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1956-11-27 第25回国会 参議院 運輸委員会 第3号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十一年十一月二十七日(火曜 日) 午後一時十九分開会
—————————————
委員
の異動 十一月二十四日
委員寺本広作
君辞任に つき、その
補欠
として
谷口弥三郎
君を 議長において指名した。
—————————————
出席者
は左の通り。
委員長
戸叶
武君
理事
植竹
春彦
君
三木與吉郎
君 大倉 精一君 江藤 智君
委員
石原幹市郎
君
谷口弥三郎
君 成田 一郎君 平島 敏夫君 堀木 鎌三君 相澤 重明君 柴谷 要君 中村
正雄
君 松浦 清一君
高良
とみ君 村上 義一君 岩間 正男君 国務大臣 運 輸 大 臣 吉野 信次君
政府委員
運輸大臣官房長
朝田 靜夫君
事務局側
常任委員会専門
員 古谷
善亮
君
説明員
運輸省海運局長
粟沢
一男
君
運輸省船舶局長
山下
正雄
君
運輸省船員局長
森
厳夫君
運輸省港湾局長
天埜
良吉君
運輸省港湾局港
政管理官
見坊 力男君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
理事
の
補欠互選
○
運輸事情等
に関する調査の件 (
海運行政
に関する件)
—————————————
戸叶武
1
○
委員長
(
戸叶武
君) これより
運輸委員会
を開会いたします。 まず、
委員
の変更について報告いたします。十一月二十四日
寺本広作
君が辞任せられ、
谷口弥三郎
君が
補欠
選任せられました。 次に、
理事
の
補欠互選
についてお諮りいたします。
理事木島虎藏
君が
委員
を辞任せられましたので、現在
理事
が一名欠員となりましたが、この
互選
は、
成規
の
手続
を省略して、便宜、
委員長
に御一任願うことに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
戸叶武
2
○
委員長
(
戸叶武
君) 御
異議
ないと認めます。それでは
理事
に
植竹春彦
君を指名いたします。
—————————————
戸叶武
3
○
委員長
(
戸叶武
君) 次に、
海運行政
に関する件を議題といたします。 まず、
所管事項
について
粟沢海運局長
より御説明願います。
粟沢一男
4
○
説明員
(
粟沢一男
君)
海運局長粟沢
でございます。 お手元にお配りしました
重要所掌事項説明書
というプリントがございますので、それによりまして御説明申し上げたいと思います。 私
ども運輸省
におきましては、
海運関係
の
行政事務
を
海運局
、
船舶局
、
船員局
、
港湾局
、四局で所掌いたしております。そのほかに
海上保安
につきましては、外局である
海上保安
庁が所掌いたしております。私
ども海運局
におきましては、大体船の
運航関係
、
業界
で申しますと
船会社
、
海運会社
というふうな向きの業務が主でございます。大きく分けまして
外航
、
——対外航路
をやっておりますが、
外航
の
関係
と
国内
の内
航関係
に分けられますが、まず
外航
の方から御説明いたしたいと思います。 ただいま
日本
の三千総
トン
以上の
外航船舶
は、ことしの八月の末に二百九十一万総
トン
という
数字
になっております。ただいまなおこのほかに
発注済み
の、要するに
建造
発注いたしておりますものが七十九万総
トン
ございまして、とれらが大部分竣工いたします
昭和
三十三年の三月末には、
日本
の
外航船腹
は約三百七十万総
トン
になるというふうに予想されるわけでございます。
昭和
三十
年度
の
外航海運
によります
運賃収入
は千百四十四億円、ドルにいたしまして三億一千八百万ドルというものになります。
輸送
の量は二千六百九十万
トン
に達しておりまして、これを前
年度
の二十九
年度
に比較いたしますと、
収入
におきまして四八労、
輸送量
におきまして二一%の
増加
を示しております。今後におきましても
船腹
の
増加
に伴いまして、さらに漸増していくということになると思います。また
日本
の輸出入いたしております
貨物
のうちで
日本船
が積み取りました
貨物量
の
比率
でございますが、これを
横取り比率
と申しておりますが、
昭和
三十
年度
におきましては、
輸出貨物
の四六%を
日本船
で積み取っております。前
年度
は四一%でございましたが、今
年度
は四六%に上っております。また
輸入貨物
は、前
年度
四七%に対しましては、今
年度
は五〇%まで
日本船
で積み取りました。いずれも前
年度
より上回った
横取り量
を示しております。ただ
石油
の
関係
につきましては、
輸入量
が急増いたしましたために、前
年度
は五八%でございましたが、今
年度
は五一労というふうにやや低下いたしております。 次に、一般の
海運市況
でございますが、三十年以来
世界
の
経済活動
が
上昇
を続けておりまして、それにささえられまして
海運
の
市況
も非常に高い
水準
に終始いたしました。
世界不定期船運賃指数
というものが定められておりますが、これは
昭和
二十七年を一〇〇といたしまして、三十年の夏までは一二〇の
水準
を維持しておりましたが、秋口からさらに上って参りました。一四〇になり、三十一年の夏にかけましてただいま一四〇と一五〇との間を推移してきましたが、九月には一五六という
数字
を示し達して、三十年のピークの十月の一四八をしのいだ
上昇
を見せております。また一方、
用船料
の
指数
におきましても、この
不定期船運賃指数
をさらに上回りました。二十九年の秋以降
上昇
を続けておりまして、三十一年に入りまして五月には一九〇を記録しました。その後一七〇の
水準
で推移しておりました、三十年の同期に比べまして三〇%高というふうになっております。一方、
日本
を
中心
といたしました
各種運賃
を見ましても、北米の
太平洋岸
の小麦、これは
貨物
の大宗でございますが、三十年の六月には十ドル五十でありましたものが、年末には十五ドル二十五に上りました。三十一年に入りましても十四ドルないし十六ドルという
水準
を続けてきております。
同様キューバ
の砂糖につきましても、三十年には二十ドルをこえまして、三十一年に入りましてもこの
水準
で推移いたしております。二十八年ころの
低迷期
に比べますと約二倍の
運賃
ということになっております。
タンカー市況
につきましても、
ペルシャ湾——日本
間の
運賃
は
USMCレート
という米国の
基準運賃
がありますが、これを一〇〇といたしまして、三十年の年末には一〇〇以上に達しました。三十一年後半を通じまして二二〇から一五〇の間を上下しておるという方向を示しております。また
日本周辺
の
定期航路
の
運賃
につきましても、三十年夏以来レベルを回復いたしまして、ようやく安定した
状況
を示しておるわけでございます。 次に、今後の
船舶
の
建造
についてでございますが、右申し上げましたような
世界
的な
好況
が続いておりまして、
海上
の
荷動き
も非常に増大いたしておりますのに呼応しまして、
世界
の
船腹量
はどんどんと
増加
いたしております。
船舶
の
建造意欲
が非常に
世界
的に盛んになっております。
わが国
の百総
トン
以上の全
船腹
も逐次
増加
いたしておるのでありますが、三十一年の八月には三百五十九万
トン
という
数字
でございまして、
昭和
十六年の六百九万
トン
に比較いたしますと、なお五九%の
回復率
にすぎないのでございます。この間に
世界
の
船腹
が、かつては六千万総
トン程度
のものが現在は一億
トン
にも達しておるという
状況
を考えますと、相対的にはさらにこの
回復率
は下回っているということが言えると思うのであります。このために先ほど申し上げましたように、
積取り比率
もまだ過去に比べまして低いのでございます。従って
運賃
の
収入
という面も、いわゆる
国際収支
の
改善
に寄与するというところまで参っておらないということが言えるのでありまして、
外国船
をもなお多数
用船
をいたしております。そういう
現状
から見ましても
日本船腹
をすみやかに増強することが今日必要であると考えるのであります。 現在
日本
の
海運
で一番立ちおくれておりますのは、いわゆる
定期船
の
部門
でありますが、
わが国
の
輸出物資
の、先ほど申し上げましたように半分を
外国船
が積んで運んでおるという
現状
でありまして、またこの船の
船質
を見ましても、同じ
航路
に入っております船が
外国船
に比べまして、
日本船
はまだ劣勢であるということが言えるのであります。こういうことから見まして、今後特に
定期船
の
整備
をすみやかに行う必要があるということが言えるのであります。また
南米方面
に
移民
を行なっておりますが、これがやはり
輸送機関
が大事な任務を持っておりまして、この
円滑化
のためにも
移民船
の
建造
が必要であると考えるのであります。また
観光
によりまして
外貨
の獲得をはかるという見地からも、
太平洋横断
の
旅客船
を
建造
する必要があるというふうに考えます。これは現在郵船の
氷川丸一ぱい
だけが
日本船
でございまして、あとは
アメリカ船
で
太平洋横断旅客船航路
はやっております。これはすみやかに
日本
の
旅客船
を作って組み入れたいというふうに考えております。 次に、
不定期船
、
タンカー
の
部門
でございますが、
海上荷動き
が増大いたしまして、その
方面
にも
船腹
の
不足
を生じておるわけでございます。先ほど申し上げましたように、
日本
の
輸入物資
の
積取り比率
はわずかに
日本船
で五〇%を今運んでいるということでございます。
昭和
十四年には六三%というものを
日本船
で運んでおったのでありまして、今後さらに
製鉄原料
その他を
中心
に
輸入物資
の量が大幅に増大していくということを考えますと、
わが国
の
不定期船隊
もさらに大きく増強することが必要であると思うのであります。なお、
不足期
の
部門
におきましては、
船令
の古いもの、あるいは
性能
のまだ劣悪なものが七十万
トン
にも上っておるのでありまして、これもすみやかに代船を
建造
いたす必要があるのであります。また現在二十六万
トン
という
外国船
を
外貨
を払って
用船
して使っております。これも早急に
日本船
に置換するということが必要であると思うのであります。 次に、
タンカー
でございまするが、
石油
の
輸入量
が、過般定められました五カ年
計画
よりもさらに、上回るという
傾向
があるのでありまして、これに応じまして
油送船
の
建造
を促進する必要があるのでございます。 また近年
中共地区
及びフィリピンとの間の
貿易
が非常にふえておりまして、最近の
国際情勢
の変化によりまして、ソ連あるいは
中共地区
の
貿易
も漸増するという
傾向
があるのでありますが、戦後
日本
の
商船隊
には、こういう
方面
に硬いますいわゆる三千総
トン
前後の
近海海域適船
というものが十分でないのでございます。この
種船型
のものには
不足
が目立っておりますので、今後こういういわゆる
中型船
の
整備
にも特段の考慮を払いたいと考えておる次第でございます。 以上のように、
わが国
の
輸出入規模
の拡大に即応いたしますとともに、
世界
の
海運界
が非常に急速に
新船建造
をいたしております
動向
にかんがみまして、こういう
海運
の
好況
に恵まれておりますときに、急速に
船腹
を増強いたしまして、
海運事業
の
国際競争力
の
培養強化
をはかることが今後ますます必要であると考えますので、来
年度
におきましては
定期船
、
不定期船
、
タンカー
合せまして六十万総
トン
ぐらいの
日本船
を
日本
の
造船所
で
建造
いたしたい、そういうふうに考えております。なお、この六十万総
トン
は、
日本
の
造船所
におきまして来
年度
十分に
建造
し得る量でございます。 次に、
昭和
三十二
年度
のいわゆる
計画造船
でございますが、これは現在まで、終戦以来十二回にわたって
財政資金
を入れまして、いわゆる
計画造船
というものを行なっております。来
年度
は第十三次
計画造船
になるわけでございますが、この
内容
といたしましては、
定期船
が、
移民船
を含めまして、二十万
トン
、
不定期船
十万
トン
、
油送船
五万
トン
、
合計
三十五万
トン
を
財政融資
をつけまして、いわゆる
計画造船
として
建造
したい。先ほど申しました六十万総
トン
は、これを含めましてあと二十五万
トン程度
を
自己資金
で作ることを期待するというふうになっておるのでございます。この三十五万
トン
の
計画造船
に要します
資金
は、
定期船
につきましては、
財政資金
を五〇%、
不定期船
、
タンカー
につきましては、三〇%つけるというふうにいたしまして、
財政資金
が二百十四億九千万円、
市中資金
が百九十四億八千万円、
自己調達資金
が八十三億三千万円、
合計
いたしまして四百九十三億円を必要とするわけでございます。
建造期間
が三十二
年度
と三十三
年度
と両
年度
にまたがりますので、三十二
年度
分の要求といたしましては、
財政資金
が百九十五億一千万円、
市中資金
が百七十八億六千万円、
自己調達資金
は八十五億五千万円というものを必要とするわけでございます。 次に、
外航船舶建造
に対しまして
利子補給
及び
損失補償
を
法律
によっていたしております。この
制度
は
昭和
二十五年の第六次の
計画造船
からの
貨物船
につきまして行われております。また
タンカー
につきましては
昭和
二十六年の第七次後期から始めておるのでありますが、
昭和
三十一
年度
におきまして、現在までに支給いたしました
利子補給
は二十七億六千九百万円でございます。これが、先ほど申し上げました
昭和
二十五年及び六年から現在まで
利子補給
いたしました
総額
は九十八億二千二百万円に相なります。本
年度
実施しております十二次船につきましては、三十隻、
融資機関
は二十六銀行、その他になりますが、
