○志村
委員 今私の申し上げました原子核の
研究については、軍事
目的等とある
程度重複する点もあります。しかし、今度一九六〇年までの
ソ連の第六次五カ年計画におきましては、二百五十万キロの
原子力発電計画を立てております。これは膨大な
費用を要するのであります。しかも、それは決して軍事
目的ではなくして、平和
目的オンリーの問題であります。しかしながら、そこで二百五十万キロという大きな発電炉を作るのでありますが、そのおもな
目的は発電ではないのであります。御
承知のように、
ソ連におきましては、石炭、
石油そのほかの熱エネルギー源としては十分に持っておるのでございまして、発電を原子炉に待たなければならぬという状態ではないのであります。二十年、三十年後に必ず
原子力時代が来るという準備態勢でありまして、
原子力発電も、決して電力をほしいというわけではなくして、これは実用
段階における実験だというようなことを言っておるのであります。
一つの
研究であります。そのために、二百五十万キロの発電炉まで作るというだけの大きな心構えをもって、
研究費としてこれを投下しておるのでありますから、一がいに理屈や理論を申し上げて
議論をするわけではありませんが、軍下
目的ばかりではなくして、平和
目的に対しても、そういう態度をとっておるということを御了解の上、
予算編成にはそのように御
努力願いたいということであります。
次に、正力
大臣にお願いしたいのでありますが、
日本は終戦後十年あるいは十二年も
原子力研究についておくれを持っておるのであります。そのために、あるいは燃料に対する受け入れ協定であるとかあるいは
技術協定ということを言われております。現在はすでに
アメリカ、イギリスとこれを結び、あるいは結ぼうとしておられるのでありますが、同時に私は、
ソ連とも
一つ締結願いたいということであります。と申しますことは、主としてこれは
原料の燃料の問題になるのでありますが、今
アメリカと締結されております双務協定については、
アメリカの
原子力法の手前、いろいろな制限がつけられております。たとえば、
アメリカが
日本に貸与したあるいは売り渡した燃料は、第三国に渡ることを禁止する。それがために、いろいろな監査権といいますか、そういうものもついてきております。あるいは、これには大体秘密はないというようなことを言っても、なかなかすっきりいたしておりません。特にこの燃料から出て参りますフィッション・プロダクトの利用については、
アメリカは厳重にこれを制限して、
日本には一切使用させないということを育っております。最近欧米を回られた人々の話によりますと、
日本で、化学処理について、十分の能力、設備ができたときには、これを許そうと言っておるそうであります。これを私は素粒子論グループの
人たちに聞きましたところが、第一その試験の材料とすべき灰をくれなければ、
日本で化学処理の
技術もできないじゃないかというようなことを言っておるのであって、まず第一に
日本がその灰を手に入れるという方法をとらなければなりません。それについて、
ソ連は全然そういうような制限はつけない。もし
日本で処理ができないから
ソ連にやってくれというなら、やってやりましょう。しかし、
日本でそれを処理したいというなら、どうぞおやり下さいと言っておる。そうして、こういうことも言っております。今、世界では、
原子力の開発が進むに従って、放射能がだんだん蓄積してくる、あるいは将来世界は放射線の共同墓地になるのかもしれない、学者はこれに対してはっきりした結論は出ておらないと言うのであります。それがためには、最も
技術の進んでおる
日本に
協力を求めなければならないのであるから、ぜひとも
日本もこの灰の処理については
協力してもらいたいということまで言っておるのであります。そのほか、もし
ソ連が
日本へ売り渡した場合には――もちろん
ソ連は売り渡すと言っております。貸すのではありません。もちろん貸してくれと番えば貸すかもしれません。しかし売り渡しを原則としておるのであって、売った以上、その
原料が第三国のどこへ行こうが、
アメリカへ行こうがイギリスへ行こうが、決してわれわれの知ったことではないと言っておるのであります。そういうような寛大な条件をつけておるのでありますから、前に
アメリカと
協力協定を結び、そして正力さんの勇断でイギリスとも協定を結ばれようということになったがために、
アメリカの態度は非常に緩和されたということもあるのでありますから、この際、さらにもう
一つの
ソ連と協定を結ばれるようにしていただきたいということが、私の念願でございますが、
大臣の御所見を承わりたいと思います。