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1956-03-19 第24回国会 参議院 予算委員会第二分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月十九日(月曜日)    午前十時三十八分開会     ————————————— 三月十七日予算委員長において、左の 通り分科担当委員指名した。            川村 松助君            西郷吉之助君            佐野  廣君            田中 啓一君            野村吉三郎君            堀木 鎌三君            亀田 得治君            佐多 忠隆君            曾祢  益君            吉田 法晴君            小林 政夫君            高木 正夫君            豊田 雅孝君     —————————————  出席者は左の通り。    主査      吉田 法晴君    副主査     豊田 雅孝君    委員            川村 松助君            西郷吉之助君            田中 啓一君            野村吉三郎君            佐多 忠隆君   政府委員    通商産業政務次    官       川野 芳滿君    通商産業大臣官    房長      岩武 照彦君    通商産業大臣官    房会計課長   出雲井正雄君    通商産業省企業    局長      徳永 久次君    通商産業省重工    業局長     鈴木 義雄君    通商産業省軽工    業局長     吉岡千代三君    通商産業省繊維    局長      小室 恒夫君    通商産業省鉱山    局長      松尾 金藏君    通商産業省石炭    局長      齋藤 正年君    通商産業省鉱山    保安局長    正木  崇君    通商産業省公益    事業局長    川上 為治君    特許庁長官   井上 尚一君    中小企業庁長官 佐久  洋君    中小企業振興部    長       秋山 武夫君    工業技術院長  黒川 眞武君   事務局側    常任委員会専門    員       正木 千冬君   説明員    通商産業省通商    局次長     佐藤 清一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○正副主査互選昭和三十一年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十一年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十一年度政府関係機関予算  内閣提出衆議院送付)     —————————————   〔年長者野村吉三郎假主査となる〕
  2. 野村吉三郎

    假主査野村吉三郎君) ただいまより第二分科会を開会いたします。  規則第七十五条第三項によりまして、年長者のゆえをもって私が正副主査互選を管理いたします。  これより正副主査互選を行います。互選は、先例により、管理者にその指名を一任されたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 野村吉三郎

    假主査野村吉三郎君) 御異議ないと認め、私より、主査吉田法晴君、副主査豊田雅孝君を指名いたします。(拍手)     —————————————   〔吉田法晴主査席に着く〕
  4. 吉田法晴

    主査吉田法晴君) ちょっとごあいさつ申し上げます。御指名によりまして、私が主査として分科会の運営を行うことになりました。どうぞ皆様の御協力お願いをいたします。  本分科会所管は、総理府のうち防衛庁、外務省、通商産業省でございます。本日は通商産業省所管について審査をいたしたいと存じます。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  5. 吉田法晴

    主査吉田法晴君) 速記を起して下さい。  それでは、本日は通商産業省所管について審査をいたすこととし、まず説明を願います。
  6. 川野芳滿

    政府委員川野芳滿君) ただいま議題となっております。通商産業省予算各案について御説明を申し上げます。  まず三十一年度通商産業省所管一般会計予定経費要求額は八十三億六千三百七万七千円でありまして、これを三十年度総額七十四億四千九百五十五万五千円に比較いたしますと、九億一千三百五十二万二千円の増額となるわけであります。  次に、三十一年度予定経費中重要なものについて御説明を申上げますると、第一に、貿易振興対策といたしまして、総計十億七千九百十六万七千円を計上いたしましたが、これを前年度予算額九億七千九百十六万七千円と比較いたしますと、一億円の増額を見ております。  増額の重点は、わが国貿易商社等がいまだ弱体であり、従ってその海外における活動も十分とは申せない現状にかんがみ、海外市場開拓販路拡張とをはかるため、主として貿易情報機関の整備、市場調査充実及び輸出見本船派遣等をはかったものであります。  まずわが国商品の展示、紹介及び貿易あっせんを行う貿易斡旋所については、前年度に引き続き、既設のニューヨーク、サンフランシスコ、カイロ及びトロントの四カ所を維持いたすとともに、その活動を活発化せんといたすものであります。  次に、国際見本市参加等補助については、二億五十七万円を計上し、イラク、コロンビア、セイロンアメリカ等七カ所の見本市への参加を予定いたすとともに、五千万円をさいて、中近東、東南アジア方面機械類輸出見本船を派遣して、新規市場開拓をはかりたいと存じます。  次に、ブラント輸出促進対策といたしましては、現地における機械設計技術相談等の便宜を供与する重機械輸出プラント協会活動を活発化するため一億八千二百万円を計上するとともに、事業内容充実をはかりたいと存じます。  なお海外における土建事業協力し、あわせて建設機械輸出促進するため既設のビルマに加えて新しくフィリピンに関係駐在員を派遣いたしたいと存じておりますし、また農水産物輸出増進をはかるため、農水産物輸出振興費を大幅に増額いたすとともに、電気機械、医薬品の輸出増進のための措置をそれぞれ講ずることといたしております。  海外市場開拓し、わが国商品販路拡張をはかることは輸出振興するための根本でありますので、海外市場調査のため、前年度額に二千六百七万二千円を増加し、一億一百八十七万円を計上いたしまして、海外における諸情報の迅速なる収集をはかるとともに、わが国商品及び産業経済実態海外へ紹介宣伝するための海外広報宣伝費を一億五千二百五十三万二千円計上いたした次第であります。  さらにわが国中小企業製品輸出に占める役割はきわめて重要でありますので、その輸出商品品質向上をはかるため、前年度額に一千三十二万九千円を増加して、新規試作品奨励技術研究推進等を活発に実施いたしたいと存じております。また現在先進国に比し立ちおくれの目立つ輸出意匠品質改善費として、前年度の約三倍である三千一百九十七万円を計上してこれが進歩をはかりたいと存じます。  その他、日本国際見本市補助国際商事仲裁委員会補助等については、前年度に引き続きまして、それぞれほぼ同額を計上いたしました。  第二に、技術振興対策でありますが、これは前年度対比四億三千二百八十七万六千円の大幅増加で十四億九千五百七十四万六千円を計上いたしております。  まず鉱工業技術研究助成費については、四億五千万円を計上いたし、昨年一億円の国庫補助を計上した株式会社科学研究所につきましては、本年度よりこれを一般会計出資に切りかえることとし、従って三十一年度分は大蔵省に計上することといたしております。  次に、原子力予算のうち当省関係試験研究費及び原子燃料探鉱費補助金等を含めて二億五千一百二十二万円が当省分として計上されております。  なおわが国語産業振興基礎をなす金属材料重要性にかんがみ、新しく金属材料研究所の設置のため一億円を計上いたしております。  次に、発明奨励費につきましては、前年度とほぼ同額の三千万円を計上し、発明実施化試験外国特許出願発明協会補助を行うことといたしております。  なお発明行政重要性にかんがみ、本年度特許庁の人員並びに事務費充実をはかりました。  また当省所属試験研究機関につきましては、それぞれの基礎的研究に必要な研究費のほか、特別テーマにかかわる特別研究費として総計六億二千四百九十八万六千円を計上いたしました。これは技術の急速な振興を要する現下の情勢にかんがみ、前年度のほぼ二倍に当る金額を計上いたしたものであります。これにより、工作機械オートメーション海水利用有機合成化学、新材料製造等わが国経済にとって喫緊の重要事項に関する研究促進をはかる所存でございます。  第三に、中小企業振興対策であります。まず中小企業に対する金融対策でありますが、中小企業金融公庫につきましては、資金運用部よりの借入金百三十五億円に、回収金等自己資金等百六十五億円を加えますと、運用資金総額は三百億円と相なり、三十年度における運用計画二百五十五億円に比し相当程度増額となるわけであります。  さらに商工組合中央金庫につきましては、中小企業金融公庫を通じ資金運用部よりの借り入れ十億円と余剰農産物見返り資金生産性本部を通じて十億円計二十億円を計上し、これによって資金充実と金利の引き下げをはかりたいと存じております。  中小企業振興対策の第三は、中小企業協同組合等補助でありますが、これは前年度に五千万円を増加し四億七千万円を計上し、引き続き中小企業協同化並びに近代化等を推進いたす方針であります。  次に中小企業相談所補助についてでありますが、中小企業にとりまして、懇切なる指導と、よき相談相手とが必要なことは今さら申し述べるまでもないところであります。かかる見地から各地にすでに中小企業相談所が設置せられ、相当の成果をおさめている現状でありますが、より一層その機能を強化し中小企業の要望にこたえるため三十年度に二千七十一万円を増加し、五千一百九十一万円を計上いたした次第であります。  また都道府県に対する中小企業振興費補助については、前年度同額中小企業診断指導を中心として計上いたしており、さらに先年からの風水害に伴う小企業者に対する復旧資金利子補給につきましては、前年に引き続き本年度所要額三百九十四万二千円を計上いたした次第であります。  なお中小繊維工業産業規模合理化し、過当競争を避けて輸出市場安定確保をはかるための補助金として、新たに一億三千万円を計上いたしました。  第四に、産業基盤強化対策であります。まずわが国産業生産性向上を前年度に引き続きさらに強力に推進するため三十年度額に二千五百万円増加して、七千五百万円を計上いたしました。新規施策としては、工業用水確保が今後における工業生産伸張のため重要不可欠な基盤である点にかんがみ、これが確保に必要な補助金として初年度一億八千二百五十万円を計上いたしました。  次に、砂鉄、磁硫化鉄鉱等重要鉱物生産維持をはかるための探鉱費補助は、天然ガスも含めて、四千万円となっております。なお前年度二億八千万円を計上いたしました石油試掘費等補助については、本年度より出資金は切りかえることとし、産業投資別会計より七億円を出資することといたしたく、従って一般会計より除外いたしました。  次に、当省所管特別会計について、その歳入歳出予算の大要を簡単に御説明申し上げます。  まずアルコール専売事業特別会計でございますが、三十一年度歳入予定額は三十二億七千三百三十四万四千円、歳出予定額は二十八億六千三百六十四万六千円でありまして、資産、売掛金等関係を加減しますと、三十一年度益金予定額は二億九千百七十二万四千円となります。  第二に、輸出保険特別会計について御説明申し上げます。三十一年度歳入歳出予定額は、ともに四十二億五千一百十五万九千円でありまして、歳入のおもなるものは保険料収入、六億三千一百七十八万五千円、資金運用収入、一億四千八百五十万円、雑収入二千七百六十万八千円、前年度剰余金三十四億四千三百三十六万六千円等であり、歳出のおもなるものは、支払保険金五億七千五百二万六千円、予備費三十六億四千八百二十二万二千円等であります。なお本特別会計に新しく海外との経済協力促進するため海外投資保険を新設することといたしました。  第三に、中小企業信用保険特別会計について御説明申し上げます。  三十一年度歳入歳出予定額は、ともに三十一億二千四百三十八万二千円でありまして、歳入のおもなるものは保険料収入三億三千七百四十九万六千円、資金運用収入一億二千六百二十五万円、雑収入九百七十五万九千円、前年度剰余金二十六億五千八十七万七千円等であり、歳出のおもなるものは支払保険金四億五千四百四十六万四千円、予備費三十六億二千四百二十万八千円等であります。  なお三十一年度より新しく指定法人を相手方とする包括保険制度を創設いたしますとともに、小口保証保険貸付限度の引き上げを行なって、中小企業信用保険制度の逆用の円滑化をはかることといたしております。  第四に、特別鉱害復旧特別会計について御説明申し上げます。  本特別会計は、戦時中の石炭増産に伴う特別鉱害を復旧することを目的とするものでありまして、三十一年度歳入歳出予定額は、ともに七億八千三百二十万二千円でありますが、歳入のおもなるものは納付金収入六億一千七百九十八万八千円であり、歳出は、その大部分が鉱害復旧事業費であります。  なお、本特別会計とともに、鉱害復旧事業全般としては、国庫補助金十三億千三百二十八万四千円を建設農林等の各主務省に計上し、総額二十六億一千百七十一万一千円にのぼる復旧事業量を予定し、鉱害地帯における失業対、策にも、万全を期しております。  第五に、特定物資納付金処理特別会計について御説明申し上げます。  本会計は別に御審議をお願いいたしております特定物資輸入臨時措置法の施行に伴う事務を処理するため新しく設置いたすものでございまして、その歳入歳出予定額はおのおの十六億二百七十六万円で、歳入のおもなるものは納付金十六億二百七十五万一千円であり、歳出のおもなるものは他会計繰入十五億円等であります。  以上をもちまして、一般会計および特別会計予算の概要について御説明いたしましたが、この際、当省関係財政投融資計画について簡単に御説明いたしたいと存じます。  まず開発銀行でございますが、これに対する投融資額としては自己資金を合せ三百六十億円を計上いたしまして、重要産業合理化促進と資源の開発及び自給度向上に努めるとともに、その資金運用に当っては極力重点的効率的運用に留意するとともに、民間資金の大幅な利用を考慮いたしております。  次に、輸出入銀行につきましては、プラント輸出振興に必要な資金として自己資金を合せ五百四十八億円を計上し、昨年度額に比し百四十億円の増加をはかり、所要資金の円滑なる供給をはかっております。  次に、電源開発会社につきましては、電源開発促進のための所要資金として財政資金三百一億八千万円を計上したほか、公募債発行等七十億円を確保して電源開発計画の達成に努めたいと存ずる次第であります。  中小企業関係金融機関につきましては、すでに中小企業対策のところで触れましたので、ここでは省略させていただきます。  以上で、通商産業省所管一般会計及び特別会計予算の御説明を終りますが、なお御質問に応じて詳細に御説明申し上げたいと存じます。  なにとぞよろしく御器歳の上可決せられんことをお願いいたします。
  7. 吉田法晴

