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1956-11-22 第25回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年十一月二十二日(木曜日)    午前十時五十分開議  出席委員    委員長 有田 喜一君    理事 小笠 公韶君 理事 長谷川四郎君    理事 前田 正男君 理事 志村 茂治君       赤澤 正道君    稻葉  修君       加藤 精三君    小平 久雄君       中曽根康弘君    山口 好一君       岡本 隆一君    田中 武夫君       福田 昌子君  出席国務大臣         国 務 大 臣 正力松太郎君  出席政府委員         調達庁長官   今井  久君         行政管理政務次         官       宇都宮徳馬君         科学技術政務次         官       齋藤 憲三君         大蔵政務次官  山手 滿男君  委員外出席者         総理府事務官         (調達庁不動産         部連絡調査官) 福間  徹君         総理府事務官         (行政管理庁管         理部管理官)  佐々木 学君         科学技術庁次長 篠原  登君         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   原田  久君         総理府事務官         (科学技術庁企         画調整局長)  鈴江 康平君         総理府事務官         (科学技術庁原         子力局長)   佐々木義武君         総理府技官         (科学技術庁資         源局長)    藤村 重任君         総理府技官         (科学技術庁調         査普及局長)  三輪 大作君         大蔵事務官         (主計局次長) 宮川新一郎君         大蔵事務官         (主計官)   鳩山威一郎君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  科学技術振興対策に関する件(科学技術関係予  算等に関する問題)     ―――――――――――――
  2. 有田喜一

    有田委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について、調査を進めたいと思います。  前会に引き続きまして、本日は科学技術振興に関する昭和三十二年度予算などの問題について、質疑に入りたいと思います。質疑の通知がありますので、これを許します。長谷川四郎君。
  3. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 科学技術振興について、非常にこの点を重く見ておられる政務次官がきょうはおいでになっておるので、政務次官に対しまして、三十二年度の予算に対して、大蔵省としてどういうような考えを持っておられるかというようなことについて、二、三お伺いしてみたいのでございます。  私がちょうちょう申し上げるまでもなく、科学技術がいかに今日必要性を帯びた市大な問題になっておるか、日本経済をいかなる方向に持っていくにも、これなくしてはその目的を達することができ得ないという、こういうような点については、もう申し上げる必要がないと思います。そこで二、三お伺いいたします。わが国科学技術振興費他国比較してみまして、参考に申し上げてみたいと思うのですが、わが国科学技術振興という点について、いかにわが国予算というものが貧困であるか、こういうような点を考えますと、欧米諸国との比較の差というものを、いかに早く急速に是正していくかという緊急性を帯びているわけでございます。たとえば、一九五四年の例を一つとりましても、日本アメリカ英国ソ連、こういう比較をしますと、日本は当時百三十億円であった。そうして、アメリカは七千六百七十九億円、英国は二千六百四十八億円、ソ連が八千五百五十億円、こういうように大きな相違を来たしております。さらにまた、これらの国民所得に対する同予算の比率を出してみますと、日本が〇・二一%、アメリカが〇・七一%、英国が一・三四%、ソ連が二・九%、こういう大きな比較になるわけでございます。ソ連がこう大きく開いているということは、これに伴うところの民間研究というものがないわけでございます。政府出資のみが計算されるから、ソ連が大きく開いておるのでございますけれども、さらにアメリカ英国等比較いたしますと、政府出資のほかに、民間を計算いたしますと、この倍額にもなっていて、すなわち、日本の国の予算くらいのものが、あるいはそれをオーバーするくらいのものが、科学技術振興のために費されているということは、明らかな事実でございます。こういう点につきまして、三十二年度として三百七十億を要求しておるのでございますが、この三百七十億というものも、でき得る限り削るべきものは削り、私たちができるだけの協力をした上に三百七十億という要求が今度出ておりますが、これに対して、政務次官はどのようなお考えをもって御処理なさって下さるか、私たち要求はこれくらいのものじゃ足らないから、もう少しふやしたらどうかというようなお考えもあろうかと思いますので、この点を最初に伺ってみたいと思うのでございます。
  4. 山手滿男

    山手政府委員 ただいま長谷川委員から、米英あるいはソビエト等科学技術振興のために出している予算についていろいろ御説明がございまして、わが国のそれが非常に少いじゃないかというお話でございました。ソビエトあるいはアメリカ英国等におきましては、確かに相当科学技術振興費予算に計上していることは事実のようでございますが、それらの中に、いわゆる軍事的な要請によって盛られたものと思う非常に多くのものがあるように見受けられます。そういうことで、わが国科学振興関係の予貿とすぐ一緒くたにして比較をするのもいかがであろうかと思いますけれども、この国土の小さい、狭い日本で、しかも資源の乏しい状況からいたしまして、日本の活路を見出して参りますためには、何といっても科学技術振興をはかることが最要点でありますので、大蔵省といたしましても、できるだけの努力をするつもりで、いろいろ検討をいたしております。ただ、御承知のように、来年度は減税もやりたいし、あるいは社会保障関係、そのほかについても相当の当然増が見込まれております関係もあり、そういうものとにらみ合せて、よく勘案をし、できるだけ御希望に沿うように善処したいと思っております。
  5. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 わが国科学技術を飛躍的に振興させなければならないのだという意見は、政務次官もわれわ、れも同じだと私は思いますが、特にこの科学技術を飛躍的に振興させるということが、一にかかってわれわれ政治を行う者の最も重要な使命であると私は痛感をしております。よって、このたび科学技術庁の新施策といたしまして、新技術開発公団、また科学技術情報センター化学分析中央機関、こういうようなものにおのおの、たとえば新技術開発公団に十億円、科学技術情報センターに三億五千万円、化学分析中央機関に一億五千万円、こういうような予算を提出しているのでありますか、この新施策実現をどうしてもさせなければならない、これが私たちの与えているところなんでございます。これに対して大蔵省として、政務次官はどういうような御見解を持っておられるか、この点を一点伺ってみたいと出うのでございます。
  6. 山手滿男

    山手政府委員 今お話がございましたような新機関を次から次へと設置いたしまして、それに資金をつぎ込んでいくのがいいのか、あるいは本年あたり発足をいたしました研究所そのほかのいろいろな既存機関を強化拡充し、内容充実していくのがいいのか、いろいろ議論もあるようであります。私どもは、いろいろな観点から、できるだけ新しいものを取り入れていく必要もありますけれども大蔵省としては、すでに発足をさせましたいろいろな機関等をできるだけ充実しつつ、その情勢とにらみ合せて、今お話のあったような新しい分野に手を染めていくことが適当ではなかるまいかと考えているわけでございますけれども、今せっかく大蔵省でも検討させていただいているところでございます。
  7. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 新分野のようにとられるということが、私は非常に残念に思うのでございます。今、発足しているそのものの充実ということもまことにしかりであると思う。しかし、それを充実させていくとい上において、ただいま申し上げたような分野というものは同時に必要性を帯びてくるのであって、今現実にあるその分野の活動をこれらによってより以上、一そう高めていくということの必要性は、欠くことができないわけでございます。でありますから、政務次官がおっしゃる通り現実部面というものを充実していくのだ、これは私も賛成であります。しかし、それを充実していくのと同時に、その充実と伴ったものが並行していかなければ、より以上の充実をさしていくということはでき得ないと私は考えるのでございます。これらの点につきまして、私はきようは政務次官議論をしようという考えではないのでございまして、要は、理解ある政務次官に、われわれの意のあるところを十分おくみ取り願って、そうして、特に新しく生まれたこの科学技術というものの育成をより以上してもらいたいのだ。これは私が申し上げるまでもなく、現に今まで、これが誕生するまでの間、非常に御熱心に、これなくして国民生活向上はない、これを実現してこそ政治というものが世にあるのだという御意見を持っておった政務次官でございますから、御理解があると思うので、私はこれ以上申し上げはしませんけれども、ぜひその点について御理解を深めていただきたい、こう考えるのでございます。  次に、前国会の附帯決議として、昭和三十二年度において科学技術庁の機構を整備拡充すべきことが強く要求されておりました。科学技術庁は、今回航空技術研究所または金属材料技術研究所の拡充及び化学分析中央機関放射線医学総合研究所の新設並びに原子力及び原子工学を含む科学技術に関します総合調整機能充実につきまして、必要な予算要求されているわけです。これは、今申し上げたのに関連をするわけですが、この点についても、もう一段と御努力を願わなければならないので、ただいま申し上げたようなことで、御所見をもう一段とお伺いしたいのでございます。
  8. 山手滿男

    山手政府委員 初めの段階でございますけれども、いろいろ中央機関あるいは公団等を作りたいという御希望はよくわかりますし、その点については、今申し上げましたように、既存機関内容的に充実をした方がいいのか、あるいは形を次から次へと作っていった方がいいのか、いろいろ事情があろうと思いまするし、よく検討をし、できれば内容を順次充実しつつ、新しいものにも手をつけていくという方が好ましいのではないかと思いますけれども、よく検討をしたいものだと考えます。  それから、後の段階の御質問でございますが、御意見大蔵省の方でもよく聞いておりますが、何分にも予算の問題が、まだ事務的に一応お話を承わった程度で、それじゃ皆さん方の御意見を承わって、これからどういうふうにやっていくのか、そういうことについて具体的なまだ心棒が入っておりませんので、本日それじゃどうだということは、具体的には申し上げかねますけれども、できるだけお趣旨の点は尊重するように、努力をいたしたいと思います。
  9. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 できる限り御努力をして下さるというお言葉で、ありがたくわれわれ委員一同は感謝を申し上げております。御承知のように、わが国におきまして、特許されながら、これがなかなか実用化されておらない部面というものがある、長らく議会でもいろいろな審議をしておるのですが、国内に、発明されたものが実用化されていない。せっかく特許を受けながらも、これが実用化されないという部面がたくさん、このごろは特に現われてきておる。反面外国との比例をとりますと、外国科学技術導入というものが、非常に飛躍的に増大をしている。しからば、日本技術というものは、それほど外国比較して劣っておるかどうか。ところが、その技術導入をし、また技術提携をしてみて、その結果がさほどでない部面というものが非常にこのごろでは多く現われてきている。そうなってくると、日本技術に対する信頼感というものが薄らいでくるということになるわけなのでございます。日本技術信頼感が薄らいでいるということは、どこに原因するか、こういうことになりますと、結論として申し上げたいのは、科学技術庁というものの発足がおそかったということにも一つの大きな原因があろうと思うのでございまして、われわれといたしましても、日本技術面を広く、かくのごとく日本技術発展をしているのだという、こういう面に対してのわれわれの認識という点も不足をしておったと思うのでございます。こういうような点から考えまして、今、たとえば外国からの技術導入だといって出てくる費用というものが、いかに莫大な費用が出ているか、さらに、科学技術者海外に渡航させるという費用、こういう面が驚くべき数字になっていはしないか、こう思うのでございます。たとえば、外国技術導入する費用というようなものは、おそらく五百億ぐらいのものが出ていはしないか、こぺ、いうふうに考えます。科学技術技術者海外渡航に対しても、これも非常にけっこうなことではあるけれども、これらにおいても三十五億くらいのものが出ている。またさらに外国刊行物というようなものが入ってきている。こういうものを合せていくと、おそらく年間一千億くらいのものが外国へ流れていっていると思うのでございまして、こういう部面に対しましても、今日、大蔵省がここに英断をふるって、日本科学技術を育成しなければならないのだという御方針になっていただくことができるならば、今申し上げたような面が必然的にカットされていく。それがカットされるということになって、よりよき生産を上げるということになるならば、おのずから大蔵省の収入というものは増大していくのではないか、こう考えるわけでございます。ですから、たとえば、本年度大蔵省が思い切った科学技術振興のために予算を出してくれるということは、われわれは責任を持って、二、三年のうちにはこれを何十倍、おそらく何万倍にして、大蔵省にお返しすることができるという確信の上に立ってお願いを申し上げるわけでございます。こういうような点とあわせまして、ぜひとも一つ、他の省とは違って、私たち各党派を超越して、科学技術振興をこいねがっている者でございますから、一つ御考慮を願いたい、こう考えるのでございます。  そこでまた、科学技術庁設置法によりまして、科学技術庁から、昭和三十二年度予算における関係行政機関試験研究費及び補助金などについての見積り方針調整を行い、大蔵省に対してその意見を提出させておきましたが、これに対しての御意見はどうかと私は御質問申し上げるのです。前会は局長さんかが参りまして、非常にごもっともだから尊重するという旨の御答弁もあったのですが、この尊重程度でございまして、具体的に、尊重というものはどの程度尊重ができるのかということを一つ聞かせていただきたいと思うのでございます。特に研究機関管理職手当及び超過勤務手当増額調整について、御意見を伺いたいのでございます。たとえば、本省課長級は甲でございます。ところが、ここの研究所の所長は、甲というのはほんとうの一部でございまして、あとは全部乙であり、部長はさらに乙と丙でございます。さらに、課長になりますと丙でございます。せっかく、日本の九千万国民を今ぞわれわれの手によって救ってやるぞ、こういう意気込みをもって携わっておるところの部課長に対して、こういう公平を欠く分配というものを果して大蔵省は認めているのか、意識的にやっているのか、どういうお考えであるか、この点を伺ってみたいのでございます。申し上げた通り、われわれはこういう人たち督励をし、そうして九千万国民が一億になってもよろしい、これを、われわれの手によって生活の安定と向上をはかってやるのだ、この意気込みで進んでいって、またそれが実現されるということのわれわれは確信の上に立って申し上げているわけでございますから、こういう点についても、政務次官は、早急にこれらは是正してもらわなければならぬと思うのですが、この点はいかがでございましょうか。
  10. 山手滿男