対象融資総額
十二億七千二百万円に対しまして、本
年度利子補給金
一千六百八十八万円につきましては、
目下支給手続
をいたしておるところでございます。なお、
利子補給
の
補給率
は、第十一次船までは、
市中金利
と
年利
五分との差、十二次船については
市中金利
と
年利
五分との差の二分の一を補給するという建前にしております。なお、
明年度
は、
利子補給制度
につきましては、最近の
海運企業
の
経理内容
が、先ほど申し上げましたように、好転しております。これにかんがみまして、
明年度
建造
するいわゆる第十三次
計画造船
の分につきましては、十二次船同様に
市中金利
と
年利
五分との差の二分の一の
利子補給契約
を締結いたしたいと思うのでありますが、ただ
対象
の
会社
は、
利益配当
を行なっております
会社
につきましては、
当該決算期
にかかる
利子補給金
は実際上支給しないというふうにいたしたいと思っております。また十二次までの過去の
既契約分
につきましても、
配当
する
会社
につきましては、
補給率
を二割減にしたいという方針で
予算折衝
をしております。 次に、
自己資金
で
外航船
を作る問題でございますが、
海運市況
が好転いたしまして、
世界
の
船舶建造意欲
も非常に高揚いたしております。この
情勢
に対応いたしまして、
日本
の
海運業者
の中にも、
増資払込金
あるいは手持ちの
老朽船
の
売却等
によりまして
自己調達資金
を得まして、これによって
外航船舶
をいわゆる
自己資金
で
建造
するというものが漸次
増加
しておるわけであります。
運輸省
におきましても、
世界
の
海運
の
動向
と
わが国
の
造船事情等
を考慮いたしまして、
利子補給制度
の
対象会社
につきましては、この
船舶
の
建造
が
当該会社
の
企業経営
の
改善
に資すると認められるものにつきまして、
当該船舶
の
船価
、あるいは
資金コスト
及び過去の債務の
償還等
につきましての影響を検討いたしまして、その上でこれの承認を与えております。本年四月以降十月末までに四千五百総
トン
以上の
船舶
で、現在申し上げました
自己資金
で、発注されましたものが三十八隻、総
トン
数にいたしまして三十二万三千二百十五
トン
に上っております。 次に、
海運会社
の
経営
の
現状
でございますが、
昭和
二十九年九月期までは
海運市況
が低迷いたしておりまして、わが
国外航海運会社
の
事業成績
はきわめて不良でありましたが、同年の秋ごろから次第に
運賃市況
が好転しつつありまして、三十年三月期以降は、ほとんど各社において
事業成績
が好転いたしております。三十
年度
におきましてようやく立ち直りの
状況
を示したということができるのであります。
利子補給
の
対象会社
は、ただいま五十六社がございますが、そのうち同一
決算期
、またはその期の仮
決算
をいたしました四十八社につきまして概観いたしてみますと、まず、
収支
の
状況
でございますが、三十一年の三月期に、この四十八社の
収支状況
は、総
収入
七百九十七億円に対しまして、支出六百四十二億円で、差引百五十五億円の
償却
前
利益
を計上いたしております。これが同年九月期になりますと、さらに
改善
されまして、
償却
前の
利益
百九十九億というものが見込まれるようになってきたのでございます。なおこの
減価償却
前
利益
百九十九億円は、
当期
の
船舶減価償却限度額
百十五億円に対しまして八十四億円上回るという
利益
になるわけでございます。 次に、
設備資金
の
借入れ状況
でございますが、三十一年の三月末現在におきまして、四十八社の
設備資金
の
借入金残高
は一千七百五十二億円になります。そのうち
財政資金
が一千九十七億円、六三%になります。
市中資金
は六百五十五億円、三七%になっておるのであります。 これらの四十八社の
資本構成
の
状況
を見ますと、三十一年の三月末現在で使用総
資本
二千七百六十四億円でございますが、そのうち
自己資本
はわずかに一七・二%の四百七十五億円にすぎません。八二・八%というものが
他人資本
、すなわち負債と見ることができるのでありまして、この
資本構成
は非常に劣弱であるということが言えると思うのでございます。 次に、
減価償却
でございますが、三十一年の三月期に四十八社の
減価償却
の
限度額
は、
普通償却額
九十三億円、
特別償却額
が二十一億円、
合計
百十四億円になりますが、これに対しましてこの期の実際
償却額
は百十六億円に達しまして、なお
当期
の
普通償却額
の九十三億円に比較しますと一二五%ということになるわけでございまして、
特別償却
まで完全に
償却
できるというのは、この期からようやく実施されたわけでございます。しかしながら一方、先ほど申し上げました
海運
の
不況期
が相当続いておりましたために、過
年度
の
償却不足
というものが依然として相当残っております。その金額が六百六十三億円という
多額
に上っておるのでございまして、この
償却不足額
を全部回収せしめますためには、なお若干の
期間
を要すると思うのでございます。
海運会社
の
収支状況
は以上のように著しく
改善
されて参りまして、三十一年の三月期におきましては、四十八社全体としまして、実質的な
利益
を生じたわけでございます。それによりましてこの
利益
を過去の
繰越欠損
及び
償却不足
に向けるほかに、一部を
株式
の
配当
に使用しまして
増資
の
円滑化
をはかり、
資本構成
を是正しようという
会社
が現われて参りました。現在の
好況期
に
配当
を復活いたしますことは、
海運会社株式
の
投資的価値
を維持し、また
増資
によりまして
自己資本
の充実をはかるということにもなりますので、
海運政策
上より考慮いたしましてこれも望ましいこととして復配を認めることといたしました。しかしながら一方、営業成績良好な
会社
でも
多額
の未
償却資産
をかかえ、かつ
金融機関
に、利息の一部の支払いが猶予されておるというふうな
現状
にあるものもありますので、一定の
基準
を設けまして、その規制のもとにこれを処理いたしておるわけでございます。 以上
外航関係
を申し上げましたが、次に内
航海運
について申し上げます。 現在
内航
の
汽船船腹
は、
貨物船
で五百四隻、約五十六万八千総
トン
、
油送船
で百七十三隻、約七万七千総
トン
、
合計
いたしまして六百七十七隻、六十四万五千総
トン
というものが内
航船船腹
でございます。
昭和
三十
年度
におきましてこれらの
汽船
による
沿岸
の
貨物輸送量
は二千五百二十万
トン
、前
年度
に比べまして、
貨物船
によるものは一四%増、
油送船
によるものは三二%という
増加
を示しております。また
通常機帆船
及び
沿岸タンク船
と言われております
木船
でございますが、これは現在二万一千隻、八十万総
トン
の
船腹
がございまして、その
年間輸送量
も三千四百万
トン
に達しております。これは前
年度
に比べますと一四%の
輸送量
の
増加
を示しております。 現在の内
航海運
は、一方におきまして
国鉄
の
貨物運賃
が政策的に低廉に決定されておりますことが原因の一つとなりまして、
外航近海市況
に比較して著しい低
運賃
に押えられております。他方またこの
船腹構成
におきましても、劣悪低能な
船舶
が多いために
近海就航
という
機動性
はございませんので、非常に
企業
の安定を欠いておるわけでございます。従いまして、この
運賃調整
をはかりますとともに、この低
性能
の
船舶
につきまして
船質
の
改善
を行なって
企業
の安定をはかるということが必要であろうと思うのであります。このためD型を
中心
といたします
中型船
の三十九隻、約八万七千
トン
の
ディーゼル化
をはかりまして、これらの船の
近海就航
を促進するということを考えまして、ただいま
所要資金
について
折衝
を続けております。
機帆船
についてみますと、その
輸送量
が内
航輸送量
の過半を占めておりますにもかかわりませず、ほとんどがいわゆる
一ぱい船主
と言われております
零細企業
でございまして、
経済的基礎
はきわめて弱いということが言えるのであります。現在
木船運送法
によりまして、
指導監督
を行なっておりますが、なお
木船運送法
のみでは十分木
船事業
の安定、あるいは
経済的地位
の向上をはかることが困難でございます。
小型船海運業
を
対象
とします
小型船海運業者
の組合に関する
法律
をできますれば来国会に提出いたしたいと思いまして、準備を進めておる次第でございます。 この秋冬の
繁忙期
におきます
国鉄貨物
の
駅頭滞貨
は二百万
トン
にも達するというふうに害われておりまして、
輸送
の
円滑化
をはかるために、
国鉄貨物
の一部を
比較内輸送余力
のあるトラック及び内
航海運
に転移するということを考慮いたしております。このために
地方海運局
及び
主要支局ごと
に
海運業界
の代表を
中心
としまして、
地方緊急輸送対策連絡会
を設けまして、
国鉄
の在貨
状況
の把握、海送
希望荷主
の
関係機関
への
周知あっせん
、その他必要な
事項
を調査研究いたしまして、その
方面
に努力を続けております。 次に、
内航
の特殊の業態でございますいわゆる
離島航路
の客船の
現状
でございますが、現在
国内
の
旅客定期航路事業
を営んでおりますものは九百十
業者
でございまして、この
航路数
は千三百六に及んでおります。
就航船腹
は千百九十五隻、九万一千二百九十五総
トン
という
数字
になっておりますが、その
輸送実績
を見ますと、
昭和
三十年四月から三十一年の三月まで一年間に、
旅客輸送人員
は約七千三百万人、
手小荷物
で約一千五万個、
郵便物
が二百八万個、
貨物
は二百四十六万
トン
という
相当数量
の
輸送
を行なっております。このうち、約八割を占めますものは、いわゆる
離島航路事業者
でございまして、その他若干の
観光船
その他がございますが、約八割はいわゆる
離島法
の
事業者
でございまして、
地方民
の生活上及び
地方産業
の
開発振興
上、不可欠の役割を果しておるわけでございます。現在これらの
事業
の
重要性
にかんがみまして、
離島航路事業者
に対しまして、
離島航路整備法
に基いて
航路補助金
を支給いたしております。これは
昭和
三十
年度
で申しますと、
対象航路
数三十八に対しまして、三千七百七十四万三千円の
補助金
を交付いたしております。
昭和
三十一
年度
には同じく三十八
航路
に対しまして、三千十九万四千円の
補助
をするわけでございます。また
就航船舶
の
建造
及び
改造
につきまして、
財政資金
の供給をはかっております。
昭和
三十
年度
におきましては二億七千六百二十万円の
財政資金
をこれに供給いたしました。また
所要
の
市中融資
につきましても、年四分の
利子補給
を行なっておるのであります。これは
昭和
三十
年度
で三百一万四千円、
昭和
三十一
年度
で六百九十二万五千円という
補助金
を支給いたしております。ほお来
年度
におきましては、
離島航路補助金
を
既定航路
三十八
航路
、二十八
業者
に対しまして、また
新規航路
五
航路
、五
業者
に対しまして、
合計
一億一千万日余の
補助金
及び
利子補給金
といたしまして新
造船
三隻、
改造船
一隻、
合計
いたしまして一千十八万四千円を支給いたしたいと思いまして、ただいま要求いたしておるわけでございます。 次に、
スエズ運河
問題でございますが、去る七月二十六日に
エジプト大統領
が
スエズ運河
の国有化宣言をいたしまして、これに端を発しましたいわゆる
スエズ運河
の紛争につきましては、その
海運
に与える影響が非常に大きいのにかんがみまして、
運輸省
としましては、第一回ロンドン会議に運輸大臣及び官房長が出席いたしまして、この運河通航の安全及び紛争の早期解決を期待しておったわけでございます。英米仏三国が
中心
になりまして、いわゆる利用者団体というものを作るという案につきましては、同運河の通航の自由と安全が同案によって保障されるかどうかなお不明確でございまして、参加の意義は薄いものという解釈をとって参りました。 しかるに十月以降の戦闘によりまして、運河水域に艦船が沈没いたしまして、事実上運河が閉鎖されるに至ったわけでございます。これによりまして年間一億
トン
をこえる運河通過
貨物
がすべてその影響を受けるということになったわけでございまして、
世界
的に
船腹
の逼迫あるいは
市況
の硬化という現象が現われてきたわけでございます。大体運河通航の大宗をなしております中東
石油
の喜望峰迂回による距離の延伸は約八割に達しまして、
油送船
の
船腹
は特に逼迫するということが言えるのであります。また欧州、東南アジアの間の
貨物船
の運航も、迂回によります経費の増大と
船腹
の逼迫によりまして
運賃
の
上昇
は不可避という
情勢
になっております。なお運河の再開時期につきましては、あるいは三、四カ月あるいは一年といって、目下のところ明確なところは判明いたしておりません。
日本
関係
の
石油
の
輸送
につきましては、直接運河とは
関係
いたしませんが、
船腹
の一般的な逼迫に伴いまして
運賃
の
上昇
は避けられないと思うのでございます。また本邦の
定期船
のうち、運河を経由しまして行っておりますものは、欧州
航路
あるいは
世界
一周
航路
及び中近東
航路
というものがございます。これらの就航船はすべて現在
航路
の変更を余儀なくされておりまして、そのためすでに割増料金を課徴しておる
状況
でございます。 簡単でございますが、以上をもって御説明を終りたいと思います。
戸叶武
5
○
委員長
(
戸叶武
君) 次に、山下
船舶局
長より御説明をお願いいたします。
山下正雄
6
○
説明員
(山下
正雄
君) 私、
船舶局
長の山下でございます。今後いろいろ御指導、御鞭撻をお願い申し上げます。 簡単に
船舶局
の事務の
内容
につきまして御報告申し上げたいと思います。
船舶局
には、監理課、
造船
課、関連工業課、登録測度課、検査
制度
課、
船舶
技術管理官という、五課、一管理官という
制度
をもちまして、船の
建造
