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1956-11-16 第25回国会 衆議院 農林水産委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年十一月十六日(金曜日)     午前十一時十一分開議  出席委員    委員長 村松 久義君    理事 吉川 久衛君 理事 笹山茂太郎君    理事 白浜 仁吉君 理事 助川 良平君    理事 田口長治郎君 理事 中村 時雄君    理事 芳賀  貢君       足立 篤郎君    安藤  覺君       伊東 岩男君    石坂  繁君       大野 市郎君    大森 玉木君       川村善八郎君    木村 文男君       楠美 省吾君    高村 坂彦君       小枝 一雄君    鈴木 善幸君       綱島 正興君    原  捨思君       本名  武君    松浦 東介君       松野 頼三君    赤路 友藏君       足鹿  覺君    淡谷 悠藏君       伊瀬幸太郎君    井谷 正吉君       稲富 稜人君    石田 宥全君       小川 豊明君    川俣 清音君       神田 大作君    田中幾三郎君       中村 英男君    日野 吉夫君       細迫 兼光君    久保田 豊君  出席政府委員         農林政務次官  大石 武一君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   大村 筆雄君         農林事務官         (大臣官房長) 永野 正二君         農林事務官         (農林経済局         長)      渡部 伍良君         農林事務官         (農林経済局金         融課長)    和田 正明君         農林事務官         (農地局管理部         長)      立川 宗保君         農林事務官          (振興局総務課         長)      酒折 武弘君         農林事務官         (食糧庁総務部         企画課長)   中西 一郎君         農 林 技 官         (林野庁指導部         長)      仰木 重蔵君         農林事務官         (水産庁次長) 奥原日出男君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 十月三十一日  委員森三樹二君辞任につき、その補欠として中  村英男君が議長指名委員に選任された。 十一月二日  委員永井勝次郎辞任につき、その補欠として  田中幾三郎君が議長指名委員に選任された。 同月八日  委員赤松勇辞任につき、その補欠として石田  宥全君議長指名委員に選任された。 同月十日  委員足鹿覺君、石村英雄君、山本幸一君及び渡  辺惣蔵辞任につき、その補欠として淡谷悠藏  君、赤路友藏君、井谷正吉君及び日野吉夫君が  議長指名委員に選任された。 同月十六日  委員赤澤正道君、石田宥全君稲富稜人君及び  日野吉夫辞任につき、その補欠として高村坂  彦君足鹿覺君、川俣清音君及び細迫兼光君が  議長指名委員に選任された。 同日  委員高村坂彦君足鹿覺君、川俣清音君及び細  迫兼光辞任につき、その補欠として赤澤正道  君、石田宥全君稲富稜人君及び日野吉夫君が  議長指名委員に選任された。 同日  理事稲富稜人君理事辞任につき、その補欠とし  て中村時雄君が理事に当選した。     ————————————— 十一月十二日  昭和二十九年度までの災害に係る農林水産業施  設の災害復旧事業実施についての善後措置に  関する法律案稲富稜人君外三十四名提出、第  二十四回国会衆法第四八号)  農林漁業組合再建整備法の一部を改正する法律  案(芳賀貢君外十二名提出、第二十四回国会衆  法第五七号)  農業委員会等に関する法律の一部を改正する法  律案内閣提出、第二十四回国会閣法第一六三  号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  小委員及び小委員長の選任  国政調査承認要求に関する件  農林漁業災害対策に関し説明聴取風水害による農  林漁業災害対策に関する小委員会及び冷害対策に  関する小委員会設置の件     —————————————
  2. 村松久義

    村松委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りいたします。理事稲富稜人君より理事辞任いたしたいとの申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 村松久義

    村松委員長 御異議なしと認めます。つきましては、その補欠を選任いたしたいと思いますが、これを委員長において指名いたすことに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 村松久義

    村松委員長 御異議なしと認め、中村時雄君を指名いたします。  この際念のために御報告申し上げますが、先国会より継続審査になっております内閣提出農業委員会等に関する法律の一部を改正する法律案外二件が、去る十二日本委員会に付託になっておりますので、御承知おきを願います。     —————————————
  5. 村松久義

    村松委員長 これより国政調査承認要求の件についてお諮りいたします。今国会におきましても、農林水産業振興をはかり、特に本年の台風、水害、冷害等による農林災害対策について閉会中の本委員会において策定いたしました諸事項の実行を期するため、農林水産業の基本的問題について調査を進めて参りたいと存じます。つきましては、次の諸事項について議長に対し国政調査承認を求めたいと思います。  すなわち調査する事項といたしましては、一、食糧に関する事項、二、肥料に関する事項、三、畜産に関する事項、四、蚕糸に関する事項、五、農地に関する事項、六、林野に関する事項、七、漁業制度に関する事項、八、公海漁業及び沿岸漁業に関する事項、九、漁港及び漁船に関する事項、十、農業団体及び水産業団体に関する事項、十一、農業災害及び漁業災害に関する事項、十二、農林水産金融に関する事項、以上の十二項目であります。  なお右のほか、衆議院規則第九十四条第二項に規定する事項につきましては、前国会通りといたしまして、承認を求めることにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 村松久義

    村松委員長 御異議なしと認め、さように決定をいたします。     —————————————
  7. 村松久義

    村松委員長 引き続き、これより政府農林漁業災害対策について説明聴取を行いますが、先ほども申し上げました通り、本委員会閉会中に種々の対策決議し、これを政府に送付して、これが早急な実施要望して参りましたが、この際これら対策実施状況について政府より説明をお願いするとともに、あわせて東北冷害に対する施策並び山口県の塩害等に対しても、質疑応答の形で説明聴取を行いたいと思います。政府説明を求めます。渡部農林経済局長
  8. 渡部伍良

    渡部説明員 それでは本年の台風あるいは冷害被害状況並びにこれに対しまして今まで政府でとりました対策につきまして御説明申し上げます。  まず台風関係でありますが、本年本邦を襲って被害をもたらしましたおもな台風は、八月十七、八日の第九号台風、九月九、十日の第十二号台風、九月二十六、七日の第十五号台風の三台風であります。そのおもなる被害地域は、第九号、第十二号台風にありましては九州四国及び北陸地方の一部、第十五号台風にありましては四国及び東海地方でありまして、特に西北九州一帯につきましては、九号、十二号の災害が重なりまして、相当激甚な被害をこうむっておるのであります。それによりましてこうむりました被害は、第九号台風におきましては農作物関係におきまして九十八億、農地関係が三億、林野関係が二億、水産関係が二十五億合計百三十億の被害であります。第十二号台風におきましては、農作物関係が百七億、農地関係が四億、林野が五億、水産関係が十五億、合計百三十二億になっております。第十五号台風におきましては、農作物関係が比較的少くて十二億、農地関係が十五億、林野関係が十一億、水産関係が三億、合計四十二億、そういうふうになっております。  これらにつきましては、閉会中本委員会の小委員会等でたびたび御検討が加えられまして、九月十一日付の本委員会決議、十月十日付の十二号台風に関する本委員会決議、十五号台風に関する十月三十日付の決議がありまして、いろいろな対策実施決議されたのであります。それに基きましてこれが具体的な施策につきまして、農林省におきましては諸施策を講じてきておるのでありますが、そのあらましは次の通りであります。  まず第一に、農林水産関係施設復旧につきましては、農地及び農業施設につきましては、九号台風の全部及び十二号台風の一部分査定が終りまして、これに伴います本年度予備費支出一億八千六百五十万円が、もうすでに配分になっておりまして、残余の部分につきましても急いで査定を続けておりまして、査定を終りますれば右に準じて予備費支出することになっております。  漁港施設につきましては大半の査定を終りまして、現在までに本年度予備費一億一千七百二十六万円を決定しまして、配分を了しております。これまた農地及び農業施設に対するのと同様に、残りの部分査定の完了を急いでおりまして、同様の処置をとりたいと思います。治山、林道関係につきましても同様であります。  次に金融措置でありますが、経営資金につきましては、天災法によりまして政令指定を行いまして、九号台風にかかる分、六月から八月までの豪雨にかかる分も含めまして十六億の配分を行い、十二号及び十五号台風にかかるものにつきましては、十一月十四日付をもって政令を公布しまして、六億の融資を行うことになって、今配分手続をいたしております。  個人施設災害復旧につきましては十月二十五日付で、畜舎、推肥舎、農舎設備山地製材工場、網干し場、生産工場漁船等、それぞれ主務大臣指定を行いまして、農林漁業金融公庫資金による融資の道を講ずることにいたして、手続を進めております。さらに十二号、十五号台風にかかる分につきましても、十一月十五日付で指定を行いました。  耕地及びその他公共用施設災害復旧資金についての公庫融資分につきましては、今まで配分したものが六億円に上っております。  自作農創設資金の分につきましては、十二号台風以前の災害にかかる分につきましては四億円を配分いたしました。それ以降の分につきましては、ただいま大蔵省お話ししております。それから農業共済金につきましては、仮払いを行いまして、その仮払いに必要な資金農業共済基金から融資いたしております。すでに行なつた県は福島、富山、石川、佐賀、長崎の各県であります。  さらに樹勢回復肥料代金、病虫害の防除費その他の補助金に該当する部分につきましては、ただいま大蔵省予備費要求を折衝中であります。  以上が台風関係施策の経過であります。  次に冷害関係であります。冷害関係は、北海道の分と内地の分を別にしてやつております。  北海道の分は、これまた本委員会の小委員会等において詳細に御討議がなされまして、この分につきましては一応対策を完了いたしまして、ただいま実施中であります。その概要を申しますと、まず救農土木につきましては、農林省以外の建設省、運輸省等の分を含めまして三十億円余りを得せしめるために、これを行うことにしております。そのうち農林省関係の分は、救農土木といたしましては約十二億が農林省一般会計、そのほかに国有林特別会計で五億九千を支出することにいたしております。  金融措置につきましては、北海道の分といたしましては、百五十億を天災法に基く融資として出すことにいたしております。これは本年度の分と従来の借りかえ分を含めておるのであります。それから自作農資金につきましては、七億八千万円を北海道の分として決定いたしております。農業共済金の支払いは、年内に払うつもりでただいませっかく資料を整備しております。さらに種もみ代でありますとか、そのほか農作物種子代補助等につきましても、予備費その他既定経費流用等の計画をきめまして、現在実施をいたしております。  内地の分の冷麦につきましては、おもなる地方、青森、岩手、秋田、宮城、福島岐阜等の高冷地冷害実情を見ておるのであります。その被害総額は、水稲、陸稲あわせて五十四億、雑穀一億、総被害額は五十六億円余りになっております。御承知のように内地の平地の作柄は相当いいのでありますけれども、この高冷地冷害は、各県に局部的に発生いたしておりますので、その被害態様の把握が非常に困難でありまして、私の方におきましても統計調査部を動員いたしまして、できるだけ詳細な調査をいたして参っております関係上、やっと、ただいま申し上げましたような被害総額が把握できまして、さらに、これに対しまして対策を講ずるためには、町村別被害態様等を把握いたさないと必要な諸施策の立案ができませんので、その調査もいたしまして、さしあたり、天災法に基く営農資金として十億を決定いたしまして、これを配分することにいたしております。その政令北海道の分とあわせて、十一月十四日に実施しております。そのほかの補助金につきましては、救農土木法冷害態様に応じてその所要額の算定をいたしまして、予備金要求等をいたしたいと考えております。これらにつきましては、もう数日いたしませんと結果が出てこないので、目下関係各局で協議をいたしておるような状況であります。  以上台風及び冷害に対する被害概況対策概況であります。
  9. 村松久義

