○渡部
説明員 ただいま刑務所の問題につきましていろいろ御心配をいただき、また
法務大臣よりただいま将来の問題につきましていろいろお話をしていただいたわけでございますが、実は、この刑務所の問題につきまして、われわれ日々仕事をとっております者は、どういうわけかわかりませんが、刑務所に入って参ります者がだんだんふえて参りまして、どこの
施設も実は超満員の盛況を呈しておるのでございます。東京におきましても、特に巣鴨の
施設が戦犯の
施設に充てられておりましたために、一般の収容者の収容ができない。また中野の
施設もアメリカの方に接収されておりまして、これも使えないというようなところから、東京都内で確定いたしまする年間の確定者は、概数にいたしまして、ことしの一月から十一月まででもございますが、東京拘置所で確定いたしました者だけでも約六千五百人からあるのでございます。これを一体どうして入れるかと申しますと、今、東京都内で申しますれば、小菅の刑務所はそういう
関係から拘置所に充てております。受刑者、確定者は入れておりません。府中があります。それから八王子にございますが、これは医療刑務所と申しまして、病院の
施設があり、一般の者は入れない。さような
関係で、近郷には今豊多摩刑務所、これは約九百名ばかり入れるわけであります。さようなわけで、東京都で確定いたしまする者を東京管内これは広い東京管内でございますが、これにずっと入れております。これが年間に大体五千名余り、東京都から大体管内にばらまいております。それでもまだ入れ切れなくて東京管内で――これは新潟から長野、全部含めておるものでございますが、この区域にもまだ収容し切れないで、
北海道とかあるいは東北の方に送っております者が、年間二千五百名から出しておるのが現状なのであります。さような
関係で、いろいろ分けても、なお東京管内では拘禁率は一三〇%にも及んでおるような現状であります。そこで、実は何とかしてこの拘禁を緩和したいというのがわれわれの方の念願でありまして、中野の
施設が返って参りましたのが、われわれとしましては
ほんとうにもう願ってもないありがたいことだと思って、実は一日も早くこれを使いたい、これが私
どもの念願であります。今
大臣のおっしゃいましたように、大きな将来に向っての御計画、これはけっこうでございますが、われわれはもうあすの日のことに実は困っております。そこで、乏しい
予算ではございますが、大蔵省の方にお願いいたしまして、なるべく一日も早くこれを使えるように実はお願いをいたしておるわけであります。当座のところの
予算は必ずやっていただかなければ、あすから困る。遠大な計画のものは、これはまたそれと並行して
一つやっていただきたいと実は
考えておるわけでございます。
そこで、巣鴨の問題でございますが、巣鴨もなるほど繁華街に入っていてお目ざわりのことと思いますが、あそこは拘置所として使いたい。拘置所は一般の刑務所と違いまして、
裁判と密接な
関係がございますので、そう田舎の方に参りますと、実は訴訟の進行上から申しましても非常に支障を来たします。現在でも、小菅にありますために、弁護士会の方から、また民間の方から非常なお小言をいただいておるわけであります。あんな不便なところにあって困るというようなわけでございますが、この不便なところさえも実は毎日千人からの出入りがあるわけでございます。これが遠くへ参りますと、とんでもないことになると思いますが、巣鴨の方に入って参りますれば、かような面が相当緩和されまして、勾留されておるものはもちろんのこと、弁護士の方々、あるいは
関係者の方たちの利便も少からざるものがあると存じますので、この点は、町の中にはございますが、これは特殊な
施設でありますので、これも一日も早く東京拘置所として活用したいということをわれわれは念願いたしておるのでございます。
さような状況を
一つお含みいただきまして、この理想的な
施設の方も進めていただくと同時に、急場のところをよく
一つ御理解賜わりますようお願い申し上げる次第であります。