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1956-11-27 第25回国会 衆議院 農林水産委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年十一月二十七日(火曜日)     午前十時六分開議  出席委員    委員長 村松 久義君    理事 吉川 久衛君 理事 笹山茂太郎君    理事 白浜 仁吉君 理事 助川 良平君    理事 田口長治郎君 理事 中村 時雄君    理事 芳賀  貴君       赤澤 正道君    安藤  覺君       五十嵐吉藏君    石坂  繁君       楠美 省吾君    小枝 一雄君       綱島 正興君    本名  武君       松浦 東介君    松野 頼三君       足鹿  覺君    淡谷 悠藏君       伊瀬幸太郎君    井谷 正吉君       稲富 稜人君    石田 宥全君       小川 豊明君    川俣 清音君       神田 大作君    田中幾三郎君       中村 英男君    久保田 豊君  出席政府委員        農林事務官        (農林経済局長) 渡部 伍良君  委員外出席者         農林事務官         (農林経済局農         政課長)    保坂 信男君         農林事務官         (農林経済局農         業協同組合部         長)      新沢  寧君         参  考  人         (全国農業会議         所会長)    内田秀五郎君         参考人         (全国農業会議         所総務部長)  池田  斎君         参  考  人         (北海道農業会         議所会長)   岡村文四郎君         参  考  人         (伊那市農業委         員会会長)   城倉 栄樹君         参  考  人         (全国農業協同         組合中央会参         事)      森川 武門君         参  考  人         (福岡県農業協         同組合中央会専         務理事)    鬼木 文雄君         参  考  人         (全国市長会埼         玉県春日部市         長)      山口  宏君         参  考  人         (全国町村長会         茨城牛久町         長)      川村  衛君         参  考  人         (全国漁業協同         組合連合会会         長)      片柳 真吉君         専  門  員 岩隈  博君     ――――――――――――― 十一月二十二日  委員椎名隆君及び有馬輝武辞任につき、その  補欠として加藤常太郎君及び井手以誠君議長  の指名委員選任された。 同月二十七日  委員井手以誠君辞任につき、その補欠として稲  富稜人君が議長指名委員選任された。 十一月二十二日  農林漁業組合再建整備法の一部を改正する法律  案(小枝一雄提出衆法第三号) 同月二十四日  中共くるみ子実輸入反対請願吉川久衛君  紹介)(第一一六号)  甘しよでん粉の政府買上げに関する請願(中馬  辰猪君紹介)(第一一七号)  漁業共済制度早期確立等に関する請願鈴木善  幸君紹介)(第一一八号)  闇川林道改修及び延長の請願八田貞義紹介)(第一一九号)  米穀の統制制度存続に関する請願 (田中彰治  君紹介)(第一二〇号)  米配給制度改正反対に関する請願吉川久衛君  紹介)(第一二一号)  園芸関係行政機関整備充実に関する請願(吉  川久衛紹介)(第一二二号)  長野県下の凍霜害等被害農業者に対する経営資  金の利子引下げに関する請願吉川久衛君紹  介)(第一二三号)  台風常襲地帯における農林水産業災害防除に  関する特別措置法制定請願眞崎勝次君紹  介)(第二八一号) の審査を本委員会に付託された。 同月二十二日  新町村に対する国有林野払下げに関する陳情書  (第一四三号)  かつお、まぐろ漁業取締規則の一部改正に  関する陳情書  (第一四四号)  大津漁港修築に関する陳情書  (第一四六号)  農作物等のひよう害に対する国庫補助等陳情  書(第一八一号)  自作農維持創設資金わく拡大に関する陳情書  (第一八二号)  漁業災害補償制度実施に関する陳情書  (第一八三号)  漁具保険制度実施に関する陳情書  (第一八四号)  農業災害復旧対策促進に関する陳情書外一件  (第一九二号)  東北、北陸地方風水害被害農林漁業等対策  に関する陳情書  (第一九四号)  農業改良施設資金利子補給に対する国庫補助  に関する陳情書(  第二一四号) を本委員会参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  農業委員会等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出、第二十四回国会閣法第一六三号)   農林漁業組合再建整備法の一部を改正する法律案芳賀貢君外十二名提出、第二十四回国会衆法第五七号)  右両案について参考人より意見聴取     ―――――――――――――
  2. 村松久義

    村松委員長 これより会議を開きます。  農業委員会等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたして審査を進めます。  本日はここに御出席を願いました参考人各位から、本案に対する御意見を承わることにいたしますので、この機会参考人各位にごあいさつを申し上げます。  参考人各位においては、いろいろ御多忙中のところ、繰り合せて御出席をいただきまして感謝申し上げます。御承知のように、この法案は前国会から引き続いて継続審議として審査をいたしております。わが国農業振興上、農業委員会等の機構、あり方等について、われわれは重大な関心を持っておるのでございますので、この機会一つ忌憚ないそれぞれのお立場における御意見を拝聴いたしまして、もって有力なる参考にいたしたいと考えておる次第でございます。  会議順序といたしましては、すでにお手元に配付いたしております順序に従って御意見を拝聴いたし、御都合がつけば全員の御意見を拝聴したる後に、委員諸君より質疑をいたしたいと思っておりますので、さような順序で議事を進めたいと思っております。なお参考人諸君の御発言の場合におきましては、そのつど委員長に対して発言を求めていただきます。質疑応答の場合、もちろんその通りにやっていただきたいと存じます。  ではこれから御意見を拝聴いたすことにいたしますが、委員諸君に申し上げたいと思いますのは、お手元に配付いたしました人名簿のうち、全国農業協同組合中央会会長荷見安君が欠席をいたしております。なお全国町村長会川村衛君が、できれば十一時までに退席をいたしたい、こういう申し出がございますので、まず全国農業会議所会長より御意見を聴取いたしまして次に川村衛君の御意見を拝聴いたし、引き続いて両氏に対する御質疑があって、十一時までの退席を認めたい、かように考えますので、さような順序に従って進行をいたしたいと思います。  なお荷見君欠席に伴いまして、同中央会の参事の森川君を参考人と指定をいたしたいと存じます。  では御意見を拝聴いたします。全国農業会議所会長内田秀五郎君。
  3. 内田秀五郎

    内田参考人 私はただいま委員長より御紹介にあずかりました全国農業会議所会長内田秀五郎でございます。  私がこれから申し上げたく存じます言葉の中には失言等があるかと存じますが、その点に対しましては何とぞ御寛大にお願いをいたしたいと存じます。  前国会より継続審議中でありましたところの農業委員会法の一部改正法案審議がこの臨時国会において継続されておるのでありますが、私どもが希望いたしております第一の案件といたしましては、現在の法案原案のまま一つお通しを願いたいということであるのであります。しかし国会におきまして修正の要ありとお認めになることであるならば、それといたしましても、原案根本精神にあまり変りの生じないように御修正を願い、成立お願いしたいというようなことが、私どもお願いいたしたいところであるのでございます。その理由といたしましては、農業委員会法なるものが昭和二十六年第十国会において初めて成立をいたしまして、第二番目にはこれらの不備の点から昭和二十九年の第十九国会において修正案が出まして御修正に相なり、今日に至っておるのであります。これでもまだ法案不備の点があるということから今回この法案が御提出に相なっておるのでありますが、第十国会において決定されました法律におきましては、農民利益代表機関としての農業委員会機能が全く発揮できないということは、これは国及び県との連係がないということが最も大きな点であったと思うのであります。第二度目の御修正をいただきましたあの案に対しましては、県段階全国段階との連係はよくついて、これらの関係は持ったのでありますけれども町村農業委員会との連係は全く断たれているという法文の状態になっておりましたので、これまた農業委員会機能府県農業会議に徹底しないという点が最もうらみとしておった点であります。今回御提出になった法案では、国から県あるいは町村農業委員会に地についた連係が保たれることを私どもは希望いたしております。それであってこそ農民利益代表機関としての機能発揮ほんとうにできるのではないか、こういうふうに考えるところからいたしまして、今回の法案農業委員会農業会議全国農業会議所連係がよく保たれ、そのつながりほんとうにできるという点に骨子がありますことは、今後農業会議としても農業委員会に対する地についた連係運営等にも非常に便利なことになろうと存ずるのであります。こういうような関係よりいたしまして今回の法案はぜひそのままの成立を望みたいということが私どもの希望するところであるのでありますが、先ほど申し上げましたように万一御修正になるといたしましても、この根本精神をくずさない程度の修正による成立をぜひともお願いいたしたいということが私どもの希望するところであります。なお法案等に対しますこまかい点につきましては御質問にそれぞれお答えいたしたいと存じております。  なおこの機会に……。ただいまの委員長さんのお言葉にはありませんけれども、私どもの方の全国農業会議所において、去る十六日に実は全国総会を開きました際におきまして、決議に相なっておりますことは、農林漁業組合再建整備法の一部改正法案でありますが、あの法案もぜひ本国会におきまする通過をお願いいたしたいということが決議されておりますので、この機会に申し上げて皆様方の御努力お願いいたしたく存ずるのであります。  ごく簡単でありますけれども、私の希望を申し上げておきます。
  4. 村松久義

