○
説明員(
北島武雄君)
会計検査院より
昭和二十九
年度の
防衛庁の
決算につきまして、
不当事項として
指摘せられました
案件二十五件につきまして、一応の御
説明を申し上げます。
まず
最初の分類は、「
工事の
施行にあたり
処置当を得ないもの」というのであります。この
最初の七番目の
案件につきましては、御
指摘は、
燃料タンクにつきまして、
最初から
燃料入れかえ
設備を作るようにしておいたならばよかったのに、
あとになって
追加工事をしたために不
経済となったという御
指摘でございますが、
本件につきましては、実は当初
室蘭に第一次の
貯蔵施設、
貯蔵所を置きまして、ここに主として
船舶等で大量に輸送されました油を一時貯蔵いたしまして、それから第二次的に
早来地区の
給油施設に輸送するという構想であったわけでありますが、実は
室蘭地区の
貯蔵所につきましては、
土地取得が困難となりまして、途中で中止になりましたので、あらためて
早来地区の入れかえ
設備を追加施工することにいたしたわけでございまして、そのために不
経済の点に相なったのでございます。今後はこういう点につきましてさらに一そう十分な注意をいたしたいと存じます。
八番は、
コンクリートが
設計と異なった
配合比で
施行されているのに、そのまま高い
価格を支払ったという御
指摘でございますが、実はこの
弾薬庫の一部の
部分におきましては、
コンクリートが
設計と異なった
配合比で
施行されているため、高価に支払ったような
格好になっておりますが、この
弾薬庫の
工事の他の
部分におきましては、逆に
政府側が低く、安く支払っておるという
格好にもなっておりまして、この
工事全体を通じますれば、必ずしも御
指摘のように高くはなっていないのじゃないかというふうに感じております。
それから九番目でございますが、九番目は、
弾薬庫の
敷地造成工事につきまして、
施設部隊で
設計以上に大量に土を
切り取りましたために、
あとで余分に土をかけなければならなかったという御
指摘でございますが、この点も実は外部に外注いたしますと、相当
予算も高くなることでございますし、
部隊の
訓練をいたしまして、
経費の
節約にもなるという見積りで実施いたしたのでございますが、結果におきまして、隊員の
施工技術の未熟のために、若干の余分の土を動かした結果になっておりまして、当初予定いたしましたほどの
節約はできなかったのでございます。今後こういう点につきましては、
技術の向上をはかりまして、
指導の適切を期したいと考えておるのでございます。
それから十番目は、
弾薬庫の
工事予定価格の
積算に当って、
調査不十分なため、過大に支払ったと認められるという御
指摘であったと存じますが、この点につきましては、直接費の
積算につきまして、
検査院の御
指摘のように、あるいは
堀さく土工の
歩がかり等に若干適格を欠く点もあったと思うのでありますが、他面、
一般標準よりも低い諸
経費を計上してあったことでもございますし、それからまた、本
工事は当初八社ないし九社の
指名競争に付したのでございますが、あるものについては三回の
入札でようやく
落札になり、あるものにつきましては三回
入札せしめたがとうとう
落札者がなくて、
随意契約になったという
関係もございまして、全体といたしましては、必ずしも過大な支払いになっておるのではないというふうに考えているのでございます。しかしながら、
積算の基礎につきましては、
検査院の御
指摘の点も十分ご
もっとものことでございますので、今後
積算の基礎につきまして、さらに一そう十分慎重を期したいと、こう考えております。
なお、
検査院で、二回にわたり
落札者からそれぞれ二十万円ずつ支払う条件で
入札させ
契約した事項について御
指摘がございました。この点は正規の
手続をとっておらないのでございまして、はなはだ遺憾でございます。今後かかることのないよう十分注意いたしたいと思います。
十一番は、
今津部隊の給排水
工事の施工に当って、初めから水質の検査をちゃんとやっておけば、
あとで
手戻りしなかったであろうが、水質の検査をしなかったために余分な
手戻りを生じたという御
指摘でございますが、この点は、当初はこの
工事は、琵琶湖の表面の水を直接導入する
計画でございましたが、それよりも湖の水を良質な砂の層を通しまして水をとった方がより安全で、かつ安価であると考えまして施工いたしたのでありますが、何分にも琵琶湖よりも五メートルの水ぎわに作った井戸でございますので、それともう一つは、近所には良好な水質の井戸がございますので、実は非常な手ぬかりであったのでありますが、当然いい水が出るであろうと、こう思いまして、水質の