    村松委員長 政府説明に対する質疑の通告があります。これを許します。高村坂彦君
  10. 高村坂彦

    高村委員 私も政府の御説明を伺いまして、着々と施策を進めていただいて、いることは了承いたしましたが、実は山口県の第九号並びに第十二号による災害は、その災害内容というものがまだ十分に御理解をいただいていない点もあるかと思いますので、災害実態等について若干申し上げましてお願いを申し上げたいと存じます。  まず今回の台風は、先ほど地元から陳情も実は本委員会にありました。実は台風と申しましても雨を伴わない台風でございまして、従って初めは大したことがないように外見上見えたのでございます。ところが日がたつに従いましてその被害が甚大であることが漸次明らかになって、収獲をしてみますとますますその被害が甚大になっておる。従って今日県当局で調べました被害状況を見ますと、水稲耕作面積が約六万町歩のうちで五万町歩被害を受けているような状態でございます。その減収による被害だけを見ましても、二十四億円に現在の状態で達していると言われておりますが、さらにこれは収獲が全部終りますと、その被害額は上昇すると認められるような状態なわけでございます。そこで農民等は非常な衝撃を受けまして、全く仕事が手につかないといったような状態でございまして、各所で農民大会等を開いてこれが救済を叫んでおるような状態でございます。悲痛な内容を持った陳情等も続々来ておるような状態でございますが、ただいま申しましたような被害特殊状態がございますから、本委員会で過般決議をいたしまして当局にその施策を求めたわけでございますが、特にこうした特殊な事情にある被害地対策につきましては、当委員会で決定いたしました内容実施につきましても、十分御考慮を仰ぎたいと存ずるわけでございます。ことに普通の台風でございますと、洪水等も伴いまして橋が流れる、道路がこわれる、堤防が決壊する、こういうようなことで、その復旧について当然労銀等も落ちるような事業が起るわけであります。ところが今申しましたような特殊な災害でございますから、ただ被害が起きてあとに農民等に収入を得る道が全然ない、こういうような状態でございます。従いましてこうした地域に対する施策につきましては、政府としても特にお考えをいただいて、冷害地方で行われておりますと同じような、将来は救農土木事業等をぜひ一つ考慮していただきたい。全く再生産の気力すら失って生活ができない、こういうものも相当出ておるわけでございますが、ぜひ一つ政府において、こうした山口県下の今回の台風による被害一般台風による被害とは違った内容を持ったものである、こういうことを十分一つ考慮をいただいて、そうしてこれを十分前提とした効果のある施策をやっていただきたい。それにつきまして当局としてどういうふうなお考えを持っておられますか、一つこの際伺うことができますならば非常に仕合せなことでございます。
  11. 大石武一

    大石(武)政府委員 山口県の風害につきましては、高村先生を初め各先生方並びに県の皆様から始終いろいろ御説明陳情がございまして、私どもも十分にその被害については認識いたしておると考えております。従いましてでき得る限りの災害復旧と申しますか、そのことには力をいたす覚悟をしてその手続を講じて参っておりました。もちろん日本国被害を受けた全体のものとのつり合いもございますが、山口県にはいろいろと十分に心を配っておると私ども考えております。(「ほかはどうするんだ」と呼ぶ者あり)言葉が少し間違いましたが、一般復旧対策と落ちのないように十分に並行してその対策を講じておるつもりでございます。ただいま救農土木お話がございましてごもっともと思いますが、実はそのことについてもいろいろ考慮いたしておりますけれども山口県並びに山陰地方につきましてはなかなか思うような、十分に効果のある早急の土木と申しますか、そういうものが今あまり見出せませんので、このことにつきましてもでき得る限り努力いたしまして、効果のあるよい事業を探してできるだけ御期待に沿いたいと心から念願しております。なおその対策の御紹介につきまして御要望がありますれば、しかるべく局長なり課長から御答弁いたさせます。
  12. 高村坂彦

    高村委員 ただいま大石政務次官から御理解のある御答弁をいただきましたが、先ほども申しましたように、救農土木事業というのは一例をあげて申し上げたにすぎないわけでございます。すでに現地をごらんいただいて御承知のように、大島郡地方の柑橘のごときはほとんど全滅のような状態でございます。これは数年その被害は続くわけでございます。そういうような状態でございますから、そういったものに対する特別なる施策といったようなこともぜひお考えいただきたいと思います。なお具体的な問題もいろいろお聞きいたしたいのでございますが、一地方のことだけをお聞きするのはどうかと思いますので、この点はまた当局の方にそれぞれ県当局や、そのほかからも御折衝申し上げると思いますから、お含みの上でぜひ一つ有効なる施策をお願いいたしたい。いろいろな点でお願いいたしますが、それは今後にいたします。これをもちまして私の質問を終りたいと思います。
  13. 村松久義

  14. 足鹿覺

    足鹿委員 先般来冷害は別といたしまして、その他の地区における十二号、九号、十五号の被害対策について、先ほど局長から御説明があったわけでございますが、それによりますと、政府対策はきわめて消極的であり、実際的には天災融資法一本やりというような感じでありますが、本委員会議決とはなはだしく相隔たっておるように見えるのであります。たとえば十月三十日に農林省案として一応御構想になったままで、しかもなお大蔵省と話のつかない、農林省だけの考え方のものにしてみて、わずかに六千万円余というふうに私どもは聞いておるのであります。さようなことで果して現地の——ただいまも山口からいろいろとお話がありまして、私ども山口県の現地調査には参ったのであります。意外にその被害が大きいことは、私ども現地調査でよく見てきておりまして、それらを含みますと、私ども考え方からいたしますならば、農林委員会議決事項を、少くとも具体的に補正をとり、あるいは予備費をもってまかない得る数字であります。大体において営農資材対策から始まりまして、特に救農土木対策等現地要望をいれて、一応数字を当ってみますと、六億一千万程度で現地要望は一応ある程度かなえてあげることができるようになると思うのであります。にもかかわらず、六千万円もいまだに大蔵省と話し合いがつかないということで、一体この委員会議決というものはどういうことになるのか。北海道及び東北地方冷害と相並行して、もっと真剣に政府としては対策を講じらるべきものであると私は思うのであります。たまたま農林大臣日ソ交渉で向うに行かれておったので、手薄い感じはあったとは存じますが、農林政務次官も、その実情についてはよく御存じになり、この委員会にしばしば御出席になって、委員会の趣旨を尊重し、その実現に努力すると言明しておられますが、今のような状態では、全く空文に終っておるようであります。どういう措置をお講じになる方針でありますか、この際確たる態度を明らかにしていただきたいと思うのです。
  15. 大石武一

    大石(武)政府委員 ただいま足鹿先生よりおしかりを受けまして、心から恐縮する次第でございます。お説の通り、われわれは委員会の御議決を尊重いたしまして、でき得る限り努力した所存でございます。しかしながら仰せ通り大臣もおりませんし、われわれの能力も不十分であった点もございましょう、必ずしも全面的に御期待に沿えない点もございますので、非常に残念に思っております。大体の大筋はいろいろいたしておると思いますけれども仰せ通りなお予備費のうち六千万円余りの問題が現に残っておる事情でございまして、これもできる限り御期待に沿うように目下大いに努力して、その効果を上げたいと念願しておる次第でございます。なお、具体的な問題につきましては、農林経済局長よりお答えいたさせたいと思います。
  16. 渡部伍良

    渡部説明員 私の方では、補助の分につきましては、府県要求をもとにしまして、統計調査部等資料に基きまして、所要金額を算定いたしまして、大蔵省要求をいたしておるのであります。何と申しましても、損害が局部的でありまして、局部的には非常にひどいのでありますが、延びと申しますか、広がりは幸いにしてあまり大きくないのであります。従いまして、府県から出されております補助金要求に比べましては、相当の隔たりのあることは御指摘の通りであります。しかし私どもといたしましては、事務的に各それぞれの原局におきまして綿密な調査も重ねまして、補助金を出しておるのであります。府県要求と開きのあることはやむを得ないと思います。さらにこれを大蔵省に十月末に出しまして、まだ結論が出てないことは、私どもの力の足らないところであります。御承知のように大蔵省の方も金の支出については非常にしわいのであります。もう少しおひまをいただきたい、こういうように考えるのであります。
  17. 中村時雄

    中村(時)委員 関連して……。今足鹿委員から言ったように、実際の問題として財政処置の六千万円のことだけを言ったわけなんですが、その六千万円の財政処置に対する見通しですね。たとえば肥料代金補助農薬代金補助あるいは防除機具補助あるいは営農指導費、そういうような問題の解決というものは、あなた方は今まで口先だけでは言っておるのです。ところが実際それができるのかできないのかという見通しを言ったことはない、努力をしておりますということだけば言うが、もう台風になってからどのくらいになりましたか、あなた方はその見通しとしてはどういうふうに考えておりますか。  それからもう一点は、たとえば北海道の問題にも関連があるわけなんですが、予約米概算払いに対しても、一般災害に対してはどういうような考えを持っておるのか、その点も基本的にはっきり打ち出されたことはない。しかも決議は十二の決議を行なっておる。それに対して、特にこれは政治的な大きな問題が出てきますから、この予約米概算払いに対しては政務次官から答弁を願い、ほかの詳細に関しては局長からこの肥料代金の内訳あるいは農薬代金の内訳、すなわち財政処置としての問題をもう少し詳しく説明を聞きたいと思います。
  18. 大石武一

    大石(武)政府委員 ただいまの中村委員の御質問のうち、予約米の概算金の問題についてお答えいたします。これは目下食糧庁が中心となりまして、大体の成案を得ております。利子の補給の問題、それを政府でどのくらい持つか、あるいは金利をどのくらいにするかということについて大体の成案を得ておりますので、今その成案を固めて皆さんに御相談申し上げたいと思っておる次第であります。もし御質問がございますならば、その際は食糧庁の方から具体的にお答えいたさせたいと思います。
  19. 中西一郎

    ○中西説明員 予約制に基きます政府が出しておる石当り二千円の概算金についての処置のお尋ねでございますが、現在のところ大別して二つの考え方を中心にして考えを進めて諮ります。一つは概算金が出ましたのは、予約と同時に政府が支払っておりますので、それ以降十二月の末まで——と申しますのは、十二月の末は予約の米穀を出してもらって、それで概算金を落していただく一応の期限になっております、それまでに米の売り渡しができなかった、そのために現金で政府にこの概算金を返納しなければならない、十二月末にそういうことになる農家が相当数あると予想されるわけです。そういう農家につきましてはその間の金利、日歩二銭五厘でございますけれども、それを被害が相当大きいという認定をいたした上で減免の措置を講じて参りたい。その点につきましては、大蔵委員会の方で食糧管理特別会計の証券の発行限度の問題もありまして、あわせて御審議を願うような手はずになったはずであります。  第二の中心の問題は、これは十二月末という一般的な返納期日の際に、返納をすることができなくて、指定集荷業者がかわりに代位弁済をする、そういうような事態が起りましたときに、その代位弁済をする資金融資する金融機関に対しまして、末端の農民の負担する利子が高くならないように、具体的に申しますと天災融資法の三分五厘なりあるいは六分五厘という限度で納まるように融資がされ得るということを目途として金融機関に利子補給をする、そういうのが第二の考え方であります。そういうのを基礎にして、現在考え方を整理いたしまして一つの案を作りたい、こういうように思っておるわけであります。
  20. 中村時雄

    中村(時)委員 今の、災害を受けたところは十二月の末に今言った金額を払うとか払わぬとかというよりも、払えないというのが実情なんです。これは北海道も同様のことです。そこで当委員会としては農家の返済の期間を延期する、同時に利子の免除をここで話をしたわけです。そこで私は政治的な問題が多分に含まれるから、政務次官に返答を願うと言ったわけです。今の事務当局考え方では、やはり利子を補給していくということはある程度政府考えるのだろうと思うのですが、われわれの言っておることは免除にしてもらいたいということです。それはどうしてかと言えば、天災を受けた場合には、その期間を延期してもらうか利子を免除してもらわなければ立ち上れないという実情なんです。北海道にしたって、一戸当り二十数万円の借金ができておるような状態になっておる。にもかかわらず利子を払え、それを法律でしばるというようなことになると大へんだというので、その決議をした。それはここで言わなくてもわかっているように十二あった。その十二のうちの一つに含まれている。そうすると、当然その裏には立法措置が必要になってくる。その立法措置の問題もあとから話そうと思っているけれども、そういうような一つの関連がありますし、それが政治的に大蔵省との問題になってくるから、どういうような折衝をしたか、その経過を一応お聞きしたいのです。
  21. 大石武一

