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1956-11-28 第25回国会 衆議院 文教委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年十一月二十八日(水曜日)   午前十時五十八分開議  出席委員    委員長 佐藤觀次郎君    理事 赤城 宗徳君 理事 加藤 精三君    理事 高村 坂彦君 理事 坂田 道太君    理事 米田 吉盛君 理事 辻原 弘市君    理事 山崎 始男君       伊東 岩男君    田中 久雄君       並木 芳雄君    山口 好一君       河野  正君    木下  哲君       高津 正道君    野原  覺君       平田 ヒデ君    松平 忠久君  出席国務大臣         文 部 大 臣 清瀬 一郎君  委員外出席者         文部事務官         (事務次官)  稻田 清助君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     内藤誉三郎君         文部事務官         (大学学術局         長)      緒方 信一君         文部事務官         (社会教育局         長)      福田  繁君         文部事務官         (調査局長)  北岡 健二君         文部事務官         (管理局長)  小林 行雄君         文部事務官         (文化財保護委         員会事務局長) 岡田 孝平君         専  門  員 石井つとむ君     ――――――――――――― 十一月二十六日  簡牛凡夫君議長指名委員に選任された。 同月二十八日  委員小牧次生君辞任につき、その補欠として松  平忠久君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 十一月二十四日  学校給食従業員身分確立に関する請願(高木松吉紹介)(第一四一号)  同(田中利勝紹介)(第一八〇号) の審査を本委員会に付託された。 同月二十二日  地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正に関する陳情書(第一二七号)  町村合併による公立学校統合整備に要する建築費国庫補助増額等に関する陳情書(第一三六号)  就学難児童のための教科用図書無償配布に関する陳情書(第一七六号)  同(第二〇九号)  不良映画出版物等制限に関する陳情書(第一七七号)  同外一件(第二〇八号) 同月二十七日  北海道大学工学部衛生工学科設置に関する陳情書(第二四九号)  不良映画出版物等制限に関する陳情書(第二五〇号)  義務教育費国庫負担法等の一部改正に関する陳情書(第二五一号)  猿投山ろく古よう跡群国庫補助率引上げに関する陳情書(第二五四号)  定時制高等学校統廃合反対に関する陳情書(第二九六号)  就学難児童のための教科用図書無償配布に関する陳情書(第二九七号)  国立ろうあ施設設置に関する陳情書(第二九八号)  助役の教育長兼務に関する陳情書(第三二四号)  各種施設整備事業地方債利子全額国庫負担に関する陳情書(第三四一号)  合併町村の小、中学校統合に対する国庫補助増額陳情書(第三四二号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  学校教育及び社会教育に関する件  文化財保護に関する件     ―――――――――――――
  2. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  去る二十二日文部省内に人事の異動がありましたので、新陣容の紹介をかねてあいさつをいたしたいとの申し出があります。  まず新事務次官稻田清助君。
  3. 稻田清助

    稻田説明員 このたび文部事務次官を拝命いたしましたにつきましては、今後ますますいろいろな点につきまして御指導を願い、またお世話をいただくことだと存じますが、くれぐれもよろしくお願い申し上げます。(拍手
  4. 佐藤觀次郎

  5. 緒方信一

    緒方説明員 大学学術局長を命ぜられました。どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手
  6. 佐藤觀次郎

  7. 内藤誉三郎

    内藤説明員 内藤でございます。どうぞよろしく。(拍手
  8. 佐藤觀次郎

  9. 福田繁

    福田説明員 福田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手
  10. 佐藤觀次郎

  11. 北岡健二

    北岡説明員 北岡でございます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)     —————————————
  12. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 それではこれより前会に引き続き文部行政について質疑を行います。質疑の通告がありますからこれを許します。木下哲君。
  13. 木下哲

    木下委員 大臣にお伺いをいたしますが、まず最初にお伺いいたしますことは、問題が大きいといいますか、伺うのが少し御迷惑な御質問を申し上げるのではないかとも存じますが、一つ御了承願います。  今から約半年くらい前ころから参議院選挙が行われますまでは、ただいまの鳩山内閣の重要なスローガン一つとして、憲法改正をおやりになるということをずいぶん叫ばれておられたのであります。もう一つスローガンとまではいきませんが、世間を騒がせまして国民の関心をずいぶん引きました問題として、小選挙区法の制定ということがあったのであります。ところが参議院選挙が終りまして以来、全くその声を聞かないのであります。そういう話があったかなというような格好で、全然耳にいたしません。このことは国民にとりましてずいぶん迷惑しごくのことであるし、裏返していいますと、国民に対して迷惑をかけておるということと思うのでありますが、これにつきまして、この憲法改正ということと小選挙区の設定ということについては、その後いかような御処置をおとりになっておるか承わりたいのであります。
  14. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 憲法改正のことは、政府でいかに改正するかはきめておりませんから、この前の選挙には憲法改正するということだけであります。しかし改正すべきかいなかは慎重に考えなければならぬことでありまするがために、前の国会において憲法改正調査会法を提出いたしました。幸いに両院の同意を得て法律が成立し、発布されましたがゆえに、引き続いてその事務局を作り、ただいま委員となる人の選考中でございます。近く選考されることと思います。そうしましたら憲法改正すべきか、改正すればいかように改正すべきかという審議を始める次第でございます。  選挙区のことは、この内閣では原則として小選挙区がいいと思っております。ただその区割り等については非常に複雑微妙なこともありますので、前の国会の中途において、直ちに政府の小選挙区案を出さずに、適当にこれを調査するという方針に改えまして、この二つとも政府の見解はちっとも違っておりません。それゆえにこの国会は短期でありまするから出しませんけれども、次の国会には出すべきものとわれわれは考えております。
  15. 木下哲

    木下委員 大臣に明瞭にいたしておきますが、私は今、憲法改正をやるがいいか悪いかとか、その内容について伺っておるわけではないし、そのことについて議論を申し上げ、意見を申し上げるつもりではないのであります。あれだけのことを公約し、国民の前に発表しておったただいまの内閣が、近ごろの新聞を見ますと、四人か五人の写真が出て、だれが総裁になるかということが毎日々々論議されておるような格好で、私はこういうことでは、国民に対して威令が行われなくなり、信頼を裏切り信用を失墜する大きな問題じゃないかということを申し上げたのでありまして、その後このことについては全然ノー・タッチでおるのではない、いろいろ処置をとられておるということの御説明で、少しはわかりましたが、全く心から納得をしたというわけにいきませんのは、次の国会でこれこれというようなお話もございましたが、ただいまの様子を見ますと、日々やっておることはだれを総裁にするかということ以外に何もない——これは少し言い過ぎますが、かように感じる。国民にこの印象を与えたのでは、政府の威信がなくなるぞ、逆に言えば国民大臣のおっしゃる社会教育高揚ということについて、口ではこういうことをおっしゃっておるが、現在の政府のやることはこれだということになれば、まことにつじつまが合わないということを私は申し上げたわけでありまして、この点憲法をかれこれ論議するわけではないのであります。大体、満足ではございませんがほぼ様子がわかりましたが、私としてはどこまでもそれと関連して、国民信頼を裏切らずに、約束通りに続けて御審議をなさっておるという様子は、あまり納得がいかないのであります。  ここで大臣一つだけ承わりますが、明瞭にしておきます。憲法論についてかれこれ申すわけじゃございません。ただ一点だけ伺っておきたいと思うことは、明治憲法——私はこれはずいぶん封建的な憲法だと思っておりますが、新しき憲法改正された。これについて内容の詳細にわたって部分部分の御意見を承わるのじゃないのでありますが、明治憲法が新憲法に変ったということにつきまして、大臣は、清瀬文部大臣としてこのことは大へんよくなった、喜ばしき改正であるとお考えになるか、困ったことになった、逆にいけないことになったとお考えになるか、この一点だけ伺いたいと思います。
  16. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 それは二つに分けて答えなければならぬと思っております。その一つ憲法改正方法であります。もう一つ内容であります。私の信じる哲学からいえば、新しい憲法内容には民主主義平和主義のとうとい内容が盛ってあることは認めるのであります。しかしながら憲法主権者の自由なる意思で作るものでございます。およそ占領下において、すなわち外国の主権のもとにおいて永久憲法は作るべきものではないという信念を持っております。それゆえ憲法形式論からいえば、非常に残念で、これを思うたびに腹わた九回すると私は思っておるのです。敵の将軍日本を占領しておいて、その示唆によってようやく日本永久憲法、将来のわれわれの子孫までも羈束するものを作ったことは、いかに敗戦とはいいながら、わが民族のためには非常に困ったことだと思っております。
  17. 木下哲

    木下委員 ただいまのお答えで二点についてこれこれ、作られた形式がこれこれということのお答えがございましたが、私の質問の仕方が悪かったので、一点だけお伺いしたいということは、私の意見としては、明治憲法が新憲法改正された内容についてはそれぞれの御意見で、この点はこれこれ、いいか悪いとかという意見もございましょうが、変った一番の、ほとんど九割九分というような大事な要点は一点だと私は心得ておるのであります。それは主権天皇から国民に移ったという、この天皇主権国民主権に変っていったということが、明治憲法が新憲法に変った重大なる意義のある、またこれが一番の大事な点だと思うのであります。その方法その他のことはお尋ねいたしません。はっきり言いますと、主権天皇から国民に移ったというこの一点に関して大臣はけっこうなことになったとお考えか、困ったことになったとお考えか、これを大臣から特に承わっておきたいと考えますので、この点だけお伺い申し上げるわけでありまして、そのできた方法などはよろしゅうございます。
  18. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 国家理論、それから主権所在はプラトー以来の大きな根本の問題であります。おのおの各国においては歴史もあります。それから感覚もあります。それゆえに一律に、どこの国の憲法も必ず主権国民にあるものだとか、必ず君主政体においては君主にあるものだときめるわけにもいきません。イギリス、ベルギー、モナコのごとき、主権国民にある場合もあります。それゆえにそれがどこがいいのかというお問いはあまりにも抽象的、哲学的の議論と私は考えるのであります。しかしながらもし私、清瀬一個の考えを言えとおっしゃるならば、今日主権国民にあることに異存はございません。しかしながら歴史のうある段階においては国家にあると規定する場合もありましょうし、君主にあると規定する場合もありましょう。これは歴史の発展によるのであります。ただいまの私の心境においては、主権在民には異存を差しはさんでおりません。あなたは問うたんではないとおっしゃいますが、主権所在といったような大切なことまでも、敵の将軍占領下においてきめたということについては、これは実に残念なことだと思っております。
  19. 木下哲

