○
政府委員(
松尾金藏君) お手元に通産省の来
年度の
予算の概算要求重要項目を摘出したものをお配りしてあります。この
予算編成、
予算要求の基礎となります通産省としての政策の
考え方につきましては、先ほど大臣から概略のお話がございましたし、なお、お手元に印刷したもので、今後の
通商産業施策の
大綱というものをお配りしてあると思いますが、これでまた後ほどお読み取り願いたいと思います。
この
施策大綱にうたっておりますように、
予算要求の政策の大きな柱といたしましては、
輸出の
振興とそれから
産業基盤の
強化、それから
鉱工業技術の
振興、さらに
中小企業の
振興対策、まずこの大きな四つの柱を立てて
予算要求の重要項目といたしておるのであります。
まず、その
貿易振興対策といたしましては、この
予算要求表に掲げてありますように、総額三十九億、約四十億の
予算要求をいたしております。その重要な項目といたしましては、各項目に掲げておりますように、
日本商品の海外宣伝、また国際見本市の参加、あるいは
海外市場の
調査、
貿易あっせん
事業の助成、こういう各重要項目につきまして、現在のところ、御
承知のように大体ジェトロを
中心といたしまして、このような
貿易振興対策をやってきておるのでありますが、来
年度も引き続きまして、
事業の主体はジェトロを
中心といたしまして、さらにそれに相反しまして、
関係の
輸出組合でございますとか、また
事業団団体等がこれを相助けて、ジェトロの
事業を遂行いたすようにやっております。
なお、
輸出振興対策と相
関連いたしまして、来
年度は特に
海外投資と申しますか、海外に対する
経済協力の
対策を強くうたっておるのであります。その問題と相
関連いたしまして、この
予算表の三ページの終りの所にございます
輸出保険特別会計の基金の増額を十億要求いたしております。これは先ほど大臣からも御説明いたしましたような
意味で、
海外投資に対して、その危険に対する保険
制度を
拡充する
意味で、特別会計の基金の
増加を要求いたしておるのであります。
なお、
輸出振興に対しましては、海外に対する
輸出商品の意匠、また包装、そういう点に海外の要求に合うように
施策をしなければ相なりませんので、その
意味で四ページ以下にそのような意匠に対する
対策その他を掲げておりますが、なお、先ほど御質疑がございましたように、
中小企業の
輸出部門における
輸出産業としての
重要性にかんがみまして、
中小企業の
輸出振興費を特に計上いたしております。
次に、
鉱工業技術対策でございますが、これは五ページの所以下に掲げております。この
関係は来
年度四十七億の
予算要求をいたしておるのでありますが、これは御
承知のように、国の
鉱工業技術の
研究なり、また、
振興に関する国の
試験研究機関、また府県その他公共団体の
試験研究機関、これらに対しまして、その
試験研究の施設の
拡充をいたしますと同時に、その
試験研究の各項目の
拡充をはかりまして、その
実施に対する
予算であります。
さらに民間の
試験研究機関に対する助成策、補助の
関係は、従来に引き続きまして
鉱工業技術試験研究補助としてここに掲げておる次第であります。
なお、この
鉱工業技術の
振興の
関係で、来
年度特に電子工業に関する問題を大きく掲げておるのでありますが、これらはさらにそのあと出て参ります
産業基盤の
強化の所にこの問題を一括計上いたしております。
なお、この
鉱工業技術の
振興の問題と相
関連いたしまして、御
承知のように
特許の
制度が、従来
特許権、意匠権、商標権等の、いわゆる
特許の事務が現在かなり仕事がおくれておることは、かねがね指摘されておる
通りでございますが、そのために
特許行政に関する事務費の
増加要求をいたしておりますが、その内容は、十一ページに
特許行政促進費といたしまして、一億八千三百万の
予算要求をいたしております。これによって現在おくれがちである
特許行政の
促進をはかりたいというふうに
考えております。
次に、七ページの所以下におきまして、
中小企業対策の
予算要求をいたしております。この内容につきましては、現在
中小企業に関して審議会の審議が行われておるのでありますが、近くその最終的な答申を待ってその
施策を誉めなければならないわけでありますが、大体ここに掲げておりますような
予算要求が重要な項目に相なるであろうと思います。金額といたしましては、五十一億の
予算要求をいたしておるのでありますが、従来に引き続きまして、
中小企業に対する
振興指導、またその
中小企業の
組織化に対する助成、またその
企業診断に関する費用その他をここに計上いたしておるわけであります。
九ページ以下に、
産業基盤の
強化という項目でまとめておる重要
施策の項目につきましては、来
年度三十二億の
予算要求をいたしております。この
関係は、その内容といたしましては、九ページの所に掲げておりますように、
産業の
合理化、また
企業の置かれております環境
整備という
意味のことをまず掲げておるのでありますが、
生産性向上に対しての補助金、またその次に掲げております工業用水、また
産業立地条件の
近代化、工場排水の処理、これらの点は、各
企業が置かれております環境を、国の補助金で
整備をしてやるという
意味で、鉱工業地帯
整備ということをうたわれております点も、こういう項目に相なるわけであります。実はこの
産業立地条件
近代化という
意味で掲げておりますこの金額は、わずかに八千九百万という金額になっておるのでありますが、これはもともと
