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1956-11-21 第25回国会 衆議院 農林水産委員会風水害による農林漁業災害対策に関する小委員会 第1号
公式Web版
会議録情報
0
本小
委員
は
昭和
三十一年十一月十六日(金曜日)
委員長
の
指名
で次の
通り
選任された。
石坂
繁君 大野 市郎君
大森
玉木
君
白浜
仁吉
君
田口長治郎
君
綱島
正興君 原 捨思君
赤路
友藏
君
伊瀬幸太郎
君 稲富
稜人君
中村
時雄
君 同日
綱島正興
君が
委員長
の
指名
で小
委員長
に選任さ れた。
—————————————
会 議
昭和
三十一年十一月二十一日(水曜日) 午後二時三分
開議
出席小委員
小
委員長
綱島
正興君
石坂
繁君
大森
玉木
君
白浜
仁吉
君
田口長治郎
君
中村
時雄
君
出席政府委員
農林政務次官
大石
武一
君 小
委員外
の
出席者
大蔵事務官
(
主計官
)
大村
筆雄
君
農林事務官
(
農林経済局
長) 渡部
伍良
君
農林事務官
(
農林経済局農
政課長
) 保坂 信男君
食糧庁長官
小倉
武一
君
農林事務官
(
食糧庁総務部
企画課長
) 中西 一郎君 農 林 技 官 (
林野庁指導部
治山課長
) 茅野 一男君
農林事務官
(
水産庁次長
)
奥原日出男
君 専 門 員 岩隈 博君
—————————————
十一月二十一日 小
委員赤路友藏
君同月二十日
委員辞任
につき、 その補欠として
足鹿覺
君が
委員長
の
指名
で小委 員に選任された。
—————————————
本日の会議に付した案件
風水害
による
農林漁業災害対策
に関する件
—————————————
綱島正興
1
○
綱島
小
委員長
これより
風水害
による
農林漁業災害対策
に関する小
委員会
を開きます。 本年の
農林漁業災害
のうち
風水害関係
の
災害
について、その
対策
の
進捗状況
並びに
立法措置
その他について調査を進めます。 〔小
委員長退席
、
田口
小
委員長代理着席
〕
田口長治郎
2
○
田口
小
委員長
綱島正興
君。
綱島正興
3
○
綱島
小
委員
食糧庁
に尋ねなければならぬことがありますが、
経済局長
、
食糧庁等
が見えておりませんので、その間
大蔵省
の考え方を伺いたいと思います。 前々から本
委員会
で問題になっております
供出予約金
二千円の
予約
をしておきながら
供出
ができなかった場合に対して、
違約金
と認められるような
約款
が
規定
されておるようでありますが、この
利息支払い
の
義務
、
農協
の
代位弁済義務等
の
性質
はどういう
性質
のものでありますか、これを伺っておきたい。
大村筆雄
4
○
大村説明員
お答え申し上げます。
代位弁済
ないしは
利息
の
性質
はどういう
性質
かという御質問でございますが、昨年度
予約
の
概算金
払い
制度
を新設するに当りまして
代位弁済
という
制度
を作ったのであります。これはなぜそういう
制度
を作ったかと申しますと、その前に実はこういう
予約制度
に伴いまして、
概算金
ということが果して
制度
的に成り立ち得るものかどうか、しかも何百万という
農民
を相手に
概算金
という
制度
が果して認められるかどうかということが実は
制度
的に問題になりました。それは、この
制度
をやるに当りましては
概算金
という
制度
は非常に問題であるけれ
ども
、もしこういうものができなかった場合には、
概算金
は確実に回収できるという
措置
をぜひともとらなければいかぬ、これは
災害
があっても必ず回収できるような仕組みにしておかなければいけないということで実は
代位弁済
という
制度
ができました。そうして各
指定集荷業者ごと
にこの
代金
の中から一部を別途
積み立て預金
をいたさせまして、それでもって
代位弁済
をさせていくということにしたわけでございます。 その場合に、
予約
の
履行
の
確保
をはかるという
意味
もございまして、それからこの
概算金
の
性格等
から考えまして、もし
履行
の
確保
ができなくて
代位弁済
ということになった場合には、
日歩
二銭五厘の
