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1957-02-21 第26回国会 衆議院 運輸委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年二月二十一日(木曜日)     午前十一時一分開議  出席委員    委員長 淵上房太郎君    理事 今松 治郎君 理事 畠山 鶴吉君    理事 山本 友一君 理事 井岡 大治君    理事 松尾トシ子君       有田 喜一君    伊藤 郷一君       佐伯 宗義君    關谷 勝利君       永山 忠則君    濱野 清吾君       堀丙 一雄君    眞鍋 儀十君       米田 吉盛君  早稻田柳右エ門君       河野  正君    小山  亮君       下平 正一君    中居英太郎君       松原喜之次君    森本  靖君       山口丈太郎君  出席政府委員         運輸政務次官  福永 一臣君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      權田 良彦君  委員外出席者         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  細田 吉蔵君         日本国有鉄道         副  総  裁 小倉 俊夫君         日本国有鉄道         常 務 理 事 小林 重国君         日本国有鉄道         常 務 理 事 吾孫子 豊君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 二月二十日  委員正木清君辞任につき、その補欠として河野  正君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員会設置に関する件。  国鉄経営に関する件。     —————————————
  2. 淵上房太郎

    淵上委員長 これより運輸委員会を開会いたします。  最初にお諮りいたします。さき委員会において観光に関する小委員会及び海運に関する小委員会を設置することに決定いたしましたが、委員の方の御希望等もありますので、陸運に関する小委員会をもあわせて設置いたしたいと思いまするが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 淵上房太郎

    淵上委員長 御異議ないようでございまするから、さように決定いたします。  なおその小委員の員数、小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長に御一任いただきたいと存じまするが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 淵上房太郎

    淵上委員長 それではさように決定いたしまして、後刻理事会に諮って決定いたします。     —————————————
  5. 淵上房太郎

    淵上委員長 陸運特に国鉄経営に関して調査を進めます。質疑の通告がありますのでこの際これを許します。下平正一君。
  6. 下平正一

    下平委員 国鉄の問題について一つ、二つ緊急に御質問をいたしたいと思います。実はこんな質問をすることはいやなんでありますが、国鉄運賃値上げをするという法案が近々に出ようとしておりまして国民国鉄に対して今非常に重大な関心を寄せております。もちろん国鉄国民経済面あるいはいろいろ国民の中に深く溶け込んでおりまして、いろいろ重大な関心を持っておるわけでありますが、特に運賃値上げとなりますと、国鉄に対して非常ないろいろな問題点が出てくるわけであります。やはり国鉄国民の足を預かっている建前から、国民に対して全幅の信頼を置けるような経営なり、いろいろのことをやっていかなければならぬと思うのでありますが、従来の形を見てみると、鉄道会館の問題あるいは各地の鉄道事故の問題等々、必ずしも国民に対して信頼を置かれるような形がとられていないような気がするのです。最近はそれがややよくなってきたような気がしますけれども、つい先日の朝日新聞で取り上げられましたようなガード下事件で、国鉄用地係長収賄疑い検察当局に摘発をされたというような事件が出ておりますが、私は時あたかも運賃値上げの際でありますし、特に国民関心が集中いたしておりますので、当然にこの運賃値上げ審議をする当委員会に、国鉄の方から実はこういう事件があったが、これこれかくかくだというような御説明があってしかるべきだというように考えておりましたが、そういうような御説明がありませんので、この国鉄汚職問題、これに対して若干の御報告をまずお願いしたい、かように考えるわけであります。  さらに副総裁が出て参りますれば御質問したいと思いますが、もう一点は志免炭鉱の払い下げの問題をめぐって、新聞紙上にいろいろな取りざたがされております。この志免炭鉱に対する問題は、これからの予算審議にもかなり重要な関係がありますし、あるいは国鉄経営そのものについてもかなり重要な影響があると思いますので、この志免炭鉱についての若干の御質問をしたいと思います。まず国鉄用地問題をめぐっての汚職、検察庁に摘発されましたこの事件について、概略の御説明をお願いいたしたい、かように考えます。
  7. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 ただいまお尋ねのございました東鉄汚職容疑事件につきましては、早々に御報告すべきであったかもしれなかったのであります。が、率直に申し上げまして、まだあまり詳しい様子がよくわかっておりませんので、御報告がおくれておりまして申しわけございませんでした。いずれにいたしましても、ただいまお話のございました通り国鉄にとっても大切な時期にこのような問題で世間をお騒がせいたしておることはまことに申しわけないと思っておりまするし、また国鉄としましては、前々から用地貸付の問題その他いろいろ御批判のきびしいことも承知いたしておりますので、これらの仕事に対しては、先般の地方組織改組の際にも、今までよりもさらに厳正に間違いのないように仕事を取り運びたいと思いまして、ついせんだっての組織改正の際に東京鉄道管理局に新たに管財部というものを設けまして、これらの業務に専念させるつもりでおりましたそのやさきにこれらのことが起りまして、私どもとしても心から残念に思っておる次第でございます。お尋ねがありました東鉄管財部木藤という人が警視庁に逮捕されましたのは十二日でございます。その後、この事柄関係があるという疑いがあったからだと思いますが、数名の関係の業者の方がやはりお調べを受けておるようでございます。ただいま私ども承知いたしておりますところでは、この木藤という人が収賄容疑があるということのようでございまして、それ以上の詳しいことは、申しわけございませんが、的確なことが現状においてはまだよく判明しないという事情にございます。私どもといたしましては、当然のことでございますが、なお一そう自粛自戒して参りたいと考えておる次第でございます。
  8. 下平正一

