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鈴木(善)
委員 農林大臣のおっしゃることはよくわかるのでありますが、ただ、
条約をずっと読んで参りますと、有権的と申しますか、
条約上の
権利義務と申しますか、そういう形では、
ソ連の方は何ら
制限を受けない。もとより
漁業委員会等におきましてはそういう点も勘案するでありましょう。ありましょうけれ
ども、
条約そのものの中に、一番資源保護上大切な三海里から十二海里の海域というものが
条約の適用外に置かれておるということは、何といっても、
条約の目的である、
漁業資源の保存
措置を目的とするこの
条約の本旨からいたしますと、非常に不満足の感がいたすのでありますが、この点はこれ以上義説を申し上げても仕方がない、こう思いますから、とどめておきます。ただ、この
ソ連のいわゆる領海内で、一九五一年に
ソ連は二十五万一千六百トン
漁獲をしておる。昨年の一九五五年には十七万二千トン以上の
サケ、マスを
漁獲をしておるのであります。さらに、私
どもが重大な関心を払っておりますることは、極東地域における
ソ連の地下資源の開発が進み、また山森の乱伐、過伐等が行われまして、そのために河川が著しく荒廃をしておる、
サケ、マスの繁殖保護はそのために非常な打撃をこうむっておる、こういうことが報告にもございます。私
どもこれに対して重大な関心を持っておるのであります。この
条約は、このような
ソ連の現在行なっております
サケ、マスの
漁獲であるとか、あるいは資源保存上最も必要なる
措置に対して何らの規制をも加え得ない、さらに言葉をかえますと、
ソ連側にとって何らの痛痒も感じない内容になっておる、こういうことであります。一方、
わが国の
サケ・
マス漁業は、申すまでもなく、ほとんど大部分が
条約区域において行われるものでございまして、
条約の規制を全面的に受ける
立場に置かれております。これが事実であります。こう
考えて参りますと、この
条約というものは、
日本側には、
ソ連の現に行なっている
サケ・
マス漁業に対して、有権的に何らの発言権が与えられていないにもかかわらず、
ソ連側は、
わが国の
北洋サケ・
マス漁業に対し、資源保護の名のもとに、全面的かつ
決定的な規制加えるという
立場に立つものである。その実体を見るならば、本
条約の冒頭に明記されております。両締約国が資源の保存及び増大をはかる義務を自由かつ平等の基礎の上において負うものであるという精神は全くじゅうりんされておるのではないか、こう思いますが、
政府の御所信を伺いたいと思う。