利子
をつけて返してもらうということになったわけでございます。 それから
性質
ということでありますと、いろいろの
意味
から
性質
という問題が出てくるかと思いますが、
制度
ができました
いきさつ
はこのような経緯でございます。
綱島正興
5
○
綱島
小
委員
ただいま
いきさつ
だけを伺いましたが、私が伺いたいのは
法律
上の
性質
でございまして、これは同時に
経済局長
にも聞いてもらいたいし、
政務次官
にも
お尋ね
したいけれ
ども
、御承知の
通り
これは純然たる
法律論
でございます。一応私の
解釈
を申し上げるが、私の
解釈
によれば、旧
民法
及び
現行法
のいずれにいたしましても、
契約
をいたしたなら、
債務
の
履行
を要する事項については
債務履行
の
義務
が当然ございます。その
履行
を怠った場合に対しては、
履行請求
及び
損害賠償
の
規定
がいずれも
規定
されてあります。本件における
予約金
二千円の
履行債務
は何であるかといえば、米の
引き渡し
であります。これ以外の
引き渡し
た金を
確保
するための
措置
としては、本人が
任意
に
引き渡し
義務
を
履行
しない場合に生ずる
損害金
もしくは
損害
に代位するものの
弁済
を求める
権利
だけが発生して、それ以外の
権利
は発生する事情が
法律
には許されておりません。これは
大蔵省
や
食糧庁
や農林省が
法律違反
のことを企てて
契約
しようが、
内閣
でどうきめようが、そんなものは
一つ
も
関係
はない。法治国においては、
契約
においては
民法
に
規定
することが
基本
でありまして、
立法措置
によらずして
脱法行為
の
契約
を国家がいたしましても、何ら
法律
上の
効果
は発生しないのであります。そこで問題は、実に冷静なる判断のもとに進めなければならぬのでありまして、この二千円の
予約金
に対する
債務支払い
が
任意
に怠られました場合は、もちろん
民法
四百十四条の「
債務者カ任意ニ債務
ノ
履行
ヲ為
ササルトキハ債権者ハ其強制履行
を
裁判所ニ請求スルコトヲ得
」という
規定
が適用いたされます。従ってこれによって生じたる
損害
の
請求
ももちろんできるのであります。
不可抗力
によって
債務
が
履行期
に
履行
せられない、従ってその次に
履行
し得る
最短期間
に
履行
する
義務
が依然存在するけれ
ども
、
履行期
を
法律
に基かずして繰り上げてみたり、もしくは
履行期
に及ばぬうちに
代位弁済
をさせるような
契約
をいたしても、それは
民法
の
規定
に
違反
するのであるから何にもならぬ。しいて言えば
損害補償
の
予見契約
をいたしたものと
解釈
し得るのであります。この場合は
先ほど
も申し上げますように、
任意
に
履行
を怠った場合にのみ生ずる
約款
でありますから、
天災
によって起ったものについての
履行請求権
というものは、次に
履行
し得る
期間
まで、
期間
は当然自動的に延長せられるのであると私
ども
は思います。従って
明年度
の米が満足にとれたらそのときに
履行期
が発生する、そのときからでなければつまり
履行遅延
の
債務
は発生しない、こう考えるのでありますが、
政府
ではこのたび
履行期
に及ばざるものについてまで
代位弁済
させてみたり、
損害補償
をさせたりする考えらしいが、どういう
法律
の
根拠
によるか、
法律
の
根拠
を、これは
大蔵省
も、
農林経済局長
も
一つ
明確に御答弁を願いたいと思います。
大村筆雄
6
○
大村説明員
利子
の点についてお答え申し上げます。その
利子
がどういう
性質
のものかというその
解釈いかん
によって、
結論
がいろいろ変ってくると思います。その
利子
は特に
履行
、
不履行
による
損害賠償
という
性格
のものではございません。これは実は
日歩
二銭五厘と申しますと、末端の
農協
の
貸し出し金利
が年一割五分でございますので、それ以下の年九分くらいの
金利
でございます。なぜこれをつけているかと申しますと、実はその前に
一体概算金
というものはこういう場合に出し得るかどうかという問題にもなるわけでございまして、その
議論
につきましては、
先ほど