    木下委員 大体お答えしにくい中にお答えしていただいたのですが、私は大臣がまだ大事な点をぼかされていると思うのであります。ここで大臣にふなれな私が質問している以上、しかも私が誠実にこれを伺っている以上——私は衆議院に当選以来文教委員会に席を持ちまして、皆さんに御迷惑をかけないように心がけているつもりで出席しておりまして、大臣も当初よりはずいぶんと親切な態度で御答弁なさっている様子を拝見いたしましてうれしく思っておりますが、まだまだ大臣は大事なところをぼかしておるように思うのであります。関連がありますから一分ばかり申し上げますが、せんだっての委員会大臣は、日教組幹部と会う約束をした、私は心待ちしておったが、きょうは行かれないという通知もなくて、電話もかからないでお見えにならなかったと、一言一句は違うかもしれませんが、まことにいんぎんな丁重なお言葉のようでありますが、私に言わせればあなたは国民の公僕なんでありますから、それだけの約束を守ろうとするなら、あのときに、日教組幹部が来ようと思って途中で自動車の事故があったんじゃないかとか、一応電話日教組の本部に向い合わせるだけのことをなさる必要があると思うのであります。そういうところを、何かしら大事な点をおぼかしになりますが、私が伺っていることは、今の新憲法になってからの日本のことを伺っておるわけなんです。大体けっこうだということでわかりましたが、途中のいろいろお話になることが、われわれ不なれな者が率直にまじめに聞いておるのに対して、ごまかしのない十分なる態度で御答弁なさっておると私は言えないのでありまして、この点はついでに大臣意見として申し上げまして次に進みます。  また問題が最初に帰りますが、私が鳩山内閣としてずいぶん国民信頼を裏切るようなことになるということを特に文部大臣に申し上げるのは、文部大臣は今口を開けば社会道徳高揚ということをおっしゃっております。大へんけっこうなことだと思うのであります。日本としては、戦争に負けて、世界中の各国から信用を盛り返して、一人前の国家として十分交わりを続けていくためには、一番大切なことだと私も考えておりますが、ついこの間の問題で、北京において見本市がなされた。日本から出品した物は粗悪品が非常にたくさんあった。極端にいえば、万年筆でインキが出ない、雨がっぱで雨にぬれると破れるというようなことを聞いておりますが、この事件をごらんになって、社会道徳高揚ということを叫ばれておる現在の文部大臣としてどのような御処置をとったかを承わりたいのであります。
  20. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 これは私の所管外のことでありますが、所管石橋大臣においては、各方面にかくのごときことが再発しないような措置はとっておると思います。
  21. 木下哲

    木下委員 今大臣所管外であるとお答えになりました。大臣所管外であるというお答えは、伺っておる私の意見からすると重大なる発言であると思うのであります。なぜなら、これが物を売ったり買ったりする値段をきめるような場合なら、これは通産大臣の管轄かもしれませんが、あの事件を見て、これを所管外であるというふうにお考えになること自体が、清瀬文部大臣感覚にもうすでに非常に古いものがある、ズレがあると率直に御指摘を申し上げることができるのです。この事件を見て、所管外であるということを一番先に、唯一の答えとしておっしゃるなどに至っては言語道断であると思うのであります。あの事件を見て、こういうことをやってはいけないぞということを、今から大きくなっていく子供たち、学生、生徒に知らせるのにはこの際一番いいチャンスだという感覚を持たないで、これは所管外通産省のことだなどと考えるに至っては、私はほんとうに残念しごくでございまして、私に言わせれば、あの帝銀事件の平沢なんとか——これは黒か白か知りませんが、これにまさるとも劣らぬ言語道断のことをやっている連中を、会社の名を明瞭にし、社長の名を明瞭にして、これこれのやつがこういうことをやって日本信用を失墜していくんだ、大きくなるお前たちはこういうことをやってはいけないぞということを文部大臣として当然この際やるべきじゃないかと考えます。それを所管違いであるということを一番先にぽんと打ち出していい顔をしているということに至っては、その感覚が古い、ズレておるということを率直に申し上げまして御回答をいただきます。
  22. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 私は政府各省とも、商業道徳国民道徳のことを考えつつ政治をとるべきものと思います。道徳文部省専売ではございません。労働省も労働問題を処理する上においては道徳律によるべきものである、通産省もしかり、農林行政もしかりであります。文部省だけが道徳専売店ではございませんです。各省大臣とも一致協力して、日本商業道徳なり工業道徳なりを進めたい、こう考えておるのであります。それゆえ石橋通産大臣がこれを不正競争あるいは不正商事行為なりとして担当されるということは当然であって、こちらからしいて商店に向って通知をするとか会合を持つなどというようなことは、今の政務の分担では適当じゃないのであります。しかしながら全国の各学校においては、やはり商業的の道徳教育はりっぱな教員さんが何十万とおられてやって下さっておるのでございます。その面においてはやはり道徳に牽連しておりまするけれども、各商社に向って、あるいはまた製造家に向っての不正競争の防止は、向うの方でやってもらう方がいいのではないか。石橋道徳のことを言った、けしからぬということを私はいうべきものではない、かように思っております。
  23. 木下哲

    木下委員 ただいまの商業道徳に関しては石橋君がこれこれというお話は、御意見としてそれもけっこうでしょう。しかしながら私は、この際今何を言っても先ほど申と上げましたように、全世界の人と、しかも隣の隆々と栄えておる中国に対しては、隣としてどこまでも親密にやっていかなくてはならない、そのときにこういうことをやったことについては、教育の面の道徳高揚させる一番いい材料だとおとりにならないのに感覚ズレがあるということなので、ズレのある人と進んだ者とではいつまでいっても果てしがありませんので、先に御指摘申し上げますが、私もついこの間の国民体育大会秋季大会に、神戸で役員の一人として入場式に出たのであります。大臣から文部大臣としてごあいさつがありました。ごうやって私も委員会大臣を目の前で存じ上げておるだけに、今度は清瀬大臣がごあいさつをなさる、これは大へん相済みませんことを申し上げますが、何かひいき筋が舞台に出るような気持で、大臣がどういうごあいさつをなさるだろうと思いながら心ひそかに楽しんでおりました。ところが、大臣もおそらくあの感激の一ときというものはいまだに覚えがあると思うのでありますが、失礼でありますが、ごりっぱなごあいさつをなさって、私も非常に愉快でありました。ところがその中に——あのスポーツマンを一万数千集めた、あれは、ただ走るのが早いからというだけで連れてこられてはおりません。よりすぐったあらゆる面で優秀なものを一万数千集めておる中で、たった一つ残念に思ったことは、道徳高揚を、ちょっとあの席で、スポーツ祭典である、しかも集まった者、彼らよりすぐった者のおるところで言われた。これは言ったから大へん悪いことを言ったとまでは言いませんけれども、あそこでちょっとお説教みたいなことをやるのは、これは少し気がきかないなとひそかに思ったのであります。気がきかないのはいいです、別にしても、あそこでおやりになることに感覚ズレがある。これはズレがあるかないかは別な話として、あそこでもお説教めいたことをおやりになるほど御熱心におやりになっておる文部大臣なら、あの中共の北京見本市様子を見たときに、会社に対してこれこれの罰は通産省でやることだというようなことに今でもやはりお答えになりますか。それよりも気がつかなかった、これはいいチャンスだと思うから今からやるとおっしゃっていただいたら、国民の代表として大臣に申し上げておる私としても全くありがたく思うわけでありますが、あくまでそうおっしゃることに対して、いかがなものでございましょうか。スポーツ祭典の席でさえおっしゃったあなたでありますが、今でもそうおっしゃいますか。
  24. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 道徳は私は人間のすべての行いに関するものと思っております。それゆえに、機会あるごとに道徳のことを私は説いております。本月午後に地方町村長がおいでになりますが、そのときにも言おうと思っております。これは一ぺんいうても道徳あとへ戻るのです。だから仏法の方でも念々従心起といって、念々刻々思い出すようにしないと道徳高揚できません。どうしても道徳人間の本能を幾らかためることですから、それゆえにいつも、よくなれ、よくなれ、よくなれと言っていかぬといけません。ことにスポーツの原理はフェア・プレイです。これは道徳は非常に牽連することなんです。ただ走るだけが能じゃありませんよ。フェアで、カンニングをやらないといったようなことがスポーツの非常にいいところですから、そこで私はあのとき道徳に言及しております。それゆえ、どこがこういう商人の会合貿易商会合とか、製造家会合に私が出席する機会がありましたならば、必ずこれはやります。諸君、何といけないじゃないか、金もうけばかりが商売でないということをきっと私はやるに相違ないのですけれども、まだその機会を得ておりませんが、せっかくあなたの御注意ありがとうございました。ほんとうですよ。商業道徳というのは非常に大切なことでありますから、そのことにも十分注意をいたしまして力を尽したいと思います。ありがとうございました。
  25. 木下哲

    木下委員 その問題につきましてそれほどのお答えがあれば、あといたずらに御迷惑になりますから追及いたしませんし、申し上げません。ありがとう存じました。ただ言葉じりをつかんでかれこれいうんじゃありませんが、スポーツマンにあの席でやったのは、フェアなんだ、カンニングをやらないスポーツマンの集まりだから、やったというお話を私にされたようでありますが、そのことは私は百も承知ですから、その承知のものの前でやるということについて感覚のずれがありはしないか、これは大へん悪いことだとまでは申し上げませんが、明瞭にいたしておきますことは、あなたからスポーツマンフェア精神に徹しているという講釈を聞いたのでは私はたまりませんから、そのことは百も承知の上で、承知し過ぎるほど知っているものの前でやったことは、私に言わせるなら、よけいなことじゃないかとすら思うのでありますということを、最後にあなたからスポーツマン講釈を聞いたことについて明瞭にいたしておきます。  次に伺いますが、音楽著作権協会のことでございます。今月の月初めの毎日新聞に、民放から納められた料金が、納めたほどのものが協会にきちんきちんと納められていない。総額二千万円程度のものがやみに消えたというような見出しが出ておったのでありますが、監督官庁とされて当然いろいろな御処置をとられたことと思うのでありますが、おとりになった方法、また結果としてどういうふうであるかということについて、ごく簡単でけっこうでありますから、お話を願いたいと思います。
  26. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 御承知ごとく、昭和十四年から著作権に関する仲介業務法律ができております。今お問い社団法人日本音楽著作権協会が、この法律によって、音楽著作権を持っている人と放送会社との間の仲介をいたしているのであります。文部省法律に基いてこの監督をいたしておったのでございますが、省側監督の不十分でございますか、その間に的場俊雄という人が担当しておりましたが、正常ならざる行いがあるということを聞き及びまして、文部省においてはさっそくその真相を調査いたし、また弁償させることを今いたしつつあるのであります。まことに遺憾なことでございました。目下進行中でございますから、どう解決してしまうかは今申し上げかねますけれども、われわれの最善の力をもって解決いたしたいと思います。これも今お説の人間道徳にも非常に関することで、よく処理いたしたいと思っているのであります。この詳細なことは、今月の二十五日付で相当詳細な報告がきておりますから、御必要ならさらに所管局長から申し上げさせることにいたします。
  27. 木下哲

