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鈴江説明員 昭和三十二年度
科学技術振興予算の見積り
方針の
調整につきまして、御
説明申し上げたいと思います。
資料はお
手元に差し上げてございますが、部厚なものでありまして、二冊になっておりますが、
最初厚い方から御
説明いたします。
最初の表紙をあけていただきますと、「
意見書」と書いてございますが、どういった過程でこれができておるかということを申し上げたいと思います。表紙の次に、総論と各論というように書いてございますが、総論の方には、Aとしまして「
調整意見作成の経過」、Bとしまして「
調整上の観点」、Cとしまして「試験
研究機関の
予算について特に留意すべき点」、Dとしまして「補助金、委託費等の
予算について特に留意すべき点」とございます。EとかFは附属
資料であります。各論の方に至りまして、Aといたしましては、「各
省庁間において
調整を必要とする
事項」、Bとしまして「各
省庁試験
研究機関の共通的亨項」、Cとしまして「各
省庁試験
研究機関についての個別的
意見」、それから次の紙にいきまして、終りの方に、Dといたしまして各
省庁の
試験研究補助金、委託費およびこれに類する経費」と書いてございます。二冊にわたりましたのは、各
省庁から
科学技術庁に提出いたされます概算
要求書の提出がおくれたというような理由がございまして、二冊になったのであります。
第一ぺ−ジをごらん願いたいのでのりますが、Aといたしまして「
調整意見作成の経過」というのがございます。これは、当初私どもこの
調整をいんしますときの要領をきめまして、これはあとの方に出ておるのでありますが、その要領に基きまして、——その安領は、
科学技術審議会、これは科学収術庁の諮問
機関でございますが、ての
科学技術審議会の方で決定したのでございます。その要領に基きましし、作業をいたしたわけでございまり。なお、個々の問題につきましても、
科学技術審議会の中に
科学技術予算部会というものを
設置いたしまして、そり学識経験者の
意見も聞きながらこれを
調整したわけであります。
Bとして「
調整上の観点」でございますが、私ども、この
調整をいたしますときに、どういうやり方をすべきかということをいろいろ考えたのでございますが、結局、企画
調整局の方でいたします
予算見積りの
調整につきましては、
科学技術に関する
予算の総ワクが決定していないのでありまして、従いまして、金額的に、どれを入れ、どれを捨てるというようなことは、非常に困難な問題でございます。
原子力予算におきましては、一括計上いたします
関係上、
予算の作成というような観点に立って
調整することになるのでございますが、企画
調整局の方の
予算の
調整は、各省がそれぞれ大蔵省と折衝いたすわけでございますので、その上で、全体のワクをきめていくというような段階でございます。従いまして、今申し上げたように、金額的に
調整することは困難であるわけであります。従いまして、(1)に書いてございますように、
科学技術を
振興いたします面からいきまして、ぜひとも必要なもの、必要な
予算を確保する、そういう立場に立って主張したわけであります。それから、(2)に書いてございますが、しかしながら一面、国家財政の支出の軽減とういことも考え合せなければなりませんので、
予算の効果的支出を可能ならしめるような
考え方をし一なければならぬということを意識したわけでございます。そして、なお、それについて二つの(a)と(b)ございますが、
科学技術庁の
予算と各
省庁の
予算とは、どうあるべきかということをまず考えてみたわけでございます。ここにありますように、各
省庁の
予算は、それぞれの
省庁の任務に基きまして、かつ単独に行い得るものを各
省庁の
予算といたしますし、また
科学技術庁の
予算は、各
省庁にまたがる
事項でありまして、一括して
実施することが適当であると思われるものに
重点を置く、そういう
考え方でもってその間の
調整を行なったわけでございます。それから、各
省庁間の
研究の
調整の問題でございますが、これは(イ)から(ホ)までございますように、(イ)として、各
省庁間において重複すると思われる
事項はないだろうか、それから、(ロ)として、計画を縮小しても結果に大きな不利がないと思われる
事項はないだろうか、(ハ)として、計画を段階的に遂行し、一部をさらに次年度以降に繰り延べる方が適当と思われる