    村松委員長 次に全国農業会議所総務部長池田斎君から補足的御意見を拝聴いたします。
  5. 池田斎

    池田参考人 私、全国農業会議所総務部長池田でございます。ただいま会長から大綱的な面につきましてお話がございましたので、若干補足いたしてこの際意見を申し述べさしていただきたいと思います。  農民代表機関と申しますか、利益代表を行う機関組織論の問題でございますが、これにつきましては、わが国におきましては、明治以来いろいろの形でいわゆる農政団体というものが制度的にもできて参りましたが、戦後、その姿が一応農業委員会骨子として現在の体系では全国農業会議所県会議農業委員会、こういう仕組みが一応法制的にございます。私ども農民利益代表機関というものを考えます場合に、最も純粋な形におきましては、むしろ直接農民代表がまっすぐに下から上まで筋を通した形で組織立てられる。これが基本的な性格であると思いますが、しかしながら、それに加えて学識経験者を加味する、こういう一つ組織論も成り立つと思うのであります。しかしながら、現在の非常に複雑な農業事情なり、農村情勢等を勘案いたしますと、さらにそれに職能代表を加える、こういうようなことで、いわゆる地域代表職能代表さらに学識経験者、これが適当なバランスの上に、それぞれの段階農民利益代表する組織として組み立てる、こういう考え方があると思うのであります。従いまして、今日におきましては、この第三の組織骨子として一応農業委員会農業会議全国会議所が構成されておりますが、先ほど会長が申し上げましたように、市町村と県の段階は、現行法におきましては、それがいわゆる組織的に必ずしもつながっていない、こういううらみがあるのであります。なお、市町村農業委員会におきましても、それが必ずしも農民にうまくつながっているかどうかというところに一つの問題があるのであります。特に地域代表の姿がやはり主体をなして、これが上から下まで、あるいは下から上まで系統的にその意見が十分反映してくる、こういう姿が最も望ましい点でございまして、いろいろ根本的に組織論中心にして法制の問題を考えます場合には、現在あります各般の団体なり、あるいは農民組織なりいろいろな問題を勘案いたさなければならないわけでございまして、そういう意味で白紙に図をかくような農政団体組織ということは、これはもちろんできないと思うのであります。しかしながら国会の今までのいろいろな御努力によりまして、漸次農業委員会法改正という姿で、一歩一歩と今日まで前進をしてきておると思うのであります。  ところで、今回の改正法案におきまして、今まで一番町村農業委員会から見ましても、あるいは府県農業会議会長さん方がこれを運営する立場から見ましても、町村と県の関係が十分つながっていないということで非常に農業会議運営につきまして困難を来たすと同時に、市町村農業委員会会長立場からは、何だか県会議というものは自分とは直接あまり関係のない組織である、こういうような感じを持っておったと思うのであります。特に御承知のように、県の農業会議は、財政上の面で何ら法制的にこれを裏づけしている規定がないのであります。ただ賛助員というような姿で賛助費をとることができる、これだけの軽い規定があるだけでございまして、主として県の農業会議は国あるいは県の助成金に頼って、一部いわゆる寄付金的な姿で団体なり市町村から醵出をしてもらう、こういうことで運営をされておる。従いまして、この姿は農政団体の姿としてはきわめてゆがめられた形でございまして、何とかもっと農業団体なり、あるいは市町村を通して、農民からそういう金が農業会議に吸い上ってきて、それが財政主体をなす、こういうようなことでなければ農政団体として真に活動ができないというふうに考えるのであります。しかしながら、この負担金をどうするかという問題は、これもなかなかむずかしい問題でございますが、幸い今回の改正法案におきまして、市町村農業委員会長が直接それぞれ全員農業会議構成員になる、こういう改正が意図されておるわけでございまして、財政的な裏打ちの制度化はございませんが、少くともそういう人間的なつながりにおきまして今までよりももっと運営にはプラスになる点が出てきたということを非常に喜んでおるわけであります。従いまして、この点につきましては、今後この法案を御審議の過程におきましていろいろ問題があるかと思いますけれども、今回の改正中心点にこれは触れる問題でございまして、この点はぜひとも原案中心として、原案通りこれが成立することをひとえにお願いを申し上げる次第でございます。  次に、先ほどちょっと触れましたが、市町村農業委員会農民にもう少し具体的につながる方法はないか、こういう問題がやはり私ども念願でございましたが、今回の改正におきましては、部落と申しますか、一定の地域集団を基礎にして、そこから農民代表農業委員として出る、こういう組織になっておるのでございます。この点も、私どもはぜひそういう姿で農業委員会事業運営が、いわゆる地域集団代表者が公正にそれぞれ意見を持ち寄ってそこに反映できる、こういう仕組みができますように今回の改正法案につきまして期待いたしておるのでございます。特に最近の農業情勢推移と関連いたしましていわゆる利益代表機関であるわれわれの組織が、一面農政浸透というような面で農村振興計画等中心として十分農民に対して啓蒙宣伝をしなければならない、こういう新しい任務が最近の農業情勢の変化と関連して出てきておると思うのであります。特に町村合併等に伴いまして地域がきわめて大きくなりまして、単に町村官行行政だけでは、なかなか農民農政の問題が浸透しない、これを補完する面におきまして農業委員会があるわけでございまして、農業委員会のそういう面におけるところの積極的な役割が、今後日本農業客観情勢推移と関連してますます重要性を帯びてきたと思うのであります。そういうような観点にも今回の改正法案は考慮を置きまして、特に第十三条の第二項等におきましてそういう面の事業拡大が企図されておるのであります。こういう点もきわめて重要な改正骨子をなしておると思うのでありましてこういう点についても、私どもはこの法案がそういう点を含めて通過することをひとえに念願しておるわけでございます。  以上、申し上げました二、三の問題に対して私どもが今回の法案に最も重大な関心を持つと同時に、そういう点につきまして何とかこの法案骨子が生かされた形でこの臨時国会においてこれが通過することをひとえに念願しておるわけであります。  なお、この法案のこの臨時国会でぜひとも通過していただきたいという面については、これは理屈の問題を離れて、すでに長い間もみました問題が一応片がつき、前国会成立を期待しておりましたところが、今日継続審議でさらに国会の問題になっておる。末端から見ますと、何かそういうものが一日も早く成立することを待っておる。そのために現行法のもとにおいても活動は十分できるわけでございますけれども、心理的な気持と申しますか、何となく農業委員会活動が不活発化しておるのではないか、こういうような面も見えるわけでございまして、一日もすみやかにそういう気分を一掃して、新しい姿で農民利益代表機関が一応の形で確立するということが全農民念願であるというふうに私は考えるのであります。どうかそういうような農民気持一つ十分御了承の上、すみやかにこの法案がこの国会におきまして成立することをひとえにお願い申し上げまして、会長補足説明にかえたいと思います。
  6. 村松久義

    村松委員長 ありがとうございました。  次に全国町村会川村衛君。
  7. 川村衛

    川村参考人 私、茨城牛久町長川村衛でございます。全国町村会代表いたしまして意見を申し上げます。  全国町村会意見といたしましては、ただいま全国農業会議所総務部長さんから申されました組織については同様しごくけっこうなものであるというように考えておるのであります。  なお、それとともに、その組織をいたしまするにつきましては、今回の改正法案に基きまして、委員町村長選任によるということを、われわれとしては原案通り成立いたされますことを要望してやまない次第であります。  町村におきますところの行政はあくまでも総合的であり、また一元的運営を最も可能ならしめるという条件を整備していることが必要でございますので、農業委員会町村長諮問機関であるという従来の姿のままでおくことが望ましいということを私は主張するものであります。  それから今度の改正法案によって見ますると、農業農村に関する振興計画樹立及び推進規定しておりますが、この意味は私ははっきり解釈がつかぬのでありますけれども、この農業農村に関する振興計画樹立というものは、いわゆる予算調整権を持っている町村長主体として農業農村に関する振興計画を立てていかなければ、結局予算が伴わない事業はでき得ません。かるがゆえに、かようなものはやはり町村長主体として計画樹立をせしめ、その計画樹立に伴って農業委員会諮問機関となるということが最も望ましいのではないかと存ずるのであります。  なお、最近設けられました新農村建設協議会でございますが、これが行政委員会という名称に法制化されるような動きがあるというようなことを仄聞いたしておるのでありますが、これは純然たる新農村建設協議会として、同じくわれわれ町村長諮問機関であり、協力体であるという姿にしておいていただくことが最も妥当ではないかと信ずるものであります。  最後に申し上げますことは、この農業委員会経費でありますが、現在町村はこの経費の点について非常に苦慮いたしております。合併いたしまして農業委員会の職員の数等も多少は減りましたけれども、さほどの激減もいたしておりません。しかしながら国家からの補助額は非常に減っている。なお本年度からは地方交付税に合併して交付しないとかいうようなことも聞き及んでおりますが、かようなことであったならば、町村財政というものが将来農業委員会運営を円滑にしていくことを困難に至らしむる原因に相なりまするので、われわれ町村会としましてな、農業委員会に対する補助費の増額をあくまでも要望してやまないのであります。  以上簡単でありますが、町村会代表としての意見を申し上げた次第であります。
  8. 村松久義

    村松委員長 川村衛君から十一時に退出したいという申し出がありますので、一応川村君に対する御質疑があればこれを許します。小川豊明君。
  9. 小川豊明

    小川(豊)委員 それでは川村さんにお尋ねしますが、委員町村長選任がいいという御意見でしたが、この町村長選任がいいという御意見の根拠をもう少しお聞かせ願いたい。  それからもう一つは、諮問機関としたいという御説でございますが、これが町村長諮問機関になった場合に、農業委員会の本来の使命なり目的なりを制約してしまう、あるいはそれに背反するというようなことが農業委員会に出てきやせぬか。これは前の池田さんの意見とちょっと関連してくるわけですが、そういう点が考えられますので、この点をお尋ねしておきたい。  さらに、推進協議会と、農山漁村振興対策協議会というものができるわけですが、これと委員会との責任の分野はどういうふうにあなたの方ではお考えになっておられるか、町村長としてどういうふうにお考えになっておられるか。  それからさらに第四点としては、補助額が減っていく。今までこの農業委員会補助助成経費主体になっておったようですが、この補助額が減っていくとその運営の円滑は期し得ないのではないかと思うわけですが、この補助額が減った場合に対して農業委員会に対する町村長町村会のとるべき態度なりお考えというようなものをお伺いしておきたい。  この四点をお尋ねいたしたい。
  10. 川村衛

    川村参考人 最初のお尋ねかと思いますが、農業委員会委員の公選を廃止し、今度の改正案のごとく町村長選任が望ましいということでございますが、選挙によりますことは、ややもすると、あらゆる各種階層からの農業委員選任を拒まれるきらいがある。特に農村等は偏在する傾きがありますので、一方的の農業委員が出て、いわば小作階級等から出る機会をあまりに失ってしまうというようなきらいがありますことは、われわれ自村自町の現状を見てもかようなきらいを持っている。それとともに、さきに改正されました教育委員選任に当っても、少くともわれわれ町村長として責任を持って選び上げた町村教育委員であるならば、各種階層から網羅した前回の教育委員にまさる委員が出たのではないかというように私らは存じておるのであります。それと並行いたしまして今度の農業委員というものも、われわれ町村長が公平な目をもって真に農業委員会組織考えて選ぶならば、むしろ選挙よりは、われわれの任命によるところの委員の方が質的にも向上される、あるいは組織的にもよりよく選ばれるというような考えを持つのであります。  次に、諮問機関としておくことがよろしいということでありますが、この諮問機関としておくということは、要するに農業委員会が一本立の仕事をするということは、予算措置が講じられない限りはなかなか不可能であります。よって、われわれ町村長の計画をいたします以上は、必ず農業委員会と相談し、ともに計画をいたして参ります。そういう関係上、予算措置と並行して、農業委員会機能というものはやはり諮問機関にしておく方がよろしいのであって、一本立の仕事をしていくということは予算上においてむしろ苦しい場面を生じてくるのではないかというような考えを持つのであります。  次に推進委員会農業委員会の性格ということでありますが、推進委員会はやはり各種団体各種階層から選び出しておりますが、特に農業委員会意見等を尊重して、それを多く入れておりますので、性格、分野については並行した線が多少あるというように考えております。  それから補助額の問題でございますが、この補助額の問題は、もちろん農業委員会運営国庫補助等が削減される場合においては、職員の完全な任命についても支障を来たす。よって町村としては、農業委員会職員等の充実並びに会の運営を円滑にしていくということを考えておりますので、万一この補助額が全廃された場合においては、少からず運営に支障を来たしてくるのではないか。われわれ町村として、従来多少なりとも国庫の補助を受けております関係上、もし全廃された場合に、その補助額をも町村から支出して、農業委員会の職員、組織等を現在の姿をもってそのまま進めていくということは、少からず困難を感じてくるのではないかと思います。以上であります。
  11. 小川豊明

    小川(豊)委員 今お尋ねをしました中で、選挙でなく推薦の方が各種、各界から有能な人が選任できるからいいんではないか、この方がいいんだ、こういうお説ですが、私はこれはむしろ逆に考えておるので、選挙によって初めて各種、各界からそれぞれの人が出し得るのではないか、こう考えるんです。  それからいま一つ、あなたのような公正な、りっぱな市町村長であった場合には、市町村長が選ぶ方がいいかもしれませんが、もし不公正な市町村長であった場合には、その選ばれる委員は非常に片寄った委員になってきて、むしろ委員会運営が目的と非常に違った形になりはしないか。そういう点からいうと、市町村長選任というのは、市町村長が絶対にりっぱな公正な人であるという条件があって、初めてこれは期し得られるので、そうでない場合には、この目的は非常に違った形になって出てくると思いますが、この点でのあなたのお考えをもう一度お伺いしたいと思います。
  12. 川村衛

    川村参考人 町村長の推薦による方が広く人を得るということについての御意見でありますが、まず現在の各農村等における農業委員のあり方、選出された結果を見ますと、一方的に片寄っておるきらいがあるのではないかというように考えております。むしろ私らはこの機会町村長の推薦、任命によりまして、いわゆるあらゆる階層から農業委員を出して、そしてもう少し農地問題、すべての農業経営の問題等を円滑に運営させていきたいという考えを持っております。かりに一例をあげますれば、現在農業委員等はややもすると土地に固執しましてせっかく解放になりました土地をあたかも土地の周旋屋のごとき動きをして、他から他へと動かしているきらいが見受けられます。私はそういう面はいわゆるインスペクター的の農業委員がそこに入っていないから、一方的なものにとらわれているのではないかと考えます。少くとも今度この法案改正されます以上、法案の趣旨に沿うような委員を選出することができる。なお同時に町村長が公平であるならばということがございましたが、これは少くともかような法律をもって行われるものについては、われわれ町村長はあくまでも公平厳正に、町村の育成発展、住民の利害得失を十分考慮して、委員の選考に当らなければならぬと思うのであります。もしそれがまずい結果を生んだとすれば、当然これは法に基いて町村長のリコール制度もありますので、われわれ町村長としては、あくまで公平厳正なる態度を持って委員の任命に当る覚悟を今より持っておりますから、十分御信頼のほどを願いたいと思います。
  13. 小川豊明