    山手政府委員 戦争中あるいは戦後、いろいろな技術研究等において、わが国でブランクな時期もございましたし、何としてもそのおくれを取り戻さなければいかぬということで、最近外国技術導入相当な経費を払っておることも事実でございますが、ぜひ早急にそういう状態の改善をするために、今お示しのございましたような科学技術振興に格段の努力をはかれということについては、全然同感でございます。科学技術庁の方からいろいろ御意見も承わっておりまして、大蔵省の方におきましても、その調整そのほかにつきまして、いろいろ参考にさせていただいておるわけでございます。  今の研究機関のいわゆる管理職給与の問題にからんで後段で御質問がございましたけれども、こういう管理職給与の問題につきましては、いろいろ微妙な関係がございまして、給与担当大臣そのほか等とよく連絡をとりまして、目下鋭意研究を進めておるところでございます。非常に微妙な問題でございますので、今私からちょっと御答弁申し上げることは、適当ではないと思います。
  11. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 技術研究所の方々というのは、各省にあり、またいろいろな関係機関にあったものを、最も優秀とみなして私たちはこの中に入ってもらったわけであります。ところが、入ってきて、非常にまま子扱いをされるようなことでは、思うような研究もでき得ない。また、たとえば超過勤務の一例をとりますれば、本省で一人一カ月大体十五時間を見ておる。ところが、研究所に参りますと、大体六時間ないし八時間しか見てくれない、こういうことでございます。要は、超過勤務云々という考え方でわれわれは言っているのでは毛頭なく、また技術研究をなさっている方も、物質によって自分の技術云々ということではないけれども、こういうようなバランスのとれないようなことであっては、気分的にも、研究という面にも、懸命な努力をするということは困難になるであろう、こういう点につきまして申し上げるわけでございますから、至急これらは一つ今回は是正をしていただいて、そして、督励をさせていただきたいということを特にお願い申し上げます。  次は、原子力平和利用に関する国際的機運に照らしまして、わが国もこれに適応する立場をとらなければならないと考えるのですが、これに対する大蔵省の御見解と、原子力委員会決定は、総理大臣もこれを尊重することになっているのですが、大蔵省のこれに対する御見解と、もう一点、日本原子力研究所並びに原子燃料公社は、立法の趣旨として、弾力性ある運営がなされていることとなっているのですが、この点についての大蔵省の御見解。この三点の御意見を伺いたいのでございます。
  12. 山手滿男

    山手政府委員 原子力平和利用関係につきましては、国際的にすでに御承知のような新しい分野が次から次へと開けておるわけでございまして、日本においても、早くこれに即応するような態勢を整えなければいかぬということは申すまでもないことでございまして、ただいまの御質問の御趣旨には全然私ども同感でございます。大蔵省も、ぜひそういう線に沿って、できるだけの努力はしたいと考えておるわけであります。  それから、原子力委員会決定は、総理大臣尊重をすることになっておるということでありますが、私どももこれをできるだけ尊重し、片一方、財政的にいろいろな立場もございますので、そういうものと勘案しつつ、調和をさせていきたいと考えております。  それから、弾力性の問題でありますが、これはよく私どもも心得ておりますけれども、具体的にこういうふうな問題をということがあれば、ぜひ御意見も承わりたいと思います。
  13. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 大体、政務次官としては、私が申し上げた七点については御協力をして下さるということでございますから、ぜひその実現を期していただきたいというということを特にお願い申し上げます。  さらにもう一点伺いたいのは、地球といおうか宇宙といおうか、いわば全世界の人類が、あげて石油化学というものをこのごろは熱心に御研究なさっておる、また石油化学の非常な高度なものが製品化されているということも、御承知通りであります。わが国におきましても、たまたま石油化学をなさなければならぬというような立場において、今日石油化学がいよいよ発展をしており、またこれが製品化学ももう本年度内にはされるであろうという段階に入ってきております。そこで、石油化学に使った石油に対しての税金であります。他国におきましては、ほとんど無税である。わが国においては、まだその基本が決定をしておらないのでございまして、私は無税にするのが当然であろうと考えているが、政務次官はこれに対してどういう御見解を持っておられるか、承わりたいと思います。
  14. 山手滿男

    山手政府委員 石油化学工業について、業界各会社の方から、非常な意欲を示して進出しようといたしておるようであります。そのことにつきましては、まことにけっこうでございますけれども、ただ、石油化学工業のような世界的な商品を作り出そうという産業が、非常に有利だからということでわが国でわれもわれもというので乱立して、そのレベルまでいかない、小さなプラントを競ってお作りになって、ベースに乗らない製品をたくさんお出しになるというふうなことであれば、これは私ども非常に困った問題である、できるならば、当委員会において調整をしていただきまして、この国際競争にも立ち向っていける程度プラントにして、堂々と発足をさすように御配慮をいただきたいと思うわけでございます。  それにつきまして、そういう石油化学工業の新分野で使います原料石油について、税の問題を考えろというお話でございます。今、揮発油税等についていろいろ目的税を創設しようという税制調査会等の御意向もありまして、検討をいたしておりますが、こういう新しい分野で使う原料原油等につきましては、ぜひ税の特別優遇措置を講じて、業界発展をしていけるように協力をいたしたいと思います。ただ、その税金をなくしきえすれば、小さなものが乱立してもやっていけるというような安易な事柄でなしに、やはり世界的な視野に立ってやっていける程度プラント、しかも国全体として減税をし、免税をしても、十分納得できるようなプラントを作っていただくというふうなことも、前提になるのじゃなかろうかと思います。
  15. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 全く私もしかりだと考えます。要するに、経済プラントというものがありまして、だれもかれもというような問題にはなかなかいかぬだろうとは思いますけれども、現在小さいといおうか、小さいと言っては申しわけないかもしれないけれども、要するに、この石油化学を行わんとするならば、経済プラントというものは一定の限度がありまして、大体その程度のものでなければまかない切れるものではない、またせっかく国内で生産されたものを海外に輸出するということはとうてい困難であろう、こういうふうに私も考えております。でありますから、その点については、私たち規制をするという意味ではなくても、ある程度規制をしていかなければならないのじゃないか。また乱立して、購買力に対して、需給のバランスがとれないという点があっても困るだろう、こういうふうに私は考えております。従いまして、要は石油化学に対しての税――この税については、ただいまも政務次官がお考えになっておられるというお話でございますから、私は非常に心の中で喜んでおるのですが、ぜひともそのような方向に向けまして、せっかくでき上るところの石油化学振興に努めさしていきたいと考えております。  きょうは、政務次官に非常に協力的なお言葉をいただきましたので、ありがたく感謝をいたし、私の質問を終らせていただきます。
  16. 有田喜一

    有田委員長 赤津正道君。
  17. 赤澤正道

    赤澤委員 きょうはせっかく大蔵省が御出席になっておりますので、予算問題について、若干お尋ねいたしたいと思います。  原子力の開発、研究、利用等につきまして、今日のわが国の立ちおくれを何とかして回復しなければならぬということは、申すまでもないことでございます。元来、原子炉そのものを外国から買い、燃料もまた外国から買い、外国技術者を雇っていくということでは、何も明敏な正力大臣を必要としないわけでございます。われわれといたしましては、やっぱり近い将来に国雄原子炉を建設しなければならないし、また国内のウラン鉱も方々に出ておりますから、この開発にも鋭意努力をしなければならぬ。私、先般ここでちょうだいした科学技術庁主体の原子力予算要求の概算表を見たわけです。その中で、一部ですけれども原子燃料公社予算が、総額十六億円余り要求されております。この科目が十二、三ここへ伏せられております。これはどうせ科学技術庁大蔵省との間でいろいろな折衝が展開されると思うのですが、今、予算編成の一番大事な時期でもありますので、この科目についてどういう方針で査定をなさるおつもりか、これは主計官にお伺いいたします。
  18. 鳩山威一郎

    ○鳩山説明員 ただいまの具体的な各項目別の禿定方針は、実は私どもの内部でいろいろ手続もございまして、上司のところでいろいろ検討していたのでございますが、今明日中にその会議を持つことになっておりまして、まだ局としての方針がすっかり固まっていない段階でございます。ちょっと今日の段階では具体的に申し上げかねるので、決定を見ましてからにしていただきたいと思いまし。
  19. 赤澤正道

    赤澤委員 うわざに聞くところによると、もうすでに公社の方では大蔵省に機会あるごとに立場を説明しておるにもかかわらず、主計官はともかく、その下の方になかなかがんこな人がおって、全然これを受け付けぬという話です。そういう事実があろうとは考えませんけれども、私も議員生活をやっております間に、財布を握っている大蔵省にものを頼みに行く機会があるのですが、やはりネックは主計局ということで、しかも主計官のところで相当手きびしくやられておることも承知しておるわけであります。そういうことで、予算はなかなか窮屈には違いないのですけれども、そういう未知のものに対して、非常な警戒心、さらに危供を強く持たれると、これが予算の上に相当影響してくると思うのです。燃料公社の諸君は、そういうことを非常に心配しております。これは今度会議を行うことによって逐次はっきりしてくると思いますけれども一つそういうことのないように、虚心たんかいにやっていただきたいと思います。この前の委員会の席上で政府側の説明を聞いたわけですけれども、やはりすべて長期計画を作って、それに即応して予算要求されるような姿になっておると思うのです。それで、三十四年度の中ごろまでには、ぜひ一部でも国内産の金属ウラニウムというものを作り上げて、そうしてこれを利用したい、こういう熱意を持っておるわけでございます。もちろんそれだけでは足りませんから、外国から原鉱を買って、製錬して利用していくわけでございますけれども、先ほども申しましたように、単に外国の燃料だけに依存するということは危険でもあるし、また本旨でもない。しかも今日すでに着々開発の実績が進みまして、鉱物の岩層精査も引当な段階に入っております。三十二年度には、とにもかくにも相当な鉱物が掘り出されて堆積されると忍うのですが、これに対しまして、ただこれを雨ざらしにしておくということでは、やはり時間的に開発がおくれてくるわけです。このことについて、予算上十分配慮なさる御意思があるかどうか、これを一つ伺っておきたいと思います。
  20. 鳩山威一郎

    ○鳩山説明員 予算方針につきましては、先ほど申し上げました通り、まだ局長会議によく御相談してありませんので、私といたしまして、原子燃料公社の問題につきましていろいろ私見は持っておりますけれども、これをもって主計局の意見と申し上げるわけにも参りませんので、やはり発言はいたしかねるのであります。しかし、原子燃料公社の今後の行き方につきまして、私の今まで考えておりましたことは、まず国内の鉱石の存否につきまして至急目鼻を立てる、これが日本の現状でまず第一になすべきことである、こういうように伺っておったのであります。これが今後の原子力の開発に一番大きな影響をもたらすものであって、これがために、まず公社とされては、探鉱に最大の力を注いでいただきたいということをかねがね申し上げているわけであります。ただ、探鉱をやって、ほかのことは何もするなというふうにお取られになっては因るのでありますが、主力といたしましては、探鉱をまず第一にやって、国内にどれだけの鉱石があるかということをつかんでいただきたい、こう考えております。第二番といたしまして、採鉱するかどうかという点につきまして、技術上の問題を至急解決する必要があるではないか、これはコンゴーの鉱石みたいに五〇%か六〇%とかいうような含有率のあるものはとうてい期待し得ませんけれども日本の鉱石といたじまして、果して何パーセントまでのものを製錬するのか、そういった方針をやはり国としてきめるべきではないか、こういうことをかねがね申し上げておるのでありますが、まだそういう技術的な問題としてそれが解決されていない段階でございます。それで、製錬所を作るということになりますと、やはりそういった総体の方針がきまりませんと、実は設計できないのでございまして、そういった点を極力技術上の問題として解決していただいて、あとは金をつぎ込めばすぐどんどんできるという段階まで日本技術の力を上げておくということが、とりあえずやるべきことではないか、こういうふうに私個人としては考えておりますが、まだ上司と御相談してございませんので、そういうつもりでお聞き順いたいと思います。なお、いろいろ予算の説明聴取等に当りまして、私どもの方で非常に不都合な行為があったといたしますれば、ここで深くおわびいたしたいと思います。
  21. 赤澤正道