事項はないだろうか、(ニ)として、計画の緊急性から見て、その計画をもっとずらしてもいいのではないかと思われる
事項はないか、(ホ)として、計画が不適当であると思われる
事項はないか、そういった
考え方をもちまして、その
調整に当ったわけでございます。それから、(c)としまして、
科学技術予算におきまする試験
研究機関予算と、補助金、委託費等の
予算の立場はどうだろうかということでございます。この
調整の
対象として、大きなものが二つありまして、
一つは国立試験
研究機関の
予算、
一つは補助金、委託費の
予算でありますが、その間におきまして、私どもは、国の
研究機関というものは国自身がこれを経営するものでありますし、またその
成果が広く
一般に使われるものでありますので、国立
研究機関の充実ということをまず主眼に考えるということ、それから補助金、委託費というものは、それぞれの効果はあるわけでございますけれども、しかし国立
研究機関の整備の
状況、並びに
民間企業体の資金
内容の
状況が改善されるということを考え合せました場合、従来の方法でよいかどうかということを勘案して、交付の
対象、方法等について検討しなければならないわけであります。
それからCといたしまして、「試験
研究機関の
予算について留意すべき点」があるか、これは多くありまして、二ページに入りますが、
試験研究環境、
試験研究費、
試験研究施設、新
研究の開発、この四つのテーマを取り上げたわけでございまして、そのほかに、さらに
研究者の増員ということも各省の
要求にあるわけでございますが、私ど
もといたしましては、
研究者の増員ということは二の次にいたしまして、まず現在の
研究機関というものが十分
活動できるということを計算に入れたわけでございます。しかしながら、それぞれの増員の
要求に対しましては、各論におきまして、必要やむを得ざるものは、その
必要性をうたったのでございます。
(1)の
試験研究環境の中には、(イ)と(ロ)とございまして、管理職手当の改善と
超過勤務手当の問題でございます。これは、先ほど
次長から申しましたように、現在
研究所の所長、部長あるいは課長といったようなものは、
本省の職員に比べてきわめて悪いのでございます。御知承の
通り、管理職手当は、本庁におきましては本俸の二五%の手当がついておるわけでございますが、
研究所長に至りましては、わずか一部分の者がそれと同じ待遇を受け、部長、課長といたしましては丙とか乙とか、つまり地方職員と同じ待遇を受けておるわけでありまして、
研究振興の上におきまして、
研究者の士気に
関係しますので、それをぜひ改善したいということ、それから
超過勤務手当につきましても、
本省は一月十五時間の手当がついておるわけですが、
研究所におきましては六時間ないし八時間
程度のものしかついておりません。これは少くとも行政官庁並みに直してもらいたい。実際問題としまして、
研究機関におきます
研究処理は、残業あるいは徹夜ということもたまたまございまして、決して、
本省に比べて
超過勤務手当が少いということは言えないのではないか、むしろ、多くしなければならないということを考えるわけでございます。
それから、(2)の
試験研究費につきましては、戦前は人件費対
事業費の割合が三対七でありましたものが、現在におきましては、これが半々になっております。従って、
研究所が十分
活動できるためには、少くとも戦前
程度の
事業費の増額が必要であるということがうたってあるわけであります。そのほかに、旅費とか図書印刷費といったようなものも、共通的に困っておる問題でありますので、これらの点については、各個別の問題におきまして、特に困っておる問題については、充実の必要があるということをうたっております。
それから、(3)の
試験研究施設の問題でありますが、
研究機関の能率発揮のためには、人の問題と同時に、
研究施設の充実刷新というものが重要な問題であります。しかしながら、こういった施設を改善いたしますときに、効果があって、しかも各省でこれを使いたいというものは、共通的にこれを使えるよう措置を講ずべきものであるということをうたったのであります。また(b)の営繕費は、各
研究所共通の悩みであります。多くのものはバラック建でありまして、貴重な
研究資料が火災の危険にさらされておる
状態でありますので、耐火耐震等の施設に漸次改善してもらいたいという要望であります。
(4)としまして、新
研究の開発でございますが、新
