○説明員(
粟沢一男君)
海運局長粟沢でございます。
お手元にお配りしました
重要所掌事項説明書というプリントがございますので、それによりまして御説明申し上げたいと思います。
私
ども運輸省におきましては、
海運関係の
行政事務を海運局、船舶局、船員局、港湾局、四局で所掌いたしております。そのほかに
海上保安につきましては、外局である
海上保安庁が所掌いたしております。私
ども海運局におきましては、大体船の
運航関係、業界で申しますと船会社、
海運会社というふうな向きの業務が主でございます。大きく分けまして外航、
——対外航路をやっておりますが、外航の関係と国内の内航関係に分けられますが、まず外航の方から御説明いたしたいと思います。
ただいま日本の三千総トン以上の
外航船舶は、ことしの八月の末に二百九十一万総トンという数字になっております。ただいまなおこのほかに
発注済みの、要するに建造発注いたしておりますものが七十九万総トンございまして、とれらが大部分竣工いたします昭和三十三年の三月末には、日本の
外航船腹は約三百七十万総トンになるというふうに予想されるわけでございます。昭和三十年度の
外航海運によります
運賃収入は千百四十四億円、ドルにいたしまして三億一千八百万ドルというものになります。輸送の量は二千六百九十万トンに達しておりまして、これを前年度の二十九年度に比較いたしますと、収入におきまして四八労、輸送量におきまして二一%の増加を示しております。今後におきましても船腹の増加に伴いまして、さらに漸増していくということになると思います。また日本の輸出入いたしております貨物のうちで日本船が積み取りました貨物量の比率でございますが、これを
横取り比率と申しておりますが、昭和三十年度におきましては、
輸出貨物の四六%を日本船で積み取っております。前年度は四一%でございましたが、今年度は四六%に上っております。また
輸入貨物は、前年度四七%に対しましては、今年度は五〇%まで日本船で積み取りました。いずれも前年度より上回った
横取り量を示しております。ただ石油の関係につきましては、輸入量が急増いたしましたために、前年度は五八%でございましたが、今年度は五一労というふうにやや低下いたしております。
次に、一般の
海運市況でございますが、三十年以来世界の
経済活動が上昇を続けておりまして、それにささえられまして海運の市況も非常に高い水準に終始いたしました。
世界不定期船運賃指数というものが定められておりますが、これは昭和二十七年を一〇〇といたしまして、三十年の夏までは一二〇の水準を維持しておりましたが、秋口からさらに上って参りました。一四〇になり、三十一年の夏にかけましてただいま一四〇と一五〇との間を推移してきましたが、九月には一五六という数字を示し達して、三十年のピークの十月の一四八をしのいだ上昇を見せております。また一方、用船料の指数におきましても、この
不定期船運賃指数をさらに上回りました。二十九年の秋以降上昇を続けておりまして、三十一年に入りまして五月には一九〇を記録しました。その後一七〇の水準で推移しておりました、三十年の同期に比べまして三〇%高というふうになっております。一方、日本を中心といたしました
各種運賃を見ましても、北米の
太平洋岸の小麦、これは貨物の大宗でございますが、三十年の六月には十ドル五十でありましたものが、年末には十五ドル二十五に上りました。三十一年に入りましても十四ドルないし十六ドルという水準を続けてきております。
同様キューバの砂糖につきましても、三十年には二十ドルをこえまして、三十一年に入りましてもこの水準で推移いたしております。二十八年ころの低迷期に比べますと約二倍の運賃ということになっております。
タンカー市況につきましても、
ペルシャ湾——日本間の運賃は
USMCレートという米国の
基準運賃がありますが、これを一〇〇といたしまして、三十年の年末には一〇〇以上に達しました。三十一年後半を通じまして二二〇から一五〇の間を上下しておるという方向を示しております。また
日本周辺の
定期航路の運賃につきましても、三十年夏以来レベルを回復いたしまして、ようやく安定した状況を示しておるわけでございます。
次に、今後の船舶の建造についてでございますが、右申し上げましたような世界的な好況が続いておりまして、海上の荷動きも非常に増大いたしておりますのに呼応しまして、世界の船腹量はどんどんと増加いたしております。船舶の
建造意欲が非常に世界的に盛んになっております。わが国の百総トン以上の全船腹も逐次増加いたしておるのでありますが、三十一年の八月には三百五十九万トンという数字でございまして、昭和十六年の六百九万トンに比較いたしますと、なお五九%の回復率にすぎないのでございます。この間に世界の船腹が、かつては六千万総