調査を略した、これが実は非常な欠点になっておりまして、やってみたところが、かえってメタン・ガスの池から悪い水が出てきたというようなことになったのでございます。この点はまことに遺憾でございまして、今後十分注意いたしたいと存じます。なお、施工いたしました井戸は、取水井ということでなく、接合井ということで、琵琶湖の水からその井戸へ一ぺん持ってきてまして、そこで一応大まかな沈澱を行いまして、それから水を引くように使っております。
次に、「不急の
物品を
購入したもの」というのが十二番から十八番まででありますが、十二番は、修理の対象もないのに修理工具だけ先に
購入したという御注意であります。この点は、修理工具を
購入いたしました当時は、実は冷凍保管
部隊というものが編成される予定であったのでありますが、その冷凍保管
部隊の整備、
訓練等のために必要であるとして、まず
工具セットだけ先に買ったのであります。実は
あとになりまして
検討の結果、編成を改めまして、冷凍保管
部隊というものは編成しないということになりまして、
検査院御
指摘の
通り、
使用することなく、その当時保管しておったので、御
指摘の
通りで、まことに遺憾でございます。なおその後、本
工具セットにつきましては、電気、ガス等の修理工具、そのほか本年になりまして、
米国から冷凍車の
供与を受けましたので、この方面の修理工具に使っております。
それから十三番目は、車両装備の実情を
検討しないまま
不用のドーリーを
購入したというものでございます。従来二十トン・
セミトレーラーの牽引車には六トン・
トラクターと、それからドーリー付
プライムーバーというものの両方を併用することになっておりますので、本年
購入当時におきましては、六トン・
トラクターの
使用というのを原則といたしまして、補給処
関係部隊だけ補給処内の整備の必要上、ドーリーを付する編成装備に改めたため、
本件を
購入したのであります。その当時におきまして、この
使用方法について十分な
訓練をいたしておりませんので、
会計検査院御
指摘の
状況にたりましたのは、まことに遺憾だと思っております。本装備の活用につきましては、十分
検討いたしたいと思いまして、補給処等におきまして、できるだけこれを有効に活用するように指示いたしております。
それから十四番目は、米軍から
冬服が大量に
供与されることになっておったのに、七万着の
冬服を買ったのはむだじゃなかったかという御
指摘でございますが、
本件の
冬服購入前に、米軍被服
供与方につきましては、一応口頭で話はあったのでありますが、その時期、
規格等については、極力情報の入手には努めましたが、MDAPの
供与は、現実に実際に
防衛庁に
供与される面前でないと実は確定しない
状態にありましたので、補給の確実を期するために、いろいろ迷ったのではございましたが、最後に買うよりほかにしようがないということで、七万着を買ったのでございます。この間につきましては、非常に不幸な
事情だったと存じます。二十九年の七月ごろからいろいろ、口頭でございましたが、担当官を軍事援助顧問団の方に派遣いたしまして、常に連絡はとらしておったのでありますが、なかなか最後のどたんばになるまではわからない、その間に補給しなければならない時期が近づいたので、やむ得ず買ったものでございます。
それか十五番目は、不急な
赤外線警報器を
購入したという御
指摘でございました。
昭和二十八年以降、米軍から大量の弾薬を受領することになったのでございますが、これを貯蔵する
弾薬庫につきましては、
用地、施設の
取得等に関し、各方面との折衝を要する面が多くございました。具体的にはなかなか容易に
決定に至らない
状況でございましたが、一方、弾薬の受領期日は刻々と迫って参りますので、やむを得ず最も実現の可能性の確かだと思われる個所を予定して、
赤外線警報器を
発注したのでございます。しかるに不幸にいたしまして、
用地の
取得につきまして、それぞれ地元側の強硬な反対等によりまして、予期以上に遅延いたしたために、結果におきまして、
赤外線警報器を
購入いたしました時期と、実際に
使用する時期との間に相当のズレも生ずるに至ったのでございまして、この点はまことに遺憾でございます。なお、当初相当故障が多くございましたが、これは取扱い者の未熟練等によるものでございますが、これらの故障につきましては、そのつど納入者をいたしまして無償で修理せしめまして、現在のところでは全数設置の上、支障なく
使用いたしておる
状況でございます。
十六番目は、
高周波線輪を過大に
購入したというものでございますが、
本件は
調達の際に
関係者の連絡が不十分のために、誤って過大に
購入したのでございます。
検査院の御
指摘の
通りでございまして、まことに遺憾でございます。今後はこのようなことのないように十分注意いたしたいと思います。