    下平委員 自粛自戒していただくことはもちろん当然だと思いますが、ガード下事件の問題は記録を調べてみますと、昭和二十八年に国会委員会で取り上げて、十分これらの問題を究明し、かつ国鉄当局としても、これらの問題について将来十分なる改善あるいはこういう余地のないような措置を講ずるということを約束されております。その後わずかに四、五年たって、その間に二、三の事件もありましたが、依然として本質的な根本的な改善メスが入れられていないような気がするのです。今吾孫子さんがおっしゃられましたけれども国鉄が今いろいろな問題を起すような要素をたくさんはらんでおりますけれども、それを解決するには、皆さん方はよほど決意を持たれて実行されていただかぬと、特にこれからが案じられるわけであります。特に今年度から国鉄五カ年計画予算に計上されて、車両の新設の予算だけでも四百数十億、一般工事費等を含め一千億円に近い金がいろいろの形で出ていくわけであります。よほど皆さん方がそれらの金の使い道や、あるいはそれらの機構の上に重大な決意をもってやられないと、何回も何回もこういう問題が出てくると思うわけであります。今吾孫子さんは内容がよくわからないというようなこともおっしゃられましたが、私どもが若干の調査をしてみただけでも、このガード下の借り入れという問題は、一番問題がどこにあるかといえば、直接借りている人が国鉄と契約を結び、国鉄に金を納めているという形ではなくて、その中間に、この国鉄用地を借り入れて、何かそこで利潤を上げようという中間存在というものが許されているということが、一番の大きな原因だと思うのです。試みに私が二、三調査をしてこの四、五日かかって現地調査をしたものを見ると、たとえば某所では、ガード下を二十八坪貸してあります。この二十八坪の、国鉄が取る使用料というものは、四万六千円になっております。ところが実際は、この人がこの用地を使っているのではなくて、又貸しをしているわけであります。そしてその又貸しを受けている人はどのくらいの金を払っているかというと、その二十八坪のところに少し家みたいなものを作ってありますが、その半分を借りて月七万五千円の借り賃をその名義人に支払っているわけであります。そうしますと、この名義人の人は、国鉄からガード下を借りたというだけのことで、年間約百万に近い利潤というものが上っている。今回のこの木藤さんの事件等も、よく調べてみると、実際に借りている人と木藤さんの関係ではないのです。この中間に入っている人が、いろいろな形でそのわずか二十八坪かそこらの土地で百万くらいの利潤が浮くのですから、そこに借用権あるいは借りるという問題をめぐって、汚職とか、そういう形が発生する余地というものが十分に残されているのです。こういう点について吾孫子さん等も十分御承知になっているはずだと思いますが、従来からこの形が依然として改善をされていないのです。こういう点について若干の御意見を聞いておきたいと思います。
  9. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 ただいま御指摘のございましたように、又貸しあるいは中間搾取というような事例が非常に問題視されているということにつきましては、よく私ども承知いたしておりますので、先般来これらの用地貸借関係の規則の改正を行い、また同時にいわゆる中間搾取的な、又貸し的なことにつきましては、極力整理を進めつつある過程でございまして、まだ整理のついておらないものが残っておることも……(「規定改正されてない、そのの規定に欠陥がある」「整理されなければ運賃値上げは無理じゃないか」と呼び、その他発言する者あり)失礼いたしました。国鉄財産管理規程というのが従来からあったわけでございますが、この規定の中には、実情に即しないもの、あるいは解釈上統一を欠くものがあり、また料金も低額に過ぎるものがございましたので、この規定内容につきまして、民衆駅等運営委員会意見を聞いた結果、昭和二十九年三月に規定改正をいたしまして、同年の四月一日から実施いたしておるわけでございます。そうしてこの改正に基きまして、ただいま御指摘のありました譲渡あるいは転貸し等に関する事項を明確にいたしまして、中間不当利得排除をはかっておりますので、そのことを実は申し上げたのでございます。
  10. 下平正一

    下平委員 管理規程が一部途中で改正されたということは承知をいたしておりますけれども、問題は、その改正された規定の、改正の精神に基いて強力にそれが実行に移されているかどうかということが問題であります。私はもっと率直に吾孫子さんにお答えをいただきたいと思うのですが、もう一歩進めまして、今中間搾取が行われているとか、あるいはその又貸しを専門にやっている人があることは、吾孫子さんもお認めのようなんですが、大体そういう又貸し中間に入っている人たちは、明確には出てきませんけれども、大体国鉄関係をしている人に近い人が入っているということはほぼ明らかであります。たとえば退職をした高級の官僚の方とか、そういった方々がほとんどそういう中間に入っている、そういうことが巷間にもいわれておりますし、ある程度出ておりますが、一体どういう形の人が主として中間搾取をやっているか、吾孫子さんたちはよく内容御存じだと思うのですが、もう少し何といいますか、抽象的に、改善をしましょうとか、規定に基いて整理しましょうというような程度ではこの問題は解決しないと思いますので、もう少し率直にこの実情をお知らせいただきたいと思うのです。
  11. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 又貸し等事柄につきましては、実情は詳細調べておりますので、またお尋ねによりまして御説明申し上げたいと思うのでございますが、本日の最初の御質問でございました東鉄の今度の事件は、これは御存じかとも存じますが、ただいま私ども承知いたしておりますところでは、又貸し等に関連したことではございませんので、単純な用地貸付をめぐっての収賄容疑であるというように承知いたしております。
  12. 下平正一

    下平委員 私は具体的な事例としてこの木藤係長の例をあげたので、この問題だけに限って御質問を申し上げておるわけじゃないのです。それは一つ誤解のないように…。  それで今この問題を取り上げてみても、木藤係長が単に——今言っておる問題とは別だと言いますけれども、問題の発端はそこなんです。ガード下を借りられれば借りたということだけで、年間に何十万という利益がある。そういう慣習が残っておるから、そこに汚職が出てくるのです。たとえば坪三百円か四百円で借りて、その三百円か四百円で又貸しするというのなら汚職は起きてこないと思う。そごに根本的なメスを入れなければ、どうしても問題は解決をしないと思う。特に今吾孫子さんが、地方にも問題が云々と言われましたが、地方にもそんな問題はありません。あるのは主として東京大阪名古屋、こういった都会地、もっと別の言い方をすれば、皆さん方のおひざ元なんです。おひざ元だけに限ってこういうことが行われております。私ども地方鉄道局用地関係のことを少し調べてみましたが、地方にはほとんどこんな問題はありません。かえっておひざ元にこういう問題があるということであります。そこで数字もおわかりだと思いますが、昭和二十八年からこういう問題にメスを入れられて鋭意努力しておられるという御答弁でありますが、一体今日又貸しはどのくらいされておるのですか。私どもが見ておるところではほとんどが又貸しだと思っておりますが、それとも又貸し下なくて直扱いという形のものが幾つか出ておりますか。そういう点について、多少数字をあげての御説明を願います。
  13. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 ただいまお尋ねのございました現在又貸しになっておるものの数字につきましては、今手元に材料を持って参りませんでしたから、後ほど御説明いたします。
  14. 下平正一

    下平委員 実は国鉄経理の問題については、まだたくさんのいろいろな問題があるわけなんです。たとえば今度五カ年計画輸送の中で相当物件費も計上されておりますが、実は現場に行って少し調べてみると、鉛筆一本、現場で使っておる土びん一個比べてみても、市価国鉄購入価格には相当開きがある。品質は、これは私も比べてみましたが、たとえば機関車の部品とかレールとかいう特殊の物件は別といたしまして、日常使っておる事務用品、あるいは日常のいろいろな物品、こういうものについては、そう特殊な条件というものは必要がないのですが、たとえば鉛筆やかん等を比べてみると、市価相当開きがある。私がある物品を計算してみても、年間に数百万円という購入費が浮いてくるという実例もたくさん出ておるのですこれは運賃値上げとも重大な関連があります。他の委員の方の御質問もあるそうでありますので、私はこの点の質問はこの程度にしておきたいと思いますが、よほど決意をして−ただ単に決意だけでは意味がない、具体的にどういうふうに規定改正して、どういうふうにこれを処理していくか、その具体的な処理方針というものを、やはり運賃値上げを前にして国民にはっきりする必要があると思うのです。今国鉄当局に対する国民の市というものは単に運賃が上るからいやだというだけの声じゃないのです。国鉄の会計の中国鉄運営の中には何か不明朗なものがある。一部の人が利権屋として食い込んでおるという形がかなり強い印象として出てきております。こういう印象を、この運賃値上げ機会に、国鉄当局皆さん方によって、国民の前にはっきり打ち消す態度、明確な決意具体的な対策というものを打ち出す必要がぜひあると思うのであります。用地問題等についても、私きょうはこの程度でよろしゅうございますが、もう少し継続して調査をし、あるいはまた国鉄処置等もお伺いをいたしたいと思いますので、私の用地問題に対する質問は、この程度にしておきたいと思います。
  15. 松原喜之次

