運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1956-03-22 第24回国会 参議院 予算委員会第四分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月二十二日(木曜日)    午前十時四十九分開会     ―――――――――――――   委員の異動 三月二十日委員青木一男君辞任につ き、その補欠として石坂豊一君を予算 委員長において指名した。     ―――――――――――――  出席者は左の通り。    主査      中山 福藏君    副主査     安井  謙君    委員            石坂 豊一君            吉田 萬次君            矢嶋 三義君            湯山  勇君            館  哲二君   国務大臣    文 部 大 臣 清瀬 一郎君    厚 生 大 臣 小林 英三君   政府委員    法務省入国管理    局長      内田 藤雄君    公安調査庁次長 高橋 一郎君    文部政務次官  竹尾  弌君    文部大臣官房会    計課長     天城  勲君    文部省初等中等    教育局長    緒方 信一君    文部省大学学術    局長      稲田 清助君    文部省社会教育    局長      内藤譽三郎君    文部省調査局長 福田  繁君    文部省管理局長 小林 行雄君    厚生大臣官房会    計課長     堀岡 吉次君    厚生省公衆衛生    局環境衛生部長 楠本 正康君    厚生省児童局長 高田 浩運君   説明員    自治庁財政部財    政課長     柴田  護君    文部省初等中等    教育局財務課長 安嶋  弥君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○昭和三十一年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十一年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十一年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 中山福藏

    主査中山福藏君) ただいまから第四分科会を開会いたします。  本日は文部省所管について議題とすることになっておりますが、前回の残りが法務省並び厚生省にありまするので、まずその方から皆さんの御質疑をしていただきたいと考えております。  それでは法務省関係について、内田管理局長の御答弁があるはずだということですから、どうぞ。
  3. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) 先日早く退席いたしましたあとで、こちらの委員の方から中共からの日教組で招待いたしました人々の入国の問題について御質疑があったように承知いたしておりますが、私の了解いたしましたところでは、これに関連しましての事務当局見解はどうか、こういうふうに伺っておりますので、そういう御質問があったという前提でお答え申し上げます。  われわれといたしまして、一般的に入国の問題につきまして考えておりますことは、一つには日本人自身が海外へ移民して行かなければならない。また日本人が経済、通商、貿易、いろいろな意味外国において活動することが多い、こういう事実に基きまして、われわれが入国に関しましてあまり閉鎖的なやり方をするということは、おのずからこれらの在外における日本人の活動にはね返って参りましすので、われわれといたしましては、差しつかえのない限りは自由な原則でいきたいというのを一つの基本的な考えにいたしております。それからもう一つは、大陸と日本というものは、いろいろ歴史的に見ましても、また経済的に、文化的、いろいろな意味でこれまたある程度のつながりがあった事実、また今後もそういうつながりを持つことも避け得られないだろう、こういうふうに考えておりますので、格別の理由がない限りこれを阻止しようといういうには考えておりません。ただ問題は、御承知のように現在主として問題になります中共を例にとりますならば、日本正規国交がないという第一の事実があります。また第二に、この国は共産主義の国である、こういう事実があります。従いまして、これらの事実を、先ほど申し上げました原則といかに組み合せて参りますかということは、これはただわれわれの事務当局限りの問題とは申し得ないのでございまして、どうしても正規国交のない国の人を入国させるような場合に、正規国交を開いておる国々との関係考えなければなりませんし、その点はもちろん外交上の部類に属しますが、また同時に共雄主義の国であるといういような場合に、人が入ってきて日本の国内において治安を乱されるようなことをされては困る、こういうこともございますので、治安角度からするいろいろな意見もあります。またこの間のように教育に関連してくるということでございますと、日本教育共産主義的な色に染まるようなことはわれわれとして望ましくない、こういうような考慮もございます。かたがた先般は入国を拒否したわけであります。  なおこれに関連して申し上げますが、外国の例など考えてみましても、たとえばアメリカのごときは非常に厳格に、いやしくも一時でも共産主義的な団体に加入したとかあるいはそのシンパであったといういうな者に対しては全然入国を認めておりませんし、またかなり自由な国でありますイギリスとかフランス等の例にかんがみましても、特定の個人に対しあるいはその入国目的、つまりある団体の集会に、ある会合のために入国してくるというときに、その会合そのものが、政府の見るところで望ましくないというようなときには、その会合へ参加する者一切の入国を拒否するということはしばしば行われておることでございまして、日本といたしましても、これらの例にかんがみますならば、ある場合に入国を拒否したということが、国際的な角度から見ました場合に決して不当なものではない、こういうふうに考えておる次第であります。
  4. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 法務大臣は出席できませんか、早く来てもらいたいと思いますが……。
  5. 中山福藏

    主査中山福藏君) 法務大臣病気内閣の方に欠席届が出ているそうです。
  6. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 法務大臣病気で登院なさっていないとすればいたし方ありませんので、法務大臣に対する質疑はまたの機会に譲って、事務当局に少し伺っておきたいと思うのですが、二十三臨時国会で、私はかような場合をあらかじめ予想して、事前に一般論として、十二月、参議院予算委員会重光外務大臣質疑をいたしました。そのときの外相の答弁は、外交上の考慮ということもあるけれども外国、特にアジア地域との人の交流というものは、今後入国を増員できるよら促進していく方針だという。外交上の立場からの答弁があったわけですね。そのとき私はあの日教組教研大会おいでになる中国の教育界の代表が入国できないというようなことは、その答弁からは予想していなかったわけですが、ところがまあ御承知のような結果になりました。そこで私承わりたいのは、あなたの、今の事務当局答弁としては、正規国交が開かれてないとか、あるいは相手が共地国であるから云々と言いましたけれども、しかし旅券を出した場合も、入国を許可した場合もあるわけですから、これは理由にはならぬと思うのですね。だとすれば、日本入国をしようとした個人が好ましくないというような判定を下されたのかなとも推察されるのですが、その辺はどうなんですか。
  7. 中山福藏

    主査中山福藏君) ちょっと矢嶋委員に申し上げますが、ただいま厚生大臣おいでになりまして、十五分間しか時間がないようですので、ただいまの矢嶋委員に対する御答弁厚生大臣に一応御質疑になった後でいかがでございましょうか。
  8. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 主査のそういうお取り計らいならばけっこうですが、今の十五分ですね、参議院予算委員会で一昨昨日に厚生関係をやって、厚生大臣は非常に御多忙だと思うので、われわれ分科会としてはずいぶん考慮して、厚生大臣に連絡をとっていただいたわけですが、本日またおいでになって十五分というのは、湯山委員も一昨日以来質問を用意してあるわけなんですが、どういう御事情なんですかね。少くとも予算審議に当っては大臣相当な時間をさかるべきじゃないかと思うのですが、十五分とはどういうわけなんでございましょうか。
  9. 中山福藏

    主査中山福藏君) いかがですか、厚生大臣、その点はどういう何でしょうか。
  10. 小林英三

    国務大臣小林英三君) ほかの委員会もありますし、それから私の方で今日重要な協議もちょっと午前中持っているわけなものですから、委員長にもお願いしておるわけですが、まあ十五分が多少三分や四分どうなりましてもそれはけっこうですが、なるべくそういうようにお願いいたしたいのでございます。
  11. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 われわれも大臣が御多忙なのにいつまでも引きとめておく考えはないのですから、そういうつもりで大臣もおっていただきたい。
  12. 湯山勇

    湯山勇君 厚生大臣にお尋ねいたしたい点は、前回委員会事務当局へはいろいろお聞きしたのですけれども、どうしても二、三の点について大臣の直接の御答弁をいただきたいという点を留保しておりましたので、それらの点についてお伺いいたしたいと思います。  第一点は、蚊とハエ撲滅運動についてでございますが、これは昨年の予算分科会におきましても私は大臣にお輝きしまして、いろいろ新生活運動とか、そのほかいわれておりますけれども、結局蚊とハエ撲滅運動というような具体的なものを完全にやり遂げるというようなことが、やはりこの際最も重要なことではないかということを申し上げましたところ、当時の厚生大臣も全くその通りだ、そこで三カ年計画でもって蚊とハエ撲滅するように計画を立ててやることにしたいという御答弁がございました。ところが、その後大臣がおかわりになりましたので、経緯をお聞きする機会がなかったわけですけれども、幸い昨年そういうことが各方面で取り上げられた機会に、全国の各地区でも蚊とハエ撲滅運動というような連動がそれぞれの地域でかなり盛り上って参りました。ところがこれに対する政府の助成なりその他の施策がどうも積極的になされなかったために、あれからだんだんそういうことも下火になりつつあるようでございます。大臣も御承知通り、蚊とハエ撲滅というようなことは、一部落、一町村、そういうものだけでなし得るのではなく、全部が協力して全国的に協力態勢をとってやらなければ、はなればなれにやったのでは何の効果もないことでございまして、私は厚生省のお取り上げになった運動では非常にいい運動だ、このことによってずいぶん国民保健衛生の上にも貢献するところが大きいと期待しておりましたが、おそらく小林厚生大臣もこのことについては十分御関心と御熱意を持っておられると思います。そこで以前いっておった三カ年計画というのは現在どういうふうになっておられるか、これはあらためて今から三カ年計画をお作りになるのか、あるいは前大臣のときに立てたものがあって、それを踏襲しておやりになるのか、その辺のことをまずお伺いしたいと思います。
  13. 小林英三

