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1956-12-04 第25回国会 参議院 文教委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年十二月四日(火曜日)    午前十時五十二分開会     —————————————   委員異動 十一月二十九日委員郡祐一辞任につ き、その補欠として谷口弥三郎君を議 長において指名した。 十二月三日委員山下義信辞任につ き、その補欠として高田なほ子君を議 長において指名した。 十二月四日委員大野木秀次郎辞任に つき、その補欠として野本品吉君を議 長において指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     岡  三郎君    理事            有馬 英二君            近藤 鶴代君            矢嶋 三義君            常岡 一郎君    委員            川口爲之助君            関根 久藏君            野本 品吉君            林田 正治君            三浦 義男君            吉田 萬次君            安部 清美君            高田なほ子君            松澤 靖介君            松永 忠二君            湯山  勇君            加賀山之雄君   国務大臣    文 部 大 臣 清瀬 一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 典司君   説明員    文部大臣官房会    計参事官    天城  勲君    文部省初等中等    教育局長    内藤誉三郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○教育、文化及び学術に関する調査の  件  (昭和三十二年度文教予算に関す  る件)     —————————————
  2. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ただいまより文教委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  十一月二十九日郡祐一君が辞任され、谷口弥三郎君が選任されました。また十二月三日山下義信君が辞任され、高田なほ子君が選任されました。ついで本日大野木秀次郎君が辞任され、野本品吉君が選任されました。以上であります。     —————————————
  3. 岡三郎

    委員長岡三郎君) まず先刻開会いたしました理事会の経過について御報告いたします。まず閉会中の継続調査及び委員派遣については、調査可能な日数になお不確定要素が多いので、その提出については委員長に一任いただくことになりました。  次に現在衆議院で審議中の法律案教育公務員特例法及び教育公務員特例法第三十二条の規定の適用を受ける公立学校職員等について学校看護婦としての在職を準教育職員としての在職とみなすことに関する法律の一部を改正する法律案衆議院議員坂田道太君外四名提出法律案でありますが、本日衆議院を通過する見込みとなりましたので、明日文教委員会を開催いたしまして審議することとなりました。地方教育職員の昇給昇格問題についての当委員会意思決定の問題はなお検討することとなりました。  以上であります。  何か御質問ございましょうか。     —————————————
  4. 岡三郎

    委員長岡三郎君) それでは昭和三十二年度文教予算を議題といたします。質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 松永忠二

    松永忠二君 少し御質問申し上げたいと思います。まず教員数についてお尋ねをするわけでありますが、教員の数が小、中学校増加した生徒について一学級について一人を増員するということが昭和三十一年度でもあるいは明年度予算でもそういうふうな基準に計算をされておるようでありますけれども、実際には一つ学級編成基準である児童数増加して、現実文部省が考えているような一学級一名の増員というようなことが現実には行われておらないというのが実情ではなかろうかと思うわけであります。そういうことについてすでに指定統計等も出ておられるわけでございますので、小、中学校学級増に対して教員増がそれとどういう関係にあるかということをお伺いいたしたいのが一点であります。それからまた一学級編成基準であるわけでありますが、これはまあ学校教育法施行規則には五十人以下となっておるわけでありますが、実際には、私の承知しておるところでは、一学級編成基準小学校が六十四人、中学校が六十人がまあ最高であろうと思われるのでありますが、実際には一学級の収容しておる人数というのは、これよりも多いと思われるわけであります。小、中学校で最も一学級で収容しておる人数の多い学級は何名程度現実において収容しておるのか、その点を一つお伺いしたいと思います。  それからもう一点は、今言ったような定員が非常に増加することが困難であるので、小学校中学校とも毎年定員比率というものが非常に低下をしていやしないか、そういうことについても大体もう統計もとっておられるので、数年の変化がおわかりだと思うわけでありますけれども、そういう点についてお答えをいただきたいと思うわけであります。局長さんに一つ
  6. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) ただいまの予算に積算いたしました教員数がそのまま充足されない、こういうような第一の御質問だと思います。つまり学級増加する学級について一人を見込んでも、そのまま府県では増員されないのはどういう意味か、こういうふうに伺っておるのですが、この点につきましては、私どもの方で全国平均を見込みますので、来年度幾らふえるかという人員によりまして、学級数を算出するわけであります。ところが実際にこれは全国児童の総数でございますので、個々の学校におきましては伍間増加で埋まる場合もあると思うのであります。そういう点から必ずしも文部省で算定しました人員がそのまま各地方で確保されないとか、こういうズレがございますのが過去の例でございまして、予算で組みました人員は必ずしも充足されないのは、そこに大きな原因があると思うのであります。いま一つは、地方財政の貧困という点から、どこの府県でも相当増加教員数を圧縮するという傾向もございまして、ただいまのような結果になっておると思うのであります。  それから次の御質問でございますが、大体今までのところ児童平均の数は三十一年度は小学校で四十四・三人、中学校で四十六・七人というわけで全国平均五十人以下になっているのであります。文部省でも五十人以下を標準とする、あるいは五十人を標準とするということで、教育適正規模としてはなるべく五十人をこえないことを理想としておるのであります。しかしながらお話のように非常に多く詰め込んでいるのもございまして、六十人以上詰め込んでおるのが、学級数でこれは一%の四千学級が六十人をこえているのであります。中学校では二千学級で約二%が六十人をこえている状況でございます。文部省といたしましてはできるだけこの一学級人数を五十人に近づけるように努力いたしたいと考えておるのであります。
  7. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  8. 岡三郎

