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1956-12-13 第25回国会 衆議院 外務委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年十二月十三日(木曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 前尾繁三郎君    理事 須磨彌吉郎君 理事 高岡 大輔君    理事 山本 利壽君 理事 穗積 七郎君       愛知 揆一君    伊東 隆治君       池田正之輔君    菊池 義郎君       園田  直君    松田竹千代君       大西 正道君    田中織之進君       細迫 兼光君    和田 博雄君  出席政府委員         内閣官房長官 田中 榮一君         総理府事務官         (南方連絡事務         局長)     石井 通則君         大蔵政務次官  山手 滿男君  委員外出席者         外務事務官         (アジア局長) 中川  融君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      中尾 博之君         専  門  員 佐藤 敏人君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国際情勢等に関する件     —————————————
  2. 前尾繁三郎

    前尾委員長 これより会議を開きます。  沖縄に関する諸問題について、政府当局質疑を行うことといたします。  これより質疑を許します。穗積七郎君。
  3. 穗積七郎

    穗積委員 田中官房長官沖縄問題の処理についてお尋ねいたしたいと思います。  実は、本日は金に関係したことですから、大蔵大臣出席を求めておりましたが、大蔵大臣は他の所用のために出られないということでございますから、あなたはきょうは内閣を代表して一つ答弁をいただきたいと思います。  実は沖縄問題につきましては、施政権の回復問題、それから四原則を支持する問題、その他人道上の、人権がじゅうりんされておる事実等が、今日まで切々として訴えられて、それに対して与野党を超越いたしまして、国会においてもこの問題解決のために、すなわち施政権の回復、四原則支持並びに人道上の問題解決のために、強い要望内閣に寄せておることは御承知通りでございます。  そこできょうあなたに特に出席をいただいて最後にお尋ねいたしたいと思いますことは、実は金の話なのですが、御承知通り桑条約前における補償問題、これも現地から強い要望となってきておる、さらに外地から引き揚げた方に対する手当、更生資金でございましょうか、これが日本人でありながら日本本土人民と差別の対遇が行われて、同様の均霑を得ていない。そのほか保険制度年金等につきましても同様なことでございますし、さらにまた教育に対しまする援助等もはなはだしく日本本土日本人と比べますならば片手落ちになっております。そこでそれらの各項目を一々これを日本予算の上に款項目としてあげて、そこでやることをわれわれは要求いたしておりますが、しかしそれが今しかるべく予算上の措置がとられていない、また法律もできていないというようなことに雑品されましてこの対策の実現が遷延いたしますことは、今日沖縄におきまする県民生活実情からいきますと、その遷延を許さないわけでございます。従ってわれわれはすでに先般台風の被害がありましたときに救援物資をすぐに送ることを与野党とも強く内閣に要請し、内閣もその態度をとって、多少はおそまきではございましたが、凄かるべき措置が今進行中であるわけでございます。そのときに同時にわれわれが強く要望いたしましたのは、大蔵省の三十一年度予算の中で、款項目に縛られて、その中からどういうふうな措置をするかというようなことにつきましては当座の間に合いませんので、たとえば見舞金あるいは救援資金等々の名目は別といたしまして、またその経費の財源は予備金であろうと、あるいは各省の更生資金あるいはまた教育資金等を動員いたしましてもけっこうでございますが、いずれにしても当面の生活窮乏を打開するための親心のある対策政治的に考慮すべきではないか。法律予算に載っていなければ一銭、一円の支出もできない立場におる事務当局諸君にそのことを督促いたしましても、これはいたずらに研究にひまをとるだけであるし、現地諸君もこれを受け取るのが延びる、そこでこれを内閣政治的な責任において、国会与野党をあげてこれに協力をし、てそして応急措置をとるべきだというのが、あなたもお聞きの通り要望であったわけであります。内閣におかれても、ごまかい議論はあとにして、つじつまは合せる可能性があるから、応急にその措置をとりましょうという誠意ある答弁が行われたわけでございますが、その後一体これがどういうふうになっておるのか、どうされるおつもりであるのか。最近一面ばかり本委員会におきましては現地諸君の御出席を求めまして、参考意見を伺ったのですが、まだそのことが耳にも入っていない、ましてふところには入っていない。こういう事態でございますから、まず第一にお尋ねしたいのは、その後この問題に対する対策をどういうふうにお進めになってきたか、今後またどういうふうな御方針であるか、その点を明らかにして、一つわれわれ国民並びに沖縄県民に対して安心を与えていただきたい。信頼を寄せるに値する内閣態度をとっていただきたいということでございます。一括して一つお答えをいただきたい。
  4. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 ただいま沖縄住民に対するいろいろな救援その他見舞の問題につきまして、概括的なお尋ねがございましたので、私の方から、こまかい事務的な問題は別といたしまして、概括的にお答え申し上げたいと思います。  先般アソリカ側におきまするプライス勧告が出まして以来すでに何回となく沖縄代表者方々政府においでになりまして、四原則の実行につきまして日本政府側のいわゆる外交交渉に基く援助を求めておりまして、これらの要望に基きまして、政府側といたしましても、外務省を通じ、外務大臣アメリカ側とも数次の折衝を重ね、また沖縄島民の意思をアメリカ側にも伝えまして、その後アメリカ側におきましても、島民実情をよく勘案いたしまして、ある意味におきまして沖縄におきまする政策におきましても若干転換したことはすでに御承知通り考えております。  そこで、この春以来沖縄の方からも終戦後から平和条約発効までの間における米軍進駐による強制収用によってこうむった沖縄人民の財産上の損失について、何らかの方法日本政府側としても一つ考えてもらいたいというような要望が非常にひんぱんに要望せられまして、政府側といたしましても、事きわめて重大な問題でございますので——沖縄側の言われる点によりますると、御承知のように、百数十億の巨費を要するものでございまして、こうした問題に、果してそれだけの数字があるものかどうか、損失があったものであるかどうかということ自体も、日本政府といたしましては現状におきましては調査をすることもできないような実情でございます。そこで、との問題は別といたしまして、とにかく一応関係者でこの要望について実情を調べて、日本側としていかなる措置を講じたらいいか、いかなる態度で臨んだらいいか、まず法律的な根拠はどうであるか、またそのほかの政治上の義務というものはどうであるかということにつきまして、いろいろ関係各省集まりまして非常に熱心に検討いたしたのでございます。最近までの結果によりますと、さらにまた自民党沖縄問題の特別委員会からも政府に向って質問書が来ておりまして、これに対していかに回答するかということもついでにいろいろ検討いたしております。  その結果につきましては、おそらく外務省からも御答弁があり、また大蔵省からも御答弁があったことと思いますので私からは省略いたしますが、現状におきましては、現に沖縄アメリカ施政権のもとに置かれてあるし、日本としてはほとんど手の施しようのないような実情でありますので、この問題は別にして十分検討しよう、そのかわりにアメリカ側に対しましてはさらに熱心に島民実情を訴えて、何とかアメリカ側においても財産的な損失に対する補償とか見舞の方策を講ずることについても強く要望しようじゃないかということになったわけであります。そこで、さらにこれは超党派的に沖縄実情を御同情願いまして、自民党なり社会党の超党派的な御計画のもとに、先般小笠原、沖縄救援のために、あるいはまたこれらに対するいろいろな今後の対策実施のために南方地域同胞援護会というものが組織されまして発足いたしております。政府側においてもこれに対しまして、不十分ではございますが、ある種のいろいろな事務的な援助はもちろんのこと、財政的な援助もいたしておりますが、この団体等が今後中心になりまして、今の御質問のいろいろな点につきまして政府側とも一つ十分に協議をいたしまして、政府としてできることからできるだけ実施していったらどうか。ただ、今の島民からの要望にありまする非常に大きな土地損失補償問題ということは、財政的にも非常な大きな問題となっておりますので、今直ちにこれを解決することは困難であると思います。これはこれとして、沖縄島民実情をよくお聞きしまして、政府として実際問題としてできることは一つできるだけ便宜をはかっていきたい、かように考えておるわけであります。  概括的なお答えで、はなはだ御不満と思うのでありますが、以上のような点で一つ御了解願いたいと思います。
  5. 穗積七郎