    赤澤委員 不都合な行為があったというわけじゃないのですが、今のあなたのお言葉からでも、非常にちゆうちよしておられる気持がわかるのです。鉱山というものは、山師と俗にいわれますが、掘って当てれば大きいが、当らぬ場合もある。そういう山のことだから、さわらぬ神にたたりなしというお考えがあるかもしれませんけれども、現にこの間正力大臣も現地を実地調査なさったわけでありますが、数十万トンの埋蔵量があるということがはっきりしておるわけであります。この程度の含有量のものが、将来日本の原子燃料の原料として役立ち得るものかどうか、そういう見当からつけてかからなければならぬという御心配があるようですけれども、このことにつきましては、私は正力大臣の御決意を承わらなければならぬ。こういうことについて、大蔵省自体に非常な疑義があるから、ものが進んでいかないのではないか。今、製錬所のこともちょっと触れられましたけれども、これは国内産の原料だけを当てにしておるのではないので、とりあえず外国の鉱物を買ってやるわけですから、しかも、研究さえしておけば、金さえ出せばすぐ立ちどころに設備ができるように考えておられるようでありますけれども、私はそういうものでないと思う。先ほど申しましたように、昭和三十四年度に相当の金属ウランを間に合せるためには、やはり今から準備をしなければならぬ。しかし、今検討されておる予算は、三十二年度の予算ですから、この機会を下手に逸してしまっては、今度は二、三年先にものができるということになると思うのです。ここに、製錬所といたしましても、五億八千万円ばかり計上されてある。しかも、うわさに聞くところによると、製練所のこういう金額を出すについても、大蔵省の鼻息をだいぶうかがったらしいのですけれども、この中には、国内産の鉱物の選鉱だとか粗製練に必要な、大した金額ではないのですが、そういう設備の費用なんか全然含まれていないんだという要求の仕方になっておるようです。私は、こういうことでは、幾ら声を大にして原子力の利用と言ってみましたところで、らちがあかないと思うのです。国内原料の開発ということについて、大蔵省考え方は非常に消極的である。しかも、一方科学技術庁当局に伺えば、とにかく熱意を持ってやらなければならぬという。そこらのところがどうもピントがしっくり合っていないのではないか。そこで、せっかく大蔵省からも次官その他が来ておられるわけですから、ここで正力国務大臣のこの間問題についての決意を一つ伺っておきたいと思う。
  22. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 ただいまの御質問の点は、まことに私ども同感であります。原子力平和利用するについては、どうしてもその燃料の原料を手に入れることが必要でありまして、ただ外国に依存するわけにはいかない。これは考えなければならぬ。従って、燃料公社の方でも非常に力を入れておられます。幸い今お話通りに、岡山県、鳥取県の方面が相当に有望とされておりますので、これには熱意をかけてやるつもりでおります。また、この点は大蔵省と折衝していますけれども、なお一そう大蔵省へよく事情を説明することにいたしますから、どうぞ何分とも御協力をお願いいたします。
  23. 赤澤正道

    赤澤委員 正力大臣のその決意で、一つぜひ大蔵省に当っていただきたいと思います。実は、きようは――大蔵省はこういう予算要求がありました際に、大ていこの辺はこのくらいの山をかけておるだろうという見当で査定をされることは承知しておるのです。それで、項目おのおのについて質問したかったのですけれども、まだそれについては方針もきめておらぬと逃げられてしまったのではどうにもなりませんから、もっと突き進んだ問題についてはこの次に質問いたしますが、もっとこういう問題について、明確な調査なり認識を持って席に出ていただきたいということをお願いいたします。
  24. 有田喜一

  25. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 私はまず動力炉の輸入の問題について、正力さん及び大蔵省政務次官質問いたしたいと思います。動力炉の輸入の問題については、学界でもいろいろ論議がありましたが、ことしの正月でありましたが、正力さんが五年以内にこれを実現すると一発ぶつ放して、世の中は大へん危ぶんだのであります。しかし、最近の情勢から見ると、特にコールダホールに火がついてからは、当然のことになってきた。私はそういう意味で、正力さんの先見の明に非常に敬意を表する。しかし、先見の明だけではだめなんで、これから正力さんの本領である実行力に期待したいと思う。  そこで、石川調査団が今行って、帰ってくるようですが、新聞によると、完全にコマーシャル・ベースに合うような話です。これは嵯峨根さんも行っておることですから、私は間違いないと思う。また調査団の一員から、私は、ロンドンから書信をもらって、それでも、そのことはうかがわれるのであります。石川調査団の内容がまだはっきりしないのでありますが、ここで大体の見当をまず明らかにしていただきたい。正力大臣でおわかりでなければ、原子力局長でもだれでもいいが、日本の場合、どれくらいの大きさのものを何年計画でどれくらいの費用を使って入れたらよいか、その場合コストはどのくらいになるか、そういうようなことを伺いたいと思う。
  26. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 ただいまの御質問についてお答えいたしますが、動力炉の輸入ということは、お説の通りに、ことしの一月にはだれも問題にしなかった、ことに専門家は問題にしなかったのであります。それが今日、イギリスに調査団をやり、アメリカに視察団をやるということから見ますと、もう日本において五年以内に発電するということは動かぬようになったのであります。御承知のように、英国調査団の報告については、新聞紙上にもすでに出たことでありまするが、経済ベースに合うという点については、調査団の一致した結論であります。しからば、日本にどういう動力炉を入れるかということについては、まだ向うでは結論が出ておらぬようであります。調査団の中からは、この際十万キロということにしないで、むしろ六万キロぐらいではどうかという話もあるのであります。それは、調査団の報告によりますると、英国では二十八万キロワットにすればりっぱに経済ベースに合う。それより小さくすれば幾らか高くなる。しかし、高くなるといいましても、経済ベースに合わぬという意味じゃないのです。御承知通り、今、日本で発電をするのに、火力によりますればどうしても一キロワット安くて四円、高ければ六円五十銭です。古い方のやつでやれば六円五十銭です。しかも、今後ますますこれが上ると予想される。下る予想はな、のであります。御承知通り、石炭は発電にだけでも昨年は七百万トン使っております。今年は八百万トン、明年は千二百万トンになるのであります。こういうふうに石炭の使用量は非常にふえますから、値段はむしろこれから上ると見なくてはならぬのであります。それであってすらも、現在は火力の最新式の機械で四円である。旧式のものでは六円五十銭とられている。ところが、調査団の報告によりますと、三円四十六銭と言ってきておる。二十八万キロワットのものならば三円四十六銭であるから、それより小さいものになるともう少し高くなる。高くなるけれども、先ほど申し上げました通りに、今の日本の発電力のことから考えると、決して経済ベースに合わぬわけはないというふうに見ておりますし、現在また早く入れてもらいたいという日本の電力界の要望でもあります。ただ大きいほど安いのでありますから、その大きいのを買って安く入れるか、また小さくてもやはり経済ベースに合うのだから、小さいものでもいいではないか、ことに今、われわれはまことに恥かしい話でありますが、昨年までの計画は、まことに幼稚なものであります。八千万円するウオーター・ボイラーなんかを入れたり、そういう程度のことを計画したのであります。それが今一躍十万キロ、百億も二百億もこえるものでありますから、そういう大きなものは入れないで、むしろ小さいものがどうかということも考えるのであります。要するに、従来の計画というものより一そう飛躍した計画になったのであります。この点は、まことにわれわれ原子力関係したものとしては、国家のために実に喜びにたえないと信ずるのであります。どうぞ皆さん、これは莫大な金が要ることですから、この委員会の御協力を得なければならない。先ほど大蔵省に対する赤澤委員からの質問もありましたが、大蔵省当局も原子力予算というものを特別に御考慮願いたいのであります。どうぞよろしくお願いいたします。
  27. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 今のお話で、三円四十六銭で二十八万キロという数字が出ましたが、われわれが今まで聞いた範囲では、十万キロのものが百五十億くらいかかる、そういうような話を前に聞いたことがあります。しかもコマーシャル・ベースに合うことがほとんど確実視されている。また、問題になっておった動力炉の秘密協定という問題も排除された。特にここで想起するのは、アメリカ側において、動力炉について秘密条項を入れると言っておったのを、正力さんがイギリスの方へ牽制球を送ったら、アメリカがそれを引っ込めてきた、こういう副産物もあって、私は非常にこれはおもしろいことになったと思っておる。そういうわけで、法的な障害もだんだん取り除かれてきました。そうすると、いよいよ来年度は、本格的に動力炉を日本に入れるという政治工作なり、技術工作をやる段階になったと思うのです。そこで、当然出てくる問題は、予算の問題、あるいは日本技術陣の受け入れ態勢の問題がある。来年度の科学技術庁予算を見ると、そういう配慮が全然ないようであります。そうすると、一年を空費することになります。この点については、正力さんの麾下にある科学技術庁らしくない、落度のあるやり方をやっていると私は思うのでありますが、大至急予算の修正をやって、大蔵省に提出し直すべきだと思う。そういう方向はもう明らかなんです。明らかであるならば、なぜ諸者はロンドンへ電報を打って、詳細を電報で報告させないのか。向うがのこのこアメリカを回って帰って来るのを待っているということは、まるで保守党が、鳩山さんが日本に帰って来るのを待っているのと応じことであって、そんなことでは解決する問題ではない。これは時間の問題であって、特に来年度予算編成の問題を控えて一刻を争う問題でありますから、今からでもおそくないから、至急アメリカなりイギリスに電報を打って、調査団から報告の概要だけでもとってもらいたいと思う。日本に帰って来てからそれができるのではない。ロンドンその他でできていると思う。その大綱を得て、しかる後に予算編成の政治工作なり、技術工作をやるべきだと思います。こういうことをやる必要があると思いますが、正力さんの右腕である齋藤政務次官はいかにお考えになりますか、われわれはあなたの馬力に非常に期待をかけているのであります。
  28. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)政府委員 中曽根委員のお持ちになっております主観が、そのまま日本の客観情勢を作り得るならば、私は非常に幸福だと思っているのでありますが、科学技術庁といたしまして、現在の段階においては、動力炉を購入する予算を見積って、これを大蔵省要求するところまでにはなかなかまだ達してないというふうに考えておるのであります。しかし、その含みは十分に持っておるのでありまして、もしもどうしても動力炉を入れなければいけないということになりますれば、その方向に対して十分調査をいたしまして、なるべくすみやかに動力炉を輸入し得るように、相手方に対して交渉を継続するとか、いろいろな措置は講じたいと思っているのでありますが、直ちにどれだけのものをどれだけの予算をもって購入するという結論は、なかなか早急に出てこないのではないか、現在の段階ではそう考えております。
  29. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 齋藤さんらしくない御答弁をいただいて、私ははなはだ遺憾に思うのであります。科学技術庁の原子力局長とか、あるいは次長の御答弁ならばまだ満足するのですが、齋藤さんの御答弁では満足しない。なぜかといいますと、この科学技術庁要求された予算書を見ると、動力炉の輸入のことは、ほとんど添付的あるいは付加的に書いてあるのです。こういうことも考えているから、大蔵省もまあこれは考えておいてくれ、そういう程度の書きっぷりであります。しかし嵯峨根さんや一木松さんやその他の人が行って調査して、現にコルダーホールに火がついてやっているものを見てみれば、もう入れていいことは確実であります。従って、確実であるから、当然入れるべきだという前提に立って来年度の予算要求をするなら、これは一番正面から取り組まなければならない問題だと思います。それが裏の台所みたいなところについているだけです。私は事の軽重から見て、非常に原子力局あるいは科学技術庁の態度が消極的であり過ぎると思う。ほんとうに動力炉を入れるつもりなら、もうそういう態度をとるべきです。もしそういう態度をとらないと、予算というものは一年区切りでいくのですから、来年度は調査くらいでお茶を濁されます。山手さんは必ずそういうことをやるに違いない。(笑声)今笑ったところを見ても明らかだ。従って、それではならぬのであって、今の一年というのは将来十年、二十年の差になって出てきます。従って、調査くらいでお茶を濁されることは許されないのでありまして、至急向うから電報を受けて、大体の計画の概要をとって、電力界からどのくらい民間資金を出させる、あるいは公債を出すなら公債を出す、あるいは政府資金はどれくらいめんどうを見てもらう、そういうアウトラインを作って、年次計画のもとにやったらいいと思う。第一年度はそんなに金が要るとは思いません。しかし、五カ年計画なら五カ年計画、三カ年計画なら三カ年計画の第一年度として出発するということが大事なんです。その点について、正力大臣はいかにお考えになるか、承わりたいと思います。
  30. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 お答えいたしますが、先ほど、調査団を出したが、調査団があまり報告も詳しく送らないで、イギリスから帰ればいいのに、アメリカまで回っておる、まことにゆうちょうじゃないかというお話でありますが、これは少し間違っておるのでありまして、調査団はイギリスから面接みな帰ってくるようにしてあります。ただ、調査団長の石川君、それに嵯峨根博士、原子力両次長の法貴君、これだけはちょっとアメリカを回る。調査団の副団長の一本松君を初め、みなすぐこっちに帰って報告することになっておるのであります。そうして、大体のことは言うてきております。ただ具体的の数字がないのであります。それは、一つは、経済ベースに合うということを言いますが、今度コルダーホールでできたのは、そのもの自体が必ずしも合うのではないのであります。それによって証明されたのであって、実際に合うという証明は来年一月であります。来年一月にコルダーホールでイギリスがやるのが本格的に経済ベースに合うということになれば、今年度に何とかしたいと思っております。できるだけ急いでやります。お話通りに今年度の予算に組めよ、これはまことにもっともであります。何とか一つ――われわれどもはそれができ、なかったら、予備金の支出でも何かいきはせぬかという考えを持っておる点もありますが、なおまたこれは経済ベースに合うということが明らかになったら、財界でも相当応援すると思うのであります。もともと実はこういうゆうちょうに思われたということは、調査団を出したときには、何人も調査団が行ったって、なかなか経済ベースに合うものじゃなかろうというのが、少くとも一般の日本の専門家の予想だったのです。ところが、ヒントン卿の言うたことが事実であって、その上調査団が行っても、調査団自身もあきれたくらいなんです。それほどみなが不明だったのです。ところが、幸いにしてこういうことが証明されたので、調査団も急いで帰ってくることでありますし、調査団の報告を聞いて、できるならば中曽根委員お話のようにしたいと思います。それについても、どうしても原子力のこの委員の方の絶大なる御支援を願わなくちゃならぬ。また大蔵省もぜひ一つ今までの頭を変えてもらわなければならぬと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
  31. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 次に、山手政務次官にお尋ねいたしますが、来年度の予算編成方針というものを、大蔵省でお作りになっておられると思います。閣議決定はまだ先のことかもしれませんが、おそらく主計局の方で、下から積み上げておるものを整備するために、予算編成方針大綱というものが必要なのでお作りになっておると思いますが、この中に、科学技術というもの、あるいは原子力というものが、重点政策として取り入れられておるかいないか、この点をお話し願いたいと思います。もし子、弔いうものができていなければ、政務次官の腹案をお請し願いたいと思います。
  32. 山手滿男