  9. 松永忠二

    松永忠二君 今のお答えの中で少し私お尋ねを繰り返したいことがあるわけでありますが、私の最初に聞いたその点については私はまあ指定統計等を見ると小学校については一学級一名の増員をしていない県が二十一県あると思うわけです。そうして中学校については大体九校あるというふうに承知をしておるわけで、一学級一名の増員をしておらない県がですね。それは間違いがないのかどうか。それから従って私の申し上げたいことは文部省が最低の基準だと考えている、児童の増に伴う教員増の一学級一名ということが事実上確保されておらないのは、小学校については二十一県に及んでおるし、中学校については九県に及んでいると私は思っておるわけですけれども、その点に間違いはないかどうか、それから私がお聞きいたしましたのは小学校中学校編成の実際の、割ったものが四十四・三人だということは僻地のほんの小さい学校と大きな学校平均しても全く無意味なことであるわけです。それで要するに一学級をきめるときの基準で、たとえば六十四人以上になれば一学級として認める、あるいは六十人以上になれば一学級として認めるということがどこの県でもとられておるわけです。指定統計でもおそらくそういうことが御調査をなさっていると思われるわけです。私が知っているのは指定統計等調査とか、各県において一学級一名を増員する場合の編成基準としては、最も高いものは小学校で六十四人を基準としている。中学校では六十人を基準としておって、現実には五十人以上になってもちっとも学級をふやすことはできないという実情だと私は承知をしておるわけです。そういう点について誤まりはないかどうかということを再度お聞きをしておきたいわけです。
  10. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) この教員数増加につきましては、学級がふえたから必ずしも教員をふやすということにはならないと思うのでございまして、つまり従前の教員組織の中に余裕があるかないかという点が一応考慮されると思うのです。そうして余裕がない場合に、学級について増員されるのですから、必ずしも学級がふえたから教員数かそれだけ伸びるというわけにはならんと思うのです。それから第二のお尋ねでございますが、各県がこれまちまちの基準をとっておりまして、たとえば五十五人をこした場合には一学級を認めるとか、六十人をこした場合に一学級を認める、あるいは六十五人をこした場合に一学級として一人定員配当しようとか、これは各県のいろいろ事情がございまして、また都会といなかとも違うようでございますから、一律にそういう基準はとっていないと思います。各県の実情に応じてやっているようでございます。特に東京都あたり相当きついように承わっております。
  11. 松永忠二

    松永忠二君 その点は少しお答えがぼやけているのではないかと私は思うのでございますが、たとえば静岡県でも六十四人以上になれば、一学級増をする、そうしてまた中学校になれば六十人以上の場合でなければ一学級増をしない。一学級増をすれば一人の定員をふやしていくというのが現実予算の計上なんであります。従って各県ともこれは実際のところ編成基準をきめているわけなんでありまして、従って私のお聞きするのは、もう現状では小学校が六十四人でなければ一学級増を認めていないというような県が出てきているわけなんです。そういうことを私がお聞きしているわけなんであって、現実実学級人員が多いとか少いとかということを申し上げているわけじゃないのでありまして、そういう、すでに各県においての編成基準がそこまでつまり高まって来ているということをお聞きしておるわけなんです。  なおそれから定員比率についても昭和二十八年度の小学校の一学級に対する定員比率は一・二四である。それが二十九年度、三十年度になると、一・二になってきている。中学校あたりは、一学級昭和二十八年に一・六三であったものが三十年には一・五六に引き下ってきているというのもこれが現実だと思うわけです。これも私の承知しているところでは文部省指定統計にすでに出ておる結果なんであります。そういうことについて私ども把握が誤まりであるかどうかという点について、私は大体そういうふうに定員比率も全般的に下ってきていると、そしてまた学級編成基準というものも非常に高まってきているということについて、われわれの押えている数字というものが誤まりであるかないかということをお聞きしておるわけなんです。
  12. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) ただいまの点ですね、最高が六十五人とか六十人、こういうような県もあるということは事実でございます。ただそれが全部というわけじゃございませんが、一、二そういう県が最近出てきたということは事実でございまして、それからいま一つお話学級数の、五十人で割った仮定学級についての御質問だと思うのですが、一・二四が一・二一に下ったというのは、これも事実でございます。
  13. 松永忠二

    松永忠二君 まあそれじゃ第一点については質問を打ち切りますけれども、そういう資料をやはり御提出をいただきたいと思うわけです。あなたのおっしゃるように、実学級についての定員比率はこれはないと思うわけなんで、調査もすでにされておるようでありますので、一体各県の編成基準はどういうふうになっているか。実学級に対して定員比率が一体どの程度になってきておるかという、各県のことを今後お出しをいただきたいと思います。  第二点について……。
  14. 高田なほ子

    高田なほ子君 ちょっとそれに関連して聞かさして下さい。
  15. 岡三郎

    委員長岡三郎君) よろしゅうございますね。
  16. 松永忠二

    松永忠二君 ええ。
  17. 高田なほ子

    高田なほ子君 第一問についてちょっと不明な点がありますので、関連して聞かしていただきたいと思うのですが、小学校中学校の三十一年度の一学級当り児童数が今発表されたわけですが、それでは教師一人に対して生徒数はどういうふうな割合になっておるか。三十年度は教師一人に対して三三・八という数字が出ております。三十一年度は教師一人に対してこの数字がどういうふうになっておるか、それを知りたいのです。
  18. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 三十一年度は教員一人当り三六・六一になっております、小学級の場合。中学校の場合が二九・八一です。
  19. 岡三郎

    委員長岡三郎君) それから松永さんの資料提出についてお答え願います。
  20. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 私どもの手元にある限りの資料提出したいと思っております。
  21. 高田なほ子

    高田なほ子君 前年度から比べますと、非常に数字が引き上ってきているわけでありまして、この数字引き上り方によっても、一学級児童生徒数が非常にふえておるということが明確にわかってきたわけです。特に、日本の地形の特殊的な状態としては、僻地が全学級数の約一七%を占めておるというような統計が出ておりますが、僻地、それから都会地のバランスというのは、これは相当考慮されなければ適正な教員配置ができないというふうに考えておりますが、この僻地の一七%という非常に高率なわが国における状態として、よほど配置の問題についても考慮しなければならないと思われますが、内藤局長のただいまの御答弁によりますと、各地方がまちまちであるということが当りまえであるというような印象を受ける。まちまちであるということが当りまえということは、これは大へん問題の、一番重要な点の御答弁であると思いまして、私の把握がまちまちであるということが当りまえのように受け取られたのが間違っておるかどうかわかりませんけれども、この点について内藤さんの御見解を一応承わっておきます。
  22. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 先ほど六十四以上が出てきたということは、わが国教育上非常に遺憾なことでありますが、最近は、今全国で二県ほど小学校六十四をこさないと一学級増員を認めない、こういうような県が現われたことは私も非常に遺憾に思っておるのであります。現在のところ、文部省学校教育法施行規則によれば、五十人を標準とするということで、五十人が建前になっておりますが、地方財政関係もありまして現在の負担法では、各県が適正な教育基準をおきめになって、それの出てきた実績半額負担するという建前なので、文部省としても今までは積極的な指導を差し控えておる。むしろ予算積算基準を示しまして、これに準拠されるように努めておったのですが、予算も御承知通り、現員現給の実績の上に増加学級というものを見込んでおりますので、各県の実績を一応尊重するという建前をとっておるわけでございますが、将来、こういうふうに学級規模が非常に多くなって教員負担が過重になるならば、教育上適正な効果を期待できないというふうにも考えますので、何らか標準定数のようなものを考えて、できるだけ標準的な教育規模が行われるように努力をいたしたいと考えております。私はまちまちになっておることを決していいとも思っておりませんが、非常に教員組織のいいところもあるし、悪いところもある。これが結局は地方財政を反映した結果になっておりますということは、一面いい面もありますが、一面困った面もあります。先ほど申しましたように、何らかそこに適正な基準というものを研究しておるわけでございます。
  23. 高田なほ子

