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1956-12-03 第25回国会 衆議院 商工委員会日本の経済と国土開発の総合的施策に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員昭和三十一年十一月二十二日(木曜日) 委員長指名で次の通り選任された。       秋田 大助君    大倉 三郎君       菅  太郎君    笹本 一雄君       田中 角榮君    田中 龍夫君       淵上房太郎君    松岡 松平君       阿部 五郎君    佐竹 新市君       田中 武夫君    帆足  計君 同日  笹本一雄君が委員長指名で小委員長選任さ  れた。     ————————————— 会議 昭和三十一年十二月三日(月曜日)     午後二時二十三分開議  出席小委員    小委員長 笹本 一雄君       秋田 大助君    菅  太郎君       田中 龍夫君    小松  幹君       佐竹 新市君    田中 武夫君  小委員外出席者         議     員 宇田 耕一君         総理府事務官         (経済企画庁長         官官房企画課         長)      磯野 太郎君         総理府事務官         (経済企画庁計         画部長)    大來佐武郎君         総理府事務官         (経済企画庁計         画部調整官)  大師堂經慰君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 十二月一日  笹本一雄君十一月三十日委員辞任につき、委員  長の指名で小委員補欠選任された。 同日  笹本一雄君が委員長指名で小委員長補欠選  任された。 同月三日  小委員阿部五郎君十一月二十八日委員辞任につ  き、その補欠として佐々木良作君が委員長の指  名で小委員選任された。 同日  小委員帆足計君同日委員辞任につき、その補欠  して小松幹君が委員長指名で小委員選任さ  れた。     ————————————— 本日の会議に付した案件  電源開発計画に関する件     —————————————
  2. 笹本一雄

    笹本委員長 これより会議を開きます。  電源開発計画に関しまして調査を進めます。最近化学、金属等電力需用量の多い諸産業の活況に伴い、電力需用伸びが著しく、その実績はさきに策定された電力六カ年計画予定需用量をはるかに上回る現状にあり、なお今後の需用も大幅に増加する見込みであります。従いましてこれに見合うところの増加出力につきましても、相当量開発が必要とされるのではないかと思われるのであります。政府においても電源開発計画の繰り上げ実施等、鋭意検討を進められておるものと存じますが、この際経済企画庁よりこれらの問題について説明を求めることにいたしたいと存じます。
  3. 大來佐武郎