並びに修繕をやります
造船所
の設備の問題、またその技術の問題、そのほか船の検査というような問題、すなわち船の安全という問題でございまするが、そういうような事務を所掌いたしております。 次に、おもな私どもでやっております重要問題につきまして簡単にお話を申し上げたいと思います。お手元に、事務概要説明資料というのがございますが、そのうち要点のみ拾いあげまして御説明を申し上げます。
運輸省
に
海運
造船
合理化審議会というのを設けておりまして、
海運
造船
に関しまして、ここに書いてございますように、
船舶
の需給
計画
に関する
事項
、
船舶
建造
等のための
資金
に関する
事項
、新造
船舶
の原価の低減に関する
事項
というように、そのほかいろいろ、約六項目に分けまして審議する
事項
を掲げておりますが、これらの
事項
につきまして、その審議会におきまして今まで約十四の問題につきまして、大臣の諮問に応じまして御答申をいただいております。ただいまこの審議会に諮問をされております
事項
は、この十四号にございます
造船
関連工業の振興対策についてというような
事項
につきまして御諮問がございました。この審議会といたしましていろいろ研究をいたしております。 次に、
造船
設備の近代化でございますが、終戦後
造船
の設備につきまして大幅な近代化が行われました。
昭和
二十五年から九年までの五カ年の間に約百六十億の
設備資金
が投下されました。そのために
造船所
の設備の合理化が非常に進みまして、そのために外国と太刀打ちして十分競争し得るような安くかつりっぱな船ができるように慮ったのでございます。三十
年度
は約六十三億が投下されております。三十一
年度
は約八十三億に達するということでございます。しかし何にしましても、この
設備資金
につきましては、
財政資金
のてこ入れということが非常に大きなウエートを示す。
財政資金
が開発銀行等から調達されましたときには、初めて市中銀行がこれは応ずるというようなケースが非常に多いわけでございます。従いまして私どもとしましては、今後とも
造船
施設の近代化向上のためには、
財政資金
等の御援助をぜひお願い申し上げたいと思っております。 次に、中小
造船所
の振興対策でございますが、最近大型工場が輸出船または
国内
船の注文を大量に受けましてほとんど手が一ぱいというような
状況
でございます。しかし中小
造船所
におきましては、今までそういうようないわゆる
海運
好況
の恩恵に浴しておりませんが、しかし最近に至りまして大型船の
好況
と同時に、やはり小さい中小の船の
建造
が相当旺盛に行われるような
状況
にあります。しかもこれらの中小
企業
の
造船所
は今まで組織化されておりません。もちろん
日本
造船
工業会におきましては、中小
企業
に門戸を今までも開いておったわけでございますが、中小
企業
としまして、これらの工業会を利用するという面が非常に少いために、これに加入をいたしませんでございました。しかし御承知のように、現在鋼材の問題とか、労務の問題とか、
資金
の問題とか、そういう問題が大きなウエートを占めてきておりますので、中小
造船所
もやはり組織化されまして、これらの団体の力によりまして、また私どもがこれらの団体を適当に指導することによりまして、この中小
企業
を振興いたしたいと、こういうふうに考えておるのでございます。この案はことしの初めごろからいろいろ練りまして、
造船
工業会ともいろいろ相談をいたしました。最近に至りまして、中小
企業
は地区別に協議会を結成いたしまして、この協議会が
造船
工業会に団体加入をするということに相なります。また
造船
工業会の中に中小
企業
を専門に取り扱います中小
企業
の対策部というものを作りまして、ここで真剣にこの問題について解決をいたしていくというふうに考えております。 次に、
造船
業の現況でございますが、本年の九月末現在におきまして、工事中の許可いたしました船が百十二万
トン
ございます。それから許可いたしましたが、まだ工事に着手しておりません船が二百七十三万
トン
、
合計
三百八十五万総
トン
という大きな数量をかかえております。そのうち
国内
船は六十五万
トン
、輸出船は三百二十万
トン
というような内訳で、輸出船が全体の八三%を占めているというような大きな輸出船の
状況
でございます。しかし現在の
情勢
としまして、
国内
の
海運
を急速に拡充しなければならぬという要請が非常に強いわけでございます。従いまして私ども本年の初めごろから、ぜひ一つ早い納期の船台は
国内
船のためにリザーブして、輸出船はあと回しにした方がいいというようなことを申しまして、いろいろ
造船所
を指導して参りましたが、しかしこれらの現在やっております輸出船は、二年前または二年半前にすでに契約を終った船が多いわけでございます。従いまして今直ちに
国内
船が急速に割り込むということが非常な困難な
状況
にございまするが、しかし来
年度
におきましては、輸出船とほぼひとしいくらいの船が着工できるような段取りになるであろうというふうに予想されております。もちろんそれには
建造
資金
が十分に
国内
から調達できるということが一つの条件になろうかと思います。また将来とも、このような
造船
のブームが続きます上は、二年あと、または三年あとに、いわゆる
国内
船の船台がなくて困るというような事態が起る心配がございます。従いましてこれらの心配を未然に防ぎますためには、やはり長期に船を作り得るという国の
資金
繰り、金のアレンジというものを十分今から考えておきませんと、その当座になりましてからまた船台がないというようなことになろうかと思います。 次に、この輸出船の契約の
状況
でございまするが、六の輸出船の現況というところでございまするが、三十一
年度
には、すでに三億七千四百万ドルの契約をいたしております。しかもこれらの支払い条件が非常に有利になってきております。それから輸出船の問題で一番今後私どもとしまして、または
造船
業界
としまして注意しなければなりません問題は、現在おもにギリシャ系の米国人の船主からの注文でございます。いわゆるニューヨーク市場がこの注文の大半を占めております。欧州市場とか中近東、東南アジアというような
方面
からは非常に注文が少い、従いまして私どもとしましては、将来欧州、中近東、東南アジア
方面
からも多く注文を受けるように努力をしなければならぬと思います。しかしこれは、これらの国々におきましては、なかなか
資金
面が困難でありまして、これらの
資金
を、たとえば輸出の帳じりを合せるとか、またはクレジットを設定するとかいうようないろいろな
日本
の
貿易
の政策の面から解決しなければならぬ点が相当あるのではなかろうかと思います。しかし何にしましても、
日本
の
造船
というものをニューヨークの市場のみにたよるということは非常に危険があるのではなかろうか、また、ことに東南アジア
方面
の国々のいろいろの経済的援助をするという意味からしましても、こういうような船の
建造
をもう少しバラエティを持たせていくのが望ましい、こういうふうに考えております。 それから輸出振興の面で、実は本
年度
の予算におきまして、輸出船のアフター・サービスのためにニューヨークにサービス・センターを設けまして、そしていろいろの
日本
でできました船の悪い点やら、または船主のいろいろの要求を聞きまして、輸出船が今後ますます飛躍するようにということを考えたわけでございまするが、しかしこの予算の面で、予算の使い方につきましていろいろ問題がございまして、実はそれを延期することにいたしております。しかしそのかわり、方向を少しかえまして、
世界
の
船舶
建造
の市場の総合調査を行いましたり、または東南アジア諸国の
国内
の
沿岸
またはその各国相互間の
海上
交通の調査を行いたい。
日本
におきまして東南アジアの国々の
国内
の川を航行します船の研究が非常に不十分でございます。従いましてこれらの国々に技術者を派遣いたしまして、船の実際の
状況
を調べて、これに対する研究を進めるのが最も適当ではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。また、そういうようなことで今
年度
の一千五百十万円という予算の組みかえを今大蔵省の方にもお願いを申し上げておる次第でございます。 次に、フィリピンとの中間賠償協定に基きます沈船の引き揚げの問題でございまするが、作業は大体順調に進行をいたしまして、ほとんど完成をいたしております。フィリピンの政府からも、私の方から検査官が向うに行っていましたが、検査官にも深い感謝の意を表するような手紙をちょうだいしております。日比の親善のためにサルベージ
事業
を通じまして大きな貢献をいたしたことを喜んでおります。 次に、
造船
の関連工業の現況でございますが、先ほど申し上げましたように、
日本
の
造船
工業で劣る点ありとすれば、この関連工業の問題でございます。従いまして私ども大臣の諮問に答えるべきいろいろの点を今ディスカッションいたしております。この結論は近く出ると、こういうふうに思っておりますから、その結論に基きまして私ども並びに
業界
と歩調を合せまして、大いに関連工業の進行をはかりたいと、こういうふうに考えております。 それからモーターボートの競走を実は私どもで監督をいたしております。この問題は割合に地方で大きな摩擦を起すこともなく順調に仕事が進んでおるのではなかろうか、こういうふうに考えております。地方財政の寄与の面におきましても、
昭和
二十九
年度
は八億三千八百万円、
昭和
三十
年度
には九億九千九百万円というような地方財政に寄与をいたしております。また納入金
制度
によりまして納入されました売り上げの一部を
日本
の機械工業の振興のために有効に利用いたしております。その利用等につきましては、斯界のエキスパートにお集まり願って、いろいろ使途につきまして御相談を申し上げ、そして有効にこれらの納入金の利用をいたしております。 それから次に、
造船
技術審議会というのがございます。これは
昭和
二十四年の六月に
運輸省
の設置法並びに
造船
技術審議会令によりまして設置されました。
造船
に関します重要な
事項
につきまして御審議を願っております。今まで六つほど大臣の諮問に対して答申をしておるわけであります。 それからそのほかに船の登録という問題、また船の
トン
数をきめます積量測度というような仕事、そのほか船の検査——安全検査でございます。そういうような仕事をやっております。 以上簡単でございましたが、私どもの仕事の概況を御報告申し上げます。
戸叶武
7
○
委員長
(
戸叶武
君) 次に、森
船員局
長より御説明を願います。
森厳夫
8
○
説明員
(森
厳夫君
)
船員局
長の森厳夫でございます。これからいろいろ御指導、御支援をお願いいたします。 ただいまから
船員局
のやっております仕事につきまして、ごく大ざっぱに御説明申し上げたいと思います。
船員局
は船員労働問題、あるいは船員の労働
基準
の問題、さらに
船舶
職員の定員とか、その試験に関する問題、それから船員教育に関する問題及び船員の福利厚生に関する問題、こういうようなものを大体において所管いたしております。で、そのうちの現在問題になっております若干のものを取り上げましてごく簡単に御説明申し上げたいと思います。 まず、船員労働問題でございます。
海運界
におきましては全
日本
海員組合という産業別単一労働組合がございまして、八万余の組合員を持っております。そしてこれは国際自由労働組合連盟及び国際運輸労働組合連盟にも加盟いたしており、また全
日本
労働組合会議のメンバーでございます。この組合は船主団体連合会との間に統一労働協約を締結しており、また個々の船主のグループとの間にもそれぞれの労働協約を持っております。この組合の最近の動きといたしましては、十月に全国大会が行われましたが、その運動方針といたしまして、積極的に賃金闘争を展開するということ、さらに船員の老後の生活安定のために年金
制度
の設置を推し進めるということを強く押し出しております。 次に、労働
基準
の問題でございます。これは御承知のように船員法というのが
昭和
二十二年に制定せられておりまして、それ以来今まで約九カ年間実施いたし、その趣旨の徹底に努めて参りますとともに、船員労務官というのによりましてこの
指導監督
、並びに悪質な者はこれを司法警察職員として摘発を行うという方法でやって参りました結果、だんだんこの趣旨も徹底しまして、
法律
施行のころは相当の違反数がございましたが、最近におきましては、当初と比べまして違反数も若干減っておるような
状況
でございます。なおこの船員法は
昭和
二十二年の制定でございまして、占領中の制定でございます。その後いろいろ
情勢
の変化したこともございますし、また
法律
施行後の経験にも徴し、あるいはまた労働
基準
法——陸上の労働幕準法の改正というようなことも勘案いたしまして、さらに検討を加える必要もありますので、現在船員中央労働
委員
会に諮問いたして、これに関する改正点について審議をいたしておるような
状況
でございます。 次に、船員の福利厚生の施設について若干申し上げますと、福利厚生施設として行われておりますのは、大きなものは船員の寮とそれから医療の施設でございます。これらの施設は、あるいは地方公共団体によって行われ、あるいは公益法人によって行われ、さらに船員保険の
関係
で行われております。その数も相当の数に上っておりますけれども、組織的にも財政的にもまだ不備な点がありますので、これをさらに健全に発育、発展させるように国としても助成の方途が必要かと存じまして、これを研究しておるような次第でございます。 次に、船員の外傷性脊髄障害について一言申し上げますと、けい肺等の特別保護法が施行せられまして、陸上の労働者に対しましては外傷性脊髄の障害についても立法が行われましたが、
海上
につきましてはまだこれはおくれておりますので、目下厚生省と連絡をとりまして、これに対する措置を検討いたしておる次第でございます。 次に、優秀船員の確保の問題について一言述べたいと思います。先ほど
海運局
長からの御説明にもございましたように、
日本
の
海運
は非常な勢いをもって最近
船腹
