○
政府委員(
佐々木義武君) それでは午前中に引き続きまして御
説明申し上げます。午前中は各国の
原子力の
開発状況、あるいは協力
関係等につきましてお話し申し上げましたのでありますが、結論といたしましては、非常に力を入れてこの問題を処理するというのは明瞭におわかりかと思います。
ついで第二に国内における
原子力の
必要性の問題に入りたいと思いますが、まず
原子力の応用、
利用という面に関しましては、平和的には二つの大きい道がありまして、一つはエネルギーとしてこれを
利用するという面と、もう一つは、アイソトープ、あるいは高エネルギー放射線としてこれを
利用するという二つの道があるのであります。その両方とも、
わが国にとっては非常にそれが切実的な緊迫性を持ったものになっているということを述べて一応計数的に出してみたのでございますが、エネルギーとして、動力源として使う場合には、御
承知のように電力と、船舶と、飛行機等が最もその対象になって
研究されつつありますが、何と申しましても、一番ただいまの
段階で問題になりますのは、その中で電力でありまして、
日本は電力源と申しますか、に関しまして
資源的に非常に少々でございます。皆さんは
商工委員会の皆さんでおられますので、私からくどくど申し上げるまでもなく、石炭にいたしましても、水にいたしましても、
経済的には、あるいは
資源的にも、やがていろいろネック化してくる。それからごくわれわれだけのエスティメートでありますが、昭和四十年には百万キロ、それから昭和五十年には三百五十万キロワットの電力不足になる。何カ年後には少くとも重油でそれ以上まかなうという手段もございますが、百万キロとかりにいたしますと、非常な壁でありまして、これを
原子力でまかなうといたしますと、相当急ピッチな
開発その他をやらなければならない事態に立ち至るかと思います。
第二番目は、アイソトープの問題でありまして、この方はただいまの
段階では
日本は各国に必ずしも劣っているとは申されません。輸入量はおそらく世界一でございます。扱いの量から申しましても、先進国とそれほど違いはございません。ただ、工業
方面にこれを応用する点になりますと、各国よりは非常に劣っているのじゃなかろうかというふうに、ただいまの
段階では考えられます。このアイソトープ及び高エネルギー放射線というのはどういう応用の仕方をするかという問題でありますが、AからGまで、いろいろの例をあげてございます。まあ極端に申し上げますと、アイソトープの
利用というものは、従来核
研究で行き詰りをしておって、どうにもならなかったという問題に対して非常な新しい分野を切り開いたという点と、それから
研究の
成果が非常に早い。たとえてみますと、農業の
研究などは過去五十年の
研究に対して、最近、このアイソトープは最近のようでございますが、四カ年で五十年分を優にカバーできるほどの革新がなされつつあるというわけで、非常に
成果が早いというのが特徴でございます。大別いたしますと、トレイサーと申しまして、追跡者と称しておりますが、いろんな反応あるいは機能等を追跡いたしまして、レントゲン写真、あるいはその他の機械で放射線を計りまして、そうして機能を追跡していくというトレーサーということが一つ、もう一つは線源としてアルファ線、ガンマー線いろいろあるわけでございますが、それを線源としてそのまま使う、この三つが非常に大きい用途であります。
そこでまず各分野から申し上げてみますと、化学反応機構の解明というのは、化学反応がどういう過程で起きつつあるかということがこのアイソトープのトレースによって明瞭にわかるわけでございます。そういたしますと、その過程がわかりますれば、これを改善する
方法もおのずからわかるわけでございまして、今後の化学工業にとりましては非常に革新的な意味を持つものでございます。
(b)の人体及び動植物の生理機構の解明とございますのは、たとえて申しますと、大脳等の機構は今までは死んだ人の解剖でしかわからなかったのでありますが、
