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説明員(保岡豊君) 文部省で二十九年度
報告いたしますものは、国立大学に関するものと、補助金に関するものとあります。国立大学の不当
事項としてここに掲げましたのは、百六ページ以下、歳入歳出に関する経理上のものが三件、物件高価購入が一件、不正行為が二件あります。このほか初めの百四ページの末三行に載せてありまする
通り、
大蔵省の流用承認を得ないで科目流用して常勤労務者給与を支払ったものが二十六校で合計四千七百万円ばかりあります。それで相当多額に上りと、ここに記述してあります。それから学校の超過勤務手当を病院の方、すなわち正当でない科目から支払ったり、
予算をこえて外国図書を納入させているものなどが見受けられているのであります。補助金の不当
事項は百十ページ以下に述べてありしますが、義務教育国庫負担金は初年度でありますので、一般的傾向といたしまして、百五ページに
報告いたしました。二十八年度に概算払いをいたしまして、二十九年度に精算をしたもの、北海道ほか十七都府県を私の方で実地
検査いたしましたが、その結果、超過交付が約千七百万円、交付不足のものが約四百万円であります。これは都道府県から提出される基礎
資料の調製の指導におきまして不十分なものがあって、またその取り扱いも区々にわたりまして、かつその
調査も不十分な結果と思われるのであります。以下不当
事項の個別に
説明いたします。
七百六十三号は、東京教育大学の光学研究所で研究いたしました成果である人工真珠顔料を
外部に引き渡しまして、千三百万円ほど受け取りまして、そのうち五百十一万円を歳入に納付し、残り八百万円を自由に使おうといろわけでありまして、八百万円のうち六百六十六万円を経費などに使いまして、あとは現金、預金で持っていたものであります。私の方で注意いたしましたところ、この現金、預金等を使ったもののうちに約三百万円を合せまして四百八十万円を歳入に納付いたしました。
次の七百六十四号は、一橋大学の一橋講堂使用料でありますが、との使用料と、講堂の地下に食堂があります、この食堂の使用料相当料、また使用料を普通とらないものから納めさせる電気、水道料実費額として合計百二十七万円を徴収いたしまして、そのうち四十九万円を歳入に納付して残りを経費、講堂の掃除料だとか残業手当だとか、また電気水道料金を支払いまして、残り二十万円を保有していたものであります。
次は七百六十五号でありますが、これは架空経費としては相当大きなものであります。東京農工大学で小切手を前から現金化したのでありますが、ここに一応年度を切りまして二十九年度五月以降二千七百万円を現金化いたしまして、これをまだ払っていない、未払いになっている債務に充当したり、正当に支出することができないものに使用したり、また使途不明金もあった
状況で、結局三十年十月現在、当然の結果として起ります未払い金となっておりましたものが四百八十万円、またそのほかに物品が納入されているのに、契約もせずに、従って代金未払いになっておるもの、これは当局が御
調査されたのでありますが、これが三百七十万円、まあ大体この
二つがこれから払う、未払い金になりますが、合計八百五十万円に上っております。このほかに二十八年度で見ますと、二十八年度でも現金化したもので判明したものが約一千万円であります。これ本百九ページに書いてありますように、物品の納入を待って支払ったり、あるいはそれまでに債務負担をしたものに充当したものであります。
次の七百六十六号は、九州大学で八千円
程度の張幕を二万三千円で購入した件でありまして、全体で三十五張り、約五十万円高価になっているのであります。
次は、補助金でありますが、補助金のうち公立諸学校施設整備に関するものであります。これは児童生徒数、そのとき保有している坪数などが計算の基本となりますものですが、この計数に誤まりがあったものがこれが一番多いのであります。あとに列記してありますが、この例が一番多いのであります。その他被害を過大にしたり、対象
工事の一部を実施していなかったものが北海道ほか十都府県で八千六百万円の補助金について三千四百万円の補助超過になっております。この原因は事業主体が実態を把握しないで、直接指導監督することになっております都道府県教育
委員会の処置が適切でないのと、文部省の審査も的確でなかったと思われます。
先ほど申しましたように、大体児童数、保有坪数の間違ったものでありますが、そうでないものを取り上げて
説明いたしますと、七百六十九号、これは老朽の危険校舎で、災害の前に解体されたものを、そのあとで起りました災害に便乗して申請して、災害の補助金をもらったものであります。その次、七百七十号は被害
程度、被害面積などに誤りがあったものです。それから七百七十一号は小学校と中学校が併置されていまして、その小学校の生徒数に対して不正常といたしまして補助を行なったものでありますが、これを中学校が使用していたというものであります。それから七百七十二号は買収して改築すべきであるのに、まだ買収しないで、その一部を補修した、それだけのもので全体のものを補助しておる、こういう件であります。七百七十三号は生徒数に二十名の開差があったのと、
工事費のうち対象外の在来校舎の窓の改造などをいたしておりまして、それを除きますと、単価が下回って補助超過になったものであります。そのほかは今申しましたように同じようなことでありますから
説明を略させていただきます。
次の補助金は七百八十三号と七百八十四号でありますが、教員資格認定講習会の
出席の旅費の補助金です。これは二十八年度で終りましたものでありますが、これも補助金につきまして県が国庫補助金と同額以上を負担することになっているところ、これを下回っていたものでありまして、千葉県と神奈川県に見受けられたのであります。
次は不正行為二件でありまして、これは国立大学の給与俸給の支払いの場合に、基準給与簿を作為いたしまして所得税額を少額にして、支出官などに現金支給額を余分に振り出させまして、当人には正当のものだけ渡しまして、少くいたしました所得税の分を領得したものであります。これは東北大学と大阪学芸大学と多少は違いますけれ
ども、今申し上げました大要につきましては全く同じであります。
以上で
説明を終ります。