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1956-11-30 第25回国会 衆議院 決算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年十一月三十日(金曜日)     午前十一時四分開議  出席委員    委員長 上林與市郎君    理事 關谷 勝利君 理事 田中 彰治君    理事 本名  武君 理事 山本 猛夫君    理事 坂本 泰良君 理事 吉田 賢一君       赤澤 正道君    臼井 莊一君       櫻内 義雄君    神近 市子君       細田 綱吉君    山田 長司君  出席国務大臣         文 部 大 臣 清瀬 一郎君  委員外出席者         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    市川  晃君         大蔵事務官         (管財局国有財         産第一課長)  天野 四郎君         文部事務官         (大臣官房会計         参事官)    天城  勲君         文部事務官         (大学学術局         長)      緒方 信一君         文部事務官         (管理局長)  小林 行雄君         運輸事務官         (自動車局長) 山内 公猷君         建設事務官         (計画局長)  町田  稔君         建設事務官         (河川局次長) 美馬 郁夫君         建 設 技 官         (道路局長)  富樫 凱一君         会計検査院事務         官         (第二局長)  保岡  豊君         日本国有鉄道常         務理事     石井 昭正君         日本国有鉄道参         与         (施設局長)  今井 四郎君         日本国有鉄道辿         参与         (管財部長)  中路 誠三君         日本国有鉄道参         事         (管財部次長) 吉田 敏郎君         証     人         (前東京建設         局長)     坪田 正造君         参  考  人         (東京都副知         事)      佐藤  基君         参  考  人         (前東京建設         局長)     坪田 正造君         参  考  人         (豊島区議会議         員)      森  茂吉君         参  考  人         (池袋西口商店         街代表)    高野 六郎君         専  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  証人出頭要求に関する件  昭和二十九年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十九年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十九年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和二十九年度政府関係機関決算書  国有財産管理高速道路公有水面使用)に  関する件  政府関係機関の収支(日本国有鉄道池袋駅改  築とステーション・ビル株式会社に関する問  題)に関する件     ―――――――――――――
  2. 上林與市郎

    上林委員長 これより会議を開きます。  昭和二十九年度決算を議題に供します。本日は文部省所管について審査を進めます。それでは昭和二十九年度決算検査報告一〇四ページより一一七ページに至る報告番号七六三ないし七八六につきまして、まず会計検査院当局より説明を聴取いたします。保岡第二局長
  3. 保岡豊

    保岡会計検査院説明員 文部省の二十九年度の検査報告いたしますものは、国立大学に関するものと、補助金に関するものとであります。国立大学不当事項として掲げましたものは、一〇六ページ以下歳入歳出に関する経理のものが三件、物件高価購入に関するものが一件、不正行為が二件であります。このほかに一〇四ページの末三行に述べてあります通り、大蔵省の流用承認を得ないで科目流用をいたしまして、労務者の給与を支払ったものは二十六校で、合計四千七百万円ばかりありまして、これを相当多額に上ると記述してあります。それから学校超過勤務手当を病院の方、すなわち正当でない科目から支払ったり、予算を越えて外国図書を納入させているものなどが見受けられました。一〇五ページに補助金不当事項のうち義務教育費国庫負担金について述べてあります。義務教育費国庫負担は初年度でありますので、一般的傾向として報告したものでありますが、二十八年度に概算払いをいたしまして、二十九年度に精算いたしたものであります。北海道ほか十七都府県を実地検査いたしました結果、超過交付が約千七百万円、交付不足のものが約四百万円あります。これは都道府県から提出される基礎資料調製の指導におきまして、不十分なものがありまして、またその取扱いが区々にわたり、かつその調査も不十分な結果と思われるのであります。  これから不当事項をここに説明申し上げます。  七六三号、これは東京教育大学光学研究所で、研究成果である人工真珠顔料を外部に引き渡しまして、千三百万円を受け取り、その中から五百十万円ばかりを歳入に納付しただけで、残り八百万円を自分で持っていまして、そのうち六百六十六万円を経費に使い、あと現金預金にしておったものであります。この現金預金などに使ったもののうち三百万円を合せまして四百八十万円を歳入に納付いたしました。  その次の七六四号は、一橋大学の一橋講堂でありますが、この使用料、それから講堂地下室にあります食堂の使用料相当額を、普通使用料をとらないものから納めさせ、電気水道料実費額として、合計百二十七万円ばかりを徴収しておったのでありますが、そのうち四十九万円を歳入に納付いたしまして、残額を自分経理いたしまして、講堂清掃料残業手当電気水道料金を支払いまして、残り二百万円ばかりを持っていたものであります。これも三十年三月に歳入に納付させました。  次は東京農工大学でありますが、昭和二十九年五月から三十年九月までの間のものを申し上げますと、この間に小切手を二千七百万円ばかり現金化いたしまして、これをまだ未払いになっている債務に充当したり、正当に支出することができないものに使用したり、またその中には使途不明のものもある状態でございまして、結局三十年十月現在当然の結果として未払いになっているものがありますが、それが四百八十万円ばかり、またこのほかに物品が納入されているのに契約もしないで、従って代金未払いになっている、これを当局が調査されました結果三百七十万円ばかりが出て参りました。この二つが一応国の債務未払いとなっておるのでありますが、合計が八百五十万円に上っております。今中しましたのは二十九年の五月からでありますが、その前のものも一応調べましたところ、二十八年度の判明したものが一千万円ばかりあります。これも同様に現金化して使っていたものであります。  次は七六六号でありますが、これは九州大学で八千円程度張り幕を二万三千円で購入した、全体で三十五張りありますから、合計で五十万円ばかり高価に買っているわけであります。  次に補助金でありますが、公立諸学校施設整備に関するもので、あります。これは、大部分児童生徒数の間違い、これを過大にしておるもの、それから保有坪数の間違い、これを過小にしておるものが多いのであります。これが計算の基本になりますものですから、これで超過交付の原因となっておるものであります。  それからあとから説明申し上げますが、その他被害を過大にしたり、対象工費の一部を実施しなかったりしていたものであります。これが北海道ほか十都府県で八千六百万円の補助金に瑕疵がありまして、超過交付になっている金額を申し上げますと三千四百万円となります。生徒数坪数以外のものを申し上げますと、これは七六九号でありますが、老朽危険校舎でありましたものを解体いたしまして、その後に災害があった、それで災害に便乗いたしまして、災害によってこわれたものとして申請して補助金をもらった件であります。  それから七七〇は被害程度被害の面積などに誤まりがあったものであります。  七七一号は小学校中学校が併置されておった、その小学校生徒数に対しまして、不正常授業解消として補助を行なったものでありますが、これを中学校が使用していた。  それから七七二は買収して改築すべく補助を交付しましたか、これを買収改築しないで一部補修だけしていたという件であります。  七七三号は生徒数に間違いがあり、また工事費のうち対象外の在来校舎の窓の改造、物置の改修などをしておりましたもので、これを除きますと単価が下回って補助超過になったものでおります。そのほかはただいま申しましたように児童数坪数の誤まりのためであります。  次に二十八年のその後ございません補助金でありますが、二十八年度の補助金教員資格認定講習会に出席する者の旅費を補助したものであります。県が国庫補助金と同額以上負担することになっておりますのに、県の補助金が下回った、そのために国として超過交付になった、こういうものが千葉と神奈川にありました。  次に不正行為でありますが、国立大学のうち東北大学大阪学芸大学二つでありますが、この態様から申しますと、両方とも同じ態様になりまして、これは給与を出しますときに基準給与簿を作成いたしますが、その基準給与簿に作為をいたしまして、所得額を少額にして支出官などに現金支給額を余分に振り出させまして、その一人一人には正当額をやりまして、所得税の少かった分だけを領得したものであります。  以上で説明を終ります。
  4. 上林與市郎

    上林委員長 次に文部大臣より発言を求められておりますのでこれを許します。文部大臣清瀬一郎君。
  5. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 ただいまの検査院よりの御報告に対する文部省説明は、お手元の決算参照説明吾の四四ページ以下に述べてございます。朗読は省略いたしまするが、要しまするに昭和二十九年度の決算におきまして検査院か――言うまでもなく検査院は不当、不正を分けておりますが、不当事項として指摘いたしました件数は、予算経理において東京教育大学の分ほか二件、物件においては九州大学一件、補助金においては長野県の松本ろう学校整備工事外十七件、全部で三十二件にわたっております。これらの不当事件発生についてはまことに遺憾しごくに存ずるのでありまして、関係者に対しましては懲戒処分あるいは厳重注意をいたした次第でございます。  次に不正事件として批難されましたものは、東北大学教育学部大阪学芸大学本部事務品川職員所得税領得に関するものでありまして、これまたまことに遺憾にたえないところであります。不正行為を行なった本人に対しましては懲戒免職をいたしました。また監督責任者に対しては懲戒処分等をいたしておるのであります。これらの不当または不正事件発生にかんがみまして、今後におきましては関係職員の資質の向上、職責の自覚また会計監査の厳重な施行等によって、この種事件を再び起さないように極力努めておるのでございます。
  6. 上林與市郎

    上林委員長 それではこれより質疑に入ります。質疑の通告がありますので順次これを評します。吉田賢一君。
  7. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 清瀬文部大臣にお伺いいたしますが、事務的な事項でおわかりにくい点はどうぞ事務当局より答弁をさせていただきたいと思います。  第一点は、批難事項の七六三、一〇六ページ、東京教育大学附置光学研究所の問題、これを中心に伺ってみたいと思うのであります。申し上げるまでもなく、大学は一方におきましては教育の最高府でもございますし、他面におきましては重要なもしくは最も信頼すべき学術研究所でございます。そこでこの種の附置研究所というものは、国立大学におきましても三十一年度予算を見ると三十六億五千三百万円に上っておりまして、その前年度、三十年度十二億余万円と比べますと、二十数億円も増加いたしておるのでございます。従って、社会的にも国家財政の見地からも、附置研究所が非常に重要なウェートをもって取り扱われておるということをうかがい知るのであります。こういうような観点に立ちまして、東京教育大学の今批難されておる案件を考えてみたいのであります。そこで、附置研究所におきましてあらゆる研究がなされておると思いますが、予算決算をまた別に見ますると、附置研究所の項のうちには受託研究費というものがございます。この受託研究費性質をまず伺っておきたいのであります。
  8. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 大学では、吉田さん御指摘のごとく、戦前旧制帝大以来、学術のうんのうを研究することと学生を教育することの二つの任務がございまして、新たな学校教育法においても、文字は相違いたしておりますが、この二つの作用があるのであります。そこで、学術研究ということは、国の施設であります大学が、その時代において国のために必要な事項を取り上げて研究をいたすのであります。しかるに、自発的に大学研究をしようとちょうど思っておったことか、あるいはまた思っておらなければならぬようなことを、国民の方からこれをどうか研究してもらいたいという申し出がありますると、学内の適当の機関でよかろうということでありましたら文部省に申し出ます。それで委託者研究経費を献金いたしたいということでありましたら、国家の収入としてそれを受け入れる手続をし、その額を予算支出項目として研究機関の費用に充てることにいたしております。でありまするから、受託研究国民の方からのイニシアチブで起りまするけれども、一たんその予算を受け入れて大学に流す以上は、やはり国家の仕事、公務でございます。
  9. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 本件につきましては、株式会社米田若松商店、つまりこれは、同大学附置研究所研究成果として生屈された人工真珠顔料三千七十七・四キログラムを同研究所から買い受けた会社であります。外四社ある。これらの会社は、同研究所に対して相当な委託研究料を支払ってやっておるという関係はないのでありますか、事務当局から御説明いただきたい。
  10. 天城勲

    天城説明員 御指摘教育大学附置研究所であります光学研究所受託研究費受託者は、御指摘通り米田商店外四社でございます。この四社から研究費研究所に提出されておるわけでございます。
  11. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それは各社いつからいつまで概算どれほどの金額でありますか。こまかくはよろしゅうございますが……。
  12. 天城勲

    天城説明員 ただいま大臣の御説明申し上げましたように、受託研究費として光学研究所研究としてこれを正式に取り上げ、しかも経費を要するという形で出発いたしましたのが二十八年の会計年度からでございます。二十八会計年度、二十九会計年度につきまして私たちの方から受託研究費予算に計上して研究所に流しておりますが、それに対する受託研究費は、ここに指摘されておりますように、一千二百五十四万五千何がしという金額でございます。これは米田商店が一番多くて約一千万、それから旭化成が三百万ほど、あと三社は、十万から一番少いので二万五千というような金額になっております。
  13. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 一千二百五十万円は、生産されたものの対価として受領したのではありませんか。私の伺っておるのは、あなたのおっしゃるこれらの会社から研究費支出しているという、その内容を聞くのです。
  14. 天城勲

    天城説明員 実は研究費支出が、この製品対価というものと一結になっております。と申しますのは、研究所研究いたしましてできました人工真珠顔料、これはそのまますべてがいわゆる商品として市場性に耐え得るものではございませんので、ロスものもあるわけでございますが、一応そういうものも一切引き取るという形で研究費計算をいたした形になっております。ですからこれだけの金額研究費として受けて、この中で製品はそれぞれの関係者に引き渡す、こういう形で臨んでおるわけであります。
  15. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そういたしますと、これを裏から申しますると、千三百五十四万五千二百円というものは、製品引き渡しを受けて、その対価として、代金として附置研究所へ支払ったというのではなくして、いつかは別といたしまして、ともかく研究費として、今お述べのように米田若松商店が千万円、旭化成が十万円、その他最低が二万五千円、合計が千三百五十四万五千二百円ということになって、要するにそれは受託研究費として提供したもので、たまたま後日製品引き渡しを受けたので、代金の引き当てに評算をした、こういうふうに理解していいんですか。
  16. 天城勲

    天城説明員 結論的にはさよう御理解願っていいんじゃないか思っております。ただ途中の経過におきまして、中間的に幾らかずつ研究費として研究所に金はきておったと思いますが、総計においてはこういう形で受託研究費を受けるという約束というんですか、そういうふうに進んでおるのであります。
  17. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 どうもはっきりいたしませんね。そこがすでに検査院指摘されてこういうふうに明らかになつたことでありまするから、そういう数字は、金額、その趣旨、目的、受け取った人、支払った人等々は、表にでもなってきちんとしておるのが私は筋たろうと思うのでありますが、あなたの御説によりますと、何かどうもはっきりいたしません。数額はともかくとして、そのうちのある数額は、国への委託経費であるか、あるいは個人への援助資金であるか、そういうことがぼやけておるということになるのではないでしょうか。
  18. 天城勲

    天城説明員 先ほども申し上げましたように、大学研究所受託研究をします態度と申しますか、考え方といたしましては、大学研究研究所研究ですから、これは全部国費でやるのが建前でございますけれども、あらゆる段階において、すべて同じ歩調で研究が伸びるということはなかなかむずかしいことでありますし、またその中の一部につきましては、特に民間の方々から研究費委託するから、その研究を伸ばしたらどうかというお話が出てくるわけでございます。結論として大学研究所がその研究を取り上げた場合に、受託研究という形が進んでくるのでございますから、私たち受託研究の問題を個人的な問題と考えておらないのでございます。
  19. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この問題は、一応これらの会社から金を受け取って、受け取る都度、そうしますと国家歳入金としての手続をした、こうおっしゃるのですか。
  20. 天城勲

    天城説明員 国への歳入の時期でございますが……。
  21. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 したかしなかったかだけお答え下さい。
  22. 天城勲

    天城説明員 その都度と申しますのは、三回に分けて国に納入されております。
  23. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると、国へ歳入として納付せられるものは歳入ですから、一方また大学附置受諾研究費というのが予算の目にあるのでありますから、それは経理の上においては全く別個の観念であり、また別個資金でなければならぬ、こう思うのでありますが、個人から受けた金が国の歳入になって、右から左へそれを使うというのであれば、何もこれは予算を組む必要はないのであります。予算政府が組んで、国会を通して、予算資金として配付を受けてそれを使うのであります、だから収納するのと支出するのとは全く別でなければならぬ。受け取ったものを出すというような、そういうことは許されるのですか。
  24. 天城勲

    天城説明員 御指摘通り受諾研究費は国の予算として歳出いたします。受けたものは国家歳入にいたしますことは御承知の通りでございますが、この場合に、検査院でも御指摘を受けた通り、国から出た受諾研究費、それに相当額歳入が入っているわけでございますが、さらにそれ以上の研究費を受けた形になっているのであります。
  25. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それだから私が今申しましたように、国の歳入に入れたものがかりにあるとしても、それ以外に受け取ったものがあるだろう。その以外に受け取るというものは、それは一体どういう趣旨になるのか。私の立場は、究極において研究を充実させたいのです。ひもつきを作りたくないのです。もっと有力な附置研究所を設置したいのです。将来予算の増大することを望みたいのです。そういう角度から聞いておりますので、ここはたまたまこういう案件が起ったのでありますから、この利害得失ははっきりしてもらわなければいかぬのです。いいかげんにしてもらったら困るのです。よろしゅうございますね。ですから、先ほども言いましたように、国の歳入に収納したということはよろしいが、それ以外にあるのじゃないかと言ったら、どうもそこがはっきりしなかった。今お述べになったところによれば、やはりある。そんな金は、一体何の金なんです。それは一体個人が受け取ったのか、研究所が受け取ったのか、それとも大学が受け取ったのか、それとも国へ渡したけれども別にそう扱われたのか、それはどういう工合になるのですか。
  26. 天城勲

    天城説明員 国に収納した以外の受諾研究費が、そのまま研究所内で使われたわけでございまして、その使途におきまして、ここにも御指摘になっているように、一部は現金でそのまま保有されておりましたり、それから一部は、別に財団を設立される場合の立てかえ金として使われておったものもございますが、他の分は、やはり研究費の補足というような形で研究所で使われていたようであります。
  27. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、第一点としては、国に収納しないで、そして受け取っているということがきわめて不明朗なことであるし、またそれ自身の性質がはっきりしないというようなことはもってのほかでありますこと、並びにその金の預金を合せて合計四百八十二万六千八百円というようなものが保有されておったということであるならば、これはまたまことに許すべからざることでありますが、そういう点についてはあなたの方では御異議がないようでございますが、こういう検査院認定につきましては、御異存はないのでございますね。
  28. 天城勲

    天城説明員 御指摘通り国に収納すべき金を収納しなかったということは違反だと思っております。
  29. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大臣に伺いますが、今後日本国立学校におきましても――たとえばすでに原子核の研究所中心にしまして、ずいぶんと画時代的な大きな予算も今後続々と組まれるときでありますし、民間のあらゆる企業体との利害関係におきましても、相当密接なものが生じてくるわけであります。そういうようなときに、外からわしは千万円害付したのだ、わしは五百万円寄付したのだ、こういうようなことで特定した研究所、特定した研究員自分利害関係と結びつけるというようなことがありましたらこれは大へんだと思います。やはり根本的なあり方といたしましては、よしんば百億円寄付いたしましても、アメリカのロックフェラーなんかの財団が非常に公明正大に金を出しているがごとくに、これはやはりすべての研究員研究経費として使い得るように、公明正大に、ガラス張りの中において授受して、国家から受けるものは受け、出すべきものは出す、こういうような原則を厳重に確立しなかったらこれは大へんだと思うのであります。こういうふうに思いますと、この事件ば小さいようでありますけれども、利きわめてこれは遺憾な事件だと思います。大臣はこれについてどの程度にお考えになっているか知りませんけれども、今後日本大学附置研究所のだんだんと拡充していくことを思うと、私はそういうひもつきなんかになったら大へんだと思いますので、これは文部省としては相当な御方針がなければならぬと思いますが、いかがなものでありましょう。すでにこの附置研究所もずいぶんたくさんにございます。表もございますけれども、これは述べずにおきますが、一そうその重要性を考えるときに、またこの弊害のはかるべからざるものが生ずることをおそれるのであります。極端に申しましたら、たとえば人工真珠顔料ですが、これは特許権があるのかどうか知りませんけれども、大臣御専門のたとえばこういう特許権みたいなものがあるとするならば、外から金を入れて、そして研究員研究させて、特許権はたれの所有になるのか知りませんけれども、それを個人研究員特許権でも持って外へ出て、会社の社員になるというようなことにでもなったら、何のことはない、個人のために公立の学術機関が悪用されるということも、想像をたくましゅうすれば考えられるのであります。そういうことにつきまして国立学校管理なさる文部当局としては、相当基本的な御方針がたければならぬと考えるのですが、この事件とにらみ合せまして、一つどういうお考えを持っておられるのか、はっきりしておいていただきたいと思います。
  30. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 このことは特に行政的に方針をきめるに及ばずして、国の会計法できまっていることであります。あらかじめあることが研究いたしたい、大学において研究して下さればけっこうなんだと言うて出てきましても、それは単純に注文のようにそうですかと言って受けるのじゃなくて、学内の適当な機関で学界のためにその研究は価値ありということをきめて出発するのであります。その研究のために寄付をいたしたいというのであったら、政府において受納し、また予算において支出をいたすのであります。このことは会計法が禁ずることでもなく、また従前において非常な効果を現わしております。東北大学の金属研究所は世界において有名な発明、発見をして学界に功労を立てておりますが、住友合名が明治年間に寄付をしたことに始まっておるのであります。しかしながら寄付者は国に寄付をすればそれでしまいなんです。初めに研究に寄付をしたからといって、研究成果についてひもをつけて、私が献金した研究所のものだからその発明はおれによこせということは言えないのです。研究を買うたのではありません、寄付したのですから、それはすっかり子が切れることになっております。もう一つ、研究の中途においてできる品物がありますね。品物の研究であったら多くは研究中でありますからくずのようなものが多く出ましょうけれども、研究末期に至りますればやはり製品として価値あるものができます。それはだれに売ってもいいのです。しかしながら初め研究委託したくらいでありますから、その方へ渡すということもあり得るわけです。政府の動産を売る場合の会計法の規則は吉田さん御承知の通りで、戦前も戦後も同じ趣意でやっておる。随意契約ということはあり得る。そこで政府民間に売ったらそれをまた政府に受納して、次の年でも政府から大学予算につけてもらえばそれは一番いいのです。そうすべきところをしなかったのが、会計検査院の御指摘であります。私は会計検査院の御指摘はごもっともと思っております。今言った通り戦前戦後の会計法規に合致するように研究所を設置し、合致するように生産品を処分するというので、特別の方針を立てる必要はない。法律を励行するということでこれはいけるのではないかと思っております。しかしながらどういう研究をするということになると、これはまあいわゆる政策の問題で、わが国においては前国会で御協賛を得、以来学術生産の方の研究を奨励いたしておりますから、そういう方面のものなら喜んで受けるというふうな方針、これはまあ方針ということなんで、会計の扱いについて別段の方針ばなくていいのだろう、今の法律を励行すればいいのだろう、こう思っております。
  31. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ところが会計に関する法規の励行だけでは解決できないのです。それならば、一〇七ページの三行目に財団法人応用光学研究所設立の費用に百二十七万円余りを使っております。ところがこれは財団法人応用光学研究所をそんな金で作るということは、もちろん会計法規及びその精神から見ましても不当でもあるし、私は違反であろうと思います。ところがこの新しく設立せられた財団法人が今日まだ現にあるわけなんです。そういたしますとあちらこちらでまるでふんを落とすようにしてこういうようなだらしのないことをして、そうして会計法規に戸反しておりますというだけで、その結果というものは、またその結果として生まれたものはそのままある、こういうことにたってきますと、これはやはりそういう会計法規の励行をするという以外に、行政的な監督、指導、あるいは綱紀の粛正というものが相当なければ、一々――極端な例をあげればスピード違反で科料をとっていくという自動車の違反事件と同じように、いつまでたっても跡が絶たぬ。やはりここば相当厳重な文部省としての行政方針が明らかになってこなければいかぬと思う。これは財団法人応用光学研究所というものができて、どうしてこういうものがそのままあるのでしょうか。こういうようなことにつきまして、一つ文部省としてははっきりとしなければならぬと思うのですが、それは行政的にはどうなんですか。
  32. 天城勲