    松原委員 ちょっと関連して、ただいま吾孫子理事からの答弁を承わっておったのでありますが、これは国鉄全体の経理からいえば大きな部分を占めておるものとも思えませんけれども、しかしやはり事の性質は重要なものであるし、解決をつけなければならぬ問題だと思います。二十八年以来問題になっており、国鉄が痛くもない腹を探られたり、いろいろ悪口を言われたりする一つの大きな原因になっておるのが、ガード下の問題であります。そこで、すでに又貸し、あるいは又貸し賃料等実情がわかっておると先ほど吾孫子さんがおっしゃっておられたのでありますが、これを根本的に解決つけるためには、相当いろいろなところに摩擦が起る。あるときには暴力的な問題も起るであろうし、あるときにはまたやみの手が動いてくるかもしれないし、これを徹底的に剔抉して解決をはかろうとすれば、相当支障が起るであろうということが想像されるわけであります。それらを実際ほんとうに徹底的に解決しようとするのには、少くとも国鉄内部最高幹部が異常な決意をして、そうして国会もこれを後援し、あるいは政府全体としてもそれがためにその人をやみの手によって犠牲にするという、そんなばかな問題が起らないようなはっきりした腹をきめてやらなければならぬ問題ではないかと思うのでありますが、吾孫子さんはいやしくも理事の一員として、最高幹部の中に加わっておられるのでありますが、こういう問題について今問題が起ったのでありますが、これを徹底的に解決つけるところの決意とその方向、たとえば又貸しをしておるものは、現在使用しておる者に使用しておる家賃を考えて間の人を全部排除してしまって、最終使用者に貸してしまうというような方法一つ方法でありましょう。そういうふうな何らか具体的な方針がおありかどうか。この点一つはっきりした御回答を得なければ、この問題にけりはつけられないと思うのであります。副総裁がお見えのようですから、一つ総裁から御答弁を願いたいと思います。
  16. 小倉俊夫

    小倉説明員 お答え申し上げます。ガード下の問題につきましては前々から各方面の御指摘を受けておりますので、私ども誠意を持って事に当りたいと考えております。現に今回の機構改正につきましては、東京鉄道管理局の中に特に管財部という部を設けまして、これに責任を持って当らせるという改革をいたしましたやさきにこの木藤の問題が出まして、これは先ほども指摘がございましたが、運賃値上げをお願いしておるやさきでございますから、私どもほんとうにつらい思いをいたしております。こういう点につきましては、一番私どもが残念に思い、相済まないと思いまして、今後はかかることが繰り返してないように徹底的にいたして参りたいと思っております。それで今又貸しの問題でございましたが、又貸しにつきましては、前に決算委員会でございましたか、御指摘を受けました新橋のデパートの問題、これにつきましては、これも一会社の浮沈に関することでございますから、なかなか容易なことではございませんでしたが、交渉を重ねまして最近排除に決定いたしました。直接に最終使用者に貸すことに決定いたしました。これにつきましても法律上はなかなかむずかしいのでございます。現在高架下等は、私どもの方では、これは公益的な財産だと考えておりまするが、貸借の問題になりますと一般私法関係にもなるという説もありまして、それで借地借家法適用があるとかないとか、これはまだ定説がございませんようで、もし借地借家法適用がございますと、これは排除を命じましても、訴訟の上で勝つか負けるかわからないような問題でございますが、それは理屈でございまして、実際上は説得いたして、この中間的な存在でありました鉄友会排除いたしまして、直接に貸すことにいたしました。これが一番大きな問題でございましたが、私ども熱意をもって解決に当った次第でございます。その他にも又貸しの点があるようにも承知しております。これは戦災のあといろいろな関係がございまして、非常に複雑になっておりますので、それで中には暴力を使ってくる者もありまするので、いろいろな点につきまして難事業だと思いますが、しかしその難事業をそのままに置いておいてはいけないので、私ども誠意をもって事に当って、一件々々解決して参りたい、こう考えております。
  17. 松原喜之次

    松原委員 ただいまの副総裁の御答弁によってその解決方向、それに対する御誠意ということについては、私ども非常に満足するものであります。お説のように非常に難事業であろうと思いますけれども、これには最高幹部が異常な決意をもって下僚にまかせない。特別の管財部とかなんとかこしらえられたそうでありますが、それには最高幹部ほんとうに本腰を入れてこの解決に当るという決意がなければだめだと思いますが、いずれかすに時をもってして、その結果いかなる御成績が上ったかということを、われわれは刮目して拝見いたしまするから、どうか一つせいぜい解決に邁進されんことを望みます。
  18. 井岡大治

    井岡委員 同僚の議員からすべての角度から御質問があって、当局から御答弁がありました。従って今後の問題として残されておるわけでありますが、私はこの機会に一言だけ当局の善処を要望いたしたいと思うのであります。と申しますのは、本年の予算書を見てみますと、昨年度に比べまして六百五十億の増収が計上されております。増収があるということを言われております。この増収の中には、いわゆる現場の職員が一生懸命になって努力した結果が集積されたものであろうと推測をするのであります。しかるに一部の中間幹部、この人万が私利のために問題を提起するということになって参りますと、今後全体の士気に大きな影響を持ってくるのではないかと存じます。しかも国鉄は今度の国会運賃の改訂を提案なさろうといたしておるときであります。こういうときに、当局がこの問題を単に一係長の問題であるという局部的な解決をされるとするならば、私は将来の国鉄に大きな影響のあることを、この機会に警告をいたしておきたいと思います。さらに本日の新聞によりますと、組合が春闘に行動を起すならば、厳重処分するということを発表されております。一方においては、この木藤係長については、いわゆる分限等規定もあろうかと考えますが、いまだ国鉄当局としての決意が示されておらない。一方においては処分をするというような態度では、今後の国鉄輸送というものに大きな影響のあることは当然であります。従って私は、この問題に対して副総裁を初め、いわゆる全幹部が打って一丸となって、この種の問題解決に一段の努力を払っていただくことをお願いします。同時に払われた結果というものは今後明らかにしていただきたい。このことをお願いして私の意見にかえておきたいと思います。
  19. 小倉俊夫

    小倉説明員 繰り返して申すようでございますが、御指摘通り運賃値上げをお願いしておりますやさきにかような不祥事故が起りました事については、ほんとうに身を切られるようにつらい思いをいたしております。この運賃値上げにつきましては、前々からお願いをしておりまするが、なかなかむずかしい問題でございました。そのやさきにかつて参宮線事故ができました。あのときも、これはまことに相済まない、運賃値上げをお願いしておるやさきにかような事故を出してまことに相済まぬというので、あのときも総裁以下国鉄幹部は身を切られるようなつらい思いをいたしました。それでその際に、できるだけの誠意を示して御了解を願わなければならないということで一生懸命になりましたが、それと同じように、今回の不祥事故につきましては、私ども誠意を尽して善処していきたいと思っております。ただ何分にもまだ容疑事項がはっきりいたしませんものですから、私の方で特段の措置をとる段階に至っておりませんが、私どもは皆様におしかりをこうむる以上に自粛自戒、自責の念に打たれておりますことを申し上げまして、今後とも十分この種の事故の起らぬように監督して参りたいと考えております。
  20. 小山亮

