○正示政府委員 私から
管財関係につきまして補足的に御
説明申し上げます。
先ほど
会計検査院から御
説明がございました
検査報告に対しましては別に
説明書を付しておるわけでございますが、この
説明書につきまして、最近までの
事態の推移によりましてさらに当国会に
提出資料といたしまして
資料を配付しておりますから、これによって大体御了承をいただけることと思いますが、若干補足的に御
説明申し上げます。
国有財産の
管理処分につきましては、御
承知のように相当前からいろいろ問題がございまして、これにつきましては、当委員会の御意見等もいろいろ拝聴いたしまして種々改善
努力をいたしておりますが、二十九年度の
決算におきましても、ただいまお述べのようないろいろな点につきまして非違を
指摘されましたことはまことに遺憾に存じております。
まず
国有財産の
処分及び利用収入につきまして御
説明申し上げます。
昭和二十九年度末における
収納未済額として
昭和三十年度に繰り越されました十七億四千五百余万円につきましては、
昭和三十年度末までに六割五分に相当正する十一億二千九百余万円を
回収いたしました。なおそのうちおもなものに一つきまして申し上げますと、
国有財産の
使用料につきましては、五億八千二百余万円のうち二億九千四百余万円を、
船舶共有持分一部
償却額及び
金利については、五億三千百余万円のうち四億九千七百余万円を、また
土地、
建物の売払代につきましては、三億千四百余万円のうち二億三百余万円をそれぞれ
収納いたしました。また
昭和三十年度中に
徴収決定された額とこれに対し
収納された額は、
昭和三十年度末においては、百六億五千余万円を
徴収決定し、その九二%に当る九十八億一千余万円を
収納し、
収納未済額は
徴収決定額の八%となり、
昭和二十九年度末における二一%に比較いたしまして若干向上の跡を示しております。
なお
収納未済額の
整理につきましては、別途
説明書にございますように、
収納未済債権の
整理事務処理要領を定めたほか、
国有財産の
処分に当っては
相手方の資力等の調査を厳重に行い、
処分担当課と
徴収担当課との
連絡を緊密にし、また既発生
収納未済の計画的な
整理を行うため、
収納未済整理計画を樹立する等、新たな
収納未済額が累積されることのないよう
努力中でございます。
次に
普通財産の
管理については、逐年改善をはかってきたのでありますが、なお不十分の点も認められますので、
国有財産台帳に記載されていないもの、未利用
財産で所在が不明なもの等につきましては、今後計画的に
財産の実態調査を実施して
財産の現況を把握し、これが処理の適正をはかりたいと存じております。この点は当委員会でたびたび御
指摘を受けた点でございまして、私どもとしては、目下管財の一番大きな課題がこの実態不明の
財産の処理ということにあると存じまして、せっかく予算当局ともいろいろ折衝いたしておる次第であります。
さらにまた
用途指定に違反して
処分されているものにつきましては、
国有財産監査官制度を活用する等の方法により、違反の未然防止に努めるとともに、違反事実に対しては早期解決をはかりたい所存でございます。なお
用途指定の
範囲は、従来若干広いような一種の形式的につけるような傾向もありましたので、本年五月これを全面的に改正いたしまして、
用途指定を行うものの
範囲を縮小いたしました。すなわち
用途指定をする場合を、第一に、法律の定めるところにより
譲与、減額、売り払い及び同貸付する場合、第二に、一般の売り払いにつきましては、国において特に
一定の
用途に供させる積極的な意志を有するとき等に限定いたしまして
用途指定をして、安易に随意契約を行う従来のやり方を厳に改めることにしたのであります。これによって反面
用途を指定したものにつきましては厳重にこれを励行せしめるよう
努力いたしたい考えであります。また本年五月
大蔵省に
国有財産中央審議会を、各
財務局には地方審議会をそれぞれ設けまして、
国有財産の
管理及び
処分に関する基本的諸問題、あるいは重要
財産の
処分につきまして十分なる調査審議を願っておる次第でございます。今後におきましても、さらに詳細な
資料を
提出いたしまして
国有財産事務の全般をガラス張りにいたし、広く一般社会の批判と関心を仰ぎまして管財行政の改善をしていきたいと考えております。
