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1956-12-13 第25回国会 衆議院 社会労働委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年十二月十三日(木曜日)     午前十一時十四分開議  出席委員    委員長代理理事 藤本 捨助君    理事 大坪 保雄君 理事 野澤 清人君    理事 岡  良一君 理事 滝井 義高君       植村 武一君    小川 半次君       越智  茂君    加藤鐐五郎君       亀山 孝一君    小島 徹三君       田中 正巳君    中山 マサ君       八田 貞義君    古川 丈吉君       亘  四郎君    井堀 繁雄君       受田 新吉君    長谷川 保君       吉川 兼光君    中原 健次君  出席政府委員         厚生政務次官  山下 春江君         厚生事務官         (医務局長)  小澤  龍君         厚生事務官         (保険局長)  高田 正巳君  委員外出席者         厚生事務官         (保険局健康保         険課長)    小沢 辰男君         労働事務官         (職業安定局         長)      江下  孝君         専  門  員 川井 章知君     ————————————— 十二月十二日  委員賀谷真稔辞任につき、その補欠として  阿部五郎君が議長指名委員に選任された。 同月十三日  委員堂森芳夫辞任につき、その補欠として受  田新吉君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 十二月五日  不自由者特別慰安金増額等に関する請願(山花  秀雄君紹介)(第六八五号)  環境衛生関係営業運営適正化に関する法律  制定請願江崎真澄紹介)(第六八六号)  同(石山權作君紹介)(第七〇八号)  同(石山權作君紹介)(第七〇九号)  札幌市の社会保険診療報酬地域区分を甲地に指  定の請願松浦周太郎紹介)(第六八七号)  同(町村金五君紹介)(第七〇七号)  国立病院等における看護婦の産休のための定員  確保に関する請願眞崎勝次紹介)(第六八  八号)  原水爆被災者救援に関する請願小川半次君紹  介)(第六八九号)  同(高橋等紹介)(第六九〇号)  原爆被災者援護に関する法律制定請願(内田  常雄君紹介)(第六九一号)  同(花村四郎紹介)(第七一〇号)  同(西村直己紹介)(第七一一号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  閉会審査に関する件  失業対策に関する件  医業類似行為に関する件  社会保険に関する件     —————————————
  2. 藤本捨助

    藤本委員長代理 これより会議を開きます。  都合により委員長が不在でありますので、私が委員長の職務を行います。  この際、閉会審査の件についてお諮りいたします。当委員会といたしましては、閉会中も委員会審査の必要があると存じますので、その活動の円滑を期するため、閉会審査の申し入れをいたしたいと存じますが、その手続等に関しましてはすべて委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 藤本捨助

    藤本委員長代理 御異議なしと認め、そのように決します。  なおただいま申し入れることに決しました閉会中の審査事項が当委員会に付託されましたならば、現在当委員会に設置されております薬価基準等に関する小委員会閉会中もなお引き続き設置いたすこととし、あわせて閉会同小委員会に欠員が生じた場合における補欠選任に関しましては、委員長より指名することに御一任を願っておきたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 藤本捨助

    藤本委員長代理 御異議なしと認め、そのように決します。     —————————————
  5. 藤本捨助

    藤本委員長代理 次に日雇い労務者期末手当に関する問題について発言を求められておりますので、これを許します。井堀繁雄君。
  6. 井堀繁雄

    井堀委員 緊急失事業法によりますところの日雇い労働者予算単価については、すでにもう改定をしなければならぬ時期に当面しておると、われわれは諸般事情からそう察せられるのでありますが、おそらく労働省は次の年度予算の準備その他でこういう問題について結論が出ておるものと思いますので、この際この点について詳細な御報告を伺いたいと思います。
  7. 江下孝

    江下説明員 日雇い労働者賃金でございますが、御承知通り昭和二十九年の一月に改定いたしまして以来今日まで改定をいたしておりません。すでに三年を経過いたしております。私どもの予想といたしましても、ある程度の上昇を見ておるのではないかと思いますので、ただいま御承知一般職種別賃金調査労働省で実施をいたしております。この結論をできるだけ早く急ぎまして、結論の出次第私どもとしては大蔵省予算折衝をいたしたい、かように考えております。
  8. 井堀繁雄

    井堀委員 失対関係労務者にとりましては、この予算単価の問題が直ちに死命を制する重大な問題でありますことは今さら言うまでもないことであります。このことは労働大臣責任一つとして、法律がきびしくその措置を迅速にやるということを命じておるわけであります。そういう意味から、ただいまの答弁には私は非常に不満足であります。大体調査の結果を待たなければならぬという御主張についてはあえてどうこう言おうとはいたしませんけれども、一応もう次の予算労働省大蔵省の間で折衝が行われておることは、従来の慣例に基いて想像にかたくないわけでありますから、そういう際にまだ調査ができていないで、そういう交渉ができるはずがないということは常識なのであります。でありますから、通り一ぺんの紋切り型の答弁ではなしに、こういう問題についてはもう少し親切な答弁をすべきだと私は考える。労働大臣でないと答弁しにくいというのであれば、後刻責任者である労働大臣出席を求めて答弁を伺ってもいいと思います。  そこでもう一つここで伺っておきたいのですが、今二百八十二円の全国平均単価ですが、その単価基準についてはあとで伺うといたしましてこれが全国でかなり輻湊した、いわば六種類にも七段階にも八段階にも、非常に小さく刻んだ基準が、これは、労働省地方庁の間に話し合いをしたものかどうかは知りませんけれども、それぞれ格付が行われているわけであります。このことは言うまでもなく、緊急失事業法精神から言いますと、厳密の意味において労働対価として賃金というものが定められるものでありますならば、八〇%ないし九〇%という、俗にいう一割ないし二割引きで賃金を定めるというこの思想と矛盾するわけです。こういうものに対して労働省はこの機会に、たとえば労働対価、すなわち正常な賃金として価値判断をするのであれば、これはやはり建前を変えていかなければならぬ、法律精神それ自体に対する大きな変革を加えなければならぬと思うのです。法律精神と行政のやり方との食い違いを私は明らかにしておきたい。この点に対する局長の明快な答弁を伺っておきたいと思います。
  9. 江下孝

    江下説明員 ただいまの日雇い賃金の問題は、少し言葉が足りなかったかもしれませんが、事務的には私どもはおそらく上るであろうということで、大蔵省とも来年度予算の編成については実は十分に事前打ち合せをいたしております。そこでできるだけ早くこの調査の結果を出すということを、統計調査部にも推進をいたしております。従っておそくても来年度予算には間に合うように処置したいと考えております。  それから日雇い労働者賃金の低いことでございますが、これは先生も御承知通り建前といたしまして失対労務者は、他に定職のない場合に国が必要な限度において雇用するという考え方でございますので、できるだけこれが固定しないように考えていかなくてはならないという基本的な考え方を私ども持っているわけであります。従って法律の中にも特に、一般のその地方地方賃金よりは若干これを低目に定めなければならない、こういうことからいたしまして、大体一般PWの八割から九割の間にこれを定めておるわけであります。確かに一般のものに比へますと低いわけでございます。ただ御承知通り、昨年からは特別失事業あるいは就労対策事業という事業を相当大幅に始めまして、これの方は賃金一般並みでございますので、三百五十円程度は平均いっておるわけであります。そういう面で相当日雇い労働者賃金もカバーをしておる。今のPW改定につきましてはできるだけ急ぎまして、できるだけ早い機会にこれを実現することにいたしたいというふうに考えております。
  10. 井堀繁雄