を拡充しております。それとともに優秀な船員を確保するということは非常な急務でございまして、そのために新しく優秀な船員を教育するとともに、今までおるところの既成船員を再教育いたしまして、さらに重要な仕事をしてもらうということが必要でございますので、その措置を講じておる次第でございます。具体的に多少申し上げますと、ことに再教育でございます。現在存在しておる船員を再教育いたしまして、高級の士官に使うという施設でございます。この海技専門学院は、従来神戸の商船大学と一諸におったのでございますが、これを
整備
するために昨年分離いたしました。そのために施設で進歩した分ももちろんあるのでございますが、今まで大学と共用いたしておりましたところの教材とか設備等につきまして不備のものが非常に多いのでございます。これを
整備
いたしまして、教育上、ことにこれらの船員再教育の必要に応じていくために、これは一度にはできませんから、数カ年の
計画
によってやっていきたいという考え方でございます。 それから遠洋航海訓練の強化について申し上げます。これは
船舶
職員の養成につきまして、特に高級船員は、大学、高等学校等で教育せられておるのでございますが、これらを船に乗せて、そして実習させるところの機関でございます。これは航海訓練所と称しまして、
運輸省
にあるのでございます。ここに六隻の練習船を持っております。しかし現在予算の
関係
から二隻しか外国への遠洋航海を実施しておりません。これは優秀な高級船員を養成するためにははなはだ不備でございますので、来
年度
からはこれらの船を全面的に活用いたしまして、遠洋航海もやりまして、優秀な船員を養成いたしたいということを考えております。 今申し上げましたのは高級な船員の養成でございますが、そのほかに小型船に要する比較的低い
程度
の免状でございます。こういう職員を養成することが、海難防止の面から行きましても非常に必要でございますので、これらの船員、乗組員の優秀な者を養成するために、このためには特別の教育機関が現在ございませんので、講習をやりまして、その講習をした者を試験をするという
制度
をとっておりますが、この
方面
におきましてもさらに国庫
補助
を与えまして、これを奨励していきたいと存じております。 最後に、
船舶
職員法の問題について申し上げたいと思います。
船舶
職員法は、御承知のように
船舶
乗組員の高級船員でございますが、これの最小限度の定員とか、それの資格試験とかいうようなものを規定しておるのでございますが、
昭和
二十六年の十月十五日に改正実施せられて今日に及んでおるのでございまして、これに基く免状の免許の件数も十万をこえておるような次第でございます。しかしこの
法律
の施行に当りましては、資格定員表が従来よりも高くなりましたので、経過的に緩和された定員表をもって実施するという特別措置をとりまして、二十九年の三月までその特別措置で行こうと、それから後は本来の定員表に返るという趣旨であったのでございますが、その後鋭意その資格者の充足養成に力を注ぎましたにもかかわりませず、この法廷資格者の充足が困難でございまして、二十九年及び三十一
年度
の両
年度
にわたって
法律
の完全施行を延期しておるのでございます。一方またその資格定員表の問題のほかにも、免許更新
制度
等につきまして改正の要望が相当強うございます。また法定資格者の充足の問題も相当困難な部分もございまして、その辺のところをもう一度検討して、
法律
改正を行う必要があるということで、現在のこれの改正案の審議を行なっているような
状況
でございます。いずれ案ができました際におきましては、いろいろお世話になることと存じます。 大へん簡単でございますが、
船員局
関係
のごく概略を御説明いたしました。
戸叶武
9
○
委員長
(
戸叶武
君) 次に、
天埜
港湾局
長より御説明願います。
天埜良吉
10
○
説明員
(
天埜
良吉君)
運輸省
の
港湾局
長の
天埜
でございます。よろしくお願いいたします。
港湾局
には、管理、倉庫、
計画
、建設、機材の五課がございます。それに港
政管理官
付というのをもって組織しておりまして、定員は百四十三名に、統計の要員として常勤労務者十二名を持っております。それで工事または事務執行機関といたしまして、四つの港湾建設局がございます。また港湾運送業務、それから倉庫業務の助成、監督に十の
海運局
があり、また倉庫業の助成、監督に九つの陸運局が地方局にあるわけでございます。所掌業務は、事務は大体第一番に港湾管理者の行う港湾工事に対する助成及び監督、それから第二番目に直轄港湾工事の施行、それから第三番目に委託による港湾工事の施行、第四番目に港湾管理者の設立その他港湾管理運営に関する
指導監督
、それから入港料の認可、使用料または入港料に関する料金の変更命令、それから国有港湾施設の管理、港湾
計画
の審議及び策定並びに港湾統計の作成、それから港湾内公有水面の埋立、これは干拓も含みますが、これに関する認可、それから港湾
整備
促進法に基きまして荷さばき施設の建設、土地の造成、引き船の
建造
というようなものに関する
計画
の策定、それから港湾運送
事業
の発達
改善
、港湾荷役作業の合理化等の
指導監督
をする、それから倉庫業の発達
改善
及び調整等の
指導監督
をすることでございます。 おもなる港湾行政における
事項
を申し上げますと、
昭和
三十石井度の港湾
関係
予算は、
合計
いたしまして約七十九億でございます。内訳は港湾
事業
費、それから港湾施設災害関連
事業
費、港湾災害復旧
事業
費というように分れておりまして、また港湾
事業
付帯事務費、それから北海道港湾
事業
費、なお申し落しましたが、北海道の港湾につきましては、北海道開発局において直轄工事を行わしているという
状況
でございます。それからその他に特別失業対策
事業
費の
補助
、奄美群島復興
事業
費、国土総合開発
事業
調整費、それから北海道冷害対策
事業
費、また予備費の充当分として、
昭和
三十一年発生の港湾災害復旧
事業
費、それから繰り越し分としまして約一億ございます。これは従来四月末会計閉鎖期まで仕事をしておるのを認められていたのが、
補助金
等適正化法によりまして、三月三十一日でぴたりと繰り越しをしなければならなくなりました。このような繰り越しが余ってきまして、
合計
七十九億でございます。
昭和
三十二
年度
における港湾
事業
費の概算要求をただいまいたしておりますが、港湾
関係
の公共
事業
費といたしましては、
総額
二百二十億ということにいたしております。おもなる項目は、外国
貿易
港の
整備
、内国
貿易
港の
整備
、
船舶
安全のための港湾
整備
、防災及び災害復旧、それから海岸保全対策、作業船
整備
というような項目がおもな項目でございます。 それから特定港湾施設
整備
事業
についてでございますが、これは港湾
整備
促進法によりまして、臨海工業地帯の造成だとかあるいは引き船の
整備
とか、港湾機能を発揮するのに必要であるが、公共
事業
費で出せないというようなものにつきまして、
資金
運用部
資金
等から、政府の
財政資金
を港湾管理者に融資することになっております。この融資は、
昭和
三十
年度
は約九億円でございました。
昭和
三十一
年度
においても約十四億円でございましたので、三十二
年度
においては五十億円の
資金
を融通できるようにということで、
関係機関
と
折衝
中でございます。 それから港湾の管理者の設立
状況
でございますが、港湾法によりまして、港湾の管理は港湾管理者というのを地方公共団体に設けて、それで管理をしていくということになっておりまして、現在四百二十六港、これは都府県が管理しております。それから七十九港を市町村が管理をいたしております。それから名古屋港につきましては、名古屋港管理組合というのが、県として一部事務組合を作りまして、管理いたしております。それから新居浜港務局というものが新居浜港を管理しております。これは新居浜市が単独で設立した港務局でございます。また福岡県と小倉市が共同して小倉港を管理しております。それから福岡県、若松市、戸畑市、八幡市が共同で設立した洞海港務局というものが洞海港をそれぞれ管理しております。管理者の設立された港湾数は五百九港でありまして、なお管理者の設立されていない港湾が、特定重要港湾については関門港がございます。重要港湾については境港、三池港、この二つがございます。それから港湾建設局というのが四つございまして、第一、第二、第三、第四、第一が新潟、第二が横浜、第三が神戸、第四が下関、ここに局がございまして、下部組織として三十七の工事事務所を設置しております。なお北海道におきましては、北海道開発局がその任に当りまして、下部組織として八つの開発建設部を持って工事を担当しております。 直轄工事としましては、
昭和
三十
年度
は
総額
三十六億三千万円、それから委託工事としては八億三千万円の工事をしております。 それから港湾施設とその利用
状況
でございますが、けい船岸壁の延長は、二十九年三月三十一日現在で、大型船のけい船岸が十三万七千七十五メートル、小型けい船津が七十万七千三百十七メートル、入港
船舶
が、三十年の実績で九百二十三万二千隻ということになっております。取扱い
貨物量
は、三十年の実績で、外国
貿易
が四千九百万
トン
、内国
貿易
が二億二百万
トン
、
合計
二億五千二百万
トン
というような
状況
であります。それから乗降人員は三十年の実績で九千七百万人。 それから倉庫営業の現況は、三十一年五月末で、普通倉庫については、
業者
数が千二百四十八、冷蔵倉庫については八百二十六、木材
業者
については五社。 港湾運送の現況につきましては三十年の十二月末現在で、港湾運送
事業者
の数が千八百七十八、その内訳は、一般港湾運送
事業
が六百、般内荷役
事業
が四百八十四、はしけ運送
事業
が七百二十五、
沿岸
荷役
事業
が千三百七十七という
状況
であります。それから船内、はしけの扱いは、三十
年度
で六千六百五十万
トン
が船内荷役、はしけが四百五十二万
トン
というようになっております。それから
事業
施設でございますが、三十一
年度
末ではしけが七千二百十七隻、独航はしけが千二百九隻。それから港湾労務者でありますが、三十一年五月末で、船内の労務者が一万三千八百四十四人、
沿岸
が二万六千四百七十四人、はしけ船夫が九千八百五十九人、引き船船員が二千七百二十五人、その他二万八千百八十九人というよう血
数字
でございます。 それで、港湾行政上の諸問題として数点ございますが、第一番目が、近代的な港湾施設を
整備
していかなければならぬ、そのためには荷役の機械を
整備
したり、あるいはまた接岸施設を
整備
していきたい。第二番目は、大型の
油送船
の港湾施設の
整備
をしたい。とれば最近の
傾向
として、油を送るのにいわゆる三万五千
トン
ないし四万二千
トン
のスーパー・
タンカー
を非常に使うようになりました。ところが、
わが国
においてはほとんどこのスーパー・
タンカー
が入れる港がございませんので、これを緊急に入れるようにいたしたい。港湾にいたしますと、京浜、四日市、岩国、徳山、松山、下津、船川というような
石油
の基地になるところの
航路
泊地というものを十二メートルに掘るようにいたしたい。これは特段の措置を講じて、三カ年間で入れるようにするために特別会計を設置していきたい。それから臨海工業港の促進、これは臨海工業地帯は非常に工場の要請盛ん血ものがありまして、これを作るために先ほどの融資その他によりましてこれを促進したい。 それから地方港湾でございます。これも地方文化発展に重要な地位を占めておりますので、これを
整備
していきたい。ことに最近非常に
輸送
が詰っておりまして、海送転移にしていきたいというような問題があるのでありますが、小型
船舶
に対する港湾施設がはなはだ不十分で、そのために港湾諸掛りが多くなって、海送転移しにくいというような点もございますので、この点も力を入れていきたいというように考えております。 それから海岸
事業
の促進でございますが、これは本年制定されました海岸法の規定によりまして、港湾区域内の海原はすべて
運輸省
で所管するということになっております。港湾区域内の海岸は一般の海岸に比べて特に重要な度を示すものでありますので、これに対して強力に海岸の防護施設をしていきたいというふうに考えております。 それから災害関連
事業
の早期完成、これは新潟、大阪、東京等の災害対策
事業
とか、地盤沈下の
事業
というようなことで、災害に関連した
事業
を早く復旧をしていくようにしたい。 港湾災害復旧工事の促進、これは災害が最近比較的少かったのではありますが、前から起っておる災害工事で残っているもの、その他がございますので、どうしても来
年度
に対して要求しておる二十八億というような予算を確保しまして、急いで仕事をしたいというふうに思います。 それから作業船が非常に老朽となっておりまして、工事の進捗能力、その他非常に不備でありますので、劣っておりますので、作業船を
整備
したい。合理的な新しい作業船を作っていきたい。 それから港湾工事をやっていきます。港湾の建設をしていくために、その付帯設備である機械工場だとか採石場だとかケーソンヤード、こういうようなものが非常に必要でございますので、この点を
整備
していきたい。 それから戦争中並びに戦後港湾技術に対して非常に劣っている点がございますので、この際港湾技術をよく徹底して向上をはかっていく、また外国からもいろいろ技術の輸入をしたいというふうに考えております。 それから先の参議院の
決算
委員
会から、港湾公共
事業
の内部監査の機構、構成員の強化、運用の実効を期せというような御注意もございました。これに対して監査
制度
というようなものを確立してやっていくという方に進めております。 それから国有港湾施設の処理でございますが、これは運輸、大蔵両省において協議をいたしまして、
昭和
二十九年九月に、国有港湾施設処理要領というものが定められましたので、これに従って処理を進めております。 それから日米行政協定
関係
でございますが、日米行政協定第二条に港湾
関係