    穗積委員 この問題に対しましては、内閣誠意を持っておられることは、われわれも認めないわけではございません。ただ問題は今の生活の問題であり、金の問題でございますから、問題はやはりその誠意が客観的に金の額なり、時期なり、援護方法に具体的に現われなければ、その誠意を十分現実的に信ずるわけにはいかない。そこで今副長官お話によりますと、大体先般できました南方同胞援護会、これを通じて政府からも何がしかの財政上の援助をして、それを通じて同地域における窮民の経済的な援助をしたい、こういうような御趣旨のようですが、一体今年度予算においてどれだけ、来年度予算においては——これはまだ国会で審議するわけですが、大体政府の御方針ではどの程度のものをお組みになるおつもりであるのか、今年度及び来年度に対する御方針を伺いたいと思います。
  6. 山手滿男

    山手政府委員 同胞援護会につきましては、先般来国会方面あるいは与党方面からも非常に熱心な御要望もございまして、御承知のように政府官房長官からただいま申し上げましたように踏み切って、これに十分な誠意を尽してできるだけのことはするという方針を決定いたしました。先般沖縄方面に相当な災害がございまして、先ほど官房長官からも申し上げましたように、わが国としては法律上からも、現在のいろいろな情勢上からも問題はありますけれども、この援護会を通じまして気の毒な沖縄罹災者に対しましては、できるだけの措置をしたいということで、一千万円をとりあえず予備費の方から支出をいたしまして、誠意の一端を見せることにいたした次第でございます。これにはいろいろな問題もございます。御承知のような、今官房長官からも御説明申し上げましたような沖縄が特殊な地位にある関係もございますので、政府がいきなり何か差し出がましいことをし過ぎたようなことでもいけませんし、そうだからといって、あまり消極的でわけのわからぬ言い分を通すということでもいけませんし、こういう援護会のような機関ができたのを機会にいろいろ今後も考慮をいたしまして、万全の措置を講じたいと考えておる次第であります。
  7. 穗積七郎

    穗積委員 来年度予算はどれだけですか。
  8. 山手滿男

    山手政府委員 来年度予算編成につきましてはいろいろ協議もいたしておりますけれども、こういう援護会につきまする経費のごときものは、上級の機関における配慮も必要でございます関係上、まだペンディングしておりまして解決をいたしておりません。今後いろいろ政治情勢ともにらみ合せまして、こういう問題が最終的に解決されることになるだろうと思います。
  9. 穗積七郎

    穗積委員 来年度予算はあなた方がお組みになるのではなくて国会がきめるわけですね。だからそんなことを聞いているのではない。どれだけにきまるとかどうということでなくて、大蔵事務当局としては一体どういう予算の原案を政府案として作りつつあるか、また政府案としてでなくても、大蔵当局としての素案でもけっこうですが、それは一体どの程度か、それをこの際示してもらいだいのです。
  10. 中尾博之

    中尾説明員 予算編成の作業におきましてそういう仕事をいたしておるわけでございますが、まだ大蔵事務当局といたしまして、現在の段階において事務的に固めたものはできておりません。本年度、先ほど来お話の出ました分も、諸般の情勢に顧みましで、本件につきましては幅の広いいろいろな進め方をしていく必要があるということから、官民を通じましていろいろな手を打ちたいという御趣旨であったように思いますが、これらの施策はだんだん具体化してくることと思います。来年度どういう方向に重点を置きますか、まだ普通の経費等と異なりまして非常に進行しておる状況にあるものでございますから、なお状況を見る必要もあろうかと思います。そういうふうな事情で、事務的な、内部的な何らの結論を得ておるという段階ではございません。
  11. 穗積七郎

