○
青野委員 先ほど
運輸委員会が開会せられる前に、
松山委員長主宰のもとに
理事会がありまして、大体
理事会の御了承は求めておいたのでありますが、
運輸委員会の御承認を得まして、私と下平
委員の二人は、もちろん本省の
港湾局長以下
関係者が多数現地においでになりましたが、この
委員会を通じて二日間にまたがって問題になりました横浜港における米軍貨入札
制度についての
調査と視察を委託されましたので、去る十二月一日に、十一時半から晩の六時までその
調査に出向いたのであります。そこで、ぜひこれに関しては国会を通じて米軍の反省を求めたい、そういう意味で委託されて現地に
調査と視察に参りました
関係で、ごく簡単に要点のみを
委員会を通じて御報告申し上げます。
ちょうど十二月の一日に、先ほど申しましたように午前中にあちらに参りまして午後六時まで
調査に当ったのでありますが、そのときに関東
海運局長の部屋で会合を開いたのであります。その席上においでを願いましたのは、荷役の元請
業者、それから下請
業者の代表、労働組合の代表の方々でありますが、その人たちからいろいろの報告を聞き、また意見を聴取いたしまして、最後に一時間にわたって横浜港を視察して帰ってきたわけであります。
これが問題になりましたのは、日本には港湾運送
事業法という法律が現存しておるにもかかわらず、独立国である日本と独立という点については対等でありまする米軍が、軍貨を荷揚げするときに日本の法律をほとんど無視して、ダンピング契約をやって
業界の混乱を招くと同時に、港湾労働者の賃下げあるいは首切り等を慫慂するような結果を招くおそれがあるというので、
運輸委員会で問題になったのでありますが、この運送
業者が約二十社ほどございまする中で、三十二年度の米軍貨の荷役に関する作業契約が四つほどすでに決定をしておりました。三井倉庫、住友倉庫、宇徳運輸、京浜港運の四社が入札の結果、契約を取り結んだということを現地で御報告を受けたのでございますが、この中で、京浜港運のごときは一人の労働者も常時かかえておらない。そうしていろいろな米軍との取引上でダンピングのごとき結果を招いて、それがために
業界が混乱しておりまするが、この京浜港運に対しては、本省の港湾局も現地の関東
海運局も今厳重に
調査を進めているわけでございますが、問題になりまするのは大
部分京浜港運から始まっているようであります。
試みに見てみますると、米軍との契約で雑貨一トンについて三井倉庫は三十三・五セント、住友倉庫は同じく三十三・五セント、宇徳運輸はずっとおくれて妥協して威圧に屈服したのでございましょうか、三十一・五セント、今問題になっておりまする京浜港運が三十二セントであるが、実際に適正価格と目せられるものは三十九セントから四十セントであります。雑貨一トンの荷揚げ価格が約四十セントである。日本の公示
料金からいきまするならば、邦貨百四十円が正当である。ところが米軍が当て馬を作って、特別な港運
会社を作って、非常にダンピング的な契約をさせるために、ほかの
会社が非常に迷惑をしているというのが現状でございまして、私
どもが参りますると、十一月の二十九日から三十日と、越えて十二月一日と三日間、港湾労働者の諸君が、組織された労働組合を通じて米軍の反省を求める目的のためにストライキを行われておりました。ところが労働組合に加入していないところの京浜港運という港運
会社では、米軍の援助を求めて、そうしてアメリカの兵隊が多数まじって軍貨の荷揚げを各所で行なっているのを私
どもは目撃して帰ったのでございますが、この三井、住友、宇徳、京浜の四社で三十二年度の荷揚げの契約ができました中で、京浜港運というのは常時一人の港湾労働者も持っておらない。大体有資格者と目せられるものは、説明によりますと、常時百人以上の港湾労働者をかかえて、荷役に必要なるあらゆる器具、それが価格にして一千万円以上の器具を持っているものが大体有資格者と目せられているが、この京浜港運というのはそういうものは一切持たない。ただ名前だけである。労働組合の諸君の意見を聞くと、悪く申しますると、虎ノ門からちょっと離れておりまするそこのアメリカ大使館に、台所からこそこそと御用商人のように出入りしている者が中心になってこういう