    井堀委員 この失対事業については、当時の模様と今日とは客観的な条件が著しく変化を遂げておるわけであります。その変化に伴うように法の運用も考えなければならぬという立場から一言伺っておきたいのですが、この法律の中にも規定してありますように、絶えず失業状況というものを調査されておかなければならぬわけであります。これは他の場合にも私はたびたび質問をしてきておるのですけれども、まだ明確な答えを得ていないのです。私は、この失対事業法の第五条かに規定されております、失業の実情を労働省が正確に把握することが前提になるわけですから、どういうふうに把握されておるかをこの機会に明らかにしてもらおうと思うのです。私どもの伺いたいのは、完全失業というものに対するつかみ方は一応はっきりしたものがありますけれども、しかし失対事業法の、すなわち登録労働者のその背景をなすものは何かということが私は重要であると思うのですが、この問題については今まで明らかな統計を示されておりませんので、ここに問題があると思いますので、その点を明らかにする意味お尋ねをするのであります。私どもの一番重視しなければならないのは統計のいう完全失業者ではなくて、一般には潜在失業と呼ぶものもありまするし、あるいは別な統計では不完全就業というもの、あるいはまた不完全労働とかいろいろな呼び方をしておりますが、今日生計を維持するに十分でない、きわめて少額の収入しか得られない就業者というものが、統計の取り方によっては、最低八百万から少しきびしくせんさくすれば一千二百万をこえるであろうということは、政府のいろいろな報告統計の中からそういう結論が得られるわけであります。やはりこの問題を対象にしてこの法律運営というものを考えなければならぬとわれわれは思う。これと絶縁してものを判断することはできぬのです。こういう意味で、この法律は私は今日の場合においてはかなり大きな意義と役割を持つ、こういうように考えておるわけでございます。そこで、私どもはたびたび職業安定所を訪れて、運営上の問題について改善を要すべきことを政府にいろいろ要望したり警告をしたりしたいことがあるのですが、その前提にもなることですから、今いう失業状況というものをどういうふうに把握されておるかについてこの機会に明確にしておいてもらいたい。
  11. 江下孝

    江下説明員 お話に出ましたように、完全失業者につきましては一応総理府の労働力統計によりましてある程度把握が行われておりますが、潜在失業といいますか、半失業といいますか、この把握についてはおっしゃる通り、実は現在まで的確に把握したものはございません。この把握の方法につきましてはおっしゃる通り、これは今後私どもとしては十分考えていかなければならないと思いますが、ただ、問題は非常にむずかしい点がございます。御承知通り日本では人に雇われている賃金労働者というのは全体の四割程度しかない、そういたしますと、そのほかに家族従業者自営業主等につきましての調査がなかなか実は困難でございます。数年前に内閣の失業対策審議会におきまして、所得を基準にいたしまして、これは抜き取り調査でございますが、調査をしたことがございます。これによりますと、やはり不完全就業者が六百万人程度はおるのじゃないかという数字が一応出ております。今後私どもも本格的にこの問題に取り組みます以上は、お話通り雇用失業実態をもう少し正確に把握するということはどうしても必要でございますので、何らかそういうことについての予算、法的な措置についてやらなければなるまいと思って今鋭意検討中でございます。
  12. 井堀繁雄

    井堀委員 あなたは明確な答弁を避けようとされておりますが、この法律のできましたのは昭和二十四年ですから、もうかなり前の法律で、しかもその五条には「政府は、失業の状勢を調査するため、失業状況分析及び失業者数の増減の測定に関し、必要な措置を講じなければならない。」という明確な条文があるのです。この五条の精神を忠実に実行しておられれば、失業者の数及びその失業状況分析ということはもっと具体的な御答弁がいただけると私は思う。もう一ぺんこの点について。
  13. 江下孝

    江下説明員 実は、今御質問潜在失業者を主体としたようなお話でございましたので、これはなかなかむずかしい事情があると申し上げたのでございますが、私の方では、職業安定所で、一定数以上の事業主については、毎月求人開拓あるいは企業整備状況についての訪問をいたしております。その訪問の結果によりまして大体この事業所においてはどの程度失業者が将来出るかということも絶えず調査いたしております。それに応じて失業対策の方も計画を立てていく、こういうことになっております。具体的と申しますと、今の段階では結局その程度以上の把握はまだいたしてないわけであります。
  14. 井堀繁雄

    井堀委員 今の御答弁はもうわれわれたびたび聞いてよく承知しております。その求人開拓やあるいは就職あっせん出先の努力に対しては私どもは敬意を表しております。これはもっと優遇の道を考えなければならない立場の人ではないかとすら思っておるわけであります。他の国家公務員地方公務員に比較いたしましても、よくやっていると私ども思うのです。これはもう少し予算増額をしたり、あるいは人員の増員をしたり、あるいは積極的な活動を必要とするいろいろな事実をわれわれは何回か政府にも御注意申し上げたことがあるのです。そういう点についてはよく承知しておる。ここで私の聞きたいのは、第五条の「失業状況分析」ということは一体どういうことか。少くとも、ここでいっておる「失業状況分析」とは、これは完全失業者をいっているわけではない。職業安定所に現われる人々は、就職しておっても、その就職では生活の維持ができない、はなはだしく不適当な場合に他にかわるというような意味就職あっせんを希望する者が数多いことは言うまでもないと思う。これは安定法説明をするまでもないわけであります。そういう者と日雇い労働者との関係を無関係で論議してはならないから伺っておるのです。そうすれば具体的になりますし、潜在失業あるいは不完全就業というものが、この法律のいう失業実態に対する分析把握というものの対象になってくる。これらに対する統計がまだ一回も労働省から示されたことがないわけですが、こういうものに対してもっと掘り下げた日ごろからの調査検討が行われておるべきなんです。しておって今まで発表されていないのか、あるいは全然そういうものに手をつけていないのか、この点を一つあなたから伺ってあと労働大臣がお見えになると思いますから、今後の方針について明確にしてもらおうと思います。これがはっきりしてきませんと、今後われわれが次の予算で論議をする上に、一体失対事業対象人員は何ぼになるかというような問題の把握に非常に影響がある。今まではから回りの議論をしていた。そういうものに対する用意があるならある、なければない、なければこの次までにその用意をしていただいて、その上に立ってわれわれは具体的な討議をしていきたいという意味で聞いておるのです。
  15. 江下孝

    江下説明員 御承知通り職業安定所強制利用ではございませんので、現在の建前といたしましては、安定所に救済を求めにくる人をやる、こういう考え方でございます。そこで安定所といたしましては、毎日参ります求職者につきましては、もちろんその一人一人につきまして、技能その他を十分検討いたしまして適職をあっせんするわけでございます。日雇いとして適当な方には失対労務者として働いていただく、こういうことになっております。それから今後の趨勢を見るということにつきましては、先ほど申し上げましたように、安定所職員事業所訪問等によりまして大体の見通しを得まして、それらを基礎にいたします。さらに来年度特に大幅に失業発生を予想されるような産業につきましては、それらの数字をはじきます。それらを加えまして一応予算の要求という形にいたしておるわけであります。
  16. 井堀繁雄