    高田なほ子君 私は二十五年教員をしておりましたが、いまだに忘れられないのは、六十七名の一年生を受け持ったときの記憶です。二十五年間教員をしていると、いろいろ苦しいことがあったわけですけれども、六十七名の一年生を受け持たされたときには、さすがに老練な私も、どうも疲労こんぱいしまして、子供成績低下するということを事実見ておりながら、自分の能力というものの限界がきてどうすることもできなかった。これはもう私が長い体験に基いて忘れることのできない良心的に苦しみ、また精神的、肉体的に苦しんだそういう経験なんです。そういうような経験は逐次解消されるやに見えてきたのでありますが、最近になってから特にこういう経験を持つ現状が出てきている。特に中学校生徒が六十三人も押し込められた学級の悲劇というものは想像にあまりある。教壇は置かれないで、一番前まで子供が来ている。一等前の子供は、先生が熱弁をふるうとつばをかけられるというような故障すら起っておるが、こういうことはさまつな問題といたしましても、児童成績を上げ、また文部当局としては、当然責任のある教育水準低下を防がなければならない、つまり教育水準を維持させていくという責任を持っておるのでありますから、こういう実情の解消に当っては十分な留意がされなければならないのでありますが、ただいまの局長の御答弁によりますと、大へん遺憾であるというような御答弁であり、さっそくにもこの目的に合うような方法を講じたい、こういうような御答弁でありましたが、この御答弁はまことにあいまいもこたる御答弁であって、ただいまの御答弁を疑うわけではありませんけれども、また望みなきにあらずという気持も持つわけでありますけれども、これは根本的な検討をしなければならない時期に来ているのではないか。大体義務教育国庫負担法が制定されたときに、財政能力のある県と、財政能力のない県と、教育水準が非常にアンバランスになっていく。それでは教育の正しい向上ができない。そこでこの均衡をはかるための調整役割として、義務教育国庫負担法というものが私は制定されたと思うのです。単に地方財政の窮乏を救うために、その重荷を救うための肩がわりとしての国庫負担金ではなくて、教育水準均衡をはかるための調整役割を持つという性格をわれわれは認識するとともに、また、法の第一条にもそのことが明確に規定されてあるわけであります。従いまして義務教育国庫負担法の所期の目的がこういうような状態になってしまったということには、それ相当原因があると思うのです。ただ単に局長にここで標準定数をきめていきますというようなおざなりの答弁をいただいても、私にはどうも納得がいかない。  そこでこういうような不均衡が生まれてきた最も大きな原因というもの、その原因をどういうふうに把握されるのか、またその原因を排除するために具体的に三十二年度の予算ではどういうような方法をもってこれを解消していくのか、そういう点にもわたって御答弁をわずらわしたい。
  24. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 義務教育国庫負担法の制定につきましては、高田委員お話通り趣旨でございます。ただこの場合に実績半額を保証するという趣旨は、ほかの事業にはほとんどまれでございまして、それだけ義務教育の場合にはその重要性にかんがみて地方自主性を阻害しないように、地方負担されたものの必ず半額は国が負担するという趣旨でございます。ですから半額負担趣旨をとる限りこれは最高のものだと私は考えております。遺憾ながらあとの半分の地方財政の措置が、これが十分でないということが言えるわけなんです。現在の交付税交付金ないし地方財政の体系に無理があるんではなかろうか、従って裕福な府県についは相当実績を上げてておるのですが、貧弱な府県については御指摘の通りの遺憾な事態が起きておるわけでありまして、このためには、一つ交付税配付基準、これをある程度憂えていただかなければならぬかとも考えております。交付税総額あるいは地方税収総額にも問題があるにしても、この交付税の適正な配付ということが考えられなければならぬと思いますので、私どももこの点についてもう少し自治庁と検討しまして、適正な配付、いわゆる単位費用と申しますか、その配付基準について研究を進めて参りたいと、かように考えております。
  25. 高田なほ子

    高田なほ子君 関連質問ですから、またあと質問いたします。
  26. 松永忠二

    松永忠二君 それではその次の点について……。教員数増加が非常に不可能なために、市町村負担とかPTA負担授業の担当の教師あるいは養護職員であるとか事務職員を置いておるというのが非常に多いわけであります。特に高等学校あたりについてもそういう現象が非常によく出てきておるわけでありますけれども、それこそ再建団体に指定されたりなんかして市町村負担することができない、そのためにそれらの教員をみんなPTA肩がわりをしなければいけない、あるいは整理をしなきゃいけないというような現象が出てきておるわけなんです。私は一体こういう市町村負担とかPTA負担教員が一体どのくらいあるのか、そういう実態をどの程度把握をされておるのか、それを一つお聞きをしたいわけなんです。
  27. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) ただいまの点、私どもの方でもまだ正確な統計が参っておりませんですけれども、特に四国、中国方面にそういう例があるように聞いております。大体のところは二、三千人くらい市町村負担あるいはPTA負担職員があると聞いております。正確な点についてはもう少し調査さしていただきたいと思います。
  28. 松永忠二