    国務大臣小林英三君) 湯山さんの御意見は私もっともだと思います。蚊とハエをなくするということにつきましては、伝染病をなくいたしまして、環境を非常に清浄にいたしまして、人間の健康ばかりでなしに、すべての家畜その他の健康の上におきましても非常にいいのでありまして、御承知通り、今御意見のありました通りに、昨年の六月に閣議の了解を得まして、厚生省といたしましては蚊とハエのない生活実践運動の三カ年計画を樹立いたしまして、そうして本運動全国的に展開して参ったのでありますが、当時幸いにも関係方面のみならず、広く国民一般の御理解と御支持を得まして、現在までのところは、いわゆるモデル地区数は約九千二百カ所、その対象人口といたしましては約一千百万人に及びまして、また蚊とハエの実際の駆除効果の点におきましても相当程度成果をおさめて参ったのでございます。昭和三十年度におきましては、本運動のために国からの特別の予算というものの支出はなかったのでございまするが、先ほど申し上げましたように、相当程度成果を上げましたゆえんは、一に本運動の意義とその重要性が広く国民各階層に認識せられた結果であると存じておる次第でありますが、本年は実は最初二億八千万円の予算要求をいたしまして、これは動力の噴霧機あるいは手押し噴霧機、それからヘリコプターによりまする直接薬品の空中からの撒布であるとか、あるいは表彰費といたしまして応分の予算を計上いたしまして、ぜひ三十一年度は二年度でありますから、厚生省といたしましては、最初目的確立に邁進するつもりでおったのでありますが、いろいろ国家財政の都合によりまして、遺憾ながら満足すべき予算の計上はできなかったのでありますが、いずれにいたしましても、三十一年度は本運動の第二年目でございますし、本運動推進上きわめて重要な時期でございまするので、予算効率的使用に努めることはもちろんでございますが、地域的にも比較的良好の条件の地域対象といたしまして、啓蒙実践、意欲の高揚等運動等を展開する方針でございまして、国民一般の積極的な協力を待て、予算は少いのでありますが、最大限の効果を上げようと思っております。昭和三十二年度におきましては最終年度でございまするし、一番この運動実践するには悪条件の地域のみが残るわけでございまするから、今湯山さんのおっしゃったような御意見にマッチいたしまするように、厚生省といたしましては特段の努力をいたしたいと考えております次第でございます。
  14. 湯山勇

    湯山勇君 大臣から非常に誠意のある御答弁をいただきまして、ただいまの答弁は私といたしましても大へん満足をいたしております。ただ非常に残念なことでございますけれども大臣がおっしゃったように一億八千万の御要求に対してわずか百四、五十万しか細まれていないという現実は非常に残念に思います。これは決して大臣熱意が足りなかったということを申し上げるのではありませんで、ただいま御答弁がありましたようなことをよく御理解になっておる大臣としては、最善をお尽しになったこととは思いますけれども、しかしそうだとすれば、やはり政府部内における、もっと端的に言えば、各他の省の大臣皆さん理解が乏しいのだと思います。それで大臣がおっしゃいましたように全国で九千地区、千百万もの人がこれに協力しておるという段階に、政府部内での協力が符られなければ、これまた何もならないことになると思います。そこで大臣といたされましては、どうか一つこの民間に対する啓蒙宣伝ももちろんでございますけれども政府部内における啓蒙宣伝を、一般民間に対してより、より以上にしていただきまして、三十二年度におきましては、本年度要求になった一億八千万、それに来年度分がこれに相当領が加わるような努力をぜひしていただくようにお願い申し上げまして、この蚊とハエ撲滅運動に対しては質問を終ります。  次に水道につきましてでございます。水道行政がきわめて重要だということは、これも申し上げるまでもなく大臣承知通りでございまして、この本年度予算を拝見しますと数億の残事業があるにもかかわらず、地盤沈下水道費が削られております。これは非常に残念なことで、地盤沈下というのは一種の災害でございますから、単に簡易水道ということ以上に災害復旧というような意味も加えて、でき上るまでは政府が責任を持ってやっていただくことを期待しておりましたし、従来の各大臣努力をしていただいておったのですけれども、来年度は遺憾ながらそれが削除になっております。いろいろ事情を聞いてみますと、地盤沈下水道の分は簡易水道の方へ振りかえるというお話でございましたが、予算書で見ますと、今年度の当初予算と来年度の当初予算は、予算額においても何ら変っておりません。そうすると結局形の上からいえば、地盤沈下水道を削ったということだけにしかならないので、このことは大へん遺憾なことだと思います。これに対して大臣はどういうお考えをお持ちになっていらっしゃるか、また臨場水道そのものも毎年同じ予算を踏襲するというのじゃなくて、これだけ国民から喜ばれているものをさらに強化拡充していく必要があるのではないか、こういう点についてもまた大臣の御所見を伺いたい。  それからもう一点は、上水道行政と相並んで下水道行政が非常におくれていると思います。上水道の拡張に伴って下水道に力を入れなければ、結局せっかくやった上水道がそれだけの効果を発揮しないというようなことにもなるかと思いますが、それらの点を中心にした大臣水道行政といいますか、それに対する御見解を伺いたいと思います。
  15. 小林英三

    国務大臣小林英三君) 今お尋ねの地盤沈下の問題、簡易水道の問題、これは今湯山さんのおっしゃいましたように、地盤沈下の問題は、災害復旧という意味から、従来政府一般簡易水道の四分の一国庫補助に対しまして、地盤沈下の場合におきましては二分の一の補助をいたしておったのであります。実は私が就任いたしました以前のことでございますが、ずっと従来南海地方の大震災がございましてから、今湯山さんのおっしゃいますように、一方は普通の簡易水道、一方は災害による復旧であるからというので、国庫補助四分の一に対して二分の一の補助をして参ったのであります。ところが二十九年度におきまして、大体災害があってから相当年限がたったことであるし、それにもう一つ災害による、いわゆる災害復旧というものであるのか、あるいはこのいわゆる地盤沈下とみなすべきであるか、あるいは一般のものであるかというような見きわめということであります。そういうような問題がなかなか、最初はすぐはっきりわかるのでありますが、災害も非常に年限がたって参りまして、そこに、ある地方一般の四分の一の補助でやる簡易水道、またその近所のある地方はこれは災害による災害復旧、いわゆる地盤沈下としての二分の一というようなことになりまして、いろいろ政府といたしまして、取り扱いがやりにくいというようなことで、二十九年度におきまして地盤沈下の項目の補助は一応打ち切ろうではないかというような議が大蔵省から出て参りまして、そのかわり二十九年度におきましては、地盤沈下に対する予算として一億円を計上したというようなわけでありまして、ところが三十年度におきましても、まあそれで打ち切られてはというようないろいろの要求もいたしまして、まあ三十年度におきましては湯山さんも御承知のように、前年度に比べまして非常に低くなっております。これが最後だというふうな意味もありまして、三千万円だけ地盤沈下の方の予算を計上いたしたわけでありまして、三十一年度におきましては、やはり二十九年度あたりからそういう意見も出ておりまして、三十年度はわずかばかりですけれども計上した次第でありますが、もうこの辺で打ち切ろうじゃないかというような大蔵省の強い意見も出まして、今年はいわゆる簡易水道予算といたしまして昨年同様に八億四千万円を計上いたしたのであります。しかしこれも大蔵省の当初の査定といたしましては、われわれは相当要求をいたしたのでありますが、最初査定といたしましては四億七千万円に削られておったのでありますが、いろいろそういう事もあることもございますし、われわれといたしまても、簡易水道というものは実は全国各地で喜ばれまするし、また農村地帯等の文化の面におきましても非常に推進する必要があるというので、八億四千万円昨年度同様に、同額にいたした次第でありまして、今の湯山さんのお説も一応ごもっともだと思いますけれども、今年度、三十一年度におきましては地盤沈下の問題を削りました次第であります。
  16. 湯山勇

    湯山勇君 下水道についてはどういうふうにお考えでございますか。
  17. 小林英三

    国務大臣小林英三君) この下水道の問題は、これは非常に全国各地から相当大きな要求もございまするし、私どもといたしましては、本年も相当予算を計上いたしたのでありますが、最終に五億円に決定いたしたのであります。今後機材等も十分に、自治庁とも打ち合せいたしまして、これらの事業ができるだけ多量に進捗するようにいたしたいと思っております。
  18. 湯山勇

    湯山勇君 大臣の今日までの御努力はよくわかるのでありますけれども、今のようになってしまいますと、地盤沈下地帯はそれでは今後はもうそのまま放任せられるということになるのではないかということを心配しております。と申しますのは、すでに厚生省の方で御調査になって、この分は地盤沈下による被害を受けているから、当然地盤沈下による水道施設をしなければならないという査定を受けた地域で残っているのが、まだ事業量にしても数億あると思います。それらの地帯がそのまま放置されるということになれば、これは非常に重大な問題だと思いますが、それについてはどういうふうになさる御予定でございましょうか。
  19. 小林英三

    国務大臣小林英三君) 今の地盤沈下とみなされている、査定された仕事も相当残っているというような問題でございまするが、三十一年度予算におきましても、そういう方面に対しましては、今の簡易水道補助の問題も、そういう場所にはできるだけ優先的にそれを差し向けていきたい、こういうふうに考えております。
  20. 湯山勇

    湯山勇君 なお、今の点につきましては、大臣もよく御承知のような一構でございますから、三十二年度におきましてはこれは補助率が違う関係もあって、非常に気の毒だと思いますので、十分御配慮をいただきたいと存じます。  それから下水道でございますけれども、完全な下水道ということになれば、これは大へんたくさん費用がかかりまして、その延長も少くなるし、恩恵を受ける数も少いと思います。ところが、地方に行きますと、そういう完全な改良下水じゃなくて、ごく簡単な下水で足りるところがたくさんありますし、そういうことをどんどんやっていただけば、そのこと自体が、最初私が申しました蚊とハエ撲滅連動等にも非常に役に立つというような面がありますので、現在のようなああいう改良下水一本槍じゃなくて、何か別途に、そういう地方々々の実情に応じた下水道対策というようなものをお立てになる必要があるのではないかと私は思うのでございますけれども大臣はそういう点について今後御検討なされる御用意はございませんでしょうか。
  21. 小林英三