も申し上げましたように、非常に問題がございまして、そういうものは払えないのじゃないかという問題もございます。しかし米の
管理制度
を維持する上におきましてどうしても
予約制度
をやらなければならぬ、
予約制度
をやる以上は何らかの格好で前渡金を出してやらなければいかぬじゃないかという点から、
概算金制度
というものが創設されたわけでありますが、米が出せなかったという場合に、
概算金
はもらった、ただそれだけを返したらいいのかどうか。その間に特に
不当利得
があってもいけない。もし
農民
がそれを納入した場合には、やはり
運用益
というものがもらえるわけでありますから、やはりそういう点を考慮して
日歩
二銭五厘程度の
利子
をつけて返させるべきではないか、それに多少の
違約金
的な
性格
のものも加味されましてできたものと存じますが、そこのところは
法律解釈
上むずかしいところだと思います。
綱島正興
7
○
綱島
小
委員
これはあなたがどう思われようが、
内閣
がどう思おうが、
契約当事者
がどう思おうが、そんなことで
影響
がないんですよ。
法律
においては
任意
に変更されるものとされないものとある。これは
しろうと議論
ではいろいろなことを言うけれ
ども
、これは
損害賠償金
ではないとあなたが言っても、
性質
は
利息
と
損害賠償
よりほかにないんですよ。
利息
は
金銭消費貸借
に発生する
義務
であり、
特定債務
の
履行
に対しては
利息
はございません。そこで明らなことは、米は十一月末集荷するのですが、それに一カ月間を置いて十二月までに支払ったならば、これは何にも
利息
がつかないことになっておる。これは明らかに
利息
でない証拠です。
損害金
の
性質
です。
名前
はどう言うてもかまわない。三郎と
つけよう
が、次郎と
つけよう
が勝手ですよ。
法律
上の
性格
というものは
名前
では何も
影響
がございません。あなたはそうじゃないと言ってもそれでは
影響
がない。
利息
というものは、
一定
の
金銭消費貸借
によって生ずるものが
利息
であって、
特定債務
を
履行
するものについての
利息
というものはございません。そこでこれは
損害予見金
の
契約
とでも言えようか。
損害予見金
でありますと、
損害
は
任意不履行
の場合に生ずるのであって、
不可抗力
の場合は生じません。また重大なる
過失
の場合、従来旧
民法
においては
損害賠償
の
義務
にいたしておりましたが、ただいまの
民法
ではやはり
任意不履行
だけを取り上げておるのであります。昔よりはもっと狭くなっておる。ただ
自己
の責めによらずして
損害賠償
を支払うことは、アメリカに交通による無
過失損害賠償
というものがございます。日本でも今これを立法しようとしておりますが、それ以外には無
過失損害賠償
というようなものは世界中にございません。そこでこのものが
利息
であるか
損害金
であるかは、
金銭消費貸借
であるか
消費貸借
でないか、
予約金
の一部の
支払い
であるかどうかということできまるので、これが物を買うということでの
予約金
の
性質
のものでない、これはたまたま金だけ貸してやったのだ、こういう
供出
には何の
関係
もないというならばいいんですよ。あなた方が、これは
供出
にも何も
関係
がない、ただ二千円を貸してやったのだというなら別ですよ。どうですか、米に
関係
なしにお渡しになりましたか。その
契約
の
金銭引き渡し
の一部は
代金
の前
渡支払い
の
意味
であるかどうか。
契約書
で何と書こうがそんなことは
法律
上の
解釈
なんかには
関係
がないんですよ。どんなにうまく書いたって
法律
上の
性質
に合う
通り
に
解釈
されるので、幾ら詳しく書いても
法律
上の
効果
には
影響
はない。そこで問題は、米をとるために出した金か、何も
関係
なしに
百姓
に金を貸したのか、こういうことですが、それに対しての御
説明
をお願いいたします。
大村筆雄
8
○
大村説明員
お答え申し上げます。もちろんこれは米の
予約売り渡し
に関連しての
概算払い契約
でございます。
田口長治郎
9
○
田口
小
委員長代理
ちょっと
速記
をとめて。 〔
速記中止
〕
田口長治郎