    松永忠二君 それは一つぜひ御調査をいただくとともに、実際にずいぶん無理してPTAが金を負担しておる。で、これはきのうあたり朝日新聞等にも、PTAにこういう負担がかかってくるためにPTAとして非常に性格が変ってきてしまっているので、非常に大きな問題になりつつあるというふうにいっておるわけなんです。これは第一の質問と関連して、事実上生徒はふえ、学級はふえても定員をふやすことができないので、自然そういう方向で、曲った方向定員増というものが、教員増が進められている。私のつかんた実態では、いや、たった一つの県にすら千人をこえてる実情があるように聞いておるわけなんです。小、中、高含めて、そういうような一都市でも二、三十人を持っておるというところも私ども知っておるのです。そういう点についてもぜひこういうことをつかんでいただくということが、事実上どの程度一体地方がこの定数基準を保持するために努力をしておるのか、またこの点についてぜひ中央の文部当局自治庁等の善処を望んでおるかということがよくわかると思うわけでありますので、ぜひ一つ実態をつかんでいただきたいと思うわけです。これは一つあとでそういう点を御提出をいただきたいと思うわけであります。  それで第三の質問でありますが、再建団体が十八県あるわけです。その中で、たとえば私ども承知しておるのは、新潟県のごときは、小学校中学校高等学校について毎年八百人以上も退職者を予定して再建計画を立てておるわけです。そういうことになると、自然もう若くして、退職者を当然出していかなければできないということに追い詰められてくるわけでありまして、熟練した教師のもとに授業を行うということが事実上できないわけであります。あるいは岩手のごときは、三十一年から三十五年まで、この五年間に小、中、高の先生を一人もふやさないという、増員しないという再建計画を立てておるようであります。それから徳島のごときは、十五年の間に高等学校先生乙号基準の八八・五%に据え置くということを決定しておるのです。高等学校志願者人数というものは年々増大をしていくし、またわれわれも高等学校程度のものは義務教育としても拡大をしていきたいというふうに考えておるので、徳島のごときも志望者が年々増加をするだろうということを考えてきたときに、十五カ年にわたって高校教員を一定の基準に据え置くというような再建計画を立てるというようなことについては、私はまことにどうも教育水準を維持するという点から重大な問題であるというふうに考えるわけです。こうした定員の削減について一体どういうふうなお考えをお持ちになっているのか、そしてこれらの再建団体再建計画を立てるときに、文部省はどの程度一体この問題に関与しておるのかという点を一つお聞きをしたいわけです。本日は自治庁の方がおいでにならないわけでありますけれども、私は実際のところ現在こういうふうな状態は、全くいろんな意味で非常に教育水準維持のために重大な時期に際会しておると考えますので、この点について一つどういうお考えを持っておられ、具体的に再建計画を立てる場合に、教育予算については文部省はどういうふうに関与しておるのか、今後どういうふうに関与していきたいのかという点について御答弁をいただきたいと思うわけであります。
  29. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 再建団体について教員の定数の削減がありますことは事実でございます。御指摘の新潟、徳島、岩手、まことにさように感じております。ただこの再建団体につきまして教育上どういうふうに処理をしておるかというお尋ねでございますが、これは地方の知事側と教育委員側とで十分話し合いのついたものを自治庁の方に持って参っておりますので、そこで自治庁は……私どもは個々の点について自治庁からは相談を受けておりません。なお今後私どもといたしましては、大体この辺までは教育水準上最低水準だという一つのワクを、一般的なワクを自治庁とよく御相談しておきたい、先ほど申しました標準定数というものは、そういう意味で自治庁との話し合いの結果作りたいというふうで、今せっかく折衝中でございます。そういう基本的なワクをきめて、あとは個々の認可、個々の判定は自治庁におまかせせざるを得ないのではなかろうか、もちろんこれは地方教育委員会側と、自治側で十分話し合いがついたものでございますから、私の方で全国規模について十分打ち合せを遂げておりますればあと自治庁の判断にまかせる、こういう態度で参りたいと思います。
  30. 松永忠二

    松永忠二君 先ほどから一定の基準を立てて、最低の基準を出して、それを確保する方向へいきたい、あるいは基準財政需要額の計算基準というものを改めるために、自治庁との間に交渉していきたいというお話、そういう点も確かに一点だと思うわけであります。これは一つ実際において文部省は、たとえば道徳教育の問題であるとか、あるいはいろいろな教育の問題について適切というか、機会を見て地方に通達をお出しになっておられるわけです。そういう通達というものは、新しい教育委員会法に基いて法的な根拠を持っておられるわけなんで、そういうことについては、それが地方における教育予算を確保する一つのよりどころとして、やはり大きな力を持っていると思うわけです。また持っていくと思うわけです。予算編成の当初に、編成を目前に控えてこういうふうなことについてはかりに教育委員会がその地方との自治体の間に話し合いができたとしても、またその間の経過を見ればあるいは任命制に伴う一つの問題から十分に予算要求もできないという現状があるわけなんでありますので、その点で文部省はとにかくこれらの今話になっているのが教員数でありますから、私はその後に昇給の問題等についてもお尋ねをしたいと思うし、単価の問題についてもこういう点がざらに出てきておるわけであります。こういう点についてとにかく教育委員会の善処を求め、とにかく努力をしてもらいたいということについて私は文部省が通達なり何かを出して、それをよりどころにして教育委員会がとにかく善処していくなり、地方が善処していくということが妥当ではないかと思うわけです。こういう点についてやはり何とかしていきたいという気持があるのか、そういう点をお聞きをしたいわけなんです。
  31. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 地方の定数についての基準をお示しする場合にも、自治庁あるいは大蔵省との協議を整えないものを出すわけにも参りません。とにかくこれは財政の負担に関する問題ですから、これは大蔵省と自治庁と話し合いのついた一つ基準をお示しして、予算編成の重要な参考資料にしていただくように努めております。
  32. 松永忠二

    松永忠二君 努めているということではなくて、ちょうど事実上予算編成の前に当るわけなので、文部省は適当に予算の問題で話し合いができたからといって、中央で予算編成ができたからといって、あなたのおっしゃるように地方教育委員会地方の自治体との間に協議してきめられたことであるので、私の方ではというお話のようで、中央で何も予算の折衝ができないからといって、今のように教育水準を維持するためには、少くもこれだけの確保をしていただきたいし、またこういう傾向が出ていることについては非常に遺憾だというような表現でも、それを足場としてやはり地方教育委員会は自治体に対して善処を求めているよすがにも、方法にもなるわけです。そういうことすらも地方では期待をするような現状に至っていると私は思っておるわけです。そこで今度の予算編成の前に、そういうことをおやりになる意思があるかないかということをお聞きをしておるわけです。
  33. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 予算がきまりますれば、当然国の方から地方に来年度予算の輪郭をお示しします。その場合に適当な指示なり御協議をするつもりでございますが、今問題の点はそれと、もう一つの問題は、将来にわたってどういう標準定数が、小学校あるいは中学校である場合に、合理的また教育水準の上から考えて妥当であるかという、一つの大きな問題があるわけであります。これについては、先ほど申しましたように関係各省と十分協議して、協議が整わなければ出しても意味ございませんので、今協議をしておるところでございます。
  34. 松永忠二