  8. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 この御説明の中に、プラント輸出の中に、重機械輸出プラント協会、これの補助金ですか、計上されておりますが、これの現状はどういうことになっておりますか。この協会の、その状況一つ説明願いたいと思います。簡単でけっこうでございます。
  9. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) お答えいたします。プラント輸出協会の方は、従前名前を重機械室と申しておりました。東南アジア及び中南米の各地に、合計六カ所の、何といいますか、支所といいますか、あるいは事務所といいますか、持っておりまして、各地におきまするいろいろなプラント輸出に関しまする引き合い、相談等情報収集、連絡に当っておりまして、いろいろ運営上の問題がございましたので、昨年の秋におきまして、機構と名称を変えまして、先ほど申し上げましたような名称にいたしまして、社団法人になっておると思います。仕事の方は、大体従前と同じような仕事でございます。なお詳細のことにつきましては、ちょうど担当局長が参りましたので、詳しい御説明を……。
  10. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) ただいまプラント協会の御質問だと思いますが、実はこれは、従来は重機械室と称しておりましたが、昨年の秋にこれを改組いたしまして、新しく名前も変えまして、自今輸出プラント技術協会、こういうふうに名前を変えました。従来は実は海外の方はある程度やっておりましたのですが、国内の面におきまして、コンサルティングその他の機能が十分でございませんので、それをさらに充実すると、こういう建前で内容を改組いたしたわけでございます。それからただいま海外の方は、官房長から説明申し上げました通り、六カ所手足を持っておりまして、それでいろいろ調査及びそれに相当する機能を発揮いたしております。それから最近では、プラント協会ができまして、それぞれ各般の市場調査あるいはいろいろ機械事前調査というふうなもので、各地方に調査班を出しておる状況でございます。大体さような概括しての現況でございます。
  11. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 通商産業省予算説明を見ますると、昨年度よりも九億一千万円ばかりはふえてはおりまするけれども、総額八十三億円程度で果して輸出振興でありまするとかあるいはこの中小企業振興対策だとかいうような重要なる対策が完璧を期し得るかどうかということについて疑問を持つわけであります。というのは、従前から農林関係予算商工関係予算を比べてみましたる場合に、非常にそこに大きな開きがあるわけでありまして、農林関係についての予算重要性ももとよりわれわれ深く認識しておるところでありまするけれども、商工関係予算かく開きがあることで、果してただいま申しまするような重要なる対策を遂行し得るやいなやという点に疑問をいだかざるを得ないのでありますが、そういう見地からまず第一には、どうしてかく商工関係予算というものがいつも少いのかということを、今回に限らず、従前沿革経緯から見まして、どういうふうに通産当局は見ておられるかという点が、まず第一点として伺いたいと思うのであります。  第二点といたしましては、通産当局から大蔵当局要求せられたる総額はどの程度のものであるか、またそれがいかに査定せられたかという経緯につきまして、おもなる点について説明お願いいたしたいのであります。
  12. 川野芳滿

    政府委員川野芳滿君) ただいま、通産省にまことに御同情のある御質問をいただきまして感謝いたしまするが、御承知のように、今日わが国においては、貿易振興ということが最も重要な問題でもございまするので、通商産業省といたしましては、相当予算要求大蔵省にいたしたのでありまするが、財政都合等もございまして、ただいま御説明申し上げました金額に実は落ちついたような次第であります。詳細にわたっては、官房長より説明させることにいたします。
  13. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 当初大蔵省要求いたしました額は、二百三十億というふうに相なっております。いろいろ折衝いたしましたが、いろいろな問題点もあったのでございますが、端的に申し上げますると、貿易振興費は、現在お手元にあります額の約三倍近い二十八億でありますが、その中に一番目立ちますものとしては、たとえば輸出保険特別会計繰り入れ五億という要求もございます。これはいろいろ折衝いたしまして、特別会計運用実態も考えますると、今年度これをくれなくても済むようだというような結論に相なりましたので、大物といたしましては、この辺の額が大幅に減っておるような次第であります。  それからもう一つ通商振興費は、御承知のように、三十年度予算におきまして前年度の三億何がしから一挙に九億あまりになったわけでございます。予算の成立も若干おくれました関係と、海外におきましていろいろな準備をいたします関係もありまして、相当程度これが繰り越しになるような形勢もございましたので、いろいろその辺の事情を勘案いたしまして、まあ十億程度あれば何とかやっていけるのじゃないかというふうに落ちついたわけでございます。  それから技術振興の方では、当初これは少し大きかったのですが、百十億、内示額の十倍近くも要求したのでございますが、これにつきましては、実はいろいろな何と申しますか、政策と申しては言葉が悪いのでございますが、たとえば新規技術を国の手で、企業家条件を固めようということで、技術開発事業団というふうな構想も考えておりまして、これの政府出資ということで十億何がしと、あるいは民間におきまする業界相互間の研究相互組織、いわゆる研究組合構想でありますが、その組織をこの際何とかものにしようと、これに対しまする補助金も七億何がしというふうに、いろいろ少し金額としましては欲ばって要求した費目もあります。なお当初百十億の中には、原子力平和的利用研究費を一応五十一億あまり通産省の方から要求しております。これは御承知のように、原子力担当官庁である原子力局の出発がおくれましたので、いわばかわり要求しておるというような事情であります。  その他、国立試験所研究費も少しこの際ということで若干要求してございます。要求額相当大きかったのでありますが、原子力関係経費一括原子力局の方にきまりましたので、その関係もありましたし、それから技術開発事業団の方はいろいろその後折衝の結果、その組織をこの際固めるよりも、むしろ現実に国の研究所研究費をふやしてやった方がいいのじゃないかということで、そちらの方に落ちました。また研究組合関係補助も、これも予算に計上してありまする鉱工業技術研究助成費という費目で、一つ現実運用としてまかなって参ろうということで落ちつきましたので、お手元にありまするように減少したわけでございます。  中小企業対策の方も、これは当初三十億程度要求いたしましたが、その一番大物信用保険特別会計への繰り入れ十五億でございます。これもその後検討折衝の結果、今年度これに繰り入れしなくてもいけるのじゃないかということで一応落しましたほか、各費目はそれぞれの折衝で、こういうふうに落ちついたという状況でございます。  それから一般産業基盤の強化問題につきましては、御承知かと存じまするが、一つ機械工業振興を画期的に国費でやったらどうかということで、機械工業振興事業団という組織を設けまして、ここで現実機械貸与制度を設けてやろうということで考えたことがありますが、これもいろいろ折衝の結果、むうろ開発銀行の融資をある条件でやれば目的を達しやせぬかということで、この構想も実は中途半端になりました。  それからもう一つ大きな金額としましては、武器生産施設の買い上げという問題がございます。これは御承知かと存じまするが、銃砲弾生産メーカーに対する米軍発注が大体三十一年度内になくなりますので、そういたしますると、将来の生産施設といいますものが分散腐朽しますおそれがあります。この施設は、いろいろ検討いたしてみますると、将来自主防衛見地に立ちまして、自主発注いたしました暁におきましても十分に使用可能の設備のようでございます。そういたしますれば、たまたま空白期間があって、そのためにせっかく施設が分散腐朽するということは、これは国家経済上もったいない話でございますので、これを買上げの形で、国有として維持をはかったらどうかということで、三十五億という要求をいたしましたが、これにつきましては、むしろ防衛計画ないしは防衛生産に関します基本的な計画が、まだ政府としても最終的にきまっておらないようでありますので、この際この面だけ先行してそういう策を講ずるのもどうかということで、これはむしろそういう基本的な国の計画がきまったあとで、その施策の一環として必要あらば考うべしというような結論になりましたので、この費目も落ちたわけであります。そういうことで、結局大きな費目相当落ちました結果、二百三十億の要求が八十数億にとどまったということでございますので、ただ弁解ではございませんが、通産省予算は御存じと存じまするが、一般会計予算のほかに、政策の基礎となりますものはある程度財政投融資のほうでも一応計上されておりまして、開発銀行あるいは輸出入銀行電源開発会社中小企業金融公庫あるいは商工中金、それから生産性本部というふうな、一応われわれの政策を現実に行いまするものの一部に考え得るものもございまするので、これらに対しまする財政的な措置と合せますると、やや何とか一般会計の面では、比較的少なくてもやれるかというふうな状況なんでございます。
  14. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 今お話を聞いてみますと、激しい査定も受けているようでありますが、私は一番この際に問題にしたいと思いますのは、予算の編成の幕本方針の問題でありまして、予算全体を見ますと、御承知のように、大体もう昔のごとく士農工商になっていると思うのでありまして、要するに、防衛費であるとか、あるいは軍人恩給費であるとか、あるいは官庁公務員の人件費であるとか、要するに昔のさむらいに当るものの経費は非常に膨大になっているという点、続いて今度は農関係が多い、通産省では相当商工立国になっているような自信を持っておられるかもしれぬのですが、予算から見るというと、まさに農業立国であります。商工関係なんというものは一体どこに入っているのかわからぬということは、重要経費のこの項目別の表をごらんになればわかると思うのでありますが、商工関係というものは、重要経費の中に全然頭を出しておらぬ、雑件の中にもうぶち込まれている、一体そういうことで商工立国なんというようなことが言えるのかどうかということは、これはもうきわめて自明のことでありまして、こんなことで一体いいかどうかという、そこに基本的な問題があると思うので、ことに私が懸念いたしますのは、産業五カ年計画から見ますると、二つのねらいがある。一つのねらいは自立経済である。一つのねらいは完全雇用である。その一つのねらいである自立経済は、これはもうまさに貿易振興以外道がないと思いますが、それに対して何ら画期的な予算というものが出ておらぬじゃないか。さらにもう二つのねらいどころである完全雇用の重点はどこにかかるか、これはやはり中小企業でありますが、その中小企業振興対策費として何らまた画期的な予算が出ておらぬじゃないか。産業五カ年計画から考えまして、一体こういう予算でいいのかどうか。これはひとり通産省の問題ではなく、経済企画丘ないしは大蔵省の問題、あるいはもう内閣全体の問題だと思うのでありまするけれども、この点につきまして川野政務次官、特に同工には川野政務次官前々から非常に御執心でありましたので、本年は本年といたしまして、来年度からはいかにあらねばならぬかということにつきまして、御所見を伺いたいと思うのであります。
  15. 川野芳滿