    ○大來説明員 ただいま委員長からお話のございました点につきまして、概略説明申し上げたいと存じます。お手元に「電力需要実績とその見透し」これが参っておるかと存じます。これに概要はございますが、あときょうお配りしました資料が、一つは諸外国エネルギー、ことに電力伸びの率を日本に比較したものであります。もう一つは最近のヨーロッパ経済協力機構西欧側十六カ国が作り上げております経済協力機構で、長期エネルギー需要見通しを立てました資料を入手いたしましたので、その内容概略を紹介したものでございます。  実はこの電力需用につきましては、従来から電源開発促進法関係で、政府長期電源開発計画を立てて、これを一般に公示する必要があることになっておるわけでございます。すでに前の審議会で六年計画というものを発表しておるわけでございます。この六年計画は、現在の経済自立五カ年計画に見合った電気の方の計画になっておりますので、実は再々商工委員会でも前に御説明申し上げましたように、五年計画自体の目標に対して、実績の方がだいぶ先にいっております。日本経済規模が、年率大体五%程度拡大ということを今の五年計画予想しておりますのに対しまして、三十年、三十一年の二年間に約二割、年に一割の割合経済規模拡大いたしまして、その結果つまり計画の四年分を二年で達成するというような形になりました関係上、電力とか輸送力というような、建設に大きな資金とかなりの長年月を要する面におきまして、隘路が現われ始めてきたわけであります。電力需用の最近の伸び鉱工業生産伸びとか、あるいは国民所得伸びとかいうものと比較してみますと、もともと従来の計画で考えておりました電気需用伸びというものが、ほかの産業、ほかの経済規模に比して低かったということはなかったように見受けられますが、ただ経済規模全体が今のように二年繰り上って早く大きくなった。そのためにこういう電力供給に不安を生ずるような事態になったということになるかと存じます。従って今後の電力計画を立て直します際に、経済規模拡大をどの程度に見るか、ことに鉱工業生産拡大テンポをどの程度に見るかということが非常に基礎になるわけであります。いろいろ事務的に検討しておるわけでございますが、ともかくその率のいかんにかかわらずすでに二年間のおくれができた。それを取り返すためにも従来の発電計画の二年分くらいは少くとも繰り上げなければならない。それと経済一般情勢からいいまして、五年計画よりやや高い拡大率予想いたしますと、その分も幾分余裕を見て考えなければならない。さらにエネルギーとか、輸送力というもの、これも内部でいろいろ検討しておるのでありますが、経済規模に一応そのまま合った形ではやや不安な点が出てくるのじゃないか、つまりエネルギー輸送力のような基礎的な部面につきましては、幾分ゆとりを見て先に手を打っていかないと、もしも予想以上に経済伸びた場合に、すぐ行き詰まるというおそれがあるわけでございますから、こういう基礎的な部面については、ややゆとりを見た計画を組むべきではないかというようなことも内部で議論しておるわけでございます。そういうことでいろいろとほかの部門との関係もある程度考えまして、最近の情勢に応じて計画改訂作業を進めておるわけでございますが、この中間的な概要といたしまして、今お手元にございます「電力需要実績とその見透し」というものを御提出いたしたわけでございます。これはいずれ今月中ごろに電源開発調整審議会を開く必要がございますので、そのときまでに最後的に固めて審議会の議にお諮りしたい。もっとも五年計画本体の改訂問題がございますので、電力計画はさしあたり来年度、三十二年度の着工地点決定、三十二年の資金計画決定というようなことからいって、どうしてもその基礎として長期計画を直さなければならないのでありますが、時間の関係から申しますと、五年計画本体修正に先だって電力の方を直さなければならないということになりますもので、もし来年に入りまして五年計画本体修正というような作業が進みました場合には、あるいは現在一応はじいております電気の方の長期計画もその際にもう一度ある程度の手を加える必要が出るかもしれないと思うのでありますが、私どもとしてはできるだけその必要のない程度に考えていきたいというふうなつもりで作業はいたしております。  この資料についてまず概略申し上げますと、最近の電力需用増加の実態と増加原因というここで、過去五年間の需用伸びをここに掲げておるわけでありますが、電気事業用と自家用とを合せまして、二十七年度が対前年八%の伸び、二十八年度が一三%、二十九年度が六%、三十年度が一〇%、こういうふうな年々の伸びを示してきておったのでありますが、それが三十一年度につきましては、従来の伸び率をだいぶ上回りまして、次の四ページの第二表にございますように、二割近くの伸びになっております。この表の一番下の欄にございます電灯電力計といたしまして、三十一年度の第一・四半期が前年度第一・四半期に比べまして一一五%、第二・四半期は一二〇%というような伸びを示しておるわけであります。このような伸びが一体どこからきておるかということは、次の六ページ、七ページの業種別電力消費実績というところに大体出ておるわけでありますが、ここにごらんになりますように、たとえばソーダ工業とかカーバイト石灰窒素、鉄鋼あるいは金属鉱業、こういった電気を大量に使う産業で大きな消費増加がある。地帯別にいえば北陸あるいは東北というような電気原料として使う産業が興りやすい地域で、電力消費の特に急激な増加が起っておるということになるのであります。これは鉱工業生産が、生産指数で見まして現在三十一年度上半期が前年度上半期に比べて大体二〇%アップになっておりますので、この電力需用増加も、そういう急激な鉱工業生産伸びに大体見合っておるわけであります。  その次に、八ページに参りまして需用実績電力六年計画、現在の電気の六年計画から見ますと、三十一年度の見通しが全体で約六百億キロワットアワーというのは、計画に比べて約五十億キロワットアワー上回るという形になるわけでございまして、今の計画と最近の需用見通し、それから見通しに基きました改訂試案というものを対比いたしましたものが、次の十ページ、十一ページにかけての表に示してあるわけでございます。ここにございますように、六年計画では三十年度から三十五年度までの六年間に五百九十三万三千キロワット、年に約百万キロワット平均建設を考えておりましたが、先ほど来申しましたように、現在の段階においてもすでに日本経済規模は約二年繰り上って大きくなっておるというその面からいっても、二年分は繰り上げなければなりませんが、それ以外に経済規模の発展のテンポが高いということを考えますと、そのすぐ下にございますように、六年間に約九百万キロの建設を必要とするということで、従来の六年計画に対しましては、プラス三百万キロ程度のものは、いろいろはじいてみたのでありますが、どうも必要のように見受けられます。これに対する所要資金が次の欄に出ておりますが、現在の計画では六年間九千九百九十一億、約一兆が、今のように開発規模を大きくいたしますと、約一兆四千億余りの資金が必要になります。この設備出力をはじきますと、需用としましてはここにございますように三十五年度において八百三十七億キロワットアワー、これが今の計画では六百九十二億需用端電力量でございますが、これを八百二十七億くらいに考え、それに見合った設備出力増加所要資金というのが大体ここに出ておるようなことになるわけでございまして、総額約一兆四千百億、そのうち三十年度が千七百五十億ぐらい使っております。三十一年度が今の見通しとしましては二千百二十億くらい、そのあと大体二千五百ないし二千六百五十億くらいの資金が必要になりまして、いろいろ繰り上げる関係もあって三十三年度に特に資金が二千六百五十億というようなことで、かなり大きな数字になっておるわりであります。  それから需用伸びでありますが、十三ページに第五表がございまして、需用伸びの率を今度の試案としましては大体年平均九・三%程度に見ております。電灯とか業務用あるいは小口電力大口電力、その他というような内訳がここに出ておるわけでございますが、電灯あるいは業務用というようなものは比較的に景気にかかわりなく、年に五、六%ずつ過去伸びておりよますので、将来も伸びるということはそう間違いはないと思うのでありますが、電力用需用というものはかなり動いて参ります。しかし大体経済規模拡大から考えて九・三%くらいを見ていいのじゃないか。先ほどお配りしました薄い一枚の表で、工業指数伸張率電力指数伸張率を比較した表がございますが、大体諸外国では工業生産指数伸びに比べて電力伸びの方が大きいのであります。いずれも一〇〇%をこえる値になっております。西ドイツが九七・五とほぼ同じになっておりますが、各国とも工業伸びに比べて電力需用伸び割合が大きい。ところが日本は過去五年間をとってみますと六六%と、その割合が非常に低いのでございますが、これは今の五年計画——実はこの関係はある程度実績として頭に入れて電力需用をはじいたので、やや低目に出たという点はございますが、最近の実績は、今まで申し上げましたところでも出て参ったわけでありますが、工業伸び電力需用伸びとがほぼ近い、ほぼ並行しておるというところに来ております。これはいろいろ原因があると思うのでありますが、その意味ではこの表にあります諸外国傾向が似てきたということになるわけで、これは日本電力消費がだんだんと産業に結びついた面の比重が大きくなりまして、産業伸びと伴って伸び傾向がふえてきたのじゃないか、そういうことで今の修正試案におきましても比較的経済規模の、特に鉱工業伸びに近い割合電力がふえるということを一応考えておるわけであります。  以上が最近の電力需用実績と、それに関連しまして計画改訂を現在考えておる大ワクでございます。一応概略説明はこの程度申し上げまして、あとまた御質問によって補足させていただきたいと存じます。
  4. 笹本一雄