十七番目は、四トン・レッカーを
陸上自衛隊が余分に持っておるのに、海上、航空両自衛隊用として新たに
購入したという御
指摘でございますが、
本件につきましては、
購入当時の定数、それから保有量からいいますと、まさに
会計検査院御
指摘の
通りでございますが、一方また当時、
陸上自衛隊におきましては、十三万の人員から七五万に増勢する
計画がございまして、一応政府部内におきましては十五万増勢がきまったときでございますので、
年度を越せばすぐ十五万になる、十五万になれば、今の
陸上自衛隊の保有数では足りないという
事情にございましたので、海上、航空両自衛隊に保管転換をいたさなかったのでございます。
それから十八番目は、これも
無線機を
陸上自衛隊が余分に持っておるのに、
航空自衛隊として新たに
購入したという御
指摘でございますが、これは
検査院の御
指摘は、
陸上自衛隊において重
無線機を持っておるから、それに
改造を加えて、
航空自衛隊に保管転換して、
航空自衛隊が中
無線機として
使用したらいいじゃないかという御
指摘でございますが、
航空自衛隊の方で必要な
無線機は、単価は約百五十万円でございます。百五十万円のものに対しまして、たとえ改修を行なっても、
陸上自衛隊で持っておる重
無線機は、単価にいたしまして、米ドル一万二千ドル、約四百五十万円でございます。四百五十万円のものに八十万円見当の改修を加えて、そうして百五十万円の品に代用するということはいかがかと考えましたのと、一方、また
陸上自衛隊の今後の増勢を考えますと、かりに保管転換したりすると、新たに八百万円程度のものを国産で買わなければならぬということにも相なりますので、結局保管転換を行わなかったのでございます。
次は「
物資器材の
規格の
決定当を得ないもの」というものが十九番から二十三番まででございます。
十九番は、塗料
はく離剤について、
規格を
仕様書でちゃんと指定しておけば、
配合割合についても指定しておけばよかったのに、それをしなかったために
使いものにならないで、
あとになって変質するようなものを受け入れたという御
指摘でございます。普通、塗料
はく離剤としますと、このようなものにつきましては、
配合を別に指定することなく
購入しても、
性能上大過ないのが普通でございまして、ブリキカンの
使用ということも通例とされていたのでありますが、
本件はたまたま一般製品と異なった
配合であったために、予期し得ない結果を招致したのでございます。まことに遺憾でございます。
本件の
契約の利手方は、
あとにも出て参りますが、悪質な業者でございましたので、たまたま一般競争
契約によりましていたしましたために、このような業者が入りまして、特に安く
入札いたしましたために落ちたという
格好なのでございます。今後はこの塗料
はく離剤につきましては、御
指摘の点も十分考えまして、
配合を指定するなど、万一、悪徳な業者の入るようなすきのないようにいたしたいと考えております。
それから二十番は、実用に供することができない口径五〇
空包発射補助具を大量に
発注したということでございますが、これは
空包による
部隊訓練の必要なために、当時の
研究段階では、
技術的にも一応満足できた、
技術的にどうにかこれでやれるということで一応
購入したのでございますが、本来きわめて高度の
技術を要するものでございましたために、結果におきまして、
会計検査院御
指摘のように
手戻りを生じ、あるいはまた
空包の跛行
購入となったものでありまして、遺憾でございます。なおその後はこれを
改造を完了いたしまして、全部活用いたしております。
二十一は、二十番と関連するものでございますが、
空包発射補助具がないのに大量の
空包を
購入したもの、これは
訓練計画に当りまして、
空包発射補助具を整備し、またこれに見合う
空包の
調達を考えたのでありますが、
補助具の
調達が遅延いたしましたことと、一部
計画変更の結果、御
指摘のように
空包の
調達が先にいったという結果になりましたので、遺憾でございますが、その後、
補助具も
購入されましたので、
部隊の
訓練に
使用いたしまして、現在ではこれを全部
使用済みでございます。
二十一番でございますが、
使用場所の
検討が不十分なまま
電動式フォークリフト等を
購入したため不
経済となったものであります。これも米軍からの緊急弾薬受領に
関係するものでございますが、二十九年九月以降三十年六月までの間に米軍から十二万七千トンの弾薬を急拠引き取ることになりまして、そこで自衛隊といたしましては、人員、
物資等を総動員いたしまして、何とかしてこの十二万七千トンの弾薬の受領に円滑を期したいと存じたために、この
電動式フォークリフトを
購入したのでございますが、結果におきまして、米軍