10
○
田口
小
委員長代理
速記
を始めて下さい。
綱島正興
11
○
綱島
小
委員
法制局
の出頭がおくれるようですから、そこで
食糧庁長官
に
お尋ね
をいたします。石二千円の
予約契約
の
性質
は
米穀供出
を
内容
とする
契約
でありますかどうか、これをまず
お尋ね
をいたしておきます。
小倉武一
12
○
小倉説明員
石二千円の
概算金
の
趣旨
でございますね。これは米を
予約
して
政府
に売り渡すということのための
措置
、こういうふうに解しております。
綱島正興
13
○
綱島
小
委員
それだけ明らかになればあとはおのずから立て板に水を流すがごとく
結論
が出るのでありますが、これがたまたま
金銭消費貸借
であったならば、
利息
を付するべきものでございましょう。米を引き渡すという
義務
のもので、その米の
引き渡し
が
不可抗力
によって不可能になった場合にも、
一定
の
利息
を付して返還するがごときように見える
約款
のように見えるのでありますが、その
約款
は
不可抗力
によらざる
任意違反
の場合にのみ適用するのでありますか、
不可抗力
のときもこれを含んでさような
約款
をこしらえられたか。
小倉武一
14
○
小倉説明員
政府
に売りました米の
代金
が、
概算金
の額に達しませんでした場合には、その
原因
を問わないで達しない
部分
の金額に
利息
を付して返しているわけであります。こういうふうに解しております。
綱島正興
15
○
綱島
小
委員
そういたしますと、
民法
の四百十四条には、
債務者
が
債務履行
をなすことについての
不履行
の場合に対する
規定
がしてございます。「
債務者カ任意ニ債務
ノ
履行
ヲ為
ササルトキハ債権者ハ其強制履行
ヲ
裁判所ニ請求スルコト
」ができるという
規定
がございます。これは
任意
と特にしてございます。旧
民法
においては重
過失
もしくは故意ということが
原因
になっておりましたが、新
民法
は積極的に
任意
という
規定
をいたしておるのであります。そこで今伺うところによると、
任意
にしなかった
災害等
の場合も含んで
金銭賠償
の一部を加えておられるようでありますが、それは相違ございませんか。
小倉武一
16
○
小倉説明員
民法
の四百十四条の
規定
との
関係
について
お尋ね
でございますが、なるほどこの
規定
を見ますと、実は私も深く研究をいたさなかったのでございますが、御説のようなふうにも解されると思います。ただそうでない
——
御
趣旨
と違うような答えになるのでございますが、そうでないと思いますのは、米を
政府
に売り渡すという約束をいたしまして、ところが
不可抗力
でもちまして米がとれなかったという場合に、米を
政府
に売り渡すという
予約
に基く
債務
の
履行
を求めるということであれば、これはなるほど四百十四条の
規定
の
趣旨
に反すると思います。そうではなくて、その場合に米ではなくて金を貸していた、こういうことでございますので、四百十四条の
趣旨
には反しない、こういうように考えます。
綱島正興
17
○
綱島
小
委員
さらに
お尋ね
をいたしますが、一体今の
供出予約制度
のうちで、
食管制
の
基本法則
を変更する御意思がありますかどうか。もっとくだいて申し上げれば、
食管制
には当然な、優先的に認められております
自己保有米
以外のものは、全部
政府
に売り渡さなければならぬ
義務
がある。従って
任意
にこれを売り渡さないことはできないのであります。しかるに、
任意
に売り渡すことができないのであるから、売り渡さない場合は必ず
任意
による
売り渡し
の拒否でなくて、
不法行為
かその他のものでなければならぬはずで、余地はございません。従ってこの条文によって予見さるることは、
やみ行為等
によって、
政府
に
売り渡し
をせずに他に転売して金で返す場合のみしか予見できないのであります。それ以外の場合が予見さるるかどうか。事実あるかもしれませんが、
法律
上の成文から
お尋ね
を申し上げます。
小倉武一
18
○
小倉説明員
概算金
の
制度
の立て方につきまして、
食管法
のやり方を変えるというつもりはございません。そのワク内での問題であるというふうに考えております。 それから第二段の