    笹本委員長 ただいまの説明に対しまして質疑の申し出がありまするからこれを許します。
  5. 小松幹

    小松委員 電力需用の今の説明については別に異議もなければ質問もないわけですけれども、本年の電力事情で九電力会社として、特に東北方面電力量がことに非常に足らないというように聞いておるわけなのです。その原因と、さらに電力融通をもう少しうまく合理的にやったらカバーできるのじゃないかという点、組織的な問題ですね。それとロスの出を今後どのように押えていけるかということをまず最初に——開発の問題はあとにいたしまして、既往の発電計画の中でもう少しロスを小さくする技術的な問題はないのか。電力融通上の組織的な問題で隘路があるのじゃないか、東北方面が特に電力事情が緊迫しているというように聞いているが、その点についてちょっとわからないですか。
  6. 大來佐武郎

    ○大來説明員 ただいまの御質問の内省につきましては、所管としましては通産省の公益事業局の方があるいは適当かと思いますが、私どもの方で知っております限り概略申し上げますと、東北は確かに他の地帯に比べて需用伸びが大きいのでございます。これは砂鉄製練とかカーバイトとか、そういう先ほどちょっと申しました電力原料として大量に使う産業伸びが特に東北地方で顕著なのでありますが、ただ今鉄の値段が非常に高くなっておる、一般市中価格が上っておるというような大へん特殊な事情もございますので、いわゆる非常に安定した電力需要伸びとして将来どの程度考えていいのか、これについてはもう少しこれからの模様を見る必要もあるかと思うのであります。かりに電力融通をいたしまして、たとえば東京の方から火力を振りかえて東北供給するということになりますと、その火力の料金がかなり高いものになってくる、その高い電力で果して砂鉄製練その他の電気化学工業で安い電力を使わなければならない工業がうまくやっていけるかどうかという経済的な問題も出て参るかと思うのでありますが、そういう点が東北電力供給については特に問題でございます。しかしいずれにしても電力需用は最近旺盛でございましてとりあえずできるだけ供給に支障がないようにしていかなければならないというので、現在八戸が十五万キロの発電所を繰り上げて、建設を始めるということで、もう一つさらに東北では大きな火力を考えておるようでありますが、急場としてはその火力建設、なお水力電源開発をやっております只見川系統のものをできるだけ早く仕上げるということになるかと思うのでございます。  電力損失の問題につきましては、これは従来より比較的予想以上に電力損失の率が下ってきております。現在大体一七・九程度というところになっておるわけでありますが、これは技術的な面からロスが下ったということも一つあるわけでありますが、もう一つ電力需用内容の変化もございます。たとえば家庭用電気が非常にふえれば、これはやはり長い距離を電気を運びますのでロスが高い、ところが最近のように大口電力消費がよけい伸びるような場合には、これは電気を大元で大量に引き渡すわけでありまして、当然ロスが少い。従って最近のロス率の低下には特に大口電力需用がふえておるという面がかなりきいておるように思います。もちろんロス軽減のためのいろいろな投資、施設の改善も響いておるわけでありますが、将来につきましては大体三十五年度までにはロス率一五%前後の程度まで引き下げるということを一応想定しておるわけでございます。
  7. 小松幹

    小松委員 需用報告だけを受けたように思いますが、将来の計画等について御説明いただけますか。それについてちょっと御質問したいがどうなのですか。
  8. 大來佐武郎

    ○大來説明員 実は先ほど御説明申し上げました十ページ、十一ページというこの表が計画になっておるわけでございます。それから十四ページの第五表はその基礎になっております需用計画と申しますか需用見通しということになるわけで、大体計画も含めて申し上げたつもりだったのでございますが……。
  9. 小松幹

    小松委員 それで一、二点お伺いしたいのですが、数字的な一つ需用電力計画というのは一応できると思います。ところで問題になるのは、隘路となっておる点は、日本電力計画を伸ばす場合に電力単価というものがコマーシャル・ベースに乗るか乗らないかというのが大きな問題になるだろうと思います。そのベースに乗らないで四円なり六円なり、最近ではいわゆる地方低位発電では単価が六円もするような発電もやる、そうした場合に電力会社がよう買わないで、もちろん原価計算の上に立っておるけれども、あまりにも建設費が高くついておるということからその間にうまくいかない、こういう現象があると結局世界的な水準あるいは日本を目安にした日本のレベルというものは、一キロワットアワーでどのくらい、いわゆるベースにどのような格好で乗せる電力を作るのかということと、もう一つ原子力火力かあるいは水力かの問題になる場合に、最近はやはりロスの低い新鋭火力発電の方に切りかえた方が、早くて、しかもベースの安い電力がとれるのじゃないかということです。それからもう一つは、水力にしても、今のいわゆるダム水力ばかりどえらい大きな大ダム建設をやらなければ、ペースは下らない。小さいダムでもちろん流れ込み式あたり、昔のあれを利用すれば建設費は安いのですけれども、今は九電力会社はどこでもそういうところはあさり尽して、最終的に大きな佐久間ダムのような大ダム建設に力を入れて、安い電力を作る、こういう傾向をとらなければ商業採算に合わないのじゃないか、こういうように考えるのです。一時は電力不足を嘆いた時代があった、ところが今日は少くとも電力の高いことを心配している時代だ。ところが本年に入って初めて、再び電力の足らざるのを憂える段階であると思うのです。しかしながら、ただ電力が足らないからといってベースの高いものを今計画の中に入れて作ることがいいのか、やはり商業ベースというものを下に持ちながら、大ダムなら大ダムをどこに持っていくのか、あるいは新鋭火力発電をとっていくか、あるいは原子力をどのように加味していくかという計画方向性が私どもとしては一番ポイントだと思う。数字計画量というのは割とできるのじゃないかしかし数字計画量を今度は商業ベースに乗せていくという一つの考え方をどういうふうに把握しているか、そのことをまぜてお伺いしたい。
  10. 大來佐武郎