弾薬庫の解除の交渉、それから応急
貯蔵施設の
建設などに忙殺されましたために、その電動
フォークリフトの
性能、用途につきましては、十分
部隊の方に
使用方法が徹底しておらないために、弾薬の緊急受領につきましては十分にこれを
使用されなかったのでございまして、遺憾でございますが、これは
フォークリフトは現在補給所におきまして遺憾なく全部活用いたしております。ただ、弾薬の緊急受領のために特に
購入したものにつきまして、その緊急受領には十二分にお役に立たなかったということはまことに遺憾と考えますが、現在では補給処において、この貨物の上げ下げ、積みおろし等をいたして、遺憾なく活用いたしておる次第でございます。
バイブレーター装置の入力
電源の
検討を欠いたため不
経済となったものというものが二十三番でございます。これは器械の仕様基準についてできるだけ互換性というものを尊重して、留意して、
性能及び装備の統一をはかる必要を考えまして、三段切りかえのものを
購入したわけでありますが、
会計検査院御
指摘のように、全部これを三段切りかえにしなくてもいいじゃないかという御
指摘について、十分うなずける点もございますので、今後の
調達につきましては実情に適するようにさらに
検討を加えたいと思います。
二十四番は、
調達計画が適切でなかったため高価な
冬服を
購入したという御
指摘でございます。
本件の
冬服の
調達は、実は二十八
年度予算におきまして、当時までに更新不足となっておりましたものを
充足するため行いましたもので、できるだけまあ二十八
年度の会計
年度内に
調達しようと考えたのでございますが、また、当時の
価格からすれば、この当時の市況からいたしまして高かったとは実は考えておらないのでございますが、ただこの
購入の直前の二十八年十一月に非常に安く四千三百六十八円で
購入いたしておる、それからまた二十九年の十月に四千二百十円で安く買っておりますので、この中に高いのがありますので目立つのでありますが、二十八年十一月の値段は、当事一般的に金融逼迫いたしておりまして、業者が売り急いだということと、それからもう一つは、
防衛庁の繊維製品に対する
調達の形式が変更される直前でございまして、その当時までは一般競争
契約でございましたのを、二十九年の一月から
指名競争にするということが内定いたしておりますので、業者といたしましては、これを売り急いで、非常に安く買えたという
状況ではなかったかと考えております。
それから二十五番目の、「
ハラゾン錠の
購入にあたり
予定価格の
積算が難を得ないもの」、
予定価格の
作成につきましては、厚生省について
調査いたしたのでございます。当時薬事法によりまして、この
ハラゾン錠の製造許可を持っている業者は相手方の岩城製薬株式会社、もう一つ八洲化学、この二社だけでございました。それからまた当時米軍の払い下げ品は若干市中にあったようでありますが、輸入を承認された実績も、実は
調査いたしたところないということでございましたので、当該
指名競争入札者の見積
価格を基礎といたしましたが、まあ
米国の市価をも算定いたしたのであります。やってみまして、再
入札いたしましても
落札者がなく、またこの種製品の現在の市場
価格から見まして、
予定価格が御
指摘のように高かったとは実は考えられないのでございます。今後の
予定価格積算についても、御
指摘の点も十分考慮に入れまして、十分完璧を期したいと考えております。
それから二十六番は、「航空発動機予備
部品の
購入にあたり
処置当を得ないもの」、野崎産業がコンチネンタル・モーターズ会社の
代理店として販売権を有していたのであるから、しかも野崎産業の方が安いようであるから、それを両方入れたら安く買えたのではないか、こういう御
指摘であります。実はこの問題になりますと、航空機はメンター練習機に関するものであります。この製造会社は
米国のビーチ・エアークラフト会社でありますが、これを一手に
代理店をしておりますのが伊藤忠商事、ところがビーチ・エアークラフトム会社製のメンター練習機の
発動機用予備品を構成する各品目のメーカーは数十社ございますが、品目ごとにメーカーにつきまして
購入するということは不可能でございますし、実際信頼度からいいまして、ビーチ・エアークラフトが一切の責任を有するのでございますので、予備発動機及び発動機予備
部品を含むすべての予備
部品は、すべてビーチ・エアークラフト会社の資料を基礎として、同社から
購入するということにいたしたのであります。それからまた個々の
部品の品質を確保するためにも、ビーチ・エアークラフト会社が検査して、
技術的に保証したものを
購入することが、当時としては最も適当と考えたのでございましたが、その後、実はコンチネンタル・モーターズ会社の発動機の国産化