    木下委員 今の結果はおわかりにならないということはわかりましたが、ただいま仲介業をやるところの音楽著作権協会なるものの人的構成などは、私が承わったところによりますと、ほとんど権利を持たれている側の人——会長が西条八十先生ですか、そういうような方々で構成されておる。これは先べんをつけて最初にやられたことですから、そうして会員をたくさん獲得したという当然な——御自分でやられた、政治的な実力を持っておりますから、実力を持ったものがある程度のお仕事をやられることはいたし方がないのでありますが、たまたまそれを監督なさる文部省としてはお気をつけにならなければならぬということがあるんじゃないかと思うのは、当然先べんをつけて自分たちの思いつきでこういうものを作ったとはいえ、これがほとんど独占的でございまして、逆に言えば、使用者側から見ると非常に横暴な強い相手である。いろいろな交渉過程において、文句いうなら、満足しなければやらなくてもいいぞというような態度に出られることがあるという、これは私聞いた話なんでありまして、厳とした証拠のないことではなはだ恐縮に存じますが、大体そういうことは常識的にも察せられるのでありまして、この人的構成その他についてのそういうことのためにこういう事件が起きたということに関連があるかないかは別問題といたしまして、公正あるいは妥当を欠いたものがあるんじゃないか。どこまでも仲介業として、アンパイアみたいな格好でそれをやられるなら、当然使用者側の意見文部省としては取り入れてやるおつもりがあるか、現在すでに取り入れているかということについて私はお伺いしたいのであります。その伺いたい理由は、今申し上げましたように、いろいろな面で、非常に横暴になっている、そのことについてお伺いいたします。
  28. 福田繁

    福田説明員 ただいまのお問いでございますが、文部省にあります著作権審議会におきまして著作権の使用料等の認可をいたしております関係上、そういった場合におきまして、使用者側の意見も随時文部省としては聞いております。従って今回の問題につきまして、そういった人的構成が果して妥当であるかどうかということは、これは一概に申し上げられませんが、しかしながらその協会の当事者も反省しておりますように、人的組織においては非常に不備な点があった、こういうように申しております。また実際に考えましても、非常に人手の少いところでやっておりますので、人的な面におきましてはかなり遺憾な点があったのじゃなかろうか、かように考えております。
  29. 木下哲

    木下委員 今のお答えで、人的構成が妥当であるかどうかということについては答えられないということは、現在の場合についての批判は別として、そのことについて主管の官庁としては申し上げられないどころじゃなくて、大いにこれに入っていって調査をして一番よろしいものを作るということにしていただきたいのであります。今のお話では使用者側の意見も聞くということをはっきりおっしゃいましたが、最後の結論を申し上げますと、それでは権利を持っている人のところに入った金が規則通りに持っていかれることになるようにしていただきたいということが終局のお願いなんでありますが、現在の構成がそういう形であるし、あるいは料金などをきめるのに政治折衝でゆとりがあるということを聞いておるわけです。たとえば民放などでは出力の点とか、あるいはその放送局のあるところの所在地の環境によっては話し合いの上で値段にゆとりがあるというようなことも聞いておりますが、これはいかがでありましょうか。
  30. 福田繁

    福田説明員 先ほど申しましたように、審議会でその使用料をきめますので、きめる際に最高、最低の幅を持たせてやっておるそうでございます。従ってそういった幅のきめ方につきましては、今後慎重になお研究して参りたいと思います。
  31. 佐藤觀次郎

  32. 松平忠久

    ○松平委員 私はたしかこの委員会でも問題になったと思いますが、最近の鉄鋼の需給の関係から非常に学校建築に支障を来たしておる、こういう実情であるわけだが、この点についてお伺いしたいと思います。  まず第一点に、政府の鉄鋼関係の見通しが、十月中ごろの見通しから比べまして非常に悪くなっている。つまり、スエズ運河のあの問題から欧州から来る鉄鋼が非常に少くなってきておるという関係で、学校建築、ことに屋体等において二万坪程度のものをいわゆる建値であっせんするということが過般きまったように思っておるのでありますが、それが実行できないということに今日ではなっておる。しかも法制的な建前もありませんので、結局今文部大臣が申された商業道徳に待たなければならぬというのであります。従って出す出さぬということであれば、これは一度きめてもなかなかそれがうまくいかぬという段階であるのであります。これは相当政治的な折衝も必要であろうし、また業者に対して公共の建物に対する鉄骨を建値で供出のような工合にさせていこう、こういう指導が必要なんでありまして、この点について最近の実情をお伺いしたい。
  33. 小林行雄

    ○小林説明員 お尋ねの建築用資材としての鉄鋼の問題でありますが、御承知のように本年の九月ごろから建築用の鉄鋼資材が値上りをして参りまして、一時はトン当り十万円近くまで上ったのでありますが、その後やや下りまして、現在では七万台になっております。しかしそれでも従来の建値に比べますとかなり値上りをいたしておりますので、一部には早手回しに本年度の学校建築を手がけまして契約をいたしましたところでは、支障なく進行いたしておりますが、いろいろな事情からおくれましたところでは、相当難行しておるということを聞きまして、文部省といたしましても、関係の官庁でありますところの通産省、経済企画庁等ともいろいろ折衝をいたしました結果、これは新聞等にも出ておりますように、鉄鋼の生産者の団体として社団法人鋼材倶楽部というものがございますが、これの別働隊としてプール鋼材緊急斡旋所というものを設けて、ここで必要な建築用資材のうちの鉄鋼についてごあっせんするということになっておるわけでございます。第三・四半期においては大体五万二千トンというものを一応緊急斡旋所でごあっせんする、特に公営の住宅用の資材並びに学校建築用の資材は最優先させるということで十一月の初めかちごあっせんをしているはずでございます。文部省としてもいろいろ連絡いたしまして、その後の状況を調査したいと思っておる実情でございます。
  34. 松平忠久

    ○松平委員 あっせんをするはずになっておるという意味のお答えでありましたけれども、まさにそういうはずではあります。しかしながら私どもの実情調査によりますと、実際はほとんどあっせんをしておらない、こういう実情になっておるのであります。すなわち今あなたの申された鋼材倶楽部の手持ちのものがありまして、その手持ちのものを何とかしてプレミアム付で学校等に買わせよう、こういうことを業者の連中は考えておる。初めから鉄筋については二割の手数料をとるということをきめてあるのでありまして、従って学校用の鉄骨についても手数料をとってやろうという考え方になっておるので、業者が出したがらない。つまり手持ちのものを、まずプレミアム付で出して、そうして出したかわりのものを業者からまた鋼材倶楽部に入れる、こういうさやかせぎをしようという傾向があるのであって、従ってなかなかこれに応じない、こういう実情であります。すなわち本月の十日までに地方庁を通じて第一次の申請をするようにという達しを鋼材倶楽部においてはいたしておりますが、実際の締め切りはそれよりも前の十一月八日にやっている、こういう実情でありまして、実際はあなたがいうごとくにうまくいっておりません。そこであなた方の方では、一体どういうように通産省なりあるいは鋼材倶楽部にその後折衝をしておられるのか、その点を伺いたい。
  35. 小林行雄

    ○小林説明員 これは、私どもといたしましては、建築用資材が数量的にも値段的にもはっきり確保されるということが一番望ましいことでございますので、そういう面から折衝したのでありますが、御承知のように戦時中の統制経済時代のいわゆる指定生産資材という行き方は、現在ではとられておらぬわけでございます。従って学校建築用の鋼材については最優先させるけれども、一定の数量のものを計画生産するということには現在なっておらぬわけでございます。建前としては、先ほど申しましたように、学校建築用資材を最優先させるということになっております。ただいまお話の中にございました手数料という点については、必ずしも手数料というわけではございませんで、一応代金の二割を前納してもらうという建前のように私は伺っております。  なおプレミアム付で業者の手持ちのものをさばこうとしておるのだというお尋ねでございますが、大体業者を仲介にしないで、四カ所でできているところのプール鋼材緊急斡旋所が業者を排除してやるというふうに私どもは承わっておるのでございます。  なお締め切りの点についても、十一月の十日締め切りということでございますが、それにおくれましても、第三・四半期以後第四・四半期等においても、この制度がとられていきます以上、当然そういったものに乗せていくということができるというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  36. 松平忠久

    ○松平委員 今の管理局長の御説明によりますと、プレミアム付については若干あなたの方に誤解があるのではないかと思います。私の言ったのは、鋼材倶楽部そのものが手持ちを持っておって、それを高く売りつけよう、こういうことを私は申し上げておるのであります。そこでさらにお尋ねしたいのは、学校建築に優先的に鉄骨、鉄筋等をあっせんする、こういうことが一応政府部内でも業者の関係においてもきまったということでありますが、優先的に出すということであれば、私は体操場等の、いわゆる四万坪に必要とするところの六千トンの鉄は確保できるはずであると思うのであります。なぜかというと、今日市中の相場において七万円とか八万円とか唱えられておる鉄の量というものは、通産省のいうところによると、大体日本全国における生産量の二割だというけれども、われわれの見るところによると、三割程度であります。あとの七割というものは建値で現在取引されております。従ってこの七割の中に優先的に入れてくれるというのであれば、何ゆえにあなた方の学校建築の用材というものは入らないか、それはどういうわけであるか、その点一つお伺いいたしたいのであります。
  37. 小林行雄

    ○小林説明員 本年度の学校建築用の用材は、私ども大体三万トンというふうに推定いたしておりますが、これにつきましては、ただいま申しましたように、通産省の方からも鋼材倶楽部に対して優先的に取り扱うようにという指示をいたしておりますし、鋼材倶興部並びに緊急斜旋所の方でも優先的に取り扱うということで処理しておりますので、私どもの方ではただいまのお尋ねに対しては、優先的に取り扱われておるというように考えております。
  38. 松平忠久

    ○松平委員 今私が申し上げました点については、どうもあなたはよく御存じないと思うんだけれども、現在の鉄の状況は、いわゆる市中価格によって、高いもので取引されておるというものは、全生産量の大体二割から二割五分ないし三割なんです。つまりあとの七割というものは、これは普通の建値で出しておるわけであります。従ってこの七割の中へ何ゆえ学校建築が入らないか。造船であるとか、あるいはその他国家の必要とする産業に要するところの資材というものは、この七割の中に入っておる。しかるにあなたの方の学校の屋体の建築用の鉄材、鉄筋というものは、その中に入っておらぬ。しかも市中相場の三割の方でもって、それで優先的に取り扱われておるというのか。あるいは七割の中に入れてもらえないのか、あるいは入れてもらう程度も半分しか入れてもらえないので、二万坪に要する鉄材しか確保できない、こういうのであるか、この点を私は伺いたいと思います。
  39. 小林行雄