の取りきめというのがございます。これは日米港湾分科会というのがございまして、これできめておるのでございますが、一九五二年の十一月及び十二月に一応の取りきめが行われたのでございますが、これがそれからの事情も変化しておりますし、不備の点がございますので、これに対して検討いたしまして、近く両者の署名をして、新しい取りきめをしていきたいというふうに考えております。 それから米軍による非港湾提供施設の使用料について、提供施設でない港湾施設を米軍が使用した場合に、現行の行政協定の解釈として、使用料を支払うべきかどうかということについて、日米双方の主張が対立しておりまして、港湾分科会でも結論が出ませんでした。そして日米合同
委員
会に採択を求めるために提出することと相なりました。従って本件につきましては、現在合同
委員
会で検討中でございますが、解決までにはまだ若干の時期を要するものというふうに考えております。 それから新しい倉庫業法の施行でございますが、これは新しい倉庫業法がこの前の国会に成立いたしまして、十二月一日から施行することになりまして、ただいま準備をいたして、きょうも会議を開いている次第でございます。 それから港湾運送料金の問題でございますが、港湾運送料金は確定料金
制度
でありまして、港湾運送
事業
法第十条によりまして、これより高額または低額な料金を収受してはならない、また割り戻しをすることも禁止されておりますが、この料金
制度
の実施につきましては、物資別に料金の監査を行なっておりまして、違反行為のないように
事業者
を指導しております。また港湾運送
事業
法の公布されました
昭和
二十六年に料金の設定を見て以来、五年経過後の
昭和
三十一年に至るまでこの改訂を見なかったのでありまして、港運
業界
では労務賃金その他の原価要素の値上りを理由にいたしまして、改訂新料金の実施について熾烈な要望がございました。そこでいろいろ検討をして参ったのでございますが、六月になりまして港湾運送
業者
から
手続
をとって新料金の届出があり、公示が行われまして、船内荷役料金については七月十五日に、はしけ回漕料金及び
沿岸
荷役料金については十一月一日に、それぞれ
法律
的に改訂新料金の確定を見るようになったのでございます。 それから倉庫の
関係
でございますが、普通営業倉庫と農業倉庫との調整の件でございます。農業倉庫は組合員の
貨物
の保管を使命といたしておるものであります。また農業の保護の見地から
資金
の融通あるいは課税の点で優遇措置が講ぜられております。従ってこれらの農業倉庫がその保管
対象
である農産物のほとんどない大都市であるとか、あるいは港湾都市にまで進出して営業倉庫と競争することば不当のことでございますので、農業倉庫が不要と思われるような地区に建設されることによって二重の投資が行われないように、また無用の摩擦が生じないように、倉庫業法制定当時の立法府の付帯決議の趣旨に反しないように
折衝
し、指導をしております。 それから港湾運送
事業
の合理化についてでありますが、港湾運送
事業者
の数が、
昭和
三十年の十二月末現在で千八百七十八社というのが登録されておりまして、この
事業者
の大多数が中小規模の
業者
でありますために、地区によっては
事業者
の乱立によって不当競争その他種々の問題を惹起するおそれがありますので、これらの中小港湾運送
事業者
の
企業
規模を適正化し、その合理的
経営
が行われるように中小
企業
協同組合を設立するとか、あるいは
企業
の統合を促進して、港湾運送
事業
が健全な発達をするように努力をいたしております。なお、これに関連いたしまして港湾運送
事業者
の登録
基準
を改正するように、港湾運送
事業
法施行規則の中で一部改正をただいま検討いたしております。 それから最後に、
日本
の港湾建設技術の海外進出の点でありますが、東南アジア、中近東諸国の港湾の開発にアメリカだとか、あるいはイギリスだとか、フランス、西独というような建設技術がなかなか目ざましく進出をしておるのでありますが、現在の
わが国
の港湾建設の技術
水準
は相当上ってきておるにもかかわらず、
日本
だけが進出に立ちおくれているというような原因が
日本
の港湾技術者がアジア諸国の
情勢
に非常にうといというような点もございますので、これらの国々に技術アタッシェを常務させるとか、あるいは港湾に
関係
のある風俗、習慣、経済、技術的条件というようなものについても、技術的の立場から調査をするようにしたいというような非常な希望を持っておるのであります。 以上のようなのが大体港湾
関係
の御説明でございます。
岩間正男
11
○岩間正男君 今の説明に関連してちょっと資料をお願いしたいのですが、それは日米行政協定
関係
についてですね、今の説明もありましたが、この中で、取りきめで、その後の事情の変化もあり、不備の点等もある、というのですが、これもっと詳しくですね、それからそのあとの第二項のところで、非港湾提供施設の使用料の問題ですね、これが実際どの
程度
使われておるのか、今までの経過ですね、そういう資料、データあるでしょう。
天埜良吉
12
○
説明員
(
天埜
良吉君) はあ、あります。
岩間正男
13
○岩間正男君 こういうもの詳しくほしいと思うのですね。それ一つお願いします。
戸叶武
14
○
委員長
(
戸叶武
君) それでは、ただいまの説明に対し御質疑のある方は順次御発言を願います。
相澤重明
15
○相澤重明君 私は最初に一つ運輸大臣に御質問いたしたいと思うのですが、大へん今まで説明を受けたのですが、御承知のように
わが国
は四面海に囲まれておる
関係
で、国土も狭隘であるし、その上
国内
で米軍に基地を提供しておりますから、非常に産業の発達にも困難を来たしておるわけですが、そういう意味から行くと、先ほどもお話のあったように、
わが国
の経済の自立を達成するため、あるいは
貿易
の伸展、産業の振興、
国内
資源の開発、こういうようなことは非常に重要な問題になっておるのでありますが、特に海外諸岡との競争といいますか、という点を考えると、工業の近代化ということは、これは欠くことのできない問題だと思う。そういう意味でやはり臨海工業地帯の造成、あるいは港湾施設の近代化、これはもうお話の通りで、私ども非常にに喜んでおるわけでありますが、実現をしなければならぬ、この
整備
拡充について、
海運界
あるいは港湾
関係
等の
業者
あるいは従業員、そういうようなものから、いろいろと運輸大臣に要請なり陳情なり質問が出ておると思うのですが、そういう中で監督、指導、そういう点については非常に
運輸省
の重要な仕事であると私ども考えておるのでありますが、第一にお尋ねしたいのは、
昭和
三十一
年度
の港湾
関係
予算の概算要求の説明があったわけですが、その中で港湾
関係
公共
事業
費の説明で、大蔵省に対して当局は
総額
二百二十億三千万円ですか、それからその内訳として、港湾
整備
費が百九十二億三千万円、災害復旧費が二十八億、こういうようなものを要求して、目下鋭意
折衝
中である。重点として第一に、外国
貿易
港の
整備
で四十八億四千万円、第二として内国
貿易
港の
整備
が六十七億七千万円等、各項目をあげておるわけであります。で、これらをあげておるけれども、前段に申し上げました各国とのそういう競争を行うような場合に、今の運輸当局が考えておるこれだけの予算で一体十分であるのかどうか、また大蔵省に
折衝
しても大蔵省が渋い、どうも思うように金をくれない、こういうようなことでなかなかうまくいかぬというようなことを言っておるようでありますけれども、一体今の交渉、いわゆる
折衝
の中で、その見通しはどうなっておるのか、こういう点をまず最初に一つお尋ねをしたいと思うのです。 で、その中で私は特に外国
貿易
港の代表とも言うべき一つの例としてお聞きをしておきたいのですが、横浜港について一体どんな考え方を持っているのか、構想を持っているか、そういう点も一つあわせて御説明願っておきたい。
吉野信次
16
○国務大臣(吉野信次君) お話の点は三十二
年度
の予算の話でございますか。……三十二
年度
の予算のことは、今大体お話しになりましたことを目下大蔵省と
折衝
中でございまして、まだ最終的の決定はいたしておりません。何分にもやらにゃならぬことは私もよく承知いたしておりますが、ただ国家財政というものの振り合いでどういうことにするかということで、私もできるだけの努力はいたしたいと思っております。 それから国際港について、特に横浜についてどういう考え方、横浜は国際港として非常に重要な港であるということは、私が申すまでもないことだと思いますが、この間私も実地を見たのですが、川崎の方にも一つのりっぱな港湾のなにができておりまするし、また東京の方も東京の方でやるということでございますから、どうしてもこれはやはり将来は、神戸、大阪についても同じだろうと思いますが、やはりもう少し国家として今申しましたようなことを全体的に見て、これを施設をしないといかぬのじゃないかというふうに気がついておるのです。今まではそういう点もむろん加味されておることだと思いますけれども、御承知の通り横浜の方は昔からの
外航
用でございますから、国の方で非常に力を入れた。それがこのごろは経費の
関係
で、地方団体の仕事にも国家が金を出しておりますけれども、大体東京港のことでも、これは自治体としての東京というものがこれを
計画
したという歴史だろうと思うのです。そういうことについて、今日は今の
補助金
の
関係
で国が全部を見るという建前になっておりますけれども、もし国の全体の
計画
から申しますと、おのずからそこの間に一つの調整をとりまして一つ大きい
計画
のもとでやった方がよいではないだろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。そうしませんというと、申すまでもないことですけれども、重複した設備をしまして、そうして横浜の繁栄が東京の方へくるとかいうことも起り得るわけでございまして、そうしてせっかく国でやったことの
計画
というものについて、所期の目的を達しないようなうらみもあるだろう、もはやそういうことを全体的に考える時期に来ているのだろうというふうに大体考えております。
相澤重明
17
○相澤重明君 今の運輸大臣の答弁は、一応概念的なものだと思うのです。で、東京港にしろ、川崎港にしろ、横浜港にしろ、いわゆる京浜港としていかなるあり方を示すかということについては、運輸当局がやはり大きな指導的な立場に立たなければならぬと思うのです。これは単にその地方自治体が、自分ができるだけよそよりもいいものを作ろう、こういうことだけでやはりそれを放任するということは、私はいけないと思う。だから総合的に、これは北海道にしろ、九州にしろ、名古屋にしろ、あるいはこの京浜港の問題にしろ、総合的に
運輸省
が考えるということはよくわかる。わかるけれども、それは一体今のたとえば横浜港の問題を取り上げてみて、そうして米軍のノース・ピアには
貨物
を扱うところもあれば、あるいはまた横浜港の中にはアメリカに接収されておるために、いわゆる貸しておるために、まだ
日本
の
船舶
が自由に係留できないというところもある。そういう問題といま一つは、たとえばアメリカから返還された問題についても、やはり国の方針として、一体それでは横浜港はどういうふうに作っていったらいいのか、こういうことをやはり考えておかなければならぬと思うのです。これがやはり港湾行政であり、あるいはまた運輸行政の一般的なものだと思う。それが現在においては、地方自治体はやはり金がない、起債が認められない、こういうような中では、結局国の方針がきまらない、国の予算が出せない、それで結局は港の衰微というものができてくるわけです。ですからそういう点について一体今日まで具体的にどういうふうにその京浜港の場合に——東京、川崎、横浜と、こういうようなたとえば京浜港の場合に考えておるか、またそういうふうに地方自治体から要請があった場合にどういうふうに
運輸省
は一体お答えになっておるのか、こういう点を一つ続けて御答弁願いたいと思います。
天埜良吉
18
○
説明員
(
天埜
良吉君) 今の大臣がお答えになりましたように、東京、川崎、横浜というようなものは、非常に
日本
においても重要な港であり、相密接しておりまして、非常に関連が深い港でございます。で、港湾の
計画
につきましては、港湾法に基く港湾審議会というものがございまして、そこにおいては重要港以上の港湾の
計画
を港湾の管理者が立てて、そして港湾審議会にかけて運輸大臣に答申をするというような仕組みになっておるのであります。で、先ほども大臣からお話がありましたように、今こそ京浜三港の関連は最も重要視していかなければならぬというような点から、今年の四月に港湾審議会に横浜、川崎、東京の管理者から案を出しまして、これは
運輸省
も参画をして、非常に調整のとれた案でありまして、どのようなものを横浜地区においてはどういうふうに扱っていく
計画
にするか、川崎、東京にはどういうふうにするかということを目標をきめまして、それに従って
整備
をいたしておるわけでございます。従ってただいまの予算の要求もこの
計画
に基いて行なっているわけでありまして、横浜について申しますならば、一番大きな点は、山下町の岸壁であります。これは先ほどお話にも出ましたように、ノース・ピアをまだ接収されておるというような
状況
にもありますので、急いであの岸壁を作らなければならぬということで、あの岸壁の延長を三十二
年度
にはぜひやりとげたいというような予算の
内容
になっております。 それから港湾予算の点でございますが、これは実は戦前並びに戦争中までは大体公共
事業
費の約一割から一割五分というところまであったのでございますが、占領中に、
昭和
二十五年の予算だったと思いますが、そのときから非常に港湾予算がCTSの
関係
で減りまして、その後徐々に港湾予算の増すように努力をして参っておりますが、現在のところ、港湾
事業
費は公共
事業
費の約五%ぐらいにしかまだなっておりませんので、この点は特に努力をして予算を十分に回したいというふうに考えておるわけであります。
相澤重明
19
○相澤重明君 今の
港湾局
長の御説明で、そうすると結局港湾審議会の答申があり、しかも
運輸省
もこの京浜港の問題については十分お話し合いをした、で、そういう結果から行きますと、港湾
整備
促進法の規定によって、このいわゆる
運輸省
の政令で定めておる重要港湾については
資金
運用部
資金
等の財政投融資ですね、こういうものを行うことになっておると思うんですが、この三十二
年度