    小川(豊)委員 それからこの町村長の任命でありますが、これは部落推薦ということになっておりますね。そうすると実際にこの部落推薦という形は一体どういう形でとられるのですか。もし町村長として部落で推薦させるとするならば、これは私どもにはよくわからないのですが、この部落推薦というものを部落の人がみんな集まってやるならば、それはやはり部落で選挙するのか、それとも部落でどうやって推薦するのか、意見が違った場合にはどうするのか、こういう点は町村長としてはどういう御指導をなさるお考えですか、この点をお尋ねいたします。
  14. 川村衛

    川村参考人 部落推薦の方法でありますが、これはわれわれとして具体的にどういうように指導していくかということは、まだ研究不十分でありますが、従来の部落推薦等を行う場合の形式といたしましては、部落全体のいわゆる常会を開きまして、常会によっていろいろの意見を聞きまして、その意見がまとまらない場合には、模擬投票によって推薦すべき人をきめるということが従来の慣例になっておりますが、いよいよ法案成立しまして、さような問題がわれわれに課せられた使命と相なりました以上は、より以上十分に研究いたしまして、御期待に沿うようにいたしたいと存じます。
  15. 芳賀貢

    芳賀委員 川村さんにお尋ねいたしますが、第一の点は、ただいまの御意見によりますと、現行の農業委員会の性格を変えて、これを町村長の単なる諮問機関にすべきであるというような御意見でありますが、これは農業委員会の性格に対する非常に強い発言であります。その場合に、たとえば現行法によって考えた場合において、現在の農業委員会は、御承知通り農地法あるいは土地改良法など、そういう法令に基く行政機関的な権限を持っておるわけであります。それからもう一点は、農地の交換分合であるとか、農地の利用等に対するあっせんの仕事を行う。その次は町村長とか行政機関に対する建議、答申であります。ですから一と二の機能を全く失わしめて、単なる諮問機関だけにするということになりますと、これは委員会に対する大きな変化を示唆することになるわけでありますが、その場合に、一番重大な問題は、この農地法に基く行政機関の補助機関的な役割というものは、その場合にどういう形でこれをどこに持っていくのかということが具体的の問題となるのでありますが、その点に対しましては、全国町村長会としてはどういうようなお考えを持っておりますか。
  16. 川村衛

    川村参考人 ただいまのお尋ねでありますが、法律に基くところの農地の交換分合あるいは農地のあっせん等について、町村長諮問機関にすべきであるというような意見を申し上げたのではありません。要するに事業計画樹立、そういうものに対しては農業委員はあくまでも町村長諮問機関として置いていただきたいというように述べたのでありますから御了承願いたいと存じます。
  17. 芳賀貢

    芳賀委員 そういたしますと、現行の通りでいいというわけですね。農地法に基く事務はそのまま、農地の利用あるいは交換分合に対してはそのまま、それから町村長に対する建議、答申等も現在の通り、そういうわけですか。
  18. 川村衛

    川村参考人 さようであります。
  19. 芳賀貢

    芳賀委員 その点は明確になったわけでありますが、その次は委員の選出の方法でありますが、川村さんの御意見によると、今の政府の改正案はこれは部落を単位とした単位区域から一名に限った委員を部落が何らかの方法で推薦して、それに対して町村長選任するという形なんです。ところがあなたの先ほどの御意見を聞くと、これはそういうことでなくて、町村長としての全く公平無私の立場から、農業委員会の任務とかそれを行う方法等に対して、最もふさわしい委員を選ぶ場合には、町村長の主管においてこれを選任することができるならばたとえば農地問題等に対しては、現在その階層別の農民代表する委員に欠けている部分がまま見られるわけですね。そういう場合には、これは全く町村長の主管によるところの、町村長にまかせられた選任の方法によるならば、そういう弊害が除去されることができるというような御意見のように聞いたわけであります。現在政府が考えておるこの改正案というものは、そういうことではなくて、単位区域からその区域内の農民が一名に限って推薦した委員を、町村長が形式的に任命するという形をとるので、これはあなたの御意見とは本質的に違うように私ども考えるわけでありますが、その点はいかがですか。
  20. 川村衛

    川村参考人 先ほどもちょっと、部落の推薦方法等についてはいまだ深く研究しておらぬということを申し上げましたが、これが成立いたしました以上は、部落の推薦方法等について少くとも町村長がよりよく指導し、適材適所の委員を選出するような指導ができると思います。(「抽象論だ」と呼ぶ者あり)抽象ではありません。
  21. 芳賀貢

    芳賀委員 そういうことを聞いているのじゃない。あなたに現在農業委員会法改正に対する御意見を聞いておるのです。ですから、委員の選出に当ってはどういう方法が一番いいかということを町村長立場で述べていただけば、それが非常に参考になるのであります。もちろん法律が悪い方向にせよ、あるいはいい方向にせよ成立した場合には、それによって御協力を願わなければならぬのでありますが、現在これは審議中であります。ですから委員を選ぶ方法としては、町村長立場から考えられた場合どういう方法が一番いいかということをわれわれは聞かしてもらいたいのであります。その場合あなたの御意見としては、これはそういう推薦制ということでなくて、町村長にまかされた権限として、町村長が全く公平無私の立場から任命する方が一番いいというように御発言になったとわれわれは聞いたわけであります。ですから、そのことに間違いはありませんかということを、これは非常に大事な点であるからお尋ねしているわけであります。
  22. 川村衛

    川村参考人 私は、その部落の推薦制によるものと、あるいはまた次は協同組合とか共済組合とか規定しておりますが、学識経験者という点もありますので、そういう点からわれわれが公平に選び上げたならば、その方でしかるべき階級段階学識経験者が出せるのじゃないかというようにも考えておりますので、一、二の委員というものはある程度まで法に限定されましても、第三号による委員というものが町村長の推薦任命という点に置かれることがよいと思うのであります。以上であります。
  23. 芳賀貢

    芳賀委員 そうすると、それは先ほどのお言葉が足らなかったわけですね。結局あなたの言わんとするところは、この改正法律案の一号は部落推薦による委員、二号は協同組合あるいは共済組合の中から組合長あるいは理事が一人ずつ出てくる、これも町村長がとやかく言う余地なない。三号委員の場合は、これは学識経験者町村長があらかじめ選んで、議会の承認を得てそれを任命する。その分に対しては心配がないということですか。
  24. 川村衛

    川村参考人 もちろんこの法案成立するとすれば、一号委員、二号委員は法によって規定されておるのです。ですから、三号によって学識経験者を出す場合に、われわれは少くともその点において農業委員会組織に完全を期すということができるのではないか、よって、町村長の任命制というものを設けてもらう方がよろしいというように考えておるのでございます。
  25. 芳賀貢

    芳賀委員 私たちの聞きたいことは、主体になるところの一号委員の選出方法をどうしたならばいいかということを、御意見があれば聞かしてもらいたいわけなんです。あなたの御意見としては、最初は町村長の権限においてこれを任命することが一番適切であるということのように聞いたのです。それならそれでいいわけなんですが、だんだん聞いているうちにそうでもないような御発言になってきておるのですね。その点明確にしてもらえることができれば、もう一度御発言願いたいと思うのです。
  26. 川村衛

    川村参考人 やはり一号、二号、三号委員というような選出方法が、私は町村においてもいいと思うのです。現在県の方はこれでやっておりますが、町村はただ一般公選で、あと五名ないし五名の学識経験者を議会の同意を得て町村長が推薦するというように、範囲が非常に狭いために組織において欠陥があるように考えておりますので、この一号委員、二号委員、三号委員というものの人数がどの程度になるかしれませんが、私はこの一号委員、二号委員、三号委員ともに、その選出の方法はこれでけっこうだと思います。よって、われわれ町村長としては三号委員に重点を置いて、他の委員とのバランスをとっていくというように考えております。
  27. 芳賀貢

    芳賀委員 では改正案通りでいいというように確認されたので、それでけっこうであります。  その次お伺いしたい点は、今までも問題なのは、一つは、農業委員会における職員の身分の保障安定の問題ですね、この点に触れておられなかったように思いますが、これらの職員の身分保障等の問題に対しては、今後どういうふうな形が望ましいか、またこれを法律の中に明記することが望ましいかどうかという点と、それからもう一つは、この法律改正によって委員の選出を行なった場合には、一委員会区域ごとに大体四十名ないし五十名の委員が今度は出てくることになっておる。その委員の費用あるいは報酬等に対しましては、町村長としてはもちろん御承知通り法律の十八条にもあります。けれども委員の報酬あるいは費用等に対しては町村が弁償しなければならぬということが明記されておるわけです。そういたしますと、現在までは大体十五名内外の委員でありましたが、今度は五十名にもなるわけであります。たださえ委員会に対する財政面の処置が非常に貧困である。毎年々々政府はこの予算を削減するという状態の中においてこれは相当町村における財政的な負担が重圧化されるのでないかというふうに危惧されるわけでありますが、その点に対するお考え等があれば聞かしてもらいたいわけなのです。
  28. 川村衛

    川村参考人 この職員の身分の保障の問題ですが、これはやはり従来の身分でおくことがよろしいと思っております。従来の町村農業委員会の職員というふうな身分でおくことがよろしい。もしこれを県の職員とか農林省の職員とかいうことに身分の保障を切りかえるということになれば、これはむしろ町村長行政下から離れてしまうきらいがあるのではないかというような懸念を持っております。  それからこの農業委員の問題でありますが、これは御承知通り四十名から五十名にも相なりますと、町村財政というものは少からず支出がふえて費用がかさんでくるというような心配がありますので、われわれは条例で定める地区において少くとも員数を勘案していくしか方法がないのではないかというふうに考えておりまして、でき得るならばこの農業委員会の数の減員ということをわれわれ町村長としても望んでいることであります。以上であります。
  29. 芳賀貢

    芳賀委員 そうすると今より二倍ないし三倍に委員の数がふえるということは賛成できない、むしろ現在よりも減らす方向をとるべきであるという御意見一つと、もう一つは、委員会の職員は委員会長が任免するということになっておるわけですね。国の委員会に対する財政的な支出が三十年度は大体二十億、本三十一年度は十一億ということに半減しておるわけですね。そういうことになると全く委員会の維持は町村財政によってまかなう以外に方法がないという方向にいくわけで、これは非常に町村長さんとしては頭痛の種であるというふうに考えるわけです。しかしかりそめにも農業委員会に職を奉じておる職員の場合は、これは役場の職員であってもあるいは都道府県の職員で、あっても、やはりまじめにその組織の中で働くということに対しては変りがないわけであって、同じように身分の保障は将来に対しても安定さしてやるという措置がどうしても必要でありますが、この面については、これは農業委員会成立以来非常に不安定な立場に置かれておるわけであります。それでわれわれとしては、何とか職員の身分保障等の問題に対しても、全く不安がない形の中において真剣に仕事をしてもらえるような形にしなければならぬということを現在考えておるわけでありますが、それを町村長立場において、こういうふうにしたならば一番適切な措置がとれるというような具体的なあれがあれば聞かしてもらえば、それをまた参考にしてこの法律改正の中にもわれわれは処置したいというふうに思っております。
  30. 川村衛

    川村参考人 この農業委員組織、員数については、むしろわれわれは少きことを望む次第であります。次に職員の身分保障については、従来の職員の身分で置きまして国庫の補助増額を望む。しからば町村にはもちろん市町村職員の恩給組合がありますし、市町村職員の共済組合等も組織拡充されておりますので、老後における年金等に何ら不安がございません。ですから職員を頼んでいく上においても、給料支払い等に対する国庫の補助の増額を望む。たとえば県の職員にいたしましても、国庫からそれ相応の費用を支出しなければならぬのではないかというふうに考えておりますので、むしろ現在の姿で置いて町村に国庫の補助を流してもらいたいというふうに考えております。
  31. 村松久義

  32. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 ただいまの推薦制でございますが、本法案によりますと、第六条に、推薦を行う時期方法については公明かつ適正に行われることを旨として市町村の条例で定める、こういうことに相なっております。そこで問題になりますのは推薦の方法であります。推薦されればその推薦された者を町村長が任命するのでありますから、この選任というのはきわめて形式的なことになろうと思うのであります。あなたは公明かつ適正に選任をするようにしたい、こう言っておりますけれども、口ではそうおっしゃっても推薦の方法を、明らかにどういう方法でやるかということをはっきりしておかないと、ときに不公明にもあるいは不公正にもなりはしないかと思うのであります。この法案によりますと選任に間違いのあったときには異議を申し立てることができる、選任に非常に重きを置いたような形にはなっておりますけれども、推薦してきた者は任命されるのでありますから、実質的には私は推薦の方法を厳格にしておかなければならぬと思うのであります。それであなたのお考えとして、ただ市町村長気持で公明厳正にやるということでなしに、組織的にその推薦を公明厳正にやるには、部落の地域会議を開いて決議のような形でやっていったらいいのか、それとも部落の地域会議において投票の形式でやった方が公正に行われるのであるか、いろいろあると思うのであります。ですから公明かつ適正に行われる方法としてはどういうことをこの条例に定めたらいいとお考えになっているかお尋ねいたします。
  33. 川村衛