    ○小林説明員 大体学校建築用の鋼材と申しますと、十九ミリ棒鋼が多いのでありますが、十九ミリ棒鋼というのは、いわゆる鉄鋼生産業者としての四大メーカーが作るパーセンテージは、必ずしもただいまお尋ねのようなパーセンテージでないわけであります。それ以外の中小メーカーで作られるものがかなり多いわけでございまして、ただいまお尋ねの七〇、三〇という割になっておりませんで、大半は十九ミリ棒鋼は中小企業のメーカーでこしらえられるというのが実情のように私ども聞いております。
  40. 松平忠久

    ○松平委員 ここに通産省から出しておる統計があります。この統計によりますと、その中に市中価格による取引量は全体の二割内外であると、ちゃんと明記してあります。しかもその中には今あなたが申されたところの十九ミリの鉄棒が含まれておる、これをあなたは御存じないのですか。
  41. 小林行雄

    ○小林説明員 私どもとしては資料をいただくばかりでなく、直接通産省、経済企画庁とも十分連絡をいたして、その情報を聞いておるわけであります。
  42. 松平忠久

    ○松平委員 それならばあなたはよく知っておるはずです。よく知らなければならないはずであって、市中相場で取引されておるものが二割内外で、あとは建値で取引されておるのだから、その建値で取引されておるものを当然学校用建築資材に入れてもらうように努力しなければならぬ。それがようやく半分しか入れてもらえぬ。しかもその半分については、今日の鉄の状況から言って業者が出し渋っておって、地方の財政難の市町村その他地方庁あたりを非常に困らせておるというような実情なんです。ですからあなた方はもう少し実情を調査して、そうしてもっと積極的にこれを解決する努力を払っていくということが必要であって、ことに今冬を迎えまして鉄筋その他の工事が非常に困難になりつつある時期であるから、一刻も早くこれをやらなければならぬ。やらなければ結局一月、二月はできないのです。工事が三月以降になってしまう。こういうようになっておるのが大部分の府県の実情だろうと思います。そういうことに対して、実は文部大臣もここにおいでのようですが、この問題は相当深刻な地方の問題になっておるので、事務当局だけにまかせておかずに、文部大臣自身が通産大臣とよく話し合ってこれを早目に解決していくということを特に私はお願いしたいのでありますが、これに対する文部大臣のお考えを伺いたい。
  43. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 今御指摘のことは私も地方の有志諸君より承わって重要なことだと思います。適当に善処しようと考えております。
  44. 松平忠久

    ○松平委員 適当に善処しようというお考えでありますが、適当にということは、今私どもの質問しましたその要旨に基いて、少くとも市中値段ではなくて建値としておる鉄材が八割内外あるわけでありますから、この八割内外の中に学校用の建築資材をぜひとも入れてもらう、入れさせるということに一つ考えおきを願って、その上の善処をしていただきたいと思うのであります。これをもって私の質問を終ります。
  45. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 関連して。ただいま松平さんから提起されました問題につきましては、約一カ月ばかり前に、衆議院の商工委員会の鉄鋼に関する小委員会におきまして、特に鉄鋼材料の値上りの問題が指摘されました際に、委員会の皆さんの御意思を代表いたしまして、本員より詳細に陳情いたしておるのでございまして、その席で通産省から提示されました案の中で、中小企業その他の小品需要に対する鋼材倶楽部のあっせん量が月千トンずつのものを二千トンにふやす。また鉄鋼の緊急輸入に関連して、従来鋼材倶楽部に提供しておりました八幡、富士その他のメーカーの原価の鉄材を半分、輸入鋼材を半分、そうしてそれが五万二千トンにきまったのでありますが、その方のプールによる供給をもいたすというような諸多の対策が明示されたのでございまして、その点につきまして、自民党の理事側は文部省に常に連絡をとりまして、できるだけの努力をいたしておるのでございますが、その際の通産省側の態度は、どこまでも文部省と十分な連絡をとりたいという熱意に燃えておるのでございます。なお、第二回目の小委員会におきましては、商工常任委員会の小笠理事より特に発言を求められまして、学校鋼材の優先に努められるように、通産省当局に要望しているのであります。ただこの際ネックとなりますことは、鉄鋼業者といたしましては、従来の長年の得意に対して義理を立てるという観念が一つあるのでございます。また鉄はがねがあまり使用されておらない時期に、無理に好意をもって鉄はがねを使ってくれた建築の足場、その他そういうところに対しては、特に鉄材の供給が不如意になったときには、ある程度の義理を立てなければならぬというような感じがあるやに存じております。新規用途優先と申しましても、屋内体操場、体育館等のごく鉄はがねを必要とする、従来から使われている用途に対しては、これは新規用途開拓の鋼材倶楽部の仕事の範囲から若干逸脱しておるというような気分があったのでございまして、新しく校舎を作る場合には、学校の鋼材を優先するというような考えがあったのでありますが、これらも文部当局の逐次の説得によりまして、通産省側も、また鋼材倶楽部側も、相当理解をすることに至ったことについて、私は感謝をしているのであります。鋼材倶楽部のあっせんまたはプール鋼材のあっせん等におきまして、学校鋼材が相当尊重されておりますのは事実でありまして、幾多の学校がそんなコミッションなんか出さないで手に入れているのでありまして、若干事実に反することが先ほどの御発言にあったというふうに私は考えているのであります。  それは私関連質問でお聞きして、事情を明らかにしたいと思った点でありますが、私本日お尋ねしますのは三点であります。その三点は、政府各省の間にもっと有機的な、統合的な行政の調整が行われてもいいのじゃないかと思うことに関連した問題でありまして、教育におきましても合科教育という一つの主義がございまして、算術の先生も黒板に書く国語の字を間違えないように、数学の先生も出題をするのに、道徳教育に資することができる事象があったらそれを活用するようにというような考えがあるようでありますが、政府部内の中にそうした考えがもっと起ってよいのじゃないかということに関連した問題であります。  第一は身体虚弱な児童の教育に関してであります。養護学校の公私立の数が非常に少くて、過般の法律等によりまして逐次ふえる傾向にあり、また養護学級数がだんだんふえつつあることは存じておりますけれども、これらはまだわが国の虚弱児童、ことに結核児童の養護及び教育に関してはまだ十分なものであるということはできないと思うのであります。しかるに国の結核療養所または府県立、市立等の結核病棟には、相当たくさん結核児童を収容しておる児童専門の病室等があるのでございます。かかる児童の療養に専念することは必要でございますが、その療養と並行して、必要な国民としての基礎教育品を与えることが必要なことだと思うのでございます。これを養護学校または養護学級に引き離すことはとうてい不可能であります。こういう場合に、ある養護学校またはある養護学級を持っているところの学校の分教室というような工合にして、十人、二十人等の集団しております病院収容の児童のために、その病院の中に養護学校を開設して、その病院の病室を学校の延長として取り扱って下さることができないか。厚生省及び文部省両方に関係した問題でございますが、事務的な手続をまず初中教育局長さんにお伺いをし、また将来の立法政策について文部大臣にお尋ね申し上げる次第でございます。
  46. 内藤誉三郎

    内藤説明員 ただいまの御質問でありますが、学校教育法から見ますと、こういう場合に教員を派遣して義務教育の基礎教育を行うことができるという規定もございます。さらに療養所の隣に学校があるような場合にはそこから派遣する、こういうようなことで制度的には不可能ではないと思います。
  47. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 加藤さんの総括的におっしゃいました各省間の有機的連絡であります。私も政府に入ったのは初めてでありますが、御説の通り、全体としてもう少し有機的に拡張する余地が残されておると思います。その方向に進むことを希望しております。
  48. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 第二には農林省と文部省との間の関係であります。私近来においての日本産業、経済の繁栄は、農村の農民諸君が異常な熱情をもって国の経済の打開に努力しておられる結果がその一斑をなすものだというふうに考えておるのでございますが、最近私郷里の各町村の二、三十戸くらいの農村部落を数十カ所自分で歩いてみまして、特に最近における農村の青壮年の農業に関する研究心が旺盛になっておりますことにつきましては、驚愕いたしておるものでございます。そういう観点から、あるいは自動耕転機あるいはトラクターあるいは農薬の使用あるいは尿素の葉面散布というようなあらゆる部面におきまして新機軸を出しておるのでありますが、増産もある程度達しますと、もはや学問、技術の領域に進出しなければさらにこれ以上の増産が望めない時期に達しているのであります。こういうことを察知させられました農業協同組合の組合長、専務理事、その他の指導者も、青壮年が農業改良指導員その他とともに農事研究会を設けまして、おそろしい勢いで新しい研究を始めておるのに促されまして、農村の指導階級、農協幹部その他の重要人物も、みずからもまた新しい学問技術を取り入れて、そして自分の知識にしていかなければならぬという要求に迫られてきているようなわけでございます。ことに青年は非常に冒険心がありますので、たとい一枚や二枚の田んぼは半分ぐらい減収になっても、新しい増産方策を実施してみようというような熱意にも燃えております。これら異常な研究心と覇気を持っておりまして、農業技術に理解のないような農協の幹部等は少しこれを排撃するような気運もあるのでございまして、その自衛策といたしましても、農村の幹部地方大学におきまして農閑期その他一定の期間、再教育をしてもらいたいということを相当考えているのでございます。また青壮年はもちろんのこと、大体地方農業大学のあるような地域では、農業改良普及員の中に相当その学校の卒業生もおるのでありますが、しかしながら長男は自分の田畑を守るためにそれには入らない、次三男は農業大学に入っても長男は入らないというようないろいろな事情はあります。そうした場合におきまして、この地方の農林学部等をほんとう地方の青年や壮年に、夜間または農閑期に十分に開放して、そうして正規に学習をなさしめ得る制度が現在あるかどうか、また将来そういう道を開かれる御意思があるかどうか、こういうことをお尋ねしたいのであります。  これに関連して思い起しますことは、私戦時中地方の県庁に奉職しておったのでありますが、あまりに農村におきまして衛生思想が普及しておらぬことにびっくりいたしまして、文部省に交渉いたしまして、当時の高等女学校の一年から五年までに、高等女学校の特設課目として健康を保つ保健課というものを設けてもいいかということをお尋ねしたのであります。一週間私毎日のように文部省の中等教育課に行ってお願いしたのでありまするが、これが督学官さんたちのなわ張り争いもあったのでありましょうが、家事課の範囲をちょっとでも侵食したらいかぬとか、あるいはそんなことは理科教育でやっておるとか、いろいろな口実を求めて許可してくれない。とうとう一週間日に特設課目を設けてもらいましたが、そのときの文部省の言い分は、高等女学校令というこの古い法令は特設課目のことを規定しているけれども、いまだかつて特設課目というものは設けたことがない。特設課目は設けないことになっているのだ、こういう言い分であります。まるで政府の機構はぼろぼろの汽車が惰力運転しているような感じを与えているのでありまして、もっと清新活発に新しい時代に即応してどんどん機構を変えていく必要があるのじゃないかということを考えまするので、それらのことに関連いたしまして、特に産業と教育の農村における調和につきましてお尋ね申し上げた次第でございます。事務的な方面は事務当局から、そして立法政策につきましては文部大臣よりお答えをお願いする次第であります。
  49. 内藤誉三郎