    国務大臣小林英三君) 今の湯山さんの御説のように、同じ簡易下水道でありましても、地方によりましていろいろ事情が違うところが多々あると思います。そういう地方実情にも即しまして、簡易下水道行政についてやっていきたいと存じております。
  22. 湯山勇

    湯山勇君 それから最後にお尋ねいたしたいのは、健康保険の問題でございます。これは政府の方で御提案になった案に基いて本年度予算は組まれておると思いますけれども、伺いますと、この案を改めていこうというような動きが与党内部にもおありであるし、それから大臣もまた若干そういうお考えをお持ちになっておるかのように報じておる新聞もございます。そういうことになりますと、ただいまここで予算審議をいたしましても、そのことと、そして法律が改正になって出てくるものとは全然違ったものになりまして、今審議すること、そのこと自体が大へん意味なことになるというような懸念もございますので、現在どういう方向にこれを改めていこうとしておられるのか、それに対して大臣はどういうふうに対処されるか、また、そうなった場合に、仮定ですけれども、この予算はどういうふうに変るだろうかというような点についての御見解を伺いたいと存じます。
  23. 小林英三

    国務大臣小林英三君) 健康保険改正案という問題につきましては、これはもう厚生省といたしまして、今日の健康保険制度というものの向上発展のために、ただいま国会に御審議願っておりますような改正案を出しているのであります。もちろん私どもといたしまして、国会におきまする御審議といたしましては、いろいろのお考え方もあると思いますけれども、これを提案いたしました私どもといたしましては、今日御審議を願っておりまする改正案というものが最もいいものだというように考えておるのでございます。もちろん衆議院参議院におかれまして、御審議の結果この方がよろしいということになりますれば、これはもう立法府のなさることでありまするから、私どもはそのときにおきまして、私ども見解を申し上げたいと思います。
  24. 湯山勇

    湯山勇君 建前としては大臣のおっしゃる通りだと思うわけでございますけれども、今日の政府対議会の関係におきまして、政府与党の中でこれの改正が企図されておるということでございますから、これは大臣も全くきまった上で対処するというのでなくて、現段階においてある程度お見通しもお持ちになっておられると思います。今与党内部でそういう動きがあるということが明瞭でありながら、つまり変ることを知っておりながら、この予算審議するというのは、私どもとしても非常にどうも気乗りがしないし、また審議審議としての役目を尽さないと思いますので、私はここで何も大臣の御発言に対して責任を持ってもらうとか何とかいう意味ではなくて、大臣の察知しておられる情報を情報としてでもけっこうでございますから、一つお述べいただきたいと思います。
  25. 小林英三

    国務大臣小林英三君) 今湯山さんのおっしゃいますように、与党内におきましてもこの問題についていろいろの修正、あるいはこう修正したらどうか、あるいはこの点をこういうふうに直したらどうかというような御意見のありますことは私も承知をいたしております。しかし、今その問題につきまして具体的にこうしようとか、ああしようとかいう案が決定したわけでもございませんし、また与党といたしまして、担当大臣でありまする私に対して、こうするがどうするかというようなことも御相談を受けていないのでありまして、そういう湯山さんのおっしゃいましたような健康保険改正案を中心といたしましての修正の問題、この問題につきましては、今日ただいま私といたしましては意見を申し上げることは差し控えたいと思います。
  26. 湯山勇

    湯山勇君 それでは最後に、結論的な見通しをお聞きしたいのですが、現在の健康保険法が政府提案通り通過するお見通しをお持ちでしょうか。あるいは修正されるというふうに大臣は見通しておられるか、いかがでしょうか。
  27. 小林英三

    国務大臣小林英三君) その点も、まことに恐縮でありますが、ただいまのところ発言を差し控えたいと思っております。
  28. 湯山勇

    湯山勇君 私はその点をお聞かせいただいて、なお質問したいと思ったのですけれども大臣のその点に対する御答弁がただいまのような御事情でございますから、なおこの上お聞きしても、大臣もおそらくおっしゃっていただけないと思いますので、別な機会にこれをお尋ねすることにして、私の厚生大臣に対する質疑はこれで終ります。
  29. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 二、三伺います。一昨日事務当局に伺いますと、現在教護院に収容している人員は約四千六百人、二十八年の調査をもってして、収容しなければならないと推定される人員は約四万一千六百人あるということです。つまり十分の一しか収容できていないわけです。しかもこの教護院は、十四才以下の年少者を収容していますので、教育効果相当あるように私は見受けております。ところが、都道府県所管になって、国庫の補助を仰いでやっておるわけですが、地方財政の苦しいことも関連して、施設設備が十分でございません。その子供の種類によっていろいろと収容施設が必要だそうでありますが、一括収容しているようなところが大部分でございます。私は、大臣に承わりたいのは、こういう教護院とか、それから身体障害児の援護、こういう方面は、私は今の日本では、予算的にもそれほど大きくなるわけではないのですから、国立としてやった方が適当ではないかと、かような私は見解を持っているのです。法務省所管の少年院は国立でやっているわけですが、あれは十五才以上二十才までの者を収容しているようです。しかしあの年配になってあやまちを犯した者を矯正、保護、指導するということはなかなか容易でないし、しかもなかなか成果が上らないと思うのです。それに払う努力を幼少の時代における教護院等に注ぐならば、私は非常に大きな成果が上るのではないか、かような立場から現存多く必要視され、期待されながら進まないところのこの教護院の事業を推進する意味において、この際必要国家予算というのはわずかなんですから、国立にしてやったらどうかと、かような私は見解を持っているわけですが、大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。
  30. 小林英三

    国務大臣小林英三君) 今お尋ねの児童福祉施設の一つでありまする教護院、これはなかなか市大な意味を持った児童福祉施設であると思っておりますが、ただいままでのところ、御承知のように私立といたしましては二つございまして、公立といたしましては五十カ所、それから国立は埼玉県の武蔵町一つでございまして、これは御承知のように、十四才以下の不良児、これをつまり法務法所管の少年院に送ります前に、ここで十分に不良性を矯正していくということが最も必要なのでございまして、今矢嶋さんのおっしゃいましたように、まだ収容力も足らないことは事実でございます。将来これらの教護院の数、収容力をふやしていくということも一つは必要でございましょうし、また今おっしゃいましたように、予算もそう大して伴うわけではないですから、国立にしたらどうかというような御意見につきましても、ただいま児童福祉審議会を中心といたしましていろいろ検討いたしておる次第でございまするから、そういう問題とも考えまして、将来考えてみたいことだと思っております。
  31. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その点については、ぜひ一つ御検討を至急になさいますように、強く要望いたしておきます。  次に簡単にお答え願いたいと思うのですが、私はわが国の観光資源というのは相当なものだと考えております。で観光立国ということもかなりわが国の政治面では重要視されてしかるべきではないかと、かように考えているわけですが、現在国立の公園が十九、国民公園が三つと、かように指定されておりますが、今後この数をふやされる御方針ですか、それとももうあまり拡大しないでこれを充実さしていくという御方針ですか、その点承わりたいと思います。
  32. 小林英三

    国務大臣小林英三君) 国立公園その他国定公園等もございますが、国立公園の指定につきましては、御承知のようにただいま諮問機関といたしまして国立公園審議会というものがあるのでありまして、これは各界の権威のある諸君をもって構成しているのでございますが、私は日本のように世界で最も高い景観を持っているといいますか、風致を持っているのでございますから、今矢嶋さんのおっしゃったように十九あるから、十九でストップすべきだということではいくまいと思うのであります。大体の日本におきまする国立公園のおもなるものは今日すでに決定をいたしております。それからまたその付近の国立公園とすべしというような景観につきましても、今までありました国立公園に付随をして、そうして一括した一つの国立公園にするというようなことも現にやっているのでございます。今残っておりますのは、鹿児島にございます錦江湾が残っております。それから伊豆七島、これがやはり富士箱根等と一緒に国立公園にすべきじゃないか、鹿児島の方は霧島に一緒にして国立公園にすべきじゃないかという、やはりその地方の深い大きな希望もあるのでありまして、これらも私はできるだけそういうふうにいたしたいと思っております。それからそのほかにも私は従来の見方とは違った意味の国立公園として、非常に大きな景勝じゃないかというようなところもあり得ると思います。現在きまっておりますものをもってこれで終りだということはいたしたくないと思っております。審議会の諸君にも、この間も私参りまして、これで終りだというよう意味でなく申し上げておるつもりでございます。今後そのほかにも世界的に見まして、またりっぱな景観であるというようなところがございました場合には、これも指定するにはやぶさかでないつもりでおるのでございます。
  33. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は大臣に、要望かたがた伺いたい点は、国立、国定公園の質的向上ですね。資源は確かに私は相当のものだと思うのですが、大臣承知通りに、施設、設備きわめて不十分で、国際水準から申せばお話にならない程度だと思うのです。今年の予算書を見ますというと、施設費に相当増額された点は、そういう考え方には敬意を表するわけですけれども、一方各都道府県においては、これまた地方財政の苦しいしわ寄せからかもしれませんが、観光政策というようなのは非常に軽視される傾向が現われてきております。私は決してそういうふうにあってはならぬと考えておりますので、適切なる地域を新たに指定するということももちろんけつこうですが、現在ある国立公園の質的向上というものを一つやっていただきたい。これは特にあなたの省だけの努力ではできぬことだと思いますが、もう少しこの施設、設備は不十分にしても、公園らしい清潔なよりよい環境に維持できるような方法はないものか、そういう点についてはどういう努力をされているのか。われわれから見ますというと、そういう点には大した努力もされていないし、投げておられるのじゃないかというような感すら受けるわけですが、その点について承わりたいと思います。
  34. 小林英三