    ○大來説明員 ただいまの御質問は、結局発電計画の中での発電コストの点を十分考えて計画を立てているかどうかという点の御指摘だったと思うのであります。実は約三百万キロ従来の計画に比べて追加をしなければならない。合せて九百万キロになるのでございますが、追加の三百万キロのうちの三分の二、つまり約二百万キロは火力、百万キロは水力ということになるのではないか。この辺はまだ詳しく詰めておらないのでありますが、大体の見当でそういうことになるかと思います。水力火力の点におきましては、どうしても火力がだんだんとベースロードに入るようになって参ると存じます。新鋭火力ですと、大体四円くらいのコスト発電できるということになるわけでございますが、ただその場合に非常に問題なのは燃料の点でございまして、今は八百万トンくらいの石炭発電用に使っておるのでございますが、五年後には千六百万トンぐらい火力に使わなければならない。今約四千数百万トンの出炭がございますが、先へ行っても石炭の方はそう多く出炭はふえないということになりますと、火力発電能率の点、コストの点で非常にいいのでございますが、ただ燃料の面でかなりむずかしい問題が出てくる。おそらく重油だき火力発電所をかなりやらなければならないことになるのじゃないか。その場合に、もちろん重油は輸入になって参ります。この大きなエネルギー長期計画といたしまして、これは実は五カ年計画の改訂問題とも関連して、石炭電力石油と、この三つのエネルギーを組み合せて長期的に計画を立てていくように考えております。いろいろ事務的に検討しておる最中でありまして、まだ結論的なことは申し上げられないのでありますが、しかし火力発電でもある程度重油専焼火力発電所を考えている、そうしますと、石炭を微粉炭にしてたく火力発電所よりも建設費がある程度低下できる、しかしこれは電力会社がその油の確保の見通しがなければやれないことでありますから、こういう点やはり政府として十分いろいろ検討して方針を立てていく必要があるのではないかと思っております。  それから水力の点につきましては、大体において日本水力の性質から見ても、尖頭負荷用あるいは季節的な補給用という面にだんだん向っていくのではないか、過去におきましては火力補給用でございましたが、将来は水力がだんだん補給用になっていく、そういたしますと、少しでも貯水容量の大きな水力地点開発したい、渇水期に補給できるような発電所を作りたいということになって参ります。またそういうふうな設計になりますと、従来ベースロード火力を考えておりましたのよりは日本水力資源はより多くのキロワット出力を使い得るようになるじゃないかと考えられるわけでありますが、今の高能率新鋭火力でも大体ベースロードでたいておりますが、さらに原子力発電が入って参りますと、これは負荷変動によって発電所出力をほとんど変えることができきない、コンスタントに発電していかなければなりませんので、需用変動に対しては、他の面、特に水力で調整していかなければならない。そういった意味で、そういう働きのある水力でありましたならば、ある程度コストが高くてもその電力供給全体としての総合コストは高くならない、そういう見地から水力開発は考えていくべきだろうと存じます。原子力発電は、きょうお配りしました「西欧におけるエネルギー需給実績と見透し」の中でも論じておりますが、ヨーロッパ全体の二十年後の電力需用エネルギー需要を見ているのでありますが、二十年たった後におけるヨーロッパ電力供給の中で、原子力によるものは、大体の推定で八%くらいだろうということを言っております。従って原子力も大事であるが、在来エネルギーの十分な利用ということも同時に十分注意を払っていかなければならないということがこの報告書一つの重要なポイントになっていると思うのであります。もちろんヨーロッパ諸国もスエズの関係で中東の石油に対する依存ということが非常に危険だというような問題がありまして、いろいろ考え直す面もあるかと思います。日本の場合にはエネルギー不足ということが西欧諸国よりもさらにはなはだしいという事情もありますので、原子力発電がもっと急速に伸び可能性があるのでありますが、しかしそれにしても、そう一朝一夕に従来のエネルギーを置きかえるということにはいかないで、日本としても水力資源及び石炭資源、それから輸入の油の資源、こういうものの有効利用というものを考えてできるだけコストの低い電力を発生するような組み合せを計画していく、大体考え方としてはそういう筋で考えているわけでございまして、ただいま御指摘のありました単に出力をふやすためにやたらに作る、その結果として非常に高い電気ができ上るということ、そういう弊がないように計画当局としても努力したいと考えているわけでございます。
  11. 笹本一雄

  12. 田中武夫

    田中(武)小委員 若干質問したいと思います。今いただきましたこの資料の八ページに需用実績電力六カ年計画関係をうたっておられますが、その中で、経済五カ年計画基礎として本年一月に作成せられた電力六カ年計画では、三十年度は五百十三億キロワットアワー、三十一年度は五百五十一億キロワットアワーと見ておったのが、実際には三十年度の実績は五百三十四億キロワットアワーで、二十億キロワットアワー増加した。三十一年度になると、計画よりか実績の方が五十億キロワットアワー増加するであろう、こういうように言われておるのですが、先ほど若干触れられたかもしれませんが、実績計画をよほど上回っておるのはどういう理由に基いておるのか、それとも計画が立てられるときに若干ずさんな計画があったのではないかと思うのですが、その点いかがでしょう。
  13. 大來佐武郎