会社を作っているのであって、港運
会社としては何らの設備も器具も持っておらない。それと米軍との間で非常に安い価格で荷揚げの価格をきめるものですから、ほかがみな飛ばっちりを受けて、安い価格で荷揚げをしなければならないようになったのが
業界の混乱である。その摩擦であり、感情の対立であり、ひいてはそれが港湾労働者の賃下げとなり、あるいは年末にこのまま押し迫っていきますれば、おそらく数百人の港湾労働者の首切りが行われるでしょう。これは大体せんじ詰めますと、アメリカが日本の港湾運送
事業法をまるっきり無視しておる。そうして
政府の反対にもかかわらず、この入札
制度というものを一方的に行なっている。そこに私は
原因があると思っております。大体雑貨一トンについては三九セントから四十セントが適正な
料金であろう。しかも荷役をやっております労働者一人当りが大体突っ込んで平均十二トン、働いておる労働者全体で大体一日二万六千トン程度の荷役をやっておるわけでありますが、日本の
会社に働いております諸君なら、これは夜の七時から晩の十一時までの四時間は給料の五
割増し、それから十一時から翌朝の六時までの七時間が、大体深夜作業でありますから十
割増し、それが米軍の貨物の荷揚げに従事しております労働者はこういうことを無視されておるから、夜であろうと宵の口であろうと、労働をやったって一銭の歩
増しもない。こういうような
不合理な点が
関係者から
指摘されておりました。大体京浜港運というのは、前、東海と称しておったそうでありますけれ
ども、そういう人たちが米軍との間に密接な
関係を持ってから、こういう問題が引き起ってきたと思います。大体アメリカとしての
方針もそうであったでしょうが、そのために昨年も一昨年も、横浜のこういった運送
業界が非常に混乱をして、そうしてこういう
会社ができたために必要のない摩擦が激化しておるということも私
どもは認めざるを得ないのであります。現実に雑貨一トンについて、アメリカの貨幣価値からいきますと、八セントから十セント程度の差がある安い荷揚げ
料金を押しつけられているということであります。大体公示
料金いうものは、厳格に決定はしていませんけれ
ども、現地の下田
局長から開きますと、一トン百四十円くらいなところが適正である。しかもアメリカの荷役は、向うさんからウインチであるとか、あるいはそれに類するようなものを借りてやりますから、一トンについて百四十円は、二十円くらいの差額がついておるということも聞いて参りました。
私
どもが現地に参りましたのは、結局目的はどこにあるかと申しますと、先ほ
ども申しましたように米軍の反省を求める、公示
料金を厳守させ、入札
制度を廃止させる。そのためには
政府当局の御努力を待って、日米合同
委員会に提訴して、そして日本の内地における荷役の場合はあくまでも港湾運送
事業法を守らせる、こういうことを目的にして、
委員会で問題になり現地に
調査に行なったわけでありますが、運輸当局なり現地の
海運局なり、それから下請
業者、元請
業者、党から申しますと自民党、社会党、国会から申しますと参議院がその前日に行ったそうですが、参議院、衆議院、そういう一切の
関係者が統一的意見を持って、しかも米軍の行為に対して反省を求めるという考えのもとに行ったのでありますが、不幸にしてそういう目的を理解せずに、現地の警察官が——この不適格者とみなされております京浜港運に籍を置いて専務か何かをやっておる、前の名前が東海といったときには労務主任をやっておった人で、