次に
使用料の
徴収決定が長期に遅延していることにつきましては、はなはだ遺憾に存ずる次第でありますが、これらのものについては、早期
徴収決定の励行に努めることにより、成規の
手続による者との不均衡の是正をはかりたいと存じております。
次に物納
財産につきましては、その
財産の特殊事情からほとんど早急な
処分は困難な状況であり、また現に居住している者も買い受け資力の乏しい者が多い状況にありますので、従来売り払い等処理促進をはかってきたつもりではありますが、なかなか思うようには参らなかったのであります。しかしながら、
検査院当局の御
指摘のように、売り渡しの際に
使用料を
徴収決定することとしていたため、
使用料の
徴収決定がおくれましたことはまことに遺憾でありまして、今後は売り払いが困難なものにつきましては貸付の方に切りかえる等により、一そう物納
財産の
管理の適正化に
努力して参りたいと存じます。さらに物納
財産につきましては、税務当局との
連絡を一そう緊密にいたしまして、この物納として受け入れる際にその
財産の実態等につきまして十分把握すべく
努力しておる次第でございます。
以下各号について
説明をつけ加えることといたします。
まず五二号の敷地調査不十分なため不経済な
工事となったものにつきまして申し上げます。本件
工事は、
建設省関東地方建設局が
昭和二十八年十二月五日着工、
昭和二十九年十月二十一日に完成したものでありますが、
工事施行に当っては、直近の法務省所管の四階建宿舎設置
工事、これは法務省担当でありますが、その際確認した地耐力、これは多少技術的な言葉でありますが、一平方当り通常の状態で十五トンの重量にたえる力ということになっております。それから柱状図、これはボーリングによりまして地層を調べたものでありますが、それらの
資料によりまして、鋼筋四階建宿舎の設置は可能であると建設省において推定しましたので、それらの経費の節減をはかることとしたところ、たまたま
工事途中において
不同沈下が生じ、不経済な
工事となったことはまことに遺憾に存じております。この
不同沈下は、地下鉄丸の内線
工事の影響と推測され、主要原因は地下水の移動によるものと認められる次第でございまして、今後はかようなことの生じないよう工手施行前の調査を十分にいたしたいと存じております。
次に五三号につきましては、
売り渡し代の払い戻しと
損害賠償金とを相殺しなかったことに関して御
指摘を受けた次第でありますが、これは
財務局と
財務部との内部
連絡が不十分であったことから生じた問題でありまして、恐縮にたえない次第であります。今後はかようなことが起らないよう十分
注意いたしたいと思います。
次に、五四号の問題でございます。が、本件は、売り払いに当りまして当時における電力の事情逼迫のため
相手方から
請書を
提出せしめ、契約締結前の着工を認めざるを得なかったものであります。この
請書に示されている
金額は、双方におきまして精密な検討を遂げたものではなく、政府としましては、むしろ相当の安全度を見たもので、その
範囲内において将来売買契約に応ずる旨を承諾せしめたものでありますが、
会計検査院御
指摘のように、買い受け申し出最高価格を示したような印象を与えましたことはまことに遺憾なことと存ずる次第であります。
なお、売り渡し価格につきましては、精通者の意見を書面で徴する等、十分検討した上
決定したものでありますが、今後はさらにこれらの場合等におきましても、先ほど申し上げました審議会等に諮るというふうな一そう慎重な態度で臨みまして、かような事案の起らないように、あるいは誤解を受けないようにいたしたいと思います。
次に、
用途指定違反の問題でありますが、このことにつきましては、ただいま
検査院当局から御
説明がありました
通りでございますが、今後の措置と関連いたしますので、簡単に
説明申し上げることといたします。
まず、五五号でありますが、これは台東区浅草猿若町所在の旧浅草憲兵隊及び宿舎施設を在
東京韓国人厚生協会に韓国人の戦災者及び引揚者の厚生施設として
用途を指定して売り払ったものでありますが、
昭和三十年二月二十七日関東
財務局が実地監査したところ、転売の事実、同協会の所在不明等がわかりましたので、同協会の代表者の責任を追及するため、法務省入国
