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中原委員 その他にもあるというのが実はややこしいのですよ。そういう上手なことを
考えぬようにしてもらいたい。その他にというようなことを言っても、私はもっとたくさんあるとは思いません。それは知っております。それはあなた方も言葉を完全にするために言われたんだろうと思いますし、われわれもそう解釈いたしますが、そういうことは無用です、要りません。その他とおっしゃいますが、その他とは何ですか。具体的に、数字的に
説明してもらいたい、その他に何があるのです。そこで大前提については、
立場上労働省で言えないかもしれませんけれ
ども、しかし大体わかるわけです。そうすると大前提というからには、その大前提というものは非常に大きいのですから、生きるに値するということのやはりその中身というものがなければならぬ。収入でさえあれば何でもそれが前提の内容だというわけじゃないと思います。やはり前提を内容づけるためには、その収入がまず生きるに値するということが裏づけにならなければ前提としての価値がない。これは労働立法では御存じの通りに、まず生きるに値するということが非常にいわれておると思います。基本的人権の問題でもやはり生存権ということが非常に問題になると同じように、やはり生きるに値する、人たるに値する——この言葉は空語じゃないですよ。実は私もきのうこういうことを聞かされた。あなた方は国会に出てひょろひょろしておるけれ
ども、憲法を忘れてはいませんかと言われた。全くその通りです。全く忘れておるようなものである。
政府の当局もわれわれもひょっとしたら憲法を忘れております。よく
考えてみると、憲法には健康で文化的な生活を営む権利を有すると書いてある。一体その権利はどうして主張するのですか。主張しようと思えば、どっこい待てやらさないぞと言う。
一つでもやればいばってしまう。おとなしくしておったらどうしようもない。生活保護の問題でも、きょう私は
生活保護法をひっくり返してみましたが、あっと驚きました。こんなことでどうするか、生活扶助の金額が何ぼあるか、まことにお粗末千万です。こんなことは恥かしくて言えない。そういうようなことを日本
政府は国際的な舞台に出て言うたか、言わないか、おそらく言わないのじゃないか。世界を見ておらぬのじゃないか。井戸の中のカワズという言葉がありますが、まさにその通り井戸の中のカワズです。世界を
一つも知らない。井戸の中でものを判断しておるから、何も知らないからいいように思っておりますけれ
ども、一たび井戸から出たところが世界は大違いです。やはり人権が尊重され、人のよき生活を念願する友情が世の中にはあふれております。ところが日本ばかりはどうもそれが違うような気がする。第一に今申しましたように、憲法は置き忘れられておる形です。今度一部の人が憲法
改正——私
どもの言葉では憲法改悪と言っておりますが、憲法を
改正しなければならないというような声を聞いたときにちょっと思いました。これで初めて憲法が問題になった、それではそこら辺から
一つ憲法を強調しようというような、まことにお恥かしい限りです。これではわれわれはほんとうに腹を切るに値すると思います。ですからやはり失業問題を取り上げます場合、あるいは
社会保障を取り上げます場合、その他万般の国の政策を取り上げます場合に、われわれはやはり
考えを一応もとに戻して憲法の建前を
考える必要があるのじゃないか。そうしてそこへ一歩でも近づかしめるための政策上の努力、これについては、
厚生省はこれだけやりました、労働省はこれだけやりました、大蔵省はこれだけやりましたと言えるくらいなことはやっておかなければならぬ。けれ
ども国会の
関係で引き下ったということなら、その責任は国会が負います。これは負わなければならぬと私は思います。けれ
ども、われわれはかくのごとく努力したと宣言できるようなものがあったかないかというと、ないのです。
そこで今われわれが直面しておりますたとえば年末
手当の問題あるいは給与の問題、その他労働者の生活保障の問題等々につきましてもしわれわれがそれについてそのままぼんやりしておったのでは、お前たちは一体何をしにじゅうたんを踏んでおるのかと言われる。これは世間にはそういう言葉があるのです。お前たちは国会の中でいつもじゅうたんばかり踏んでおるからものがわからないのじゃないか、じゅうたんの上ではでこぼこの道路の上の苦労はわからないということを言われるのですが、まさにその通りです。ところがじゅうたんだけではない、自動車ですべるのですから国民の生活がわからないのです。やはりこの点は局長さん、課長さん、そこらが一番大事だと思います。そこらの人々が実際性のあるものを作り上げて、ちょっと言葉が悪いから大臣がおったら怒るかもしれないが、大臣に教えてやってもらいたい。大臣は実際知りはしません。それを
一つ教えてやってもらいたい。これはこうしなければだめだ、どうにもならないといえば、大臣良識があるはずですから、良識があればそうだということになると思います。これは
立場や何かの問題じゃないと思います。いやしくも人間なら、そうしみじみと思うと思います。そこで私はあえてお尋ねしようとしたわけであります。私は実を言いますと、
質問することがあまりたくさんあり過ぎるほどいつもあるわけです。なぜかというと、いつも実は発言ができないのです。残念ながらできません。できませんから
質問は百ほどあって
一つしかしない。もし私に
質問を
委員長が自由に許して下さるならば、私は一カ月でも一人でやりますよ。何ぼでもやります。ありがたいことには材料が何ぼでもあります。いやこれはありがたいことではない。あまりにも悲しいことです。しかもその悲しい材料が
社会的に広げられておらない。これでは日本の国をもっとよくすることはできません。私はちょっと調子に乗るようでありますが、私も実は労働問題に四十年ぶち込んでおります。でありますからあまり言えない。言うたって何だか恥かしい気がする。むしろここらにいるそうそうたる青年諸君にやってもらいたい。実際そうです。ですから私は、四十年もやった男が今さらきゃあきゃあ言わぬでもいい、わかっておるじゃないかということになるのでありますけれ
ども、きょうはせっかくお許しを得てちょっと申し上げておるわけです。そういう意味ですから
一つ局長さんも本気で
考えてもらいたい。何とか責任がのがれられればいいのじゃないのです。それではほんとうは責任はのがれていません。私はやはりそういう意味で直接今起っておるこれらの問題について、
厚生省ともほんとうに話し合って、大前提かどうかしりませんけれ
ども、その大前提の中には生活に値する収入ということが入っておると思います。従ってその大前提にもっと大きなのみを入れなければならぬ。のみを入れて中をえぐり返していただきたい、こういうふうに思うてやまぬわけでありまして、従ってそういう諸問題について、局長さんの今の御答弁では実は私得心しておりません。やはりあれではいけません。本気で
一つ言葉と行いをやっていただきたいと思うのです、そうしないとこれはほんとうに大へんでございます。失業者が弱いからまあこんなものは押し込んでおけばよろしいというわけにはいきません。さきにも申しましたような状態が実はあるのです。あれはきわめて簡単なことを申し上げたのですが、掘り下げていきますと大へんだ。私は実はこう思うているのです。近いうちに日本の国民の生活の実態を文書にして、これも
政府は金を
出してもらいたいのですが、
一つ出版して
政府もみんなも知らなければならぬのです。これは
反対も賛成もないのです。みんながこのことを知ってのんだ上でその
対策を講じなければならぬ。こういう施策が今要求されているのじゃないか、そう思いますから、従って近いうちにそういうことでもやってみたい、こう思うのです。
それから立ったたついでですが、PWのことです。これはあなたでは無理かもしれませんが知っている範囲でよろしい、参考的に
一つ政府の当局者として、大体これはいつ改定するのか、どういうふうにこれを
考えておるかということだけでよろしい、深入った話は別にしますからちょっとこの点だけ
一つ。