    川村参考人 先ほど議員さんからお尋ねあったことと大体同じだと思いますが、その推薦方法、任命方法等については、法案等成立を見ない今日でありますから、まだ研究に十分を尽しておりません。しかしわれわれとして、もし法案成立して与えられた以上は従来の私の方の一例を申し上げますと、推薦委員というようなものを五名ないし六名作り、その人々の意見を聞いて任命する場合と、また町村長独自で任命する場合とがありますが、しかしこの方法等についていかような方法によって法案の趣旨におこたえするかということは、いずれ全国町村会等において方針等もきめてしかるべき筋のものと存じますので、まだ深い研究を尽しておりません。以上であります。
  34. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 これは、法案によりますと、地域の一定の資格を持っておる農民が推薦することになっておるのであります。市町村長が推薦委員のようなものを作って、それによって推薦するという形はとっていない。その地域の一定の資格を持っておる推薦すべき農民がことごとく権利を持っておるのであります。ですからその推薦をする場合には、地域農民は全部推薦者でありますから、その推薦をする方法として、やはり公職選挙法によらない記名投票のようなことによってやらなければ、これは公平にならないと思う。会議を開いて、それじゃだれを推薦しましょう、ああそうだそうだというようなことでこれをおきめになってしまったのでは公明適正でないと思う。そこでやはりその地域選挙民はちゃんときまるのですから、推薦の農民はきまるのでありますから、そういう場合に、やはり公平にやろうと思えば、記名投票の方式であるとか、あるいは無記名投票の方式であるとか、やはりそういう方法によらなければ公平な推薦の結果が出ないのfはないか、こういうふうに私ども考えるのでありますが、あなたの御意見をお尋ねいたします。
  35. 川村衛

    川村参考人 その何名かの推薦委員を作ってということは、先ほどから申し上げております三号委員の選出についての意見でありまして、一号、二号は法律によって定めてありますから、それによって行うことが当然であります。  次にいわゆる部落推薦の方法でありますが、これはわれわれ町村長としても慎重にいくべき道を研究しなければならぬと思うのであります。むしろわれわれ町村長としては、この法の施行細則等にその選任の方法等を明示していただけば幸いと存ずるものであります。そういう点がもし現われないとすれば、われわれ全国町村会としては、大体の方針をきめて、それによって万遺憾なきを期するようにしたいと思います。まだその方針がきまっておりませんので、ここで主観を申し上げるわけにいきませんのでお含み願いたいと思います。
  36. 村松久義

    村松委員長 淡谷君。
  37. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 川村村長に伺いますが、むしろこれは推薦なんか廃止して、のっけから村長の選任でおやりになって、各階層から公平にとられるように修正したらいかがでございましょうか。
  38. 川村衛

    川村参考人 そうなることは町村長としてしごくけっこうなんですが、しかしわれわれは少からず御意見を申し上げておる次第でありますから、その点においてお含み願いたいと思います。
  39. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 そこで私は一つ川村さんに伺いたいのですが、一体村長さんは今日の選挙制度というものをどう考えられておりますか。民主主義と選挙制度は切っても切れないものです。やはり村長が公選になりましてから、非常に民主的になりまして、川村村長のような名村長まで出てきております。そうしますと、やはり方向として民主主義推進のためには、この選挙制度というものは貫くべき必要があると私は考えております。現在までの農業委員会の制度は選挙制であった。結果がおもしろくない。おもしろくないのは、選挙制度が悪いのではなくて、選挙の方法なり、あるいは農民の啓蒙の仕方が悪いのではないかと私は思う。それを逆に選挙を全部否定して村長選任という形に重きを置かれるならば、むしろ村長選挙などはやめてしまって、前みたいにどこからか任命してしまった方がいいのではないかと思いますが、この点、根本的な民主主義と選挙制度についてのあなたのお考えを聞かせていただきたい。
  40. 川村衛

    川村参考人 町村長の公選というものについて、私個人から考えれば、私はむしろ反対であります。はっきり申し上げます。この選挙でよい場合と悪い場合がありますので、お説の通りこの選挙で行う場合を可とする場合もありますが、また選挙でなく町村長任命による場合を可とする場合もございます。よって、その選挙に対する公選とかなんとかいう問題については、私はただいま申し上げたような感じを持っております。
  41. 村松久義

    村松委員長 久保田君。
  42. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 川村参考人に二、三お伺いしますが、ざっくばらんに言いますと、今村ではどこでも農業委員会にほとんど関心はなくなっております。実際には新しい村作りをやるというようなことになってきましてこの問題の焦点になるのはどういうことかというと、農業委員会が今後多少役をするようにするには、各階層の農民が、各階層の代表が正しく出るということが一つです。もう一つは、今農業は山作りだとかあるいは畜産だとか、いろいろな形で職能的に分れつつある、そういうものの代表者が最も正しく農業委員会に集結された場合に、初めて農民ほんとうの利害代表あるいは利益機関になれる。こういう観点から見て、第一にお伺いしたいのは、今日この法案でいっておるいわゆる部落推薦という形で、その二つの特質というものがほんとうにうまくいくかどうか。私はこの点に非常に大きな疑問を持っております。こういう点について、まじめにこの問題を取り上げた場合には、この問題が一番中心の問題になろうと思いますので、この部落推薦という政府の原案をどうお考えになっておるかということが一つ。  それからもう一点。特に最近では町村合併で非常に村が大きくなっておる。従って地域の状態が非常に変ってきた。部落々々によって変って参りました。従って、ほんとうに村の建設や農村の建設をやろうということになりますと、これは部落から一人々々というような格好ではなかなかうまくいかないし、同時に部落から一人々々出るというのは、一町村で部落が五十ぐらいある町村はざらです、そういう諸君がほんとう農業委員として農民と密着してやろうということになれば、この諸君は自分の商売をほとんど半分捨てて専任をしなければ、密着はしませんよ。それをこの案では一応部落々々から一人々々代表を出して、その中から常任委員を十人なり十五人出して、今までで言えば十カ町村ないしは八カ町村くらいのところのいろいろな問題は、ほとんど常任委員会で始末をしようという案です。これで果してこの組織が浮いてしまって、ボス組織にならないかというと、私はボス組織になってしまうと思う。こういうところの調整を町村長としてはどう具体的にお考えになっておるのか、こういう点です。  第三の問題は、これに連関して当然経費がよけいかかります。この委員会ほんとうに活用させようという農民の希望なり、農業の再建に役立たせようということになれば、各部落から出た職能関係委員もほとんど専任的にやらなければ、この事業はできませんよ。同時にこれを裏づけていく職員も非常に忙しくなり、数もよけい要ってきます。今の与えられたような予算のワクで、今の与えられたような貧弱な質の職員でやるということになれば、ろくなことはできませんよ。ざっくばらんに言って、農業の再建計画だのなんだのといっても、できっこないのです。この点はっきりしております。これは結局できたものは何かというと、町村長たちやボスたちの言うことをきいてよかろうよかろうということで、代表はどうかといえば、県や中央から言ってきたいろいろなことを書類で出して補助金をもらう以外には処置がないというのが実情です。まだいろいろお聞きしたいのですが、あなた方は町村長さんとしてこういう基本問題についてどんなふうにお考えになっておるか、この三点だけをお伺いしたい。
  43. 川村衛

    川村参考人 第一点については先ほどの御質問によってお答え申し上げたと思いますから、省略いたしたいと思います。  次に第二の、地域代表を選ぶと、ボス的存在になるのじゃないかというようなことでございますが、地域代表等の選出方法等は、いかようにしてこれを選出するかということを十分研究して、かように御懸念にならないように御期待に沿いたいということを先ほど申し上げた次第であります。  なお経費の点につきましては、国庫の増額を要求してやまないということを申し上げておきますので、議員各位においてしかるべく一つ町村長に御同情のほどをお願い申し上げたいと思います。
  44. 村松久義

    村松委員長 中村時雄君。
  45. 中村時雄

    中村(時)委員 私は一、二点だけお聞きしたいのですが、あなたの今のお話の中からどうしても納得のいかない矛盾がある。というのは、一番当初に、組織に関しては、農業委員会会議所の方々のおっしゃった通りに行うべきであるという御発言をなさっておる。すなわちその組織ということの重要性は、各単位部落におけるところの委員会会長が今度は農業会議に出ていくということ、すなわち人的、質的に大きな問題を取り上げておるわけです。そういうふうな意味においてあなたは賛同された。当然農業委員会会議所の方々のおっしゃったような方法をとるべきであるとおっしゃった。ところがその反面、芳賀委員がお聞きすると、その人間はできる限り少くしたいとおっしゃる、少くしたいどころか、現行法でけっこうでありますとこうおっしゃっておる。そうすると、片方の組織論においては拡大し、片方においては縮小し、そういう矛盾があって、はっきりしたことがわからない、ほんとうのお考えはどこにあるのかということをお聞きしておきたい。
  46. 川村衛

    川村参考人 その組織については私一号委員、二号委員、三号委員というような委員の選出方法について、いわゆる農業会議所の御意見に賛成するというわけであります。それによって御了解願います。
  47. 中村時雄

    中村(時)委員 選出の方法といいますと、今言ったように数はふえていって倍以上になっていくのです。それがまた実際の農業会議所のねらいでもあるのです。ところがその人数はあなたはできる限り削減せい、こういうことになれば、実際は、現実には拡大をしないということなんです。だからそこに矛盾が出てくるから、これは一体どういうお考えを基礎にしているのかお聞きしておるわけなんです。
  48. 川村衛

    川村参考人 組織は一号、二号、三号委員というような組織体にしても、人数についてはわれわれは各組織から出るところの人数を少くしてもらいたいというのが町村長としてのねらいであります。
  49. 中村時雄

    中村(時)委員 どうもはっきりしないんですけれども、これは非常に大事な点なんですよ。人数は減せといっても、組織農業委員会通りに一号、二号、三号委員はそのままにしておきたい、こうおっしゃる。一号委員というのは今いったようにふえていくんですよ、これがこの法案の一番のねらいなんです。そして人数を吸い上げて、県段階においてそれだけの拡大をしていって、発言権を強めるということが中心になっている。そうすると当然その人数の限定が同じような限定になっているから、二号委員も三号委員もふえるということになっている。そうでしょう。今のところ二号委員三号委員が十名ないし十五名の場合には、同数の農業委員というものが出ておるわけなんです。そういたしますと片っ方の一号委員がふえていくのですから、当然片っ方もふえる。あるいはまた別にそれを打ち切るところの法律はありますよ。また作っていけますよ。いけるけれどもこれを認めなければふやさなくちゃいかぬということになってくる。だからそれにかかわらず減さなければならぬということになれば、あなたのお考えを整理していきますと、今いったように、一号、二号、三号委員は必要であるけれども、人数の限定は今まで通り現行法でよろしいということを言っていらっしゃるのではないかと思うのです。そういう認め方をしているのかどうかということをお聞きしておきたいのです。
  50. 川村衛