    穗積委員 それではこまかい数字はよろしゅうございますが、本年度は速急にできたことであって、予算決定後にできたことですから、今政務次官の話によると一千万円ですけれども、来年度においては、予算編成前においてもすでにこの事態はわかっておるわけなんだから、従ってまさかこれよりややふえたという程度のものではなかろうと思うのですが、そういう意味では激増することをわれわれは期待するのだが、そういうふうに期待してよろしゅうございますか。
  12. 中尾博之

    中尾説明員 予算編成でございますからいろいろ手続もございますわけで、それに対してとやかく私が申し上げるのもいかがかと思いますが、その基盤になりまする事業のこの困難なる事態を、どういう手を講じまして打開していくかということにつきましては、各方面大蔵省そのものにおきましても実は心を砕いておるところでございます。それらにつきまして方向をきめまして、何とかうまい方法を探していくということに努めておるわけでございます。それらの計画に従いまして、それに間に合うだけのものを計上するというつもりではおります。これはほんとう手続の初歩の段階でございまして、来年度予算そのものについて決して今申し上げておるわけではありません。これは御了承を願います。
  13. 穗積七郎

    穗積委員 今のお話で問題が非常にたくさんあるわけですが、第一同胞援護会ルートを通じて、たとえば土地補償損害補償、それからいろいろな厚生資金あるいは年金、あるいは教育資金、そういうふうなものを各実情に即して積み上げ式でおやりになる、——同胞援護会を通じてお出しになるつもりであるのか、そうではなく大体つかみ金として、ひもつきでなくてどういう方面に使おうと自由に、一つ同胞援護会現地と打ち合せをして処理してもらいたい、こういう御方針であるのか、どちらの方針をとられるつもりなのですか。
  14. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 便宜私からお答え申し上げます。今回できました同胞援護会は御案内のように、まず沖縄島民がどれほど困窮しておるかというふうな実情を、従来沖縄代表者方々日本に参りまして各方面に訴えまして、相当こういうことが日本国民の間にもはっきりわかってきておるわけであります。しかしながらこれは一時的でありまして、一時プライス勧告が出ました当時は、相当このことが一般に認識されたように思うのでありますが、まだ不十分ではないかと思うのであります。ほんとう沖縄島民がどんなに困っておるかということは、もっともっと強く国内に宣伝をして一般国民に同情を訴え、また理解を求める必要があると考えております。さような意味から、まず同胞援護会としましては、沖縄実情を十分に日本国民のすみずみにまで理解を持たせる、同調させるということが必要ではないかと思うのです。それからもう一つ救援関係であります。救援関係と申しましても同胞援護会が金を集めてやるということも考えられますけれども、やはりある程度国家援助によって救援事業も行うということもあり得ると考えます。そこで実は私どもの考えとしましては、同胞援護会の第一発の事業としまして、同胞援護会から救援物資現地の方へ送り出したいという計画を持っておりましたが、まだ同胞援護会ができたばかりでございまして、十分その機能を発揮できなかったもので、やむを得ず日本赤十字社を通じまして現地に送ったような次第でございます。将来同胞援護会の基礎が確実になりましたならば、同胞援護会を通じましてこうした救援物資をお送りしたらどうかということと、それからまた同胞援護会自体としまして、国から金を出しまして相当な事業を行うことができるようにしてみたらどうか、いろいろの関係からむずかしい問題でありますが、そういうことも考えられるわけであります。それからもう一つ同胞援護会のできました大きな一つ任務は、単に同胞援護会政府から金をもらって救援事業をやるということ以外に、今お話のような土地補償の問題であるとか、そのほか生活資金の問題であるとか、あるいはまた教育資金の問題であるとか、いろいろな問題がお話のように堆積しておると思うのであります。こうした問題を沖縄島民代表者の方が喜々政府に向っていろいろと折衝することも最も必要だと考えておりますが、それ以外に同胞援護会というものが中心になりまして今後政府と十分に折衝を重ね、幸い同胞援護会は超党派的に国会皆さん方も御関係になっておるのでございますが、こうした点からも今後この問題を一つ一つ解決していく意味におきまして、同胞援護会中心になって一つ政府とも十分折衝していく、また政府現地との間に立って仲介あっせんの労をとる、こういうふうな任務があるわけでありますが、こうしたことが同胞援護会のできたごとによって非常に大きなプラスになるのではないかと考えております。できるだけ政府としましても、同胞援護会中心にして、今後沖縄問題の解決に一歩々々前進していったらどうか、かように考えております。
  15. 穗積七郎

    穗積委員 具体的に三りの点についてお答えいただきたいのです。第一は沖縄県人の経済的援護につきましては政府が直接出す方針と、それから同胞援護会を通じて、それに流し込んでやる方法同胞援護会はもとより政府資金だけではございません。ですけれども政府としては直接やる場合と、それから同胞援護会を通じて流す場合と二通り考えておられるのか、同胞援護会を通じてのみお出しになるつもりであるのかいずれであるか、それが一点。  第二点は先ほどの質問に対してお答えをいただいておりませんが、同胞援護会へ流します場合には使途についてワクをはめてお出しになるつもりであるのか。使途については現地との打ち合せの上で決定することを委任して、つかみ金でお出しになるつもりであるのか、いずれであるか、これが第二点。  第三点は本年度予算においては火急であるという理由によってたった一千万円でございますが、来年度は額は示さなくてもこれが急増するものとわれわれほ期待いたしておりますが、そういう御方針と了解してよろしいかどうか。  その三点について具体的にお答えをいただきたいと思います。
  16. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 私の方からお答えできるものはお答えいたしまして、なお政務次官の方からお答えしていただきます。  第一の同胞援護会を通じて政府のいろいろの事業をやるか、直接やるかという問題でございますが、これは御承知のように憲法の規定とかいろいろな関係がございまして、同胞援護会をそのまま政府の手足のように使って、それをいわゆるルートとして使うということも非常に困難な場合があるわけなのです。今度の救援物資のようなものは、これは同胞援護会で取り扱って差しつかえないと思いますが、そういうような関係から事柄の内容によりまして政府が直接やる場合があるので、たとえば現在いろいろな恩給の関係とか、軍人遺家族援護金関係とか、そういったものは政府が直接現地に参りまして、南連の出張所を通じまして政府交渉して、日本政府が直接金を交付しているという場合もございます。これは事柄性質から直接やった方がいいという考えでございます。それからいろいろの救援関係とかそういったものにつきましては、事柄によりましては同胞援護会を通じてやって差しつかえないと思っておりますので、これは同胞援護会を十分に活用してやっていったらどうか、こういうわけであります。  それからつかみ金でやるか、一定のワクを示してその範囲内でやらせるかという問題でありますが、これも今第一にお答えしたと同じような問題で、やはり事柄性質によって一概にどちらにいたしますということは、ここでお答えできないと思います。  それから第三の急増するかどうかという問題は、これは国家財政関係もございますから、われわれとしてはできるだけの誠意を持ってやりたいと考えておりますが、国家財政とのにらみ合せで御趣旨に沿うように十分努力はしていきたいと思います。
  17. 前尾繁三郎