    ○大來説明員 この点は非常に痛い点でございますが、一つには、同じ資料の四ページに四半期別の比較が出ておりますが、ここでごらんになりますように、三十年度の第一・四半期、第二・四半期あたりまでは、対前年増加率が七%であったわけであります。第三・四半期から一六%というようなふうに突然飛び上りました。これはほかの鉱工業生産でもすべてそうでありますが、三十年度の下半期、十月以降にだんだん伸びが激しくなってきた。その間に一つジャンプしておる。ところが、前の計画は、実はそういうジャンプのデータがまだ集まっておりませんで、上半期までの実績をもとにして需用伸びを考えてきた。それから、従来の過去の五年間の実績では、鉱工業生産伸びに比べて、電力需用伸びがかなり下回る実績を示してきた、そういうようなことも手伝いまして、どちらかというと低目に見られておった。実は五年計画本体の方も、やはりその作業の時期の関係もありまして割合経済規模拡大を低目に見ておった。これはいろいろな意味の間違いがあると思うのですが、割合に戦後数年間は急速に経済伸びて参りまして、それが二十九年度には工業生産などは非常に停頓いたしまして、国民総生産も三%余りしか伸びない、鉱工業生産も三%程度しかふえないというようなことになって参った。これは引き締め政策による不況ということもあったわけでありますが、一般にそういうふうに二十九年度、あるいは三十年度上期まで、経済伸びが非常に低くなっておりましたのを、そういうことで、回復が一応終ったから、今後は今までほど急速には伸び得ない、そういうことで、こういうふうに経済の発展がスロー・ダウンしてきたのだというような見方があったのではないかと思うのであります。それがやはり電力需用計画の策定にもそういう頭が働きまして、どっちかというとかなり低目の数字を出した結果になったわけでありまして、計画の立て方そのものも、私どもは一年間いろいろ内外のデータも集めてみたり、いろいろ分析検討しておりますが、確かに計画の立て方としてもやや低目にすぎた点があると思います。  それから需用の方がこれほど大きく伸びる、二割もこの一年に伸びるということにつきましては、実は日本じゅうだれも予想しなかった大きな伸びであります。国際的にもあまり例がないことであるわけでありますが、こういう点につきましては、日本人自身が日本経済の活力というか、発展力というものについて、従来少し過小評価しており、戦後の回復の一段落ということをあまり強く考え過ぎたのではないか。そういう点で、私どもの方も従来のやり方等について検討を加えまして、今度立てます数字は、従来のに比べてそう大きな狂いはないようにしたいというふうに考えておるわけでございます。
  14. 田中武夫

    田中(武)小委員 今部長はこれほど伸びるとは想像していなかった、あるいは過小評価しておった、こういうふうにお答えになったのですが、先日もこの小委員会で経済五カ年計画の問題について説明を聞き、質問した際に、どの委員か忘れましたが、某委員から、経済企画庁は、経済企画庁でなくして、経済あとを追っていってそれを報告するだけにとどまっておるのではないか、こういうような言が吐かれたと思うのです。大体企画庁の任務としては、日本経済の将来の見通しを立て、五年後あるいは何年後にかくあるべきであるという計画の上に立って、日本経済をそれに積み立てていくように指導しなければならないと思う。ところが、結局はいつも後手々々を打っておるような実情であります。先日もこの小委員会で検討いたしました結果、すでにその基礎であるべき経済五カ年計画修正しなければならないのではないか、こういう意見も各委員から吐かれたと思います。また実際先日承わったところによると、この経済五カ年計画修正せねばならないように私も思います。もしそうだとするならば、現在の五カ年計画でもなお来年度で五十億キロワットアワーが足らない。それを修正した場合にはなおまた大きなギャップができるのではないか、こう思うのですが、これに対する対策といいますか、そんなものは実際は企画庁の方でやっておられないかもしれませんが、対策はどのように立てておられるかということが一つ。もう一つは、この経済五カ年計画の実施の経過を見ました場合に、一番五カ年計画達成のネックになっておるのは輸送と電力だ、こういうふうに思うわけであります、それについて、この五カ年計画を達成し、なお修正せられるであろうより大きな計画の上に立っての電力計画について、どのようにせねばならないか、こういうことを一つお伺いいたしたいと思います。
  15. 大來佐武郎

    ○大來説明員 ただいま御指摘の点で、確かに従来の見通しなり計画に対しまして実績が上回ってきたということは、事実でございますので、私どもも従来のやり方についていろいろ再検討を加えております。今後やります作業につきましては、そういう食い違いをできるだけ少くいたしたいという努力をしておるわけでございますが、三十二年度といたしましては、これは別に商工委員会で前に通産省当局からも御説明があったと思いますが、今やっております仕事は大体三十二年度には間に合いませんで、三十三年度以降ということになるわけでありますが、しかし、今までもうすでに着手してやってきております仕事がこの一年間にでき上って参りますことから考えて三十二年度末もどうやら乗り切れるのではないか、一部には不足がございますが、どうにか電気としては乗り切れるのではないかという見通しになっておるわけです。  それから経済規模拡大が、今年と去年は対前年約一割ということになっておりますが、一昨年は三%しか伸びておりません。日本の戦前におきます長い歴史では、大体年率四%強というところでございます。ただ、戦後いろいろ経済の成長率を高めるような国内的あるいは国際的な原因がある。それに対する検討がまだ十分行われてなかった。それでこれは私どもいろいろ検討してみておるわけでありますが、確かに戦後は戦前よりも経済成長が高まるような要因が考えられる。特に日本の場合にはそういう事情があると思いますので、将来計画改訂の場合にはもう少し高い経済の成長率を見込んでいきたい。ただ現在年に一割伸びておりますこの率が、このままずっと将来伸びていくということについては非常に私どもも疑問を持っております。五カ年計画で五%と見たのは確かに低過ぎたと思うのでございますが、今の一割というのもやや高きに過ぎる。実際はその間くらいのところじゃないかというふうに考えまして、その程度経済規模伸びを一応想定して、それに見合った電力需用をはじいたのが、お配りしました需用総計でございます。それに基く計画でございましてこの程度計画、つまり電力の六年計画、今後三十五年度までに九百万キロの建設を行う、これをもし実行いたしますれば、日本経済がかなりのいい条件のもとに推移いたしましても、ほぼ電気の面では大体まかなっていけるんじゃないか、そういうふうに考えておるのでございます。
  16. 田中武夫