    川村参考人 お説の通りであります。
  51. 中村時雄

    中村(時)委員 もう一点、先ほど淡谷委員が御質問しましたときに、できればすべての任命を町村長がするのが一番いい、こうおっしゃった、そのお気持はよくわかるのです。けれどもそれは農業委員会の本質からはるかにはずれていると思うのです、そういうお考え方になるとすれば……。というのは先ほどからも言っておりますように、農業委員会の性格というものは、農地法と森林法に基いた国の行政機関の補助機関の格好をしているのです。そういたしますと、そういう権限はとるべきでないということの方がほんとうだと思うのです。これが一点。  それからもう一点。先ほどあなたは、あなたの主観において、町村長はりっぱなものだから任命すれば間違いない、こういうふうにおっしゃいますけれども町村長は現在は選挙をやっておる。選挙をやっておる人たちのことを端的に申しますと、自分が当選したいということなんです。そうでしょう。自分が当選をしたいということになれば、自分を支援して下さる方をどうしても推薦したくなるのです。これは人情ですよ。また実際それがほんとうだと思うのです。そうすると、あなたのおっしゃったように各部落で一名なんですから、階層別の問題ははずして、かえってそういう偏見的な問題の方が強くなるということを私たちは危倶する。その中からボス的な行為も出てくるし、あるいは部落におきましても、農業委員会主体を見てみますと、ほんとうに直接に農業に従事しているものでなくて、どういう人が出ているかというと、宿屋のおやじとか、土建屋とか、小さな店屋の商売人、それがただ一反歩や二反歩持っている、その人たちは、より高い地方的なギルド的な形の上に立って出ている人が多い、またそういう人が選挙母体になりやすい、ひまがあるから……。そういう危険性が多分に含まれているように考えられるのですが、これに対してどういうお考えを持っているか、この二点を最後にお聞きしたい。
  52. 川村衛

    川村参考人 町村長の問題が出ましたが、町村長が選ぶと、いわゆる選挙ということを考えて、自分の味方を多く出すきらいがあるということは、町村長に対する信頼感が少しお足りにならないのではないかというように私たちの方からは考えます。その点を申し上げたいのであります。
  53. 村松久義

    村松委員長 もう一点ありますが……。それでは答弁ありませんから、稲富君。
  54. 稲富稜人

    ○稲富委員 異議申立の規定でありますが、選任に対して町村長に対して異議申立てができることになっておりますが、この場合異議申立てが町村長に出れば町村長は当然対抗しなければならないので、実際町村長は迷惑じゃないかと思うのですが、これはどうですか。
  55. 川村衛

    川村参考人 やはりこの異議申立てという機関は私はあってもいいと思います。全然異議申立て機関も何もないということより、一つの異議申立て機関を設けた方がいいと思います。
  56. 稲富稜人

    ○稲富委員 私の聞いておりますのは、その異議申立ての対象が町村長になっているわけです。町村長はどうしても応訴しなければならない。こういう場合は今日町村財政等もあるので、また被告として町村長が将来こういう問題に対抗していくことに対しては、町村長としては非常に御迷惑じゃないかということをお尋ねしているわけです。異議申立てのいい悪いは別として、町村自体が非常に迷惑するじゃないか、この点だけ私は聞いているのです。
  57. 川村衛

    川村参考人 もちろん異議申立て等が出た場合においては、町村財政上の点もございまして迷惑ではありますが、しかし異議申立ての出ないように万全を期してやるという構えがあったならば、その方法はあっても差しつかえないと思います。
  58. 村松久義

    村松委員長 川村参考人にはどうもありがとうございました。御退出になってけっこうであります。  次は岡村文四郎君でありますが、おいでになりませんから順序を変更いたします。伊那市農業委員会会長城倉栄樹君。
  59. 城倉栄樹

    城倉参考人 先ほど来いろいろ御意見があったようでありますが、農業委員会立場から、今度の改正法案に対する意見を申し上げて御参考に供したいと思っておるわけであります。  先ほど来お話のありましたこの法案につきましては、この前の国会以来われわれはあらゆる機関を通じてこの法案の通過を陳情申し上げておったわけでありますけれども、今回さらに継続審議になった母上は、ぜひともこの法案を通過さしていただくように御努力を願いたいと思うわけであります。  そこで、この法案の内容について先ほど来いろいろ御意見があったようでございますが、われわれ現地の委員会としてこの法案の内容を一応集約してみますと、その第一といたしまして、委員会組織に関すること、それからその第二といたしまして委員会の業務の運営に関すること、その第三といたしまして委員会経費関係についてのことでございますけれども、こうした点が、集約してまず考えられる点じゃないかと思うわけであります。  そこでその一つとして委員会組織に関する点、これは先ほど来農業会議の方からの意見もございました通り、われわれ現地の農業委員会といたしましても原案の方法でいくことは差しつかえないと思うわけであります。内容にあります通り、この委員の選出方法が部落単位になっておりまして、これが一号委員、さらに農協、共済あるいは学識経験者というような関係から二号、三号委員というように出て、委員会が構成されることになっておるわけであります。これはわれわれ委員会が日常現在まで業務をやっております上に、この組織で行われることがおそらく最下部の農家との接触はもちろん、横の線で農協であるとかあるいは共済組合であるとかいうようなものと一体となって、合理的な運営をなし得るものであるということを強く感じておるのでございまして、従って町村合併によりまして委員会を統合した地域もあるわけでありますが、実際の運営の面では従来と同じような、委員の補助員というようなものを置かなければ仕事ができないというのが現在の委員会の実態でございまして、長野県の松本市、長野市のごときは、一応委員会を合併によって統合いたしましたが、やはり各地区、地区というのは旧村の関係でございますが、こういうところから相当数の補助員のような形のものが出ていなければ、重要な農地などの問題はなかなか審議が困難であるというようなことで、補助員制度のようなものを設けているような実情でございますが、今回のこの方法によりますれば、各地区から委員が相当数出て参りますので、私らが考えますと、百戸ないし百五十戸から一人ぐらいの割になるのじゃないかというふうに考えておりますけれども、こういうことになって出ることによりまして、委員会運営も末端とよくつながりがつき、また農家のいわゆる農民考えというものが率直に委員会に通じてくるというふうに考えておるわけでございます。  またさらに今回の法案による地区委員会会長が県農業会議の議員になります。この方法についても、現在長野県の農業会議は、やはり農業会議員だけの会合ではまずいということで、隔月ぐらいに県農業会議の議員のほかに、各郡市の農業委員会会長をまじえた会議をやっておるような状態でありまして、こうしたわれわれの考えている線とも合致するものでありまして、これによって農政の下部への徹底と浸透、それから事業実施が円滑に行われるものである、こういうふうに考えて、この法案のまず組織関係については改正案で適切なものであるとわれわれは考えておるわけでございます。  その次に第二点といたしまして委員会の業務の運営の面のことでございますが、これについてはただいまも申し上げた通り、また先ほどお話もあったのでございますが、委員会は市町村長のいわゆる諮問に答申をし、あるいは建議をするというような漠とした面が今までの状態であったわけでございますが、これは今回の法律改正によりましてこうした点がはっきりしてくるわけでありまして、末端とこうしたことによって接触することによりまして、いわゆる農地行政というようなものがより強化されていくのじゃないか、こういうふうに考えられます。最近農業委員会のいわゆる弱体化であるとか、あるいは機能を完全に果していないというようなことが言われているようなこともわれわれ聞いておりますけれども、末端の農業委員会はあくまでも農地法に示されましたいわゆる自作農創設維持法による、その後の農地の問題につきましては慎重にこれと取り組みまして、農家の経営の維持その他の面とあわせて全く法の趣旨を貫徹すべく今日まで努力しておるわけでありまして、もし委員会活動があるいは鈍っているとかどうとかいうようなことがあるとすれば、最近非常に多くなっております農地の売買の関係でございますが、これはいわゆる法の一つの盲点と申しますか、欠点でありまして、せっかく国が農地解放をして自作農創設維持をやっておるにもかかわらず、その農地が現在あるいは十五万であるとかあるいは三十万であるとかいうような価格でどんどん売買されている、これはわれわれ農業委員会としても非常に不満であるわけでございまして、こうした点はいわゆる法律改正をしていただかなければおそらく是正されないのではないかというふうに考えております。  そのほか農村振興事業推進であるとか、あるいは改良普及員制度と関連した農業技術の普及あるいは各種団体との協力態勢というようなことが、この法案改正によって、事業の面におきましても非常に円滑に進められていくのじゃないかということが考えられるわけであります。  さらにその第三といたしまして委員会経費に関してのことでございます。  先ほど来委員会の職員の費用の関係とかいろいろお話もあったわけでございますが、実際にわれわれが委員会事業をやっておりまして、非常に広範囲な、しかも目に見えないような縁の下の力持ちの仕事を実はやっておるわけであります。それにもかかわらず委員会に対する国の補助あるいはその他の関係の金額が年々削減されておりまして、すでにこの内容につきましては議員の皆様方が御承知通りでございますので申し上げませんが、特にお願い申し上げたいことは、現在の職員は、昭和二十九年に農林省の通達によりまして職員整備措置要領というものが各市町村に通達されまして、技術職員一名、事務職員一名、計二名を各委員会が設置しておるわけであります。これに対する国の助成が、二十九年においては一人三分の一の助成、三十年度においては一・一人分、さらに三十一年度に入りましては三分の二人分というような工合に非常に大きく減額されておるようなわけでありまして、財政の困窮しておる市町村においては、やむを得ず退職した職員の補充を一時差し控えていくとかいうようなことをやって、ようやく委員会の事務を間に合しておるというような状態でございまして、そのかわり技術職員が事務職員の仕事まで兼ねてやっているというような実情であるわけでございまして、こうした職員の関係の給与の面について、委員会の助成とあわせて、ぜひこの増額方を法案の通過とともに御協力願いたい、このように考えるわけであります。  以上、簡単でございますが、現地の委員会としての意見を申し上げた次第であります。
  60. 村松久義

  61. 岡村文四郎

    ○岡村参考人 今度の農委法一部改正案について参考人として呼ばれたわけでございますが、第一に組織の面について申し上げますと、私は最初二十九年に改正になって施行されましたときから疑義がございましたが、末端の市町村委員を選ぶ方法は、わが国選挙制度が施行されまして以来初めてのとうとい選挙であったと思っております。それは農民個々が農民代表を選ぶ選挙がございませんでした。そこで今度は農民も協力をするだろうし、うまくいくだろう、かように考えておりましたが、御承知通りさっぱり協力もしませんし、委員そのものも本腰が入っておらぬようでございまして、まことに遺憾でございます。これは御制定にあずかりました委員各位には衷心からおわびを申し上げます。そこでどうも都道府県会議員といたしますと、末端と密接なつながりのないことが何より残念でございます。北海道は御承知のように地域が広いのでございますから、本州の府県とは違いますが、それでもうまくいきません。もう少し下の意見を聞きたいと思いましても、なかなかそういうわけには参りません。ただ代表してきております委員意見ではだめでございます。真の市町村の声を聞きたいと思いましても、なかなか困難でございます。そこで今度の改正法律案を拝見いたしますと、今度は前と違った連絡ができるようになっておりますようで、この点は非常な進歩だと考えております。そこであと戻りしますが、市町村委員を選びますために市町村長選任もけっこうだと思います。失敗もあり得ることでございますから、無理に公選を進めましてもいかぬと思います。それに選挙を行いますと相当な経費がかかるのでございます。国家の財政も容易でございませんので、もしうまくいけばそういう経費を使わないで、部落推薦で市町村長に推薦し、任命権によって任命することもやむを得ないのじゃないかということを実は考えております。そこでやってみないとわかりませんが、現在の日本の農村は、実にあらゆる面に御迷惑をかけておりますが、なかなか多事多難で容易ではございません。岡村はきっすいの協同組合人でありますが、実際はこの仕事を不満だらけでやっております。そのかわりに熱心にやっております。しかしながら幾らやってみましても、現在のようでは非常に困難でございます。一挙にわれわれの理想通りにいくわけには参りませんから、その点はあまり意見を申し上げないでこれは御協議いただきまして、この際ぜひ成立さしていただくことをお願い申し上げたいと考えております。  ただ一番困りますのは経費の問題でございます。何とか都道府県段階に賦課できるということにしてもらいませんと、実に困ったものでございます。北海道は大きいからいろいろ違いますが、自分のところだけ申し上げますと、一回委員会を開きますと、金が二十七万要ります。そこで各支庁に連合会を作って、その上に北海道農業委員会連合会という会ができておりまして、私が会長をやっておりますが、そうなりますと、大きな会の運営ができません。そこで北海道の連合会から三百万円、道庁から千二百万いただくことにしてやっております。わずかに千五百万くらいの経費で、職員は二十二人おります。そこで、これは産業奨励金でありまして今度の法律には入っておらぬのでありますが、でき得れば付託金がとれるということにしていただければ、私の希望はこれ以上ございません。どうぞそういうおつもりでお願いしたいと思いますが、時期の関係からなかなかそれも困難ではないか、また来るべき時期を待つよりほかはないのじゃないかと考えております。そういうわけでございますので、意見を申し上げるのではなくて、そういう希望を申し上げ、そういう残念さを考えているということをお認め願いたいと思います。  時間がございませんから、簡単に大きな点だけを申し上げまして、あとお尋ねがございますれば、お答えいたします。
  62. 村松久義

