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1956-11-28 第25回国会 衆議院 農林水産委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年十一月二十八日(水曜日)    午前十時十九分開議  出席委員    委員長 村松 久義君    理事 吉川 久衛君 理事 笹山茂太郎君    理事 助川 良平君 理事 田口長治郎君    理事 中村 時雄君 理事 芳賀  貢君       足立 篤郎君    安藤  覺君       伊東 岩男君    石坂  繁君       大森 玉木君    楠美 省吾君       小枝 一雄君    鈴木 善幸君       綱島 正興君    原  捨思君       本名  武君    松浦 東介君       松野 頼三君    足鹿  覺君       淡谷 悠藏君    伊瀬幸太郎君       井谷 正吉君    稲富 稜人君       石田 宥全君    小川 豊明君       神田 大作君    田中幾三郎君       中村 英男君    日野 吉夫君       久保田 豊君  出席政府委員         農林政務次官  大石 武一君         農林事務官         (農林経済局         長)      渡部 伍良君  委員外出席者         農林事務官         (農林経済局農         政課長)    保坂 信男君         農林事務官         (農林経済局農         業協同組合部         長)      新沢  寧君         参  考  人         (全国農業会議         所会長)    内田秀五郎君         参  考  人         (全国農業会議         所総務部長)  池田  斎君         参  考  人         (北海道農業会         議会長)    岡村文四郎君         参  考  人         (伊那農業委         員会会長)   城倉 栄樹君         参  考  人         (全国農業協同         組合中央会会         長)      荷見  安君         参  考  人         (福岡県農業協         同組合中央会         会長)     鬼木 文雄君         参  考  人         (全国市長会埼         玉県春日部市         長)      山口  宏君         参  考  人         (全国漁業協同         組合連合会会         長)      片柳 真吉君         専  門  員 岩隈  博君     ――――――――――――― 十一月二十八日  委員川俣清音君辞任につき、その補欠として日  野吉夫君が議長の指名で委員選任された。     ――――――――――――― 十一月二十七日  ひよう害に対する国庫補助等陳情書  (第二五九号)  公海の水産資源保護に関する陳情書  (第二六〇号)  水産資源保護培養に関する陳情書  (第二六一号)  自作農維持創設資金わく拡大に関する陳情書  (第二六三号)  財政再建団体整備に伴う造林林道の指定に関  する陳情書(第二  六四号)  仁淀川分水に伴う補償に関する陳情書  (第二七八号)  李ラインによる漁業転換等に関する陳情書  (第二九〇号)  冷害に対する救済措置に関する陳情書  (第三〇三号)  冷害り災農家救済等に関する陳情書  (第三〇四号)  農林漁業資金及び農業事業税復活反対等に関  する陳情書  (第三〇五号)  米穀の配給制度撤廃反対に関する陳情書  (第三〇  六号)  土地改良団体職員に対する共済組合制度確立の  陳情書  (第  三〇七号) を本委員会参考送付された。 本日の会議に付した案件  水産に関する小委員長及び小委員選任の件  千九百五十六年の国際小麦協定の受諾について  承認を求めるの件について外務委員会連合審  査会開会申入れに関する件  農業委員会等に関する法律の一部を改正する法  律案内閣提出、第二十四回国会閣法第二八三  号)  農林漁業組合再建整備法の一部を改正する法律  案(芳賀貢君外十二名提出、第二十四回国会衆  法第五七号) 右両案について、参考人より意見聴取     ―――――――――――――
  2. 村松久義

    村松委員長 これより会議を開きます。  参考人各位には、昨日に引き続き、お忙しい中を再度御出席をわずらわしまして、厚く御礼を申し上げます。  これより農業委員会等に関する法律の一部を改正する法律案並びに農林漁業組合再建整備法の一部を改正する法律案を議題といたしまして、参考人の御意見に対する質疑を行いますが、その前に、本日御出席をいただきました全国農業協同組合中央会会長荷見安君に、農業委員会等に関する法律の一部改正及び再建整備に関する法律の一部改正に対する御意見をあわせて伺いたいと思います。
  3. 荷見安

    荷見参考人 それでは私からただいま委員長お話のございました農業協同組合再建整備に関する問題等につきまして率直な意見を申し上げたいと思います。  その前提と申しますか、前に皆様十分御承知のことでございますけれども、この再建整備法ができました当時の背景となっておりますことを一言、二言申し上げてみたいと思います。戦後わが国におきまする農業政策の問題といたしまして、二つの大きな支柱をなすものがございました。一つは、農地改革の実行と、これに伴いまする農業者経済改善並びに生活の向上をはかるための農業協同組合育成強化という二つのことが当時の重大問題であったことはよく御承知通りであります。しかしてその一つの部分でありまする農業協同組合育成ということにつきましては、同法が制定されましてから非常に急速な政府指導民間の勉強によりまして、三万数千の組合ができ上ったわけでありますが、そのうち総合農協と申しまして各種の事業を兼営する組合が大体一万五千ばかりでき上ったのであります。それが急速にできたのはけっこうでありましたけれども、国内の状況にも合わぬような点もありました。また経営者のふなれというようなことも一面にはありましたけれども、何しろ終戦後に起った朝鮮動乱を契機とするブーム問題がありまして、そのために経済も一そうの激変をいたしました。それと同時に、政府がとられました経済統制の諸法制撤廃がありまして、いやが上にも混乱強化されたわけであります。その影響農協が受けたところはどういうことであるかと申しますと、非常に経営に差しつかえを来たしまして貯金の支払い停止、制限というようなことを行う組合が各地に勃発いたしまして、それに引きずられまして、経営が立ち行かずに、いわば眠り状態になってしまわなければならぬようなものも相当出てきたのでありましてこれではせっかく農家経済改善のためにできました農協が役に立たぬことになってはいかぬ、これらの施策の欠陥もありますので、これらの状態を何とかして直させるためには、単位農業協同組合経営改善あるいは経営の基本の確立ということをいたさなければなりませんので、当時の廣川農林大臣池田大蔵大臣等の非常な御尽力を得まして、再建整備法ができ上ったのでありまして、私どもも当時関係者の一人といたしまして農林大臣等にもいろいろお願いいたし、また大蔵大臣等には熱心な要望をいたしまして、そこでこの再建整備法政府が実行するということになったわけでございます。その当時、奨励金を出して再建整備をするということにつきましては、私ども関係大臣方お話をしたことでは、返還などというようなことは論議もいたしませんし、お話し合いもなかったわけであります。それでとにかく農協強化のために再建整備法が成り立って、政府財政援助によってこれを再建させていき、そして振興いたしたのでありまして、その再建整備によって実施せられたものが二千四、五百組合になっておったと考えるのであります。  それで今問題になっておりますのは、再建整備法によって政府から交付されました奨励金返還させられることになるか、それではせっかく政府援助によってできたものがまた動揺を与えられるというようなことが非常に問題になっておりまして、一昨年来そのことが農協の間では論議されております。最近も全国大会において、それらは償還を要しないようにいたしますために再建整備法の第十四条の削除ということを要望する全会一致の決議が出ておるわけでございます。それでは法律にかような償還規定があるにかかわらずなぜかようなことになったかと申しますと、私の所感を簡明に申しますと、第一施行当時の指導的地位にあられた関係者が、これは法制上には連合軍の方の関係もあって返還すると書いてあるけれども、これは追っては返還させないでもいいものになるのだということが中央地方でずっと伝えられておりまして、農協関係者はみなこれは返還しないでよろしいものという考えになっておったのが一つであります。これは、そういう空気でありますし、実際もそういう動きを全国的になしておったのが一つであります。それを裏づけるがごとくに償還に関する政令規定というものは出ておらなかったのも一つであります。大体奨励金を交付いたしまして、これを返還せしめるというような場合に、あの政令——これは施行命令ではございませんで、法律委任命令でございますから、法律と同様の効果を来たす規定をなし得る政令でありますが、その政令も制定されておりません、ということは、これは当然返還をさせる意思がないからだという裏書きのような感じになっておるということは当然だと思います。大体私どもの覚えております範囲では、返還させるようなことでありますれば、返還条件等をきめます政令は、その施行と同時に制定せられるのが行政の常道だと感ずるのでございますが、それは規定されておりませんで、現在でもまだこの政令は公布されておりません。もう法律施行後五年にもなるのでありますが、そういうことが第一段に申し上げました民間空気というものをさらに裏づけておるように思うのであります。  それからもう一つ、第三に申し上げますことは、整備促進法というのは再建整備法あとに制定せられまして、現在でも審議会ができまして、ほとんど全国経済連はこれによって整備計画を立てておるのであります。その整備計画を立てまする中で、たとえば職員退職給与金のごときものは、これは将来のものでありますけれども、すべて損金に計算いたしまして、それを積み立てるような計画が立っておるのでありますが、この再建整備によって交付された奨励金につきましては、これを返還するというような計画もございませんから、整備計画の中にはそれは入っておりません。こういうことも返還を要しないという空気裏づけの最も的確なことと考えるのであります。  それでは政府がそのことを知らぬのかと申しますと、知らぬのではございませんで、農林大蔵両省の官吏も関与いたし、われわれも関与いたしておりまする整備促進審議会においてさようなことを決定いたし、これを政府が承認されまして整備奨励金が交付されておるのでございますから、これを返還させるということはそういう点からも裏づけがないということを申し上げることができると思うのであります。  以上の三点、すなわちこの再建整備施行当時から引き続いて償還は要しないようになるという指導のありましたこと、それから政令がいまだに制定せられておりませんこと、なお整備促進につきましても、この奨励金償還ということは計算の中に入っておりませんこと、かようなことがありまして、それを受けまする農業協同組合の側が、これは償還せぬでもいいものであるというようなことで進行して参ったということは、無理からぬことであるということも御了承を願えるかと思うのであります。さようなわけでありますので、この全国大会におきましても、何の疑いもなしに、これは償還を要しないための免除をしていただく、そのために十四条を削除していただくということを論議なしに全会一致決定しておるようなわけであります。  なお、農業委員会の問題につきましては、御承知通り前年来いろいろ論議がございまして、農業団体の側においてもいろいろな意見があったのでございますけれども、最後に決定されておりますようなただいまの政府提出案というものにつきましては、農協側といたしましても別に論議もいたさぬことに考えておりますので、別段の御意見を申し上げることはないのでありますが、ただ農協の主張いたしましたことを御紹介申しておきますと、農業団体というものが同じような経済団体として重複いたしますと混乱をいたしますから、新しく農業経済団体農業団体というようなものが作られては困る、それからこれは団体が作られる場合でも公共団体的性格のあるものにしていただきたい、こういうことを申しておったのでありますが、ただいまも申し上げましたように、現在提案になっておるものはそのような趣旨考えておりますので、農協側として申し上げることは、私といたしましては別にございません。  なお、再建整備につきましてもう一言つけ加えておきますが、御承知通り農協系統団体であり、それから農協運動としては、農家相互扶助による助け合いの団体でありまして、それが能力を拡充いたしますために全国連合会の組織を設けましたが、これは全部相関連した一つ系統団体としてその効力を発揮するものでありますから、その中の一つ組合が悪くても能率が非常に減るわけでございます。それから、一つ組合がよいからといってそれから返還等をさせますと、直ちに他の組合共同事業にも影響を及ぼすものでございますので、この農協をごらん下さいます場合には、農業協同結合というものは県、全国を通じて連合会というものは全体一体的の作用をしているものであって、形式は町村、県、全国と分れるけれども、これは全部一体的の関連があるものということを、これは申し上げるまでもないことでございますけれども、十分御注意おきを願いたいということが私のお願いでございます。  はなはだ簡単で要を尽さないのでございますが、私が感じておりますことだけを率直に申し上げまして御参考に供した次第でございます。
  4. 村松久義

    村松委員長 どうもありがとうございました。  これより各参考人に対する質疑に入りますが、あらかじめ御了承を得ておきたいと思いますのは、荷見参考人及び岡村参考人は非常に急いでおられます。ことに岡村参考人は、一時の飛行機で北海道に帰る予定になっておりますので、十一時半前に御退出を願うことにいたしたいと思いますので、さようお含みの上に御質疑を継続していただきます。  では質疑を継続いたします。沖田大作君。
  5. 神田大作

    神田(大)委員 時間が大へんに制約されておりますので簡単に御質問申し上げます。引き続いてまことに御苦労さんです。  きのう全国農業会議所の方から、選挙の件について、選任ということにこだわらないというような御答弁をいただきましたが、北海道岡村文四郎さん並びに農業委員会伊那市の城倉さんに、今まで農業委員選挙で選んだのにどうして選任にしなければならぬかということについてはっきりとした御意見を承わりたい。
  6. 岡村文四郎

    岡村参考人 選任にしなければならぬとは私は考えておりません。昨日も申し上げましたように、日本始まって以来、農民代表農民だけで選ぶという選挙は初めてでございまして、非常に私は喜んでおったのであります。ところが、農民個々の理解がないというのか、その効果が上っておりません。だから今までのようにやってもらいたいという希望は無理ではないかと考えておったので、今度の法律を見ますると公職選挙法による選挙になっておりませんために、国の財政のこともありますから、それをどうしても公職選挙法によらなければだめじゃないかという強いことは申し上げかねたわけでございまして、本心は公職選挙法が一番よいと考えております。やむを得ず昨日は申し上げたのであります。
  7. 城倉栄樹

    城倉参考人 委員選出関係について、選挙がいいかあるいは推薦がいいかということのお話を昨日来私はお伺いしておったのでございますが、実際に今まで行われた委員選出というものが、選挙でやったにもかかわらず無効のような形になって現われた、これについてはいろいろの見方や考え方もあると思いますが、末端におっていろいろ仕事をやる、こうした面のことを考えてみましても、いわゆる末端委員会、あるいはその他の市町村長傘下にある農業委員会であるとか、あるいは農協であるとか、共済であるとかいうようなものは、これは同じ農業組合員であり、さらに農業委員会傘下農家であるというようなことで、いずれもこれは車の両輪のごときものでございまして、この間に何らどうこうということはないと私は考えております。そのように非常に実際の面におきましてスムーズにいっているわけでございます。もちろん今回この法案が通って推薦でいくというようなことになりましても、最下部部落へ行けば会合はもちろんつけまして、その結果はやはり小さい下部の間のあるいは推薦会であるとかあるいは予備投票であるとかいうことによってきめられるということになると思うのでありまして、おそらく最下部農家の民意というものは推薦でいっても必ず通じていく。そしてその結果に現われるものは、選挙でいってもあるいは推薦でいっても同じような民主的の結果が得られる、こういうように考えておるわけでございます。
  8. 神田大作

