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1956-11-29 第25回国会 参議院 運輸委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年十一月二十九日(木曜日)    午後一時五十八分開会     ―――――――――――――   委員の異動 十一月二十九日委員谷口弥三郎辞任 につき、その補欠として郡祐一君を議 長において指名した。     ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     戸叶  武君    理事      植竹 春彦君            三木與吉郎君            大倉 精一君            江藤  智君    委員            石原幹市郎君            成田 一郎君            平島 敏夫君            堀木 鎌三君            相澤 重明君            柴谷  要君            高良 とみ君            村上 義一君            岩間 正男君   委員外議員            加藤シヅエ君   国務大臣    運 輸 大 臣 吉野 信次君   政府委員    運輸大臣官房長 朝田 静夫君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   説明員    運輸省海運局長 粟沢 一男君    運輸省港湾局長 天埜 良吉君    日本国有鉄道副    総裁      小倉 俊夫君    日本国有鉄道常    務理事     石井 昭正君    日本国有鉄道法    務課長     鵜沢 勝義君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査の件  (海運に関する件)  (参宮線事故に関する件)  (池袋駅民衆駅に関する件)     ―――――――――――――
  2. 戸叶武

    委員長戸叶武君) これより運輸委員会を開会いたします。  谷口弥三郎辞任郡祐一君補欠選任されました。
  3. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 次に、運輸事情に関する調査海運に関する件を議題といたします。  御質疑のおありの方は御質疑願います。
  4. 相澤重明

    相澤重明君 前回委員会におきまして運輸大臣にお尋ねいたしました米軍貨入札問題についてでありますが、当日港湾局長より秘々説明があったわけでありますが、この問題が非常にやはり大きな問題を残しておりまして、現在横浜港においては、この米軍貨入札問題にからんで労使紛争が起きておるのであります。従って運輸大臣が現在の横浜港に起きておるこの事態についてどういう考えを持つか、所信を伺いたいと思います。
  5. 吉野信次

    国務大臣吉野信次君) 何かいろいろ問題があるようですが、これはどうしても、前回も申し上げました通りに、役所の方で仲介と申しますか、あっぜんと申しますか、そういう方法があればやらしたいと思いまして、実は衆議院のときにも問題になりましたので、局長をあちらに、率直に申し上げますと、やろうと思ったんですが、これはなかなか紛糾している事態ですから、そこへかえって局長が行くことはどうかと、こういうような思惑もあったものですから、向うの方から関係の人に来てもらっていろいろまあ話をしたはずでございます。詳しいことは、局長が来ましてまたお話をする必要があれば説明いたしてよろしいと思います。
  6. 相澤重明

    相澤重明君 前回の御説明の際にも、大臣としてもあるいは港湾局長としても言われたことは、港湾運送料金については確定料金であって、港湾運送事業法第十条により、これより高額または低額の料金を収受してはならず、また割り長しすることも禁じられていると、この料金制度の実施については、違反行為のないよう十分指導していると、こういう御答弁があったはずです。しかるに現状については、やはりこうした当局側意図が徹底していないのか、あるいはまたそれをあえて業者が守ろうとしないのか、こういう点については、私の方で不十分でありますけれども、依然としてそういうような行為が行われておるやに聞かれるのであって、たとえばそういう場合に、運輸大臣としてはどういうふうに考えておるか、この点御答弁願いたいと思います。
  7. 吉野信次

    国務大臣吉野信次君) こういうことだと思うんですね、この間実は私少しよけいな説明をしたので大倉さんから御注意があったのですが、形式的に入札ですか、入札をしておるという方法で取り締ることはできないんだと、それはその通りなんです。だけれども、その問題じゃなくて、大倉さんから御指摘のありました通りに、形式的に入札をするかしないかというんじゃなくて、形式的にはちゃんと話し合いでやったとしても、その確定料金というものは、その形式には、この間申し上げました通り、破っていないやり方をやっているんだと思うんです。つまりみんなきめたものよりも低いものをあとで届け出ているんですから、だから合法的にまあ形式だけは整っているわけなんですね。ただそのことがだな、実質的に前にきめたところの一般公示料金よりも非常に低いということは、これはどうしてもあれですよ、形は入札という方法でないにいたしましても、やはり法律できめた公示料金というものの下をもぐることですから、これはやはり私はよろしくないと思うんです。だからそこはどうしても取り締らなければならぬと、ただこまかいところですけれども、技術的にただ金額だけじゃいけないのであって、向うの方でいろいろ物的の施設を提供するものですから、そこも考慮に入れなければならぬという問題は、これは小さい問題でありますけれども、あります。しかしそれにかかわらず、一般的に公示料金というものはあるんですから、それよりも常識的に低いものをあと米軍と話し合って、自分の方はこういうふうに訂正しましたというて持ってきましても、それはこちらの方の指導で、届出ではございますけれども、それを引き受けるときにこれはもっと高くしろということは言えるわけでございます。またその場合に命令もできるわけでありますから、それは私はどうしてもそういうことはないようにしなければならないと、こう考えております。
  8. 相澤重明

    相澤重明君 今の運輸大臣答弁によりますと、まあ具体的に作業が行われ、入札が行われた後に、その料金の問題についても報告を受ける、こういうことであるから、結局まあそのときになってみなければ具体的のことはわからぬというようなことに今聞えるんですが、先日の、この港湾運送事業法の公布された昭和二十六年の料金の設定を見てから五年経過した三十一年に至るまでの料金は改訂されなかったと、そのためにこの港運業界においては、労務貸金その他の原価要素の値上りを理由に料金の改訂の要望がある、こういうことを先日の委員会でも御説明があったはずなんです。そうするとその結果、去る六月には業者届出に基いて、法の第九条による公示料金、いわゆる船内荷役料金というものを認め、十一月一日よりこの新料金、平均一割七分ですか、それの確定料金を見ることにしたと、こういうふうに先日の委員会では御説明があったはずなんです。そうすると現在はすでに十一月も末になっておる。従って今までのこの六月に行われた問題と十一月一日から実施されておるというその現状について、運輸大臣はどういうふうに意識しておるのか、この点を御説明を願いたい。
  9. 吉野信次

    国務大臣吉野信次君) どうもこまかい数字のことですから、やはり局長が参りましてから――局長がそういう説明をしたのだろうと思いますから、局長が参りましてから、具体的にお話を申し上げた方がよろしいと思います。私の了解しておるところでは、あの料金というものは、これは運送業者が公示するので、届け出るのですから、役所がこれを別にきめてやっておるのじゃないのでございます。ですから役所が、きめたものをなぜ変えないかと言われましても、役所が変える筋ではないのです。業者が変えまして、届け出るのですから、ただその届け出たときに、アメリカ軍との間に、まあ圧迫と申しますか、不当に安くされて届け出るということがありますから、これはやはりわれわれが間に入って、アメリカ側にもそういうあまり安いのじゃ困るとか何とかいう折衝の余地はあろう、それから業者の方もあまりそのきまったなにをこえて、幾らアメリカ軍の間でもそう不当に安くしちゃ困るじゃないかというふうな、われわれの何と申しますか、一般的の指導権の及ぶ範囲内においてあっせんしまして、そういう事態がないように努力しようと、こういう私の気持なんです。ですから、こまかい数字のことは局長が参りましてからお話を申し上げた方がよろしいかと思います。
  10. 相澤重明

    相澤重明君 今のこまかい点については、もちろん運輸大臣が全般を知るということは、これはなかなかむずかしい問題だから、関係局長答弁させることについては、私もまあ了承いたしますが、たとえば今のお話業界のそういう問題についての監督官庁としての運輸省があっせんをする場合でも、それでは全国的に見て北海道なり、京浜なり、名古屋なり、九州なりというものはどういう業者がある、こういうことについては、監督官庁として、運輸大臣は承知をしておると思うのですが、その点はいかがですか。
  11. 吉野信次

    国務大臣吉野信次君) お話の点はよくのみ込めないのですが、どういう業者があるということはどういうことでしょう。運輸大臣として承知しなければならぬというお話でございましょう、はなはだ失礼ですけれども。
  12. 相澤重明

    相澤重明君 私の申し上げたのは、港運業者として、いわゆる前回もこの委員会答弁があったように、たとえばこの業者の問題についても、当然登録制は実施されておると思うのです。その登録制については、登録に必要な基準というものはこれはあり得る。従って各地域にわたって、たとえば名古屋ならばどういうその基準に基いた登録した業者がある、京浜ならばどういう業者がある、こういうことはあり得ると私は思うのです。その点について、港湾局長の方から大臣の方に、そういう点についてそれぞれの港湾に対する業界届出があるはずである、こういう点をお伺いしたわけなんです。
  13. 吉野信次

    国務大臣吉野信次君) 適格条項というものについては一応の基準がございますから、その基準に当ててすべてみな処理しているだろうと思います。
  14. 相澤重明

    相澤重明君 そういたしますというと、今の運輸大臣の御答弁でもわかりますが、一応適格業者であるか、不適格業者であるかということは、運輸省に届け出でられなければならないと、また届け出でられたその結果に基いて適格であるか、不適格であるかは明らかになってくると思うのです。前回委員会で私が、たとえば一つの例として申し上げました京浜運株式会社の問題を私が提示いたしたのでありますが、当時関東港運の問題について説明があったと思うのですが、それが直ちに資格が欠けておるか、あるいは欠けておらないかと、こういうような点については、現在調査中であると、こういうふうに港湾局長からはこの委員会説明があったのであるけれども、これは運輸大臣にお伺いしておかなければならぬのは、そういういわゆる適格であるか不適格であるか、いわゆる業者としての資格を持つか持たぬかというような疑義のあるものを運輸省としては対象にしてまで、あくまでもそういう問題をいわゆるこれを自由にまかしておくのか、放任をしておくのか、この点についてどういうふうにお考えになっておるか、その点をお伺いいたしたい。
  15. 吉野信次

    国務大臣吉野信次君) 一応の基準がございますから、普通の場合では、その適格適格でないかというふうな疑いを起す場合は少いと思います。ただ、今御指摘になりました件につきましては、私もちらりと聞いておりますが、特殊な事情があるようです。特殊な事情があると思います。しかし運輸省としては、いやしくも適格条項というものをきめてあるのですから、それをのんべんだらりと不明確な状態に、疑問のある状態に放任しておくのはいけないと思います。これはやはり右なり左なりはっきりとして、そのどちらかが適格であるかどうかということを早急にきめて、強く処理すべきものじゃないか、それをいつまでもあいまいのままで調査をするということはよろしくないと思います。もしそういうことが今の運輸省の行政の中に、御指摘のようなことでいつまでも調査しておるということがあれば、これは私の責任でございますから、さっそく取り調べまして黒白をはっきりさせたいと思います。
  16. 相澤重明

    相澤重明君 今の運輸大臣の御答弁では、調査の結果、悪ければ処置をしなければならない、こういうことでまことにその通りだと思うのでありますが、今日まで、少くとも前回委員会でも私が御質問の中で申し上げた通りに、本年の三月二十二日の運輸委員会においてわが党の大倉委員から質問のあった際にも、そういう問題に触れておった。しかして半年以上たつのに、いまだにそういう問題について、的確ないわゆる判断というもの、あるいはそういう指導というものができない根拠というものはどこにあるのか、この点についていま一度運輸大臣にお答えを願いたい。
  17. 吉野信次

    国務大臣吉野信次君) これはこの間もちょっと局長からもお話があったようですが、よほど特殊な場合だろうと思うのです。この問題は私もよく存じませんから、まああいまいなことは申し上げない方がいいでしょう。局長が来てからはっきりした方がいいと思います。とにかくきわめて特殊な場合でございまして、そうざらに全国にわたって、適格かどうかということが疑問のままで運輸省が放置しているということはございません。この問題はさっそく私の方でその後の状況を聞きまして、もし適格条項に欠けてあるものならこれは処置しなければならぬことは当然なことであります。善処したいと思います。
  18. 相澤重明

    相澤重明君 運輸大臣の特殊な事情にあるということをちょっとお伺いしておきたいのですが、これは運輸省関係者か何かがその会社におるのですか。それともそういうようないわゆる何か運輸省が気にしなければならぬ、何かその会社に遠慮しなければならぬ、こういうような特殊な事情がおありなんですか。ちょっとお伺いしておきたいのですが。
  19. 吉野信次

    国務大臣吉野信次君) そういうことは全然ございません。
  20. 相澤重明

    相澤重明君 運輸大臣の御答弁ではよくわかりました。わかりましたが、関係港湾局長はきょうはどういうわけでこの問題が継続審議になるのに出席できなかったのか。その点一つ責任を明らかにしてもらいたい。
  21. 戸叶武

    委員長戸叶武君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  22. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をつけて。  今の相澤君の質問に対してでありますが、政府委員を呼ぶことに対しての善後措置に関して事務連絡が不十分であって、少しおくれているそうですから、その点一つ釈明しておきます。
  23. 相澤重明

    相澤重明君 ただいま委員長釈明をしておくというのだが、委員長釈明をするのではなくて、これは少くとも前回の本委員会において、私は運輸大臣衆議院に時間の関係で催促されておるということで、実はできるだけこの質問事項についても、給与体系等の問題については保留をして、そしてできるだけ運輸大臣に早く衆議院に行ってもらう、こういうことで話は済んだわけでございます。そのあと港湾局長に対して関係質問をしておるのであって、当然港湾局長は、本日は運輸委員会が開かれるというのであるから、前回質問の続きとして本日質問があるということは自分考えておらなければならぬことだと思う。それが、運輸大臣がわざわざ出てきておるにもかかわらず、港湾局長がそういうことを、もうきょうはおれの番ではないだろうというようなことは、一体どこからそういう考えが出てくるのか。その点一つ運輸大臣は、監督者としてどういうふうに考えておるか御答弁願いたい。
  24. 吉野信次

    国務大臣吉野信次君) やかましくいえばそういうことになりますけれども、そうやかましくおっしゃらぬでも、もうじき来ますから、多少、今委員長も仰せられました通り事務上の連絡という点に遺憾なことがございまして、それが私の責任というならば私の責任で、これからそういうことのないように気をつけるということを申し上げておきます。
  25. 相澤重明

    相澤重明君 それは運輸大臣が頭を下げるほどのことはないのです。しかし少くとも運輸委員会関係局長は、各委員からいろいろ質問があることはわかるはずなんだ、そのための運輸委員会だ、それが委員会を軽視するということはもってのほかである。(「その通り」と呼ぶ者あり)この点については厳重に私の方から運輸大臣に抗議をしておく。  次にお伺いをいたしたいのは、運輸大臣も多忙であろうが、一つ、二つお聞きしておきたいと思う。それは先ほどいろいろ入札制度の問題から端を発しての御質問を申し上げたのでありますが、日本業界在日米軍調達本部のいわゆる今回までとって参りましたところの入札制度によって思わぬ出費をいたしておるとわれわれは解釈をいたしておる。ということはどういうことかというと、国内の業界がすべて適正と考えておる料金運輸省に申請をして、そしてこれが了解を得ておると思うのでありますが、そういうことが全然無視されて入札制度が行われておるように考えられる。この点について、入札制度の根本的な問題については、前回委員会運輸大臣から日米合同委員会なり、あるいはそうした時期をとらえて、よくわが方の意見というものを申し述べたい、努力をしたい、こういうお話があったので、私はぜひそれを実行に移してもらいたいということを申し上げたのですが、このことから基因をいたしまして、業界の中で競争して、いわゆるダンピングを行うような方向がある。そうしますというと、その結果は、必然的に労務者にいわゆる賃金しわ寄せというものが行われておる。この賃金の問題について、これはまあ運輸省の直接雇用しておる従業員ではないという見解で答弁をされれば、それはその形のままになってしまうのだけれども、少くとも国際的な港湾問題を監督する立場においての運輸省として、現場について、この港湾労務者に対する賃金の問題についてどういうふうに考えておるか、運輸大臣にその所感をお伺いいたしたい。
  26. 吉野信次