    国務大臣小林英三君) 矢嶋さんのおっしゃいますように、施設という問題は、非常に国立公園には必要なのであります。ことに、外人が日本に参りまして、それらの国立公園、日本の景観、景勝にあこがれて参りますときに落します金というのは相当あるんです。毎年一億あるいは百五十億以上になるかもしれませんが、数字は私、今ここではっきり申し上げられませんが、相当の金額が日本に落されるわけでありまして、従いましてそれらの日本国民自身の健康の保持ということからも必要でございますけれども、一方、また観光客を寄せて、そうして日本の優秀な景観を見せるということも必要でございまして、それがためには、やはり私は今おっしゃいましたように、相当の施設をしていくということが非常に必要でございます。ただ問題は、一般の公園と違いまして、国立公園というものは、あくまでも大自然をこわさないで、維持しながらその施設をしていくのでございまするから、そこに一般の公園とは違いまして、景色を損じないような場所にやっていく必要があるのでございまして、いずれにいたしましても、私は国立公園自体相当な施設をいたし、これには相当予算を計上して、そうしてやっていくべきものだと思っておるのであります。今年も実は相当要求をいたしましたのであります。これには、私ども考えと同じような意見の方が、かなり閣内にもあったのでございますが、いろいろな財政上の点からして、去年よりはよほどふえたのでありますが、私どもの思うようには参らなかったのは、はなはだ遺憾に思っておりますが、将来さらにこの問題につきましては推進をいたしたいと思っております。今年は七千八百七十万円、去年に比べますると、約三千五百万円ふえたのでございますが、なお、私どもといたしましては、それでは足らない、将来大いにこの方面に意を注いで参りたいと考えております。
  35. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 最後に一問承わっておきます。それは、今、政府部内で売春禁止法の立法作業が進められているようでありますが、これは私が申し上げるまでもなく、ずいぶん国民注視の案件でございます。厚生省関係では、婦人保護費として六千五百万円が計上されておるわけで、これらについては、政務次官にも先般伺ったので、それらの内容等についてはここで伺う必要はありませんが、ただ厚生大臣として、今、内閣でそういうことが進められているわけですが、この売春禁止法の制定について、どれだけの熱意と決意を持っておられるか、さらにこの成案に対する見通し等について、閣員の一人としてどういうお見通しを持っておられるか、その点を承わっておきたいと思います。
  36. 小林英三

    国務大臣小林英三君) 売春問題ということは、従来から国民の非常に大きな関心を持っておる社会問題の解決の一つでございますが、まあ厚生省といたしましては、これは厚生省ばかりでなしに、私は国全体、内閣全体の問題だろうと思いますが、こういうふうなシワ寄せを社会からなくするということが一つの大きな問題だろうと思うのでありますが、厚生省といたしましては、現在、これらの方々の将来の身の振り方、いろいろな相談に応ずる、あるいは直ちにこれらの方々が、いろいろな家庭の事情で家に帰れないというような方々、また、もうすっかり正道な生活のできないというようなところまで落ち込んでおるような人々に対する保護の問題、いろいろな問題があるだろうと思うのでありまして、本年は予算も非常にわずかでございまして、六千五百万円、これは取りあえず六大都市、それから北海道ですか、そこに相談所を設け、また、ほんとうにわずかばかりでありますけれども、保護する施設を作ってやっていく。それから、またでき得れば、わずかな予算のうちからさきまして、全国の各都道府県に相談員を設けて、これらの方々の将来の身の振り方等に対して相談に応じてやるというような程度のことしか今年の予算ではできないのであります。しかし予算は限られておりますけれども厚生省といたしましては、できるだけこれらに対して対処していきたいと考えておるのであります。
  37. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣の見通しと、それからどの程度の決意を持ってこれに臨まれるか、それを私は承わりたいと思うんです。これは並み大ていのことじゃできぬと思うんですね。あまり熱意を持っておられないんですか。
  38. 小林英三

    国務大臣小林英三君) これは、売春問題につきましては、主として救済あるいはこれらの方々の身の振り方についてのいろいろな事項につきましては、これは厚生省が大いに心配してあげなくちゃならぬ問題でありますが、まあ主としてこれらの問題につきましては、法務省関係、ことに売春問題全体につきましては、内閣審議会がございまして、重要な問題として審議をいたしておるのでございまして、これらの問題が、最後の決定をみましたときに、予算も取って、相当なこともして参りたいと思っております。
  39. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これで終りますが、あなたに承わりたいのは、あなたは閣員の一人として、これを静観されているのか、それともプッシュされるつもりか、そこを、あなたの腹を私は承わって、今後のあなたの言動を見守っていきたいという立場で伺っているわけなんです。
  40. 中山福藏

    主査中山福藏君) 何か厚生大臣答弁ありますか。
  41. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 お答え願いたいと思います。
  42. 小林英三

    国務大臣小林英三君) これは、なかなか現在あるこれらの人々を、あるいはそれらの事業者というようなものを罰するとか罰しないとかという問題じゃ解決できないと思います。私は先ほど申し上げましたように、これは総合的ににらみ合せて解決していくべき問題でありまするし、国家全体として深く掘り下げて解決していかなければならない町版でありまするし、今審議会等におきましても、この対策の審議をいたしております。厚生省といたしましては、これに対応いたしまして、将来考えていきたいと思っております。
  43. 中山福藏

    主査中山福藏君) それでは、矢嶋委員の御質問に対する法務者の答弁をわずらわしたいと思います。
  44. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) 先ほど矢嶋委員の御質問は、すでに相当認めておる以上、私の申しましたような理由は根拠がないのではないかということではないかと存じます。私、重光大臣がどういう御答弁をなさいましたか、正確には記憶しておりませんが、しかし一昨年に比べまして、昨年におきましては、共産圏からの入国者の数というものは飛躍的に増加しております。これはやはり吉田内閣当時と鳩山内閣になりましてから、いろいろな意味で変ったのであろうと思いまして、重光大臣もおそらくそういう線において御発言になったのではないかと考えます。われわれといたしましても、先ほど申しましたように、原則的にそう拒否しようという考えではございません。しかしすでにあるものを認めておる以上は、論理的に当然他のものも認めなければならん、こういうことにはならんと考えております。それは、先ほど申し上げましたように、その具体的なケースにおきましての、その人自身に付着しておる問題、あるいはその入国目的の問題、あるいは、これは私ども事務当局で申し上げることではないかもしれませんが、その時期がその他のいろいろな事情と関連いたしまして適当であるかどうかというようなことも問題になるのではないかと考えます。従いまして先般のときには、やはり教育の問題であることと同時に、あの集会への参加ということも問題になりましたし、またたまたま、これは私の専門のことではございませんが、総評あたりのストライキの問題等もからみまして、こういう時期に共産圏からの入国を認めるのはおもしろくないのじゃないかというような、いろいろな考慮から先般の場合には拒否になったものだと了解いたしております。
  45. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 さっき伺いました、入国予定者の個人の問題はなかったのでございますか。
  46. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) 個人の問題も全然なかったとは考えません。あの団長の人につきましていろいろ問題はあったと思いますが、しかしそれが非常に決定的なものであったかどうか。これはちょっと私もはっきり御答弁いたしかねるわけでございます。
  47. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この件については、アメリカ初め、他国の意向というものが反映した価がありますかありませんか。
  48. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) ああいう問題を論議いたします際には、関係の各機関と御協議申し上げますので、その際にどういうほかから話があったかというようなことにつきましては、私御答弁いたしかねますが、しかし私の承知いたしております限り、他の国からこの問題について、とかくの干渉がましい申し出があったということは全然開いておりません。
  49. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これはあなたの私見でもけっこうと思うのですが、かりに総評のストライキの時期等と全く無関係な時期に、日本教職員組合がかような教研集会を開いて、そうしてその席に出席するために、中国の教育界の代表を招いて入国許可の申請があったような場合は、許可されるであろうと、かように私はさっきの答弁から推察するのですが、今後はそうなんでしょうね。
  50. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) いや、そういう御判断は、もちろん矢嶋委員におまかせいたすほかはございませんが、私から、大体そういう場合には許可するであろうということはちょっと中しかれる次第でございます。
  51. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あのときの大きな要素はやはりなんですか、会合そのものが望ましくないという、会合そのものの性格というのが一番大きな入国許可が出なかった要素だと、かように考えてよろしゅうございますか。
  52. 内田藤雄

    政府委員内田藤雄君) 集会そのものがいかんというふうには政府考えたことはないと思います。ただその集会に共産国の教育関係の人が参加して行う、そのことに問題を感じたのではないかと思います。
  53. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちょっと速記をとめて下さい。
  54. 中山福藏

    主査中山福藏君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  55. 中山福藏

    主査中山福藏君) それじゃ速記を始めて下さい。
  56. 高橋一郎

    政府委員(高橋一郎君) 前回矢嶋委員からお尋ねの、公安調査活動費の中で、報酬としてどのくらい使っておるのかというお尋ねであったように思いますが、私どものほうで、いろいろな協力者に対して交付する金額というふうに解釈いたしますというと、全額の約五〇%に当ります。
  57. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それは領収書をとってありますか。
  58. 高橋一郎

    政府委員(高橋一郎君) 可能な限り領収書をとっております。それから事情によりまして領収書のとれない場合につきましては、簡易証明の方法によりましてこれを整理してあります。
  59. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 明年度予算においても、大体五〇%その方面に使われると、かように考えてよろしいのですね。
  60. 高橋一郎

