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政府委員(
岩武照彦君) 私から便宜お答えいたします。
原子力問題は、
通産省の
関係といたしましては、次の三点になるかと思っております。
一つは、御指摘のありましたエネルギーとしての
利用面における発電所
関係でございます。これは長期的な電力の需給の
状況を考えますると、早晩水力の
開発もある
程度の段階でおそらく限度にくるのじゃないかということを考えております。また火力の方も、これも現在
相当高性能の発電所を
建設しておりますが、これも石炭の生産
関係あるいは立地の
条件等からいたしまして、これとてもおのずから限度がありはしないかと思っております。私の方で
事務的に一応その
関係を試算したものがございますが、たとえば今後二十年後の電力需給というようなことを考えてみますと、そのうちのおそらく数百万キロワットというものが
原子力で補いをつけなければ困るのではないだろうかというふうな結論になっております。で、現在実験原子炉を五年以内に一応
建設するというようなことになっておりますが、このテンポにつきましても、一部の方面からは少しおそ過ぎはしないかというような説もございますが、ただ
原子力発電の問題は、
現実に経済的ベースで操業いたしておりますものは世界にどこにもございません。この数年間のうちに、アメリカあるいはイギリス等で普通の電気事業用といたしまして運転いたすような
状況は相なりますれば、
わが国といたしましても、実験用の動力炉に引き続きまして、営業的な炉という問題が問題になってくるだろうと思います。日本におきます火力の原価あるいは逆転の
技術というような問題があるかと存じますが、早晩そういう問題になるかと思っておりまして、われわれの方の公益事業といたしましては、その点については絶えず
海外の
状況等も
調査いたして
対策を考えておるという
状況でございます。これはそういう発電用の原子炉を営業的に開設いたしますれば、これは当然電気事業者といたしまして公益事業令の監督下に入るわけでありますが、そういう
関係をもちまして、現在寄り寄り
対策を相談中でございます。それからその次の問題といたしましては、
利用面でございますが、アイソトープの
利用でございます。これは工業的にはどういう方面にどういうふうに
利用されまするか——いろいろ化学工業方面あるいは金属工業方面等ではトレーサーなり、あるいはいろいろな
利用法が
海外でもいろいろ考えられておるようであります。また日本にも若干そういうふうな
利用方法をいろいろ
研究している向きもあるようでございます。われわれの管下の試験所——工業
技術院管下の試験所におきましても、いろいろそういう問題を
研究中でございます。
それからもう
一つの面は、これは一番基本的な問題でございまして、原子炉の燃料になりますウラン鉱あるいはトリウム鉱が果して日本にあるか、あればどの
程度のものがあり、どういうふうに
開発すべきか、この選鉱、製錬の
技術乃至方法はいかにあるべきかという問題があるわけであります。この点につきましては、在来から地質
調査所が
相当な人員を擁しておりまして、現在有望とされておりまする鉱山の探査を行なっております。その結果、若干地域におきましては、ウラン鉱等の賦存状態を一応確認しておりますが、これもなおもう少し精査を行いまして、企業的に行い得るものかどうかをきめる必要があると思う。今度
原子力局と共同作業の形になっておりまする
開発促進に関しまする法律も本国会に
提出されておりますし、またそのあとを受けまして、もう少しこれを探査の企業的なベースで精査いたしまして、また選鉱、製練といったものを行いまする原子燃料
開発公社というものも、本国会に所要の法案ないし
予算の御審議を
お願いしてあるわけであります。これらは一応
所管は
原子力局にございますが、
実態は、事柄が地質あるいは採鉱、冶金といった面が多いのでありまするから、われわれの方の
関係機関をあげて
協力して一緒にやって参ろう、こういうような態勢をとっております。