    国務大臣吉野信次君) 私も業者が不当な競争をするということは、結果においてやはり労働者の方にしわ寄せになるのですから、その点は私は決して放任しておるわけでなく、それは困ると思うのです。ただ遺憾なことには、どの業界でもそうでございますけれども、やはり横紙破りのアウトサイダーというものが出て参りまして、それが全体の業界の秩序というものを乱す、これが日本産業界を通じての弊でございまして、今度の米軍の方の問題にいたしましても、わが方の業者の方が一致した、くずれない一体歩調をとっておれば、アメリカが幾ら高飛車に出ましても乗じられる余地はないのです。ですからその点において、私はやはり業者というものの間に統制がとれない、足並みが乱れるということは非常に遺憾だと思いますから、そういうところに運輸省といたしましてあっぜんの労をとるとか、あるいは指導の労をとるかして、国家全体のため、またひいては今お話しになりました港湾労働者の多数の人のために、横紙破りの、自分だけいいような顔をして、安いことで引き受けるということはやらないように、私はどうしても私の影響力を及ぼしてとめたいというのが、前回から申し上げておった私の意図でございます。
  27. 相澤重明

    相澤重明君 そういたしますと、運輸大臣としては、できるだけ業界にも、あるいはまたひいてはこれらの作業に従事する労務者についても、生活問題について十分一つ考慮を払っていきたいし、場合によればあっぜんも行なっていきたい、こういうお考えであるということを述べられたと思うのであります。そういたしますというと、この年末に際しまして、たとえば先ほど私冒頭に申し上げたのでありますが、横浜港における今の労使の中に紛争が起きておるやに私聞いておるのですが、まだ現地調査しておらぬからわからぬのですが、もしあるとすれば、運輸大臣はそういう点について、今の御趣旨を十分に生かす考えでおるかどうか、この点をお伺いいたしたい。
  28. 吉野信次

    国務大臣吉野信次君) そこまで行くと少し問題があると思うのです。私の今申し上げましたのは、米軍というものに対して、こちらの方の荷受業者がむだな競争をするということについて申し上げたのです。もし私の誤解があれば別ですが、私の了解するごとくんば、今の御質問は、いわゆるそれも入るかもしらぬし、入らぬかもしれませんが、そうでなくて、荷受業者と、雇い主とそれから港湾労働者というものの間における賃金と申しますか、年末手当と申しますか、そういうものの争いと申しますか、そういう問題であるならば、これはやはり労働という問題の一般原則に従いまして、これは組合というものの間にやはりこれは団体交渉というものを持ってやるべきもので、そういうところに親心を運輸大臣というものはむやみにやっちゃいけないと思う。これは団体交渉基本権というものの侵害になりますから、そういうことを私はやらないつもりでおります。
  29. 相澤重明

    相澤重明君 運輸大臣答弁まことによくできたと思うのですが、そこで何といっても、日時の問題としていわゆるJPA、在日米軍調達本部の問題と日本業界との問題は早急に解決をしなければならぬ問題だと私は思う。従ってこれらの問題については、私ども運輸委員会としては、現地調査を行いたいという考え方を持っておるのであるが、少くとも運輸大臣もそういう点を一緒に実情を把握して直接そのいい悪い、どうの、こうのということではないけれども、少くともそういう点を十分把握する考え方を持っておるかどうか、この点一つお伺いしておきたい。
  30. 吉野信次

    国務大臣吉野信次君) お話通り御了解下すってよろしいと思います。ただまあ具体的に、実はよけいなことですけれども、衆議院でも現地調査をしたいという御希望で、多分そういうふうに進んでおるだろうと思いますが、そういう場合には、私自身がそこに行くか行かないかということは何でございますけれども、係官、局長初め向うにもございますから、十分御便宜をはかって一緒にその事実を把握するということについては、私はやはり進んでやった方がいい、こう思っております。
  31. 相澤重明

    相澤重明君 それでは運輸大臣答弁で大体私も満足いたしましたが、前回の本委員会で三十二年度の予算のことについて御質問を申し上げ、大臣からも御答弁願ったわけですが、この問題については、関係の地方自治体においても非常に大きな問題として鶴首をしておると思う。従って本日は、私はこの在日米軍の問題については、十分現地調査を行なってわれわれ運輸委員会としての態度を出したいということが一つと、いま一つは、次年度の国土開発の問題を初め、工業の近代化に伴う港湾の造成ということは必要だと思いますから、それの予算化ということについては、十分努力されることを私は本委員会においても希望してやまない。そのことについて、もし運輸大臣として、こういう点が不十分であるというような点があれば、この際披瀝願っておくのが、本委員会のためにもいいと思う。私としては、運輸大臣を信頼してそうしてこの三十二年度の予算はぜひ一つ運輸省の持っておる考え方というものを成功させたい、こういうふうに思っております。
  32. 高良とみ

    高良とみ君 この前から問題を提出しておいたのでありますが、国際的に非常に影響の大きいスエズを通っての海運状況について、いろいろ報告書には概要が出ておりますけれども、一体日本運輸省というよりも内閣の方針はどういうことになっておるのですか、大胆から一応伺っておきたいと思うのです。このスエズ問題に対する日本態度は非常に不明朗であって、国際的にも、一体日本は何を考えておるのかわからないというような印象を与えてきておるのでありますが、それらについて、内閣においても基本的な政策はお立てになったことと思います。その場限りの出たとこ勝負で、ああなればああなる、こうなればこうなるということでなくて、やはり国際関係の複雑化しましたとき、一体日本外航航路、それの扱う貨物や船客及び輸送路変更等について、世界の平和に寄与するような方向に行くにはどうしたらいいかということは、一種のパズルとも考えるのですが、そこを考えて国民に示し、また国際的にも日本考えておるところを示していくことが、国際信義上非常に大切なことだと思うのです。どういうふうなお考えを持っておられるかを大臣から伺い、さらにこまかいことはそれぞれ係りの方から伺いたいと思います。
  33. 吉野信次

    国務大臣吉野信次君) お話でございますけれども、これは一つ運輸大臣としてだけでございませんで、内閣といたしましては、スエズ問題に対してはかなりはっきりした態度を実はとっておるつもりでございます。ただそれかそうらしく高良さん初め皆さんに映らないのは、非常に政治的の問題がからんでおりまして、そこに非常にむずかしいガンがあるのでございます。それでございますから、大体基本的方針は何だと申されましても、基本的方針はどこまでも武力というか、実力によらずしてネゴシエートする、いわゆるエジプト側と協議をして、あらゆる手段を尽してこれを解決しようと、こういうことの方針をかたく堅持しておりまして、それですからロンドの会議におきましてもそういう方針で、御承知の通り、あれは十八ヵ国案というものができまして、日本もそれに賛成をいたしまして、あれは御承知でもいらっしゃいます通りに、あれをエジプトに押しつけるというのでなくて、ああいう基礎でつまりエジプト政府と交渉しよう、こういうことに賛成をしたのであります。それが不幸にしていかない場合、あの英米、まあ御承知の通りそのスエズ運河を使用するなにを作りまして、これは運用いかんによっては、武力行使をしないでネゴシエートをするという方針にそれるようなおそれがあるものでありますから、これにはだからわが国ははっきり入りませんと、こう言うて、最初の十八カ国案には入りましたけれども、あとの方には入らない。ただ今日まで前後の連絡をとるために――日本としては世界の海運国で、スエズの運命に非常な関心を持っておりますから、そのあとのユーサー・アソシエーションの方にも傍聴者と申しますか、オブザーバーという資格でその会議には出ておりますけれども、その中には入らない、そしてあくまでエジプト政府との間に交渉によって進める、こういう方針は私は非常にはっきりしておるつもりでございます。  それから海運界に及ぼす具体的な影響につきましては、また必要があれば局長からお話を申し上げますが、要するにいい方面もあるし悪い方面もございまして、とにかくスエズを通らなければ非常に困ることがたくさんございます。しかし今のような状態で、御承知の通りなかなかこのスエズがいつ通るかというようなことについては、非常に大きい問題になっておりまして、いずれ国際連合の力によって、私は円満に解決をする方向に進むだろうと、こう思っております。
  34. 高良とみ

    高良とみ君 大体は内閣でそういうような態度をとられたのだろうと思いますけれども、しかし大体の感じから申しますと、初め十八カ国の決議に入ったときには、そのときは、どこまでも平和な方法でエジプトの主権を尊重してやるということがはっきりしたのでありましょう。しかしそれならば今度こういう事態になった場合には、これは外務省の所管でありましょうけれども、もう一つ、われわれは武力行使に対しては反対である、また反対であるということについてはっきり表明をして、そうしてエジプトのスエズに対する主権は認めるということなどについては、やはりはっきりした、国民にもわかり、また世界にもわかるような措置をおとりになったのでありますか、それともとらないのですか。
  35. 吉野信次

    国務大臣吉野信次君) それは外務省で声明しております。政府の方針を声明しておりますし、それからエジプトの主権問題については、実は私はロンドンに行っておりましたけれども、ロンドンの会議には問題にならない。だからあの国内にある、エジプトの国法によって設立されたスエズのく会社というものを国有にするということは、だれもこれは争わないのです。だからその点については御心配はないのです。ただ問題は、一八八八年の条約によって、あれが重要な国際航路になっているから、その保証をどういうふうにやるかというだけの問題が何でございまして、これもまあ少し言い過ぎるかもしれませんけれども、私どもみたいな何にも因縁のないものからいえば、国際運航であるか、あるいは国内運航であるかと、こう申しましても紙一重なんですね。現にエジプト政府も国内運航ということは主張しますけれども、しかしながらあのスエズ運河は国際的の性質を持っているものだから、その通航料をきめることは、これは皆さんに相談していいと、こう言うのです。彼、ナセルは絶対の国内運航の主権を振り回しているわけじゃないのですから、ですからわれわれみたいな第三者から見れば紙一重で、どっちでもいいようなふうに思うのですが、そこにいかないというのが、さっき申し上げました通り、政治的の背景というのがこれを邪魔いたしまして、これを経済的に解決することをはばんでいると、こういう問題だと私は考えております。
  36. 高良とみ

    高良とみ君 たしか大臣もあるいは鉄道総裁などもフランス、英国においでになったころに私もあちらにいたわけなんでありますが、どうもあちらで見ましても、また国内に帰って参りましていろいろな資料を見ましても、どうも日本態度がはっきりしないのですね、そうしてその点はやはりそのときどきに当ってこういうふうに――先ほど英米というお話もありましたけれども、英仏が武力を使い、イスラエルが使った場合には、遠慮なくわれわれはそういうことには反対であるということを、大臣がどういう言葉で声明なすったにしても、それが国民の全体の意思になっていない。その点は非常に――そのくらいな程度しか日本は言えない立場にあるのかもしれません。あるいは国際連合に入っていたならば、本会議あたりでもっと主張できたかもしれませんが、もう少しはっきりしていくということがまず第一。  それから今度は、運輸省としての船の操作につきまして、一つ次官あたり、あるいは局長から伺いたいのでありますが、あの当時も、かなり日本の船でも南の方の、スエズ付近にも停滞して迂回したものがある。それからロンドンやパリにおります、ヨーロッパ全体におります日本の商社としても非常に心配をして、そうしてこれについても今日相当な困難を感じているところが多いと思うのです。その実態について少し御説明願えれば大へんありがたいと思うのです。そうして私どもとしては、大体どのくらいの船が今後スエズが回復するまで困難を感じ、アメリカ回りに転航するか、あるいは喜望峰回りに転航するかというようなことについて、どういうふうなお見込みであり、海運局としては、どういうふうに、これを国民の前にこういう状態だという示していただくものがあったら伺いたいと思います。
  37. 吉野信次

    国務大臣吉野信次君) ちょっとこれは誤解を受けるといけませんが、政府の態度は非常にはっきりしておりまして、あるいは今お話通り、どうも日本国民にはそれは映らなかったということであれば、これはまあ内閣全体の問題として、もう少し周知方について足りなかったと思いますので、これは大いに気をつけなければならぬと思いますが、少くとも国際的にははっきりしておりますから、エジプト政府のごときは、大いに日本態度を了としているわけでありまして、決してあいまいな態度をとったということはエジプトは言わないのですね。日本態度は非常に公正であるということを、ナセル自身が言うているのであります。それですから、少くとも国際的に見たときには、態度は私はきわめてはっきりしていると思います。もしそれをはっきりしないと言う人があるなら、インドのメノンが提案したあの案ですね、あの案の監視の案がどうかということになぜ賛成しないかどうかということの問題がある。こまかい問題になりますけれども、あの案は、ただ概括的なんであって、問題は国際監視、私が申しました通り、国際管理か国内の管理かと申しましても、紙一重でございますから、内容いかんにある。メノンの案は内容がない。内容がないのですから、ただ国際管理する方がいいと言うただけじゃ、賛成も反対もしようがないのであって、そのメノン案というものの具体的の内容というものに入らずじまいで十八カ国の案というものになりましたものですから、それではっきりしないということをもし仰せられるならば、ああいう案についてどう思うかという問題だろうと思いますが、これはその当時の事情としてはやむを得ないことだろうと考えております。  それからこまかいことは局長お話し申し上げますが、スエズの船の関係の方は、一番困るのは、これはほかの国と違いまして、日本はあの中近東だけを貿易しているルートを持っております。つまりスエズ側のこっちの方の、インド洋の方のあの辺ですね、あの辺からスエズを通って、そうしてレバノンのベイルート、あの辺の航路だけを郵船などにおいては営業している部面がございますから、私は日本が特殊だろうと思いますが、これが一番打撃を受くるわけでございます。それからヨーロッパ方面に対する関係においては、スエズを通らなければ、パナマを通るという手があるわけでありますし、それから油の方面は、スエズの方を通らずにこちらの方に参りますから、そちらの方は比較的関係はないということが言えるでしょう。ヨーロッパの方からスエズの方を通って物が来るというものですな、そういうものはケープタウンを回らなければなりませんから、これはほとんど倍に近いマイル数でございますから、どうしても日数もかかりますし、どうしても船が運ぶ能力が少いという面で非常になにを持っておる。それからいろいろのこまかいことを申しますと、タンカーなども、外国と契約したものもいろいろございます。いずれにしてもスエズ運河を通らないということによって、さっき申し上げました通りに、いい方面も悪い方面も、両方ございまして、もし何でございましたら局長からもう少し詳しく具体的なことを申し上げさしてもよろしゅうございます。
  38. 高良とみ

    高良とみ君 ただいま大臣から内閣の立場を承わったのでありますが、お言葉の端にも出ましたように、日本としては一、二の、レバノンのべイルートの交通には困難があるが、そのほかのことは石油も来るし、まあ大したことはない、いい面も悪い面もあるというお話なんですが、その点を私どもとしてはもう少し国際的な立場から見て、それはエジプトの一部は感謝したかもしれませんが、やはり世界じゅうが悩み、また世界じゅうが非常に心配している、こういう問題に対して、もう日本としてはそろそろ自分の方の石油も困らないし、近東の貨物等も来るし、は貿易は多少プラスになるかもしれない。ヨーロッパの物は高くなるが、そういう物は買わないというような、ある方面ではこれはもっけの幸いになるというような、船株その他においても現われてくる。そこが日本が火事場どろぼう的だという、あるいは第一次大戦後も、日本態度が非常に自己中心であるというふうに言われたことだと思うのです。それは商売は商売でありましょうが、船の運航は運航でありましょうが、日本のこれは外交の問題でありますけれども、やはりはっきりとして、たとえば武力行使に対してはどこまでもいけないのだというふうな、世界じゅうが日本はああいうことにどう考えているかと思って心配しているときに、はっきりとした態度をして、そうして多少は犠牲を払っても、われわれは日本の船がヨーロッパの困っている、ヨーロッパにも石油をサプライするし、われわれとしてもこういう方針で国際海運を再建していくように努力するのだというような、少しく理想的な色が出てきたならば、国民も、また日本態度に心配しておりまするアジア諸国も、なるほどさすがは海運の先輩国だけあると考えると思うのです。海運の力をほとんど持っておりませんアジア新興諸国におきましては、種々な経済的困難を持っておると思いますが、そういう点は期待できるのでしょうか、あるいは、いやそういうことは国連に入ってからというお考えでありましょうか、参考に伺いたいと思います。
  39. 吉野信次