管理局登録課、及び品川区役所等について調査方依頼中のところ、本年三月同協会の責任者の所在が判明いたしましたので、同年六月六日契約を解除し、物件の返還を要求いたしましたが、その
期限までに返還がなされなかったので、原状回復にかわる
損害を
求償することにいたしまして、現在
手続中でございます。
次に、五六号は、
昭和二十六年に
用途廃止された旧公共物、すなわち物揚場を
東京都知事より
財務局が引き継ぎを受けた
土地でありまして、相手
会社は
昭和十年以降
東京都の許可を受けて使用しており、
財産引き受けと同時に払い下げ
申請がありましたので売り払ったものでありますが、もともと
用途を指定する必要はなかったものと思われます。ところが、相手
会社は手業不振となり、
土地の一部二十四坪を転売したため、
検査院の
指摘を受けたものでありますが、本
土地は縁故売り払いで随意契約をしたものであって、かかる売り払いについては
用途指定をする必要がなかったものと認め、本年三月三十日
用途指定を解除いたしました。
次に、五七号は、
相手方が事業再建をはかるため本件
土地を担保として融資を受けましたが、この借金の返済ができないため、債権者に所有権が移転したものでありますので、契約を解除し、
損害求償の
手続を進めているものであります。
次に、五八号及び五九号は、いずれも相手は地方公共団体であって、
用途も学校施設として解体移築を条件として売り渡したものでありますが、売り渡し物件が学校建築資材として不適格であったこと等の事情から、小金町、現在の柏市でございますが、中学校校舎の新築所要資金の一部に充当するため横山某に転売し、また前橋市は競輪場建設資材に転用したものでありまして、事情やむを得ないものがあったと認められますので、これらのものの処理につきましては、
用途指定を解除し、売払いの際控除いたしました解体費及び同損耗費相当額を
求償することとし、前者については、本年三月二十四日
徴収決定し、現在までに十九万八千五百三十七円を
収納し、残額については厳重督促中であり、後者については、本年三月二十日
徴収決定を了し、同月三十一日全額を
収納いたしました。
なお、前記転得者、すなわち横山某は、さらに借地権を譲渡し、現在小金毛織株式
会社が相当の有益費を投じ使用中でありますので、三十一年三月二十四日現使用者であります小金毛織株式
会社に対し
徴収決定いたしまして、同月三十一日全額
収納いたしました。
次に、旧
軍用財産の
整理が著しく遅延しているという問題でございますが、戦後引き継ぎを受けた
財産は膨大な数量に達し、これが
整理につきましては事務の促進に
努力してきたのでありますが、なお、
会計検査院御
指摘のような問題がありますので、今後はできるだけ
財産の実態調査を計画的に実施する等の方法によりまして、すみやかに改善をはかる所存であります。
そこで、六〇及び六一号の電力路線の問題について申し上げます。まず、六〇号はほとんど管内全部にわたっておりますので、諸
資料を各
財務部より集め、これに基き使用者の区分、
使用料、使用期間等について確定する必要が生じ遅延したものでありますが、
使用料につきましては、本年六月九日
徴収決定いたしまして、同月二十二日全額
収納いたしました。
次に、六一号は、各路線ごとに調査
決定いたしましたため遅延いたしたものでありますが、
昭和三十年十月及び十二月に
徴収決定を了し、
昭和三十一年四月十日までに全額
収納済みであります。
次に、六二号から六五号までは、いずれも貸付
機械使用料の
徴収及び
求償措置の問題でございますが、これはさきに申し上げましたように、貸付
財産に対する実態の把握が十分でなかったことに起因するものでありましてまず、六二号から申し上げますと、これは不法
処分の事実を発見後直ちに
求償すべきところを、
相手方会社は解散状態で責任者の居所も転々としていたため遅延いたしたものでありますが、その後本件は、
昭和三十年十一月九日即決和解が成立し、不法
処分された
機械九個の
損害賠償金及び
使用料相当額並びに返還された
機械九個の
使用料合計九十二万四千三百二十八円について、現在までにその一部三万三千八百七十八円が
収納され、現在でけその残余について厳重督促をいたしているところであります。
次に、六二号でございますが、
相手方会社によって不法
処分された
機械三十九個の
損害賠償金及び不法
処分されたときまでの