    大石(武)政府委員 ただいま中西課長からお答えしたことで大体尽きると思いますけれども仰せ通り概算金を延期して納めさせるとか、あるいはその場合の利子をどうするか。ある部分は免除も必要でありましょう。しかしある部分においては、必ずしも被害のそう多くないところはある程度の利子補給で間に合う、いろいろ段階があるわけでございます。そのようなものを、納得のいくような案をできるだけ早く作り上げまして、それによってそれぞれの措置を講ずる、立法的な措置が必要であれば、皆様にお願いして立法的な措置考えなければならぬ、こういうことを考えております。その具体的な案が、今ほとんどできつつあるわけであります。一時十二月末までに支払いをしなければなりませんけれども、それまでの期間に立法的措置が何とかやり得るならそれでやろうと考えております。その前に、中西課長から説明がありましたように、食糧証券の発行の問題が今日大蔵委員会で提案されると思いますが、その問題に関連があると思いますので、できるだけ早く各方面との折衝を終えまして、お願いするものはこの委員会にお願いしたいと考えておるわけでございます。
  22. 中村時雄

    中村(時)委員 あなたのお言葉のうちで、気構えの問題なんですが、必要ならばというのじゃなくてこれは必要なんです。だから立法措置も必要なんです。それまでの暫定措置としては、御存じのように天災法に基いた問題、自作農創設に基いた問題を適用しているわけですが、それじゃ間に合わぬからこういうものが必要じゃないかと言っておる。今のお言葉の中に、免除にしなくちゃならぬところは免除にするというお言葉があったのですが、ほんとうにあなたお考えになりますか。必要であるならば、あるいは延納も認めますか。これは非常に大事な問題ですから、はっきりと言っておいてもらいたい。
  23. 大石武一

    大石(武)政府委員 これは当然延納すべきものは延納しなければなりませんし、免除にすべきものはしなければならぬと考えております。
  24. 中村時雄

    中村(時)委員 それじゃ基準はどこに置いて打ち出すのか。これは非常に大事ですから、そこまでお考えになるなら、当然調査をされ、こういう部分はこうしなくちやならぬという一つの研究がすでに終えておると思うが、そこまでこの問題をはっきり打ち出してもらいたい。
  25. 大石武一

    大石(武)政府委員 それは技術的な問題でありますので、今食糧庁で一生懸命に基準を作っております。それをどの程度まで御説明申し上げてよいか、私にはまだ見当がつきませんので、食糧庁の方の判断でお答えさせる、その点でごかんべんを願いたいと思います。
  26. 足鹿覺

    足鹿委員 先ほどお尋ねを申し上げた点で、私の言葉が足りなかった点がありますが、私の申しました六億一千百九十万円程度ならば農作物被害に対するところの補助関係は大体私どもの計算でいきましても、少額ではあるが、一通り委員会決議の趣旨に沿って一応現地要望にこたえ得るのじゃないかと思うのです。それは六千数百万円もまだ海のものとも山のものともわからぬという程度で、一体この委員会はこういうことで引き下っていいものかどうか、委員長に伺いたい。これは過去のいろいろな災害の例を見ましても、本委員会決議事項というものは、全部は通らないまでも、ある程度その趣旨はいつも通っております。今回の北海道冷害については相当進行しておるようであります。本委員会が三班ないし四班に分れて現地調査をして、その切実な声に基いて取捨選択をして、一応十二項目の決議を作ってこれを具体化すべくわれわれは努力をし、機の至るのを待っておった。本日においても何ら資料としての報告もなければ、ただわれわれが仄聞した六千万円程度のものすらも危ぶまれるというような次第で、今後いろいろ現地陳情や請願等を本委員会として聴取し、現地調査までやった本委員会として、これは党派の問題ではなくして、今後災害対策に対しては、重大なる一つの立場ができると思うのです。委員長としてこの問題をどう御処理になりますか。今度の災害は局地災害である、きわめて部分的であるがために、大きな世論とならない。しかし被害を受けた現地の農民というものの苦しみは、冷害地帯も台風地帯もその農家の実情というものは同じなのであります。一方において少くとも冷害対策が進行しておるのに、この台風被害と相まって本委員会決議実行をはかっていかなければ、今後本委員会の運営上重大なる支障がくると思います。どういうふうな御措置をなさるおつもりでありますか。これは委員長一つお尋ねしておきたい。
  27. 村松久義

    村松委員長 ただいまの足鹿君のお尋ねがございます。本委員会決議が実行に移されること、これは当然のことと思います。ただしただいままでの説明聴取によりますと、不満の点があることは明瞭でございます。従いまして後にお諮りをいたしたいと存じますが、小委員会においてさらにその不満の点を検討をされて結論を出していただきたい、かように考えております。御了承を願います。
  28. 足鹿覺

    足鹿委員 それでは大体そういう方向で今後の処理を願うこととして、一応当局になおお尋ねしておきます。  問題の地域指定はどうなりましたか。方針なり現情について……。
  29. 渡部伍良

    渡部説明員 大体農業関係につきましては一応成案を得まして、関係方面と相談しております。ただ水産関係の問題が多少まだ話がついておりません。もう少し研究をしたいと思っております。  まず、主務大臣被害の著しい都道府県指定しまして、その中でさらに被害の多い点を都道府県知事に指定させまして、それに三分五厘を適用する、こういうふうに考えております。ただいままでのような単純に町村を指定するという考え方をもう少しこまかくいたしまして、御趣旨が入るようなことを考えております。当委員会決議あるいは討議された趣旨を実施したい、こう考えております。
  30. 足鹿覺

    足鹿委員 それでは、まだ御発表になるわけにならないのですか。いつごろ政令としてお出しになるのですか。また都道府県知事にその指定の権限を与えるということでありますが、それには一応方針が指示されておると思うのです。それはこの委員会でも問題がありましたように、旧村の地域指定するのか、部落を指定するのか、あるいはそれを通じて、対人的に、人によってその災害実情が違うから、なるべく人に集約していくような指導をとるのか。いろいろと議論もあり、意見は、大体の持っていき方は、一致しておったと思うのです。もうあれから相当な日にちがたっておりますから、われわれは指定になっておったものだと思っておりますが、そうしますと、その政令はまだ公布にならない、閣議でもまだ決定にならないというわけですか。もう少し詳しくお話を願いたい。
  31. 渡部伍良

    渡部説明員 これは当委員会で討議された結果もありますので、各府県実情を個別的に詳細に資料をいただきまして、相当詳細に相互の研究をして、その結果から編み出しておるのであります。これはあとで資料として差し上げてけつこうだと思います。ただ先ほど申し上げますように水産関係部分がなかなかむずかしいので、その部分がきまりませんので、まだ政令を閣議にかけるというところまでいっておりません。しかし三分五厘の利子の支払い問題は、利子の支払い時期までに間に合わせればいいのでありますから、早いに越したことはありませんが、利子の支払い時期までに間に合わしたい、こういうつもりであります。
  32. 足鹿覺

    足鹿委員 その場合当委員会の大体の気持というものは、開拓地は三分五厘の適用を受けるような指定をすべきであるということは御存じの通りでありますが、地方からいろいろと問い合わがくるところによりますと、そういった開拓地もまた指定からはずれるような動きも地方にはあるというふうに聞いておるのであります。大体どういうふうになっておりますか、もう少しわかりやすく御説明を願いたい。どうも実情と違うようです。
  33. 渡部伍良

    渡部説明員 開拓地と申しましても、被害が相当ないとその区別はいたします。被害が相当あるものは当然指定をしたい、こういうふうに思っております。極端に言いますと、被害のないところ、あるいはほんのわずかのところまでも開拓地であるから三分五厘にする、こういうことはできないと思います。
  34. 足鹿覺

    足鹿委員 それはもちろんそうですが、私が言いましたように、都道府県知事がどういう指定の仕方をするか、かりに旧村を単位で指定をする、あるいは部落を単位で指定をする、そうなっても今度の災害が局部災害のゆえをもって、その部落全体で今まで平年作のなんぼの被害を受けた地域というふうな割り出し方では、実情に即したような指定ができないと私は思うのです。従って対人的にこれを切りかえていくような指導方針がとられることをわれわれは予想しておったわけです。そういった趣旨で御指定になるものと私はただいまの御答弁を聞いて了解したわけでありますが、それとは違うのでありますか。
  35. 渡部伍良

    渡部説明員 大体御趣旨の通りになると思います。これは今口頭で申し上げますと混乱いたしますから、あとで資料をもってまた御検討願いたいと思います。大体御趣旨は入っていると思います。
  36. 足鹿覺

    足鹿委員 これは補助金関係のものも、当委員会の趣旨を最小限度に盛つたものを計算すれば六億円を突破しますが、当局がやっているのは六千万円で、それもわからないという。いま一つの天災融資の点で地域指定の方針をあやまったら、災害対策はないといっていいですよ。冷害地域を除く、台風関係被害対策は、施設復旧以外は農作物被害に対してはほとんど何もないといっていい。だから私は執拗なようですが、天災融資法を生かすということは、地域指定のやり方いかんによってきまると思うのです。だからこの点については少くとも資料を御配付になって、全員が納得いくように十分御説明になっても私はいいと思うのです。補助金関係においてはほとんど実現をしない、天災融資地域指定についても見るべきものがないということになれば何が残りますか、一体。何もありませんよ。災害対策についてそんなことでこの委員会が引き下られるとお考えになりますか。政府自身の台風対策は何もないといわれても弁明の余地がありませんよ。もう少し資料を配付になって、そして納得のいくような御説明を願いたいのです。
  37. 村松久義

    村松委員長 資料は……。
  38. 渡部伍良

    渡部説明員 後刻資料をととのえて提出します。
  39. 足鹿覺

    足鹿委員 後刻といってきょうの午後ですか、次の農林委員会ですか。
  40. 渡部伍良

    渡部説明員 印刷等の時間がかかりますから次の委員会までお待ち願いたいと思います。
  41. 足鹿覺

    足鹿委員 この地域指定は大体いつごろ具体的に実施になる予定ですか。
  42. 渡部伍良

    渡部説明員 ただいまの進行工合では本月中に結論を出しまして、そして具体的には来月の初めに各県を呼びまして実施に移す段取りにいたしたいと思います。
  43. 足鹿覺

    足鹿委員 それでは資料をいただいた上でまた十分に検討することといたしまして、ほかにまだたくさんありますが、一応小委員会委員長が御善処になるそうでありますから、その際になお、さらにいろいろと触れていきたいと思います。
  44. 村松久義

  45. 淡谷悠藏

    淡谷委員 今の政府側の報告並びに質問に対するさまざまな返事を聞いておりますと、要するに災害に対する対策は何ら進行していないという結論になると思う。特に九州並びに北海道の大きな災害の谷間になりました内地災害については、先ほど説明がございましたが、ほとんど具体的なものがございません。これにつきまして被害実態が農林省側の調査府県調査とで著しく違っておった県がございましたら、その計数を一つ御報告願いたい。
  46. 渡部伍良

    渡部説明員 ただいままで私のところで整理ができております府県農林省調査の開きを申し上げます。  まず青森について申し上げます。これは農林省の方は十月十五日現在の数字であります。府県の方は府県から報告した数字であります。青森では、県の減収量は水稲につきまして二十二万石と報告されているのに対して私の方では十万石であります。岩手は、県が十三万石、切り上げまして十四万石弱であります。それに対しまして私の方は五万七千石。岐阜は、県からの報告は三万石でありました。これに対しまして私の方では二万石であります。長野は、十七万石の報告に対してこちらでは約七万石であります。
  47. 淡谷悠藏