    前尾委員長 穂積君、官房長官の方は次にまた行かなければならぬから、高岡君も質問したいそうですから……。
  18. 穗積七郎

    穗積委員 それではもう一点だけ。大体それで今までの方式と実情がわかりました。しかしながら最初私が申しましたように、それが現在誠意のすべてであるということでは、われわれとうてい満足できない。現地諸君もおそらくは失望するだろうと思うのです。御承知通り講和条約前の補償問題に対する要望、これはアメリカに要求すべきであるということをわれわれ社会党国際法上明確に主張いたしております。ですからこれは交渉するのはけっこうなんです。交渉するのはけっこうだが、交渉が長引いて手元になかなか渡らないということであるならば、名目はどういう名目でもいいからその一部ないしは全部を立てかえてもらいたい、肩がわりしてもらいたいという要望があるわけなのです。そのときに出ておる額が私の記憶では多分百七十二億くらいだと思いましたが、それだけでもそういう額なのです。そのほか生活資金教育資金等々あるいは災害資金等も見ますと、それに対して出した答と誠意が一千万円であるというようなことでは、これはやはりあまりに政治性がなさ過ぎるのではないか、政治的な誠意が裏切られているのではないかということを私は強く思う。特にあなたに対しては私は先般から個人的にも陳情もし、それからまた根本官房長官にも要請をいたしました。そのときにはなぜ大蔵省に行かないであなた方に言ったかというと、それは今言ったような事の性質上、予算法律に縛られて、そこでどれがどうなっている、あれがああだというようなこまかい技術的な議論をしておったのでは、これは現状に即しないから、そこで大局に立って政治的な処理をしたらどうだ、そのときにははからずしてわれわれの考え並びに内閣官房長官、副長官のお考えというものは、予備金の中から今年度は少くともまず相当のつかみ金として出して、そうしてこれを何とか救いたいというような意向が示された。われわれが根本長官と会ったときの印象からいたしますと、そういうことを内閣としてはやりたい、大体方針としてきめておるということを明言して差しつかえない、しかしながら大蔵当局諸君が非常に技術的な話をしておるのでこれは解決しないから、大蔵大臣に直接言って、一つ急速に解決するつもりだという趣旨のお言葉があったわけです。従ってわれわれはそのごとを期待しておったわけですが、今のお話ですと、予備金から約一千万円ばかり出したというのでは——これはやはり内閣官房長官なり、副長官政治的な立場に立ってものを即決し、判断してもらいたい。われわれ国民要望したことは何ら価値がないことになるのですよ。たった一千万円を予備金の中から出したというだけであるならば、何も政治的な大局に立っての判断を請う必要はないのであって、ごく技術的なまたは事務当局でもこれはできることなんです。それがすべてのお答えだということでは、われわれは失望せざるを得ないので、そこで内閣のあなたの立場に立って、そういうこまかい款項目等に縛られないで、この際火急的な事態が起きたことだから、これに対しては政治的な親心と、大局に立って決断をする、そういうことをわれわれはあなた方に、内閣に期待しているのです。それに対してはわれわれは、先ほどの御答弁では事務的な御答弁であつて、政治的な御答弁をさらに伺っていないので、これは与党の関係委員諸君も同感だろうと思うのですが、その点の御決断を促す次第ですけれども、この際お考えをそういう面から固めて御発表いただきたいと思います。
  19. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 ちょっと御質問趣旨が多少混同、しているようにも思うのですが、一千万円と申しますのは、これは同胞援護会の今後の運営費でございまして、それは一応予備費支出するということを申し上げたのではないかと思います。穗積委員のおっしゃっているのは、同胞援護会の問題ではなくして、むしろ実質的な補償金とか、見舞金をどうするかというもっと大きな問題をおっしゃっているのではないかと思いますが、この点につきましては、先般来も大蔵、それから外務方面からお答えがあったように、これは別途に一つ政府としても十分検討さしていただきたい、こういうような段階でございます。
  20. 穗積七郎

    穗積委員 いや、その検討を要請したらやると言ったのに、同胞援護会に一千万円出すという答えだから、それではわれわれは納得ができない。しかも政府が出すについては同胞援護会に出す。直接出すというのに一銭も出しておらぬということでは、これは聞えませんぞということです。
  21. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 今の政府考えておりますのは、見舞金とか補償金とかいうものは別途な問題としまして、いわゆる沖縄問題を将来解決するのに大いに役立ってもらうところの同胞援護会というものに対して、とりあえず一千万円出した。それから三十二年度においても相当な額を大蔵省に要求いたしまして、この同胞援護会の活動費として相当なものを出そうじゃないか。それからもう一つのいわゆる実質的な見舞金補償金につきましては、これはまた非常に大きな額になりますので、これにつきましては法律的の義務があるかどうか。それから実質的に現在沖繩は平和条約第三条によるところの施政権によってアメリカが占有し、アメリカが行政をやっておりますから、日本として直ちにこれに対して関与できない状況でありますけれども、ひとまずアメリカ側に要求しようじゃないか。それとは別に日本側としてもこの問題については真剣に検討しようじゃないか。そのほかにも今お話の内南洋からの引揚者の問題、これらにつきましてはすでに在外財産の審議会ができまして、これがすでに政府に答申しておりまして、答申の内容によって政府としては善処したいというような考えでおります。それからいろいろ資金の問題とか、こまかい問題があるようでありますが、これは今後一つ逐次同胞援護会等の御協力を得て検討していったらどうか、こういうことでございます。
  22. 穗積七郎