    井堀委員 満足な答弁が得られなくて残念でありますが、希望しておきます。というのは、われわれが次の年度予算を審議するに当りましては、登録日雇い労働者がどういう状況で次の年次に現われてくるかということは、議論する者にとってはある程度正確な見通しを持たなければ、結局において議論がから回りすることは言うまでもない。こういう意味で、政府は日ごろから一般労働省統計に関する任務労働省設置法によってきびしく命じられている以外に、この緊急失事業法の中に第五条を特に設けたということは、やはりそれだけの特殊な任務法律は命じておるわけなのです。この精神を十分理解することができるなら、次にくる日本労働市場における失業の形、職業安定所にいろいろ関係を持ってくるものは一体どういうものであるかということを、数字的な裏打ちをつけて報告がなされ、その上に予算が組まれてくるべきであります。こういう意味で、もっと具体的な、ここにいう失業者状況やあるいはその分析の結果についての資料をぜひ予算審議の以前に本委員会に提出してほしい。これがなければ、私どもはこの予算については真剣な討議はできない。この点要望しておきます。  次に具体的なものを一、二お尋ねしてみたいと思います。それは先ほどもちょっとお尋ねして回答を得ましたが、ここで予算の上に大きく関係してきますのは、登録労働者の数の推定の問題と、一人当りの賃金の額の問題の二つだと思うのです。そこで、本年度残り少い、第四・四半期しか残っておりませんが、この四半期における登録労働者に対する、予定通りに進むとすれば、いつも問題になります、年末手当というにはふさわしくないかもしれませんが、もち代というものをお世話してきておりますが、ことしはどういう状況か、その状況判断の上から、一般労働者の方から要望されておりますものに対して政府はどういう回答をなさる用意があるか。
  17. 江下孝

    江下説明員 年末の特別措置でございますが、御承知通り毎年日雇い労働者生活実態にかんがみまして特別な措置を実施して参っております。本年度におきましては、実は予算的にも昨年度と同額の六日分の特別措置をやることに一応決定をいたしておりますが、しかしながら現実を見ますと、日雇い労働者生活実態もそうよくなっておるというわけでもございませんし、さらに諸般の情勢をにらみ合せまして特にこの予算の操作によりまして一日分だけ追加いたしまして、七日分の年末の特別措置を行うことにいたした次第でございます。
  18. 井堀繁雄

    井堀委員 次にもう一つだけお尋ねをしておきたいと思いますが、今七日分程度のものを用意されたようでありますが、これは言うまでもなく今までの扱い方の中ではかなり幅のあるものだと思うのです。なぜかといえば、二十一日で全国登録労働者予定しておりますけれども地方事情ではなかなか予定通りにいかないものがかなりあります。個々には私は行政的な手心というものによってかなり左右できる性格のものであると思う。こういうことは、ある場合には非常によい結果をもたらしますが、ある場合には非常に不幸なことになると思う。これはどういう工合にしたらよいかということは、今にわかに断定はできぬかもしれませんが、しかし今年はもう残りわずかです。来年度予算については、このままの状態で推移することは危険だと私は考えております。それは日本企業全体の問題ですが、ようやく国際的にも独立の姿が完成されて国際市場にいろいろな問題が大きく出てくる場合に、一般労働状態というものが変ってくる、ある程度正常化されてくると見るべきだ。その場合に失業に関する関係は従来のようにアブノーマルな経済の中においては、とにかく食わしておけばということで社会保障政策的な失業対策というもので間に合っておった。しかし国際経済の中でやはり労働問題を考えるようになってくる時代になりますと、私は今のように、この間法律案を私どもが考えます場合に用語なんかの上からきて政府職員というような用語を用いるような形に今置かれておるということ、それから一般国家公務員地方公務員と均衡するような形においてある程度予算が取り扱われる。実際は全くこれはニコヨンという別名があるように、労働者として正当な取扱いをされていないのです。それが公務員政府職員などと同列の予算措置の中で処理されるということは非常な矛盾があってこの矛盾は次の時代にはひどく突き上げられてくると思う。こういう点で今までやってこられたように、厳密にいえば年末手当というような言葉の使えないような予算のやりくりをしておるわけであります。だからやはりこれには正常な形を与えて、手当なら手当として予算に組むべきである。慣行として何回となくくれてきておるわけです。しかしそれは予算のどこにも日雇い労働者のための年末手当なりあるいはお盆の手当を差し上げるような予算説明は出ていないのです。こういうもぐりの形でやっていくというようなことは、しょせん許されなくなってくると私は思う。そういう点に対して労働省としては何か適当な立法措置をお考えになっておるか、今まで通りでやっていけるつもりでおるか、この点を一つ伺っておきたい。
  19. 江下孝

    江下説明員 これはどうも釈迦に説法ということになるかもしれませんが、御承知通り日雇い労働者のことにつきましては日々雇用という建前で実は実施いたしております。これは当然性格から出るものだと考えるのでございます。そういたしますと、同時に日雇いという、ただ取りっぱなしの金を出すということがどうしても建前上私ども困るわけでございます。しかし生活実態が苦しいということからいたしまして年末の特別措置ということを考えたのでございますが、これも就労日数増加、または賃金の増給という形でございますが、予算の中には積算基礎といたしまして明確に六日分が実は出ております。これはこまかい積算基礎をごらんになるとはっきり出ております。その分については予算上われわれははっきりしたというふうに考えております。
  20. 井堀繁雄

    井堀委員 そういたしますと、問題はその次になってくると思いますが、私どもはやはり年末手当なら年末手当というものを予算の中で今六日分見込んだと言っておりますが、その六日分を見込みますと、就労日数二十一日として予算単価をきめてしまいますと、登録労働者の数は必ずしも正確に把握しておりませんが、それが地方にしわ寄せされて出先が非常に苦しんでおるという姿があるわけです。あるところは予定に満たない場合がある。あるところはあぶれがたくさん出ておる。しかし一方で地方の方の予算が縛られておる。こういうような失業対策というものについては、他の予算と違いますから、こういう点に対する多少の弾力性というものをもっと合理的に計画的に考えておくべきではないか。そういう点に対する用意が一体あるかどうかということも考慮に入れなければならぬ。今みたいに就労日数二十一日で全体の予算を組んで、それに六日分をちょっと載っけて予算を組むなどということでは、もしこの登録労働者がふえてきたらその六日分に食い込むかもしれぬ、あるいは二十一日を十八日に減らすようなことになるかもしれぬ、そういう乱暴な結果を予定されるような組み方というものはこの際考えるべきじゃないか、こういう点に対して政府はしかるべき御措置を持つべきじゃないか、次にそういうことを考えておくべきじゃないか、この点について承わりたい。
  21. 江下孝

    江下説明員 お話通り現在の計算の方法では年度途中におきまして不測の事態に対処し得ない場合も起きてくるかと思います。御承知通りこれは当然必要に応じて補正予算等は講じなければならないと考えております。そのためにそういう確保した二十一日なりあるいは六日というものを食い込むということは、絶対に避けなければならぬ、私はこういう考えであります。
  22. 井堀繁雄