お尋ね
でございます
政府
に売らない場合どういう場合があるかということになるわけでございますが、その場合は、
お話
のように
食管法
に
違反
しておる、
不法行為
を伴っておる、こういう場合もございますし、そういう
不法行為
でなくて、合法的と申してよろしゅうございますか、
法律事犯
を伴わないで、しかも
政府
に売り渡すことができないといった場合、実際問題として作ができなかった、作ができなかった
原因
にはいろいろございましょうけれ
ども
、そういう場合もあると思います。
綱島正興
19
○
綱島
小
委員
そこまでなってくると事態は非常にはっきりいたすのでありますが、
作柄
ができないで売り渡すことができないときは
不可抗力
であります。いわゆる
任意
に
債務不履行
をいたしたものではない、従って四百十四条の
違反
ではない、こういうことが明らかになるのであります。従ってその
不履行
の場合は必ず
違法行為
以外にはない、こういうことになります。
天災等
の
不可抗力
によらずしてしかも売り渡さなかった、こういう
契約違反
の場合は
違法行為
よりほかにないのであります。
違法行為
の場合の
損害賠償
として御決定になるならよろしいのですが、
違法行為
を認容するということは今
食糧庁長官
もできないのであります。
違法行為
を認容しておるのでなければ
不法
の
内容
を包蔵する
条件
の
契約
はできない。ちょっと
法建
上のむずかしい
議論
になりますが、おわかりでございますか。百三十二条には「
不法
ノ
条件
ヲ
附シタル法律行為ハ無効トナス
」とある。そこで
不法
の
条件
を認容して、お前さんやみ売ったときにはこうだという
契約
をされたら、その
法律行為
は無効なのである、
やみ売り
したことを
前提
としての
契約
ならば、その
法律行為
である
契約自身
が無効なのです。そうすると局限は、これは
不可抗力
によっては
債務
の
不履行
が発生しないのだから、四百十四条の
規定違反
にはならない、
債務履行
が到着していないのです。それに
一体損害賠償
の
条件
になる
内容
を付して
契約
をされたということは、この
契約
それ
自身
が、その
部分
については無効ではないですか。
小倉武一
20
○
小倉説明員
なかなか問題がむずかしゅうございまして、私
ども自信
があると申すと語弊がございますが、いろいろ検討いたしておるのでありますけれ
ども
、考えられることをちょっと申し上げます。もし間違っておれば訂正することをお許し願いたいと思いますが、
一つ
は
概算金
を返納しなければならぬ場合として、
先生
は
違法行為
の場合しかないというふうに限定されるのでございますが、私
ども
は必ずしもそうは思いません、
先生
も今までおっしゃっていますように、
不可抗力
その他で
作柄
が悪い、こういう場合も入るわけでございます。 それから第二段目の
違法行為
の場合の
お話
でございますが、
違法行為
を
前提
とした
契約
は御説のように百三十二条でございますかによって無効である、これはもちろんその
通り
でございます。
契約
の相手方に
違法行為
を起させるということを
内容
とするようなことはこれによって無効でございますが、かりに
違法行為
をやったといたしました場合、その場合にこうだということを言うのは
契約
の無効にはならないというふうに私は思います。
食糧管理法
に基く
供出
をしなければ金をやるといったような
行為
があればこれは、無効であると私は思います。しかし
食糧管理法
によって
供出
ができなかった場合に、その
違約金
をもらいますということは私は無効ではないと思います。
食糧管理法
による
供出
ができるにかかわらずそれをしない場合に、お金を上げます、これは明らかに百三十二条によって無効になります。ただできなかった場合にどうするかということは、また別に合法な場合があると思います。
綱島正興
21
○
綱島
小
委員
債務履行
は予定したる
適法
なる時期にこれを
履行
することを
本旨
となし、そうすることによって
義務
を終るのであります。
供出期間
が予定されておるのでありますから、その予定されたる
