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城倉参考人 先ほど来いろいろ御
意見があったようでありますが、
農業委員会の
立場から、今度の
改正法案に対する
意見を申し上げて御
参考に供したいと思っておるわけであります。
先ほど来お話のありましたこの
法案につきましては、この前の
国会以来われわれはあらゆる
機関を通じてこの
法案の通過を
陳情申し上げておったわけでありますけれ
ども、今回さらに
継続審議になった母上は、ぜひともこの
法案を通過さしていただくように御
努力を願いたいと思うわけであります。
そこで、この
法案の内容について先ほど来いろいろ御
意見があったようでございますが、われわれ現地の
委員会としてこの
法案の内容を一応集約してみますと、その第一といたしまして、
委員会の
組織に関すること、それからその第二といたしまして
委員会の業務の
運営に関すること、その第三といたしまして
委員会の
経費の
関係についてのことでございますけれ
ども、こうした点が、集約してまず
考えられる点じゃないかと思うわけであります。
そこでその
一つとして
委員会の
組織に関する点、これは先ほど来
農業会議の方からの
意見もございました
通り、われわれ現地の
農業委員会といたしましても
原案の方法でいくことは差しつかえないと思うわけであります。内容にあります
通り、この
委員の選出方法が部落単位になっておりまして、これが一号
委員、さらに農協、共済あるいは
学識経験者というような
関係から二号、三号
委員というように出て、
委員会が構成されることになっておるわけであります。これはわれわれ
委員会が日常現在まで業務をやっております上に、この
組織で行われることがおそらく最下部の農家との接触はもちろん、横の線で農協であるとかあるいは共済組合であるとかいうようなものと一体となって、合理的な
運営をなし得るものであるということを強く感じておるのでございまして、従って
町村合併によりまして
委員会を統合した
地域もあるわけでありますが、実際の
運営の面では従来と同じような、
委員の補助員というようなものを置かなければ仕事ができないというのが現在の
委員会の実態でございまして、長野県の松本市、長野市のごときは、一応
委員会を合併によって統合いたしましたが、やはり各地区、地区というのは旧村の
関係でございますが、こういうところから相当数の補助員のような形のものが出ていなければ、重要な農地などの問題はなかなか
審議が困難であるというようなことで、補助員制度のようなものを設けているような実情でございますが、今回のこの方法によりますれば、各地区から
委員が相当数出て参りますので、私らが
考えますと、百戸ないし百五十戸から一人ぐらいの割になるのじゃないかというふうに
考えておりますけれ
ども、こういうことになって出ることによりまして、
委員会の
運営も末端とよく
つながりがつき、また農家のいわゆる
農民の
考えというものが率直に
委員会に通じてくるというふうに
考えておるわけでございます。
またさらに今回の
法案による地区
委員会の
会長が県
農業会議の議員になります。この方法についても、現在長野県の
農業会議は、やはり
農業会議員だけの会合ではまずいということで、隔月ぐらいに県
農業会議の議員のほかに、各郡市の
農業委員会の
会長をまじえた
会議をやっておるような状態でありまして、こうしたわれわれの
考えている線とも合致するものでありまして、これによって
農政の下部への徹底と浸透、それから
事業の
実施が円滑に行われるものである、こういうふうに
考えて、この
法案のまず
組織の
関係については
改正案で適切なものであるとわれわれは
考えておるわけでございます。
その次に第二点といたしまして
委員会の業務の
運営の面のことでございますが、これについてはただいまも申し上げた
通り、また先ほどお話もあったのでございますが、
委員会は市
町村長のいわゆる諮問に答申をし、あるいは建議をするというような漠とした面が今までの状態であったわけでございますが、これは今回の
法律の
改正によりましてこうした点がはっきりしてくるわけでありまして、末端とこうしたことによって接触することによりまして、いわゆる農地
行政というようなものがより強化されていくのじゃないか、こういうふうに
考えられます。最近
農業委員会のいわゆる弱体化であるとか、あるいは
機能を完全に果していないというようなことが言われているようなこともわれわれ聞いておりますけれ
ども、末端の
農業委員会はあくまでも農地法に示されましたいわゆる自作農創設維持法による、その後の農地の問題につきましては慎重にこれと取り組みまして、農家の経営の維持その他の面とあわせて全く法の趣旨を貫徹すべく今日まで
努力しておるわけでありまして、もし
委員会の
活動があるいは鈍っているとかどうとかいうようなことがあるとすれば、最近非常に多くなっております農地の売買の
関係でございますが、これはいわゆる法の
一つの盲点と申しますか、欠点でありまして、せっかく国が農地解放をして自作農創設維持をやっておるにもかかわらず、その農地が現在あるいは十五万であるとかあるいは三十万であるとかいうような価格でどんどん売買されている、これはわれわれ
農業委員会としても非常に不満であるわけでございまして、こうした点はいわゆる
法律の
改正をしていただかなければおそらく是正されないのではないかというふうに
考えております。
そのほか
農村振興事業の
推進であるとか、あるいは改良普及員制度と関連した
農業技術の普及あるいは各種
団体との協力態勢というようなことが、この
法案の
改正によって、
事業の面におきましても非常に円滑に進められていくのじゃないかということが
考えられるわけであります。
さらにその第三といたしまして
委員会の
経費に関してのことでございます。
先ほど来
委員会の職員の費用の
関係とかいろいろお話もあったわけでございますが、実際にわれわれが
委員会の
事業をやっておりまして、非常に広範囲な、しかも目に見えないような縁の下の力持ちの仕事を実はやっておるわけであります。それにもかかわらず
委員会に対する国の補助あるいはその他の
関係の金額が年々削減されておりまして、すでにこの内容につきましては議員の
皆様方が御
承知の
通りでございますので申し上げませんが、特に
お願い申し上げたいことは、現在の職員は、
昭和二十九年に農林省の通達によりまして職員整備措置要領というものが各
市町村に通達されまして、技術職員一名、事務職員一名、計二名を各
委員会が設置しておるわけであります。これに対する国の助成が、二十九年においては一人三分の一の助成、三十年度においては一・一人分、さらに三十一年度に入りましては三分の二人分というような工合に非常に大きく減額されておるようなわけでありまして、
財政の困窮しておる
市町村においては、やむを得ず退職した職員の補充を一時差し控えていくとかいうようなことをやって、ようやく
委員会の事務を間に合しておるというような状態でございまして、そのかわり技術職員が事務職員の仕事まで兼ねてやっているというような実情であるわけでございまして、こうした職員の
関係の給与の面について、
委員会の助成とあわせて、ぜひこの増額方を
法案の通過とともに御協力願いたい、このように
考えるわけであります。
以上、簡単でございますが、現地の
委員会としての
意見を申し上げた次第であります。