    天城説明員 この研究所の具体的な場合について考えてみますと、研究が次第に成果をあげてくる過程において……。
  33. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 財団法人に限局して下さい。
  34. 天城勲

    天城説明員 要するに大学の発展してきた過程において、大学研究所研究としては、研究所としてやるところまではきた。しかしその研究成果日本の工業界にも産業界にも貢献する。しかしそういう点でのさらに具体的な検討は必要だけれども、大学としてはもうそこまで必要ないという段階に至って、実は財団法人というものを設立して、この場合には原価を低減し、量産をするという研究をこの法人に譲った。それから先の話だ、そういう形で法人ができたのでございます。ですから大学研究所研究としてやるところまでくれば、あと研究所以外でやった方がいいのじゃないかという形で、こういう法人というものを作って、そちらの仕事に譲った、こういう形で法人ができたわけであります。
  35. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは答弁にならない。その金は大体国の歳入にならねばならないもの、なったという建前のもの、それで作ったのでしょう。そうでなしに、全然関係なしにというと少し説が足りませんけれども、国の歳入に入れないで勝手に作ったということであるならば、歳入に入れることをごまかして作ったのか、あるいはそうでなしに、全然全く関係がないのかということも、これは究明しておかなければならぬのであります。その点はどっちなのでしょう。
  36. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 それが合法的にいっておりませんから、ここに指摘されておるのです。すなわち会計法、会計の理論から申しますれば、その金は一たん国庫に収納すべきものであります。大学は国の施設ですから雑収入として収入すべきものです。そして国も、もしその光学研究所が必要であったら、もしここにありまする財団法人応用光学研究所を設立することが望ましいのであったら、その金を国の支出によって、今度は法人の出資金――番付行為になりますね。出資金に国が出すことは当然であります。それは民法に規定してある通りです。この場合はそれをやっておらないのです。だからわれわれもそれではいけないと思って承服しておるのです。
  37. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それならば文部省としましては、当該財団法人から、財団法人に不正に流用されました金の返還を請求しなくちゃならぬ債権が発生しておりますが、いかがですか。
  38. 天城勲

    天城説明員 御指摘通り、これは返還いたさせました。
  39. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そのような処置をとられましたならば、一体この大学附置研究所の責任関係はどういうふうに帰属したのですか。
  40. 天城勲

    天城説明員 当時のこの研究所の事務長は直ちに退職いたしておりまして、その後所長も他に転職いたしまして、大学の事務局長と会計課長が戒告処分を受けております。
  41. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 所長はどうして責任がないのです。
  42. 天城勲

    天城説明員 所長は退職されて、そのときにおられなかったのでございます。
  43. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そのときにおらなんだというのでは、説明にならぬ。
  44. 天城勲

    天城説明員 当時の所長は三十一年の一月一日付で退官されておりまして、その後新しい所長ができておりますが、その所長には、この事件当時直接所長でなかったので、いわゆる厳重注意というのを学内でいたしております。
  45. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると、三十一年までこれは責任の追及その他そういった方面の処置は行わなかったのでありますか。
  46. 天城勲

    天城説明員 所長はこの年から文部省所管教育公務員でなくなられたものですから、行政上の処分ということが行われなかったわけであります。
  47. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたの方で発見したのはいつですか。
  48. 天城勲

    天城説明員 これは検査院の検査によって指摘されたのでありまして、昨年の一月の下旬でございます。
  49. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大臣にこの点について最後に伺っておきますが、この問題は単に会計法規の適用がよく行われたらよいというような、そういう簡単ものではございませんで、検査院指摘によって後日発見ということになり、従ってもし検査院指摘しなかったならば、こういう状態が存続して、さらに大きなこういうものが発生しておったかもわからぬ。やはり重大な問題としてこれは全国的にしかるべき指示方針を新たにして進めるべき案件だと思うのですが、そういうことについて、何らかの措置はとったのでしょうか、とっておらないのですか、それだけ伺っておきます。
  50. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 私の法律励行と申しますのも、あなたの適当な措置をとれとおっしゃるのも、言葉は違いますが、同じことでありまして、会計法規が励行さるるように、あるいは内部監査をなさしめ、それから文部省より厳重なる会計法規の励行を要求し、また場合によれば人を派して調べるといったようなことを近時やっおります。その意味で、私は法規の励行と申し上げたので、あなたと同一の所感を持つております。国の財産ですから、たとい百円といえども、これはもう慎しまなければならぬと思っております。
  51. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちょっと補足的に伺っておきますが、一〇七ページの二項によりますると、やはり不当に経費を使った金が、光学研究所長に渡したということも記載してある。そういう場合には、研究所長から返還をさしたのかどうか、こういう点、もう一点は、財団法人応用光学研究所はそのような不浄な金によって設立されたのであるか、今なお文部省はこれに何らか関係しておるのかどうか、その中にやはり教育大学研究官がおるのかどうか、その二点を一つはっきりしておいてもらいたい。
  52. 天城勲

    天城説明員 検査院で御指摘された事項につきましては、それぞれ国庫に金額を戻入いたさせました。御指摘の所長からも返還して国に戻入いたしま旧した。それから研究所の所員と財団職員との関係でございますか。
  53. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の伺った趣旨は、要するに、設立費というものが全部非常に不当な、もしくは不正な金によって行われたものでありますから、その応用光学研究所文部省はその後どういう関係にあるのか。この中へ教育大学研究官が入って研究してしておるのかどうか、そういう点を一つはっきりしておきたい、こういう意味であります。
  54. 天城勲

    天城説明員 国の研究所職員財団職員として現在入っております。
  55. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私は以上質問しましたけれども、光学研究所がよいものであれば、できるだけ充実していきたいと思います。ただこういった経緯から続々と財団法人ができるということになりましたら、一体国の業務と個人の業務と、そしてまた第三者の別個の法人と、こういうものが混淆されてしまいます。ことに米田・若松商店がどんな会社か知りませんけれども、そういう会社大学研究員を引き抜いて自分ひもつき財団法人の研究所を作るということも、想像をすれば可能であります。そういうようなことがあちらこちらでできましたら、一体国の大学機関というものはどうなるのでしょう。そういうことをほんとうに憂えます。ですから、脱法的にうまくやればずるずると会計法規を免れる手段さえ考えられるのであります。そういうことを思いますと、文部当局としてやはり相当これは筋を近してもらわなければならぬと思います。文部当局の行政監督の立場は、当然そこまで筋を通して、充実すべきものは充実する、外部から資金を導入すべきものは導入する、それは大へんけっこうと旧いますけれども、筋が乱れちゃったらめちゃくちゃになってしまいます。こんな小さなもので済めばいいのですが、今後続々と起りますもの、がそんなことになったら大へんでありますので、私は何も答弁は要りませんが、そういうことを憂えるのあまり御質問するのであります。  それで時間の関係がありますので、私としましては文部省関係はこれで終りますが、東京農工大学の点が一点と、それから補助金の点を一点だけ簡単に伺っておきますから、大臣御答弁下さらぬでも、簡単でよろしゅうございますから、そのつもりでお願い申し上げます。  この農工大学は、沿革を調べてみますと、前の高等蚕糸、高等農林の両国立学校がこのように大学に合併しれてできたものであるようであります。そこで、私が今後の問題として考えたい点は、そういうように大学ができるとき、二つの専門学校が一緒になるようなときには、経理というものはもっとはっきりせなければいくまいと思う。そこで、こういう大学ができたりするときに、もしくは二つ学校が一つになったりするときに、あるいは年度末等、一体当該大学が何はどの債務を持っているのか、何ほどの債権があるのかというその負債等資産の内容というものがなかなか明らかにならぬのですが、そういうことはまだしておらぬのですか。その点どうですか。
  56. 天城勲

    天城説明員 今の御質問、これは私誤解しているかもしれませんが、今国立大学は特別会計制度でございませんので、負債が生ずる等のことは、バランス・シートにおける負債という意味ではでき得ませんし、また負債が生ずるという経理はできないことでございますから、そういうことはないわけでございます。
  57. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 検査院当局に伺いますが、かりに債権債務を明らかにする財務諸表を作らなくてもよい制度であるといたしましても、やはり一つのけじめは何かつけなければならぬと思います。もし負債が幾らあるかわからぬ、債権が幾らあるかわからぬというようなことだけで進んで参りましたならば、大学経理というものが、大学の学長があって、会計職員の会計現状を年度末には監査する、監査するけれども、どこに借金が幾らあるか知らない、従って、ここに二千万円からの古い借金をごまかした架空経理の金で支払い支払いしてきた、そうしてついでに飲み食いもした、接待費も出したということが起ったのがこの案件の内容であります。そんなことでよいのでしょうか。その点所管をはっきりしないと、大学の学長とか、総長とかいうものがあっても大学の会計というものを年度末に監督のしようがない。幾ら借金を背負っているのやらわかりませんということでは、何千万円か何億円借金があるやらないやらわからぬ、債権があるやらないやらわからぬというのでは、よしんば債権債務表を作らなくてもよいという会計制度であるといたしましても、やはりそこはとにかくけじめだけはつけなければいかぬと思いますが、それはどんなものでしょうか。
  58. 保岡豊

    保岡会計検査院説明員 ただいまの御質問でございますが、文部省が申し上げましたように、債権債務が起るということがすでに経理としておもしろくない。物を買うときにはまず支出負担行為を起します。それで債務を負いまして、それで物が入ってきたときに金を払いますから、それで債務が消えてしまうわけであります。ところが、その正式の支出負担行為を起さないでやりますものですからこういうことが起ってくるわけでございます。その支出負担行為を起さないでやってしまうものですから、正式に支出負担行為を起したものが未払いになるわけであります。その金を払わない。それがだんたん積り積りまして、それに正式の支出負担行為を起したもので払いませんものですから、現金化しておきましてプールしておきまして、それから前のやつを払っていく、そこのところで領収書をもらってつじつまを合していく、こういうふうになるわけなんです。そのあとからその現金化したもので埋めていく、それ自身がよろしくないということになります。債権債務というものは、支出負担行為を起したときにはっきりしているわけであります。こちらに債務がありますから、その支出負担行為がはっきり支出負担行為簿に載っかっておればよろしいが、それをやらないでやるものですから、債権債務がおっしゃいましたようにはっきりしなくなるわけであります。支出負担行為をやらないでやる、また支出負担行為をして払うべきものを現金化して、その支出負担行為したものに払わないでとっておいて、それでまた別なものに払う、勝手なものに払う。ですから正式な支出負担行為をしたものがだんだん払いが悪くなるわけです。これがその払いが悪くなった方からだんだん聞えて参りまして、払いが非常に農工大学は悪いということで、これがだんだんわかってきたわけであります。
  59. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは特別会計ではありませんけれども、各大学で年度末に貸借対照表を作るということは、会計経理上困難なんですか、もしくは不可能なんですか、それはどうなんですか。
  60. 保岡豊

    保岡会計検査院説明員 最後に貸借対照表なり損益計算表を作るということはできないことはございませんが、その必要はないと思います。なぜかと申しますと、それはその年度でその払いによって債務が消えてしまうものでございますから、それは必要ないと思います。
  61. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それはその程度にいたしまして、一つ希望として申し上げておきたいことは、やはり学校の異動なんかたびたびあると思いますので、また年度末けじめ、けじめには、財産の内容、負債の内容なんかできるだけ明らかに一つしていただきたいことを希望しておきます。  補助金につきましてちょっと一点だけ伺っておきたいと思うのでありますが、この補助金の内容はずっと通覧いたしてみますと、多種多様になっております。これは申し上げるまでもなく、地方の府県が累年赤字累減の現状にありまするので、従ってそういうところから来る一つのしわ寄せ、その一つの現われが、こういうことにもなるのではないかとさえ想像されます。従って赤字の、ことに事業主体が町村のような場合あるいは弱小県のような場合においては、一そうそういう感を深くするのでありますが、これを会計経理の面から見ますと、やはり一つの問題があるわけであります。すなわち現実的な地方財政の充実あるいは教育施設の充実、そういうことについてはできるだけ努力しなければいけませんことは申すまでもありませんが、会計経理の面から見ますと、やはりこれらの不当処理されております相当額につきましては、たとえば七六七ないし七七〇で、合計しますと五百七十六万七千余円になります。こういうふうにいずれも数百万円ということになりますが、これは一応はやはり国庫に返還させなければならぬ建前になるわけでありますが、なかなかこれは地方財政とにらみ合せて実行が困難なようにも実は聞いております。これはもっともなことと思いますが、しかしやはり財政法の八条によれは債権放棄も簡単にはできますまいし、簡単に免除もできますまいから、従ってそこはやはりけじめだけはつけておかなければいけないと思うのであります。ことにこの中に大阪市というような富裕県も入っております。東京都板橋区というような、こういう富裕地区も入っております。こういうのはそういうしんしゃくは必要でないのではないかとも考えられるのであります。従ってそこは下手に地方財政が困難であるから、当然国庫へ返還を命じなくてはならぬ性質金額であるけれどもまあまあということになれば、今度は文部省のにらんでいるところだけとる、文部省がまたえこひいきしてとるところととらぬところができる、こういうことになるおそれもあります。ですからここは一応はやはり建前としましては、そのように不当決定するならば、国庫に返還を命ずるという建前にして、そうしてそこは事態に即応して適切に行政をしていくということが大事でないだろうか、これを漫然と地方は気の毒だからほっておかなければいけないだろうということになったら、もしくは国会は代議士の関係があって、地方の利害関係があるからあまりものを言わぬだろうし、その辺はいいかげんにしておけばいいということがもしありますれば、これは大へんなことであり、財政の紊乱のもとをただすことはできませんので、その辺はけじめだけはつけておかなければいけないと思いますが、その辺はいかがですか。
  62. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 御趣意ごもりともでございます。そういうお考えから前々国会において補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律というのが昭和三十年八月に発布され、文部省はこれを厳重に励行いたしております。そしてこの法規によって現に補助金でこの規定で返還すべしと書いてあるものは返還させまして、私になってからも相当多数の案件を決裁し、現実に返還を受けております。今日はこれは見のがしておりませんが、この事件の当時はそういう規則もありませなんだので、今吉田さん御指摘のような心配もあったかと思います。今後においてはこの適正化法を実行して、返還すべきものは、これは地方の財政が赤字であろうとあるまいと、もらったものを横へ使ったら返還するのは当無でありますから、これはやりたいと思っております。
  63. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の方はそのことはほんとう言えばもっと強調したいのですけれども、実はあなたの現実の立場を考慮して、私はこのぐらい御遠慮申し上げておるのです。もしこの補助金適正化法をほんとうに厳重に政府が励行しておられましたら、あまり問題は起らぬのです。ところが現実はなかなかそうはいっておらぬのです。実際そうなんです。でありますが、私はあなたが法律家だから法律を遵法なさるそのお立場、御精神はよくわかるのですが、かえってそうでない結果を来たしておるという現実に、私はむしろ若干同情して申し上げておるのです。もしほんとうに補助金適正化法が全国約に励行されておるということであるならば、これは総理大臣にも伺わなければならぬほどの案件に実はなるのでふります。農林省においても、建設省におきましても、各省の補助金の実情はわれわれは手にとるようにわかっているのです。しかしそれは適正化法をそう励行されておらぬのが実情なんです。現にそのために法務省におきましては、検事の増員まで予算要求したけれども削られている。こういう事実も実は反面にあるのであります。等々、幾多の現実がてんめんいたしております。しかしきょうは大臣もそういうような強いことをおっしゃっておりますから、これは信頼しておきます。おきますが、やはりその辺のことはほんとうにそうならばそうとして、これは来年またまみえますけれども、なかなかそうはいかぬというりことが、現にあなたの方の――前回二十四国会のときに、私は他の補助金であなたの方の文部省補助金関係について、なぜとらぬのかということを尋ねた事実もあるのであります。速記録をごらん下さればわかるのでありますが、そういう問答の間にも政府の苦しいお立場がわかったので今こんなことを言ったのです。けれどもこれは大臣が法を励行するとおっしゃったから万幅の信頼をいたしまして待つことにいたします。  私の質問はこれで終ります。
  64. 細田綱吉

    ○細田委員 関連……。きょうは社会教育局長おいでになっていませんね。
  65. 上林與市郎

    上林委員長 出席しておりません。
  66. 細田綱吉

    ○細田委員 それでは突然のお伺いなので、次の決算委員会に、大臣でなく当該局長でけっこうでございます。おそらく御存じないと思うのですが、先ほど吉田委員から外郭団体の問題についていろいろ御質問がありましたが、文部省の外郭団体で財団法人の日本リクリエーション協会、これはかつて文部省の中にあったが、最近は運輸省の方に置いてあるので、文部省と縁が切れたと思っておったところが、最近の国体あるいは今度のオリンピック大会等にも文部省の外郭団体として重要な役割を果しておる。この日本リクリエーション協会は総裁が直の宮様であります。そして現在の教育大学の学長なんかも理事であった。そういうきわめて重要な役割を果しておる。ところがこの内容が非常に紊乱しておる。私の知っておる例でも、事業資金だとして民間から金を借りて、それはおれの方で使ったのじゃないと言って、リクリエーション協会の手形を出して借りながら弁済しない。非常に紊乱しております。従って現在文部省とどういう関係にあるのか、あるいは補助金がどうなっておるのか、また監督の方法はどうしておるのかというようなことを、次の決算委員会でけっこうでございます。きょうは大臣もいきなりで御存じないだろうし、当該局長の答弁でけっこうですから、十分お調べをいただいて御報告願いたいと思います。
  67. 上林與市郎

    上林委員長 それでは本日予定しておりました文部省所管につきましては、以上をもちまして一応質疑を終了いたします。  午後一時より再開して次の案件に移ることとし、この際暫時休憩いたします。    午後、零時二十三分休憩      ――――◇―――――    午後一時三十一分開議
  68. 上林與市郎

    上林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  お諮りいたすことがあります。先ほど理事会で御協議願ったのでありますが、政府関係機関の収支、(日本開発銀行の電源開発融資)に関する件につきまして、去る二十八日坪井二一君に証人として出頭を求めたのでありますが、公務のため出頭できかねる旨の申し出がありました。坪井証人不出頭の件について理事会で協議の結果、これは正当なる理由ありと認め、あらためて来たる十二月五日午前十時半証人として出頭を求めることとなりましたが、さよう決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 上林與市郎