    淡谷委員 今御報告ございました四つの県について見ましても、この差というのは半分もしくは半分以下になっております。同じ人間の目で見ておりながらこんなふうに大きな差があるというのは、一体府県の方が正直なのか、農林省の方がずさんなのか、どっちなんですか、こんなばかな話はない。
  48. 渡部伍良

    渡部説明員 私の方は統計調査部が標本筆につきまして一定の筆の中の株の粒を集計しまして被害状況を調べたのであります。私の方も絶対に正確とは言いませんが、私の方の方がより正確である、こういうふうに思っております。
  49. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そうしますと、府県の方の申告がどうあろうとも、農林省としては統計調査事務所の統計に基いてこういう数字を出した、さように了解してよろしゅうございますか。
  50. 渡部伍良

    渡部説明員 先ほど申し上げましたように、私の方は十月十五日の統計でありまして、その後原局におきましても、その後の天候等を加味しまして、それには県の減収の見込みをどういうふうにして計算したかということもよく聞きまして、どれだけの補助金が必要であるかということを算定しておるのであります。ただ一つ統計調査部の十月十五日の数字をもとにしてやっているということではありません。
  51. 石田宥全

    石田(宥)委員 関連して。ただいまの災害調査ですが、統計事務所の調査では町村単位で三割以上の災害というような標準でやっておるのじゃないですか。そういたしますと、最近町村合併が行われまして、非常に大きな町村ができておりますから、町村において平均の三割以上の災害ということになりますと、よほどの災害があっても浮び上ってこない。ことに今度の冷害のごときは、平場地帯よりも山間地帯に多いのでありまして、山間地帯の小さな部落ではほとんど全滅しておるようなところが多いのであります。そういうものが大きな町村になりますと一部落が全滅、収穫皆無になりましても町村平均で三割以上ということになりますと、全然それは統計の数字に上ってこない、こういうような問題が起ると思うのでありますが、その取扱いについてはどういうふうになされておるのですか。
  52. 渡部伍良

    渡部説明員 統計調査部のものは三割以上の分だけを調べておるのではありません。これは全部について調べておるのでありまして、御心配のような点はないと思います。
  53. 淡谷悠藏

    淡谷委員 今の災害の実態についての調査のことにつきましては、なおこれは双方ともに十分に御検討を願いたいと思いますが、災害の実態につきましてもこれくらいの差がある以上、府県要求に対する農林省措置の開きが非常に大きいので、この金額だけとりましても大へん大きくなると思うのでありますが、一体農林省は今までとりました災害対策につきまして、百歩譲りまして農林省考え災害についての対策が十分になされたとしても、これが大蔵省等の見解によりまして非常に過少に見積られておるとわれわれは考えております。農林省災害の実態に基いての対策大蔵省等の見解からさらにまた一そう減額されたような事実がなかったかどうか。ここで私ははっきり言ってもらいたいのです。よく見ておりますと、最近は一体農林省の仕事なのか、大蔵省の仕事なのかわからぬくらい大蔵省の干渉が大きい。金が出せなければ出せないでよろしい。農林省の方ではほしかったけれども、出さなかった、こういうことを率直に私はお伺いいたしたいと思います。
  54. 渡部伍良

    渡部説明員 その点は、程度の問題じゃないかと思います。要求する方では多ければ多い方がいいのであります。しかしがまんできる最低限であるかどうかという問題じゃないかと思います。今までのところは、がまんできる最低限であったと思います。
  55. 淡谷悠藏

    淡谷委員 局長、そんなにあっちこっち持って歩いたような答弁では私は不満足なんです。がまんができる最低限であるといいましても死ぬまでがまんができますか。がまんしてがまんして気がついてみたら死んでおった。それではしようがない。そんなことではたよりになりません。少くとも府県はがまんができるところまで、これ以上の借金を重ねたくない。またものごいもしたくないので、少くとも府県要求に対してはもっと真剣に、これをわが身に比べて要求するだけの必要があると思う。一体農林省が今日まで大蔵省に対して要求されましたのは、大蔵省から削減されましたか、されませんでしたか。遠慮しないで、はっきり言ってもらいたいのです。農林省要求したものを全部出しましたか、出しませんでしたか。農林省要求があったにもかかわらず、もし大蔵省が削って、それで地方が非常に不満足を感ずるのであれば、大蔵省に対してさらにものを言いたい。どうなんですか。大胆に言ってもらいたい。
  56. 渡部伍良

    渡部説明員 最近の北海道冷害に対する例で申し上げますと、農林省要求に対しまして全部通ったというわけではありません。具体的にはたとえば種もみの種子代補助につきましては、一般種もみ代よりもより安い価格で農家の手に入るようにしたいというので、補助金を組みましたけれども、それは一般の種の価格でいいじゃないか、すなわちがまんできる最低限は一般並みというところで査定を受けております。たとえば三分の二の補助率を要求いたしましたのに対して半分でありますとか、二分の一要求に対して三分の従来通り補助率というふうな査定を受けておるのであります。従いまして炭がまの増設の基数につきましても、増設基数をある程度削減する、こういうふうなことでありますので、農林省要求通り数字にはなっておりません。
  57. 淡谷悠藏

    淡谷委員 北海道についてはという前置きがございましたが、私は内地の方がもっと差がひどいのではないかと思う。しかし局部的な災害であったために世間的にはその世論も少かったわけですが、こういう例はおそらく珍しくないだろうと思います。そこで私が心配しますのは、農林省要求しましても大蔵省が予算上の関係から削る、それがひいて災害の実態までも、そのふところ勘定が影響して、そのふところ勘定から割り出した災害の実態が出るようであれば、これはまさに災害対策の基本的な大問題であると思う。そういう点につきましてなお質問を進めていきたいのでございますが、時間もだいぶ経過しておるようでございますから、私は一たん質問を保留いたしまして、資料一つ請求したいと思います。  まず今までとった災害対策処置につきまして、項目別に予算をつけて出してもらいたい。これこれの項目でこれこれの予算を見積ったということを、詳しいデータで出してもらいたい。従来きまったものでけっこうです。全然資料が出ていない。こんな例は今までないですよ。大体やりましたことについては、委員会に対してこういうことをしましたという御報告があってもいい。その資料を請求いたしまして、私の質問は一応保留しておきます。     —————————————
  58. 村松久義

    村松委員長 この際お諮りいたします。本年度農林漁業災害対策の推進をはかり、立法措置等についての検討をいたしまするために風水害による農林漁業災害対策に関する小委員会及び冷害対策に関する小委員会の各小委員会を設置いたしたいと思いますがこれに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 村松久義

    村松委員長 御異議なしと認めます。つきましてはその小委員及び小委員長の選任は、委員長に御一任を願いたいと思いますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 村松久義

    村松委員長 御異議なしと認めまして、追って委員長において指名いたしたいと存じます。  この際暫時休憩いたします。     午後零時三十一分休憩      ————◇—————     午後三時三分開議
  61. 村松久義

    村松委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  午前中の委員会において設置することに決しました災害対策関係の二つの小委員会の小委員及び小委員長の選任は委員長に御一任を願っておりますが、この際委員長において指名いたしします。  風水害による農林漁業災害対策に関する小委員に       石坂  繁君    大野 市郎君       大森 玉木君    白浜 仁吉君       田口長治郎君    綱島 正興君       原  捨思君    赤路 友藏君       伊瀬幸太郎君    稲富 稜人君       中村 時雄君 を、その小委員長に綱島正興君を指名いたします。  冷害対策に関する小委員に       足立 篤郎君    川村善八郎君       笹山茂太郎君    助川 良平君       鈴木 善幸君    本名  武君       松浦 東介君    淡谷 悠藏君       石田 宥全君    小川 豊明君       芳賀  貢君 を、その小委員長笹山茂太郎君をそれぞれ指名いたします。
  62. 村松久義

    村松委員長 続いて、農林水産業災害対策について政府説明に対する質疑を続行いたします。淡谷悠藏君。
  63. 淡谷悠藏

    淡谷委員 農林省に対して引き続き御質問申します。今度の災害は前年度から引き続いて累積してきた災害となっておりますので、現地ではもう融資を受けたくとも前の負債のために圧迫を受けまして、もう融資を受けられないというようなことが非常に多い。なおこれらの償還のために大へん困っておる傾きがあるのですが、これは農林省として大蔵省との間に打ち合せをされたかどうか、その対策について何かお考えになっておるかどうかということをお伺いしたい。
  64. 渡部伍良

    渡部説明員 累年災害を受けたものに対しましては、借りかえの措置を講ずることにいたしております。
  65. 淡谷悠藏

    淡谷委員 その対策を講ずるというのは、具体的にはどういうことになっておりますか。
  66. 渡部伍良

    渡部説明員 借りかえの措置であります。
  67. 淡谷悠藏

    淡谷委員 借りかえも再三のことで何年分もの借りかえをやりますので、実はそっちの方をやっておりますから、新しい営農資金ども貸付が受けられないような形のところがあるように思われるのでありますが、この際古い負債の方は一時停止をするとか、何らか新しい措置は講ぜられなかったか、お尋ねいたします。
  68. 渡部伍良

    渡部説明員 新しく必要な資金と同時に、今後償還すべき金をプラスして、そうして同一条件で今後に平均的に返す、こういうことをいたすつもりであります。
  69. 淡谷悠藏

    淡谷委員 もう一つは自作農の創設維持資金に対する要求が大へん大きいようであります。これは北海道だけでも二十五億円くらい要求があったのですが、今度の御措置は大体七億八千万円とさっき伺いましたが、この自作農創設維持資金災害等によって特にワクを広げられたのか、それとも災害はなくとも農林省はこのワクを出すつもりだったか、この点を一つ説明願いたい。
  70. 渡部伍良

    渡部説明員 冷害対策分としまして、さきに北海道に出すことにきめましたのは七億八千万円、内地の分につきましても六、七億を出したい、こういうのでただいま、大蔵省と話を進めております。
  71. 淡谷悠藏

    淡谷委員 大蔵省の方は来ておりませんか。
  72. 村松久義

    村松委員長 まだ来ておりません。
  73. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それでは来てから質問することとして保留します。
  74. 村松久義

    村松委員長 それでは芳賀貢君。
  75. 芳賀貢

    芳賀委員 災害対策に関する政府の立法措置の問題に対して質問いたします。午前中も、たとえば三十一年度の予約概算金の取扱い等に対する食糧庁の見解の披瀝がありましたが、その説明が十分に徹底しておらぬので、この予約概算金の取扱いに対しては政府はいかなる立法措置を講じて対処されるのか、その点を大石政務次官から御答弁願います。
  76. 大石武一

    大石(武)政府委員 技術的の問題につきましては食糧庁の方より答弁いたさせますけれども、大体農林委員会の御趣旨に沿うように努力いたす方針でございます。そうしてそれが十分に実行できますように、年内に立法措置が必要ならば十分手続をとる方針でございますし、年内でなくて来年の三月までで間に合うならば、それで間に合うようにする。とにかく十分に御趣旨に沿うように概算金の問題については処置をいたす所存でございます。なお技術的な問題につきましては食糧庁の長官なり課長なり答弁いたさせます。
  77. 永野正二