    政府委員(高橋一郎君) 対象になる団体の活動の方法によりましていろいろ変化がございますから、必ずしも前年通りということではないと思いますが、しかし大体のことほそう違わないと思っております。
  61. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 対象になるものは団体が多いのですか。個人が多いのですか。
  62. 高橋一郎

    政府委員(高橋一郎君) 私ども調査は、破壊活動防止法によってやっておりますわけで、結局団体規正のための調査ということになっております。従って対象は面接的には常に団体でございます。しかし対象団体につきましては、その団体の組織や、構成員が何人であるかという問題も、規正のためにはこれは調査しなければなりません。従ってそういう意味では、当然個人にもわたるわけでございます。
  63. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 情報提供者として、外国人が相当おりますか。
  64. 高橋一郎

    政府委員(高橋一郎君) ございます。
  65. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 どのくらいおりますか。
  66. 高橋一郎

    政府委員(高橋一郎君) その数は明確にはわかりませんが、ただいま外国人とおっしゃいましたが、たとえば朝鮮人の団体などにつきまして、朝鮮人について情報を得るということは、これはしばしばございます。朝鮮人も外国人という意味で、これは相当ございます。
  67. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その外国人の情報提供者の中には、固定しておる人物と固定していない人物のおよその割合はどのくらいになっておりますか。
  68. 高橋一郎

    政府委員(高橋一郎君) これは外国人に限らず、日本人の場合におきましても、ある程度継続的に協力を得る場合と、それからそのとき限りという場合とございます。これはもちろん多種多様でございまして、それが数字的にどのくらいの割合であるかということは明確でございません。
  69. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 最後に承わりますが、そういう奨励金で、単価で一番高いのはどの程度ですか。
  70. 高橋一郎

    政府委員(高橋一郎君) これは過去数年にわたりましていろいろございますけれども、ちょっと答弁を差し控えさしていただきたいと思います。
  71. 中山福藏

    ○主盃(中山福藏君) それでは、午前中の会議はこれで一応休憩いたします。    午後零時時四分休憩      ―――――・―――――    午後一時十二分開会
  72. 中山福藏

    主査中山福藏君) それでは休憩前に引き続きまして会議を開きます。  文部省関係予算について文部大臣から説明をお願いいたします。
  73. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) それでは昭和三十一年度予算のうち、文部省関係の概要について説明させていただきます。  昭和三十一年度文部省所管予算額は、御承知通り千三百五億三千四百八十三万八千円でありまして、前年度予算額千二百三十八億二千八百四十八万八千円に比較いたしますと、六十七億六百三十五万円を増加いたしております。なお、文部省予算額一般会計総予算額に比較いたしますと、その比率は一三%弱となっております。  次に昭和三十一年度予算のうちで重要な事項について申し述べます。これは第一から第十までございますが、第一は義務教育費国庫負担制度の実施に必要な経費であります。その説明をいたします。義務教育機会均等と、その水準の維持向上とをはかるため、義務教育費国庫負担法に基いて、公立義務教育諸学校の教職員給与費の実支出額の二分の一及び教材費の一部を負担するために必要な経費でありまして、給与費として本年度は、五十一万人の児童、生徒が増加するつもりであります。それに伴って教員は七千五百人の増加を見まして、人件費として七百五十六億三千四百万円、また教材費乏して十三億千六百方円を計七いたしております。なお、三十一年度においては、昭和二十八年政令第甘六号の適用をうける団体が、地方交付税の不交付団体である東京都及び大阪府の工団体に限定まれる見込みでありますので、他の四十四道府県に対しては、法律の建前通り実支出額の二分の一を負担するものとして、これに要する経費を国庫負担金として計上したのであります。また昭和三十一年度から適用になる、女子教職員の産前産後の休暇における学校教育の正常な実施の確保に関する法律、前国会でできたのでありますが、産休教員の補充職員にかかる給与費の所要額を計上いたしました。  第二は文教施設の整備に必要な経費であります。国立文教施設につきましては、戦災を受けました国立学校、特に大準附属病院その他の建物の復旧と、老朽校舎の改築等、前年度よりの継続的重要工事の施行に重点を置くとともに、前年度に引き続いて原子核研究所の建物を新営するための経費とあわせて、合計二十二億六千九百七十三万五千円を計上したものであります。公立文教施設につきましては、これが整備に必要な経費五十五億五千百八万千円を計上したのでありますが、三十一年度地方財政再建の見地から、できるだけ地方負担の軽減をはかるべきことを考慮いたしまして、木造の単価を千円引き上げて二千八百円といたしました。鉄筋の比率を五%引き上げて全体の二二五%とし、これによって文教施設の質の向上をはかることとしたのであります。これによって事業量は全体としては、前年度より若干減少するものと患われますが、この点については富裕団体に対してできるだけ起債によることとする等の措置により、一般府県の分については極力前年度同様の事業量を確保いたしたいと存ずるのであります。なお、本年度は新しく学校統合に対する補助金を三億円計上したのでありますが、これは町村合併等による学校統合を促推することによって学校経営の合理化及び教員の適正配置等を進め、教育の水準の向上をほかることといたしたものであります。このほかに昭和三十年度に発生いたしました災害復旧費及び鉱害復旧費といたしまして、二億七千九十一万九千円をそれぞれ計上いたしたのであります。以上が文教施設関係であります。  第三は教科書制度の改革に必要な経費であります。現行の教科書制度を改革するため、教科書検定審議会及び教科書発行審議会を運営し、民間において編集する教科用図書の検定並びに教科書の発行、供給等の円滑な調整を行うため必要な経費として、三十一年度は四千三百七十五が五千円を文部本省の項に計上したのでありますが、このうち教科書の適正な採択等を行うために必要な経費として、新たに全国に教科書の常時研究施設を創設するための補助金として三千万円を計上したのであります。このほか、三十一年度から教科書の検定調査のための専任職員として、四十五名を新規に増加したのでありますが、これに要する経費としては、千九百十八万円を計上したのであります。  第四は指導機構の整備に必要な経費であります。文部省と地方教育行政機関との連絡を一そう緊密にし、初等中等教育の実態とその問題点を正確に把握するとともに、教育内容の刷新改善、指導の徹底をはかるため、指導機構を整備し、視学官六名を増員するほか、現在は二名であります。全国地区別に生徒指導研究協議会を開催するに必要な経費として新たに六百二十八万三千円を計上したのであります。  第五は準要保護児童に対する教科書の無償給与及び給食費の補助に必要な経費であります。義務教育の円滑なる実施に資するため、経済的理由により就学困難なものに対し、特別の対策を講ずる必要があるわけでありますが、このため第一には準要保護児童に対し教科書を無償で給与することとし、これに要する経費を補助するために必要な経費として、三十一年度においてはとりあえず小学校児童二十一万人分として一億三千万円を計上したのであります。第二には同じく準要保護児童に対して、その給食費の一部を補助するため必要な経費として、三十一年度において小学校児童を対象として新たに五千万円を学校給食費の項に計上したのであります。  第六は学校給食施設及び設備の整備に必要な経費であります。  学校給食の普及をはかるため、公立小、中学校の学校給食用調理室の新営及び設備の整備に要する経費の一部を地方公共団体補助するため必要な経費でありまして、三十一年度は一億五千万円を学校給食費の項に計上したのであります。  第七は社会教育の特別助成に必要な経費であります。青少年団体の健全な活動を育成促進するため必要な経費、婦人教育の振興に必要な経費及び通信教育の振興に必要な経費として五千万円を、また芸術の発達に寄与する活動を円滑に行うため日本芸術院の建物購入に必要な経費として二千万円を、それぞれ社会教育特別助成費の項に計上したのであります。  第八は国際地球観測年事業に必要な経費であります。昭和三十二年より三十三年にわたって実施される南極地域観測を含む国際地球観測年事業の準備等に必要な経費でありまして、昭和三十一年度は南極地域の予備観測に必要な経費として、観測船、宗谷の改装賢を含めまして七億五千万円を、その他の地球観測年事業の準備のための経費として、観測機器の整備及び予備観測のための経費として二億二千五百万円を国際地球観測年事業費の項に計上したのであります。  第九は文化財保存聖業に必要な経費であります。文化財保存事業は終戦後逐年その成果をあげて来ておりますが、本年度も前年度に引き続き国宝、重要文化財のうち特に建造物の保存修理に重点をおきまして、その充実を図るため必要な経費三億九千五百二十四万四千円を文化財保存事業費の項に計上したのであります。  第十は国立学校運営に必要な経費であります。国立大学七十二、国立高等学校八、大学付置研究所五十六、大学付属病院十九を維持運営するために必要な経費でありまして、昭和三十一年度においては新たに広島大学に医学部付属病院を、また京都大学にヴィールス研究所を創設し、名古屋大学及び九州大学に航空学科を設置し、東京工業大学及び京都大学付置研究所の原子力基礎研究施設を新増設する等の措置を講ずるため、必要な経費を含めまして三百三十三億八千二百八十五万四千円を計上したのでありますが、このうち二百四十四億七千二百七十三万五千円を国立学校の項に、六十三億二百一万二千円を大学付属病院の項に、二十六億八百十万七千円を大学付置研究所の項に計上したのであります。  以上十項目このほかまだ特殊教育及び僻地教育の振興、科学の振興、私立学校の助成、外国人留学生の招致、甘木学士院の移管その他文教行政上必要欠くべからざる諸般の施策を講ずるため必要な経費をそれぞれ計上したのであります。以上文部省所管に属する昭和三十一年度予算の大要につきまして御説明申し上げた次第であります。何とぞ御審議の上御賛成あらんことを希望いたします。
  74. 湯山勇