    神田(大)委員 城倉さんの御意見でございますが、選任でいっても選挙でやっても同じ結果だ、こういう御説でございます。きのう私が申し上げました通り選挙をするという規定があればこそ、無競争であっても一見民主的な方法というものが守られていく。これが一方的な部落推薦ということになりますと、部落御存じ通りいろいろ部落の中には力関係というものがあります。そういう力関係によって推薦というものが行われるということになりますと、一人々々の農民意思というものは十分に反映されないのじゃなかろうか、こうわれわれは考える。一つの力によって推薦者というものがきめられてくるということになりますと、これはゆがめられたものになるおそれがあるのじゃなかろうかとわれわれは考えておりますけれども、あなたとの見解はだいぶ違いますが、この点についてどうお考えになりますか。部落の実情をよく御存じでございましょう。部落でもって集まって会合するときに、だれそれがいいでしょうというように一人の人が言いますと、それに反対するわけにもいかぬということで、心の中では反対なんだけれども、まあ僕が反対すると、あとでどうもあそこの山の木の葉をとらしてくれないとか、あるいはどうも嫁の欠陥を言いふらされるとか、いろいろそういう部落の因襲による封建的な一つのきずなによって支配されまして、公平な意思が表示されない、こういうようにも思われる。こういう点はもう部落の中へ入ればはっきりしておるのです。そういう意味合いにおいて、やはり選挙という制度を残して、日本民主主義を守っていく一つの基盤をどうしてもこの選挙という線でもって——いろいろ選挙に対しての欠陥はあるでしょう。あるでしょうけれども、その選挙制度というものを残すことによって、選挙のやり方を改善することによって、それは直していけるように思う。そういう意味合いにおいて私は選挙制を廃止するということは、日本の民主的な改革を阻止する大きな問題につながっておると思うのでございますけれども、どうお考えでございますか。
  9. 村松久義

    村松委員長 神田君に申し上げますが、先ほどお話いたしました通り、非常に急いでおられると思いますので、質疑は集中的にお願いいたしたいと思います。
  10. 城倉栄樹

    城倉参考人 ただいまの御説もまことにごもっともな御意見だと私は思っておりますけれども、これは全国的に見られた場合にいろいろな地域があると思います。非常におくれていると申しますか、封建的と申しますか、こういう地域もおそらくあるとも思いますが、私らが長野県の場合にしさいに今までやっているあれからいきまして、御指摘のような一つの問題が起きたときにどう押えていこうとかいうようなことは今までにない。委員会のような場合には特にそういうふうに考えております。私らはこまかいよその地域のことは存じません。私らがやっていることからいけば、こういう方法でもって決して非民主的な行き方でない結果が出てくる、こういうふうに思っております。全国的なことは私にはわかりません。
  11. 神田大作

    神田(大)委員 委員長からの注意もありますし、あとで同僚からその問題については質問があるだろうと思いますので、私は荷見会長さんにお伺いしたいと思います。荷見さんはこの農業委員会の一部改正法案に対しては何ら異議がないという御意見でございましたが、それではその中の大きな問題である選挙制度部落推薦にし、市町村長選任にするという問題については、どのような御意見を持っておられますか。
  12. 荷見安

    荷見参考人 私が異議がないとか申しましたのは、別に申し上げることがないというようなことにおとりを願えればけっこうなのでありますが、大体御説明のときに申し上げましたように、この機関農業団体ではなく、行政機構的性質を持っておるということであればけっこうであるというのでありますから、それを適当にお考え下さることについてもまた異論はないのであります。そういう趣旨さえ徹底すればけっこうであります。
  13. 神田大作

    神田(大)委員 私が今御質問申し上げた点を具体的に御答弁していただくわけにはいきませんか。
  14. 荷見安

    荷見参考人 それは別に異存はございません。
  15. 村松久義

    村松委員長 ちょっとお諮りいたしますが、岡村参考人に対して最初質疑をなさることを希望いたしますが、さようでよろしゅうございますか。
  16. 神田大作

    神田(大)委員 よろしゅうございます。
  17. 村松久義

    村松委員長 それでは小川君。
  18. 小川豊明

    小川(豊)委員 岡村さんにお尋ねいたします。きのう岡村さんの御説の中に、農業委員会経費決定段階である、経費を賦課できるようにしたらいい、こういう御意見であったと思います。この農業委員会の目的なるものを見ますと、農民利益代表機関としていろいろ決定もし、かつ農民利益代表機関として農業委員会の活動する限りにおいて、政府補助助成農民利益をはかる機関である、これはちょっとおかしいと私は思うのです。やはりそういう点から言うならば、ほんとう農民利益代表機関として活動しようとするならば、経費農民自体が負担して初めてそう言えるのではないか、そういう考えを持っておったところ、きのう岡村さんから経費は賦課することが望ましいという御意見があったのですが、その御意見通りでございましょうか。
  19. 岡村文四郎

    岡村参考人 私は実は最初から農業会議会長になることを終始拒んでおりましたが、でっち上げられて方法がなくてやっております。それは経費の出所がはっきりしないということが私の性格にも合いませんし、仕事をするのに支障があると思っていたので断わったのでありますが、やってみますとその通りでありまして、どこからも賛助金をもらう方法がない。政府からくる補助金なんて微々たるもので仕事になりません。ですからほんとう仕事をするならば、農家個々からもらうわけにはいきませんが、何らかの方法で賦課して、その賦課金も相当の額をもらって、そのあと政府補助を受けなければほんとう仕事ができないと考えております。ところがそうなっておらぬようでございますから、やれるだけやってみて、やれぬものはほうっておけ、こう言うのでしょうが、それではせっかくできたものが役に立たぬわけで、私は私なりに無理にやっております。だから賛助金は無理にとっておりますがやはり無理にとるということは長続きいたしません。だからそうでなしに、農家代表機関としてほんとうによくやってくれるというふうに働けば、あとからとれるのではないか、こういう議論もございますが、なかなか百姓はそうやってはくれません。働いて、あれは働くんだから負担金を出してやるということにならないから、やはり法律の中におきまして、何か国家から負担金がとれるようにしてもらいたくて、農林省の方にずいぶんやかましく私は言っております。それがなければしようがない。そういうわけできのう申し上げたわけでありますから、満足な仕事をするようにするのには確定した収入がなければだめだと思っております。
  20. 小川豊明

    小川(豊)委員 農業委員会選挙の問題でありますが、この表を見ますと、農業委員会選挙をしない数はふえてきておるのですが、棄権率は逐年減っておるので、農民農業委員会に対する関心が減っているということは言えないと思います。それからさらに候補に立った人たちが投票の前に急速に辞退して、無投票でいく形がとられているのが、幾つかの投票で出てきておりますが、そういう点から農業委員会というものは選挙を省いた方がいいのではないかということで、市町村の当局なりあるいはその他の団体等によって、そういう計画がされて、選挙の数がどんどん減っていくという傾向が出てきているが、農民自身の関心というものはわれわれは必ずしも低いとは思えないのであります。それでこの表ではむしろこの関心が高まっておると思うのですが、これに対してどうお考えですか。
  21. 岡村文四郎

    岡村参考人 私もこれは小川委員さんのお話のように考えておりますが、岡村自身の本心から申しますと、岡村は、何万ということにはなりますまいが、千や千五百、二千くらいの町村の町村長を選ぶんでも、しのぎを削って争い合うようなことでは、その村は円満にはいかない。だからそうでなくて、ほうはいとして当然こうであるというふうな空気が出ないものかという考えを持っておるわけでありますから、農業委員会なるものも大体この人が最適任者であるということになれば、あながち選挙をしなくてもいいでございましょう。それで公職選挙法を行いますと、非常に区域が狭くなりますから、棄権がないようにして選挙ができると思いますが、どうしても公職選挙法によらなければならぬとは考えておりません。しかし前に申し上げました通り公職選挙法農民農民の真の代表を選ぶということは、今までに初めてのことでございましたので、非常な誇りを持っておりました。ところがその結果から見ますと、農業委員会仕事をせぬ、目に見えるような仕事をやっていない、それならどうでもいいんだということになりがちであります。しかしこれは県によって違いますが、この点は十分御注意を願いませんと、農業委員会というものは非常に重要ですが、下の方が軽視されておりますので、十分御審議になりまして、軽視されぬように願いたいと思います。
  22. 小川豊明

    小川(豊)委員 今岡村さんは北海道農業会議会長をなすっておるわけでありますが、その前には農業団体の枢要な地位におられた私どもの先輩であって、私どもは大いに尊敬しておるわけでありますが、そういう点でお尋ねしたいのは、この農業委員会法等の一部改正案を見ますと、今ここで選挙のこととか、いろいろな問題がありますが、それよりもこの農業委員会の行う事業の中で、農業経営の合理化及び農民生活の改善をはかるために必要な事業の推進をはかること、それから農業生産、農業経営及び農民生活に関する調査研究、これはよいと思いますが、農業及び農民に関する事項についての啓蒙宣伝、こういうことが載っておりますが、かつて私ども産業組合仕事をしておったころ、やはり農業会があって、これがあっせんの形で、あの当時の産業組合農業会とが仕事できわめて競合してきておった例を見ているわけであります。こういう農作物の病虫害の防除その他農業生産の増進、農業経営の合理化等に対する必要な事項の推進ということを拡大解釈していくと、あっせん事業もまたなし得るということになるのではないか。そうなると、農民利益代表機関であるところの農業委員会と、農民の流通過程をあずかっているところの農業協同組合とが、仕事がさらに競合して、むしろそこには農民に必要な農業団体がお互いに競合していく結果、弱体化を招くようなことがあるのじゃないかということを私は心配しておるわけであります。この点あなたは長い経験の中で、こういうように文書に現われている点について、そういう危険なり心配なりがあるとお考えになるかどうか、この点を一つお伺いいたします。
  23. 村松久義

    村松委員長 その前に皆さんに御報告申し上げます。トルコ国会議員の方が参観に見えておりますので、どうか一つ観迎の意味で拍手を願いたいと思います。   〔拍手〕     —————————————
  24. 村松久義

    村松委員長 質疑を継続いたします。岡村参考人
  25. 岡村文四郎

    岡村参考人 今の小川委員さんの御質問は、協同組合仕事と今度の農業委員会仕事とが混同しはしないか、事業の目的が似たようなことになる、こういう御心配のようでありますが、本筋から申しますと、農業委員会行政の方でありまして、何ら混同の心配はないと思います。そう言えるのでありますが、実はなかなかそうはいかないと思います。そこで問題は人でありまして、やる人によっては何にもいざこざがなくやっていけるのであります。また人によっては、そういうわきまえのない人の場合は、いろいろな摩擦が起らぬとも限りません。本筋においてはそういうようなことが起る心配がないのでありますが、かりに申し上げまして、岡村のような者がやればそういうようなことはないと思います。北海道では今度中央会会長が不幸にしてなくなりまして、農業会議会長と協同組合中央会会長は同一人でやるべきである、こういうような議論が盛んに起っておりますような関係で、そうなりますと摩擦はちっとも起きません。ところが私はそう申し上げましても、各府県に絶対摩擦がないということはいえないから、気をつけなければならぬと思いますが、行政機関であるということの認識が十分でありますと、そういうものが起きてこない。かえって中央会仕事を助けていくというようにならなければならぬと思っております。
  26. 小川豊明

    小川(豊)委員 それは岡村さんのような方がおやりになっておられるから、間違いないことは私もよくわかります。しかしそれはそういう人が出られた場合であって、そうではなくて、こういうことはやはり制度としてそうきめておかないと、私の心配しておるのは、農業委員会自体というものは補助金等で運営されております。市町村においては、きわめて経費が乏しくて困っております。そこで私どもの経験からいえば、その経費の乏しい農業委員会等は、勢いこの規定を拡大解釈して、農薬のあっせんとか飼料のあっせんとかに手を出しがちになってくる。そういうことがあると、農業団体農業委員会が確執を生じて、むしろ農業委員会の弱体化を招く、こういう点が一点あるがゆえに、これは制度としてそういうことはしないのだということをはっきり打ち出しておくことによって、私はこの分野がはっきりしてくるのではないかと思う。ここでは、この法文を見ると、それははっきりしていない、ここに心配があるわけです。この点をもう一度お考えを伺っておきたい。
  27. 岡村文四郎

    岡村参考人 敗戦前に御承知のように帝国農会、都道府県農会、市町村農会とございまして、小川委員お話のように、ときの産業組合とあっせんしたりしました。今度はそういうことは絶対にないように、でき得ますればそういうことを明記してもらうことがいいと思いますが、そんな時期ではございません。委員会がもっぱらやるならば、どうしてもやってもらわなければならぬ仕事がたくさんございます。御承知のように農地解放の跡始末はどうなりますか。これがほんとう農業委員会仕事でございます。土地を買収された人も、した人も、跡始末は十分でございませんために、地主であった方も、買い受けた方も、非常に個々ではございますが、そのまま置いたのでは、農地解放はあと戻りするということになります。そういうものも容易なものではありません。これらがすなわち農業委員会のする仕事で、今のような御心配はないと思いますが、もし御心配がございましたら、明記する必要がございましょう。私は明記する必要もないと存じますが、そう考えております。
  28. 村松久義

  29. 芳賀貢

    芳賀委員 岡村さんはお急ぎのようですから、簡単に五点ほどお伺いします。  第一の点は、先ほどの御意見の中に、昭和二十九年の農業委員会法の改正によって、農民は協力するだろうと思っておったけれども、ところが全然協力しなかったというようなお言葉がありましたが、二十九年に改正された農業委員会法の内容は、農民委員会との関係というものは、選挙資格のある農民が一番信頼する委員を選ぶということだけしかつながりがないわけです。それで全然協力しなかったということは、農業委員会に対して協力しなかったという意味ですか。あるいは選挙の経過を見ると、全く無競争のような形で大部分の委員会委員選出されたので、選挙に関心がなかったということが、協力しなかったということですか。その点はどちらを意味しておりますか。
  30. 岡村文四郎

    岡村参考人 私が関心がなかったと申し上げましたことは、実は全国的にそうなんでございますが、農業委員会というものは単なる農地の売買、転換によるお世話だけすればよいということになっておりますが、趣旨の徹底が足りますまいが、私は選挙なんということは考えておりません。選挙と申し上げましたのは、下からほんとう農民の一票々々を集めて、真に農民代表を選ぶことは今度が初めてでございます。それだけに、関心があれば大いに市町村の農業委員を鞭撻して有効に使ってくれるだろうと思っておったのが、そうでないということを申し上げたのであります。
  31. 芳賀貢

    芳賀委員 さっぱり協力しなかったとあなたはきのう言ったでしょう。だから、どういう点を農民農業委員会に協力しなかったかということです。今後改正する場合においても、農民委員会との血のつながりの上に立ったような運営が一番望ましいわけです。その点が、二十九年の法律改正によって期待に沿わなかったというところに問題があると思います。ですから、どういう点を農民が協力しなかったか、具体的に述べてもらいたい。
  32. 岡村文四郎