自分たちの労働組合に入ってないところの労働者を使っているものに、労働組合の諸君の代表が、こういう事情だ、米軍の横暴に反省を求めるためにやっておるストライキであるから、日本人である限りはぜひ協力してくれといって各所に説得のために行ったときに、不幸にして水上方面では警察官が、はしけは荷物を運搬するのに、労働組合の諸君が何十人も乗って、そうして荷役をしておる京浜港運の諸君にそういった行為をすることは不都合であるといったようなことで、各所にピケが張られておるものを、とにかく結果的にいえばこれを破られる、いろいろな
関係で圧迫を加えられたということを、私
どもが現地に参りましたときに承わったのであります。また特に問題になるのは、そういう京浜港運といったような無資格者であるのではなかろうかという疑いの起きておるところの重役の一人が、現地に出てきて総指揮官のごとき態度をとって、横浜特有の風太郎、それからグレン隊と目されるような人を二百人ほど動員して、四台のトラックに満載して労働者の諸君がたまっておるところに来て、そうして一人々々がハンマーに一尺五寸ぐらいの柄のついたものを腰にぶち込んで、その指揮者の命令のもとにトラックから飛びおりてきて、労働者の諸君が三十人、五十人たまっておるところにハンマーを握りながら挑発的な行為をしたということを聞きましたので、私はすぐに警察庁の第一警備課長をお呼びしてその真相を確かめたのでありますが、多少その点には、対立しておる
関係もあって、食い違っておる点もありますが、大体大同小異で、確かに警察の諸君が行き過ぎた点は認めざるを得ないのであります。こういうふうに問題が非常に複雑になって、私が行ったときは——ストライキは三日まででしたが、いまだに争議は続いておる。これは港運
業者と労働者の対立じゃない。
政府のやり方が悪いからといってすわり込んでおるわけじゃない。アメリカの入札
制度をやめさせろ、資格のない運送
業者はとにかく
政府の手によって適当な処置をとれ、そうして日本の港湾運送
事業法を守らせろ、こういう目標のもとにストライキが起っておるということは、全同的に、相当長い年数を振り返ってみましても、非常に特殊な事情があると思います。
〔
木村(俊)
委員長代理退席、
委員長着席〕
そこで先ほど私は、
松山委員長が主宰者になってお開きになりました
理事会で、その
内容は申しませんが、事が重大である、指をくわえてじっと見ておるわけにはいかない。日米合同
委員会に提訴して、一方的なアメリカの横暴を是正しようとすれば、勢い、どういう真相であるかということを把握しなければ問題を処理することができないから、もし国会が、今うわさに上っておりますように何日か延長されるようなことがあった場合は、横浜の元請
業者、それから下請
業者を入れて大体二十社ありますが、このうち二、三社、
関係の深い人を
会社代表でお呼びになっていただきたい。三井、住友、宇徳、京浜——ことに問題になるのが京浜です。これが日本人放れをした行動をとっておるのが混乱の中心になっておりますが、それと、港湾労働組合の代表者を、横浜から一人、神戸から一人、関東
海運局の適当な人を一人、そして問題を引き起しました現地の取締り警察官の責任者を一人、他日
運輸委員会が開かれますときには、公聴会のごとく、大体意見の開陳、報告、質疑応答を通じて、正しい世論を喚起して、国会論議を重ねて日米合同
委員会に提訴し、そして米軍の入札
制度を廃止するように、それから米軍の一方的な、公示
料金を無視したこうしたやり方を
一つ是正して、そしてもとのように横浜及び神戸の
業界が平穏に、港湾労働者の諸君もみずから進んで労働意欲に燃えて荷役作業に従事するように、私は解決の方法を立ててもらいたいと思いますから、来たるべき
委員会なりあるいは
理事会を通じてこういうことを決定した場合は、
委員諸君の御了承のもとに、この解決のために私
どもの全力をあげて戦っていきたいと思います。それをつけ加えまして、この間下平
委員と私の二人が現地に参りました重点的なあらましの御報告を申し上げた次第でありますので、この問題について、もし
政府当局の方で御意見がございますれば、
一つ伺っておきたいと思います。
以上、まことに
内容が空疎であったかもしれませんが、大体の御報告を申し上げた次第であります。