    政府委員川野芳滿君) 重ねて御同情を含めた御質問をいただいたのでありまするが、御承知のように、わが国の国策の目標というものが貿易振興にあるということは、私が申し上げるまでもない点であります。幸いにして、その国策の線に沿いまして貿易も非常に伸展を見まして、三十年度におきましても非常な黒字をみましたことは、御承知通りでございます。そこで貿易振興するためには、どうしても産業基盤の強化、この問題を取り上げまして、そうしてりっぱな品が安くできる、こういうような方向に持っていかなければならないのでございます。産業基盤の強化をいたしまして、各種産業が興りますると、今一番困っておりまする失業の問題、この問題が解決される、こういうことに相なるだろうと思うのであります。従いまして、通商産業省といたしましては、産業基盤の強化と、こういうような問題についても検討いたしまして、それ相当予算も実は大蔵省要求いたしたのでありまするが、何を申しましても、国家の財政の総ワクというような点に縛られまして、要求通り予算の取れなかったことは、まことに遺憾に存ずる次第であります。しかし乏しい予算ではございまするが、これを一つ産業五カ年計画の線に沿って有効に使いまして、そして目的の達成に向いたい、こういうふうに考えておる次第であります。  なお一つ、特に豊田委員中小企業等の問題につきましても、わが国における権威者でございます。さらに御援助を賜わりまして、次第に予算一つ多く取るように側面からの御援助をお願いいたします。簡単でございますが、お答えといたします。
  16. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 次の問題といたしまして伺いたいと思いますのは、この原子力関係の問題でありますが、これは正力担当国務大臣の所見によりますると、原子力が発電関係現実化してくるのはまあ五年先、場合によるというと、もう三、四年先になるかもしれぬというようなことでありますが、この原子力関係のほとんど大部分というものが通産省以外のところにあるということであります。これは研究段階にあるとかいうようなことからくると思うのでありますが、ただいま申しまするように、担当大臣の説によりますと、それは四年なりあるいは五年のもう目前に迫ってきておる問題でありまして、そういう見地から見ますというと、産業商工関係担当官庁である通産省原子力関係予算の重点というものがなくて、果して産業全体の調整がとれるものかどうか、こういう点についてどういう御見解を通産当局が持っておられるか、その点を伺いたいと思うのであります。
  17. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 私から便宜お答えいたします。  原子力問題は、通産省関係といたしましては、次の三点になるかと思っております。一つは、御指摘のありましたエネルギーとしての利用面における発電所関係でございます。これは長期的な電力の需給の状況を考えますると、早晩水力の開発もある程度の段階でおそらく限度にくるのじゃないかということを考えております。また火力の方も、これも現在相当高性能の発電所を建設しておりますが、これも石炭の生産関係あるいは立地の条件等からいたしまして、これとてもおのずから限度がありはしないかと思っております。私の方で事務的に一応その関係を試算したものがございますが、たとえば今後二十年後の電力需給というようなことを考えてみますと、そのうちのおそらく数百万キロワットというものが原子力で補いをつけなければ困るのではないだろうかというふうな結論になっております。で、現在実験原子炉を五年以内に一応建設するというようなことになっておりますが、このテンポにつきましても、一部の方面からは少しおそ過ぎはしないかというような説もございますが、ただ原子力発電の問題は、現実に経済的ベースで操業いたしておりますものは世界にどこにもございません。この数年間のうちに、アメリカあるいはイギリス等で普通の電気事業用といたしまして運転いたすような状況は相なりますれば、わが国といたしましても、実験用の動力炉に引き続きまして、営業的な炉という問題が問題になってくるだろうと思います。日本におきます火力の原価あるいは逆転の技術というような問題があるかと存じますが、早晩そういう問題になるかと思っておりまして、われわれの方の公益事業といたしましては、その点については絶えず海外状況等も調査いたして対策を考えておるという状況でございます。これはそういう発電用の原子炉を営業的に開設いたしますれば、これは当然電気事業者といたしまして公益事業令の監督下に入るわけでありますが、そういう関係をもちまして、現在寄り寄り対策を相談中でございます。それからその次の問題といたしましては、利用面でございますが、アイソトープの利用でございます。これは工業的にはどういう方面にどういうふうに利用されまするか——いろいろ化学工業方面あるいは金属工業方面等ではトレーサーなり、あるいはいろいろな利用法が海外でもいろいろ考えられておるようであります。また日本にも若干そういうふうな利用方法をいろいろ研究している向きもあるようでございます。われわれの管下の試験所——工業技術院管下の試験所におきましても、いろいろそういう問題を研究中でございます。  それからもう一つの面は、これは一番基本的な問題でございまして、原子炉の燃料になりますウラン鉱あるいはトリウム鉱が果して日本にあるか、あればどの程度のものがあり、どういうふうに開発すべきか、この選鉱、製錬の技術乃至方法はいかにあるべきかという問題があるわけであります。この点につきましては、在来から地質調査所が相当な人員を擁しておりまして、現在有望とされておりまする鉱山の探査を行なっております。その結果、若干地域におきましては、ウラン鉱等の賦存状態を一応確認しておりますが、これもなおもう少し精査を行いまして、企業的に行い得るものかどうかをきめる必要があると思う。今度原子力局と共同作業の形になっておりまする開発促進に関しまする法律も本国会に提出されておりますし、またそのあとを受けまして、もう少しこれを探査の企業的なベースで精査いたしまして、また選鉱、製練といったものを行いまする原子燃料開発公社というものも、本国会に所要の法案ないし予算の御審議をお願いしてあるわけであります。これらは一応所管原子力局にございますが、実態は、事柄が地質あるいは採鉱、冶金といった面が多いのでありまするから、われわれの方の関係機関をあげて協力して一緒にやって参ろう、こういうような態勢をとっております。
  18. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 原子炉発電がいよいよ具体化するというようなことになって参った場合には、当然これは産業官庁であるところの通産省所管になるというふうにお考えになっておるのかどうか。これは商工関係の総合的な調整をはかる意味から当然そうならなければ、幾多の不便がそこに出てき、またロスが出てくるんじゃないかと思うのでありますが、そういう点についての御見解はどうですか。
  19. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 行政機構の問題といたしまして、原子力関係の行政をそこだけ切り離して、別の官庁で一括総合的にみて強力に推進した方がいいか、あるいは現在の行政機構の中に溶け込ましてやった方がいいかという問題は、これは一応御指摘の通りだと存じます。ただ私らといたしましては、行政機構がいかになりましても、通産省の行政と密接不可分な関係があることは、これはまた御指摘の通りでございますので、かりに機構が分れましても、人的な関係あるいはその他を通じまして、いわば一体となった気持で進めて参りたい、こういうふうに考えておるわけであります。  なお、いろいろ先ほど申しました関係のうちで落しましたが、燃料と同じような意味でいろいろな耐火材料、遮蔽材料あるいは操作器具あるいはいろいろな緩速材といったようないわば付帯的なものあるいは設備的なものにつきましては、現在日本といたしましては、その試作を研究するという段階でございます。その試作を研究いたしまするものは、国の試験研究機関あるいは民間関係の企業でございます。その辺の問題も現在はまだまだ試作研究の段階でございますが、将来工業生産に入るということになりますると、これもそれぞれの産業との関係も出て参ります。われわれの行政とその関係指導とはやはり相当深い関係を持っております。従いまして、機構がどういうふうに変りましても、関係があることは、これは技術的に当然でございます。先ほど申し上げましたように、人的な関係その他を通じまして、一緒になってやる、こういう体制を考えておるのであります。
  20. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 これは政策的な問題でありますから、政務次官に伺った方がいいのかもしれませんが、 このセクショナリズムというようなことでなく、行政機構というものは、相互に関係のあるものは、一元的に、総合的立場で逆用していった方がいいということは言うまでもなく、むしろ行政機構の簡易化とか行政整理等の趣旨からいっても、そうだろうと思うので、そういう点から、過去においても電力行政というものは通産省に移管をせられたのでありますが、この電力行政と非常な関係の深い原子炉発電の行政というようなものが、将来具体化するということになりますと、当然一元的に、通産省というような総合的な立場に立っておる産業行政官庁で主管をすべきものではないか。それでないと、先ほど来、機構がどうであっても、それぞれ連絡さえとればいいというのでありますが、そこに行政の機構が複雑化して、ロスが出てくるのでありまして、将来しかもそれはそう遠い将来ではなく、もうここ四、五年の間に差し迫っておるという原子炉発電の問題につきましては、総合的に運用し得るような仕組みをお考えになることが、国全体として必要ではないかという感がするのでありまして、大体政務次官ももうお感じになっていると思うのでありますが、通産省は歴代行政機構等につきまして非常に淡白な考えを持っておりまして、それがためにどんどんほかへ行政部門が、当然分れちゃいかぬものがほかへ分散していくという傾向があるので、そういう点から見まして、当然一元化しなければならぬようなもの、きわめて関係の深いものは、国全体の立場から一元化していく、行政機構の簡素化からそういう方向に向けていくということを、一つ特に政務次官としてお考えを願いたいというふうに思うのでありますが、その点御所見はいかがでございましょう。
  21. 川野芳滿

    政府委員川野芳滿君) 原子力という問題は、今日世界におきましても、まことに重要な問題として取り扱っておるわけであります。この大きな原子力の問題をどこにおいて研究するか、こういうようなことで政府におきましてもいろいろ検討の末、科学技術庁でもって検討したらよかろう、こういうことで御承知のように、今回の行政機構の改革の中には、科学技術庁において原子力研究をやる、こういうことに相なっておりますことは御承知通りであります。しかし、これがいよいよ研究の域を脱しまして、実用化するこういうような段階になりました場合には、私は、産業の御本尊である通商産業省において、この実用化する問題を取り扱うことが当然でなかろうか、こういうふうに考えておる次第であります。しかしこういう問題は、政府全体としての考えからその取り扱う所管をきめるのでございますので、通産省だけの意見といたしましては、一応この場合は、通産省として取り扱うのが適当である、このように考えております。
  22. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 ただいま御答弁のありました科学技術庁に関連いたしまして、一つお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、発明奨励費というのが説明書に提起せられておるのでありますが、科学技術庁の設置法によりますと、発明奨励事務は科学技術庁の方で担当するようでありますが、すでにこの予算には計上せられておりまするので、この予算と科学技術庁を設置せられた後においての相互関係はどうなるか、その点も伺いたいと思います。
  23. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 科学技術庁設置法が成立いたしまして参りますると、現在御審議願っておりまする予算のうちで御指摘ありました発明奨励に関しまする経費は、これは事務の移管とともに向うの方に移管されることになっております。そのほかに科学研究所に対しまする出資、これは大蔵省所管に計上されておりますが、これは今までは形式は大蔵省で、実質は通産省と考えておりましたが、これも監督権が科学技術庁に移りますので、そちらの方に移管される、こうなっております。それからもう一つ金属材料研究所が今回新たに設立されましたが、これも科学技術庁の方の所管研究所に移管されますので、この経費も先方に移管される、こうなっております。その他人件費等につきまして、定員を合計四十八名、本省、外局、それから工業技術院を通じまして供出いたします関係上、それに伴いまする経費も先方に移管されるというふうに相なるかと思います。これはいずれも予算総則の規定によりましてそちらの方に振りかえに相なる、こういうふうに考えております。
  24. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 ただいまの説明によりますと、発明奨励費等はやがて科学技術庁に移管されるということでありますが、科学技術庁は、御承知のように、自然科学に重点を置いているわけでありまして、ほんとうに科学の技術振興をはかるというのでありますが、発明奨励費などになるというと、発明を奨励するという意味で、むしろ産業政策に属するものだろうと思うのでありますが、こういうものをやはり科学技術庁の方へ持っていく。そうして特許庁との間においては、先ほど官房長説明のありましたように、両方緊密な連絡をとればいいのですが、一カ所にあるよりはやっぱり手がかかる。そういうふうに本来科学技術庁へ持っていかないでいいものを科子技術庁へ持っていく、そうして特許月との間に御丁寧にまた連絡調整をはかる、これは私は行政機構をいたずらに複雑化し、そうしてさらに連絡調整のためにそこに行政費等のロスが出てくると思うのです。当然かような本来科学技術庁の主たる業務自身でないようなものを何ゆえに特許庁からはずさなければならぬのか、そういう点に非常に疑問を持つわけなんですが、その点御見解はどうでしょうか。
  25. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 発明奨励費を科学技術庁に移管しますことは、御指摘のように、これは最善の方策とはわれわれ事務当局考えておりません。でき得れば工業所有権関係の法律を実施しておりまする官庁で一括して、かつ産業見地に立ちましてやった方がいいと考えております。ただ科学技術庁設置法の設置の使命が科学技術振興という点に重点を置かれまして、発明奨励というような点もまあ重要な一環としてぜひというふうな強いお話もありましたので、まあそういうことであれば、そうわれわれの立場だけ言って争いを深くすることもないだろうというような見地で、まあいわば大局的見地に立ちまして同窓したわけでございます。決してそれが一番いいものだとは実は考えておりませんけれども、まあその方もまた一つの方法であろうかというふうに考えまして、そういうふうに同意したわけであります。
  26. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 先ほども、そういう関係があるものですから、特に私はいろいろ質問をしたのでありますが、要するに、これは筋としては通産当局も最善ではないと思うと、しかししいて言われるから分けざるを得ぬと。きわめて行政機構に対する淡白な通産当局のお家柄が現われておると思うのであります。それは非常に淡白なことはけっこうでありますけれども、それが国全体の行政機構の簡易化を害し、しかもその害した結果、また再び連絡調整をはからんためにいろいろのロスが出てくるということは、何もセクショナリズムではないんですから、通産当局一つここらで歴代の家柄を改めて、筋の通るようにすることに上下一致御努力になることを希望いたしておきます。  それからもう一つお尋ねしておきたいと思いますのは、中小企業対策費の中でありますが、中小企業協同組合等の補助金、これが増額せられておるのでありますが、この増額せられておる四億七千万円総額の内訳、それから増減ぶりがどんなふうになっておるのか、その点だけお尋ねいたしておきたいと思います。
  27. 佐久洋