研究の開発はもちろん必要なものでございますが、しかし、三十二年度におきましては、あまり新
研究に手を広げまして、既存の
研究がおろそかになることを憂えておるわけでありまして、とりあえず従来の継続
研究を早く完成することに
重点を置いて、新
研究の方は、
生産性の向上とかいろいろございましょうが、そういうものは、漸進的に着手するのを適当と思うということをうたったのでございます。
それから、Dとしてへ補助金、委託費等の問題でございますが、補助金、委託費等についても、かなり今までも効果はあったわけでありますが、先ほど申しましたように、国立
研究機関あるいは
民間企業体の資金
内容の改善等から見て、さらにこれに検討を加える必要があるということをうたったわけであります。まず、補助金につきましては、どういう出し方をすべきであろうか、これはもちろん国として重要な
研究でありまして、自己負担の能力が乏しいものにこれを交付すべきものでありますが、しかしながら、補助金の性格からいいまして、やはり国費をこれに投ずるわけでありますので、その
考え方について、一律に出すということは適当でないであろう、その
考え方としましては、直接に
利益を生じがたい
研究部門、あるいは
研究資金の乏しい分野の
研究者が行うと思われるものを、交付の
対象として
実施したい。つまり、直接の
利益を生じがたいと申しますのは、工鉱業のいわゆる
利益のはね返りのある
研究部門よりは、むしろ、医学とか農学等のことをいうのであります。また
研究資金の乏しい分野といいますのは、発明奨励といったような零細な発明家のことでありまして、これらの
研究資金の援助をすることに
重点を置くべきではなかろうかと思うわけであります。それから、直接の
利益を生ずる分野におきましては、資金の調達の困難な
工業化試験を育成すべき方向に
重点を置くべきだというのであります。なお、補助金の中には、新しい傾向としまして、集団
研究、たとえば
研究組合というようなものを、通産省あるいは運輸省等においても考えておるわけでありますが、こういったものが、従来の出し方から比べて、適当であろうと考えておるわけであります。すなわち、
研究組合というものは、多くの
企業体が共同いたしまして
研究をする組織でございますので、その
研究成果というものは広い範囲に
利益をもたらし、かつまた
研究規模の拡大をはかり得るものでございますので、こういったものが、補助金の
対象として適当なものであるということを考えるわけでございます。それから、委託費につきましては、補助金とは違いまして、国の
研究機関にかわりまして、国の必要とする
研究成果を求めるわけでございますので、これは前の補助金と
考え方を変えて、最も適切な能力のあるものを
対象とすべきであるということをうたったわけであります。
それから、四ページ以降は、先ほど申しました
昭和三十二年度
科学技術予算見積り方針調整要領、これはこの
調整の
対象とすべき
研究機関をどの範囲に置くかということをうたってございます。たとえば、
研究機関におきましても、法律上は、
研究機関でない
研究機関もあるわけでございます。たとえば、大蔵省の醸造試験所等のごときは、これは
研究機関ということになっておりませんけれども、実際は
研究機関であります。そういうものを全部取り上げて書いてございます。
六ページに至りまして、E(2)というのがございますが、これは
科学技術予算部会におきましての、われわれのアドヴァイスを受けました委員でございます。
それから、国の
研究費としてどのくらいのものが
要求されているかということがF附表の第一表にあるわけでございます。七ページの方をごらんいただきますと、総計が一番下に出ておりますが、
原子力を含めますと、一番
最後の数字になります。これは昨年度百九億余万円でございましたのが、本年度は三百五十六億余万円でございまして、昨年の三二七%ということになるわけでございます。このうち、防衛庁と
原子力を除きました場合は、昨年の七十債に比べまして、本年度は二百五億余万円でございますので、二九〇%、「約三倍弱でございます。防衛庁はその下にございますが、こういったものが各省からの
要求でございます。とれらの数字は、
科学技術庁といたしましても、国の
研究資金がどのくらいあったらよかろうかということを論議いたしまして、
各国の国民所得に対する割合あるいは
政府の財政支出に対する割合等を勘案いたしましたときに、少くとも三十二年度は三百億