ところがこれはアイソトープを応用いたしまして、大脳の方に放射線を持った物質を集中するようにいたしますと、大脳の機能がある程度わかってくるわけでございます。これは現在ソヴィエトでやっているそうでございますが、従って生きたままで生きている人間の機能というものが解明できる。たとえば食物を食べまして、そうしてどういうふうに消化され、どういうふうに血になり、それがどういうふうに毛細管に入っていくかというようなことがトレースできるわけでございますから、非常に今までの
研究よりも力を持ってくるわけでございます。そうして動植物の生理機構に対しても同じでありまして、たとえばよく今言われておりますのは、鶏などは卵を形成するのに、どういう過程で卵ができてくるか、カルシウムを食べさせるとそれが何日目くらいに卵のからになって出てくるかといったようなことがわかってくるわけでございます。あるいは動物でありますと、アイソトープの食物を与えますと、それの栄養効果等を計算いたしますと、すぐ何をどういうときに食べさせた方が、その動物に対して効果的かということがわかってくるわけでございますから、そういう意味におきましてそれは従来全然考えも及ばなかった新しい
研究分野を切り開いて改善を生みつつある問題でございます。
(C)は疾病の診断及び治療でありまして、これはよく言われておりますガンとか、あるいは肉腫、あるいは皮膚であればあざを取ったりといったようなものに非常に効果を及ぼします。それから疾病の
ところでもう一つ申し上げますが、非常におもしろい事例なんですが、らいの
研究です。これは妙な話しですが、
日本ではまだ四万ほどのらい患者がおるそうです。極東には非常にらいの患者が多くて、らいの
研究などはこれ以外に
研究の
方法がないというので、
国立研究所がございますが、大へん喜びまして、ぜひ一つこれでもってらい菌の正体、あるいは治療
方法を
研究さしてもらいたいということで、その方を来年からやらしてみたいと思っております。
それから(d)といたしましては、の改良及び施肥法でありまして、これはこの施肥法の例を申し上げますと、たとえてみますと燐の含んだ肥料を、小麦なら小麦に対して一定の土壌で、ある深さあるいはある時期にそれぞれかけまして施肥するわけでありますが、そういたしますと、今までは何年かたってその
成果がわかってくるのが、今度は一年でその肥料が根に入り込み、あるいは茎になり、あるいは実りに影響を及ぼすのか、そういうのが全部わかります。ですからすぐ対策ができてくる、たとえてみますと、両先生も先ほど御
説明ありましたので、たぶんごらんになったかと思いますが、オークリッチではゴムの木の
研究をやっておりましたが、非常にいい、ゴムに一番よくきく肥料を与えてその
成果を見たのでありますが、大体二倍半か三倍くらい、従前よりも何と申しますか、増産になっております。これはまさしくその
通りできるはずでありまして、たとえば英国などにおきましては、そのために全国の土壌
調査を非常な大金を使いましてやらせております。土壌さえ明瞭であれば、その土壌に合う肥料もおのずから編み出せますので、農作物の増産上非常な効果が期待されるわけでございます。
日本でもこの施肥の
研究は、ただいま中央農事試験場や三県ほどでやっております。
第四番目は、作物および微生物の品種改良でございます。放射線の特徴は、染色体に非常に小さく入っております遺伝子に対する作用であります。この遺伝子そのものを一部破壊し、あるいは組み合せを変えるという非常に大きな作用を持っております。従って突然変異の率が放射線をかけますと非常に大きくなります。その結果、劣性のものも出ますが、中には優性のものも出て参ります。その優性なものを取り出して改良していくということでございますが、従来よりも要するに非常に突然変異の率が多いということが特徴でございまして、さっき申しましたように長年の
研究よりも、もうわずかの間にそういうものが見出されるということが、非常に大きな力を持ってくるわけであります。
日本でも農事試験場では稲、それから三島の遺伝
研究所では、小麦やタバコの品種改良をやっておりまして、アイソトープによる品種改良をやっておりまして、相当いい
成果を上げております。タバコについても非常にいい品種ができつつあります。一番この点で面白いのは、細菌の、ヴィールス、発酵菌等についてであります。千葉の稲毛にあります発酵
