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国務大臣(
河野一郎君) 今
お話の点で、私はもちろん蛇足と思いますが一点つけ加えたいと思いますことは、これは
お話の
通り鮭鱒漁業は全部淡水に
産卵する魚族によるのでございまして、わが方が海洋において一方的に魚族の保護を
計画いたしましても、これはできぬことでございます。わが方の
漁獲を
制限することだけでできることでありませんし、またこの淡水の
産卵時における保護が必要なことは申し上げるまでもございません。従いまして水上、
陸上双方協力いたしましてそうして初めてできる魚族の保護であり保存であることは御
承知の
通りであります。従いまして
ソ連側におきましても、すでにこの魚族の保護のために
海上における
制限を加えようということになりました。以前において
相当の
規制をしておるという事実をわれわれは
ソ連から提示されたのであります。これはもちろんそれまでは全然わからなかったことでございますが、
先方へ参りまして、
先方の
資料その他によりまして、われわれはむしろ
ソ連側から非常にこの
産卵もしくは魚族の保護育成に努力しておりまする経過の説明を受けまして、そしてむしろわれわれは、もしくは私のみならず、同行いたしました専門家の
諸君も非常に驚いたというようなわけであったのでございます。そういうふうなことから、両国の専門家の間には
相当の保護、
規制をする必要があるということに期せずして意見の一致をみたのでございまして、今年度の
漁業に対しましては早々の際でございましたから、むろん両者の間に十分な談合はいたしましたが、これは先ほど私が
小林委員に申し上げましたような経緯でございますけれども、明年以後、すなわち
漁業条約に規定いたしまするところのものにつきましては、決して押しつけられたとか、一方的にわが方だけが
規制を受けて、
ソ連側に非常に有利であるとかいうようなことはないように努力をいたしたのでございます。そのために、
陸上の
漁業と
海上の
漁業と、これは
双方見合った上で
制限を加えていこうというように
ソ連側も了承いたしております。従って、両国の間に明年以後におきましては
調査団の交換をしようというようなことも約束いたしております。そういうようなことでございますから両国合意の上、もしくは
協力の上でなければこの魚族の保護、保存はできないわけでございます。そういうふうな見地に立ってこれから先はやっていくというふうに考えておるわけでございまして、まか、今
お話でございますが、戦前から沖取りもやっておりましたし、
向うの
陸上もやっておったのでございますが、戦前に比べますと水上でやりまする
漁業は非常に発達しております。今日は非常に戦前に比べまして漁撈方法も発達しておりますし、それから
海上でやりまするすべての操作も、戦前に比べて比較にならぬほど飛躍的に増大いたしておりますというようなことでございますから、これも
陸上には
相当に影響が及びまして、そこに戦前ももちろん、水上と
陸上との間に農林省があっせんいたしまして、協調してこの
漁業はやって参ったのでございますが、今日は
立場が
ソ連と
日本という格好になりましたので、今言うように両者の間に協調してやっていかなければならぬような実情になったことは当然だと思うのであります。今の六万五千トンにきめたのは、それは適当に見合いでやっただろう、それはあの当時の事情といたしまして、科学的根拠を求めたわけでもなければ……しかしこれも先ほど申し上げました
通りに、この
制限区域外における
漁業に
相当の期待をいたしておりました。事実またここに
相当の
漁獲をあげたわけでございます。そういうものと相加えてことしの
漁業を終ったわけでございますが、そういう意味合いで同行いたしました専門家の意見等も十分徴しまして、この辺で適当であろうということで妥結をして参ったということでございます。