    国務大臣吉野信次君) 私の言い方が悪かったかもしれませんが、お尋ねがスエズ運河というものが全くとまったことによって、日本海運にどういう影響があるか、こういうお話でしたから、今いい方面も悪い方面もあるということを申し上げました。だけれども、スエズ運河自体が閉鎖したということが、世界の通商の上において、また各国の産業の上においてどういう影響を持つかということについて、私どもは決して無関心なことはこれはないのです。私が言うまでもなく、パナマ運河よりも非常に多いのですから、あれがとまるということは、ただ日本が、それによって日本の船会社が利益するとか損をするとかいう、そんな簡単な問題には考えておりませんから、その点は全く高良さんと同じ問題だと思います。  それからこれは私が言うことではありませんが、外務大臣も、いかなる場合でも実力を行使してはいけないということの主義は天下に声明しておると思います。それですから私どももそれはそろばんの点ではございますけれども、今お話しになりましたような、世界全体のために日本も実は貢献しておるつもりなんです。今日のなにから申せば、足元でとかくわれわれは気がつかないのですけれども、燈台もと暗しで、たとえば船にいたしましても、今の日本海運現状から言うて、日本だけのことを考えれば、実は外国船なんかとめた方がいいのです。日本の船だけを使った方がいいのです。にもかかわらずやはり外国船というものに対して相当の注文を受けておるということは、これはやはり日本海運国として世界の海運というもののために一助をしたいというのであって、日本本位から考えてこれをやっておる行政ではないのであります。そういうふうに、ただ今の油はと言ったけれども、油は日本にないのですから、 これをどうも日本が油を向うにやるということもできませんし、またタンカーも少うございますから、日本の今持っておるタンカーを喜望峰回りの方に向けるという余裕もそれはございません。ございませんけれども、だんたんそういう問題がもし深刻になれば、それは国際的にそういう問題も討議しなければならぬときがきましょう。参れば、これは理想論でございまして、そんな雲をつかむような話ですけれども、参れば私どもはやはり日本としても相当の、そういうことに対して応分の力添えはせにゃならぬと思います。それよりも何よりも今当面の問題は、早くスエズというものを開通さしたい、これは技術的には可能なんです。二ヵ月といえども、三カ月といえども、ただ政治的な問題のためにそれがおくれておりますけれども、それを私どもは国連に期待を非常にかけておる、こういうことです。
  40. 高良とみ

    高良とみ君 当局の方から実情を少し承わりたいのです。
  41. 粟沢一男

    説明員(粟沢一男君) 行政的な点について大臣から、お話がございましたので、具体的な数字を少し申し上げたいと思います。  大体ただいままでスエズ運河を経由して動いております世界の貿易物資と申しますか、というものは約一億トンということに言われております。全体の世界の輸出入貿易の物資量が約七億トンということでございますので、その七分の一がスエズ運河を通っておる、こういうことになります。通航いたしております船舶は、大体年間にいたしまして、一万五千隻くらいの船が一年間に通過しております。そのうちで日本の船舶は約百五十隻、一%とお考えいただけばいいかと思います。この百五十隻の中で割合大きな部分を占めておりますのは、日本船としましては定期航路の船でございます。それが年間にしまして約九十隻ほどになりますが、こまかく申し上げますと、定期航路でございますが、西回りの世界一周航路が月二航海、東回りの世界一周航路か月一航海、極東から欧州に回りまして、また欧州から折り返して参りますのが二航海、それから中近東航路と申しまして、スエズ運河を渡って地中海の東の部分に参る航路がございます。これが月に一・五航海、それから西アフリカの方の関係で月一航海、航路数にしまして五航路、航海数にしまして七・五航海になると思いますが、これだけの船が定期として通っております。それ以外のものは不定期でございまして、これはそのときどきの物資の動きによりまして不定期的に通過いたしております。合計しまして大体年間百五十ぱい、こういうふうにお考えいただきいと思います。それから先ほどもお話がございましたが、これらの船かスエズを通航できなくなりましたために、いろいろと航路を変更いたしまして、たとえて申しますと世界一周航路は、スエズ通過をやめてケープタウン回りというふうに変更いたしております。それから中近東航路が一・五航海がございますか、一ぱいはスエズの手前、歌で参りまして、それで引き返す、それから次の一ぱいはケープを回りましてアレキサンドリア、その他の地域へ参る、荷物の積み揚げをしてまた帰ってくるというふうに変更いたしております。大体スエズを通りますのとケープタウンを回りますのとの比較は二千五百海里ほどの距離の延長になります。神戸からロンドンまでという距離をとりますと約一万一千海里でございますが、これがケープを回りますと一万四千五百海里ぐらいになるというふうに御了承いただけばよいかと思います。
  42. 高良とみ

    高良とみ君 大体のほかの船は、このパナマ経由に回ったのがあるのですか。その場合にはどのくらいの海里の延長なんですか。そして料金を、大体ここにあります通り割増料金を加重しているということでありますが、それは普通の定期航路にありますパナマ運河回りの料金は少し高いのですが、それ以上に加重をしておられるのかどうかを伺いたいと思います。(「説明不十分だ、もっと親切に教えてくれなければいかぬよ、知らぬのだから」と呼ぶ者あり)
  43. 粟沢一男

    説明員(粟沢一男君) 先ほどちょっと運賃の点は申し落しましたが、十一月七日から欧州、日本間の航路につきましては、基本運賃の一五%に相当する割増料を徴収いたしております。それから日本から欧州に参りますものにつきましては、同じく二五%の割増料かございますが、十一月一日から徴収するということに決定いたしております。それからパナマに参りました船でございますが、先ほど申し上げました欧州折り返しの月二航海というものが、一つは折り返しでなくて、パナマの方へそのまま回って帰ってくるというような変更をいたしております。
  44. 高良とみ

    高良とみ君 どのくらい、海里数は。
  45. 粟沢一男

    説明員(粟沢一男君) 海里数はパナマを経由いたしますと、約一万三千海里ということになります。
  46. 高良とみ

    高良とみ君 それは往復して行った場合に、一万三千海里をヨーロッパからこちらへ帰る、また戻ってきた場合には二万六千海里を行くわけなんですが、それに対しては料金はどうなんですか。まあ同じ人が、同じ貨物が通るわけじゃないですが、どのくらいの負担になりますか。二万三千海里を行くのとその日にち及びその一万四千海里、これはどういう負掛になるか。
  47. 粟沢一男

    説明員(粟沢一男君) 欧州、極東間の荷物に関しましては、パナマを経由いたしましても、あるいはケープを回りましても一五%加重料金で同額でございます。なお途中でノルウエー航路と申しておりますが、途中港に揚げておる物資につきましては、それぞれの一区間のことがございまして、それによって徴収いたしております。
  48. 高良とみ

    高良とみ君 石油に関するタンカー、その他のものが、石油関係でもってどのくらいの、全体の何パーセントくらいの船が動いておりますか。
  49. 粟沢一男

    説明員(粟沢一男君) 先ほど申し上げました一億トンの中で、六千万トン以上のものが石油でございまして、非常に大きなパーセンテージをスエズでは占めております。なお日本としましては、スエズを経由して油を売るということはございません。その点は影響はないということは、先ほど大臣が申し上げる通りでございます。
  50. 高良とみ

    高良とみ君 大体、スエズ運河の今の当分の閉鎖に対して受けておる日本の航路、定期航路、不定期航路その他について、大体わかりましたが、これかまあたとえば十月以降でなく、これが数カ月、六カ月以上かかるといっているが、それが日本の物資、経済に及ぼす影響についてお調べになったことがありますか。ことに原料を入れているようなものに対して、やはり一五%の値上りと見て差しつかえないですか。
  51. 粟沢一男

    説明員(粟沢一男君) 欧州からこちらへ参りますものにつきましては、結局運賃がそれだけしるという点で貿易関係について影響があると思います。それから船腹の関係でございますが、三千五百海里の距離、あるいはパナマに回りましてもそれたけの予定の距離を運ぶというために、船腹が今までよりも窮屈になるという点はございます。従いまして稼働率を相当上げ、さらに外国の用船をいたさなければ、将来においては相当の問題が残るかと思います。ただいまのところ、一番心配いたしますのがタンカーでございますが、これは通産省とも連絡いたしましていろいろ対策を考えておりますが、さしあたりの分につきましては、外国の用船を相当手はずをしておりまして、大体今のところ、大した支障なく運べるのではないかというふうなことを通産省の方でも申しております。なお、大体今の日本のタンカーでは、日本で輸入いたします石油量の約半分を運ぶたけのトン数しかございませんので、その点で私どもはタンカーについて心配いたしておるわけでございます。
  52. 高良とみ

    高良とみ君 半分しか運んでくることができないタンカーしか持っていない場合に、諸外国もまたタンカーの需要が増すと思うのでありますが、そういう場合においても、やはりチャーターの可能性があり、そして今、日本の石油の値上りというようなことを及ぼさないように確保してゆく見通しがありますか。これは運輸とは非常に関係のあることで、毎日々々自動車がから回りして走っている日本の石油の浪費状態から考えまして、どんなふうな見通しですか、これは非常に影響の大きいところと考えますが。
  53. 吉野信次

    国務大臣吉野信次君) 詳しいことは通産省当局から言う方がいいと思いますが、しかし今お話通り、油というものは運輸省の行政に非常に影響がございますので、私から簡単に申し上げますが、大体その足らない半分はチャーターしておるわけでございまして、幸い、チャーターしておりますと期限がございますので、今ああいう事態になってもすぐチャーターが解かれるということはございませんか、しかし更改期がぼつぼつやって参りますので、更改期のときに向うの方ではいやだというかもしれません。その危険は十分にございますので、それでございますので、それやこれやを考えまして、大体来年六月辺までの油の手配の見通しだけは通産省としてつけておるわけでございます。それですからこういう事態が非常に長くなりまして、スエズがいつまでも通れないと、今のお話通り、タンカーのこちらでチャーターした分が、だんだんあとのチャーターができなくなる、こういうことになりますと、六月以降というものには、これは非常にやはりめんどうな問題が私は生じてくると思います。
  54. 高良とみ

    高良とみ君 欧州関係の方の船のお話があったのですが、もう少し日本のこの近海、ことに中共貿易などもだんだん盛んになってきますが、定期航路を定期的に今、日商展の貨物ばかりでなく、相当に、三日に一ぺんは中共向けも行っておりますし、それから東南アジアが必需品を日本側に肩がわりするのも多いと思います。そういう場合の、このヨーロッパまで行かないでもこの近航における船の状況について少し承わりたいのです。
  55. 粟沢一男

    説明員(粟沢一男君) ただいまのお話の適船と申しますか、一番使われる船は大体いわゆる中型船というふうなものになるかと思いますが、現在のところ、そういう船も日本ではまだ相当持っておりまして、大体支障なくやっておるわけでございます。ただお話のように、近い将来ソ連なり中共なりあるいは東南アジアなり相当貿易が伸びるだろうということを私ども考えまして、ことしから大体そういう程度の船も計画造船に織り込みました、非常に少数でございますが。来年は計画造船で相当量そういう船を作りたいと考えております。それからなお来年を待たずに現在でも、現在あります船が、そういう船でも、戦争後の特殊状況におきまして一石炭をたくエンジンを搭載いたしております。これは自分の消費のための石炭を相当積んでいかなければ遠い距離を走れないという例かございますので、すみやかに油だけのディーゼル・エンジンを、これを完成いたしまして積みかえるということにいたしまして、そういう方面にも十分使えるようにいたしたいということによりまして、ただいま開発銀行とも折衝いたしまして、財政資金をその方に出してもらうというふうな方策を講じております。
  56. 高良とみ

    高良とみ君 大体の概括はわかりましたが、それをもう少し数字でもって、日本は戦争で相当中型船も海へ沈めたはずでありますが、十分あるとおっしゃると、どのくらいのトン数があって、どのくらいまでの型の船がどのくらいあって、そして今造船計画にかかっているものは、そう今言ってすぐできるものではありませんから、それはどういうふうな船の状態であるかということを承わりたいのです。
  57. 粟沢一男

    説明員(粟沢一男君) 恐縮でございますが、その資料をただいま持って参りませんので、詳しくトン数別に分けた要するに船の船腹構成の表がございますので、トン数別、船齢別に分けました資料を後ほど持ちまして御説明いたしたいと思います。
  58. 高良とみ

    高良とみ君 それでもけっこうですけれども、一体船舶局というのとあなたの方とでは協力してやっておられるのだろうと思うのだけれども、そういうものが一目瞭然に国民にもわかるようにしておいていただきたいのです。もう日本国民がみんなその気になってこういう船がこれだけ海へ戦争で沈められ、今はこれだけしか船がないので、これからこうなっていくのだということをもう少しわかるようにしておいていただかないと、局長の頭にもすぐさらさらと出てくるようにやっておいていただきたいと思うのですが、それでなければ、運航もちょっと支障するのではないかと思って心配するのです。私しろうとだからなおそういう心配するのですが、外国の港なんかに聞いてみても、よく知っております。一般人もあの船はこうだ、あの船は貨物はこれだけしか積まぬといういろいろな批判力を国民が持っておるのです。そういうふうに国民の海運教育をしておいていただかないと、魂も小さくなってしまってしようがないのですが、どうですか。資料を一つ御提出願って、われわれにも船がどういうのが古くなってどういうふうになったとわからしておいていただければ情勢がはっきりしていいと思います。
  59. 吉野信次

    国務大臣吉野信次君) 大体、毎年海運白書というものを出しましてやっておるつもりですけれども、どうもあの海運白書というのはお役所式で、もう少しわかりよく文章を――私どもも役人上りで何ですけれども――やったらいいだろうと思います。どうもああいうものがもう少し寝ころんで読めるようなふうの書き方をすることが非常に必要であると思っております。そういうふうにいたしたいと思っております。お話のことはごもっともだと思います。
  60. 高良とみ

    高良とみ君 こういう海運の緊迫状態に対して国民は非常に関心を持っておるのですよ。ところがその一面、承わりますが、それじゃ海員の養成等に努力するということでありますが、海員の方はまた船員局というのがあり、また別になさるようですけれども、海員の質の向上とか、こういう重大なことに対して、海員の素質というようなものに対して、あなたの方は違うかもしれない、また大胆にお願いせんならぬかもしれませんが、日本の海員の質は戦争でずいぶん失った後、すっかり元のようになった、世界に誇るようなりっぱな技術もあり、また勤勉な正直な海員が養成されつつあるのですが、それの海員の養成機関というようなものは十分なんですか。
  61. 吉野信次

    国務大臣吉野信次君) 私はそう思っております。
  62. 高良とみ

    高良とみ君 ああ、そうですか。その学校の施設なんか一、二例をあげて……。
  63. 吉野信次

    国務大臣吉野信次君) 私も行ってみましたが、兵庫県の蘆屋だったですかにございまして、そのほかにもございます。十分そういう方面には力を入れまして、それから新しくなにするのみならず、再教育と申しますか、すでに相当古くなった者をやはり養成してやるとともに、私が言うまでもなく、戦前においては日本の海員というものは世界に優秀で、海運も世界に雄飛していたものですから、それを早く取り返したいと思いまして、できるだけの努力はいたしております。
  64. 高良とみ

    高良とみ君 どのくらいな数を養成し、また、私がそれを申し上げる理由は、横浜や神戸の港に、いわゆる訓練を受けていない沖仲仕とか、あるいはいろいろな不明朗な窃盗だとか、荷抜きとかいうことがたくさん行われておる状態を承わるにつけても、そういう者をもう少し教育して数千人を入れるような学校施設があって、それを技術を持った海員に養成して、必要ならばよその国の船にも貸してやるくらいな、よい能力のある海員を養成していく能力は、私は国民がその気になればあると思うのです。青年諸君もそれだけの能力はある。しかし海運局あたりでそういうことについて十分お考えになっておられて、どのくらいの人数の入る学校があるのですか。昔は商船学校というのが盛んだったのですが、今はそれにかわる技術者養成があるのか承わりたい。
  65. 吉野信次