    山手政府委員 予算につきましては、大蔵省の方で、下からだんだん積み上げて、いろいろ検討を重ねておることは御承知通りであります。それにつきましても、正式に省議を開きまして、どれとどれとを来年度の重点施策にすべきであろうかというふうなことについて、まだ政策的に正式に決定をいたしたことはございませんが、省内で、大臣以下語をいたしております段階で、いろいろ重点施策考えられるのでございますけれども、この科学技術振興、特に原子力関係等の経費は、ぜひ重点施策として、できるだけ奮発すべきであろう、こういうふうに考え、その心持で現在も大蔵省は作業いたしております。
  33. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 今の御答弁に深甚なる敬意を表するものであります。どうぞよろしくお願いいたします。  そこで、動力炉の問題は決して小さな問題ではないのです。コマーシャル・ベースに合うということが確実になり、すでにイギリスにおいて運転を開始しているということを見ると、同じ国情にある日本は、一日も急がなければならぬと思う。今までは動力炉の調査とか、動力炉の輸入という程度の方法で事が運ばれておりましたが、私は、来年度からは、日本の電源開発計画の修正という、もっと大きな線で物事を進めなければならぬと思う。水力、火力を開発するにしても、もう一本並んで原子力というものがここへ登場してきて、そこで水力、火力に投じている金をある程度原子力の方に回して、十万キロなり二十万キロなりを何年後に出すという方向に変えらるべきだと思う。そうすれば、国家資金は、ワクとしてそう変るわけはないと思う。そういう意味におきまして、来年度から電源開発計画の修正、あるいは再検討という構想で乗り出すべきであると思いますが、これは国家資金を担当しておられる大蔵政務次官として、いかにお考えになっておりますか。
  34. 山手滿男

    山手政府委員 動力炉のことにつきましては、まだ科学技術庁から正式に御相談を受けておりませんし、いろいろ主計官そのほか研究をしておられるようでありますけれども、十二分に構想が固まったわけでもないように聞いておりまするし、まあお説のことはよく拝聴をしておきまして、いろいろ科学技術庁の方から要請がありました際には、検討をしたいと思います。
  35. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 第二にお尋ねいたしますが、燃料対策の問題です。すでに赤澤さんからお話がありました通り、やはり日本の燃料の賦存状態あるいはその質、蓄積の模様、こういうことが日本の原子炉の型や将来の日本の原子炉の規模を決定する問題であります。従って、大至急その見当をつけるということが行われなければならぬと思います。この点について来年度の予算を見ると、十六億何がし程度予算を組んでありますが、これははなはだ少いのです。原子力局のお役人の方々が組むのはこういう予算かもしれないが、少くとも正力大臣の組む予算ではないと私は思うのです。現にフランスあたりを見ても、毎年百億程度は注いでおる。しかも最近の国際原子力機関のチャーターを読んでみましても、燃料に対するコントロールというものは非常に厳重です。各国は、自分の出した燃料については監査を行なう、インスペクションをやる。インスペクターを派遣する。そういう程度の情報まであるのであって、燃料問題は決して等閑視すべきではありません。主権が侵害されるとまでは私は言いませんが、相当な制約を受けるということになりそうです。そういう面からしても、国産資源の開発ということは焦眉の急である。そろいう点から考えると、今までとっついていた小鴨や人形峠や倉吉、そのほか数カ所のボーリングをやるお考えらしいが、その規模にしても小さ過ぎるし、それ以外の土地に対する探索にしても、三十三年度に大体概査を終るという計画では、依然として官僚的な小さなワクの予算です。同じ金を使うならば、時間的時差を早く利用しなければいかぬと私は思う。そういう点から見て、十六億何がしという金ではとうてい問題にならぬと思うのでありますが、原子力大臣はいかにお考えになりますか。
  36. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 ただいま、こちらの出した十六億じゃ問題にならぬじゃないかというお話でありますが、それは仰せの通りであります。しかし、こういう予算を出したというのも、根本は、原子力が経済ベースに合うということを私どもが主張しても、皆信じない、原子力が経済ベースに合うということは、少くとも十年のごとく皆考え込んでおった。それだから、採鉱採炭や燃料の問題についても、それほど急がなくともよいというのが一般の常識であり、しかも専門家がそう考えておった。従って、私どもが騒いで、そういう大きな予算を出しても、なかなか大蔵省が聞くものでもなし、むちゃなことを言う。それで、不満ながらこういう予算を出したのでありますが、しかし、幸いにして調査員が帰って、その実情が明らかになってきますと、みな考えが違ってきます。従って、大蔵省考え直してもらえると思いますから、そうしたらまた、場合によったらそんなことも考えられるかもしれませんが、要するに、今までは遠い夢のように思っておった。われわれどもが話をしても、あれは一種のはったりだというふうに思っておったから、こういう予算を組んだのであります。こういう予算を組んだことを、今にして考えれば後悔しておりますが、いずれ調査団ももう四、五日で帰ってくるのでありますから、よくその実情を聞きまして、英国の来年一月からいよいよ設計する動力炉につきまして、なおその予算等についても考慮したいと思います。何分ともよろしくお願いいたします。
  37. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 燃料の問題でもう二、三点承わりたいと思うのですが、一つは、ウェーストの処理の問題です。大蔵省は、燃料公社を作るときに非常に抵抗をやって、特にウェーストの処理のことは、当時一元的に燃料公社がやるべきでないという意見すらあった。われわれの感じとしては、大蔵省原子力研究所を嫡出子として認めるが、燃料公社はまだ認知されない私生児のようなものだと思っておるのだろう。自分の考えで作ったのでないから、強制されておっつけられたようなふうに誤解される向きがあります。そこで、われわれが世界の情勢を考えてみて、燃料公社はどうしても作る必要があり、特に燃料公社の仕事の中心に、ウェーストの処理の問題があるということを当時から訴えました。最近各国を回ってきた議員団の報告を聞いてみても、コストに一番響くのはウェーストの処理です。コマーシャル・ベースに合うか合わぬか。特にプルトニウムの活用という問題で、コストに非常な差が出てくる。各国がコマーシャル・ベースに合い、かつ引き下げるために一番力を入れておるのは、増殖炉とプルトニウムの問題です。この問題はウェーストの処理の問題にかかってくる。それは一朝一夕にしてできる問題ではない。そういう点からして、燃料公社として、ウェーストの処理に相当費用を掲げ、研究を今からやらせるという必要があると思う。この点について大蔵省大蔵政務次官はいかなる御認識を持っておられますか。今までのような認識であるならば、ぜひこれは改めていただかなければならぬと私は思うのでありますが、御意見を伺いたいと思います。
  38. 山手滿男

    山手政府委員 ただいまのお話でありますけれども大蔵省の方でことさらにこの予算そのほかを削っておるというふうなことではないと私ども考えております。先ほど申し上げましたように、原子力関係等については、みんなよく理解をいたしておりまして、重点政策の一つとして取り上げていこうという感じでございますし、要るべきものについては、やはり思い切って出そうという考えをみな持っておるのでございますけれども、ただやはり大蔵省としては資金の効率を十分考えて、最上の効率を発揮するように配慮をいたしていく必要もございますし、やはり情勢が熟し、資金をつけましてもすぐそれからまく回転をしていき、効果をあげるようにということをいろいろ考えるものでございますから、皆さんの方から見ますると、いかにも大蔵省がけちけちしておるように見えるのではあるまいかと考えますが、そういう情勢ができ、事実がすでに展開をしていきますならば、先ほど申し上げましたように、重点政策の一つとして、この方面には相当思い切って金をつけるように配慮したいと思います。
  39. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 科学技術庁の人に伺いますが、探鉱の問題で昨年われわれが法律を作ったときに、奨励金をつけたはずです。この奨励金は、一体今幾らくらい使いましたか、お伺いしたいと思います。
  40. 佐々木学

    佐々木説明員 奨励金は、今年度たしか三千万円かと思いましたが、これは通産省であります。ただ、まだ鉱石を買い上げると申しましても、処理する機関もできておりませんし、同時にまた買い上げるための値段等をどういうふうにきめるか、あるいはまた買い上げる客体である鉱石そのものがまだございませんので、その意味合いから、ありません。奨励金はまだ一文も出ておらぬのでございます。
  41. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 あの奨励金は、鉱石を買い上げるために作った奨励金ではない。探鉱を奨励するために作った奨励金である。従って、その探鉱を奨励する措置をどういうふうにしたか。奨励金がこういうふうにあるから、みんな見つけてこいという周知宣伝の方法をいかに原子力局は講じたか、そして幾ら使ったか、それを聞きたい。
  42. 佐々木学

    佐々木説明員 先ほどちょっと失礼を申し上げましたが、探鉱奨励金は申し出がありまして、その申し出に従って、何メートルどのくらいというふうな奨励金を出す手配にはなっておりますけれども、具体的に、この探鉱にぜひ奨励金がほしいというケースが、まだ本年度はなかったのだろうと思います。と申しますのは、御承知のように、今精査を進める段階でありまして、その精査の結果、もうこれであれば鉱量その他の関係から十分やっていけるというふうな見通しを持って、しかる上に奨励金をほしいという申請を出すのが順序かと思いますが、まだ精査の段階でありまして、この探鉱はもうどんどん掘ってもよろしい、やるべきだというところまで実は問題が進んでおりません。そういう関係であります。
  43. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 原子力局長は、私の質問がまだわかっておらぬと思う。私の言葉も悪かったかもしれませんが、奨励金というよりも、賞金のことです。つまり、日本国民が、鉱脈がある、鉱石があるということをわれわれの方へ申し出ることを奨励するために、そういうことを言ってきた者に賞金を与える、こういう制度があるのです。これはわれわれが入れたはずなんです。この金が幾らあって、幾ら使ったか、またそれを周知宣伝させるためにどういう措置を講じたか、こういうことです。
  44. 佐々木学