程度のものが必要ではないだろうかという検討を加えましたのとほぼ合致いたしておりますので、私どもも、この数字が決して膨大なものであるとは考えておらない次第でございます。
それから、八ページの第二表でございますが、これは
研究機関の各省別の
予算の
内容を大まかに分けたものでございます。この表の
最後から六つ目に書いてございます
総額対人件費の割合でございますが、三十一年度におきましては、人件費が
総額の五三%ございます。今のところは人件費の方が多いわけでございますが、
要求といたしましては二五%、つまりかなり
事業費が多くなり、人件費が少くなっているわけでございます。これが各省の
要求のほぼ自然の姿ではないだろうか。先ほど申しましたように、戦前は三対七で
事業費は七〇%でした。これが七五%になっておりますのは、新設
研究機関がございますので、こういった数字になるわけでございます。私ど
もといたしましては、なるべくこういった比率に各省の
予算を持っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
それから、第三表は、補助金等の
関係でございます。これを見ますと、やはり通産省の補助金が非常に多くて、二十三六億という数字になっております。だいぶ倍率が高いのでございますが、やはり重化学
工業に
重点を置いて応用
研究を進めるという立場からいいますと、この数字も当然のことではないかと思うのでございます。
それから、九ページ以降に、各
研究所別の内訳がずっと出ておりますが、これは非常にこまかくなりますから、省略さしていただきます。
十一ページ以降は、各省の補助金の
内容、どのくらいの
要求であるかということを、前年度と対比いたしまして、ここに書いてあるわけでございます。これを集計いたしましたのが、先ほど申し上げたものでございます。
十三ページの各論に入りまして、
最初に、「各
省庁間において
調整を必要とする
事項」というのがございます。これはこまかく見て参りますと、各
省庁間において非常に似たような
研究をやっておりまして、その間、お互いに
連絡をやっていけば能率の上るという点もございますので、できるだけその点を指摘したわけであります。本
調整意見は、大蔵省に対しますとともに、各
省庁にも明示いたしまして、将来の参考に供したいと思うので、できるだけそういった点を指摘したつもりでございます。
最初に、特に
重点的に
調整を必要とする
事項を書いてございます。航空
関係におきましては、
科学技術庁の航空
技術審議会の
意見をまとめたわけでありまして、普通風洞の復旧計画の問題でございます。これはきわめて長く書いてございますが、要点を申し上げますと、防衛庁におきまして、荻窪の富士
産業の普通風洞を買い上げたいという計画があります。一方、運輸省は、戦前の風洞を復旧したいというのでありまして、防衛庁と運輸省間において、それぞれ普通風洞を持ちたいというのであります。これに対しまして検討を加えましたところ、防衛庁の計画の方が
技術的に非常に適切であるという結論が出たわけであります。しかしながら、一方、国として二つの風洞を同時に作る必要はない。これは、本来、大きなものでございますれば三鷹の
航空技術研究所に
設置すべきであるという結論でございましたが、両
省庁の
要求しておりますものは、受け入れ検査のための小型のもので、必ずしも
航空技術研究所に置かなければならぬというものではございません。しかし、利用頻度からいいまして、両方同時に作ることは適当でないという結論を出しております。この点
技術的な計画は防衛庁がよろしい、しかし、実際の使用は、運輸省の方が頻度が非常に高いわけでございます。現在、防衛庁のこういった風洞の
仕事も運輸省に頼んでおるような
状況でございますが、私どもの見解といたしましては、運輸省が作ることが適当ではないかというようなことになっております。これには
技術的に非常にこまかく書いてございますし、ことに運輸省の風洞は、実用上非常に不適当であるというような見解もここに書いてございます。
十五ページに至りまして、航空電子機器に関する試験検査設備の整備計画でございますが、これは防衛庁と通産省との共同
事項でございます。航空電子機器に関する試験検査設備は非常に金額を要するものでありまして、通産省としましては、八億円
程度の
予算要求をしております。防衛庁は、実際は数千万円少いのでございます。実質上、これを
調査いたしますと、防衛庁はすでに今までの
予算におきまして二億以上のものを買い込んでいることがはっきりしたわけでございます。そういう段階におきまして、どうこれを処理すべきか。なお、通産省の八億の中には、