    岡村参考人 私は末端委員でございまして、ほとんど出ることは少うございますが、協力するもせぬもない、まず農地に関する限り以外には関心を持っておらぬというのが北海道の現状です。いろいろ書かれておりましても、その点に関する仕事をすることは別で、上の方からやっても下に徹底しない、徹底したかしないかわからないが、やはり関心がない、関心がないから協力ができなかったという状態であります。
  33. 芳賀貢

    芳賀委員 今のような状態では農民は全く関心がない、関心がないというのは、価値がないと認めるから関心がないということでしょう。ですから、今のような形では、もう農業委員会というものは供出制度の面に対しても直接タッチしておらぬ。北海道のごときは農地処理も問題がないのだから、あってもなくてもよいじゃないかという点で関心がないのじゃないですか。
  34. 岡村文四郎

    岡村参考人 農地の問題はずいぶんございます。大てい月に一回やりますが、少くとも千何百件、二千件とございますが、道の会議はいつもいたしておりますが、非常に議論もあって、迷惑しておる面もありますようで、調査員を派遣しておるものもございます。これはないではなくて、当然これからがまだまだ非常に大事で、ほんとうに必要な時期になっておるのじゃないかと考えております。
  35. 芳賀貢

    芳賀委員 それではその点はその程度にしておきます。  その次は、今度の改正案に対する御意見として、たとえば県段階においては、各町村の農業委員会代表が全部一号委員として参加するわけです。これは系統化されたようなことになったので、非常に前進であるということを、あなたは述べられておったのですが、その点から推すと、この点は岡村さんの御意見としては、農業委員会なる組織は農業団体、いわゆる団体化する方向に一歩前進を示したのだから非常にけっこうである、そういう意味ですか。
  36. 岡村文四郎

    岡村参考人 私は団体化することは考えておりませんが、あなたさんが御承知のように、北海道では十四の支庁から支庁の代表者が出ております。しかしながら末端委員会からは連合会がございまして、農業会議がございますが、全くの形式的なものであります。そうでなくて、総会の事務には、各団体から出てくることになりますと、委員会がたくさんになりまして、いろいろなことも聞いたり知ったりして、協力するようになるだろうという考えだけなんで、団体化することは考えておりません。またそうなるべきものではないと思います。
  37. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは各町村の委員会代表する委員が、全部都道府県段階の会議に一号委員として参加することは、必ずしもこれは団体化をねらった意味において前進になるというわけではないのですね。とにかく一年に一ぺんくらい集まれる機会があるので、非常にけっこうだ、そういう意味でありますか。——それではお伺いしますが、その次にあなたの言われたことはごもっともです。北海道には委員会の数が二百以上あるので、しかも現在道の委員会を一回開くだけで、二十何名しか委員はおらぬと思いますが、それで一回二十七万円ずつかかるというわけですね。今度は全部を委員にすると、これは二百二、…十人の委員になるわけです、今の十倍くらいの委員になる。そうすると、その委員会の総会を開く場合には、大体三百万円くらいかかる。そういうことになると、現在の委員会の予算は、連合会から三百万円もらっているというのは、おそらく農協連合会の寄付金か何かだと思う。あと道庁の予算から奨励金として千二百万円もらっている。そうすると千五百万円しかないからして、全体の委員会を開くとすれば開くだけで五回集まれば何もなくなってしまうということになりますね。ですから、これは非常にけっこうなことになったと言いながら、一方において財政的な面から考えた場合には、こういう膨大な委員をかかえることによって、道の農業委員会は動きがとれなくなるような事態がくるのではないかと思いますが、その点はどう考えておりますか。
  38. 岡村文四郎

    岡村参考人 私は、二百以上の町村から代表者が集まってきて総会をするのに、全部の旅費まで持てるようになれば大へんけっこうだが、それは非常に困難であると思っております。仕方がないから、それが持てぬ時分には市町村の負担でやるより方法はない。やってみなければわかりませんが、それを全部持つことは困難ではないか。ですから、町村の負担で来てもらうほかはないと思っております。
  39. 芳賀貢

    芳賀委員 これは岡村さんも御存じ通り、現在の農業委員会法の中に、農業委員経費あるいは報酬は地方公共団体が負担しなければならぬということが明記されている。あなたはそういうわけにはいかぬと言っても、地方公共団体の責任においてその経費を支弁せよということを法律が明記しているわけです。そうなりますと、昨日の市長会あるいは町村会代表の方の御意見と全く異なった現象が生まれてくるわけですね。ですから、そういうむだな経費をかけないで、しかも農民の関心を呼び、期待に沿うような委員会を作るためにはどうするか、そういう御意見はありませんか。
  40. 岡村文四郎

    岡村参考人 お尋ねの意見は持ってはおりますが、それは今ごろ言うべきではないのであります。うっかり言うと非常に波紋を描いて人にも迷惑をかけるので、十分以上の注意をせぬといけない。言ってはいけないから言わないというのではありませんが、そういうことがなくても、全部にするか、部分にするかの問題で、もし出すにしても全額出さなければならぬということもございますまいし、財政関係からすれば、やればできると思います。今の総会に集まってくるという制度は私な悪いと思っておりません。いいと思っております。
  41. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは次の問題ですが、先ほどの御意見によると、全部が一号委員になることによって、財源を得るために賦課金制度——あなたは委託金というようなことを言われましたが、そういう負担金を町村の委員会に課することができる。今までは賛助員のような形で寄付金等をもらっておったかもしれませんが、今度こういうことになったことによって町村委員会に負担をさせることができるようになったから、非常にこれはけっこうであると言われた。やはりどこからか財源が出てこなければ動きがとれないわけです。そういうことになると、やはり町村の農業委員を県段階の会員とするということにまで持っていかなければ、これはいかぬと思う。全国及び都道府県は法人になっているから、もちろん会員を持っているわけです。あなたの御意見からいうと、町村の委員を会員にする、いわゆる都道府県の会議なるものは、これはやはり団体化の方向であるというふうにしか考えられないのです。会員以外の者に賦課金をかけることはできませんからして、全部を会員にするというのなら、これはやはり明確な団体化だと思うわけですが、それで非常にけっこうであるとあなたは言われたようですが、それに相違はありませんか。
  42. 岡村文四郎

    岡村参考人 私はこれをいただいたのはおとついのことで十分原案に目を通しておりませんが、これは末端委員会から負担金を取るようになっておりませんが、取れるようになればけっこうだと思います。それがなっていなければ行政機関として収入がないからには下の方からそれを鞭撻して相当の賦課金を支払うも不都合ではなかろう、こう考えております。それによってあなたの御心配のような団体化のことは考えていない、そうではないと思います。
  43. 芳賀貢

    芳賀委員 岡村さんが心配されているということは、岡村さんは北海道農業会議会長とともに北海道の信連の会長でもあるし、全国的には全国共済連の会長でもあるからで、しかしきょう御出席願って御意見を承わっているのは北海道農業会議会長としての御意見を伺っているのであって、それ以外のことを心配される必要はない。何もここで二足のわらじということを言わるのは迷惑であってそういうことではむしろよその県の会長さんに来てもらった方がはっきりした御意見を聞けるのじゃないかと思う。  それで次にお伺いしたいことは、言葉尻を取るわけじゃありませんけれども農業協同組合の組織と農業委員会との関連の上に立っての御発言であると思いますが、北海道においては農業協同組合中央会長の稲垣さんが先般亡くなられた、その後任の問題にからんで、むしろ農業会議会長北海道中央会会長になるべきだという意見を言われたが、これは非常に大事な問題だと思う。農業会議会長中央会長を兼ねることが好ましいということであれば、これはやはり農業協同組合農業委員会は全く別個の立場に立っているのですから、こういうことが好ましいとすればこれは協同組合を官製化する一つの形が出てくるのじゃないかと思う。行政補助機関的な役割を持っている農業委員会の現在の会長が全く自主的な農民団体であるところの中央会の、しかも農政面あるいは協同組合指導を任務とする中央会会長になることが好ましいというようなことであれば、これはやはり協同組合も官製化した方がいいということに私はなると思う。それは信念的なあなたの御意見として言われたのであるか、ただ中央会長の下馬評として岡村さんがいいのではないかということを言っているのか、その点はどうか。北海道農業会議会長岡村さんがいいというのか、信連の会長岡村さんをこの際中央会会長に持っていった方がいいというのか。その点は特に参考人意見として承わる場合には非常に大事な点だと思う。
  44. 岡村文四郎

    岡村参考人 芳賀さんは地元だから御心配になっていると思いますが、農業委員会農業会議行政組織であるということを知らぬが大半だと思う。ですからみそもそもそも一緒に考えているからそういうことになるのであって、断然岡村個人はあんな中央会会長になるとはちっとも思いません。そんな甘ちこい人間ではございません。ですからそれを教えることが大切で、末端農家の方が同じような組織ではないかと考えているところに問題があるのでございます。それをはっきりと行政機構を認識さして、その上に立って指導することこそ大事じゃないかと思います。中央会との問題は心配ございませんし、また何もしませんし、せいと言ったってやりませんから御心配ございません。
  45. 芳賀貢

    芳賀委員 現在の農業委員会法の中には、都道府県段階の会議の一号委員を選ぶ場合には地区代表会議というものがあって、その地区代表会議から選ばれた一名が県の一号委員になる。今度の法律改正によりますと、この規定が今度なくなるわけです。それで北海道の場合には、さっき言った通り二百人以上になるという一つの特殊性を持っている。その場合今度は地区代表会議というものが全くない形の中において、北海道のごとき広範な地域の道の会議の運営がうまく行くか行かぬかということは非常に問題があると思う。この点に対してきのうの御意見は触れておりませんでしたけれども北海道会議としてはどういう御意見をこの点について持っておりますか。
  46. 岡村文四郎

    岡村参考人 これはよくわかりませんが、常任制度というものがあればうまくいくのじゃないかと思っておりますが、私がやるのではないからわかりませんが、常任制度がないと困ると思います。常任制度を置くことになっておるようでございますから、それでうまくいくかいかぬかわからないが、やれるのじゃないかと考えております。
  47. 芳賀貢

    芳賀委員 常任委員によって、北海道地域を幾つかに分けて、そこに代表会議というものが持たれておるわけでしょう。これが今度の法律改正によると、なくなるわけですね。これはやはり北海道としては関心を持っておる点だと思いますが、御意見がなければよろしいです。
  48. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 岡村参考人に二点だけお聞きしたいと思います。一つ農業委員会の本質の問題ですが、片方におきましては国の行政機関、これは要するに農林大臣の下部機関みたいなものです。片方においては農民利益代表機関、こういう二つ性格を持たせようというところに、非常に無理があると思うのです。今日のように——これはいろいろ御意見があろうと思いますが、部分的にはともあれ、全体としてみますと、政府の対農業政策といいますか、農民政策というものは、だんだん農民利益と相反しております。こういうように行政機関としては、いやでもおうでも、そういう上の反農民政策を農民に浸透させていかなければならぬという立場がある。片方におきましては、農民はこれに反対していかなければならぬという立場があります。これを一つ行政機関で、一つ機関でもって両方やらせようというところに、私は非常に根本の矛盾があると思う。従って農民からみますと、農業委員会の活動というのは、農地の問題を別といたしまして、ほかの面については、だんだん政府の言うことを押しつけるというような格好になる。農業委員会としては政府に対する建議もしておる。あるいは諮問に対する答申もしておる。しかしそんなものはどこへいったかわからなくなってしまっておるのが、今の農政の全体の実情であります。こういう中で、今申しましたような、こういう性格を持ったものが今後両立し得るものかどうか、これが農民農業委員会との分れてくる立場で、農民は無関心になっておる。選挙制度をどう変えてみたって、何を変えてみたって、どうにもならない問題ではないかと考えますが、この点については現地でいろいろ御苦労をされておりまする岡村さんは、どういうふうにお考えになっておるかということが一つ。それからもう一つは、農地の問題はいろいろありますが、農地の問題を除きまして、たとえば村において今度の改正案に掲げておるようないろいろな指導とかあっせんとか、あるいは推進とかいろいろの言葉は掲げておりますが、これらのことは農民から見ますると、すべて利害関係を直接持っておる問題です。もっと具体的に言いますと、農民は金を出す、その金を出したものに対して、いわゆる金なり物なりの上でもって効果をとらなければならぬ問題です。ところが農業委員会というものは、いろいろな計画を立て、推進をし、ものは言いますけれども農民が幾ら金を出せば幾らそれによって利益をとるかということに対しては、全く無責任の立場にあります。責任を持たない立場にある。こういうものが立てた計画指導や推進を、果して農民がこれを直接自分のものとして受けるか受けないかということになると、これは少し疑問だと思います。私ども村でもいろいろやって参りましたが、かつての時代には御承知通り、供出という問題は農民の一番直接の利害関係でしたから、これに対する関心も非常に強かった。農業委員会が何か決定する。政府と何かやるということになりますと、この問題は即農民経済力に強く連関してきた問題です。ところがこの問題がほとんどなくなって、農地だけになっておる。農地は今のところきわめて散発的だ、こういうことですね。そうしますと、この点について農業委員会が、今度の改正案にはいろいろりっぱなことが書いてありますが、結局無責任な機関が、大ぜい集まっていろいろなことをやっても、これはさっき申しました第一の点と連関いたしまして、農業委員会というものの性格がどうなるかということは、ほぼ見当がつくと思います。こういう点については、農協の活動との連関も非常にあると思いますが、こういう非常に根本的に矛盾をした性格のものを、行政機関として政府補助によってやる、あるいはこれから先々農民の分担金によってやっていこう、この点は無理ではないかと考えますが、この二点について岡村さんの御意見をお伺いしたいと思います。
  49. 岡村文四郎

    岡村参考人 第一のお尋ねの問題は、これは人だと思います。もし人を得ませんと非常なことになりますので、それが第一点。人さえ得られれば心配ないと思います。  それから次の問題は、ほかでもそういう御心配がございましたが、全く協同組合と同じようなことにならなければ効果が上らないことになっております。ずいぶんと摩擦が起きます。そこは北海道と違いますからどうもわかりませんが、北海道では今度も知事の諮問を受けまして、その答申を盛んにやっております。それは畑地農業をいかにするかという諮問です。そういうわけでどんどん道が諮問してきますし、また道の農政部とは表裏一体になって仕事をいたしておりますから、割合に違いますが、府県はそうは参りません。だから今までも御注意を願って、あとの問題もまた人選によっては御心配ができてくる。こう思っておりますが、時間もございませんので、御迷惑でございますが、人選は一応郷里に帰って十分お気付けが願いたいと思います。
  50. 足鹿覺

    足鹿委員 岡村さんに伺いたいと思いますが、なお岡村さんのみならず参考人全部に、私の質問のうち一点だけについてはお答え願いたいと思います。
  51. 村松久義

    村松委員長 岡村さんが済んだらお帰ししてよろしいですね。
  52. 足鹿覺

    足鹿委員 それでは岡村さんに伺いますが、農業団体中央会のあり方については、どういうあり方がいいかという点について、一点だけ伺いたいと思います。私は何も意見は言いませんから、あなたの御所信とその理由を明確にしていただきたい。現在のごとく二元的なものがよろしいか、一元的なものがよろしいか、大体その御構想だけをしぼって御答弁願いたいと思います。
  53. 岡村文四郎