    村松委員長 次は、全国農業協同組合中央会参事森川武門君。  委員の方に申し上げますが、荷見君は予定したる都合があって出席ができない。そこで更級君の出席を求めましたところが、奥さんが重病だそうで本日は出席不可能であるということで、かわって森川武門君を指定いたしましたので、どうかその点御了承願います。  なお森川君には農林漁業組合再建整備法の一部を改正する法律案についてもあわせて御意見を承わりたいと思います。森川参考人
  63. 森川武門

    森川参考人 荷見会長は本日日銀の政策委員会でございまして公務のために出席できませんことをよろしく御了承願います。  農業委員会法の一部改正について全国中央会としての意見を述べよということでございますけれども、この問題につきましては去る団体再編成の問題にからみまして私ども意見というものは皆様十分御承知のことと思いますので、詳しく申し上げるまでもないと思うのであります。  要約いたしますと、農業委員会行政機関たるの性格を明確にするということに尽きるのでございまして、従いましてその運用につきましては、改正法案におきましていろいろな事業拡大があるのでございますが、そういう観点から農業協同組合との競合を一つ避けていただきましてあくまでも行政機関たるの性格に徹するようにお願いをしたい、このように考えております。はなはだ簡単でございますけれども、われわれの考えとしてはそういうことでございます。  それから農林漁業組合再建整備法の一部改正の問題につきましては、これまた数年来の問題でございまして、あらためてまた私ども意見を申し上げる必要もないと思いますけれども、この機会に特にお願いを申しておきたいと思うのであります。  問題は、五年経過いたしまして本年の三月三十一日に期限が切れたのでございます。現在の法律によりますと、再建整備の指定を受けた組合はその条件を満たしてから一年を経過した後、政令の定めるところによってその奨励金を返還をしなければならぬという第十四条があるのでございます。従いましてわれわれといたしましては、その法律制定当時の事情にかんがみまして、かつまたその後における行政指導の点等にかんがみまして、これは奨励金であって還付するのではないというふうにわれわれは受け取っておるのであります。またその奨励金を受けたところの組合におきましてもそのようなつもりでおるのでありまして、経理処理におきましてもそれは債務に計上されておりません。全部受け入れ奨励金ということで利益勘定に入れておるのであります。これはなおまた二十八年に制定を見ましたところの農林漁業組合連合会整備促進法におきましてもこの点は明確になっておるのでありまして、御承知のように、このときにおいては連合会の内容をすっかり洗いまして、債権と債務を明確にし、残りなくこれを分けたのでございます。そして、それに基きまして整備計画を立てたのであります。もちろんこれにつきましての補給金は全部補助金であって、はっきりこれを返さなくていいということになっておりますが、その整備計画を立てるについては、これは農林省もまた大蔵省もそれぞれ参加をされておりまして関係行政庁の御指導のもとにやっておるのでありますが、その委員会におきましての検討の結果におきましても何らこれは債務として計上されておりません。返還しなくてもいいというようなことに処理が終っておるのであります。そういうふうな経過を見ましても再建整備法というものによるところの奨励金はあくまでも奨励金として交付されたものであって、返還すべきものでないということが、実際的にもまたそういうような一連の関連の法案の経過から見ましてもうなずけるのでございまして、そういうような観点から早くこの問題につきましては明確に一つ法的な改正をしていただきたいということをお願いをしておったのでありますけれども、いろいろな事情で今日に及んだのであります。しかるに五年を過ぎました今日におきましては、いずれにしましても法の建前上はやはり返すことになっておるからというようなことになりまして、いろいろとこの問題につきまして先生方の御苦心をお願いしておるのでありますけれども、どうか一つ各先生方におかれましてもそういういきさつも、また経過も御了承いただきましてこれを還付するようなことはしたくないというようなお気持もあるやに承わっておりますので、そういうことでありますれば、この際思い切って明確に一つ、これを返さなくてもいいような処置——われわれとしましては十四条の条文を削除していただくということをお願いしておるのでありますが、その意味するところは、要するに今言いましたような観点から申しまして、返さなくてもいいということが明確に立法上の処置としてとられることをお願いしたいのであります。どうも行政と立法とは別でございまして、立法者の気持というようなものが、必ずしも気持だけでは行政には反映しない。これはまた当然のことなのであります。従いまして気持だけではなくして、やはり法文の上で何らかの形におきまして明確にされるということでなければ、これはどうしてもお気持が反映しないということにも相なりますので、われわれといたしましては、ぜひ一つ返さなくてもいいというような意味のことを法律改正の中に立法的に表現していただくことを特にお願い申し上げたいと思うのであります。以上でございます。
  64. 中村時雄

    中村(時)委員 議事進行。ただいまのいろいろの参考人のお話を承わっておるわけですが、議題の上からいきましても関連性を持たしていろいろなことが必要なことはよくわかるのですが、説明される方、あるいは聞く方からいいますと、農業委員会法なら農業委員会法の一部改正に基く問題を先に参考人の方々に説明を願って、その次にたとえば農林漁業組合の再建整備法の一部改正をやっていただくと整理がしやすいのじゃないかと思うわけであります。
  65. 芳賀貢

    芳賀委員 議事進行について。ただいま委員長から本日の参考人である全国中央会会長荷見安君が出席できない。これは昨日までは出席できるというようなことにわれわれは理解しておったのです。ただいま聞くと、日銀の政策委員会出席したので来れないということが理由であるなら、昨日あたりまでに、きょう急に政策委員会を開くということがきまったのではないと思う。来れなければ来れないという理由を事前に明らかにして、その代理者をだれにするかということをきめて連絡するのが当然である。当委員会においても、これは前国会以来の重要法案なんです。それで以前からこの問題に対しては、たとえば農業委員会一つの系列と全国の協同組合、この団体間においてもこの委員会法の改正等をめぐって、これは昭和二十八年ごろから意見の対立があったことはひとしく御存じのはずなんです。特に協同組合関係農政活動を担当しているということを自負しておる全国中央会会長が、この席に出席しないということは非常に遺憾であります。むしろ進んで出席して、今後の農業団体のあり方であるとか、そういう点に対しては見解を明らかにする絶好のチャンスであるというようにわれわれは考えておったのです。ところが荷見会長の場合は、今回まで三度にわたって当委員会参考人として出席することを実質的には拒んでおるわけです。第一回の場合には米の集荷制度の問題に対する意見の聴取、第二回の場合には農林金融関係に対する意見の聴取、今度の場合には農業委員会法の一部改正に対する全国中央会意見の聴取、 この三回にわたって荷見会長はことさらに事をかまえて出席しておらないのであります。これは明らかに国会に対する一つの軽視であると思う。それで委員長におかれてはこの点を十分検討されて、もしも荷見会長出席できなかったということが、過去三回にわたって全くこれは善意に発したものであるかどうかということを委員長立場において検討をお願いすると同時に、もしも参考人では、こちらが出席を求めた場合には今後も出席しないとするならば、われわれは国会法等の手続によって正式にこれは証人として当委員会出席を求めざるを得ないと私は考えておるわけでありますが、この点に対する委員長の御見解を承わりたいのであります。
  66. 村松久義

    村松委員長 中村委員の議事進行に対しては、整理の都合上おっしゃる通りの進行をいたしたいと思います。  芳賀委員の議事進行に対しては、荷見参考人に対して過去の事実を指摘して遺憾の意を表しておきたいと思います。その後は委員会においてあらためて御決定を願う、かようにいたしたいと存じます。  次に福岡県農業協組合中央会専務理事鬼木文雄君の御意見を御発表願います。
  67. 鬼木文雄

    ○鬼木参考人 それでは簡単に農業協同組合の立場から第一の農業委員会法改正につきまして一、二御意見を申し上げます。  先ほど全中の参事から申し上げましたように、昨年来の農業団体再々編成の問題がありますので、深くは申し上げませんけれども、あくまでも行政機関として農業委員会は進んでいただきたいということでございます。と申しますのは、いろいろ先ほどから議員の御発言にもありましたように、農村の内部において地主、小作とか富農、中農、貧農というような一つの階層別の問題が生じてきておるということは御承知通りでございます。私ども農業協同組合としましては、貧農であろうと、富農であろうと、すべて目的は同じでございますけれども、内部における地主とか小作とか、あるいはその他のいろいろな階層別の分化のあり方において調整していくのが私は行政機関たるべき農業委員会の職務だと考えております。そういうふうに今後指導していただきたいと思います。  なお事業の内容その他を拝見さしていただきますと、なかなか盛りだくさんの事業内容が織り込んでございます。一番大きい問題は、やはり農地問題あるいは交換分合の問題というようなものが一番中心になるのじゃないかと思いますけれども、たとえば農業技術の改善とか、あるいは経営合理化、生活改善というようなことは、すべてこれは農業協同組合と目的を一にしております関係で、あくまでも民主的な農業団体でございます。農協というものは、いわゆる経済行為を中心にして営農からすべてをやっておるという姿をあくまでも援助していただくという立場、いわゆる唇歯輔車と申しますか、相ともにお互いの分野を守り合って育てていくという一つのあり方にお育て願えれば非常にけっこうだと考えます。  委員の選び方その他につきましては、私個人としては意見を持っておりますけれども、協同組合の立場からは差し控えさせていただきます。  次に第二の問題でございますけれども、第二の問題に関連しましては福岡県の立場から申し上げます。これは御承知のように四、五年前に非常に破局的なインフレに処しましてシャウプ勧告あるいはドッジ・ラインというようなことで非常にきつい超均衡予算と申しますか、そういう関係から、これは単に農協のみならず一般の経済界を萎縮させた一つのあり方でございます。そういう関係で私の福岡県におきましては七十一の組合が不振に陥ったわけでございます。約三百の組合のうち……。
  68. 村松久義

    村松委員長 今農協の再建整備法の御意見を拝聴してはおらないのであります。それをあとにお願いいたします。  次に全国市長会山口宏君に御意見を伺います。
  69. 山口宏