    内藤説明員 ただいま文部省でやっております趣旨といたしましては、各大学に成人学級を委嘱しておりまして、その中で農学部のあるところには農学関係の講座がいっておるはずであります。今加藤さんのお話のありましたように、組織的にはまだいっておりませんが、地方の実情に沿うように各大学に一講座は配っておるのでございまして、さらにこれを充実して進めるように努力をいたしたいと考える次第であります。
  50. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 今加藤さんのおっしゃることはみな賛成でございます。何とか工夫して一そう学問と実際、わけても農事との間の連絡を密にするようにいたしたいと思います。
  51. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 第三番目の問題は大蔵省と文部省に関係する問題であります。過般われわれが辻原委員等と一緒に関西地方の行政視察をいたしたのでございますが、私特に感じましたことは、わが国の古来よりの重要文化財がどんどん焼失いたしておりますようなことに関連いたしまして、わが国の貴重なる、国民歴史や文化を象徴するこれらの物件、建築等を包蔵しております寺院の財政面に調査のほこを向けたのでありますが、わが国の大多数の寺院は、寺社領、お寺の田んぼを持っておったのでございますが、これが農地改革、あまりに急激過ぎた農地改革によりまして、ほとんどすべてが寺院からもぎ取られたわけでございます。寺院の経済的な基礎はそこでなくなっているのであります。しかるにもかかわらず寺院はことに奈良、滋賀、京都等の寺院は、国家的にはきわめて重要なる国宝その他の文化財を管理する社会的責任を持っているのであります。最近そうした国宝、重要文化財、建築等を含むところの京都、奈良の観覧税問題につきましては、問題の根本がそういうところにあるのじゃないかというふうに考えるのでございますが、私自身地方行政財政をやって参りました者の立場としては、あれくらいの悪税はないと思っておるのであります。しかるにもかかわらずそうした悪税まで取らざるを得なくなったということには、政府当局に、果してわが国の世界に誇るべきとうとうい文化財を心底から、最後まで守るという御熱意が十分あるかどうかということを私は疑うのであります。経済力の基礎のほとんどない寺社が、その中の建築、国宝、重要建造物等を修理いたそうとしても、金額を国庫で補助するわけでもなし、たとい全額を補助いたしましても、国宝建築物の門のわきにすぐ隣家の住宅の煙突が煙を吐いているというような状況のもとにおきましては、十分なる管理ができることの見込みがないのであります。そういう事態におきまして、ある国宝建造物を管理しております寺院の檀徒たちが中心になりまして、わが国の優秀なる数十の国宝や重要文化財を包蔵しておるその寺院の焼失を免れしめるために、また環境を整備いたしますために、その付近の環境整備費として何百万円かの寄付を募りたい。その寄付はそうした国家的事業のためにする寄付であるから、これを会社その他の経費とみなして課税上の特例の認可を与えていただきたいということをお願いした場合に、大蔵省は、国宝そのものに関しての修理費の寄付等は前例があるけれども、そうした間接的なものは、経費として認め課税を免除する、そうしたことはできないというて拒絶しているような事情でございまするが、十分な国宝管理、保存の国としての責任を尽せない現状におきましては、過渡期におきましては、文部省が率先して大蔵省に交渉して、そうして寄付募集の免税特典は与えてやってしかるべきじゃないか、こういうことを感ずるのでありますが、その点につきましての事務当局の御意見また文部大臣の将来の立法政策に対するお考えを承わりたいと思うのであります。
  52. 岡田孝平

    ○岡田説明員 神社などが農地改革などのためにその所有地を奪われ困窮しておるという事実ももちろん多いと存じております。それらの神社あるいは寺等が建物などを修理いたします場合、寄付金を募集する、それに対して免税措置等はどうなっておるのかというような御質問かと存じますが、これにつきましては、文化財に指定してありますところの社寺の建造物につきましては、私どもできるだけそういう場合には努力をいたしたのであります。これは法人税法によりまして、つまり寄付を出します会社等の法人、寄付金を出します方の側におきまして、寄付金を出しますためにそれに対して税金がかかるということでは寄付金が集まりませんので、法人税法によりまして大蔵大臣が特に認めた場合につきましては、そういう寄付金に対して税金がかからない、法人税を免税するというふうになっておりまして、その法人税法の九条それからその施行規則の八条等によりまして、大蔵大臣に特に認定を受けまして、さような文化財である社寺の修理のための寄付金に対しましては税金を免除するというようなことで、その都度大蔵省に折衝いたしております。最近では京都の平等院の境内を整備いたしますために寄付金を集めておりますが、それに対しまして私どもで法人税の免税を申請しております。それから滋賀県の日吉神社でやはり寄付金を募集するという場合につきましては、現在大蔵省に申請中でございまして、大蔵省でこれはおそらく免税措置をとってくれると存じております。それから奈良の興福寺の収蔵庫を作ります際にもこの免税措置をとってくれると存じております。大体さようなふうに考えております。
  53. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 いろいろ認可された実例をお話でありますが、私は京都のあの非常にたくさんの国宝、重要文化財を包蔵している寺院が、しかも全国的にあまり類例のない寺院の所有の庭園の半分ほども他に売却して、資金を得て、そうしてその重要建築物の周囲の土地を買って、火災の類焼から免かれる環境整備をしたい、そうまでして——そうまで貧乏しておって、しかもそうまで地元の熱意がみなぎっている場合に、境内外にわたる整備であるから免税特権を与えられないというて大蔵省ががんばっておるということを聞いておるのです。名前を申し上げてもいいのでございますけれども、文教委員会では個々の行政事件は取り扱わないことにしたいと思っているので、名前は申し上げませんが、そうした場合に境内の外にわたっても、たとえば国宝建造物の御門のわきに二間くらいしか離れていないところに煙突が立っているというような場合がたくさんあるのです。そういう場合に境内の外にわたってもそういうふうな特典が与えられるように、大蔵省事務当局に十分御折衝なさいまして、そうしてその結果を文教委員会の方に御報告願いたいのでございます。
  54. 岡田孝平

    ○岡田説明員 ただいまのところでは、お話の通り指定されたる文化財につきまして修理を行う場合に大蔵省の認定を受けて免税措置をとるというのが大体の原則でございますけれども、しかしながら必ずしも指定物件のみに限定される趣旨ではございませんので、お話のような指定物件の内外にわたりまして、環境整備等のために、ぜひ必要であるというような場合にはその物件に対しましては、できるだけ大蔵省と折衝いたしまして免税の措置をとるようにいたしたいと考えております。
  55. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 了解いたしました。私はこれで終ります。
  56. 佐藤觀次郎

  57. 高村坂彦

    ○高村委員 私は文部大臣に若干のお尋ねをいたしたいと存じます。実はこういうお尋ねを本日も申し上げなければならぬことをまことに遺憾に存じますが、十九日と二十日に文部省内でデモが行われ、当時のことにつきましては、二十一日の本委員会におきまして大臣にお尋ねをいたしまして御考え等を了承いたしたのでございます。その後日教組幹部文部大臣がお会いになられたようでございますが、その際新聞の報ずるところによりますと、日教組の要求しておりますことと、文部大臣の御意見との間に、話し合いがつかないで、むしろ物別れになったように出ております。しかもそのときの状況は非常に一般の学童等に与える影響もよくないような内容のことが、新聞に出ておりましたが、そのときの状況をお聞かせいただきまするならば仕合せと存じます。
  58. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 日教組より、かねて面会の申し出がありまして、十一月の十五日にお待ち受けしておったのでありますが、おいでにならなかったということまでこの前申し上げました。その後十九日は、私はエチオピア皇帝 陛下をお迎えのために午後おりませんでした。それでまるっきりおらぬのに大臣を出せといって非常にだだをこねられまして、ついにあのような事態が起りましたが、麹町署では非常に丁重にけが人も争いもなく退庁を願っております。十一月の二十日の日は、火曜日でありますが、名古屋にありました全国の給食大会に招かれまして出席し、給食に関する方針の演説などをいたしましてこれも留守でありました。それなのに大臣を出せということをおっしゃるので、まるで子供のだだのようなことでありましたから、だれもそう気負うて争うたようなことはありませんが、ふとんなどをお持ちになっておりましたから、御退席を願って、その後参議院議員の岡三郎さんの御申し出でこの人々に会うてくれ、今度は乱暴や失礼なことを言わさぬからという保証がありましたにつきまして、お目にかかったのでございます。それは十一月二十四日の土曜日のことでございました。初め五人ほどでよかろうということでありましたが、それじゃいかぬということで、湯山さんからお申し出がありましたから、あなた方を信頼して、じゃ十人お目にかかると言って、なるべくお互いに興奮などはしないようにというので、私も抑遜し、また先方も初めはそのおつもりでありましたが、ついに口論となって、大きな声などを出して私も恥かしく思っております。そのときお申し出になったのは四つはどのことでありました。一つは、一律に教員の給与を二千円上げろということでございます。私は身を文教に置いておりまするから、教員諸君の待遇かよくなることは賛成でありますが、しかしながらこれは国の給与全般に関することとして、人事院からのすでに勧告もあることでありまするし、政府一般として考慮中である、それゆえに二千円引き上げということについては、今賛成をいたすことができないという返事をいたしました。それからして年度末に二カ月分のボーナスを出せということでありました。これは同じく全体の問題でありまするが、年度末ボーナスのことは昨年法律を作っております。あれで一応解決いたしたつもりであるという答えをいたしました。それからして第三番目になりますが、このごろ地方の財政の困難な結果、昇結、昇格が完全に実施されておらぬ、これを完全に実施しろということで、これはごもっともなことで、私のできる最大の努力はいたします。どういう手段、どういう方法をとるかというふうなお問いがありましたが、やはり私の力の及ぶ最善の努力ということで御了解願いたい。この問題についてだんだん声が大きくなったようなことでございます。それからして僻地教師の手当、それから無敵地等の解消ということがございました。僻地のことは、本年七月以来定率制をとりましてから、幾らかよくはなっておりますが、級別のことはひとり文部省だけのことじゃなく全体のことで、政府全体の方針としては、むしろあの級をやめようというふうに考えておるが、今給与担当大臣の手元で研究中である、こういうことを答えて別れたのでございます。  その時分に、お言葉の端に——そのことを特におっしゃったんじゃないが、十二月五日の早退はやるんだというふうな口先の言葉がちょっとありまして、それ自身を特におっしゃったのではなく、他の話の中にそれがはさまっておりましたから、私は非常に憂えてどうかしなければならぬと思いました。かねてそういうことがなければいいがと思って準備はいたしておりましたが、さような場合にはさようなることの起らぬように注意しろということを当日、同じ二十四日付で地方教育委員会通知し、地方教育委員会から町村の委員会にも通達してもらうように取りはからっております。これが全体のあらましであります。
  59. 高村坂彦