使用料合計八十七万五千二百五十一につきましては、
昭和三十年六月二十一日
徴収決定し、仮差し押えを仙台法務局に
申請したところ、支払い命令について異議の申し立てがありましたので、現在訴訟係属中であります。
なお、
昭和三十年十二月八日
相手方所有不動産、これは仮差し押えしなかったものですが、
処分代金のうち二十万円を将来確定すべき債務額の一部弁済金として
収納いたしております。
次に、六四号につきましては、
機械三台を相手
会社に
昭和二十二年十一月より一時使用を認可していたものでありますが、
昭和二十四年度以降の
使用料については、再三折衝したが、解決するに至らなかったものであります。よって、
昭和二十九年現地調査をいたしましたところ、
機械二台が所在不明となっていることを発見しましたので、同年十二月文書をもって貸付
機械の確認を求めましたが、回答がないので、
昭和三十年十一月使用取り消し及び現物返還の通告をしましたところ、
機械一台の返還がありましたが、他の二台は返還されませんので、
昭和三十年十二月に
昭和二十四年度以降の
使用料相当額を
弁償金として
徴収決定するとともに、目下現物返還及び
使用料相当額の支払いを求める訴訟提起の準備中であります。
次に、六五号は、
機械十一個を相手
会社に保管を依頼していたのでありますが、うち七個は無断
処分され、他の四個は同社が
昭和二十九年十月事業不振で工場を閉鎖した際、その傍系
会社広島冷蔵株式
会社に移動し、現在に至ったものであることが判明いたしましたので、現在の保管引継者である広島冷蔵株式
会社に一切の責任を負うことを了承させ、
昭和三十年十月に
機械三台を返還せしめ、
昭和三十年二月七日不法
処分された
機械七台については、
弁償金を
徴収決定し、無断使用
機械二台については、
昭和三十年三月十九日までに
使用料を
徴収決定し、三十一年十一月一日までにそれぞれ全額
収納済みであります。
六六号につきましては、
検査報告に
指摘されております
通りでございまして 一応この経緯を申し述べたいと存じます。谷風、橘両艦については、
昭和二十五年九月中国
財務局より呉市に対し救難浮揚を許可し、浮揚後は現姿のまま係留
管理するよう通達しておいたものでありますが、
昭和二十六年十一月旧軍港市
国有財産処理審議会の議決もあったので、三九三・五トンを
譲与いたしましたが、その後、中間桟橋
一個が
工事取りやめとなりましたので、
譲与数量を三二五・八二トンに変更したものであります。なお、
財務局において
昭和二十五年末及び
昭和二十六年二月頃両艦の実地調査をしたときは、
非鉄金属は存在しなかったのでありますが、たまたま
昭和二十八年八月広島検察庁呉支部により細本及び佐藤某が刑事事件として起訴され、また
昭和二十九年二月同じく刑事事件として岡本某が起訴されたものであります。岡本某は呉市の
工事請負人でありますが、その
工事精算書において呉市に対し、
非鉄金属一三・三三トンのあったことを通知しましたが、このことについては
財務局は知らされていなかったものであります。
以上のような状況でありまして、この
求償措置が遅延したのは、刑事事件が相次いで発生したこと及び呉市に
譲与した
鋼材についても未使用のあることが判明した等の事情によるものでありまして、これら
非鉄金属は
財務局で調査したときにはすでに処理されていたものと認められますので、一切の責任は呉市が負うべきものと認め、呉市に対して
求償することといたしまして、このほど
求償額を
決定し、現在中国
財務局におきまして呉市と折衝中であります。
次に、
使用料の
徴収措置が当を得ないものとして六七号から七六号にわたり御
指摘をみたのでありますが、それぞれ若干の理由があるにいたしましても、
徴収措置が遅延いたしましたことについては、まこに遺憾とするところであります。
まず六七号の
土地は、墨田区錦糸町所在の旧本所憲兵隊跡地でありまして、
昭和二十一年五月より一時使用により簡易住宅敷地として
東京都に認可したものでありますが、都は本地の大「部分を
財務局の
承認なしに
東京都貸家組合連合会の傘下組合である言問貸家組合に転貸し、同組合は
昭和二十一年及び
昭和二十二年に
国庫補助住宅五棟二十四戸)を建築し、このうち四棟(十六戸)はこれを都民住会が
管理していたのであります。一方これと前後して言問貸家組合の組合長は自己を責任者とする別個の