アメリカのFAPからの援助を四億期待いたしております。防衛庁もさらにそれを同じように
要求したいという考えを持っております。両
省庁においてこれを作ることは、非常に不経済であるという見地に立ちまして、その間の
調整を行なったわけでありますが、私どもの考えといたしましては、防衛庁がすでに二億以上買い込んでいる現段階におきましては、国として至急にそれを作るということを考えますとき、防衛庁のものに早く設備をすることが、一番望ましいことではないかという結論を出しております。ただし、それには条件がございまして、防衛庁がそれを買い込んで、他に使わせないということでは困る、通産省初め各
産業会社の利用にも供し得るようにしてもらいたいということをうたっているわけであります。
次に十六ページの中型輸送機の国産化の問題でありますが、これにつきましては、通産省から中型輸送機の国産化の
予算、二億円
程度出しておりますが、実は三十億円
程度のものが必要になってくるわけでありまして、これにつきまして、通産省の計画だけではまずいので、
科学技術庁、通産省、運輸省、防衛庁集まりまして、その計画を練ったわけであります。私どもの
考え方といたしましては、今の通産省の計画いたします輸送機の大きさが適当であろうという見解を持っているわけであります。
次に、金属材料
関係でございますが、これは御承知のように、
科学技術庁に
金属材料技術研究所がございますが、これと、各
省庁の金属
関係の
研究とがどう協調すべきかという問題でございます。これはやはり
科学技術審議会の金属材料
研究部会におきまして、その審議をいたしたのでございますが、各
省庁とも、結論といたしましては、
科学技術庁の金属材料
研究所が将来これの中核となってやっていくことは、いずれも異議のない点であります。ただ、
金属材料技術研究所がただいま建設の途上にありますので、実際に
研究に着手できない
現状であります。従って、各
省庁は、現在の人員及び施設をもって
研究を継続されるということが適当であろう、しかし、いずれ将来は、これを漸次一本化していくということを確認したわけでございます。その中にどういったテーマがあるかと申しますれば、たとえば、十七ページにある超高温耐食硬質材料に関する
研究、いわゆるサーメットにつきまして、名古屋
工業技術試験所とほとんど同じような
研究をやろうとしておるわけでございます。これにつきましては、名古屋はすでに着手しておりますので、その方の酸化物及び炭化物系に中心を置いてもらいたい、
金属材料技術研究所は、珪化物あるいは硼化物の方を主としてやろうというようなことにきめたわけであります。なお、小さな問題でありますが、名古屋の
工業技術試験所で
設立しようとしておりますクリープ試験機は、千三百度ないし千五百度のものをねらっておりますが、それも
技術的には非常に困難な問題があるということを指摘してあります。なお、仙台の
金属材料技術研究所におきましては、千二百度のものを作りましても、ほとんど使用できない
状況でありますので、これは困難性が多いということを指摘してございます。
その他純金属の問題、あるいはそのあとの方にあります希元素を含む新合金に関する問題とか、いろいろこういつたものが各
省庁において考えられておるわけでありますが、いずれも、こういったものは、大きな施設をこれから作るとか、人をふやすということは非常に不適当であろう、従来の力によってやることは、現在の
金属材料技術研究所が力を得るまではやむを得ないであろうということを、ここにうたってあるわけでございます。
それから、二十一ページでありますが、電子
技術につきまして、これも
科学技術審議会の電子
技術部会におきまして検討を加えたことでございますが、この電子
技術の発展は、
科学技術庁といたしましてもきわめて重視している点でありますが、これは各省にやはり相当の
関係がある
研究のテーマでありますので、この
研究の仕方をどうすべきかということが、ここに書いてございます。
最初に、「電子計算機および自動制御
関係について」ということが書いてございますが、一方は、(a)の中に(イ)(ロ)(ハ)(ニ)と書いてありますが、電気系を決定する要素については各省において
研究する、あるいは基礎的な問題については通産省電気試験所でやるというような大まかな
一つの筋を定めまして、そしてまた、
内容に当っていったわけでございます。たとえば、電子計算機の