    田中(武)小委員 この半ぺらの工業指数伸張率電力指数伸張率ですが、これは二十五年と三十年を比較した表ですけれども、その場合に日本工業伸張率は二十五年に比べて倍以上になっておる。ところが電力は四〇%ばかりしか伸びていない。この結果が、工業指数に対する電力指数関係は六六%だ。他の諸外国を見た場合には大体百パーセント全部上回っておる。そうするとこの基礎になっておる二十五年当時、電力工業に対して、これは二十五年は電気が余っておった時代でしょうか、なお足らなかった時代でしょうか。
  17. 大來佐武郎

    ○大來説明員 あのころはまだかなりの電気が不経済な用途に使われた。たとえば家庭でも電熱器をふんだんに使うとか、工場でもかなり電気石炭のかわりに使うようなこともいたしたのじやなかったかとも記憶しております。つまり日本の場合には戦争で石炭出炭がほとんどとまり、その後だんだんと回復いたしました。それから油の輸入がほとんどとだえる。電気だけはこわされないで残ったということで、おそらく日本の特殊事情といたしましては、本来ならば電気を使わなかったような用途にしばらくうんと使われていたんではないか。そのために、たとえば二十五年ごろをとりましても割合電気消費は大きく出ていて、その後工業がだんだんと伸びて参りまして、ほかのエネルギーのソースも補給されてくる。そうするとだんだんそういう電気の不経済的な使用はとまっていって、普通の使用量にかわっていく。そういう事情もあって工業伸び率電力伸び率との間に、諸外国に比べてこういうギャップができたのじゃないかというふうにも考えておりますし、それともう一つは、この電灯電力割合が高いと、工業関係なしに伸びるということになりますので、そういう点もあったんじゃないか。この二つの原因がこの表のようなことになっておるんではないかと一応判断をしておるのでございます。
  18. 田中武夫

    田中(武)小委員 かりに二十五年当時、電力の需給がバランスがとれていた、こう仮定した場合には、この率が一〇〇という数字で出ない限り、工業伸びんとするのを電力不足のために押えていくというような結果になるのじゃないか、こう思うのですがいかがでしょう。
  19. 大來佐武郎

    ○大來説明員 その点は電力輸送力等のボットル・ネックというのは経済全般の活動に影響いたしますので、極端な不足が起りますれば、工業伸び電力が押えるということが起ると思います。ただ電力は御承知のようにことしでも、先ほど申し上げましたように約二千億の金を投じております。二千億と申しますと、これは輸送の面で鉄道と道路と海運と港湾と全部の投資額を上回るような金額を電気にすでに現在つぎ込んでおるわけでございまして、電力がたくさんあればますますいいということになりますが、ただ一応、一面国の経済のバランスから考えますと、そう電気ばかりに非常に金を集中するということもできないことになる。たとえば特殊鋼、簡単な電気炉であるいは製鉄、精練のようなものをやりますと、かりにその工場施設に一億円の金が要る。ところがその工場に電気供給するための電力投資としては二十億円の金が要る。ところが企業者の方は一億円だけの投資で済むものですから、工場を作ってなぜ電気供給しないかということになるわけでございますが、しかし国全体としてはそのために非常に大きな投資額を必要といたします。従って需用があるからそれを常に百パーセント満たさなければ経済的に誤まりであると言えるかどうかという点も、やや検討を要するのじゃないか。特に電気原料とするような産業につきましては、日本電力エネルギー資源というものは、先ほど申しましたように、いずれは重油を輸入して火力発電をし、電気を起さなければならなくなる、これは目に見えているわけでございます。そういう貴重なエネルギー資源を湯水のように使う産業というものが果して長期経済的に成り立ち得るかどうか。国際的に見ましても、例のナイル川の開発とか、そのほか南米あるいはカナダの大水力開発、こういうものは一円以下の電気ができるわけでございますが、こういうものに比べて、非常に低廉な電気があって初めて成り立つような需用というものを、すべて電気炉の方で満たしていかなければならないかどうか、この点はやはり相当考慮を必要とすると思います。それからそのような場合に、それをすべてまかなう電力投資というものは非常に膨大なものになりまして、もしも日本経済の資本の蓄積力が、国民所得に対する割合がほぼ一定といたしますならば、他の投資、たとえば輸送力の道路投資とか、あるいは他の産業投資あるいは住宅投資というものを犠牲にして電力投資にそれだけ金を振り向けなければならないということにもなりますので、この辺はわれわれとしても、単に需用かあるからそれを充足しなければならないという点だけではなくて、もう少し全般的な資本の有効な利用という面から考えていきたいというふうに思っておるわけでございます。
  20. 田中武夫

    田中(武)小委員 ただいまの御答弁によりますと、それでは工場ができても電力供給がそれに合わない、こういうことになるなら、工場の建設といいますか、こういうものを規制してやっていかなくちゃならぬような結果になるのじゃないかと思いますが、どんなものでしょう。こしらえても電力がなければ生産できないということであるなら、規制しなければいけない。しかも今の御答弁ではあまり急を要しないような工場等云々というようなこともあったように思いますが、そういうようなものの犠牲ということも考えておられるのか。
  21. 大來佐武郎

    ○大來説明員 たとえば通産省の方で、例のくず鉄を電気炉を使いまして製鉄する、これは鉄が極度に高いようなときに引き合うわけでございますが、そういう需要がかなりふえる傾向がございましたので、これを抑制する措置をとったわけでございます。これはスクラップを大切にするという点もございます。そういう面で需要の面はある程度は押えることも行われておるわけでありますが、それ以外のものにつきましては、大体今までのところそうひどい制限というか抑制をしておるわけではございません。かようにこの九百万キロという開発を行いますと、かなり高い工業伸びに対しても電力供給の方は大体間に合うという見通しを持っておるわけでございます。
  22. 田中武夫