ですか、今度政府がそういう中でワク外として五十億ですか、今大蔵省に要請をしておる、それで一体そういう重要港をした場合に、一体それで間に合うかどうか、これは港湾協会の
業者
の方からも政府に要望があったはずだと思うんですが、特にわれわれ京浜
関係
を見ておると、どうも
資金
が足らぬようで、実はどうも困っておるような
現状
であります。いま一つは、政府
資金
というものをそういうふうに今大蔵省に
折衝
しておるということですが、その実現方を努力してもらうとともに、やはり地元のそれに伴う作業というものはしなければならぬので、その地元の負担については一体これを起債を認める方針なのか、認めない方針なのか、それを
運輸省
として港湾審議会等の問題と関連してどういうふうにそういう点を取り扱っていったらいいのか、どういうふうに考えておるのか、こういう点をお尋ねしたいと思います。
天埜良吉
20
○
説明員
(
天埜
良吉君) 今の起債の問題から申しますと、これは直轄工事とそれから
補助
工事と両方ございますが、横浜の場合ですと直轄工事になりますが、これはやはり地元負担がございます。で、それも特定重要港湾でございますので、浚渫だとか、あるいは防波堤だとかいうようなものにつきましては、外郭施設につきましては、これは全額国庫で参りますので、地元の負担はないんでありますが、係留施設、つまり今の岸壁になりますと、これは七割五分が国庫負担でございますので、二割五分の地方負担があるわけでございます。これにつきましては自治庁、大蔵省
方面
に極力話しまして、これについては少くとも起債を認可してもらうようにということで話を進めておるわけであります。 それから前の問題の埋立等による港湾
整備
促進法に基く起債のワクでございますが、これは今年は十四億でございましたが、来
年度
は五十億もらいたいということで話をしておりますが、実はこれにつきましては自治庁、大蔵省とも話を続けておりまして、起債のうちでも償還の割合に確実なものについては、これは別に考えようということでございますので、一部十四億の中にもその分がございましたが、来
年度
については相当大幅にそれを考えていくというようなふうで進んでおります。三十二
年度
はかなり期待ができるというふうに私どもも考え、
折衝
を続けておるわけでございます。
相澤重明
21
○相澤重明君 私ばかり質問しちゃってあとの方に御迷惑かけてはいけないから、少ししぼっていきたいと思うのですが、次に運輸大臣にこれはどうしてもお聞きしておかなければならぬ問題なんですが、私どもの社会党の大倉議員が、二十四国会の三月二十二日のこの
運輸委員会
で、港湾運送
事業
法の確立を期すためにということでいろいろと御答弁をされておるわけですが、たとえばそういう中に、先ほどの御説明もあったが、
業者
の登録等の問題あるいは
基準
料金等の問題が出ておるわけですが、違法
業者
については何らかの措置をとらなければならぬ、こういうふうにあなたはおっしゃっておるわけです。それで今後も監督指導については最大の努力をされるというふうに、この長い速記録の中にいろいろ大臣の苦心も述べられておる。そういうふうに発言されておるわけですが、その後 体、それでは
運輸省
自体が監督調査をした場合に、一体どういうふうなことがあったのかあるいはなかったのか、こういう点をお聞きをしておきたいと思います。二十四国会に対する御答弁の中の結末を一つここで出していただきたい、こう思うのです。
吉野信次
22
○国務大臣(吉野信次君) お話の点は大倉さんからのお尋ねで記憶が少しなんですけれども、たしか公示料金を守っていないということが主であったと存じております。私もそれは困るからその励行を期することに万全のなにを講じたいということを申し上げました。そうして確かに私も局長にも申しまして、それだけの手段をとるようにいたしまして、若干その報告も受けておりますから、一つ局長から、その後にとりました具体的なににつきまして一応御説明申し上げたいと思います。
天埜良吉
23
○
説明員
(
天埜
良吉君) 料金の遵守方につきましては、
昭和
三十一年の三月でしたですか、主要
貨物
の港湾運送料金監査報告について、その値引きをしておるような
業者
に対しては、公示料金を遵守されるように勧告をされたいという通達を
海運局
長に出しまして、
海運局
長からそれぞれ勧告をいたしてあります。それから
昭和
三十一年の四月二十四日かに開催いたしました
海運局
の港運課長会議で、その実行方を特に強力に推進するようにというようなことを申し渡しました。それから三十一年の九月十一日に、
港湾局
長から
日本
港運協会の会長にあてまして、港湾運送料金の遵守をすべしということの——励行すべしということの通牒を出しました。それに基きまして、港湾運送
業界
では自主的な団体を作っておりまして、港湾運送料金を守るようにいろいろ尽力をいたしております。東京、横浜、川崎につきましては、東京は港運安定協議会というのが十月の六日から発足しておりまして、これは東京港、横浜港、横須賀港、千葉港も入って、港湾運送料金の遵守にお互いに努めるということで活動をしておりまして、なお小樽港につきましても、十一月一日から同様な会が組織され、それから東北港湾につきましては、十一月一日から同じく発足し、名古屋の港湾につきましては、名古屋港石炭料率
委員
会というのが九月二十五日から発足いたしております。なお兵庫県の各港湾、大阪港の各港湾については、これは十月三十一日現在では、協定書を検討中でございましたが、おそらく通達をしていると思います。そういうようにして港運料金の遵守をはかるように自主的に進んで参っております。
相澤重明
24
○相澤重明君 ただいまの御答弁で、港湾施設の公示料金については、各
方面
で非常に今関心を持っていると思うのですが、わけても先ほど岩間
委員
からもお話しになった、資料を提出してもらいたいという話があったのですが、米軍下の荷役の問題ですね、一体そういう、
日本
の
国内
における
業者
が申請をして、まあこれが実施に移っておると、こういうような場合にそれが実施されておるかどうか。いわゆる米軍の荷を扱う場合に、
国内
業者
がかえってアメリカの予算削減という名目によって、いわゆる公示料金というものが遵守されていないのずゃないか、そういう点を
運輸省
としては調査してみたのかどうか、こういう点を一つお尋ねをしてみたいと思います。
吉野信次
25
○国務大臣(吉野信次君) お話の点はまことにごもっともでございまして、私ども実は若干そういう問題も耳にいたしまして、これは非常に困ることだと思いまして、それでいろいろそうならぬように今やっておるわけです。これもまあ少し理屈っぽく申しますと、いろいろとむずかしい問題がございますのです。と申すことは、公示料金がきまりまして、それからどうしても米軍は力が強いものですから、それよりも安いものを個別的に与えるわけですな、相澤さん御承知の通り。そうしますと与えられて、公示料金よりも低いものを、また
業者
の方がこれがこの場合の公示料金だというてこちらの方に届け出るわけです。それだから、形からいろと、その届け出た通りやるものですから、それが直ちに
法律
に違反であるというわけには参りませんです。ただこちらとしてそういうものを受けたとき、
日本
の一般のものより金額が低いために、低いからこれはどうするかという問題があるわけですね。これは相澤さんに申すことは釈迦に説法でございますけれども、つまり米軍の場合は、いろいろと港湾の荷役の施設というものを向う側が提供してくれるわけでございます。これが
日本
の荷主と違うわけでございますから、そこで彼らは、そういう物的の施設を提供するから安いのは当然だと、こういうことを一応言うわけでございますから、われわれの方として、それをもしこれを低いからいけないのだということを言うためには、そういうもろもろの物的施設というものが提供された場合には、どう料金に響くかということを一々これは算定いたしませんと、はっきりしたなにはできないわけですね。それはやってやれないことは私はないと思うのです。だけれども、はなはだ申しわけないことですけれども、従来そういう問題がありますものですから、幾らかその点について今までそういったようなことをやらずにおったという
運輸省
側の責任もあるわけだということを私は認めざるを得ないと思います。しかしほうっておくのじゃないので、いかにも
法律
に触れるか触れないかという表面の問題ではなくして、せっかく公示をした料金を下回ってやるということは困ると、そういうことが非常にこの
法律
の建前からいって確定料金にしたという精神をくつがえすものであるから、これだけはぜひやめてもらいたいということは、実は
運輸省
の役人が向うの係りにいっていろいろ交渉していますが、はなはだ遺憾ながら今日まだらちがあかない状態なのです。それですからこれも当面の間に合わぬかもしれないけれども、私は正式に外交のなにを通して、日米合同
委員
会の議題として、これはそういう横車を押してもらっては困るということをはっきりさせたいと思うのです。それと、これと別に今昨今問題になっております問題は、これはほうっておけないのですから、われわれが、その間にもしある
程度
の余地があれはわれわれもあっせんいたしまして、そうしてできるだけわれわれの主張を貫徹するために米軍側に圧力を——圧力と言っては少し語弊がありますけれども、まあある意味の圧力を加えたいと、こう思いまして、きのうも衆議院でお話もございましたので、さっそくその手順に取りかからしておる、こういう実情でございます。
相澤重明
26
○相澤重明君 今の運輸大臣の御答弁、大へんに、まあ場合によれば米軍に圧力をかけるということで非常にけっこうなことだと思うのです。基本的な問題、やはり日米行政協定第一条に基いて、港湾
関係
の取りきめについてということで説明しておる。それが一九五二年十一月及び十二月に一応の取りきめが結ばれたけれども、その辺をさっきも
港湾局
長が説明されたが、再検討の必要があるから、日米港湾分科会等も持っていろいろ研究をしておるんだ、話も進めておるんだ、こういう話がありましたけれども、前国会の際にもそういう点御答弁なさっておるわけですね。それも三月からもうすでに半年以上たっておるわけです。そういう点についてですね、やはりこれはあまり直接
運輸省
に文句も言われないからというようなことでは私は困ると思うのです。できるだけこういうような問題については早く措置をして、
関係
の人たちにも安心をさせるように、まず私は基本的な態度をとってもらいたい。これは運輸大臣の御答弁もありましたから、やっていただけるものと私は理解しますが、そうしますと次にこの米軍下の入札の問題にかかってくるわけです。先ほどの運輸大臣の御答弁ですと、
業者
の多いことや、あるいはアメリカの施設等も提供しておるから、やはり
日本
の
国内
の
業者
の公示料金、確定料金というわけにはなかなかいかぬと、こういうお話だったと思うのです。これは前の国会の際にも、大倉議員との間にそういう意見のやりとりがあったのですが、たとえばアメリカがどうしても安くしなければいかぬという基本的な考え方がどこにあるのか。つまりサービス料をよこせというのなら、それは確定料金なり公示料金とは別にサービス料ならサービス料というものを考えていいと思うのです。けれども、料金というものを設定をした以上は、やはりこれはその線に従ってもらわなければならぬと思うのだけれども、あなたのお考えは、米軍についてはもうしょうがないのだというお考えであるのかどうか、その点を先にお聞きしておきたい。
吉野信次
27
○国務大臣(吉野信次君) そういうことは考えておりません。これは一体荷主を責める規定じゃないので、いわゆる運送
業者
に対する
法律
でございますから、実際上の効果が適切に現われるか現われないかということを考えずに、
運輸省
の権限だけでもってやるという場合なら、
日本
の
業者
に対して強く出ることは可能なんです。それですから今お話の通り、そういうめんどうな計算をするよりは、サービス料ならサービス料で別にとったらいいじゃないかという御意見も私は傾聴してよいと思うのです。それですからさっきも率直に申しました通り、従来私たちの方に少し手ぬるいことはあったということを申し上げているわけで、それははなはだ申しわけないことですから、今日ああいうような差し迫った事態を生ずる以上は、
運輸省
としてやはり
運輸省
の責任において、これははっきり法は励行するような手段をとらなければいかぬと、こう考えましてその方向でただいま努力しておる、こういうことを申し上げておきたい。
相澤重明
28
○相澤重明君 そういう方向で進んでいただくことを私も希望しておきたいと思いますが、そうしますとたとえば現在横浜等で起きておる米軍の荷役の問題で、非常な混乱が起きておるわけです。ということは、アメリカとしては何といってもできるだけ安い金で
日本
の
業者
に仕事をさせよう、こういう考え方を持っておると思うのです。できれは幾らかふところに金が入れはということがあるかしれません。そういうことをやはり
運輸省
が
業者
にないように指導していくというのが、こういうのが今のお話のことで、大へんけっこうなことと思う。けれどもそういう場合に、それじゃ先ほど局長からは、中小
企業
といいますか、たくさんのこの
業者
がおるから、だから不徹底の面もあるし、将来はそういう不利なことのないように、できれは中小
企業
組合といいますか、そういうものまで作って指導をしてゆきたいのだ、こういうお話があったと思うのですが、たとえはそれが中小
企業
の組合を作った場合は、大
企業
が入るかしれぬけれども、一応米軍に対する
利益
の問題として、
日本
側として
業界
の方で一応提携をしてゆくというような場合に、それでは入札
制度
というものがこれは行われるのがいいのか、それともそういうものは
業者
が、みんなが、自主的に手を取り合って、しかも
日本
のこの正当ないわゆる料金というものがとれる、こういうようになる場合にそういうものが必要であるのかないのか、こういう点について米軍のいわゆる入札
制度
ということに対して大臣はどういうお考えを持っておるか、その点を一つお尋ねしたい。
吉野信次
29
○国務大臣(吉野信次君) お話の入札というやつですね、これがもし
日本
の観念と同じように、
業者
