○三井
説明員
お話がありましたように、新しい塩脳組合を復旧させまして、先ほど申し上げましたような採鹹、煎熬一貫経営という理想的な形に持っていきます場合には、直ちに従来煎熬をやっておりました両会社が仕事を失ってしまう。これを一体どうするのかということは、当然復旧計画の場合に問題になったわけであります。その点が解決されなければ円滑に復旧計画を実施するというようなこともとうてい見通しはつかないので、当時、公社といたしましては、復旧計画を承認することについて、その点の問題を組合は一体どうするのかということが、
相当組合とはその点についての折衝を重ねたわけであります。直接この両会社と接触いたしております現地の所長等につきまして、いつだれがどういうふうに言ったというような点まで私
ども突きとめることはできないのでありますけれ
ども、われわれといたしましては、結局のところ、組合がその点については完全に両会社の承認を得て、復旧計画に両会社の調印をしてもらったので、これで円滑に復旧計画が遂行できるだろうということになりまして、これならやれるだろうという見通しを立てまして、その後復旧計画の実施を指導して参ってきたような状況であります。復旧計画自身の実施後の成績というものは、われわれが予想した以上に優秀でありますることは、先生もすでに御承知の通りでございまして、従来塩の主産地でありました
瀬戸内海をめぐる十州
地方の塩業者が、このごろでは愛知の塩業組合が非常に成績がいいということで、みな見学にやって参るというくらいの成功を見ているような状況なのであります。そういうことで、組合もりっぱに復旧でき、事業も軌道に乗って参る。現実に六月以後は、鹹水を両会社に送ることをやめて、両会社としては仕事を失ってしまったということで、いよいよ両会社に対して
処置をしてやらなければいけないという時期になりまして、公社といたしましても、この組合と両会社との間柄を円満に話し合いをつけさせまして、両会社も、もちろん従来通りの仕事を継続できるわけではありませんので、何といいますか、満足して仕事をやめるというようなことはとうてい望めないにしても、まあ不満ながらも仕事をやるなり、あるいは新しい仕事に転換するなりの
措置を完了したいということで、工場ができまするよほど前、ちょうど本年の正月ごろから、公社といたしましては、
地方局を通じ、あるいは本社直接に、あらゆる両者間のあっせんに努めまして、あっせんに乗り出しまして話し合いを進めて参ったのであります。三会社のうちで、一会社の方は煎熬の仕事はやめますけれ
ども、残った両社が苦汁利用の仕事を継続したいということが当初からの希望でありまして、この点につきましては、公社としても、そういう希望であれば苦汁工業を続けることは異存ない。また塩業組合の方も、それに対して積極的に協力しようという態勢でありましたので、そういう前提のもとに、組合から会社に対して、どういう
措置をするかということにつきまして、いろいろと話し合いを続けたわけであります。ただ、これは非常に申し上げにくい問題なんでありますが、この両会社と塩業組合との間柄につきましては、従来も必ずしもすべて円滑に参っておったのではないのでありまして、この両会社の成立のときの
事情、あるいは成立後の組合との折衝の模様などをしさいに見ておりますと、感情的なと申しますか、いろいろと問題がございまして、普通であればもっともっと円満な話し合いができるものが、なかなか公社が
考えるように、あるいは
地方局が指導いたしましても、その間に円満な話し合いができないといったような状況がございまして、その点、われわれの方もいろいろと努力はいたしましたけれ
ども、必ずしも十分な努力の成果があったとは申せないような
事情なんでありますが、この点につきましては、ぜひともこの
事情につきまして、
一つとくと御了承をいただきたいと思うのであります。そういうデリケートな
事情はございますけれ
ども、それにいたしましても、組合と会社と、とにかくこの問題でもっていがみ合ったり、よけいなごたごたを生じさせたりしては相済まないということで、われわれといたしましては、両者間のあっせんをできるだけやって参りました。このために名古屋の
地方局の局長なり、
相当の
部長なりをたびたび東京にも呼びまして指示もいたし、あるいは電話で連絡する、直接御
関係の方々にも、しばしば御上京願って御相談するといったような経過をたどっているのでありますが、組合といたしましては、組合の現在の能力、あるいは将来の見通しのもとで、可能である限りはできるだけの世話をしたいという気持は終始失っておりません。結局会社が現在までに設備を復旧させましたり、その他今日までの経営につきまして
相当外部からの負債を持っておりますので、その負債の中で、当然組合自身に責任のある分につきましては、適当な形で組合が引き受けるという
措置を第一にとること。それから組合の組合員と会社の役員なりあるいは株主なりとは
相当部分が重複いたしているのでありますが、会社が借金をするについて、その会社側の役員、あるいは株主が保証をいたしておるというようなものにつきましては、できるだけ組合においてこれを肩がわりするなり、あるいは代位弁済するなりの
措置をとることによりまして、実質的に会社側の負債をしょい込んでやるということにいたしたのが第二点。それからこれは名目はいかようにもつけられるかと思うのでありますが、いわばこの会社が事業をやめるについての補償金的なものを何らかの形でもって出さなければならない。その出し方といたしまして、先ほど申しました、従来の暫定煎熬を行なっておりました間の鹹水の分量を
基準にいたしまして、一トンにつき幾らといったような適当な金を組合から会社に支出いたしまして、それによりまして、会社はその際のいろいろな対策費に充てるようにという、いわば補償金的な支出をいたしましたのが一点。そのほかに、会社側の従業員につきましては、できるだけ組合で引き受ける。その中には当然組合員の子弟等もありますし、これはできるだけ組合で引き受けて、その点会社側の負担を
軽減する。それから会社側の持っておりました設備の中で、組合が引き受けて十分に利用できるものにつきましては、
相当の価格でもってこれを組合で引き受けまして、その資金を会社としてはまた整理のために充てるといったような
措置もあわせ
考えるといったようなことにつきまして、
一つ一つ会社側と組合側との間のあっせんに努めました。組合も、御承知のように組合自身が
相当大きな借入金をいたしまして復旧計画をいたしましたわけであります。復旧計画の成績はよろしいとは申しながら、まだ、それが緒についた状況でありまして、決して組合の内容が安定をいたしていると申せる時期ではないのでありますが、現状並びに将来の組合の能力からいって、多少当初は組合側に非常に用心深いところがありまして、公社があっせんいたしましても、金の出し方等につきまして、公社自身がもう少し
考えてやってもいいじゃないかといったような
程度の線しか出してきておらなかったのでありますが、だんだんとあっせんをいたしております問に、多少組合側でもその点につきましての
考えを修正いたしてきていると私
ども考えております。現在まだ組合と会社側との話し合いは意見の一致を見ておりませんけれ
ども、何とか公社といたしましてはあっせんを続けまして、会社として不満足ながらも、まあこの
程度のものまで心配してもらえるのだったら、やむを得ないといったような線までこぎつけたいという期待であっせんを続けたいと思っておりますが、会社側の出して参りました希望額というものは、実は非常に大きいのであります。組合側が果してその希望額のどの
程度まで応じ得るかということにつきましては、われわれとしては
最後までの確信はないのであります。何とか両者歩み寄って円満な話し合いをつけさせることにいたしたいと思っておるのであります。