○松岡(松)
委員 大蔵省の方にお伺いしたいのですが、今労働省並びに
通産省から
お答えがございました。そこで、現在生産性本部というのは、
日本側から七千五百万円の助力を受けておる。しかし実質的には、この全額は使えないようにも聞いておる。ところがアメリカ側では、これに対して相当
多額な協力をしておる。なお、私ども行ってCIAの当局並びに向うの商務省、労働省の
長官各位とも懇談をして参りましたが、
日本がもっと積極的にやってもらいたい、私どもの方ではどんなにでも協力を高めるというように申しておりますし、ことにアメリカでは、現在一九五八年度の
予算の審議にかかっているわけであります。そのために、
日本側の協力がどれだけに
向上、
発展するのかということを、かなり見守っておる状態であります。今の状態では、おそらく生産性本部を調査してみますと、毎年出す視察チームをお世話しておる程度が関の山だ、ようやく新聞は出した、印刷物を出しているという程度のことで、これ以上の運動を進めるについては、政府としても明年度
予算に相当増額をしていただかなければやれないということを、具体的に訴えておる。アメリカの方では、
自分の方はいかようにでも増額はするし、さらに大きな協力もしたいが、
日本政府としてはおざなり的な協力にしかすぎないじゃないかというような気配が見えますので、大蔵省当局としてはこの運動に対して推進されるお
考えがある以上は、明年度においてはどのような対策をとっていただくか。さらに
考えてみますと、この運動にたとえば十億を出しても二十億を出しても惜しくないということは、この運動が労働者、
国民大衆の協力を得られるならば、ほんとうに理想的なる
経済環境が生まれてきて、労使の対立も緩和されてくる、ストライキも減少してくる。おそらく今参議院でもめておりますスト規制法などというものは必要がなくなるのです。現在なぜああいうものが出なければならぬかといえば、ひっきょうするところ、
企業者と労働者、
国民大衆の
経済的な環境が融和的でなくて、対立的であり、闘争的である。この問題を解決するには、一にかかって
生産性向上の施策をとることが最も必要だ、こうなって参りますと、この運動にうんと奮発していいのじゃないか。しかるに三十一年度の
予算ではわずかに七千五百万円を計上されておるだけで、アメリカやイギリスやカナダや
ドイツ、イタリアの現在この運動に対する政府の積極的な協力から見ますと、まことに微々たるものであります。理論として、
考え方としていいとするならば、これは勇敢に進めていただかなければならぬし、また進むべきものであると私ども
考えられるのであります。漸次労働者の中にもこの運動の正しい
目的を理解されて、この運動を支持する空気は最近著しく増大しております。おそらく明年度においては、この運動がほんとうに大きな動きに展開していくのではなかろうかという見通しを私は持っておるのであります。
日本にとって今非常に大事なときであります。ここ三年来
日本の
経済というものは上向きになり、
発展の一路をたどっておるときに、今述べたように、
企業者と労働者と
国民ががっちりと手を握って参りますならば、
日本の
経済の前途というものは決して憂えるには足らない、まことに私どもは大事なときだと
考えるのであります。ことにソ連においても、ことしの二月の第二十回の党大会におけるフルシチョフの中央
委員会の報告を見てもわかるように、方針も変っており、そして彼らは率直に資本主義の
発展と存続を肯定しております。これに打ち勝つには社会主義
経済が競争して勝利を得ることだといっておるのです。それには何が大切かということを具体的
説明の中で述べておりますが、最も強調していることは、人間関係と生産性の
向上ということをいっております。これは自由主義諸国におけるアメリカ、イギリス、
ドイツにおいてもいわれておる。全く異なった
経済態勢の両国において今
考えられておることは、要するに人間関係を融和して生産性を増大する、
向上させる。これが
国民の所得を増大し、
国民の
生活を安定せしめる、今から
考えられる状態では、唯一の道だといわれておると言っても私は過言でないと思うのであります。そういう見地において、従来の慣例や行きがかりを一つ飛躍して、政府はこの運動に対する中心的な機構を確立すると同時に、民間的な運動に対してもいま一段と
予算の裏づけをせられることが必要じゃなかろうかと私具体的に
考えておるのであります。大蔵当局のお
考えを承わりたいと思います。