    松永忠二君 その点はまあ一定の標準規模を作っていくということについては、これはなかなか研究も必要であるし、それについての予算の問題もあると思うわけなんです。しかしそういうふうなこととは別に、現在こういうふうな状態に、教育予算が非常に各地において縮減をされてきておる。そうしてあるいは文部省としても、これでは妥当ではなかろうかといういわゆる基準も各地に出てきているので、この際一つぜひ水準を下げないように教員の定数の確保であるとか、その他の予算措置について万全を期せられたいということについて、そういうことについて私は文部省として通達をお出しになることが適切だと思うわけなんです。そういうことについては何も私は研究を待つとかいう状態ではないで、今もうお話になられたことでざらに出てきているわけで、あなたが遺憾の意を示されたことが二つも三つもあるわけなんです。そういうことが現実であることを考えてみましたときに、私はやはりそれでも地方予算をとる一つの力になるという現実があることを考えてみたときに、どうも標準規模がきまらない前は、打ち合せができない前はということではなしに、よく口癖に仰せられる教育水準の維持のために、この際一つそういう概括的な善処を教育委員会に求められるということは、ぜひしていただきたいと思うわけであります。それについてどうなんですか。
  35. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) たびたび申しましたように、国の予算が成立しました場合には、国の予算基準というものを明瞭に御説明申し上げ、またそれに協力を仰ぐように教育長あるいは教育委員の方々に御努力を願うつもりでおります。
  36. 松永忠二

    松永忠二君 その点まあわかりました。それで、しかしいわゆる今そのお話の先にありました交付金の配付基準であるとか、そういうものを改めていかなければできない。私もそうだと思うわけで、私の県のごときは、とにかく基準財政の需要額と実財源の所要額と比べてみて、全体で四億ばかり少いわけなんです。いわゆる県費で負担をしなければできない実情にあるのです。それでいてしかも四億を負担しなければできないのに、小、中学校定員基準はどうかといえば、六十四人以上にならなければ学級数ができない、日宿泊の手当のごときも二百円そこそこである、旅費は一人四千円を文部省で組んでおられるのに、実際は三千円にもなっている、それでもなおかつ四億の持ち出しであるわけなんです。こういうことから考えてみて、とにかくそういう基準を改正しなければできぬということは、私は重要なことだと思うわけなんです。そういうことについて、そうしてまた適正の規模を考えているということは非常に妥当だと思うわけでありますが、そういうことについて、じゃいつをめどにしてそういうことをおやりになるのか、そこを一つお聞きをしたい。
  37. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) なるべく早い方がいいと思いますが、来年度の予算がきまらないと、自治庁の方でも交付税配付基準というものが立てにくいと思います。それで、もちろんそれ前から不合理な点を自治庁に指摘いたしまして、こういう点を改正願うように話は進めるつもりであります。ですから来年度の予算が施行になる前に、できるだけ話をつけたいと考えております。
  38. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 関連をしてお伺いするのですが、今の問題について、これは大臣から一つお答えをいただきたいと思うのですが、毎年予算を審議する場合に、いつでも基準がきまらないから、あるいは教育水準をどこに持っていったらいいかもきまらぬと、こういうことで年々やっておっては、先ほどから論議している松永さんのこれはどこまでいっても残るのであって、本年だけの問題じゃない。御承知のように、経済企画庁では、経済はもう戦後の経済の域を脱したと、こういっておるのですが、事教育に関しては戦後の傷が全然……戦後の変革のあれが麻痺しておって傷が直ってないという状態、ことしの予算を拝見すると、なかなか今までから見ればかなり各費目について大幅に増額をされているので大へん意を強うしておるのですが、今、内藤さんの御説明では、これは予算できまるので、全く他力本願で、地方自治庁なり大蔵省の一顰一笑で変ってくるというのでははなはだ心細い。そこで私はこの義務教育については一団どういうことまで、どういう水準、理想を考えて、何年でこれを整備されようとしているのか。たとえばここにあるこれは設備の面でも中学校校舎、危険校舎、それから不正常授業解消とあるけれども、ここに出ている予算は、これは一体何年で解消される目途でもって組まれた予算であるか。これは今設備だけですけれども教員の問題についても、教員数なり教員の給与についても同じことがあると思うのですが、そういう基準経費について、これを一体何年計画で、あと何年かかるか、どの目途でこの予算を組まれたか、それをお伺いしたい。
  39. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) お問いは二つでございましたが、前段の松永君と局長との間の質疑応答の続きでございます。そこで局長の答えは、現在は実績主義で予算を組んでおることをお答えいたしておるのでありまするが、現在の組み方いかんにかかわらず、将来法律なり制度としての話は、これはまた別に考えなければなりません。従前、地方制度調査会においても、財政懇談会においても、やはり妥当な定数を基準として、将来そういう基準でやった方が組み方も容易だろうという有力な意見があるのでございます。それに従ってただいま妥当定数を一つ考えてみようというので、庁内においても他の省との間にも交渉はいたしております。今の五十名という標準の数は実はあることはあるのですけれども、しかし、それで予算を組んでおるわけじゃないので、今は……、やはり地方でお使いになるものの半分、こういうのですが、そのやり方を今御質問のようなふうのはっきりした基準にいたしたいというのですが、その妥当数というのがなかなか妥結に至っておりませんが、これには十分尽力いたしたいと存じております。  後段の今の各種の整備ですね、危険校舎、あるいは学校統合、それらについておのおの年次計画をつけてやっております。各費目の年次、何年かお答えいたさせます。
  40. 天城勲

    説明員(天城勲君) 文教施設の整備につきまして明年度要求しておる金額、これの年次計画でございますが、この前に御配付申し上げました費目について申し上げますと、中学校校舎、これは五カ年計画でございます。それから屋内運動場、これは義務教育関係は五カ年ですが、中学校は七カ年になっております。学校統合は現在のところでは二カ年でやろうと思っております。それから危険老朽校舎の改築、これは義務制は今の計画の対象になっておりますものを二カ年で、それから非義務関係は三カ年、こういう計画を立てております。それから不正常授業、これも現在対象になっておりますものを二カ年でやりたい、こういうような計画で要求をいたしております。
  41. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 それでこの今の問題についても、まあこの予算がすっかりとれればこういう計画で今後いくということだと思うんですが、経済もそうですが、この教育の問題というのは危なっかしいことをしていると、これは影響が五年十年あとへ出てきて、非常に粗末な教育をした報いはあとで非常に大きく出ている、これは御承知通りの問題であります。そこで私は文部省予算を組まれる場合には、文部省独自の非常に確固たる信念を持って当っていただかないと、先ほどのお話を伺ってまあそれは地方自治、地方財政のその問題もありましょうし、中央の一般財政の問題で一ぺんに何もかもよくせいということは、これはできないことは私どももよくわかりますが、しかし私どもとしてはこれは何年で、何といいますか、理想とまでいかなくても、これが義務教育だといって、六・三・三のこれならばというその姿を描いて、それは何年でくるのか、そういうことはやはり国民として一番大事な問題になろうかとかように考えますので、御質問をいたしたわけでありますが、予算の獲得に当ってはぜひ文部大臣一つそういう話でもって予算がとれたらというようなことでなくして、どうしても日本の再建には絶対だというような御信念を持って、これは申し上げるまでもない失礼な言い方だと思いますが、お願いしたいと思います。あとにまだ私質問がありますが、関連しておりますので……。
  42. 松永忠二

