○大
來説明員 ただいま
委員長からお話のございました点につきまして、
概略御
説明申し上げたいと存じます。お
手元に「
電力需要の
実績とその見透し」これが参っておるかと存じます。これに
概要はございますが、
あときょうお配りしました
資料が、
一つは諸
外国の
エネルギー、ことに
電力の
伸びの率を
日本に比較したものであります。もう
一つは最近の
ヨーロッパの
経済協力機構、
西欧側十六カ国が作り上げております
経済協力機構で、
長期の
エネルギー需要の
見通しを立てました
資料を入手いたしましたので、その
内容の
概略を紹介したものでございます。
実はこの
電力需用につきましては、従来から
電源開発促進法の
関係で、
政府が
長期の
電源開発の
計画を立てて、これを
一般に公示する必要があることになっておるわけでございます。すでに前の
審議会で六年
計画というものを発表しておるわけでございます。この六年
計画は、現在の
経済自立五カ年
計画に見合った
電気の方の
計画になっておりますので、実は
再々商工委員会でも前に御
説明申し上げましたように、五年
計画自体の目標に対して、
実績の方がだいぶ先にいっております。
日本の
経済の
規模が、年率大体五%
程度の
拡大ということを今の五年
計画が
予想しておりますのに対しまして、三十年、三十一年の二年間に約二割、年に一割の
割合で
経済規模が
拡大いたしまして、その結果
つまり計画の四年分を二年で達成するというような形になりました
関係上、
電力とか
輸送力というような、
建設に大きな
資金とかなりの長年月を要する面におきまして、
隘路が現われ始めてきたわけであります。
電力需用の最近の
伸びを
鉱工業の
生産の
伸びとか、あるいは
国民所得の
伸びとかいうものと比較してみますと、もともと従来の
計画で考えておりました
電気需用の
伸びというものが、ほかの
産業、ほかの
経済の
規模に比して低かったということはなかったように見受けられますが、ただ
経済規模全体が今のように二年繰り上って早く大きくなった。そのためにこういう
電力の
供給に不安を生ずるような事態になったということになるかと存じます。従って今後の
電力の
計画を立て直します際に、
経済規模の
拡大をどの
程度に見るか、ことに
鉱工業生産の
拡大テンポをどの
程度に見るかということが非常に
基礎になるわけであります。いろいろ事務的に検討しておるわけでございますが、ともかくその率のいかんにかかわらずすでに二年間のおくれができた。それを取り返すためにも従来の
発電計画の二年分くらいは少くとも繰り上げなければならない。それと
経済の
一般情勢からいいまして、五年
計画よりやや高い
拡大率を
予想いたしますと、その分も幾分余裕を見て考えなければならない。さらに
エネルギーとか、
輸送力というもの、これも
内部でいろいろ検討しておるのでありますが、
経済規模に一応そのまま合った形ではやや不安な点が出てくるのじゃないか、つまり
エネルギーや
輸送力のような
基礎的な
部面につきましては、幾分
ゆとりを見て先に手を打っていかないと、もしも
予想以上に
経済が
伸びた場合に、すぐ行き詰まるというおそれがあるわけでございますから、こういう
基礎的な
部面については、やや
ゆとりを見た
計画を組むべきではないかというようなことも
内部で議論しておるわけでございます。そういうことでいろいろとほかの部門との
関係もある
程度考えまして、最近の
情勢に応じて
計画の
改訂作業を進めておるわけでございますが、この中間的な
概要といたしまして、今お
手元にございます「
電力需要の
実績とその見透し」というものを御提出いたしたわけでございます。これはいずれ今月中ごろに
電源開発調整審議会を開く必要がございますので、そのときまでに最後的に固めて
審議会の議にお諮りしたい。もっとも五年
計画本体の改訂問題がございますので、
電力計画はさしあたり来年度、三十二年度の
着工地点の
決定、三十二年の
資金計画の
決定というようなことからいって、どうしてもその
基礎として
長期計画を直さなければならないのでありますが、時間の
関係から申しますと、五年
計画の
本体の
修正に先だって
電力の方を直さなければならないということになりますもので、もし来年に入りまして五年
計画の
本体の
修正というような
作業が進みました場合には、あるいは現在一応はじいております
電気の方の
長期計画もその際にもう一度ある
程度の手を加える必要が出るかもしれないと思うのでありますが、私
どもとしてはできるだけその必要のない
程度に考えていきたいというふうなつもりで
作業はいたしております。
この
資料についてまず
概略申し上げますと、最近の
電力需用増加の実態と
増加の
原因というここで、過去五年間の
需用の
伸びをここに掲げておるわけでありますが、
電気事業用と自家用とを合せまして、二十七年度が対前年八%の
伸び、二十八年度が一三%、二十九年度が六%、三十年度が一〇%、こういうふうな年々の
伸びを示してきておったのでありますが、それが三十一年度につきましては、従来の
伸び率をだいぶ上回りまして、次の四ページの第二表にございますように、二割近くの
伸びになっております。この表の一番下の欄にございます
電灯電力計といたしまして、三十一年度の第一・
四半期が前年度第一・
四半期に比べまして一一五%、第二・