研究所でこの
研究をやっております。従来全然考え及ばなかった菌がたくさん出て参りまして、どういうものが今後発生するかわからないくらい無限に大きいものと考えます。
(f)、食品の保存、これは皆さん御
承知の
通りでございますので省略いたします。
(g)は、合成繊維、合成樹脂の品種改良の問題であります。これは非常にこの春、問題になりまして、各国ではどんどん特許の申請が千に近いぐらい出ております。
日本でも
外国の特許がたしか四百ぐらい来ておるのではなかろうかと思います。要するに高分子あるいは低分子に対する作用を非常に促進いたします。極端にいいますと、低温低圧で強度の触媒の機能をもたらしますので、なかなか合成繊維などでも、非常に熱に強い合成繊維ができておる、あるいは合成樹脂でもチタン系統の合金よりもっと優秀な新しい金属が、合成樹脂にアイソトープを加えることによってできつつあるというような情報も聞いておりますが、まだ特許等の
関係で公表されたものはあまりございません。この問題は相手に一歩先んじられますと、非常に国際市場問題等、
わが国に不利な点が多うございますので、できるだけ早くこういう
研究を進めたいというふうに思っております。
それから計測用機器とか、非破壊検査用機器とかいったようなものは、長くなりますのでやめますが、非破壊検査用機器というのは、要するに機械を破壊しないで、そのまま機械の材質、あるいはきず等を調べる。今まででありますと、その一部を取ってきて、そして材質
研究等をやるわけですが、そうでなくて、機械のまま検査してしまうという意味でございます。
こういうふうにして、非常に
わが国のように
資源が足りなくて、しかも人口が豊富だというふうな特殊な国にとりましては、こういう新しい
資源と申しますか、こういうものによって新しいまた製品を生み出していくというのが、最も重要なことでございますし、案外これは値段も安いのでございまして、従来のラジウム等から比較しますと、話しになりません、非常に安いものです。そういうものでございますので、一番
日本などには適したものでなかろうかということで、今後ともこれを使わせたいというふうに考えております。今まで申しましたのは、要するにエネルギー源といたしましても、あるいはアイソトープによる農業、あるいは工業、あるいは社会の福祉と申しますか、そういう点の
発展向上というようなものは、
日本としてはまあ非常に重要事項であるという
意見をうたったわけであります。
十ページ以降は、そういう情勢からして、今後
わが国の
原子力の
開発というものはどういうふうな
方向へ持っていったらよろしいかという長期計画の問題でありますが、これはまだ実は
委員会といたしまして内定しただけでありまして、決定にはなっておりません。その意味は、
議員団の皆さん、あるいは
産業会議のミッション、あるいは英国に参りました
政府の正式な
調査団等の帰りを待ちまして、そうしてその
成果を十分取り入れて、
最後的なものを作ろうというので、一応来年度の
予算との
関係もございまして、一応内定ということにしておりまして、まだ決定の
段階に行っておりませんので、その意味でお聞き取りいただきたいと思います。
まず、
原子炉の設置計画でございますが、ここに書いてありますように、ウオーターボイラー、これは今部品が到着しつつあります。来年の三月末には今度の濃縮ウランの細目協定が、参議院でうまく通って下されば間に合う予定でありますが、三月末に濃縮ウランを購入いたしまして運転に入ります。それから
CP5型、これも濃縮ウランのタイプでありまして、
アメリカから輸入いたします。これは三十三年の目標であります。それからスイミングプール型実験炉、これは実験炉でありますが、小さいものです。これはまだ確定いたしませんけれ
ども、関西
方面の
大学に置きまして、そうして
日本の
大学で教育あるいは訓練用に使いたいというふうなことでございます。
三十四年にできますものは、天然ウラン重水型の国産炉でありまして、このときに初めて、これは三十四年でございますから、まあ二年後になるわけですけれ