    湯山勇君 私はこの義務教育費国庫負担についてお尋ねいたしたいのですが、その中の特に教員定数の問題でございます。今まあ大臣の御説明の中の七千五百名増ということをおっしゃいましたが、この七千五百名増の実態をお伺いいたしたいと思います。と申しますのは、三十年度の国庫負担の対象の人員は何名になっておって、予算定員です。それから本年度予算定員は何名になっておるかを小中別に一つ御説明願いたいと思います。
  75. 天城勲

    政府委員(天城勲君) お答えいたします。本年度、三十一年度の義務教育国庫負担金の積算に用いました教員増七千九百十九名の学校別は、小学校五千九百七十二、中学校千四汗四十六、盲ろうあ学校五百一でございます。前年度との対比でございますが、小学校は三十年度三十三万四千百三十四……
  76. 湯山勇

    湯山勇君 ちょっと途中ですけれども、実績じゃなくて三十年度予算においてどれだけみたか……。
  77. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 予算人員でございますか。
  78. 湯山勇

    湯山勇君 そうです。
  79. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 今ちょっとその資料を持って参りませんでしたので、今すぐ連絡いたします。
  80. 湯山勇

    湯山勇君 私は先般地方行政委員会におきまして自治庁側の資料をもらいました。それで見ますと三十年度地方財政計画上の予算定員は三十四万六百二十二名、それから中学校が十九万一千五百六十七名です。それから三十一年度地方財政計画上の人員は三十四万二千四百五十三名、それから中学校が十九万一千七百二十二名で、今大臣の御説明によれば約七千五百名とおっしゃいましたけれども地方財政計画上の人員増は三十年度と三十一年度ではわずか二千名弱にしかなっておりません。こういう大きな食い違いがありますのでこれは一体どういうわけか。それからまずお尋ねしたいと思うのです。
  81. 中山福藏

    ○主壷(中山福藏君) ちょっと速記とめて下さい。   〔速記中止〕
  82. 中山福藏

    主査中山福藏君) 速記つけて。
  83. 天城勲

    政府委員(天城勲君) ただいまお示しの教字でございますが、私たちは自治庁のことしの二月十八日の資料によりますと、三十年度の小中学校教員数が、小学校で三十三万三千八百六十六、中学校で十八万九千二百四十三という数字と承知いたしておりますのでございます。
  84. 湯山勇

    湯山勇君 昨年、つまり三十年度地方財政計画における人員です。つまり実績を申しているのじゃなくて、それから三十年度のは実績を私はお尋ねするのじゃなくて、三十年度の義務教育費国庫負担の対象にした人員です。それが幾らになっているか。
  85. 天城勲

    政府委員(天城勲君) ただいま申し上げました小学校、中学校の教員数は三十年度の財政計画上の数字でございます。それから国旗負担の積算になりました三十年度の人員は、小学校で三十三万三千六百二十六でございます。中学校は十八万九千七百九十六でございます。
  86. 湯山勇

    湯山勇君 ちょっと自治庁を呼んでもらわないと突き合せがつかないのですが。
  87. 中山福藏

    主査中山福藏君) 速記とめて下さい。   〔速記中止〕
  88. 中山福藏

    主査中山福藏君) 速記を始めて。
  89. 湯山勇

    湯山勇君 そこで本年七千五百人を増員するということですが、現在の状態から見て、各府県が果して文部大臣のおっしゃったようにこれだけの定員増ができるかどうか。これは文教委員会でもそういう資料をお願いしておったはずですから、大体もうおわかりだと思いますし、各府県の議会も大体終っておりますから、その資料は多分御把握になっておられると思いますので、御所見を伺いたいと思います。
  90. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その答弁ある前に、文教委員会で、これらに関する調査を至急にして、資料を文教委員会に出していただくようにお願いしておいたのをまだ私受け取っていませんが、いつ出されるのか、それもあわせてお答え願いたいし、もしその調査の資料がまとまっておればここで賢閲するのに非常に好都合だから、ぜひその資料をここに出していただきたいと思いますので、それをお願いいたしたいと思います。
  91. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) その各県の予算の編成状況につきましてただいま調査中でございまして、まだ全部まとまっていないのでございます。授業料につきましてもこれも今同様調査をいたしておりまして、まだ資料が整っておらぬような次第でございます。
  92. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それいつまで出していただけますか。もう委員会予算審議は終ろうとしているのですが、要求してから二週間ぐらい経過しているのですがね。その間につかめないはずはないと思うのですよ。いつ出していただけますか。
  93. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) まだ地方におきましても今県会において審議中の所もあるようでございますし、全体を今把握できるか、ちょっと私の方でもよくわかりませんが、なるべく急いで把握することに努めたいと思います。
  94. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それではその資料は今把握できている部分だけでよろしゅうございますから、明日国会委員部の方へ御提出をお願いいたします。
  95. 中山福藏

    主査中山福藏君) 私からも特に御注意申し上げておきます。そういう点は、資料の要求がありましたときに、できるだけ正確に事前に一つこの分科会に報告できるように御注意を願いたい。
  96. 湯山勇

    湯山勇君 私に対する答弁大臣からの。
  97. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) この予算の七千五百名は増員できるつもりでこの予算ば出しております。しかし今局長からお聞きの通り、各府県において府県予算関係することでありますが、できるだけすみやかに集計の上、わかっておるだけでも提出いたします。
  98. 湯山勇

    湯山勇君 そこでどうもこの数字が私は納得がいかないのです。これは自治庁のが間違っておるといえばそうだと思いますが、文部省の方で実績として採用されておる三十三万四千百三十四人というのは、これはいつの実績でございましょうか。
  99. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) これは指定統計によったものでございまして、昨年の五月であります。
  100. 湯山勇

    湯山勇君 そうすると文部省の指定統計ですね。自治庁の資料によりますと、昭和三十年五月一日現在の指定統計による人員としては、小学校三十三万七千五百三十八、中学校十九万一千二十八と、こういうことになっておりますが、おそらく自治庁のも文部省から出た資料だと思うのですけれども、そうであるとすればどうしてこういう食い違いができておるんでしょうか。
  101. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 文部省といたしましては、この数字を正確として計上いたしておるわけでございまして、ちょっとよく調べてみませんと……ちょっと今のを訂正いたしますが、私の方の昨年の実績と申しますのは、政令県におきましては御承知のように政令定員の方式がございますから、こちらにつきましてはそれをこの実績として申し上げておるわけでございまして、もし食い違いがあるといたしますならば、その点で若干食い違っておるかもしらぬと思います。なおよくこまかく調べてみます。
  102. 湯山勇

    湯山勇君 その御答弁がなければちょっと次の質問に移れないのですけれども、それはそれでお調べ願うことにして、文部省でお調べになった実績というのは正月一日ですから、これは三十年度予算の成立していない以前だと思いますが、そうですね、三十年度の本予算の成立以前のことでございましょう、この実績というのは。そうするとこれは局長はよく御存じだと思いますけれども、私は予算委員会でも申しましたが、昨年は予算の編成が遅れたために、各県とも定員の決定が非常におくれておると、これについては文部大臣も、大蔵大臣も、自治庁長官も本年は各県とも定員がきまらないで因っておる、しかし本年はこういう事情予算の成立が遅れたのだからきまらないのもいたし方ないけれども、来年度からはそういうことのないように注意します、こういう御答弁がありましたことは局長御存じの通りです。従って五月一日の実績というものはこれは本当の実績ではなくて、かたまらない、そういうふうに各県ともぴたりときまっていない、増員しなければならないけれども、国の予算がきまらないから見合わしておったり、あるいは五月の県会できめようという情勢の所もある、六月の県会で増員を認めようというような状態の、そういうときにあった実績であって、このことが平素の場合におけるような根拠にはならないということは、これは局長もお認めになると思いますが、いかがでしょう。
  103. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 昨年の予算の特殊な状況はあったかもわかりませんけれども、この国庫負担金の予算をきめます際に、実績の上に増員を見込んでそれにプラスをしましてその定員を予算定員として従来やってきておるわけであります。そこで昨年の五月の実績がどうであったかという点につきましては、大体あのときはっきり地方予算がきまっていないのは事実でございますけれども最初出ました数というものは年間の予算としてそう変っていない数であると私ども思っておるわけであります。増員の数が一応は出ておったと思うわけであります。
  104. 湯山勇

    湯山勇君 増員の数が一応出ておったというのは根拠のない推定で、局長の言われるのは、あのときに文部大臣もはっきりこういうことでは困る、この次からこういうことのないようにしよう、それから自治庁長官、大蔵大臣皆同じように御答弁になっておったわけですから、その点一応はそれは出ておったかもしれませんけれども、それは単なる一応であって、これが次の生徒児童増に対する増員の根拠になるような、そういうものではなかったということはお認めになると思いますがいかがでしょう。
  105. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 昨年話のありましたのは、国の予算がきまらないので地方予算がきまりにくい、国の予算の算定基準というものをなるべく早く地方に示す必要がありはしないか、そういう観点からのように私は記憶しておりますが、その予算が確定はいたしませんでしたけれども、大体大蔵省との間で予算原案がきまりました際に、当時といたしましては、文部省は地方の担当官を集めまして、その積算いたしました基準になります算定基礎についてはすでに示してあった。ただ、予算の御審議中であったから正式に示すわけには参りませんでしたけれども、こういうふうな国家予算としては基礎をとっておるということを示しておったわけであります。そのときちょっと時期の前後は今正確には申し上げかねますが、一応地方できまりました予算が出ておったわけであります。いずれにいたしましても正確に私ども予算の基礎としてつかみ得る数字というものは、五月一日の指定統計で毎年これを基準にいたしましてそれに加えて予算定員を出しておる、こういうことでございます。その点一つ御了承願いたいと思います。
  106. 湯山勇