計画が具体化して参りまして、それに伴ってこの予備発動機を野崎産業から
購入すれば、
価格が若干安くなるということがわかったのであります。そこで伊藤忠商事を介しまして、
契約締結後ではございましたが、相手方のビーチ・エアークラフト会社と強力に交渉いたしまして、予備発動機につきましては特に値下げを行わせることに成功したのでございますが、発動機予備
部品の点については、相手方のビーチ・エアークラフトに相当額の解約料を支払わなければならないということになりましたので、値下げは断念するはかなかったのでございます。まあ以上のような
状況でございまして、当時としてはやむを得ない措置ではなかったかと考えるのでございます。
二十七番は、
輸入品の
購入に当りまして、その必要がないのに
年度末において全額前金払いをしたものというのでございますが、これは
会計検査院御
指摘の
通りでありまして、まことに遺憾でございますが、なお前金払いによりまして得ました業者の金利額につきましては、ことしの一月、これを返納いたさせまして収納いたしております。
二十八番は、不適格な不凍液を
検収したというものでございます。これは実は
検収のときにおきましては、確かにその現物は合格しておったのでありますが、業者の不信行為によりまして、
現場においてすりかえられておったように存ずるのであります。まあ従来もこういうものにつきましては抜き取り検査でやって支障なかったのでありますが、たまたま先ほど申し上げましたような業者でございまして、検査に出したものと、それから実際に各
部隊へ入れたものと違っておったのではないか、そういう疑いがございます。そこで
本件につきましては、債務不履行による損害賠償の権利を有するものと考えまして、法務省と打ち合せまして、民事訴訟まで考えたのでありますが、そのうちに相手方が和解を申し入れまして、結局本年の五月に和解成立いたしまして、政府の債権額約三百四十万円のうち、百万円は直ちに支払い、
あとは月賦で払うということになりまして、和解をすることにいたしました。
次は、「
用地の
取得にあたり
処置当を得ないと認められるもの」、二十九番は、然別
演習場の
用地でございます。これは
買収前は河東郡鹿追村から借りておりたのでありますが、二十八年の八月に至りまして、二十八
年度末で貸借
使用の打ち切り、そこで
買収してくれ、
買収してくれなければもう打ち切るということで、強硬な要求がありまして、二十八年の十二月にこの土地の
取得方針を
決定いたしまして、
買収に着手したのでありますが、何分短時日に
買収しなきゃならなかったために、結果におきましてある程度総額が増加ということになりました。従いましてその内訳につきましては、
検査院御
指摘のような不手ぎわの点も出て参ったのであります。当時の
状況におきましては不手ぎわではございましたが、この程度の金を支払わないと
契約が妥結できなかったというような
状況でございました。
三十番目は、旭川の
弾薬庫及び
訓練場の
用地の問題でございますが、これは米軍から弾薬を早く引き取るようにという要求を受けまして、早急に
弾薬庫を設置しなければならないこととなったのでありますが、地元側との折衝に際しまして強硬な反対にあいまして、やっと交渉の直前において初めて測量が可能となったというような実情でございまして、実際の交渉の途上におきまして、必ずしも十分な資料に基くことができませず、またさらに地元側は代表者による
価格折衡を拒否いたしましたために、やむを得ず個人別交渉によりましたのでございます。総額におきましては、ほぼ適正な線を譲らなかったつもりではございますが、各人の
補償の算定に当りましては、一
部分検査院御
指摘のような不
均衡を生じた面もございます。当時の情勢上やむを得なかったにいたすにせよ、まことに遺憾でありまして、今後はこのようなことのないように十分注意をいたすつもりでございます。
三十一番目は、新潟県の大日原
演習場用地の問題でございますが、これは
検査院御
指摘の
通りに、開墾
状態がやや劣る三万坪がありましたために、平均の坪当りを低く見まして買ったというつもりではございますが、従いまして、全体としては必ずしも過大な
評価にはなっていないというふうには考えるのでありますが、事務の処理上不十分な点がございました。この点はまことに遺憾だと思うのであります。今後は十分注意をいたします。
なお二十九
年度の
決算につきまして、ただいままでに御
指摘がございました二十五件につきましては、実情を十分に究明いたしまして、そのうち十七件につきまして人事処分を行いました。その内訳は、免職一人、減給一人、戒告五人、訓戒十八人、注意十一人、なお被処分者退職のため、不処分に終りました者二人でございます。