    ○永野説明員 ただいまお尋ねのございました概算金の返納が困難な場合に対する措置といたしましては、大きく分けまして二つの問題があると思うのでございます。一つは概算金をもらいましてから返納すべき時期までの間の金利でございます。これは概算金を大体七月の初めを中心にいたしまして、そのころ大体渡っておるのでございますが、それから十二月までの金利を、もし概算金に相当する米を売り渡しができない、従って概算金を金で返さなければならぬという場合には、それだけ利息をつけて返納するという買い入れ契約になっているわけであります。その分の金利を非常に激しい災害を受けました気の毒な農家に対しましては、何とか減免の措置を講じたいというふうに考えておるわけでございます。  もう一つの問題は、概算金を返納しなければならぬといいますことは、概算金に相当する予約の米の売り渡しができないという場合には、結局概算金を金で返さなければならぬわけでございますが、現地実情から申しますと、ほとんど収穫皆無というような農家も相当多数でございます。これらの人々に対して現金で概算金を返納せしめるということは非常に困難である、何とかその関係の救済措置を講じなければならないという問題があるわけでございます。これにつきましては、一応食管会計といたしましては、返還すべき概算金を農協その他の金融機関を通じまして代位弁済をしていく。その代位弁済の資金につきまして金利の補給その他の措置を講じていったらいいのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。前者の概算金を受けましてから返納いたしますまでの金利の問題につきましては、これは今臨時国会に法案を提出する運びに相なっておるわけであります。あとの方の概算金の代位弁済をいたします場合の措置については、これはその時期も多少おくれることでございますし、これらについての対策は今いろいろ大蔵省と折衝いたしております。その考え方に基きましてなるべくこれは具体的な措置は早くいたしませんと、個個の農家につきましての問題もございますので、とりあえず集荷機関から代位弁済をさせるという方針を決定いたしました。それでもって実行をやって参りまして、これに対して政府の方での利子補給あるいは損失補償その他の措置が必要であればその立法を追って考えるという考え方でいるわけであります。
  78. 芳賀貢

    芳賀委員 この予約概算金の取扱いの問題は、これは災害対策の中でも特に緊急を要する問題であるし、政府としてもしばしばすみやかに方針を立ててこれを明らかにするということを言われておったのですが、この問題が今日においてもまだ未決定であるということは、非常に遺憾にたえないわけです。今の官房長官の御説明によると、一つは十二月までに米の出荷ができない分に対して概算金の金利の減免の法案を出すというのでありますが、当委員会議決におきましても凶作農家が予約米を出荷できない場合における概算金の金利等に対しては、これを全免にすべきであるという、そういう決定を行なっておる。ただ単に減免というような表現の説明がありましたが、その内容はどうなのですか。もちろんこれは作況とか被害の度合いにもよるわけですが、その中には全免する分とかあるいは大幅に減額する分とか、区分すればいろいろあると思いますが、もう少し内容的なことをお示し願いたい。大蔵委員会にこの法案が付託されるということも聞いておるのですが……。
  79. 永野正二

    ○永野説明員 法案といたしましては、その利息を軽減または免除することができるというので、免除することもできるような法案に相なっております。ただいま御指摘のように被害の程度に応じまして収穫皆無になったというような場合には当然免除すべきであるというふうに考えておりますが、その他被害の程度に応じまして、あるいは一部の軽減をもって充てるということもあり得るものと思います。
  80. 芳賀貢

    芳賀委員 そういたしますと、災害によって出荷ができない分に対して、被害農家の金で返したいというような者に対しては、金利の全免あるいは減額を行うわけですね。しかし大部分被害農家はそういう概算金を進んで返せるということにはならないと思うのですね。むしろ、金利の減免の問題もありますけれども、概算金を返せない者に対してどうするかということが問題だと思うのです。今の説明によると、来年の三月ごろでも、必要とあればやつてもいいという話でありますが、どうしてこれを早くきめないか。概算金を返せない農家に対してはどうするということは、これは金利の減免にむしろ先行して、政府の方針がきまるべきだと思う。少くとも同時に態度はきまっておらなければいかぬと思うのですが、どうして大事な概算金の支払い不能、返還不能の分に対する取扱いの方針をことさらにきめないのです。
  81. 永野正二

    ○永野説明員 私どもも、御指摘のように、収穫皆無というような農家が実際上本年全部の概算金を返納することが不可能であるということは、そういう実情を十分承知いたしておるわけでございます。従いまして、これに対する方針といたしましては、指定集荷機関その他を通じましての代位弁済というものを行いまして、個々の農家から概算金を取り立てるという必要のないような措置をいたすことに方針を決定しておるのでございます。ただその方針を個々の被害程度に応じまして、どういうふうなやり方で行くか、たとえば金利をどういろふうな程度にするか、それの負担を全部国が負担するか、あるいは営農資金をどういうように国及び道において分担して行うかというような細部の点につきまして、まだ若干決定いたさない点がございますけれども、方針といたしましては、そういう措置をとることによりまして、実際上個々の農家から概算金を取り立てるというような事態の起らないように措置をする方針をきめておるわけでございます。
  82. 芳賀貢

    芳賀委員 たとえば集荷団体に代位弁済をさせるということは、これもやはり法律か何かでそれを命じなければいかぬでしょう。全販連に代位弁済をさせるのか、あるいは農協以外の集荷団体たる全集連にさすかですね。全国段階の集荷団体にこれはやらせるのですか、その考えは、お前たちは代位弁済しろということを、これは命ずるのですか。
  83. 永野正二

    ○永野説明員 昨年から行われました事前売り渡し申し込み制度の約款の中にその問題は含まれているのでございます。事前売り渡し申し込みをいたします際に、この概算金の返納について、個々の農家にかわって、指定集荷機関並びにその上級機関でございます連合会が返納の責任を負うという約款が入っておるのでございます。その約款によって指定集荷機関に代位弁済をさせるのでございますが、災害の程度が非常に大きく、その影響が非常に大きいという点を考えまして、特にそれについて利子の補給その他の措置を講じたい、こう考えておるわけでございます。
  84. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは結局法的な解釈からいうと、集荷団体に、概算金の返納できない分に対しては返納させるということなんですね。その予約の契約をした個々の農家に対して概算金の支払い要求するということでなくして、集荷団体に対してその責めを全面的に負わすという、当然のことだと思いますが、そういうことでいくわけですね。そうすると、個人の被害農家においては、責任がないわけではないけれども、とにかく災害によって概算金は返納できない、そういうことが明らかになれば、それでいいわけじゃないですか。どういうことです。
  85. 永野正二

    ○永野説明員 先ほど説明申し上げましたように、事前売り渡し申し込みをする際の集荷機関の代位弁済をする責任というものが、約款として織り込んであるわけでございまするが、これはもちろん代位弁済でございますので、指定集荷機関が代位弁済をいたしました場合には、当然これを個々の農家に対して請求するという建前になるわけでございます。ただわれわれといたしては、その請求を急ならしめては、災害農家に対して非常に気の毒な結果に相なりますので、それについて長期の融資と利子補給ということをやる必要があると考えておるわけでございます。
  86. 芳賀貢

    芳賀委員 そうなりますと、原則的には、凶作によって出荷できない分の数量全体に対する概算金というものは、これはやはり全面的に代位弁済をさせるということに間違いないわけですね。その中に区分を設けて何割までというようなことは、むしろ筋道が通らぬことになるわけですね。今の官房長の説明によると、出荷できない分の概算金の、しかも返納不能の分に対しては、これは全面的に集荷団体の責任において代位弁済をさせる、そういうように解釈して差しつかえありませんか。
  87. 永野正二

    ○永野説明員 災害は抜きにして考えまして、先ほど申し上げました通り、事前売り渡し申し込み制度の中に、集荷機関による概算金の代位弁済の制度というものを考えておるわけでございます。ただ災害が非常に大きく、その影響が深刻であるというので、その代位弁済についての政府側の利子補給なり、あるいはこれを五年とかいうような、やや長期の資金をもって償還をゆるやかにするというような措置災害対策として考えておるわけでございます。
  88. 芳賀貢

    芳賀委員 だから一応集荷団体に代位弁済をさせるのでしょう。食管の取扱いの中においては、この概算金の返納が不能であるというような事態が起きないようにさせるために、集荷団体に責任を負わせて全部代位弁済をさせる、そういう原則なんでしょう。方針はそうじゃないのですか。
  89. 永野正二

    ○永野説明員 この点ちょっと御説明をつけ加えておいた方がいいかと思うのでございますが、概算金は予約の数量の二割に相当する金額を渡しておるわけでございます。農家から米が売り渡されますと、最初の二割が出て参りますれば、概算金は米の代金と相殺されて返ってくるわけでございます。従いまして、予約数量の二割が出て参りますれば、概算金の返納という問題は起きないわけでございます。しかしながら、現在の北海道冷害等においては、非常にその被害が大きいので、おそらく二割の米を出すということも非常に困難な農家が多数にあると考えますので、こういうことを考えておるわけでございます。
  90. 芳賀貢

    芳賀委員 概算金をただいかなる方法でも取り上げてしまえばいいということではないのでしょう。この災害対策というものはそうじゃないですか。どういう冷血むざんな方法を講じてでも農家から概算金をとってしまえばいいということであれば、これは別なんです。しかし大きな災害を受けて、その契約した出荷もできないし、当然概算金の返納もできないという事態が今起きておるのです。そういう中においても、原則としては、今の予約集荷制度の上からいうと、被害農家個々よりも、集荷団体に代位弁済をさせるのだというような説明を今したじゃないですか。だから二割以下とか二割以上という必要はないじゃないですか。とにかく集荷団体に概算金の全面的な責任を負わせるということには違いがないのじゃないですか。
  91. 永野正二

    ○永野説明員 先ほどからの説明を繰り返しておりますように、災害を抜きにいたしまして、現在の事前売り渡し申し込み制度は、そういう約款のもとに行われておるわけでございます。そこで私ども考えておりますのは、そういう約款のままで何ら対策を講じないということに相なりますと、代位弁済をいたしました農協と農家の間の関係が、片一方の農家は全然金が返せない、農協は必要な資金を集めて代位弁済をしなければならないというふうに、両方とも困難な事情に陥りますので、これを五年とかいうような相当長期の資金で、金利も低廉な金利の資金を供給してやる、それに利子補給をするということでこの困難を解決していこう、こう考えているわけであります。
  92. 芳賀貢

    芳賀委員 その点が早く明らかにならなければいかぬのじゃないでしょうか。来年の三月にそういうことを発表するなんということになれば、みな不安が高まって、たとえば出荷できるものも出せないようになる。この取扱いがどうなるかということがきまらなければ、うかつに、たとえば二割とか三割の米を出して全部概算金で取られてしまうということになれば、これは出したくても出せないんです。いわゆる生活の防衛上出せないでしょう。そういう場合には、概算金の取扱いの場合にはこうする、決して、心配をかけないから、出せるものは出してもらわなければならぬという、そういう施策が明確に早期に行われなければいかぬということは、当委員会においてしばしば指摘しているところなんです。それが全然明らかになっていないでしょう。金利の問題よりもむしろ先行させて、この概算金に対して、たとえば二割以上のものは一応概算金は差し引いてしまうけれども、それではあともう生活ができないから、その分に対しては政府としてどうする、そういう方針を行政的な措置でできれば行政措置でやる、あるいは立法措置を講じなければできなければ、こういうような法的措置を講じてやるということを、これは当然明確にしなければいけないと思う。その点が非常に不明確なんです。だからこの席上においてその点を政府の責任において明らかにしてもらいたいと思う。何にもちゅうちょする必要はないじゃありませんか。
  93. 永野正二

    ○永野説明員 御指摘の通り、われわれが考えております概算金の代位弁済に対する措置を明確にすること、しかもそれをなるべく早くしたいということは、私どもも全く同感でございます。ただどういう被害の程度の場合にどの程度の金利にするかというような点につきまして、私どもの方と大蔵省の方と今折衝中でございます。御指摘の通りできるだけ早くこれは明確にいたしまして、農家並びに集荷機関の疑問をなくするように努力をいたしたいと思います。
  94. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいまの説明によると、これは政府部内における意見が統一しないということですね。そういうことであれば、順序として農林省考えている方針というものを当委員会に明らかにしていただきたい。どの点が他省との間に話合いがつかぬのか、問題点もおのずから明確になると思う。農林省が当時まじめに考えておった案があるとすれば、それをまず具体的に説明してもらいたい。
  95. 中西一郎