    岡村参考人 足鹿さんのお尋ねでございますが、これは重要な問題でございます。そこで、御承知のように、指導連というものがなくなりまして、変った形の、本筋の中央会が生まれたわけでございますが、あれが生まれます時分には、非常に心配もし、努力もいたしまして、わが国の協同組合の現状をながめまして、まことに遺憾でございます。終戦後、それはだめだと私が声をからして叫んだにもかかわらず、できた法律です。これはアメリカがやったことでやむを得なかったのでございますが、あれを片っ端からなくしてしまった。そこで一番大事なのは協同組合を一刻も早く全部常道に引き戻して、事業ができるようにすることが一番何よりの仕事でございます。そこでそれを眼目にして中央会考えたのでございますが、帝国農会がありました時代に、帝国農会と昔の中央会があまりうまくいっておりませんでしたような関係で、二つは要らないということで、全部一つにして協同組合指導農業指導中央会にやってもらおうということでできておるわけでございますが、なかなか両手でそううまくいきません。ですから場合によりますと、中央会というものはさっぱり認められないでおるところも全国にはございますが、全国中央会も大へんでございまして、ですから今その可否をお尋ねになりましても、非常にお答えするのに困難な時期だと思っております。やがてはわれわれの叫びました目的が達成する時期が来ませんと困りますので、協同組合指導も十分にでき、農業指導も十分にできますが、ただし末端の営農指導だけはどこまでも協同組合自体が、技術員の一人ぐらいは持って指導ができるようにならなければ、日本農業はだめだと考えております。時間がございませんので、あとでまた何でも申し上げます。
  54. 村松久義

    村松委員長 岡村さん、御苦労さまでございました。どうぞ御退出願います。  なお足鹿君に申し上げますが、今神田大作君が発言を継続中でございますから……。なお神田君、荷見さんが急いでおられますから荷見さんに。
  55. 神田大作

    神田(大)委員 荷見さんにお尋ね申し上げますが、先ほど私が選挙選任にしたことについての意見についてお答えがなかったのですが、私は農業協同組合中央会といたしまして、農村の民主化を阻害するような法律改正が今なされようとしている大事なときに、中央会の責任者がこの問題についての何らの発言もしないということはちょっとどうかと思うのです。その点、もしできましたら、選挙制選任制に変えることについての中央会としての意見をお聞かせ願いたいのです。
  56. 荷見安

    荷見参考人 最初に私は農協側の建前を申し上げたのでありまして、農業団体は作らない、作るとすれば行政機構的なものにするということを希望しておりますということを申し上げました。その線に沿うような方法であれば異存はない、こう抽象的に申し上げたわけでありますが、この選任の問題につきましてはいろいろ各方面に論議がありまして、ただいまのような点に落ちついたことと思っておりますので、今それをどうしたらいいかということを、代表者といたしまして申し上げるまでの段階に達しておりません。
  57. 神田大作

    神田(大)委員 この行政機関としての性格を持っていれば差しつかえないと言われますが、今ほかの委員の方からの質疑があったように、一つ農業団体としての一歩を踏み出そうとしている可能性が私たちは見られるのです。それは行政機能としてばかりではなしに、農業団体としての一歩を踏み出すという、すなわちさっきも申し上げるように、一つの系統的な組織になっていく、そういうことと、いま一つは、この農業協同組合事業農業委員会事業というものが競合するのではないかというような点もあるわけです。特にきのう私はこの競合の点について会議所の方の御意見を聞いたのですが、農業協同組合から理事を参加させておくからそういう心配はないといわれますが、多くの理事の中に農業協同組合から一人理事を出しておいても、こういう競合の問題、事業の問題というものがそれで解消したとは思えない。そういう点からいたしますと、中央会といたしましては、この改正案に対しましては相当意見が私はあると思うのです。意見がないというのはおかしいと思うのですが、その点特に私はさっきも申したように、選挙選任にされるということは、農民の意識というものを低下させる、農民を啓蒙する立場に立つ中央会の任務としては、これは重大な段階だと思う。農民の意識を一定の限度に縛りつけておいて向上することを阻止するのが、やはり一つ選任制という形になって現われているのじゃなかろうかと思うのです。こういう点に立ちますと、農民指導者の立場に立つ責任ある団体として、これは重大な決意をもってそういう民主化をはばむような制度に対しましては立ち上らなければならぬと私は思うのですが、こういう点について中央会の荷見さんはどうお考えになりますか。
  58. 荷見安

    荷見参考人 私はその選任方法が不適当であればこれは是正されるべきものと存じます。大体の趣旨が話し合いにおきまして、行政補助機構的性格を持った団体にするのであるということになっておりますので、あとはその趣旨は絶対守らなければならぬ、こういうふうに思っておりますから、それに支障があれば何しますが、まだそういう点までは研究を尽しておりません。それから新しく農業団体的な事業をやっていくということがいけないということは、私ども強く考えておるところでありまして、これは関係団体の方もよく了承しておられるようでありますから、間違いなくいくことであろうと考えております。
  59. 神田大作

    神田(大)委員 それではこれは時間もかかりますから、この程度にいたします。農林漁業組合再建整備法に関してお尋ねいたしますが、われわれはもちろん一日も早くこの一部改正法律案を通したいと思っております。しかしこの奨励金というものが農業協同組合の再建のために交付されて、その農業協同組合が立ち直った。しかし奨励金の返済によってくつがえされるというおそれがある。そういうことはわれわれも危惧されるのでございますけれども、それと同時に、再建された農協に対する県段階あるいは中央段階において、自分たちがその再建された農協に対しましてなさなければならないたくさんの仕事がある。それを怠っておって、単に政府奨励金のみによってこれを再建していこうというような考え方であったのでは誤解を招く。そういうきらいもないとはいえない。同時にいま一つは、奨励金というものを、今度これを返さなくてもいいということになりますと、ほかのいろいろの団体−ほかの関係にも政府奨励金とかその他の補助金というものが出ている。農協再建整備のための奨励金だけは返さない、ほかの団体とかその他のものに対する奨励金は返すんだということになると、筋道が通らなくなる。そういう点に対するはっきりした見解をあなたに述べていただけば非常に仕合せだと思います。
  60. 荷見安

    荷見参考人 まことにごもっともな話でありまして、私ども再建整備促進特別措置と、あらゆる部門を経過しまして整備に努めておったのでありますが、決して政府補助金のみでやったのではありませんで、政府補助金はごく一部分だと思います。それから本年の大会でも決議いたしましたし、両三年前もやっております農業協同組合の総合事業計画を立てて、全く計画的な組合運動を展開しようということには全部努めておるのでありまして、ことに本年の全国農協大会におきましては、農協の刷新拡充の三カ年計画を立てて、この経済事情の変転に応じ正常化に対応いたしまして、急速に自分らで建て直そうということを熱心に考えておりますことは、あるいはわれわれの宣伝力が足りないかもしれませんが、大会等でもごく熱心にいたしておるのでありますから、決して財政といいますか、反省なしにいろいろなことを申し上げているのでないということだけは御了承願いたい。極力やろうということを全体の組合が表明いたしておる次第であります。  それから、この補助金を返さないということによってほかの団体との関係をどうするかという第二点の御質問、これは私が最初御説明申し上げましたように、この奨励金交付の当時からいたしまして、このほかの団体のものとは違って、これは返さぬでもよろしいというような指導もあったように思いますし、現実にそれを裏づけするような資料もあったことは繰り返して申しません。最初に申し上げておきました。それで大体企業体と農協を比較をしていただきますと、農協はごく零細な農家の協同体でありまして、これは独立した企業体ではございません。全業体から返させるのであるから、こういう農協という経済補助機関からも同じようにするということは、私は農協の立場からしては納得しかねる問題でございます。これはまた最初の御説明のときにもちょっとつけ加えて言いましたが、農協は系統運動て拠りまして、一農協がいい悪いということはすべての機関に及ぶのでありますから、そういうものは自分たちが直さなければいけないし、政府も直していただく。なお独立した企業体としてごらんになることはちょっと御再考を願いたいと思う次第であります。
  61. 芳賀貢

    芳賀委員 荷見さんにお尋ねしたいのです。先ほどの御意見によりますと、農業委員会法の改正に関してはあまり明確な意見は差し控えたいということであったのですが、これは中央会の側から見た農業委員会法に対する具体的な御意見というのは非常に大事だと思うのです。あくまでも私たちは、御意見を聞いてそれを法律審議の参考にしたいと考えておりますので、でき得ればこの際荷見さんから具体的な意見を述べてもらえれば非常にけっこうだと思います。
  62. 荷見安

    荷見参考人 どうも私の申し方が徹底せぬかと思いますが、繰り返して申しますように、農協側といたしましては、農業協同組合事業と抵触、重複するような新団体の設立は絶対にやめていただきたいということが一つでございます。それは農家負担の現状から見ましても、重複いたしますことはいけませんし、農業団体の活動を強力に遂行するためにも、二元的になることははなはだ望ましくございませんから重複を避けていただきたいということが根本でございます。  それから第二に、団体を作るといたしましても、その性格行政の補足的機関であるという性格を徹底していただきたいということが一つでございます。その団体を作ります際にも、先ほどほかの方からお話がありましたが、推進というのはあっせんというところまでいかないで済むというので、私どもは推進という文字にいたしておるのでございまして、これがあっせんということになりまして、経済行為に深入りいたしますと、私どもの方ではそれは反対なのであります。その点を明確に申し上げます。
  63. 芳賀貢

    芳賀委員 非常に明確に述べられたと思うのですが、これは御承知通り河野農林大臣が全国農業会議所に対して、町村合併に伴う農政浸透の方策いかんという諮問をしたのがこの農業委員会改正の発端になっておるとわれわれは考えておる。そのとき農業会議所としては、内部的な意見が統一できなくて非常に不透明な答申に似たかのごときものが出されたということがわれわれの頭に残っている。それで特に荷見さんに御意見を承わったわけでありますが、昭和三十一年一月二十日の全国農業協同組合中央会会長名で農林大臣に対して建議されたものがある。これによりますと、一つは農政浸透は国、県、市町村それぞれの段階が農政担当機構の整備によってこれを行うべきである。その二は、農業技術指導体制は農業改良普及事業強化農協営農指導の連係によって確立されるべきものである。この二点が今荷見さんの述べられたことであると私は了解するわけですが、それでよろしゅうございますか。
  64. 荷見安

    荷見参考人 さようであります。
  65. 村松久義

    村松委員長 ほかに荷見さんに対する御質問まありませえか久保田君。久保田君に申し上げます。あなたの御意見をなるべく控え目にして、こちらの意見を聞くことに重点を置いていただきたいと思います。
  66. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 荷見さんにお伺いいたします。一点は、かりにこの新しく生まれます農業委員会が、予定されておりますように、農民利益代表機関として十分の機能が発揮できるかどうかということに私どもは非常に大きな疑問を持っておるわけであります。行政機関であって、同時に利益代表機関などということは、要するに政府に対して、あるいは大きくいうと独占資本に対してある程度戦える機能を持っておらなければ、それはできないはずであります。それを抜いた単なる建議やあるいは意見の答申というようなことで今通るようななまやさしい政治情勢でもないように思うのであります。その問題と関連いたしまして、農協の活動を通じてそういう点がどの程度できるかという点、特に農業委員会との比較というか、連関におきましていずれをとった方がはっきり利益代表機関としての機能というか、活動力ができるかという点について主として農協側からの御見解を聞きたいという点が一点。  もう一点は、さっきもちょっと触れましたし、今もお話がありました通り、あっせんということになれば、農協としては農業委員会の活動に反対だというのはお説の通り、しかし推進という場合におきましても、末端においても、県段階においても当然農業委員会である計画を立て、ある活動をいたします場合には、これは当然すべての点において農協の直接の担当する経済行為になるかどうかは別といたしまして、いずれにいたしましても、農民生活から見れば、経済的実態を持ってくるわけであります。そういう場合に村におきまして農業委員会一つ計画を立てる、あるいはその計画を推進する。この実施は、私どもから見ますと、農民農業団体、特に農協系統の諸団体になろうと思います。この場合に見ておりますと、農協の責任分野と農業委員会の責任分野とは明確でありません。こういう点について農協側としてはどういうふうに理解され、あるいは今後どういうふうにしていったらいいかという点をお考えでございますれば一つお伺いしたい。この二点だけ伺います。
  67. 荷見安

    荷見参考人 第一の問題につきましては、農業協同組合法制の中にも中央会には建議等はなし得るように規定がしてありまして、これは農協の活動を進める上に必要な分については、行政活動がなし得るということを明確に制度化してあると思います。その点につきましては、自主的農業団体といたしましては、他に顧慮するところなく進むつもりでおります。  それから農業会議所の方との関連につきましては、私どももその構成のメンバーとして役員に入っておるのでありまして、その間に、不一致とかあるいは農政活動に不適当な結果を来たさないように努めたつもりでございまして、あれができたときにも、そういう意味で一号議員、二号議員というようなことで、各団体代表者のような者も含むようになっておると思いますから、運用面について適切を期したいと思っております。  それから事業の範囲につきましては、前にも申し上げましたように、これは経済事業に入らないで農協のいたします仕事をわきから進めるように助力する、こういう話し合いになっているのでございますから、その点はよく制度趣旨に従って運用して参りたいというふうに考えているわけでございます。
  68. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 再建整備法についてちょっとお伺いしたいのですが、十四条は御承知通り、「再建整備の条件を満すに至ってから一年を経過した後、政令の定めるところにより、交付された奨励金に相当する金額に利子に相当する金額を加算した金額を政府に納付しなければならない。」と書いてあります。この十四条というものには成立当時若干のお疑いがあったのかどうか、あるいはその後再建整備がまだ完全にできてない、あるいはまだ整理ができていないからこれは納付する必要がない、こういうふうになったのか、その点を一つお伺いしたい。  もう一点は、これは農業委員会に関する問題でありますが、先ほどからのお話で大体御意思はわかりましたが、ただ今度改正されます農業委員会は、政府行政機関補助機関であるというふうにとられるのが一方。もう一つは、やはり農民利益代表機関であるかのごとき点も若干あるのでありますが、これはお説の通り行政機関補助機関であるということは当然わかっておりますが、農地問題等につきましては、これは一体補助機関として扱うべきであるか、あるいは農民利益代表機関として扱うべきであるか、その点のお考えをお伺いしておきます。
  69. 荷見安