    田中(武)小委員 工場の建設を規制するということは大きな問題だと思うのですが、しかしとにもかくにも五カ年計画の達成、こういう点において輸送と電力がやはりネックになっておることはいなめない事実だろうと思いますので、十分な計画をして、これに間に合うようにやっていただきたい、このように思うわけであります。  先ほど小松委員からも若干触れておりましたが、実は私もことしの休会中の行政視察で東北に参りましたが、東北の方は伸びんとする産業が相当あるわけであります。ところが電力不足であるということはもう現実の問題となっておるわけです。そこで東北電力の社長さんでしたかだれかが、採算に合わないような電気の配電はやらないのだ、こういうようなことも言っておったと思います。また一面電力料金の値上げ等も今言われておるようですが、そういうような場合に、電力料金の値上げがかりにやられるということと経済五カ年計画の達成ということについて、総合的にどのように考えておられるか、お伺いいたしたいと思います。
  23. 大來佐武郎

    ○大來説明員 料金問題は、主として直接の行政当局であります公益事業局の方で考えておるわけでございますが、根本的には、長期的に見て、電力発生のコスト電力販売の価格とがバランスを保っていなければ出血になる。それは税金か何かで穴埋めする形になりますので、やはり長期的に見て、コストと価格というものはバランスしていかなければならないと思うのでありますが、東北のように従来水力が豊富であり、比較的建設費も安くて供給できて参った地域、それから北陸も似たような事情にございますが、しかし東北も今度は相当な火力を入れていかなければ需要にマッチできないということになりますと、極度に低廉な電気をもとにして初めて成り立つような事業については、経済的に問題が出てくるのではないか。それから電力会社といたしましても、長期にわたってコスト以下の電力供給するということは不可能であるということを考えて参りますと、需用供給の面で、料金の問題を含めて何かのバランスがはかられていくことになるのではないか。結局資源の有効な利用という点から考えましても、コスト以下の供給長期に続けて行くということは、必ずしも望ましいことではないということにもなるかと思うのであります。非常に抽象的でありますが、東北電力については私どもそういうふうに考えております。
  24. 田中武夫

    田中(武)小委員 もう一つ、今電力料金の値上げというようなことが一般に言われておるようですが、それと五カ年計画の中における諸物価との総合的な関係はどういうことになりますか。
  25. 大來佐武郎

    ○大來説明員 今ございます五カ年計画は、物価水準は大体横ばいという想定でできております。経済計画に価格政策を入れるかどうかということは、諸外国でも相当問題になっておるのでありますが、計画技術の上で非常にむずかしい点もありまして、一応いわゆる価格を捨象したリアル・タームで経済規模あるいは経済のいろいろな計算をやっておりますので、価格というものは表面には出て参りません。従ってこの計画数字と今のような電気の価格との間には直接の関連はない形になるわけです。
  26. 笹本一雄

    笹本委員長 お諮りいたします。小委員外であります商工委員宇田耕一君より発言を求められて居りますが、これを許すに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 笹本一雄

    笹本委員長 御異議なしと認めます。宇田耕一君。
  28. 宇田耕一

    ○宇田耕一君 関連して……。東北で作る火力発電所をいうのはどこのことを今言っておられるわけですか。
  29. 大來佐武郎

    ○大來説明員 八戸。
  30. 宇田耕一

    ○宇田耕一君 八戸の火力発電所というのは単価は何ぼになるのですか。
  31. 大來佐武郎

    ○大來説明員 ちょっと私そこまでは存じません。公益事業局の方では知っておると思います。
  32. 宇田耕一

    ○宇田耕一君 出力どのくらいのスケールのものですか。
  33. 大來佐武郎

    ○大來説明員 七万五千キロ二台で十五万キロでございます。
  34. 宇田耕一

    ○宇田耕一君 そうしますと、ピークのときは、火力十五万キロと、水力はおもにどこの水力を向うに持って行くのですか。十五万キロの火力の稼働の計画というものはどういうふうになっておりますか。
  35. 大來佐武郎

    ○大來説明員 東北電力計画としまして、私もそこまで詳細には掘り下げておりませんが、あそこの送電線のリングを作りまして、電力供給を北も南も動くようにする、東北の南の方はたとえば只見川の開発水力が入って参りますが、それと組み合せて八戸の火力を運転するというふうに承知しております。
  36. 宇田耕一

    ○宇田耕一君 先ほどの見通し計画で見ると、約九千億、一兆ばかりの金を使って次の六カ年計画の基本の所要資金が出ておるのですが、この中で火力の占める分量というのはどれくらいになるのですか。
  37. 大來佐武郎

    ○大來説明員 ちょっと調べましてから御返事いたします。
  38. 宇田耕一

    ○宇田耕一君 結局私は、応急に処置をして需用電力量に合わしていく計画としては、どうしてもこれは火力を優先しなければ間に合わないのだろうと思っておるわけで、火力で間に合わすためにはどういうふうな計画を立てるとか、それには当然燃料対策が別に必要になるでしょう。しかも年数が、工業の実情が五カ年計画より少し早く行き過ぎたので、びっこを直すのには火力によって応急処置をとるということになる。それが一点と、もう一つは、送電線の連絡の仕方を最も合理的にしなければならぬ。たとえば四国のようなところは中国とのケーブルによる連絡計画というものを計画に乗せざるを得ないのではないか。その方が新しい大きなダムを作るとかなんとかいう気長いことよりも早くて、コストが安くて、能率が上るのじゃないか、こう思います。それで今の火力計画能率、送電融通計画、この二つについて御意見を聞きたい。
  39. 大來佐武郎