研究の場合におきましては、四つまるのついているのがありますが、アナログ・コンピューターの設計についての
研究とか、こういったものについて、それぞれ適当であるかどうかということを検討したわけでございます。農林省の水産
研究所の問題がございますが、これはアナログ・コンピュータ場自身の
研究ではなかったために、重複はなかったわけでありますが、こういった使用者側がこういうことをやるのが適当であろうということが書いてございます。それから、電子
工業の
振興に必要な経費というものは、同じ通産省の重
工業局から出ております。いろいろな
民間に対する補助金等も出ておりますけれども、われわれの見解といたしましては、
初年度はできるだけ電気試験所の充実化ということに
重点を置きまして、こういった補助金はむしろ第二義的に考えるべきであろうということを、ここに
意見として述べているわけであります。
それから、二十二ページの電力
関係への応用
研究でありますが、こういったものは、火力、水力同時に両方手をつけないで、どちらか一方からやるべきであろうということをここにうたっているわけであります。なお、
原子力関係との
関係も非常に多いわけでありますので、その間の重複はできるだけ避けたいということもうたってあるのでございますが、3の
原子力関係への応用
研究は、
原子力局においてやられておりますので、ここには書いてありません。
二十三ページのオートメーションの問題でございます。これにつきましても、こういった機械試験所あるいは電気試験所からいろいろ
要求が出ておりますけれども、私どもの方としても、やはり電気試験所がまず中心になりまして、オートメーション方式の確立に関する
研究をき行いたしまして、その他の
研究所は、それを応用する立場において
研究を進めていくということを念願するわけでございます。
それから(b)の無線周波の絶対標準あるいは実用標準については、それぞれの分野を指定いたしまして、通産省は絶対標準についてやること、それから郵政省は実用標準についてやるということをきめてございますし、二十四ページには、周波数標準
関係についての今までの
研究、これも郵政、通産両省からそれぞれ出ておりますけれども、従来の実績はかなり郵政省に多いのでございます。その点を重視いたしまして、新しい方といいますか、通産省
関係は、従来の郵政省の実績を勘案して
研究を進めてもらいたいということをうたってございます。これらの問題は、今申し上げたように、電子
技術部会の審議を経たものでございます。
二十五ページに至りまして、通産省の
分析技術研究と
化学分析中央機関でございますが、これは
科学技術庁自体の
予算の問題の
調整でございます。通産省におきましても、東京
工業試験所あるいは名古屋
工業試験所等におきまして
分析の施設をやっていきたいということでございます。その点は、私ど
もとしては、従来こういった
研究機関の
分析に
重点を置かなかったことが本来間違いなのでありまして、これを改善してもらいたいということは、当然のことと思います。しかしながら、こういった
研究機関が
分析の施設を置きましても、それだけでは、先ほど申し上げました
分析というものが発展していかない。つまり、
研究所と申しますのは、
研究に力を注ぎますけれども、
分析にはなかなか力を持っていかないという
現状でございますので、やはり
分析機関、
科学技術庁の主張いたします
中央機関というものが必要であるということを、ここにうたってございます。
それから、二十六ページでございますが、運輸省の
技術研究所におきます大型旋回試験水槽の問題でございます。これは、運輸省が船の動揺安定性能に関する
研究をいたしますために、大型の旋回試験水槽を、これは三鷹の大きな野原の中に、三千七百万円をもちまして、八十メートル角の水槽を作ってみたいということでございます。しかしながら、私どもの見るところ、目黒の旧海軍
技術研究所には、それ以上のおおきなものがあって、すでに遊んでいるわけでござ、ます。遊休施設としてあるわけでございまして、これはさらに大きな、百五十メートル、百メートルの大きさのものでございますので、これを利用することで十分足りるという見解に立ちました。しかしながら、これもまた防衛庁も将来利用したい計画がございます。従いまして、その間、両省に話し合いましたところ、両省でも快く共有をしていけばけっこうであるという結論に達したわけでございます。こういったことが大きな問題でございましたが、小さな問題については、各論にそれぞれ書いてございます。