    井堀委員 これで終りますが、今のお話の中で非常に重大なことがある。失対事業のようなものは、これは補正予算などを必要とする事態が発生するようなことがあるかもしれない。しかし今度でおわかりのように、私どもからいえば当然補正予算に組んで適正な予算の行使を行うべきだという主張をして、政府与党に対してその申し入れをしたことがあります。これは完全に断わられた。これは他の理由によるのですけれども、そういうような犠牲になってくるわけです。だから補正予算をこの問題に限って組むというような事態が起るという、そう極端に悲観的なものの見方を私はしない。しかし最初からやはり当初予算においてこういうものは計画していくべきだ、法律はそのことを予定しているのです。その予定ができないということは、先ほど冒頭にいったように、あなた方がその基礎になるべきものを明らかにされないで、資料を要求いたしましたように、そういう意味一つ当初予算の中に明確な議論のできる材料を希望しておきます。その資料の出し方が悪いと、補正予算でなくて、その予算はいいかげんなものだということになるわけですから、この点については念のために一つ資料の用意を要求しておきたいと思います。このことを要求いたしまして、私の質問を終ります。
  23. 中山マサ

    ○中山(マ)委員 ちょっと関連して。いろいろとニコヨンの人たちから陳情を受けるのでございますが、考えてみますと、これは自分の土地のことをお尋ね申し上げて済みませんけれども、大阪と東京と経済面においてどれだけの違いがあるとお見込みになっていらっしゃるのでございましょうか。非常に料金に大きな差があるように私は聞くのでございますが、私も大阪に生活をしておりまして、東京でも生活をしてみてその生活の標準が二つの大都市においてさほど違うとは考えられないのでございます。それなのになぜ大阪の方をぐっと下げて東京を上げていらっしゃるかということが、私は不思議に思う点の一つでございますが、この人たちの生活を見てみますと、ぜひ一つことしは十日分の年末手当をもらいたいというような陳情をしきりに言って参りますが、この人たちはお正月にもちどころの騒ぎではない、子供にメリヤスのシャツも買ってやれない状態であるとか、ほんとうに気の毒な、まるで避難民のような話を聞かされて私しみじみと母親という観点からこの問題を考えますときに、気の毒で、自分の子供に、お正月が来るのにもちどころか、シャツ一枚も買えないといわれますと、どうも私はこれは何かしてやらなければならぬのじゃないだろうかと思います。政府におかれましては、どういうふうにお見込みをつけていらっしゃるのですか。それだけのお金で当然何とかやっていけるものだという見込みでこれだけの差をつけていらっしゃるのでございますか。これは大阪のそういう自由労働者の陳情でございますが、一つお答えを願います。
  24. 江下孝

    江下説明員 御承知通り失業対策労働者は、実は月平均二十一日稼働という建前になっております。そこで東京と大阪は賃金はそう違わないと思いますが、(「違うと言っております」と呼ぶ者あり)それはごくわずかだと思います。東京が三百三十円で、おそらく大阪は平均でその程度じゃないかと思います。それは個々的に、個人別な能力の違いに応じてそういう差をつけておるのかもしれませんが、一応平均の賃金としましてはそう違いがないわけでございます。ただ東京の場合は、平均二十一日を上回りまして、大体二十五日くらい働いておる。大阪の場合は正直に二十一日しか働いていない。私はそこに差が出ておるのじゃないかと思います。そこでそれらにつきましては、大阪府当局等に対しましても、私どもはできるだけ就労日数をふやすようにしてもらいたいということは言っておりますけれども地方財政の関係がございまして、なかなかできないわけでございます。国としましては二十一日までの分については保証をするという考え方で、全国一律にやっているわけでございます。なお二十一日では少いという説もございまして、私どもは来年度予算では二十二日を要求して大蔵省とも折衝いたしておる、こういう実情でございます。
  25. 藤本捨助

    藤本委員長代理 次に、医業類似行為に関する問題について発言を求められておりますので、これを許します。受田新吉君。
  26. 受田新吉

    ○受田委員 今議題にしていただきました昭和三十年の法律第百六十一号の、いわゆる医業類似行為業者に対する法律の第十九条に、療術既得業者に対する措置が三年の期限付で示されておるのであります。これに対しましては、特にその既得権者に対する特別の考慮を払うべきであるという理由をもって、本委員会委員全員が付帯決議を付して政府に要望したのでございますが、その付帯決議は「医業類似行為に関しては、政府は引続きその業態を把握検討の上左記事項に関し適当なる措置を講ずべきである。一、第十九条第一項の規定による届出をしたる既存業者であって、本法に認められたい者について猶予期間中に充分な指導を行い、国民保健上弊害のない者については、その業務の継続ができるよう適切な措置を速かに講ずること。」と規定してあるのでございます。     〔藤本委員長代理退席、大坪委員長代理着席〕 これに対しては当時の政府責任者たちはひとしく付帯決議の趣旨を尊重する旨の答弁があったのでございます。その後時日が経過いたしまして、その残存期間も漸次縮小されて参っているのでございますが、ことにこれらの既存業者の中できわめてまじめに経営をしている人々は、年令的にも、その他のいろいろな事情でこの期間内に政府が何らかの適切な措置を講じなければ、はなはだ不安定な状況に立っているのでございますが、当時のあんま師、はり師、きゅう師等の方々の中にも、まじめな意味のこれらの人々を擁護すべきであるという声も強く出ている今日、政府はこの付帯決議の趣旨をどのような形で生かそうとせられるのであるか、政府の所信をお尋ね申し上げたいと思います。
  27. 小澤龍

    ○小澤政府委員 いわゆる医業類似行為に従事する人たちが昭和三十三年をもってその仕事ができなくなるということは、まことにお気の毒なことであり、何とかしてこれを救済しなければならぬと考えております。その措置といたしましては、御承知通り省令を制定いたしまして、できるだけ簡易にあんま師に転業できる道を開いてございます。この三年間にできるだけ多数の人をこの方面に吸収いたしまして、その後の生活の道も確保できるような方向に進めて参りたいと考える次第でございます。
  28. 受田新吉

    ○受田委員 その期間中にいろいろな事情政府の考えるあんま師の試験というものの受験できない人々、それが今ここに書いてある付帯決議に掲げたところでございます。その人々をどうするかを今お尋ねしているのでございます。
  29. 小澤龍

    ○小澤政府委員 省令におきましては、講習等を受けられないような人の都合も十分考えまして、六カ月の期間内において十八日、たとえば日曜だけででも講習を受け得る道を開いております。しかも講習科目、また受講者のその後の受験等につきましても特段の便宜をはかりまして、ほとんど大部分の人はこれによって解決できるのではないか、また解決するようにいたしたいものである、かように考えている次第であります。
  30. 受田新吉

    ○受田委員 その大部分の解決できない人々の場合を付帯決議にうたっているのでございますが、その付帯決議の措置をどうお考えであるかをお尋ねしているのであります。
  31. 小澤龍

    ○小澤政府委員 届出業者は全部で一万二千九百二十名ございます。この十一月末までの受講者数は二千数百名でございます。第一年次の講習会の成績といたしましては、かなりよい成績ではないかと思うのでございます。第二年次、第三年次、われわれといたしましても特段の努力をいたしましてこれに吸収いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  32. 受田新吉

    ○受田委員 ここに掲げられてあるのはそうしたいろいろな事情で受験できない人とか、あるいは老齢である人、あるいは長く何十年も業務に従事して今自分の信念としてあんま師の受験ができないといったような立場の人今日あらためてそういう機会に恵まれない人々、きわめてまじめな考えでやっておる人々を、何かの形で救うべきであるというのが付帯決議の趣旨でございました。それが全員の趣旨でございましたが、そういう場合のそうしたまじめな意味の業者、長期にわたって業務を続けてきた信頼される業者に対しての御措置をお伺いしておるのであります。
  33. 小澤龍