    ○大來説明員 火力資金の面ははじきませんのですが、従来の計画では約六百万キロワット、六年間に六百万キロワットという予定にしておりましたのが、今度の改訂ではこれを九百万キロワット建設にふやして、そのふえる三百万のうちの二百万は、先ほどちょっと申し上げたのですが火力です。それから資金といたしましては全体で一兆四千億、先ほどちょっと宇田先生は九千九百億と言われましたのは今の計画でありまして、大きい今度の改訂試案では一兆四千百億、その中の火力が、今概略の計算では三千五百億円程度の見積りになっております。  それから融通の点でございますが、送電線で融通できます範囲については、できるだけそれを拡大していく。ただ実は先ほど来の御質問にもありましたのですが、いわゆるベースロードの高能率火力がだんだん入っていく。それから将来は原子力発電というものが入って参りますと、いずれもピークを出すわけには参りませんので、そういった意味水力の重要性は将来ますます加わっていくのではないか。つまり高能率火力の能力をフルに発揮させるためには、負荷変動に対して尖頭負荷をまかなっていくような調整池ないしは貯水池式水力発電所というものがますます必要になって参りますので、そういった火力を出すという意味でも、そういう性格を持った水力は今後も重視していかなければならないのではないか、そういうふうに思っております。
  40. 田中武夫

    田中(武)小委員 先ほどに引き続いて結論をつけたいと思うのです。先ほど来申し上げているように、結局工業の伸張に対して電力が間に合わない、こういうことは言えると思う。これは別に私東北電力の社長が言ったことにこだわるわけではないのだが、高い電気を買ってそして安く配電するようなことは今後やらないのだ。こういった企業家的な考え方が作用しておるのではないか、このようにも思うわけです。従ってこれはあなたにお伺いするのはちょっと無理かもわからぬと思うのだが、こういう電力の需給のバランスが破れてくると、こういうことは結局のところは現在の電力発電及び配電に関連しますが、両方にまたがりますが、いわゆるこういった公益上必要なものを、なるほど公益事業ではあるが、私企業の形態としてやっておるところに大きな原因があるのではないかと思うのですが、そういうようなことについてあなたの意見をあまり追及してもどうかと思うのですが、もっと大きな政治的な問題になると思うのですが、一つお考えがあれば伺いたい。こういう機構に欠陥があるのではないか、こう思うのです。
  41. 大來佐武郎

    ○大來説明員 ちょっと私の答弁の能力を越えるのですが、ただかりにこれはどういう経営主体がやりましても、総合的な原価というものは割ることができない。つまりかかったコストを回収するだけの料金はとらなければならないということになると思います。ただその中で、政策的にどれだけ動かせるか。単なる個々の企業の採算以上にどの程度動かし得るかということは、経営体の問題になりますので、ただ極端に人為的な低料金を一部にやるということは、ある意味では長い目で見て、それは他の電力需用者の犠牲においてやるごとになりますので、そういう料金が非常に長続きすると思って、たとえば極端な安い電気で初めて成り立つような産業を起してしまう。ところが長期的に見てそれが不経済だということになったならば、そういう安い電気はいつまでも安い供給できない。そのためにその工業自体も立ち行かなくなるというような問題も起るわけでございまして、これは全般的に見まして電力のようなものについては、経営の形態がいかがありましょうとも、その原価主義というものをそう大きく離れることはできないのじゃないかという気がいたしております。
  42. 田中武夫

    田中(武)小委員 電力需用にマッチしない。これはいろいろ原因がありましょうが、その一つの大きな原因は、私は機構にあるのじゃないか、このように考えるのですが、これ以上申し上げてもどうかと思いますから、これでおきます。
  43. 笹本一雄

    笹本委員長 それでは小委員長として私から質問申し上げますが、電力需給のほかに明年度の電源開発に関するところの電源・開発会社及び九電力に対する資金計画をごく大要でいいですが、わかっておったら説明願いたい。もし資料がなかったらば資料としてできましたらば一つ提出していただきたい。
  44. 大來佐武郎

    ○大來説明員 明年度大体二千六百億、この表では一応二千五百五十億ということに出ておりますが、二千五百五十億ないし二千六百億の資金電力関係で必要になるかと思います。そのうちの九電力関係に約二千億、それから電発に四百六十億程度、公営電気で百五十億、これで二千六百億ちょっとになりますが、大ざっぱな見当としてはこの程度考えておるわけでございますが、従来この資金調達の源泉につきましては、この電源開発全体の中で財政資金によって参りましたものが、昭和二十七年には四百九十八億、二十八年が七百十九億、二十九年が六百七十億、三十年が六百二億、三十一年が五百三十二億というように、大体五百億ないし七百億という範囲にございます。それでパーセンテージで見ますと、大体二十七、八、九年は四割程度、総工事資金の中の財政資金割合が大体四割、三十年度が三五%、三十一年度が二八%というふうに、資金の源泉としての財政資金割合は減っております。来年度の資金計画供給の面でどうするかということは、これは来年度の予算編成とからんでおりまして、全く今のところ見通しがつかない情勢でございます。たとえば電源開発などは資金コストの低減という面から、できるだけ政府の出資のごとき、さしあたり利息のかからない金をよけいに出してほしいという要求をしておりますが、昨年実際に政府が出しましたのは、電源開発に出資いたしましたのは三十億円でございます。ことしは電発はこれを二百五十億円くらいほしいというような希望を漏らしておりますが、しかし財源の面から見ますと、産投特別会計の財源を全部はたいてもそこまでいかないというような問題がございますので、どの程度この要望を満たし得るか問題があると思います。この全体の資金の需要は最初に申し上げましたようなことでございますが、調達計画は今のところちょっと立てがたい情勢でありまして、また財政の模様をそんたくしてあまりに低い数字をあらかじめ出すということも、またこれはデリケートな問題でもございますので、もう少し時期がたちますれば概貌が御説明できるかと思うのでございます。今まで過去五年間にどういう形で調達されたかというような資料ならばさっそく調製いたして御提出いたしたいと存じます。
  45. 笹本一雄

    笹本委員長 それでは本日はこの程度にとどめます。  これにて散会いたします。     午後三時四十分散会