    政府委員佐久洋君) 四億七千万円のうちには、協同組合共同施設に対する補助金と、それから設備近代化のための補助金、それから今度新しくできました協同組合中央会に対する補助金、それと生産性本部に対する補助金、これが全部一括して入っております。生産性本部に対する補助金と協同組合中央会に対する補助金は、これは全く新しい、ことし初めて中小企業庁の部分に乗ってきた予算であります。協同組合共同施設に対する補助金は、昨年度は二億一千万円でありますが、ことしは一億、それから設備の近代化補助金は、昨年度はやはり二億一千万円でありましたが、ことしは大体三億七百万円と考えられております。と申しますのは、まだその協同組合中央会に対する補助金生産性本部に対する補助金の内訳が、大蔵省との間に事務的な最後の話し合いがついていない関係がありますので、若干変更があるかもしれませんが、大体その程度と、こういうふうに考えております。
  28. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 新規のものの額、内訳はきまってきておるんでしょうか。
  29. 佐久洋

    政府委員佐久洋君) 新規のものはまだ実ははっきりきまっておりませんが、今まで事務的に大蔵省と話が進んでおりますのは、中央会に対する補助金が四千三百万円ということが、事務的に今まで進んだ内容であります。しかしわれわれはこれでまだ満足しておりませんので、最後の話し合いは大蔵省とついていないわけであります。
  30. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 生産性本部の分はどんな見通しなんでしょうか。
  31. 佐久洋

    政府委員佐久洋君) 通産省の内部では最初二千万円という話があったのでありますが、これもまだ実は正確にきまっておりません。若干減る可能性の方が多いかと考えております。
  32. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 この共同施設補助金が昨年は三億一千万円であったのでありますが、今回は一億円に減らされた。これは御承知のように、予算編成方針に、中小企業対策としましては、その組織化に重点を置いていくということを非常に強く書いておられるのであります。経済五カ年計画にもその点が強く出ておったと思うのでありますが、しかるにこの組合の共同施設補助費の方は昨年の半額以下になっております。これはもう基本方針とだいぶ違うように思うのでありますが、これについて長官の御見解はどうでしょうか。
  33. 佐久洋

    政府委員佐久洋君) 協同組合共同施設に対する補助金は、昭和二十九年度が二億円、実際の支出が一億五千万円、三十年度が先ほど申しましたように予算が二億一千万円、実際の支出が一億七千八百万円と思われます。この三十年度の方は三月末になりませんと明確になりませんが、今まで県と話をしている数字は一億七千八百万円。そういうふうに年々予算よりも実際の要望というものはだいぶ減っておるような状態でありますが、一通りこの協同組合の施設として、共同加工場なり、あるいは倉庫なり、あるいは運搬器具、あるいは設備というようなものが大体行き渡ったような状態に見受けられるわけであります。そこで三十一年度としては、むしろこの設備近代化の方を増額する方がいいのではないかという見解に立ちまして、その方を増額して、協同組合の共同施設に対する補助金は少し減らしたのでありますが、しかし将来ずっと減らしていくという方針ではございませんので、御承知のように、現在三万四千ぐらい協同組合というものがありますが、実際に有名無実のような形の組合が相当数あります。今度できました中央会がその方面の指導に当るということで、今まで眠っている組合を呼びさまさす、あるいは未組織のものをさらに組織化していくという、そういう方針に即応しまして、今後だんだんと予算の方を増額していきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  34. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 大体共同施設も行き渡り、また要望も減少したというようなお話でありますが、それが要望が減少した原因がどこにあるかということを今後中小企業庁としても十分に御検討願いたいと思うのでありますが、私の感ずるところにおきましては、従来は補助金というので大体においてやりっぱなしだった。ところが、名前補助金ではありますが、最近では返していかんならぬ。これがまあ非常に組合としては窮屈なことになるのでありまして、こういう点についても要望が減ってくる一因があるのではないかと思うのでありまするが、今後補助費の交付につきまして、貸金で行くような行き方ということがどうかという基本的な問題があるわけでありますが、貸金でかりに来るならば、もっと金額をふやして、ほんとうに低利資金運用のごとくやったらよいのではないか、補助費ということで行くのならば、原則として適当に使われた場合には返す必要はないというような、いずれかの行き方にはっきりさせる必要があるのではないかと思うのでありますが、その点御所見はどうでしょうか。
  35. 佐久洋

    政府委員佐久洋君) 確かに昭和二十八年度までは、補助金というものは原則としてやりっぱなしということにして参ったのでありますが、二十九年度からは原則が逆に変りまして、借りた形にして、実際に支払いができないといういろいろの条件にあった場合には返済をしないでもよいというような形になっておったのであります。しかし名前補助金、実質は貸すのだということが、どうも性格的に明確でありませんので、それを明確にし、かつ今お話のように資金量を増すという、両方の目的を達するために、今国会におきまして一つの法案を御提案申し上げております。いずれ議院の方にも回ってくると思いますが、御審議の過程で十分御説明ができると思いますが、考え方の基本は、国が共同設備なりあるいは近代化のための資金を県に貸し付けまして、県から各組合なり個々の企業に貸し付ける。それが返還された場合には県に特別会計を設けまして、国の補助金と県の一般会計から繰り入れ補助金と、両方で今後のそういった改善をはかっていくという形をとって参りたいと、かように考えております。そうしますと、何と申しますか、各都道府県における産業指導について一そうの自主性と熱意も持ち得るでありましょうし、同時に、新しく注ぎ込む補助金と返還される補助金と合計されたものが、その次の年度で貸し付けられる、こういう形になりますので、資金量も増していくと、こういうふうに思われるわけであります。
  36. 吉田法晴

    主査吉田法晴君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  37. 吉田法晴

    主査吉田法晴君) 速記を始めて。  それでは分科会は、午前中はこれで休憩をいたします。    午前十一時五十七分休憩      —————・—————    午後二時八分開会
  38. 吉田法晴

    主査吉田法晴君) それでは第二分科会を再開いたします。
  39. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 中小企業信用保険関係についてお尋ねをいたしますが、この説明雷を見ますと、保険料収入三億三千七百万円、前年度剰余金二十六億円というような数字が出ておりますが、大体この中小企業信用保険というものは中小企業振興対策としてやられておるわけでありまして、われわれからみるというと、かように剰余金が出て、はっきり黒字が出るというところに、果して中小企業信用保険制度というものがうまく行っているのかどうかという疑問を持つのであります。要するに、もう少し保険料なども引き下げてしかるべきじゃないか、あるいは填補率ももう少し引き上げていいのじゃないかというようなことすら考えられるわけなんでありますが、この点について御所見を伺いた思います。
  40. 佐久洋

    政府委員佐久洋君) ただいまの、剰余金と申しておりますが、実際はこれは準備金であって、必ずしも純粋の意味の剰余金というものではないのであります。それから中小企業対策としては、もちろん填補率をもっと引き上げなければならぬ、あるいは保険料率をもっと下げるということも必要と思いますが、保険金の支払いも、これは事務的な関係でだいぶおくれておる。またここ一、二年の予想を見ますと、相当の支払いというものもできてくるという見通しでございまして、本来の目的相当達成される。つまり今の見通しから申しますと、少し赤が出そうな感じがいたしております。決して余分な金が余っているという状況ではないと考えております。
  41. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 赤字が出そうだというお話でありますが、おそらくまた黒字が出るようなことになるのじゃないかというふうに、従来の実績を見ると考えるのでありますが、そういう点をかれこれ考えてみまして、従来から一番問題になっておりまする中小企業者が、親企業その他から受け取った不渡り手形、これについて従来から非常に問題があるわけでありますが、この不渡り手形に対する一つの保険制度、こういうものを考える必要があるんじゃないか。というのは、輸出保険の方は、御承知のように、海外輸出をして、これが海外事情によりまして支払い不能になった場合は、これに対して政府が輸出保険によってカバーをしていくという行き方があるわけですが、さらに今回は海外投資関係についても、結果が思わしくなかったときには保険によってこれをカバーするというふうに、だんだん広げられてきておりますが、そういう面から、中小企業信用保険の方はまあ従来に比べると、保険料もある程度引き下げられたり、填補率も引き上げられたりしてきておりますけれども、基本的な大きな改革というものがまだ行われておらぬのでありまして、そういう面から、ただいま申しまするような不渡り手形に対する危険を保険制度によってカバーしていくという行き方について、私どもは必要だと思うのでありますけれども、これらについての御見解を伺っておきたいと思います。
  42. 佐久洋