法人糟元一合資
会社名義で建築許可を受けて五棟(二十四戸)を建築しているのが現状であります。よって
財務局より都に対し契約違反のかどにより原状回復を要求したが、都は都民住宅会に払い下げしてもらいたい旨回答してきた。本地については、都民住宅会、同地居住者組合からそれぞれ払い下げ
申請があり、権利
関係が複雑で、
使用料を
徴収することは十分調査の上
決定しなければ売り払いの際紛争を生ずる可能性もありますので、慎重に処理いたしたいと存じています。よって適格者が
決定次第売り払いと同時に貸付料を
徴収すべく目下調査中であります。
次に、六八号は、本地二百四十八坪を含む一千五百九十六坪が
昭和二十八年三月接収解除となったものでありますが、旧偕行社
建物(敷地二百四十八坪)は全国市長会館に使用せしめていたものであります。本地一千五百九十六坪については、接収解除とともに全国市長会、中央大学、千代田区役所、郵政省よりそれぞれ売り払い
申請があったため、この調整に日時を要しましたが、全国市長会についてはその
建物敷地部分を売り払うこととし、他は当分保留することとしたため
使用料の
徴収が遅延したものでありまして、
昭和二十八、二十九両年度
使用料は
昭和三十一年三月十七日
徴収決定を了し、
昭和三十年度分については
土地売り払い
決定とともに
徴収決定することといたしております。
次に、六九号は、当初恩賜財団軍人援護会
東京都支部長に一時使用を許可し、次に恩賜財団同胞援護会
東京都支部長に変更され、
昭和二十六、二十七年度分は
弁償金として
徴収決定済みであり、厳重督促していたのでありますが、現在までに二万五千八百十七円を
収納し、なお
昭和二十八年度及び二十九年度分については
昭和三十年十二月八日
徴収決定を了し、
昭和二十六、二十七年度分の残額とあわせ目下厳重督促中であります。
次に、七〇号は、昭島市が
昭和二十四年四月以降
昭和中学校、
昭和高等学校、富士見丘小学校、東小学校施設として使用してきたものでありますが、厳重督促の結果、現在までに二十四万一千四円を
収納し、なお
昭和二十八、二十九年度分
使用料については
昭和三十年十一月
徴収決定を了し、
昭和二十六、二十七年度分の残額とあわせ目下厳重督促中であります。
次に、七一号でありますが、本
土地は、久里浜所在の横須賀
海軍軍需部の施設の一部でありますが、
昭和二十三年一月に
土地五千三百四十三坪、
建物九百五十二坪を精麦、精粉及び魚肥等の製造に使用する目的で一時使用を認可しましたが、その後
相手方は営業不振となりましたので、貸付
範囲縮小の必要を認めて一部の
土地、
建物を返還せしめましたが、常業状態は依然好転せず、
昭和二十七年度貸付料も
昭和二十八年十二月末日に至ってようやく完納した状況であります。
以上のような状況でありますので、その後も貸付数量が過大と認められ、従ってその
範囲の調整、折衝に時日を要し
徴収決定が遅延したのでございますが、三十年十一月十一日に
徴収決定を了し、三十一年五月一日までに全額
収納いたしました。
次に、七二号でありますが、本地は、千葉市所在の旧陸軍兵器廠及び旧気球連隊施設の一部でありまして、
昭和二十七年度貸付料を
滞納いたしましたので、同貸付料を納入しなければ継続貸付を認めない方針のもとに再三折衝を重ね、もし納入しなければ
土地、
建物の明け渡しを要求し、その間の
使用料は
弁償金として
徴収決定する方針であったため遅延したものであります。ところが
昭和三十年九月に至り同貸付料を納入しましたので、
昭和二十八、三十九年度分は
弁償金として十月に
徴収決定しましたが、
相手方は分割納入誓約書を
提出し、十一月、十二月に十二万円を
収納し、三十一年九月末日までに全額
収納済みであります。
次に、七三号の
機械は、旧軍が川崎航空機工業株式
会社に貸与し、終戦後同社が民間賠償工場に指定されたため、社有
機械とともに賠償指定
機械として
管理されておりましたが、指定解除後同社よりの報告に基き、
昭和二十七年九月き継ぎ漏れ発見として
台帳に登載したものであります。
台帳登載と同時に売り払いについて相手
会社と折衝を始めましたが、当時同社は不況のため話し合いは進まずに処理が今日まで遅延していたものでありまして、最近ようやく話し合いがまとまったので、売り払いを了し、貸付料についてもこれと同時に売り払い月日まての分を本年三月二十二日