それから二十七ページに至りまして、各
省庁に共通の問題でございますが、先ほど申し上げましたように、
重点を置いていただきたいと思いますことは、各省の人件費の問題でございます。つまり、
特別調整額とかあるいは
超過勤務手当の問題でございますが、これについてどのくらいの
予算がかかるであろうかということを算定いたしましたところ、
特別調整額につきまして
本省の役付職員と同じように勘案しました場合に、これは
総額において六千三百万円にすぎないのでございます。これだけの
予算がございますれば、
本省と同じ扱いができる。それから、
超過勤務手当につきましては一億七百万円、これは二十八ページに書いてございます。その
程度のもので、
研究機関の
研究者に、
本省と同じ扱いができることになると考えております。それから、
普通庁費におきましては、(3)でございますが、光熱水量等の
費用が、従来
本省の中央部局では一人当り一年二万四千円でございます。
研究機関におきましては、事務系職員が五千六百一円、
技術系が二千百六十円で、非常に少いわけでございまして、結局、こういったものが足りないために、本来の
研究費がその方に食われているわけでございますので、こういうものを改善してもらいたい、こういうことであります。各省とも話し合った結果、一万円
程度のものがあればいいのではないであろうか、さしあたって一万円の
総額にしてもらいたいということでございます。これを主張いたしますと、
総額において八千四百万円の
予算を必要とするわけでございます。それらの
予算によりまして、
研究所がさっき言ったように非常に円滑にいけるのではないかと思うわけであります。
それから、あとの
試験研究の設備の問題は、個々の問題にわたりますので、総括的な
意見だけであります。あとの方は、二十九ページに、各
研究所におきましてどのくらい
予算が必要かということを個別的に書いてあるのでございます。
三十七ページの方は、各
省庁研究所につきましての特に
重点と思われる
事項とか、あるいは問題になる点について指摘してあるわけでございます。
三十九ページは、国家消防本部の消防
研究所、こういった小さなところでございますが、こういうようなところにおきましても非常に困って照る点は、図書が非常に足りなくて困っておる点と、あるいは新
研究の開発は、
重点的に考えられておるということも出ておるわけでございます。ですから、こればこまかくなりますので、
説明を省略さしていただきたいと思います。これは全部の
研究所についての
意見が書いてございますが、あまり多岐にわたりますので、省略さしていただければありがたいと思います。
なお、別冊の方に防衛庁の問題が書いてあるのでございますが、防衛庁の問題につきましては、二つの点を私ども指摘したいのでございます。別冊の第二ページに(イ)としまして、「防衛庁
技術研究所の委託
研究等について」と書いてございますが、私ども、防衛庁の
技術研究所が委託します。
研究テーマを見ますと、大部分は、各
省庁の
研究機関ですでにやっておる
研究テーマでございます。従いまして、そういう国の
研究機関を利用できれば、非常に国家的にも能率が上りますし、
研究費もふえるわけでございますので、そういったことを希望するわけでございます。しかし、現在の会計法の立場からいうと、
一つの省の
予算を他の
省庁に出すことは非常に困難であるということもありますので、この点、防衛庁については、何らかの措置を考えていくべきではないだろうかということを考えるのでございまして、これば防衛庁におきましても、そういうことを痛感しておるようでございますので、私ども今後一緒に
研究をしていきたいと思うわけでございます。
もう
一つは、防衛庁の機械施設等の共用の問題でございます。防衛庁は、相当いろいろな
研究設備を買い込んでございますが、あまり利用されてはいないというのが
現状ではないかと思います。それで、敷地の問題あるいは経費の問題等もあると思うのでございますが、これを各
省庁の
研究機関に利用させるならば、非常に効果を発揮すると思うのでございます。この点を防衛庁に申し入れましたところ、原則的には異論はないのでございますが、何らかの措置をとりまして、各
省庁とも大手を振って借りられるような体制を作ってもらいたいということでございます。その点は、やはり今後の問題といたしまして、防衛庁とともに、検討を加えていきたいと思うわけでございます。非常に長い時間を拝借して恐縮でございましたけれども、これで終ります。