    上林委員長 御異議なしと認めます。またその際、同時に電源開発株式会社総務部長岡部邦生君関西電力株式会社社長太田垣太郎君、以上二名の諸君を証人として出頭を求めるよう手続をとりたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 上林與市郎

    上林委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     ―――――――――――――
  71. 上林與市郎

    上林委員長 国有財産管理高速道路公有水面使用に関する件につきまして調査を進めます。  本日は、各位のお手元に配布いたしてあります通り、証人一名及び参考人一名を予定いたしておりますが、先ほど理事会の申し合せによりまして、証人、参考人を同席の上、適宜証言を求め、または実情を聴取することといたします。  それでは御出頭になられました証人は、坪田正造君ですね。
  72. 坪田正造

    坪田証人 はい。
  73. 上林與市郎

    上林委員長 相違なきものと認めます。  あらかじめ文書で御通知いたしておきました通り、ただいまから国有財産管理高速道路公有水面使用に関する件につきまして証言を求めたいと存じますが、証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと相なっております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が、証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくば三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係にあった者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またばこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び、医師、歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあった行がその職務上知った事実であって黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになっております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは一年以下の禁錮または二万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは三月以上十年以下の懲役に処せられることとなっておるのであります。一応このことを御承知になっておいていただきたいと思います。  では、法律の定めるところによりまして、証人に宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書の御朗読を願います。   〔証人坪田正道君朗読〕    宣誓書   良心に従って、真実を述べ、何事もかくさず、また何事もつけ加えないことを誓います。
  74. 上林與市郎

    上林委員長 それでは宣誓書に署名捺印してください。   〔証人宣誓書に署名捺印〕
  75. 上林與市郎

    上林委員長 これより証言を求めることになりますが、証言は証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際には、そのつど委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。なお、こちらから質意をしておるときばおかけになっていてよろしゅうございますが、お答えの際は御起立を願います。  また佐藤参考人より実情を聴取することといたします。参考人には御多用中のところを当委員会に御出席下され、まことにありがとうございました。  本件につきましては、御承知のごとく、国有財産に関する小委員会におきまして調査を行なって参ったのでありますが、今後は特に委員会におきまして調査を行うこととなったのでありまして、つきましては、本件について最も密接な関係を持っておられまする参考人より実情をお聞きして、もって本件調査の参考にいたしたいと存じておるのであります。参考人におかれましても、当委員会の意のあるところを十分におくみ取りいただきまして、本件調査に御協力を願いたいと存ずる次第であります。  それではこれより調査に入るのでありますが、委員各位より質疑の形式で実情を聴取することといたします。  通告がありますので、順次これを許します。まず吉田賢一君。
  76. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちょっとその前に、出席政府委員並びに説明員は、建設省、それから運輸省、大蔵省、他はだれが見えていますか。
  77. 上林與市郎

    上林委員長 政府側の出席者を申し上げます。運輸省自動車局長建設道路局長河川局次長、それだけでございます。それでは御質疑願います。
  78. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 都の副知事にまず伺いますが、ただいま問題になっておりまする旧京橋川、外堀川、汐留川、これに属するものと思いまするが、通称高速道路と言っておりまする現在敷地になっておる旧水面、この水面が国有財産であったかどうか。国有財産である場合に、これは行政財産でありまするか、普通財産でありまするか。かつ、管理はいずこがしておりましたか。埋め立てる前の事情、これをまず伺っておきます。
  79. 佐藤基

    ○佐藤参考人 この河川は管理東京都知事がやっておりました。それからお話の通りこれは国有財産でございます。
  80. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 もう一つの問いに対してお答えにならなかったが、普通財産か、行政財産か、はっきり言って下さい。
  81. 佐藤基

    ○佐藤参考人 行政財産です。
  82. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで、これは昭和二十九年五月十七日付でこの場所は、安井都知事に対して、公有水面埋立免許申請というものが出ておるのであります。これは何の目的でせられたのでありますか。そのような申請をせられた事実がありますかどうか。
  83. 佐藤基

    ○佐藤参考人 国家機関としての都知事に対して、埋め立ての申請をいたしております。それはその土地を高速道路の用地として――用地以下の間接になりますが、用地として使うという目的であります。
  84. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは何の法律に基いて申請されましたか。
  85. 佐藤基

    ○佐藤参考人 公有水面埋立法であります。
  86. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 第何条です。――それは第二条でありましょう。間違いありませんね。
  87. 佐藤基

    ○佐藤参考人 第二条であります。
  88. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちょっと今聞き漏らしたのですが、何の目的でこれは申請されましたか。
  89. 佐藤基

    ○佐藤参考人 埋立申請書によりますと、埋立の目的は「道路、高速道路、駐車場、広場及び緑地等の敷地を造成する」、こういうことを埋め立ての目的としております。
  90. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたはその後就任せられたのでありましょうから、当時の事情はその後調査で知ったのでしょうが、一体これは、具体的に申せば東京都知事のもとのだれが所管局長だったのですか。
  91. 佐藤基

    ○佐藤参考人 建設局長の所管であります。
  92. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 名前は何といいますか。
  93. 佐藤基

    ○佐藤参考人 滝尾達也君です。
  94. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと埋め立ての目的は道路、高速道路、駐車場、広場、緑地の敷地を造成するもの、道路とは何ぞや、高速道路とは何ぞや、駐車場とは何ぞや、あるいは広場とは何ぞや、そういうふうな点を、ちょっと要点だけでよろしいから簡単に説明して下さい。
  95. 佐藤基

    ○佐藤参考人 道路と申しますのは……。
  96. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 いえ、具体的の場合です。説明できる人にしてもらったらよろしい。
  97. 上林與市郎

    上林委員長 ちょっと待って下さい。やはり答弁できる人は限定されておりますから……。
  98. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それじゃよろしゅうございます。了解しておきます。
  99. 佐藤基

    ○佐藤参考人 道路と申しますのは道路法にいう通路と思いますが、埋めまして、そして埋めた部分のうち全部が高速道路の敷地になるのじゃなくて、若干残るわけであります。そこを申しておるわけであります。高速道路は、現実問題といたしましては道路運送法に基いて免許される町速道路であります。駐車場は……。
  100. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちょっと途中で失礼ですが、道路法にいう道路、道路運送法による高速道路、そういう抽象的な御説明じゃなしに、これは何を目的にしておったか、もっと具体性のある説明をして下さい。法律の説明じゃなしに、端的に……。
  101. 佐藤基

    ○佐藤参考人 道路と申しますのは、今申しました高速道路用地にする部分があるから、その残りの部分を道路にするという意味であります。それから高速道路は、申すまでもなく今できております高速道路、あの敷地であります。それから駐車場、広場、緑地というものは、やはり高速道路の用に供した土地以外の土地で、しかも道路に供しない部分、これを必要によって駐車場、広場及び緑地に使う、こういうわけであります。
  102. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それはわかったようでわからぬのですが、そうするとあらかじめ高速道路については、すでに他の第三者との間に話でも予定しておったのですか。言いかえると、現在のというような御発言があったのたが、現在の高速道路を何か予定して申請した、こういうことになりますか。
  103. 佐藤基

    ○佐藤参考人 その埋立免許申請に掲げてあるのでありますが、当時一定の計画を持ってやったのであって、無計画にやったわけではない。もう少し具体的に申しますと、道路には千八百余坪、高速道路にば六千余坪、駐車場、広場及び緑地には四千九百余坪というものを充てるという計画で、埋め立ての申請を出しておるのであります。
  104. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますとその次の駐車場、広場、緑地、これは駐車場といえば自動車などの駐車場でしょう、広場、緑地、これは読んで字のごとし、別に御説明はよろしい。そういたしますると、これ以外に使えないことですね。
  105. 佐藤基

    ○佐藤参考人 埋め立てのときの申請では、そういう目的でそういうふうな用途を指定して埋め立ての申請があり、これに対する許可があったのであります。
  106. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その目的に対して、都知事は同年、昭和二十九年七月二十二日付で免許しているようでありますが、それは間違いありませんか。
  107. 佐藤基

    ○佐藤参考人 免許の日付は二十九年七月二十二日であります。
  108. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 同免許命令書によれば、第二条に、「公有水面埋立の目的は、道路、高速道路、広場、駐車場及び緑地等の敷地を造成するものとする。」こういうことになっておりますが、これに間違いありませんね。
  109. 佐藤基

    ○佐藤参考人 その通りであります。
  110. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 一つ聞きたいことは、現実には道路がどこにあるのやらとんとわからず、さらに店舗が主たる内容をなすようでありますが、この事実はいかがです、お認めになりますか。
  111. 佐藤基

    ○佐藤参考人 道路はどこにあるかおわかりにならぬと言われますが、実はまだその建設の途中でありますのであるいはおわかりにならぬかと思います。それから店舗の問題は高速道路がいわゆる二階の屋根であって、その下をどうするかということは、都と会社との契約によりまして使い力について制限をしておるのであります。読みましょうか。それによりますと、会社は「高速道路施設を特殊飲食店、遊戯場その他都市の美観、風俗を書するおそれのある営業のため使用し又は使用させない」という会社と都との契約があります。それに基いております。
  112. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 都は許可した条件として道路、高速道路、広場、駐車場及び緑地の敷地を造成する、これが許可の条件になっておる、使用の目的になっておる。しかるにその目的外の事実がある。目的外の契約をするということは、できないのではないでしょうか。例をあげるならばここに大きなビルディングを作る。ビルディングは百貨店な作る、あるいはそれを商店街とする、あるいは住宅にする、こういうのであれば最初から目的を明確にして免許申請をし、埋め立てをし、命令をすべきであったのではないかと思うのですが、それは事実少くとも命令上、第二条及び申請書の目的事項に逸脱しておるのではないでしょうか。
  113. 佐藤基

    ○佐藤参考人 その点は私はこう考えておるのであります。埋め立ての目的である高速道路という意味が、高速道路を構成する建造物全体を含んでおると解釈しておる、従ってその高速道路の建造物の一部分といつものがどういうふうになるかということは、東京都知事と会社との間の埋め立て工事委託及び土地賃貸借に関する契約によって規制される、今申しましたその契約は埋め立て条件に違反するかというお話は、高速道路の解釈の問題になるかと思います。
  114. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これはまことに奇怪な言葉であります。あなたは許可権者でないので、実は私はきょうは知事に御出席願う予定であったのであります。知事が不在がゆえに来てもらったのだが、やはりここでは一つ厳正に御答弁願いたいのであります。解釈も、これは第三者のしろうとが解釈するならば別ですけれども、許可を与えた者、それから申請した者、しかも国有財産管理するという立場であなたは御答弁になるのでありますから、高速道路の解釈によるというようなことは、これはどうもしろうとだましの言葉と思うのであります。ごらんになったと思いますが、われわれも二回実地調査をいたしました。実態は事務所及び店舗です。高速道路といっても高速道路はまだ事実できておりません、しかし店舗はもうできておる。開業しておるところもあるのです。御承知かどうか知りませんが……。でありますから店舗が主で高速道路が従の観を呈します。あるいは高速道路が主で店舖が従だなんというふうにお考えになったらこれは大へんであります。あなたは解釈いかんとおっしゃいますけれども、これは一応常識から考えましても、あれは店舖が主であると思いますがいかがです。
  115. 佐藤基

    ○佐藤参考人 今の問題ですけれども、高速道路の解釈ということをさっき私は申しましたけれども、単純な高速道路だけを営利会社としてやってできるとお思いになりますかどうか、これは僕は無理だと思います。店舗かどうかという問題でありますが、これは店舖であります。私も現場を見ております。ただし道路が主か店舖が主かと言われると、これはまだ建設の途上にあるので、私は道路が主でできておると思っております。でき上らないから今遊んでおるように見えるけれども、でぎ上ればあそこをどんどん自動車が通るので、店舗が主で道路が従ということは、ちょっと私は見解の相違になるかもしれませんが……。
  116. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたはどうも、店舖なしに道路で営利会社が成り立ちますかという、そんな考え方をしていると大へんた間違いです。この国有財産を営利の対象にするというのが当初の計画であったのですか。そこをはっきりお答えして下さい。
  117. 佐藤基

    ○佐藤参考人 それは当時の情勢といたしまして、東京都の交通が非常にふくれてくる、そこで東京都としては何とかしてああいうふうな施設をしなければならぬ、ところが東京都の当時の財政におきましては遺憾ながらそれがでぎない。幸いに申請者があったのでその者にやらした、その申請内容及びそのいきさつを聞いてみますと、公共性にかんがみまして道路は無料で交通させる、こういうことになっておるのでございます。そうすると営利事業とは申しませんが、民間の人が投資して、そのできたものの上を無料で通させるということだったから、経済的常識から考えますと、やはりもうけさせないような仕組みになっておるけれども、営利性を全然無視するということは考えられない、こう思っております。
  118. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これを管理するのは都であろうが、一体この国有財産管理を都がやっていることについて、大蔵省は監督をするのかしないのか、大蔵省当局にお伺いしたい。
  119. 天野四郎

    ○天野説明員 都が管理しております国有財産について大蔵省は監督するかどうかという御質問と思いますが、都が管理しておりますのはそれぞれ主務大臣、たとえば道路とか河川等につきましては建設大臣の出先機関として管理しておるのでございます。そのように国有財産管理している限りにおきましては、大蔵省はそれに対しまして監査する権限がございます。
  120. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 建設省の美馬河川局次長にお伺いしますが、あなたの方は建設省の立場で、都が管理しておるこの国有財産を、あなたの方はあなたの方の立場において、建設省は建設省なりにこれを監督する権限があるのですか、なかったのですか。
  121. 美馬郁夫

    ○美馬説明員 私どもは公有水面埋立法もそうでございますが、ただいまの個所は河川法によりまして準用川用になっておりますから、河川法に基きまして建設大臣が行政財産として監督をしております。これは一般的な監督の問題でございます。
  122. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで都の副知事に伺いますが、あなたの方では大切なくに有財産、莫大な経済価値のある国有財産、重要な河川、つまり交通路ですね。水面交通路の国有財産、それを管理しているその目的を変更するわけです。用途を変更するわけです。その場合に単に高速道路にしたならば、都の財政上困るので、経済的収益をはからねばならぬという底意から他の申し出者があったので、そこで店舖の計画も含めてというような趣旨の御説明なんだが、それならばそのような詳しい内情を十分に監督官庁の方へ御連絡でもしたのですか。全然そういうことはせぬでもいいのですか。そういうことをしないで、この文書によるならば、免許申請というのが四行ほどで書いてあるのです。目的というのは一行に書いてある。何もそういう詳しい書類も添付されておらない、埋め立て計画説明書というものも何も説明してありません。埋め立ての計画、高さ、土量あるいは下水の工事、締め切り、そんなことは何も書いてない、どうしてその詳しい内容を書かないのですか。その点どうなんです。
  123. 佐藤基

    ○佐藤参考人 国の機関たる、自治体の主たる東京都知事が免許申請者に対して許可を与えているという問題でありまして、なおこの内容につきましては、都議会の承認も得ておりますので、なお埋め立て後におきましては国にも報告しておるのであります。
  124. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 都議会の承認を得たとか、報告しておるとか、そんな形式を聞いておるのじゃないのです。あなたは今お聞き及びの通り、大蔵省は監督しております。また監督しなければなりません。建設大臣は監督しております。かつあなたの御説明のような行政財産であります。行政財産が両大臣から監督せられて、都の中心にあるこのような重大なものを、ほんとうの重要な用途を明らかにしないで、報告をしました、都議会の承認を経ました、そんなことはあかんですよ。どうして大蔵省及び建設省へ伺い立てたり、協議したりしなかったのですか。そういう事実があるのですかないのですか、あなたは、知らぬなら知らぬにしておきなさい。ごまかしで通ると思ったらいけませんぞ。
  125. 佐藤基

    ○佐藤参考人 私はいろいろないきさつの書類読んで過去の事実をお答えしておるので、その点は現実に知っておるかといえば存じでおりません。
  126. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ですから大蔵大臣建設大臣に――その点重要ですよ。ただ形式的に都議会の承認を経たとおっしゃっても、都の長官が免許申請して都の長官が免許しているのですよ。いわば右の手出して左の手で受け取るのですよ。その内幕の都議会の承認を経ましたとか、公告をしました――公告にもいろいろ種類があります。そういうことでは説明にならぬ。だから大蔵大臣に協議し建設大臣にに協議するのは、私は当然だろうと思う。それが行政財産の管理の一つの任務でなかろうかと思う。こんな流儀で国有財産が処分されたら大へんでございますよ。そういうふうに御相談になったことがあるのかないのか、それははっきりしてもらいましよう。
  127. 佐藤基

    ○佐藤参考人 お言葉にさからうようでございますが、これは公有水面埋立法によってやったものであります。これは立法論として、自治体たる都知事が国家機関たる都知事に対して免許申請をやる、その公有水面埋立法の規定が立法論的に考えて、どうかという点は、実は私は多少疑問にしておるので、都知事が都知事に申請して許可を受けるというのだから信用できぬ、そういう意見に立つので……。
  128. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 国会ですよ。間違わぬようにして下さい。どうもあなたは、失礼だがとんちんかんなことをおっしゃっているのですよ。それは要するに公有水面埋立法によって、都知事が免許する権限がある。法律論の解釈はよろしい。しかし、かりにも大蔵大臣が監督するといっているのでしょう。建設大臣が監督するといっているのでしょう。しかも東京都のまん中を貫く重要な水路を都知事が免許申請をして都知事が免許するというような、そんな法の不備かどうか知りませんが、そういう便宜な手段が行われているのですから、当然やはり伺いを立てて協議するのは監督官庁に対する責務たろうと思う。都長官がどうしてそれをしなかったか、そこですよ附いているのは、法律の解釈ではありません。
  129. 佐藤基

    ○佐藤参考人 今聞きますと協議しておらなかったそうでございます。だから問題は、公有水面埋立法を立法論的に再検討する必要があるのじゃないか……。
  130. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そんなことを言必要はない。法律が不備であるから、不備な法律を悪用して穴を通り抜けて、そして埋め立ての目的を達して、商売人に商売さして、そして国有財産を襲断する、こういうことなんですか、一口に言えば。
  131. 佐藤基

    ○佐藤参考人 私は必ずしもそうは思っておりませんが、あるいはそういう御見解があるかと存じます。以前東京都としては高速道路を作りたいという念願がありまして、当時の財政状態では都営ではできない、そこでどうするかという問題で、こういうことになったわけであります。
  132. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その御趣旨もわかるのですが、それなら聞きますが、一体あなたの力は、あなたの方が貸し与えているこの東京高速道路株式会社ですか、これが専有者であるらしいのでありますが、これに対しましては何ほどの代償をとっておりますか。
  133. 佐藤基

    ○佐藤参考人 これは先ほど中しました会社と都の契約によりまして地代、賃貸料をとっております。契約によりますと、総額一年三千万円であります。
  134. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこでその会社は都へ三千万円支払って、それぞれの店舗の借主、事務所の借主からは何ほどの権利金ないしは借入金ないしは家賃の前払いあるいは保証金等々、いずれにしても何らかの金を受け取っておる金額は数十億円に達するといううわさがあるのですが、その内容はいかがです。概数でよろしい。
  135. 佐藤基

    ○佐藤参考人 建設資金に充てるため……。
  136. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 目的はよろしい。金額を……。
  137. 佐藤基

    ○佐藤参考人 坪当り約十万円の利用者負担借入金というものをとっております。総計は実はちょっと数字を持っておりませんので……。
  138. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それならば、あなたの方が三千万円もとっておるその目的物の利用価値内容というものはよく御検討になっておると思うんだが、使用せしめる坪数概算で何坪あるか。あれは三階くらいになっておりますが、大へん立体的なあれですから、延べでずいぶん大きな面積になると思うが、どのくらいです。
  139. 佐藤基

    ○佐藤参考人 約一万五千坪であります。
  140. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 関連して。参考人に申し上げますが、今吉田委員の質問にお答えになって、坪当り十万円くらいと仰せになっておりますけれども、しかし高速道路会社で発表されたものは、坪当り四十万円から五十万円ないしは百万円と発表されておった。しかもまた拡張せられません現在の全体の坪数だけでも六千坪をこえております。これでありましたら優に三十億をこえるのであります。どうかもう少しよくお調べになってお答え願いたいのです。最低四十万円、五十万円、そうして百万円、今日では百万円にプレミアムがついておるという現状であります。これは高速道路自体が貸借関係で発表している事実でございます。これは委員会の記録に先刻明瞭になっておりますから、さよう御承知願いたい。
  141. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたの御説によると十五億、当の会社が言うところによると四十五億円、いずれにしてもこれは大へんなものであります。もう一つさかのぼらなければならぬが、この権利金等、これは借入金か何か知りませんが、いずれにしても当初十五億円ないし約四十五億円相当の金が入手できるという、そういう店舗もしくは事務所、それは経済的利用価値から考えても、むしろあの上の高速道路よりも大きな経済価値があると思うのであります。そこでもっと端的に言うならば、道路にすることを表向きの目的にして、内実はあそこへ商店街を作り、権利金をとって、高速道路会社というものを作って大きな利権にするという、ほんとうはそういうにおいがないのですか。ここが明らかにしたいのであります。これがもしはっきりしなかったら、都の議会議長も呼びますし、全部を明らかにしなければなりせん。これをめぐって諸説ふんぷんとして、聞くにたえぬことを聞きます。それであなたの方は、店舗の数十億円、この店舗を作りますということを表に出さないで、表には道路を作ります、高速道路を作ります、広場、緑地帯を作りますなんといって、その実際は主たるものは店舗だ。それでは世間は納得しません。しかもそれは都の所有地じゃないですよ。国民のものですよ。その点につきまして、何ゆえこんなに重大なものを表に出して、建設大臣なり大蔵大臣に相談し、理由に書いて、堂々と最初から大ぴらに振りかざしていかなかったのですか、その点どうなのですか。
  142. 佐藤基