を幾つか指名いたしまして、おおっぴらに札を入れさせるということになると、これは明らかに
法律
違反でありますから、これはどうも
運輸省
として認めるわけにいかぬ。彼らが今やっておるのはそういう方法をとらずに、実質はそれと同じことかもしれませんが、やはり個別的に呼んで、個別的に
折衝
をしている。そういう
折衝
の形で出たのだから、これが直ちに違反であるかということは、
運輸省
は、当局はちゅうちょしておるわけです。もしお話のようにわれわれが考えておるような、たとえ指名であっても、一般でなくても入札の
制度
であるということなら、これは
法律
の文面にいわゆるそういう言葉がありましたけれども、これは認めるわけにいかない。
相澤重明
30
○相澤重明君 この
業者
の問題も、それは公示
企業
というものに対しては、なかなか国で統制ということについては、確かにむずかしい面もある。また特に米国相手の問題としては非常に困難性もあると思う。思うけれども、これはしいてこの米軍の
貨物
の入札
制度
の問題から
日本
の
業者
自体がやはり損をしてゆくことになり、あるいはそれの
業者
につながっておる、働いておる従業員のやはり生活の問題にもこれは響いてゆく、給与、待遇の問題に響いてゆく、あるいはそれらの問題からひいてはいわゆる不安定血港湾労働者というものに、特に大きな影響を与えてくるわけです。ですからどうしてもいわゆる
日本
側でこれは港湾協会なり、あるいは
業者
の人たちがそういう
関係
者を集めて、やはりそういう適切な監督指導というものを行わなければならぬだろう、こういう点はぜひ私は早急にやってほしい。樹立してほしい。そうして
国内
でつまらぬいさかいがあって、よその国の人に笑われないように、これはまあぜひ私は、
運輸省
の所管の監督行政なり指導面においてこれは行うべきじゃないか、こういうように思うのですが、そういう点いかがですか。
吉野信次
31
○国務大臣(吉野信次君) 全く私も同じ考えでございます。
相澤重明
32
○相澤重明君 それではそういう点から考えて参りますと、ここに今度は
港湾局
長にもお尋ねしておかなければならぬのですが、たとえば今回の横浜における米軍下の入札
制度
の問題にからんで、少くとも登録
業者
、登録
業者
というものに対しては、はっきりしたやはり態度というものがなくてはならぬと私は思うのですが、今までに法にかなわなかった、あるいは
運輸省
の今まで指導を行なってきたことについて違反したようなものはなかったかどうか、この点一つ局長にお尋ねしておきたい。
天埜良吉
33
○
説明員
(
天埜
良吉君) 登録
業者
について、違反という点は、登録
基準
に欠ける点があるかどうかという点と、それから料金を遵守しておるかどうかという点になると思いますが、登録の監査をいろいろいたしまして、登録
基準
に欠けるようなものが二、三ありました。そのような場合には、一つ自主的に廃業するなりするような勧告をしております。それから登録条件を直ちに充足できれば、それでまたやっていけるというような措置をとっております。これから料金につきましては、これは極力遵守をするように言っておりますが、二、三どころか相当あるように思いますが、これも自主的に是正させるべく努力をしておるわけであります。
戸叶武
34
○
委員長
(
戸叶武
君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
戸叶武
35
○
委員長
(
戸叶武
君) 速記をつけて。
相澤重明
36
○相澤重明君 今の
港湾局
長のお話で、二、三のものは、まあ不適格というようなものがあったのは指導したということだと思うのです。きわめて私は大きな問題だと思うのですが、横浜に京浜港運
株式
会社
というのがある。去年の十月三十日付で、そこの従業員は全員解雇予告をされておるわけです。そして十一月三十日に全員が解雇をされた、こういうふうに私ども聞いて、現在は在籍者は一人もないというようなことで、運輸大臣に何か
業者
の問題について
関係
の方から陳情が行っておるのじゃないかと、こう思うのだが、その点運輸大臣はお聞きになっておるかどうか。
天埜良吉
37
○
説明員
(
天埜
良吉君) 京浜港運につきましては、お話のように解雇の問題がございました。それでそのときの当時の
基準
からは欠けてないはずでございました。 それからその京浜港運についていろいろ陳情がなかったかというお話でございますが、これはそういう陳情はございません。しかしいろいろうわさがございましたし、そういうようなことを耳にいたしましたので、ただいま監査をしております。これは関東
海運局
で監査をしておるところでございます。
相澤重明
38
○相澤重明君 横浜の
関係
の方では、このことについて十一月九日関東
海運局
に連絡をとった、こういう際に関東
海運局
ではこの事実をよく知らなかった、こういうことが言われておるわけなんです。それで今、
港湾局
長の言う、今調査をしておるということであるけれども、少くともこの二十四国会の参議院の
運輸委員会
において、大倉
委員
から、そういうことを含めて、ずいぶん長く質疑を行なっておるはずであるにもかかわらず、
港湾局
長が関東
海運局
の方にそういう指示なりあるいは連絡というものを当時しなかったのかどうか。もししておったとするならば、こういうような事態があったのかなかったのか、防げたのじゃないか、こういうふうにも思えるのだが、もしこれが事実指示をしておらなかったり、あるいは指導もしておらなかったり、またそういう
内容
について知らなかったとすれば、これは運輸大臣の責任ではないか、こういうふうに私どもは考えられる。だから私はよくその点わからぬから、その真偽のほどを私はお伺いをいたしたい。それからもし事実とすれば、その責任というものはあなた方に当然来るのじゃないか、こう思うのだが、その考え方はどうか。
天埜良吉
39
○
説明員
(
天埜
良吉君) お話の点は、三十年の十月の二十日に東
海運
輸から転業した篠崎ほか二十七名という者を解雇しております。解雇しておりますが、基幹労務者十名、平労務者二十名、三十名が残っておりますので、登録
基準
からは欠けないという状態でございます。しかし最近において、いろいろな業務の実績その他で何か欠格をするものがあるといううわさを聞きましたので、それで監査を実施しておるわけでございます。
相澤重明
40
○相澤重明君 それでは今の点については、若干やはり合法面というものをなくして、それで何でも形式さえそろえればいいんだということで、法というものが守られないというようなことになれば、これは大へんなことだと思うのです。ですからそれが真偽のほどは、今
港湾局
長の言うように、調査をしてみて、その結果がどうなるか、どう
内容
がなっておるのか、こういう点については後日また報告を願って、それで私としての希望は、そういうことのお互いにないように、これはぜひ運輸監督行政として指導をしていただきたい、こういうふうに考えておるわけです。 なお、これは運輸大臣にまあ、おっていただくのが一番いいんだけれども、次には、
関係
の
海運
、港湾
関係
の職員の給与問題についてもお尋ねをしたいと思ったのですが、きょうは時間がなくて、あと大倉
委員
も関連質問があるようですから、保留をいたします。以上です。
大倉精一
41
○大倉精一君 時間がないようですから、私は、今の大臣の答弁の中で一つだけ確めておきたいことがある。それは米軍の入札
制度
について、大臣の今の御答弁でいきますというと、形式が入札という形式であるかどうか疑わしい。個別に
折衝
をしておるのだから、これはどうも
法律
的にどうこうということは疑問であるというような御答弁があったように記憶しております。これは私はちょっと重要な問題ではないかと思うのです。先回の国会の答弁におきましても、米軍に対しましても、やはり港湾荷役の料金は
法律
のワク内でやるという御答弁があったわけなんです。そうだとすれば、この港湾運送
事業
の
運賃
、料金について、入札という形式にしろ、あるいは個別
折衝
という形式にしろ、どっちにしろ確定料金は守られていない、守られないという結果が出た場合、これは明らかに
法律
違反じゃないかと、こう私思うのですが、この点ちょっと疑問に思いますので、確めておきたいと思います。
吉野信次
42
○国務大臣(吉野信次君) 私の申し上げたのは、実際のやり方は、私もよく存じないのですが、実はただ聞くところによると、いわゆる指名入札のような格好で、札を入れさせろという格好ではないように、少くとも今度はやっておるということでしたから、そう申し上げたのであって、その結果がその確定料金ということからもし違反であるということなら、これはやっぱり法に違っておることでございますから、それはやはりそういう方法がどうであろうとも、受けた方の運送
業者
というものに対しては守るように言わなきゃならぬ、こういうふうに思っております。
大倉精一
43
○大倉精一君 そこでこの
法律
は、さっきあなたが、これは荷主を責めるのじゃない、
業者
を責めるのだというような、こういうお言葉があったのだが、これは言葉じりをとらえるようですが、これは
業者
の保護法だと思うのです。責める
法律
じゃないと思うのです。でありますから、入札にしろ、個別の
折衝
にしろ、そういうものによって、いわゆる弱い港湾
業者
が自分の
経営
を維持するに足るところの
運賃
料金がもらえない。そういうものに対しては保護をする
法律
でありますから、であるから、その形式いかんにかかわらず、そういうようないわゆる確定料金を下回るような、こういう措置をするということは、これは明らかに私は
法律
の精神に反していると思うのです。先回の国会におきましても、私はこういうことを言っておる。「やはりこの港湾運送
事業者
法のワク外であるということは事実なんでありますから、との問題に対して運輸大臣とされて、アメリカ軍の方に対しましても
日本
のこの
法律
について十分説明をしていただいて、そうして確定料金を収納させる、こういう方向に努力されなければならないと思うのですが、むしろこれは努力というよりも、当然そうされなければいかぬと思うのですが、その点はどうですか。」と、こういう質問に対しまして、大臣は「お話しの通りです。先ほど、私は事実を知らないで、少し間違ったかもしれません。お話しの通り、そういうふうにしなければならぬ」と、こうなっておりますので、これは入札の形式いかんにかかわらず、やはりアメリカ軍といえども、
日本
の
法律
に従って
運賃
料金、確定料金を収受するようにやってもらわなければならぬと思います。でありますから、そういう何か、入札とか何とかいう形式によって逃げ道を考えられちゃまことに大へんだと思いますので、質問したわけです。
吉野信次
44
○国務大臣(吉野信次君) 大体これでよろしゅうございます。私は少し、何というか、理屈にこだわりまして、かえって誤解を生じましたのですが、前回お話し申し上げた通り私も今思っております。
戸叶武
45
○
委員長
(
戸叶武
君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
戸叶武
46
○
委員長
(
戸叶武
君) 速記をつけて。
高良とみ
47
○
高良
とみ君 局長に質問したいと思うのですが、この前、
港湾局
長に、
日本
の玄関口である港湾の秩序について一、二御質問申し上げたのですが、私もその実情等について、つまびらかに知らなかったのだけれども、
日本
の港湾というものはどこであれ、北海道であれ、裏
日本
であれ、皆これは
日本
の玄関口で、そこにおいて今日のような港湾労働者あるいはその業態というようなものに、ただいまお話のあったような値引きであるとか、公定価格以下のものしか受けないでいくというような、道義の頽廃があることは、それが従ってこの前申し上げましたような倉庫から盗み出したり、いろいろ国際的に恥かしいことがずいぶん起りつつあると思うのです。これは海遺業というものの従来の慣習もあると思いますけれども、それはあらゆる
方面
で国際的にもいろいろあると思いますけれども、悪くいえば、これは海賊主義といいますか、そういうようなもので、取ったものは取ったものでというような、その荒い不道義なことが行われないようにやらなければ、とてもそれはどんな
法律
を
国内
で作りましても、これはどうにも門口からこわれつつあるのではないかと思うのですが、それからまた今の米軍に対してもそんな個別交渉なんかするような余地を与えておくということは、アメリカに対して非常に失礼であり、また非常な人件費を余計使わせて、
日本
を軽べつする大きな材料になっていると思うのです。こういうことについて、これは大臣の御責任かもしれませんが、
港湾局
長としては、こういう独立へ行こうとしている
日本
の実情から、
日本
の各港湾をきれいになさる御決意がおありなのかどうか、その点ちょっと伺っておかないと、私どもとしても不安に思うのでございます。
天埜良吉
48
○
説明員
(
天埜
良吉君) この前の国会の際に、港湾で旅具が紛失するというお話がございました。それで横浜、神戸等をよく調べました。調べましたが、これは私どもで今実際取り扱っております港湾運送
事業者
に所属する労務者の
関係
ではなしに、これは船の旅客扱いのもののように思いました。しかしそういうことは非常に困るので、
海運局
長に対しまして、港湾におけるそういう秩序をよく見るようにということを話しております。私どもも港湾におけるそういう秩序ははっきりして、明朗な港湾にしなければならぬという決意を持っております。 それから今の個別
折衝
の範囲を許すというお話でございますが、これは私ども非常に困るので、アメリカ側が譲らないのでございます。これはどこの港だって港湾荷役をやるのは商売でやるのだろうから、われわれの方と個別
折衝
をして、たたけるだけたたいて安くするのだということを主張しておりますので、私の方としては、そうでなしに、先ほどお話がございましたように、港湾運送
事業
法の建前から、港運
事業者
というのは非常に弱いものだから、これを育成助成しなければならぬというような点から、この料金というものを確定して、そしてそれに従ってアメリカもやってもらわなければ困る、こういう点なんですが、先ほどからいろいろお話が出ておりましたのですが、
日本
の港湾運送
事業
