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赤澤委員 それは一応了解いたしました。そういたしますと、アメリカがたってこれを
要請する場合には、今の室中写真の問題も起ってくるのではないか、つまり現地を測量することなくして通信施設を作ることは不可能ですよ。あるいはこっそりもう住民の知らぬ間に立ち入ってくいを打つとか、あちこちで起っておる問題を引き起さない限りはできないと私は思うのです。どうも今までこういう点につっ込んで御質問になった方があるかどうか知りませんが、私は日米合同
委員会の決定を経て後の、しかも
政府は条約上の義務によって行政執行をやらなければならぬという
立場になってから、あの砂川のような問題を起してしまっておるわけなんです。なぜこういった予備
調査の
段階にあって、こういう問題を取り上げて議論しなかったかということを、私は非常に不思議に思うのですよ。この点はあなたもまたあとで後悔なさるかもしれませんが、そうすれば結果においてはこのアメリカ軍の通信施設というものは、ここに作れませんよ。ということは、室中写真をとるとか、あるいは土地台帳で線を引かない限りは、合同
委員会に持ち出すことができないでしょう。施設
委員会だって合同
委員会に対して勧告することはできないと私は思うのですよ。あやふやなんです。ですから砂川の問題のようなああいうばかなことを起さないように、こういった問題については私は周到に研究してやられたい。ことに美保の問題については、現地でも絶対に拒絶しておりますから、今のところはおそらく立ち入り
調査はできないと思う。この問題は一応別にいたしまして、全然角度を変えて補償の問題を
一つ伺っておきたいと思う。
今まで調達庁自体が他の役所と違いまして予算を握っていないですね。そして何かつまらぬ
ケースでもあれば、おそるおそる大蔵省にいって、しかられながら何とかわずかな金を出して、地元の言い分に当るというような
立場に置かれておる。私はつねがね気の毒だと思っておった。そういうことがありますから、補償問題について非常に
考え方がけちなんですよ。できるだけ値切ってやろうというのがあなた方のお
考えなんです。そういう
立場に必然追いやられるような仕組みになっておるとも
考えられるわけなんです。ところがあすこの土地は、わが国の国防上でも重要な地帯であるということは、私もおぼろげながら
承知はしておるのです。ですから今ジェットの基地の問題も大きく浮び上ってきておるわけなんですが、砂川問題なんかでも農地はこれは先祖伝来のものだから命をかけても離さないのだ、これはもうおかしいと思う。そう言えば電源開発もできなければ、
国家的な、国全体にかかるような大きな事業は遂行できないわけです。やはり農地であれ、いかに大切な土地であれ、国自体のために必要であるということならば、十分な補償をして、生活の保障を十分見て、住民を納得させてやれば、こういう問題が起る余地はないと私は思う。砂川問題も根を掘ってみれば、そういうところから端を発しておるということは想像できる。それなくしてああいう騒ぎを起すとすれば、これは根底は思想の問題であって、要するに反米思想をあおっていこうという意図のある人たちによって指導されていけば、補償問題は別にして、ああいう問題も起るということは
考え得る。けれ
ども私は地元の人たちはそうではないと思う。ただそこに至る過程として調達庁なんかの
考え方が非常にこそくであると思う。現に美保の基地の問題にいたしましても、あなたも御
承知の
通りに、A地区の賠償の問題も大体の線はきまっておっても、つまらぬところにこだわっておって、まだ最終のけりはついておらぬでしょう。これは調達庁の責任だと思う。もう三年も四年も前から起っておる問題です。それからアメリカ軍が灰を流したために農作物が被害を受けて枯死した。この補償の問題にしても、いや何年前の二年平均の全収穫がこうで、何パーセントの減収だからどうのこうの、それに肥料を一部やったから肥料代を差し引く、そんなことをやっておるから地元の者はいよいよ憤激する。海に油が流れ出す。そのために漁獲物が全部油くさくなって市場で腐ってしまった。こういうことに対しても長い間ほっておいて、しかも涙金みたいなものを出してやって