    荷見参考人 あとの方からお答えいたします。これは農地行政補助機関的な性質かと思います。  前の方は、これは実はなかなか大蔵省と農林省との交渉が困難でございまして、農林大臣はぜひやろうというので御尽力下さったのでありますが、大蔵省がむずかしい。そこで私は実は当時の池田大蔵大臣を個人的にたずねまして、ひざ詰め談判をして、当時の湯川中金理事長と二人でまかせられて立案したというような経過がございまして、最初に申し上げましたように、そのときには奨励金を出して再建をしてやるのだということが重点でありまして、それを返すというようなことは話にも出ておりませんし、私はそういうふうに考えておらなかったのであります。それから行政官の方の指導の方でも、いやこれは連合軍の方の関係があるので、どうしてもこういう態勢をとるのだが、いずれは返さないようにしてやるのだというようなお話がぽつぽつありまして、それは中央地方を通じてよく浸透いたしておりました。そこでふだんでありますればもう五年もたつのでありますから廃してくれという大会の決議などをして、皆さんのところへやかましくいっておったと思うのでありますが、それは返さぬで済むと思っておりましたから、おそらく地方の者は皆さんのところにはお願いしてなかったと思います。しかし今度は返させるかもしれぬということで、これは大へんだということで大騒ぎをしておるというのが現状であります。それから成り立ちましたときには、私と湯川君が朝早くから池田大蔵大臣にお話をして、それじゃ御両君にまかすから再建整備の構成をよく立てるように指導してくれというお話を伺ったことを私は記憶いたしております。それで大蔵大臣も尽力してくれたと思っておりますが、そのあとの経過は、離れましたので記憶しておりません。
  70. 足鹿覺

    足鹿委員 農業団体中央会のあり方について、現在二元主義をとっておるが、その点に対して参考人各位は全部どのような意見を持っておられるかということを、この点に集約して御開陳を願いたい。
  71. 荷見安

    荷見参考人 農協中央会といたしましては、全国農協事業の推進並びにその意思の貫徹というようなことに努めて参るつもりでありまして、これは制度そのものの示すところに従って活動いたしたいと思っております。それで二元と申しますが、今もちょっとその問題に触れて申し上げたのですが、農業会議所の方の、私どもも相当重要な役員になっておりますので、それの意思もできるだけ上層に反映さして調整のとれたことをやっていきたいと思うのでありまして、先ほど申し上げたように、農業団体に関する諮問などもはなはだ煮え切らぬというお話もありましたが、それはわれわれの意見もあわせてあったために煮え切らぬこともありますが、よく調整をしようとすると必ずしも割り切れない場合もございます。しかしこれが日本の社会の状態ではないかというように私は今考えておりますので、自分の負荷せられたる任務について、万全の努力をするつもりでおりますということだけ、私から申し上げます。
  72. 足鹿覺

    足鹿委員 もう一点。
  73. 村松久義

    村松委員長 お約束の時間がありますので……。新しい問題ですか。
  74. 足鹿覺

    足鹿委員 今の点について再質問です。荷見さん、今あなたは非常にうまい御意見を開陳されたわけですが、私はそういった現状の運営の点などについてお尋ねをしておるのではないのです。原則論として、農業団体中央会はどういう構成を持つべきか、この性格はどういうものであるべきか。従って一つでいくか二つでいくか、どちらがほんとう日本の農村指導のために必要なあり方であるかということについて、原則論的なことを聞いておるのです。
  75. 荷見安

    荷見参考人 現在におきましては、ただいまのような形が社会情勢に合うのじゃないかと思っております。
  76. 神田大作

    神田(大)委員 時間もございませんから簡単に一点だけ池田君に御質問いたします。市町村の農業委員会の構成員が全部県の農業会議の構成員になるというようなこと、これは農業団体への一つの道になるのじゃなかろうかとわれわれは考える。これは性格としてだんだんと賦課金をとったら、組織的に農業団体と同じような形態の方向に向っていくのじゃなかろうか。こうなると二つ農業団体が対立するようなおそれがあると思うのですが、こういう点はどうお考えになりますか。
  77. 池田斎

    池田参考人 ただいまの問題は末端行政機関——これは明らかに行政機関であります。府県段階は御承知のように法人でありますから、行政補助機関的な性格もありますが、基本的にはこれは団体であります。しかしながらこの県の農業会議岡村さんも申されましたように、もともと財政的に成り立たないような仕組みになっておる。ただ賛助費をとるということが可能になっておる。なおこの団体が実質的な運用面で市町村の農業委員会を一応下部単位として、行政機関ではございませんが、そこに一つの脈絡をもって今日までいろいろ農政上の仕事をやっておるわけです。ただそういう実際の運用面からいいまして、この際賛助費の問題もございますが、もっと仕事の面で直接農業委員会と脈絡をとり、農地の問題にいたしましてもあるいは農村振興の仕事でありましても、いわゆる市町村の農業委員会と県が十分連絡がとれる、こういうことでの今度の改正の原案だと思うのであります。従ってそういう実際面において欠陥があったことを直していくということだけでありまして、これが市町村の農業委員会団体の方向へ持っていく、こういうことには私は相ならぬと思います。
  78. 神田大作

    神田(大)委員 いいです。
  79. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 関連して二点だけ伺いたいと思います。昨日の御意見によりますと、この改正されました農業委員会法によりますと、日本の農政に関する指導その他が一本の機構になることは大へんいいというようなお言葉を承わりましたけれども、大体さっき荷見さんのお話もありましたが、農業委員会性格行政機関補助機関としてお考えになっておるのか、あるいは農民利益代表としてお考えになっておるのか。これは一つ会長さんとしてはどう考えておられるかということが一点。もう一つは現実の形において部落薦というものは、果して農民全体の意思代表するものが上ってくるかどうかということが問題なんです。これは選挙の場合におきましてもはなはだ啓蒙その他が不徹底だったために、なかなか農業委員選挙などは十分に農民の協力が得られなかった。それが部落薦になりますと、実際の姿において、部落のつまりおもだちと称せられておりますボスが、今度はおれにまかせておけ、これで勝手にきめる例が多いのです。過渡的な形としてそういう形をとっても一応いいというのか。理想的にいうならばもっと末端意思がはっきり現われてくるように、選挙などによって公平に選出された方がよろしいのか、これはどう考えておられますか、二点だけお伺いいたします。
  80. 池田斎

    池田参考人 それでは私からかわりましてお答え申し上げますが、市町村農業委員会性格といいますか、機能を中心とした性格の問題でございますが、これは私昨日申し上げましたように、町村行政をやるための行政のこれは補助機関、これが基本的な性格だと思います。しかしながら行政をやる場合に、その行政に民意をいかに反映させるか、こういう面におきましていわゆる利益代表の機能があるわけでございまして、そういう筋で建議もできますし、あるいは諮問にこたえる、あるいは農民意見をそこに反映させるとか、こういう面としての農業委員会性格だと思っております。従いまて、いわゆる一般的な農民利益代非機関これは行政的なものではなくて農民組合でありますとか、そういうものが話本的にそういう純粋性を持っておると思いますが、制約された面に点きますところのこれは利益代表機関である、 こういうふうに考えておりすす。
  81. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 それで非常に私危惧いたしますのは、政府行政機構を浸透ませるための補助機関として存在する、同時にまた利益代表の要素があるとすれば、古い時代の帝国農会の性格を持ち、あるいは戦争中の農業会みたいな御用団体になるおそれが非常にございまして、今純粋なる利益代表としての農業組合等の運動とまっこうから衝突して、要らざる紛乱を起すようなおそれがあると考えられますが、この性格が二面を持っておるという点において、大きな問題点があると思いますが、これはそのままうのみにされますかどうか伺いたい。
  82. 池田斎

    池田参考人 昔の系統農会、これが全く政府の御用機関であった、こういう考え方は一面には成り立つような面もあるかと思いますが、しかし農会はやはり一応農民が組織しておった団体でございまして、それを時の政府がいかように活用したかというような問題との関係で、実質的な面でそういう悪い姿が現われた、こういうことはあり得ると思うのであります。しかし農業委員会は、あくまでも団体ではなくて、農民選出をした組織ではございますが、それは行政補助機関というようなことであるわけでございますし、先ほども申しましたように、一般的な農民代表機関というよりも、そういう行政補助機関として行政をやるために、そこにできるだけ農民意思を反映させる、こういう場面におきますところの利益代表。従って現実の行政を行い、現実の姿におきましてはそういう面の利益代表ということを、農民の立場から見てこれを全部一律に行政に従属するという形で捨てることは、むしろ農民のためにはマイナスではないか、若干でもそれは利益代表的な面において積極的な分野があるというふうに私は考えております。
  83. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 もう一点私は御質問しておいたのですが、そういう観点から見ましても、御用団体に堕落することを防ぐために、できるだけ公平に、できるならば前の農業委員会法等に現われたように、階層別の選挙でもやりまして御用団体になることを押える必要があると思うのですが、その点はどうでございましょうか、ざっくばらんに一つお話し願いたいと思います。
  84. 池田斎

    池田参考人 昨日も申しましたように、今度の法律にありますように、農業委員会の現状から見まして、新農村の建設計画の推進というような、これは行政一つ仕事でございますが、それを末端で十分農民意思を反映さして十分にこなしていく、こういうことで新しい分野としての、いわゆる農政浸透と申しますか、そういう問題が農業委員会の新しい任務としてなければならないし、そういうことを、今度の法律でその機能が発揮できるようなことに改正をされておるというふうに思いまして、これを賛成しておるわけでございますが、そういう面で考えます場合に、昨日も申し上げましたように、できるだけ町村の中におきまして、必ずしも部落というふうに拘泥する必要はないと思いますが、農政浸透という面では、できるだけ選挙母体を小さくいたしまして、そこで公正な代表選出される、そういう人々によって農業委員会が構成されるということが一番望ましい。その選出の方式といたしましては、単位の小さい形で、しかも国の財政上可能でありますならば選挙の方式が一番いいじゃないか、こう思っております。
  85. 村松久義

    村松委員長 小川豊明君。
  86. 小川豊明

    小川(豊)委員 片柳さんにちょっとお尋ねしたいのです。今荷見さんが整備促進の審議の過程の中で農林、大蔵両当局が償還を要しないというような指導で臨んだ、こういうことをお答えになったことは御承知だと思います。私の記憶では、あなたが農林省におられるときにこの整備促進法は作られた法律じゃないかと思うのですけれども、違いますか。
  87. 片柳真吉

    ○片柳参考人 この農林漁業組合再建整備法は、私が農林省をやめてからのことであります。
  88. 小川豊明

    小川(豊)委員 山口さんにお尋ねしたいのですが、委員会経費委員がふえてくれば増大するわけです。ところがこの委員会経費というのは年々助成が減っていくわけで、町村の財政の実態から見ると、人がふえていくということは運営が困難になってくる。今日の市町村財政がすこぶる困難に当面しているときに、わずかな補助金を出してあとは全部市町村によって負担させるということになると、市町村ではとうてい政府の意図するような組織なり機構なりを整えて活動することが困難になるのじゃないか、こう市町村の財政の実態から心配するわけですが、この点はいかがでしょう。
  89. 山口宏

    ○山口参考人 いろいろ皆さん方の御意見をお聞きしておりますが、私の方の意見といたしましても、今度のこの改正法案というものは今後においてまた改正され、われわれの主張します市町村行政に対して一元化になってくるという一つの段階ではないかというふうに考えております。ただこの問題について、改正法律案の内容について私から申し上げてみますならば、先日も申し上げました通り、この方法によって委員がふえて参りますと、われわれとしては大へんに負担が多くなってくる。従ってそういう場合においては補助金はまた別に考えていただかなければ困る、こういうわけであります。同時に先ほどちょっとほかからも御質問がありました点について申し上げますが、一つがいいか二つがいいかという問題でありますが、これは私の方では一つにしていただきたいと思います。事業の執行に当ってはできれば農民利益団体である農協等の事業としてやっていただくことが、われわれとすれば非常に仕事がやりよくなる、こういうふうに考えております。何となれば、現在において農業委員会としては国家からの補助経費の約五%くらいのものきりわれわれはもらっておりません。それに対してまたふえてくるということになりますと、これは大へん負担が多くなります。農業団体につきましても、市町村としてはその育成強化のために各組合、諸団体に対して及ばずながらも市町村の財政から補助的なものとして委託費とか負担金とかいうようなもので金を支出いたしまして、団体育成をはかっているというような現状であります。私から申し上げますと、農業委員会という寄生的な一つ機関を早くなくしていただいて、われわれの方へ一緒にしていただきたい、これが希望であります。従ってこの改正案にあります事業の面ということになりますれば、先ほども申し上げました通り農林漁業組合等の各担当している住民の利益団体をして完全に行わしていただくことがよろしかろうというふうに考えております。なおまたわれわれとしてこの問題について申し上げたいことは、あまり煩雑な問題はなくしていただいて、すっきりと市町村行政ができるように、早く何とか農村、漁村を立ち上らせていただきたい。しからば必ずわれわれの財政は日に日にプラスになって参りまして、納税成績も上り、国家の補助をなくしてもやれるようにしなければならないということを、われわれは常に考えながら仕事をさしていただいているわけであります。でき得べくんばわれわれがお願い申し上げております一元化の問題についても、ぜひとも早く御審議あって、今後の改正においては必ず補助機関である農業委員会制度改正していただいて、市町村行政の中に包含していただいて、同時に国家負担の問題は他の部門、農山漁村の方へ十分支出をしていただいて、実質的に事業の進展をはかるようにお願いしたいと考えております。
  90. 小川豊明

    小川(豊)委員 今お聞きいたしますと、経費を市町村として……あなたは市長なんです、市は町村よりも財政は比較的豊かだと思う。従って町村の段階になるともっと困難になってくる。その中で今お聞きすると五%程度しか助成金はないのだということになると、町村の財政として農業委員会をまかなっていくことは容易でない。従ってむしろあなたのお考えでは経費はそれぞれ農民自身が負担するか、さもないならばこれは市町村の機関としてしまった方がいいんだ、こういうような二つの御意見だと思いますが、それで差しつかえありませんか。
  91. 山口宏

    ○山口参考人 確かに私が申し上げました通り、この農業委員会経費はほとんど自治体から負担しているといっても過言ではございません。従いまして運営をしていくためには市町村の方から支出をしなければならないという状態でございます。またこれを運営していくためには、昨日も申し上げました通り農民が現在土地の権利の移転その他でいろいろ書類の作成をやっておりますが、そういうところに対しましての事務手数料を徴収できるというようなことにすれば、ある程度まではこれが防げるのではないかというように考えます。
  92. 小川豊明