    ○小山(亮)委員 副総裁のお話を伺っておりまして私非常に不思議に思うのは、副総裁は、運賃値上げをしようとしておる直前にこういう問題が起った、これは実に残念だったということを言っておられますが、問題が発覚したことが残念だというふうにあなたは言っておられるように思うのですが、問題はすでにずっと数年前から起っておる。すでに二十一議会から今日までの議会を通じまして、鉄道の問題が議会の問題にならなかったことはないでしょう。鉄道会館の問題といい、洞爺丸の問題といい、紫雲丸の問題といい、参宮線の問題といい、のべつ総裁運輸委員会であやまらないことはないのですよ。また必ず粛正をしますと言って誓わないことはないのです。けれどもいまだかつて、鉄道が粛正されたことは聞いておらない。私はただいまの副総裁のお話を伺っておって、鉄道の中にいろいろな問題が起るのは当然だと思うのです。鉄道で長い間枢要な位置で働かれた人がやめられて、退職金や恩給をもらわれた上に、住んでおる邸宅までばかに値段の安い、想像のつかないような値段で鉄道から払い下げてそこにちゃんと住んでおる。そして選挙が始まると鉄道の関係を利用して、参議院に当選なさってこられて平然として、おられる。われわれ今の話を聞いても、又貸しをしておる。その問題の陰には、鉄道にかって籍を置かれた相当有力な人たちがおって、これをあやつっておる。それでまたどういうからくりでもうけておるか知らぬがもうけておる。鉄道からいろいろな老後の生活の立つようにまで心配してもらったあげくに、またそうして昔御厄介になったところにダニのように食いついて、またそこからうまい汁を吸っておるのが見のがされておるのです。白昼公然とやっておることを議会で何回つかれても、これを改めます。改めますと言いながら、けろりとして一つも改めない。それを下僚の者が見ておるから、上の好むところ下これに従うで、上の者がそれで勤まっておるのですから、鉄道においては悪いことをしなければえらくなれないと思うのです。ですから結局下の者が悪くなるのは当りまえです。鉄道は疑獄の巣くつですよ。この問題を解決しないで、鉄道が損をしたから、あるいは直すべき線路を直さないでおいて、乗れば危険だ、運賃を上げろ、こんなばかなことでは国民がかわいそう過ぎるじゃないか、あなた方そう思いませんか。何と言っても切り捨てごめんで、いやだといえば鉄道に乗るなという態度であなた方おいでになるかもしれないが、国民かかわいそう過ぎますよ。あなた方は万難を排してこの問題はこう解決をする、また、だから運賃を上げてくれというならわかる。何もやらないで、やりましょう、やりましょうと言って、今度は改めます。今度は改めますと言っても、不良少年が親に怒られて言いわけばかりしておって、実は一つも改めていないのと同じで、それで運賃を上げろというのでは、これはひどいじゃないか。私ども冗談に言っているのではない。今鉄道の運賃値上げしようというせっぱつまったところにおるという話を聞いて、それが私ども当然上げるべきものなら上げますよ。しかし今のままでは、目をつむって上げろと言っても、それは無理です。われわれはどんなことをしたって、議員を辞職したって、今のままでは、私たちに承諾しろと言っても、とても承服することはできない。この点はこの審議の始まる前に非常な決意をはっきりさせてもらいたい。それを私は希望いたします。また御返事を伺いたい。
  21. 小倉俊夫

    小倉説明員 いろいろおしかりを受けましたが、しかし私ども率直に申し上げますと、何も改めないとおっしゃいますが、私ども一生懸命改めて参っておるつもりであります。   〔小山亮委員「何を改めたのです」と呼ぶ〕 たとえば、この前御指摘を受けました宿舎の問題でございますね。宿舎に高官が入っていて、退職後も動かないというような問題がございましておしかりを受けましたが、あれも全部きちんといたしました。〔小山亮委員「安く買ったのはどうなった、もうけさせたのは見のがしたのですか」と呼ぶ〕あれは安くお売りしたとは思わないことを、本委員会かあるいは決算委員会で御説明した通りでございますが、交換の問題につきましては、今後一切交換をしない、また退職後も入っている人には、全部お約束通り立っていただいております。こういう点もはっきりいたしております。それから外郭団体につきましても、いろいろ御指摘がございましたので、それはあるいは皆様の方からごらんになれば、不十分かもしれませんが、私どもの立場として、でき得る限り誠意をもって外郭団体の整理をいたして参りました。そのほかにも…〔小山(亮)委員「具体的に整理したのを、文書か何かでよこして下さい」と呼ぶ〕経営改善という一冊のものができておりますので、たしかお手元に差し上げてあるかと思いますが、そういうことで実際今、先生は国民がかわいそうだとおっしゃいましたが、私は国鉄にもかわいそうな点があることも一つ御認識いただきたいと思います。〔小山(亮)委員「どこがかわいそうなんですか、国鉄の」と呼ぶ〕私はこ、一年間国鉄に参りまして、現職におりましてつくづくむずかしいところだというふうに感じをいたしましたが、ただむずかしいだけではいけないできるだけの誠意をもって御期待に沿っていかなければならない、という勇猛心を起して、特に総裁はそういう点につきましては非常な決意をもって事に当っております。またただいま仰せのように…〔小山(亮)委員決意をもってもやれないところがつらいのでしょう。そこがかわいそうなんでしょう」と呼ぶ〕将来とも誠心誠意をもって努力していきたいと思いますので……。
  22. 小山亮

    ○小山(亮)委員 副総裁のお話を伺っておると、ますます私は質問したくなる。なぜかというと、あなたは国鉄もかわいそうだと言う。私も国鉄ほんとうにかわいそうだと思う。しかしそれは国民がかわいそうだというのと考え方が違うのです。別の観点から言っておるのです。白いものを白と言えない。白いものを白いとはっきりやれないで、ごまかしていかなければならない、そのつらさなんです。その点で国鉄が日本一つらいのではないかと思う白いものは白くやりたい、またやり通そうとする。ところが、国鉄では白いことは白い、正しいことは正しいとやれない。だから副総裁はつらい立場におる。そういう意味でならば日本一かわいそうな方だと私は思いますよ。
  23. 下平正一

    下平委員 副総裁がお見えになりましたので、今の問題について一つだけ私は申し上げておきたいのですが、この問題は調査に行って、昨晩も二、三電話がかかって参りましたし、けさもある人からガード下問題をやるなら、一つ警視庁へ連絡して私服でもつけておいてもらわなければ、あんたの生命は保障されないぞ、というようなことを聞きました。これはえらい大したものだなと思いましたが、これはガード下問題だけではなくて国鉄全般のこういった問題について言えることだと思うのです。かなりわれわれが想像しておる以上に根強いものが、国鉄に巣食っておるように私は感じたのです。そこで先ほど松原委員からも質問があって、お答えがあったのですが、私どもきょうだけでなくて、このガード下の問題、その他物資の問題等々を通じて、一々その時期々々に御説明を求めたいと思いますが、まあ冗談ではなさそうであります。調査をするならば、警視庁に連絡して私服をつけてもらえというようなことを真剣に言われる。それほどの問題でありますから、単に暴力の問題でなく、そのほかに政治的ないろいろな圧力があなた方の上にかかると思いますので、これはぜひ総裁以下重大な決意をもって、改善のために努力をしていただきたいと思うのです。皆様がそういう決意を示されるということになれば、私どもといたしましても国会の立場、いろいろな立場から、十分できる限り改善のための力添えをいたしたいと思います。  そこでもう一点、志免炭鉱の問題についてお伺いいたしたいのでありますが、経営調査会が昨年出した答申の中に、原則的には志免炭鉱とか、あるいは製材所とか、あるいは被服工場等ははずした方がいい、しかしいろいろな事情があるから極力合理化をさせていけ、こういう答申案が出ておることは承知をいたしておりますが、その答申案に基いて、国鉄当局といたしましても、特に志免炭鉱については相当経営の合理化をやってきたと思うのです。ところがたまたま最近の新聞紙上あるいは巷間伝えられるところによると、この志免炭鉱を民間に払い下げるというような話が相当活発に出てきているようであります。国鉄といたしましてこの志免炭鉱をどういうふうに考えているか、特にこれらの経営の問題あるいはこの予算審議等に当っても、志免炭鉱に対する国鉄のお考え方、いかんでは相当な違いが出てくると思いますので、国鉄予算審議するに先だって志免炭鉱に対する考え方、あるいは志免炭鉱に対して今日いろいろ取りざたされている状況等について、明細に副総裁から御答弁をいただきたいと思います。
  24. 小倉俊夫