    松永忠二君 ちょっと今の説明について。天城さんのお話でその危険校舎の改築なんかは義務制では二年でできるようなお話なんですが、これを見て私は全くこの予算ではできないのじゃないかと思っているんですが、たとえば私の県なんかについても五万二千坪も危険校舎が事実出ている、四十五年から五十年くらいのものが出ている、大体一割は自然増として考えられなければそれができない、一割程度のものはどうしてもその危険校舎がすでにふえていく、自然にふえていくし、現在あるのに加えられていくのに、去年の予算、ことしの予算について考えてみても大体配当される予算基準は五千坪程度ではないか、二年で一体危険校舎が解消されるというようなのはどこからお出しになった数字であるのか、私はそういうことは今の計画ではちょっと承知できない。あるいは小学校の不正常授業の解消についても、これは二部教授を解消するということだけでは私はなかろうと思うわけです。当然つまりその非常なたくさんな学級を持っている、生徒を持っている、その生徒を二つに分けて……不正常授業を解消していくということも計画の中に入ってくるだろう、あるいは学校統合の問題についても市町村合併のために学校統合をおやりになるというよりも、むしろ適正な規模を考えて学校統合をおやりになっていると思うんです。そうなってくれば一体僻地学校統合をやって出てくる数は、もうほとんど学校統合で減る数は少い、当然適正規模を考えましたら学級の多いものの一体学校分離ということをどう考えておられるのかどうかと、私は今二年とか、三年とかといったことで、危険校舎や不正常授業が解消するというような御説明には納得できかねるので、私の県あたりでも、もうすでにこの危険校舎改築の予算については格段の努力を払っていただかない限り、どんどん危険校舎はふえていく。しかも鉄筋と木造のパーセンテージについても改めていただかなければ現状では適切な運営ができないというような状態がたくさん出ているのであって、加賀山さんのおっしゃったことについても私ども全くお聞きをしたいところであり、その説明では私は納得が行きかねるので、再度御説明をいただきたいと思うわけであります。
  43. 天城勲