    政府委員佐久洋君) 不渡り手形を保険につけるという問題は、これは一つの考え方だろうと思いますが、不渡り手形と売掛代金とをどういうふうに区別して扱うか、不渡り手形だけを保険につけて、実質的には同じ性質のものである売掛代金の未回収のものにはつけられないということで、果していいのかどうか。お説の点も前からわれわれ考えておりまして、目下検討をいたしております。従いまして、不渡手形については、絶対に保険は将来もつけないのだというような結論は実は出しておりません。もう少し検討したいということで進んでおります。
  43. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 御研究願うということでありますから、満足いたしますが、これは中小企業者相互の間の不渡り手形の問題になりますと、そこまで保険制度でカバーするということは、特に中小企業者だけを優遇するというようなことになるので、どうかなという感じは私どももしておるのであります。しかしながら、大企業の下請あるいは商社に納入したというようなことで、当然優良手形と思っていたのが、一夜にして不渡りになる、それがために倒産状態に追い込まれる、こういうのは、全く災害が起きた場合の保険とか、あるいは海外で革命が起きた場合に支払いをしてもらえぬようなったとかいう例と非常に近くなるわけなんでありまするので、そういう中小企業者自身、下請業者自身、これはきわめてまじめにやっておるが、他の不始末から大きな破綻が出てくるというものについての保険制度を御研究願いたい。幸いに従来信用保険関係は黒字が出ておるのでありますから、そういう面とにらみ合せて、根本的な御検討を願いたい、そういう希望を申し述べて、私は質問を終ります。
  44. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 きょうの御説明で、新規施策として工業用水確保ということが出ており、初年度一億八千余万円の予算を計上しておりますが、今後の、将来の計画というものはどういうふうな見通しで、最終的にはどの程度確保するというお考えなのか、その点を伺いたい。
  45. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 工業用水予算はこういう趣旨でございます。御承知のように、主要な工業地帯で工場に供しまする水を地下からくみ上げて参りまして、その結果地盤沈下を起しておる土地が相当ございます。で、この原因をいろいろ調べますれば、やはり過度のくみ上げということが原因のようでございます。通産省としましては、一方におきましてはそのくみ上げをある程度抑制したいということで、別途法案を用意いたしまして、この国会の御審議を願う予定にしております。他方、ただ制限いたしたばかりでは、これは工業の操業上差しつかえまするので、専用の工業用水道を設備いたして代替水源を与えよう、こういう計画で、その代替の水源としまして工業水道を設けたいということで、本年度の一億八千万円はこれは大体三カ地点程度を予定しております。大体二カ年ないし三カ年の計画で専用の工業用水道を三カ地点くらいやる。補助率は四分の一程度を予定しておりまして、その他地元負担でありますとか、あるいは受益者の負担でありますとか、起債というふうなものを合せまして、やっていく考えでおります。  明年度以降の問題としましては、現在はっきり見通しも立てておりませんが、大体におきましては、その三カ地点の工事を継続完成いたしまするほかに、なお相当地点残っておりまして、やはり地盤沈下、あるいはいわば絶対的に工業用水が不足という地帯もございまするので、どの程度の規模になりまするか、ちょっと見きわめがつきませんが、おそらく本年度の倍以上の予算をここ数年間確保いたしませんと、そういうふうな工業用水確保という面から遺憾な事態が起るのじゃないかと考えております。なお、いろいろ工場用水のくみ上げの結果、地盤沈下を起しました所で、しかも水源がなかなか手っとり早く計画が立てにくいという地帯も若干ございます。これらにつきましては、あるいは総合開発計画の一環というようなことで、他の水源ともにらみ合せまして参らないと、ひとり工業用水道というだけではどうもできにくいような地帯もございます。いずれにしましても、今考えておりますだけでも、五、六カ所はどうしても水道を設けて参らないと、工場の正常な運営にも差しつかえるという地点があるようでございます。今後数カ年の計画でこの予算をふやしましてやって参りたいと、こういうふうに考えております。
  46. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の三カ地点くらいというお話ですが、たとえば尼崎方面の工場地帯、ああいう所は、非常に地盤沈下があって、防潮堤なんかに自治体は莫大な金を投じておるわけですが、大体どうも新しい工場地帯というのは、海岸地帯で、埋め立てが多い。従って、その水道を掘ると非常な地盤沈下を来たすというのですが、やはり工場地帯、埋め立ての場所あるいは海岸等を主として新しい工場地帯とする関係上、非常に地盤が沈下すると思うのですが、そういうものを今後よほどお考えにならぬと、やはり工場地帯には最初からそういう用水施設をやっておかぬと、埋め立ての土地だと非常にその地盤沈下がはなはだしいと思うのですが、そういう点はどういうふうにお考えになりますか。
  47. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) お話の通りでございます。ただ、この工業の種類によりましては、なかなか運搬等の関係もございまして、原材料の搬入等の関係から、やはり陸上運搬よりも海上運搬に適しているような操業状態の工場がございますので、なかなかお話のように、うまく強固な地盤のある上に工場地帯を形成するということがなかなかむずかしいような地帯もあるわけでございます。実はその辺で、今後日本の工業の発展も、従来は日本の西南部の海岸地帯が主になっておりますが、今後北海道開発あるいは東北振興等の関係から、逐次北の方、東北の方に移動するのではないかというふうにも考えられまするが、まあそういうふうな大きな国土計画的な立地配分という問題も、早晩工業用水の問題とからみまして考えざるを得ないだろう、われわれのこの工業用水等の布設計画も逐次そういう方向の考慮も入れまして考えて参らなければいかぬだろうかと思っておりますが、とりあえず、今お話にありました尼崎でありますとか、あるいは四日市、あるいは川崎といったように、すでにもう事態が悪化しておって、これ以上この事態を続けますれば、かえって防潮堤の工事で数十億の金を投ぜざるを得なくなるといった地帯がございます。その辺の応急処置をここ二、三年間は重点的にやって参りたい、こういうふうに考えております。行く行くはそういうふうな含みで、大きく日本の工業のあり方等を頭に入れまして措置したい、こういうふうに考えております。
  48. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今のお話のような現状でございますので、今度の新施策として、なさらぬよりか非常にけっこうですが、補助率が四分の一ということになると、やはりその予算関係はせちろんあって制約を受けておられると思うのですが、地方財政の窮乏というふうなことを関連して考えますと、補助率が四分の一であるということ、そこに非常に新施策としてもなかなか計画が完成せぬと思うのですが、そういうものをもう少し予算査定の際に、四分の一を引き上げるというふうなお考えをお持ちじゃないんですか。
  49. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) これは御指摘の通り事情でございます。そういうふうな補助率の引き上げの問題は、地元負担の関係もございまするし、それからもう一つは、補助金の率をふやしますれば工業用水の水の供給単価が安くなります。これはちょうど、井戸のくみ上げの費用と専用水道によりまする水の供給を受ける費用とがどうするかという問題にもからんで来ます。これは補助率を上げれば上げるほど安い水ができまして、井戸を掘らないで水道の水を使うと、こういうことになるわけです。これがちょうど防潮堤の方に国がお金を投ずるのとかね合いになりますので、われわれの方としては実は三分の一程度補助でだいぶやったわけであります。まあ初年度という事情もございましたし、それからまたある程度この四分の一でやりまして、これに低利な起債あるいは地元負担等をつけますれば、何とか水の単価も一応適正な工業の原価として耐え得る程度まで下るかと思いましたので、明年度は一応この辺で手を打っております。御指摘のように、これは少くとも三分の一程度にはしたいという考えを持っております。
  50. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の官房長のお話で、政務次官に一つ御意見を承わっておきたいのですが、今のような事情ですから、たとえば生産工場であるような場合、それが輸出産業製品であるというような場合に、やはり通産省輸出産業の非常な欠点であるコストを引き下げるというふうなことを考えた場合に、やはりこういう重点産業の工業地帯には政府が相当の施策で工業用水施設を完備していかれれば、生産品のコストにも重大な影響を与えると思う。そういうふうなことがつまり輸出貿易振興するという上にも、政府が直接コスト引き下げに協力してやるということにもなるので、こういう方向としては工業用水の方向というものは非常にいいと思うのですが、何しろ、今官房長お話しの通り予算が少くて四分の一の補助ということでは、地方財政関係等から見まして、非常に効果が薄いと思うのですが、こういう点に今後新施策をもっと重点的になさるお考えがあるでしょうか、その点伺っておきます。
  51. 川野芳滿

    政府委員川野芳滿君) 過去におきましても、全国に二カ所くらいだったと思いますが、工業用水のできた所がございます。しかし工事費が非常に高いために水の単価が高くつきまして、従いまして利用度がない、こういうようなことになっておりますので、今度作ります工業用水につきましては、単価が生産上非常に引き合う、こういう単価でなければ、これまた利用者が少いというようなことで、通産省といたしましても、ただいま官房長からお話がありましたように、三分の一程度、こういうふうなことを実は考えておったのであります。予算等の関係で、遺憾ながら四分の一ということに今回はなったような次第であります。しかし将来におきましては、大蔵省とも予算折衝をいたしまして、できるだけ御希望に沿うようにいたしたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  52. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 次に、この御説明に、石油試掘費補助というので、産業投資特別会計に七億円を計上されておりますが、先般石油開発会社等もできましたが、この御説明によると、三十億程度の本年度の事業計画をお持ちのようでありますが、これも方向としては、非常に石油資源の少い日本としては必要なことと思いますが、だんだんこういうふうに補助金増額しておかれまして、年次計画的にはどういうふうな将来の計画をお持ちなのか、その辺のところを伺っておきます。
  53. 松尾金藏

    政府委員(松尾金藏君) 御承知のように、石油資源開発会社の設立の本来の使命が、国内の石油資源開発五カ年計画の遂行をしからしめんとして発足したのであります。現在、御承知のように、国内の国産原油の生産量は三十万キロ・リッターの程度でございます。この五カ年計画の遂行が予定通り遂行いたされますならば、五年後において百万キロ・リッターの国産原油の生産を期しておるわけであります。その五カ年計画は年次別に一応の計画がございますが、これはもちろん地下資源のことでございますので、その年次別の計画がその通りに間違いなく成果をおさめるかどうかは、やはり今後の実施の推移を見なければ必ずしも明確には見通しがつかないと思いますが、現状で、新開発会社が発足いたしまして、三十年度すでにある程度の探査をやっておりますし、三十一年度からは自分の手で大々的に探査の手をもっと拡げるわけでございますので、この計画の遂行が予定通り行きますならば、大体先ほど申しましたような百万キロ・リッターの国産原油の生産を目標にいたしております。こういう目標でございます。
  54. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 さらに輸出保険特別会計についての関連事項をお伺いいたしますが、その一つとして、海外投資保険を今度新設されております。これは非常に今後の海外投資に、やりようによっては稗益するところ大きいと思うのですが、今年度はどういうふうに海外投資保険を実行される予定か、その辺のところを伺っておきます。
  55. 佐藤清一

    説明員佐藤清一君) 最近海外、ことに東南アジアあるいは中南米等に対しまして非常に投資が伸びておりまして、従来昭和二十六年からの投資の実績を申し上げますと、純粋の投資だけで約三十億円をこえている状況でございます。そこでさしあたり今この中からどれだけが保険の対象になるか存じませんが、本年度海外投資保険の引受限度といたしましては、一応三十億を引受限度といたしまして計上いたした次第でございます。   〔主査退席、副主査豊田雅孝君着席〕
  56. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 本年は三十億の引受限度を設定されたということですが、そういたしますると、その程度の限度では従来の海外投資に対してどの程度のパーセンテージで援助されるというふうな結果になるのですか、その辺のところを……。
  57. 佐藤清一

    説明員佐藤清一君) 今度御審議を願っております海外投資保険の填補率は大体五〇%ということになっておりますので、従来の投資実績が三十億といたしまして、今年度さらに経済協力等が急激にふえましても、せいぜい全部で五十億程度と考えておりますので、三十億の引受限度で十分今年度中はカバーができる、こういうふうに考えております。
  58. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 その場合に、これは新設ですが、これの危険率というようなものはどういうふうにごらんになっておりますか。
  59. 佐藤清一

    説明員佐藤清一君) これは主として外国における内乱、革命等不測の事態によって生じました持ち分の喪失をカバーするということを考えておりますので、実際上それほどこの保険原因となるべき内乱あるいは戦争等の危険というものは大きくない、こういうふうに考えております。
  60. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 この中小企業信用保険特別会計について関連する問題なんですが、これも今回新たに創設された包括保険制度というものがありますね。これについてもう少し内容を御説明願いたいと思います。
  61. 佐久洋

    政府委員佐久洋君) 従来もこの信用保険については、零細の企業者に対する対策として、小口保証保険というのがございまして、貸し出しの限度を従来は個人については十万円以下、それを今度の改正で二十万円以下というふうに貸し出しの限度を上げたのでございますが、これは保険をつける場合に信用力の非常に弱いものにつける、逆選択制というような言葉で表現しておりますが、そういう制度だけでは実際中小企業の中の零細企業に対する対策としては十分でありませんので、政府の特別会計と信用保証協会が契約をした場合に、その契約の限度額に逃するまでは保証すれば自動的に保険がつくという制度を考えましたのが、この包括保険制度でございます。これで行きますと、手続が非常に簡便であるということと、危険負担が相当に分散されますから、保証協会としても保証の範囲を相当広めるという結果になる、つまり保証協会一つの強化策になる、こういう利点があるわけでございます。  もう一つ申し落しましたが、この包括保険制度では、填補率を普通よりも上げまして、九〇%、それから保険料率も、普通は二分とか二分二厘とかいうのでありますが、これをぐっと下げまして、一分四厘六毛というふうに、中小企業者に対して非常に有利に改めたわけであります。
  62. 吉田法晴

    吉田法晴君 先ほど午前中に豊田委員から御質問がございまして、簡単な御答弁がありました、まあ防衛生産とか、あるいは軍需生産とか言われておる問題ですが、本委員会の一般質問で通産大臣に質問をいたしましたところが、方針はない、きまった方針はないという御答弁を得ております。先ほどの御答弁では、この銃砲弾関係について、買い上げを計画をしたけれども、予算関係で流れた、こういうお話ですが、この構想も流れて、防衛生産というものについて政府の方針がきまって、まあ何にもないということなのだろうと思うのですが、実際に銃砲弾だけでなくて、防衛庁の予算外契約その他で飛行機の製作が始まっておる。そこで通産省としては、一応構想したものはくずれたが、それではどういうことでおいでになろうというのか、その辺を少し承わりたいと思います。これは政務次官にお尋ねをするか、あるいは重工業局長からでも……。
  63. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 防衛生産に関する御質問でございますが、御承知通り、日本の兵器あるいは航空機の生産が始まりましたのは、ちょうど昭和二十七年からでございます。で、これにつきましては、航空機製造事業法あるいは兵器製造事業法によって規制されて、今日に来ております。航空機につきましては、当初は米軍のオーバー・ホール、修理注文が多かったのであります。主としてそれによって参りました。その後防衛庁でも若干需要が出て参りました。御承知通り、昨年の日米協定によりまして、ジェット練習機及びジェット戦闘機の製作が開始される運びになったわけであります。それから重砲弾の関係、兵器関係の特需でございますが、これも、兵器関係も従来特需にずっと依存して参りまして、最近ほかの兵器類で防衛庁の注文も少しづつ出て参りましたが、主としてやはり従来は米軍の特需に依存しておりました。この額が非常に多かったわけでございますが、ずっとこの一両年、逐次この特需が減って参りまして、今後この設備をどういうふうにして維持するかという問題が起って参りました。先ほど午前中官房長から説明いたしました通り、この今年度予算で、兵器設備の維持買い上げというふうなことで予管を折衝いたしましたが、成立を見なかったのであります。で、今後の問題におきましては、通産省といたしましては、よく防衛庁とも連絡し、また国防会議の結論ともにらみ合せ、防衛計画、あるいは防衛産業計画というものとにらみ合せまして、諸般の情勢を考え、十分こういうふうな問題について研究していきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  64. 吉田法晴