ども、さっき示したように、まあ三年間それぞれの試験所によって
研究さしておりますので、その
成果を取りまして、そうして一切これは
日本で作ってみたいと思っております。どうしても不足なものはやむを得ないのでありますけれ
ども、特に天然ウラン、これは全く
自分の手で作って、そうして
外国の一切の制肘のない、独自で運転できるような実験炉を作ってみたい、こういうふうに考えております。これは一万キロのものでありますが、それから三十五年、三十六年には、
動力炉をそれまでに入れたい。英国のものをかりに輸入いたすといたしましても、ただいまから五年後でないと実際の
建設ができませんので、こういうふうな大体基準にしたいと思います。「数基」と書いてありますのはあるいは
米国からも若干来るというふうに考えております。
で、この動力用輸入炉で試験が進みましたならば、今度は、要すれば化学工業の自家発電とか、あるいは電力
会社が
自分でやりたいというような場合には、そっちを一つやっていただくということで、この計画からオミットしてございます。ただ、業界の方にそれぞれまかしておきますと、どうしても安くて安全なものを得られないのでございまして、特に国としてはそれだけでは困るというものがございます。それは何かと申しますと、ブリーダー用のものでございまして、ブリーダーと申しますのは、簡単に申しますと、いわゆる消耗した
燃料を、それ以上
自分が炉の中で再生していくというのがミソでありまして、従って
自分でもって
燃料をある程度補給できていくわけです。ですから
資源の足らない
日本のような国では、どうしてもこれは将来作っていきたい。
ところが各国ともなかなかこの問題は最終
目的にしておりますけれ
ども、完成の時期というものは見通しが立ちません。そこでこういうのはやはり引き続いて国の
研究機関でやっていきたいというので、三十六年には増殖実験炉、それから四十年には増殖
試験炉を輸入しまして、そうして四十四年以降には増殖
動力炉に入りたい、国産をはかりたい、これが最終目標でございます。
それから(ロ)は
原子燃料需給計画でありますが、
燃料の問題が実は一番重要な問題でありまして、世界の先進国は、実は
燃料の問題から出発いたしまして、そうして七、八年もかかって
燃料の問題が解決したその上で
原子炉の築造にかかったわけでございますが、
日本は今までの
段階では話が逆になっておりまして、むしろ
原子炉の方が先に立って、そうして
燃料があとから追っかけていくというふうな格好になっております。で、
国連機構等ができますれば、そういう非常に淡い希望と申しますか、持っておったのでありますけれ
ども、あるいは天然ウラン等は、もう数年たたずして
コマーシャル・
ベースに乗った普通の商品になるんじゃないかという考えを持っておったのでありますが、今度の
国際原子力機構の憲章を見まして、全くこれはこういうことでは、とても
日本はいかぬという点を痛感いたしたのであります。従来こういう
経済的なと申しては非常に語弊があるかもしれませんが、
燃料要素であれほど強い国際管理を受けるのは千古未曽有であります。徹底した管理下に入るというふうな事態になりますので、どうしても
日本といたしましては、ある程度
自分で作るものは、少くとも
自分の
燃料でやっていきたいという強い念願を最近持ちつつあるわけでございますが、そのためには、まず
資源の概査でありますけれ
ども、これは今年度から三年計画で地質
調査所でやっております。だんだんやっていきますと、いろいろなものが見つかっておるような
現状であります。それから有望地点の精査、これは
原子燃料公社でやることにしまして、地質
調査でやって、一番ありそうな可能性のある所を選んでボーリングをしたり、ここを堀ったりということで、鉱脈等の精査をやっておるわけであります。
ここまででちょっと切れますが、それじゃ
日本では一体あるのかないのかというよく質問を受けますけれ
ども、この前にゲロンというフランスの
原子力の非常な大家の方が見えまして、その人に、フランスでは一体この鉱脈の検査等はどうしたかという質問をした