    ○中西説明員 現在のところ食糧庁としてまとまっておりまして、大体の大筋については関係方面ともほぼ了解の点に達しているものでありますが、やや詳しく御説明いたしたいと思います。  まず十二月末までに概算金を返さなければならないのでございますが、その場合に米が出せないで現金で返さなければならないということになり、農民に対しまして、その概算金を受けましてからその期日までの二銭五厘分の金利は、これは減免をしていこうというふうに考えております。今朝衆議院大蔵委員会に法案として、昭和三十一年度の食糧管理特別会計の借入限度等の特例に関する法律案というのが提案されましたのですが、この中でその趣旨のことを明らかにしております。その場合の適用の仕方でありますが、市町村なりあるいは市町村の中の一定の区域というものを指定いたしまして、その地域の収穫量が平年に対しまして三割以上の減収になった、そういうような地域農林大臣が定めまして、そういう地域生産者に適用いたすということに考えております。それからその地域内の生産者で、いかなる人がその対象の生産者になるかということでございますが、同じような考えで減収が平年の場合の百分の三十以上の減収になり、しかもその減収のために、減額補正を受けましてもなお二割分の米も売り渡しができない、そういうふうな生産者を対象として、その措置を講ずることに考えております。その場合に、利子の全免と軽減と二つ考えておるのでございますが、まず全免につきましては、百分の三十以上の被害というのをさらに具体的にしまして、百分の九十以上の減収があったというような場合には、そういう生産者に対しましてはその二銭五厘の金利を全免するというふうに考えております。それ以外の生産者に対しましては、これは天災融資法の例に準じまして、三分五厘の指定地域に対しましては利率が三分五厘になるように、それから六分五厘地域に対しては同じく六分五厘になるように軽減をいたす、こういう仕組みに考えております。それで先ほど申しましたように、そういう考え方法律案が提案になったわけでございます。それからなお、十二月末を過ぎまして、代位弁済分にかかる融資についての利子補給の問題でありますが、この点については現在のところ、三十一年度一般会計予備費上の措置によりまして、以下申し上げますようなことをやっていったらどうかということで案を練っております。それの適用地域北海道における冷害に限定してその措置考えております。その場合に代位弁済をいたしますのは指定集荷業者がいたすわけでございますが、指定集荷業者に対しまして金融機関がその代位弁済分の融資をいたします。その融資について利子を補給しまして、農民の負担する利子が安くなるように、こういうふうな利子補給を考えているわけであります。その場合の対象になります融資でございますが、具体的に申しますと、天災融資法の三分五厘地域に対しては三分五厘で金を貸す、償還期限は五年以内、また六分五厘地域では年利六分五厘になるように金を貸す、かつ償還期限は三年以内、こういう条件で融資をいたします金融機関に対して利子補給をやったらどうかというふうに考えております。利子補給の額でありますが、三分五厘地域に対しましては、原則として七分に当る利子補給をいたし、六分五厘地域につきましては、原則として四分に該当する利子補給をいたす。この場合の融資の利率は一割五厘と考えまして、七分と四分を利子補給しますと、それぞれ三分五厘、六分五厘の金利負担になる、こういう考えでございます。なおその場合の利子負担の問題なんでございますが、利子補給をいたす場合に、道と国との負担の区分を考えております。三分五厘地域については原則として道は二分五厘、国は四分五厘、そう考えております。六分五厘の地域につきましては、道が二分、国が二分というふうに考えております。  以上のような構想でございますが、大きな柱としますと、一つは十二月末になるまでの分の利子の減免、第二の問題は一月一日以降の利子の補給の問題、こういうふうに考えております。こういう代位弁済という肩がわりによりまして、実質的には延納と同じような形で処理ができるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  96. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいまの中西さんの説明で、概算金の金利に対する分の減免の考え方というものは、大体明らかになったわけですが、その次には、代位弁済の分は結局、集荷団体が代位弁済した分に対して国が金融機関を通じて融資のあっせんをするというわけですが、そういうことをさせて、それに対して利子の補給、それから損失の負担をする。しかもそれは国の責任において利子補給、損失負担をするのではなくして、被害地域の都道府県に対しても相当重い負担をさせるような、そういう構想のようでありますが、この点は間違いありませんか。
  97. 中西一郎

    ○中西説明員 問題を抽象的に理解いたします限り、そのようなことを申し上げたわけでございます。
  98. 芳賀貢

    芳賀委員 先ほど説明があったのですが、代位弁済をさせる対象、これは指定集荷団体ですね。これはおそらく全国段階の、たとえば全販連とか全集連というものは、政府と相互間においての、これは責任ある所在だと思う。たとえば全販連が代位弁済をして金融機関から代位弁済分に相当した融資を受けるというような場合には、これは何も被害県とか被害の道庁等に対して負担させるという理由は成り立たぬと思いますが、いかがですか。
  99. 中西一郎

    ○中西説明員 お話の点はわれわれとしては、まず第一に全販に代位弁済をさせますことも、これは場合により考えておりますが、これは政府の債権を執行いたします際に、非常に末端の事務も複雑ですし、時期的に急ぐというような場合には、便宜的に全販に対して請求権を発動しまして代位弁済をしてもらう、こういうふうな考え方に基くものであります。最終的には、この代位弁済の債務はやはり末端の方に残るわけでございまして、全販が代位弁済いたしましても、それが県段階なり、末端の段階なりにいきますと、最終的には農民個々の問題になるわけで、そういう筋合いのものであるために、権利関係としてはやはり究極的には末端で処理されていくことになるわけでございます。
  100. 芳賀貢

    芳賀委員 そこで参考までにお尋ねしますが、今の食管法の制度のもとにおいて、事前売り渡し制度のもとにおいて、米の出荷予約契約、あるいは出荷とか、それから災害によって生じた概算金の処理等の問題に対して、地方公共団体がいかなる責任の所在にあるかという点、これは制度上の問題としてお尋ねいたします。
  101. 中西一郎

    ○中西説明員 突き詰めて申しますと、地方公共団体がなぜ利子補給をすべき金額のうちの一部を負担させられるのかというようなお話であると思いますが、こういう災害の場合にわれわれが考えますのは、農民が一般的に、たとえば肥料代金を金融機関から借りて営農に従事するというような場合と同列に考えて、その場合には天災融資法の建前にも地方公共団体の負担がございますことですから、政府一つの食糧管理という役割において、肥料代の場合は金融機関のような位置を占めるわけで、農民としてはそれに対する借金を払う場合には、天災融資肥料をどうするかという場合と類似の考えで整理をして、その上で地方公共団体が負担をしていいんじゃないか、こういうふうに考えているわけでございます。
  102. 芳賀貢

    芳賀委員 そういう解釈をするのは全くの詭弁じゃないですか。これは食管制度のもとにおいて政府生産者との間において結ばれた契約なんです。それが不可抗力の災害のために米の出荷ができないのです。それに随伴して経済的な損害を生産者が受けている。だから契約の履行というのは当然できないんですよ。ですからそういう面に対して政府一つ対策を講じ、施策を講じて、生産者に対しては来年の再生産に支障のないような措置を講じてやらなければならぬわけです。だから食管制という制度の中において事前売り渡しの方式をとる場合には、当然こういう事態もやはり予見して、この場合はどうするかということをもう少ししっかりと用意しておく必要があった。たまたまことしこういう問題が起きたから急に騒いでおると私は思うのです。ですからそういう場合に天災法による利子負担と同じようにこれを扱って、関係の都道府県に一部の利子負担をさせてもそれが当りまえであるというような理論構成は成り立たぬと思う。最初から農林省はそういうことを考えたのですか。その点を少し明らかにしてもらいたい。必要によっては農林大臣にも来てもらって今の政府のもとにおける農業政策というものがそういうものであるかどうかということを明確にしてもらう必要がある。最初から農林省が都道府県に対して天災法と同じような利子負担とか損失補償をやらすような考え方が筋道が通るということで思いついたとすれば、これはゆゆしい問題だと思うのです。ですから政治的な関係もあるから、大石次官からもう少し詳しく発端から説明していただきたい。
  103. 永野正二

    ○永野説明員 一応経過もございますので、私から御説明させていただきたいと思います。御指摘のように通常の事前売り渡し申し込み制度といたしましては、都道府県は売り渡しの申し込みを促進し、申し込みに基いて米の売り渡しを督励するというような行政的な立場にあるのでございます。これについて経済的な責任を負わすという建前ではございません。今議論が出ておりますのは、冷害対策、つまり災害対策といたしまして、そういう概算金の返納ができないような事態が非常にたくさん起った場合に、農民の負担をいかにして軽減していくかという災害対策としての意味でございまして、これについては、御指摘の通り話の経過といたしましては、私どもはなるべく大幅の利子補給、なるべく長い年限の金をということをもちろん考えたわけでございます。ただ話の経過におきまして、片一方に農家の営農資金について国会でおきめいただきました天災の営農資金融資法律制度がございまして、これとの権衡という点からいってこういう考え方をしたらどうかという案で現在は進んでおるわけでございます。こういうふうに御理解を願いたいと思います。
  104. 本名武

    ○本名委員 ちょっと関連して伺いますが、今のお話を伺っておりますと、ちょっとふに落ちないのですが、その前に、まず第一に、今の御説明のあったことは一応政府の案として御決定なさって、それを実行に移されるというのですか、それとも検討中なのですか。それを一つ伺いたい。  その次に小委員会で細部なことはお伺いいたしますが、基本的にこの予約制度をこの委員会で論議いたしましたときも非常に問題が多かったのでありますが、その中の一つとして、私は概算金の始末ということをどうするかということ、こういう災害、その他農家の不注意によってトラブルが生じた場合どうするかということを非常に心配しておったのでありますが、今の御説明を伺いますと、概算金のあれを営農資金、その他の一般融資と同じように考えておるということは、食管制度の基本的なあやまちではないかと思います。むしろあの当時の大臣から、あるいは事務局からの説明を聞いてみますと、これは集荷対策の金であるとして直接天災その他の営農資金融資と同じような考えでやったのではなかったと思います。それを今になって、災害だからといって地方庁が金を負担するということは、よしあしは別として、私には筋として通らないのではないか、こういうふうに思われるが、その点を承わりたい。
  105. 大石武一

    大石(武)政府委員 ただいまの問題は、北海道庁と農林省がどのくらいの割合で利子の補給をするかという議論のようでございますが、これは最終決定ではございません。一応食糧庁でそのような案を今作っているわけでございます。まだ私どもも決裁しておりません。十分道庁とも打ち合せて、要は最終段階に農民にできるだけ利益を与えようというのがねらいでございます。そういう考え方でございます。
  106. 本名武

    ○本名委員 それでは今、道庁とも検討中だということがわかりました。ただ原則として、この機会に私は、食管制度と食管特別会計の責任というものを明らかにしておかないと、たまたま冷災害によっての問題ですが、そのほかにどんな事態が起きて、この概算金の問題が問題にならぬとも限らない。一体食管制度、特に予約米制度というものを、こういうふうに概算金の面から集荷契約内容その他についてこういう事態が起きたときに、いつでも、基本的な考え方を変えて処置していかれるのか、それとも予約制度というものは一年、二年のことであるから、ここらでよいかげんのことをやっておけというのか。この基本的な予約制度というものに対して、どういう考えを持っておられるか。一つ、政務次官からお答え願いたい。
  107. 大石武一

    大石(武)政府委員 ただいまの御意見にお答えいたします。いわゆる営農資金と概算金の問題でございますが、これは今考慮中でございます。これを別個のものにしたらいいか、あるいはその一部にしたらいいかということにつきまして、われわれ今議題にいたしておりまして、考慮中でございます。その点だけでございます。
  108. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいま大石次官から答弁がありましたが、別個のものだということは、これは代位弁済に対して金融機関が融資をした場合の取扱いもやはり全く別個のものだ、そういうお考えでしょう。中西企画課長の言われたことは筋が通らぬという意味でしよう。別個のものだということはそうじゃないですか。これは食管制度上の非常に大事な問題と思うのですよ。そこをしつかり腹の中に入れて答弁願いたい。
  109. 大石武一