    佐々木説明員 個人あるいは企業、法人等でいい鉱脈を発見した場合に、それに対して償金を出すということが、基本法の中に一つ明示されてございます。ただ予算上の措置といたしましては、今年度の予算にはそういう賞金の予算は出してございません。なぜかと申しますと、一つの理由は、鉱脈を見つけました際資金を出す方法が、一体どのくらいのケースを予想し、あるいは、どのくらいのものに、どういうふうに出したらよろしいかという点は、非常にやっかいな問題でございまして、ただいまの段階では、主として地質調査所等でもって、国の金で調査を進めております関係上、今年度は、少くとも賞金というものは、予算的な裏打ちをいたすまで客観的な情勢が見えていないということで、三十一年度の予算には賞金は組んでございません。
  45. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 それは非常に怠慢なことでありまして、基本法に明示され、特に立法府の意思でつけたようなものを行政府が実行しないということは、私は非常に怠慢であろうと思う。私はかつて三木武吉氏から話を聞いたことがあります。鴻の舞金山その他あらゆる各国の金山等にしても、鉱山を国が見つけたというものは、ほとんどないそうです。日本においても、そういうものは、鉄砲撃ちとか毒消し売りが見つけたものが多い。そういう偶然の機会に見つけたものが多い。従って、ガイガー・カウンターも必要だが、そういう射倖心をそそって、みなに関心を持たせるということも、もっと必要だろうと思う。そういう方針がちゃんときまっておるのに、行政府の方でそう  いう措置も講じない、一年間もまだ何もやらぬということは、はなはだ怠慢であって、来年度予算においてはぜひこれを実際化して、その方法も明定して支出してもらいたいと思います。  それから、もう一つは、東海村の精練場の件でありますが、この問題は、先般合同委員会を開いて、私は調達庁長官に申し出をして、三十万坪でありましたか、これを米軍から返還してもらうように交渉してくれと申し入れをいたしましたが、科学技術庁としては、これをどういうふうに処理しておられるか、承わりたい。
  46. 佐々木学

    佐々木説明員 東海村そのものじゃございませんが、隣接地区のただいま米軍で爆撃の練習地に使っております敷地の一部を向うから返還を受けまして、燃料の精練工場、中間工場をさしあたって作りたいというので、おおむね三十四、五万坪の土地を返還していただくように、主務官庁であります大蔵町と調達庁に私の方からお願いをいたしまして、ただいま大蔵省と調達庁の方で返還方に関する手配その他を進めつつある状況であります。
  47. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 例の行政協定による日米合同委員会に、いつごろかけられる予定であるか承わりたい。
  48. 今井久

    ○今井政府委員 その点についてお答え申し上げます。原子力燃料公社の敷地につきましては、ただいまお話のありました通りに、水戸補助飛行場の一部返還方のお話が公社より私の方にありました。公社から私の方にお話のございましたのは、その補助飛行場の西南部の滑走路を含みます地域につきまして、約三十五万坪の返還についてでございました。私の方で、さっそく今月の九日に、府中の空軍司令部と返還について打ち合せをいたしたのでございます。軍の意向といたしましても、また従来私の方でこれらの問題について処理いたしましたその事態によりましても、この水戸補助飛行場は、空軍の対地爆撃演習場になっております。現在対地爆撃演習場は三カ所しかありませんで、そのために水戸飛行場は現在非常にフルに使用しておるような状況でありますけれども日本側のこの申し出については、十分一つ軍においても検討してみるというようなことで、演習と、燃料公社を将来設立するということについての調整方について、いろいろ軍からも意見があったのであります。その後、昨日でございましたか、公社側から、今度は西北部のちょうど東海村に近い部面を第二候補地として選ばれまして、この前にお話のありましたものと、それから第二候補地と、どちらでもいいから、ぜひ一つやってもらいたい、こういうお話がございました。私どもといたしまして、この二つの問題を取り上げまして、さらに一つ早急に強力に折衝いたしまして、その折衝の経過を見まして、諸般の手続を進めたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  49. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 せいぜい御努力をお願いいたします。  その次にお伺いいたしますが、いよいよ国際原子力機関ができますが、一体日本としてはどういう代表団を送るつもりであるか。ウイーンに本部が置かれる模様でありますが、代表団の編成について腹案がありましたら、大臣あるいはその他の方々から承わりたい。という意味は、外交官である大使やその他が代表団の団長その他になるのか、あるいは学者、技術者が団長として別個に独立体として行くのであるか、あるいはその編成はどの程度の人間、どの程度の能力のある人たちを網羅してやるのか、その点を承わりたいと思います。
  50. 佐々木学

    佐々木説明員 代表団の編成の問題でございますが、最近あの会に出席しておりました外務省の河崎国際協力局長が帰って参りまして、委員会で正式にその要請を受けました。ただ、その際に問題になりますのは、日本はおそらく、いわゆる理事国で入ることはほぼ間違いないと見まして、理事国としての代表の問題と、もう一つは事務当局ができまして、日常の事務をあの中でとるわけですが、事務当局にどういう人を派遣するか、二つの問題に分れるわけであります。前段の、代表団の理事国としての活動ができる代表を、どういうクラスあるいはどういう層から――と申しますと語弊があるかもしれませんが、科学者がいいか、あるいは外交官がいいか、あるいは財界のような、事業家のような方がいいかというようないろいろな選択の基準があるわけでございますけれども、そのいずれにすべきかという点は、もう少し様子をみたい。と申しますのは、ただいま準備会ができまして、そこで諸般の準備を進めておりますので、その準備会の進捗状況を見まして、その上でわれわれとしては決定したいということで、まだどういう対象からどういうクラスの人を選ぶかということは、最終的にはきめておりません。事務当局の問題でありますが、これに関しましても、事務当局のメンバーというものは非酌に重要な問題でありますので、できるだけ語学のうまい、国際協調もできるような、しかも科学に明るいという非常にむずかしい条件が加わって参りますので、この点も十分そういう条件に満足する人を選びたいと思いまして、この方はだいぶ話が進んでおります。
  51. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 代表団の問題は非常に重要な問題で、ほかの各国の例も見なければならないと思いますが、ほかの各国は、一体どういう性格の者を派遣する予定でありますか。
  52. 佐々木学

    佐々木説明員 ニューヨークでこの十月に開かれました総会におきましては、ほとんど全部といっていいほど、いわゆる大使等の外交官でございまして、もっぱら外交的な問題が主だったのですが、今度できます本部は、そういう外交的な方面、分野ももちろん重要でありますが、しかし、問題はやはりウランを貸したり、あるいは原子炉そのものの設計を調査したり、判定したりというような技術的な面が非常に加わって参りますので、各国でもまだこういう人を代表団に送るというところまではきめておらないような状況でありますので、そういう点も見守っていきたいと思います。
  53. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 その次に伺いますが、例のマニラ・センターというものが建設される予定になっておりますが、どの程度進捗しているか、われわれ日本人の関心は、マニラ・センターに負けないものを早く日本も作りたいと思っておりますが、どの程度の進捗状況か問題であります。そこで、スタッフや、資金や、炉の建設等について、どの程度の進捗状況にあるか、情報をお教え願いたいと思う。
  54. 佐々木学

    佐々木説明員 マニラ・センターの問題は、この六月でございましたか、コロンボ・プランに参加する米国のフォックス・ミッションの方たち日本に立ち寄りまして帰りましたが、それ以後、向う側から日本側に対しましていろいろ注文がございました。その注文と申しますのは、たとえばどういう点で援助できるか、あるいは学者等を派遣するか、それにはどのくらいの人を、どのくらい応ずるかというような条項がありまして、それぞれお答えしているのでございます。その実を結ぶ一つの契機といたしまして、ただいまニュージーランドで開かれておりますコロンボ会議でその問題を米国が提案いたしたい。そうして、そこで各国の協賛と申しますか、承諸を得まして、その上で発足いたしたい、こういうスケジュールで事前に、一月くらい前にプランを各国に送るから、その草案を各国で十分検討してもらいたいというお話で、その草案を実は非常に心待ちに待っておりまして、再三その送付方を現地にお願いしたのでありますが、最後までその草案は送って参らなかったのであります。そうして、ただいま開かれておりますコロンボ・プランで、第四番目でございますか、その題目に原子力のマニラ・センターが載っておりまして、日本からも私が行く予定にしておったのでありますが、会議の直前に、米国で突然準備不足という理由でその提案を引っ込めまして、今度のコロンボ・プランでは、その問題は論議の対象からはずれたわけであります。ただ米国側では準備が不足だという理由でございますので、今回のコロンボ・プランでは討議をしないけれども、準備が整い次第、会議を持ちたいという意向のようでございます。ただそれがいつか、あるいはどこで開かれるかという点については未定でございます。おそらく近くどこかの国で会議が開かれる手順になろうかと思います。それから、そのスケジュールや規模等でございますが、これに関しましては、その後詳細な情報は来ておりません。ただフォックス・ミッションが参りました際のお話では、中曽根委員も御承知通りでございまして、大体二千万ドルくらいの費用で、邦価に換算いたしますと七十七億円になりまするが、二千万ドルの資金で、初めCP5程度の実験炉と、それから動力用実験炉を作りたい。それからホット・ラボラトリー等に関しましては、特に農業と医療方面に重点を置きまして、農業方面に関しては、世界で一番大きいと申しますか、精密な、精度のいい研究所を作って、この方面には思い切って力を注ぎたいというお話で、主としてねらいは教育、訓練、研究という面に重点を置きたいというようなお話でありました。
  55. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 最後にもう一つお尋ねいたしたいと思いますのは、動力炉の輸入に伴うて、日本原子力開発計画は相当修正しなければならないと思います。ここにある科学技術庁原子力開発の方針という九月六日の決定がありますが、これはまだコルダーホールというものを前提にしておらない計画でありまして、今までわれわれが言われておったような一万キロ程度の原子炉をやるというようなことが、かりに五万キロないし二十万キロくらいのコルダホール改良型というものが日本で建設されそうになれば、おもちゃのようなものになってしまう。また、それに伴う技術陣の養成計画というものも、大変革が来ると思います。また、それに伴う大学の原子力工学という問題も出てくるだろうと思う。従って、この動力炉の輸入という問題は、原子力政策の上に画期的な革命を起すような性格のものであろうと私は思う。そういうことに対する目の開き方が科学技術庁は足りない。また、政治工作もはなはだ不十分であると私は思う。この事態がもっと大きな画期的なものであるということを自覚されて、上の方は電源開発計画の修正、下の方は大学や技術陣の養成という面に至るまで、もっとしっかりとした案を至急打ち立てて、われわれに提示してもらいたいと思います。このことがまず第一点。  それから、第二点は、動力炉の輸入に伴うて、おそらく学者が騒ぎ出すだろうと思う。ということは、日本原子力政策というものは、電力会社の下請をやるにすぎないというような、くだらぬ悪評を浴びせる向きもあるに違いない。それにはある程度そういう理由もあるのであって、日本の今までの科学技術原子力に対する政策というものは、基礎研究を割合に軽視しております。しかし、基礎研究がぼうばくとして行われないところに、国産などというものはあり得ない。この間も湯川さんが絶叫しておられましたけれども大蔵省はこういう成果があるということを目の前に見せつけなければ、金を絶対に出さぬというのです。しかし、研究というものはそういうものではない。あらゆる可能性の中から一つのものを作り出すというのが研究であって、その可能性を認めてもらわなくちゃいかぬ。幾つかの大きな可能性の範囲を認めてもらわなくちゃならぬ。従って、成果が不確定であっても金を出すというのがほんとうの科学政策であり、原子力政策でなくちゃならぬ。その点が非常に欠点だということを湯川さんはわれわれに深刻に訴えておられました。私はその通りだろうと思います。従って、動力炉の輸入に伴うて、カウンター・パートといいますか、原子力政策のバランスをとらなくちゃいかぬ。従って、それに相応する程度の基礎研究という面に対する配慮も行なって、日本科学技術の進行ということが順調に進むように配慮していただきたいと思う。この点については、今まで大蔵省の認識が非常に疑われております。どうか、動力炉の輸入に伴うて、バランスの破れないような研究態勢をしくように、この際切に大蔵政務次官にお願いいたしまして、また御所見を承わりたいと思います。
  56. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 お答えいたします。今のはなかなか重大問題でありますので、責任大臣として、私から一つ申し上げます。今度はいよいよ経済ベースに合うということが確かになった以上は、一つ今までの計画を根本的に変えなくちゃならぬじゃないかというお尋ねであります。これはまことにごもっともであります。先ほど申し上げました通り、今までは原子力平和利用が経済ベースに合うことは、十年先のことだというのが一般の通念であります。専門家でもそうです。従って、それに基いたのが、今までの原子力計画であります。ところが、先ほど申し上げましたごとく、イギリスへ行った調査団が口をそろえて、今までのは間違っておった、経済ベースに合うという報告が来たのでありますから、この報告が来た以上、先ほど申し上げました通り、ウオター・ボイラーが要るとか、スイミング・プールが要るとかいうようなことは、これは、御指摘の通り、おもちゃのようなことなのでありますから、もう少し進んだ考えにいかなければならぬ、こう思っております。なお、動力炉を輸入するということについては、だいぶ反対も多かろうということを御懸念になったようでありますが、私は反対はあるかもしれぬが、意外に反対はなかろうと思う。なぜならば、今まで反対が強かったということは、動力炉を入れるについて秘密協定があった。その秘密があるから、そういうことは原子力平和利用の原則に反するからいかぬということが一つの強い理由であります。いま一つは、外国から輸入すると基礎研究を怠る、何でも外国のものそのままやるから、日本のいわゆる原子力研究の基礎を危うくするからという学者の意見がありますが、それはごもっともなんであります。しかし、私どもはたびたび申し上げましたごとく、たとえ外国から輸入しても、日本原子力の基礎研究については、一段と力を入れなければならぬということは、委員会でも確認しておりますから、このことの事実がわかり、さらにアメリカ秘密協定ではないとなれば、私は意外に反対が少いのじゃないかと思っておるわけであります。いずれにしても、今度は、原子力については非常に考え直さなければならぬ。実は、先ほどの火力、水力の発電についてのあの五カ年計画というものも考えなければならぬという中曽根委員の話には、私も非常に共鳴しております。先ほども申し上げましたごとく、水力についてはもう行き詰まった感があり、火力については石炭が高くなるというようなことでありますから、今や原子力発電が経済ベースに合うということが、調査団の詳細なる報告を見た上でわかったとするならば、これはどうしても電源開発については当然に再検討が必要だと私どもは思っておるのであります。いずれにしても、われわれ原子力当局としては、今度の調査団から報告が来たのをきっかけとして、今までの計画については十分なる再検討をし、そして原子力平和利用に明るい見通しがついた。今までは原子力平和利用ということは夢のように考えていたが、今はそうじゃない、現実に迫ってきた、しかも電力に困っている日本にとってはまことに救いの手が来たと思って、喜んでいるわけであります。どうぞ何分ともよろしくお願いいたします。
  57. 山手滿男

