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平田委員 私は実例を一つ申し上げますけれ
ども、私の知っているある十万くらいの市に、一校二千名くらいの
学校が五つございます。そこで
先生が持て余した
生徒を何とか集めてやろうという非常に奇特な
先生が出られて、校長も了解され、市の方からも
予算をとって、一年生から六年生まで十何名かを集めて一つの教室を作ったわけでございます。ところが、
先生は熱意を持っていらっしゃいましたけれ
ども、子供を扱う技術が必要なんです。気持だけはあっても、やはり困難にぶつかっておしまいになるわけなんです。この子供たちを導くには、科学的、心理学的な技術が必要であるということにぶっかられたわけなんです。そしてその
先生はとうとう神経衰弱になってやめておしまいになったので、子供たちはそれぞれの教室にまた分散させられた。私はその母親の一人に会ったのでございますけれ
ども、あの特殊な教室を作っていただいてから、子供が
学校へ行くのをいやがらなくなった、とても朗らかになり、すなおになり、明るくなって感謝しておったのだけれ
ども、
先生が御病気で困るということでございました。私はその校長
先生にお目にかかって、せっかくそういう方がいらっしゃるのにこのままつぶしてしまうのはまことに惜しいから、どうかして
先生を見つけておやりになったらどうでしょうと言いましたが、なかなかそれが見つからないという
お話でございました。私はそのとき大へん残念に思いました。それから市の方へ行きましたら、市の方では、
特殊学級の
予算はちゃんととってある、これはぜひともやらなければならぬ問題だと思うので、もう二
学級くらい作ってもらってもいいと思うけれ
ども、肝心かなめの指導なさる
先生がいらっしゃらない。これはただ一つの例でございます。まだほかにたくさんあるかもしれませんけれ
ども、私、そういう点で残念だと思います。一教室を作るくらいの金なら
地方財政のどこをしぼっても出るのじゃないかと思うのです。私なんかしろうとはあっさりとそう考えています。やろうと思えばやれると思うのです。
局長さんあたりは非常にこまかく計算なさるのでしょうけれ
ども、それくらいなものは出るのじゃないか。財政がなかなか困難だからというような御
説明でございましたけれ
ども、
特殊学級一
学級につき、大体一年間にどれくらいかかるのでございますか。