    ○小澤政府委員 さような人々に対しましては、都道府県を通じて極力講習会に受講することを勧奨いたしたいと思います。まだあと二ヶ年も期間が残されておりますので、われわれの努力によりまして、転業というものをできるだけスムーズにいかさなければならないと考えておる次第でございます。
  34. 受田新吉

    ○受田委員 その政府措置によって最後に救われなかった人々に対してはいかようにせられるのでございますか。
  35. 小澤龍

    ○小澤政府委員 今から見通しを申すことは困難かと存じますけれども、例外的にそういう人々が出ましても、これは制度の上においてやむを得ないのではなかろうか、かように思うのでございます。
  36. 受田新吉

    ○受田委員 政府においては、そういう方々が出てもそれはやむを得ないこととして善処する、この付帯決議の線に沿うて善処する御趣旨であると了解してよろしゅうございますか。
  37. 小澤龍

    ○小澤政府委員 私がただいま申し上げました趣旨は、三年間にあんま師の資格を取り得なかった人に対しまして、従前の医療類似行為を引き続き許すという趣旨で申し上げているのではございません。万一あんま業に転業できなかった人に対しましては、社会福祉その他の制度の活用によりまして、生計困難な人等に対してはこれを救済していくほか方法はないのではなかろうか、かように申し上げた次第であります。
  38. 受田新吉

    ○受田委員 それでは付帯決議の線とは違ったことになると思いますが、御所見はいかがでございましょう。
  39. 小澤龍

    ○小澤政府委員 私が前局長から事務引き継ぎを受けた趣旨は、ただいま申し上げた方針をもって前局長がこの問題に対処するというふうに承わったのでございます。私はなお検討する余地があるかと存じますけれども、この趣旨を貫く段階に今日はある、かように考える次第でございます。
  40. 受田新吉

    ○受田委員 残存期間のきわめて限られている人々の将来にわたっての業権の維持ということ、その人一代限りは何とかして守ってやろうという趣旨で本院は全員一致政府にそれを要望したのでございまして、政府もそれに対して善処するという御答弁があったわけなんでございますから、国会の付帯決議の線を尊重するという観念において政府は十分今後手を打つ用意を持っておられますか。
  41. 小澤龍

    ○小澤政府委員 私に引き継がれた業務は、三年間の猶予期間にできるだけ漏れなくあんま業に転業活用することによりまして、衆議院におけるところの御決議を尊重していくというふうに引き継ぎを受けた次第でございます。
  42. 受田新吉

    ○受田委員 それはここに掲げられた付帯決議の線に沿わない。付帯決議はその間に救われなかった人を特に何とか考えてやれという意味でここにあげられてあるのであります。この趣旨を政府は十分検討していただきたいと思います。一つ付帯決議の当時の全員の声であった趣旨の再検討を十分していただいて善処してもらいたいと思います。
  43. 小澤龍

    ○小澤政府委員 実は私がただいま申し上げたような趣旨において事務引き継ぎを受けたのでございますが、なお御発言の趣旨がございますので、その点については、今後研究いたすことにいたしたいと思います。
  44. 受田新吉

    ○受田委員 その引き継がれた御意思が、付帯決議の線と違っておる。前局長から受けた意思はこうだということでありますが、厚生省当局として考えていただきたいことは、わざわざこの付帯決議を規定したことは、この法律の初めに掲げてあるところの線に漏れる人があって、その人々が期間内に救済されない場合に、特にこれは考えてあげなければならないから、それに対する業権の維持をいたすように措置を考えるべきである、こういう趣旨であったのであります。これはこの文書を読んでいただけばはっきりわかるのであります。それをもう一度あらためて考え直すということでははなはだおそきに過ぎると思うのであります。今あなたから、そういう付帯決議の趣旨をあらためて考え直すという御答弁があったので、これはもうそれ以上はやむを得ないかと思うのでありますが、政府としてそこを十分に含んで検討してもらいたい。よろしゅうございますか。
  45. 小澤龍

    ○小澤政府委員 先ほど申し上げました通り十分に研究してみたいと存じます。     —————————————
  46. 大坪保雄

    ○大坪委員長代理 次に社会保険に関する件について調査を進めます。発言を求められておりますのでこれを許可いたします。岡良一君。
  47. 岡良一

    ○岡委員 先ほど委員会としては閉会中といえども議案の審査のための委員会を開会しようということについて私どもも予承を与えました。そこで継続審議として委員会審査に付せられるものの中には、当然わが党提出の健康保険法の改正案並びに内閣提出の関係…法案が含まれるのでありますが、しかしながら現在社会労働委員会として、大きな争点を包蔵しておるのは、健康保険法の一部改正をめぐる与党並びにわが党の見解の差異にあるのでありまして、この点につきましては、すでに鳩山、鈴木両党首の会談においても、国会の運営においては与野党があまり国会の不信を招くような対決をしないように国会法の改正をやろうというふうに話を進めてもおりますし、従いまして閉会中における審査については、健康保険法の一部改正の取扱いについては、われわれも与党に信頼をして、閉会中の開会をも了承しておるという点を、これは与党の諸君も御了承を願いたいと存じます。  そこで私のお尋ねしたかったことは、厚生大臣あるいはこれにかわる政務次官の御出席を求めまして、この健康保険法の取扱いに関する政府の政治的な判断、あるいは政治的な責任についての御確言を得たかったのでありますが、いろいろな御事情から大臣も次官も御出席がないのはまことに遺憾でありますので、事務当局の保険局長その他から現在の健康保険特に政府管掌の健康保険の財政収支の実態について参考までにその事実、数字を承わりたいと存じます。  そこで、本年度になりましてからの政府管掌健康保険の、この四月から最近までにわかっておる月別の支払いは大体どの程度になっておりますか。そしてそれは当初の予算に比べて何%くらいの減になっておるのか。この点を一つ承わりたいと思います。
  48. 高田正巳

    ○高田政府委員 毎月別の資料をただいまここに持ち合せておりませんが、成立をいたしております予算で保険給付費といたしましては五百十二億というものを見込んでおるわけでございます。私ども三十一年度年度末におきましてただいままでの資料で、この程度になるであろうという推計をいたしておるものがございますが、それによりますと、五百三十四億見当に年間といたしては相なるのではあるまいか、かように推定をいたしておるわけでございます。その中で医療給付費といたしましては、四百三十四億、現金給付といたしましては九十九億程度を見込んでおります。
  49. 岡良一

    ○岡委員 先般九月の初めに私が保険局へ参りまして、政府管掌健康保険の四、五、六の支払い実況について数字を求めましたところ、四、五、六では平均をいたしまして、約七%程度の支払い減になっておるというお話を承わったのでありますが、事実その通りでありますか。
  50. 高田正巳

    ○高田政府委員 医療給付費の毎月の支払額がどうなっておるかということにつきましては、これもただいま正確な数字を私は持ち合せておりませんが、前年の同月と比較いたしますと、大体毎月の支払いが前年の同月の八%ないし一割程度ふえております。それから私ども年度当初推計をいたしました金額からは——これは予算に成立をいたしておるものはもう少し小そうございますけれども予算は前回の法律の改正案が成立をするものとして組まれておりますので、その予算に計上してある金額でなく、年度当初推計をいたしました別の金額と比較をいたしますと、若干予定よりは落ちております。こういう状況がその概況であります。
  51. 小澤龍