    小倉説明員 志免炭鉱につきまして二、三の新聞にいろいろ記事が載っておりましたことは承知いたしております。ただいま先生がおっしゃいましたように、経営調査会あるいは行政管理庁で志免炭鉱の合理化、いろいろな意味を含めて合理化ということを国鉄に忠告せられたのは、御承知通りでございます。私どもは志免の合理化につきまして、とにかく非常に大きな問題でございまして、とりあえず能率の悪い第六坑を閉鎖しまして、これを租鉱に出したいと考えておったのですが、これは一応閉鎖いたしましたけれどもまだ租鉱の段階に至っておりません。これだけではまことに申しわけないので、何とかさらに進んでの合理化を考えていかなければならぬというふうには思っておりませす。ただ志免炭鉱の措置につきましては、これは非常に大きな問題であるのと、もしただいまおっしゃいました譲渡というようなことにでもなりますれば、これは国鉄限りでできるものでもなく、各方面に御相談を申し上げなければならない問題でございまして、ただいまの段階におきましては、そういう点までは進んでおらないことを申し上げておく次第でございます。
  25. 下平正一

    下平委員 経営調査会の答申案は何も志免炭鉱ばかりでなくて、国鉄経営全般にわたって答申を出されておりまして、大体今日の予算に盛られたいろいろの諸事項、あるいは国鉄改善のいろいろの事項も大体経営調査会の答申案に沿っておやりになられておるように思うのです、答申案に盛られたいろいろの事項については、いろいろの角度からこれを検討されておると思うのです。火のないところに煙は立たぬといいますが、ともかく具体的な金額まで明示されて、大体資産の評価をすれば二十億だとか、国鉄は十数億と見積っているとか、いろいろ具体的な数字まで出て志免の払い下げの問題がもう具体化しているのです。だからこれに対して、やはり国鉄としてはっきりした心がまえを持たなければいかぬと思うのです。経営調査会は、何もあれを絶対に払い下げろと言ってはいないのです、縮小して合理化をしていけという意味は二つあると思うのです。たとえば、赤字が出ているから赤字の出ないようにせいとか、いろいろの方策があると思うのです。ですから、一体国鉄が今志免炭鉱を持っていた方がいいのか、民間に払い下げた方がいいのか、国鉄でもう大体考えていなければうそだと思うのです。そういう点について、たとえば赤字が出て困るからあそこはいかぬという考え方もあるでしょうし、しかし一方では石炭のいろいろな条件の中から、自家用炭を持っていることがきわめて国鉄に都合がいいという条件もあるでしょう。それらの条件を考えて、あれを払い下げるということになればいろいろ価格の評価とか手続、相談等もあるでしょうが、今日昭和三十二年度の予算審議するに際して、あれを手放すと考えているのか、あるいは手放したいと思って今研究しているのかどうかということを、もっと端的に一つお答えをいただきたいと思うのです。
  26. 小倉俊夫

    小倉説明員 白か黒か、そういうように割り切ってお答えができないことをまことに相済まないと思いますが、ああいう大きな資産になりますと、これはやはり国鉄といたしましても、どうするかということにつきましては、最高の意思決定機関である理事会の決定を待たなければ申し上げられないのでありまして、今までに理事会にその問題が出てはおりませんので、私から右か左かということをはっきり申し上げられないことを御了承願いたいと思います。それから国鉄が持っておった方がいいか、あるいは手放した方がい  いか、こういう問題もおのおのの見方がございまして、それを総合して決定するのはやはり意思決定機関の審議を待たなければなりませんので、私が軽々に御返事申し上げられない、こう考えますので、御了承願いたいと思います。
  27. 下平正一

    下平委員 あと関連質問もだいぶあるようでありますから、私はもう一、二点だけお伺いしたいと思うのですが、志免炭鉱経営調査会の俎上に上ってきた大きな原因には、これは赤字の問題があったと思うのです。今日志免炭鉱国鉄に対して相当の赤字となって、国鉄財政を圧迫している状態にあるかどうか、その点を一点お伺いしたいと思うのです。
  28. 小林重国

    ○小林説明員 志免炭鉱経営につきましては、終戦後これを海軍から引き継ぎまして、その当時は石炭の需給が非常に窮迫いたしておりまして、国鉄としましても挺身隊と申しますか、そういったものを炭鉱に出しましてまで炭の獲得をした時代があったのでございます。その当時といたしましては、採算よりもむしろ炭の獲得ということで、志免の経営を引き受けて参ったわけでございます。それで、その当時としてはもちろん赤字でございましたし、その後ずっと最近まで赤字を続けて参っております。ただ二十七年でございましたか二十八年でございましたか、一年だけ多少の黒字になったことがございますが、大体一億見当の赤字をしょって参っておったわけでございます。昨年はまあ労働組合とも協議いたしまして相当従業員の配置転換も行いまして、また先ほど副総裁からお話し申し上げましたように、第六坑も廃するというような合理化施策を行いましたことと、それから一方炭価も今年度多少上りました点、そういった点から、昨年は七千七百万円でございましたから、赤字になっておりますが、今年度は七千万円程度の黒字が出るのではないかというような状態になっております。しかし将来の見通しといたしましては、まあ炭価の面はさらに強調を示してくるという感じもいたしておりますが、採算の面におきましてそう楽観する状態にはないのではないか。ことに本年度七千万円以上黒字が出るだろうと申し上げましても、一般の炭鉱におきましてはトン当り減価償却が二百五、六十円でございましたか、その程度計上されておりますが、志免炭鉱におきましては、現在百四、五十円程度の減価償却しか計上いたしておりません。民間に比較いたしますと、トン当り百円の減価償却の計上が不足になっております。そういった面も差引考えてみますと、七千万円の黒字と申しながら、それが二、三千万円ではないかというような感じもいたしておるわけでございます。現状といたしましては以上御説明申し上げたような次第であります。
  29. 下平正一