四半期は一二〇%というような
伸びを示しておるわけであります。このような
伸びが一体どこからきておるかということは、次の六ページ、七ページの
業種別電力消費実績というところに大体出ておるわけでありますが、ここにごらんになりますように、たとえば
ソーダ工業とか
カーバイト、
石灰窒素、鉄鋼あるいは
金属鉱業、こういった
電気を大量に使う
産業で大きな
消費の
増加がある。
地帯別にいえば北陸あるいは
東北というような
電気を
原料として使う
産業が興りやすい地域で、
電力消費の特に急激な
増加が起っておるということになるのであります。これは
鉱工業の
生産が、
生産指数で見まして現在三十一年度
上半期が前年度
上半期に比べて大体二〇%アップになっておりますので、この
電力需用の
増加も、そういう急激な
鉱工業生産の
伸びに大体見合っておるわけであります。
その次に、八ページに参りまして
需用の
実績と
電力六年
計画、現在の
電気の六年
計画から見ますと、三十一年度の
見通しが全体で約六百億
キロワット・
アワーというのは、
計画に比べて約五十億
キロワット・
アワー上回るという形になるわけでございまして、今の
計画と最近の
需用の
見通し、それから
見通しに基きました
改訂試案というものを対比いたしましたものが、次の十ページ、十一ページにかけての表に示してあるわけでございます。ここにございますように、六年
計画では三十年度から三十五年度までの六年間に五百九十三万三千
キロワット、年に約百万
キロワット平均の
建設を考えておりましたが、先ほど来申しましたように、現在の
段階においてもすでに
日本の
経済規模は約二年繰り上って大きくなっておるというその面からいっても、二年分は繰り上げなければなりませんが、それ以外に
経済規模の発展の
テンポが高いということを考えますと、そのすぐ下にございますように、六年間に約九百万キロの
建設を必要とするということで、従来の六年
計画に対しましては、プラス三百万キロ
程度のものは、いろいろはじいてみたのでありますが、どうも必要のように見受けられます。これに対する
所要資金が次の欄に出ておりますが、現在の
計画では六年間九千九百九十一億、約一兆が、今のように
開発の
規模を大きくいたしますと、約一兆四千億余りの
資金が必要になります。この
設備の
出力をはじきますと、
需用としましてはここにございますように三十五年度において八百三十七億
キロワット・
アワー、これが今の
計画では六百九十二億
需用端の
電力量でございますが、これを八百二十七億くらいに考え、それに見合った
設備出力の
増加、
所要資金というのが大体ここに出ておるようなことになるわけでございまして、総額約一兆四千百億、そのうち三十年度が千七百五十億ぐらい使っております。三十一年度が今の
見通しとしましては二千百二十億くらい、その
あと大体二千五百ないし二千六百五十億くらいの
資金が必要になりまして、いろいろ繰り上げる
関係もあって三十三年度に特に
資金が二千六百五十億というようなことで、かなり大きな
数字になっておるわりであります。
それから
需用の
伸びでありますが、十三ページに第五表がございまして、
需用の
伸びの率を今度の
試案としましては大体
年平均九・三%
程度に見ております。
電灯とか
業務用あるいは
小口電力、
大口電力、その他というような内訳がここに出ておるわけでございますが、
電灯あるいは
業務用というようなものは比較的に景気にかかわりなく、年に五、六%ずつ過去
伸びておりよますので、将来も
伸びるということはそう間違いはないと思うのでありますが、
電力用の
需用というものはかなり動いて参ります。しかし大体
経済規模の
拡大から考えて九・三%くらいを見ていいのじゃないか。先ほどお配りしました薄い一枚の表で、
工業指数の
伸張率と
電力指数の
伸張率を比較した表がございますが、大体諸
外国では
工業生産指数の
伸びに比べて
電力の
伸びの方が大きいのであります。いずれも一〇〇%をこえる値になっております。西ドイツが九七・五とほぼ同じになっておりますが、各国とも
工業の
伸びに比べて
電力の
需用の
伸びの
割合が大きい。ところが
日本は過去五年間をとってみますと六六%と、その
割合が非常に低いのでございますが、これは今の五年
計画が
——実はこの
関係はある
程度実績として頭に入れて
電力の
需用をはじいたので、やや低目に出たという点はございますが、最近の
実績は、今まで申し上げましたところでも出て参ったわけでありますが、
工業の
伸びと
電力の
需用の
伸びとがほぼ近い、ほぼ並行しておるというところに来ております。これはいろいろ
原因があると思うのでありますが、その
意味ではこの表にあります諸
外国と
傾向が似てきたということになるわけで、これは
日本の
電力消費がだんだんと
産業に結びついた面の比重が大きくなりまして、
産業の
伸びと伴って
伸びる
傾向がふえてきたのじゃないか、そういうことで今の
修正試案におきましても比較的
経済の
規模の、特に
鉱工業の
伸びに近い
割合で
電力がふえるということを一応考えておるわけであります。
以上が最近の
電力需用の
実績と、それに関連しまして
計画改訂を現在考えておる大ワクでございます。一応
概略説明はこの
程度申し上げまして、
あとまた御
質問によって補足させていただきたいと存じます。