    国務大臣吉野信次君) 多分お手元の資料に出ているんじゃないかと思いますが、私もそらには覚えておりませんが、ただあまりあけすけに言っては何ですけれども、実は役所というものはとかくそういうものでございまして、所管の問題で文部省に属しているものもあるのです。昔の商船学校というようなものですね、ああいうところもほんとうをいえば、どっかにきちんと一つにした方がいいんじゃないかというふうに考えております。そういう点にまだ努力すべき点がございます。  それから今お話の沖仲仕の点までは、あまり運輸省の方の施設は及ばないかもしれません。これはなるべくならば、やはり組合関係におきまして、港に沖仲仕のホールみたいなものを作り、そういうものを助成するというような方針で大体やっておるのでありまして、こちらが直接に沖仲仕の訓練まで国費をかけてやるということまではまだ手が及んでいないと存じております。
  66. 高良とみ

    高良とみ君 海員の再教育とか、あるいは養成とかいうことは抽象的に出ていますけれども、どういうふうにして、どれだけの年々船が建造されても、それに働く人のサプライが十分でなければ、りっぱな運航はできないと思うのですよ。その点でもこれは国際競争の今日でありますが、ちっともそういう具体的なものは私たちは拝見しておらないので、私どものようなしろうとがそういうことを承わるのも、また国民として、なるほどそれでは海運が盛んになれば、国民の高等学校の卒業生あたりがどんどん就職していき、入学していき、短期の教育を受けるということを考えれば、文部省に単にまかしておかないでも、有望な面ではないかと思う。ただに船株でばかりもうけさしておくのでなく、国民の問題にしていただきたいと思います。それはどなたが御所管なんですか。それともこれはもう全然文部省にまかしてあるのか、どうでしょうか。
  67. 吉野信次

    国務大臣吉野信次君) それは私どもの所管でやっております。それですから、これはやはり実は私自身もそうですが、百聞一見にしかずで、やはり施設を一つごらんを願えればいいと思います。そうして現場において、私も実は現場を見まして、相当にやっていると私は思っております。やはり今お話のありましたような趣旨で、運輸省としても全力を尽してやっているわけであります。それでもまだ戦前のトン数から申しますれば、今日まだ戦前のトン数まで行っておりませんけれども、それでもすでに四百万で、これからまた五百万、六百万と行くでしょう。ですからそれに対して船員の養成が実は間に合わぬのじゃないかという実は心配をしておりまして、まあそういう方面にも、間に合わないじゃ困りますので、あらゆる努力を払っているわけであります。それから船会社の方も、まあやはり政府の施策に協力いたしまして、相当に向うの力からも寄付をしてもらいまして、いろいろなことをやっておるという現状でございます。
  68. 高良とみ

    高良とみ君 スエズ運河の問題が青年の教育にまで及んで恐縮でありますが、やはりそれに関係すると思う。そうしてどうかこういう世界が注目しております問題、これはどういうふうにひっくり返るかわからない問題でありますから、一つこの問題については、また折々承わることにいたしまして、今そのほんの一、二の面を承わったというわけであります。これは通達省あたりからもまた承わる方がいいかと思いますが、一つ役所の城壁主義をおとりになりまして、これは文部省だ、これは通産省だとおっしゃらずに、私たち国民の前に、こういう実情でこうだということをわからしていただいて、そうして国民が多少なりとも世界の動向に対して日本のとるべき道、またはこれからの将来の建設に向うように、一つ御尽力願いたいと思います。  造船の現状についても承わりたいのでありますが、船舶局からおいでになっておられないらしいので、それはまた船舶局に承わることにいたしまして、私の質問は、スエズ運河の問題に関する限り、これで終りたいと思います。
  69. 相澤重明

    相澤重明君 関連質問。先ほど海運局長からスエズ運河の問題で、高良議員の質問に対して、パナマ運河を通るのと、ケープタウンを通るのに、一万三千海里とか一万四千海里とかいうことで、一五%の割増料率であるということであったが、パナマを通って一万三千海里、ケープタウンを通ると一万四千海里というふうにちょっと聞いたのだが、その点、運賃においてやはり若干の増減があると思うのだけれども、その辺どうもはっきりしなかったのですけれども、その点御説明願いたい。
  70. 粟沢一男

    説明員(粟沢一男君) この点は積地、揚地で商談をいたすわけでございまして、結局、たとえばロンドンから神戸まである物を運ぶ、こういう契約になりますものですから、パナマ運河を通りましても、あるいはケープタウンを回りましても、荷主としては同じ運賃を払って目的地へ着けばいいわけでありますので、ただいまのところ、運賃としては同率と承知しております。
  71. 相澤重明

    相澤重明君 それから先ほど船舶局と海運局の機構の問題にちょっと高良先生も触れたようですが、運輸大臣にちょっとお伺いをしておきたいんですが、どうも運輸省の機構について、屋上屋を重ねているようにどうも民間の者から受け取れる。どうも機構が非常に繁雑で、どこへ行ったらだれの所管なのかというように思えるように考えられるんだが、将来運輸大臣は、そういう煩瑣な機構というものをなくする考えがあるかどうか、この点をお伺いしておきたい。
  72. 吉野信次

    国務大臣吉野信次君) 私は中に入っているせいか、そう重複しているとも実は考えておりませんです。しかしまあ全般に行政のやり方というものは、もう少し何とかしなければならぬということは、われわれ役人時代からのこれは問題でございまして、まあ久しぶりで役人になってみましたが、やはり大したその辺においての進展というものはないようですけれども、しかし行政管理庁というものがございまして、いろいろそういう方面で画期的に法案をこれから練るということでございますから、そういう機会に運輸省に関することも十分考えてみたいと思います。
  73. 相澤重明

    相澤重明君 関連質問ですが、それからいま一つは、高良議員の先ほどの船員の養成という問題に端を発して、港湾労務者の問題に言が触れられたと思う。その点について運輸大臣から御答弁があったわけですが、この機会に港湾局長にこの点についてお伺いをしておかなければならぬと思うんですが、いわゆる港湾労務者の問題について、放任の形がとられているんじゃないか。将来この問題については、少くとも早急に雇用安定の問題について、運輸省としてはどういうふうに考えているのか、またそういう考え方を持っているのかこういう点についてお尋ねをいたしておきたいと思います。
  74. 天埜良吉

    説明員天埜良吉君) 最初の方のお話の沖仲仕等の養成施設でございますか、あの話が出ましたが、養成施設というものはございませんけれども、それの厚生施設として安全協会その他で宿泊その他の施設は整備するように進めております。それから雇用の関係でございますが、これはただいま港湾労働審議会と申しますか、労働省で港湾労働対策協議会と申しまして、労働省におきまして、運輸省労働省、それから港湾労務者代表、それから海湾運送事業経営者代表というようなのが委員になりまして、これについていろいろ対策を協議をしておるわけでございます。
  75. 相澤重明

    相澤重明君 今の港湾局長からの御答弁で、港湾労務者、ことに沖仲仕等の問題について、宿泊設備を考えているとか、あるいはまた雇用安定の問題については、港湾労働対策協議会というものを労働省内に持って、関係者がそういう問題について検討を進める、こういう御答弁だと思うんです。一体宿泊設備というものは、運輸省直轄でそういうことを考えているのか、あるいは地方自治体にもそういう問題を関連をしてやらしているのか、一体そのいずれか。あるいはまたそれを両方かね合せてやっているのか、また予算的にはどういう措置をとっているのか、この点の御答弁を願いたい。
  76. 天埜良吉

    説明員天埜良吉君) この点につきましては、国として直接やっているものはないのでございますが、地方公共団体の港湾管理者並びに荷役安全協会というようなのを通じて、その今の厚生施設を整備するように指導しておりまして、神戸にも横浜にも、その他大きな港に逐次整備をされつつございます。
  77. 戸叶武

    委員長戸叶武君) なるたけ簡単に願います。
  78. 相澤重明

    相澤重明君 これでやめます。港湾労働対策協議会というのは、労働省内に持たれている、こういうお話でしたね。これは一体労働省が主管をすべきものか、それとも、いわゆる港湾施設及び港湾労務者という問題については、運輸省が主として考えていくべきものか、そのいずれを政府において考えて、こういう労働省内にできたのか、この点について運輸大臣の力に先に一つお伺いをしておきたい。
  79. 吉野信次

    国務大臣吉野信次君) 別に深いなにはないのだと思いますが、労働大臣としては、労働全般のことをやっておりますから、それで便宜上そこで取り扱っておることだろうと思います。
  80. 大倉精一

    大倉精一君 それはおかしいと思う、便宜上というのは。
  81. 吉野信次

    国務大臣吉野信次君) それじゃ今の話は、私はよく事情を知りませんから、ですから今の点は取り消しておきまして、局長からもう少し詳しく……。
  82. 天埜良吉

    説明員天埜良吉君) これは労働の問題といたしまして、そして港湾労働問題につきましては、労働省が主管官庁になっております。と言いましても、港湾関係は非常にいろいろな面で特殊な面もございますので、特にわれわれの方と密接に関連を持ちまして、労働基準法の問題、雇用安定の問題、その他の法規に照らし合せて相談をしてやるということにしておりますので、一応労働省に委員会を設けまして、われわれ委員に入って、それで協議をすることにいたしたのであります。
  83. 相澤重明

    相澤重明君 関連だがね。ちょっと今の答弁、私は納得できぬのだが、港湾関係に従事する従業員の問題については、十六国会ですか、十六国会、十七国会に、雇用安定についての法案を運輸当局が出したように思うが、その点なかったですかな。
  84. 天埜良吉

    説明員天埜良吉君) 港湾そのものに対して特に雇用安定の問題を出したことはないはずでございます。
  85. 岩間正男

    ○岩間正男君 当面する二、三の問題についてお伺いしておきたいと思うのですが、その第一の問題は、先ほどの相澤委員質問の中にあり、またきのうも私からも御質問したのですけれども、第一に荷役料の入札の問題ですね。これについて日米合同委員会に提訴するということを港湾局長は昨日言われておるわけです。大臣も同意見ですか、その点伺いたいと思います。
  86. 吉野信次

    国務大臣吉野信次君) きのう申し上げたのですが、入札はしてないのです。入札という――いわゆるこれは形式的な問題で、入札はやっておらないのです。ただ個々にやっているのですが、それが不当に低い疑いがある、それが困るから、そういうことがないようにということを、再々実は港の方の米軍の係には交渉もしておるのですけれども、らちがあきませんから、これはこれでやはり正式にやるところは日米の合同委員会でございますから、そこの問題には出して、そうして原則的にそういうことがないようにしておきたい、こういうことなんです。
  87. 岩間正男

    ○岩間正男君 入札しているいないという問題は、これは実情を調査すれば明らかだと思うのですが、その問題はとにかくとしましても、とにかく米軍のやり方では非常に低い料金が押しつけられておる、こういう事態ができておるのですが、そこで提訴する態度としてきのう伺ったわけです。どういうような方針で一体運輸省としては提訴するのか、この点でやはり港湾局長答弁はどうもはっきりしなかったわけです。この点もう少し基本的な態度を明確にしてもらいたいと思うのですが、運輸大臣の御意見をお聞きしたい。
  88. 吉野信次

    国務大臣吉野信次君) 方針は、これは国法の励行の問題ですから、法の権威から見てそういうことは困るということを説得しようと思っております。
  89. 岩間正男

    ○岩間正男君 提訴の時期はどうなりますか。いつごろ提訴する予定ですか。
  90. 吉野信次

    国務大臣吉野信次君) それは手続だけでございますから、外務省に言っておりますから、近く外務省でその日取りがきまれば、その問題が出るだろうと思います。
  91. 岩間正男

    ○岩間正男君 それはすぐできますね。  ではその問題はそれにしましても、第二の問題は、先ほど業者といろいろ話し合って、そして運賃の問題について競争をやって、競争が激化されて、非常に不利にならないように今度指導監督するという話があったのですけれども、これは大臣の先ほどの答弁だったが、こういう点について大臣はこの現状をつかんでおられますか。つまり現在のやり方を見ますというと、非常に中継ぎの業者がたくさん介入しておる、そういうことで、実際は船会社と、それから実際労務にタッチしておる荷役関係の沖仲仕の間で、たとえば組合でもできて、そこで直接取引でもやれば、中間の搾取というやつは非常に少くなってくる。従って労働者を保護する立場から言いましても、そういうような方法をとらなくちゃならない。ところが実際聞いてみますというと、いろいろな業者が下請々々で介入しておるということを聞いております。たとえば神戸の例を聞いてみますと、船会社が三井の倉庫に揚げる。ところがそれまでに東神荷役が入っておる。その東神荷役の下請に上栄運輸というのがその中に入っておる。さらにその下に今度は実際労務者を集めて提供するような、いわばあっせん屋ですね、あっせんをやっておる、そういう者が入ってきて、何段階も経なければ実際は荷役の労務者を提供することができないというような機構になっておる。ここが非常に前近代的だと思う。これはもうこういう例は今までしばしば出されておる。火野葦平君の小説にもはっきり出ておる、沖仲仕の問題が。こういう形が依然として残っておる。ここに非常に問題が介在していると思うのですが、果して一体大臣はそういうふうな実情をつかんでおられるかどうか。この点をお聞きしたい。
  92. 吉野信次

    国務大臣吉野信次君) きょう初めて伺いました、そういう下請がたくさんあるということは。
  93. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうですか、というと、これは大へんなことになるので、そういう感覚から業者を話し合わせるというようなことをやり、指導監督をやるといっても、実際これは熱が通らない、まるっきり上っつらのものになつてしまうのじゃないかと思うのですが、こういう実情は、大臣を補佐しておられる各局長の諸君は、これをつかんでおられるかどうか、港湾局長、これはどうです。
  94. 天埜良吉

    説明員天埜良吉君) 私の方は、実情についてはよく知っております。そうして港湾運送事業法の中にも元請をした者が全部丸投げをしてしまって下請をさせるというようなことは禁止されております。必ず一部分は自分でもやらなくちゃならぬというふうになっております。しかし、自分の能力だけでできないことがございますので、そういうような場合に、やはり下請にして両方合せてやっていくというような状態でありますし、それがかなりの程度になっておるというようなことも存じております。
  95. 岩間正男

    ○岩間正男君 大臣にそういうことは秘密にされておいたわけじゃないだろうけれども、実際問題として、こういう問題が的確に把握されない限り、今問題になっているところの、ほんとうに前近代的と言いたいですね、こういう関係というのは改良されない。そういう点から事業法の完全実施の問題も一つ出てくると思う。もう一つの問題は、やはり港湾労働法というようなものをこの労働者が、実際仕事にタッチする労働者たちが、非常にこういうものを要求してきていると思いますが、これについては、大臣は御存じでしょうか。
  96. 吉野信次

    国務大臣吉野信次君) いろいろ具体的の問題で私の知らないことばかりですが、しかしありていに申しますと、今補助機関が知っておりますから、今の建前からいえば補助機関が知っていることが、すなわち私が知っておるということなんですから、そこは知っておるというていいか、知らぬというていいか、あまり正直に言っちゃ工合が悪いのですけれども、ただ港湾労働者について特別な立法をしてくれという話は、私もだれかから聞いたような気がいたします。
  97. 岩間正男

    ○岩間正男君 大臣としては、そういう労働者を保護する立場の立法については、これはどうお考えになりますか。
  98. 吉野信次

    国務大臣吉野信次君) まあ労働者を保護する必要あるならそれは出していいと思いますので、内容いかんにあると思いますが、内容いかんというものをよく検討して、その必要があればあるようにいたしたいと思います
  99. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは港湾局長はどうですか。これについて今までタッチされたと思いますが、これについてあなたの所見ですね。
  100. 天埜良吉

