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説明員(靱勉君) ただいま
鈴木委員の御質問でございますが、千代田丸の出航拒否事件、これはまことに私
ども遺憾な
事態が発生したものと思っておりますが、これは明らかに、私
どもとしましては慎重に事実を検討しました結果、公労法違反である、
全国電気通信労働組合におきまして在来それに該当するようなことがなかったのでありますが、はっきりと公労法違反の
事態が生じた、ことに、それ以前におきまして、そういうことがないようにということにつきましては、組合に対しまして幾たびか口頭をもってお話しいたしておりましたし、またそういう支部としての連絡と申しますか、要するに出航に応ずるなというような連絡は、公労法違反であるからそういうような
事態にならぬようにという警告書を出したのであります。最終的に、あくまで本社支部長において責任を持つから出航に応ずるなということの結果、本年三月五日の船長の出航命令にも応じなかったという結果、船はついに出航できなかった、こういう
事態が生じた。私
どもその後におきましても、
事態を十分慎重に検討した結果、これは真にやむを得ず公労法の精神、規定に従いまして解雇の処分をせざるを得なかった。これは
全国電気通信労働組合ができてから初めての措置でありまして、
公社側としましても、非常に遺憾の
事態と思います。やはり
公共企業体としまして、わが国の
電気通信事業を責任を持って
経営担当しておるものといたしましては、やはりこういうはっきりとした責任を持ってもらうということがやむを得ない
事態であると判断いたしまして、五月に至りまして処分をいたしたような次第であります。従いまして、私
ども非常に遺憾な
事態でありますが、これはやはり
公共企業体といたしましては、公労法ではっきり定めておるように、同盟罷業、怠業その他正常な業務を阻害する一切の行為はできない、そういう行為をした場合におきましては、一切の権利を失って解雇されるというように法律に明らかに明示されておるのでありまして、その精神は申すまでもなく、私
どもはこれはやはり社会公共福祉のためやむを得ないものと考えまして、そういう措置をとったのであります。自来、組合の方から撤回の要求が出ておりますが、私
どもこれにつきまして、
相当長い期間をかけまして
事態の
説明もいたし、話し合いをいたしておるのでありますが、すでに三役の任期も満了いたしまして、
公社といたしましては、解雇処分をいたしたのですから、これもまた公労法によりまして組合員の資格を失い、また組合の
役員になることができない。先般の再選挙に当りまして、再び支部の三役ということで、組合員の選挙によってそういう形に現在なっておるわけであります。私
どもこの処分は、決して軽率にやったものではないのであります。遺憾ながら撤回することはできない。ただ支部との関係におきまして正常なる形の関係が必ずしもできていないという現状につきましては、私
ども非常に遺憾に思っておりますが、この解雇処分自体につきましては、撤回することはできないという状況にあります。
第二点のこの紛争原因が旅費規程にあったということでありますが、これも十分組合との間に在来話し合いをしておるのでありまして、
公社の規程といたしましては、ともかく外国の領海に入るにいたしましても、外国旅費規程の適用は受けない形になっておるのであります。しかしながら今御
指摘のように、李ライン内にある、当初支部の方におきましては、あるいは領海十二海里説を主張したり、いろいろなことがあったのでございますけれ
ども、私
どもやはり
国際法上三海里説をとり、障害地点は明らかに韓国の領海内にないということを判断して交渉に応じたわけでありますが、李ライン内に入ることにつきましては、組合側も護衛艦をつけるとか、あるいは韓国側との十分なる了解というか、あるいはそういう業務を執行する上において、支障のないような措置をとれ、これはこの事件が最初の事件じゃないのでありまして、該ケーブルはときどき障害を受けております。在来もあるいは駆逐艦の護衛等をいたしまして、乗組員に一切の不安がないようにいたしましてやって参ったのであります。このときも、もちろん
公社側としましては、そういう点につきましては、万全の措置をとっている。組合もこの点を十分了承しておったはずであると信ずるのであります。ただ一点、旅費の問題と申しますか、
公社の規程によりますと、大体倍額に
相当する、すなわち一万四千円
程度のものを支給するというようなことで提案いたしたのでありますが、組合は当初七万円余を要求され、その後二万五千円
程度には
いろいろ話し合いになっておったのでございます。外国出張であるというようなことを主張されまして、どうしても応じない。事件は二月二十日ごろ海底線が切れたのでありますが、三月四日に至ってもなお出航するような
状態にならない。いたずらに遷延を許さなかったのでありますので、
公社側としましては、あるいはこの条件について不満があるならば、他の機関にかけてでもまた解決する
方法がある、しかもこの額というものは、わが国の船員と申しますか、こういう地域に出航するうちでは、けだし私
ども一番いい条件ではないかと思うのでありますが、ともかくそれはそれとしまして、後に解決しても、業務を執行してもらいたいということを再三申し入れたのですが、がんとしてこれに応じない。あくまで出航を拒否するという態勢で、最終的に、
公社としましては出航を命令したのでありますが、先ほど申しましたような
事態になった。旅費規程につきましては、もちろん現在ないことはないのです。それのやはり特別措置としまして、
公社側は普通の倍額を出すということで提案し、現在におきましては、それによって処理されておりますが、
公社側としまして、大体現在の規程におきましては、
日本の領海から三マイル以内と、以外というふうに大まかに分けておりますので、これをさらにもう少し遠距離になった場合に増額するというような規程を設けようといたしまして、提案いたしておりますが、まだ組合側とその話に入らない。不備というより、現在私
どもといたしましては、実行上過去の例等を考え、他の方面のことを参酌いたしまして、先ほど申しましたように、一番いい条件を適用していると私
ども信じております。組合側としましても、別の見解があるならば、これについても他の機関の調停等もわずらわすということでも差しつかえない、しかし業務はこの際遂行してもらいたいというような経緯になっておった。要するに法を軽視するというような指示と申しますか、指令と申しますか、
公共企業体における労働組合としましては、そういうことは許されないことでありまして、しかも中央本部の指令ということでもなく、支部自体で出しておるというような点につきましては、私
どもやはり労働組合のあり方につきましても、大きな疑問を持った次第であります。
以上御質問にお答えいたしますが、何と申しましても、この事件につきましては、私
どもいまだかってなかった非常に遺憾なことである、こういうふうに考えております。