徴収決定を了し、四月十円全額
収納いたしました。
次に、七四号でありますが、
昭和二十五年旧豊川海軍工廠に自衛隊が駐屯することとなり、同地区格納の賠償指定
機械を緊急搬出するよう軍政部から指令がありましたが、その節軍政部係官を通じて鈴木電機株式
会社より
申請がありましたので、一時使用の認可により使用せしめていたものであります。
昭和二十八年に貸付料を
相手方に通知しましたところ、
使用料が高いこと、四台の
機械は当初より使用不能であったこと等を主張してきましたので、使用不能と称する
機械について調査をいたしましたところ、使用の事実が認められませんでしたので、返還するよう勧告するとともに、
使用料に対し
請書の
提出がなければ全
機械を返還するよう再三折衝し日時を経過したような次第でありますので、近く
使用料相当額を
弁償金として
徴収決定し、納入しない場合は、使用取り消しと同時に現物返還並びに
使用料相当額の支払いを求める訴訟を提起して解決する予定であります
次に、七五号は、旧三菱重工業株式
会社が工員寄宿舎及び厚生施設として使用していたものを終戦後静岡市が同社から借り受けて戦災者、引揚者の収容施設として約五百世帯を収容していたものでありますが、同社が
昭和二十五年戦補税の物納として国が所有するに、至ったものであります。
一方静岡市は、
昭和二十四年一月軍政部が社会施設として認めなくなり、補助金の下付も中止されましたので、本物件が国に
収納されるとともに、戦災者、引揚者の収容施設としての
用途を廃止しましたので、国が直接居住者と賃貸契約を締結することとなりましたが、将来静岡市では無償で居住させていたのであるから、国に
管理が移っても当然無償の扱いを受けるという観念があり、また支払い能力のない貧困者が多いため再三の折衝にもかかわらず
使用料の納入に応じなかったのであります。
昭和二十八年ころに至ってよようやく
使用料の納入義務を認識するに至ったものであります。
昭和二十七、二十九年度分はもちろん
昭和三十年度分についても引き続き折衝を重ねました結果、
相手方もこれを了承いたしましたので、本年三月三十一日
徴収決定を了し、現在までに一千九万四千三百八十二円を
収納し、その残額の
収納について目下
努力中であります。
次に、七六号は、広島市宇品所在の旧広島陸軍糧秣支廠施設の一部でありまして、
昭和二十一年大和糧食株式
会社に農産物加工工場施設として一時使用認可したものであります。
昭和二十五年に至り
会社内部に紛争が生じましたので、
財務局裁定のもとに業務を二分し、松岡精麦所及び松尾糧食株式
会社として使用認可してきたのでありますが、松岡某は
土地の分割について営業に不利を来たすとの理由で
財務局の裁定に不服を唱え、
使用料の再検討を要求し、再三の折衝にもかかわらず了解するに至らなかったものでありますが、
昭和三十一年二月十五日に至り、ようやく
徴収決定を了し、現在までに十万円を
収納し、残額については目下厳重督促中であります。
次に、七七号でございますが、本件は、関東
財務局前橋財務部におきまして、旧
公団等の債権
回収に当っていた大川一蔵が、
収納金を
国庫に納入せずに横領着服した事件でありまして、このような不祥事件が生じましたことは、まことに遺憾にたえない次第でございます。本人は、
昭和三十年三月二日業務上横領で懲役二年の第一審判決を受けましたが、同月九日
東京高裁に控訴し、九月三日控訴を棄却されたところ、本人はさらに最手裁判所に上告いたしましたが、同年十二月上告棄却されまして、同月二十七日判決は確定いたしております。本人に対しましては、
昭和二十九年十一月八日国家公務員法第八十二条により懲戒免職に付し、また
関係者に対しましては、直接監督者でありました管財第二
課長に対しましては、国家公務員法第八十二条により、
昭和二十九年十二月二十八日付で懲戒減給をし、また、
財務部長に対しましては、関東
財務局訓戒規則により訓戒するとともに、昇給延伸もいたしておるような次第であります。
なお、国の
損害につきましては、
昭和三十年二月十六日及び同年六月二十七日の二回にわたり即決和解を締結いたしまして現在までに一部を
回収しましたが、残額につきましては目下厳重督促中でございます。
以上簡単でございますが、御
説明申し上げます。