    説明員天埜良吉君) この港湾労働法と申しますか、これは先国会の終りに議員提出の形で提出されておりまして、継続審議の格好になっておる、これは本委員会でなしに社会労働委員会で取り扱っております。で、私どもももちろん非常に関係がございますので、その方の研究をしつつあるわけでございます。
  101. 柴谷要

    ○柴谷要君 関連して。もう時間がないようですから一言だけお尋ねをしておきたいと思います。本年の五月に神戸港に不祥事件の起ったことは港湾局長御存じでございますか。というのは、実は港湾労働者の吉村正雄君が一日の作業を終えて帰りがけにパトロール・カーに不審尋問にあって、たまたま仙台から持ち帰ったという砂糖を少量持っておったために検察庁に呼ばれて、そうして微罪釈放という形になったが、翌日会社に出ていった。ところが手配士の花本という男にぼやぼやしておるからつかまるのだ、会社のつらよごしだといってひどいリンチにあって、肝臓の破裂ということで命を落しておる。ところが会社は驚いて、その実態を、実は船内作業での事故による死亡、こういうことで基準局へ届出をしておる。そうしてまあ会社で現認書と死亡診断書でこの問題は労災給付の対象になった。ところがたまたまこれに同席しておった労働者側からこの事実が伝えられて、そうして給付を一歩手前でこれを押えられた。そのときにはすでに本人は焼かれて証拠不十分ということで、花本は検察庁に拘引されたけれども釈放になっておる。こういったようないわゆる何といいまするか、労働者を酷使するもはなはだしい業者がいるけれども、これらの業者に対して通輪行はどのような処置をとられておるか。またその後の経緯について一つ説明を願いたい。
  102. 天埜良吉

    説明員天埜良吉君) 神戸の事件につきましては、さっそく運輸省としても調査に参っております。それから現地の海運局その他では緊急な対策を講じなくちゃならぬということでいろいろやっておりますが、結局、法違反かまずあってはならないので、これはいわゆる労務の供給に際して、労務の供給業者というようなものが横行するようなことがあっては非常に困るので、まずそれを防止するために、港湾関係の荷役の労務を扱っておる会社の者であるという正規の腕章を設けさせることだとか、それからこういうふうに労務が非常に逼迫をするのは、どうしても船内荷役の調整といいますか、というようなことをはかってする必要がありますので、そのために神戸港船内荷役調整協議会というものを設けまして、関係の人が集まってそこで調整をしていく。その協議会の会長には海運局長かなってそれに努めていく。なお賃金が支払われる場合に、一括して渡されるというようなことがあると非常にまずいことになりますので、そういうことがないように直接払いを確実に見届けてやるようにというようなことを申し合せて進んでおりまして、現在のところ、沖荷役について非常に調整がよくできて参りまして、ことに基準法の違反とかいうようなことがないようになってきておる状況でございます。そしてなおその間におきまして、事業法の違反はこれは全然認められなかったのでございます。ただ労務関係で非常に問題があるのでございます。その点を労働省、運輸省よく現地におきまして協議をして違反のない、違反のないといいますか、完全な荷役のできるように措置をしておるわけでございます。
  103. 柴谷要

    ○柴谷要君 このような会社は、実は船内荷役の下請をやっておる上栄組というので明らかになっているのですが、このような会社作業を今後差しとめるというような考え方を持っておられるか、あるいは免許を持っておれば免許取り消しまでやるという強い決意をお持ちになっているか、その点を一つお尋ねしておきたい。
  104. 天埜良吉

    説明員天埜良吉君) この港湾運送事業法の建前から申しまして、そうして元請を受けまして船内のものの下請をするということは、法の建前からもこれは正常なことになっておりますので、これを差しとめるというわけには参らないと思います。
  105. 岩間正男

    ○岩間正男君 一応今のような御答弁ですが、しかしここに親分、子分関係があって、実にこれは問題になっておる焦点だと思うのです。こういう点について、やはりまあ運輸大臣は先ほど御存じない、それからただいまの説明を聞きましても、実際殺されたこの当人に対する処置の問題について、ほとんど答弁はないんです。前後の処理については話はありましたけれども、ここに労働者の軽視の問題が非常に出ていると思う。要するにこの荷役提供の機構が非常に前近代的だということです。この点は日本海運業の問題、これは高良委員からもきのういろいろ出されましたが、国際的な立場から考えましても、こういう要素をはらんで、しかも低賃金をぎりぎり押しつけてきておるという、こういう方向はとても日本の現実の中ではもう立ちおくれなんです。ここから問題が非常に起っているわけです。こういう点について運輸大臣としては、大体中間搾取のこういう形態を一体今後このまま温存していく方向をとるのか、あるいはこういうものを排除して、ほんとうにこれを直接労務者とそれから船会社との間の契約の方へ移行していくか、その間の中間搾取を排して、労働者保護の方向にやはり政策を変えなければ、健全な港湾の荷役問題というものを解決つかないと思う。そういう点からどういうふうにお考えになるのか、この点運輸大臣の御所見をはっきりさせていただきたいと思います。
  106. 吉野信次

    国務大臣吉野信次君) よく一つ考慮してみたいと思います。まあ港湾の荷役のことについては、私も非常にしろうとでありますが、御承知の通りニューヨークでもいろいろそういうことについて問題があるようでございますから、多年の何と申しますか、しきたりと申しますか、そういうこともあろうと思います。そういうことがまた時代の波に合わないという点もあろうと思います。そういうことは一つよく研究してみたいと思います。
  107. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは十分やはり責任の立場からはっきりしてもらいたい問題だと思うんです。ことに、この問題は、やはり日本のダンピングの問題なんかと深い関係を持ってくるし、低賃金の問題とも深い関係を持ってくるんですから、非常に実は小さい問題のようで、ここに伏在している問題は、非常に大きいと言わなけりゃならないのですから、それを今後の運輸行政の中で等閑視してはならない問題だと私は思いますんで、この点関係者の深い関心を私は求めたいと思うんです。これはいろいろ資料があり、なおこまかに私たちは具体的な姿を明らかにすることはやぶさかでないわけです。従いまして、きょうは序の口ですから、その覚悟で一つはっきり準備をしてもらいたい、こういうことを申し上げておきます。  第三にお伺いしたいのは、先ほど三十二年度の港湾予算の問題が出たんですが、この中で一つお伺いしておきたいのは、御承知のように、日ソ共同宣言は、これは参議院におきまして数日ならずして承認されると思うのであります。それから日中貿易の問題は、御承知のように、国交回復はまだ行われておりませんが、しかし年々この規模は拡大されておるわけです。第三次協定の実施の問題が今非常に大きな国民的な問題になっているわけです。こういうような大勢の中で、私たち全国を旅行してみますというと、たとえば、小樽、あるいはまた秋田港、あるいは能代、あるいは新潟、敦賀、こういうような日本海側の日中、日ソの貿易に非常に関心を持っている港が、実に荒廃している。おそらくこのような国交回復の大勢、大きな大勢の中で、しかも貿易拡大の線に沿って、これらの港湾は急速に復旧されて、もう次の準備に間に合うような態勢をとらなきやならぬ、こういうふうに考えるわけです。従いまして、今新たなとにかく平和共存の方向に政策が、この共同宣言の調印を契機としまして、大きく変ってきておる。貿易の拡大も、これはもう遠い課題じゃなくて、今足元の課題になっている。こういう大勢の中で、果して今年度の予算の中にこのような点についての考慮が払われておるのかどうか、この点をお伺いしたい。
  108. 吉野信次

    国務大臣吉野信次君) 日本海方面の港の問題は、これは古い問題でございますから、特に日ソの問題ということはございませんと思いますけれども、新潟初め、やはりそういうつもりで若干の経費は要求しております。若干の経費です。そしてなお、お話通りに、日ソ貿易というものがだんだん量を増してくれば、それにやはり間に合うようなふうに港湾の設備というものもだんだん進んでいかなきゃならない、こう考えております。
  109. 岩間正男

    ○岩間正男君 若干というのがちょっとわからないのですが、どの程度ですか、今要求されている額は。
  110. 吉野信次

    国務大臣吉野信次君) 数字局長から話しますが、新潟港、敦賀港、それらが出ているはずです。
  111. 天埜良吉

    説明員天埜良吉君) 今の日本海沿岸の港につきましては、やはり大臣お話しになりましたように、相当な額を要求しております。それで、これは一般のほかの港湾問題とも関連するわけでございますが、実は三十一年度予算は七十五億なんであります。これは二百四、五十億の予定で要求してやっておりまして、いろいろ財政の都合からこのようになっておりますが、ただいまは二百二十億というのを要求しております。それでその中にはもちろん敦賀、それから新潟、七尾、伏木、常山、酒田、秋田というようなのが全部入っております。その分に向ける分については、今の七十五億でなしに、来ればかなりな分が回されるということになるわけでございます。
  112. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは大体数字はわかりませんか。
  113. 天埜良吉

    説明員天埜良吉君) 数字は今ここに持っておりませんです。
  114. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうですか。この次にお伺いしたいと思いますが、これもあまり秘密にしなくてもいいです。われわれは大いにこれを促進するために援助することはやぶさかでないですから、委員会でこういう問題は出してもらいたいと思うのです。これは運輸大臣としても御同感だと思いますが、いかがでしょうか、この点は。
  115. 吉野信次

    国務大臣吉野信次君) 私も大体いいと思います。ただ、向う側が一体どこの港を使うかということがきまらなければ、それがきまらぬです。あっちがウラジオストックを使うのか、どれを使うかということによって、やはり最短の港を選ばなきゃならぬということもございますから、もう少し進展を見まして、やはり貿易量が来れば来るだけの設備は、ぜひともしなきゃならぬのでございますから、大体御趣旨に沿うように努力をしたいと思います。
  116. 岩間正男

    ○岩間正男君 次に、日ソ交渉、共同宣言の批准に伴いまして、民間の空輸ですね、飛行機輸送の問題についてお伺いしたいのですが、大体どういうような方針をお立てになっておりますか。
  117. 吉野信次

    国務大臣吉野信次君) 私の承知しておるところでは、何かウラジオストックまで飛びたいという認可ですかな、正式書類ですかどうですかしりませんが、そういう話が今あるという程一度でございます。
  118. 岩間正男

    ○岩間正男君 今の問題は、この次詳しく聞くために伏線的にお伺いしたのですが、これはこの次詳しくお知らせ願いたいと思います。
  119. 吉野信次

    国務大臣吉野信次君) この次詳しくと申されましても、御承知の通り、航空のやつは、両国間に航空の協定がないとやれませんので、世間に発表されたあの共同宣言というものの付属書にはまだそこまでのことがございませんので、その問題がまず先にきまらぬというと私どもも処置がいたしかねるということたけは一つ御承知願いたいと思います。
  120. 岩間正男

    ○岩間正男君 ごもっともだと思うのですが、ただ、政府の方針としてどういうふうな方針を推し進めるかということが政策だと思いますから、この点やはり運輸省としては――今までアメリカのやり方に歩調を合せるというのが日本の方式だったと思うのです。しかし、やはり日本の空輸の立場から今度は考えるとき、自主的な立場からこの問題を明かにする方針をそろそろ検討を始めてもおそくはないのじゃないか、こういうふうに考えるわけです。そこで、どうも先に行ってこのような協定でもできないうちはできないということでやっていったのが今までのやり方ですが、そういうことを変えるのが、少くとも今度のアメリカ一辺倒式なやり方を脱却してゆく日本の今後の政治の進路じゃないか、こう考えるのです。そういう点から、やはり従来の何といいますかな、消極的な態度からもう一歩前進されんことを切望したいわけです。これは希望にとどめます。  その次に、第四にお伺いしたいのは……。
  121. 戸叶武

    委員長戸叶武君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  122. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記を始めて。
  123. 大倉精一

    大倉精一君 先ほど相澤君の方から港湾労働対策協議会のことについて質問があったのですが、これは大臣非常に軽い答弁で、便宜上あっちの方ヘというような答弁があったんですが、これは確かに衆議院の請願採択に基いてできたものだと思うのですが、どうですか。
  124. 吉野信次

    国務大臣吉野信次君) 大倉さん、私よりも御存じだと思いますが、そうでしょう、多分。私は軽いと言うたのは、ちょっとぼんやりしておったのですが、ただ私はこう思っておったのです。運輸省は、船員に関する労働関係だけは運輸大臣関係になっておる、船員だけは。それだけは運輸省の組織法に書いてありますけれども、ほかの方の労働問題は、これはあげて一切労働省にあると、こういう建前なんだというようにちょっと思っておったものですから。多分おそらくそうだろうと思いますが、それで今の港湾労働者の点も、これは船員じゃないものですら、おそらく向うの方でやっているかだろうというふうに思って答弁いたしたわけです。
  125. 大倉精一

    大倉精一君 この問題は、なかなか非常に重要な問題と思っておるのです。今までずっと質問があったように、港湾労働者の問題は非常に大へんな問題を含んでおる。しかもこの協議会が目下職安局ですか、これを中心に作られておって非常に軽く扱われておる。この状態でいきますと、何の権限も資格もないのですから、港湾関係を視察に行くといたしましても、お前はどういう一体資格で出てきたと言われればそれまでのことなのです。ですからこれは請願に基いて作られたものである以上は、当然閣議の決定に基いてやる、設置するという方向に進まれなければならないと思うのですが、これに対する御意見を一つ承わっておきます。
  126. 吉野信次

    国務大臣吉野信次君) よくわかりました。よく調べまして善処しましょう。
  127. 大倉精一

    大倉精君 善処しましょうというのでなくて、そういう努力をされなければならないと思うのですが……。
  128. 吉野信次

    国務大臣吉野信次君) 私が善処するというのは、そういう意味で善処したいと申したのでございます。
  129. 大倉精一

    大倉精一君 この問題の善処に対する結果については、適当な時期にまたお尋ねしたい思います。
  130. 高良とみ

    高良とみ君 港湾問題が出ている間にちょっと関連してお伺いしたいと思うのですが、港湾問題ですが、この前から申し上げました港湾の秩序化について、管理課及び港政管理官というものがおありのようですけれども、現状を見ますと、私ども国民として経験するところは、港に入ってくる船から降りる、そうすると税関があり、出入国管理があり、あるいは港湾局の監督があり、それがみな違う建物を持っていて、まあ出るときも同じでありますが、その間にアンバランスかある。それからそこに働いておる人たちに言わせれば、ある方面は予算が足りてどんどん建物が新しくなる、ある方面は予算がおくれておるために、ずいふん日本の一流の港としては恥かしいような狭い、きたないはげっちょろになった、リノリュームが半分はげたようなそういう階段を上って出入国管理庁に行くというようなところがありますのは、すでにそれは御存じだろうと思うのですが、ここを経ていく諸外国の人は、まあ日本も復興されたと、いうけれども、あるところにそういうアンバランスがあるというふうに遠慮なく申します。そうして港に入ってきてみれば、今の荷役方面のストライキがあるとか、いろいろな不安なこともあるというふうなことになりますと、これは港湾の秩序なり整備というようなことについて、運輸省は、どこまでも港の管理を徹底的になさるおつもりであり、またそれだけの予算があるのか。また大蔵省の、昔のように税関というものが先へずっと出ていて、そうして海の方は水上保安の方面が監督して、小さなヨットで密輸を紡いで、あとはまず国税庁あるいは税関がその仕事をして、それから出入国管理がそのあとに控えていて、運輸省の方はほんとうの運輸のことを忠実に、今の労働者のことも含めて荷物のこともあるし、倉庫もある、こういうように考えておられるのか。あるいはここにありますように、管理課があるのですから、徹底的に人数をふやして、入ってくる船については、人についても荷役についても、あるいは港の体裁、あるいは築港等についても、全部管理していくような態勢なのか、その点を伺いたい。私国民として受ける印象は、非常に各官庁があそこに出ておられて、それぞれてんでんばらばらのような感じを受けるのですが、どうですか。
  131. 天埜良吉