トン程度のものが現在は一億トンにも達しておるという状況を考えますと、相対的にはさらにこの回復率は下回っているということが言えると思うのであります。このために先ほど申し上げましたように、
積取り比率もまだ過去に比べまして低いのでございます。従って運賃の収入という面も、いわゆる
国際収支の改善に寄与するというところまで参っておらないということが言えるのでありまして、外国船をもなお多数用船をいたしております。そういう現状から見ましても
日本船腹をすみやかに増強することが今日必要であると考えるのであります。
現在日本の海運で一番立ちおくれておりますのは、いわゆる定期船の部門でありますが、わが国の
輸出物資の、先ほど申し上げましたように半分を外国船が積んで運んでおるという現状でありまして、またこの船の船質を見ましても、同じ航路に入っております船が外国船に比べまして、日本船はまだ劣勢であるということが言えるのであります。こういうことから見まして、今後特に定期船の整備をすみやかに行う必要があるということが言えるのであります。また
南米方面に移民を行なっておりますが、これがやはり
輸送機関が大事な任務を持っておりまして、この円滑化のためにも移民船の建造が必要であると考えるのであります。また観光によりまして外貨の獲得をはかるという見地からも、
太平洋横断の旅客船を建造する必要があるというふうに考えます。これは現在郵船の
氷川丸一ぱいだけが日本船でございまして、あとは
アメリカ船で
太平洋横断旅客船航路はやっております。これはすみやかに日本の旅客船を作って組み入れたいというふうに考えております。
次に、
不定期船、
タンカーの部門でございますが、
海上荷動きが増大いたしまして、その方面にも船腹の不足を生じておるわけでございます。先ほど申し上げましたように、日本の
輸入物資の
積取り比率はわずかに日本船で五〇%を今運んでいるということでございます。昭和十四年には六三%というものを日本船で運んでおったのでありまして、今後さらに
製鉄原料その他を中心に
輸入物資の量が大幅に増大していくということを考えますと、わが国の
不定期船隊もさらに大きく増強することが必要であると思うのであります。なお、不足期の部門におきましては、船令の古いもの、あるいは性能のまだ劣悪なものが七十万トンにも上っておるのでありまして、これもすみやかに代船を建造いたす必要があるのであります。また現在二十六万トンという外国船を外貨を払って用船して使っております。これも早急に日本船に置換するということが必要であると思うのであります。
次に、
タンカーでございまするが、石油の輸入量が、過般定められました五カ年計画よりもさらに、上回るという傾向があるのでありまして、これに応じまして油送船の建造を促進する必要があるのでございます。
また近年
中共地区及びフィリピンとの間の貿易が非常にふえておりまして、最近の
国際情勢の変化によりまして、ソ連あるいは
中共地区の貿易も漸増するという傾向があるのでありますが、戦後日本の商船隊には、こういう方面に硬いますいわゆる三千総トン前後の
近海海域適船というものが十分でないのでございます。この種船型のものには不足が目立っておりますので、今後こういういわゆる中型船の整備にも特段の考慮を払いたいと考えておる次第でございます。
以上のように、わが国の
輸出入規模の拡大に即応いたしますとともに、世界の海運界が非常に急速に
新船建造をいたしております動向にかんがみまして、こういう海運の好況に恵まれておりますときに、急速に船腹を増強いたしまして、
海運事業の
国際競争力の
培養強化をはかることが今後ますます必要であると考えますので、来年度におきましては定期船、
不定期船、
タンカー合せまして六十万総トンぐらいの日本船を日本の造船所で建造いたしたい、そういうふうに考えております。なお、この六十万総トンは、日本の造船所におきまして来年度十分に建造し得る量でございます。
次に、昭和三十二年度のいわゆる
計画造船でございますが、これは現在まで、終戦以来十二回にわたって
財政資金を入れまして、いわゆる
計画造船というものを行なっております。来年度は第十三次
計画造船になるわけでございますが、この内容といたしましては、定期船が、移民船を含めまして、二十万トン、
不定期船十万トン、油送船五万トン、合計三十五万トンを
財政融資をつけまして、いわゆる
計画造船として建造したい。先ほど申しました六十万総トンは、これを含めましてあと二十五万
トン程度を