    大石(武)政府委員 一応先に企画課長に答弁させます。
  110. 中西一郎

    ○中西説明員 概算金を払っておる性格そのものとも関連するのでございますが、やはり大きな要素としては、集荷対策——それが如実に現われておりますのが、米が予約するところに従って二割以上出て参りました場合には二銭五厘という金利をとらないことになっております。そういう意味で概算金の支払いそのものは米を出させる奨励策というものの性格が出ておると思うのですが、先ほど来の返納期限までの話と、それからそれがきまして、概算金の返せない場合に代位弁済が行われるということ、さらに、その代位弁済が行われました際に、その以後の利子負担の問題についてどうするか、そのおのおのについて、大体バランスのとれた対策ということもわれわれとしては考える必要があろうというふうには思うわけですが、ともかく北海道につきましては、非常な災害で、こういう特例が必要になった客観的な要素があるというふうに考えておるわけでございます。
  111. 芳賀貢

    芳賀委員 私の質問しておる点は、集荷団体が代位弁済をした分に対する融資に、被害地域である都道府県地方公共団体が、何のために責任を持って利子負担とか損失補償をしなければならぬかという、その根拠をただしておるわけです。その点が明確にならなければいけないと思う。
  112. 中西一郎

    ○中西説明員 その点は、先ほどもちょっと触れたのでございますが、われわれの現在の考え方としましては、政府に対する債務を返済しますために金融機関から貸付を受けて、そして政府に返す。その場合そういうことがなぜ必要になったかということは、北海道の非常な冷害の結果で、そのことは災害に伴う一つ対策を必要とするのじゃないか。その場合にその代位弁済分にかかる利子負担の点については、一般の天災の場合と同じような扱いをしていいのじゃないか、こういうような準用といいますか、そういう考え方でございます。
  113. 芳賀貢

    芳賀委員 そうじゃないですよ。政府が集荷団体に対して代位弁済をさせるのでしょう。お前ら代位弁済しろといって、今の食管制度のもとにおいて義務づけをさせるのでしょう。しかし集荷団体はそういう余裕の金というものはないのですから、どこからか資金繰りをしなければ代位弁済はできないのです。被害農家の方から取り立てるわけにはいかぬから、当然そういう資金措置というものは政府があっせんしてやらなければならぬわけですね。それをやるか、あるいは食管会計の中で延期してやるとか、そういう考慮を食管会計の中で加えるということも一つの方法なんです。そういうこともしないで、とにかく食管会計の方は延期もさせない、全部取り立てるものは取り立てるという形でいく場合には、当然この集荷団体に対する資金措置というものは講じてやらなければならぬわけです。ですからそういう場合にはやはり国の責任において利子補給とか損失補償をやるということが当然起きてくる事態であると思うのです。それを天災融資法と類似しておるから、都道府県も責任の一半を持つべきだというような理論は成り立たないのではないかと思うのです。ですからもう少し理論が成り立つような説明を求めておるわけなんです。何のために地方公共団体がこの集荷制度のもとにおいて概算金の代位弁済に対しての利子補給とか損失補償をしなければならぬかという根拠なんです。これはやはり明確にしておく必要があると思うのです。類似しておるなんていうことでは済まぬです。
  114. 中西一郎

    ○中西説明員 要するに原因は北海道冷害という原因からの、その結果に対する対策いかんということであるわけです。天災融資関係もそういうことに対処する一つ政府のとった対策になっておるわけです。代位弁済になりました場合にそれと同列の扱いをするということは、これはそれなりに二つの基準として間違いではないと考えておるわけでございます。
  115. 芳賀貢

    芳賀委員 これは北海道冷害によってじゃないのです。今の食管制度のもとにおいて、こういう事態は起るのです。また来年内地府県で大きな水害とか台風が起きてこういう事態が出ないとも限らないのです。ですから事前売り渡し制度を採用する場合には、平常の収穫ができた場合にはこれだけの売り渡しができるということで契約しておるでしょう。よけいにできない事態が起きて出荷ができないことになったのですから、これに対する跡始末は当然食管制度の中において政府の責任で講じなければいけないわけです。何も北海道とか府県の責任において災害を起したのじゃないですからね。天災融資法というのは被害農家個々に対して営農資金を貸し付けるという法律でしょう。これは災害によって食管制度の概算金が納まらぬ場合の跡始末を政府はどうするかということで、何も都道府県が関知した問題じゃないのですよ。国の責任において今の食管制度というものは運営されているのでしょう。何も地方公共団体はこれは関知しておらぬじゃないですか。そういう欺瞞的な答弁でなくて、もう少し食管制度そのものの本質の上に立って、これはこういうふうに扱いたいというような答弁がどうしても必要なことになるわけです。これは中途半端では聞き流しできないところです。ですから、企画課長だけが大わらわになって答弁の衝に当っているようですが、それでは困るんです。ですから、農林大臣が来なければわからぬというのだったらわからぬでもいいですから、農林大臣出席せられた委員会においてこの問題はさらに堀り下げたいと思います。
  116. 永野正二

    ○永野説明員 概算金の代位弁済といろ問題は、現在の事前売り渡し申し込み制度一般の問題としてあるということは御理解が願えておると思いますが、災害によりまして概算金の返納ができない場合にこれに対する措置をどうするかということを災害対策の一環として今考えておるわけでございます。  そこで災害対策といたしましては、たとえば他に種もみのあっせんの問題であるとか、あるいは種子の配給の問題であるとか、天災融資による営農資金融資の問題であるとか、この概算金の返納に対する融資並びに利子補給の問題とかいうふうな一連のいろいろな問題があるわけでございます。これらの問題につきまして政府は、全部政府で負担をいたします場合もありますし、都道府県とあわせて負担をいたしまして、なるべく個々の農民の負担を軽くいたします場合とあるわけでございます。むしろ考え方といたしましては、国も道都府県も力を合せて農民の負担を軽減するという仕組みが原則でございます。そういう点から考えまして、ただいまのような考え方をいたしておるわけでございます。
  117. 芳賀貢

    芳賀委員 それはおかしいですよ。冷害対策に結びつければそういうことにもなるし、今の集荷制度のもとにおいてこういう現象が起きるのですからね。ですから、これはやはり基本的には集荷制度のもとにおいて取り扱う問題じゃないですか。
  118. 永野正二

    ○永野説明員 集荷対策の全般の問題といたしましては何回も申し上げておりますように、概算金の代位弁済の約款が入っておるのでございまして、この代位弁済はどういう原因で起るかと申しますと、いろいろな原因があり得ると思います。農家の側でむしろ売り渡すべき米があっても売らないという極端な場合もあるかもわかりません。いろいろな場合があるわけでございます。それに対する制度というものが一般的にできておるわけでございます。今議論になっておりまするのは、災害によって農家が売ろうと思っても売れないという場合でございます。従いまして当然政府においてまた地方公共団体においてできる限りの措置をしなければならぬ事態であると考えておりますので、こういうただいま企画課長説明をいたしましたような制度を考えておるわけでございます。ただこれによりまして、たとえば個々の都道府県の負担力があるかないか、非常に負担にたえないとかいうような具体的な問題はあり得ると思いますが、これはむしろその地方公共団体の財政の問題として別途解決をする方法もあろうかと思いまして、私どもといたしましては、なるべく農民に対する措置を早くきめるという意味におきまして、現在のような案を考えておるわけでございます。
  119. 芳賀貢

    芳賀委員 農民に対して早く安心を与えようとする場合には、政府の全面的な責任においてこうするということをきめた方が早いでしょう。負担力のない。筋の通らない形で都道府県にそれを押しつけ、その方が早く行くなんということは脅迫がましいじゃないですか。お前たちが承知しなければ絶対かまってやらぬという、そういう中央の権力が地方の弱い公共団体を威圧するようなやり方では、非常に愚劣なやり方ですよ。常にそういうことをやつておるじゃないですか。ですから被害府県においては、この点理屈の通ったようなことを言えば、あとのたたりがおそろしいから、大体のことは泣き寝入りしなければならぬというのが通例だと思うのです。そういう形を現在作っておるのです、今の政府は。しかしこの食管制度のもとにおける概算金の取り扱いの問題は、そういうことでは相済まぬと思う。やはりこれは国の責任において利子補給とか損失補償をするとか、それがいやなら食管会計の中で延納の措置とか、あるいは貸付の措置を講ずるということも国の責任でできるでしょう。そういうことはできないのですか、食管会計の中で。方法としてどうなんです。
  120. 永野正二

    ○永野説明員 もう少し具体的に申し上げると、あるいは御理解がいけるかと思いますが、営農資金につきまして申し上げますと、これは百五十億の総額を予定しております。それについてあるいは三分五厘かあるいは六分五厘まで利子補給するわけでありますが、それについての道の負担が相当大きいのであります。それと比較いたしますと、今問題になっております概算金についての道の負担は、数字的に申しますと、非常に小さいのであります。大きいのに加えて、さらに小さい負担ができないじゃないかというお考え方もあるかと思いますが、私どもといたしましては、とにかく両方の制度のバランスからいって、営農資金の道負担はできるけれども概算金についての道負担はできないというようなはっきりした説明をすることは非常に困難である、こう考えております。
  121. 芳賀貢

    芳賀委員 これは金額の問題じゃないのです。百四十億の天災融資法による利子負担を道がやるから、額の小さい概算金の分の負担ができないはずはないじゃないか、ついでにやれるだろうということを私はお尋ねしておるのじゃないのです。天災融資法による措置と食管制度のもとにおけるかかる事態というものは本質的に全く違うのですから、この取扱いというものはやはり別個に考えて、食管制度というものは国の責任において現在運用されておるのですから、それに生じた災害等の概算金の措置というものは当然国の責任において明らかにする必要があるのですよ。都道府県に持たす根拠がないじゃないですか。幾ら繰り返し繰り返し説明を聞いても……。類似しておるという。何も類似してないのです。代位弁済の分について都道府県に対しても責任を負わせるということは全く理由が立たないのです。集荷団体が代位弁済した分について都道府県に責任を負わせる、全販連が代位弁済しても都道府県にやはり責任を持たせるというようなことになるのです。この点をもう少しわかるように説明してもらいたいのです。わかるまで繰り返して質問します。
  122. 大村筆雄

    ○大村説明員 この問題につきましては、私ども相談を受けておりますので、私から御説明をさせていただきたいと思います。  実は予約の概算制度と申しておりますのは、これは特別会計でやっておる制度でありますけれども、通常の災害におきましては、今の予約の概算金につきましては代位弁済によりまして、指定集荷機関の内部において相互連帯のもとに処理される仕組みになっております。しかし今回の北海道冷害につきましては、北海道ほとんど全域といっていいくらいに非常に大きな災害をこうむっておるわけでございます。従いまして、この相互連帯の扶助の基本というものはほとんど動かないという状況でございますので、それらにつきましても、何らかの措置をしなければならぬという点があるわけでございます。そこでこれを放置いたしますときは、結局農家負担の問題に帰着してくるわけであります。そこで農家の経営安定ないしは生活安定という問題につきましては、当然地方公共団体においてまずめんどうを見る筋合いじゃないかと考えます。こういう点から営農融資というものは地方と国との負担でいくのが適当かと思います。従いまして、今回のものも当然地方の負担というものも出てきていいのじゃないかというふうに考えるのでございます。
  123. 大石武一