    吉田法晴君 考えていきたいということだけれども、とにかく方針はない。特需関係で見られたことですけれども、富士モーターを初め仕事を持っておった、たくさんの人間をかかえておったところが、朝鮮事変がおさまり、あるいは仏印の局地戦争もおさまった、そうすると仕事がなくなる、工場自身がどうなるか、従業員も千を越す人間を首切らなければならぬに、こういう問題が起ってくる。資本主義だから無計画行き当りばったりというのは当然と言えば当然かもしれませんが、まあ製鉄にしても一ころ川崎製鉄の問題がいろいろ騒がれた、設備能力がそのときの需要に見合って過剰設備になるのではないかと言われました。その点についても経済全般としては五カ年計画というものを一応お持ちなんですけれども、この問題については方針がない、そのときそのとき行き当りばったりということになりますと、富士モーターのようなやはり事態に出くわして参ります。それで前には軍需生産というものについてあまりこれは何と言いますか、業界も積極的でなかった、あるいは政府も積極的でなかったと思う。その後少し模様が変ってきておりますが、しかし今のお話のように方針がない、これが維持、買い上げというようなことも、一ぺんふくれたものをその後事変の終息とともにどうするかということで、しりぬぐいで考えられたことと思う。私ども軍需生産というものについて積極的な政策をし、あるいは育成をすべきだというわけではないのですが、方針がないという点はこれは、やはりどうなるかわからぬということなので、伺っておるわけなんですが、その五カ年計画式の考え方も全然ないのか、それから何と申しますか、わずかずつ出てくる需要というものについて、設備なら設備について多少なりとも規制というか、計画といったものをお持ちになるのかどうか、その辺もう少し伺いたいと思います。何にもない行き当りばったりなのであって、富士モーターのようなことにやはりなるのかということをお伺いしたい。
  65. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 先ほど来説明いたしておりますように、従来主として特需によって参りました。それから航空機の問題は先ほど来申し上げております通り、新しい計画で相当伸びていくというふうに考えられますが、兵器関係につきましてはもっぱら特需に依存して来た。それで防衛庁の一部の需要もございますが、主としてこういうふうな計画になっておりますので、今後やはりこういった防衛産業をどうもっていくか、あるいは防衛計画あるいは防衛産業全体の計画の設立とにらみ合せて十分研究していかなければならない問題だと、こう考えておるわけでありまして、先ほど申し上げました通産省として買い上げ予算提出をしました動機は、しかしながら一方においてすでにできてしまった設備の散逸を防ぐためにどういうような方策をとるべきかということを考えて問題を提案したわけでありますが、その点が未定に終ってしまったわけでありまして、今後十分大きな計画の問題を頭に赴きながらこれをどうするかということは研究していきたいと、こう考えております。
  66. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうすると、防衛計画もはっきりしないから、通産省としても言われるような防衛生産といった問題について方針が立たぬ、こういうことですか。
  67. 鈴木義雄

    政府委員鈴木義雄君) 従来は防衛産業は主として特需によって参りました。今後の行き方はやはり国の予算の裏づけがある防衛岸の発注というか、そういうふうな形で伸びていく必要がある、こう考えておりますが、その方の計画がはっきりきまりますれば、それによりまして、われわれとしてもはっきりした計画が立ち得ると、こういうことは言えると考えております。
  68. 吉田法晴

    吉田法晴君 これは局長よりもむしろ次官にお尋ねをすべきことかもしらんと思いますが、今軍需生産についても計画がない。それから軍需生産についてもそうですし、特に飛行機のような場合についてはそういう傾向が強いようですが、部品をアメリカからもらったり、あるいは青写真をもらったり、特許をもらったり、生産について必要な何といいますか、アメリカに依存するところが多い。しかもだんだんそういうのがふえて来ている、こういう状態についてどういう工合に考えておられるのか。従来の特需の場合には注文それ自身が向うの注文ですから、ひもつきであることはこれはまあしょうがないとして、防衛生産だけでなくて生産全般についてそういう傾向がだんだんふえて参っているということについて、通産省としてどういう工合にお考えになっているか、承わりたいと思います。
  69. 川野芳滿

    政府委員川野芳滿君) 一般兵器産業につきましては、ただいまの説明にございましたように、昭和二十七年以来ジェット機の修理等を実はやって参ったのであります。しかし、その後練習機等の製作も現在やっていると、こういうような実情でございまして、そういう面から兵器産業をやっていきたい。さらにただいま御説明がございましたが、実はわが国の兵器産業が終戦後特需によって成り立っておりますから、昨年通商省が兵器設備の買上げ予算大蔵省に交渉いたしましたときにおきましても、この予算の計上みるならば、ある程度特需の発注があるのではなかろうかというような点もございまして、実は予算折衝に行ったのでありします。残念ながら予算を取ることができなかったのでありますが、しかし、外国の特需が全然打ち切られたということでもまだございませんので、今後さらに外交折衝等によりまして特需をも求めたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  70. 吉田法晴

    吉田法晴君 答弁がちょっと食い違ったのですが、軍需生産については今のような経緯はわかるのですが、そこで通産省の方針——方針はないということですから意向を伺ったのですけれども、それについては今具体的に私の意見を申し述べずに聞いたのですが、むしろ特需のように非常に浮動がある、あるいはこれからの自衛隊なり何なりの需要についても私はまあそういうことが言えるのじゃないかと思うのですが、むしろ軍需生産というものをあんまり育てない方がいいのじゃないか、こういうふやす方針なのか、あるいはブレーキをかける方針なのかという気持なんです。特需の実績から考えてみても、あるいは日本経済全体からみても、これは生産的な生産というよりもむしろ消費的な生産だと言うことができると思うのですが、そういう意味からいっても、あるいは経緯からいっても軍需生産というものについてあんまり何といいますか、生産力を拡充するという方針よりも、むしろ控え目な、あるいはブレーキをかける方法がいいのじゃないかと考えるのが一つ。  それからもう一つ今お尋ねをしたいのは、軍需生産にもそうだし、それからその他にもでございますが、日本の産業の中に入って来ておるアメリカの何と申しますか、要素、技術あるいは設計、あるいは資材、こうものは日本の自立経済という点からいえばむしろマイナスなのであって、その点はこれは通産省として、あるいは国としても大きく考えなければならぬことだと思うのですが、そういう点について通産省はどういう御方針であるかということをお尋ねしたわけなんでです。
  71. 川野芳滿

    政府委員川野芳滿君) 防衛産業の進展の程度でございまするが、実はこの点については予算に限度がございますから、いかに防衛産業を盛んにすると申しましても、防衛庁の予算には限度がありますから、従ってその限度の範囲内、こういうことになりまして、おのずから限度がきまるものと、こういうふうに考えております。さらに外国からの特需の問題でございますが、これは今後の努力の希望を申し述べました次第でございまして、その数字が幾らになるかというような点等につきましては、これは想像でございますから、御了承をしていただきたいと思う次第でございます。
  72. 吉田法晴

    吉田法晴君 あと、この前からも御質問をする点について御答弁がいただけないのですが、軍需生産だけでなくて、一般に日本の産業の中にアメリカからの青写真だとか、それから普通外資といわれますが、あるいは技術であるとか、そういうものが相当入って来つつある。飛行機生産のごときはこれはもうその最たるものだろと思うのですが、そういう日本の産業の中枢の中にアメリカからの要素なしには立っていかぬというような産業がだんだんふえるということは好ましくないのじゃないか、そういうことについて通産省としてどういう工合に考えておられるかということをお尋ねしたわけです。
  73. 川野芳滿

    政府委員川野芳滿君) この御質問は、あるいは防衛「庁に対する御質問ではなかろうかと実は考えるのでありますが、現在のわが国の防衛の関係上ある程度の防衛兵器が必要なることは私が申し上げるまでもない点であります。現在のわが国技術面において非常にまだおくれておりまする関係上、ある程度技術導入等はやむを得ないことではなかろうかと、こういうふうに考えておる次第であります。
  74. 吉田法晴

    吉田法晴君 防衛、いわゆる防衛産業というものから話を持って参りましたから、そういうことの御答弁になったのでしょうが、それじゃ別の例を引くと誤解がなくなるかと思うのですが、たとえば電球ですね。あるいは冷蔵庫あたりにしてもそうだと思うのですが、あるいは電気器具にしてもそうだと思うのですが、これはまあ技術的におくれておったからと言われればそれまでの話ですけれども、いろいろな理由から日本の産業の中にアメリカの機械技術あるいは部品、そういうものが入って来ている。そうしてだんだんその日本の産業の何といいますか、自主性というものが害されようとしておるのではなかろうか、やむを得ないものはこれはしようがありませんけれども、しかし、たとえば、おもちゃならおもちゃのようなものまで、日本人の発明力とそれから向うの資本金とが結びついて、そうして作ったおもちゃはアメリカの経済圏には売っちゃいかぬ、こういうことで日本のおもちゃ産業ならおもちゃ産業というものがむしろ制限をされるという結果になりつつあるというふうに私ども聞いておる。これはほかの部面にも相当あるのでしょう。そういう傾向に対して通産省としてどういう考えでおられるか。これはそういう事実はないと御否定になれば別問題ですが、これは必ずしもそうではないでしょう。どの程度あるかということは認識の相違だと思うのですけれども、しかし、そういう傾向があることはこれは御否定にならないだろうと思う。
  75. 川野芳滿

    政府委員川野芳滿君) わが国産業の発展のためにできるだけ国内品でがまんいたしたい、こういう点はこれはもちろんでございます。しかし、物によりましては、まだわが国の製品が十分とは言われないものもあろうかと考えます。さらにその品を日本に入れた方が後日その品を類似してと申しまするか、その品を研究材料としてさらにその産業の発展を来たす、こういうような点から日本よりも優秀な機械等はある程度入れることが将来のわが国産業の発展に資する、こういうような面につきましては最小限度の輸入を、認めておる。こういう実情でございまして、でき得る限りはしかしわが国産品をもって間に合わせる、こういう方向をとっておる次第であります。
  76. 吉田法晴

    吉田法晴君 これは認識の点になるかと思いますが、たとえばまあ、それじゃ今おもちゃの例を出しましたが、たとえばジュースならジュース、バヤリーズのジュース設備を国内に作るときには相当問題になったようです。ところがそのジュースあるいはおもちゃ、そういうものがだんだん出て参りますと、今次官が言われるような最小限度おくれているからアメリカの技術を輸入する以外にないという段階を少しだんだんとにかく越して参ってきておる、こういう工合に思うのであります。まあ愛知用水の導入がそうなるかどうか、これはこれからの問題ですけれども、しかし一部には愛知用水の計画によって、これは暖かい所ですからあの半島にミカンができる。そうするとバヤリーズのジュースの原料を提供することになりはせんか、こういう何というか、心配をしておる人たちがあります。バヤリーズのこの何といいますか技術能力をもってするならば、日本のジュース製造業者というものは、これはやはりどのくらいかかるかは別問題として、たたきつぶされるという心配があるだろう。そういうものがやはりだんだんふえてきておる。これはどういう工合に思っておられるかしりませんけれども、私はそう思うのです。そういう傾向に対して、技術のおくれをとり戻すにはそれ以外にないのだといってばかりだんだんおれなくなりつつあるのではないか。そういう点について通産省としては全然心配はないと考えておられるのか、あるいは一つ一つについてやはり検討をして、日本のこの工業の自主性というもの、あるいは自立というものはこれは守らなければならぬ。そういう気持だとか、立場、これは当然であると思うのです、日本の政府であり、通産省なんですから。その辺全然御研究になるかあるいは御討議になったことはないでしょうか。
  77. 川野芳滿