自己資金で作ることを期待するというふうになっておるのでございます。この三十五万トンの
計画造船に要します資金は、定期船につきましては、
財政資金を五〇%、
不定期船、
タンカーにつきましては、三〇%つけるというふうにいたしまして、
財政資金が二百十四億九千万円、
市中資金が百九十四億八千万円、
自己調達資金が八十三億三千万円、合計いたしまして四百九十三億円を必要とするわけでございます。
建造期間が三十二年度と三十三年度と両年度にまたがりますので、三十二年度分の要求といたしましては、
財政資金が百九十五億一千万円、
市中資金が百七十八億六千万円、
自己調達資金は八十五億五千万円というものを必要とするわけでございます。
次に、
外航船舶建造に対しまして
利子補給及び
損失補償を法律によっていたしております。この制度は昭和二十五年の第六次の
計画造船からの貨物船につきまして行われております。また
タンカーにつきましては昭和二十六年の第七次後期から始めておるのでありますが、昭和三十一年度におきまして、現在までに支給いたしました
利子補給は二十七億六千九百万円でございます。これが、先ほど申し上げました昭和二十五年及び六年から現在まで
利子補給いたしました総額は九十八億二千二百万円に相なります。本年度実施しております十二次船につきましては、三十隻、
融資機関は二十六銀行、その他になりますが、
対象融資総額十二億七千二百万円に対しまして、本
年度利子補給金一千六百八十八万円につきましては、
目下支給手続をいたしておるところでございます。なお、
利子補給の補給率は、第十一次船までは、
市中金利と年利五分との差、十二次船については
市中金利と年利五分との差の二分の一を補給するという建前にしております。なお、明年度は、
利子補給制度につきましては、最近の
海運企業の
経理内容が、先ほど申し上げましたように、好転しております。これにかんがみまして、明年度建造するいわゆる第十三次
計画造船の分につきましては、十二次船同様に
市中金利と年利五分との差の二分の一の
利子補給契約を締結いたしたいと思うのでありますが、ただ対象の会社は、
利益配当を行なっております会社につきましては、
当該決算期にかかる
利子補給金は実際上支給しないというふうにいたしたいと思っております。また十二次までの過去の
既契約分につきましても、配当する会社につきましては、補給率を二割減にしたいという方針で
予算折衝をしております。
次に、
自己資金で外航船を作る問題でございますが、
海運市況が好転いたしまして、世界の
船舶建造意欲も非常に高揚いたしております。この情勢に対応いたしまして、日本の
海運業者の中にも、
増資払込金あるいは手持ちの老朽船の売却等によりまして
自己調達資金を得まして、これによって
外航船舶をいわゆる
自己資金で建造するというものが漸次増加しておるわけであります。運輸省におきましても、世界の海運の動向とわが国の
造船事情等を考慮いたしまして、
利子補給制度の
対象会社につきましては、この船舶の建造が
当該会社の
企業経営の改善に資すると認められるものにつきまして、
当該船舶の船価、あるいは
資金コスト及び過去の債務の償還等につきましての影響を検討いたしまして、その上でこれの承認を与えております。本年四月以降十月末までに四千五百総トン以上の船舶で、現在申し上げました
自己資金で、発注されましたものが三十八隻、総トン数にいたしまして三十二万三千二百十五トンに上っております。
次に、
海運会社の経営の現状でございますが、昭和二十九年九月期までは
海運市況が低迷いたしておりまして、わが
国外航海運会社の
事業成績はきわめて不良でありましたが、同年の秋ごろから次第に
運賃市況が好転しつつありまして、三十年三月期以降は、ほとんど各社において
事業成績が好転いたしております。三十年度におきましてようやく立ち直りの状況を示したということができるのであります。
利子補給の
対象会社は、ただいま五十六社がございますが、そのうち同一決算期、またはその期の仮決算をいたしました四十八社につきまして概観いたしてみますと、まず、収支の状況でございますが、三十一年の三月期に、この四十八社の
収支状況は、総収入七百九十七億円に対しまして、支出六百四十二億円で、差引百五十五億円の償却前利益を計上いたしております。これが同年九月期になりますと、さらに改善されまして、償却前の利益百九十九億というものが見込まれるようになってきたのでございます。なおこの
減価償却前利益百九十九億円は、当期の
船舶減価償却限度額百十五億円に対しまして八十四億円上回るという利益になるわけでございます。
次に、
設備資金の
