○栗山良夫君 きのうの中曽根君の演説みたいに、党の方でお引っ込めになることもありますから、よく御理解願ったことと思います。
そこで、それを前提にして、私は二、三申し上げたいと思いますが、今度のこの
スト規制法の延長決議ぐらい
鳩山内閣として
国会を軽視し、そして
世論を無視しまして、
政策的には
鳩山内閣の怠慢これに過ぐるものはないと私は
考えるのであります。以下若干の実例をあげて御質問いたしますから、これにお答えを願いたいと思います。
それはまず第一に、
国会の中の
議論というのは
二つあります。こういう
労働問題で申し上げますと、大きく分けて保守と革新の
二つに分れて
議論は平行線をたどることが多いのでありますか、一番最初に十五
国会においてこの
法案が
政府から
提出をせられまして、それで
国会で
議論がありましたときに、野党の方、革新政党の方はもちろんこれに
反対であったことは申すまでもありません。しかし、保守政党の側においても幾多の疑問というものがこの
法律案に投げかけられたことは私が申し上げるまでもないのであります。
まず一番、これはいずれ
労働大臣に機会を見てお尋ねいたしたいと思いますが、
労働委員であるところの倉石
労働大臣は、当時昭和二十八年三月十三日の本
会議におきまして、この
法案に対する討論にお立ちになっております。そしてその討論に立たれました言葉の中でどういうことが言われておるかと申しますと、一番おしまいのところでありますが、「私は、本案に賛成を表明するとともに、
政府はすみやかに、本案のごとき間に合せの
立法をもって満足することなく、自由党の
労働政策の基本線に沿うところの一貫したる
労働政策を宣明すべきであると希望いたすと同時に、事業経営者もまた、このたびのごとき政治の恩恵の上に安眠をむさぼって、いやしくも放慢なる経営をなさざるよう、」云々こういうことであります。すみやかに
労働政策を立てろ、こういうことを倉石
労働大臣は、当時代議士として本
会議の席上において討論せられております。しかるに、三年間たっておりますのに、すみやかという言葉はどこへ飛んだのか、一向に出ておりません。これは保守党の討論の線に沿わないところの
労働行政というものか、社会党がのめるかのめないかは別といたしまして、行われていないということを示しております。いずれこのことは
労働大臣にもよくお尋ねをしたいと思いますが、こういうことが一つございます。そのほかたとえば、当時の
日本自由党、要するに
鳩山総理大臣が新しく党結成せられましたときの
日本自由党でありますが、その自由党の山村新治郎君はどういう工合にきめつけておられるかと申しますと、野党が批評するよりももっとものすごい口調で
委員会における討論に参加せられております。それはどういうことかと申しますと、この、「昨年の
ストライキの実情を詳しく検討いたしまするときに、その一半の責任は、何としても、
政府並びに
資本家側においてこれを負わなければならないと思われる点が多々あるのであります。」そのほかしまいの方に参りますというと、「今回の
法律案につきましては、
労働者の
権利は
規制されておりまするが、
資本家側に対する
規制の
規定は、全然設けられておらないのであります。また
労働者の
権利の侵害に対する何の補償もなされておらないのであります。かくのごとき処置は、
労働者諸君に対する吉田
内閣の、血も涙もなき
労働行政の現われといわなければならないのであります。(拍手)」こうなっております。そしてその
あとに「吉田自由党の持永
委員それ自身が、この
法案につきまして、間に合せのずさんな
法案であるということを指摘される点を
考えましても、この
法案がいかに不備であるかのよき証拠であるといわざるを得ないのであります。」そして最後のところで「
労働者の利益を守り、
労働者の勤労意欲を簡易せしめるがごとき、抜本的
労働政策を樹立すべきことを、強く
政府に要望するものであります。すなわち暫定
立法が三年の長きにわたるということは、いろいろの弊害をかもしやすく、特に
政府の
労働行政に対する抜本的
政策樹立の熱意を遅延せしむるおそれが多分にあるのであります。わが党が三年を一年に修正せんとする根本の
理由は、ここにあります」こういう工合に述べている。当時、あなたが総裁をしておられます
日本自由党の党代表として、
衆議院の本
会議に述べられた演説に、三年では長すぎるから一年にしたい、その間に、りっぱな
労働政策というものを立てるべきである、こういう工合に堂々と述べ、血も涙もない吉田
内閣の
労働政策というものを、これは痛烈に攻撃しております。そういうことを党議として御決定になっておる
鳩山総理大臣がただいま
藤田君に答えられたような、そういうあいまいもこな
答弁でもって逃げられるということは、まことに心外であります。従って、この点のお
考えというものを率直に一つお述べ願いたい。これは
国会における保守党各派の
意見に対してきわめて背信的な
行為、きわめて不信的な
行為であると断じて私は差しつかえないと思うのであります。果して
鳩山総理大臣自身のお
考えが、今日のような
法案の延長決
議案を
提出せしめるに至ったのか、あるいは
鳩山総理大臣の心境でなくて、こういうことになったのか、この点を一つはっきりさしていただきたいと思います。