ところが、三年間に数十億円のお金を使いまして、そうして自慢しておったんですが、フランスほど地質
調査の行き届いた国は世界でないそうであります。それから地質学者も一番フランスが多い。フランスにはないということになっておったそうでありますが、それを押し切って三年間徹底した
調査を行なった。さすが三年目には苦難が多くて、よほどやめようかと本人は思ったそうであります。しかしこれでは
いかんというので、
最後にやりました
ところが、国道から百メートルばかり離れた、しかも地下三メートルぐらいと言っておりましたが、そこに非常にいいものがあったということで、
日本はどうしたらいいだろうという話をしたら、
日本にないなんていう人は頭がどうかしている、必ずもうあるという
確信を持って
調査を進めなさいということを盛んに体験上勧めておったわけですけれ
ども、今の
ところで
日本でありますのは、中国地帯が一番多いのでありますけれ
ども、まだ品位その他はそれほどいいものはございません。しかし、今後
調査のしようによりましては、きっといいものが出るのではないかというふうに考えてございます。
それから採鉱及び粗製錬は
民間並びに
原子燃料公社でやりまして、その粗製錬でまあせいぜい四、五%だと思いますが、上りましたものを
燃料公社で
買い取りまして、そうしてそこで精錬をするわけでございます。その製錬した天然ウランをさらにアルミニウムをかぶしたり、あるいは曲げたりするといったような加工は、これは公社あるいは
民間でやらせる。
最後に
燃料処理という問題でありますが、これは非常に重要な問題でありますが、これは出てきた
燃料を再生する仕事でございますが、これは公社で将来はやるということになっております。
アイソトープの
利用促進計画でありますが、これはどういう個所でやらせるかというのを述べただけであります。
それから十五ページは関連
技術の育成計画でありまして、これは
原子力工業と申しますか、
産業と申しますかは、単に総合工業というだけではないのでありまして、もう一つの非常な特徴は物によっては従来なかったもの、あるいはまあ
調査のできないような精度の高いもの、たとえば九の八乗とか七乗というものがたくさん材料にはございます。というのは九十九の下に九が八つつくというぐらい非常にピュアなものを要請されるのでございまして、そうしますと、それが果してピュアなものかどうかということは、分析等してみないとわかりません。
ところが従来の分析ではその分析の用をなさない、どうしても原子
関係の分析機といったふうなことになって参りまして、今度はそれを作るのに従来の工業では何ともできないというふうなことで、非常に
原子力の
産業を発達させようとしますと、
技術全般のレベルを上げないと進歩しないのであります。従いまして単に総合
産業というだけでなくて、そういう新しい特徴を持ったものでございますので、もし、これを需要がないからといって、あるいは特定された事業だからといって放置しておきますと、
民間ではとても手がつきません。そういたしますと、いつまでたっても、それが
外国から輸入しなければならないというふうなことになりまして、
日本の
原子力そのものが伸びないばかりでなしに、
日本の
産業自体のレベルも永久に上っていかないという結論になりますので、むしろ
日本のやり方は各国と逆かもしれませんが、一昨年
予算のついた以降は、もっぱら関連
産業の育成に重点を置いてございます。で、来年の春には今までの補助金なり委託金等で出しました
民間企業、あるいは国立試験所等の
成果を持ち寄りまして公開討論をして、広くこれを関連
産業に知らしたいということで、その
機会を持ちたいと思っておりますが、私
ども承知しておる範囲でも、どんどん物によっては
外国に負けないものができつつございます。
それから十七ページの(ホ)でございますが、
科学技術者の養成訓練ということでございます。これは先ほど
海野先生からも強く御指摘のあった点でありまして、私
どもも何と申しましても
日本では、新しい
技術もありますし、理論的にすぐれた人もありますけれ