    説明員(天城勲君) 若干私の説明が不十分でございますので補足させていただきます。たとえば危険校舎はこれから年次計画いたしますれば、現在の耐用年数もそのまま過ぎていくわけで、極端にいえば無限にふえて行くということでもあるかと思います。結局計画を立てますときに、一定の時期で計算して一定の基準で考えて、それを当面の第一次の対象と考え、第一次対象分について何カ年計画、こういうやり方をいたしたわけであります。学校統合につきましても、おっしゃるように、将来どこでどういうふうに統合が行われるか、まだ未確定のところがたくさんございますが、今申し上げました計画も、三カ年と申し上げましたのは、現在町村合併促進法に基きまして、新町村建設計画の上で、各市町村が統合するときめたものだけをこれは対象とする。そういう具体的なものも討議いたして立てた計画でございます。将来にわたってこれを永久にこの計画でやるということではございませんので、一つ御了承いただきたい。
  44. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 議事進行について発言を求めます。
  45. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 矢嶋三義君。
  46. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 議事進行について発言いたします。  本日は松永委員から教育予算の問題の定数の問題の質疑が展開されているのです。先ほど私は答弁を聞いていると、ぜひ関連してお伺いしたいことができておる。そのときにちょうど他の委員から関連で校舎の問題が出てきた。で、政府委員答弁をされたんだったわけですが、これはまたそのときにもう少し根拠などを承わらなければならぬし、それはその段階において、今松永委員の定数の問題が出たのだから、まずそれをある程度まで片づけて、そうして次の段階に行かないと、これは文部省予算はずいぶん広範ですから、あっちこっち出てきよったら、どれもまとまりがつかなくなると思いますので、従って私が議事進行について発言しているのは定数の問題にしぼってもう少しやっていただきたい。願わくば私の発言を許していただきたい。
  47. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 矢嶋三義君。
  48. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 簡単明瞭にお答え願いたい。  局長に伺いますが、学校教育法施行規則第十八条に「小学校の一学級児童数は、五十人以下の標準とする。」とあります。この水準を維持し、教育効果を上げていくのには、これは五十人以下を原則とするということは、これは正しいと、これを堅持するお気持がおありかどうか。念のためにお聞きしたいと思います。
  49. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) これは正しいと思っております。
  50. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 この問題については、現在の問題と将来の問題があると思うのです。私は現在の問題について承わりたいと思うのですが、しかしながら文部大臣としては閣議等において地方財政計画を審議されるに当っては、この線を堅持すべく閣議において立場を堅持されるのかどうか、過去において努力されたのかどうか、また来年の予算編成に当って、その基本線について努力されるのかどうか、念のためお伺いします。
  51. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) すべて法規において規定せられ、またこれが妥当でありまするから、これは守りたいと思っております。ただしかしながらわが国教育の制度が、地方で使いましたものの実績の半分ということなんで、ことにこの昨年までにおいてはそれほど地方地方予算を作るのに、直接文部省から干渉もできなかったので、こういの状態を呈しておるわけでございます。
  52. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 実績の半分と、しかもその実績地方財政計画の実行から割り出されて来る、そこで無視してはならないと思う。あなたのところで学校教育に基いて施行規則として出された、しかもこれは正しい、これを堅持するという基本線がある以上は、財政計画を閣議において審議される場合、あくまでもこれを堅持さるべきで、それを堅持されることによって、実績の半分はそれに見合うように出てくるわけですから、そこの努力の足らないところにこういう問題が出て来ておるわけです。しかもこの定数の問題は再建整備法が公布施行されて以来、特にこの傾向が顕著になって参ったわけです。従って私は事務当局のあるいは折衝をする段階においても努力される分がございましょうし、なおそれより上回わるところの国務大臣であり文部大臣である清瀬さんの私は努力されるべき分野が非常に広いと思う。そして私は松永委員質問にしぼってお伺いしたいのでありますが、松永君は先ほどからしきりに定数が確保されるような通達を出すなり指導してはどうかということについて、予算がどのようにきまるかわからぬがという、まことに加賀山さんが指摘されたようにたよりない言葉で回避されておるが、これは大きな間違いだと思うのです。これだったならばあなたのところで作られた施行規則、これが正しいとなれば所管局長としては地方都道府県教育委員会に対して、こういう通達を出して指導すべきではないですか。また文部大臣としては地方財政計画が閣議に出た場合、あるいは個人的に太田自治庁長官と話し合う場合に、この教育効果を上げ、その水準を維持するために必要であるところの、この児童数は五十人以下を原則とする、これが守られるようにしてもらわなければ困る、所管大臣として納得できないと、こういうふうな立場を私は当然堅持されるべきだと思うのでございますが、いかがでございましょうか。従って松永委員が要求している通達を出し、指導助言をするということは当然私はなさるべきだと思うのですが、それをなかなかはっきり答弁されないことはまことに遺憾でございますから、まず文部大臣から答弁をわずらわしたいと思います。
  53. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) この問題は指導通達くらいで解決すれば実は容易なことなんです。しかしながら問題は閣議どころじゃない、もっと大きなもので、私は政治家として考えねばならぬと思っておる。閣議でどのくらい大きな声で言ったところが、今かくのごとくなっておるのは地方財政の窮乏から来ておる、地方の知事でも教育委員長でもまた町村の長でも、教育委員の方々も、教育が重要でないと思って現状を維持されておる者はございません、これをよくしたいのはみんなやまやまではありまするけれども、何をするにも地方の財政がかくのごとく窮乏いたしておるわけです。ある極端な例のごときは文部省から金をやるといっても断わって来ておるのです、なぜ断わって来るかというと、それをもらえばそのもとになる地方の経費を出さなければならぬ、みすみすこちらの方から出した金も使えないという状態であります。しからば日本の財政全体はどうか。日本は今財政が破綻しつつあるかというとそうじゃございません。今年の国家財政は今日までの間でも九百億円の収入超過であります。年末までには一千億であります。それである人はこの一千億を減税に使おうかと言っておる、逆に全体としては経済は上わ向いて政府の予算は余りながら——余るといってはおかしいけれども予算よりはたくさん収入しながら地方においてはこの状態なんです。一番大切な教育においてもこの通りであります。それで私は、わが党は無論のこと、矢嶋さんの属しておられる党、各派寄って一体財政収入の地方と国家の割り振りを変えなければならぬ。こんな不公平な割り振りが出たのは、悲しいかな、わが国が占領されて、外国人シャウプという人が出てきてシャウプ財政を作ったのです。地方自治とは言いながら地方に財源がありゃしません。もっと大きなところでこの改革をしなければ——私は閣議でしゃべって、それで日本の教育がよくなるなら何ぼでもしゃべりますよ。通達を出しただけで教員の月給が上るなら通達も出しますけれども、元が地方にないでしょう。交付金の率を少々上げたぐらいでは焼け石に水でしょう。ですからもっと大きな私は日本財政の問題が横たわっておると、最初からこの問題を見ておるのです。お問に対しての直接の答えになりませなんだと思いますけれども、あなたのおっしゃる通り、太田君に対する折衝もさしておるのです。閣議においても唱えます。唱えまするけれども、私が非常に叫んだからといって解決しがたい根本の、英語でいえばハード・アンド・コールド、固い、冷たい事実があることをどうぞ御承知願いたいと思います。
  54. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ただいま本会議が開会されて、各委員会は休憩して入ってもらいたい、こういうことでございまするので、暫時休憩いたします。    午後零時二分休憩      —————・—————    午後一時五十分開会
  55. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 午前に引き続き委員会を再開いたします。
  56. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 大臣がいないから局長答弁を求めますが、先ほど大臣は地方財政計画を立てるに当って閣議でどういう発言をし、努力をしても大勢には影響がない、あるいは局長が都道府県教育委員会に対して助言指導するために通達を出してもそれは何らの力がないというふうに実にみずからの力を否定、卑下したような発言をされておりますが、私そんなものじゃないと思う。閣議でこれだけの基準定員は守るようにしなければならぬという強力な発言をするとか、あなたの方がことに、再建団体等が再建計画を立てるに当って、文部省の見解のもとに適当なる指導と助言をするということは、私は教育効果を現わすために、その水準の維持向上をはかるために効果があると思うのですが、あなたはどう考えられますか。
  57. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 先ほど大臣が御答弁いたしましたのは、将来の地方財政計画についてお話があったと思うのでございまして、現在のこの事態を決して放置するという意味ではなかったと思います。そういう意味で、文部省といたしましては、できるだけ義務教育水準が維持できるように、現在の制度の中においても最善の努力をいたしたいと考えております。
  58. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そこで問題をしぼって……。政府ではこれから予算編成にかかっていくわけですが、自治庁ではすでに来年度の地方財政計画について案を持っているわけです。各都道府県自治体は来年の予算編成期に当って考慮中なんです。しかも再建団体等においては定員の面にしわ寄せがしてきて重大なる危機に瀕しているのです。このときに松永委員から要求された文部省の見解はこうこうだと、たとえば五十人を原則とする、それは望ましいというような内容の通牒を出すことによって指導と助言をなさるべきだと、かように思うわけであって、初中局長名をもってそういう注意喚起の通牒かなんかを出していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  59. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) お話の点はごもっともでございますけれども、もう少し私どもは具体的に各学校の希望に応じていかなる定数が合理的かというような問題を自治庁と話し合った上で適当な措置を講じたいと考えておるのであります。というのは、すでに学校教育法施行規則にも今御指摘の点は明記されておりますので、地方も十分この点は実情がわかっているはずだと思います。結局教育委員会側と財務当局との間の問題だと思うのです。それで財務当局の側におかれても自治庁も了承したようなある基準というものを私どもがきめて、自治庁からも強力な御協力を仰ぐように努めたいと考えておるのであります。
  60. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それではあなたに伺いますが、私はこの質問の冒頭に、当面の問題と将来の問題があるということを前提としてお伺いしているわけですが、いずれ他日伺いますが、あなたが本日何度も繰り返して答弁されておりますところの標準定員というような、そういうものは来年度の予算編成までに間に合うように結論を出される予定ですか、どうですか。その点聞きます。もし来年度予算編成に間に合わなかったならば、これは将来の問題であって当面の問題は解決できないと思う。従って当面の問題を解決するためには今の現行法のワク内であなた方のお考えになっている五十人の定員が守れるように、実際は六十四人をこえなければ二学級を認めないというのは遺憾だ、また六十一人以上入れている学級数が四千学級あるということは遺憾だということを表明しているのですから、来年度予算編成に間に合うのか合わないのか、その点を伺いたいと思います。
  61. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) もちろん間に合うように私ども努力するつもりでおります。
  62. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 間に合うように努力されておるならば、そういうふうに努力していただきたい。それと矛盾はしないと思うのです。そういう通牒を出したからといって、そういう注意を喚起し、指導と助言をするからといって、少しも私は矛盾しないと思うのです。そういう通牒を受ければ都道府県教育委員会にしても、あるいは自治体にしても考えるところがあって、来年度の予算編成作業をするのに非常に私は幸いすると思う。決して矛盾しないと思う。それはそれでよろしい。一方私はそういう通牒を当然出してしかるべきだと、こう思う。重ねてお伺いします。
  63. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) お説はごもっともだと思うのですけれども、すでに学校教育法にもあれだけはっきり明示してあるのに、同じことを繰り返して通牒するのもいかがかと思うので、その点もう少し府県実情に合うようにこまかい基準というものが必要なので、そういう点をにらみ合せて自治庁の了解を得たものを流したいという気持で、しかもそれは予算編成に間に合うように私ども努力いたしたいと考えております。
  64. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あなたは自分で都合のいい通牒は幾らでも出して、そうでないのは出さないという態度に私は不満です。しかし委員長の要請もあるし、時間の制限もあるから、その点はその程度にとどめますが、もう一つ聞きたい点は、さっき大臣は再建団体再建案でも、自治庁に持ってくるものは県側と都道府県教育委員会のまとまったものがくるので云々と言われておりますが、たとえば具体的に大分県のような、ああいう定数の問題は県知事側と教育委員会がまとまらないまま全県的な政治問題化したものが自治庁に持ち込まれてきておるのです。再建整備法を審議するときには、自治体では理事者側と教育委員会が協議する。また中央においては文部大臣と自治庁長官が十分に話し合いをして、この再建計画教育にしわ寄せにならないようにするから心配要らないということが、当時あの法を審議する場合に政府側から答弁されたわけです。ところがこの前の委員会での答弁を承わりますと、自治庁文部省の間ではほとんど連絡も協議も行われていない旨の答弁がなされておるわけです。ああいう大分のような場合、当然私は文部大臣はやはり発言権をもって対処して参るようにしなければ、今後の私は定数は確保できないと思うのですが、あなたはそういう点について事務当局とも話し合いされましょうが、文部大臣に対してしかるべく助言をされるお考えはありませんか。それで大分は再建団体でないのだ、確かに再建団体ではない、しかし自主再建をやっておるわけです。ところが自主再建団体に対しましても、再建団体と同じような自治庁は制約と指導と助言をやっておるのです。実質は変らないのみならず、自主再建団体の方がかえって教育面にしわ寄せされてきておるわけなんです。
  65. 湯山勇