    ○小澤政府委員 若干詳しく補足させていただきます。今六月までの支払い金額が七%ばかり減少しておるというお尋ねでございましたが、私ども前年と比べまして、先ほど局長が申し上げましたように三月は約一割見当総金額はふえております。四月、五月はやはり八%から八・六%程度ふえておるわけであります。私ども実は年間の見込みを立てました予算を月割にして見込みを立てましてその月別の見込みと実績を比較するということは、医療費の関係では被保険者数等によりましていろいろ変動いたしますし、また月別のいろんな傾向もございますものですからしていないのでございまして、年間総額としてどれくらいかということについて見込みをいたしておりますので、月々の予定よりも、その月その月がどれくらい減った、ふえたということの計算をいたしております。むしろ今年に入りまして毎月の総支払い金額が前年同月に比べてどれくらいだということでやっているわけでございます。
  52. 岡良一

    ○岡委員 実は今度わが党が提出をいたしました、直ちに引き続いて政府の方からも提案があったわけでありますが、今までも申しましたように、これは前通常国会において健康保険法の一部改正がこれまた社会党並びに内閣から提出ざれたわけであります。当時におけるいわゆる六十六億七千万円という赤字を見込んでの改正案というものがその後保険の給付費の支払いの実態においてかなりの移動があったということになれば、あるいは保険料の徴収等についてもかなりの移動があったということになれば、やはり健康保険法の安定と財政を求めるための改正についてもかなり考慮の余地があるのではないかと思うわけであります。そこで厚生省の方では月別にこの予算の組み立をしておられないようではありますけれども、やはりこの審議のためには当然保険料収入の推移とかあるいは給付費の支払いの推移とかいうものを数字として一応お示しを願いたいと思います。これはやはり審査のために重要な一つの資料になりはしないかと思います。  なおこれは保険局長にこういう政治的な判断をお尋ねするのは無理かと存じますが、大体御存じのように、健康保険法の改正は二月十三日に社会党案というものが国会に提出をされました。そこで衆議院は予算の議決を二月二十七日にしております。この議決された予算の中には給付費については三十億国がこれを支出することがきめられておるわけであります。三月一日になってから政府の改正案が提出されました。従って三十億の予算を執行すべき根拠となる法律案が後に衆議院に付託されておるという実情であります。こういうことは予算の審議上きわめて遺憾であって、立法府というものの権威から見てもこういう慣行は改むべきであるということはその都度毎回の国会においていつも強くわれわれは政府に要求しておったのであります。遺憾ながら健康保険については予算が議決されてから改正案が出ました。このことは僕は大きな政府責任であろうと思いますけれども、それは問わないといたしましても、政府としてはこえてまた三月の月末に参議院でも議決しておるわけでありまして、三十億という金は、当然政府としては健康保険の政府管掌部門についての給付費の国庫負担として執行しなければならぬものだと思うのです。これを執行することは健康保険法の改正とは無関係に、国会が議決した予算であるから、当然政府にはこれを執行する責任がある、私どもはそう考えておるわけなんです。そこを一部負担等を含んだ改正をやらなければならぬということに今もって執着しておられるという点が私どもには納得ができない。当然政府は執行すべきである。議決した予算だから執行する責任政府にある、こう考えておるのですが、この点事務当局の方では何か大蔵省との話し合いとか折衝とか約束とか、そういうことでもあるのでしょうか。
  53. 高田正巳

    ○高田政府委員 第一点の財政状態の資料等につきましては、健康保険法等の一部を改正する法律案に関する参考資料の末尾の方に若干の資料がついております。これをごらんいただきますると、今、岡先生がお尋ねになりました大体の状況がおわかりいただけるかと存じます。  それから第二点の問題でございますが、前国会に私どもが提案をいたしましたのは、たしか二月の二十四日ごろ、予算が衆議院で議決をされまするちょっと前のように実は私は記憶をいたしておるのであります。しかしやがて予算が議決をされまして、その間御審議の重なりました期間が短かかったことは事実でございます。今後私ども事務当局といたしましても、さようなことはできるだけ避けて参りたい、かように考えておるわけであります。  それで、予算に計上をされた三十億を当然執行すべきである、それを執行しないのは、この点について大蔵省等と何か約束でもあるのかという御質問でございますが、別に約束などがあって執行しないというわけではございません。法律的に見まして、特別会計に一般会計から補助を出すということにつきましては、予算と同時に、法律がさように相なりませんと実は出せないということに相なっております。それで法律の方は、一般会計から出しますものと、特別会計でそれを受けるという両方の法律関係が必要に相なります。その両方の法律が、御承知のように審議未了ということになりましたので、さような意味合いからこの予算に計上してあります三十億というものの執行ができない、こういうことに相なっておる次第でございまして、特に大蔵当局とわれわれとの間の約束云々というようなことで執行をいたしておらないというわけではございません。
  54. 岡良一

    ○岡委員 実は一昨年でありましたか、国民健康保険の補助二割を出そうということがこの委員会で審議されたときに、ちょうど健康保険の方でも赤字が出たので十億を出そうということになったことは御記憶の通りです。あのときに私は、当時の保険局長であった久下さんに、健康保険法を改正して給付費の負担は予算の許す範囲内においてすることができるというふうにはっきり法の改正をしなければなるまいということを強く要求をしたわけです。そのときの政府の御答弁としては、政府がこれについて国庫の負担をしてはならないとか、補助をしてはならないという規定がないのであるから、健康保険法そのものについては改正をしなくても国庫の補助負担の資金は受け入れることができるのである、こういうことで厚生保険特別会計法だけの改正で受け入れているわけです。してみれば、このたびもとりあえずの問題としてはやはり国会が議決した三十億の予算を、健康保険法にタッチしなくても、特別会計法だけの改正で、このときの政府の御答弁のままであるならば、受け入れることができる。このことは厚生省の責任というより大蔵委員会で審議されることでありましょうが、当然政府としてはやってもらわなければならないと私は思うわけです。こういう手続がこの前の保険局長との答弁から私は期待し得ると思うのですが、その点いかがなんですか。
  55. 高田正巳

    ○高田政府委員 この点につきましては、前国会のたしか最後の日であったかと存じますが、大蔵省並びに法制局の方から出席をいたしまして、私はその席におりませんでしたが、当委員会でお答えを申し上げておることでございますが、今回の一般会計から特別会計に補助金を出すという問題についての法律といたしましては、実体法である健康保険法の中に一般会計から補助するという規定を入れて、それから受ける方の特別会計法の方で、一般会計からの受入金を受ける方の側として入れることによりまして、その両方がそろうことによりまして、さような補助ができるということに相なっておるわけでございます。十億ずつ毎年繰り入れるということにつきましては、先ほど岡先生御指摘のように特別会計法だけの改正でやっております。これはああいうふうな過去の赤字を補填するための臨時的な措置でございますので、その趣旨を含めまして特別会計法の付則にその規定が入っておるのでございます。臨時的なものでやったということと、さらにこの規定の書き方は、一般会計から特別会計へ繰り入れるというふうな両方のつながりをつけた規定を特別会計法の中に入れておるわけでございます。前国会並びに今回私どもが御審議をお願いしております特別会計法の改正は、これは特別会計法の本則の方を改正いたしまして、そうして一般会計からの受入金というものを挿入をいたすというふうな改正でございます。従ってそちらの方だけが成立をいたしましても、片一方の方の一般会計から出すという関係の方が成立をいたしませんと、その間のつじつまが合わないということに相なるかと存ずるのでございます。
  56. 岡良一