産業立地条件の
整備は、従来大体公共
事業で行われてきておることは御
承知の
通りであります。従いましてこの鉱工業地帯
整備の重要な
事業の補助金なり
事業費という点は、結局やはり公共
事業費の方に計上されると思うのでありますが、その公共
事業費の使途、使い方につきまして、鉱工業地帯
整備にマッチするように、適応するような使い方をするような方法を
考えなければならないのでありますが、ここに掲げております
産業立地条件
近代化の費用というのは、そういういわば事務費的な
考え方のものでありまして、本来的な
事業費は公共
事業費の方に出てくることに相なるわけであります。ただ、工業用水の
関係は、これは御
承知のように、すでに工業用水に関する特別
立法をこの前御決定に相なっておりますので、来
年度十億の
予算要求をいたしまして、本
年度に引き続きまして工業用水の
確保の
事業を
拡大する
考え方に協力いたしておるわけであります。
さらに、
産業基盤強化で、その機械工業でございますとか、また
鉄鋼、また
地下資源の、いわゆる基本的な
産業に関する
振興対策費を、九ページの項の半ば以下に掲げております機械工業
振興費、それから電子機器工業の
振興費等がこれに当るのでありますが、先ほど申しました電子機器工業に関する
技術の
向上その他の費用といたしまして、来
年度八億四千万の
予算要求をしておるのでありますが、これは従来とも電子機器工業の
振興策はとっておるのでありますが、残念ながら電子機器の
生産の面もございますけれ
ども、その試験
設備について、従来完全なものがございません状態にあったのでありますが、この試験
設備を
拡充することによって、電子機器工業の
品質の維持
向上をはかるという点が
予算要求の
一つの大きな眼目になっておるのでありますが、さらにこの電子機器工業全体につきまして、将来基本的な
対策を立て、またその
施策、補助等をやっていきたいということで、ここに電子機器工業の
振興費を掲げておるのであります。
なお、十ページ半ばの所以下に、
地下資源、天然
資源の維持
振興対策を掲げておるのであります。この点は、従来たとえば天然ガスでございますとか、あるいは未
利用資源というようなことで、
地下資源の
開発対策をやってきたのでありますが、来
年度は特に未
開発地域の
資源につきまして大きくこの
開発を進めていきたいということに
考えましたほかに、鉱山の
開発につきましては、やはり鉱山道路の
整備がなければ、その
開発が実際上行われがたいわけでございまして、この点は来
年度特に鉱山道路に関する補助金をここに組んでおるわけであります。
なお、
地下資源開発の
関係で、本
年度におきまして、昨
年度以来
石油資源の
開発が、そのための
開発会社を設置、設立いたしまして現在その
実施をいたしましておるのであります。この
開発会社の
事業が三十二
年度は第三
年度に入るわけであります。この
石油資源開発のために来
年度十八億の
政府出資を要求いたしております。この仕事は、御
承知のように新たな
調査と新たな
開発をやる部分でございますので、どうしても
政府出資という形で、自由なといいますか、資金コストのかからない資金をこの
開発会社につぎ込んでやる必要があるのでありまして、このために十八億の
政府出資、同時にこれと相
関連しまして、民間出資も並行的に求めるつもりでございますが、
政府出資としてもぜひ十八億の
予算を計上してもらう
考えでおります。
なお、ただいままで申しましたような重要項目につきまして、四つの大きな柱を立てて
予算要求いたしておるのでありますが、そのような問題とやや問題の性質は違うと思いますけれ
ども、十二ページに掲げております、最後のところに掲げております項目によりますように、従来の防衛
生産の特定
設備の維持
対策費ということで掲げておりますが、これは御
承知の、従来の銃器弾薬の
関係の
設備が、いわゆる特需が非常に急速に減退をいたしましたけれ
ども、将来の
日本の防衛
産業のために最小限度維持しなければならないものについて、その維持管理をするための費用を要求いたしておるのであります。
なお、鉱産物の調整の株式会社設置費というものを掲げておるのでありますが、この内容は、御
承知のように
日本の銅の値段が非常に乱調子に動いていることは、先般来御
承知の
通りと存じますが、非常に乱調子で、安いときにはいわゆる出血
輸出をしなければならないし、少し
海外市況の
状況が変ってきますと、また高い銅を現在
輸入されておるような
状況であります。そのような非鉄金属の中で特に銅というような特殊のものにつきましては、ここで鉱産物の調整会社を作ることで、その価格の安定をはかりたいという
意味の費用でございます。もちろんこれは
政府の方の出資のほかに、現在産銅六社でこの価格調整のために若干の資金を積んでおります。それをさらに増額することで、その出資を半官半民の出資をすることに予定をいたしておるわけであります。
なお、鉱害
対策につきましては、先般来国会でいろいろ御要求のございましたような点を加味いたしまして、来
年度の
予算要求をいたしておるのであります。
以上総合計をいたしまして、来
年度二百四十一億の
予算要求に相なるわけでありますが、本
年度八十二億の
予算に対しまして、来
年度は二百四十億の
予算要求に相なっております。この中には、先ほど申しましたように、相当多額の出資金のようなものが入っておるのでありますが、来
年度の全体の
施策のためには、ぜひこの
予算の成立をはかりたいというふうに
考えております。