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野溝勝君
大臣に対しまする質問に対しましては、
委員長から御注意がありまして、ほかの
委員からも要求されておるようでございますから、私は
大臣に対する質問は、その際になるべく
関連をしていたしたいと思います。ただ質問の継続からして、一応
大蔵当局に質問を重ねたいと思います。
先ほど原さんの御答弁はわかったようなわからないような状態でありますが、私は先ほど
一つの例として、
大衆課税へ転嫁しようとしているという例で、和紙等の
物品税の例をあげたのですが、さらに驚くのは、今不振になっておる、不振産業として深憂にたえない産業に蚕糸業があるのです。ほとんど外国への輸出も段々少くなっておる状態でございまして、
政府みずから糸価安定法というような法律まで作られて、その対策に腐心しておる状態であるのであります。しかるに、さような
政府が腐心をし、対策を講じておる際に、逆に、蚕糸業の困るような財政、税制の方針を、
一体臨時税制調査会で答申したとの事。しかしそれにしても、
政府は幹事役をやっておるのですよ、事務
当局は。してみれば、今日までの蚕糸施策の経緯から見ても、法律の経緯から見ても、食い違うし矛盾である。むしろ幹事役たる
政府当局は、十分考慮をしてもいいのじゃないかと思う。それを今度の生糸の値段に五%も税金をかけよというのは、
一体何たる粗雑な
考え方か。実際了解に苦しむのです、これは。
大蔵当局の方々は、一萬田さん初め、有能なる人材を網羅されておるということを聞いておる。私はさような論理の不徹底、割り切れぬことをこの賢明なる
大蔵当局の諸君が考えるにおいては、全く
承知ならぬことだと思う。むしろ頭がどうかしておりはせぬかと思う、これは。
そこで、そういう矛盾の政策を
臨時税制調査会でやっているようですが、それに対して、あやまちといいますか、間違ったような
調査会の方針に対しては、論拠がないし、
承知ならぬのでございます。こういう点において、あなた方が一千億の
減税といっても、かえって大衆はむしろ農村へのし寄せがくるということで、非常におびえ、且つ農村は激高している状態です。一萬田さんのお耳にも入ったことと思う。さらに
承知ならぬのは、
一体農村から事業税を取ろうなんということをこの
調査会の諸君は考えているらしいが、とんでもない考えだと思う。この点に対してはすでに原会長にも一応
意見書を出してあります。さらに
大蔵当局にも
日本農民組合が、農民を代表して陳情もし、
大臣の手元にも届き、平田次官の手元にも届いていると思うのであります。
一体農村から事業税を取るというのは何ごとなんです。
一体農村は、さもなくても固定資産税という、土地や建物や豚や鶏までに財産税で取られているじゃないか。そのほかに
住民税を取る。特に営業者の諸君は昔から事業税というものは、営業税として取られておりまして、今日改名されて事業税を取られているのに、農民は仕事をやっているのになぜ事業税を取らないかというが、しかし、たんぼや畑や、あらゆるものに財産税を取られている。しかも高額な固定資産税を取られている。その評価の
見積りもばかに高くなっている。
一体それでたくさんじゃないですか。それで
一体農業は税金で一ぱいなんです。ところが礦工商業と同じようにそれに取れというのですが、それならば工商業の諸君はたんぼ持っているか、畑持っているか、そういうものは持っていません。そこで農業はそういう二重、三重の課税をするというと、とても農業の維持、いわば産業の開拓というようなことに対しては、全く支障を来すのであって、かような略奪きわまる事業税を取るという
考え方は、非常な矛盾であるし、基本的人権の脅威であって、大きな誤謬であると思います。今申しましたように、中小商工業者から営業税を取る。農業は取らぬ。そのかわり昔は地租というものを取られておりましたから、それと見合って率多く税金を納めておったのです。明治時代などは、地租によって大半は
日本の財政の経理の基礎にしておったのじゃないですか。このごろは、それは
所得税になりましたけれ
ども、今の固定資産税なんというものは、
中央から金を出せないから
地方へ