    小川(豊)委員 鬼木さん、私先ほどもちょっとお尋ねしたのですが、この改正で一番心配しているのは農業委員会法の政正の中であっせんという言葉は取ったけれども、推進という言葉が入っているわけです。今までの実例としては私はないと思いますが、農業委員会自体が非常に経費が乏しい。従って職員等も兼務である、あるいは非常に安い給与になっているだろうと思う。そういう中で農業委員会を運営していくとすると、どうしても推進という言葉を拡大解釈して、種苗のあっせんとか農薬のあっせんとかいう面が出てきがちじゃないか。これが出てくると経済団体である経済連、こういうところと仕事の競合が行われて確執が生ずる。これはもと農会時代には産業組合と多々あった。こういうことになると、せっかくの農業団体が競合することによってむしろ弱体化して、農民意思を反映し農民利益代表するところでなくなってきて、相いがみ合って、むしろ農業団体自体が弱体化していく心配が多々出てくるので、この点をどう調整したらいいかということを心配しているわけですけれども、あなたの方ではこの問題についてどういうお考えを持っておられましょうか。
  93. 鬼木文雄

    ○鬼木参考人 お答え申し上げます。私どもが一番心配しております点がその点でございます。戦前の帝国農会と産業組合が非常に事業分野の争いをしたということなんですが、先ほど足鹿先生からもちょっと御質問がありましたのにも関連するかと思いますけれども、私ども指導を受ける相手というものはやはり農民であるということなんでございます。行政機関としての農業委員会のあり方とすれば、農政ということは上から下に浸透させる農政と下から上に盛り上げる農政と二通りあると思います。農業委員会の方はできるだけ農協運動が活発になるような下地を作っていただく。たとえば農民お互いの間で利害が反する農地問題の争いが起きるというようなことを調整していただくとか、あるいは交換分合というように農業生産の基盤である土地というものを中心に動いていただくというのが私は本筋ではないかと思うのであります。また農政のあり方といたしましても、建議とかいろいろございますけれども、その線もやはりいわゆる行政機関というあり方から制約せざるを得ないと思います。で、農協の使命は私が申し上げるまでもなく、いわゆる肥料なり農業をやっていく農機具その他の物価水準を引き下げるというのがいわゆる購買企業の本筋でございますし、また販売企業におきましては農産物の価格をできるだけ引き上げていくというのが、協同組合の一番中心になっているようなわけでございます。そういう関係からいたしますと、末端の単協におきまして、単協が行なっておる経済事業と、農業委員会がもしこの法律ができましてあっせんを推進するという名目のもとに、そういうことがやられるということになれば、結局二元的なものになって、私は農民利益に必ずしも一致しないことが起るのじゃないかということを、非常に憂えるわけでございます。御承知のように、農村では非常に官尊民卑という思想がまだ残っておりますので、もし行政的な力でもって経済行為までもやっていくということになりますれば、農協の民主的な発展のためには非常に逆になる、いわゆる農村の民主化のためには逆になるのじゃないかということを心配するわけでございますが、その点を一つ皆さんにも十分御考慮下さいますようにお願いするわけでございます。
  94. 小川豊明

    小川(豊)委員 そこで私もその点を心配して先ほど岡村さんにお尋ねしたわけですが、岡村さんはこの点については人の問題だ、だからおれのような人がやれば間違いないのだ、こういう御回答であった。そこで私はそういう農業団体を弱化せしめるような心配があるならば、そういう心配は制度としてなからしめた方が、人である場合にはいい人が出た場合にはそれでいいかもしれないが、そうでないことが危惧せられるので、やはりこの法文の中からこういうものはとるようにして、制度としてそういうことがないようにはっきりと、分野を画然とした方がいいではないか、こういうふうに私自身は考えて、人の問題だけに限定すべきでない、こう思っておるのでありますが、あなたの御意見はどうですか。
  95. 鬼木文雄

    ○鬼木参考人 御同感でございます。
  96. 村松久義

    村松委員長 足鹿覺君。
  97. 足鹿覺

    足鹿委員 私の質問はきわめて簡単でありますので、要点だけについてお尋ねをいたしますが、御答弁は詳細に聞きたいと思います。  最初全国農業会議所の問題でありますが、一番最初に私が委員長にお願いしたように、中央機関のあり方についてはどの参考人からも御意見を述べていただきたい。そこで最初農業会議所について伺いたいのですが、この農業委員会法全部を通じて、私は非常に何か組織論の混乱があると思うのですが、農業会議所の理論的指導者である池田さんはどうですか。たとえば農民の組織であるがゆえに、農業協同組合は単協から都道府県連、続いて全国機関と、一定の系列を持っているわけです。行政補助機関農民組織ではない、従ってそこにはおのずから一定の系列を持たないからといって、何ら仕事に差しつかえはないはずだと思うのです。ところが全体の方向として一つの系列化を目していると思われる節が多分にある、そういう点について組織論の混乱をいかようにお考えになっておりますか。
  98. 池田斎

    池田参考人 今回の改正法案で、組織論についての問題でございますが、行政機関が段階別にある場合に、何もそれは系統的なことを考えてはいない、これはまた逆に、系統的な行政機関というものがあってもいいではないか、こういうことも言えると思うのでありまして、行政機関を段階別に置く場合に、それは必ず切り離さなければならぬという理屈も私はないと思うのであります。今回の改正法案では、末端行政機関で、県は法人でありますから団体であります。行政機関と法人を組織論として会員制度でつなぐということはもちろんできません。従いましてその代表者が構成者になって県の法人を構成する、こういうことになっておるわけでありますが、現行法におきましては代表会議の地区を作りまして、その代表会議で県会議に送る代表者を選出して組織されておる、これが今度直接末端代表者が組織の構成者になる、これだけの問題でございまして、どちらの方が事業運営上都合がいいか、こういう問題で、今回の改正が行われておると思うのであります。特に私どもは今回の改正事業運用上きわめて都合がいいから、特にこれを支持している、これだけの問題でございます。これがお話のように農民が組織した自主的な団体でございますれば、末端から系統的にその団体連合会という形式でできる、これは当然のことでありますが、今末端行政機関があって、上が団体であるという場合に、どういうふうにつなぐかということは、ここ三年間の農業会議事業運営上これがぜひとも必要だ、こういうことでできておるわけでございまして、これを段階化するとかなんとか、そういう問題とは関連のない問題だと私は思っております。  それから中央の農業団体のあり方の問題でございますが、この点は先ほど荷見さんがきわめて適切な御答弁をしたと私も思うのでございますが、およそ農業団体制度、いうものは歴史的な変遷を経ており、一たびできた農業団体がそれぞれ一つ性格を持ち事業を行いますと、具体的にはこれは政治的にもいろいろな力関係を持つのでございまして、白紙に絵をかいたような形ですぱっとどういうふうにするかということはなかなか困難でございます。ただ農業団体の基本的な任務といたしましては、これはやはり農民利益代表するいわゆる農政活動と申しますか、そういう面と、農民を啓蒙宣伝し、指導をするという機能と、農民経済行為をうまく共同化の仕組みでやっていくという、そういう三つの機能があると思うのであります。この三つの機能を日本の実態に即応してどういうふうに体系立てるか、こういうことは理屈の上では成り立ちますが、現状の姿では、具体的にある農業団体をうまく調整しながら漸次解決していく。ただ現在の姿で一番中央の段階で問題になりますことは、全国農業会議所の系列と農協中央会の系列、これが具体的にいろいろな問題で問題になっております。これは運用の面で解決すべきでありますが、現在の段階では農政活動を、両者がそれぞれの性格と任務に即応して、相協力する場面は協力するし、こちらがやった方がより効果的であるというものは片一方の方がやる、こういうようなことで今日は運営しておりますが、むしろこれを一本にしたらどうか、こういう意見もございます。私個人的にはこれは賛成であります。しかしながらその場合に、いわゆる協同組合農協中央会という性格で、そういう合体をした姿というものが可能かどうか、これは協同組合法そのものをもう少し根本的に変えてくれば、農業中央会でいいと思います。協同組合の基本的な性格を守っていく、こういう問題を貫きます場合には、やはり言葉でいいますと、農業中央会というか、そういうようなものが想定されるのであります。そういう形でありますならば、いろいろな問題がそこで一元化されて調整される。ただその農業中央会農協指導するという問題につきまして、これはかなりいろいろ、いわゆる純粋の協同組合の立場から意見があると思いますが、その辺の問題は一つよく考えて整理しなければならぬというふうに、これは私見でございますけれども考えております。しかしそういうことが果して簡単にできるかどうかということは、これはかなり問題だと思います。従いまして先ほど荷見先生がおっしゃったような形で運営していくことが現状は一番いいのじゃないかというふうに思っております。
  99. 足鹿覺

    足鹿委員 今農業中央会の構想について池田さんからちょっと漏らされましたが、これはよほど前にあなたの所属しておられる楠見理事長がまだ中金に行かれない前に、本年初頭に党がお招きをして、構想についていろいろプライベートな話をしたときにいろいろと話を聞いたのです。それは一つの卓見だと思って私は聞いたのです。ただそれが今あなたのお話から聞くと、全く夢のような話に聞いておりますが、私はそういうものではないと思うのです。もっとそういったところに現在の日本農民が、農政活動については非常な不幸な立場におかれておる。それを今後どうやっていくかということについてはいろいろと構想なりについて検討してしかるべきものだと思う。それは一つの卓見だと私は思う。ただその構成なり運営の点については、今後いろいろと検討を要するところがあろうかと思う。むしろ先ほど荷見さんが言われたように、農協農業会議所に出資をして、それに入っていくというような考え方でなしに、新しくできる農業中央会そのものにあなたたちの都道府県連合会が加盟していくというふうにしてつないでいった場合には、私はある程度それは、都道府県農業会議というものは行政補助機関ではない。これはあくまでも農民利益代表的な要素を多分に持っておるわけでありますから、その新しくできる農業中央会というものに加盟をしてみても、そう大きな理論上のあやまちはないと私は思う。全国のいろいろな、またこれに類するものがあればこれは同様だと思うのです。もう少し組織論的にお互いに検討してみる余地がこの問題についてはあると思うのです。法案のどこがああだということもさることながら、もっと先のことを考えてみて、そしてそこを目標にどういうような組織論が将来の日本の農政活動や農民利益代表機関にふさわしい姿であるか、また農業団体が多元的に多元的にと発展していく現在から見て、これを一元的にまとめていく、そういった構想からやはりもう少し組織論の上において相当時間をかけて、あなたたちもこの問題に対しては当面やれないから非常な熱意をもって示されておるが、当面の問題もさることながら、もう少し長期の展望ということをお考えになる必要がありはしないかということを、私はきのうからの公述を聞いておってしみじみと感じたわけであります。そこでそれは私のほんの一つ意見にすぎませんが、こういったことはどうですか。会長を一号議員でつなぐというなら、会長というものは、さっきあなたが言われたように行政補助機関ですから、市町村の農業委員会会長行政補助機関の長です。それが県の農政活動なり農民利益代表機関の県会議に会を代表して出ること自体が間違いじゃないかと思うのです。それ一本で法律で規制しようとするところに無理があると思うのです。なぜそこにもう少し道を開いて、県農業会議とどうしても結ばなければならぬというならば、もう少し市町村の農業委員会を構成しておるその一号議員を主とする人の中からいわゆるその会を代表するものを市町村農業委員会において選任をし、これに都道府県農業会議の議員たるの資格を与えていくということについてもう少し検討が足らないのじゃないか。結び目、結び目と言われますが、結び目はいろいろなことでできますよ。別に会長でなくてもいいですよ。市町村農業委員会会長は1大体原則的にいって会長というものと議員というものは考え方なり構想が少し違うのです。会長はとにかくものをまとめよう、まとめようとするのです。議員となり委員となると、やはり少し鋭角があって、物事にぶつかっていく性格を本質的に持った人間が選ばれるものです。新しくこれがかりに通ったとして、選ばれていく農業委員会会長というものは、これはもう円満な、毒にも薬にもならないような、とにかくそういう人間が多分に出てくる可能性がある。それらの連中をあなた方は都道府県農業会議の議員さんだといって集めて、これが農民利益代表機関における会議の結果でございますと建議をいたします。だから結局いわゆる属僚政治になって作った文章を異議なし、異議なしということで出す、こういうことになるのです。そういうものを望んでおるものではないと私は思う。どうも少し論理が合わないですよ。市町村農業委員会行政機関であって、上にいけば農民利益代表機関だ。その代表機関につなぐのは会長でなければならないという考え方自体が私は少しおかしいと思う。その点についてどうですか。
  100. 池田斎

    池田参考人 私はこの法律会長になっておりますが、別に会長でなくてもいいと思います。とにかく市町村の農業委員会代表する人が出てくればいいと思うのであります。ただここでは会長ということでありますが、いわゆる会長というものは、やはり代表者といえばおのずから会長になる。こういうことで、これは前の法律か現行法かどっちか忘れましたが、必ず市町村農業委員会会長だけが代表会議の資格になっておったかどうかちょっと忘れましたが、要するに私は代表者であればいいと思います。(「代表者でない」と呼ぶ者あり)ですから、その点は会長でなければならないということでなく、市町村農業委員会全体がこれを代表として送るということであれば、そういうことであって一向かまわないと思います。農協どもそういうふうになっております。とにかく傾向としては会長が上に出てきておる。初め農協ができたころは、いわゆる理事としてそれぞれの同資格者ですから、理事がどんどん上に上っておったという傾向がございましたが、やはりだんだんと会長に、法律は変っておりませんけれども代表者が変ってきている、こういう傾向が事実ありますね。
  101. 足鹿覺

    足鹿委員 今農協の運営についてお話があったのですが、そういう方向へ農協が行っていることは私は邪道だと思うのです。それを安易な考えで、農協指導者たちが何でも会長中心だという考え方は少しあやまちを犯しておると私は思う。そんなことでは農民農協にはならないと思うのです。やはり組織論としてもう少し農協農業団体考えていく必要があると思うのです。しかし農協法が今改正になろうとしておるわけではありませんから、今日は触れませんが、そういう形でもよろしい、別に異存はないということでありますから、けっこうだと思います。  それからどういうことになるのですか。この法律によりますと、都道府県農業会議というもの、それに四十一条において当該都道府県農業会議の地区内の市町村に置かれる農業委員会会長が一号議員となって出ていく、こういうことになるのですが、私はこの都道府県農業会議の構成と会議そのものとを混同しておると思うのです。都道府県農業会議というものは、そうすると何によって構成されるのですか。都道府県農業会議と都道府県農業会議の全体会議というものの混同が相当この法文にはあると思うのです。私は今言いましたように、市町村の農業委員会会長が別にその総会の代議員となって出なくても、その道を開いておけばおのずから適材適所で、いい人が出てきますよ。それが都道府県農業会議会議員、総会の代議員という形で出ていけば、ある程度運営は足りるのではないかという気がいつもしておるのです。どうもこの辺の組織上のつながり、その運営の点について——これは市町村やあるいは国家行政機構のような、そう完璧なものではありませんけれども、何かちぐはぐちぐはぐした、いろいろなものをとってくっつけたというような印象を私は受けるのです。ただそれはやむを得ませんが、組織論としてはやはり筋を通していかなければならぬと私は思っております。私の言いたいことはこれだけですが、伊那農業会議会長さん、私の今言ったことについて、末端農業会議会長さんとして、中央会のあり方、それから農委の系統的組織化について、市町村農業委員会と県農業会議とのつなぎ合せの問題について、今池田さんと私と話し合ったようなことについて、何か御感想があれば……。
  102. 城倉栄樹

