○東隆君 関連して。私は今までのお話を聞いて、まあ
北海道、
北海道とだいぶ出ますが、
冷害対策そのものに対する根本的な考え方が私は違っておるのじゃないかと思います。それはたとえば天災融資なんかの場合でも、町村を指定したり、あるいは郡を指定するときに条件を出されておりますけれども、これはどういうことかというと、なるべく削ろうという考え方から出発をしておる。困っておるものに資金を融通するという考え方が、なるべく金を少くするためにいろいろな条件をつけられている。従って、実際に苦しんでおるところのものに金が行かない、こういうような形になっておると思うのです。これは私は
冷害というような場合に非常に間違った考え方でないか。私は水田その他について農林省が非常に熱心にされておりますけれども、北の方やあるいは緯度の高い、海抜の非常に高い、何百メートルもあるというような、そういうような、そういうような所、これも同じところでみんな
冷害にひっかかっておるわけです。従って、もし考えるならば、そういうような海抜何百メートル以上とか、そういうような問題だとか、あるいは北に位しておる所はこれこれだとか、そういうようなことによって
地域を指定すべきだ。そういうようにすれば、決して省くなんというよりも、
被害を実際に受けた所が当然そこに当てはまるというような形が出てくると思うのです。ところが、今のは郡で二割、町村で三割、そういうような条件をつけられていけば、これは何かといえば、なるべく金の行かないようにというような、そういうふうに見るより私ども考えられない。
それから
冷害地帯の。これは私は水田は割合に少いと思うのです。畑はもう非常に多いのじゃないかと思うのです。そこに住んでいる人は開拓
農家が非常に多い。そしてその開拓
農家は資本の蓄積もないし、従って、一番苦しんでおる標本がこの
冷害という形でもって出ていると思うのです。それに対する
施策というものは、これは今までのいろいろな開拓に対する考え方や、もう少し強くいえば、畑作というものに対するいろいろな考え方、
施策というものが、これが間違っておったから、そういうような結果になっておる。だから、私は人間をまるで放牧するような形でもって追い込んで、そうしてそこでもって苦しんでおるものを見殺しにするというような、そういうような
施策はこれは間違いだろうと思うのです。そういう
意味において、農林省はこの場合においてどういうことを考えなければならんかといえば、
冷害対策については普通の
災害とは違うのだという考え方に立ってもらわなければならない。これに該当するところのものは、私は前にも何回も申し上げましたけれども、府県の高い所、みんなひっかかっておる。長野県もやられておるし、
東北の方もみんなやられておるのです。そういうようなものは、豊作だという声でもって、隠されておるきらいがないか。なんぼ叫んでも、それが上の方に通じてこないものを、たまたまここへ出てきて数字が出ているのですから、そいつを救わなければほんとうの農政にはならんわけです。
そういう
意味で、農林省の方へ強くそれを主張しなければなりませんけれども、その場合に何を基本にするかというと、いつも作報を中心にして、あの統計を中心にしてやられる。その統計はどういうような考え方でもって進められておったかというと、最初は私どもはびっくりしたのです。国際連合の統計に出す
程度のものがありさえすればいいのだというような暴言まで吐いている。そうして統計というものについてやる経費を削減するためには、むちゃくちゃなことを言っている。そういうような結果でもって今調べておるのは、米についても、農林省は部落を中心にしてのものは出ませんでしょう。町村も出ないでしょう。郡
区域でもってやっている。畑のものになったら、てんでありません。何によってその数字を基礎にされて、そうしてそれによられておるのか、私はほとんど見当がつかない。そういうのが今の統計です。今
北海道の例をとってみましても、道でもってできるだけまとめて、そうして
被害だの何だのをまとめております 普通の農林省の作報の数字とほぼ似通っております。その中には畑のものはありません。そうして最後にどういうことになったかというと、結局畑のものは全部除いてしまって、そうして四百億近くの
災害があるのを、三百三億に削っておる。それを基本にして
被害を算定している。だから、なるべく
被害の額を僅少にして、金を出すのを減らすごとばかり考えているやり方なのです。今の
政府のやり方はこういうやり方なのです。
ですから、拍車をかけるのは、農林省の方で査定をされてきて、大蔵省とかけ合いをやるときに、大蔵省は、今度は自分のところで査定するのに何を使うかというと、地方の財務局を使う。そこでいろいろな資料を集めてきて、そうしてそれを今度はまたやるのです。かけ合いの場合に、とんでもない話が出てくるわけなのですから、私はこの場合、いろいろな問題によって府県の
冷害、特に岳ろく地帯とか、あるいは高原とか、そういうような所を苦しんで開拓している、そういうふうなところに一つも行っていない。行かないから、みな文句を言っている。私はこういう年には特別に大きく考えてやっていただきたい。普通にみなとれて当りまえのような場合にはいいが、ほかの府県だの何だのものすごく豊作だというのに、
北海道は目の色をかえている。だから、同じところで、一村の中でもって片方の方はものすごくとれている、うちのところは三年も連続して悪いのだというところも出ている。そういうような場合に、それを救うような方法を考えてもらわなければ善政でない、こういうふうに思います。これは私は、農林省の方が作報の数字を基礎にされていることから、根本的にひっかからないところが出てくる。網の目が大きいのですから、みな出てしまう。その網の目から出てしまったものが、今ここにさらけ出してあるわけです。従って、
冷害の場合には、網の目というものは
冷害を救えるような網の目にこしらえなければならないが、それができていません。
私は
北海道のことについて申しましたけれども、水田の場合は多少考えられているが、畑になったら政策的なものは一つもありませんよ。カボチャを食ったり、それからトウキビを食ったり、ジャガイモを食ったりしていますが、もうそういうものもなくなって、おそらく澱粉の二番粉、あるいは三番粉を食って冬越しをするのでしょう。学校の子供は、弁当を持って行けませんから、学校は休むのです。しかし、学校へ行った方が少しはいいんじゃないかと、こう私どもは思っておるのですけれども、それもできないような状態の者がたくさんある。私はそいつがみんな畑作地帯が多い。それに対する政策は一つもありません。私はそういうような点で
冷害というものについて考えたときに、私は今府県の方のいろいろの
冷害の関係のものも救われるような体制が私は立たなければ、ほんとうに救われた
冷害対策の政策というものはできないと思います。私が申し上げておることが無理かどうかは、これはおわかりだろうと思いますけれども、そういう事情だと思うのです。だから、海抜何メートル以上とかいう条件、あるいは北に位するというようなそういう条件だの、そんなやつをやはりある
程度加えて、そして
地域を設定するなり何なりする。その場合に何も町村の
区域だの何だの、そんなことにとらわれる必要はないと思う。そういう条件を持ち出して、そして十分救えるような体制を作っていくと。それは恒久的なものは別として、今の緊急の問題はそういうふうな形でもって出すべきだ。こういう問題を考えていないわけなんです。そういう点でもう一度考え直しを一つお願いしたいんですが、いかがです。