    ○高村委員 文部大臣参議院の方の御要望もあって、日教組の方にお会いになったということに私は非常に敬意を払うわけであります。私どもから考えますと、すでに十九日、二十日両日にわたって先生にもあるまじき行動があった、しかも警察ざたにまでなっている諸君にさらにお会いになったということに対しては、私どもだとあるいは形式的な理屈も言いたくなって、とうていお会いしないかもしれぬと思うのでありますが、さすがに文部大臣で、私は非常に寛大なお気持でお会いになったことに対してはまことに敬意を表する次第でございます。ただ私は十九日、二十日の事件等を見まして、そのこと自体すでに地方公務員に籍を置いている日教組幹部の諸君として、それはどうも法律に規定しておるところに違反をいたしているのではないかと思いますが、こういうことについて文部省としてはどういうふうにお考えになっていらっしゃるのでございましょうか。その点をお伺いいたしたいと存じます。
  60. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 あのことは、時間をきめてたびたび要求したが、退去されないということが論点でありまして、一般刑法第百三十条で麹町署は書類を検察庁に送っております。これが大きな法律問題でございます。文部省においでになったこと、それ自身をいまだ怠業というわけにもいかず、またこれらは自分で子供を教えておらぬ人のようでありましたから、専念の義務に反するとも言えないので、問題の中心は教師たる品格を害したということだと思います。教師たるの品格を害することにも実は触れるのでありますけれども、一々法律とがめをしないで、やはりいい悪いはこちらから言わないで、御本人の心のうちから悪かったなあと思ってもらうように、いかなる機会でも私は非難めいたことは、品まで出ておっても一ぺんもいうておらぬのであります。
  61. 高村坂彦

    ○高村委員 実は私も大臣のそういったお考えに必ずしも不賛成ではございません。しかしながら物事はアリの一穴からくずれるということがございます。実は私もかつて警察に関係をいたしておりまして、非常な経験を持っております。私はある県で、思想事犯の検挙をやりました。当時法律の建前からいえば、当然起訴に値する事件でございましたが、その相手がまだ若いので、何とかして救ってやりたいと思いまして、私はわざわざ検事正のところまで参りました。そうしてその青年を実は起訴を免れさせたのであります。そこでその人の職業が菓子屋でございましたので、その菓子の販売先までも世話して、いろいろめんどうを見たのでございます。ところが再びあやまちを犯しまして、同じような事件に引っかかりました。しかし私はさらに捨てないで、そのときにはむしろ部下の非難もずいぶんございましたけれども、その人の起訴を再びやめてもらうようにお願いをして、ついに不起訴になった。そのことで部下の方から非常に反感がございまして、検事総長にまでそのことがいって、どうして起訴をしなかったんだと言われて、実は私は調べを受けたことすらあったのです。ところがその男が、三回また同じようなことを起しまして、遂に起訴になったという事実がございました。そのとき私は、ほんとうに煩悶をいたしました。われわれは当時は、陛下の赤子を一人でも救わなければならぬ、こういう気持でやりましたことが、かえってその人間に間違いをさして、ついに相当長期の刑を受けるように相なった。このことは、自分はいいと考えたことであるけれども、結果から見るというと、かえってその人をそこない、また国家に対しても非常な御迷惑をかけたということを、つくづく考えさせられたのであります。かようなことを経験いたしておる私としては、今回のそうした事件について大臣が、大臣として教育に関係している者を何とかしてやりたいというお気持は、私は非常にわかります。しかしながら、やはりあやまちは、早いうちにそれに反省を求めるというだけの、はっきりした措置をおとりにならないと、そのことがかえって将来にその人を誤まるのみならず、教育全体に対して非常に悪い結果をもたらすものではないかということを私はおそれるのであります。私はそうしたことを行われた方が、ほんとうに悪かったということを反省しておられて、そうしてその後の行動も、その反省に基いた行動が外に出ておれば、これは大臣のおっしゃる通りされるべきであると思いますけれども、私どもがその後いろんな新聞報道を見てみましても、またただいま大臣の面会のときの様子を伺いましても、そういうことが見られないと思うのです。そうした点は、ほんとうの深い大愛といいますか、そういう立場から、やっぱり国家全体の立場から、場合によっては、それに対して相当の措置をとられることが、かえってその人を救い、また学童等に与える影響もはっきりして、国家のためにもなるではないか、かように考えますが、この点に関しての大臣の御所見を伺いたいと存じます。
  62. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 それで、二十四日までの話をいたしましたが、私はその晩から二十五日地方へ旅行いたしました。そうすると、あの事件は東京の新聞にも地方の新聞にも載っておりました。地方で教職員の方にも、校長の方にも、それから教育委員会の方にもお目にかかり、話をする機会を得ました。その様子では、あの事件はやや薬になっているので、いやしくも教育に関係する者が、地べたに寝るといったようなことは恥ずべきことだ。寝た人自身の心には、まだそれほど響いておりませんが、教育に関することは、やはり教員さんが大事ですから、ある校長は私に、一体ござを持ってきて廊下に寝るとは何ごとだ、まるで犬のすることじゃないか、教員がそんなことをしてくれたのかと言って、涙を流さんばかりに非常に悔んでおりましたから、あれは逆の効果で、やはり地方の教員さんを教育することにはなっていると思うのであります。私はそれがために、俸給問題について、腹が立って不利益をはかろうとは思いませんけれども、あのくらいのことにへこんで、皆さんの利益をはかるというようなことも考えておりません、こういう説明をしました。そうすると、中央の幹部がやっていることが、自分たちのためになっているのやらおらぬのやら、ちょっと疑問だなという表情でありました。それはだれでも月給が上るのがいいのです。それゆえに、その心は私はちっとも反対はありませんけれども、なさるんであったら、教員さんらしくなさる方がいいと思うし、そういう観念は、やっぱりずっと動いていっておると思うのです。そういうふうに、この事件を教訓的に用いたいと私は思っております。  内藤局長から通知いたしましたことは、これも起らぬようにというので、去年もやはりああいう通達がありましたが、実際は大したことはなかったのです。けれども、もしも全国一斉早退といって、五十万の方が、たとい三十分でも一客早退されたら、これは国家の重大なことですから、その時分には、あなたのおっしゃるように、断固たる決心をとろうと思っております。けじめはついております。
  63. 高村坂彦

    ○高村委員 大臣のお心持はよく了承いたしました。そこで、ただいまお話がございました、十一月四日に地方教育委員会等にお出しになりました御通達がそこにおありでございましたら、ちょっと内容をお知らせいただきたいと思います。
  64. 内藤誉三郎

    内藤説明員 教職員の服務について、「伝えられるところによれば、日本教職員組合の決定に基き、来る十二月五日教職員が一斉早退等を行うとのことでありますが、教職員が争議行為又はこれに類する行為を行い、あるいは職務に専念する義務を怠る等法令の規定に違反し、学校の正常な運営を阻害することのないよう、じゅうぶんの御指導をお願いします。なお、国家公務員等の労働運動について、別紙のとおり内閣官房長官から通知がありましたので参考にされるとともに、管下市町村教育委員会に対しても、至急この旨を伝え、その徹底を図られるようお願いします。」以上であります。
  65. 高村坂彦

    ○高村委員 今の通達によりますと、都道府県教育委員会にお出しになって、都道府県教育委員会から市町村の教育委員会にさらに通達をされるということになっているようですが、十二月の五日ということになりますと、十四日にお出しになりまして、全国に間に合い、それによって有効な措置ができる期間がございますか。その点をお考えになりましたか。
  66. 内藤誉三郎

    内藤説明員 大体府県で一番遠いところでも、今のところ三日ぐらいで行く予定でございますので、それ以後に管下の教育委員会に対して手配するとして、十二月五日でございますと間に合うという考えでございます。
  67. 高村坂彦

    ○高村委員 ただいまお話がございましたように、文部大臣として非常に寛大なお気持をもって御措置になるということはけっこうでございますが、たとえば日教組幹部に法令の違反の行為があったときに、その者に対して、地方教育委員会等で取り上げて、身分上の問題として懲戒するといった場合が起き得ると思うのです。今回日教組委員長が不退去罪を犯したということが問題になっておりますが、犯罪を犯した人たちがいて、しかもその内容が相当悪質である、あるいはしょっちゅうそういうことが起きるといったような問題に対して、所属の地方教育委員会等でその身分上の懲戒をするといったことについてどういうふうにお考えになりましょうか。それは地方教育委員会等の独自の考えでやるべきで、文部省としてはそれにまかす、こういうお気持でございましょうか。その点をお伺いいたしたい。
  68. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 あの通告のうちに、早退のことと職務専念のことと二つでございます。実際具体的なものが起りませんと法律のことはきちっと言えないのですけれども、早退の方は、地方公務員法の第三十七条で、「住民に対して同盟罷業、怠業その他の争議行為」をなすことを禁じております。これに対する罰則は同法の六十一条四号にございます。「何人たるを問わず、第三十七条第一項前段に規定する違法な行為の遂行を共謀し、」——東京におりましても、これを命じたならば共謀だろうと思うのです。「そそのかし、若しくはあおり、又はこれらの行為を企てた者」こういう者に対しては三年以下の懲役となっております。これは検察庁のやることでございまして、一県に一つ地方検察庁が見るところによって処断するだろうと思います。しかし日本全国一斉にやったということになれば、これは検察庁が立ち上るものだ、私はこう思っております。あの指令は一斉早退というのですから、業務を捨てて、たとい一時間でも子供を教えなかったという場合は、地方公務員法の第三十五条に当るものである。すなわち「勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い」こう書いてありまから……。この場合はどこにいくかというと、第二十九条でありまして、三つの項がありますが、どこにも触れるのです。「この法律若しくは第五十七条に規定する特例を定めた法律」、これは教育公務員特例法です。これに違反した場合。第二項の「職務上の義務に違反の、又は職務を怠った場合」これにも当るのです。それから「全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合」今の犬のまねをするような場合、そこでこの二十九条が動くことになります。動かすのはどうするかというと、この間ここで御審議願いました地方教育行政の組織及び運営に関する法律、これに参るのであります。主として地方の小学校、中学校、高等学校の教員さんのことで、国立大学は別です。それがおもでありましょうが、それの三十八条で処理するのであります。三十八条に「県費負担教職員の任免その他の進退を行う」、進退は、すなわち懲戒とかあるいは免職とかその他であります。これは市町村委員会の内申をもってやるのであります。でありますから、怠業とか早退をした、これは法律々々といって懲罰だけがよいのではございませんけれども、市町村委員会があまりにも目に余るといって内申しますと、県の方でさばくということです。皆さんの御賛成を得ました法律で指導助言の権限は持っておりますけれども、こういうことはなるべく自治にまかしたい、よくよくの場合でないと指導助言はいたさぬつもりでおります。
  69. 高村坂彦