    ○佐藤参考人 高速道路の問題につきましては、今吉田委員の御心配といいますか御発言のようないろいろなうわさは聞いております。私も都に入りまして、もしそういうことがあったら、国有財産を種にしてやるなんということはもってのほかだと思って、よく調べたのですが、私の調べた範囲においてはかようなことはないと思う。先ほども申します通り会社は道路が目的で、それに建物が付随している。なお坪当り十万円、十一万円というような会社からの話でありますが、それが四十万円とか百万円というのは、ちょっと私も調べなければなりませんが、私には想像もつかないものであります。
  143. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それはほかの人はみんな知っていることなのです。そこであなたの方にこういうことを注文しておきます。一つ全部について調査して書類を出してもらいたい。あなたは坪当り十万円借入金として取っておる、こうおっしゃっています。私の見るところではそれ以上いっております。それで何ほど、どういう目的、どういう理由によって金を融資したかということを、人名、金額、全部調べて下さい。
  144. 佐藤基

    ○佐藤参考人 借入金の私の方の書類は十万、十一万円ですが、そうじゃなくて、会社は権利金をとっておるかどうか、そういうことですね。
  145. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 権利金であろうと保証金であろうと、そんなことは常識でわかります。ビルを建てるときのみな常套手段ですから……。その摘要は事実の通り書いてもらってよろしい。  そこであなたに伺いますが、目的は公有水面を高速道路に使うことになっておる。ただし隠した目的がもし店舗ということであるならば、これは都知事を欺いたことになりませんか、その点はどうですか。
  146. 佐藤基

    ○佐藤参考人 それは先ほど申しました高速道路に供するという、この高速道路をいかに建設するかという問題でございます。そこでその建設につきましては、都と会社と正々堂々と都議会の承認を経て契約を結んでおりますから、こそくにやったとは思っておりません。
  147. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それなら大蔵省、建設省にも伺いますが、これはあなたが答えられなかったら、非常に重要な答弁でありますので、大蔵大臣並びに建設大臣から答弁を願わなければなりません。つまりもし都知事が重要な目的を隠蔽して、公有水面埋立法第二条による水面埋め立ての免許申請をしてその通り許可をしておる。そうしてその隠蔽されておる目的に現実に使用しておるという事実があるならば、これはやはり当然取り消さなければならぬのではないかと解釈するのであります。その点についての所見を大蔵大臣建設大臣としてはっきりしてもらいたい。御答弁できたらしてもらって、できなければ研究してもらいたい。
  148. 天野四郎

    ○天野説明員 大へん重大な御質問でございます。この問題は大蔵省としては非常に関心を持って事態の推移を注視しております。それでもし本件が吉田委員の仰せの方向に動きますれば、主務大臣の意見をよく徴しまして対策を協議したいと思っております。
  149. 美馬郁夫

    ○美馬説明員 私も現状につきましては、よく事情は存じませんが、法律から参りますと、三十二条に該当する事実があれば、取り消しなり、そういうことができるのではないかと考えます。この公有水面埋立法三十二条を読み上げますると、「左二掲クル場会ニ於テハ理立二関スル工事竣功認可前二限リ地方長官ハ埋立ノ免許ヲ受ケタル者二対シ本法者ハ本法二基キテ発スル命令二依リテ共ノ為シタル免許兵ノ他ノ処分ヲ取消シ其ノ効力ヲ制限シ若ハ其ノ条件ヲ変更シ、埋立二関スル工事ノ施行区域内二於ケル公有水面二存スル工作物其ノ他ノ物件ヲ改築若ハ除却セシメ、損害ヲ防止スル為必要ナル施設ヲ為サシメ又ハ原状回復ヲ為サシムルコトヲ得一埋立二関スル法令ノ規定又ハ之二基キテ為ス処分二違反シタルトキ二埋立二関スル法令二依ル免許其ノ他ノ処分ノ条件二建反シタルトキ三詐欺ノ手段ヲ以テ埋立二関スル法令二依ル免許其ノ他ノ処分ヲ受ケタルトキ四埋立二関スル工事施行ノ方法公害ヲ生スルノ虞アルトキ」以下は省略いたします。
  150. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ところがあなたのお説によれば、公有水面埋立法第三十二条は都長官の免許取り消し権の規定であります。その都の長官自身が――今申したように、都の長官の行為をわれわれは伺っているのです。一つは申請者としての長官、一つは免許者としての長官というようなことになりまするので、その使い分けは事実上不可能であろうと思います。そこであなたは監督しているとおっしゃっているのだから、監督権の発動としての建設大臣の所見を聞く、こういう意味なのであります。都の長官の免許取り消し権というものは一応横に置いておきませんと、幾ら追及したところが、この際は問題にならぬ。そこで建設大臣のお立場の所見を聞いておかなければならぬということなので、これは事実に基いての御判断をしていただきたいのであります。私がある事実を仮定して、その仮定に対する御所見いかんというのではなしに、あなたの方の事実も調査いたしたいのであります。なお今の都の答弁によれば、埋め立ての目的が隠蔽されておったかどうかということは、一応議論があるといたしまして、ある目的があったとわれわれは考えざるを得ませんので、建設大臣のお立場としての、これに対するお考え方を聞くということになりますから、それらの点について今の都長官の免許取り消し権でなく、建設大臣としての立場を答弁してもらいたいのであります。
  151. 美馬郁夫

    ○美馬説明員 よく検討いたしたいと思います。
  152. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それではこの問題は一つ検討してもらうことにし、それからなお都からもさらに資料を出してもらって、その上私は質問を続けたいと思います。
  153. 上林與市郎

    上林委員長 細田綱吉君。
  154. 細田綱吉

    ○細田委員 建設省に伺うのですが、本件は数次にわたって申請されておる。最初は水面の占用許可、それからだんだん埋め立てに変更し、それからいろいろな設計がついて、数次にわたる変更がなされて現在のごとくに許可されたのですが、その数次にわたる中市はそのまま建設省に受理されて検討されたかどうか、これは建設省に一つ伺います。
  155. 美馬郁夫

    ○美馬説明員 河川局の関係の点についてお答えいたしますが、私どもの関係で申しますと、最初の公有水面の使用は、河川法によりまして都知事限りの処分事項になっております。建設大臣まで行く処理になっておりませんので、そのときにおいては都知事限りで処分しておりますし、また公有水面埋立法による処分につきましても、これは都知事限りの処分に法律の建前上なっておりますので、私どもの方には協議は法律上要りませんし、また実際上も協議はなかったように記憶しております。
  156. 細田綱吉

    ○細田委員 それでは参考人に伺いますが、こういうふうに最初は何でもないような申請をして、だんだんその過程において、現在のように実際は貸し事務所のビルディングというふうに移ってきたんだが、これに対して都当局、というよりも知事は、何らその間の申請人の意図について調べたり、あるいは建設省方一面と相談しなかったか、この点伺いたい。
  157. 佐藤基

    ○佐藤参考人 だんだん変ってきてというお話だが、その変ってきたのは、公有水面の占用から土地の埋め立てに変ってきた。その変った理由につきましては、前にも申し上げたことがあるかと思いますが、当時、あそこの問題になっている川は、舟が通っておって運送の川に供されておった。ところがその後になって、自動車その他の運搬具が非常に進んだので、舟の利用はほとんどなくなった。また一方人口がふえてき、また工場ができるという関係で、川の水が非常にきたなくなった。それやこれやの理由で、埋め立てる方がいいという意見、ことに地元側ではもと埋め立てぬでくれというのが、埋め立ててくれというふうに変った、そういう関係で水面占用が埋め立てに変った。それから建物の関係におきましては、先ほども申しましたごとくに、都と会社と契約し、それを都議会に諮ったのでありまして、これは何も変ったとは思っておりません。以上であります。
  158. 細田綱吉

    ○細田委員 その間に、単純な埋め立てに移る前に、舟を通す暗渠とでもいいますか、そういう設計もされてあなたの方に申請されたその経過を、ちょっと伺いたい。あなたの今の意見でいうと、そんなものはもう必要はないわけだが、どういうわけでそういうふうなものを受理されたか。
  159. 佐藤基

    ○佐藤参考人 ちょっとお話を私聞きそこなったかしれませんが、会社としては初め水はそのままにしておくという設計をした。ところがあとから話が変って、むしろ会社側では迷惑しているというようなことも聞きました。要するに、変った理由は、先ほど申しましたように、河川として存続する必要はない、こういうことです。
  160. 細田綱吉

    ○細田委員 その会社が迷惑したというのはどういう点です。
  161. 佐藤基

    ○佐藤参考人 会社は設計を変更せざるを得なくなった。川の水が流れるという状態で設計したのだけれども、川の水を流さぬ、埋め立ててしまうということで設計が変った、こういうことであります。
  162. 細田綱吉

    ○細田委員 会社が川の流れをそのままにして最初設計した。私それがあるならなおけっこうだと思う。これは私の私見です。しかるにあなたから言えば、都の方から慫慂して全部埋め立てたというようなことでもない限りは、会社は迷惑しないわけですね。これはどういうわけですか。会社の方が自発的に現在のごとく申請してきているのか。あなたの方が、いや、もう暗渠なんか要らない、お前の方の前の設計たんか要らないから、単純に埋め立ててこういうふうにしてしまえと慫慂したのか、その点はどうなんですか。
  163. 佐藤基

    ○佐藤参考人 慫慂したと申しますか、先ほど申しました交通上の理由、衛生上の理由から、河川をそのまま置いておいては不適当だ、ことに地元の住民からそういう意見が出て、そこで変えたのであります。
  164. 細田綱吉

    ○細田委員 あなたの意見と私の見るところは違うのですが、都議会においても、現に中央区が先日の都議会で猛烈に反対している。地元の住民は必ずしもこの問題に賛成していたかったと私は聞いているが、これに見方の相違で、まあよしましょう。そこで本件の工事に着手したのはいつですか。
  165. 佐藤基

    ○佐藤参考人 埋立工事に着手したのは、二十九年の七月であります。
  166. 細田綱吉

    ○細田委員 あなたの方では、本件の許可について都市計画委員というものに諮らたかったというのですが、その点はどうですか。
  167. 佐藤基

    ○佐藤参考人 この点については、やはり関係機関に相談すべきではなかったかという意見もありまして、問題になりまして、知事は都議会において十分相談できなかったのは遺憾だということを述べたということであります。
  168. 細田綱吉

    ○細田委員 都議会は遺憾だで済んだかもしれませんが、御承知のように、都市計画委員というものは単に都だけの機関ではない。そこで伺うのですが、あなたの方の都市計画委員会にも諮らないで本件を許可してしまってから、あなたの方の図面を拝見しても、何だか途中で切れてしまったようなふうになっておる。そこで伺いたいのですが、あなたは先ほどから、道路だ、道路だというのですが、この高速道路の完成のお見込みの時期はいつですか。
  169. 佐藤基

    ○佐藤参考人 会社との関係においては三十五年であります。ただしその高速道路は、申すまでもないと思いますが、首都建設委員会において都内の四十九キロの高速道路予定しておるわけであります。その全部ができるのはよほどかかりますが、この会社との関係においては三十五年までにやることになっております。
  170. 細田綱吉

    ○細田委員 正直なところどうなんです。昭和三十五年というと、あなたの方で敷地を買収したりいろいろな準備がなされなければさらぬと思うのだが、道を両方切ったようにプツンプツンとしておって、あとはそのまま来たんだ。しかも高速度道路というような観点からいって、東京駅八重洲口なんかにじかにつながらなければならぬのに、そういうようなことも今のままではできないじゃないですか。ああいうふにビルができてしまって、いつまでたってもあれはプツンと切れたままかどうかということなんだが、こういうようなお見通しと、それから実際あなたのいう三十五年までに完成する見込みを立てて会社の方は進んでいるか、この点を伺いたい。
  171. 佐藤基

    ○佐藤参考人 会社の方は三十五年の中ごろまでにやることになっておりますし、大体そのころまでにできるものと私は思っております。問題は、ああいうふうににプツンとできて、下の家だけ使っているのですが、天井の上は何もしていたいじゃないかという御疑問、私も同感であります。それにつきましては近く土橋のところに上り口をつける、それからもう少したったら数寄屋橋の方面におり口をつける、そして少しでも早く利用するようにということを考えておるのです。
  172. 細田綱吉

    ○細田委員 そうすると首都圏建設委員会あるいは都市計画委員会というような問題とは別個に、あなたの言うように、今の土橋のところに出入り口をつけるのだ、数寄屋橋のところに出入り口をつけるのだというようなことになると、これは高速道路じゃないのですよ。そんなことでは実際高速道路にならぬのです。  そこで私が具体的にに聞くのは、どこを買収するように会社の方で進めているか、三十五年度までという期間は交通が幅湊するから困る、だからこれを許可したのだ、こう言うけれども、現在のままではむしろ交通のじゃまになっている。そうでしょう。それであなたの方としては、いや土橋のところにつけるのだ、数寄屋橋のところにつけるのだと言っても、あなたの御承知の通りあれはあのままではつきやしませんよ。そうしてまたそんな短かいものをこしらえたってだれが利用するかというのです。そういうお見通しは会社の方で具体的にどう進んでおるかということです。
  173. 佐藤基

    ○佐藤参考人 利用は、先ほど申しましたように四十九キロの内容としてあれはできるものでありますから、四十九キロの線が相当実現しないと高速道路としての完全なる利用はできないかもしれませんけれども、少くともあの会社の屋根の問題につきましては、あれを作ったのはやはり道路交通ということを緩和するために作ったのでありますから、さしあたりできる部分だけでも駐車場に使おうという考えもあるのであります。
  174. 細田綱吉

    ○細田委員 駐車場だけだったらこれは別かもしれませんが、この前われわれが実地を見て伺ったところによると、駐車場の面積なんかありゃしません。またあのへいというか何というか知らぬが、外に出ているあんなものは、ハイヤーだってぴしゃっとやったら折れてしまう。そういう実に危険なものです。貸事務所が主たる目的だから、実用に向かないようなものも体裁上こしらえてそのままにしたと見るよりしようがない。そこであなたはそのことが頭にこびりついておってそういう御答弁をしきりにされるかもしれませんが、会社が三十五年ということで具体的に敷地を予定し、買収を進めておられるかどうか。あなたの方の四十九キロの高速道路の一環として進めておられるかどうか。そうでなければこれはいつまでたってもあの通りです。そうして交通の輻湊を緩和することにならなくて、むしろ交通の輻湊を助長している、それは結局ビルが目的だったからだということに言われたも仕方がない。そこで三十五年までの期間あなたの方もお許しになっている限りは、これは会社ができないからというのじゃあなたの力は無責任だ。そこであなたの方の監督官庁としては、会社がどういうふうに進めているかということを御存じでなくちゃならぬ。それを伺っているわけです。
  175. 佐藤基

    ○佐藤参考人 四十九キロと申しましたのは首都建の計画であって、それが高速道路になるのでありますが、会社が責任を持っておるのは約一キロ四分でございまして、一キロ四分のものが参重五年と申し上げたのでおります。従って、その一キロ四分の範囲におきましては、用地質収という問題は、埋立地でありますから埋め立てさえすればいい。それ以外の問題は会社の責任ではないのであります。
  176. 細田綱吉

    ○細田委員 四十九キロの首都建設の一翼として高速道路をこしらえる、これはあなたの方の図面ですよ。あなたの方の図面を見てもつながるようにできていない。これではまるで会社のための貸事務所用のビルをこしらえさせるために、しいてそういう理屈をつけて、言いかえれば、高速道路だという理屈をつけて許可したというよりしようがないじゃないか。あなたの方のこの四十九キロの図面を見たって、都心のまん中でぷつっと切れてしまっておる。これはどういうわけなんです。こういうのが四十九キロの計画なんですか、この点を伺いたい。
  177. 坪田正造

    坪田証人 今の一キロ四分がぷつりと切れておるというお話に承わりました。これは今の会社との話は一キロ四分でございます。都の高速道路につきましては、首都建で一応きまりましたのが四十九キロございます。それとの関連性がございます。今後これはやはり今の会社との関係においては、計画的には難波橋、一方の方は紺屋橋において上り下り口をを作るということになっておるわけでございまして、それにつきましてはいろいろ監督官庁の条件もあり、また都議会における条件もありまして、これに対して検討を加えておるわけでございます。   〔細田委員、青写真を坪田証人に示す〕
  178. 細田綱吉

    ○細田委員 あなたの前に出した青写真の図面の濃いグリーン色で出しておるのがあなたの方の四十九キロの高速道路のあれでしょう。そうじゃありませんか。
  179. 坪田正造

    坪田証人 これは私のところと思いますが……。
  180. 細田綱吉

    ○細田委員 と思いますがと言うが、あなたは東京都の建設局長でしょう。変なことを言いなさるな。そうしてその図面を書いたのも局員でしょう。
  181. 坪田正造

    坪田証人 そうです。
  182. 細田綱吉

    ○細田委員 それで高速道路が都心のまん中でぷつっと切れておるじゃありませんか。
  183. 坪田正造

    坪田証人 切れておるのは、今のはそういうように……。
  184. 細田綱吉

    ○細田委員 これは完成の予定の図面でしょう。それに今あなたにお見せした図面はあなたの方の局員がコンパスを入れたものだとおっしゃる。その図面を見ても、都心のまん中でぷつっと切れておるじゃないですか。それが四十九キロの一環をなす一部であって、これが将来高速道路になるんだというようなことは、その図面から見てどう説明がつきますか。
  185. 坪田正造

    坪田証人 一例をあげますと、東京駅の方へ入りましてぷつっと切れておる、これは今の会社との関係でこういうわけではなく、東京都の計画としてはこうだ、四十九キロの計画でございまして、そのうちの一部でございますから、その上り下り口の点については先ほど申し上げたことによって今後の変更も予想されるわけでございます。
  186. 細田綱吉

    ○細田委員 その図面を拝見しても、あなたの言う議論は、もうすでにできた四十九キロの高速道路の中でそれだけ別のものがあるので、それを弁護するための答弁としかだれにも思えないじゃないですか。一貫した高速道路の途中でも何でもない。それは将来変更もあるかもしれないが、それなんか明らかにそれだけ別なものができておる。そうでしょう。それでもあなたはなおかつそうおっしゃるのですか。
  187. 坪田正造

    坪田証人 もう一つ言わしていただきたいと思います。現在の段階におきましては、この全体計画の場合ですが、首都建の告示があった。その後においてこれは都市計画決定に持っていくべく今せっかくその方面の調査をし、できるだけ早く都市計画へ持っていくというふうに考えておりますので、その際絶対これが変らないとも考えられません。今そういう段階であるということを申し上げます。
  188. 細田綱吉

    ○細田委員 そうするとまだ現在の段階では都市計画委員にも諮っていないのですか。
  189. 坪田正造

    坪田証人 都市計画委員に諮るといっても都市計画決定はしてございません。
  190. 佐藤基

    ○佐藤参考人 ぽつんと切れておると言われるが、この図面は私は残念ながら初めて見るのだが、ぽつんと切れていると申しましても、両方ともぽつんと切れているというお話ならわかるが、片一方がぽつんと切れているのはあたりまえで、それは終点になりますからね。ほかのところだってそういうことがある。それは両方ともぽつんと切れているならばわかるけれども、一方はつながっているのですから、いかぬということは言えぬのじゃないですか。
  191. 細田綱吉

    ○細田委員 佐藤参考人のおっしゃるのは、それは道路だからどこかで切れております。だから品川や荏原の先で切れているならいいのです。都心のまん中でぽつんと切れている。
  192. 佐藤基

    ○佐藤参考人 まん中じゃない。だからそこから始まっていく……。
  193. 細田綱吉

    ○細田委員 これは口答えしているのじやない。都心のまん中でぽつんと切れているのですよ。あなたがごらんになってもよくわかるように、都心のまん中でぽつんと切れて、高速道路の役割を果すかどうかということです。要するに数寄屋橋の近所じゃないが、土橋の近所かどこか知らないけれども、ぽつんと切れてしまって、そして高速道路になるかどうかということを聞いているのです。
  194. 佐藤基

    ○佐藤参考人 お言業を返すようですが、東京駅のところで切れている。そこから上るのです。
  195. 上林與市郎

    上林委員長 坂本君。
  196. 坂本泰良

    ○坂本委員 時間がありませんから基本的な点を一、二点お伺いしたいのですが、昭和二十六年二月二十二日付の出願はスカイ・ビルディング株式会社になっております。しかも、設立発起人になっているわけですね。それから二十六年の十二月二十四日に会社設立届というものが出て、東京高速道路株式会社、こうなっております。この点のいきさつを承わりたいと思います。
  197. 佐藤基