    政府委員川野芳滿君) 物をわが国に輸入すると、こういう場合等におきましては、その物々について検討をいたしますることは、これは当然でございます。しかしまた、国全体の大きな目標からの貿易というような点も、実は考慮して検討をいたして現在外貨割当等をやっておるような次第であります。現在わが国が黒字になっておる実情等も勘案いたしていただくならば、現在外国から輸入いたしておりまする物資等は、この程度ならやむを得ないのではなかろうか、こういうふうに考えておる次第であります。
  78. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) お尋ねの点は、伺っておりますると、いわゆる外資導入の問題が中心だろうと思っております。現在まで事務当局の方でやっておりまする考え方等を御参考までに申し上げておきます。いわゆる外資導入というものが、いろいろ分けて考えてみますると、実は三つぐらい形があります。  その第一は、本当の外国から金を借りる、あるいは株式を持ってもらうという、いわゆる金融的な問題が中心になっているのが一つあります。ことに金を借りまする方は、これはまあいわば安い金利の金を借りている、国内の金利がなかなか安くならないし、外国から——大体アメリカが主でありまするが、まあ長期融資にしましても、大体五分以下で借りられる、これはわれわれとしましては、安いものを外国から借りるというふうな趣旨もありまするので、これはむしろ返済能力があり、かつそれによって不当な企業なりあるいはある業界に対する支配といったものが大きくならなければ、むしろいいではないか。これはその借りた金で国内でできない機械を輸入するとか、あるいは国内の開発費に回すというようなこともありますが、これはむしろこの金融の緩慢化におきましても、国内金利をさらに引き下げるという面からいって、ある程度考えていいのじゃないかというふうに考えおります。ただ、株式の方は、これはいろいろ企業に対する経営権というような問題もございまするので、これはできるだけその持ち分の比率を過半数にならぬように、ことに合弁までする必要のないものは、できるだけ債権のベースで一つ話をつけたい、こういうふうに思いまして、合弁の方はできるだけ避けたいという考え方でやっております。  それからその次の外資導入の形は技術提携でございます。これは先ほど政務次官から申し上げましたように、ある程度国内の技術の立ちおくれを追いついて参るというためには、これは必要な措置だろうと思っております。これはひとりアメリカだけではありません。日本が現在の技術提携の恩典を受けておりますのは、スイスあるいはドイツ、その他いろいろな国からも入っております。これは若干のロイアリティを払う、イニシャル・ペイメントを払うということで、それによって得られるものがあればそれでもってけっこうだと思っております。  最後のもう一つの問題は、これは外資導入の変型でありますが、以上二つのものは外貨で返済するという保証をつけておりますが、これは為替管理法上の措置としまして一時的に金を借りるとか、あるいはものを輸入するとかいう形のものがございます。これは先ほども御指摘の、たしかバヤリーズの当初の形は、たしかその形できていると思っております。これは実はバヤリーズの問題、その他、あの、ジュース関係の問題は、あまりわれわれもそう強く必要だとは思っておりませんが、ただ一部の業界では、やはりあれは入れた方がいいというような賛成運動もあったようでございます。あれこれ考えまして、ああいうふうにそう外貨で払うという保証はつけませんが、ある程度措置をやるということを考えております。  いずれにしましても、この中小企業あるいはその他の関係で比較的経済力の弱い面に、外国との繋りということで悪い影響を及ぼすというものはできるだけ話し合いでそういうことにならないようにしていくということで、いろいろ腐心しております。ミシンの問題その他も同様でありますいろいろ正面切って議論しますれば、たとえば日米通商航海条約であるとか、あるいは外資法とかございますが、実際問題としてそういうようなかたい話にならないように、できるだけ円満に国内に悪い影響を及ぼさないように措置を講じたいということで腐心しております。
  79. 吉田法晴

    吉田法晴君 今の官房長の一番しまいに言われたようなことを、私も注意を喚起したいという意味で申し上げた。次官それから各局長相当揃っておられまするから、これはまあ要望にとどめておきたいと思うのです。あまり軍需生産について積極的でもなさそうですから、言う必要もないと思うのですけれども、何と申しますか、経団連の国防産業委員会といったようなものができたりすると、やっぱり圧力をかけられるのではないかというような、こういうような心配もある。ところが方針がないということで設備ができますと、そこからやはり政府に圧力がかかってくるという原因になって参りまするから、そうしてそれがさっきの特需のしりぬぐいではありませんけれども、維持、買い上げという政策が出てくる。従ってその点については初めっから押えるべきときに押えておくということで願いたい。それが一つ。  それからその外資導入について、これも実はあまり計画がなさそう、あるいは監督もなさそう、それでバヤリーズのときには反対をなされたというが、しまいには世界銀行からの融資に差しさわりが云々ということで結局やはり入っておる。そして見ていますと、やはり穴がだんだん大きくなってきている。日本の産業相当重要な部分の死命を制せられるものがあると考えられる。これは私だけではない。本委員会で青木さん等からも注意がございましたが、その方針がないということで、だんだん穴が大きくならないようにやるべきだろう、こういうことで申し上げたのであります。  その次にこの説明の中にもございましたが、鉱害復旧問題について、これには特別鉱害だけの説明がございまするが、特別鉱害の期限等もだんだん近ずいた点もありまするし、本年度以降の鉱害復旧の大まかな見通しについて承わりたいと思います。
  80. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) 鉱害復旧には御存じのように特別鉱害一般鉱害と二つございます。一般鉱害の方はまだ十分年限もございまするので、今お尋ねの点は主として特別鉱害の問題であろうと思いますので、その問題についてお答えいたします。特別鉱害につきましては、御存じのように一度五カ年間で復旧するということで最初スタートいたしましたのを、一昨年二カ年間延期いたしまして、昭和三十二年、来年五月の十二日に終了する予定になっておるわけであります。そこで現在までの進行状況でございますが、これは若干おくれておりまして、なお今後急を要する事業がかなり起っておる。今まで事業をやって参りましてみた結果、年度内ではどうしても復旧の困難なものが出て参りまして、これは技術的に復旧が困難だということでございまして、たとえば特別鉱害の起っておりますところへ、さらにまた一般鉱害がそれに加わってきた、しかもその一般鉱害がまだ安定しておりませんので、復旧するには適当でないというふうな、そういうふうな状態になったものがあるわけであります。これがどのくらいあるかということでございますが、昨年からずっと調査をやって参りまして、現在の見通しでは約五億三千万円ばかりがそういうふうなものがあるという見通しになっております。なおこれについては、こういう工事の査定は、それぞれ事業の主管の官庁が最終的に権限を持っておりますので、主として今残っておりますおもなものは農地関係でございまするから、農林省が中心になってなおもっと精密な調査をやっておりますので、場合によっては若干この数字が違って参るかもしれませんが、大体五億三千万円程度はどうしても技術的に法の期限内に復旧が困難だということになっております。そこでそれを除きまして、残りの分につきましては、来年度、三十一年度とそれから三十二年度の五月十二日までに全部復旧するという計画を立てまして、そのうち三十二年度につきましては、四十二日そこそこしかございませんので、三十二年度納付金収入に見合うだけの工事量を残しまして、あとは三十一年度に全部予算として計上いたして参ります。それが補助金といたしまして九億六千万円強という数字になっております。これだけの予算がございますれば、来年度中にこれが予算を完全に消化していけますれば、あとは再来年度納付金に見合うだけ、一億強でありますが、この程度の事業を実施いたしますれば、大体今申しました五億三千万円を除いて完了する予定になっております。
  81. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうすると、今の技術的に法の期限内に困難だという五億三千万円程度の工事量はどういう工合になさる御予定なんでしょうか。
  82. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) これはちょっと先ほど御説明しましたように、主として農地関係の工事でございます。これにつきましては、現実に最後まで待ちまして、すっかり安定して復旧可能になりましたときにどのくらいの工事になるのか、それもまだ確定いたしておりません。またいつごろ工事に着手できるか、それもちょっと今のところ見当のつかないものもございます。そういうことではっきりしたことは現在申し上げかねますが、しかしこれは先ほど申しましたように、特別鉱害の上にさらに一般鉱害が加わっているような形になったものも多いわけでございますから、一般鉱害として処理することも可能でございます。また農地なり農業施設につきましては、ほかの関係の工事につきましても相当国の補助が出ておりますので、残余についてはこの関係者が負担して工事を進めるということも可能だと思っております。さしあたり現在は復旧が可能になりましたならば、一般鉱害については法律の期限がまだ十分残っておりますので、一般鉱害として復旧をしたらどうかというのが現在考えておる考え方でございます。
  83. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうすると、一般鉱害として復旧するということになりますと、その五億三千万円なら五億三千万円という金を引き継ぐわけですか。
  84. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) これは現在は特別鉱害として査定いたしておりますのが、五億三千万円、しかしそれにさらに一般鉱害が加わりますと、おそらくそれよりも金額は多くなるのじゃないかと思いますが、で、多くなったもの全体を一般鉱害として処理する。これは特別鉱害にいたしましても、一般鉱害にいたしましても、鉱業権者の負担はそう大しては違いませんので、大体処理が比較的可能だというふうにわれわれは考えております。
  85. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうすると、その鉱業権者の負担は大して変りがあるかどうか知りませんが、大して変らないとして、それは同じだとしましても、国の支出、額と申しますか、そういうものは違う。一般鉱害は鉱業権者の責任負担の方が圧倒的、それが中心であったと思いますし、その特別鉱害の場合に事業量五億三千万円ですが、それに国の方から出る分があるだろうと思いますが、ですから合せて法的には引き継ぐとこういうことになるのじゃないですか。
  86. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) これは一般鉱害として処理いたすことになりますれば、国の補助一般鉱害の基準で補助を払うわけでありまして、もちろん特別鉱害に比べれば若干一般鉱害が悪くなりますが、その特別鉱害による分も含めまして一般鉱害として復旧をする、こういうことなりますから、お話の引き継ぐ——実質的には引き継ぐということと同じことになるわけであります。ただし補助率あるいは補助その他の負担——国の補助以外の負担の仕方というふうなものは、もちろん一般鉱害としての負担の仕方あるいは補助の率ということで処理されることになるわけであります。
  87. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうしますと、最初の予定の中から五億三千万円分と申しますか、工事量、これが技術的な特別な原因によって法の期間内に復旧できないということになりますと、これは法的の関係が違いますから、やっぱり何と言っても五億三千万円分というのは、一般鉱害に引き継がれるということになると、出すふところは一つだ。国の方は補助率が違う、こういうことになりましても、法的にはやっぱり引き継ぐことになりはしませんか。
  88. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) これは今申しましたように、引き継ぐといえば引き継ぐと申しても差しつかえないのでありますが、結局ただ特別鉱害の残工事として処理するのではなくて、その分も引っくるめて一般鉱害復旧臨時措置法という法律に基いて復旧をするということになるわけであります。
  89. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうしますと、それは特別鉱害の原因は、ここでこれは申さなくてもおわかりのことですからあれですが、そこでできた特別鉱害復旧法上のいわば国の義務あるいは期待権といいますか、一応法上の責任が出ているわけですね。そういうものを今のお話しのように、特別鉱害の残工事ではなくて、一般鉱害に事実上押しつけたもの、それを一般鉱害としての鉱業権者の負担率なり、あるいは国の少くなったが補助率なり、それでやるということになりますと、特別鉱害の面の五億三千万円というものが、これはなくなる、それはちょつと不当じゃないか。
  90. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) これは要するに特別鉱害について関係者として国とそれから鉱業権者と被害者、三つあるわけであります。被害者について申し上げれば、これはその効用を十分に回復するだけの復旧をやればよろしいのでありまして、その点は特別鉱害一般鉱害も全然変りはございません。両方とも完全に効用を回復するような工事をやるという建前でございます。工事のやり方その他については全く関係がないわけであります。あとは鉱業権者と国との責任いかんということになりますが、国の方は、特別鉱害に比べまして一般鉱害の方が若干補助率は低くなっておりますから、その点だけ国が負担が減りまして、鉱業権者の負担がそれだけふえるということにはなりますが、従ってそういうことになりますと、鉱業権者の方は幾らか負担がふえることになりますけれども、その点は鉱業権者もある程度了解しておる。これは要するに、特別鉱害をやった上にさらに自分が採掘をして一般鉱害というものが加わって、そのために復旧ができなくなるわけでありますから、そういう見地から言って、鉱業権者もある程度その責任は理解しておりますので、これは一般鉱害として処理することにそう支障はないだろうというふうにわれわれは考えております。いずれにいたしましても、残工事につきましては、必ず復旧のできるようにやりたいというふうにわれわれは考えております。
  91. 吉田法晴