    下平委員 御承知のように志免炭鉱が、国鉄の石炭不足という終戦後のあの中で果してきた役割というのは、非常に強いと思うのです。ノーマルな輸送を続けられたのは、一面においては志免炭鉱国鉄が所有していたというところにあると思います。今小林さんのお話を聞くと、減価償却を見込んでも二、三千万の黒字だということになりますと、志免炭鉱を持っていることによって国鉄が著しく負担を背負うということは考えられないと思うのです。そこで私は、その間にあの苦しい時代に、志免炭鉱の諸君が国鉄輸送に協力するために非常な努力をされてきている。しかもその後経営調査会の答申、合理化をしなければならぬという答申によって、これに協力をして、従来あすこは約五千人をこえていたと思いますが、最近では実際の労働者は三千人ぐらいじゃないでしょうか。管理部門の職員を含めても三千五百人まではいっていないような状態だと思います。千五百人くらいの合理化による人員整理も甘んじてこれを受けて、そうして出炭に協力している。こういう状況を考えてみますと、これが極端に赤字でどうにもならぬ。国鉄輸送に重大な赤字のしわ寄せを起すというなら別問題でありますが、当面やや黒字、悪くいってもとんとんというような経営状態の中では、単に形が悪い。国鉄輸送をやっているところで山を持っているのは、ちょっと形がおかしいというような単純なる理屈で、志免炭鉱を切り離すということはどうかと考えるのです。特に終戦後あそこへ入ってきて、この志免炭鉱を営々として築いてきて、出炭量にしても大手炭鉱に劣らないという業績を今上げているようでありますが、それらの諸君の気持等も考えていけば、軽々に形が悪いというだけの形式論で、あの志免炭鉱を離すということはどうかと考えるのですがそれらの点について若干意見を聞かしていただきたいと思います。
  30. 小倉俊夫

    小倉説明員 税は志免炭鉱の過去は知りませんが、私が参りましてから聞いた評判によりますと、今先生のおっしゃった通り志免炭鉱は非常に合理化に協力的であったということを聞いております。またただいま先生のおっしゃいましたように、人員も減りましたし、また出炭も増加しておるという点につきましては、仰せの通りでございます。そういうことにつきましては、今私ども志免炭鉱を高く評価しておりまするが、しかしまた国鉄全体としてどういうふうな手段方法をとるのがいいかということにつきましては、先ほど申し上げましたように、まだようにまだ正式の意思決定などもいたしておりませんものですから、その点につきましてはまた別途にお答えする時期も来るかも知れませんと思います。
  31. 河野正

    河野(正)委員 ただいまの問題に関連いたしまして二、三御質問を申し上げたいと考えております。先ほどから同僚委員によっていろいろと国鉄汚職、疑獄等々が論議されて参ったのでございますが、そういったような国鉄当局の一部特権者が私腹を肥やしておる反面におきましては、経営合理化という名の陰に隠れまして、いろいろと国鉄再建に協力しておりまする国鉄関係者各位が、ただいまのような志免炭鉱売山というようなうわさが出てきまして、非常な不安をもたらしているというふうな事実があるということを、私どもは率直に御指摘申し上げなければならぬと思うのでございます。そこでそういった意味で、二、三この志免問題につきまして御質問を申し上げ、そうして副総裁の率直な御回答をお願い申し上げたいと思うのでございますが、もともとこの志免炭鉱の売山の問題が起って参りましたのは、これは御承知のように、昭和三十年六月国鉄経営形態と国鉄の財政の再建はいかにあるべきかという諮問に基きまして、経営調査会の答申が行われた。その答申によりましてこの問題が急速に発展したものと考えております。そこで私は少くともこの問題が経営調査会の答申を中心として急速に発展したという観点から、一、二この問題を中心といたしまして御質問を申し上げたいと思うのでございますが、御承知のようにこの経営調査会の答申でございますが、この答申にいたしましても、その調査をいたします委員会の構成、あるいはまた調査をいたしました−ことに石炭産業というものは好況不況の動揺というものが非常に片々といたしまして非常に不安定でございますから、そういった調査をいたしまする時期というものも、私は非常に大きな問題となっておると考えております。そこで今日の志免鉱業所の売山という問題が、この調査会の答申案を契機として発展したといたしまするならば、まず私は第一にお尋ね申し上げたいことは、この調査会の答申につきましても私が御指摘申し上げまするように、委員会の構成なり、あるいは調査をいたしまする時期によりまして、非常に問題点をはらんで参るわけでございまするから、今日国鉄当局が、この答申案に基きましてどういう態度で臨んでおられまするか、その態度をまず御解明願っておきたいと思います。
  32. 小倉俊夫

    小倉説明員 経営調査会の答申は、私ども誠意をもってその御答申の趣旨に沿わなければならぬものだ、こう考えております。しかしながらただいま御指摘のように、経営調査会がこの答申を出された時期と現在とでは、相当の時期的な開きもございまするし、また諸般の情勢も違っておりまするので、経営調査会の御答申全部が、ただいまそのままの姿で完全であるとも申し上げられない。これは一、二の例もございまするが、それは差し控えるといたしまして、しかし根本的な数字の違いは、調査会の御答申のときと現在とで数字的なずれが方々にございます。そういう点につきましては、私どもはそれを考えていかなければならぬと存じまするが、精神的に見ますと、やはり経営調査会の答申というものは、私どもがある程度金科玉条として進んでいきたい。たとえば経営合理化では血のにじむような覚悟をもつていかなければならぬという、こういうふうなことにつきましては、文字通りどももその精神で参っているわけでございます。
  33. 河野正

    河野(正)委員 ただいま副総裁が御答弁されましたことにつきまして、私ども非常に不満な点が多々あるわけでございます。と申し上げますのは、先ほど来申し上げますように、石炭産業というものは、好況不況の変化というものが非常に片々といたしておりますることは、私が御説明申し上げるまでもないと思うのでございます、御承知のように、昭和三十年六月に第一回の諮問が行われたわけでございますが、ところが当時は国におきましても、石炭産業合理化法案が出て参りました前後でございまして、非常に石炭産業が不況の立場にあったのでございます。そこでそういった事態の中で答申案が出されておるのでございますから、御承知のようにこの答申案の内容を見て参りましても、私どもが今日の現況から見て参りまして、全く実情にそぐわぬと考えておりますことは、その一節にございまするように、志免鉱業所の現在の収支は赤字であり、将来も好転する見込みがないということが前提となりまして、こうあるべきだというような結論が出されておるわけでございます。ところが御承知のように、先ほど理事の方からも御回答がございましたように、今回多少、減価償却の問題は別といたしましても、黒字が出るという見通しもついておりまするし、また現地におきまする従業員各位の非常に大きな協力によりまして、一人当りの出炭目標も今日では上回るというふうな実情にも置かれておるわけでございます。ところが先ほど副総裁は、この答申案を金科玉条としていきたいという話でございまするけれども、事実というものは先ほど申し上げますように、この答申案の内容と現状とは全く天と地と相違しておるというのが現状でございまするけれども、この現状を無視したこの答申案を金科玉条としていく副総裁が参考としていきたいということでございますならば、私どもも納得するようにやぶさかでございませんけれども、こういった実情に全くそぐわない、雲泥の相違がございます。この調査会の答申案を金科玉条として考えられるということにつきましては、私ども全く承服して参るわけには参りません。その点につきまして、もし御訂正いただきますならば、率直に一つ御訂正していただきたい。
  34. 小倉俊夫