ども、実地応用の面に関しましては、まだ未知の分野でありますので、海外留学生の派遣、あるいは今度
研究所にボイラー、
原子炉ができますから、小さいものでありますけれ
ども、そういうものを中心に内地留学といいますか、実地訓練、あるいはアイソトープ学校を作って訓練する、
大学に講座を開始する、海外の専門家を招聘するというような手段をとろうと思います。海外の留学制度に関しましては、今年度三十名の
予算を取りました。ただいままでに大体二十六名でございますか派遣してございます。来春までにはおそらく予定
通りできると思っておりますが、来年度は大体その倍近くのものを予定してございます。それから内地の実地訓練の方は
研究所に寄宿舎等を作りまして、そしてだれでも行って
研究できるような態勢に、まあ公開
研究所と申しますか、のようなものにしたいというふうに考えております。アイソトープ学校、これはまだできておりませんが、いろいろ個人の
会社でこれに近いようなものを
自分でやっておる所がありますけれ
ども、これは関西の
関係でございますが、非常に学校
施設に対して志望者が多いそうです。
大学ではなくて普通の工業学校程度のものだそうでございますが、どんどん卒業すると売れてしまうという話しで、今後もう少しこういう点は国といたしましてもこういうものを作りまして、たとえば核研などに作ったらどうだというようなことをよりより相談してございますが、そういうことで養成訓練したいということであります。
最後は、今までは非常に何と申しますか、
発展的な
方面ばかり話したんですけれ
ども、実はこの
原子力には半面放射線の障害という非常に厄介な問題がありまして、ひどいのになりますと、数秒でもって人間が参ってしまいます。どうしても、ですから障害のないように防止をした上でないと、危くて近寄せられないわけですが、そのためには
原子炉等の管理に関する法律、放射線障害防止法、この両法案ともただいま準備中であります。今度の通常
国会にはぜひ一つ出したいというふうに考えておりますが、この放射線の医学総合
研究所、これは準備
資金が今年度一千万円でございましたかついておりまして、来年度から発足したいというふうに考えております。
それから十八ページのいわゆるフォールアウトの測定でありますが、だんだん米ソ両方から
原子爆弾の影響で、
日本は気流の
関係上両方から集まってくるそうでございます。非常に不幸なことでありますが、測定いたしますと最近は非常に、と申しますか、だんだん自然放射能が多くなって参っております。特に東北地方が多くなってきておりますが、しかしまだまだその、いわゆる最大許容量、人体にはこれほどまで放射能を吸っても大丈夫だという許容量がございますが、それまでにはまだまだ達しませんけれ
ども、しかしそれがだんだんフォールアウトが多くなりますと、今度は
平和利用でこういうものが出てきますというと、その許容量自体が範囲が狭められて参りますので、まあ天然放射能がないにこしたことはないのでございますけれ
ども、どのくらいになっておるかということをもっと真剣に
研究する必要があるというので、今
関係各省集まりまして、そうして恒久的な一つの組織を作って、全国的に農業あるいは漁業あるいは気象等それぞれ
研究しようという手配を進めております。
それから四番目は
原子力予算でありますが、こういうまあ前提に基きまして来年度の
予算を組んだわけでございますが、初め各省等から出されましたのは百七十億でありましたのを、
原子力委員会におきまして調整、系統化して大体百二十二億、少し追加をいたしまして百二十二億になっておりますが、査定いたしまして、そうしてただいま
大蔵省の方へ提出してございます。
一番初めは、
原子力委員会に必要な経費というのがございまして、ことしよりも相当
委員会経費が増しておりますが、これは今までの二人の常勤
委員を三人に増していただきたい。それから
委員の給与が次官待遇並みでありまして、国家公務員のように、国家公安
委員でございますか、まあ大臣待遇と申しますか、そういう待遇になっておりません。この春にも、改訂が必要じゃなかろうかということで、この改訂を
国会の皆さんから御指摘を受けて、かえようと思ったのですが、