借入れ状況でございますが、三十一年の三月末現在におきまして、四十八社の
設備資金の
借入金残高は一千七百五十二億円になります。そのうち
財政資金が一千九十七億円、六三%になります。
市中資金は六百五十五億円、三七%になっておるのであります。
これらの四十八社の
資本構成の状況を見ますと、三十一年の三月末現在で使用総資本二千七百六十四億円でございますが、そのうち
自己資本はわずかに一七・二%の四百七十五億円にすぎません。八二・八%というものが
他人資本、すなわち負債と見ることができるのでありまして、この
資本構成は非常に劣弱であるということが言えると思うのでございます。
次に、
減価償却でございますが、三十一年の三月期に四十八社の
減価償却の限度額は、
普通償却額九十三億円、
特別償却額が二十一億円、合計百十四億円になりますが、これに対しましてこの期の実際償却額は百十六億円に達しまして、なお当期の
普通償却額の九十三億円に比較しますと一二五%ということになるわけでございまして、
特別償却まで完全に償却できるというのは、この期からようやく実施されたわけでございます。しかしながら一方、先ほど申し上げました海運の不況期が相当続いておりましたために、過年度の
償却不足というものが依然として相当残っております。その金額が六百六十三億円という多額に上っておるのでございまして、この
償却不足額を全部回収せしめますためには、なお若干の期間を要すると思うのでございます。
海運会社の
収支状況は以上のように著しく改善されて参りまして、三十一年の三月期におきましては、四十八社全体としまして、実質的な利益を生じたわけでございます。それによりましてこの利益を過去の
繰越欠損及び
償却不足に向けるほかに、一部を株式の配当に使用しまして増資の円滑化をはかり、
資本構成を是正しようという会社が現われて参りました。現在の好況期に配当を復活いたしますことは、
海運会社株式の
投資的価値を維持し、また増資によりまして
自己資本の充実をはかるということにもなりますので、
海運政策上より考慮いたしましてこれも望ましいこととして復配を認めることといたしました。しかしながら一方、営業成績良好な会社でも多額の未
償却資産をかかえ、かつ
金融機関に、利息の一部の支払いが猶予されておるというふうな現状にあるものもありますので、一定の基準を設けまして、その規制のもとにこれを処理いたしておるわけでございます。
以上
外航関係を申し上げましたが、次に内航海運について申し上げます。
現在内航の
汽船船腹は、貨物船で五百四隻、約五十六万八千総トン、油送船で百七十三隻、約七万七千総トン、合計いたしまして六百七十七隻、六十四万五千総トンというものが内
航船船腹でございます。昭和三十年度におきましてこれらの汽船による沿岸の
貨物輸送量は二千五百二十万トン、前年度に比べまして、貨物船によるものは一四%増、油送船によるものは三二%という増加を示しております。また
通常機帆船及び
沿岸タンク船と言われております木船でございますが、これは現在二万一千隻、八十万総トンの船腹がございまして、その
年間輸送量も三千四百万トンに達しております。これは前年度に比べますと一四%の輸送量の増加を示しております。
現在の内航海運は、一方におきまして国鉄の
貨物運賃が政策的に低廉に決定されておりますことが原因の一つとなりまして、
外航近海市況に比較して著しい低運賃に押えられております。他方またこの
船腹構成におきましても、劣悪低能な船舶が多いために
近海就航という機動性はございませんので、非常に企業の安定を欠いておるわけでございます。従いまして、この
運賃調整をはかりますとともに、この低性能の船舶につきまして船質の改善を行なって企業の安定をはかるということが必要であろうと思うのであります。このためD型を中心といたします中型船の三十九隻、約八万七千トンの
ディーゼル化をはかりまして、これらの船の
近海就航を促進するということを考えまして、ただいま
所要資金について折衝を続けております。機帆船についてみますと、その輸送量が内
航輸送量の過半を占めておりますにもかかわりませず、ほとんどがいわゆる
一ぱい船主と言われております
零細企業でございまして、
経済的基礎はきわめて弱いということが言えるのであります。現在
木船運送法によりまして、
指導監督を行なっておりますが、なお
木船運送法のみでは十分木船事業の安定、あるいは
経済的地位の向上をはかることが困難でございます。
小型船海運業を対象とします
小型船海運業者の組合に関する法律をできますれば来国会に提出いたしたいと思いまして、準備を進めておる次第でございます。
この秋冬の繁忙期におきます