    城倉参考人 県の段階の農業会議所の関係は、昨日もちょっと申し上げたのでありますが、実は長野県の場合は、県の農業会議だけの会合では末端と少しも連絡がとれないのではないか、こういうことで、私らも申し上げまして、県の農業会議の中へ、いわゆる郡市の農業会議会長というものをまぜた会合を隔月くらいにやるわけでございます。これは実際にやっておるわけであります。こういうことによって、末端と県の農業会議とのつながりができていく。こういうようなことをやっていかないと、県の農業会議というものと、末端委員会というものと、ちりぢりばらばらで放れてしまうのではないか、こういうことでそういう方法がとられておるわけであります。従って今回の改正によりまして、会長が出るがいいか、代表者が出るがいいか、これはもちろんわれわれもいずれでもかまわないわけでありますが、こうしたものが今度の法案によって出ていけるようになることは、非常にけっこうであると私は思っております。それから中央団体関係については、末端委員会がこれに対してどういう意見を申し上げていいか、この点については私どもさしひかえたいと思います。いずれにしても……(足鹿委員「遠慮は要らないですよ。そういうことについて、あなた方の意見をわれわれは聞きたいんですよ」と呼ぶ)そういうことだろうと思いますけれども、それは池田さんの申されたような点で、われわれもとにかく末端とのつながりということは、上の方だけでものを言っている組織でなくして、末端との連絡とかいうようなことを、もっとやっていってしかるべきではないか、こういうことは一応言われているわけであります。それ以上、それじゃ末端との間に何かといっても、別に今ここでどうということを申し上げる資料を持っていないわけでありますけれども、われわれが現地の委員会でやっておって一番先に考えることは、県の農業会議とのつながりとして、代表会議に今一名出ておりますけれども、これは代表会議へいってやってくるだけで、末端委員会との連絡ということにはなかなか努めていないのであります。こういうことだから、末端委員会代表者がそれに参画していろいろ話を聞いておれば、非常にその間の連絡がすぐに末端ととれる。こういうことで県の段階の関係は、それが一番いいと考えておるわけであります。
  103. 足鹿覺

    足鹿委員 最後に全国市町会の山口さんと鬼木さん、先ほど来の私の質問に御答弁願いたいのですが、全国市町会会長の山口さんの御意見は、農業委員会は要らないという——端的に言えば、御意見を印刷したものを見ますと、大体要らない。農地処理についてのみ一つ機関を作っていけ、こういうふうに大体理解できるのですね。ですが、それはそれとしまして、直接の利害関係を持っておられない全国市町会としては、今私が提起しております二つの問題に対しては、どういうふうにお考えになりますか。
  104. 山口宏

    ○山口参考人 恐縮ですが、その二つというのをもう一度……。
  105. 足鹿覺

    足鹿委員 それはこういうことです。現在中央に、経済機関は別でありますが、農協中央会という一つ機関があるわけです。いま一つは、全国農業会議所というものがあって、いずれも農政活動をやっておるわけであります。特に農協中央会経営管理の面、また経営指導の面等について特別な任務は持っておりますが、やはり全国指導連の流れをくんで、農政活動に非常に力を入れておるわけであります。全国農業会議所は国に対する建議機関として、御承知のような存在を勤めておるが、しかしやはり農政活動はおやりになっておる。どちらも農政活動は一生懸命おやりになっておるが、私どもから見れば、力の分散であり、どちらも寸足らずという印象を強く持っておるわけであります。そういった農政に関するところの中央団体のあり方について、どうお考えになっておるかということ。  それから第二点は、組織論の上から言って、市町村農業委員会というものは農政補助機関性格を持ちながら、中央あるいは県段階においては利益代表機関農業会議または全国会議所につながっていくという、この矛盾はおかしいんじゃないか。従っておかしければおかしいように、これを是正していくのが本筋ではないか。たとえば一号議員に会長のみ出ていくということはおもしろくないではないか。むしろ一号議員が会長のみ出ていくのはおもしろくない。もし当該地区内の委員会の総意をもって決めた人が一名ないし二名、必要な限度において県農業会議の議員または委員として、その構成員として出て行くことにおいて、つながりは十分つくんじゃないか。なぜ市町村の会長をもってそれに当てなければならぬか。これは農協法にも問題があるのです。農業協同組合長を総会で選ばないで理事会で選ぶ、何でも彼でも間接選挙に積み上げていくから、農協の民主化ができない。理事を総会で選ぶなら、なぜ総会を通じて農協組合長を選ばないか。総会で選んだらよろしい。私はそう思っておる。ところがだんだん積み重ねていくうちに、非農民的なものや反農民的なもの、著しいものになると、そういうものが出てくるんです。やはり農業団体なり農政団体というものは、常にそういう傾向をみずから反省し是正しながら、民主的な体系を整えていくところに、私はコツがあると思う。それを官僚機構や行政機構に沿ってだんだんみずから官僚化していくというような一つの傾向に対しては、私はどうしても了解ができない。そういう今言いました二つの点について……。
  106. 山口宏

    ○山口参考人 今お話のありました、団体二つあって同じような活動をしておるということは、私どもといたしましてもおもしろくないと考えます。事実におきましてわれわれといたしましても、これは市町村の状態から申し上げましても、農協農業委員会というものがあって、今度の改正案によっても、農協でやるような仕事をやはり農業委員会の方でやる、こういうような内容が見えるのでありますが、これは先ほど申し上げました通り、私の方としますと、行政的な面は、市町村の内容におきましては、市町村の方に議会もありますし、農民代表その他もありますので、その方でやらしていただきたい。仕事の面は一つ利益団体である農協等の方と連絡をとりながら、唇歯輔車の関係で進んでいくようにした方がよろしい、こういうように考えておりますとともに、中央の問題におきましてもやはり同じような方法をとっていただくことの方がよろしかろう、こういうように考えます。  それから現在の農業会議の問題でありますが、これはわれわれの方といたしましても市町村と県農業会議というものにつきましては、現在におきまして農業会議の中間体というようなことで今郡というような格好が考えられておりますが、郡の方の農業委員会会長さんの連絡協議会というものがありまして、その方へ市の方から負担金として若干の金を支出している。それで経営をしてそのうちの半分は県の方へ行く、こういうような状態が現在作られております。春日部市の予算内容からいいますと、農業委員会費約百八十万、そのうちの六万五千、大体農民一人当り二円というものが、郡、県のそういう関係の方に入っておりまして、負担が相当にかかってくる、こういうようなこともあります。従ってわれわれの方としますと、先ほど岡村さんだと思いますが、そういう会議があればそういうものに対して賦課金を徴収したいというようなお話がありましたが、やはり運営に資金がないというところにおいて苦しいところがあるのじゃないか、こう考えております。その資金をどういうふうにしようかというところが岡村さんの御意見の一部ではなかったかと私は拝聴したのでありますが、われわれとしますと、事実において自己財源のないような一つの固まりが、ただ権力だけと言ったら変ですが、その地位だけにおいて云々する、これはいいことかもしれませんが、やはりそこに浮き上った状態が出てくるのじゃないか。やはり実質的に下から上のつながりがあるようなしっかりとした連携をもっていただきたいということが一つあります。
  107. 鬼木文雄

    ○鬼木参考人 お尋ねの点でございますけれども、組織論の関係から申し上げますと、私は農業委員会末端の組織と、それから農協末端の組織というのはおのずからあり方が違うのじゃないかということを考えております。と申しますのは、農業委員会の方は、農業経営というものが戸別経営というような形になっておる関係で、やはり戸主が中心になって、戸主の中から委員を選ぶというあり方だと思います。農協も同じ姿ではございますけれども農協自体は生産から出発するということで、働く農民ということで——私どもの村あたりでは戸主というものは割合働かないようであります。働いておるのはやはり青年なりその他中堅になる人が働いておるのでございます。そういう関係からやはり農協の生産組合長を選ぶとか、その他いろいろな末端組織の機関を作っておりますが、そういう人は働く人だということでそこへ中心をもってきておるようなわけでございます。農協理事の選び方は総会で選ぶ、それから理事が互選をして組合長を作っていく。県の段階では各単協が会員となって同じような制度をやっていくのでございます。この点は足鹿先生は公選にすべしというような御意見だと思いますが、なかなかこれはむずかしい問題でございまして、町村長をきめるように争いでもってやっていくということはどうかと思います。それで、そういうふうに作ったあり方でございますから、やはり私は今のようなあり方でいいのじゃないかと思います。
  108. 足鹿覺

    足鹿委員 あなたは農協の人だから、農協のことにだけ関連しておればいいというのじゃなしに、あなただけが農業委員会法と両方かけ持ちでいらっしゃるのですから、両方について意見を聞きたいのです。それで農協の立場から見て、農業委員会の今度の改正案が組織論的な矛盾を持っていはしないか。たとえば末端行政機関でありながら県農政機関にその会長を出していくという組織論的な矛盾がありはしないか、もしもわれわれがかりに百歩、千歩を譲ってこれを認めるにしても、そういうことは成り立たない。だから会長会長で市町村委員会を統御すれば、それで任務は足りる。ですから県農業会議と何らかの形でつなぎたいということであれば、その会が適当と認めた者を、適当な人数県農業会議に出せばそれで事足りるのじゃないかということを言っておるのです。  いま一つは、中央に農政指導機関のようなものが二つあることについてあなたの感じを聞いておるのです。あなたは農協の立場から言って下さい。
  109. 鬼木文雄

    ○鬼木参考人 先生と同じような意見でございますが、二つあるということは農民のためには不幸なんだということでございます。
  110. 足立篤郎

    ○足立委員 関連して。今の足鹿委員の山口さんに対する質問に関連して山口参考人に一言だけお伺いしておきたいと思います。山口さんがわれわれに御配付になりました農業委員会等一部改正法律案に対する公述要旨という書面を拝見しますと、総論の「(イ)一市町村一委員会の原則を貫くこと。」同じく「(ハ)行政一元化のため、農業委員会の行う行政は全面的に市町村に移管すること。」こう書いてある。これから考えて参りますと、山口さんの御意見は、農業委員会というものが市町村に存在することはかまわないけれども行政事務の方は市町村に移管してもらった方が事務が簡素化するし、うまくいくのだという御意見であるように私は理解しておったわけです。ところがただいま足鹿委員の質問にお答えになったところを聞いておりますと、足鹿委員の山口さんの意見書を拝見すると、農業委員会というものは要らないのだ、農協にまかせればいいのだというふうに受け取られるがどうかという質問に対して、それを肯定するようなお答えがあったわけです。というのは、農業行政事務は一切市町村にまかした方がいいので、あとのことは管内の農協と打ち合せをして連絡を密にしてやればいいのだという意味のお答えがあったのでありますが、今私が申し上げた通り、あなたのこの公述要旨というものを拝見して私が解釈したあなたのお気持と今のお答えと矛盾がありはしないか、この点について確かめておきたいと思います。特に市長会を代表される山口さんの御意見でありますから、それに注目して御質問を申し上げますと、実は町村合併促進法に基いてだいぶ進んだ際に、私ども農林委員会といたしまして政府に対して警告を発したことがある。というのは、都市併呑主義に終ってしまいまして、結局都市における農政というものがきわめて貧困になる危険がある。言いかえれば、大きな都市に抱かれていくということで、安易な気持で町村合併が行われて、その結果農村地域に住む農民は、その都市行政の中に入って、非常にまま子扱いをされるというと語弊があるかもしれませんが、つい町村という形で、言いかえれば町村会議員、これはもう農民代表するものであります。役場の仕事も、一から十までほとんど農村に関係したことで熱心にやっておった当時よりも、都市に吸収されますと、えてして農政というものが疎遠になるといいますか、薄くなる。同時にまたこの農村地域において農政に関する仕事をしようといたしましても、いや土地改良をやろう、あるいは橋をかけるとか堤防を直すとかいうようなわずかな仕事にいたしましても、従来は村長が町村議会で簡単にこれを議決をして、準備をして県庁へ乗り込めば話が進んだのを、今度は市会議員の方の工作をやらなければならぬ。市もなかなか組織が大きくなりまして、いろいろな部とか課とかいうものができている。県庁に対する陳情と同じようなことを、また同じような熱意とひまと金をかけてやらなければまず市が通らない。その上にまた県に行くにしても市の方が自分のところのように熱心にやってくれないということになりますと、地元の人間は県庁にも行かなければならぬ、中央にも工作しなければならぬ、そうして初めて通るということになりますと、かえって行政機関一つ余分にふえたような結果になりまして、農村地区は恵まれないという結果になるのではないかということを私ども農林委員会としては非常に心配をいたしておるのであります。そこで私どもは都市における農政というものに対しまして非常に注目をしている矢先でございますので、実は逆に私の気持を率直に申し上げると、もう町村における役場は一から十まで農村に関係することばかりをやっている。むしろ農村地区においては農業委員会の存在の理由というものは薄らいできて、むしろ農業委員会の存在理由は都市においてこそほんとうにその行政力なり政治的力を発揮し得るのだ、必要性が都市においてあるのだというふうに私は考えておったのであります。そうなると今の山口さんのお話だと全く逆の御意見になりますので、この点を実は注目いたしまして御質問申し上げるわけであります。特に伺っておきたいのは、山口さんの個人としての御意見であるか、全国市長会としてこの問題について何らか、全員集まらないにしても代表者が集まるか何かして協議をなすった結果の御意見であるか、そういう点もつけ加えてお伺いしたいと思います。
  111. 山口宏

