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海野三朗君 ただいま
永野委員から言及されましたが、事実私も実に同感です。今実際のことをちょっと申し上げますが、山形県におきましては、安楽城村というあの地方一帯が
天然ガスの噴出で、たんぼの中から、川の中から、水の流れておる所からぶくぶく全体的に出ている。これは
天然ガスですよ。これがきのうきょう出たものではありません。ずっとおじいさんの代からと土地の者が言う。
天然ガスがこれ一面なんです。それをこのころ
調査し始めたかもしれませんが、さらに問題にされていない。私はこれを実地に踏査して知っております。何里という間、もうぶくぶく
天然ガスがたくさん出ている、たんぼの中まで。私はこれについてはもっと
政府がはっきりこの
エネルギー資源という立場からしても、この
ガスのことをやらなければならないのじゃないかと、こう思います。
それから濃縮ウランのことについて、
国務大臣は非常に御熱心であって、その点については私は深甚の敬意を表するものでありまするが、今まで四つの
段階を御
計画になっておりまするが、少しあまり遠い先をお
考え過ぎるのじゃないかというふうに私は思うのです。それよりもまず現実の
状態、すなわち、この山形県のごときは、温泉の数が五十四カ所ございます。五十四カ所、おそらく
日本一でしょう。それで三朝温泉のような性質のものもたくさんある。もう少しあの辺を
調査なさったらどうか。まず国内の
調査にもう少し金をかけておやりになったらどうか。ただいま百二十億なんとおっしゃったけれ
ども、私は一千二百億くらいにしなければいけない。(笑声)実際ですよ。一千二百億くらいでも
アメリカの一兆的以上使っているところから見ましたら、それでもまだ実に貧弱なものです。
調査がまず第一できていない。ただ人形峠のウランについて、この間私も行って見ましたが、やっとあそこだけであって、それが何かというと、飛行機の上からやっている。飛行機の上からやっているというような、そんなことじゃなしに、もっとしっかり地に足をつけて
調査する必要があるんじゃないかということを思いまするのと、それから
発電炉を将来買う。その
発電炉は一年、二年ではできないから、早く注文しておくというようなことに対しては、私は賛意を急に表しがたいのです。なぜそう言うのであるかと申しますると、
日本人の頭というものは、決して欧米人に劣る頭の持主じゃないということを私は思います。それですから、たとえば一例を申しますと、電気洗たく機のようなもの、今電気洗たく機を盛んにやっておりますが、
日本ではそれ以上のものを
考えてもう売り出しておりましょう。圧力を
利用することを
考えておる。これには実に私も驚いたのですが、電気洗たく機に圧力を
利用する。圧力というものは、粉石けんをお湯に入れますとあわが出る。そのあわの出たものを密閉しておきますと、内部の圧力がだんだん高まってくる。そうすると洗たくは、もまなくてもきれいに洗たくができる。ちょうど蒸発がまというものがありまして、あの圧力を
利用するということを
考えた、
アメリカ人以上のことをやっております。私は実にこの点については、
日本の
研究心と申しましょうか、
日本人の頭というものはおそろしいものだと、こう思うんです。で、私はこの試験炉を買うというようなことは、これはもうけっこうなことで、とにかく早く
向うのまねしなければいけないから、これはいいんだが、それを第一期、二期、三期、四期、
動力炉をどっちから買うなんということは、ちょっと私は行き過ぎておりはせんか。
国務大臣の頭は確かに進歩しております。(笑声)この点については私は非常な敬意を持っておるものでありまするが、しかしそれに至る
段階を思うんです。年一年と、時々刻々世の中が変っておる。それでありますから、少し将来を
考えるのもいいが、まず今である。今
予算を千億ももらって、そうして
調査をやる。これから取り急いで原子炉を入れるということにならないと、あまり先のお
見通しになって、そうしてこれから濃縮ウランの
協定にしてもそうです。これにしばられてはならないと思う。おそらくこの条文で見ますというと、どうも私はふに落ちない点がたくさんございます。貸すなり貸与するなり、
向うではほかにやられると困るから貸与するということでありましょうが、それよりもまず国内です。早急に全力をあげて国内を捜査して、この濃縮ウラニウムについての
研究をいたすことについて、できないのであるならば技術者を
向うから
学者を雇ってきたらいい。そうして高い金を払ってでもいいから、この国内のウラニウムというものを濃縮ウランにどの程度できるかと、いうことに力をお注ぎになる方が
ほんとうじゃないか。でき上ったものをそっくり買うのはそれは便利です。便利ですけれ
ども、昔私の郷里の方から学校の先生が上京いたしまして、
東京見物に来ました。そうして帰って行っての話に、どこにもああいうランプの掃除をしている家は一軒もない、電気は便利なものであるといって電球を買って帰って、そうして電気をつけてみせるからといって、柱にぶら下げたけれ
ども、電気がつかない、(笑声)私はそういうふうなおそれなしとしないのではないかと、こう思います。で、
発電炉を買いましても、材料の問題から操作の問題から、始終故障が起って参るのでありまして、私の
専門のことを申し上げて、はなはだ相済まないのでありますが、八幡製鉄所を作るために、あの溶鉱炉、平炉を作るときに、初めに
ドイツに留学せしめて、まる三年の間職工をさせたのです。そうしてその人たちが帰って来ると同時に、国内ではもう設計をしておって、そうして溶鉱炉を作って、そうして火を点じたわけです。ところが火を点じていきましても湯が出ない。ところが肝心かなめのワン・
ポイント忘れている。それからあわてて
ドイツ人を呼んで湯を出したのはいいんですけれ
ども、ところが鋼を作る段になりましても、これは平炉でやりましたところが、れんがも何も
向うのものをそっくり持ってきてやったのですが、その裏付においてちょっと抜けた点がありまするために、百トンほどの、火を入れたなべの底がちょっと漏れて、その漏れた所から湯が流れ出て、一大音響とともに立ちどころに工員七名のからだがどこにふっ飛んだかわからないという大珍事を引き起しました。それから
向うの人間をまた高い給料を出して雇ってきて、そうして材料も今度また
向うから持ってきてというので、そうしてようやく数年後に鉄ができるようになってきて、その後もまたいろいろな故障が出てきておりますが、今日ではこの製鉄は地についておる。
日本は製鉄技術が進歩しておるから困ってはいないのでありまするが、ちょうどそういうことを私思いますると、この
発電炉を入れてみても、それまでの受け入れ態勢ができていなければだめなんです。受け入れ態勢とは何であるかと申しますると、ウランならウラン、その鉱石についてまず国内でもってこれを作る。そうしてこの操作について、あるいはこれにかりに従事する人たちの教育において、あるいは材料において、そういうことのまず準備が、受け入れ態勢がはっきりできていなければならないのじゃないか。そこに全力を注がれることが必要であって、遠い五年後、六年後のことは少し早過ぎていらっしゃるのではないかと私は思うのでございますが、
国務大臣いかようにお
考えでいらっしゃいますか。