    ○佐藤参考人 それは私はその当時都におらなかったのであるいはお答えが違うかもしれませんが、これはいろいろないきさつでこう変ってきたと思う。スカイ・ビルという名前の示す通り、非常に高いものを建てる。そこでこの会社の発起人が寄り集まったように聞いております。ところが非常に高い建物を作ることは、いろいろな点と申しますか、都市美と申しますか、人もたくさん集まるし、交通量の問題もあるので、それでこれは低くなったと聞いておるのであります。その際に会社の名前が変ったのだと思っているのであります。
  198. 坂本泰良

    ○坂本委員 今のような説明では納得がいかぬわけですが、少くとも東京都がスカイ・ビルディング株式会社のまだできていない設立の届に対して、公有水面及び道路敷占用並びに高速路設置の許可をいたしているわけなんです。それが十カ月後に東京高速道路株式会社の設立届というのが出ているわけです。その点のいきさつと、これをどういうふうにして東京都が取り扱ったか、それをお聞きしたい。
  199. 佐藤基

    ○佐藤参考人 その点は私よく存じません。
  200. 坂本泰良

    ○坂本委員 それから東京高速道路株式会社に四十九キロのうちの一キロ四分だけの許可をした。そういう点はどういう関係でそうなっておるか、そこを聞きたい。
  201. 佐藤基

    ○佐藤参考人 四十九キロという問題は、これは都が考えておったけれどもむしろ首都建の問題でありまして、都がある程度の計画を立て、その一部分に一キロ四分をやりたい。四十九キロをきめ、しかる後に一キロ四分をやったものということは、私は実はよく知りません。
  202. 坂本泰良

    ○坂本委員 四十九キロの首都建の計画もはっきりしないのに、わずか一キロ四分の東京の目抜きのいい場所だけを東京高速道路株式会社に許可した。そうしてそこに今できておるのはいわゆる貸し事務所的のビルディングである。そこで非常に疑問が起きるわけなんです。だからして、どうしてそういうふうになったか。われわれは常識上考えても、四十九キロの計画ができたならばその計画に基いて工事が進まなければならぬ。それをあそこの一番繁華街のまん中に、この東京高速道路株式会社だけに貸して、そしてああいうような将来道路に使われるかどうかわからないようなものを建てさせて、そうして上は道路になるかどうかわからないのに、すでに下は三十五億に達する権利金を取ったと言われておるのです。そこに疑問がある。従ってどうしてここのところ一キロ四分だけ許可をしたか。何か根拠があるかどうか。なかったならば私が今言ったように誤解を受けてもやむを得ないと思うのです。その点承わりたい。
  203. 佐藤基

    ○佐藤参考人 御承知の通り数寄屋橋のあたりというものは非常に交通が多い。ごらんになってもわかると思いますが、そういう交通の多いところに高速道路を作って交通を緩和するということは一番意味がある。そういう意味で、会社から申請があったから、会社と契約して高速道路をまず作る。ほかはやらぬわけではない、そこをまずやる、こういう意味であります。
  204. 坂本泰良

    ○坂本委員 この問題は副知事は最初は知らぬという前提で言われておるし、単に想像みたいなものですから、やめます。  そこで次にお聞きいたしたいのは、二十九年五月十七日に公有水面埋め立ての免許があった。二十六年からいたしますと、七、八、九と三カ年後に埋立免許、最初は公有水面の使用、この変更のいきさつは、知らなかったら知らないでいいが、わかっているならお答え願いたい。
  205. 佐藤基

    ○佐藤参考人 私も実はどうして変ったか、非常に疑問にしているのです。そこでいろいろ調べたところ、先ほど申しました通り川を存続する必要はない、埋め立てた方が衛生上また交通上もいいというので埋め立てたと、先ほど申し上げた通りであります。それ以上のことはちょっと存じませんので……。
  206. 坂本泰良

    ○坂本委員 そこで坪田証人にお伺いをしたいのですが、二十九年五月十七日の公有水面埋立免許は二十六年二月二十二日の許可を受けているわけですから、その使用目的は先ほど吉田委員からも聞かれましたが、第二条に公有水面及び道路敷占用の目的は、高架自動車道路、駐車場、車庫及び倉庫を建設するものとする、こういうふうに制限を受けております。しかるにこの制限以外の建築が行われているわけですが、この点を坪田証人はいつごろから知っておられるか、その点をまずお伺いしたい。
  207. 坪田正造

    坪田証人 今のお話は、埋め立てのときの許可と違ったものに使っているじゃないかというお話と承わりました。現在使っているのは倉庫、車庫、事務所それから店舗ということでありまして、いろいろそこに解釈もございましょうが、われわれといたしましては、あの程度のものはよろしい、かように解釈いたしております。
  208. 坂本泰良

    ○坂本委員 そういたしますと、あの程度のものはよろしいというのを東京都の建設局長としていつから承知しておられたか、その点をお聞きしたい。
  209. 小林行雄

    ○小林委員長 ちょっと誤解のないように申し上げますが、坪田さんは前東京建設局長ですから……。現在は局長じゃありませんから。
  210. 坪田正造

    坪田証人 私局長になりましたのは、まる二年前の二十九年の十一月末でございます。まずそれを申し上げておいて、それで今どこの点をおつきになるかわからないのでありますが、もう一歩進んで申し上げますと、丸ビルの一階ぐらいの、あのようなものならいい、こういう一つの……(「目的と違うじゃないか」と呼ぶ者あり)今どこのお話か、大体店舗というようなお話、店舗にもいろいろあろうかと思うのですが、今やっているあの程度ならと申し上げたのは、そういう考え方から申し上げたのでございます。
  211. 坂本泰良

    ○坂本委員 公有水面埋め立て許可は二十九年五月十七日で、あなたが局長になったのは二十九年の十一月ですから、間もなくだと思うのですが、そこで埋め立ての目的が道路、高速道路、駐車場、広場及び緑地等の敷地造成のため埋め立てになっておるわけです。今あそこはすでに貸事務所になり、りっぱな店舗もできておるのですが、あの程度ならばこの目的の範囲内だ、こういうように当時あなたは局長としてお考えで、実際見ておられ、監督しておられたかどうか、そこをお聞きしたい。
  212. 坪田正造

    坪田証人 目的は今おっしゃったように道路、高速道路、駐車場、広場、緑地等であります。まだ全部できておりませんけれども、それらになるべくわれわれは努力いたしておるわけでございます。で、実際できておるものについてはこの目的に合っておる、かように考えておるわけでございます。
  213. 坂本泰良

    ○坂本委員 この間あなたもお立ち会いでわれわれも見に行ったわけですが、ああいう建築はこの目的に合っておると――あなたは建築の専門家ではないかと思うのですが、この目的の範囲内にあれは合っておる、そういう御見解ですか。
  214. 坪田正造

    坪田証人 こまかく申し上げてどこかあるいは構造的に直さなければならぬものは直したいと思いますが、大体的に申し上げてこの目的に合っておる、かように申し上げたつもりであります。
  215. 坂本泰良

    ○坂本委員 時間がないからもう一点突っ込んでお聞きしたいのですが、丸ビルの一階仕度のものはいいというのは、この埋め立ての目的のどこに入るのですか。全体から解釈してそう考えるのですか、どこにそういうことが入ると思われるのですか。
  216. 坪田正造

    坪田証人 それは先ほどもお話がありましたが、高速道路が目的であった。そこでその高速道路を作るのには会社と都との契約が成り立っておる、こういう考えから、目的はやはり高速道路でありまして、その下を作るのはそれの従たるものとわれわれは考えておるわけでございます。
  217. 坂本泰良

    ○坂本委員 その程度で問題をあとに残しておきます。  それで副知事にお聞きしたいのですが、二十九年五月十七日の埋め立て免許の際に、東京都会の附帯決議の第一に「高速道路建設に当り、理事者は情勢の変化に藉口し、水面を埋立てなければならない既成事実をつくり上げて、今回議会の同意を求めんとする態度は甚だ遺憾である。」こういうことがあるのですが、二十六年の二月二十二日の水面使用の許可、この許可を受けてどういう既成事実を作っていたか、その点を承わりたい。
  218. 佐藤基

    ○佐藤参考人 既成事実と申しますのは、要するにこういうことを言っておると思うのです。公有水面の使用というのは、水面の占用は知事の権限だけでできる。埋め立ての方は、知事の権限ではあるけれども、都議会に諮らなければならぬ、こういうことが法律で定められておる。水面使用については都議会に関係なくやってしまえる、そうしてその水面の上に高速道路会社を作ることにし、その後に至って埋め立ての免許をした。会社はすでにできてしまっていた。それでそのところになってから埋め立てを認めて、埋め立てた上に作る会社がすでにできておるのだから、そういうような既成事実を作ってから議会に持ってくるのはけしからぬ。これは当時の速記録を見ますと、知事がだいぶいじめられたようでありますが、そういう事情でありまして、ほんとうを言いますと、あれだけのことをやるのでありますから、たとい水面占用であっても、初めから何らか都議会の方の了解を得ておいた方がよかったのじゃないかと私は考えておりますが、事実はそういうことでもります。
  219. 坂本泰良

    ○坂本委員 坪田証人は局長にたられる前には何をしておられたか、その点ちょっとお聞きしたいのです。
  220. 坪田正造

    坪田証人 建設局の道路部長をやっておりました。
  221. 坂本泰良

    ○坂本委員 それで、二十六年の二月二十二日に水面使用の許可があったのですが、高速道路株式会社はその水面使用の許可を受けてどういうような計画を立てていたのですか。今やっているような工事そのものの計画をすでに立ててやっていたかどうか、その点をお聞きしたいのです。
  222. 坪田正造

    坪田証人 今のは、二十六年に水面占用の許可をとった後において、二十九年の埋め立て許可までの間に何をやっておったかということでございますが、やはり高速道路を作るのが目的で、その目的に沿ってやっておったというふうに考えます。
  223. 坂本泰良

    ○坂本委員 高速道路の目的にやっていたといえば、あなたも道路部長ですか、やっておられたから御存じでしょうが、やはり水面使用の許可で、現在できているような三階建のああいうような計画を立てて、そして工事に着手していたかどうか、その工事はいつころから着手したか、その点を承わりたい。
  224. 坪田正造

    坪田証人 今のは水面占用で高速道路をやっているのだが、それを道路の観点からどう考えるか、さようでございますね。これは話はまたもとへ戻りますけれども、終戦後の都内の交通は……。
  225. 坂本泰良

    ○坂本委員 そういうことは言っていません。時間もないから、いつごろからああいうような工事を計画して、始めていたかどうか、その点でいいのです。
  226. 坪田正造

    坪田証人 着手していたのは、ちょっと今はっきりわかりません。
  227. 上林與市郎

    上林委員長 あとで調べて、この前の吉田さんの資料と一緒に、東京都で調査して御提出を願います。
  228. 坂本泰良

    ○坂本委員 もう一点お聞きしたいのは、二十九年の五月十七日の埋め立て免許の際は、今の高速道路株式会社の工事はどれだけ進行していたのですか。まだそのときはほとんどやっていなかったのじゃないかと思いますが、その点いかがですか。
  229. 坪田正造

    坪田証人 日にちの問題になって非常にこまかくなりますけれども、大体新幸橋――山下橋の間の仕事を着手しておったように考えます。
  230. 坂本泰良

    ○坂本委員 その工事には現在建っているああいう工事の設計その他が完備して、それをあなたは見ておられたかどうか、その点伺いたい。
  231. 坪田正造

    坪田証人 その当時も工事といたしましては、工事の過程においてやはり川を締め切ってやる関係上、水面占用から見ると両側を締め切って川をほしてやりますから、何と申しますか埋め立ての前提のような工事に見えたかもしれません。これは感じを申し上げるのであります。
  232. 坂本泰良

    ○坂本委員 いや、外から見たのでたく、あなたは専門家だから、現在のような建物が建っているわけですが、やはりあれを建てるには無計画ではできぬわけです。ああいうようなものを三階建にしてやるという、ちゃんとした青写真から、設計書からできてなければ、基礎工事はせぬと思うのですが、その点ができていたかどうか、あなたはそれを見られたかどうか、その点をお聞きしたい。
  233. 坪田正造

    坪田証人 今の埋め立てに変わらない前でございますか。変わってからでございますね。非常にこまかくなりますが、五月の埋め立て許可をする前の状態……。
  234. 坂本泰良

    ○坂本委員 埋め立ての際のことを聞いておるのです。二十九年五月……。
  235. 坪田正造

    坪田証人 埋め立ての際ですから、許可になる前ですね。
  236. 坂本泰良

    ○坂本委員 いや、許可になった際です。
  237. 坪田正造

    坪田証人 非常にデリケートになりますけれども、埋め立て前の水面占用工事を起こして埋め立てて、今度は工事に変わってきます。そこで構造がどうだ、こういうふうに考えてやるのでございます。
  238. 坂本泰良

    ○坂本委員 私ほかの委員会へもちょっと行かなければならぬのですが、それでは二つに分けて申しますから、問返さぬようよく聞いておって下さい。二十六年十二月には水面占用の許可で、それが三年後の二十九年の五月に埋め立て免許になったわけです。それで水面使用に許可の際に、すでに今できているような三階建のああいうビルディングみたいなあるいは道路みたいな設計が完備していて、それに基いてのいわゆる基礎工事その他の工事に着手していたかどうか、それが第一。第二は、二十九年の五月十七日の埋め立て免許の際にどれだけの工事進捗状想にあったか、あるいは何も計画がなくて、埋め立ての許可があってから初めてああいうような三階建のものの設計ができて、そうして工事に着手したかどうか。この二つの点です。
  239. 坪田正造

    坪田証人 埋め立てに変わるときの工事の状況は、やはりさき申し上げましたように、埋め立てのときに幾らか設計変更があったと思いますが、大体においてああいう高さのものの構造を作るように、ある部分基礎工事がやりつつあった――私はそうこまかく見ておりませんから申し上げられませんが、かように概念的に申し上げられると思います。
  240. 上林與市郎

    上林委員長 山田長司君。
  241. 山田長司

    ○山田委員 三、四点伺うわけですが、最初に私が伺いますことは、大蔵当局に一応伺いたい。本問題を伺う前にまず大蔵当局に伺いたいことは、銀座の三原橋の周辺、あれを埋め立てたときにやはり公有水面埋め立てているわけですが、そのときに東京都は大大蔵省に対していかなる処置を講じられておるか。まずこの点を最初に伺いたい。
  242. 天野四郎

    ○天野説明員 私の知る限りにおきましては、東京都から何も話は聞いておりません。
  243. 山田長司

    ○山田委員 東京都から何も聞かないというし、大蔵当局がのんきにかまえているから、現在の状態ではやはり今起っている問題と同じようにあそこが埋め立てされて、しかもりっぱなビルディングができているのですが、大蔵省は国有財産がそううやむやに葬られているのに、そのまま黙ってぼんやり見ているのですか。
  244. 天野四郎

    ○天野説明員 大蔵省は国右財産の上におきましては、総括管理と申しだして、直接は建設大臣がそういうものの管理、処分に当っておりますので、大蔵省は建設省に対しましては、こういう問題ではございませんけれども、全般的に公共物の管理については適正にしていただきたいということは、再三申し上げた次第でございます。
  245. 山田長司

    ○山田委員 大蔵省はどういう形式で建設大臣に再三申し上げているのです。
  246. 天野四郎

    ○天野説明員 管理局長から河川局長なりあるいは道路局長に対する通牒の形になって出ております。
  247. 山田長司

    ○山田委員 そのときに建設省は大蔵省にどういう返事をしています。
  248. 天野四郎

    ○天野説明員 その旨をそれぞれ管下の地方建設局なり各府県に通知をしておられまして、その写しを大蔵省の方にいただいております。
  249. 山田長司

    ○山田委員 それなをあとで私は資料して一ついただきたいと思います。
  250. 上林與市郎

    上林委員長 そうすると、資料要求は何々ですか、今の写しですか。
  251. 山田長司

    ○山田委員 今数寄屋橋の周辺が埋め立てされていると同じように、前に二十両堀という銀座の少し先の三原橋の周辺が埋められている水面占用について、今話を伺いますと、国有財産の処理に当って再三建設省へ意見を具申しているけれども、それについていろいろ答はあるのだと思いますけれども、その処置がされてないということであるから、そのときの手紙をやりとりしたなりなんなりの前後の事情についての書類です。
  252. 上林與市郎

    上林委員長 ただいまの山田委員の要求資料は提出願えますね。
  253. 天野四郎

    ○天野説明員 通牒の写しを差し上げます。
  254. 山田長司

    ○山田委員 次に、東京都側で高速道路会社から出された目論見書をおそらくお読みになっていると思うのですが、その目論見書によりますと用地買、収、家屋移転補償を要しないので建設費は他の路線より低廉であり且つ高架橋下を都心部で不足して居る車庫、倉庫に使用し、之れ等の使用料を徴収すれば本道は一般に無料で開放しても充分民間事業として経営出来る。こういう目論見書が出ておるのです、この目論見書おそらく東京都側でも見ておられないはずはないと思うのですが、こういう目論見書が出ているにかかわらず、あと店舖になるという事態が起っているにかかわらず、どうして店舖になることを東京都側は了承したのか、了承した当時のいきさつを一応伺いたいと思います。さっき副知事が、店舖にならなければ経営が成り立たないというような意味のことを言われたので、一応事業目論見書概要と、副知事の言っていることと、どうも私は理解できない点があるので、副知事の意見を聞きたいと思います。
  255. 佐藤基

    ○佐藤参考人 高速道路施設の利用につきましては、会社と都の間に契約がありまして、先ほど申し上げました通り、消極的に特殊飲食店、遊戯場その他都市の美観、風を害するおそれある営業のために使用し、または使用させたいこととなっておりますが、その消極条件に該当しなければ、何に使うということは会社と都の間では契約がございません。禁止条項に反しない限りにおいて使っている。従って事務所あるいは車庫等に使うということは、この規定からいって差しつかえないと思います。それによってやっておるわけであります。
  256. 山田長司

    ○山田委員 事業の目的として会社側で出している目論見書の中に、一応最初の意図をそのまま踏襲した形で出ておるにかかわらず、都がそれを店舖にしようが事務所にしようがかまわぬという都側の態度であったとすれば、これは私はおかしいと思うのです。その点がやはり最初の目論見書通りの方法でなぜ都はやるような方向に持っていかなかったのですか。
  257. 佐藤基

    ○佐藤参考人 もし会社の目論見通りであるというのなら、会社と都の間でおそらくそういう契約をしただろうと思います。ところが私はあとから入ってどうも知らぬことだらけで困るのですが、現在会社と都との間の契約は今申し上げた通りでありまして、目論見書をそのまま契約に移していないのです。そのいきさつは知りませんけれども、現在においては会社と都の間の契約の範囲内でやっておるのでありまして、目論見書との関係は実は契約には現われておらないようであります。
  258. 山田長司

    ○山田委員 やはりそこに一般がいろいろ疑惑を持つ理由があると私は思うのです。それからやはり会社側で出している書類なんですが、この書類によりますと、工事中は毎月工事の工程を都側に報告するということになっておりますが、これは毎月報告が出ておりますか。
  259. 佐藤基

    ○佐藤参考人 出ております。
  260. 山田長司

    ○山田委員 聞くところによりますと、読売新聞の前の方の川ふちに商店街がございますが、あの商店街に都側ですでに六千万円の保証金を出したといううわさかありますが、その金額、あるいは出したか出さないかというようなことについて、副知事は知っていますか。知っている範囲でお順いします。
  261. 佐藤基

    ○佐藤参考人 読売新聞の前と申しますか、会社が高速道をやっていく上において、いわゆる不法占拠の飲み屋等の店がたくさんあるのです。それが実は非常に困っていまして、不法占拠であるから簡単に片づくかと思ったら簡単に片づかない。そこで会社側において、金額ははっきり覚えておりませんが、若干の金を出したということは聞きました。
  262. 山田長司

    ○山田委員 いや、会社側で出したというのでなく、都側で出したという話がありますが、どうなんですか。
  263. 佐藤基

    ○佐藤参考人 それは都側で出したということは、第一想像できないのです。不法占拠を追い出すのであって、今ちょっと聞いたのですが、出していない。出すべき性質のものでないと思います。
  264. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 私は今の山田長司君の質問に関連してお尋ねします。建設省の河川局の次長にお尋ねいたします。あなたはさいぜん高速道ビルディングを建設された本件河川は重要河川だとおっしゃいましたね。
  265. 美馬郁夫

    ○美馬説明員 その通りでございます。
  266. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 それでは伺いますが、この河川は行政区域別に見て帰属個所がきまっておりますか、おりませんか。
  267. 美馬郁夫

    ○美馬説明員 御質問の趣旨がよくわかりませんが……。
  268. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 川ですね。あなたは、今高速道路ビルディングの建設をせられたかつての本件河川は、正要河川であったとおっしゃいましたね。
  269. 美馬郁夫

    ○美馬説明員 それは準用河川でございます。
  270. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 準用河川でけっこうです。その場合、その河川は行政区域別に見て帰属場所はありますか、ありませんか。
  271. 美馬郁夫