    ○山口参考人 農業委員会法の一部改正の問題につきまして市長会の方を代表いたしまして御意見お願いを申し上げたいと思います。  お手元に公述の要旨がお届けしてあると存じますが、われわれ市長会の立場から申しますと、常に農業委員会制度の改正と、国庫補助金の増額について要望をいたしておるわけでありますが、現在の情勢から申しまして、地方財政が非常に緊迫した状態でありますところから、われわれは一市町村委員会の設置を一つお願い申し上げたい。同時にこれに伴う実質的な経費は、全額国庫補助お願い申し上げたい。またでき得れば行政一元化のために農業委員会の行う行政市町村に授与していただきたい。こういうような気持がございます。その理由といたしましての内容は、供米の割当制度が廃止されて予約制度になったし、農地の移転その他がもう大体完了してきて事務的にそれほど大きなものはない。また農業委員会に対する国庫の補助は、先ほどもお話がありました通り、毎年半額々々というような状態で減少されてきておる。これに伴ってわれわれとしては、たくさんの農業委員会を同一市内に置くということは、ますます市の経費の負担を重ねるだけであるということで、われわれはぜひとも第一の要望事項たる一市町村委員会お願い申し上げたい、こういうふうに思います。また同時に、農業委員会は補助的な機関であるというように考えるか。またはこれを別の行政機関考えるかということにおきまして、現在の市町村におきましては、大体市町村の役場の職員が兼務しておるところもありますし、また非常に事務的に、委員会の職員と役場の職員とが、経費関係で一緒に仕事をしておるというような、一人二役をやっておるというようなこともありますので、そういう点につきましてわれわれといたしましては、皆様方の御審議お願い申し上げたい、こう考えている次第であります。  次にわれわれの立場から、ちょっと法案の内部につきましてお願いいたしたいことでありまするが、委員のうちの一号委員選任の問題であります。先ほども町村会代表の方々にいろいろな御質問がありましたが、われわれこの問題につきまして考えさせられることは、区域を定めるということにおきまして、大へん委員の数が大きくなってくる。これは小さくしてもかまわないと思っておりますが、農民の感情というものは部落々々で相当に違いがありまして、やはり推薦される区域がこまかく分けられるんじゃないだろうか、こういうような考えがあります。事実われわれといたしますと、委員が多くなってくればくるほど、経費はかかってくる。従ってこの法律の内容におきまして、われわれからお願い申し上げたいことは、何かその選出の基準を考えていただきたい。数字的な根拠に基いた委員の数を求めていただくことがいいのではないか、こういうふうに考えるわけであります。それと同時に、農業委員会が現在財政的に非常に苦しい状態で運営を続けておる。そのために市が支出をするということになって参っておるのでありますが、われわれといたしますると、この改正案の中に、農業委員会が行う事務手数料が徴収できるようになれば工合がよろしい、こういうようなことも考えておるわけであります。それは農民の方々が農地の移転その他ということにおきまして、いろいろな書類を作成して届けをするわけでありますが、大へん手数がかかります。その事務的な問題といたしまして、委員会で骨を折ってやっておるというようなところもあるのであります。それはだめだ、一つそういうのは代書にお願いしたい、こういうふうになりますと、法第三条に基く農地または採草放牧亀の権利の関係でありますが、それを一つやるためには大体三千円から五千円の費用がかかる。それから法第四条に基く簡単な分筆で一つ七百円。そうしますと、自分たちが得た当時における価額と同様な金で、今度はまた動かさなければならない。こういうようなことになってきて、せっかくもらった農地においても、金の価値は変っておりますが、大へんな経費がかかる。それを農地委員会の方で手伝ってやれば、大へん簡単に、安くできる。またその手数料によって、もしも国庫補助がなくなってきても、どうにか紙代くらいはかせげる、こういうようなこともあるのであります。従いましてこの問題につきましては、法案はできておりますが、いつかの機会におきまして一つ必ずその点もお考え願うことがよろしかろう、かように考えるわけであります。  なおまた別の面でございますが、言お願い申し上げたいのでありますが、それは農地法の五条の改正についてであります。この五条の内容は御存じだと思いますが、公共の施設に使うために農地を移動する場合におきまして、府県と国だけはそのままでいけますが、市町村にはその方法がない、従ってこれを一つ何とか考えていただくことが、学校その他の公共施設を作るために農地の転用をする場合におきましても、大へん都合がよろしい。ただしかし農民の生活権に対してはわれわれは十分考えるものでございますが、できるだけ公共の施設に対する農地の問題につきましては、一応この席をお借りいたしましてお願い申し上げたいと考えております。簡単でありますが……。
  70. 村松久義

    村松委員長 以上で、農業委員会等に関する法律の一部を改正する法律案に対する各参考人意見を聴取いたしました。  続いて包括的に御質疑を願うわけでありますが、通告順に従ってこれを許します。神田大作君。
  71. 神田大作

    ○神田(大)委員 全国農業会議所の内田さんに伺いますが、今度の農業委員会法の一部改正案の一番大事な点は、組織の問題で、今まで選挙でもって委員を選ばれたものを、部落で推薦して町村長がそれを選任するという問題ですが、この問題について内田さんははっきりと、農業委員会としては今度の改正法案を支持すると申されておりますが、それに対する理由、どういう理由でそれを支持するかをはっきりと承わりたいと思います。
  72. 内田秀五郎

    内田参考人 組織の点で今お尋ねがあったのでありますが、私どもが現在御審議中の法案がよかろうということを考えておりますのは、いろいろな点がございますけれども、第一番に、今までの県の農業会議というものが実際農業委員会と地についたところの行動がとれていないということでありますが、今度の法案によりまして各部落選出から——これは先ほど来の人数の問題でありますが、法案の上に部落の制限はないと存じておりますから、部落を大きくすれば、人数の点も予定より少くなる。これは部落の組み方によってどうでもなろうと思うのであります。そういう点から考えまして、とにかく農民全体がこの選考に携って、これで農業委員会の役員が出せるということの方法をとっていただき、それがまた県との連携がよくなるということが、農政農民まで浸透する上においての第一のいいことであろう、こういうふうに考えて現在の法案がよかろう、こういうことを申し上げたわけであります。
  73. 神田大作

    ○神田(大)委員 今までの選挙でもって委員を民主的に選んだ方がいいんじゃないかとわれわれは考えているのですが、これをことさらに市町村の推薦あるいは部落の推薦、そういう形にどうして直さなければならないのですか。
  74. 池田斎

    池田参考人 選挙の方式か選任の方式がいいか、これは選出のやり方の問題で、公正に農民代表が出る選出の方法の研究の問題になると思うのであります。私どもは、先ほど会長も申しましたように、一定の部落でありますから——それは若干広域化してもかまわないと思うのでありますが……。   〔委員長退席吉川(久)委員長代理着席〕 一定の地域あるいは集落と申しますか、そういう区域を、特にこの際広域化した合併後の町村においては、そういうことを条例等できめて、そこで正しくこの農業委員会の新しい任務をになうような代表者が一号委員として出てくる。それにどういう方法が一番いいか、これは原案においては部落推薦に基いてこれを市町村長が任命する。従来の法律では公職選挙法に準じて現在の委員会の地区で行われておるわけでございますが、私どもは、現在の農村事情の推移と関連して、農政を浸透させるという新しい基本的な任務が、農村振興事業との関連において農業委員会市町村の官行を補完してやらなければならない重大な任務がございますので、その面ではどうしてもある程度地域を小さくし、そういう範囲から代表が出てそういうものに参画をする、こういうことが絶対に必要でありますので、要は選挙にするか推薦制にするかという問題は、選出の方法でございますので、私どもとしては、どちらがいいということを言い切ることは実はできないのではないか。何かお話によりますと、町村を小さく分けた小選挙区の形にして、それを公職選挙法に準じてやると国費が十七、八億も要るというような話も聞いておるのであります。経費の問題は国がお考えになることでありますから、われわれは別にどちらでもいいと思うのでありますが、とにかくできれば現在の財政の面においては経費を少くして、そういう公正なる選出の方法をぜひお考えを願いたい、こういう考え方であります。
  75. 神田大作

    ○神田(大)委員 時間もありませんから、私も簡単に質問しますから簡単にお答え願いたい。  農業会議所の皆さんは専門家でございますから、農村の部落というものがどういうことになっているかということはとうに御研究になっておると思いますが、今のような選挙を廃して推薦ということになると、一方に片寄った人たちが出てくる。われわれはそういう状態になるのではなかろうかと心配しておるのですが、そういう場合に、今でも階層別がなくなってからはどうしても片寄ったような人たちが多いように見受けられますが、それがより一そうそういう階層を離れた部落の力のある者が委員に推薦されて出てくる結果になると思いますが、その点どうお考えになりますか。
  76. 池田斎

    池田参考人 その点は、部落がいかに民主化されたと申しましても、やはり部落というものはまだまだ封建的なきずなのもとで地域社会としてでき上っておる、こういう問題がございますので、そういう面は確かにございますが、しかしながら、そこで私が先ほど申しましたように、部落推薦という形式が原案でございますが、もう少しそういう集落から公正な人を出せる方式はないものか、実は私ども十分研究はしておりませんか、ただしかし現在の公職選挙法に準じたこの前の農業委員選挙を見ても、大体八割は実際は選挙を行わないということで、実質的には部落の代表が出されて、無投票で行われている、これが実態でございます。従いまして、その辺の具体的な過去の経過と関連をして何か適切な方法がとれないものかということを実は私ども考えておりますが、国会におきましてもぜひお考えを願いたいというふうに考えております。
  77. 神田大作

    ○神田(大)委員 今部落を代表できるような、地域に均等した委員を出したいというお話ですが、私もそうなることは望ましいのですが、しかし推薦にしなければ絶対にそういうことにならぬということはないと思う。市町村選挙を見ても、一つ市町村選挙をやるが、たいがい地域的にある程度按配して出ている。それが今度農業委員会の場合になると、もっと地域的になるのではなかろうかとわれわれは考える。またこの前の選挙は無競争だと言われますけれども、皆さんも専門家でよく御承知ですが、どうして無競争が多かったかということをよく検討してみると、その土地の有力者と申しますか、町村長さんと申しますか、そういう人たちが無競争でやりたい、一つ選挙の煩を省いてやろうじゃないかというような上からの一つの圧力というと変ですが、そういう工作によって無競争になった部落が相当ある。ですから、無競争になったからもう選挙は要らぬということは、ちょっと合点がいかないのでございますが、その点どうですか。
  78. 池田斎

    池田参考人 私は、無競争になったから選挙の方式はだめだと申しておるのではございません。ただ今回かりにもう一回公職選挙法に準じて行いましても、実際的にはやはりそういうようなパーセントに近い、あるいはそれに前後したものが出るのではないか。これは選挙その他の啓蒙宣伝が足りないからという点もありましょう。しかしやはりそういう一つ地域集団におきまして、これはボスが工作するとかそういう問題はあくまでも回避しなければならぬと思いますが、やはりだれが見てもあの人にやってもらいたい、これが客観的にそうであるというような形で実際は出され、むしろ選挙をやったと同じような効果が出てきておる。しかもそれが実際的には無競争で行われた、そういう数もきわめて多いのではないか、こういうふうに実は考えるのであります。従ってこれは選挙の方式をとるのが建前上は私は一番いいと思います。しかし実際問題として国費をそう使わないで何かうまい方法はないか、(「そう遠慮する必要はないですよ」と呼ぶ者あり)こういうことをぜひ一つ考えいただきたいと思います。
  79. 神田大作

    ○神田(大)委員 非常に大事な点だと思うのですが、選挙をやるという建前によって話し合いが行われているからこそ、ある程度部落民の意思が公平に表現される。ところがこれが選挙制でなく推薦制ということになると、一人一人の農民の意思というものが公平に表現せられないのが、悲しいことだけれども日本の現在の部落の状態じゃないかと思います。だから選挙制というものがあってこそ、初めて無競争になっても公平に一人々々の意思が表現された人が委員に出てくるのであって選挙制度はやはり日本の一つの民主主義の基盤として残しておかなければならぬと考えますが、あなたも全国の農民の指導者なんですから、そういう点はっきり御認識願いたいと思います。
  80. 池田斎

    池田参考人 私も最も客観的な公正な選出の方法はやはり選挙の方式だと思います。従いまして、先ほどお話がございましたが、遠慮する必要はないじゃないかという観点から申しますと、これはきわめて小さいことになりますが、やはり部落的な集落を一つ選挙区とした、そういう姿での選挙法が、もし国家財政上許せるならばこれは一番いい方法だと思います。と申しますのは、農政浸透という新しい一つの問題、これが新しい今度の法律改正に基いた農業委員会の重要な使命であると同時に、日本の農政推進するために、諸般の情勢から振興事業中心として、そういう役割をになわなければならぬ。この問題を解決する方式としては、もし幾ら金がかかってもかまわぬ、しかもりっぱな選出の方法はということになりますと、ある一定の地域、これは単に農業地域とかいろいろな集落だけではないと思いますが、そういうものを一つの地区としてそれを選挙区とした選挙の方式、これが一番いいと思うのであります。従いまして農業会議所が特に申し上げたいことは、そういう農政浸透の面で、かなり地域代表した者が公平に出てきて、その意思が町村農業委員会に反映し、町村行政をバック・アップし、今の広域化しつつある町村合併によりますところの農政の後退をカバーする、こういうものができますれば、私はそういう方法が一番いいと思います。
  81. 神田大作

    ○神田(大)委員 全国農業協同組合中央会関係の方にちょっとお尋ねいたしますが、今度の改正でもって農業委員会事業というものがこの前よりも拡大されるような結果になると思うのですが、この点について競合の点が問題になると思います。あなたからは競合の問題について、ただ単に競合を避けたいと言われるだけでありますが、具体的にはさしずめ技術指導の面と病虫害防除の問題が競合になるだろうと思うのでありますが、そういう点についてあなたのもっと具体的な意見をちょっと聞きたいと思います。
  82. 森川武門

