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中島(巖)
委員 税体系の上から、税制問題でへ理屈といっては失礼だが、こねておるわけですが、結局電気事業の公益性というものは一般大衆に不可欠なものであるから、いわゆる公益事業である。それを一般大衆に課税して、そうしてこういうような、高率配当をしておるところへは課税せぬというのは、これはどうあっても不合理なことなんです。従って私はこれ以上
質問はいたしませんけれども、これはどうしても根本的に研究されて改められなければならぬ、こういうふうに考えるわけであります。
そこで例の
発電税の問題になりますけれども、
発電税の
関係につきましては、私、先月の三十日でありますが、第一議員会館に、自治庁並びに通産、建設などの方々に来ていただいて、あなたの方にはたしか府県税課の課員の方だと思いますが来ていただいて、この問題についていろいろと御所見を承わったわけであります。ところがその御
意見は、発電所を設置することによってその
地方が非常に利益を得ておる、こういうお考えのようでありました。所管が違いますからもっともな点もあるかと思いますけれども、そういうように、
発電税創設に対する自治庁のお考えが、根本的に御認識がないのじゃないか、こういうように考えるわけであります。
そこで現在の発電施設に対しましては例の憲
法改正以来——二十九条において「財産権は、これを侵してはならない。」その第三項の、公共の用に供する場合においては完全な損失補償を前提としてというこの項に基いて、現在の土地収用法などができておるわけであります。従いまして、それ以後は
地方公共
団体並びに個人の考えも違ってきて、ごく最近におきましてはそういうことも言えるのでありますけれども、大体
昭和十年一二十年時分にこしらえた発電所というものは、その堰堤の土砂の堆積によりまして非常な損害を起しておるわけであります。
そこで先ほどの
水利使用料であります。これは大正十三年の六月一日に創設されたのでありますが、この大正十三年時代には水力発電所は営業用、自家用、合せてわずかに百四十七万キロしかなかった。この時代とは全く変りまして、年次別に申しますと時間がかかりますので大ざっぱに申しますが、
昭和元年におきましてはわずかに二百万八千キロになり、
昭和十年で三百三十八万キロになりまして、二十年で六百二十二万七千キロ、三十年で八百九十万九千キロというような
増加を来たしておるわけであります。そこでこの
昭和十年から二十年当時に設置した発電所は、例外なく非常な被害を出しておるわけであります。ごく簡単にその一例を申し上げますと、天龍川水系においては二十七の発電所がありまして、出力が六十万六千キロワットとなっております。そうして天龍川の本流には最近できましたところの佐久間、その上に平岡、泰阜、南向、大久保、この五つの発電所があるわけであります。佐久間は最近できたところでありますから、何も問題は起っておりませんけれども、
昭和二十七年に完成した平岡発電所ですら、本流には問題が起っておりませんが、その支流の遠山川には、河床の上昇によっていろいろな問題が起っておる。そして大久保、南向、泰阜等は何ともいえぬ
状態にありまして、大久保なんかわずか千四百六十キロの発電所でありますけれども、
昭和二年に完成して、七百町歩からの水田が二毛作ができたものが、二毛作ができぬという
状態になっておる、南向もそういうような
状態になっておる、ことに泰阜発電所の
状態につきましてはお手元に写真などを差し上げてありますけれども、これは建設当時、堰堤より七千五百メートルの上流までしか河床の上昇はしない、それ以上はいつまでたっても旧河床でおるといったのが二十五キロ、三十キロというような上流まで河床が上昇して、ただいまそちらへ差し上げておるような大被害をこうむっておる、そうして過去十年間において県では防災工事だけで九億三千万円ほど使っておる、従って県の
負担は三億何千万円ということになっておる、これが五万二千キロの発電所でありますが、これから入る
水利使用料は千三百六十万円であります。従って
水利使用料の三倍も四倍もの金を使っておるわけであります。そこで県の耕地課で調べたところによると、耕地
関係、農作物
関係だけで十三億五千万円の被害をこうむっておる、それで地元の者はこの発電所の占有主たる中部電力に対して損害賠償を要求するといって意気込んでおる、ところが損害賠償を要求するについては十三億五千万円に対して印紙だけで七百五十万円払わなければ訴訟ができぬというような結果になっていて、やはりこの大きな電力
会社に
現地の農民としては対抗できぬ、こういう
状態になっておる、そこで今度は県の方の土木部では、これがダムの災害のためだということになれば、建設省の方針とすれば発電所に損害を請求して、災害復旧させればよいじゃないかということになる。もし
会社が訴訟を起しておれば五年たっても十年たっても片づくか片づかぬかわからぬ、従ってダムのためではない天然の災害であるということで、防災工事をしてきておるというのが現在の
実情なんです。ただいま申し上げましたように、天龍川の本流に五つの発電所があって、この間完成した佐久間だけはそういう災害をこうむっていないけれども、あとはおしなべてものすごい災害をこうむっておる、これが千曲川におきましても、信濃川におきましても、姫川におきましても、同じ
状態にあるわけです。そこでこういうように発電県がわずかに
水利使用料をとって、そして非常な災害をこうむって、県の出費が莫大になるということと、もう一つは農地改良事業などをやろうと思うと、わずかな金でもって二千数百町歩の農地の改良事業ができるというような場合におきましても、既設発電所があるためにその水利権の問題で頓挫しておるわけです。長野県の南部においては黒川総合
開発であるとか各所にそれがあるわけであります。従いまして、これは長野県の一つの例を申し上げたにすぎませんけれども、福島、新潟その他にもこういうような山の県は川と山より財産がありはしない、これをいかに高度に利用するかということがこれらの県の生命である、その川を独占し占有されて、そうしてこういうような被害をほとんど漏れなくこうむっていて、そしてこれらの県にはただわずかの名前ばかりの、全国で二十二億ばかりの
水利使用料を出して、この電力をもらって工業が繁栄して、そして
担税力のふえるところの
都市に対して
電気ガス税を一割かける。手をこまねいておるところの富裕県で一割取っておる。これは実に矛盾したものである。これは理論的にいえば、
電気ガス税を廃止して、そしてこの電源県に充てるべきものです。そうすればただいま申し上げましたような、
地財法の適用を受けておる県が一躍富裕県になり、これらの防災もできる、こういうことになるのであります。この点につきましてはきのうからもいろいろ申し上げましたけれども、いろいろな税体系その他についての小理屈といっては失礼だが、御
意見があったわけであります。ただ
早川政務次官が政治家らしく大きく割り切った御発言があって非常に期待いたしておるわけであります。ただいま私の申し上げた県について政務次官の御所見を承わりたいと思います。