    ○岡委員 その点は素朴な判断なのですが、今年は相当政府管掌の健康保険については医療給付費の支払いが減っておるのじゃないか。かりに予算上見積られた金額の五%減るとしても、総額で二十億ばかり減る。国が三十億出してくれる。そうすればそれで五十億です。六十六億七千万円ですから二十億減れば四十七億。そこへ国が三十億出してくれれば十七億ほどです。これは健康保険の予備費が十八億あるから、こういうものでカバーすれば、この際本年度における健康保険の赤字は、特にまたぞろ一部負担などというふうに法文化して大きな問題を起さなくてもしのぎはつくのではないかと私は思うのです。その見通しはどうなんでしょうか。
  57. 高田正巳

    ○高田政府委員 医療給付費が若干減っておる、従ってというようなお話でございましたが、先ほども申し上げましたように医療給付費の総額はやはり昨年よりはふえております。ただ全体の保険財政の収支は今先生御指摘のように、年度当初法律の改正をしないでそのままほっておいたらどうなるかというわれわれの見通しを立てました。六十六億くらい措置すべき金があるというその見通しに対しましては、二十億近くその金額が減っております。われわれが今日持ちまする資料から年度全体を推計をいたしまして減っております。それはどういう事情であるかと申しますと、医療給付費がそんなに減ったわけではないのでございます。それよりもむしろ歳出の方では大体その見通しより少し減ってくるかなという程度でございます。多くは歳入がわれわれが見通したよりは増加をいたしておる、こういうことなのでございます。それをさらに分析をいたしてみますると、歳入が増加をいたしましたのは、平均標準報酬はむしろ見通しよりは下っておるのですが、被保険者がひどくたくさんになった。われわれの非常な見当違いでございます。そういう関係で平均標準報酬はわれわれの見通しよりは低いだろうと思うのでございますが、被保険者がたくさんになったことによりまして歳入の増加というものがある。従いまして差引十九億程度いわゆる当初の六十六億というものから比べますると、財政の好転があるのではないかというふうに今日ただいまでは見通しておるわけでございます。しからばそういう財政の好転があるのだから本年は三十億だけの問題で、あとのいろいろな法律改正はやらぬでもいいじゃないかというふうな御趣旨であったようでございますが、私どもはこれは本年度だけの問題としてものを考えておりません。来年度見通し、来年度以降のことも十分ここで考えて参らなければならぬ。さような観点からいたしますると、最近の保険財政の好転というものを勘定に入れましても、やはり来年度以降、ただいまお願いをいたしておりまするような法律改正をやって参りませんとつじつまが合わない、こういうふうな観点に立ちまして御提案を申し上げたようなわけでございます。しかしながらこの案の内容につきましては、前回の国会で御審議を願いましたのと、いろいろなその後の客観情勢の変化というふうな、ことに先生御指摘の財政状態等とも関連をいたしまして若干の案の内容の変更をいたしておるわけでございます。
  58. 岡良一

    ○岡委員 特に鳩山総理もいよいよ桂冠をされ新内閣が発足することは必至の状態になってきた。社会保障制度審議会も医療保障についてはきわめて周到の勧告を出しておる。そして伝えられるところによれば、厚生省でも国民健康保険の全国的な普及について法律の改正を意図され、またすでにそれができ上ったとも伝えられておるというふうに、国民の医療保険というものはかなり大きな画期的な変化が期待され、また実施されつつあるという段階で、ことさらに健康保険の狭いワクの中で改正を出す、そしてある意味においては、与野党あるいは政府との特に共通の場とも言いたい社会保障の面で、いろいろ争点を求めるということよりも、これは一度撤回をして、そうした非常に総合的な観点から、社会保障制度審議会の勧告、新内閣の方針、こういうものを総合して、新しく出直してくるというのがすっきりした行き方じゃないかと思うのです。どうなんでしょう。
  59. 高田正巳

    ○高田政府委員 新内閣云々のことは私どもが口にすべきことではございませんが、社会保障制度審議会がああいうふうな勧告をお出しになりました。なおまたそれより先に、政府も医療保険の面における国民皆保険というものを目標に、いろいろ施策をいたしておりますことは御指摘の通りでございます。それでわれわれの頭の中にいろいろ検討をいたしております将来の国民皆保険の姿、あるいは社会保障制度審議会で御勧告をいただきました、あの勧告の中身等を十分読みましても、ただいま御審議をいただいております健康保険法の改正というものが、これらの勧告の線にはずれておるものというふうには私どもは考えてないのでございます。  それからいま一つは国民皆保険、社会保障制度審議会で御勧告になっておりますいろいろな構想がございますが、それらはいずれもいきなり来年度からすぐ手をつけるというようなことも、なかなかむずかしい問題がたくさんございまして、さようなことは審議会でも御期待にはなっておらないのでございます。一方健康保険の問題は、これは御存じの通りもう一昨年来の問題でございまして焦眉の急という問題でございます。従いましてこれらを社会保障制度審議会あるいはわれわれが将来描いております国民皆保険の一つの構想というものと、逆の方向に当面の問題といえども改正をいたすというようなことは、これはいろいろ考えものだろうかと存じますけれども、私どもの考えでは、将来のいろいろな問題を考えました際にも、当面の問題であるところの健康保険の問題をわれわれが御提案申し上げておりますような線でとりあえず解決していくということは、決して勧告の線に方向としてはずれたものではない、むしろその基礎の上に立って、社会保障制度審議会の勧告の指向しておられますもろもろの他の問題というものも、その基礎の上に立って実施を検討すべきものであるように私どもは考えておるわけであります。従いまして、御破算にして度再検討をし直すというふうなことは、私どもといたしましては考えておらないような次第でございます。
  60. 岡良一

    ○岡委員 最後に一点。論争するわけではございませんけれども、やはりいわゆる政府管掌健康保険という窓からものを見ておられるような気がする。そこでこの法律改正に基く財政的安定というものも、御存じのように、やはり社会保障制度審議会の勧告のように、被用者保険あるいは自営者保険的な国民健康保険の給付ということになっても、五人未満のところにまでは及ばない。そうすると保険の給付内容、それから被保険者の負担、あるいは国の補助等非常に複雑多岐なものが生まれてくるわけです。しかしそうであってはならないと思う。むしろそれを一つの線に、統一された体系に持っていくという努力があっていい。そういう観点から広く全国民への医療保障、国民の負担、給付内容、国の補助等において、できるだけ総合一元化していこうという努力を、厚生省としてやらなければならぬのじゃないだろうか。ところが今度の改正案にしても、政府御提案のそれは、やはりそういう段階においては、さらにまた改正が予想されるものであるならば、この際国民のあげて要求しておる全国民への医療保障という線を太く、勇気をもって貫こうという、良心と勇気をもって一つ大きく社会保障制度審議会の勧告をも取り入れた基本的な全国民の医療保障のための立案に進められていくという方向が、大局的な方向ではないか、私はそう思って申し上げておるわけですが、これはおそらくこの次の国会における一つの問題点でありましょうし、それからこれは見解の相違でもありますから、御苦衷は私はわかっておりますけれども、何となく皆さん方に少し勇気が足らないんじゃないか。大蔵省のしきいが高過ぎるということでなく、もう少しがんばってもらいたいという老婆心から申し上げたわけです。
  61. 滝井義高