    ○山口参考人 ただいまの御質問にお答えいたします。農業委員会農協という問題で、事業と施策というような点につきまして私の申し上げようが足りなかったための誤解かと考えますが、現在におきます市町村財政というものから見まして農業委員会の立案しましたものにつきまして、市がこれを実行するということになりますと大へん費用がかかりまして、それだけの施策ができない。従ってわれわれは受益者を代表しておる方々、たとえば農協その他の組合等の力をかりまして、ともにわれわれは現在農村関係、市街地の商工関係仕事並びに土木事業等におきましても、ほとんど受益者を代表した方々とともに、また個人受益者に対しましても、われわれは受益者負担という線を強く打ち出して仕事をさせていただいているわけなのであります。財政が豊かであればわれわれの方でそのままで仕事の遂行ができますが、現在としますと何かそこに足りない部分がある。それはやはり財政の問題なのであります。従いまして、われわれが考えておりますことは、やはり今お話し申し上げました通り仕事の面について協力を願うということなんであります。市の施策は市の施策として協力を願う、こういうようなことを私は申し上げたわけであります。  それからもう一つは、本日申し上げる事柄の大部分におきましては、市長会におきまして要望事項として関係各庁にお願いを申し上げてある部分でありまして、農業委員会の整理統合、農業委員会の行う事務手数料についての要望、農地法第五条の改正、この三つが今年度におきまする市長会の方の要望事項でございます。そのうち現在審議されております農業委員会等に関する法律改正に伴う問題といたしまして、農業委員会の数を減らしていただく、これはぜひともわれわれとしては、一市町村一委員会ということにおいて十分一つ努力したいという意向のもとに、われわれの方は案を立てておるわけであります。  それからもう一つついでにお願いがありますが、この法案の審議に当りましては、補助金という問題につきまして、ぜひともお考えをおいていただかなければならない問題でありまして、ただいまの案によりますと地区ごとに委員選出され、非常に膨大な委員が出てくる。費用弁償、報酬等の問題が、議会の議員との比率その他におきまして、地方においては農業委員会と市議会との対立が大へん多くなって参ります。従いましてわれわれがその仲介をとるということにおきまして、農業委員会の方の意見と市議会の意見との調整、これが県に当りますわれわれの気持よりはよほど切実なものであるということをお考え願いたい。  それから同時に国庫補助金の問題に関連しますが、たびたび申し上げますように、この法律が成立いたしました暁におきましては、ますます支出が多くなるわけであります。そのためには先ほども申し上げました通り農業委員会において行う事務手数料の問題につきまして一つよくお考えおき願って、農民の負担を軽減させるとともに、現行法と同時に改正法によります農業委員会の運営にあたりまして幾らかでも財源をその当事者において支出させ、また市町村の財政に幾らかでもプラスになっていただけるようにお願いしたいと思います。
  112. 芳賀貢

    芳賀委員 最初に市長会の代表の山口さんにお尋ねいたしますが、山口さんの御意見は決して農業委員会無用論ではないと思う。それで確めておきたい点は、行政の一元化の上に立った場合に、しかしこれだけはどうしても現在の農業委員会仕事として、機構の中に残さなければならぬという独自性がやはり自治体の立場から見てもあると思う。その点はお気づきになっておると思いますので、もしこういう点はという事柄があればお述べ願いたいと思います。
  113. 山口宏

    ○山口参考人 法案の先の方に出ておりますが、農地法、土地改良法等の問題につきまして、やはり農地法が施行されまして、あと何年これが続くんだか私どもはっきりわかりませんが、あとまだ二十年くらいはこの法律が適用されるのではないかと考えておりますが、大体現在の農地につきましての問題は、地主というようなところはほとんど関連がなくなっておりまして、新しく土地を確保した方々が、おのおのにおいて現在農地の入れかえをやっておるというような事態であると私は考えております。従いまして土地改良、農地法というものの処理に当りましても、適切な事務機関を市町村役場において確保するならば、それほど問題なく処理ができる段階にきておるのではないか、こういうふうに考えられます。しかしまだ一部におきまして農地の問題についていろいろなトラブルがありまして、現在整理段階にある状態でありますので、やはりその所掌事務につきましての農地法、土地改良法等の問題は、ぜひともその所掌事務として残しておくことを私は希望しております。  なおまたこの後におきますいろいろの問題、利用のあっせん、紛争の防止等のことがありますが、こういう点につきましては、われわれの方は、現在の実態を申し上げますが、全市域の各部落農業を主体とする方々の団体を作っていただいて、その部落々々において、農業協委員という方が中心になって、土地問題、農村問題等につきまして会合し、また常に市長が中心となって御相談に応じながら、農林関係仕事を進めさせていただいておるような状態で、現在われわれといたしますと、ほとんど学校施設以外のものにつきましては、土木費と農業関係の費用とは半々というような状態で、現在農村関係の施設改善、生産増強というような問題に多額の金をぶち込んで、農民のふところをあったかくしてやれということで進んでおります。そういう状態におきまして、農民考えというものは市政一本になって進められてきておるように私は考えております。かかる点におきまして、どこもそういうふうにやっていただいておると私は思っておりますが、委員会というものの存在がだんだん薄らいできつつあるというような状態と私は考えております。従いまして今後の問題につきましては、一つ市町村行政にこの問題を合致していただいて、できるだけスムーズに仕事ができるようにしていただくことが、市町村といたしましても、今後の発展が期せられるのではないかと考えております。現在首都圏の周辺地帯としてありますわれわれから考えますと、農地法のあるために大そう発展を阻害されるというようなところもありまして、至急にこれが対策を考えていただかないことにおきましては、首都建設法が……。
  114. 村松久義

    村松委員長 参考人に申し上げますが、なるべく問題に直接したところだけ一つお願いします。
  115. 山口宏

    ○山口参考人 一つぜひともそういう点もお考えになっていただかなければと考えております。
  116. 芳賀貢

    芳賀委員 次に農業会議所並びに伊那委員長さんにお尋ねしますが、この法律改正の中で疑点を感じられておると思うのです。第一点は、町村の委員会の場合においても今度は常任委員制というものをとることになるんですね。その場合、各単位区域から選ばれた委員が、ある者は常任委員になり、ある者はならないということにこれは必ずなるわけです。そういう場合において、これは委員会団体でない——団体でないということはあなた方も認めておるわけですが、団体でない、行政補助機関としての委員会の中において、そういう区分が行われるということに対する御意見はどうですか。
  117. 池田斎

    池田参考人 これは農政浸透だとか、いろいろそういう問題をやり、また農民の全般的な意見を総合する、こういう場合には全体会議と申しますか、総会を開いて当然やられるわけでございますが、特に農業委員会では所掌事務としていろいろ具体的な仕事を持っておりますし、そういう仕事についてはやはりそのつど全体を集めるということは困難でありましょうし、従って、その場合には一定数の常任委員というものを設けてやっていく。運営上やはり常任委員制をもっていかなければ仕事の運営がむずかしくなる。しからば常任委員の数だけにしぼってあとはいいじゃないか、そういうことになりますと、昨日申し上げましたような新しい任務を今後出していく、農政浸透というような問題、あるいは全般的な意見を聞いていくという場合に、いろいろそごを来たすと思うのであります。特に常任委員も、これは一号委員の中で互選をするということでありますので、常任委員は互選をされた立場から、やはりそれをさらに日常的な問題についてもつなぐ義務があると思うのであります。こういうことは委員会制度においてはどうかという問題でありますが、実際の運営上はやはりこういうふうにしていくことが一番都合がいいのではないかということで、この案を支持しておるわけであります。
  118. 芳賀貢

    芳賀委員 それで、全体の委員を集める事柄はごく限定されておるのですね。第一点は会長を互選するとき。これは三年に一ぺんぐらいしか集まらぬでもいい。第二点は農業及び農村に関する振興計画の樹立。これも毎年樹立する必要はあるいはない場合もある。あとは啓蒙宣伝ですね。これはおそらく農政浸透の仕事とか、こういうことの態度をきめるときだけに全体の委員が集まって、ほんとうにやらなければならぬ、この改正案のねらいである農業技術の改良とか病虫害の防除とか農民生活の改善向上とか、そういう日常活動をやる場合には全然全部の委員が集まらぬでもいいこれは仕組みになっている。そうすると今度の改正によって、末端委員会の機構とか行動面が実質的に充実されているということにはならないと思うのです。ですからこの点に対しては、末端委員会においても各方面からいろいろ批判されておるときであるし、特に財政的には、みずからの力、みずからの能力で財政的な基礎を持てない、依存的な、国の財政に依存し、町村の財政に依存しておるいわゆる寄生的な立場の上に立って、十分の仕事は当然やれないわけなんです。そういう場合にこのような改正案の委員会の機構というものは、これは何ら充実にも前進にもなっていないとわれわれは考えるのですが、どうですか。
  119. 池田斎

    池田参考人 私はそう思わないのです。現実の農業委員会におきましても、これは先ほどもちょっとお話がございましたが、大体部落単位で農業委員補助員というものを実際には置いて、農政浸透なり振興事業問題等を推進する場合には、そういう補助員を集めて行なっておるわけです。従いまして、いわば補助員的なものが、ほんとう農業委員会委員としてむしろはっきり発言できるというようなことに改正をされておるわけでございまして、農業委員会の運営の現実が、すでにそういう形で行われつつある。従いまして、なるほど法律には特に総会でしなければならないような問題だけを限定しておりますが、これは運用面におきまして、今後農業振興を中心にして、農政浸透なり農民を啓蒙するというような仕事をする場合に、全体会議を三年に一ぺんとか一年に一ペんとかいうことではなくて、やはり実際は行われる、また行なってもいいのではないか、こういうふうに実は考えております。
  120. 芳賀貢

    芳賀委員 私は議論する考えはないのですが、それで問題は、一つは、今度の改正案は委員会の間口が広がるようには見える。しかし、それよりも、実質的に委員会としての独自の使命観の上に立って、それを内容を充実して徹底的にやるというところに、むしろ間口が狭くなっても奥行きが広くなるような方向に行った方がいいんじゃないかとも考えられるわけです。ところが、農業団体とか関係機関にいわゆるなわ張り争いというか、とにかく自分のなわ張りだけを先に広げておかなければならぬという考えが先行するものだから、間口々々といって奥行きのことを考えない場合も非常に多いわけですね。この点が私は非常な欠点だと思う。ですからその点は、実際に農業委員会関係仕事を担当しておられる皆さん方には、反省とか検討の上に立った御意見が必ずあると思うのです。ただ単に政府改正案に賛成々々ということでは非常にもの足らぬ点があるわけですが、そういう点に対する御意見はありませんか。
  121. 池田斎

    池田参考人 今度の改正案で、今のお話のように間口を広げるということだけを考えている、それが農業会議なり農業委員会系統の要望の中心だ、実際もっとしぼって、奥行きについていろいろ考えたらどうかという御意見でございますが、私ども間口を広げてなわ張りを少しでも広げよう、こういうような気持は毛頭持っておりません。実際今までの運営をいたしました観点から、これができるだけ末端農民につながった形で運営をされないと、とかく農業委員会農民から浮く、むしろこういう反省の上に立ってこういうことを主張しておるわけでありまして、できるだけ末端農民意見をすなおに聞きながら、与えられた仕事をして参りたい、こういう趣旨でございますので、そういうふうに御了解願いたいと思います。
  122. 芳賀貢

    芳賀委員 最後にもう一点。これは性格の問題にも関係があると思いますが、行政補助機関としてのそういう主体的な性格の上に立って、しかも農民利益代表としての行動をするということは、非常に困難性があると思います。それで農業委員会の立場からいうところのいわゆる啓蒙宣伝とか農政浸透は、やはり上から下にくる政府意思、あるいは地方公共団体意思委員会を通じて農民に浸透させる、その行動が大部分であると私は考えますし、それをやらないということになれば、これは補助機関的な性格が非常に変ってくると思うわけです。ですから、そういう権力に依存した、権力に庇護されたがごとき委員会の主体性の中で、農民利益をあくまで守るという積極的な行為というものはほとんど局限されて十分なことはできないと思います。ですから、委員会が今後完全に農民利益の上に立って行動をするという場合には、やはり依存した立場を脱却することができない限り、私はこれはどうしても実現ができないと思います。そういう意味において、この二つの内部的な性格の矛盾というものをどちらの方に克服していくかということは、今後の農業委員会のあり方の上にも大事な点だと思います。あくまでも行政補助機関的な役割の上に立って終始しながら、農民利益を守ることを念願とするということであれば、またそれもいいし、農民利益のためにという大きな眼目の上に立ってやるとすれば、やはり今の委員会とか、改正案が成立した後の委員会においても、その目的は達することができないと思いますが、その点はどう考えられますか。
  123. 池田斎

    池田参考人 行政補助機関という性格のもとで、しかもそのワクの中で農民利益をいかに守るか、これが与えられたこの農業委員会性格だと思う。従ってそういう意味では、今お話のように、割り切った姿の利益代表機関というのが一面行政補助機関を兼ねるということは、これは確かに矛盾であります。しかしながら現在の行政を今の姿で行なっていく場合には、それに対抗する一つ利益代表機関として、最も民主的で自主的な農民組合とか、いろいろな考え方はあると思いますが、少くともそういうものが一方に大いに成長してくることは、これは自主的な姿においては望ましいと思いますが、今日具体的に行政が行われる、これをできるだけ農民の民意に沿うように、かりにそれを浸透するにいたしましても、そういう場面でできるだけ農民の意向を中心にして修正をするなり、今日の段階ではそういう努力が日常的に行われる必要があるのじゃないか。そういう割り切った基本的な制度が完全に確立されますれば、これはまた別でありましょうが、そうでなければますますいわば官僚独善になる危険があると思います。ただこれがむしろ行政補助機関として、何でもかんでもこれを押しつける一つの役割を演ずるのだ、こういうことでありますれば非常に問題でありますけれども、やはり農民代表者が出て、それをできるだけ農民意思に従うようにこなしながら、あるいは修正をしながらやっていく、こういう面におきましての積極的な役割を今日の段階では私は一応認めざるを得ない、そういうことを中らにして農業委員会の運営は行わるべきだというふうに考えております。
  124. 村松久義

    村松委員長 これにて参考人の供述及びこれに対する質疑は終了いたしました。参考人諸君には連日御苦労に存じます。     —————————————
  125. 村松久義

    村松委員長 休憩前にお諮りいたしますが、御承知通り、目下外務委員会において千九百五十六年の国際小麦協定の受諾について承認を求めるの件について審査中でありますので、本件について外務委員会連合審査会の開会を申し入れたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  126. 村松久義

    村松委員長 御異議なしと認め、さように決定いたします。なおこの連合審査会は来たる三十日午前中に開会することになる予定でありますので、お含みおきを願います。     —————————————
  127. 村松久義

    村松委員長 次に小委員会の設置に関してお諮りをいたします。先般議長の承認を得ました当委員会の国政調査の事項の中で、水産関係の事項を調査するために水産に関する小委員会を設置いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  128. 村松久義

    村松委員長 御異議なしと認めます。つきましては、その小委員及び小委員長選任委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  129. 村松久義

    村松委員長 御異議なしと認め、直ちに指名をいたします。  水産に関する小委員に     大森 玉木君 川村善八郎君     白浜 仁吉君 鈴木 善幸君     田口長治郎君 原  捨思君     本名  武君 淡谷 悠藏君     田中幾三郎君 芳賀  貢君     日野 吉夫君  水産に関する小委員長田口長治郎君を指名いたします。  なおこの機会にあわせてお諮りをいたします。委員の異動に伴い各小委員会の小委員及び小委員長に欠員を生じましたときは、その補欠は委員長において指名することに御一任を願いたいと思います。御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  130. 村松久義

    村松委員長 御異議なしと認め、さように決定いたします。  休憩後直ちに全国の揚繰漁業者の代表が陳情をいたしたい由でありますので、どうぞお聞きをいただきたいと思います。  では二時半まで休憩をいたします。    午後一時二十八分休憩      ————◇—————   〔休憩後は開会に至らなかった〕