法による公示料金というものと、アメリカがやりますときの料金というものの中に、先ほど大臣が申しましたように、アメリカがやります場合には、機械をいろいろ貸してくれましたり、それから人も貸してくれたりいたしますので、その貸してくれる度合いが非常にまちまちでありまして、それによって値段が変ってくるものですから、なかなか向うの言い分をこちらのようにすることが非常に困難な状態でございます。
相澤重明
49
○相澤重明君 私は今時間がないからやめたのだけれども、今の局長の言うことの、米軍が人も貸してくれる、機械も貸してくれる、お手伝いもしてくれるというのは、まちまちだから
国内
の公示料金についてもどうも守ってもらえないようなことになる、結論的にはですよ、こういうようなことに聞えるのですが、もしそれを放任しておくということになったら、一体どういうことなんだ、こういう点を私は逆に解釈をしていかなければならぬだろうと思う。そういうことじゃなくて、
運輸省
自体としては、やはりできるだけ
国内
の、先ほどから説明のあったように、船内荷役料金にしても公示料金を守ってもらう。統一ある行動をとっていくというようにすれば、やはり米軍の方も私は
折衝
の余地があるのではないか、こういうふうに考えるし、それからまた向うで、何でもかんでも値段を安くさせるものだから、人も貸しましょう、機械も貸しましょう、提供しましょう、こういうことなのかどうか。そういう点あなたは調査したことがあるのかどうか、お尋ねしたい。
天埜良吉
50
○
説明員
(
天埜
良吉君) それは米軍の言うところによりますと、自分の方の荷物を荷役をするのだから、自分の方の都合によって機械も出さなければならぬ、それから人も見つけなければならぬというような場合があるということでして、先ほど申しましたことは、
日本
の公示料金と、向うがやります公示料金とを比較して同じようになっているか、同じようになっていないかという点は、機械の貸し方いかんによりまして、同じにはっておるものも、みかけは違うが結局
内容
は同じだというような場合もございまして、この点の比較が非常に困難である、こういうことを申し上げます。
相澤重明
51
○相澤重明君 そういうふうな説明をされてもちょっとこれは納得がいかないわけです。今、横浜では、この米軍からの入札
制度
の問題から非常に大きな問題になっておる。従って今のような御説明が事実なのか、あるいはもっと根本的なものがあるのか、やはりこれは一度現地を調査しなければいかぬと私は思うんですよ。そして
運輸委員会
として、十分そういう実情というものを把握して、その上に立って運輸行政、監督指導というものを私はやってもらいたいと思う。どうもそういう点、今のお話の中では私ども納得がいかない点が非常に多い。そういう点、本日のようなことであるならば、私はむしろこの際
委員長
に現地調査を行うべきであろうと、こういう点を申し上げたい。(「
異議
なし」と呼ぶ者あり)
高良とみ
52
○
高良
とみ君 それぞれ専門の方がおられるのでありますが、私どもも船で各国の港を歩いてみて、そしてクレーンとか、いろいろな荷役に便利な機械類はどうしても港湾設備として必要なものを持たなければ一等国になれぬ——一等国というか、国際的な常識にはずれるわけで、そういうものがない所はスウェット・レーバーでやっておるのでありまして、これからはどうしても
日本
としても港湾設備をしなければならぬと思う。そういうものを軍の施設であるからそれだけは借りるということになりますと、これは非常に屈辱的なことでありまして、これから
海運
に対するいろいろな期待が大きければ大きいほど、やはり諸設備をするだけの
減価償却
ができるほどのものが公示してあると思うのでありますが、それを守らないで行くということはどこまでも卑屈なことになると思いますが、一つ機械を借りるから割引をするというような精神を港湾
業者
からおとりになって、そしてしっかりした業態をお作りになるように、何かフォーミュラーをお出しになっていただいたら、私ども視察するにしても、港はかくあるべきである、少くとも横浜とか、おもだった港はかくあるべきであるということが、今日の機械工業の標準からお出しになっておると思う。それがそういうふうな形で、米軍の荷物であるゆえに、特別米軍がスピーディな、大へん不思議な機械を持っているわけじゃないと思います。(笑声)その点を私どもに公示していただきたいと思うのであります。
天埜良吉
53
○
説明員
(
天埜
良吉君) 今の港湾のいろいろな機械の点でございますが、これは機械は
日本
も逐次
整備
するように努力しております。そればいろいろな融資をいたしましたりして、
整備
をしておるのでございます。現在の
状況
は、機械がなくて貸してもらうというものもあるかもしれませんが、でも向うが無理に使わせるというふうな点もあるように私は考えております。
岩間正男
54
○岩間正男君 今の問題、やはり非常に影響するところが大きいと思うのです。これはやはり一般の
業者
の保護の建前からやられておるのだけれども、一般のやはり料金の問題などにも影響するし、一番影響するのは、先ほども相澤
委員
から指摘がありましたように、結局最終負担は労働者にくる。こういうふうに非常に低賃金の基礎になっておりますから、やはりこの問題をこの際徹底してやる必要があると思う。ところで今これは合同
委員
会の争点になっておりますか。今度の港湾分科会というのは、あなたがこちらの主席になっておるようですが、これは争点になっておりますか。
天埜良吉
55
○
説明員
(
天埜
良吉君) 港湾分科会の問題は、港湾施設、つまり岸壁とか、それからブイとか、そういう問題でして、日米合同
委員
会に対しまして、ただいま私の方としましては、現在のような
状況
では非常に困るので、何とか一つこれは入札のような形式をとらないで、公示料金というものをきめて、それでやってくれないかということを日米合同
委員
会へ持ち込もうという準備をしておるのでございます。その問題とはちょっと別でございます。今ここに書いてございますのとは。
岩間正男
56
○岩間正男君 準備
程度
ですか、まだ……。
天埜良吉
57
○
説明員
(
天埜
良吉君) 準備中でございます。
岩間正男
58
○岩間正男君 こっちの主張の根拠はまだはっきり……主張をはっきり提示されていないようですね。今のあなたの御説明では非常に弱いと思うのだが、合同
委員
会に持ち込んでやるにしても。どうですか。
天埜良吉
59
○
説明員
(
天埜
良吉君) 私の方といたしましては、いろいろな弊害がございますので、その具体例をもちまして、そうして日米合同
委員
会に出したい。それにつきましては、これはいわゆる公示料金というものをはっきりしてもらいたい。それでたとえば、先ほどから話が出ておりますように、こういう向うのフォーク・リフトならフォーク・リフトの機械を向うが提供するような場合には、これは幾ら提供するから、これだけは引いてこの料金にするというようなことにきめてもらえば、そうすればこういうことがなくなるので、そういう方針にしてもらいたいということを提訴したいというふうに考えておりますわけでございます。
大倉精一
60
○大倉精一君 これはどうも私は意外なことを聞くのですが、今準備中だというお話なのだが、大臣が、そうやりましょうと言ったのは、この速記録によると三月二十二日です。三月二十二日から今までやらなかったのは、何かそんなにむずかしいものがあるのですか。
天埜良吉
61
○
説明員
(
天埜
良吉君) 日米合同
委員
会に提訴するということでございますか。
大倉精一
62
○大倉精一君 ええ。
天埜良吉
63
○
説明員
(
天埜
良吉君) 日米合同
委員
会に出すということは、大臣、約束をいたしましたか、私知りませんが。
大倉精一
64
○大倉精一君 速記録には日米合同
委員
会に出すとは書いてありません。ありませんが、入札とかそういうことをやめて、そうして確定料金を収納させる。当然そうなされなければならぬ。こういうことに対して大臣も、そうであります。そのようにします。こうなっております。そうなっておりますと、日米行政協定の第二条と第十二条第二項がこの場合適用されると思うのです。「現地で供給される合衆国軍隊の維持のため必要は資材、需品、備品、及び役務でその調達が
日本
国の経済に不利な影響を及ぼす虞があるものは、
日本
国の権限のある当風との調整の下に、また、望ましいときは、
日本
国の権限のある当局を通じて又はその援助を得て調達しなければならない。」、こういう条項がある。この場合、
日本
国の経済に不利であるかどうかということ、これは当然日米合同
委員
会に持ち出す必要があると思うのです。ですからそういうものを、これは速記録にはありませんよ。合同
委員
会というものはありませんが、当然そういう措置が考慮されなければならぬと思うのですが、それが今まで全然なされていなかったということは、非常に奇異に思うのです。何かそこにそんなにむずかしいものがあるのかどうか。
天埜良吉
65
○
説明員
(
天埜
良吉君) その間において文書により、あるいはこちらからも、また担当
海運局
長も参りまして、JPA——調達本部と申しますか、それからG4、これは司令部のG4というところのセクションになっております。そこでずいぶん
折衝
をしたのでございます。それからただいまの条文の件については、港
政管理官
が外務省に行って調べておりますので、その点を申し上げます。
大倉精一
66
○大倉精一君 とにかくやられていないことは事実なんだから、今の各
委員
の発言に対する御答弁のように、そんなに資料を作ったり何かするのはむずかしくないと思います。さっそくこの問題の解決をされるよう努力されることを要望して終ります。
見坊力男
67
○
説明員
(見坊力男君) 行政協定の十二条の解釈でございますが、外務省の条約二課に参りまして、この調達の中に調達の方法が入るかどうかという点を照会いたしておるわけであります。外務省としては、この文句自体からは、入るとも入らないとも直ちに言えない。(笑声)当時の記録等を調べて返答するからという段階になっております。
岩間正男
68
○岩間正男君 その経過はどうなっているのですか。今の経過は、提訴して——はっきりした提訴という形はとっていないようですけれども、申し入れを再三やったり、外務省に対して条文の解釈を求めたりしているようですが、そういう経過は、いつごろどうしてどうなっているのですか。やりっぱなしじゃこれは話が進まない。
見坊力男
69
○
説明員
(見坊力男君) この問題につきまして、私どもが外務省に参りましたのは九月の初めごろ、これは前の国会の
関係
もあったことと思いますが、現地の横浜の
業者
が
中心
になりまして、今までの経験から見て、軍価に見合った原価計算をやろうではないかという話がございました。それはそのずっと以前でございますが、日にちは忘れましたが、七月のころであると思います。そのころから横浜の
海運局
が
中心
になりまして、現地の
業者
の間でそういう原価計算をしようではないかという話があったわけであります。それでその作業を進めておったわけでございますが、その間に、この問題をやはり料金をきめることとは、別に米軍のJPAの方に話すなり、合同
委員
会に出すということで、根本的に解決する必要があるのではないかということで、外務省に参りまして相談いたしました。外務省としては、そのときは担当は欧米の二課長でございますが、その二課長に相談をいたしまして、そのときはさしあたり、ことしの問題が差し迫っておる。ことしの問題をさらに問題について解決するために、まずJPAの方に直接交渉してみたらどうか。それで直接担当している担当者は調達庁である、調達庁の担当者のところに参りまして、こちらの主張等を説明いたしました。調達庁の意見としても、やはり直接先にJPAの方に行ったらどうかということで、こちらで十月になりまして
海運局
長と私と現地の運航部長等がJPAのコマンダー・オフィサー・レーイングに会いまして、その際に、向うに入札
制度
をやめて、新しい米軍価に見合った一つの料金を作成してもらうように頼んだわけでございますが、向うは米国の
国内
法の立場からいって、入札
制度
をやめるわけにはいかぬ、自分の方の答えはただそれだけであるという非常に強い態度でございました。こちらが料金を設定してほしいという申し入れに対しては、終始向うは拒絶したような
状況
でございます。それが終りましてから、さらに調達庁ともまた相談いたしました。調達庁も、それでは具体的に資料が整い次第、合同
委員
会に出そうではないか。それからまた私は外務省の欧米二課長のところにも参りまして、資料が整い次第、合同
委員
会に出したい。外務省としてもそのつもりで待っておるからということで、今その資料の準備中でございます。
岩間正男
70
○岩間正男君 促進していただきたいということですね。それから今のような経過、これもさっきの資料にやはり追加していただきたいと思うのですが、今までの
折衝
の過程ですね、そういうものも資料として出していただきたいと思います。それから資料の問題につきまして、さっき漠然と申し上げたのですが、もっとこまかに申し上げるというと、その後の事情の変化もあり、不備の点もあるというのですが、こういうような問題について、明確にその実情をこれは出していただきたいと思います。それから日米港湾分科会の構成、運営ですね、こういうような問題について、やはり資料を出していただきたい。それから非港湾提供施設の使用料の問題、これもさっきの荷役料の問題と非常に
関係
してくると思うのですが、ことに今まで米軍がどういうふうにこの港湾を使っているのか、ことに提供施設に設定されない非港湾提供施設を使っている量ですね、そういう点について明確にしていただきたい。大体こんな点で資料の要求を具体的にしたいと思いますが、よろしゅうございますか。
天埜良吉
71
○
説明員
(
天埜
良吉君) よろしゅうございます。
戸叶武
72
○
委員長
(
戸叶武
君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
戸叶武
73
○
委員長
(
戸叶武
君) 速記つけて下さい。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時九分散会 —————・—————