    ○美馬説明員 準用河川と申しますと、知事が区域を指定して、ここからここまでは河川法の適用を受ける河川であるという指定をする区域でございます。
  272. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 そうすると、行政区域別に見て、それはどこかの行政区域に帰属しておる、こういうことでございますね。
  273. 美馬郁夫

    ○美馬説明員 行政区域に帰届しておるという意味がよくわかりません
  274. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 それでは証人に伺いますが、こういうふうに河川に対して建物が建設をせられた場合、あの建物の建設地域になった埋立地は、中央区に帰属しておりますか、それとも千代田区に入っておりますか。どちらでございますか。
  275. 坪田正造

    坪田証人 埋め立て後における区域の処理につきましは、今後きまると思います。
  276. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 それでは埋め立てられましたあの土地は、まだ東京都中央区でもたければ、東京都千代田区でもないわけですね。
  277. 坪田正造

    坪田証人 先ほどのをちょっと訂正いたしますが、まず河川の区域ですが、河川の区域は河川の中央にその区域線があると思います。そうしてそれを埋め立てた場合に、それでいいかどうかということの検討が行われる、かように先ほどのを訂正して申し上げます。
  278. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 埋め立てられましたあのビルディングの立てられております建設地域は、今は東京都千代田区ですか、東京都中央区ですか。
  279. 坪田正造

    坪田証人 あの埋め立て区域は両方にかかっていると思います。
  280. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 それでは教えて差し上げましょうか。あれはどこにもきまっていたいのです。あなたは定破局長をおやめにたったからでありますけれども、あれはきまっておらないのです。  それでは参考人にお尋ねをいたします。いつおきめにたりますか。今埋め立てられまして、高速道路ビルディングが建設をせられました。どこの行政区域にも帰属しておらない。あの部分はいつ東京都千代田区になるのか、いつ東京都中央区にねるのか。そしてそれがどちらに属するのかお答え願いたい。
  281. 佐藤基

    ○佐藤参考人 どうも建設局長とおっしゃられれば申しわけないのですが、帰ってよく研究します。いつきめるか、ちょっと申し上げかねます。
  282. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 それでは二つお尋ねをいたします。あそこで殺人事件なり、あるいは窃盗事件なり起った場合、Aの住宅とBの住宅があって、Aの住宅はAの交番の管轄区域である。Bの住宅はBの交番の管轄区域であった場合に、おまわりさんはBの管轄区域からAには踏み込めないというようなやり方をやっている今日、あの中に殺人事件があったり、窃盗事件があったり何かした場合は、どこの交番のおまわりさんが行きますか。
  283. 佐藤基

    ○佐藤参考人 警視総監の権限に属することで、私はよく存じません。
  284. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 それではどろぼうのことは警視総監の管轄に属することでございますから、お伺いいたしません。  それでは、これもまたあなたの管轄に属せないとおっしゃるかもしれませんが、あそこに住居しました住居者はどこの区に属して、どこの区に属した住居権を持って、選挙権を獲得しますか。
  285. 佐藤基

    ○佐藤参考人 行政区画が確定しておらなければ、確定するまで、ちょっと扱いがわからないわけであります。
  286. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 おかしいですね。日本人があそこへ住むんですよ。かりに、今住んでいる者は日本人でないかもしれないが、日本人が住んだとして、住んでいる場合、そこに住居権を持って、選準権もおのずから持たなければならない。それではその行政区域をきめられなかったら、選挙権も行使できないじゃありませんか。それでよろしいとお考えになりますか。
  287. 佐藤基

    ○佐藤参考人 行政区域がきまらぬとおっしゃるが、実はきまっているか、きまらぬかをよく存じませんので、局長が知らぬということでありまして、おそらく選挙関係で、選挙権がどこかわからぬなんということは、ちょっと私は考えられないと思います。
  288. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 しかし行政区域に帰属してない土地だったら、そうなりはしませんか。あなたをお困らせしようというのじゃありませんよ。けれども、これはこうなんですよ。公有水面占用を許可したのは昭和二十六年たんです。これはもちろん佐藤さんが都においでにならない前の二十六年五月二十七日なんです。よろしゅうございますか。それから公的機関で、つまり首都建設委員会で、この高速度道路が計画をされて、、それが公示をされたのが、これまた不思議なんですが、二十八年の四月二十八日なんです。何年か前に、公有水面占用の許可がせられ、そして首都建設委員会で高速度道路というものをやるんだと言って、天下に公示をされたのが二十八年であって、そうしてしかも現在はその河川が埋め立ての許可も得て、埋め立てられて、建物も立って、人問も住んでおるのに、行政の区画もきまらないで、そうしてまだそこに住んでいる人の選挙権の帰属もわからない。どろぼうが入ったらどこの交番から飛んでくるのかわからないというようなことを、都はそのままおやりになってよろしいかどうかということを伺っておきたい。
  289. 佐藤基

    ○佐藤参考人 今おっしゃる前提の事実が、その通りかどうかということも実はわからないので、もしお話の通りの事実だったら、なるべく早くきめないと、いろいろな支障が起りますから、至急にきめます。
  290. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 それから、これはお尋ねが逆になってしまいましたが、高速度道路が計画をされて、首都建設委員会がこれを公示したのは昭和二十八年四月二十八日頃だと申し上げましたが、こういう計画が公示されないその以前に、公有水面占用を許可したのは、昭和二十六年の五月二十七日であります。こういうことをやってよろしゅうございますか。
  291. 佐藤基

    ○佐藤参考人 首都建できめたのは、公式に正式にきめて公示したのであって、一日でできるものではない。数年かかってその結果を得たのであります。都といたしましては、水面の占用を見とめる前から、そういう問題はあったのであります。その線に沿ってやったのであります。
  292. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 それはおかしいじゃございませんか。許可ですよ。公有水面占用の許可をしたのが、公的機関で発表された二十八年の二年前のことなんです。公的機関できめられて、そうしてその公示をされる前にということでございましたならば、非公式でございましょう。許可を与えるといっても、許可をするであろうという内定か内示か何かであるならばいざ知らずでありますけれども、これは堂々と許可をしておる。公的機関である首都建設委員会で、高速度道路の計画が行われて、それが公示をされる二年前に公式に許可をせられておる。こういうことがいいか悪いかということを伺っておるのです。
  293. 佐藤基

    ○佐藤参考人 それはちっともおかしいと思わないのですけれども……。高速道路の路線といいますか、それを公示してからでなければ高速道路が許されないというものではないのであって、都はその必要によりまして、名前が高速道路であるから混乱するかもわかりませんが、都の交通を緩和するために、ああいうふうな施設を必要と考えて許したのであります。公示がないからできないというものとは私は考えておりません。
  294. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 今伺いますと、こういう大都市の交通緩和のために御計画になったという。あなたは交通関係については御勉強が足りないようでありますが、世界の交通路というものは、今は、ああいう天井なんか歩くのじゃないのです。路上に電車の線路を引っぱったり、高架線をこしらえる時代は去ってしまったのです。世界のどういう大都市でも、今は路上に電車線路を引っぱったり、高架線を引っぱったりすることはやめております。全部地下へ入れております。幸い河用であったから、それを掘って地下道を作ってやろうというなら今のような議論が成り立つと思いますけれども、われわれはそういうような議論はあなたの詭弁であって、交通緩和のためになされたとは思わないのです。そうしてもう一つは、昭和二十六年の五月二十七日に、この公有水面占用の許可がなされたときには、まだ高速度道路という会社ができておらないのです。これを御承知でございますか。
  295. 佐藤基

    ○佐藤参考人 会社の実体はあったのですが、名前はスカイ・ビルと言ったかもしれません。なお路面でなしに地下に高速機関を作るというお話であったが、地下はもちろん高速道路でも考えておりますが、現在におきましては、地上にも高速道路を作ろうと、道路公団と相談中であります。そういう実情ありますから、参考のために……。
  296. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 これは公示より許可が早かったということもありますね。お尋ねしたって、佐藤さんは当時のことは知らないとおっしゃるかもしれませんが、御参考までに申し上げておきますから、これは覚えておいていただきたい。この高速道路会社の設立せられましたのが二十七年の七月です。そしてその設立せられない架空の会社名をもって、一個人に、その一年前の二十六年に、公有水面占用の許可をしておる。こういうようなことを常に東京都はおやりになっておるのかどうか。そしてまたこれがいいということをお考えになっておられるのかどうか、こういうことです。  それからいま一つは、証人に伺いますが、あなたは建設局長をやられる前に、道路部長をおやりになったということでありましたならば、本件に関しましては、建設局長をおやりになる前から重大な関心をお持ちになって、しかもあなたの所管事項であったのに違いない。そうすればあなたは建設局長になる前から本件に関しては所管事項であったから、これをお取り扱いになっておったに違いない。そうしてまたかりに、そのあなたが道路部長としての所管外におありになったとしても、建設局長に就任せられた場合に前任の建設局長なり、それ以前の建設局長の事務引き継ぎというものがなされておらなければならない。本件に関しまして、事務引き継ぎはおやりになりませんでしたか。
  297. 上林與市郎

    上林委員長 質問は二人に対してなされておるようであります。まず佐藤参考人からお答え願います。
  298. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 まず佐藤参考人にお尋ねいたしたいことが一つでございますが、先にお答え願って、あとで証人にお答え願いたい。
  299. 佐藤基

    ○佐藤参考人 事務引き継ぎは、局長なり課長のかわる場合常ににやっておりますから、この問題が懸案であったなら当然引き継がれたものと考えます。
  300. 坪田正造

    坪田証人 高速道路に関する問題は引き継いでおります。
  301. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 引き継いでおられるというなら伺いたいのでございますが、何がゆえに首都建設委員会の公示をせられる以前にこの許可がなされておられるのであるか、これが一点、もう一点は何がゆえに高速道路株式会社の名において、設立もせられない以前において許可を申請し、それに許可を与えたのか、この二点についてお尋ねをいたします。
  302. 坪田正造

    坪田証人 大体出願の場合にそういう発起人名義でやりまして、それから見通しがついて会社を作ったということでありまして、これがいけないとも考えなかったわけでございます。もう一つ、御承知のように首都建の決定前に水面占用を許可したのはどうだ、こういうお話でございますが、これにつきましては東京都といたしまして、いろいろ先ほどから前提を申し上げるのですが、交通緩和対策として高速道路を考えつつあったわけです。それを首都建においても考えておった、それらをもととしてやったわけでございますが、決定前にそういう基礎のもとにやったわけでございます。
  303. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 交通緩和のためとおっしゃっておられますから伺いますが、土橋で打ち切って、今あそこから上り口かおり口かしりませんが、おつけになるという御計画でございますね。
  304. 坪田正造

    坪田証人 高速道路一キロ四につきましては、大体難波橋――紺屋橋で、ございます。それが工事の日程といたしまして、今土橋のところで一応とめてございますが、決してあそこで今後の仕事をやらぬというのでは、ございません。工事の関係、日程の関係で、ございます。
  305. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 土橋から難波橋の間にはほかの申請者が出ておりませんか。
  306. 坪田正造

    坪田証人 土橋橋から難波橋でございますね。土橋から難波橋は今の会社が難波橋まで許可になっておるのでございますから、土橋を通り越して難波橋――今着手していないのは上橋――難波橋が着手していないのでございますから、それはやらぬのてはございません、工程のためにまた着手していない、こう申し上げておるわけでございます。
  307. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 それならばなぜあそこで打ち切って、土橋に上り口をつけるとおっしゃるのですか。
  308. 坪田正造

    坪田証人 これは上りロが最初の場合は難波橋でございましたが、難波橋はよく考え、また監督官庁ともよく相談した結果なかなか最初考えたのでは思わしくない、従って上り口をよく考えた場合土橋の方が適当だろう、かように考えておるわけでございます。
  309. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 それじゃおかしいじゃありませんか。土橋から難波橋まで道路がいった場合に、難波橋に上り口かおり口かつけないで、途中である土橋に上り口、おり口がついたというのはおかしいじゃないですか。そうすれば上橋から難波橋までの間の高速度道路と称するものは、何に使うのですか。虫様突起ですか。
  310. 坪田正造

    坪田証人 高速道路は、さっきも申し上げましたように四十九キロのあれは一環でございまして、今の部分はやはり上り口ではござ一いますが、高速道路としてはあの先にまだ延びていく考えを持っておったのでございます。
  311. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 土橋から難波橋の間の許可は最初からの許可でございますか、途中からの許可でございますか。
  312. 坪田正造

    坪田証人 土橋から難波橋と申し上げると変なのでございますが、京橋側の紺屋橋から外堀をずっと伝わりまして、土橋を通って難波橋までが最初の許可区域でございます。
  313. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 そうしますと土橋から難波橋まで競願会社が出ておりますね。その方は、どうしたのですか。
  314. 坪田正造

    坪田証人 今のところ、上橋から難波橋、ちょっと記憶がないのです。
  315. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 あなたはいつおやりになりましたか。
  316. 坪田正造

    坪田証人 今月です。十一月の二十日でございます。
  317. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 私どもはこの間あそこへ実地検分に参りました当時、信ずべき筋からの情報によりますと、あなたが現在の高速度道路会社の幹部とお会いになって、わしの在任中に建設許可の申請を出せ、おれが判をついてやるとあなたが言っているのを陰の部屋で聞いておる事実がありますが、お認めになりますか。
  318. 坪田正造

    坪田証人 今のはどこかわかりませんけれども、とにかく紺屋橋から難波橋、いわゆる今の上橋の間は今の会社の許可区域でございまして、それから先の分につきましては、これはこの高速道路が都議会できまります場合、例の附帯条件もございました。そして今後の高速道路の全体計画による計画は都において実施するように努力するとともに、具体的実施に当っては都市計画審議会の決定を経よ、こういうこともございまして、今の会社が持っている先につきましては、われわれは慎重にこれを考えておるわけでございます。今おっしゃったようなことは私には考えられないと申しますか、記憶にないのでございます。
  319. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 それ以上はお尋ねいたしますまい。  それでは佐藤参考人にお尋ねをいたしますが、最前あなたは坪当り十万円の保証金とか何だとかおっしゃっておられましたけれども、そのほかに明らかに坪当り四十万ないし五十万、そして今日では百万をこえるようなことが公然として行われております。そういうような価格の算定を基準にして考えて参りますると、あの財産はどういうふうに捨て値に見積もって百億以上のものになります。そうしてこの商速度道路会社の計画によりますと、どう捨て値に見ましても年間四億ないし五億の収入があるのです。それにもかかわりませず、都はあの使用賃貸借として三千万円しかお取りになっておらない、これはどういう算定に基くものであるか伺っておきたい。
  320. 佐藤基

    ○佐藤参考人 今お話の前提の私が申しましたのは借入金として十万または十二万、要するに十万円前後取っておるということはありますけれども、それ以外の金が会社に入っているということは、今初めて伺ったことであります。全然存じません。  それから会社経理の問題でございますが、これはこの会社と都とが契約する際、いわゆる計理士と申しますか、そういう専門家に十分研究してもらって、諸般の金額をきめたのであります。なお将来経済情勢等が変る場合には、場合によって新たに協議するだろ、こういうことになっております。
  321. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 それでは最後に一点だけお尋ねをいたします。こういう膨大な算定のできる価格のものを一営利会社にゆだねて、そして都と会社との間に契約が取りかわされているとおっしゃっても、大へん会社の財産ができ、そしてまた大へんな年間の収入が得られるようになっております。そうして中に入っておりますものは、会社の川係の会社の重役関係とかあるいは株主関係とか、あるいはそれらと関連性のあるものでなければ、あそこは借りられないというような状態になっている。ところが、ご承知の通り、有楽町の駅の構内は、広げようとしましても、前には、とにかく中小といいますよりは、零細な商店が林立しておりまして、これをどかすこともできない。行き場所を探してやることもでない。こういうものと対照的にお考えになりまして、あなたはどういうふうにごらんになりますか。これでいいとお思いになりますか。
  322. 佐藤基

    ○佐藤参考人 御質問の御趣旨がちょっとのみ込みかねますが、御質問の前提の会社が非常にもうかっている、たくさんの権利金をとっているという前提は、私は存じないので、そういうことを前提とされては、知らぬことでありますので、しようがないことであります。それから零細な業者が困っておるというお話でありますが、どの点をおさしか知りませんけれども、地元と会社との川にいろいろな話し合いはあります。それである程度緩和されていると思います。また川っぷちの飲み屋とか小さい店がたくさんありますが、それについても会社は適当な補償金と見舞金を出して、立ちのかせるということになっておりますので、私の聞いておる範囲では非常に不当だとは考えておらない。
  323. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 それではもう一ぺんぜひとも、お尋ねしなければならない。あなたのおっしゃることは、高速道路という美名に隠れて、そういう看板を掛げたビルディングを建設する地域にあるものは、これはどかしてやるのだという。私が今お尋ねしておるのはそれとは違う。有楽町の構内を広げなければ、それこそ交通の緩和どころじゃない。大へんな殺人的な状況が、朝晩官庁街に通う人、あの周辺の事務所に通う人たちの困難の焦点になっている。これはお考えにならないのですか。私の言っているのは、あの有楽町の構内を少しでも広げよりとしたって、両側は自動車が行き来もできないようなところです。そういうようなところに零細な商店が林立している。こういうような人を、国有地であるところの河川を利用した公共的なものであるとするならば、そうして道路の下を建物に使うのだということであって、しかも目的に相反している店舗まで許すということであるならば、そういうところの立ちのき場所をそこに求め得られなかったかというのです。求め得られなかったことに対して、あなたはどう考えるか、こういうことなんです。
  324. 佐藤基

    ○佐藤参考人 有楽町の問題は、非常にこむという話でありますが、あそこは駅前広場を決定しまして、あそこを広くして交通を緩和するという計画がある。しかしながらなかなかそう簡単にはできないので、都は努力しておるわけであります。  それから広場に当るようなところの零細業者を今の高速道路会社の中へ入れるという問題は、都が入れさせるということは、独立のく会社であり、会社と都との間に契約がありますから、契約条項に該当しない以上は、そう都が干渉的なくちばしをいれることは適当であると考えておりません。
  325. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 それならば何がゆえに会社と都との間に契約書まで作って契約をされておりますか。契約というものは一方的でございますか。都は貧乏人の味方はなさらないのですか。あの会社の重役を見てごらんなさい。あの会社の株主を見てごらんなさい。しかも零細な株を持っておるその株主も、著名な人、天下に名だたる人であり、財閥であり、また大会社である。こういうような人たちが零細な株に入り込んでおるのです。そうしてでき上っている会社ということを御存じなくして都が契約をされておるのか、またその契約に、会社の言うがままに唯々諾々として都はおやりになったのかどうか。都は零細企業家に対して、零細なる商店を営んで食うや食わずでおる人のためには絶対に考えないで、そういうことは基準の中に入れないでこういう契約をされましたか。
  326. 佐藤基

    ○佐藤参考人 零細な企業、中小企業については政府においても同じ、都においても同じ、できるだけの資金的なめんどうを見る、あるいは企業の合理化という点においてめんどうを見ております。しかしながら、今おっしゃる通り、契約ですから、一方的に勝手なことはできないとおっしゃったが、それと同じ意見でありまして、契約にきまっておらぬことを一方的に押しつけるということはできないわけであります。
  327. 山本猛夫

    ○山本(猛)委員 それでは山田君の質問中の関連事項としてお願いしたのでありますから、私はこれで質問を終りまして、追ってまたたくさん質問をいたしたい事項もありますけれども、今度は都知事に証人として御出頭を願ってお尋ねをいたします。よろしゅうございますか。しかし、今私がお願いいたしましたことは、現在行われておる契約を純粋に公共性を帯びたものに取り戻して、そうしてからっぽであったはずのところに、行き場にも困っておる人を入れかえるということにつきまして、都で十分にお考えを願いたいので、そのことに関しまして次会の委員会においてお尋ねをいたしたいと思いますから、御用意を願いたい。
  328. 上林與市郎

    上林委員長 山田長司君、質疑を継続して下さい。
  329. 山田長司

    ○山田委員 ただいまの山本委員の質問にもちょっと関連があるのですが、都の方で委託料として会社に二億一千万円の金を出します。が、これは一体どういう形式で二億一千万円の金を会社にやる必要があったのですか、出した必要があったのですか。
  330. 佐藤基

    ○佐藤参考人 これは会社が都のために経費を要する、言いかえれば埋め立てということは都が埋立権を有するから都がやるべきであるけれども、それを都にかわって会社が埋め立ての委託を受けるために、その委託料として払うわけであります。
  331. 山田長司

    ○山田委員 最初から事業目論見書でももうかるという計画があるのに、都がなぜ二億一千万円もの金を――幾ら都のやるべき仕事だからといっても、どうして出す必要があるか、私は全然必要はないと思う。第一、さっきから幾人かの委員が質問しておるように、権利金にいたしましても全く坪何十万という金がとられておるということは事実なんです。もうかっていないはずはないのです。それがそういう状態なんです。そこでまた私はもう一つ聞きますが、都が会社側に出した命令書の中の十一条の中に――副知事はそこで書類を見ておるかどうかわからないが、「工事のため河川工作物及び道路その他に損傷を与えたときは原形に復旧すること」とあるが、非常に都民に親しまれておるこの数寄屋橋の公園が今全くめちゃくちゃになっておるけれども、こういう場合都は――全国的に数寄屋橋というものは「君の名は」で知られた。それが一ぺんでなくなってしまうのはどうかという気持がしておる。都としては復旧させるのかどうか、一体どう考えておるのですか。
  332. 佐藤基

