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佐々木政府委員 私からお答え申し上げます。
プルトニウムは、御
承知のように、照射された
物質そのものをさらに
化学処理いたしまして、その結果出てくるものでございます。そこで、被
照射物質の中には、必ずしも
プルトニウムのみならず、ウラニウム二三五等が含まれておりますので、これの
回収あるいは
プルトニウムの
分離あるいはその他の
ラジオ・
アイソトープ等の
分離をするのが
化学処理の
任務でございますが、その際なぜこの
プルトニウムを抽出しなければいかぬのかという問題でございますけれ
ども、今御
指摘になりましたように、
英米等では、
一つの
目的が、
軍事目的であることはまぎれもない事実でございます。ただし、もう半面は、
プルトニウムを利用いたしまして、そうして
ブリーダー型式の炉を作りたいというのが将来の大きな
目的の
一つでございます。ところがその
分離いたしました
プルトニウムを平和的に利用する場合に、ただいますぐ
各国におきまして利用できる
段階かと申しますと、これはなかなか問題の多いことでございまして、
プルトニウムというのは、
岡先生も御
承知のように、非常に特殊な金属でございまして、熱が高くなりますと亀裂を生ずるとか、あるいは
ラジオ・
アイソトープからくる障害が非常に大きいとかいうような特殊な性格を持つわけでありまして、ただいまの
段階では、抽出いたしました
プルトニウムをそのまま平和的な
原子炉に利用できるかと申しますと、なかなか問題の多い点のように見受けられます。そこで、
各国では、その
プルトニウムを、ただいまの
段階では、もっぱら
研究用として使っておるようでございます。平和的な面に限って申し上げますと、そういう状況のようでございます。
そこで、
わが国といたしましてどういう
段階かと申しますと、そのできた
プルトニウムは、少量なりとも
わが国でも、そういう金属的な性格あるいはそれを燃料に使う場合にはどういうふうな問題が発生して、それに対してどういう対策を講ずべきかという
研究が最も重要な
段階にありますので、これに関しましては、再三
アメリカ側にも申し入れをいたしまして、そうしてもしウオーター・ボイラーにいたしましてもCP5型にいたしましても、そういう
プルトニウムを少量とも発生した場合には、
研究用として使わしてもらえないかということをしばしば申し入れたのであります。向うでも、そういう
研究用にするのであれば、よろしかろうというので、この次の本文の改訂の際にはその条項も入れまして、そうして
研究用の
プルトニウムが
わが国の方でも十分手に入るような措置を講じたいと思っております。
第二段の、将来
プルトニウムを
増殖炉に使えるかどうかという問題につきましては、私
どもの内定いたしました
基本計画そのものにおきましても、七年先あるいは十年先という状況でありまして、
各国とも大体
そのものを
ブリーダーに使って、コマーシャルなべースにおける
発電ということになりますと、まだまだ遠い将来のようにも
考えられますので、その基盤を、先ほど申しましたように、わが方といたしましては、できるだけ
研究も積み、あるいは
化学処理工場も作りまして、そういうふうなそれ以前に出る放射体物質は
わが国で
処理できるようにいたしまして、その結果はこういうふうな利用をしたいんだ、増殖
研究炉あるいは増殖型の
発電炉に使いたいんだ、こういうふうな使途が明瞭になりますれば、その際には
わが国でもそれは使えるのじゃなかろうかというふうな
考えを持っております。先ほど申しましたように、
一つの点は、本文を改訂する際に、少量なりとも
研究用の
プルトニウムを手に入れるような方策を講ずる、将来の問題といたしましては、できるだけ
わが国で
工場を作るか、あるいは
国連等で指定する
化学処理工場のメンバーに入りまして、その一部を借りるなり買うなりするというような方策を講ずべきではなかろうか、こういうふうに
考えておるのでございます。