期間
に予定した
通り
に
供出
すれば、これで
義務
の
履行
を終るのであります。しかるにその時期に
履行
することのできない
不可抗力
が発生いたしたならば、
債務者
はどういう
義務
を負うかといえば、その後の
最短期間
に
適法
にこれを
履行
し得る時期を選ぶのが期限の到来であります。もしそのことによって
予約
の目的を達し得なかったならば、
債権者
である
食糧庁
は
契約
の
解除
をする
権利
はございます。しかし
履行期
を特に早める
権利
はございませんけれ
ども
、それによって
契約
の
本旨
に反するとするならば、
契約解除
をする、
契約解除
したら元金を取り返す、これはいいでしょう。その際に責によらざる
損害金
の
内容
である
利息
という名目のものをつけることは、これは
法律
上どういう
根拠
でありますか。その
根拠
を伺いたい。こういうつもりとかなんとかいうことは要らない。
法律
上何条のこういうことで
適法
だ
——
これはちょっとあなたに無理かもしれぬが、こういうことをお答え願いたい。
小倉武一
22
○
小倉説明員
御説のようにちょっと無理なんでございますが、非常に抽象的なことになりまして恐縮なんですが、米の
供出
の
命令
とは違いまして、
政府
に対する
売り渡し
についての
概算金
の処理の問題に関しての
政府
との
契約
の問題でございますので、
一般
的に申しますならばそれは自由に
農家
と
契約
ができるのだというふうに思います。そこで
概算金
を渡します場合に
利息
をとる、とらぬということも、これはやはり自由にできるはずのものであるというふうに思います。はなはだ現状を離れたことを申し上げまして恐縮ですが、たとえば米を
供出
した
農家
からも、
政府
に
売り渡し
た
農家
からも、
概算金
に対して相当の
利子
をいただく。あるいはまた
政府
に
売り渡し
ができなかった方からも一応幾らかの
利息
はもらう、こういう立て方もできると思いますが、
実質論
になって恐縮でございますけれ
ども
、
政府
に
予約通り米
を売り渡すということの奨励的な
意味
をもちまして、
政府
に米を
売り渡し
た
農家
からは
利子
はいただかない、実はこういうふうに解しておるのでございます。
綱島正興
23
○
綱島
小
委員
冒頭に申し上げましたように、
法律
でありますから
食糧管理制度
を
食糧庁長官
が変更することはできない。これをいろいろして勝手にやらすことができるというような錯覚を今あなたは持っておられるようだが、この変更はできないし、したらそれは
不法
になる。閣議できめたってこれは
法律
ですから、われわれがこれを変えぬ限りは、あなた方ではどうにもならない。その範囲の
行為
でなければ
適法
にならない。そこで、
食糧管理制度
にはどう書いてあるか。
代金
について、
利息
を付して受け取ることができるというような
規定
がありますか。そこで
先ほど
申し上げた、どういう
根拠
でこういうことを一体
契約
されたか、私が言ったのはそこなのです。
管理法
の何条に、あるいは
民法
の何条にそういうことを許される
規定
があるか、それを伺ったわけであります。
小倉武一
24
○
小倉説明員
非常にむずかしい問題のようでございますが、
食糧管理法
によって米の
生産者
が
政府
に米を売るべしということでございますが、この売るべしという
命令
に基きまして御案内のように、
一般
の
売買契約
がそこで成立するというふうに考えられるわけであります。従いまして
売買契約
でございますれば、
食糧管理法
に、それについて格段の制約がない限りにおきましては、
一般
の
売買契約
と同じようにいろいろの
契約
ができる、こういうふうに考えるわけでございます。
綱島正興
25
○
綱島
小
委員
そこに問題があるのです。売るべしという
規定
があるからどういうことをして売り買いしても
——
あれはちょうど昔の
不良商人
が
百姓
に金を貸してやる、そして米を受け取る、
利息
をつけて取る、こういうような式にやっていい、結局はこういう
意味
ですね。そこで
供出者
にも
利息
をつけてもいいんだということだが、これは
利息
ではありませんよ。
本質