    吉田法晴君 被害者にとってはいずれにせよ、完全に効用を回復させるのですから同じだ、こう言われますが、しかし鉱業権者にしても事実上納得させる話のように聞えるのですが、しかし五億三千万円分については事実関係も確定して、計画期があったわけですから、それについては、特別鉱害関係特別鉱害復旧法案に基いての義務が鉱業権者にあった、これも確定しておる。それから国の負担も確定しておる。それに一般鉱害がつけ加わったといっても、これは論理的にはっきり区別し得る。そうしてその確定しておったいわば国の義務なり何なりというものを、それに一般鉱害がつけ加わったから一般鉱害に移すといえば、法的にはやはり一ぺんきまった責任を免れる、こういうことになると思います。そこが法的にはおかしいと思います。実際にはそれで片づくのであり、片づけるのだというのでありますが、これは法的にはおかしい、これはできません。従って方針は一般鉱害で結びつけるという、これは大へん悪い表現でありますが、その分だけ期限内に片づかないとすれば、持ち越したらどうですか。何と申しますか、そういう過渡規定ということになるかもしらぬのですが、私はちょっとあれがあれば、短期間にしろ五月幾らという中途半端ですから、あるいは一年なら一年延びるという方法もあると思うのですが、少くとも今のお話で解消をしてしまうというわけにはいかぬだろうと思う。従ってその間には経過的な措置もとらなければならぬと思うのですが、もう少し検討あるいは御再考になるあれはないのですか。
  92. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) これは、五億三千万というものが、どうして残るかということと関係があるわけでございますが、先ほど御説明いたしましたように、これについては技術的に復旧が不可能だ。そこで技術的に復旧が可能になるのはいつだと申しますと、これは非常にまちまちで、今後数年かからなければ着手できないようなものも入っておるのであります。御存じのように、鉱害というのは、事故の原因が発生いたしましてから相当、数年かからないと完全に安定しない。安定しない段階で、一たん復旧しましても、また復旧するということになりまして、その点が非常にむだになりますので、一応これは加害の原因がすっかりなくなって、しかもその被害がすっかり出切ってしまってから復旧するというのが、これは特別鉱害一般鉱害を問わず原則になっております。そういうふうに考えますと、この法律を延長するということがまるで無制限に延長する、少くともこの面に関する限りは、無制限に延長しなければならないということになるのでありますが、それはこの前のこの特別鉱害の延長を国会に御審議願いましたときにも、これはもう初めから五年で全部処理するのだという予定でございましたのが、物価の値上り、あるいは技術的な工事のやり方その他の問題で、どうしても所定年限内に実施できなくなったという関係から、まあ今度一年延長をお願いしたのでありますが、しかし今度は絶対に延長いたしませんということでお願いした関係もありまして、これをまた無制限に延長するというのは、どうも適当じゃないというふうにわれわれは考えるわけであります。実際問題としましては、先ほど申しましたように、被害者に対する関係からいえば、両方とも工事効果においては全く変りはございませんので、一番利害関係の深い被害者の関係では、全く変りはないのでありますから、一般鉱害でも処理できる。  それからもう一つ特別鉱害と申しますのは、御存じのように、費用の負担の仕方がアブノーマルと申しますか、変った負担の仕方で、これは事故の原因を与えた者が責任を負担するという当然の考え方に比べまして、ちょっと変っておるわけです。いわばある程度、何と申しますか、責任がない者が負担するという形になっておりますので、そういう負担の仕方も、やはりいつまでもそういう負担の仕方を持ち越すのも必ずしも適当ではないように考えます。もちろんこれは将来のことでありますから、われわれは今のところ、一般鉱害で復旧するのが適当だと思っておりますけれども、そのときには、実際工事をいたします場合は、あるいは若干違うやり方が適当ということになるかもしれませんし、またこの特別鉱害については国の復旧費の割合、補助の割合も若干違いますけれども、これは将来一般鉱害についても、現在の補助率を引き上げるということが不可能なわけではございませんので、その辺は実際に復旧に適するような状態になりましたときに、最も合理的な方法でしていただいたらよろしいのじゃないか。いずれにいたしましても、これを被害者に迷惑のかからないように処理するようにいたしたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  93. 吉田法晴

    吉田法晴君 それでは議論はいたしませんが、責任のない者について復旧する云々というお話ですが、これはその法を離れて、一般的に今そういうことを言われるのは、多少無責任だと思うのですが、一応昭和十六年ごろ、国が戦争のために町の下でも掘れということでやったのだからというので、全責任をとられているのですから、国に責任があったということに法上はなっておるのですから、責任のない者が云々ということも言えないはずだし、私の言うのは、法上できた責任を、技術的に困難だということではあるけれども、それを免れしめる、いわば五億三千万円なら五億三千万円分についてではあるけれども、それを空にする理由がない。国においてできた責任は当然期限内にできれば引き継ぐ。いわば五億三千万円なら五億三千万円というものを、あと一般から引き入れたらよろしいのだということを申し上げたわけですが、議論が、長くなりますから、この程度にして御検討を願うことにいたします。  それから石炭局長よりも、当面鉱山保安局長だろうと思うのですが、商工委員会で阿具根君やその他から問題を取り上げてくれておったようでありますが、あるいは本会議で山本君がやったりしておりますが、昨年来炭鉱の爆発等に関連いたします災害がきわめて多い。これは私どもその実態を調べておるものとして、これ以上の人道問題は少くとも国内平時にはあまりない。原爆の症状がどうであるか、私も、今の被害者についてはまあ病院等で拝見いたしますけれども、おそらく原爆の被害以外にはああいう悲惨な被害はなかろうかと思う。しかも最近は何十人という被害者を出している、その爆発が取り上げても取り上げても毎月一つ、あるいは月によっては二つもある。これはまあ本会議でも出ましたけれども、私は局長もですが、この実態を知っておる人についてはおそらく同感を願えると思っているのです。そこで、その一つ一つの原因等についてはここでお尋ねをしている瞬間はございませんが、対策が立っておらぬじゃないか、少くともおととしぐらいの事故について取り上げて、いろいろ、前任者ですけれども、質疑をし、それから方針を述べられましたけれども、一向やまぬところを見ますと、その対策というものが効果がなかったと言わざるを得ない。だから結果からですけれども、もっと違った抜本的な施策を講ぜられなければならぬのじゃないか、こう思うのですが、局長一つあれを願いたいと思うし、それから次官その他もおられますけれども、通産省としてもっと一つ真剣に対策を立て、根絶を期するように一つ願いたいと思うのですが、局長の御所信を伺いたいと思います。
  94. 正木崇

    政府委員正木崇君) 石炭鉱山における災害が最近目立っておりまするが、御存じの保安法が昭和二十五年に施行されましたが、その当時の災害の回数は約十六万件でございますが、昨年はこれは五万二千件に減っております。ただ残念なことには、死者の数があまり減っておりませんので、昭和二十五年には七百八十四名でざごいましたが、二十九年は七百九名、昨年は六百六十二名ということで漸次減少はいたしておりますけれども、災害の総件数の減少に比べまして、減少の率が非常に低いということでございます。さらに昨年は御存じのように、非常に目立つ石炭鉱山の災害が多かったのでございますが、これに対しまして、昨年の十月に石炭鉱山の保安規則の改正を行いまして、さらに従来より徹底した法律上の監督を行うという趣旨の改正をいたしました。さらに監督官に対しましても、平面的な監督はやめて、少くとも、この死亡者の減少を期するために重大災害、死者を伴うような重大災害の防止には、重点的に監督をするようにという指令を出しまして、これを実施しております。三十一年度の監督方針といたしましても、重大災害の防止ということを監督の最重点におきまして、監督自身をさらに計画的に、また監督によりまして発見いたしました欠陥の補正あるいは改善、指導につきましても、事故の監督を十分にいたしまして、ただ指導しっぱなしということがないように、跡始末をつけるような指導も今回から十分にやって参りまして、災害の減少を期したいというふうに考えておる次第でございます。
  95. 吉田法晴

    吉田法晴君 災害の総件数は減ったというお話ですが、これは全国の統計ですから、そういう批判をすることは当らぬかもしれませんけれども、総件数が炭鉱の中で、あるいは全国で減らすということは、これはそうむずかしい問題じゃない。小さいけがを届けなければいいのですから。それはやかましく言われますと、全部だとは言いませんけれども、そういう風潮が出てくるのは当然です。問題は今申し上げましたように、あなたもお話になるように、死亡を伴います災害ですが、問題は爆発ですね。これは落盤等もありましょうが、それは坑木の使用をあまりやかましく言いさえしなければ、あとは何と申しますか、今のような御指導である程度減すことができるかと思うんですけれども、爆発についてあれだけ悲惨な事例はほかにはない。しかもその爆発が毎月々々、最近も一番新しいのは常磐のようですが、出ております。私どもその実態を知っておるから、自分の選挙区であるとか何とかいうことを抜きにして、何と申しますか、痛恨に打たれるわけです。規則の改正をやった、あるいは監督官の監督を強化してと言われるけれども、しかしそれでもなおやっぱり一向減らぬところを見ると、やはりほんとうの原因は除かれていないんじゃないかということが言えると思う。まあ山本君はガス抜き云々ということについて、大臣にもその指導方針を出してもらうことを頼んであるということですが、それも一つの方法だと思うんですが、今の保安規則の建前、管理者、それから保安係員、それからそれを事実上総括いたしております山の保安部長と申しますか、そういう責任者、こういうこの保安管理の系統にも欠陥があるんじゃないかと私は思うんですが、山の実務者の間からもそういう意見も出ております。そこで、これは結果から責任を問うわけではありませんけれども、事実上今までやられてきた施策があまり効果がなかった、これは失礼ですけれども、結果から言ってそういうことになる。そうすると、どうしたらそれでは大災害が絶滅できるかということについて、もう少し意見を聞いて、工夫をこらして願うべきだと思う。そういう点について御意図はございませんか。次官もおられますが、一ぺんに何十人というものを——これはごらんになったことはないでしょうが、ちょうど原爆被災をしたのと同じような、全身黒焦げになる、あるいは出ております部分が、顔から手からむけてしまって、ちょうど映画に出て参りますあの原爆被害者のようになるんです。そうして即死をする者もありますが、生死の境を一週間彷徨をして、半分は死んでいき、半分はやっと助かり、あとにはケロイド症状みたいなものが残ったという、こういう悲惨の事態、これを防ぐには、これはやはり局長だけでなしに、あるいは鉱山について多少の知識を持っおる私どもだけでなしに、人道問題だと思うのですが、そこでいろいろな専門家の意見も聞いて、山におります者、あるいは面接経験をいたした者もございましょう、それから災害の現場から辛うじてのがれ去った人もおりましょうし、そういう者を集めて、私はもう少も真剣に対策を立てていただきたい。あるいは法規の改正なら法規の改正の道の御研究を願いたいと思うのですが、いかがでしょうか。そういう必要はまあないと言われればそれまでの話でありますが、御検討を願えないものか、一つ御所見を承わりたい。
  96. 川野芳滿

    政府委員川野芳滿君) 炭鉱の爆発による惨状というものはただいま仰せの通りでございまして、まことに遺憾にたえない次第であります。その対策といたしましては、従来も真剣に検討して参ったのではございまするが、さらに今後一つせひ各方面の意見も参酌いたしまして、意見を聞きまして、そうして対策を立てたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  97. 吉田法晴

    吉田法晴君 局長にもおそれ入りますが、今申し上げましたように、炭鉱のとにかく保安について経験を持っております者の中にも、やっぱり保安規則なり何なりの建前について意見を述べておる者もありますので、経験者それから担当者、これは全国で保安部長をしておられる人の意見もありましょうけれども、再検討を願いたいと思うのでありますが、そういうことが願えるかどうか。
  98. 正木崇

    政府委員正木崇君) 石炭保安規則の改正につきましては、先般組合関係の方々から御意見を承わっております。これにつきましては、なお検討を加えております。さらに災害防止の見地から鉱山の保安管理機構も整備を考える必要があると思いまして、その点につきましてもなお検討中でございます。  それからガスの爆発の関係でございますが、これは二つの種類がございまして、一つは自然発火に基く充填とか、いろいろな消火の措置の作業中の事故、それからガス検定を怠ったといったようなこと、あるいは法律にきめられた方法でハッパをかけないといったようなことから起る法規違反による事故と二つございますが、法規違反の方はあくまでも法規を守ってもらう以外に方法はございませんけれども、自然発火の対策といたしましては、自然発火を未然に防止し、あるいは早期に発見して、有効な防止措置をとるということが必要でございますので、この点につきましての研究をいたすために、昨年来専門家が集まりを持ちまして、結論を得ております。これに基く指導を行なっておりまするので、この指導が効果をあげて参りますと、自然発火の防止も早期発見も、またこれに対する措置も完全を期することができますので、今後はそうひんぱんに爆発事故というものも起らないで済むのではないかというふうに考えております。  それからさっき御指摘の常磐の例はお話がございましたが、これは爆発ではございませんので、自然発火に基く坑内火災による災害でございますので、この際御報告申し上げておきます。    〔副主査退席、主査着席〕
  99. 吉田法晴

    主査吉田法晴君) それでは、本日の分科会はこの程度でもって散会いたします。     午後三時四十四分散会