予算のできたあとでございまして、なかなか思うようにいかなかったわけですから、そのままになったのでありますけれ
ども、来年はぜひその点を改正いたしたいというようなことが主なる点であります。
原子力局に必要な経費、これも本年度から比べますと相当倍くらいになっております。これは何でふえたかと申しますと、
燃料の
買い取りは、
アメリカから買ってくるのは
政府で買ってくるわけです。そうして
原子力研究所の方へさらに貸与するという格好になりますので、その買ってくる
燃料費が、
CP5等で相当大きくなっておりますので、そういう費用がふえたことがおもなものでございます。事務費的なものはほとんどふえておりません。
それから
原子力研究所に必要な経費と申しますのは、来年度からウオーター・ボイラー式の実験炉、それから
CP5も組み立てに後半期から入る。あるいはさっき申しました国産炉の設計あるいは一部部品の発注等が行われております。それから将来の
動力炉に対する
研究が行われております。
それからもう一つはアイソトープ・センターというものを、さっき申しましたようにいろいろな用途があるわけですが、アイソトープ・センターを東海村に作りたいというので、その経費もみております。そういうのがおもな内容でございます。
それから
原子燃料公社に必要な経費、これはさっき申しましたように、精査並びに精練の中間試験場を作りたいというのが主たる内容でございます。
それから
原子力平和利用研究推進に必要な経費とありますのは、このうちの半分は国立試験場におきます経費でありまして、農業、工業、医学、土木等あらゆる
種類、さっき申しましたものを
研究するための経費でございます。
それからあと半分は、
民間の各企業に補助金として出しまして、そうしてさっき申しましたようないろいろな
研究をさしたい。今年よりも非常にふえました理由は、根本的にはどういう
ところにあるかと申しますと、今までの
研究のものから一種の中間試験のような、
成果があるものが出まして中間試験のような
段階に入りつつあるということから、非常に経費がかかってきたということが一つと、それから従来の
研究は、先ほど申しましたように、国産炉を
自分の手で作るというような目標で、ずっと
研究を系統化しておったのですが、今後は一歩問題を進め、その次の
動力炉のための
研究を始めたいという
関係からいたしまして、今までよりは非常に金がよけい要るというふうなことになってきたわけでございます。
それからその次は放射線障害の医学
研究所であります。これは三カ年計画で、三年間で完成いたしたいと思うのであります。初年度分を計上いたしてあります。
それから
関係各省の行政費と申しますのは、さっき申しましたように、放射線障害防止法等が出て参りますと、それに伴っていろいろやらなければならない仕事がある。あるいは人件費等はさっき申しました費用の中に入っておりませんので、各省で、たとえば国立試験場でもって
原子力関係の試験をしたいという場合には、従来の人だけではできませんので、人によっては定員を増加するという事態も起りますので、そういうものはみんな各省からそれぞれ
大蔵省に要求することになっておりまして、
関係各省における行政という中に含まれております。
それから
大学関係は今年度は四億何がしになっておりますが、文部省
関係は切り離しまして、来年からはこれを全部文部省から直接提出するようにしております。こういたしまして大体百二十二億を
予算に計上いたしまして、ただいま
大蔵省と折衝中であります。
以上が
わが国の
原子力開発の
現状でございますが、付表をちょっとごらんいただきますと、
予算の内訳の表がございます。それから別紙の(二)という二十三ページには
原子力の基礎機関が並べてございます。
国会関係では
原子力合同
委員会。それから行政及び実施機関はどうなっているか、それから二十四ページには学術
関係、
産業関係はどうなっているか、
日本原子力産業会議、その他グループ別に
研究を進めておりますので、そういう点の事例を出しておるわけであります。
以上だいぶ長くなりましたが、私の
説明を終りたいと思います。