    山手政府委員 大蔵省といたしましては、財政経済万般のことから、大所高所から見る必要もありまして、先ほど申し上げましたように、いろいろ苦慮もいたしておりますけれども原子力関係につきましては、先ほど申し上げましたように、これを重点政策の一つとして取り上げ、ぜひ当委員会皆さん方の御趣旨、お考えに沿った線を打ち出していきたいと考えてもおる次第でありまして、よく今後も研究を重ね、御期待に沿いたいと思います。
  58. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 ただいまの御答弁で私は了解いたしましたが、重ねて申し上げますと、応用方面の動力炉の輸入という工学的方面の費用もさることながら、もっと基礎的な、あるいは理論的な面に対する費用も十分見ていただきたい。そうして両方のバランスをとらないと、学界に相当な混乱も起るし、あるいは無用な反対も起るし、のみならず、日本の学問の進歩というものが偏向するということを私は申し上げるのであります。理論的な、基礎的な方面における費用も十分お見落しのないようにお願いいたしたい。このことを最後に申し上げまして、私の質問を終ります。
  59. 有田喜一

    有田委員長 志村茂治君。
  60. 志村茂治

    ○志村委員 いろいろ質問申し上げたい点もあったのでありますが、私の社会党では、三輪さんの党葬か一時からありますので、それに出発しなければなりませんから、ごくあらましの、かいつまんだ点をお聞きしたいと思います。  まず最初に、科学技術者がいろいろな基礎的研究をする、それがあるいは新案特許となり、あるいは特許権となって登録されておるのでありますが、日本の実情は、それらの新案特許も実用新案もまぜました特許の三十万件のうち、実際に利用されているのは三万件にすぎない。九割の二十七万件が実用に供せられておらないというような状態になっておるのでありますが、実際の場合を考えてみますと、これらの実用新案が、果して経済上採算がとれるかどうかということについては、多くの危険を持っておるのであるから、よく実業界の人々も言うように、社長の身にもなってみろというようなことで、実験済みのものでなければ手に入れようとしなかったということであります。これが従来日本民間科学技術の発達しなかった大きな理由でもありますので、これはぜひとも何らかの方法によって打開する道を講じなければならない。その方法としては、まず第一に、そういう大きな危険負担をあえて冒す、国民経済の立場からそれをする責任のあるのは、国家だと思うのであります。そうして国家がその危険をあえて冒し、それが実用的に有効であるということが見きわめがついたとしたならば、実業界も進んでこれを利用する人が多いであろうと思うのでありますが、そのために、今回、科学技術庁から、新技術開発公団というものが、十億円の予算をもって要求されておるのでありますが、これについて大蔵省のお考えはどうであるか、お聞きしたいと思います。
  61. 山手滿男

    山手政府委員 お尋ねの新技術開発公団等の構想につきましては、先ほどからいろいろ御答弁を申し上げましたように、新しいこういう公団をいろいろ作った方がよろしいのか、あるいはすでに原子力研究所なりあるいは燃料公社なり、いろいろ既存機関もございますし、これの内容充実して、さらに完全なものにする方が急務なのか、現在いろいろ検討中でございまして、まだ全然結論を出すところまで行っておりません。ただ全体的な感触を申し上げますと、本年は、予算の編成の過程で現われてきました一つの現象といたしまして、公団、公社特別会計というふうなものを盛りだくさんに各省から大蔵省の方に持ち込んできておられますが、これだけたくさん公団、公社特別会計というふうなものを作ることがよろしかろうかどうか。はなはだしいケースを申し上げますと、一つの問題について三つの省から同じような別個の組織を作れというふうな御要求等も出ておりまして、こういうふうに競って公団、公社等を作るというふうなことでは、いろいろまたそれによる弊害も起きるものでございますから、十分各省においても慎重に検討してもらいたいということで、私どもの方は、実はこういう特別の組織を作ることについては、まだ手がついておらないという状況であります。
  62. 志村茂治

    ○志村委員 世界にもこういう種類の公出は各国に一つか二つしかない、それを持っている国も、二、三カ国しかないというふうな状態であります。特に日本の場合におきましては、こういうふうな公団の必要を、今の特許権の利用の程度から考えて特に必要だ、こういうふうに私は考えておるのであります。公団、公社等を乱立することについて警戒しなければならないという理由は私たちわかるのでありますが、しかし、特に必要であるということをわれわれは信じておるのでありまして、まず最初にお聞きしたいことは、それでは、こういうふうな種類の公団がほかにあるのですかどうですか、従来あるものを利用するというようなことを言われておったのでありますが、こういう種類の、こういう任務を果しておる公団がほかにあるのかどうか、それを一つお聞きしたい。
  63. 宮川新一郎

    ○宮川説明員 お答え申し上げます。ただいま御指摘いただきましたような公団の形におきまする機関はございません。ただ、私ども考えまするのに、たとえば通産省所管で出しておりまする工業化補助金と申しますか、各研究所に参ります補助金とかいう補助金の有効な活用によりまして、ある程度そういうこともカバーできるのではないか、その辺のところも検討する必要があるのではないかと考えております。
  64. 志村茂治

    ○志村委員 危険負担をみずから背負って、これを実用化するというふうな一つの機構と補助金というものは、大いに性質が違うのじゃないかと私は考えております。ただ、それによって果してできるかどうかということについてはいろいろ議論もあると思いますが、その点については、大蔵省はできるとお考えになるのでありますか、その点をお聞きしたい。
  65. 宮川新一郎

    ○宮川説明員 ただいま政務次官からお答え申しましたように、まだ予算編成の途上でございまして、いろいろな各省からの要望がございますが、それについてどうさばいていきますか、中にはこれはどうしても必要だというものも出て参りましょう、その辺のところはまだ途上でございまして、結論的なことを申し上げることができないのであります。ただこの場で思い当りましたことは、そういうふうな制度もあるのであって、そういうものの活用によって、ただいま御指摘になりましたような点が改善されるならば、それでもいいのではないか、これでもなお足りない、なお検討する必要があるということについては、今ちょっとここで申し上げることができないのであります。
  66. 志村茂治

    ○志村委員 今、大蔵省では査定の段階である、予算編成の前の段階である、従って、主計局としても、大蔵省としても、具体的態度はきめられないということをおっしゃいましたが、私もその通りだと思います。しかし、これは予算編成が決定してしまってからではいけないのです。それ以前に皆さんに十分な関心を呼び起してもらわなければならないというのが、今日皆さんにお集まり願った理由なんでありますから、その点十分御考慮願いたいと思うのです。しかし、先ほどから補助金等を十分利用すればと言われておるのですが、それは今まであったものであって、しかもその利用程度というものは薄く――先ほど申しましたように日本の特許権の利用程度はきわめて薄いというこの事実、これは十分お考えになってしかるべきであると思います。具体的には詳しく調べておりませんが、その制度自身に欠陥があるのではないか、これを直せばいいということは一応言われますが、根本的な大きな欠陥があるのではないかということも考えられるわけです。その点を考えられましたならば、もう少しさらに一歩突っ込んで、みずから危険を負担してやるのだ、新しく利用する実業界人たちには迷惑をかけないのだという組織をとって、初めてこの特許権の完全利用ということができるのではないかと私たち考えるのでありますが、あえて私はそれをここで強制するわけではありません。皆さんに、予算編成の際には、十分その点を考慮していただきたいということを申し上げたいと思うのであります。  次に、もう一つお聞きしたいのは、先ほど中曽根君からも触れましたが、今まで日本では、科学技術研究ということについて、なるほど抽象的には、だれでも、研究が必要であると言い、科学技術研究が不必要だと言う人は一人もいないのですが、予算面から見た場合、きわめて貧弱である。海外に比べたら特に貧弱である。私たちが、欧米であるとか、あるいはソ連であるとかを回ってみましたときに、それらの科学技術の先進国、これは同時に経済的の大国でありますが、それらの国においては、非常に巨額の研究費を出しておるということであります。それが日本で出せないというふうなことになりますと、いろいろ財政面の問題もあると思うのですが、ここで私一つ申し上げたいことは、昨日、科学技術庁からいろいろの報告を聞きましたその中において、一般の平和利用の科戸技術部面においては、現在器具機械も買うことができないという状態にあるときに、防衛庁の方では、どんどん機械を買っておりながら、利用しておらないという状態があるということであります。私どもは、いつでも防衛庁の予算においては問題があります、使い切れない予算について何するのだということがあるのでありますけれども、少くとも同じ科学技術研究分野において、そういう相違があってはいけないと思うのであります。なるべく平らに、できるだけ科学技術のお互いのバランスがとれなければならないのですから、そういうような甲乙のないように、これを取り計らっていただきたいと思うのですが、一つ意見を承わりたい。
  67. 山手滿男

    山手政府委員 前段の新技術、特許権等をもう少し活用さす道を講ずるために、一種の公団を作れという御趣旨につきましては、先ほど申しました通り、いろいろ考えてもおりますけれども、まだまだ私どもの方でよく研究をしたところにまで行っておりません。ぜひ御趣旨の点を体しまして、よく検討したいと思います。  それから後段の点につきましては、私どもまことに同感でありまして、善処したいと思っております。
  68. 志村茂治

    ○志村委員 これはちょっとさっき言い落しましたが、実際私が見てきたところてす。ソ連のモスクワ州のヴブノ町に十二九国合同原子核研究所というものがあります。そこの所長がブロヒンツェフさんでありますが、これが非常に膨大な研究賀をとっておる。その研究所は大きいのであります。原子核研究所といっておりますが、そのほかにエレクトロニック・コンピューターであるとかマルチプライ・アイオンというのがあります。それがどういうことになるかということについては、世界の学者の一致した意見はまだないのであります。しかも、それを実験俎上に乗せようというために膨大な設備をし、それから研究員あるいは文献というような一切の準備を整えておるのでありますが、そのブロヒンッェフさんに、一体これは何を目的とするのかと言ったときに、ブロヒンツェフさんの返事は、何ができるかわからぬ、わかっていれば初めから研究しないというのです。そのように研究というものは、今さら申し上げるまでもないと思うのですが、わかっていることならその必要はない、何が出るかわからぬ、成功するかしないかということもわからぬ、それをあえてすることが研究であると思うのですが、これについて、予算技術の面から見ますと、たとえば、道路建設の場合には、どのくらいの舗装のもの、どのくらいの幅のものはいつ何日までにできるということがはっきりしないと、予算は出しにくいと皆様は言われる。確かに出しにくいかもしれません。しかし、研究自体がそういう性格なものであってみれば、これに大きな弾力性を持たせると同時に、それについてはっきりしない目標であっても、これは研究のためだという態度で計上していただきたいということを私は念願しております。これをお尋ねしておきたい。
  69. 山手滿男