    穗積委員 一点だけ注意しておきますけれども、僕は沖縄問題に対してあなたは非常に誠意を持っておられることを信じておった。だからその努力を私どもも全然無視するわけではないが、それはあなた、数カ月前のお話と同じなんですよ。今のお話はそれより後退している。そのときもわれわれは比喩的に言ったが、火事のときの火災見舞と選挙のときの陣中見舞は早い方がいい、おくれてはだめですよということを言ったら、その通りだと言ったが、もうけつへ火がついて悲痛な叫びをあげておるのに、いまだ検討中だとか、あるいはまた法律上の何が云々だということを言っておる。それが事務当局の御答弁ならいいが、内閣を代表する政治的な方針決定がそういうことだ。しかもその内容たるや、考慮しましょう、まだ、研究中ですというのが今の結論なのだ。これでは私は何のことやらわけがわからぬので、そこでバトンを与党の諸君に渡します。われわれ野党ですから……。与党によってできておる内閣、しかもその与党の諸君もあげて、一人といえどもこの救援については反対しておらぬ。私は少くとも腹の中のつもりでは、今年度予算においては予算に縛られておるから何百億という金は無理にしても、少くとも十億近く、五億から十億の金はこの際当座の見舞金として出すものだというふうに実はお互いに期待しておった。この話は予算法律の話ではございません。政治的の話ですから、われわれ社会党としては、あくまでそのことを期待し、要望いたします。そこでそういう話は、今の政党内閣であるならば、与党が決意すれば内閣でできることなのです。われわれは野党であってもそれを了承します。ですから与党の諸君一つ内閣を鞭撻してこれを早く実行してもらいたい。そういうことを強く与党並びに内閣要望いたしまして、私の質問はこれでちょっと一応打ち切っておきます。
  23. 前尾繁三郎

    前尾委員長 高岡大輔君。
  24. 高岡大輔

    高岡委員 私ただいま田中官房長官お話を承わっておりますと、副長官は少し勘違いしていらっしゃるのではないかという気がするのであります。といいますことは、援護会のことにつきましては先ほど穗積委員との間に、これもちょっと、実際は違っていないでしょうけれども、聞いておる者には線が違っておったような気がするのでありますが、私今ここに時間をお急ぎのようでありますから簡単に要点だけをお伺いします。  それは端的に申し上げまして、昭和三十二年度見舞金とでもいいましょうか、そういったようなものについてこれを予算化していただける御方針であるかどうかという一点であります。それは詳しいことは副長官外の方々に申し上げますし、また何を私が聞いておるかということもよくおわかりだろうと思いますので、その一点だけを副長官にお伺いいたします。なおつけ加えて申し上げますが、さっき副長官のおっしゃったことで違っておりますことは、内南洋から引き揚げてきた者に対するものは在外資産云々とおっしゃいましたけれども、あの方々政府要望していらっしゃいますのは在外資産ではございません。引き揚げてこられた方々が生業資金とでもいいましょうか、これは内地に引き揚げた人に、そのときに三万円とふ五戸円とふいうものを貸し付けた、その問題であります。これは在外資産とは違います。そういう方々沖縄には三万何千人いらっしゃるというその問題でありますので、それもあわせて一つ答弁願いたいと思います。
  25. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 私から現在お答え申し上げる範囲におきましては、今見舞金の問題は、やはり補償金の問題なんかとも関連性がありますので、本質的にこうした問題を政府側としまして検討しませんと、現在のところまだ二十二年度予算に要求するという段階にまで立ち至っていないわけでありまして、その点は私どもも非常に遺憾に思っておりますが、こういう点につきまして、今後同胞援護会の皆様方とよく関連をもちまして措置していったらどうか、かように考えておるわけでございまして、現在のところ、三十二年度予算にこれを計上するというところまで——本質的な問題がまだ十分解決しておりませんものですから、そこまで立ち至っていないということはまことに申しわけないのでありますが、実情としましてはそういうことだけを申し上げておきます。
  26. 高岡大輔