    ○滝井委員 実はさいぜんの岡さんの質問に関連して、三十億の問題、いろいろ法律提出の時期と予算との関係が出ましたが、一つお尋ねしておきたいのは、財政法の三十三条で、目の流用というものは自由にできると思うんです、大蔵大臣の許可さえあれば。厚生省もそういう理解をしておるのでしょう。目の中の流用は大体やっている。そういうことだと思いますが、それをお伺いいたしたい。
  62. 高田正巳

    ○高田政府委員 私もあまり財政法のことは詳しくございませんが、おそらく大蔵大臣に協議をしますると、流用ができると存じます。目でありましたか節でありましたか、その辺のところはあまり正確な知識を持っておりませんが、できる分野が相当あると思います。
  63. 滝井義高

    ○滝井委員 われわれの方にもらう予算というものは、昔は款というものがありましたけれども、今は款はないようであります。項になって、それから今度は目になっておる。予算書は目までしか出ていない。そうすると、おそらくあなた方は過去において、目の中で、省内でやった、そういうやった実績はございませんか。
  64. 高田正巳

    ○高田政府委員 厚生省の予算の執行に当りまして流用をいたしたことは、これはございます。目の内部での流用というようなことは、それぞれ大蔵大臣と協議をいたしまして、手続を踏んでやったことはたびたびであると思います。
  65. 滝井義高

    ○滝井委員 財政法の多分三十三条だったと思うのですが、予算書の彼此移用または流用というのがあって国においては大蔵大臣の承認があれば多分いいことになっておったと私は記憶しておるのです。従って私は、きょうはもう委員長が時間がないというから言いませんが、今の三十億と関連して十億の問題なんです。これはちょっと研究してもらわなければならぬ。この前も言ったように、あなた方の出しておる法律は、海のものとも山のものともわからぬ法律です。今現実に日本の八千万国民を支配しておる法律、厚生保険特別会計法の十八条の附則の、十億を入れなければいけないということは生きておる。これがあなた方の法案が通ってしまうまでは、現実に日本を支配しておることは確実なんです。従って予算の通っている三十億というのは、項は社会保険国庫負担金という項目は二十二日です。厚生保険特別会計への繰り入れなんです。この繰り入れの中はどういう内容になっておるかというと、三十年度は四十七億七千三百六十五万二千円である。こういう大きな項目だけしか出ていません。三十一年は六十四億一千四百九十二万四千円と出ておる。従ってこの中に入っているものは、昨年は四十七億の中で十億入っていた。ことしは六十四億の中に三十億入っておる。従って目の中を自由に動かすことができるということになれば、厚生保険特別会計という中へ繰り入れたことは確実なんです。ですから法律が生きているんだから、その三十億の中の十億を使うことは財政法上できる。と同時に、私は大蔵委員会で横路君のやった質問に対する答弁も、予算委員会のも全部持ってきましたけれども、これは明らかに補給金なんです。それから、昭和三十年度予算説明、三十一年度予算説明というわれわれのもらったこういう説明じゃない。昭和三十一年度予算書そのものの中の説明を今度は見てみますと、ほとんど同じなんです。どういう点かと申しますと、参考のために読んでみます。三十年度説明はどうなっておるかというと、それは、政府管掌の健康保険事業及び船員保険の疾病部門の——ここが違うんですが、支払い財源の不足の一部に充てるため、特に臨時に厚生保険特別会計及び船員保険特別会計べ繰り入れるため必要な経費である、こうなっておる。三十一年の説明はどういうことになっておるかというと、政府管掌の健康保険事業及び船員保険の疾病部門の財政再建をはかるための補給金を、厚生保険特別会計及び船員保険特別会計へ繰り入れるため必要な経費、こうなっておる。ただ違うところは、支払い財源の不足の一部に充てるため特に臨時にということと、財政再建をはかるための補給金、こういうことなんです。これは予算委員会なりへ行ってみると、財政補給金にみななった答弁しか出ていない。同じなんです。従って三十年度説明も三十一年度説明も同じであるということ、しかも項でなくて、目が同じである。目の中の流用というものはできる。そうしますと、ことしは十億あなた方はもらえるということです。とりあえずこの法案が通るまでは十億をおもらいになっておいて、通ったら今度は二十億だけをいただく。こういう措置法律上とれる。それをまずもらったらどうか。いずれ通るにしても通らぬにしても、確実に保険財政というものは、今岡さんからるる質問をしておったように、少くとも私たちの見込みにしても五%や一割くらいふえるということは確実です。いずれこれはそのときになってやります。とにかくあなた方の出しておる法律の基盤と現在の日本経済の基盤というものは、あの出した当時の計算の基礎となっているものと現在とがらり変っている。これはどうしてかというと、経済五カ年計画というものが二ヶ年で達成されている。しかも赤字の減った原因は、雇用の増加したことによって被保険者が増加をしておるということが大きな原因になってきておることは、あなた方は今語るに落ちて説明した。従って、この点は岡さんもさいぜん言っておったように、勧告との関連も出てきまして非常な相違が出てくる。とりあえず私は財政法上で目の流用ができるんだから十億をもらってもらう。赤字で困っている年度末の支払い、その他のお金ももちろん借りるでしょうが、借りるにしても、権利を持っておった十億を先にもらってそうしてその上に借りてもらう、こういうことはできるのです。これは大蔵省と相談をしなければならぬと思うのですが、法律上の根拠に基いてそうなるのですから、そういう点相談していただけますか。
  66. 高田正巳

    ○高田政府委員 十億の繰り入れにつきまして、現行の法律が生きておるということにつきましては、これは先生御指摘の通りでございます。ただ先ほど、一般会計から特別会計の場合には、法律予算とがそろいませんと工合が悪いということを申し上げたのでありますが、予算の方では、今先生お読みになりましたように、その三十億というものは従来の十億とは趣旨が違うのでございます。従って形式的に申しますと、法律は生きておるけれども予算措置が講じてない、こういうことになるわけであります。それで、そこを一つ流用とかなんとかいうことでというようなお話でございますが、私どものあれといたしましては、これは実際問題を申しますと、今十億もらってみたところが、実は年末の資金繰りあるいは年度全体の会計の上に決してこれで何とかなるというものでもございません。むしろわれわれは、その十億をもらうよりは三十億をもらいたい、こういう希望を持っておるわけであります。と申しますのは、ことし十億もらっておきますれば、結局あとは五十億しか一般会計から繰り入れがない。それで、当初予算御審議の際に政府が先生方にお約束をいたしましたように、本年度の三十億というものは別な金だ、そして再建のための金なんだ、それはそのままもらって、本年度は休む、十億の繰り入れの分は休む、来年度以降六ヶ年計六十億ということになるわけでございますから、今十億もらってみたところがものは片づかぬということと、もう一つは、結局われわれの立場とすれば十億ほど損をするということにもなりますので、私どもとしては、これは先生とちょっと御意見の違うところでございますが、今この十億を問題にするよりは三十億を問題にしたい。そうしてこれを、三十億は予算に計上の趣旨の通りに受け入れたい、十億の分は、来年度以降六十億六年間もらいたい。そうすることによって保険財政というものを立て直していきたい、こういうふうな考え方に立っておるわけでございます。
  67. 大坪保雄

    ○大坪委員長代理 これにて休憩いたします。     午後零時五十四分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかった〕