    大石(武)政府委員 実は先ほど私たちが申し上げましたように、農林省として最高方針をまだ決定いたしおりません。私はまだ決裁をいたしておらないのでございます。これはせつかくの中村委員その他お尋ねでございますので、一応食糧庁で考えております方法を説明させていただいたわけでございまして、幸い皆様からいろいろな御意見を承わりましたので、これを参考といたしまして、一日も早く成案を作らせまして、農林省最高方針を決定いたしたい、こう考えておる次第でございます。
  124. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 今いろいろ農林省の食管当局の御説明を聞きましたけれども、われわれにはどうしてもわからないわけであります。これは地方団体、府県が利子負担の一部をするかしないかというだけが今問題になったようですが、私はそんな簡単な問題ではないと思います。農林省全体としてあるいは政府全体として、食管制度をことしは何とかごまかして来年はやめてしまおうという腹ならまた別ですが、そうでなく食管制度をある程度今後今のような形において続けていくという限り、これは単にことし北海道だけの問題ではないのです。昨年はああいうふうな豊作だったから該当事項がなかったのですが、毎年災害で相当の違約金が出てくるのはきまった話です。その場合に、違約金の弁済に対する基本的な政策がきまっていないと、食管全体が赤くなる。そういう観点から、全国的な視野からいろいろの点をもう少しつっ込んでしっかりした対策をお示し願いたい。今のようなことでは全くどろなわで、ことしだけの話であって、しかも穴だらけです。こういうことでは困ると思いますから、ぜひこの点しっかりした案をお示しいただきたいということを申し上げておきます。
  125. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいまの大村主計官の答弁は不遜以上な答弁です。災害によって生じた地方住民の救済とかそれに要する施策というものは、当然地方公共団体の責任においてやるべきだという答弁をしたのですが、そういう場合政府は関知しないということなのですか。地方公共団体がそれらの処置に当るべきだというなら、中央政府は一体何のためにあるのか。あなた方は何のために祿をはんでいるのか。
  126. 大村筆雄

    ○大村説明員 多少言葉が足りなかったと思いますので繰り返し御説明申し上げますと、終局的にはもちろん国の責任であります。ただその場合に財政負担の問題といたしましては、こういう問題についてはまず地方公共団体で負担して、あるいは国と地方がこういう区分で負担して、あるいは地方独自で負担して、あるいは国が全額負担してというように、それぞれの問題の性格によってきまっておるわけであります。大体この問題につきましては地方財政法に事こまかに書いてあるわけでございますが、その場合に、大筋といたしまして、地方の住民の福祉の問題は、まず地方公共団体が相互扶助の責任において処理しなければならぬという原則がございます。そういう点からいきまして、災害で住民が困っておるという問題のときは、まず災害救助法が発動されますが、これは都道府県知事の責任において発動するわけでございます。その場合にも、まず都道府県の財政負担において、あとにおいてそれぞれ被害の程度におきまして国が財政負担をしていく仕組みになっております。そこのところを申し上げたのでございます。多少言葉が足らなくてあるいは不十分だったかと思いますが……。
  127. 芳賀貢

    芳賀委員 言葉が足りないというが、言葉が過ぎておるのです。私の言っておる問題は、食管制度の、予約制度のもとにおいてこういう事態が起きたのでしょう。ですから、これの取扱いは地方公共団体とどういう関係があるのです。地方財政法にどういうことがうたってあるのですか。食管法のもとにおいて、災害によって予約米が出荷できないという場合の概算金を集荷団体に代位弁済させた場合において、地方公共団体はその利子の一部並びに損失補償の任に当らなければならぬという規定がどこにあるのです。それを明らかにして下さい。
  128. 大村筆雄

    ○大村説明員 概算金の問題につきましては、もちろん国と指定集荷業者との関係でございますが、その結果事が農民の負担に帰着するということになりました場合は、指定集荷業者の代位で問題が処理できない。そうした負担金を払わなければいかぬという見地に立って考えますと、これは農民の経営安定ないしは生活安定の問題に帰着するのじゃなかろうか。そういたしますと、先ほどのような災害の生じたところの農家の経営安定あるいは生活安定の見地から、都道府県の責任も出てくるのじゃないかということでございます。
  129. 芳賀貢

    芳賀委員 そういうことじゃ筋が通らない。食糧庁の答弁よりまだまずいじゃないですか。何のために食管制度のもとにおいて地方公共団体がこういう責めを負わなければならないか。むしろ理論的に大蔵省説明しなければいかぬでしょう。あなたの方で変にこれを歪曲するような理屈を持ち出すから筋の通る問題がみな曲っていくのですよ。そういうことはあなた自身がわかっておるでしょう。しかし、これは国の食糧管理制度のもとに起きた事態なんですからね。大蔵省が予算の出し惜しみをするとかそういうけちな考えでは処理できないのですよ。だから、もう少し本筋の上に立った、食管制度そのものの上に立った解釈を明快にしてもらいたいわけです。あなたでは無理であるとすれば、主計局長でも大蔵大臣でもここに来てもらって明確な答弁をしてもらいたい。
  130. 永野正二

    ○永野説明員 実は私どもといたしましてもこの問題の経過におきましてはいろいろの案を持っておったのでございまするが現在の折衝の過程から御説明を申し上げておるのでございまして、本日出ましたいろいろな御議論につきまして十分上司にも相談をいたしまして大蔵省となお折衝してみたいと思いますので、御了承いただきたいと思います。
  131. 大村筆雄

    ○大村説明員 概算金の問題につきましてはいろいろ御意見があるかと存じます。今までのところ食糧庁と相談いたしました結論は、先ほどから御説明いたしましたような話の筋においてのことでございますが、いろいろまた御意見もおありのようでございますので、十分慎重に検討いたしたい、かように考えます。
  132. 芳賀貢

    芳賀委員 では官房長の言われた点は、これは思いを新たにして、この概算金の問題はもう一回出直す、こういうことなんですね。その点をはっきりしていただかぬと困る。そういうふうに理解していいのですか。
  133. 永野正二

    ○永野説明員 十分検討いたしたいと思います。
  134. 赤路友藏

    赤路委員 関連して。先ほど来、この概算金の処置についていろいろ質疑応答があったのですが、中西さんにちょっとお尋ねいたします。あなたの言葉の中にこの概算金の処置、これは今まで説明されたことは北海道に限定してこの処置考えているというような言葉に受け取ったのですが、そういうことですか。その点をちょっとお聞きしたい。
  135. 中西一郎

    ○中西説明員 二つに分けて御説明申し上げたわけでございますが、一つの二銭五厘の利子の減免の問題につきましては、これは地域限定については別段のことを考えておりません。その以後の代位弁済にかかる分、これは代位弁済で多額の資金が動くわけで、北海道では特に全道にわたって被害が大きいものですから、そういう意味で資金調達も困難であろうという考えのもとに、特別の利子補給制度を考えて、その上で金融機関が代位弁済に必要な資金融資をしやすくする、そういう態勢であるわけでございます。従って利子補給の分につきましては北海道に限定する、こういう考えでございます。
  136. 赤路友藏

    赤路委員 そうすると概算金の返済不可能な農家に対する代位弁済措置、これだけを北海道の面で適用していく、そういうことですか。
  137. 中西一郎

    ○中西説明員 その通りでございます。
  138. 芳賀貢

    芳賀委員 次にお尋ねしたい点は、この災害対策に伴うところの政府手持ちの米麦の払い下げの問題ですが、これは従前の例からいきますと、臨時立法を作りまして、生産者価格でこれを売り渡しているわけですが、今次の冷害等に対しまして、政府としては臨時立法の措置を講じて、そうして米麦の安売りをやるようなお考えであるかどうか、この点はいかがですか。
  139. 中西一郎

    ○中西説明員 お答えいたします。米穀について安売りの法律等、二十六年ごろからでございますか、そういう先例はございます。現在のところそういう立法措置までは考えておりませんか、新米穀年度に入りましてから通常の価格で売っておりますが、その場合の代金延納というようなこともあわせて措置しまして、災害をこうむった農家が災害直後において支払いを強制されるというようなことのないようにという趣旨で、そういう措置をいたして今日に至っております。
  140. 芳賀貢

    芳賀委員 そういたしますと、政府としては今のところ安売りの法律を出すお考えはないわけですね。ただ申し上げておきたい点は、ことしの北海道冷害のごときは昭和二十八—九年の災害よりも地域においてもその深度においても激甚なんです。二十八—九年には生産者価格によるところの売り渡しの特例法が講じられた。それに比較すると当然本年度対策においても、政府は率先してそのような措置を講ずべきであるとわれわれは考えておったのですが、これをやる必要はないということであればその点を明らかにしておく必要があるわけです。
  141. 中西一郎

    ○中西説明員 まだ十分に検討いたしておりませんので、的確なお答えをいたしかねるわけでございますが、三、四年前に比較いたしますと、実は消費者価格は二十九年から変っておりません。その間生産者価格はだんだん上ってきております。生産者価格で払い下げるということが昔ほど何といいますか、農家にとって有利ではない。なお有利な程度は残っておると思いますけれども、昔ほどの有利さがなくなって、差がだんだん詰まってきているようなわけであります。そのこと自身が被害農家に対する対策にならないというわけではございませんが、その程度も考えながら御趣旨のような被害の程度でもございまするし、検討さしていただきたいと思います。
  142. 芳賀貢

    芳賀委員 次にお尋ねしたい点は、現在の天災法による融資の問題でありますが、現在系統融資の金利の軽減が行われておる。たとえば中金の金利も引き下げが行われておる。そういたしますと、天災融資法によるところの地方公共団体の利子の負担等に対しましても、当然これは検討を加える時期であると私は考えるわけですが、この点に対しまして政府としてはこの国会に天災融資法の改正等を考えておるかどうか。金利以外の点に対しましても、たとえば家畜飼養農家等に対しまして、増加融資額等の改正等も必要ではないかと私は思うわけでございますが、この二点に対しまして経済局長から御答弁願いたい。
  143. 渡部伍良

    渡部説明員 お話のように、現在系統機関の貸付利子の引き下げについていろいろ施策を講じております。これは預金金利あるいは債券発行の金利等の関係から、まだ十分思うようにはいっておりませんが、一般金利の低下の傾向に準じて、どうしてもやらなければならぬと思ってやっております。そこで、それをすぐ農家の天災融資法による借り入れ支払い利子を引き下げることに使ったらよいではないかというお話でございますが、その点は私の方でもいろいろ研究しているのであります。さしあたりの措置としましては、もしそういうふうに予定よりも安く資金源が得られるということになりますれば、地方庁の負担分をできるだけ軽減した方がいいのではないか、こういうふうな考えを持っております。  それから第二の乳牛の飼育者に対する貸付限度引き上げの点は、これは先般の当委員会決議にもあります通り法律改正を要するものであります。通常国会においてぜひそれを実現いたしたい、こういうふうに考えております。
  144. 村松久義

  145. 淡谷悠藏

    淡谷委員 ちょっと大蔵省にお聞きしたいのですが、自作農維持創設資金が今度の災害によりまして大幅にワクの拡大を求められておるような事実があるかどうか、これをお伺いしたい。
  146. 大村筆雄

    ○大村説明員 求められておる事実と申しますのは、農林省からということでございましょうか。
  147. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そうです。
  148. 大村筆雄

    ○大村説明員 今回の災害におきまして御承知通り自作農資金につきましては二十五億の当初の計画でございまして、一般のワクは十六億でございましたか九月ごろまでに起債して、あとの残りがたしか九億くらいあったかと思います。そのほかに災害に関連いたしまして、相当これを増額したいという農林省の御要望もございまして、冷害災害合せまして約十二億ほどそちらの方のワクの拡大をはかっております。特に災害用として所要の措置を行なっております。
  149. 淡谷悠藏

    淡谷委員 御承知通り自作農維持創設資金の目的の中には災害等によって自作農地を手放すような危険に迫つた場合は、この資金によってこれを売却しないで自作農地として残すということが書いてある。今までの農林省の報告によりますと、地元の要請に対して十分にこのワクが開かれていないといったような数字的事実があがってきておるのであります。大蔵省は今後とも災害等によりまして要求された場合には、このワクをどの程度伸ばし得るか、大体のお見通しがつきますか。それとも大臣でも来なければわかりませんか。はっきりお伺いしたいと思います。
  150. 大村筆雄

    ○大村説明員 どの程度ふやし得るかということは、原資の問題に関連し、あるいはまた必要度にも関連し、あるいはまたほかの買付のワクがどの程度余っているかという問題にも関連するわけですが、この点は農林省とも御相談いたしまして、事務的にある程度見当をつけ得る問題だと存じます。まだ具体的には数字には当っておりませんからはっきりいたしませんけれども、事務的に見当をつけ得るかと思います。
  151. 村松久義

    村松委員長 これにて質疑は終了いたしました。次会の期日は公報をもってお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十三分散会