    高岡委員 私は、田中官房長官内閣のうちで沖縄担当官でいらっしゃるというのでお聞きしたのでありますが、その以前の問唐とでもいいましょうか、大蔵当局に対してお願いというか、お伺いしたいことがございます。それは、先ほど来の質疑応答によっておわかりになりますように、この問題は法律的に論じて参りますとなかなか敏妙なものがありまして、結局今の段階におきましては、外務省としても大蔵省としても、法律的な結論というものは、一応個人的なものはお出しになっていらっしゃるかもしれませんけれども、省としてはまだおきめになっていないということを聞いております。それほどにこの問題はなかなか複雑微妙でありますし、これを研究していきますのは、ただ単に日本政府部内だけできめてみたところで、アメリカという相手もあることでありますので、一方的に結論がついたからといって、その結論で済むわけでもありません。それほどに非常に微妙ではありますが、従ってこの問題の解決には相当長期間を要するだろうと思います。しかし沖縄方々は、その解決が長い期間後において行われるそれを待つほどにはあまりにも困っていらっしゃるということが、言葉をかえていえば、この際見舞金というものを政府としてはお考え願えないだろうかというところに問題がしぼられてきたわけであります。私が言うまでもなく、過般の日ソ国交調整の際は、わずかな島に対しても、全国民とでもいいましょうか、あらゆる面から強くこれが詮議されています。また国家としても非常な重大関心事であったのであります。ところが沖縄は、潜在主権がありますとか外交保護権があるとかいうことをいわれますけれども、領土問題という面からいいますれば、これは非常な大きな問題であります。北洋に浮ぶ島々とはとうてい比較にもならないような大きなところであります。従いましてこの問題も、きのうの委員会において外務当局との間にいろいろ質疑応答が行われたわでありますが、それについては外務当局としては将来誠意をもって対米折衝をやっていくということなのでありまして、しかも今暁安保理事会においてようやく全員一致認められましたことから、近い将来総会においていよいよ日本が国連に加盟ができますれば、国連の内部においても、あるいは人道問題をひっさげ、いろいろの面から沖縄問題というものが世界の話題として取り上げられていくだろうと思います。そういう面から、沖縄施政権の問題というものは今後いろいろの面で強く折衝が行われるだろうと思うのでありますが、もし幸いにして日本施政権が返ってきますれば、今度は国内並みの取扱いとでもいいましょうか、そういう境涯に立ちます。そういたしますと、私は大ざっぱな勘で申し上げるのでありますけれども、平衡交付金を一応考えてみますと、数十億の金が沖縄へ行かなくちゃいけないというような結果になるだろうと思う。それほど沖縄が困っているということは何に基因するかということを掘り下げて言ますと、ここで講和発効前の補償問題でいつまでも法律論を戦わしていたのでは、沖縄方々は非常に気の毒ではないか。こういう意味から昭和三十二年度には、金額のいかんは別といたしましても、何とかして日本政府は同じ日本人のために見舞金を出すべきだ、こう私は考えるのであります。これに対して大蔵当局はどうお考えになっていらっしゃるか、この点をお伺いしたいと思う。
  27. 山手滿男

    山手政府委員 当面の沖縄問題のみならず、いろいろ複雑な問題を蔵しております恒久的と申しますか、本質的な沖縄問題をめぐりましては、ただいま高岡委員からお話がございましたことについては、私どもも全く同感に考えておりますし、それだけに大蔵省におきましても、いろいろ研究もいたしますし、議論もし苦慮もいたしておるところでございます。単に大蔵省で事を断じますのには非常に大きな問題でございまして、外務省はもちろん内閣全体といたしましても、この沖縄問題については誤まりない方針を確定して将来に処していく必要があろうと思います。ただ大蔵省自体から申しますと、御承知のように予算の問題になりまして、これはもういろいろ問題が複雑でございますし、来年度予算につきましても、予算編成大綱を内閣によってきめていただかなければいけませんが、その編成方針に関しましてどういう方針を打ち出していくのか。これも沖縄問題につきまして何億というふうな金を出すことになりますれば、もちろん当然予算編成方針の中に大綱として盛り込まれていかなければならないものであろうと考えます。ただしかしそれを大蔵省だけで判断をいたしましてこういうふうにするということではもちろんいけませんので、外交的にも対外的ないろいろな関係等も配慮いたしまして、内閣全体として決定を願う必要があろうと考える次第であります。今大蔵省の方でも来年度予算編成につきまして鋭意研究努力をいたしておりますが、この問題についてはまだ最終的には大蔵省としても結論を出しておりませんが、お説もありますので、よく検討をいたしたいと考える次第であります。
  28. 高岡大輔

    高岡委員 今の政務次官の御答弁は、御当局としてはごもっともなことでありまして、今ここではっきりした数字をお出しになれないことは了承いたします。しかし大蔵当局としては、今後の予算を組んでいきます上においては、これを十分頭に置いて一つ御配慮願いたい。  それから先ほど田中官房長官沖縄のいろいろの問題についておっしゃったのでありますが、調査ということは私は非常に困難な事情にあると思うのであります。たとえて言いますと、いわゆる戦死者を調べていきますにしても、戸籍がなかなか正確に出ないということから、戸籍を調べることから始めたのではなかなか容易なことではないと思います。しかも先ほど田中官房長官がおっしゃいましたように、政治的といいましょうか、何しろ米軍に施政権が握られている関係上いろいろなことがございます。そうした面は、せっかくできました南方同胞援護会の手によって、政府が直接手出とのできないようなところは、この団体によって一つ十分な基礎調査をさしていただきたい。それがためには先ほど穗積委員が言われましたように、南方同胞援護会経費というものについても、そういう含みのあることを御承知の上で、一つ十分な補助をしていただきたい、こう思うのであります。  それに一つつけ加えて申し上げたいことは、この問題を一々解決していきますことは、どうも内地並みの考え方をなさるような向きがあるのでありまして、私が昨年でありますか例の戦死された少年兵の問題で政府にお願いしたことがあります。幸い政府の方でもこれに対処されまして、調査官を派遣されていろいろ調査をしておられ、なるほど御好意はありますけれども、その調査官の派遣の人数でありますとか、そういうところから見ますと、実に情ないような次第であります。そういう意味から言いまして、南連としましては精一ぱいやっていらっしゃるとおっしゃいますし、また事実その人一人の仕事の量から言いますれば非常な努力をされております。しかし人間には御承知のように、どうしても仕事の量というものはきまっておりますから、この沖縄に関するあらゆる面の機関に対しては、一つ存分に調査官といいましょうか役人の数を思い切ってふやしていただきたい。といいますことは、もう十年もほっぽらかしてしまっておるのですから、今から取り返すことは容易なことではありません。従いまして、きのう起ったことをきょうから手をつけるというなら現在のような状態でもいいと思うのでありますけれども、十年もほっぼらかされたものを一挙にここで片づけなくちゃいけないという情熱が政府部内にある限りにおいては、私はもっとやり方が違わなくちゃいけない、こう思うのでありまして、一つこういう面もあわせて大蔵当局は心に置いて予算措置を講じていただきたいと思うのでありますが、これらのあらゆる面における調査の問題に対して、大蔵省としては十分御配慮が願えるかどうかいその点をお伺いしたいと思います。
  29. 山手滿男