はこれは
損害賠償金
です、
不履行
を
原因
とする。
消費貸借
ではありません。
利息
は
消費貸借
に生ずるもので、これは
消費貸借
ではありません。いわゆる
予約金
で
売買代金
の一部
優先支払い
であります。従ってこれに対する
利子
と解しておられるけれ
ども
、
本質
は
法律
的に言えばこれは
損害金
なのであります。
消費貸借
でございませんから、
代金
でございますから、これは
損害金
なのです。
適法
時期に対する、
履行
しないことによって生ずる
損害金
なのであります。
損害金
でございますと、
先ほど
申し上げたような
議論
で、
不可抗力
についての
損害賠償義務
はないはずであります。そういうことはどうでもできると思っておられると、ある程度では
契約
それ
自身
が無効になるおそれがある。
食糧管理制度
を根本からくつがえすような、
やみ売り
をしていいが、そのときは
利息
をつけて払え、こういうようならこれは
契約
は当初より無効、そうではなくて、
食糧管理制度
を維持するための範囲でやられたなら、一部の無効は決して全部の無効を引き起さぬでしょう。一部の無効は一部の無効にとどまる。けれ
ども
、
不可抗力
による場合でも
損害金
をとるという
意味
の
契約
であったとするなら、少くともその分については無効であることは間違いございません。そういう
契約
をしようたってできない。何となれば、
民法
の
規定
するところであるからです。
民法
の大原則は決してそれによって変更はできない。これをできるという論拠が何条のどこにあるか、それを一応承わりたい。しかしこれは無理だろうから
法制局
長官に聞きましょう。
小倉武一
26
○
小倉説明員
お話
のように、もっとしかるべき
政府
委員
の方からお答えした方がよろしいと存じますが、なお御質問に対して今から研究してというのでははなはだ申しわけないのでございますけれ
ども
、これから研究したいと思いますが、
先ほど
お答えしましたように、
食糧管理法
にいう
政府
に対する売却、そういう範囲内におきましての
契約
でございますので、これは
食糧管理法
といったようなワクはございますが、その範囲で
契約
は自由にできると思うのであります。従いまして
概算金
の返納の場合の
利息
というものを、これを
違約金
と
解釈
するかあるいは
損害賠償金
と
解釈
するか、さらに
利息
と
解釈
するか、その辺の説はいろいろ分れると思いますが、私
ども
は
利息
というふうに
解釈
しております。
綱島正興
27
○
綱島
小
委員
これは
先ほど
申した
通り
、
利息
は
消費貸借
、
金銭消費貸借
に発生するもので、
債務
の
履行
が米の
引き渡し
を目的とする、
契約
の
内容
が
売買契約
であれば、これは
利息
というものを別に付せるような
契約
はできないのです。それは幾ら
契約
したって
利息
はつかない。それは
本質
は賠償金だからです。賠償金だとこの
不可抗力
による免責
規定
が生きてくるのです。それを
利息
と考えてもよかろうなんていっても、それはあなたが考えるだけで、あるいは当事者同士考えるだけで、そういうことはできない。何というたって
不履行
によって生ずる
債務
は
損害賠償
に間違いない。それを
法律
上
損害賠償
というのです。そういう概念が
法律
上の概念ですからね。それだから、それを
利息
として
契約
してもよかろうといったって、それは
損害賠償金
です。
予見契約
にしかならない。
利息
という
名前
を用いようが何としようが、それは
損害賠償
の
予見契約
なんです。その
予見契約
といえ
ども
、いやしくも
損害賠償
である以上は、
不可抗力
によっては免責
規定
が成立する。そこであなたの御
解釈
は非常に無理でございます。だからこれ以上はもうあなたに
お尋ね
することはちょっと無理かと思いますから、いずれ
法制局
長官に
お尋ね
して、おとなしく
食糧庁
はこれに服従してもらいたい。
田口長治郎
28
○
田口
小
委員長代理
本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもって御通知いたします。 午後三時十一分散会