    ○高村委員 御方針はよくわかりました。私ただいまの教育委員会に対する文部大臣の御通達を拝聴しまして感じましたことは、非常に簡潔なことです。もう少し地方教育委員会として、今お話のようなことがすぐのみ込めるように、通牒の中に書かれることはどうかと思いますが、いろいろこまかく御指導になる方が1実は今日の国家公務員法とかあるいは地方公務員法、教育公務員特例法、地方教育行政の組織及び運営に関する法律とかいろいろなものとの関係が非常に複雑でございまして、端的な判断がなかなか困難である。そういう場合には、そうした通牒をお出しになると同時に、そういうことをやった場合にはどういう結果になるのだといったようなことの参考書類くらいはおつけになっていただけば、地方としてもそれを扱う場合、事の軽重等よく判断ができて運営が適正にいくのじゃないかと思います。これは私の希望でございますが、もしそういうことがなし得るものなら将来はぜひそういうふうにしていただきたいと存じます。  それからただいまの文部大臣の、なるべく地方教育委員会の自治にまかして、権限である指導なり助言なりは差し控えたいという御方針にも、私は決して一般論として反対ではございません。しかしその事犯というものが教育全体に非常な大きな影響を与えるような問題については、これはやはりせっかく文部大臣がそのことを期待してそういう法律を作っているわけでございますから、ただ自治的になるべくやらせたいということでなしに、問題によりましては、ただいま御通達をお出しになったのでけっこうでございますけれども、私はさらに今回の日教組幹部の諸君がとりましたような行動が具体的に起きました場合、こういうものに対してはどういうことになるのだ、こういうような問題に対してはこういうふうにしてやった方がいいといったようなことは、やはり文部大臣意見をはっきりお出しいただくことが、地方教育委員会としてもできたてでございますから、その運営が文部大臣の御意向と言っては語弊がございますが、法律の趣旨に沿って適正に行えることに相なるのではないかと思います。そのことを特に希望を申し上げておきたいのであります。  だいぶ時間がたちましたからごく簡単にお尋ねいたしますが、先ほどお話がございました昇給、昇格の問題でございます。われわれもいやしくも文教の仕事に関係いたしておる者といたしましても、何とかして教職員の諸君の給与等をよくしてあげたいということは非常に考えておりますが、しかし今日の地方財政の状態等から考えると、なかなか思うようにはいかないと思います。そういう際には、せめて非常に勤務成績がいい者であるとかいったような方にだけでも、そういったものが十分行えるようにしてあげることがよろしいと思います。たまたま最近伺いますと、参議院文教委員会でも問題になったそうでありますが、愛媛県の教育委員会が勤務評定を作って、それを参考にして昇給、昇格を適正にやりたいという考え方をしているそうであります。それに対して地元の日教組で非常な反対があると伺っておりますが、その愛媛県の実情がどういうことになっておるのか。どういう点が争いになっているのか。これは政府委員の方でけっこうでございますが、御説明いただきたいと思います。
  70. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 その前にちょっと……。さっき私が自治になるべくまかせたいと言ったのは、文部省では何もせぬということではありません。一地方のみならず全国にわたってそういうことがありますれば、これは重大な問題ですから、私の持っている権限で公平にできることはいたします。今度は措置要求までも権限を得ておりますから、乱暴なことはしませんが、公平の限度はいたして国家のために尽したいと思っております。よく知らせるということであります。幸いにあなたからいい御質問をいただきましたから、あなたと私のこの問答をあるいは広報にでも載せてよく知ってもらった方がいいかとここにきてから思っております。勤務評定のことは局長から御答弁いたします。
  71. 辻原弘市

    ○辻原委員 関連して。今ちょっと聞きのがしましたが、何か広報に掲載するというのはどういうことなんですか。ちょっと申し上げますが、高村さんはかつて警察畑におられて相当経験をお持ちになっておるし、また大臣は弁護士として長くこうした事件に非常な該博な知識を持っておられるので、私は静かに一つの見方についての御意見として承わっておったのですが、文部省の広報という公けの機関でその意見だけを掲載するということは重大であります。その点については、そういうことならば、この問題について徹底的にわれわれも議論を戦わせなければならぬ。いわゆる純粋な法律論としてもいろいろありましょう。しかしまたこの種の問題は法律を除いては労働問題でもあり、また職員団体に属するものの一つの行為としてこれまた考えなければならぬ点も多々あるわけであります。多面的に考えてその行政をおやりになるということが文相としての責任であろうと思う。だからただ押し寄せてきた、それを追っ払うために手段をとった、いうことを聞かなかった、法に照らして云々、しかもそれは教員の一つの資格あるいは教員として要求される資質、内容等に照してこれはけしからぬ、こう片づけてしまわれるのも一つ考え方でありましょうが、しかしまた一面それと異なった見解もわれわれは持っておるのであります。その現象的な行為がいいとか悪いとかいう論ではございません。そういう形にこれらの問題を簡単に処理してしまうにはもっと考えねばならぬ別の面があるということを申さねばならないのです。しかるがゆえに広報に掲載されることであれば、われわれはこの委員会を続行してまでも、この問題について別個にわれわれの側から意見を申し上げて、大臣の見解をたださなければなりません。従っていかなる意味において、ただいま速記録に残っております高村さんとあなたとの議論だけを広報に掲載すると言われたか、その点を承わりたい。
  72. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 私は先刻から議論したことは一ぺんもない。私の議論を載せようとは思っておりません。
  73. 辻原弘市

    ○辻原委員 議論で悪ければ質疑に対する答弁とでも訂正いたしましょう。言葉のあやはどういうふうにも申せますが、今ここで質疑応答があった。その事実をあなたは掲載されるとおっしゃるのですか。その点について掲載されるという結論であるならば、私は質疑を続行いたします。そうでなくてただちらっと何かそういう言葉を漏らされたという程度ならば、ここでわれわれとしては、高村さんの御意見を承わり、大臣の答弁を承わったということにいたしておきます。
  74. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 今のことでお答えすることはないように思いますが、国会議員の質問に対して政府が答弁したので、それよりも有力なる議事録に残ることですから、その上で御批判を願いたいと思います。行政府ですることは、私にどうぞおまかせ願います。
  75. 辻原弘市

    ○辻原委員 それでは私の質問お答えなさっておられるとは考えられません。国会での質疑応答は重要なことであります。行政府がおやりになる場合においては、公平に正当に取り扱ってもらわなければなりません。その点だれが考えても、今高村さんが御指摘申し上げたことは、全委員意見ということにはならないし、また行政府が諸般の見解を網羅して公正にこの問題を一般に周知徹底せしむるというような形のものにはならぬと私は思う。そういう片手落ちのことを広報でもっておやりになることは、行政府としてあなたの所管内にある事柄といえども、われわれとしては見のがすことはできないと申し上げておるのであります。だからその点をおまかせ願いたいでは御答弁になりません。ですから、はっきりそういうふうに掲載するとは考えていなければけっこうでありますが、はっきり掲載するということでありますれば、なお続いて私どもは見解を承わりたいであります。その点どうなのか。今の言葉が速記録に残っておらなければいいが、私語としてでも残っておるとすれば重大です。そういうことを軽々にこの委員会でおっしゃっていただくことは困ります。幾ら行政府のことでありましても、大臣が悪意にまかせてそういうことをおっしゃるのは困ります。ですからやる御意思がなければそのことはお取り消し願いたい。
  76. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 どこを取り消すのですか。文部省教育のために文部広報を発行していることはあなたにも御承知のことであります。教育のために必要なることは掲載してよろしいのであります。これは編さんするときの編さん者の心持でありまして、まだ出してもおらぬのに、今のうちから弾劾されてはちょっと早過ぎる。そうむやみなことはしやしませんよ。(辻原委員「出すと言ったじゃないか」と呼ぶ)そんなに怒って言わないで、ちょっと待ちなさい。私の発言中です。発言中に立ち上って大きな声を出すということは、あまりこれもいい趣味じゃありません。高村さんは私に向って先刻、地方公務員法なり何なりの御質問がありましたから、それに対して私は答えをしたのです。答えをしたら、そういう法律の解釈のことは、別に一つよくわかるように通知でもなすったらどうだという意味の、これは質問でありますか、要求でありますか、ありましたから、別にそれを通知するかわりに、この法律解釈の部分を広報にでも出したらどうかしらんとちょっとここへ来て思った、こういうことなんです。私のいうたことにうそありますまい。それだけのことです。それについてあなた発言最中に立ち上って、目をむいて私におっしゃるというのは、ちょっと早過ぎますよ。そんな無理なことは、しはしません。広報を発行するのは私の権限ですから、権限内のことを適正に大臣として行います。法律の解釈のことは、地方公務員法三十七条を見てもわからぬ、これに対する罰則の六十一条、それからまた職務専念の義務に関する三十五条、これに違反した場合の二十九条、二十九条を行うには地方教育行政の職務並びに運営に関するこの間の法律、この関係した一連のことを私申し上げたのです。あれと同じことを別に書いて、また通達してもいいんだけれども、しかしながらここへ来てあなたのおっしゃることを聞くと、この部分だけは広報にでも載したらどうかと言ったんで——これは編さん者がやるのですから、私がきちっとそれを出すことを約束したわけでもなし、宣言したわけでもないのです。私はあなたが中途でおっしゃるので、びっくりしたのです。「辻原委員(びっくりするようなことをいうからですよ、そういうつまらぬことを言って、ばかにしたことを言っているからだ」と呼ぶ)ばかにしたということは、これはそれこそこっちから取り消しを要求しなければならぬのでありますけれども、私はそんなことはしませんから。ばかにした、と書いておいて下さい。
  77. 辻原弘市

    ○辻原委員 私は別に興奮して申し上げているのではありません。私は今大臣がともかく高村さんと質疑応答をかわしたことについて広報に掲載いたしましょう、こういうふうに答弁をされたから、その点いかに広報発行の所管があなたのお手にあろうとも、ただ一委員との間の、しかもその問題についての一つの御見解について、それを応答されたことをのみ広報に掲載されるということは、その広報によっての正当な判断をそれぞれの人たちが受けず、かえって誤まりを生ぜしめるおそれがある。幾ら大臣がこれは私の権限であろうと言ったって、広報というのは分けの機関なのです。公けの機関のことをおやりになる場合は、行政府としては諸般の見解というものを織りまぜて、少くとも何人がそれを見ても納得のいくようなものでなければならぬと私は思う。そのためにこそあなたがたびたび中立性とかなんとかいうことを言われる。だから一つ議論を載せれば、これは偏向だということになる。そうすると広報それ自体もまた偏向ではないかというような一つ議論国民の間に起るのです。それだから私は申し上げているのであって……(「法律の解釈問題だ」と呼ぶ者あり)だから純粋の法律の解釈ということならば、それは私は問題にいたしません。しかしそれは高村さんが一つの前提を持ってお話しなすったことだ。それについてあなたが答弁されたことをそのまま載せよう、こういうことを申された。それだから(「そのままじゃない」と呼ぶ者あり)そのままかどうか知りません。しかし今の大臣のお考えは、その質疑の経過を載せようというのだが、速記録に残っている。それを編集せられて載せられるんだから、それを削除されようが訂正せられようが、それはやはり応答をかわされたそのことを載せるというふうにしか、これはとれない。だからそうでなければ、そうでないというふうにあなたが答弁になれば、私もこうした時間に申し上げる必要はないが、それはどういうことなのですか。
  78. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 今この法律の解釈を別に通知したらどうかとおっしゃるから、それもいいのだけれども、しかし今地方公務員法三十七条なり六十一条なりの適用する順序を言いましたね。その部分を簡単に広報にでも載せたらどうだろうかと思ったのです。私の法律解釈が間違うておったのでは誤解を与えますが、あれは間違っておりますか。あれが間違っておるのであったら誤解を与えますけれども、あの法律解釈は私は法律家としての良心上間違っておらないと思います。
  79. 山崎始男