    森川参考人 これが行政機関的なものとしてやるということになりますれば、競合ということも根本的には省けていくのじゃないかと考えております。これが団体の問題で論議の中心になりましたように、いやしくもこの委員会を改組いたしまして新団体的のものを作っていこう、またそれに近づけていこうというような意図で運営されたならば、これは行政機関としての性格がぼやけてくるのでありまして、従って競合の面が鋭く出てくる。そこで農村においてはいろいろな摩擦が生ずるわけであります。たとえば農業技術の改良、農作物の病虫害の防除その他農業生産の増進、農業経営の合理化及び農民生活の改善をはかるために必要な事業推進に関する事項、あるいは農業生産、農業経営及び農民生活に関する調査及び研究、農業及び農民に関する事項についての啓蒙、宣伝、こういうようなことにつきまして行政機関としてやっていただくことはけっこうだと思いますが、あくまでも行政機関としての立場からやっていただくということでございまして農業団体としてやっていただくということとはおのずから別だということを私は強調したいと思います。そういう区別が明確でないと、そういうようなものがすべて経済行為等にも関連してくるということでございまして、そういう点は過去の苦い経験にかんがみましても、この際避けたいというふうに考えておるのであります。
  83. 神田大作

    ○神田(大)委員 これは非常に問題が大きいと思うのでありますが、行政機関的な仕事だけにとどめてもらって経済的な行為をやらないでくれというけれども、この農業委員会法等の一部改正案通りますれば、当然そういう仕事はやれるのです。そういうふうに希望的な観測をしても、実際問題として農業委員会立場に立ってやっていけば、あなたが今やっておる事業と必ず競合する面が出てくるのじゃないかと思います。こういう点は農業委員会におきましても、あるいは農業協同組合等におきましても、現実にぶつかる問題であろうと思います。この点競合しないということをはっきりと言い得るかどうかということを会議所の方にお聞きいたします。
  84. 池田斎

    池田参考人 その点は結局運用上の問題になると思うので、ありますが、幸い農業委員会の今度の改正法におきましては、広域町村になっておりましても、そこに協同組合の代表がすべて二号委員として参加しておるのであります。従って農業委員会はやはり行政機関として官行行政を補完していく、こういう面でおのずからそういうものの推進なりあるいは農民啓蒙宣伝もそういう分野において行われ、また農業委員会の中に組織員として農協も入っておりますので、運用上そういう競合のないようにやっていけるのじゃないかというように考えております。
  85. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 ただいま神田大作君の農業委員会法参考人に対する質疑中でございますが、これを後刻に譲りまして、農林漁業組合再建整備法の一部を改正する法律案についての参考人の御意見を伺うことを先にいたします。  ちょっとお諮りいたします。先ほど全国農業協同組合中央会森川参事から御意見を伺ったようでございます。従いまして森川君を除いて、この表にありますような、福岡県農協中央会の鬼木さん、全漁連の片柳さんから御意見を聞くことにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  86. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 御異議ないようでございますから、さようにいたします。  福岡県農協中央会の専務理事、鬼木文雄さん。
  87. 鬼木文雄

    ○鬼木参考人 それでは簡単に御意見を申し上げます。先ほどちょっと申し上げましたけれども、シャウプ勧告、ドッジ・ラインによりまして、私の県に三百の単協があるわけでございますが、そのうち約三分の一の七十一の組合が不振に陥ったわけでございます。ちょうど再建整備法という非常にありがたい法律ができましたために、今後の経営をどうするか、農協を解散する一歩手前に追い込まれておりましたこの七十一の組合、それから購販の連合会というものが、この再建整備の要件を満たすために役員の改選を行い、職員を整理し、団結をいたしまして新しい執行体制を作ったわけでございます。それから、新しく選任された各組合長は総会を開き、各部落常会を開いて、個々の農民に、政府から幸いこういう補助金があるんだから、奨励金があるんだから、どうか一つ千円なり二千円なり出資を増加してくれという運動を全県下にわたって展開したわけでございます。そういう関係で一応政府の方からいただきました出資奨励金なり、利子補給金というものは、簡単に申し上げますと人間が瀕死に陥った場合に輸血をされたものだと考えてもいいわけなんでございます。先ほど全中からお話がありましたように、今までいただいた補助金というものはすべて農協の経営を健全化するために血となり肉となしたものでございまして、いわゆる債務として別に勘定科目を設けまして、積み立てたものではないわけでございます。そういう関係から、五年間におきまして本県で政府からいただいております補助金の額は、約一億二千万円という巨額に上っております。そういう関係で、ようやく一人前になったと申しますか、健全な経営ができるし、農民の期待に沿えるだけの協同組合運動がこれから展開されるという段階になっているわけでございますが、万一法の通りに、あの金は立てかえておったのだ、しかも、今までの利子をつけて返してくれというような声でも単協で聞きましたならば、おそらく貧血症状を起して、もしこれが実行されるということになりますと、何のために再建整備法がしかれ、単協の不振をここまで持ってきたありがたさというものが何のため、あったのかということを、われわれは非常に遺憾に存ずる次第でございます。ちょうどあの当時、占領政策と占領経済政策というものが織り込まれまして、奨励金という名前あるいは融資金という名前——これも英語と日本語の翻訳の関係かとも思いますけれども、そういう関係になった。農協としましてはあくまでも助成金だ、いわゆる誘い水だという気持でいただいてそれを活用させていただいております関係で、万一十四条というものを復活される場合には、おそらく全国約二千の組合というものは再び貧血症状を起すという段階もはかりしれない状態でございますから、どうか一つ削除なりその他の方法によって、この金はとっていただきませんようにお願い申し上げる次第でございます。
  88. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 次に全国漁業協同組合連合会会長、片柳真吉君にお願いします。
  89. 片柳真吉

    ○片柳参考人 全漁連の会長としまして、この法案に対しまして意見を申し上げます。  問題は、第四条の再建整備の目標の期限の延長の点と、第十四条の奨励金の還付の問題のようでありますので、簡潔に意見を申し上げたいと存じます。  まず期限延長の点でありますが、結論といたしましては、すでに提案されておりますように、少くとも二年は延長願いたいということでございます。現在の漁業協同組合なりあるいは連合会の状況を申し上げますと、対象組合が単協が五百十九でありますが、自己資本が法定の額に達しておらないものの数が、二十九年度末の現況でありますが、単位組合で三億五千二百万円、連合会で、三十四のうち法定の額に達しません不足額が三億九千二百万円であります。これを組合なり連合会の数で申し上げますと、組合は五百十九のうち、二十九年が百六十四組合が達成しておりますし、三十年は、推定でありますが、二百二十七であります。そうしますと、最終で目標を達成される合計が三百九十一でありまして単位組合が五百十九、連合会が三十四でありますので、なお未達成の組合が百六十二の数を残しております。  そこで漁業協同組合の現状でありますが、もちろん農協の方もいろいろ今日まで御苦心の点が多いと私は拝承しておりまするが、漁業協同組合の方は実はそれ以上にもっとおくれておるというのが一般論であります。さらに別の面から過去五年を振り返ってみますると、漁業につきましてはすべての悪条件が実は山積をしておると思うのでありましてたとえば問題の李承晩ラインの問題なり、あるいは最近ようやく民間で協定はできましたけれども、日中の漁業協定もできたような状況でもありまするし、あるいは原爆の実験等でカツオ、マグロ等の漁業は実は非常な制約を受けておるのでありまして、結論から申しますると、過去の再建整備期間の五年間というものは、漁業についてはきわめて不利な環境にあったということが指摘できると思うのでありまして、そういう点からも少くとも二年の延長は必要ではないかと思います。特に協同組合運動は全国的な系統運動が整備されませんと、協同組合の力が発揮されませんことは申すまでもないのでありますが、われわれ全漁連もようやく二十七年にできまして再出発をいたしたような状況でありまして、ほんとうの漁業協同組合運動も、実は今後に問題が残っているということも言えると思うのであります。さらに漁業組合連合会の整備促進の点から見て参りましても、農業連合会の方はほぼ整備促進による指定が終りまして、漸次整備が促進されておりますか、漁連の方は今日まで指定をされましたものはきわめてわずかでございまして、今後さらに整備促進法の適用を受けなければならぬという状況であります。この整備促進法につなぐ観点からも少くとも二年というような期限の延長は絶対に必要ではないかと思うのでのりましてその趣旨におきまして提案されております法律案には、まず全側的に賛成をいたす次第であります。その次は第十四条の奨励金の問題でのりますが、結論といたしましては他の御両人から言われた点と同じであります。私もまだ就任わずかでありますが、過去の経緯をいろいろ聞いてみますと、まずこの十四条が占領下においてできました立法でありますることは申すまでもないのでありまして、先ほど福岡の方からもお話がありましたように、これはどうも当時の占領軍当局からの強い指示でかような十四条が入ったというふうに私どもも聞いておりまして、従いまして本法の普及なり指導につきましては、だれがどう言ったかということは指摘ができないようでありますが、全体の雰囲気としてはこれはあくまで出しっぱなしの奨励金であって、実体的には返す必要がないということで、これは明瞭に全国的にそういう雰囲気の中に指導されたことは間違いがないようでございます。従いまして、全国の連合会も組合も、まさかこの奨励金が返されるということは夢にも実は考えておらない。これは実態のようであります。だれがどう言ったかというようなことはなかなか指摘ができないようでありますが、この事実は特に本案の審議におきましても一つ御銘記を願いたい点であります。  さらに先ほどもすでに御説明がありましたが、整備促進法の適用を受けた連合会の整備計画を立てる場合におきましても、この奨励金につきましては、これを返すという計画には全然なっておらないのでありまして、これは整備促進法の第六条で、これが適当であるかということは主務大臣の認定を得ることになっておるようでありまして、主務大臣は、要するに奨励金を返さないという計画につきまして、これを適当なりとして認定をいたしておるようなわけでありまして、こういう点からも、これは返すということにはいずれにいたしましても考えておらないのであります。大体私どもが見て参りましても、他にも返す例も若干はあるそうでありまするけれども農村なり漁村に対する奨励金等で利子をつけて返せというような奨励金は、おそらく農漁村に対する政策としては私は例がないと思うのでありまして、これは実体的には補助金で、要するに利子をつけて返す融資と同じではないというように思うのでありまして、これはあくまで奨励金でありますので、また以上申し上げました過去の経緯からいたしましても、これはぜひとも削除をされまして、今日までの実態に適応するような御措置をお願いいたしたいと思うのであります。  漁連関係では今日まで奨励金の交付されました総額は、三億九千万円をこしておりまして、これは決して漁業協同組合の実態からしますれば軽視できない金額であるのでありまして、どうぞ第十四条につきましては、ほのかに聞きますると、当委員会におきましてもいろいろ意見があるそうでありますが、私は最近就任いたしまして、全く白紙の立場で過去の経過を調査いたしましたわけでありますが、どうもこれを返すということは、経緯に照らしましても反するようでありまするし、また奨励金をもらってようやく再建整備ができるというものを、できた瞬間にこれを返すということでは、これは立法の趣旨にも反するというふうに考えるのでありまして、すでに賢明なる議員の皆様でありますから、これ以上付加する必要はないと思うのでありましてどうぞ期限延長及び十四条の削除につきましては、ぜひともすでにブランクができておるような現状でありますので、本国会におきまして成立をいたしまするように特にお願いを申し上げる次第であります。
  90. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 速記をとめて。   〔速記中止〕
  91. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 速記を始めて下さい。  それでは先ほど理事の皆さんとの申し合せもございますので、暫時休憩をいたします。    午後零時五十一分休憩      ————◇—————    午後一時五十四分開議
  92. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 再開いたします。  この際お諮りいたします。本日御出席をいただきました参考人各位には明日も午前十時より本委員会に御出席お願いすることといたし、なお参考人の御都合の悪い方もあるかと思いますので、その際は委員長において適宜参考人の選定をいたすことに御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 御異議なしと認めます。  それでは参考人各位お願い申し上げますが、ただいまお聞きの通り決定いたしましたので、まことに恐縮でありますが、明日午前十時より本委員会に御出席下さるようお願いいたします。  なお御都合の悪い方はあとで委員長まで申し出を願います。  先ほど議事進行をもって芳賀委員から御発言がありました全国農業協同組合中央会長の荷見安君の本日出席のないことは、委員長もはなはだ遺憾に存じます。明日は本委員会からあらためて出席要求をいたしますが、森川参事からも本日の趣きを会長にお伝えをお願いいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十六分散会