国鉄貨物の
駅頭滞貨は二百万トンにも達するというふうに害われておりまして、輸送の円滑化をはかるために、
国鉄貨物の一部を
比較内輸送余力のあるトラック及び内航海運に転移するということを考慮いたしております。このために
地方海運局及び
主要支局ごとに
海運業界の代表を中心としまして、
地方緊急輸送対策連絡会を設けまして、国鉄の在貨状況の把握、海送
希望荷主の
関係機関への
周知あっせん、その他必要な事項を調査研究いたしまして、その方面に努力を続けております。
次に、内航の特殊の業態でございますいわゆる
離島航路の客船の現状でございますが、現在国内の
旅客定期航路事業を営んでおりますものは九百十業者でございまして、この航路数は千三百六に及んでおります。
就航船腹は千百九十五隻、九万一千二百九十五総トンという数字になっておりますが、その
輸送実績を見ますと、昭和三十年四月から三十一年の三月まで一年間に、
旅客輸送人員は約七千三百万人、
手小荷物で約一千五万個、郵便物が二百八万個、貨物は二百四十六万トンという
相当数量の輸送を行なっております。このうち、約八割を占めますものは、いわゆる
離島航路事業者でございまして、その他若干の観光船その他がございますが、約八割はいわゆる離島法の事業者でございまして、地方民の生活上及び
地方産業の
開発振興上、不可欠の役割を果しておるわけでございます。現在これらの事業の重要性にかんがみまして、
離島航路事業者に対しまして、
離島航路整備法に基いて
航路補助金を支給いたしております。これは昭和三十年度で申しますと、
対象航路数三十八に対しまして、三千七百七十四万三千円の補助金を交付いたしております。昭和三十一年度には同じく三十八航路に対しまして、三千十九万四千円の補助をするわけでございます。また
就航船舶の建造及び改造につきまして、
財政資金の供給をはかっております。昭和三十年度におきましては二億七千六百二十万円の
財政資金をこれに供給いたしました。また所要の
市中融資につきましても、年四分の
利子補給を行なっておるのであります。これは昭和三十年度で三百一万四千円、昭和三十一年度で六百九十二万五千円という補助金を支給いたしております。ほお来年度におきましては、
離島航路補助金を
既定航路三十八航路、二十八業者に対しまして、また
新規航路五航路、五業者に対しまして、合計一億一千万日余の補助金及び
利子補給金といたしまして新造船三隻、改造船一隻、合計いたしまして一千十八万四千円を支給いたしたいと思いまして、ただいま要求いたしておるわけでございます。
次に、
スエズ運河問題でございますが、去る七月二十六日に
エジプト大統領が
スエズ運河の国有化宣言をいたしまして、これに端を発しましたいわゆる
スエズ運河の紛争につきましては、その海運に与える影響が非常に大きいのにかんがみまして、運輸省としましては、第一回ロンドン会議に運輸大臣及び官房長が出席いたしまして、この運河通航の安全及び紛争の早期解決を期待しておったわけでございます。英米仏三国が中心になりまして、いわゆる利用者団体というものを作るという案につきましては、同運河の通航の自由と安全が同案によって保障されるかどうかなお不明確でございまして、参加の意義は薄いものという解釈をとって参りました。
しかるに十月以降の戦闘によりまして、運河水域に艦船が沈没いたしまして、事実上運河が閉鎖されるに至ったわけでございます。これによりまして年間一億トンをこえる運河通過貨物がすべてその影響を受けるということになったわけでございまして、世界的に船腹の逼迫あるいは市況の硬化という現象が現われてきたわけでございます。大体運河通航の大宗をなしております中東石油の喜望峰迂回による距離の延伸は約八割に達しまして、油送船の船腹は特に逼迫するということが言えるのであります。また欧州、東南アジアの間の貨物船の運航も、迂回によります経費の増大と船腹の逼迫によりまして運賃の上昇は不可避という情勢になっております。なお運河の再開時期につきましては、あるいは三、四カ月あるいは一年といって、目下のところ明確なところは判明いたしておりません。
日本関係の石油の輸送につきましては、直接運河とは関係いたしませんが、船腹の一般的な逼迫に伴いまして運賃の上昇は避けられないと思うのでございます。また本邦の定期船のうち、運河を経由しまして行っておりますものは、欧州航路あるいは世界一周航路及び中近東航路というものがございます。これらの就航船はすべて現在航路の変更を余儀なくされておりまして、そのためすでに割増料金を課徴しておる状況でございます。
簡単でございますが、以上をもって御説明を終りたいと思います。