解決しようとする。こういうことですから、幾ら国防上大事だ、大事だといったって、住民が協力しないのは当りまえですよ。しかも今日通信施設の要求がきておるでしょう。それはあなた方に言わせれば、さっきもお
言葉にありましたが、電柱を立てるだけじゃないか、アンテナを張るだけじゃないか、農家には大きな支障はこないのだ、それをそこまでやかましく言うのはおかしいというお
考えをお持ちかもしれませんけれ
ども、大体そういうふうなやり方を今までやっておられるからこういうことになってしまったわけなんです。これは当局が特に出したわけではないが、その
言葉のはしばしで、あなたの出先の人たちは本庁の配慮というものをずいぶん顧慮をいたしまして、そして内輪に内輪に、憶病に憶病に、まだ
条件を出す
段階じゃないが、
条件らしいものをにおわすのです。いいですか。かりに電力会社の電柱だってたくさん立っておるじゃありませんか。あれだってちゃんと補償はついておるのだから、その程度のものでといったようなことを、かりに口走ったとしますれば、電柱一本立てれば、これは一本について年間三十円か四十円の補償があるわけなんですね。それをかりに
一つの面積に八百本くいを立てたとします。そして一本について電柱並みの補償なんてことを
考えておられもしますまいけれ
ども、そういうにおいでも出したら、それは憤激しますよ。だれだって憤激しますよ。こういうことは、あなた方のお
考えというものは現地に伝わって非常にまずい結果を来たしておると思う。あすこは非常に集約された狭い土地です。平均耕作反別は三反歩ですよ。そして米子という消費地を控えて、換金作物を急速度に作って、そしてどんどんここの市場に出して露命をつないでおる人が多いわけです。そういうアンテナなんか張ったって、百姓する分には差しつかえないじゃないか。それは一応の理屈ですよ。しかしこの中の人たちは建物を建てたいという人もいる。水田じゃなく畑地ですからね。あるいはバッテリー式の鶏舎を建てたいと
考えておる人もあるかもしれない。あるいはそういう工場を建てたいと
考えておる人があるかもしれない。現にあるのですよ。そうしますと、自分の土地内に電柱がたくさん立って、上にアンテナを張られたら、単に電柱が立っておるその下の一坪ばかりの問題では片づかないということなんです。ですから必ず地域全体についての使用を、そういうふうに大幅に制限されるわけなんだから、そういうことの全体の補償も
考えなければならぬ。さらにその中の電柱の下などというものは区々たる問題なのです。これは全部計算したって、国費の幾らの負担にもならないわけなんですよ。こういうことについて、どうもあなたの
意思ではないかもしれぬけれ
ども、出先の人たちから受け取る住民の感じというものは非常にまずいわけなんです。私が冒頭申しました
通りに、すでに立ち入り自体に地元で反対もしておる。私も反対の第一線に立っておるわけなんですが、しかしそれは今までの調達庁自体のやり方に大いなるまずさがあった。
条件を秘めて値切ってやろうといったようなことでなくして、もしこういう
要請をして地元の各位に御迷惑をかけるなら、国の責任においてこれだけのことはいたしますというぎりぎりの
条件の、もうこれ以上はできぬ、たとえば極端にいえば、一戸に五百万でも一千万でも何とかしてやろうと言えば、あるいは思想
関係のない人は、それなら自分たちは部落移転をしてでもそれに応じようという気に、あるいはなるかもしれない。あまりこれをけちにやりますとうまくいきませんよ。どこかそういった面が、
一つでなくしてたくさん現われてきておるわけなんです。こういう実態について長官もよく把握なさって、こういった問題を善処されませんと、ああいう砂川のような不幸を二度も三度も繰り返す。われわれの美保地区も、いわゆる思想的な影響を受けておる民間団体の諸君は、第二の砂川にまでやるんだといって楽しみにして、毎日々丸しり押しをして、住民でない人たちが入り込んで盛んにやっておるわけです。だからこの間に処してあなた方が職責を果されようとするについては、よほどの決意をお持ちにならなければいかぬ。あそこだって今のような行き万では第二の砂川になると断定せざるを得ない。こういった点についてはよほど
考えておやりを願いたいと思うわけです。