    ○佐藤参考人 この数寄屋橋の問題はなかなか問題がありまして、今のお話の通り、数寄屋橋というものは都の一つの名所でもある。そこで原形を保存するという方向に進んでいたのです。ところがその後になりまして、これは主として地元の方の要求もそうであったのでありますが、その後になりまして数寄屋橋を原形で保存することは、見解の相違かもしれぬが、美観上及び交通上支障があるのではないかということが問題になりまして、地元においても、あそこは橋を取り払って、そうして呉服橋の例のように平坦にして交通の便宜をはからなければならぬ。また同時にあそこへ高速道路の橋ができますが、この橋については建築界等の専門家にお願いをして設計をする、地元の人にも見てもらいまして、そうして今では数寄屋橋を取り払う、そしてあそこを平坦なものにする、しかもあそこの上を通る高速道路はあの付近に適した美観を有するものにしよう、こういう計画に変ってきたのであります。
  333. 山田長司

    ○山田委員 非常に親しまれた公園が――そうすると東京都で出した命令群なんというものは最初から無視されてしまっている。それで最初の状態から変るということが今副知事から言われたことでわっかたのですが、都民はずいぶん数寄屋橋に親しみを持っているのだ。それが契約書に――一体何のために契約書を作っているのです。
  334. 佐藤基

    ○佐藤参考人 今私は橋自身について申し上げたのですが、公園につきましては、今あんなにきたなくなっていますけれども、地下鉄及び高速道路ができますれば、これはもとの通りきれいにいたします。
  335. 山田長司

    ○山田委員 私はどういう条件で朝日新聞などが了承したのか知らぬけれども、今度の幹部の中にも毎日新聞、読売新聞、電通、ラジオ東京と、言論機関がことごとく入っているために、おそらく国会でこうして論争されておっても世に出ずにしまうかもしれぬと思うのです。とにかくこれを許可する以上は、朝日新聞にも折衝したと思うのだ。時計台まで見えなくなってしまうのです。都は朝日などに交渉する立場をおとりになったのかならないのか、どんな形で了承したのか、参考に一つ伺っておきます。
  336. 佐藤基

    ○佐藤参考人 朝日新聞等と会社との関係の問題のように伺いますが、私は都と新聞との関係は別に存じません。
  337. 山田長司

    ○山田委員 かなりの面積であれからずっと紺屋橋の方まで行くのですから、その沿道で会社側の折衝の面ばかりでなしに、東京都としても会社側に助力をした面があったと思うのですよ。そういう点で都側は全然何の関係もなしに会社側に一方的にまかしてしまった、こういって逃げられるわけですね。
  338. 佐藤基

    ○佐藤参考人 会社の工事自身については一々都に相談しておるのでありますが、今のお話が工事そのものに関係するかどうか、ちょっと私現場の事情を知りませんのでお答えいたしかねます。
  339. 上林與市郎

    上林委員長 他に御発言はございませんか。――それでは坪田証人に対しまする尋問及び佐藤参考人に対する実情聴取は以上をもって終ることといたします。坪田証人及び佐藤参考人には御多忙中本件調査に御協力下さいまして、まことにありがとうございました。  以上をもちまして本件に関しまする調査は本日のところは一応終了いたします。     ―――――――――――――
  340. 上林與市郎

    上林委員長 次に政府関係機関の収支(日本国有鉄道池袋駅改築とステーション・ビル株式会社に関する問題)に関する件につきまして調査を進めるごとといたします。  お手元に配付いたしてありまする通り、本件につきましては三名の参考人の御出席を願っておりますので、これより参考人各位より実情を聴取することといたします。  参考人各位には、御多用中を当委員会に御出席下さいましてまことにありがとうございます。御承知のこととは存じますが、当委員会は国費の不正支出あるいは不当支出等の乱費を戒め、いるいは国有財産の適正妥当な管理処分について監視し、もって国民の負託にこたえんとするものでありまして、本日もその意味におきまして参考人各位より実情をお聞きして、もって調査の参考といたしたいと存じておる次第であります。各位におかれましても、何とぞ当委員会の意のあるところをおくみ取りいただきまして、本件調査に御協力を願いたいと存ずる次第であります。  それでは委員各位より質疑の形式で実情を聴取することといたします。質疑の通告がありますので順次これを許しますが、その前に出席なさいました参考人の名を読み上げます。坪田正造君、前東京建設局長、森茂吉君、豊島区議会議員、高野六郎君、池袋駅西品商店街代表、以上三名でございます。それから、建設省側と国鉄側からの出席者を申し上げますと、建設省より町田計画局長、国鉄より石井常務理事、今井施設局長、中路管財部長吉田管財部次長、以上でございます。運輸省は来ておりません。それでは質疑に入ります。まず吉田賢一君。
  341. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは私どもは次のような角度から事情を明らかにしてみたいと思うのであります。一つは、池袋駅に世上民衆駅の通称で行われておりまするビル兼用の駅舎の構築が計画せられております。これにつきまして、地元の利害関係者からもずいぶんと反対があり、いろいろな運動が起っておるのです。そういう事態を、国鉄の駅舎建設の妥当性いかんについてはっきりしてみたいと思うのであります。  いま一つは、当初都の区画整理の地域に属しておって、区画整理の内容がかなり利害関係者の方たちの了解事項とは違った方向へ進められたやに伺うのであります。こういう点につきましても、国民サービスの角度から国鉄の土地を区画整理の対象として利用する上におきまして、できるだけ公正な計画内容が示されて、また民衆との間にも了解事項が公正に進められねばなるまい、こういう角度からも伺ってみたいのであります。  つきましては、私どもはこの経過がいまだはっきりしない点がありますので、二、三経過的な事項についてまず伺ってみます。  第一には、都の関係の方に伺いたいのでありますが、提出された資料によりますると、区画整理の計画地について、国鉄と都との間で、昭和二十一、二年ごろに駅舎構築を中心として種種協議がされたらしいのでありますが、大体その際の協議内容のうち、特に駅舎の広さとか構造とか構内広場とかあるいは駅前広場、大体そういう輪郭がどう・いうふうに協議をせられたのであろうか、土地はどれほどこれに使うということになったのであろうか、その点につきまして、都の側の方の御説明をまず伺い、あわせて両点について国鉄側の御説明を一つ簡潔にお願いしたい。実はほかの案件のために時間が少しおくれましたので、恐縮ですけれども、私もできるだけ努力しますから、簡潔に要点だけお述べ願いたいと思います。
  342. 上林與市郎

    上林委員長 吉田委員に申し上げますが、東京都側の直接の関係者は、前東京建設局長坪田君が見えておられますが、それでいいですか。
  343. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 坪田さんは長らく在職しておられましたから、おわかりであればその範囲内において、おわかりでないものなら、こちらであらためて人を求めますから……。
  344. 上林與市郎

    上林委員長 わかる範囲で一つ御答弁願います。
  345. 坪田正造

    坪田参考人 二十一、二年の当時、駅舎について協議がどういう程度になされたかというお話と承わりました。やはり区画整理は駅舎の模様がわかりませんと、こちらの方の様子もわかりませんので、向うから駅舎の構造――駅舎といいますか駅敷地の考え方を聞いて協議をしておりました。  それからその当時の面積でございましょうか。
  346. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 要するに面積とか、構造はどういうものを使うとか、あるいは駅舎、駅前広場の関係はどうとか、大体そういう線に沿うてどういった協議が行われておるか、そういう点をおわかりの範囲で明らかにしてもらえばいいのです。もし参考人よくおわかりなければ、鉄道の方から伺います。
  347. 坪田正造

    坪田参考人 あいまいなことを申し上げては失礼だと思いますので……。
  348. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは鉄道の方に……。
  349. 今井四郎

    ○今井説明員 それでは施設局長から、ただいまの御質問に概略の御説明を申し上げます。
  350. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 なお、ちょっとおそれ入りますが、せっかくですから、今二十一、二年と限定したようですけれども、その後にわたってもけっこうですから……。
  351. 今井四郎

    ○今井説明員 あらましを申し上げます。復興計画をいたしますにつきまして、ああいう特殊な総合的な駅という場所でございますので、二十一年ごろから交通関係の各機関、その内訳は国鉄、東武、西武――略称でごかんべん願いたいのでありますが、地下鉄、内務省、戦災復興院、東京都、その他学識経験者というような各機関の間におきまして協議会を設けました。それでそういう国鉄、私鉄、地下鉄という交通関係の総合的な組み合せを考えまして、一応昭和二十二年ごろに改良計画条を作りました。  大体その概要を申し上げますと、池袋は上信越、高崎線の列車の始終端の駅とする。それから電車は山手線と赤羽線を取り扱うものとする。それから将来池袋は自駅の貨物扱い設備並びに貨車の中継設備、そういうものは廃止する。それから東武の東上線並びに西武の武蔵野線、この両方の線の終端設備は西口駅本屋を中心といたしまして、その左右に張りつける。その次は東口駅本屋、これは地下一階、地上三階、大体延べ平力が一万二千平方、東百駅本屋を山手貨物線東品に設ける。それから西口駅本屋は地下一階、地上三階、延べ平方五千二百平方とする。駅前広場は東口に一万、五千平方、西口に六千八百平方のものを設ける、こういう内容を中心といたしまして、改良計画案が一応昭和二十二年に確定いたしました。その後駅前広場のいろいろの取扱いとか、あるいは駅舎敷の用地取得に関する経過がございますが、それはあとにいたしまして、この計画がその後どういうふうに変ったかということを先に申し上げます。  今申し上げました計画について、その後いろいろとこれを実施するにつきまして相談を続けたわけでありますが、西武の武蔵野線、それから東武の東上線、これを先ほど申し上げました通り西口駅の本屋の両側に配置するということは、区間整理の実情から見まして、当時ほとんど不可能と思われるという結論になりまして、その後両者の設備は現状のままとして取り扱うということに大きな変更があったわけでございます。その変更に伴いましてどういうことに相なるかといいますと、国鉄の電車ホームは最初の構想よりも幅が締まります。最初は十一メートルとか十二メートルとかいう大きな幅のものを考えておったのであります。が、十メートルにする。それから貨物関係の考え方は変りませんが、上信越列車関係の設備が東側の方へずっと移動するわけであります。これはなぜかといいますと、東上線のホームが、今二面ございますが、あれが西口本屋と並びますと、あそこの方へ国電のホームがとれるわけであります。これが横に並ばないということになりましたものですから、東側の方へ国電のホームが押しつけられる格好になりまするので、順繰りに上信越の始終着としてのホームが東側に寄らざるを得ないという関係になります。それから東口駅本屋は、貨物本線の東側の都市計画の建築線に合せてやるべきでありますが、前の計画では今申し上げました通り、西武の終端設備が西口の南側に並ぶということであって、それができないということになりましたものですから、この変更計画におきましては現在西武の大きな建物があります、あの位置に作るというふうになりました関係上、最初の案よりも、国鉄としての東口の駅舎はあの東側の地帯におきまして北側に移動してきたわけであります。最初の案では今の西武の建物がありますところまでずっと広がっておりましたものが、現在工事をやっておりまするああいう北側の位置への変更によりまして移動した結果になっております。全面の建築線は従来と変りありません。  大体以上でございますが、駅前広場の都市計画関係及び用地取得の経過はまた後刻にいたしたいと思います。
  352. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その東口の特に延べ一万二千平米、地下一階地上三階の駅舎計画の内容であります。がこれは全部駅舎としてお使いになる予定であったのですか。
  353. 今井四郎

    ○今井説明員 具体的な計画は私も承知しないのでありますが、やっぱり何らか上の方の駅の機能として要らぬところは、余ったところは貸し付けるというような構想で今申し上げたような階数を考えておる、かように承知しております。
  354. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大体におきまして要らぬところはというよりも、貸し付けるところはどのくらいということは、やはり予算関係もあります。から、当初の設計計画の中へ織り込んでおくことが常識と思いますが、その辺はその後設計が変更になっておりますからおわかりじゃありませんか。
  355. 今井四郎

    ○今井説明員 昭和二十一年、二十二年の作業は、大体都市計画の構想を決定して、その後具体的に予算の裏づけなりするというような考え方でございますので、この当時は具体的な設計はございません。
  356. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その後用途及び設計等に大きな変化が生じておるようでありますが、それはいつのことで、どういう事情に基くのですか。それも東口の概要でよろしい。
  357. 今井四郎

    ○今井説明員 概要で申し上げますと、二十一年の八月に、後刻御説明があると思いますが、都市計画の計画決定という段階がございまして、二十四年の五月に東口の先ほど説明申し上げました広場決定の修正、これが二十四年の五月でございました。二十五年の十二月になりまして初めて小島宗、二郎氏から池袋駅改築町成同盟代表という建前におきまして民衆駅の請願がございました。それから民衆駅の問題が始まった、かような経過になっております。
  358. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで民衆駅の内容に移りますが、民衆駅というのはどういう計一画がその際せられ、どういう趣旨のもくろみが公表せられたのですか。これも要点だけでいいです。
  359. 中路誠三

    ○中路説明員 民衆駅という問題につきましては、戦後国鉄では施設車両の復興のためにきわめて努力して参ったのでございますけれども、予算その他不充分の折から、特に駅舎はみすぼらしい姿であったのでありますが、全国的にこれが地方の玄関といたしまして、あるいは増大するであろう産業その他のためにも、ぜひ民岡の資本を算入しとといいますか、協力して民衆駅を建てていきたいというようなことでございましたので、西武といたしましても西品の方も民衆駅の一つでございます。また三十三年ごろだったと思いますが、豊橋駅等はやはり豊橋市長よりの請願に基きまして民衆駅にした次第であります。しかしながら民衆駅という問題につきましては、十六国会におきまして国鉄の土地管理という、あるいは民衆駅というようなことで公益性を失ってはいけないというような国会からの御勧告をいただきまして、その後民衆駅を建てることにつきましての基本事項、どういうところとどういうところにはいいだろう、あるいは駅の公益性を失わない点におきまして国鉄に協力するものというようなこれは民衆駅等運営委員会というものを作りまして、その方々の御答申を総裁がいただきまして、それに基いて現在はべつておる次第でございますが、民衆駅の処理要領というのも鉄道総裁より地方鉄道管理月長その他関係個所に通達として出ておりますが、二十九年七月二十日に民衆駅に関する請願の処理方というものが出ております。
  360. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちょっと途中ですけれども、一般的なことはこの際よろしいから、具体的に当駅のいわゆる民衆駅と称せられるものについて、どのような趣旨のものを作るか、その内容がどうなっておるのか、これだけ簡単に伺いたい。
  361. 中路誠三

    ○中路説明員 当初そういうことで池袋の問題につきましては二十七年七月一日に、当時はまだ民衆駅等委員会とかはございませんでしたが、この目に国鉄は四月一日における国鉄の自治会の決定事項に基きまして承認をしておるわけで、その内容としましては――なおこれは池袋鉄道交通会館の創立事務所発起人代表に対しまして認可をしておるわけでございますが、その後池袋ステーション・ビル会社というものか創立になりまして、二十八年の七月三十日にはっきり会社に対しまして承認した次第でございまして、その内容につきましてはデパートその他と書いてあるのであります。
  362. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それだけではわかりませんので、それではちょっとさかのぼりますけれども、当初地下一階地上三階の駅舎の構築が都との間に協定せられ、これは区画整理に伴いましてその後民衆駅の問題が持ち上り、期成同盟も次第にいろいろな世論によって変更せられたのであります。ところで一方都市計画の区画整理が進むという場合には利害関係者が土地をいろいろと犠牲にして出す。それから国鉄としましても、駅舎の構築などは区画整理に伴いまして土地の増減あるいは換地なども行われたであろう、そういう場合にはそういう経緯にもかんがみまして、やはり都市計画の際にいろいろと利害関係者が犠牲を払ったような事情もありますので、その辺のことも種々考慮せられたかとも思いますが、ともかく目的が当初の目的からだい、ふ飛躍してきたように考えるので、ここにそもそも問題が出発するのではないかと思われるのであります。あなたの方では、当初の三階の構築を今度は八階の構築にするということになっているように伺うのですが、そういうように最終的な計画ができたということに間違いないのですか。
  363. 今井四郎

    ○今井説明員 先ほど私が、あの付近の計画のときに、地上三階の駅舎を計画したと申し上げましたが、そのころはまだ民衆駅という構想はなかったのでございまして、大体二十四、五年ごろから民衆・駅という構想、いわゆる民資を算入いたしまして、一階なり地階なり必要なるものを駅の機能として使い、それ以上の地上の空間をほどほどに使いまして利用価値を生かす。さらに申し上げますと、鉄道も公共企業体になりまして、やはり必要がありますると、用地は自分資金によりまして確保する。大体よその近所の土地というものは、非常に荷価でございます。そういうような関係もございまして、かたがた鉄道の経営を合理化するというようなこともございまして、二十四、五年ごろから民衆駅という構想を大体はっきりさせました。従って先ほど申し上げましたように、二十五年に出願を受けて、従来と全然煙った民衆駅という構想で鉄道も考え出したということに和なるわけでございます。  それからただいま御指摘の点でございますが、後ほど当局からも御説明があると思いますが、広場は都市計画によりまして、それに従って鉄道はきめていただいんという大体の行き方をしております。駅舎敷につきましては、区間整理の中に入りまして、特にこの問題点でございまする東口の駅舎敷につきましては、増し換地にするか、増し換地でなく、いわゆる元地を出しまして、その元地によって換地打たを受けるか、こういう二つの行き力があるわけであります。鉄道としては、当初は増し換地をしていただくというようなことで進んでおりましたが、増し換地でなしに、結果的に見ますと、その編入された地区の鉄道の川地を元地といたしまして換地の指定を受けた、かような筋道になっております。
  364. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 当初の地下一階地上三階当時の地積は、つまり平面の敷地の面積と現在の面積は、どういうふうに違うのですか。延べじゃなしに……。
  365. 今井四郎

    ○今井説明員 当初のは、先ほど申し上げたと思いますが、現在の東口の敷地は二千五百三十八平米。
  366. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、以前、以前というのは、最初お述べになった地下一階、地上一階のときには延べ一万二千でありますから、敷地としましては何平米になりますか。
  367. 今井四郎

    ○今井説明員 その敷地の面積は、ただいまちょっと資料に見当りません。
  368. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 つまり非常に大きくなったのですか。大体同じですか。同じものを高さ、低さを大きくしたというのか、その点どうなんです。
  369. 今井四郎

    ○今井説明員 先ほど申し上げました通り、当初の計画は、現在の西武の……。
  370. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 東口だけでいいのです。
  371. 今井四郎

    ○今井説明員 あれが東になりましたので、北側に駅本屋の敷地が押されまして、縮小いたしております。
  372. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 乗降客は、東口、西口全体を通じてどのくらいありますか。
  373. 今井四郎

    ○今井説明員 乗降客は、東口は、西武口と国鉄口を合せまして、現在約十九万でございます。それから西側、東側合せまして、約三十五万が乗降客でございます。
  374. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ついでに、新宿、渋谷はどのくらいですか。概数でよろしゅうございます。
  375. 今井四郎

    ○今井説明員 はっきり今わかりませんが、約五十万。
  376. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこでもう一点伺っておきますが、今の東口の敷地の中に、付近の都民の換地で失った土地は含んでいるのでしょうか。従前から一切国技の土地であったのであるか。前者の場合に、どのくらいの割合、もしくは何平米、もしくは何坪が、一般民家の土地であったのか、その点数字だけ説明して下さい。
  377. 今井四郎

    ○今井説明員 今の東口の駅舎敷になっております、ちょうど向ってうしろ側でございますが、そのうしろ側に三軒個人の所有地が一部ひっかかっております。その坪数合計は約百六十坪でございます。
  378. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると、現在駅舎及びそれの付属の敷地になる面積は、百六十坪ですか百六十平米ですか。
  379. 今井四郎

    ○今井説明員 百六十坪でございます。
  380. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 百六十坪が一般民家の土地であった、こういうのですか。
  381. 今井四郎

    ○今井説明員 はい。
  382. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それなら、その駅前の広場の面積には、一般民家のものはどれほど入っておりますか。
  383. 今井四郎

    ○今井説明員 それは私の方でなしに、できましたら東京都の力からお聞き願います。
  384. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうですか。そこで最初の計画、地下一階、地上三階の場合の駅舎に属する使用面積、延べじゃなしに、敷地からする百面積と、それからただいま計画が進められておりますものの面積、それとはどちらが大きいのですか。
  385. 今井四郎

    ○今井説明員 ちょっと、御質問の趣旨がはっきりしなかったのでありますが……。
  386. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 もう一度伺い直しますが、つまり一番最初お述べになった一万二千平米、地下一階、地上三階と、現在の地下三階、地上八階の現在の設計、これと比較した場合に、延べじゃなしに、駅舎に使われるべき平面の敷地の面積それはいずれが大きいのか、こういうのです。
  387. 今井四郎