    山手政府委員 ただいまお尋ねのありました通り、十二分に調査をいたしまして間違いのないような処置をとることが大切でございまするし、大蔵省としてもその点は全く同感でございます。その衝に当っておられます関係機関の機構を充実するようにというお話でございますが、これは行政管理庁そのほかとの関係もございますし、十分協議検討をいたしてみたいと思います。
  30. 高岡大輔

    高岡委員 ほかに他の方もまだ御質問があるようでありますから、最後に一点だけお伺いして私の質疑を終りたいと思います。  それは、新聞記事は当てにならないというと新聞記者諸君は怒るかもしれないのですが、けさの東京新聞を見ますと、こういうことが書いてあります。  沖縄平和条約発効前における王地補償問題については現地側の強い要望に基いてかねてから政府部内で懐重検討中であったが、十二日夕刻内閣沖縄問題を主管する田中官房長官、石井南方連絡事務局長、中川外務省アジア局長中尾大蔵省主計局法規課長が会合協議の結果、沖縄の接収地に対する補償もしくは見舞金の問題は明年度に持ち越すことにきまった。沖縄の軍用地接収には、すでにその昭和二十九年四月二十九日以降、すなわち平和条約発効後の分については米軍による補償が実施されているが、条約発効前の分については米国務省が桑港条約十九条により米国にはその補償義務なしと明言していた。困窮した住民は今年春から政府及び国会に代表を送り、昭和二十年三月米軍占領以来平和条約発効までの接収土地補償を要求していたが、今回政府側各代表の最終的協議大蔵省の強い反対が通って来年度持ち越しとなったものである。  こういう記事であります。最初に申し上げましたように、新聞記事というものはうそもあったり、ほんとうもあったりしますのでわかりませんが、もしもこういうことが事実だとしますと、今お聞き及びの通り大蔵省の強い反対によってということだと、ちょっと事がめんどうになるかと思うのでありますが、このことについて一つ答弁を願いたいと思います。
  31. 山手滿男

    山手政府委員 私はその新聞記事のことはよく承知をいたしておりませんし、まだそこまで結論を断定したことはないと考えておりますが、記事に出ております本人がここに来ておりますから、本人の方から答弁をいたさせます。
  32. 中尾博之

    中尾説明員 実は承わりまして非常に意外でございます。そのような事実は全然ございません。先ほど来官房長官から御答弁もございましたように、いろいろ相談はいたしております。いろいろお答え申し上げますにつきましても、一々関係省と打ち合せておるわけでございますから、それらの打合せの会合が数回開かれたことは事実でございますが、昨日そのような会合を行なったこともございませんし、何らかそこに書いてございますような話が行われたというようなことも全然ございません。その点御了承願います。
  33. 前尾繁三郎

    前尾委員長 伊東隆治君。
  34. 伊東隆治

    ○伊東(隆)委員 新内閣予算ということも言われますが、山手政務次官は党に帰られてもやはり予算面においては重要なる役割を演ずると思いますので、特にお願い申し上げますが、先ほど来穗積委員官房長官質問応答を聞いておりますと、論点相違である感が非常にいたしたのであります。もっとも沖縄の問題につきましてはいろいろの問題がある。今さしあたりあ問題といたしましては、とにかく飢えておる。この飢えておるわが同胞に、本国として一日も早く救援の手を伸ばすべきではないかというところから、とりあえず援護会なるものもでき、またわが与党内にも特別委員会ができまして、さしあたり緊急措置をとろうというのであることは政務次官もよく御承知通りと思うのであります。それでやり方はやはりどうしても緊急措置でなくてはいけない。恒久的な対策と緊急措置とあることはもとよりでございますので、その緊急措置を早くやっていただきたいということであります。その緊急措置の中でまたいろいろありますが、さしあたり今沖縄方々が口をそろえてここにお願いに参っていることは、例の生業資金の問題であります。内地においてはもうすでに以前から三万ないし五万生業資金を貸し付けております。ところが沖縄の引揚者、ことに南洋委任統治地域から大挙して引き揚げてきた沖縄の同胞は、あれだけたくさんの財産を残しておる、そういう在外資産の問題ではございません。引き揚げてきて後の生きていくためのお金がほしい。ところが行政区画が別になっておりますので、わが方から出かけていって貸し付けるわけにいかないとか、また向うから出てきてお借りするわけにもいかないということがございますので、見舞金という名が果して適当かどうか知りませんが、緊急にそういうお金を、たとえば十五億のお願いがあるなら、十五億できなくとも、少くとも数億の金はこの際緊急的に、先ほど山手次官が言われたように、これを予算の大綱の中に入れて政務調査会で一つ検討して、また沖縄特別委員会それからわが外務委員会等が寄って、思い切った額をお見舞としてあげる、こういうような措置がとにかく願わしいのであります。よく今日まで言われましたように、ちょうど八十万に達する沖縄の住民は、山梨県あるいは岐阜県程度の人口でございまして、これらべの政府の交付金とかその他大水があったとか風が吹いたとかいうことでやっているお金を総計いたしますと、相当の額に達しておる。そういう事柄もずっと計算し、またはバランスを見ていただいて緊急措置をとっていただきたい。さしあたり生業資金という意味で、飢えておる沖縄の住民にパンを与えていただきたい。これは緊急な問題だと思うのであります。多分この外務委員会でもその点に集中して沖縄要望についての審議があると存じますので、特に山手次官に対して希望する次第であります。
  35. 山手滿男

