○下田
政府委員 ただいまの
請願につきましては、
請願者におかれましては、
政府は何もしていないというように断定しておいでになりますけれども、
沖縄の八十万同胞の困難の打開については、
政府は熱心に
努力を続けておるわけでございます。なお今後とも
請願の御
趣旨に沿いまして
努力を続けたいと存じております。
ただいまの
松本委員の御質疑でございますが、国連憲章の七十八条に、ある領土、テリトリーズが国連の加盟国になった場合には、その領土がもし信託統治地域であったならば、もはや信託統治でなくなる、普通の国になるという
趣旨の規定がございます。これは
日本文で読みますと多少疑義があるのでございますが、原文によりますると、ある領土がつまり完全に独立国になりまして独立国になった上で国連に加盟した場合に、その国は信託統治地域ではなくなるという
趣旨の規定でございまして、その領土の所属する国が加盟国になった場合には、その加盟国の一部分である領土についての信託統治地域がなくなるという
趣旨ではないのでございます。これはスーダン等がこの規定の対象として想定されておったわけでございますから、従いまして、
沖縄が、自分は
日本ともう分れたい、
沖縄国という国を作るとしまして、そして
沖縄国が
国連加盟国になった場合には、信託統治地域にならぬというまあ仮定の話でございますが、そういうような
意味の規定なのでございます。もとより
沖縄はあくまで
日本の一部で、
日本国と、
日本人――内地におります者も
考え、
沖縄の住民も
考えておりますので、初めからこの規定の対象とならない筋合いなのでございます。もう
一つの角度は、平和
条約の起草者たる
米国は、信託統治地域にしたいということを平和
条約締結前には
考えておったのでありますが、
日本政府の希望がいれられまして桑港
会議の席上、ダレス国務長官が、
沖縄に対しては
日本に潜在主権がある。潜在主権があるという
意味は、現在は戦略的な見地から
沖縄に米軍が存在することが必要であるけれども、戦略的の必要がなくなれば、もうこれは
日本に返すのだという含みで、潜在的主権が
日本にありということを発言しましてそのとき以来、それまで
考えておりました
沖縄を将来信託統治にしようという希望が
米国自身にもうなくなったわけでございますから、平和
条約の規定に信託統治が書いてあることを心配するという必要が現在は全然ない。従いまして、国連憲章七十八条の規定の存在を気にやむ必要もなくなる、そういう
関係になっております。二つの角度からこの問題は懸念の要はないというように
考えております。