    ○今井説明員 前の方が大きくなっております。
  388. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで根本的に伺いたい点は、民衆駅というものは民衆へのサービス、それからまた駅ができるだけ有効に利用されることが本来の目的であります。都市計画に伴ってお互いが犠牲をし合った付近の住民との間の利害を調整するという問題は、やはり一つの根本的な問題でないだろうかと思うのですが、この点はどういうものでございましょう。これは御意見として伺ってみます。
  389. 今井四郎

    ○今井説明員 ただいま御指摘のありました点につきましては、大体そういう趣旨で国鉄も考えておるわけでございますが、やはり駅前広場の決定並びに駅舎敷の確保というような問題は、それぞれ法規に基きまして処理する順序がございまして、都市計画に指定されました地区につきましては、都市計画の決定ということで広場はきめられております。また駅舎敷につきましては、換地とかあるいは増し換地とかいうふうに建設省もしくは東京都と折衝いたしまして、そちらの御指定によりまして鉄道は出すべきものは出す、こういうようなことになっております。
  390. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私は何も、付近の商店街と今いろいろな紛争が起っておりますその一方の利益を代表してものを言っているのでないことだけは誤解をしないようにしていただきたいと思います。ただ考えたい点は、当初の計画はもう十年前であります。その十年前から比べると、数字はどういうふうに上ってきたかしりませんが、乗降客はすばらしくふえておるものと思います。平面的な数字しか今伺わなかったのでありますが、当時と比べますると駅の構内も相当狭くなっておるのではないかと思われる。本来ならば広くせねば乗客のためにばほんとうのサービスにはならぬのじゃないか。今あなたの方が提出しておられまする図面によりましても、構内の広場は非常に狭いような感じがいたします。いわんや構外の広場というものは、広場やら道やらわかりません。広場の観を呈しておりません。私どもこの間もちょっとあそこに参りましたときに、自動車の置き場に実は困ったのでありまして、広場がないというふうに私は考えておった。いや、これが広場だと説明せられて実は驚いておる次第なのでありますが、そういう情勢に全く逆行しておる観がある。それからもう一つは、何も国鉄は付近の住民との利害の調整を第一にすべきではないけれども、さりとて特別に大きな百貨店が出てきて――百貨店法というような法律が規制せられておる時勢であるにもかかわらず、駅舎の使用は圧迫を受けて狭くなるわ、広場はろくにないわ、混雑は増すわ、そこに付近の住民と対立してまで百貨店の力が出ていかなければならぬのか、民衆駅というものはそんなものだろうか、実は私どももう一ぺん根本的に考え直さなければならぬというふうに考えておるのです。百貨店がないかと思えば、三越があり、西武があり、あちらこちら百貨店があります。いずれにしても国鉄の土地利用は駅舎建設を目的にしている。土地は第一に乗降客の便宜をはかるということ、第二には、やはり都市計画のために区画整理をやったならその目的に沿うということが第一で、他の事情によって変更する場合は目的を変更するのであるから、私はあまり独断的なことはできないのではないかと観察しているのでありますが、これは私の意見が加わっておりますからこの際しいてあなた方に聞きません。これは土地を取られると自分たちの商売を奪われてしまうというのでどうも騒いでいるらしい。もしそうでないとするならば、痛くない腹をさぐられる感じもいたしますが、いろいろな角度より見まして公正な結論を導き出したいと思うのです。そういう意味におきまして、ここにきょう参考人として出頭されております方々から、ただいま国鉄側のお述べになりました点について御説明を願えましたらわれわれ問題点を明らかにできると思います。今出席しておられる森さん、高野さんからただいまの点につきまして、御意見はお避け願って、順次主として事実の関係をお述べ願いたい。
  391. 森茂吉

    ○森参考人 私は本日お呼び出しを受けました森茂吉でございます。私は大正九年から今日まで三十七年間池袋駅前に居住して、現在菓子製造販売業を営んでおるものであります。また昭和二十一年十二月から本年三月三十一日まで約十カ年、池袋駅を中心といたします第十地区の区間整理委員を勤めて参りました。また昭和七年以来豊島区議会に議席を有しているものであります。今日問題となっております池袋東口駅本屋用地の件につきまして、用地の換地を審議いたしました区画整理委員会の一員としての証言を申し上げ、賢明なる先生方の御判断を仰ぎたいと存ずる次第であります。  そもそも、区画整理は、御承知のごとく、戦災都市復興計画の一環といたしまして今日まで政府が各都市に命じてた施されたものであります。問題の東口駅本屋用地は国鉄が東京都知事に要請いたしまして区画整理により獲得したものであります。これが経過を申し述べさしていただきますならば、昭和二十三年八月の区画整理委員会に、国鉄の川地としてかなり広い設計図を示されたのであります。その際私は、地元の土地所有権者並びに借地権者を代表する区画整理委員として、このような広い土地を何ゆえに国鉄が必要とするのかと質問いたしたところ、運輸省から見えていた当時の伊藤停車場課長が、池袋駅には将来上信越線が乗り入れられるので、駅舎を改築し、駅構内広場を作るためにこの度の土地が必要であるという説明をしたと記憶しております。地元に住む私たちとして、池袋駅がりっぱになり、ゆったりとした駅の構内広場ができ、その駅に上信越線が乗り入れられるということであるならば、地元繁栄のためにけっこうであると思い、そのために強い減歩がかけられたとしても賛成すべきだと判断いたしましたので、運輸省の説明を了承した次第でございます。  その結果、私もその減歩を受けた一人でありますが、駅前周辺は最高四割五分から四割二分の約半分に近い減歩を受けたわけでございます。減歩と申しますのは、区画整理の結果減らされる土地の歩合のことであります。たとえば私個人といたしましても駅周辺で、約三百坪余の減歩を受けておりますが、その駅前の一例を示しますと、区画整理前は駅前に八十六坪を持っておりましたものが、整理後は五十坪になり、その減ぜられた比率がすなわち四割二分で、つまりそれだけ減歩を受けたというわけであります。こうような高率な減歩ではありましても、近い将来の池袋地区の繁栄を楽しみにいたし、強い減歩を甘んじて受けたのでございます。  ところが、その後一向に駅舎改築の気配も見られず、どうなったのかと心配いたしておりましたところ、昭和二十五、六年ごろから池袋交通会館という駅舎を改築する会社の準備会ができるということを耳にいたしました。昭和二十七年にはその会社がホテル並びに貸事務所を駅舎の上部に収容するという条件で駅舎改築を国鉄により承認されたと聞きました。ホテルや貸事務所程度のものならばまあまあいたし方ないと思っておりましたが、これがいつの間にやら丸物というデパートに姿を変えて今年二月から工事に着手したわけであります。最近知ったところでありますが、昭和二十八年二月に池袋交通会館準備会は、前運輸政務次官伊能繁次郎氏を社長とする池袋ステーション・ビル株式会社として成立し、事業内容も二十七年の国鉄の許可のときとは全く異なってデパート経営と変更しております。そしてこの会社をどこか適当なデパート業者に売り込もうとしたところ、たまたま東京進出を希望していた京都の丸物と結んだと考えられる点があります。この結果設計も当初の地下一階、地上五階のものを、地下三階、地上八階に変更して、百貨店法の成立を考え、あわてて今年二月に工事に着手したものであります。  私たちがかかる過酷な減歩に耐えてまで区画整理に協力いたしましたのは、何もデパートを駅の上に建てさせるためではありません。りっぱな駅舎とゆったりした構内広場を作ってもらうために民有地をいわば供出したものであります。しかして減歩を受けた者の中には多数の地元商人が含まれております。商人から土地を出させておいて、逆にその商人を苦しめるようなデパートを作らせることなどは全く大それたことであります。しかもデパートを収容するためには売場面積を広げろ必要があります。そのために池ビルの工事は敷地一ぱいに建てられ、一坪の構内広場も残しておりません。従いまして駅構内には一台の車の乗り入れる余地もない始末であります。このことは現地を御視察下されました参議院商工委員会の諸先生方も現地でひとしく御感想を漏らされたところであります。この点については、後ほど高野氏が述べると思いますから私は省略いたしますが、とにかく当初の約束に反してきわめて乱暴な設計をしたわけであります。  区両整理と申しますのは、御承知の通り公共のために必要な土地を削ることによって生み出すものでありますから、区画整理後はそれぞれ所有土地が小さくなることは当然であります。ところが池袋駅東口国鉄用地については、東口に国鉄の所有地がわずかしかなかったので、民間の土地から多くの坪数が振り向けられております。私の調査の結果によりますと、五百九十坪が民地から提供されております。つまり国鉄は区画整理の結果五百九十坪だけ逆に増し換地をされたわけであります。このように旧鉄が民間から土地を取り上げておいて、しかも当初の約束に反して一坪の駅構内広場も作らず、デパートを引き入れ、その上上信越線の乗り入れも立ち消えになってしまったというのでは、われわれ地元民として黙視するわけには参りません。私に言わすれば、上信越線乗り入れは口実であったというほかはありません。  またこの国鉄の増し地分は金銭で精算されるように都の方で進められておりますが、われわれは駅舎並びに駅構内広場のために提供した土地でありますから、約束に反してこの土地をデパート進出のために提供したのではありません。従いまして金銭で精算するなどということは断じて承服のできないところであります。今日の池袋の繁栄はデパートによってもたらされたものではございません。もとより戦前戦後を通じましてわれわれ地元の小商人の力によって今日の繁華がもたらされたものであります。その他池袋の町がにぎやかになったからといって大資本家が出てくる、しかも昔から国鉄の所有地ならばともかくといたしまして、民間より提供された公共の土地にはいかなるデパートの進出といえども断じて収容するわけには参りません。われわれ小商人にとっては、土地は取り上げられ、その上商売は取り上げられるという結果にたりますので、重大なる決意を固めざるを得たいのであります。国鉄は本来の公共的立場に立ち戻るべきであります。また当初の約束通り、この土地にはりっぱな駅舎と、ゆったりした構内広場を建設すベきものと私は考えるのであります。私どもはこの点について、ここに強く主張するものであります。  以上、池袋駅東口本屋の建設が約束に反して進められている事実を証言いたす次第であります。何とぞ諸先生方におきましては、よろしく御審議のほどをお願いする次第であります。
  392. 上林與市郎

    上林委員長 それでは次に高野六郎君、御発言願います。
  393. 高野六郎

    ○高野参考人 私も池袋で商人をしております高野でございます。  池袋駅舎の問題について申し上げますならば、第二十四国会参議院運輸委員会において、大倉精一議員が池袋駅舎の問題旭に対し質問をしたに対しまして、国鉄の佐藤施設局長の答弁の中に「今民衆駅を作りつつありますが、一階には何も民衆施設はございません。普通の駅と全然同じでございまして、民衆施設は二階以上のただ空問を利用するというだけでございます。」こういうことを言われておるのでありますが、手元に資料として提出しておきましたが、池袋駅舎の設計図によりますと、一階平面図に示すごとく約半分に近い場所が百貨店のための施設になっているのであります。駅の手小荷物荷さばき所が駅舎の北端になったら、これを利用する乗降客はどんなに不便だろうかということも想像するのでありまして、しかもこの駅の中には百貨店のための配達荷さばき所が同居しておりまして、特に百貨店の荷さばき所に出入りする自動車は、わずか七、八メートルの通路を通らなければならない。この通路は一日四万四千人弱という、これは三十年の十二月の統計ですが、交通量を有する東西ただ一つの地下道としてつながっておる、歩行者はここを通らなければ、東口に行けないような場所でありまして、こういうことを考えると、非常に歩行者の迷惑になるばかりでなく、将来における危険を感ずるのであります。それもみな百貨店の進出により、かかる不自由となったものと思われるのであります。百貨店はその客のために上り下りのエスカレーターと六基のエレベーターを持っております。これも資料第一をごらんになればおわかりになると思います。旅客のための広場も一階の面積の四分の一にも満たない、また待ち合い施設は一つも行われていない。かかるものが何で民衆駅といわれるか、民衆の美名に隠れた利益駅であるといわなければならないのであります。  また次に駅の広場の問題について申し上げますならば、東京駅の表口の駅前広場が三万三千六百平方メートルを持ち、三千九百八十九平方メートルの駐車場があり、また私鉄の東横線の自由ヶ丘の、ああした小さい駅でさえも二千八十平方メートルの駅前広場があって、それに対して四百四十平方メートルの駐車場を持っているのであります、しかるに一日、先ほど国鉄からの話で三十五万と言われておりますが、これは乗りかえを入れれば約六十万をこえる池袋駅の現在の乗降客を有するこの駅が、駅前と申しますと、交通の激しい、環状線をはさんで十三本の系統のバスの発着所があり、バスの発着は寸時もやまないという状態なのでありまして、とうてい駅前広場として使用されるのには実際われわれといたしましても、民衆駅というような美名のもとに百貨店を入れたがゆえに、その売場面積を拡大するために、構内の全部を駅舎としてあるいは百貨店としてしまったようなわけであります。先ほど森氏からも述べられましたごとく、ホテルあるいは貸事務所として申請をしたものの内容をデパートとすりかえて、そうして設計を大きく広大に変更したからであるのであります。こういう土地の利用は、一個人商店が店舗を作るときにやるようなやり方であって、いやしくも公共施設を有する国鉄として行うべきようなことではないと思うのであります。財団法人都市計画協会が設けた駅前広場研究委員会の研究によると、駅前広場とは通過交通街路面積を除いた広場としております。こういう意味では池袋駅には文字通り寸土の駅前広場もございません。駐卓場も駅本屋と遠く離れた西武のデパート前にわずかに存在するのみであります。これはやはり図面をごらんになればわかるだろうと思うのであります。東京都内はもちろん全国どこの駅に行ってみましても、かかるばかげた設計はないと考えるのであります。先ごろ国会で問題となった東京駅の八重州口でも駐車施設を持っております。駅前広場は駅舎の利用のほか、団体等で人が多数集まって必要であるからでおります。また一朝有事の場合には、最小限度にそうした被害を受けないというような役割も大きく持つのであります。  またわれわれといたしましては、百貨店の新増築ということは、いかに中小商業者に影響を与えるかということは、私が今申し上げるまでもなく過日国会におきまして百貨店法が制定いたされましたので、その点については申し上げませんが、ただ池袋には四つの百貨店がここに今できつつあり、またこれが全部ターミナル百貨店であるというような点から考え合せるときに、これをはさむ沿線の商店街あるいは商人はどのような脅威を受けておるかというようなことも想像に余りあるものであります。特に池袋百貨店は、山手線の新宿あるいは渋谷よりも百貨店が多く面積を有し、しかも背後人口においてはそうした渋谷、新宿等よりも少いというような現状に置くときには、われわれ小売商として受ける圧迫は非常に大きいという点から、今申し上げた理由により、池袋ステーションビル株式会社が設計した丸物百貨店の入るこの駅舎に対しては、私たち地元としては絶対に反対をしなければならないのであります。以上のようた理由によってここに一つの参考として申し上げた次第でございます。
  394. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今の御説明によりまして少し国鉄に聞いておかなければならぬことができましたので、質問をお許し願います。  第一に森参考人がおっしゃった民有地を五百九十坪、国鉄所有に換地の結果換地増として入っておるということでありますが、それを一つ取り調べて下さい。
  395. 今井四郎

    ○今井説明員 調査いたします。
  396. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 もう一つ、今高野参考人がお述べになった百貨店といいますか、いわゆる民衆駅舎なるものは、待合室が全然ないということであります。なるほど御提出の資料によると、地下一階には旅客広場はあるけれども待合室が企然ないようでありますが、待合室というのがないのは事実ですか。
  397. 今井四郎

    ○今井説明員 普通電車駅には待合室は作りませんで、そういう基準によりましてコンコースを広くとりましたが、待合室としては作りません。
  398. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは一日に三十万から人間を呑吐する駅ですよ。これからさらに今後郊外の発展によりまして、増量こそすれ減る見通しの立たぬものであり、このようなところへ待合室を設けないということはあまりにも無謀と思わなければなりませんが、これは乗客の便宜がいいことを考えなくてもいいのですか。
  399. 今井四郎

    ○今井説明員 もちろん私どもは電車駅には絶対に待合室を作らないということを固執するものではございませんが、池袋などは今お話の通り三十何万の乗降客がありますが、東口としては六万程度でありまして、そのひんぱんな出入に対して長距離旅客という関係はございませんので、待合室はさしあたりの設計としては組んでいないのであります。
  400. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それから民衆駅等運営委員会にかけたと思いますが、その際にそういう点は問題にしなかったのですか。
  401. 石井昭正

    ○石井説明員 お話のように民衆駅等運営委員会にかけてございますが、当時その設計について待合室の有無について御審議があったかどうかはっきり記憶しておりませんから、取り調べて申し上げます。
  402. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 出ている資料によると、池袋ステーションビル株式会社というのがあります。これは今の百貨店を大株主とした会社らしいのでありますが、一体この会社の社長は、現在代表取締役を辞任しておられるかもしれないと思いますが、いろいろな文書によりますと、元運輸次官の伊能繁次郎氏がかつて代表取締役になっておったようであります。その定款によりますると、何でもこの池袋の東の本屋及びこれに付帯する各種の国鉄の施設建設に協力する、こういうことがうたってあるのでありますが、この会社の作らんとしているビルからはどのくらいの地代を取ろうとしておるのでありますか。地代の価格ないしはその他の保証金というのですか、そういうものはどういうことになっておりますか。
  403. 石井昭正

    ○石井説明員 大体年額二千万円程度を考えております。
  404. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 このビルはおそらく何十億円を投じて建設されるものであろうと思いますから、このような運輸省の最高の幹部であった人が代表取締役になって、大きなビルを建設して、駅舎をその中に小さく設けて大きな百貨店を経営するというようなことは、まことにまぎらわしい印象を受けるのでありますが、同君はいろいろな人によって告発されている事実があるようであります。こういうようなことは、国鉄の幹部でありしがゆえにその特殊な利権を獲得するというような疑いすら世上受けるのであります。この辺については、民衆駅委員会ないしは経営委員会等において、調査をしたりあるいは協議したりしたかったのですか。
  405. 石井昭正

    ○石井説明員 民衆駅委員会には、前後四回にわたって御審議をお願いいたしております。経営委員会につきましては、私はっきり記憶いたしておりませんので取り調べて申し上げます。その際に、代表者が以前の高官であったというその点について特に御批判をされたかどうかという点ははっきり記憶いたしておりません。ただあくまで民衆駅の基本方針にのっとっていろいろの条件、その他について間違いないかどうか、公正に行われているかどうかについては、十分御審議をしていただいたつもりでございます。
  406. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたに聞くのは無理かもしれませんけれども、少くとも国鉄の財産を活用する場合、民衆駅という民衆と接触の面の多い問題、利害があるいは競合し、あるいは相反するような危い線を渡るときには、やはり国鉄の幹部たりし人、現に運輸省の重要な幹部のような人が代表者になっておるような法人と協力することは、当然調査、協議の対象にせなければならぬというのが、国鉄、運輸省の基本方針であろう、こう思うのであります。そういうことをいいかげんにするということは、これはいろいろと疑惑を招くもとであります。これは今あなたらに聞くことは無理かもわかりませんが、次会に一つ国鉄の幹部からまた伺うことにいたしまして、ただいまのところお答えできなかったような点につきましては、一つお調べを願っておきたいと思います。私の質疑はこの程度で保留しておきます。
  407. 上林與市郎

    上林委員長 その調査の結果は私の手元に出していただけますか。
  408. 石井昭正

    ○石井説明員 かしこまりました。
  409. 細田綱吉

    ○細田委員 私も信越線が池袋に乗り入れるということを聞いておったが、将来とも国鉄当局池袋駅に汽車は乗り入れないという現在見通しを持っておられるのですか。
  410. 今井四郎

    ○今井説明員 将来でも、これは列車が入るか電車が入るか、だんだん東京中心にいたしまして周辺相当長い距離まで電車化いたしますので、そういう電車か列車かの違いはありますが、将来はやはり乗り入れる方針でおります。
  411. 細田綱吉

    ○細田委員 三越もああいうふうな永久建築をしてしまった。池袋民衆駅には、ああいう恒久的なデパートも付設してしまった。そういうふうな場合、これは国鉄が待合室をこしらえようと思ってももう余地がない。そういう場合に、また高額な金を出してどうするかわかりませんが、それで赤字だ、赤字だ、値上げするといっても、そんなばかなことは国民は承知いたしませんよ。そういうような場合、あなた方はどうするつもりなんです。
  412. 今井四郎

    ○今井説明員 そうしたいろいろな乗り入れに対する設備が将来考えられまするので、ただいまの駅舎を前の方に出して、その裏側には十分な余地をとっておる、そういう考え方をしておる次第であります。
  413. 上林與市郎

    上林委員長 本日の参考人の各位に対します質疑は以上をもちまして終了いたします。  参考人の各位には御多用中本件調査に御協力いただきまして、まことにありがとうございました。御退席をされてけっこうであります。  以上をもちまして本件に関しまする調査は、本日のところは終ります。次会は公報をもって御通知することとし、本日はこの程度にて散会いたします。    午後五時十四分散会