財源を与えてやる、それには農村人から固定資産税を取れといって、
中央から方針をさずけている。
大蔵当局は自治庁との間において打ち合せてやったのじゃないですか。そういう
財源でもって、それで
地方の財政をまかなっていけという相談くらいやったんじゃないのですか。それからさらに税制
調査会からの答申があるからといって、それを取り上げることに対しては、絶対
承知できませんし、さようなことをするならば、農村、農民といたしましては恐るべき事態が起ってくるということを御
承知願いたい。さらに私は
大臣がきておりますから申し上げておくのでございますが、ひどいじゃございませんか。二十八
年度の国の
予算のうち農林
予算というものはその一四・八%、二十九
年度においては九・五%、最近におきましては六・八%じゃないですか。農林
予算というものは。いかにいっても私は、独占資本に奉仕するとはいいながらも、知ってか知らないでやるのか知りませんけれ
ども、農村におけるところの農業の税金の納め力は、
政府の統計から知り得る範囲におきましては、一番成績のいいのが勤労者、次にいいのが農民、納入成績は九八%、労働者は
源泉課税で月給からとられてしまうから一〇〇%、その次には純朴な農民、失礼な話でございますが課税の優遇をされておりながらあまり成績のよくないのは
法人税、これは
大臣がもうちゃんと知っておるはずだ。その方に対しましては今度の税制
調査会は、また特別
措置法等については特に優遇してやろうというのでございますから、まことに解せぬ点がたくさんある、あまり苦情ばかり申してまことに相済まぬわけでございますが、農民の心中もお察し下さって、特に蚕糸の問題については、
廣瀬委員長な
ども山梨県だから十分経験もしておる。私は泣き言をならべるわけじゃあございませんが、いかにいっても農業へのしわ寄せがまことにひどいのでございます。
さらに入間野
専売公社総裁がおられますから私は申し上げておきますが、この葉タバコな
どもそうです。葉タバコな
ども私が先般四国の徳島に行きますと、徳島の山城谷村におけるタバコ耕作組合におきましては、大体収納金が、
本年度はここにおきましては約五十八町二反八畝、それで大体耕作者は七百四十戸であります。一戸あたりが
平均六万五千円となります。前
年度よりは少し上回りました。しかし一反歩この積立金というものが二千円ずつ取られる、肥料や資材等が上って参ります。本当の実質
収入というものは一反歩について四万三千円という
数字が出ておる、
一体四万三千円で、これが一反歩ですよ。その
平均は、一村における
平均というものは約四反歩でございますから、まあ十六、七万ですか。ところがこの内容を見ると必要資材の外にその積立金、税金、こういうものを差っ引くと、生活は容易ならぬ事態をきたしておるのであります。それで、これに対しても最近は検査制がやかましくて、農民はもうほかの仕事をやりたいと思うのでございますけれ
ども、転換をするわけにいかぬ。そこで非常な苦しみながらも生きのびんとしている実情でありまして、特に収納金などに対しましても
専売公社総裁は十分考えて、他の農作物、換金作物との比較対象などを考え、そうして今の労働者の要求にこたえると同時に、あなた方は今日大きな国の
間接税財源たる
たばこの
生産者農民を大事にする施策も考えなければならぬと思うのであります。こういうように、これはひとり、農民といいましても、
たばこの耕作農民に至るまで国の
財源をなすところのこの
生産者階級は、農民は、あの手でぶんなぐられ、この手で引ったくられ、踏んだりけったりという状態に置かれておる。私はこれ以上泣き言は言いません。が、言えば数限りはございません。どうか
幾ら独占資本に奉仕する
政府とはいえ、少しは百姓の身にもなってもらいたい。そういう
意味で
一つこの際、私は詳しいことについては、いつかの機会にまた十分一問一答で
一つ論戦をし、
政府の所見をお聞きしたいと思うのでございますが、きょうはいろいろと
あとの方々もおいでになりますし、これ以上私は質問いたしませんが、これに対しまして
大臣とそれから
専売公社総裁、この方からお答えを願いまして、今後どういう所見で税制
調査会の答申に臨むという考えであるか、この心がまえを二つお伺いしたい、こう思うのです。