    山手政府委員 ただいまの伊東委員の御質問でございますが、先ほどから申し上げておりますように、沖縄の住民の皆さんに対しましてはいろいろ御同情を申し上げ、また私どももできるだけのことはいたしたいということで、先般来いろいろ事務当局にも命じまして検討をさせ、種々研究も重ねさしておるところでございます。ただ御承知のように、沖縄は終戦後ああいう状態になりまして、日本の直接的な統治権の外に置かれた実情にございます。私どもがただ感情論だけで直接統治の実態に触れたような施策をぐんぐん押し進めていきますることについては、法律的にもまた制度的にもいろいろ無理があるのじゃあるまいか、相当難点があるのじゃあるまいかというふうな感じがいたします。やはりこれは大きな外交折衝とかいろいろな問題ともからんで参る問題でございまして、その取扱い方につきましては全く苦慮をいたし、さらに慎重を期そうということに事務的にも今なっておりまして、鋭意協議を進めておるということであろうと思います。さきにも申し上げましたように、沖縄の住民の皆様に対しましてほ、できるだけのことをして、いろいろ苦しい現状を克服して参りたい、こういうことでせっかく対処いたしつつある次第でございます。もちろん来年度予算編成等におきましても、私どもも皆さんと御協議を申し上げ、できるだけの処置ができるものならばするように努力したいと考えておる次第でございます。
  36. 伊東隆治

    ○伊東(隆)委員 ぜひそういうふうにお願いいたしたい次第でございます。先般牧野法相とじっこんの間柄にある沖縄の有力な方面から、特に今飢えておる——沖縄の住民全体的に飢えておりますが、特に引き揚げてこられた気の毒な方々に、一刻も早く何とか処置をとってもらいたいという陳情がきましたので、牧野法相から私の方に連絡があったのでございます。そこで水田政務調査会長その他関係方面に私は連絡をとりました。水田政調会長の話によりますと、大蔵当局に対して、年の瀬も見えておるし、非常に飢えておるのだから緊急措置をとってもらいたい、こういう要望をいたしたところが、今日の段階においてできる限り適切有効な方法をとる、こういうふうに大蔵当局が切言をしたということでございますが、政務次官はどの程度にこの問題について聞き及んでおられますか、お聞きしたい。
  37. 山手滿男

    山手政府委員 熱心な同僚議員の皆様方がおいでになりまして、大蔵省の方にもできるだけのことをせよという御要望がございましたことは私も承わっておりますが、党といたしまして、それでは来年度予算編成上どうせいということは、まだ予算編成大綱もきまっておりませんし、全然白紙でございまして、協議もいたしておりません。聞いたわけではないのであります。先ほども申し上げましたように、実際問題としていろいろな問題につながって参りますので、この問題を、法律的といいますか、制度的といいますか、事務的といいますか、すっきりとした形で割り切って解決をしていくということは疑義もありましてなかなか困難であろうと思います。従って、いろいろ世論がわいて参りまして、世論のバックによってこの見舞金そのほかについても大幅なといいますか、できるだけの処置ができるようになってくる必要があろうかと思います。そういうことでございまして、私どももできるだけ御協力を申し上げたいと思っております。
  38. 伊東隆治

    ○伊東(隆)委員 これは法規的にもまた事務的にも当局といたしましてはやはり一応考究すべきことだと思います。かりに法規的にちょっと困難な点があるとしましても、これは政治解決を要するものでございますので問題はないと思いますが、なお大蔵事務当局のこれに対する見解を聞いておきたいと思います。
  39. 中尾博之

    中尾説明員 ただいま政務次官からお答え申し上げましたことで尽きておりまして、それ以外にはないのであります。なお、お言葉に、事務当局にもいろいろ考えている点があるかということでありますが、若干つけ加えますれば、いろいろ問題がございます。災害その他のようないわゆる天災でございますと非常にすっきりいたしますし、恩給といったような過去のサービスに対するいわば債務といったような関係のものでございますと、これもすっきりいたしますが、ただいまの飢えているというようなことでございますと、ある程度施政権者の責任の問題もございまして、これらの問題をとやかく申します関係にも通ずる点が出ててる。いずれも友好国との関係がございますので、それらの点を慎重に考えねばならぬと思っております。いずれにいたしましても、飢えた同胞が友好国の施政権のもとに存在するということは重大な事柄であろうと思います。必ずしも大蔵省所管の問題でもございません。それ以上私が申し上げることではないと思います。それはいろいろな関係がございます。あれやこれやを考えまして慎重に検討いたしたいと思っております。
  40. 伊東隆治

    ○伊東(隆)委員 要するに飢えて非常に困っているということに対して、本国が手を差し伸ばすことは、施政権者のやることに横合いから手を出すような格好になるというような御答弁でございます。事務当局といたしましてはての程度でいいのですが、私が申しているのは、単にそういうことではございません。先ほど申しますように本国にいる引揚者に対しましては、もうすっと以前から更生資金として三万、四万、五万、そういうものでさしあたり個人的に生きていく道を講じている。しかるに沖縄におきます引揚者に対しては、施政権者である米国は何らの措置をとっていないようでございますので、内地における引揚者とのバランスをとる意味からいっても、公正な政治立場からいっても、沖縄における引揚者に対してこの際生業資金にかわる意味の、飢えをしのぐ資金などと言うと、あるいは北海道、わが奄美大島も同じでありますが、そういうことでなく、引揚者に対する国の取扱いぶりというものについて公正な処置をとる意味からいって、沖縄における引揚者に対して手を打っていただきたい。特に沖縄においてはこれらの人々が非常に困っているという現実があるのであります。そこで先ほど申しました通り、新内閣予算ではございますけれども、やはり与党の立場でありますわれわれといたしまして、特に山手次官はこの実に差し迫った問題についての御体験を持たれたので、党に帰られましたら一つ大臣と一緒に大乗的に解決していただきたいことをお願いいたしまして私の質問を終ります。
  41. 前尾繁三郎

    前尾委員長 他に質問がないようでありますから、この際お諮りいたします。過般の第二十四国会閉会中、当委員会より領土問題、漁船拿捕問題及び李ライン問題等について四班に分れて委員派遣を行い、種々の角度より調査いたして参りましたが、これら各班の報告につきましては、これを参照として当委員会会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 前尾繁三郎

    前尾委員長 御異議がなければさように決定いたします。  これにて暫時休憩いたします。     午後零時三分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかった〕