    山手政府委員 先ほども申し上げましたように、アメリカあるいはソビエト等におきまして原子力関係等に膨大な予算が細まれておることは、私どもも情報で承知いたしておりますが、ただソビエトあるいはアメリカ等におきましては、いわゆる軍事目的等にいろいろな配慮がされておりまして、そういう関係から、膨大な予算になっておる向きもあるようでございます。わが国とはおのずから性質、情勢も違うわけでございまして、同一には論断するわけには参らないと思いますが、先ほど御答弁を申し上げましたように、いろいろ財政、経済全般の配慮の上から、許される限り、ぜひ科学技術振興に、重点施策として力を注いで今後いく所在でございます。大蔵省の方といたしましても、技術振興につきましては、できるだけ思い切った措置をとりたいという考えでございまするから、御了承を願います。
  70. 志村茂治

    ○志村委員 今私の申し上げました原子核の研究については、軍事目的等とある程度重複する点もあります。しかし、今度一九六〇年までのソ連の第六次五カ年計画におきましては、二百五十万キロの原子力発電計画を立てております。これは膨大な費用を要するのであります。しかも、それは決して軍事目的ではなくして、平和目的オンリーの問題であります。しかしながら、そこで二百五十万キロという大きな発電炉を作るのでありますが、そのおもな目的は発電ではないのであります。御承知のように、ソ連におきましては、石炭、石油そのほかの熱エネルギー源としては十分に持っておるのでございまして、発電を原子炉に待たなければならぬという状態ではないのであります。二十年、三十年後に必ず原子力時代が来るという準備態勢でありまして、原子力発電も、決して電力をほしいというわけではなくして、これは実用段階における実験だというようなことを言っておるのであります。一つ研究であります。そのために、二百五十万キロの発電炉まで作るというだけの大きな心構えをもって、研究費としてこれを投下しておるのでありますから、一がいに理屈や理論を申し上げて議論をするわけではありませんが、軍下目的ばかりではなくして、平和目的に対しても、そういう態度をとっておるということを御了解の上、予算編成にはそのように御努力願いたいということであります。  次に、正力大臣にお願いしたいのでありますが、日本は終戦後十年あるいは十二年も原子力研究についておくれを持っておるのであります。そのために、あるいは燃料に対する受け入れ協定であるとかあるいは技術協定ということを言われております。現在はすでにアメリカ、イギリスとこれを結び、あるいは結ぼうとしておられるのでありますが、同時に私は、ソ連とも一つ締結願いたいということであります。と申しますことは、主としてこれは原料の燃料の問題になるのでありますが、今アメリカと締結されております双務協定については、アメリカ原子力法の手前、いろいろな制限がつけられております。たとえば、アメリカ日本に貸与したあるいは売り渡した燃料は、第三国に渡ることを禁止する。それがために、いろいろな監査権といいますか、そういうものもついてきております。あるいは、これには大体秘密はないというようなことを言っても、なかなかすっきりいたしておりません。特にこの燃料から出て参りますフィッション・プロダクトの利用については、アメリカは厳重にこれを制限して、日本には一切使用させないということを育っております。最近欧米を回られた人々の話によりますと、日本で、化学処理について、十分の能力、設備ができたときには、これを許そうと言っておるそうであります。これを私は素粒子論グループの人たちに聞きましたところが、第一その試験の材料とすべき灰をくれなければ、日本で化学処理の技術もできないじゃないかというようなことを言っておるのであって、まず第一に日本がその灰を手に入れるという方法をとらなければなりません。それについて、ソ連は全然そういうような制限はつけない。もし日本で処理ができないからソ連にやってくれというなら、やってやりましょう。しかし、日本でそれを処理したいというなら、どうぞおやり下さいと言っておる。そうして、こういうことも言っております。今、世界では、原子力の開発が進むに従って、放射能がだんだん蓄積してくる、あるいは将来世界は放射線の共同墓地になるのかもしれない、学者はこれに対してはっきりした結論は出ておらないと言うのであります。それがためには、最も技術の進んでおる日本協力を求めなければならないのであるから、ぜひとも日本もこの灰の処理については協力してもらいたいということまで言っておるのであります。そのほか、もしソ連日本へ売り渡した場合には――もちろんソ連は売り渡すと言っております。貸すのではありません。もちろん貸してくれと番えば貸すかもしれません。しかし売り渡しを原則としておるのであって、売った以上、その原料が第三国のどこへ行こうが、アメリカへ行こうがイギリスへ行こうが、決してわれわれの知ったことではないと言っておるのであります。そういうような寛大な条件をつけておるのでありますから、前にアメリカ協力協定を結び、そして正力さんの勇断でイギリスとも協定を結ばれようということになったがために、アメリカの態度は非常に緩和されたということもあるのでありますから、この際、さらにもう一つソ連と協定を結ばれるようにしていただきたいということが、私の念願でございますが、大臣の御所見を承わりたいと思います。
  71. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 ただいま志村委員からソ連当局についていろいろとお話がありましたが、まことにごもっともでございますけれども、これは国交回復後におきまして十分検討いたしまして、いかにすれば日本の国家の利益になるか、それを中心にして、よく検討いたします。
  72. 志村茂治

    ○志村委員 日本科学技術の輸入を先進国から求めなければなりません。それについて、私はソ連の大学当局とも話しました。モスクワ大学とレニングラード大学について、私は話をして参ったのであります。今モスクワ大学には、民族の種類でも六十以上の留学生が来ておる。来ておらないのは、日本人とアメリカ人だけである。そのアメリカさえも、留学生についての協定は結んでおるというのであります。この協定というのは、ソ連へ来た外国の留学先については、生活その他一切のめんどうを見るから、ソ連の留学生にも、日本も同じような待遇をしてくれというこれだけの協定であります。この協定は、アメリカソ連と結んでおるそうであります。ただアメリカが、ソ連の学生をアメリカの国に入れようとしないから、こっちへも来ていないだけだというので、世界中で留学生の協定を結んでおらないのは、日本一カ国だというような話を聞きました。これは何も国交回復とかいうようなことでなくて、科学技術については国境はないんだから、国交があるなしにかかわらず、それはやってよろしいのではないかというのが、向うの態度であります。と同時に、これは経済学の問題であります。レニングラード大学では、資本主義国家から来た学生の諸君は、あそこではマルクス・レーニン経済学とかあるいは共産党史というものを、ソ連の学生こは必修科目としてかけておるのでありますが、資本主義国から来た学生は困るであろうから、これはとらなくてもよろしい、こういうようなことまで言っておるのであります。それから、次に研究所でありますが、研究所では協定も何もいらない。特に理論物理学にすぐれた日本の科学者との協力をぜひ求めたい、無協定でよろしいからソ連へ来てもらいたい。先ほど申し上げました十二カ国合同原子核研究所などにおきましても、これは所長自身の独断によっても招聘することができるのだから、ぜひ送ってくれ、こういうことを言っております。留学生の協定、これは文部省の関係でありましょうが、もう一つは、これも理化学系統になれば多少科学技術庁に縁があると思いますし、また研究所に人を派遣することも、現在自由主義国家群にはどんどん出しておられますが、私の見たところでは、少くとも原子核の研究については、ソ連は世界第一だと私は見ております。原子力については、アメリカ自身がおくれをとったということを悔んでおるほどであって、ソ連の進歩は非常に大きいものであると思いますから、一刻も早く世界水準に達するためには、ソ連へも日本の科学者を送り、あるいは留学生を送るというようなことに極力願いたいと思いますが、御所見をお尋ねいたします。
  73. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 御趣意のことはよくわかりました。よく検討いたします。
  74. 志村茂治

    ○志村委員 時間がなくなりましたから、また後の機会に質問することにして、私の質問はこれで終ります。
  75. 有田喜一

    有田委員長 前田正男君。
  76. 前田正男

    ○前田(正)委員 時間もたちましたから、ごく一、二点についてお聞きしたいと思います。まず大蔵政務次官にお聞きしたいと思うのでありますが、それは、過日の委員会において、私から正力国務大臣に御質問申し上げて御答弁をいただいたことでありますけれども科学技術庁の設置のときの法案の審議がありまして、その審議において、科学技術庁科学技術に関する予算調整権を持つことになっておるのであります。それに対しまして、その閣議決定におきまして、大蔵大臣はこの意見尊重するということでありましたが、たしか法案の審議のときに、政務次官が御出席になりまして、同様にその調整したものに対しては尊重するというような御答弁があったと思うのであります。科学技術庁発足いたしまして、いよいよその調整いたしたものが出て参っております。昨日初めてわれわれその説明を受けたのでありますが、実はわれわれが心配しておりました以上に、科学技術庁としてはよく意見を採用いたしまして相当重要な問題にわたりまして、公平な立場から調整をいたしておるという話を私も聞きまして、非常に喜んでおるのであります。せっかくこういうふうないい調整をしたものができて大蔵省に送付されておるわけでありますから、もちろんこれは御尊重願えると思うのでありますけれども一つここでそれを尊重するかどうかということを、御答弁願いたいと思います。
  77. 山手滿男

    山手政府委員 いろいろ御意見を承わっております。ぜひ、そうした調整についての御意見につきましては参考にし、尊重をするように善処をいたしたいと思います。
  78. 前田正男

    ○前田(正)委員 せっかくいい結果が出ておるようでありますから、ぜひ尊重していただきたいと思います。  もう一つの問題は、先ほども長谷川君が触れておりましたけれども研究者というものは、どうしても一般の方よりか非常に頭を使い、また時間的にも長い時間をかけて努力しておる。それに対しまして、日本全体といたしましては、研究者に対する優遇が足りないというようなことで、科学技術振興策の一つとしては、ぜひ研究者の諸君を優遇しなきゃいかぬということを実はわれわれも強く述べてきたのであります。ところが、私はよく知らなかったのでありますけれども、ことしの科学技術庁調整された中に、聞きますと、政府関係研究機関の諸君が、実は優遇されているどころか、待遇が悪くなっておるという事実があるわけであります。先ほど話が出ました通り管理職手当だとか超過勤務とかというようなものが一般の職員の人よりか悪い。そういうようなことでは、ほんとうの研究はできないのではないかと思う。私たちは、研究者の諸君はもっとよけいに一般の人よりか優遇されておるんだと実は思っておった。これでは考え方が全然間違っておると思うのであります。先ほど大蔵政務次官は、長谷川委員質問に対しまして、ぜひ一つ善処じたいというお話でありましたが、宮川主計局次長が出てこられたので、宮川主計局次長からそれを一つお聞かせ願いたいと思います。
  79. 宮川新一郎

    ○宮川説明員 ただいまの御質問給与の面につきましては、研究所に勤めておられる方たちと、本省で行政事務に携わっておる人との間に差があるのではないかというような見地から、そういう取扱いになっているようでございますが、この点につきましては、なおよく検討して参りまして、善処いたしたいと考えております。
  80. 前田正男