    湯山勇君 これは文部大臣にお聞きした方がいいと思うのですが、今局長の御答弁にもありましたように、昨年は大臣よく御存じのように、予算がきまりませんでした。そこで自治庁からは十二月何日かの日づけで、定員は、つまり各府県で予算編成にあたっての教職員の定数は前年度を上廻らないようにせよという通牒が出ております。これも局長もあのときに私がいつ出したかといって自治庁長官に尋ねたのは御存じだと思いますが、それは十二月何日かに出ております。前年度を上廻らないようにという通牒をしております。こういう答弁がありました。そこでこの三十年度の各府県の教員の定数というものは、年度当初におきましては知事の操作とか、国の予算がきまるまで六月ならば六月にしようとか、こういうことでほとんど前年を踏襲しておったか、あるいは若干のはからいで増員にしておったところもあったかと思いますけれども、平常と多少違って五月一日の指定統計というものは、そういう状態にありましたから、決して三十年度の児童生徒増に対応するだけの定数は見込まれていなかった、こういうことになると思います。これに対して今年度増の分だけを見ましても、それが必ずしも今年度の積み重ねについては、算定基準等について異議がありますけれども、それはそれとして別にして、まあ今年度の分はそれは認めるとしても、この積み重ねて基礎になったものが非常にあやふやなために、今年ここに出された数というものは生徒児童増の実態に合わない数であるということになると思うのですが、大臣の御所見を伺いたいと思います。
  107. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) そのことについて私は、前任者当時のことでありましたから詳細存じませんから局長より答えさせていただきたいと思います。
  108. 湯山勇

    湯山勇君 今大臣が、こうお聞きになって、なるほどそれはそうだとお感じになるか、それは私の言うのが間違っておると御判断になるか、その点ほどうでしょう。
  109. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) 前年度の定員を上回らないようにしろと言ったということは、私はよく承知しませんですよ、そういうことができるものか、これは実際のことですから、どういうことになっているのです。
  110. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) ただいま湯山先生がおっしゃいました前年度を上回らないようにというのは、絶対数値の話じゃなくて、その増加に対しまする、生徒児童の増加に対しまする教員増のその比率の問題じゃないかと私ども思うわけでありまして、前年の比率よりも上回って増員することのないようにということをあるいは言われたのかもしれませんけれども、生徒児童の絶対数がふえるのに教員の絶対数をふやしちゃいかんということは、これは自治庁でそう言ったのは、私そのときの答弁は直接その場におりませんのでよくわかりませんけれども、おそらくその算定基準の問題だろうと私、考えるわけでございますが、とすればあるいは言われたかもわかりませんが、正確にはよく存じておりません。
  111. 湯山勇

    湯山勇君 自治庁はおみえになりましたでしょうか。
  112. 中山福藏

    主査中山福藏君) 来ておられます。
  113. 湯山勇

    湯山勇君 ちょっとこの間地方行政との連合審査のときにお願いしていただいた資料によれば、地方財政計画上の三十年度の人員は三十四万六百子二、中学校が十九万一千五百六十七、三十一年度が三十四万二千四百五十三、十九万一千七百二十二と、それから昭和三十年五月一日現在の指定統計による人員は、小学校三十三万七千五百三十八、中学校十九万千二十八というような資料をいただいておりますが、これは間違いないでしょうか。
  114. 柴田護

    説明員(柴田護君) 地方行政委員会で、財政関係で、私の方でそういう資料を差し出したということは実は存じておりませんのですが。
  115. 湯山勇

    湯山勇君 これ証拠書類ですが、ペン書きで。
  116. 中山福藏

    主査中山福藏君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  117. 中山福藏

    主査中山福藏君) それでは速記を始めて。
  118. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ただいま湯山君から質問されているのは来年度の定員関係でありますから、それに関連して伺いますが、この提案理由にもありますように、来年度小、中学校あわせて約七千五百人、児童増に伴って教職員の増員をやる。ところが先般私ども個別的にお会いしまして、そのときに大臣に要望いたしておきましたことは、各地方では中央の七千五百人増員という計画に反して、教職員の減員を盛んに企図しつつある。これでは教育に及ぼす影響は大きいから文部省でもお取調べを願いたいし、また自治庁長官とも連絡をとっていただきたいという要望を申し上げた点に、大臣はそういうことばないはずだ、至急に取り調べて善処しましょうということでありましたが、どういうことであったか、お答え願いたいと思います。
  119. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) 必要な教員数を地方で無理に圧縮するということほ聞いておりませんが、もしどこかの府県でわかりましたら問題を重点的に調べてみますけれども、。
  120. 緒方信一

    政府肇員(緒方信一君) 先ほど申しましたように、全国の状況をまだつまびらかにいたしておりませんから、全体的にはっきり申し上げかねますけれども、国の予算措置といたしましては、国庫負担金も、あるいは平衡交付金におきましても、増員を見て財源措置はしておるわけでありまして、国におきましては、その範囲内におきまして、地方で増員いたしますことを強くまあ期待しておるわけであります。ただまあ地方財政の一般的な赤字解消のためにいろいろな、特に給与費の節減措置等がとられておりますから、その一環として若干府県で問題が起っておる所があるように存じておりますわけでありますけれども教育は特殊な関係でございますから、教育上の特殊性から申しまして、教員定数はほかの職員と同じような率でこれが削減されるということは、これは非常に遺憾なことだと存ぜられますわけでございますが、若干の一般的な財政の建て直しのためにいたします問題は、あるいは起ってこようかと思います。しかしながら先ほど申しますように国としましては、一学級に対して一名の増ということを見て予算措置をいたしておりますから、それによって地方が教員の増をいたしますから、強く要望しあるいは期待いたしておるわけでございます。実情につきましては最初申し上げましたようにまだ十分把握いたしておりませんので、どれくらいなことになるのかはっきりした見通しを申し上げることができないわけでございます。
  121. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この定員を含んでですが、一般的に大臣に承わりたいのですがね。それは大臣教育の特殊性ということをどういうふうにお考えになっておられるかということなんですね。それはこの提案理由の中にもあるのですが、地方財政窮迫、赤字解決も顧慮して云々と、その云々の中にあるいは学校図書館法、理科教育振興法、こういう補助金をその顧慮のもとに減額する、また教育施設々備の充足に対するところの補助金も、この地方財政の顧慮という立場から減額して予算を組んでおる。それからまたただいまの定員の問題にしましても生徒児童は約五十一万人ふえる。当初文部省としては、約一万三千人の教職員の増員を必要とするという決定を出して、大蔵省と折衝をしたわけです。そうしてこれが七千五百人になったわけなんですが、さらに地方自治体では予算を編成するに当って、地方財政の解決という点を顧慮して教職員の定員の問題も減員する傾向にある。こうなりますと、教育をする教師、それから子供の教育の場合である施設、それからその教育に必要な教材教具の設備、あらゆる面から教育の振興上非常にゆゆしい事態が予想される。そういう予算が中央、地方を通じて組まれておるわけですが、このときに文部大臣としては教育の特殊性という立場から、私は特別に対処、善処をしなければならないのではないか、かように考えるわけですが、こういう角度から見ておりますと、どうも不十分な感を非常に強くするのです。  で、授業料の問題などで聞きたいと思っておりますが、たとえば公立高等学校の授業料を上げたときに、文部大臣は公立学校の授業料は上げない、好ましくないということを言っておりますが、地方財政計画の中に盛り込むときには、文部大臣としては一言もこれに対しては異議を申されなかった、あっという間にきまったということを漏れ聞いておるわけなんですがね。そういう点を先ほども私が一般論として申し上げたのですが、教育の特殊性ということを全く予算編成に当ってはあまり顧慮されていないのではないか。こういう点を予算書その他をつぶさに検討してその感を深くするのですが、大臣の御所見を承わりたいと思います。
  122. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) 教育の特殊性も、それからまたこれが非常に大切ですから重要性も、これは私よく承知いたしており、またそれを守ろうと思っております。しかしながら国の政治は一体的なものでありますから、今、わが国が大きな戦争に負けて手負いになってようやく回復途中でありますから、多くの福祉厚生施設も十分じゃございません。肺病の病床もあの通り足りないのでございます。また交通もごらんの通りの道路の状態です。それから戦災に会った都市はいまだに住宅がなく、ガードの下に寝ておる人もあるのであります。ですから、何もかもよく総合的に見まして、教育の特特性だから十分にすることに越したことはございませんけれども、文部大臣だからほかの省のことはどうでもかまわぬ、教育をよくせい、よくせいという態度ばかり私はとっておらないのです。少しそこは余裕をとってつき合っていることはあなたもよくごらんの通りでありますが、しかしながら教育の特殊性、重要性は十分に考えております。
  123. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣のように申されると、これは教育予算は後退するばかりだと私は思うのです。最低の必要なものが確保されていないと思うのですがね。
  124. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) 私は、相当に確保されているんじゃないか、今年の一兆四百億円の予算で、一千三百億取ってですね、防衛庁が少しこちらより多いのでありまするけれども、あれを除けば文部省が一番たくさん取っておるのです。これより多い方がまだいいのでありまするけれども、敗戦後回復の時期で、涙をのんでこれを認めなければならないのじゃないか、まあかような感じをしております。
  125. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 まあ一般的なことはここで一応切って、さっきの定員の関係に戻りますが、一万三千人の増員が七千五百人に後退した積算の相違はどういうところにあるのですか。
  126. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) これは最初要求しましたときに、昨年と同じ学級当りの増員基準を見たわけです。つまり学級当り十二分の十三、九分の十三という数で積算をいたしたわけでありますが、それをいろいろ財政状況もございますし、それから地方の財政状況もございまするので、折衡の結果、学級増一学級当り一人という点に結論を持っていったという点もございます。そのほかこれは予算要求ですから、いろいろな要素によって折衡いたしまして、それによって私どもとしましても納得がいける線に落ちつけたというふうに考えております。
  127. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 要するに児童増に伴う教職員の増加算出の方式というものは後退しているわけですね。そうでしょう。児童増に比べて違ってきているでしょう。
  128. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 去年は御承知のように十二分の十三、九分の十三を、今年は一学級一人といたしました。
  129. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣、そういう点私は遺憾だと言っておるのですよ。子供は生きているのですからね。一応教育を始めて、途中から急に方針を変えるというようなことは生きた子供であればできないのです。私が若干、見、また調べたところによると、諸外国の先進国の一学級の収容人員というものは三十五人から多くて四十人程度なんですね。そこでほんとうに個性に即応した教育というものが行われているわけです。いつぞやも文部委員会で問題になったわけですけれども日本では非常に一学級の収容人員というのが多くて、ちょっとした都市は大がい六十人一クラスに収容しておるわけですね。先ほどの十二分の十三の数字にしても、これは最低ぎりぎりとして、下り下ってそれが本年適用されておるわけなんですが、その線を確保されたのに、先ほどの大臣のような御見解でこれをさらに低下していくということは、これはさらに地方自治体が予算を組む場合に定員の減というものに影響していっておるわけで、そういう点では非常に教育の面について大臣やや私は消極的ではないかと思うのですが、御答弁願います。
  130. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) 予算の請求から見れば、後退いたしたことは数字の上であなたのおっしゃる通りわかっておりまするが、わが国の破産に瀕した地方財政を立て直すことも適当と思うのでございます。教育一つでありまするけれども、そのほかにも重要なものがたくさんありまするから、思うにまかせないのであります。わが国の全体の政治から見れば、日本は敗戦困難の際に、地方へ行ったらまだあなた家のない人がたくさんあるのだけれども、りっぱな六三制の中学もみな作っております。私はわが国が国力に合わして、わが国より国民収入が百倍もあるような国と比べたら別でありまするけれども、国力なり民力に合せれば、わが国は教育相当私は大切にしておる、こう思っております。むろん私の微力のいたすところで予算をたくさんかっぱらうことはできませなんだけれども、しかしながら国全体のバランスから考えませんと、一番大切なことは人の命ですが、結核のベッドが非常に足らぬですからね、みすみすなおる病人が死んだりしておる。それからまたガード下に冬寒いのに、もう春になりましたけれども、もう見ちゃおれませんですね。それらの人の住宅建設も思うにまかせておりませんですから、この程度ならば非常に教育をゆるがせにしたとは何ぴとも見ないと思っておるのです。
  131. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこまであなたが申されると、結局政策に対するわれわれとの考え方の相違というのが出てくるので、討論になるから私はもう多く申し上げませんが、そこまで大臣が着眼されておるのなら、あなたの内閣の総理が言われるように、憲法に疑いがあると自分で思いながらも千四百余億、さらに予算外契約も入るわけですが、さような膨大な再軍備予算を組む。そこにあなたは着眼されてしかるべきだと思うのですが、そういう点についてはなんら触れることなくて、先ほどあなたが申されたような立場から、教育予算を縮減されることにあなたが大した抵抗も示さずにこれに追従していくということについては、私は遺憾に存じますが、その防衛関係の千四百余億については、あなたはまた別なお考えを持って私と討論になると思いますので、あえて伺いませんが、納得できません。具体的に伺いますが、それでは、そういうあなたのお考えのもとに組まれた予算の結果というものは、先般都道府県条例で停年制がしかれるようになったわけですが、おそらく若干の府県においては五十才くらいでおやめいただいて、そうして月給の安い若い新卒と入れかえるというような人事行政が行われると思うのです。出てくると思うのです。こういう五十才程度で整理をされる、恩給は五十五才になって初めて百パーセント支給されるわけなんですが、そういうことをどう思われるか。それからまた今年岡山県初め各県に現われておりますが、女性の教師ですね、これが四十五才くらいで大がい勧告退職の対象になっています。こういう、女性なるが故に四十五才程度でやめていただいて、そしてこの月給の安い女性と交代していただくというような人事行政が行われようとしているわけですが、こういう点について文部大臣としてはどういう御見解を持っておられますか。
  132. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) 皆さんのおっしゃる通り地方自治権ということも尊重しなければなりませんが、文部省としては、五十才で停年にし、あるいは四十五才の婦人教職員に勧告退職をさせるなんということは考えておりません。
  133. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 文部省は指導と助言の権限があるわけですが、何らかの機会にさような文部大臣見解を正式に流されることも私は有意義かと思うのですが、そういうことをなしていただきたいと思いますがいかがですか。
  134. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) 具体的にそういう府県がありましたら調べて御忠告も申し上げたいと思います。
  135. 湯山勇

