○中居
委員 いや、この問題は水かけ論になるかと思いますが、大体調査会を牛耳っておる方は大蔵省の役人の方でございますから、そういう大蔵省の意見を反映して、現在
委員の方々は検討しておるわけでございますから、これはあなた方の意思というものは言明なさらなくてもはっきりしておると思います。そこでさっきあなたが
答弁いたしました道路整備の費用としての応益者の負担、あるいは外国との税の開き、あるいは地方財政の
観点から、こういう
観点は決して
税制調査会の意見ではなくて、あなた方の意見だと思います。そこでこれらの点について私は
質問を行いたいと思うわけでございます。
もちろん今日の
わが国の
自動車輸送の増強ということは、将来とも私
どもの想像を絶するような発展をするのではないか、こういうふうに
考えられております。従いましてこれに伴って一日もすみやかに
わが国の道路の整備を急がなければならないということは、万人ひとしく認める理論でございます。先般
政府でございますか、建設省でございますか、ワトキンスという道路調査団を数千万円の金をかけて招いた。そして
わが国の道路を調査してもらった。ところがこのワトキンスの調査の結論といたしまして
報告されたものには、こういうことが書いてございます。
日本の道路は信じがたいほどに悪い。工業国でこれほど完全にその道路が閑却せられておる国は
日本のほかにはない、こう述べております。さらに
日本の道路の閑却は、
日本経済に非常に重いコストの負担を課しておる。そして思い切った道路整備の計画の立案を実施することを要望しておるのでございます。こういう
わが国の
自動車業の発展と道路の整備ということは、何も
アメリカ人に指摘せられるまでもなく、
日本人が甘も
承知しておるところでございます。道路の整備の推進ということは、従いましてこれは大きな国家の使命である、政治本来の使命であると私は思っておるわけでございます。今あなたのお説を聞きますと、道路を整備するために、利用者たる
自動車業者の負担によってこれが推進をはかっていきたい、はからなければならないのだ、こういうような
答弁の趣旨に私は聞いたのです。しかし一体道路が整備せられることによって
利益を受けるものは、
自動車だけですか。私はここに
資料を持っておるのでありまするが、道路整備の経済効果の分析という
資料がございます。これによりますと、道路が整備せられることによって、直接に
自動車の運行経済の
利益になるものとして、三四・二%という計算ができております。さらに国民の
一般的な
利益となるものが三二・三%、第三番目として
自動車運行経済には
関係がない、いわゆる国民の
利益になるものが二五・六%、その
利益の判別に困難なものが七・九%、こういう詳細な調査の結果ができております。
一体道路を整備することによって
利益を受くるものが、百歩譲りまして道路の建設の費用を負担するといたしましても、たとえば
自動車業界にこれを課するといたしましたならば、この統計に基くまでもなく、大体三四、五%、三分の一
程度の負担が妥当な
自動車業界の応益負担ではないか、 こういうふうに私は
考えておるわけでございます。従いまして道路整備によってどの産業が一体
利益を何。パーセント受けるか、こういうようなことを分析すること自体が私は間違いだと思うのです。また分析すべき性質のものではないと思っております。従って私は道路整備というものは大きな国家政治の使命である、こう
考えておるわけであります。かるがゆえにこそ国民は今日もなお一兆というような過重な負担というものにたえ、て、そして早く
政府の手によって道路が整備せられはしないか、こういう期待を持って一兆の租税負担に国民はたえておるのです。ところが、冗談になるかもしれませんが、戦前といわず、戦争中といわず、戦後といわず、
わが国の政治というものはこういう本来の目的を離れまして不必要な軍備に狂奔して参ったのです。不必要という言葉が語弊があるとしますならば、身分不相応な軍備に狂奔いたしまして、まだその泥沼から抜け切っていないというのが今日の
わが国の政治ではないか、こう思っておるわけでございます。
昭和二十九年でございましたか、
政府は道路五カ年計画というものを立案いたしました。そうして五カ年かかって
わが国の根幹道路の整備をはかるのだ、そのために
自動車業界は税金を負担してくれ、こういう
法律ができまして、
ガソリン税が二万三千円、地方道路税も含めて一万三千円という、目的税であるとは明記しませんでしたが、目的税的性格を持ってこの道路整備五カ年計画の閣議決定と歩調をそろえまして出発いたしたのが
昭和二十九年です。ところが今日まで三カ年経過いたしました。経過いたしましたが、道路の進捗
状況はどうですか。本年度をもってわずかに四四%にしか達していない、こういうことが調査の結果示されておるのです。その際大蔵
当局が私
どもにこういう
答弁をしたのです。たとえば
ガソリン税が百億入ると仮定するならば、
政府は二〇%に
相当する、いわゆる二十億の金額を
一般財源から繰り入れる、こういうことを
委員会において
政府は私
どもに言明しておるのです。そうして
昭和二十九年度だったと思いますが、総工費千六百三十億円だったと記憶しておりまするが、千六百五十億円の計画を私
どもに提出いたしました。その際の大蔵
当局のわれわれに対する
説明は、揮発油税は年間大体二百九十億入るのだ。従ってこれが五カ年間で幾ら幾ら。そうしてその上にさらにこれの三〇%に
相当する
一般財源をこれこれ投入する。そうして五カ年間で千六百五十億の道路計画を完成するのだ。こう言って私
どもにこの
ガソリン税を納得さしたのです。ところが三年間経過した今日どうですか。
ガソリン税は予定の二三%を突破して増収になっております。従いまして
政府、大蔵省が
一般財源から投入すべきところの二〇%に
相当する金額も、この
ガソリン税の増徴の分に従って増額せられなければならないのが、あのときの国会における
答弁の趣旨だったのです。ところが
ガソリン税が増徴になったら、
一般財源をほとんど減少いたしまして、さっき山口君が指摘いたしましたように、あるいは失業対策費に七十億回し、あるいは道路公団に五十億贈与してやる、こういうような処置をとりまして、そしてその総体千六百五十億という金額だけを押えて、そしてこのわれわれに対する約束と申しますか、国会において等介した趣旨と相反するような財政処置を講じて参ったのです。従って今日では予定よりも道路の建設は二二%ないし三%おくれておる。この原因は一にかかって大蔵
当局の数字だけを合せればいいのだ、こういうようなその場限りの机上の計画がこういう事態を招いた原因である、私はこう思っておるわけでございます。一体私の今の話を聞きましてあなたはそれでもなおかつ道路整備のために要する費用は、利用者たる
自動車業者の負担によって大半まかなっても差しつかえないのだ、こういう意見を持っておりますか、これをお伺いしたいと思うわけでございます。