○中居委員 今の
総裁の答弁から受ける全体の感じというものは、国有鉄道の
運賃をもっと気軽に、もっと楽な
方法で
値上げする
方法を講じたい、
値上げする機関を持ちたい、こういうふうに私
どもは受け取るわけでございます。それはあなたが国有鉄道の経営責任者として、あるいはそういう心境に立たされることも否定できない事実かもしらぬわけでございます。しかしながら国有鉄道というもののわが国
経済に及ぼすところの影響、これに対する国民の期待というものを
考える場合に、むしろ
運賃というものは、私は政治的に大いに論議して、政治的な配慮を払って、国全体ということを
考えて、なるべく上げにくいような
方法、制度のもとに置くということが妥当じゃないか、こう思うのです。しかし一面、国有鉄道も
一つの企業でありますから、私
どもはもちろん原価をそこなうような
運賃をもって
国鉄に赤字を背負わせて、
国鉄がその
施設を食いつぶしていくという状態をそのまま見のがすことはできない。そこで今回の
運賃値上げという問題もいろいろ論議せられておるわけでありまするが、そういうように一方で牽制するものがあり、一方で政治的に国家的に大きな見地に立って論議するところ、牽制するところがあって、初めて国有鉄道の
運賃というものがわが国の運輸業界の料金の基本になり、わが国の
経済に貢献すると私は思うのです。私きょう資料をいただきましたが、あなたは
運賃法というものをお読みになって御存じでしょう。この
運賃法には御承知のように、国有鉄道の
運賃は産業の発達に資するものでなければならぬ、物価の安定、
賃金の安定に寄与するものでなければならぬと書いてあります。こういう前提に立って原価を償うものでなければならぬというのが、国有鉄道
運賃決定の原則であります。従いまして常にこういう原則に立って、大局的に
考えて国会で論議し、国会でその結論を出すということが、私は最も妥当な
方法ではないかと、こういうふうに
考えておるわけでございまして、今別にこの問題が国会に
提出されて論議せられておる問題ではないから、私は私の
意見を申し上げ、あなたはあなたの
意見を申し述べて、今後大いに論議することはけっこうだと思いますから、これはこの
程度にしておきます。
次にお伺いしたいことは、そういう
考え方に立って国有鉄道は昨年、経営調査会の結論の直後に、二〇%の
運賃の
値上げということを対外的に発表いたしました。ところがいろいろ
検討の結果、最終的決定として一八%の
運賃ベースを引き上げる、こういうことを決定して運輸大臣に申請いたしました。運輸大臣はさらにこれを運輸審議会にかけまして、運輸審議会は一五%、この一五%の案を運輸省は閣議に出しまして、そしてこれが閣議決定になりました。ところが今回国会に出て参ったのは一三%であります。当初の
考え方は二〇%、次が一八%、次が一五%、その次が一三%という原案になって国会に
提出せられております。そうしてこの提案理由にいわく、すべて
輸送力の増強、これに伴うところの国有鉄道五カ年計画を実施するための必要な
経費であると、こういう提案理由であります。聞くところによりますると、当初二〇%のアップのもとにおいて計画せられました
国鉄五カ年計画というものも、
経済の趨勢にかんがみてさらに大幅な修正をしております。
輸送力の何%かの増加を見るような再修正の五カ年計画というのが出ております。二〇%で計画したものよりも上回る計画を、一三%の今回の
値上げ案によって実施するところの十分なる確信をあなたは持っておりますか、これを伺いたいのであります。これは国民の間にこういう世論が起きております。
国鉄は当初二〇%を
値上げしなければ、今日の
輸送力を解決することはできないと言っておりました。ところが一三%の
値上げ率でこの五カ年計画を実施すると言っております。
国鉄というものはしぼればしぼるほど
経費に余裕が出るのだ、こういう印象を持っております。ちょうど大道のバナナ売り商人です。二〇%、一八%、一五%、一三%、これでもかこれでもかというように国民の批判にあって率を下げております。一体この点については
総裁はどういう心境を持っておりますか。
先ほど申し上げましたように一三%の案で五カ年計画の推進に十分自信が持てる、こういうことですか。