    小倉説明員 私は実は誤解いたしておりまして、経営調査会の答申の全般につきましてどう考えておるかという仰せのように思いましたので、特に経営調査会の答申の精神から申し上げて、精神を尊重するというつもりでございましたが、ただいま御指摘のように、いろいろ時勢が変っておりますために、訂正を要する個所もございますので、金科玉条と申しましたのは、これは言葉の言い過ぎでございまして、できるだけ尊重してその線に沿うて参りたいということでごごいますから、金科玉条の点は取り消しさせていただきます。
  35. 河野正

    河野(正)委員 ただいまの点につきましては、私ども了承いたしましたが、さらにお尋ね申し上げておきたいと思いますことは、大体この志免鉱業所の売山の問題につきましては、主として赤字を中心として、そういった結論が出されておりますことは、この答申案を見て参りましても明らかでございます。ところが先ほどからいろいろ申されますように、昭和二十二年におきましては五千八百人の従業員がおりましたのに、二十四万五千トンの出炭量でございましたが、今日では三千四百四十一名、二十二年の約半数に近い従業員であるにもかかわらず、五十三万トンを目標として出炭量が上昇しておるというふうな状況でございますので、この答申案が出されました当時の状況と今日の状況とは、非常に相違を来たしておる。そこで今後こういった問題を処理するにつきましては、当然今日変化をいたしております現状に即応して、国鉄当局は対処すべきだというふうに考えますが、この点いかがお考えでございますか、率直に一つお伺い申し上げておきたいと思います。
  36. 小倉俊夫

    小倉説明員 仰せの通り、いろいろな諸般の事情も慎重ににらみ合していかなければならぬと考えております。
  37. 河野正

    河野(正)委員 こういった現地の状況が非常に好転して参りました、言葉をかえて申し上げますならば黒字が出て参りましたということは、これは一にかかって現地の皆様方が非常に合理化という方針に沿って御協力いただいた、あるいは国鉄財政の再建のために非常に熱意をもって当られて参ったという結果に基くものと、私ども確信して疑わぬのでございます。こういった現地の職員の諸君が非常に財政の再建、経営の合理化に協力をいたしまして、そうして財政状態が非常によくなって参ったのでございますが、そこで私はお尋ねを申し上げておきたいと思いますのは、今日まで国鉄当局と現地との間におきまして、この経営合理化についていろいろお話し合いをなさり、そういった点について現地の従業員の皆さんも非常に御協力されたと思うのでございますが、そういう事実があったのかなかったのか。端的に申し上げますと、経営合理化につきまして答申案も出ておるのだから、経営合理化についてお互いに協力し合おうじゃないかというような話し合いがなされておったかどうか、この点も一つお伺い申し上げておきたいと思います。
  38. 小林重国

    ○小林説明員 一昨年でございましたか、年末手当の調停に当りまして、志免の出炭目標一人当り十三・五トンに上げられたということで、当局側から組合に呈示をいたしておるのであります。その際いろいろ議論がかわされましたが、結局目標といたしまして十三・五トンに持っていこうじゃないかという当局の意思もございまして、本年度はこれを目標に相互に努力をいたして参ったのであります。いろいろな方針につきましては、そういう格好で、大体歩み寄るようになっております。細部の点についていろいろ見解の分れた点もございますが、大体におきまして志免の労務者も事情を了とされまして、相当の協力は得たと私は思っております。なお将来の問題といたしまして民間におきましても、さらに一人当りの能率はどんどん上っていくと思われる情勢にございますので、石炭合理化法におきましても、数年後には一人当り十八トンくらいに能率を上げるというような目標にされておるようでございます。志免についてそういう割合で能率が上げ得るかどうかにつきましては、私としては、まだ確信を持っておらないのでございますが、しかし合理化につきましてはできるだけの努力をしなければならぬという覚悟を持っておりますので、そういう面につきましてはけたさらに今後善処していかなければならぬと思っております。
  39. 河野正

    河野(正)委員 ただいま私が御指摘申し上げたことは、今後の問題に非常に重要な関連を持って参るわけでございます。すなわち昨年、経営合理化の方針に沿いまして三百八十名近い諸君が山元を離れまして、それぞれ配置転換を行いましたが、このことはちょうど農民が土地に対しまして尽きせぬ愛情を持っておりますように、山の男というものは山に対しまして尽きせぬ愛情を持っておるわけであります。その従業員諸君が経営合理化という方針に沿って、山を愛するの至情から涙をふるってそれぞれ郷里に帰られまして、配置転換ということに相なって参っておるわけでございますが、こういった涙の出るような経営合理化の方針に沿っての協力をして参りましてそし今日におきましてはどうやら赤字も解消いたしまして、減価償却の点につきましては多少問題がございますけれども、いずれにいたしましても黒字が出るという見通しがついて参った。その黒字が出て参りますについては、ただいま申しました涙なくしては語られぬようないろいろな事情がございますが、そういったいろいろな変遷をたどりまして、いよいよ黒字が出て参るという明るい見通しがついて参りますと、売山といういろいろな話し合いが出てくる、こういうことになりますと、国鉄財政の再建に協力して参りました現地の従業員というものは、全く踏んだりけったりという事態に相なって参るわけでございまして、私どもはそういったことにつきましては全く承服して参るわけには参りません。この点につきましては、当局が現地に対しまして経営合理化にぜひとも協力してもらいたいという要請をなされております以上は、その要請に対しまして全面的な責任を負っていただけるものと私どもは確信をして疑いません。そこで、その点に対しまして当局側の御所信を伺っておきたいと思います。
  40. 小倉俊夫

    小倉説明員 志免の職員が非常にまじめで、よく合理化の線に沿って成績を上げていかれたということにつきましては、先ほど申し上げた通りでございまして、私ども感謝をいたしております。それでその点につきましては、私どもは将来の合理化についても十分考慮に入れて進んでいかなけれならぬものだ。こう考えております。
  41. 河野正

    河野(正)委員 話はちょっと前に戻ります。先ほど下平委員質問に対して理事の万から御答弁いただきました内容にちょっと話が戻るわけでありますが、今日ではどうやら数千万円の黒字が出てくる見込みであるけれども将来については必ずしも明るい見通しを持っておらないという御答弁があったように記憶いたしております。そこで私お尋ね申し上げたいと思うのでございますが、仄聞するところによります。と、今日志免鉱業所を払い下げてもらいたいという業者がたくさん押し寄せておるかのごとくであります。そういたしますると、それぞれ企業に携わるものでございますから、やはり一つの採算の自信がなければ、山の払い下げに対しまして熱意を示すはずはないと思うのでございます。買手が多いということは、やはり将来に対しまして明るい見通しが立つので買手が多いと考えるのが常識的でございまして、もし悲観的でございますならば、これはむしろ国鉄がお願いして払い下げなければならぬということでございましょうけれども、やはり業者がわんさわんさと押しかけかけておるというように聞く範囲におきましては、志免は今日におきましては黒字であるけれども、将来についてはどうも必ずしも明るい見通しが立ちかねるというふうなお話のようでございまするけれども、その点につきましては私どもが聞き及んでおりまする情報から判断いたしますると、多少矛盾するかのような気がいたすわけでございます。その点はいかがでございますか、一つ率直にお聞かせいただきたいと思います。
  42. 小林重国