    説明員天埜良吉君) 港湾の管理の問題でございますが、これは昭和二十五年に港湾法というのができまして、その港湾法に基きますと、各港湾の管理というのは、これは港湾管理者というものがすることになっておりまして、この港湾の管理者には地方の公共団体、つまり関係の公共団体――県がなる場合もございますし、あるいは市がなる場合もございますし、県と市と共同でボート・オーソリティを作りまして、そうしてやる場合もあります。その港湾管理者の使命は、港湾の管理とそれから発展等を策するのが使命でございまして、この施設の管理ももちろんしていくのでありますが、国はその点についてはタッチしない、ただそれが助成をはかるためにそれを見ていく、そういう状況でございます。指導していくという状況で、実際の管理は港海管理者というものがいてそれが管理し、発展を策していく。そのほかに税関の業務が港にはございます。これは国家事務として大蔵省関係の税関がやっていく。それから港の中の秩序を保つためには、これは国家事務として海上保安庁がやっていく。それから検疫については厚生省がやっていく。それから食物検査については、これは農林省ということになっているのでございまして、港湾の中の管理、発展ということにつきましては、これは民主的な港湾管理者がやっていく。あとの国家事務はそれぞれの部門でやるという建前になっているのでございます。
  132. 相澤重明

    相澤重明君 議事進行について。港湾局長にまだ尋ねることもあるが、きょう港湾局長はおくれて来たので大へんけしからぬ話なんだけれども、まあ、きょうはこれで終って、私も港湾局長のこの前の答弁の中に東海運輸だったか、関東運輸だったかというような問題で、ちょっとまだ疑問のあることなんたが、これは後日またやります。そこであと同僚の議員の方から、国鉄の問題が出ておりますので、この際議事進行をしてその方に入っていただきたいと思います。
  133. 高良とみ

    高良とみ君 その議事進行、けっこうでございますが、私今質問中なんでありまして、もう一、二点伺って明らかにして、そうしてそれで打ち切りたいと思います。  それで今の御説明で、地方の港湾委員というものがあってやるという……。日本の行政は各方面、国の行政と地方行政とがまだ何だかはっきり割り切れないように――アメリカ式、英国式に、リバプールの港はリバプール市が本気に全部責任を持つというふうにはなっていない。それで今いろいろなお話を伺っておりますと、横浜港とか、神戸港というものは、神戸市長、神奈川県というものが、本気に全部、労務の世話までやっているか、それからいろいろな秩序のことについても責任を持ってやっているかというと、そこまでいっていないと思うのです。ですからこういうような国としての大きな運輸の重大問題を処理していくのに、そういう地力の港湾委員というようなものにだけまかせておくのでは、とても手が及び切れないのじゃないかというふうに常に思うのでありますが、依然として地方の港湾委員会の発言がそれほど強くて、そうして運輸省港湾局長及びその下に働かれる方々は、それ以上の権限は制限されているというふうに理解してよろしゅうございますか。
  134. 天埜良吉

    説明員天埜良吉君) ただいまのお話でございますが、これは港湾の管理という点は、歴史的に申しますと、神戸だとか、横浜港というようなところは、これは国で管理したのでございますが、昭和二十五年以後は、国は管理ということから手を引きまして、そうしてそういう公共団体の港湾管理者というのが管理をすることにたりまして、そうして施設の管理もし、発展も策すということでございますが、ただ今の港湾荷役とかいうような場合、これの作業は、これはまあ何といいますか、営業でございまして、この営業についてとやかく言うことは管理者としてはないのでありますが、まああっせんをすることはあります。それでその営業の監督はだれがするかと申しますと、これは港湾運送事業法に基きまして、そうしてその助成的監督はこれは海運局または運輸省がやる、こういうふうに分れておりまして、事務が国家的なものとしては、今の税関だとかに限られておりまして、あとは地方公共団体の事業、それから民間の営利事業というふうに分けてあるのでございます。
  135. 高良とみ

    高良とみ君 二十五年以来の港湾法の説明は大体はそれでわかるのでありますか、現状が、各港に着きますと、雑然混然としていて、私どもの受ける印象は、非常に港というふうなものの秩序が立っていないという印象を受けるのですよ。ほかの国に行けば、たとえばロンドンの港に入っても、相当の権威をもって突き返す人はどんどん突き返すくらいである。それから荷物の整備等に対しても、徹底的に鍵をかけて責任を持ってやっておる。そういう点は、まあ警察的な行政かもしれませんけれども。そうしてまた親切に観光のお世話をする、あるいはまたよくやっているということを考えまして、皆さんのこの二十五年に制定された港湾法というようなもの、つまりこれはアメリカ式の民主的な市民がやっていくという形が、その方が手がゆるんで、そうして国がやっている方も、今幾つもの省が出てやっているという形を私どもは感じるのです。その点もう一ぺんよく御考慮願いまして、果して現状がいいかどうか、私どもも法案をよく調べまして、また実際の地方の港湾委員というようなものも、これをたたいてみたら、私たちは忙しくて、そんなお役所の今やる以上のことはできないと言われるかもしれません。そういう点でもう少しはっきりした治安あるいは秩序というようなものを御考慮願うことを、少くとも港湾局長にはお願いしておきたいと思いします。いずれこれはまた研究いたしてみたいと思います。ありがとうございました。     ―――――――――――――
  136. 戸叶武

    委員長戸叶武君) それでは次に、日本国有鉄道の輸送に関する件を議題にいたします。  御質疑のおありの方は御質疑願います。  なお、委員外議員の発言についてお諮りいたしますが、加藤シヅエ議員より、参宮線の事故に関し発言を求められておりますが、これを、許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  137. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 御異議ないと認めます。それでは適当な時期に、加藤シヅエ君の発言を許すことにいたします。(「先に、先に」と呼ぶ者あり)  それじゃ、加藤君。
  138. 加藤シヅエ

    委員外議員加藤シヅエ君) 委員の皆様のお許しをいただきまして委員外発言を、簡単に国鉄当局に伺い、かたがた監督官庁運輸大臣にも伺いたいと思います。  去る十月十六日に参宮線に非常に不幸な事故がございまして、折柄の修学旅行に出ておりました高校生の中から非常にたくさんの死傷者が出ましたことは、まことに遺憾なことと存じます。国鉄当局におきましても、今回の事故は国鉄の責任であるというような観点から、最大限の損害賠償あるいは慰謝金を出すというようなことを、当時十河総裁が各地において御発言になったのでございます。その後、この損害賠償あるいは慰謝金というようなものが、どういうような方法で、どんなふうに行われましたか、その点を伺いたいと思います。
  139. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) ただいまお話がございました通りに、参宮線の事故はまことに痛ましい事故でございまして、しかもこれは国鉄の全責任でございます。善後措置あるいは遺族の方々の慰謝に、国鉄の全力をあげて務めて参ったのでございます。その賠償につきましては、従来よりも一そう事務をすみやかにいたしまして、算定も昼夜を兼行で計算いたしまして、御遺族の方と数次お話し合いをいたしたのでございます。で、その金額の算定につきましては、十河総裁より、最高中の最高というお話を皆さんに申し上げておりますので、その線に沿うて算定いたしまして、ただその算定の基礎は、従来国鉄は災害の場合の弔慰命につきましては、ホフマン式計算方法をとっておりまするので、そのホフマン計算方式に基礎を置きまして、最高の弔慰金をお出しするということで、御遺族とも御了解がついた次第でございます。
  140. 加藤シヅエ

    委員外議員加藤シヅエ君) ただいまの御答弁のホフマン式算定の基礎とかというのでございますね、それはどういうことでございますのか、私よくわからないのでございますが、最近の新聞によりますと、高校生の中で男子の生徒は七十五万円、女子の生徒は七十万円と、ここに男子の生徒と女子の生徒に五万円の差額がつけてあるということは、これだけをちょっと伺いますと、何か男女間に不平等な決定があるのではないかという印象が強く世間を刺激いたしておりますので、この点につきまして、どういう御説明がございますか、それを承わりたいと思います。
  141. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) ホフマン式計算方法と申しまするのは、非常にむずかしい計算方法で、私も実は深く存じません。実務家が取り扱っているのでございまするが、ただいまの御質問の、女生徒と男生徒とを区別したんではないかというお話でございまするが、これは絶対にそういうことはございません。ただ、ホフマン式の計算によりますると、この損害を受けられた方、つまりなくなられた方の年令、あるいは収入というような、そういう標準の条件の大小によりまして、算定の額が違って参ります。で、坂戸の高校生の女生徒の方は同校二年半でございまして、十六才でございます。それから男生徒の方は四年住で、十八才でございます。それで計算いたしまして、五万円という差がつきましたので、決して男生徒、女生徒なるがゆえに差をつけたわけではございませんで、計算の結果、そういうことに相なったのでございます。
  142. 加藤シヅエ

    委員外議員加藤シヅエ君) ただいまの御答弁によりまして、年令の差が、男生徒の方が女生徒よりもまあ二年年長者であったところに差がついたのであろうという御答弁でございますが、これはちょっと常識で考えましても、二年の差で七十万円と七十五万円というような開きというものは、非常にこれは大きな開きがあると思うんでございます。ことにその算定の基礎が、これからどのくらいの、何と言うのですか、利益を得べき、収入の予想される金額というものがまず第一にあげられると思うのでございますが、その予想される金額というものの数字をおとりになるときに、女生徒の将来の想像される収入と、男生徒の想像される収入との金額は同一にごらんになったのですか、あるいはそこが違っているのでございましょうか。
  143. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 算定の基礎につきましては、法務課長から説明いたさせます。
  144. 鵜沢勝義

    説明員(鵜沢勝義君) 高等学校二年の方と高等学校四年の方をいかように、今副総裁か言われましたホフマン式と申しますか、そういうもので、今現に御収入のない方をホフマン方式で計算することは非常に困難でございまして、そうしまして私どもとりましたのは、四年の方あるいは二年の方が学校を御卒業なさってどのくらいの御収入があるか。労働省でお調べになった中学校、高等学校、大学別、産業別、男女別通勤平均賃金表、今年の表ですが、それによりまして、それをどういう職種でとるか、農業、林業、工業、建設業、製造業、卸売業、交通業、金融業、不動産業、通信その他の公益事業、公務、こういうふうにございますのを、御遺族の代表の方とも御相談の上、あの学校は農業を主としておりますけれども、農業の平均賃金をとらないで、全国平均の産業平均をとりまして、そうして男女別の開きが約五百円でございます。その違いと、それから二年の方が卒業したらば幾らか、その二年間の中間利子を控除いたしますと、ちょうどそのくらいの開きが出てくることに相なります。
  145. 加藤シヅエ

    委員外議員加藤シヅエ君) 今の男女間の賃金の差が大体五百円というような基礎数字をもとにして算定をなさったという御答弁でございますが、これは今までの平均のこういう数字が出ておるかもしれませんですけれども、なくなりました子供の将来がどういうような収入を得るようになるかということは、これはだれも知らないことでございまして、女生徒でございまして農家の娘でございましても、あるいは将来大へんに収入のある映画スターになるかもしれないので、そういうような場合には莫大な収入もあることでございましょうし、そういうようなことは、将来のことをきめるということを、今の基礎的な平均数字でそれをすぐ当てはめるということが果して妥当であるかどうかということは非常に疑問があると思うのでございます。こういうようなことで、やはりここに将来性のある子供たちに男女間の差別をつけて、それを基礎的な数字にお取り入れになって算定なさるというところには、どうも私どもはこれは賛成しかねるのでございますが、これをもう一度お考え直しになるというような御意見はないでございましょうか。
  146. 鵜沢勝義

    説明員(鵜沢勝義君) ただいまのお尋ね、しごくごもっともでございまして、私どもの方は結論的には二年半の違い、たとえばかりに百万円を御弔慰して差し上げる、こういう方は五分で、二年後にその人がそういう御収入を得ていると、こう仮定いたしますと、一年でも五万円の開きがある。二年なら十万円。それをホフマン式で中間利子控除方法をしたので、私どもは決して男女だからこういう差別をつけたわけではございません。結果的にそういうふうに相なった。この点をお含み願いたい。  それからもう一つ、今の私どもがそうしました計算方法では子供さんが卒業した場合、大学へ行かれる方もあるし、今先生がおっしゃいましたように、女優になられる方もあるし、こういう方法をとることにつきまして、私ども独断で計算をしたのでございませんで、判例はほとんど、赤子、幼児以外の者についてはこういうような方法をやらざるを得ないので、裁判所もこういう方法をやっておるし、私どもは御遺族の方々につきまして、いかような計算方法で、御収入のない方々につきましては、いろいろな計算方法がございますのでという御相談を申し上げて、遺族会と私どもと、ことに遺族の方全部御出席のもとに私行って御相談の上、この点については、御承諾願ってやっておるので、私ども独断でやったのでないということをお含み置き願いたいと思います。
  147. 加藤シヅエ

    委員外議員加藤シヅエ君) ただいまの御説明承わりました。もう一つ伺いたいのでございますが、今の算定の基礎になりますホフマン式というのは、余命率というようなものも加算されるのでございますか。
  148. 鵜沢勝義

    説明員(鵜沢勝義君) さようでございます。厚生省の大臣官房統計課調査部でお作りになった生命表というものを基礎といたしまして、そうして余命年数を、統計では有限年数という言葉を使っております。有限年数というのは、たやすく申し上げますれば、平均稼働年数でございます。余命年数じゃなくして、有限年数を使ってやっております。
  149. 加藤シヅエ

    委員外議員加藤シヅエ君) そういたしますと、それは稼働年数なのであって、大体平均幾つまで生きるということは、そこには関係ないのでございますか。
  150. 鵜沢勝義

    説明員(鵜沢勝義君) 大体平均余命年数から五年ぐらいの開きが統計で出ておりますので、この統計は、たとえばここにございますけれども、一才の男は今後五十九年、女の方は六十年生きられる。それから具体的に十六才の男の方をとりますと、余命年数は四九年七八、女では五二・九五、それから働ける年数が男で四三年ちょうどでございまして、女で四三年と八八、こういうふうになっております。
  151. 加藤シヅエ

    委員外議員加藤シヅエ君) 今おっしゃった余命年数というのは、昭和三十年の余命年数でございますか。
  152. 鵜沢勝義

    説明員(鵜沢勝義君) 昭和三十年の統計でございます。
  153. 加藤シヅエ

    委員外議員加藤シヅエ君) その余命年数が幾らとおっしゃったのですか、もう一度ちょっと。
  154. 鵜沢勝義

    説明員(鵜沢勝義君) 昭和三十年度厚生省でお調べになった余命年数、有限年数を今申し上げたのでございます。
  155. 加藤シヅエ

    委員外議員加藤シヅエ君) 余命年数というのは。
  156. 鵜沢勝義

    説明員(鵜沢勝義君) 余命年数と申し上げたのは……。
  157. 加藤シヅエ

    委員外議員加藤シヅエ君) 平均でございますか。
  158. 鵜沢勝義

    説明員(鵜沢勝義君) 平均十六才の方が、このときの統計ではこれだけお生きになる、こういう統計が出ました。それが今の男女別、それから十六才の方は、統計ではこれだけ働ける年数が出ました、こういう意味でございます。
  159. 加藤シヅエ

    委員外議員加藤シヅエ君) そういたしますと、平均して女子の方が年数が高いわけでございますね。
  160. 鵜沢勝義

    説明員(鵜沢勝義君) そうでございます。
  161. 加藤シヅエ

    委員外議員加藤シヅエ君) そういたしますと、高いだけ、それだけ金額も多くなるのじゃないのでございますか。
  162. 鵜沢勝義

    説明員(鵜沢勝義君) それと、それから今御卒業なさっておりません。ですから御卒業したならば幾ら御収入があるだろう、こういう想定で、御卒業の期間二年ございます。その間を、卒業しない前に差し上げているのですから、その一年間の利子をホフマン式で引いた、こういうことからそういうような開きが出ているのでございます。
  163. 加藤シヅエ

