、朝日新聞の論説委員が発表しているのです。こういう点なんかもございますから、なかなか今回の運賃値上げには承知ができないという大衆世論ではないかと思うのです。副総裁お話を聞いておりますと、運賃はまだ安いから上げる余地があるというふうに聞えるのですけれども、こうした都市中心の生活の内訳お話ししたり、あるいは聞いている人たちには、どうしても納得できないし、私たちなんかは横浜から通っているのですけれども、毎日々々みなサラリーマンは立ちんぼで行っておる。ああいう人たちと内容のはっきりしない運賃値上げなんか、恥かしくてちょっと言えないという状態にあるのですから、この点も含めてお考えの上、今は決して生活費の中の交通費というものは、そんなに安いものではない。特に低額所得者の場合には安いものではないということを、よく念頭に置いていただきたいと思うのです。
  117. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 私の表現があるいは悪かったのかもしれませんが、先ほど申し上げましたのは、運賃値上げで御迷惑をおかけいたしましたが、どうして赤字が出るのかというふうな御質問に対してお答え申し上げましたので、運賃値上げは当然であるというようにお聞き取り願わないようにお願いしたいと思います。これは当然であるというのではなく、お願い申し上げておるのでございます。それから家計費に占める交通費の割合はたしか現在でも二%ぐらいだと記悳いたしております。大体一番多いのは、もちろん飲食費でございまして、これが四六・九%になっております。資料を差し上げましたので、あるいは御承知だと思いますが、詳しいことは別といたしまして、交通通信費が三十年度で一・八%になっておりますが、これは交通通信費でございまして、通信が相当入っております。この内訳は存じませんが、また交通費といたしましても、この中には私鉄に乗られる方もあるし、バスに乗られる方もあり、そういうのを全部ひっくるめまして、交通通信費が現在の生計費中一・八%になっておるわけであります。
  118. 淵上房太郎

    淵上委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十三分散会