    ○小林説明員 将来の見通しにつきましては、いろいろ議論の分れるところがございましょうと思いますが、われわれといたしまして今経営いたしておりますのは、相当鋼材木材その他の物件費の値上りが予想されるところでございます。それからこれはすでに御承知かと思いますが、炭労と炭鉱経営者との間に賃金の改訂につきまして交渉が行われておるように伺っております。その賃金のきまりようによりまして、志免につきましても考慮を払っていかなければならぬと考えます。そういう点もいろいろ考えあわせますと、今出ております二、三千万円の黒字と申しましても、一瞬にして飛ぶというような結果にならぬとも限らぬのでございまして、まだわれわれといたしましては、大丈夫だ——もっとも明年の炭価がどういう動きをいたしますか、その点とも関連して参るわけでございます。そういう点も考えあわせましてはっきり来年はさらにことしよりもよくなるのだという確信は持っておらないような実情でございます。
  43. 河野正

    河野(正)委員 確信を持っておらないということでございますると、私どもと全く見解を相違するわけでございます。それは最悪の事態を考えればそういう結論も出て参ると思います。しかしこういった問題を判断するに当りましては、やはり一般論でございますから、一般論として判断すべきだというふうに私ども考えて、先ほど申し上げましたように、業者の垂涎の的でありまする以上は、炭価につきましても明るい見通しがあるというふうに一般的な判断を下すのが、一番常識的ではなかろうかと考えておるわけでございます、なぜ私がこういうことを聞くかと申しますると、やはりそういった点を十分御承知願っておかないと、先ほど副総裁の言葉にございましたように今日は白か黒かという階段ではないのだ、理事会で御検討願うことであるので、白か黒か今日言うわけに参らぬというようなお話もありましたように、やはり当局がそういった見通しなりあるいは現地におきまする実態というものを十分把握していただきまして、そうして理事会で真摯な検討が行われなければ非常に重大な問題が起ってくると思うのでございます、私はそういう意味でお尋ね申しておるわけでございますが、そういった意味におきましてはただいまの御答弁は、私ども全く了解して参るわけには参りません。それからさらにただいまも御指摘申し上げましたような観点から、お尋ね申し上げておきたいと思いますが、この経営調査会の答申案の内容の中で、合理化方策といたしまして、この志免問題というものは国鉄経営から全く切り離すことについては、いろいろと困難な事情があるということが明記されております。そこで国鉄経営することは困難であるから、一つ徹底的な経営合理化をはかってもらいたいというふうな趣旨が明記されております。この経営調査会の答申案の中に盛り込まれておりまするいろいろな困難な事情もあるという、その困難な事情というものはどういう事情であるというふうに、御判断なさっておりますか、その辺の一つ明らかにしていただきたいと思います。
  44. 小倉俊夫

    小倉説明員 合理化と申しますのは、やはり現状の変更でございますから、それについてはいろいろなトラブルが大なり小なりあることが予想されます。志免の例を引きますれば、合理化と申しましても、いろいろ人の問題もございましょうし、それからいろいろな計算の問題もございましょう。将来に対する計算がどうなるかこうなるかというふうな問題もございましょう。また将来の鉱害の問題もございましょう。そういうふうなことを考えますと、なかなかいろいろな判断がむずかしい、こういうふうに考えております。
  45. 河野正

    河野(正)委員 私どもがいろいろ御指摘申し上げて参りましたことは、これはすべて先ほど副総裁がおっしゃいましたように、当局としては今日は白か黒かという表明をする段階ではない。そこで私どもはこういったいろいろな全知識を申し上げて、今後万遺憾なきを期してもらいたい。具体的に申し上げますれば、現地におきましては民営に対して強力に反対いたしております。なお関係いたしまする地方自治体におきましても、固定資産税あるいは鉱産税等々、地方財政とからみ合って参りますので、中央の議論は別といたしまして、地方団体も民営に対して反対いたしております。そういったいろいろな問題がございますし、またこういった問題を取り扱う場合においては、単に現地ばかりの事情だけでは運んで参らないものと考えられますので、ただいま申し上げましたような、今日まで経過して参りましたいろいろな事情を十分把握していただいて、そうして今度の問題に対して善処していただかなければならぬというのが、私どもの率直な意見であります。  そこで時間も長くなりますから、具体的なことにつきましてはいずれそういった段階において御質疑を行なって参りたいと思いますが、最後に私はお尋ねを申し上げて、率直な御見解を承わっておきたいことは、今日ではそういった段階ではないと思いますが、しかしそういった根ざしが今日着々と伸びつつあるということは、私ども想像するにかたくないのでございます。そこで今までいろいろ数点についす御指摘申し上げて参りましたが、そういった点を尊重して今後の問題に対処していただける決意があるかどうか、この点を一つ簡明直截に最後に御回答になっていただきたいと思います。
  46. 小倉俊夫

    小倉説明員 ただいま諸先生からのいろいろなお言葉は詳しく総裁にも報告いたしましてまた他の理事にも申しまして、十分慎重に検討いたして参りたいということをお約束申し上げます。
  47. 井岡大治

    井岡委員 志免の問題でいろいろ御質問があって、御答弁をなさっておられます。今直ちに結論を出すことはできない、結論を申し上げることはできないということでございます。が、私は志免の炭鉱を放してはいけない、こういう立場から申し上げてみたいと思うのであります。と申しますのは、国鉄というような大きな組織の中で、国鉄はいわゆる輸送面だけを担当すべきであるという御意見の存することも、十分納得はできるのです。しかしながら一面国鉄運営する立場に立って考える場合口、その意見だけではいけないと思います。たとえば、今日の国鉄物件費で一番多いものは石炭でありますこの石炭のほとんどと申しますか、相当大きなウエートを占めておる志免炭鉱を手放してしまいまするならば、いわゆる石炭業者に炭価をまかしてしまうことになる。志免の炭鉱があることによって、石炭業者の独占的な考え方をコントロールする結果になってくるのではないかと思います。戦前私は大阪交通局に勤めておりましたが、交通局は発電所を三つ持っておりました。三つ持っておることによって、いわゆる電力会社から購入する電力というものの値段をコントロールした事実は隠れもないことであります。こういうように考えて参りますと、志免の炭鉱に若干の赤字が出るからといって、これを手放した場合における国鉄の石炭購入に対する困難とか損失というものは私は志免の炭鉱を持っている以上の損失になるのではないか、こういうように考えるのであります。こういう立場から、私はとしてもこの際志免の炭鉱を放すべきでない。しかも従業員諸君はお前のところがあるために、おれのところは非常な赤字で財政に苦しいのだということで責めつけられるものだから、一生懸命この赤字の負担を取り除こうとして努力をして参ったことは、数字の上で明かに示しているわけであります。この従業員の心根を考えあわせるならば、私は今申し上げた理由から放すべきでない、こういうように考えているわけであります。そういう点で一こと副総裁の御意見を伺いたいと思います。
  48. 小倉俊夫

    小倉説明員 先ほどから申しております通りに問題は非常に大きな問題でございまして、国鉄としましても、最高意思決定機関の決定でないと、私から軽々に申し上げられないことだと思いますが、ただいまの先生の貴重な御意見につきましては、十分慎重に考慮して参りたいと考えます。
  49. 淵上房太郎

    淵上委員長 本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもって通知いたします。    午後零時四十四分散会