    委員外議員加藤シヅエ君) 今度の問題についての算定の御説明はそれで承わったのでございますが、今の御答弁で、御遺族全体の方と御相談をして、異議がなかったから、こういうような基礎的な数字をもって算定したというお言葉なんでございますけれども、考えてみますと、こういうような場合に遺族の方として、こういうふうであるということを言われたときに、いやこれではどうも不満だというようなことが、なかなかいろいろ数字なんかあげられて、こうだと言われますと、いや、それは違いますというふうには、なかなかその場の雰囲気として言えないだろうと思うのでございます。それで結局こういうふうな大へんに大きな差別の数字が出てきたと思います。年令が確かに二才違うというところで多少の違いがあるということは、これは数字の上で出てくると思いますけれども、大体これからその収入のあるべきものとしての想像の算定の基礎は、確かにこれは男女平等になされたものではございませんで、このような場合には、こういうことはやはり何らか平等な方法でなさるべきではなかったかと思うのですけれども、そういうようなことをもう一度……。外部に対して非常にこれはよくない印象を与えていると思うものでございますから、国鉄当局としても、せっかくここまでお骨折りになったのですから、こういうような差別待遇をしたというような印象を払拭するような何らかの方法をお講じになる御意思はないのでございましょうか。
  164. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 賠償の問題は非常にむずかしい問題でございまして、もちろん私どもといたしましては、十二分にできるだけの手厚いことをいたしたい、そう考えておりまするが、また事故にあわれた方につきましては、金では買えないというお心持が常に動くわけでございます。それで賠償の御相談には私どもできるだけ御不平がないように考えておりまして、今回につきましても、御遺族の方々にお会いいたしましたし、またただいまいなかの方ではホフマン式というような計算方法は知らないので、何も抗弁ができないのじゃないかというようなお話がございまして、なるほどホフマン式はむずかしくて私もわからないようなことでございますが、これはほかの賠償の場合にもホフマン式というようなのが一般に通用されておりまするし、また賠償につきまして差別をつけないということが、またある意味において不公平になる場合もございますので、そういう点を考えまして、ただ御遺族の方ばかりでなく、代表者の方々にお会いいたしました。代表者の方々は学校の先年もおられますし、PTAの方もおられますし、十二分に教養を受けられた方々でございまして、そういう方々と数次御面談いたしまして御了解を得た次第でございます。
  165. 加藤シヅエ

    委員外議員加藤シヅエ君) 職員の力で三名なくなられたようでございますが、これは男の先生と女の先生と両方なくなられたのでございましょうか。
  166. 鵜沢勝義

    説明員(鵜沢勝義君) 男の先生二名と女の先生一名おなくなりになっております。
  167. 加藤シヅエ

    委員外議員加藤シヅエ君) その場合の慰謝料はやはり差額が出ておりましたのですか。
  168. 鵜沢勝義

    説明員(鵜沢勝義君) 現に御収入のある先生のような方の弔慰金を御計算する場合におきましては、現在の御給与を基礎として計算しておりますので、結論において、女の先生が安ければ、そういう先生の御心配の結果が出ますけれども、そういう男女間というようなあれでございまして、現に御収入を得ているのを基礎としてやっております。
  169. 加藤シヅエ

    委員外議員加藤シヅエ君) 運輸大臣にちょっと伺いますが、いろいろの事故が起りました場合に、男女間の差別があるというようなことがございますと、非常に外部に与える印象がよろしくないので、どうか、この差別感がなくて全く男女は平等に扱われたというように特に御留意を願いたいと思うのでございますが、その点をちょっと御所見を伺います。
  170. 吉野信次

    国務大臣吉野信次君) 全くお話通りだろうと思います。男女なるがゆえに差別をつけるということはよくないことと存じます。そういう考えを持っておりません。
  171. 加藤シヅエ

    委員外議員加藤シヅエ君) ありがとうございました、皆様大へん長いことお時間をいただきまして。
  172. 高良とみ

    高良とみ君 関連質問。この問題は非常に国民に衝撃を与えておるのでありますが、もし資料をお持ちでございましたら、大へんにおそれ入りますが、ざっと各個人の弔慰金の状態を聞かして下さると、関係者をだいぶ持っておるものですから。(「資料はあとで提出して」と呼ぶ者あり)資料をあとでいただければ……。
  173. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 資料をあとで提出してもらいたいという……。
  174. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 賠償の金額は、実は御遺族の方々の方の御要求で、実は今まで外部に出しておりませんし、今後もできるだけ差し控えたいと思っております。と申しまするのは、御遺族の方が自分が幾ら弔慰金を受けたということが広がりますと、いろいろな支障が起るから、これはぜひ個人別の発表は見合わしてほしいというたってのお話がございますので、お話し申し上げませんですが、もし特段にこういう人には幾らというふうなお話でもございましたら、私お出かけしてお話し申し上げてもよいかとも思っておりますが、資料としてはちょっと出しにくいものでございます。
  175. 高良とみ

    高良とみ君 やはりこれは国鉄の財政から出るのでありましょうが、それではあがりまして詳しく拝見いたします。
  176. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をとめて下さい。   〔速記中止
  177. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をつけて下さい。  それでは池袋民衆駅に関する件を議題といたします。  御質疑のおありの方は御質疑願います。
  178. 大倉精一

    大倉精一君 池袋の民衆駅に関しましては、この前の二十四国会において問題になったのでありまするが、その後百貨店法が通過し、あるいは諸種の事情の変化があったと思いますが、矛、の辺の経過について一応の御説明を願いたいと思います。
  179. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) 池袋の東口民衆駅の問題でございまするが、御承知の通り、私どもの方といたしましては、池袋停車場会社でございますか、これに承認をいたしまして、それに基いて設計を完了いたしまして、そして建築に着手いたしたわけでございます。その間に百貨店法が国会において議決され、今年の六月十六日から施行されたわけでございます。で、民衆駅自体といたしましては、私どもの方は民衆駅の営業内容は百貨店であるという考え方で、それまでの取りきめ等を進めて参ったわけでございまするのが、別の法律でもって百貨店法というものが定められたのでございまして、この百貨店法によりまして、所管官庁は通産省でございまするが、通産省においては、百貨店審議会というものを法律に基いて設置された。そこでこの百貨店の新しい営業開始の許可等について審議会に御諮問になるという格好になったわけでございます。で、池袋の問題につきましては、百貨店審議会が結論を出す前に、また百貨店審議会といたしまして、当該地区の商工会議所の意見を求めることになっておられるようでございます。そこでこの池袋の問題につきましては、これはほかの百貨店との関係と御一緒でありましたか、東京の商工会議所内に設置されました商業活動調整協議会が、百貨店審議会の諮問に基きまして、八月二十七日に、池袋のステーション・ビルの申請にかかる――申請面積か二万一千九百八十三・四十六平米でございますが、その四五%減らした一万二千平米を最高に指圧するという御意見を出したようであります。また百貨店審議会の方は、商業活動調整協議会の答申を経まして、審議会をいろいろお開きになりまして、その結果として、今度は十月二十九日でございますか、通産大臣に五〇%、すなわち二万一千平米で認めたらよかろうかという御答申をなさったようでございます。そこでステーションビルといたしましては、法律の定めるところによって作られました審議会の御意見というものがそうでございまするので、通産省に対しましては十一月十二日にあらためて一万一千平米というところで再申請をしたということが、現在までの経過になっております。
  180. 大倉精一

    大倉精一君 大臣が非常にお急ぎのようですから、先に要点だけちょっとお尋ねいたしますが、前回の国会のときに、この国鉄の駅と、民衆駅とデパートという関係、こういうものに対しまして、この法律が通ったらこれは正式に省議にかけて、そういう原則というものは明らかにしておきたい、こういう御答弁があったのですが、この百貨店の法律が通って、付帯決議がついて、その後やはり省議を開いて何かおきめになりましたか。
  181. 吉野信次

    国務大臣吉野信次君) 何ですか、池袋のことについて、省議にかけてやると私が答弁したいということでございますか。
  182. 大倉精一

    大倉精一君 速記録を読ましてもらいますと、前は非常に長いからやめまして、要するにこれは国鉄の建物を民間に貸す場合の原則です。こういうものに対しまして「今は想像がつかないかもしれませんが、将来停車場に使うというときに妨げになるような貸し方はしない方がいいのじゃないか。これはしかし私個人の何でございますから、いずれこの法律が通りましてから、これは正式に省議なら省議というものでそういう原則というものは明らかにしておく方がいいのじゃないか、こう考えております。」、こうなっております。
  183. 吉野信次

    国務大臣吉野信次君) よくわかりました。私が申し上げたのは、池袋の問題じゃないのです。要するに従来、大倉さん御承知の通りに、従来の法律によれば、国鉄が財産を処分する場合に、運輸大臣に認可を受けるのは、線路またはこれに準ずるものとなっておりまして、今の国鉄の持っている土地を百貨店に貸す貸さぬという場合はそれに入っていないという解釈で、運輸大臣の関知しないことになっておるわけで、それでは私は困ると思いますから、この間御協賛を得まして法律を作りまして、今度は自由なる財産の処分については、運輸大臣に認可を受けることになりました。その新しい法律の施行の場合には、これからの民衆駅の場合には、それに触れるわけでありますから、そこで今度は運輸大臣に届け出る、こうなるわけであります。そこで、運輸大臣として、今池袋のような例の民衆駅というものの場合にどうしたらいいかということについて、私は個人的の見解をそのとき述べたのでございます。私は、参議院でしたか衆議院でしたか存じませんけれども、私がそのとき述べましたのは、とにかく将来何らか国鉄が輻湊して参りますから、運輸が今のように二階だけ使わしてもらえば――二階というか、メインの所だけ使わしてもらえば、あとはいいんだというわけにはいくまい。そう思っていても、十年たってくれば輻湊して、従って立体的にこれは使わなければならない場合が来る。三階、四階と、外国のように鉄道が来なければならない場合が来るかもしれない。そのときに貸す条件としては、用があったらいつでも返すということが書いてありましても、実際問題として返せないような貸し方をしちやいかぬのじゃないか、なお、具体的にいえば、これは言い過ぎになるかもしれませんが、個人の意見だけですから御了承願いたいと思いますが、たとえばですよ、たとえば百貨店というようなものになりますと、これは私の考えから申しますと、建物をただ使わせるという。たけでなしに、十年、二十年、そこで営業いたしますと、そこに営業権というものが生ずるわけであります。東京駅についていえば、大丸がやっておる。二十年たてば用があるから返せと申しましても、二十年間にあすこに大丸という商標で売り込んでおった営業権というものは、私は法律上補償の問題になると思う。そういう貸し方をすることは、たとえ貸すときの条件に、用があれば何どきでも実費を払って返すということが書いてあっても、それはいけないのじゃないか、そういう意味で、もし私が責任をもってそういうものを措置するという場合には、一つそういう問題が来たら十分に検討する。これは私個人の意見であるから、それがいいか悪いかということは、実は運輸省にもしそう問題が来れば、今度は運輸大臣かそういうことを認可するについて、何か特別の学識経験者の意見を聞いてやるかどうか、要するにそういう貸し方の問題を、今は使わないからというて、そうして将来返したらいいじゃないかというような気持でこういう問題を取り扱ってはよくないのじゃないかと、こういう意味で申し上げましたので、今日も私はそういうふうに考えております。
  184. 大倉精一

    大倉精一君 それでは運輸大臣は非常にお急ぎのようですから、あとは国鉄当局にお聞きしまして、また必要に応じて質問したいと思います。  副総裁にお伺いいたしますが、百貨店法ができまして、そうしてあすこにできる丸物の百貨店に対して、一応の結論が出た。通産省からも出ました。この百貨店法の付帯決議には、これは公共の建物の上に百貨店をのっけない、こういうような国会の意思がくっついておる。と同時に、答申が出まして、従来あすこに許可なさった建物の計画をすっかり変えなければならぬ、こういうような事態になったのですが、こういうような事態になって、国鉄としては、あの建物に対しまして、何か計画を改めるとか何とかというお考えはないのか、あるいは今まで通りこれをさしておくと、こういうお考えなんですか。
  185. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) デパートにつきましては、百貨店法ができまして、それに基きまして百貨店審議会という権威のある審議会ができまして、そこで、そこに申請をいたしまして、従来の計画通りではいけない、そのスペースを二分の一に限定しなければいかぬというふうな決定が見えたので、ただいまのところ、私が聞いておりますところでは、さらに五〇%の削減の面積で申請中のように聞いております。で、それでもしその通産省の方の許可が出ますか出ませんか、まだ私は即断できませんが、いずれにせよ、その結果が私の方に回ってくる、回ってさましたら、その線に沿うて善処していくということに相なるだろうと思います。
  186. 大倉精一

    大倉精一君 私の聞くところによるというと、この答申で、丸物は約三千平米という貸店舗を許可してほしい、こういうことを申し入れた。これに対して通産省はこれを拒否をした。そこで今度はこの三千平米を第二会社にやらせる、こういう案でもって国鉄に申請したところが、国鉄もまた断わった。今度は劇場を経営するという案も出したら、これも国鉄かお断わりになった、こういうようなことを聞いておるのですが、これは事実なんですか。
  187. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) 私どもはそういうことはまだ聞いておりません。
  188. 大倉精一

    大倉精一君 その丸物があそこにデパートを建てる。八階ですか七階ですか、私は覚えがありませんが、デパートを建てる。初めの計画では経営がなっていく。ところが今度は新しい方針ができて、何。パーセントか削られて、その削られたもので丸物はやっていくということでは、当然経営がやっていけないということになる。従って国鉄として、丸物が経営をやっていけるという建前から許可したものと思うが、経営がやっていけないという現実の状態になったときに、丸物に対してどういうような手をお打ちになるんですか。これは放任しておくんですか、そういうことを承わりたい。
  189. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) まだそれは丸物が、ただいま申し上げましたように、通産省に申請しておるのでございまして、その結果はわかりません。今五〇%なら、当然採算が成り立たぬじゃないかと、こういうようなお話でございまするが、その採算の点につきまして、もし結果として私の方で審議するような場合になりましたらば、その際に成り立つか成り立たないか、あらためて検討すべき問題で、ただいますぐに成り立つとも成り立たぬとも申し上げかねると思います。
  190. 大倉精一

    大倉精一君 これはまあ将来のことにわたるといえばそれまでなんですけれども、常識から考えて、私は半分に減らされれば、これは成り立たぬということになる。その場合に、国鉄の方へ今度は丸物が自分の経営を考えて、こういうものをやらしてもらいたい、ああいうものをやらしてもらいたいといった場合に、それはいけない、あれはいけない、あれはいい、これがいいというようなことを、もし国鉄が指示されるということになれば、これは丸物は自分の経営に自主性というものがなくなって、経営というものが保証されないということになる。国鉄としてはそういうことまでタッチできるのかどうか、承わりたい。
  191. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 将来のことでございますから、いろいろ仮定のことでお答えしにくいことでございますが、第一、その成り立つか成り立たないかということは、そのときの採算表を見なければ即断できないのでございますが、そのときに、そのほかのスペースについて、こういうことをやりたい、ああいうものをやりたいという場合に、鉄道が一々チェックしていたんじゃ成り立たないんじゃないかと、こう言われますが、それはおのずから民衆駅として、使用目的を制限いたさなければならぬ。あまりみっともないものは出させられない。それから駅自体の目的を害するようなものは、これはまあチェックしなければならぬ。私ども何でもかんでもいけないというわけではなく、そのときに適当な判断をして取捨選択をする、こういうことに御了知を願いたい。
  192. 大倉精一