    ○前田(正)委員 これはぜひ考えていただきたいと思いますから、一つよく御研究を願いたいと思います。  それから、先ほどの志村委員に対する御答弁で、政務次官、次長も、既存機関を利用していくのだというように御答弁になっておりますが、科学技術庁から今度出ております公団とか、センターとかいうものは、既存にないのです。既存にないから、実は皆さんも実例を知っておられると思いますが、日本で発明したものが、外国で実用化されているというような例が出てきているわけであります。日本に今までそういうものがあれば、われわれもやかましく言わないのでありますけれども日本にないところのものを出そうということでありますから――さっきからお話を聞いていると、既存のものを充美していけば、こういうものは必要がないじゃないかというようなことを言っておられますけれども、そういうことなら、日本でせっかく発明研究されたものが、よその国で実用化されたというような例が起ってくるはずがないのであります。そういう例がたくさんあるのです。一々私が申し上げなくても、皆さん御存じの通りであります。やはりそういう点で、日本科学技術研究態勢に欠けたものがあるのです。こういうものは、何もことし科学技術庁になって新しく取り上げた問題ではなくて、数年前から学術会議の方、あるいは経団連、経済同友会においても長く唱えられてきているのであります。幸いに科学技術庁ができたから、皆さんの意見を統一して、これを一つの成案として出したわけでありますから、ぜひこの点については、日本科学技術全般に欠陥があるということを御認識を願っておいていただきたいと思うのであります。  それからこの際、原子力の動力炉については、先ほど中曽根君からずいぶんお話がありました。私も同感でありますから、これは省きたいと思いますが、こういうように、動力炉の問題とか、その他どんどん具体的に出て芦ますと、実は燃料対策というものが非常に重大になってくるのではないかと思うのであります。正力大臣もおられますから、この際大臣のお考えを聞き、また大蔵省のお考えを聞きたいと思うのであります。この燃料対策というものは、燃料の値段がどうであるとか、こうであるとか、その対策をどうするとか、こうするとかというような問題ではないのではないか。燃料というものは、それを燃やしまして、また再生処理して、それによってできますところのエネルギーに対する価格の点は、値段がどれだけ商いか、安いかということは、問題にならない。日本でできますところの国内資源の開発にどれだけ金がかかって、そのできました一トン当りのコストが国際価格に比べて高くても安くても、それは実際問題として、将来、エネルギーに対するコストとしては問題にならなくなってくるのではないか。ブリーダーになり、しかもそれの再生処理をするということになると、その間の値段が、国際価格と、日本政府予算での精練処理でもって、日本国内のウランが将来一トン当り幾らになるか知りませんが、そういうものとは、私は勘定問題の以外にならねばならぬと思うのです。それからまた、国外からも現在日本はモナザイトを入れております。そこにできますウラニウムとかトリウムは、そのまま捨てておるようでありますけれども、そんなもったいないことはしないで、買えるものは買い上げなきゃならないのじゃないか。日本としては、燃料を確保できるならば、採算とかそういうことを別にしてやらなければならぬ。一日も早くやらないと、せっかく動力炉だ何だということをお考えになっておられても、燃料というものが外国に支配されておったのでは、役に立ちません。そこで、やはりもちろん外国からも買えるだけ買わなければならぬし、カナダその他にもできるだけ頼んで一つ買わなければなりませんが、燃料対策というものは、国内の資源と国外から入ります資源と、これは同時に、今すぐにでも、採算の問題を度外視してスタートすべきであると思うが、大臣はどうお考えになっておられるか。
  81. 正力松太郎

    ○正力国務大臣 ただいまの御質問にお答えいたしますが、先ほど来申し上げましたごとく、原子力平和利用、ことに原子力発電ということは遠い将来のように考えていたのであります。従って、燃料問題に対しても、そうあわてる必要はないのじゃないかという意見もあったのでありますが、燃料の国産は必要であると考え原子燃料公社を作ったのであります。しかし、経済ベースに合うことがわかった以上、これから大いに力を入れなくちゃならぬ。そうなってきますと、どうしても燃料問題を早急にやらなくちゃいけない。それについては、国内はもちろん、外国からも入れなければならぬということになってくる。実は私は、日本国内についても、必ずしも悲観はしておりません。現に、フランスのごときは、原子力の燃料は、フランスにはとてもないといわれておったのであります。しかるに、膨大な計画をもって採炭した結果、自給できるのみならず、場合によっては、外国にまで出すという例をフランスは示しております。従って、日本も広く採炭をやり、採鉱をやれば、必ずやできるのじゃないか、こう思っております。しかし、それと同時に、外国の点も考慮いたします。
  82. 前田正男

    ○前田(正)委員 私はその点は一つ国内の採炭とか、国外から入るものの採算は別にして、入手できるものは入手する、こういう考え方で、大臣の力も大蔵省の方も、一つ御尽力願いたいと思うのです。従って、そういうことになってきました場合に、どうしても問題になってくるのは、化学再出処理の問題であります。それで、これは一つ大蔵省にお聞きしたいのですけれども、私たちは、公社を作るときに、化学再生処理という問題は、法律にもまた提案の説明にも、十分に申してあったのでありますけれども、公社はそういうものを現在まだやる段階でないということで、これを認めていないようでございます。私はこの燃料というものが入ったならば、化学再生処理をしなければならぬ。従って、今からその問題の研究に入らなければならぬと思う。ところが、さっき志村氏はちょっと間違ったことを言われておったようであります。アメリカから入ってくるものは、再生処理ができないということを言われましたが、そうじゃありません。アメリカから入るものも、ソビエトから入るものも、特にアメリカから研究用として買いました燃料は、これは化学処理の研究に使うということについては、アメリカのAECも認めておるわけであります。従って、その再生処理が大規模にやれるかどうかということは、これはもちろん問題で、そういう大規模なことを大蔵省に認めろということを今すぐ言う必要はないと思うけれども、少くとも研究用の人員とか、研究用の費用、こういうものは、金額にしてもわずかなものでありますから、ぜひ一つ認めていただきたいと思います。政務次官はどういうふうにお考えになっておられますか、一つお答えいただきたい。
  83. 山手滿男

    山手政府委員 いろいろこの前からの経緯等もあるようでありますし、いろいろ皆さんの御意向もわかっておりますから善処いたしたいと思いますが、鳩山主計官から答弁いたきせます。
  84. 鳩山威一郎

    ○鳩山説明員 ただいまの問題につきまして、実は私たちの間で一応議論のあった点といたしましては、燃料の再処理あるいは灰の処理等につきましては、今まだ研究段階であります。それを研究いたしますにつきまして、原子力研究所の方でも研究要求をなさっておりまして、それから燃料公社の方でも研究するということになっておりまして、いろいろ施設、機械、同じようなものを使うわけでございますので、研究段階はどちらでやるのか、燃料公社の方に主力を置いてやるか、原子力研究所がおやりになるか、この点が多少不明確であったので、これをどちらでやるのかということについて、お尋ねしたことはございます。燃料公社の性格は、これはそういう現実の灰の処理をするという段階になれば、私は燃料公社がおやりになるのが適当と思っておりますが、現実の処理乞するというのと、現在研究段階にありまして、基礎的な研究でございますので、それをどっちでやるかという点に問題があるのでございます。それの操業に至ります場合に、これを燃料公社がやるということにつきましては、問題はないのでございます。以上、お答えいたします。
  85. 前田正男

    ○前田(正)委員 この問題は、実は、大蔵省にやかましく言うより、われわれがもう少し原子力委員会検討する必要があると思っております。原子力開発利用長期基本計画の内定したものを見ましたが、われわれとしては、内定した計画書を承認できないのです。この計画によると、研究所で何か研究をやると書いてありますけれども研究所でやります研究というのは、おもにアイソトープとか放射能の研究をすると思うのであります。この灰の処理というような問題は、科学的な研究段階じゃなしに、化学工業の研究をしなければならぬと思っております。灰の処理というものは、そんな研究のできるものじゃなくて、われわれがこの間アメリカで自動処理の工場を見ましても、われわれの想像以上のりっぱな化学工場なんです。ケミカルの工業としての研究が非常に必要になってきまして、それに使いますところの施設の材料だとか、あるいはどういうふうな処理段階をやっていかなければならぬとかいうふうなことが、実は、日本においては――私はこれはまた別に時間をさいて、大臣委員と相談するつもりでおりますけれども、こういう工学的な面のことが、原子力の方面としては非常に抜けておるんです。この化単処理のほかに、金属工業とか、いろいろなものが抜けております。従って、この問題は、私どもの方でもう少し委員会とよく相談して話をしますけれども、とにかく原子燃料公社法というもので、そういうことをやらなければならぬことは法律できめられておるのでありまして、話がついたならば、法律できめたものを予算で制限するようなことのないようにしてもらいたいと思うのです。  そこで、最後に大蔵省にお聞きしたいことは、われわれが研究所、公社の法律を作るときに当りまして、なるべく、この程度のものは、原子力の急速な発展の特異的な立場から、一般の研究所、公社と違うのですから、なるべく弾力性のあるようなものということで、国会の会計等の承認とか決算の承認とか、いろんな面において、できるだけ楽な方法でやるし、また原子力予算というものは、一括して科学技術庁に与えて、その中から研究所、公社へ支出していくというふうに、非常にやりやすくしたつもりでおったのであります。ところがわれわれが聞いておるところによりますと、原子力研究所、公社ともに、その予算を支出するに当っては、一々大蔵省の承認を得なければならぬということになっておるそうでありますけれども、私はそういうことは、大蔵省の権限のどこにもないと思っております。これは権限外のことでありまして、また科学技術庁の方は、特に原子力予算については執行権を持っておるのに、その執行権を大蔵省に制限されて黙っておられるということは、実は私は科学技術庁にも落度があると思っておるのであります。法律による権限外のことをやられておって、そうして私どもにそれを黙っておるというやり方に、間違いがあると思うんです。これは一つ大蔵政務次官が出ておられるんですから、もちろん政務次官も国会の席を持っておられる方ですから、法律の範囲の権限に基いて大蔵省が仕事をするということが当然だと思いますので、この点について、政務次官はどう考えておられますか、お答え願いたいと思います。
  86. 山手滿男

    山手政府委員 大蔵省の担当官の方でどういうやりとりがありましたか、私は具体的によく知りませんが、各省の関係で、予算の執行上、適正を期するという意味で、いろいろ大蔵省の方としても意見を申し上げておることは事実でございます。原子力関係等の予算につきましては、私が聞いております範囲では、従来、外国に旅行においでになるといえば、ほとんど申し出が達成されておるし、いかぬとか、あるいは金がどうこうというようなことで、チェックしたこともほとんどないように私どもは聞いておりますし、比較的にうまくいっておるのではないかと思っております。今お話のありましたような点について、もしいろいろ困った問題でもありまするならば、取り調べまして、遺憾のないように善処をいたしたいと思います。
  87. 前田正男

    ○前田(正)委員 政務次官のお言葉ですけれども、実は遺憾なことがあったとか工合の悪いところがあったとかいうことではなしに、各省の予算というものは、御承知通り、その支出については大蔵省からいろいろと意見は述べられるけれども大蔵省の承認を得なければ支出ができないというものではないと思うのです。予算がついた以上は、各省は執行権を持っておるわけです。科学技術庁の場合においても、原子力予算というものは、科学技術庁が執行権を持っておるわけです。一々大蔵省に、これを支出するからどうか、これを支出するからどうかというお伺いを立てる必要はないと思う。ところが、公社とか研究所の方は、一々大蔵省にお伺いを立てなければ使えない。そんなことはどこにも権限としてないと私は思う。どういうふうな権限でおやりになるのか。そういうことは、今までは創立の当初だから、ある程度大蔵省協力するつもりでやられたというならけっこうでありますけれども、しかし、今後はそういうことはやらないつもりでおられるか、その点を一つ明らかにしておいてもらいたいと思う。
  88. 宮川新一郎

    ○宮川説明員 御承知のように、大蔵省といたしましては、予算の執行につきまして、やはり責任を持っておるわけであります。単に科学技術庁のみならず、ほかの省のものにつきましても、四半期ごとに支払い計画の承認を求めるとか、いろいろなチェックをやっておるわけであります。特に補助金等につきまして、予算編成の際に、大ワクで、この程度入れるということできまったものを、実費いたします際には、これは一つ相談してもらいたいというふうに、各省と了解の上でやっておるものも相当ございます。ことに、科学技術庁関係予算につきましては、これは見ようによっては少いという御意見もありましょうが、私どもとしては、相当大きな金額を計上しておるつもりでございます。何分こういう予算の執行と申しますか、創始時代と申しますか、初めての段階でございまして、これが軌道に乗るまで、ある程度関係省とよく相談して参りたい、こういう趣旨でチェックしておるのでありますが、御指摘のように、一々こまかいことに大蔵省が容喙いたしまして、これはいかぬとか、それはいかぬとか言うことは、できるだけ避けるべきものと考えておりまして、漸次そういうチェック・システムというものは解消していくような方向に持って参って、円滑に予算の執行ができるように持って参りたいと考えております。
  89. 前田正男

    ○前田(正)委員 この問題はちょっと重大な問題ですから、もう少し申し上げておきたいと思うのですが、それは、今お話のように、大蔵省に支出に対する責任がおありになることは、当然であります。四半期ごととかその他いろいろな点において、それを執行するところの各省と御相談されていくことは当然のことだと思っておりますけれども、しかし、その一々こまかいことについてやらなければならぬということはないのでありまして、それについて、実は私たちが期待した通りに動いてないものですから、また諸外国から婦ってきて、諸外国と比へてあまりにおかしいものですから、研究所、公社の諸君に、これはどうしておるのかと話を聞きましたら、一々これはああだった、こうだったということであります。私は、こまかいことを申し上げて、皆さんにどうこう言いたくないのでありますけれども、今、次長さんがお話しておった通り、一々やるということは、おかしいと思うのです。もし、一ぺんに四半期といかないなら、その半分の一月半にやるとか、ともかく一々やらないで、できたならばもう少し普通の官庁並みにおやりになるというふうに一つ考えを願いたい、こう思っておるわけです。以上でもって質問を終ります。
  90. 有田喜一

    有田委員長 だいぶ時間もたちましたので、本日はこの程度にとどめ、次回は公報をもってお知らせいたします。  これにて散会いたします。    午後一時十五分散会