    ○湯山勇君 一点だけ、今の点、簡単です。局長の御答弁聞いておりますと、文部省の初中局長というよりも、何か自治庁の初中局長のような感じがします。法的な根拠もちゃんとある問題で、どうしてそんなに自治庁に気がねしなければならないか、これはいろいろ事情はあることはわかりますけれども、非常に御答弁ども安心できない気がします。そこで今後その府県の方へ自治庁ともよく協議して通牒を出すか、指示をしたいというその内容はあやふやなものではなくて、これはもうかっきりこれ以上こうしてはならないというようなものであって、しかもそれについては文部省としても重大な決意を持ってやるというように私は局長の今までの御答弁を理解したいのですが、そういうふうに理解してよろしいかどうか。最後に一点たけお聞きします。
  66. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私の質問答弁を……。
  67. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 第一に矢嶋委員の御質問でございますが、今の話は大分の再建団体でない場合でございますので、再建団体の場合にはどうするかという問題にしぼってお答えを申し上げたいと思います。と申しますのは再建団体でなければ自治庁の認可も得る必要ないのでございますので、その場合に従来は個々の場合には教育委員会と知事側で協議したものを自治庁に持ってくるという関係でございますので、自治庁調整するにいたしましても、全体の均衡を見てはなはだしく逸脱していない場合は大体許可をしているようでございます。そこで、この場合に文部省としてはただいま申しましたようなある一定の基準自治庁とよく話し合いをしてその基準を割らないように自治庁も御指導願いたいし、私の方はその基準について都道府県教育委員会に御指示あるいは御指導するような形をとって円満に解決するように努力したい。従って文部大臣にそれ以上個々の問題について自治庁が協議をするかしないかということになりますと、この規定自身が非常にあいまいでございますので、むしろ実質的に義務教育水準が維持できるように努めたい、かように考えております。  それからただいま湯山委員の御質問でございますが、なぜ自治庁に協力をお願いするか、文部省は自主的にやれるんじゃないかというお話でございますが、もちろん文部省が自主的にやれる面とやれない面と二つあると思うのでございます。で、教育の内容とかそういうような問題については文部省独自でやれますけれども、事地方財政に関する限りはやはり半額はこちらで負担しますが、他の半額地方財源の措置を待たなければなりませんので、こういう点から守られる基準というものを作らないと私は無意味だと思う。そういう意味で自治庁と十分協議したものを地方にも流し、自治庁にもそういう態度で教育の問題を処理していただくようにお願いする次第でございます。
  68. 湯山勇

    ○湯山勇君 そうした場合に実施に責任が持てるかどうかということの……。ただ協議してそういうふうに善処をお願いするというような形でなくてですね、今度の場合慎重に研究して、そうして今そういう規則による裏づけがあっても実施されないという実情にもかんがみて、今度相談してやったものについては絶対その水準を割らさないという決意と責任がなければ、そういう規則でやってあることさえ守れん状態では、一片の通牒ではこれは何にもならないと思うので、それについては文部省は大臣以下責任を持つという決意を持っておられるかどうか。
  69. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) もちろんその水準を割らないように決意をしておる。
  70. 湯山勇

    ○湯山勇君 責任もだ。
  71. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) さようでございます。
  72. 岡三郎

    委員長岡三郎君) ちょっと速記をやめて。   〔速記中止
  73. 岡三郎

    委員長岡三郎君) 速記開始。  以上で本日の質疑を一応終了いたしまするが、なお残っている部分については明日の委員会において質疑をお願いいたします。  それでは本日は二時より映画製作者代表との懇談会を決定いたしておりますので、散会いたしましてそれに移りたいと思いまするが、異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 岡三郎

    委員長岡三郎君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後二時五分散会      —————・—————