    大倉精一君 その問題は将来のことだからわからないということでありますからその程度にしまして、百貨店法の付帯決議に、公共の建物の上にデパートを載せてはいけない、こういうような付帯決議がついた。そうして先国会におきまして、石橋通産大臣は商工委員会におきまして、公共の建物をなるべく使わせないように、そういう趣旨のもとに池袋の問題は処理していきたい、こういう工合に言明されている。また松村通産省企業局次長が九月十日の衆議院の商工委員会の中小企業対策小委員会におきまして、丸物の問題は特別に考えている。既成事実だからやむを得ないというようなことは毛頭考えていない、こういうようなことを言明しておられる。普通ならば、今どのくらいたっておるかわかりませんけれども、当然ああいう法律ができて、付帯決議ができて、そうして既成事実いかんにかかわらず、そういうものを認識されないという、こういうような通産省の意向、こういうようなものと、あなたの方と何らかの話し合いなり、あるいは相談をなされたことがあるのか。
  193. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) この百貨店法に基いて、百貨店審議会が審議せられたのでございまして、百貨店審議会は権威のあるものでございまするから、もちろん国会のいろいろな御意思あるいは付帯決議等もはっきり見ているはずだと私は思います。そうでなければ、権威ある判定ができないのでございますから、で、まだ、先ほど申しましたように、事態は審議会にかかっておりまして、私の方まで参っておりませんので、それでもし私の方へもし回ってくると――かりに通産省の方で許可か出まして、私の方へ回ってきたとしますれば、当時の審議の模様その他を十分御説明も聞いて善処していきたい、こう思っております。
  194. 大倉精一

    大倉精一君 そうしますと、国鉄としては、国会における付帯決議というもの、公共の建物の上には百貨店は載せないといこの付帯決議とは関係がないと、直接関係があるのは審議会の答申である、であるから、審議会の答申がオーケーとなれば、この決議いかんにかかわらず、やっても差しつかえない、こういう形式的な考えを持っておられるのかどうか。
  195. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) そう割り切って御質問がありますと非常に困るのでございますが、つまり審議会の方には、どういう所にどれほどの面積で建てるかということは、申請の際にすっかり明らかになることでございまして、そういう点を、すべて条件を通産大臣が調べまして、それで適当なりやいなやということを百貨店法の筋で御判断なさるのでありまして、私どもは決して付帯決議をないがしろにするとか何とかいう意思は毛頭ございませんが、その判断は通産省においていたすだろうと、こう申し上げた次第でございます。
  196. 大倉精一

    大倉精一君 結果においてないがしろにすることになると思うのです。通産省の方の審議会の方で、この付帯決議を無視をして、そうして何とかの顔を立てるとか、何とかの事情のもとにあるものの許可をしたというその場合には、この付帯決議を無視することになる。それを国鉄に持ち込んだ場合に国鉄が、これは向うがやったんだからこれは差しつかえないんだといってやられる。結果においてはこの付帯決議というものは骨抜きになってしまう、こういうことになると思う。そこでこれは私は、国鉄は国鉄として考うべきものだと思う。あそこの建物は公けの建物であって私の建物ではないんだから、公けの建物の上へああいうものを載っけてはいけないと、付帯決議もあり、そうしてあそこに載っけることによっていろいろ弊害が起る。これは先国会でいろいろ論議されたことですから、きょうは省きますけれども、そういうようなものからいって、ああいう付帯決議がついた百貨店法が通った今日において、しかも丸物が当初の計画を変更せざるを得ないという、こういうような状態になったら、当然これは国鉄としてあらためてこの百貨店を載っける民衆駅というものを考え直す時期が来ているんじゃないか、こう私は思うんですが、どうでしょう。
  197. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 繰り返して申し上げますが、百貨店法ができましてから、そのデパートをどういう場所にいかなる規模において設置していいか悪いかということは、通産大臣が諸般の材料に基いて御判断なさるのでございまして、そういうふうな、もしかりにそちらの方で許可が出ましたときに、私の方で大臣の許可を、私どもの都合だけでそれはいかぬと、有権的ではございませんが、実際的には不許可にするというふうなことは、これまた非常に大きな問題でございまして、私どもはすぐそれができると申し上げかねると思います。しかし先生のお言葉でございまするからして、一応こういうふうな事情になっておりますということは、通産省に申し上げていいと考えております。
  198. 大倉精一

    大倉精一君 それから、通産省の方はもうあなたの方から申し上げぬでもよく知っておると思うんです。もう衆議院の商工委員会におきましても、前国会から問題になっておるんですから、そこでかりに通産省が許可をおろしたといった場合におきましても、今度丸物は設計変更といいますか、あるいはあらためて再申請といいますか、そういうものを出してきて、それにあなたの方で諾否をきめなければならぬ、こういうことになると思うんですが、そういう工合になるんですか、筋としては。
  199. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 大体そういう筋になると思います。通産省の方で許可が出ましたならば、また私の方へ連絡、あるいは契約を結ぶということになるだろうと思います。で、その場合に、重ねて申し上げますが、ただいま先生のお話にございました通りに、通産省は諸般の事情を十分勘案した上の許可、不許可でございましょうから、まあ私それで、しかも場所も、それからスペースも十分承知の上での許可、不許可でございますから、私の方でさらにそれを拒否するということは、大臣の命令、大臣の許可とのかね合い上相当問題だと思いまするので、そういう点につきましては、ただいま申し上げましたように、さらに通産省に申してもよろしいと思いますが、ただいまの先生のお話では、通産省も十分承知しておるというお話でございますし、私も事実そう考えております。
  200. 大倉精一

    大倉精一君 そこで私、先ほどお伺いしたんですが、通産省の意向は、あるいは通産大臣の前国会の言明もあるんですから、そういうようなことと、それから国鉄の立場、そういうものに対して何かお話し合いになったかということを聞いたんですが、今までそういう連絡はありません。通産省は通産省でもって、国鉄はこうだろうということでやってくる。あなたの方はあなたの方で大臣が許可したんだから、これは許可すべき筋合いのものではないか。何ら自立性のないそういう形になっておる。そういうふうでいいものか悪いものか。おそらくこれはそういう食い遣いが出てくるということをおそれて、事前にそういうものはやはり国鉄の方も十分説明をし、あなたの方の意向も伝えて、通産省が許可する、あるいは許可しないという決定をする前に話し合いをしなければならぬと思うのですが、それは話し合ったことはありませんか。
  201. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 百貨店審議会におきましては、鉄道も多少招致して事情を聴取いたしたということでございます。
  202. 大倉精一

    大倉精一君 百貨店審議会は審議会、あれは諮問機関ですから、ですから審議会の答申したものと、通産省がまた許可するのは別になってくるんですからね。ですから通産大臣お話し合いにならなければいかぬと私は思う。そうしてちゃんとそういうそごがないようにしなければならぬと思うのですが、どうも今の御答弁を聞いておるというと、端的にいえば、もうあれだけやってしまったものだし、国鉄もどれだけやら予納金ももらったんだから、丸物もだからなるべく変更したくない、続けてやらしたいというのが前提になっておると私は思うんですが、私はそういう工合では、この問題は大きな問題になっておりますから、こういう工合ではいかぬと私は思う。端的に私の考え方を申し述べますならば、新しくそういう変った形でもって申請をしてきた場合には、国鉄はむしろこの百貨店法の付帯決議を尊重し、かっこの問題のいきさつをいろいろ勘案されてそうして国鉄の立場を考えられて、むしろこれはやめて、予納金は返して、そうしてあそこの池袋の駅というものは国鉄自体でもって設計変更をなさるのが至当じゃないか、そうでないと国鉄自体がよけいの泥をかぶることになると私は思う。ですからそういうように頭を切りかえて、この際思い切ってやった方がいいんじゃないか。また丸物自体も、ああいう工合に手をもぎ取られ足をもぎ取られて、あそこでもってデパートを、やるというような、そういう意欲は私はないと思う。でありますから国鉄の予納金さえ返して、これはもう解約するということになれば喜んで解約すると思うんです、丸物自体は。そして国鉄はその工事の進行の現在までのものを十分生かしてあらためて設計をする。そして駅前広場も十分とると、こういう工合に私されるような時期に来ているんじゃないかと、こう思うんですが、この点について再考されるお考えはありませんか。
  203. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 丸物は、先ほど申しましたように、再申請しておりますので、やはりその意思があるのではないかと、やめるということでは申請いたさないと思いますので……。それからまた先ほど来繰り返して申し上げますが、通産省は法律に基いた審議会というりっぱな機関にかけて調査研究をされました。で、その結果に基いて私は許可、不許可が出るか存じませんですが、そういうりっぱな審議会にかけた結果を尊重して何らか御判断になるんだろうと思います。で、ことにあの池袋の問題は非常に天下の視聴をそばだてた問題でございますから、通産省としては十分に、あるいは十二分にいろいろな調査をされて結論を下されると思います。しかしそれをしも私の方で疑うと、あるいはそれに対して信頼できないというわけには私参らないと、こういうように考えております。
  204. 大倉精一

    大倉精一君 これは話が逆だと思うんです、私は。かりに百貨店審議会で許可をしたと、こういうことになっても、国鉄が今度新しい申請を認可しないということが明らかになっておれば、通産省としてこれは許可すべきものじゃないですね。これは審議会は諮問機関ですから、あるいは答申して参りましても、国鉄当局の方であれはこういう事情で許可しないんだと、こういう国鉄の意思がはっきりしておれば、答申があっても、通産大臣は認可しまいと私は思うんです。今あなたのお話は逆じゃないですか。向うから来たものは、国鉄の立場はどうあろうとも、これは認可は向うの決定したものだから、これはやはり正当なものだろうといって認可するのだと、こうなれば、これは普通一般の場所に建てる百貨店の場合と違いますから、その辺は少し違うんじゃないかな。
  205. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 前にやはり運輸委員会で池袋が問題になりましたときに、多分こう申し上げたと思います。百貨店で一応認可いたしたけれど、百貨店法ができ、百貨店審議会という権威ある審議会ができて、デパートの増設、新設については、その機関にかかるということでありますから、国鉄としては審議会の結果をお待ちする以外に方法はないと、こういうふうに申し上げておったと思いまするが、その審議会の結果が出ましたので、それに沿うて善処していきたいと、こう考える次第でございます。
  206. 大倉精一

    大倉精一君 十河総裁はこういう工合におっしゃっております。これは速記録を読みますというと、「今日となってこれを設計を変更させるということは、非常に困難じゃないだろうかというふうに考えておりますが、何か非常な変化でもあればまた別でありますが、」ということを言っております。私はこれを非常な変化じゃないかと思うのです。こういう変化があった今日に、こういう情勢になった今日、ああいう非難があったり、あるいはむろん賛成する人も多少あるかもしれませんが、地元民が非常に非難をしておる、こういうような状態、しかもこの審議会の答申によって、半分できない。あとは何か変更しなければいけない。従って丸物もあそこでは経営困難だと、こういう状態になっておる。丸物自体としても、あなた方の方から予納金を返してもらえば、ああいう所に別に非難を浴びて、そうしてデパートの経営なんかしなくてもいいのですから、あなたの方でもしお前たちがここにやる気がなければ予納金を返すがどうだ、こういう意思表示をされたら、丸物はぐるっと変るだろうと思うのですが、そういう意思表示をされる用意はありませんか。
  207. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 丸物は、繰り返して申しますようですが、この審議会の削減の線に沿うて申請をしております。でありますから、私どもは丸物が進出する意思があるかないかというようなことをいろいろ――そう申請している以上は、やはりそれだけの申請で実行するつもりがあると、こう考えております。それで前に百貨店のあれで私の方と一応契約した例が過去ございますので、それが削減されて審議会を通り、さらに許可を得たと、正規の許可を得たとすれば、やはりその線で進むよりいたし方ないのでございまして、当人もそれでいたしたいと、しかしながら私の方の都合で、審議会はこうきめたのだけれども、まだほかの方の支障があるからやめろと言うことは、かえって審議会の権威を私の方で制肘するような格好になりはしないかと、こういうように考えますので、その審議会の答申に基いて、このデパートの申請をした、そうして通産省がそれに対して許可、不許可の裁定を下すという、その結果を待ちまして善処していきたいと、こう考えております。
  208. 大倉精一

    大倉精一君 この問題は、これは禅問答になりまして――これは私が聞いておることは、通産省の意思を私は全然聞いておるわけじゃないのです。あなたの方の意思を聞いておるのですが、あなたの方の意思表示は何もされないわけなんです。通産省が許可したらやっていくと、こういうわけであって、国鉄自体としての自主的な意思表示、あるいは考え方というものは何ら表明されていないわけです。
  209. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 意思は前に表明しておりまして、百貨店で契約を一応いたしております。ただそれがこの百貨店法ができましたために一時ストップしまして、しかもそれが半分に削減せられた。それが丸物の方はその半分に削減せられたのを不満足として通産大臣に申請しておるということでございますから、まあ特に意思の発表ないと言われましたが、従来の方針で国鉄が進んでおる次第でございます。
  210. 大倉精一

    大倉精一君 丸物との契約の中に予納金の返還について、会社の都合によってB二階ですかね、たしか何か書いてありましたね。B二階以上建築できなかった場合においても、この予納金は返さないというような一項があったような気がしますね。あの契約に基いてこの予納金は返さないと、こういうことなんですか。
  211. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) もし丸物が、五割では自分は企業が成り立たぬから予納金を返してくれというふうな申し入れでもありましたら、丸物の意思がはっきりいたしますのですが、まあ私の方から、予納金を返すからどうだ、やめないかという積極的な意思表示はする必要がないと、こう考えております。
  212. 大倉精一

    大倉精一君 この積極的な意思表示をする必要がないのだという理由もちょっとお聞かせ願いたい。
  213. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) それは先ほど来繰り返して申し上げますが、百貨店法ができまして、しかも権威ある審議会が諸般の事情考慮して、これならば差しつかえないと、こういう決定をされたのでございますから、その線は尊重さるべきものじゃないかと、こう考えております。
  214. 大倉精一

    大倉精一君 もうこれでやめますが、これはどうも禅問答みたいになって、私の言っているのは、あなたの方で――元来あのデパートというものが非常な問題になっておる。しかも衆議院においては公共の建物の上にはデパートを載っけない、こういう付帯決議までされておる。で、丸物もその後当初の設計が変更になってしまって半分になってしまった。こういう時期において、いろいろな世論にもかんがみ、あるいは付帯決議も尊重し、あるいは国鉄の自主性にも基いて、この際、国鉄としてはあそこはデパートはやめて、そうして国鉄自身として駅を設計をし、計画をすると、こういう方向に切りかえていかなければならぬのじゃないか、あるいは資金面に云々ということになれば、世論に物議をかもさないような新しい計画のもとに出直す、こういうような意思決定をして、これをもって通産大臣とよく話し合いをされて、そうして通産大臣は、国鉄の方がそうであれば、これはもう認可してもやむを得ないことであるということの、そういう取り運びにされるのが至当ではないか、こういうことを私は申し上げてあなたに聞いておるのですが、あなたは、どうも通産省の方にもたれかかって、あれが来ればこっちはこうやるとおっしゃるのですが、どうもそういうことに対して納得がいかないわけです。それで私は要望いたしますが、そいつを一つぜひ意思をきめていただいて、そうしてまずもって通産大臣と十分話し合いをされたいと思う。特に、通産大臣は、池袋の駅はあの付帯決議の線に沿って処理をしたいと考えておる、そしてまた企業局次長ですか、企業局次長は、期限、時日がどうあろうとも、それに左右されることはないのだと、こういう言明をされておりますから、あとは国鉄の意思次第と、こうなるわけです。それでありますから、あなたの方でもう一回、いろいろな事情を再検討されて、再考慮されることを私は望むわけです。
  215. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) いろいろのお話もございますので、十分に慎重に調査研究をいたすつもりであります。
  216. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 今大倉君と副総裁の質疑応答を聞いておりますと、やはり衆議院の常任委員会における付帯決議と審議会の決定というデリケートな問題に引っかかっておるのですが、その副総裁の発言の中に、絶えず審議会の方は権威ある審議会の決定で、これにそむくことはできないということを繰り返し繰り返し述べていながら、院における常任委員会の付帯決議というものをややもすれば軽視するかのごとく思われる言動があるようですが、あと速記録を調べまして、適当の機会に副総裁の釈明なり弁明を求めなければならないと思います。  それでは本日はこの程度で散会いたします。   午後五時十三分散会