    ○山崎(始)委員 議事進行。この問題は速記録を調べて、後ほどにあらためて質問の時間を持ったらいいのではないかと思いますから、この場はこれで高村委員の方へ返されたらどうかと思うのです。
  80. 辻原弘市

    ○辻原委員 いや観点がちょっと違う。山崎君から速記録を調べて云々の話もありましたが、今言われたことなんですから、はっきりすればそれでいいのです。私は別にごねているわけではない。
  81. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 辻原君どうですか、今山崎君の言われるように、速記録を調べて……。
  82. 辻原弘市

    ○辻原委員 速記録を調べても何でも、これは大臣のお考えですから、それをはっきりしてもらわなければ困る。今お話しなさったことならば、私はそれはとかくは申しません。今お話しなさったように、あの種の事件が起きた場合についての法律解釈は、地方公務員法あるいは教育法律等の関係においての条項はかくかくであるということを知らすということだけであるなら、それはあるいは広報に純粋に法律諭として載る。私は別段それをおやりになることをとがめだてするまでの権限はございません。ただ応答についての経過を載せるとあなたが申された点がいささか不穏当であり、広報の掲載する形としては当を得ていないのではないか、そういう意味合いで申し上げたわけです。
  83. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 今大臣の言われたのと辻原君の解釈とが多少考え方が違うと思います。今山崎君の言われたように、速記録を調べて、もし問題ならば他日……。
  84. 辻原弘市

    ○辻原委員 いやそんな必要はない。大臣から、私が今申し上げた通りのことかどうか、その点を再確認すればいいのです。
  85. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 みなお聞き下さっておるだろうが、地方公務員法、教育公務員法、それから地方行政の組織並びに運営に関する法律、この三つがこんがらがっておるから、この間のようなあっさりした通達ではなく、そのことも知らされたらどうじゃというお問いに対して、私は、特にそんなことを二度も通知するのはおかしいから、君と僕とのあの応答の部分でもよくわかるから、それでも載せたらどうだろうかと、ここへ来てちょっと考えたので、先刻来のあのてんまつのことは載せようと思っておりません。これははっきりいたしております。そういうことです。委員長もそうお聞きになったと思います。
  86. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 この際お諮りいたします。山崎委員の提案のごとく、速記録を取り調べ、善処することにいたしたいと存じますが、御異議はあり一ませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 御異議なきものと認めまして、さよう取り計らいます。  内藤初中局長
  88. 内藤誉三郎

    内藤説明員 ただいま愛媛県の教育委員会の問題についてのお尋ねがございましたが、愛媛県ではただいま四月にさかのぼって昇給を実施しようということが問題になっておるようであります。その実施する場合に予算がないので、一般の地方公務員と同様に教職員についても大体七割程度の昇給をしよう、そこで昇給をする場合の条件といたしましては、一定の期間優良な成績で勤務した者に対し予算の範囲内で昇給することができる、こういうふうに規定がなっておりますので、予算が七割しかないので、七割をいかにして見出すか。つまり三割はどうしても入らない。そこで問題が教員の勤務評定を使おう。しかしもちろん勤務評定は別の目的がございますので、勤務評定そのままを使うわけではないのですが、勤務評定を一つの参考にして、予算の範囲内の昇給をいたしたいということが、今問題になっておるわけです。そこで三割を切ることがいかなる基準で切るのかということが、問題になっておる点でございます。
  89. 高村坂彦

    ○高村委員 私も参議院質疑応答の速記録をまだ見ておりませんので、よくわかりませんが、ただいまのお話でまだ事実がよくわかりませんが、勤務評定を作るというのは、愛媛県の教育委員会がこれをだれに作らせようとしておられるのですか。
  90. 内藤誉三郎

    内藤説明員 勤務評定につきましては、これは当然学校長の意見を聞いて地方教育委員会が作るわけです。
  91. 高村坂彦

    ○高村委員 そうすると、学校長が一つの勤務評定を作る場合の参考資料を出す、こういうことになるのですか。
  92. 内藤誉三郎

    内藤説明員 さようでございます。
  93. 高村坂彦

    ○高村委員 それに対して反対があるということを聞いているのですが、それはどういう根拠で反対をしておるのですか。
  94. 内藤誉三郎

    内藤説明員 現在の勤務評定の仕方は、これは国家公務員には勤務評定を行なっております。その場合にA、B、C、D、Eの五段階に分けまして、Aを一割、Bを二割、こういうふうにして、あとはきめていないのですが、愛媛県の場合にはA、B、C、D、Eというふうに五段階に分けまして、それぞれAが一割、Bが二割、Cが四割、Dが二割、Eが一割というようなことが伝えられておるのですが、それをそのまま実施しようということは、愛媛県でもこの割合はきめていないといっておるのです。組合の方からの情報では、それをそういうふうにするのだといって、その点が一つ問題になりまして、勤務評定そのままを昇給、昇格の資料に使うことは適当でない、こういう見解なんです。これに対して愛媛県の方は、昇給、昇格の参考にするのであって、そのまま使うのではないのだということを言っているわけです。そこで両者がお互いに話し合いがつかないわけであります。
  95. 高村坂彦

    ○高村委員 勤務評定を作る場合に、A、B、C、D、Eの五段階で作る。その場合にAを一、Bを二、その他のことは規定してないが、愛媛県ではC、D、Eを四、二、一というふうにきめようとしている、それがけしからぬというのは、どういう理由でけしからぬというのですか。
  96. 内藤誉三郎

    内藤説明員 この職階制の計画は、もちろん県の教育委員会が立てるわけです。その立てたものを市町村の教育委員会が具体的に評定を行う。この場合に校長の意見を聞く、これが今の勤務評定のやり方なんです。組合が反対しているのは、勤務評定は事務能率の向上とか、そういう別の目的が一応あるわけでございますので、その勤務評定をそのまま使われては困る、しかも三割落すために勤務評定を作るという点が、組合としては納得ができない、こう言っておるのです。
  97. 高村坂彦

    ○高村委員 しかし県の方できめた予算が三割足らない。そうすると三割落さざるを得ないので、それをも反対だと言ってみたところで、それは理由が考えられないのですが、それはどうなんですか。反対すれば予算が出てくるという考え方なんですか。それならむしろ教育委員会に対する反対というよりも、県の県会とかあるいは知事とかに対して、それを陳情するとか要請するというふうなことならばわかりますが、その点はどういうふうになっておりますか。
  98. 内藤誉三郎

    内藤説明員 お話のように、予算が足らないのでございますから、予算をふやす方がむしろ問題が先だと思います。きまった予算の範囲内でそれを合理的に実施するのが建前なんですから、その場合県の方にいたしましても、なるべく不公平にならないように、合理的にその昇給者をきめることが妥当だと思います。
  99. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 高村君、なるべく簡単に願います。
  100. 高村坂彦

    ○高村委員 そこで文部省に御意見を伺いたいのですが、こういう問題は将来私はあっちこっちに起きるだろうと思う。そういう際に、勤務評定を作ることそれ自体は、法律はそれを規定しておるわけです。それをいかぬということはいっていないわけです。そういう場合に、ある県でそれをやろうとする。そうすると、それに反対するということがどうして起きるか、私どもには実は判断に苦しむのですが、私どもが愛媛県の実情を聞くところによると、これまで教職員の人事の実質の権限というものは、教育委員会から実は離れておった。実際は日教組というものがある程度そういったものを動かしておった。ところがそれを今度教育委員会が、法の精神通り、文字通り人事権をやると、これを持つようになる。そういうようなことで、これは大へんだ、こういうことが争いの根本だという説をなす者もあるのです。こういうことだと、私は教育委員会というものの制度を作って、それが人事権を持っていくという法の精神に、根本から反対する運動ということになると思う。そこでそういった意図で、もしもそういう運動が将来起るということになれば、これは法律の精神を私はじゅうりんすることになると思うのですが、文部省としては、こうした昇給昇格についての方針というものが法律に示されておって、国家公務員法に示され、それが学校給与条例等で地方教育委員会等がそれによってやるという場合に、そういった法律に基いて勤務評定を作るということを妨げるような動きに対して、何か御措置になることができないものでございましょうか。あるいはそういうものは地方でもう相当争いがあっても、見ておる、こういうことであるか、その点をまず伺ってみたいと思います。
  101. 内藤誉三郎

    内藤説明員 教職員の勤務評定につきましては、これは制度当初から多少問題があったのでございますが、すでに法律でも制定されておりますし、明らかになっておりますので、教職員の実情に合うような勤務評定について文部省でもかねがね研究いたしまして、国立学校につきましてはすでに実施をしておるのであります。地方公務員につきましても、国立学校の勤務評定の様式等を府県の教育委員会にお配りいたしまして、参考にせられるように勧めておるのですが、今のところ教職員の勤務評定についてまだ実現を見ていないことは、非常に遺憾に思っておるのであります。できるだけ法の趣旨に従って円満に実施されるように期待しておるのであります。
  102. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 なるべく簡単に願います。
  103. 高村坂彦

    ○高村委員 簡単に質問いたします。そうすると、文部省としても勤務評定等ができて、そういうものをある程度参考にして昇給というものをきめていくということについては賛成である、かように了解してよろしゅうございますか。
  104. 内藤誉三郎

    内藤説明員 もちろん参考にされることは異存ございません。
  105. 高村坂彦

    ○高村委員 私は先ほど申しましたように、愛媛県の教育委員会とそれから日教組の諸君との争いというものが、どうも人事権を形式的に一応教育委員会が持つとったものを実質的にも持とうという動きと、形式的にないはずの日教組が実質的にこの人事権を持続していこうと、こういう争いだというふうに聞いておりますが、そういうことでこういったごたごたが起きるということは、法の趣旨からいっても私はこれは間違いであると思う。そういう点につきまして、将来地方のそういった問題が円滑に進むように、法の精神に基いて行われるように、文部省としましても一つ今後御留意いただきた。この希望を申し上げまして、私の質問を終りたいと存じます。
  106. 佐藤觀次郎

    佐藤委員長 本日はこの程度といたします。これにて散会いたします。    午後一時三十二分散会