    湯山勇君 大体お調べもついたようですからお伺いしたいと思いますが、自治庁の方では、私がいただいておる資料に間違いございませんでしたでしょうか。
  136. 柴田護

    説明員(柴田護君) 間違いございません。
  137. 湯山勇

    湯山勇君 自治庁の方では間違いないとおっしゃるのですが、文部省の方ほそれは違っていると、こういうお話で、非常に食い違っておりますが、これはどういうことになりますか。
  138. 中山福藏

    主査中山福藏君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  139. 中山福藏

    主査中山福藏君) 速記を始めて下さい。
  140. 安嶋弥

    説明員(安嶋弥君) 先ほど会計課長が三十一年度の財政計画として申し上げました数字は、これはちょっと間違いであったようでございます。先ほど読み上げました数字は三十年五月一日の現員でございます。それが三十三万六千五百八人、これが小学校、中学校が十九万二百七十六人、これが三十年五月一日の現員でございまして、これに先ほど来問題になっております増員の、小学校五千九百四十五名、中学校千四百四十六名が加わりまして、三十一年度の財政計画の三十四万二千四百五十二人、小学校、中学校が十九万一千七百二十二人という数字が出ておるわけでございます。
  141. 湯山勇

    湯山勇君 それで財政計画と文部省の数字とは、大体合せてあるということをしばしば御答弁になっておりますが、その確認に立ちますと、三十年度の実績というものは三十年度の財政計画よりもはるかに下回っておる、こういうことになりますね。もう一度申しますと、三十年度の財政計画は三十四万六百二十二が小学校で、中学校十九万千五百六十七、こうなっておりますね、財政計画では。三十一年度は財政計画では三十四万二千四百五十三です。それから中学校が十九万千七百二十二です。ところが三十年の五月一日の実績は三十三万六千五百八となりますと、その間に約四千幾らの小学校では差がありますし、中学校でも一千幾らの差ができております。そうすると財政計画よりも実績は大分下回っておると、こういうことになりますが。
  142. 中山福藏

    主査中山福藏君) それでは柴田自治庁政課長から答弁があるそうですから。
  143. 柴田護

    説明員(柴田護君) お尋ねの問題は三十年度の財政計画を策定いたします場合には、三十一年度のような方法をとりませずに、二十九年の五月一日の指定統計の現員に対して増加教職員数というのを加える方法によりませんで、たしか二十九年の十二月ごろだったと思いますが、最近の、つまり三十年度計画を策定する場合における最近の教職員数をとって、それに増員を積み上げるという方法をとったのであります。従いましてその最近の人員というものも、文部省であらかたつかんでおられた数字をたまたま借用したという格好になっておりまして、それと実際の人員とが食い違うことはあり得るというように私たちは考えております。そこで三十一年度におきましてはそういう方法を全く変えてしまって、義務教育費国庫負担法の積算の基礎に大体近づけて行くという考え方をとりまして、三十年五月一日の指定統計を基礎にしてそれに増員分を積み重ねる。ただ不交付団体分につきましては、計算方法が義務教育費国庫負担金の計算方法とは違っておりまして、これは財政計画上は一定の頭切りをいたします義務教育費の国庫負担金の積算方法にはよるわけには参りませんので、これは指定統計をとりまして、それに政令府県の増員予定数というものを加えたいわゆる交付団体分と同じ計算をしておりますので、その部分は三十一年度につきましても義務教育費国庫負担金の計算基礎とは違っておるはずであります。
  144. 湯山勇

    湯山勇君 そういう説明は一応それで了解できないことはありませんけれども、三十年度の財政計画で三十四万小学校、十九万の中学校を含んでおった、このことは間違いないと思うのです。それからこれをやるときに文部省と自治庁とがよく話し合いをしておかないから従来のようなことが起るのだからということも申し上げて、今年度算定方法をお変えになったこともこれも了解できます。しかしながら、了解できないことは、あのときにも川島長官にもお尋ねしたのですけれども、一体、計算の基礎がどうだとかこうだとかおっしゃるけれども、とにかく各府県にどれだけの人数があるということはつかまえてもらわなくちゃ困るということを申し上げて、いろいろその次でしたか、その次でしたかに、これだけで本年は一万三千くらいふやすと、大体各府県ともふやしておるようだ。手元の資料ではこうなっておると答弁がありましたので、財政計画というのはあの当時からいえば、その以後の問題なんです。あるいはそれ以前という言い方もあるかもしれませんけれども、とにかくあの財政計画というものは非常な不明朗な財政計画になりまして、これは御存じの通り。それでいてなおかつ三十四万の定員をみておったと、計算のいかんにかかわらずこれだけみておったことは事実です。それが実績では三十三万六千というように四千後退していることも、これも事実です。これがどうしても私にはわからない。そんなに四千ものが差ができるということは、一万三千ふえると言ったその一万三千が消化し切れないで、実際は九千くらいしかふえていない段階で指定統計があったんではないかと、こういうことを感じるのです。つまり、政府予算成立がおくれたために、なるほど自治庁長官も文部大臣も一万三千くらいふえるだろうという見通しで義務教育国庫負担金も組むし、財政計画もされたわけです。ところが、指定統計が五月一日であったために、まだそこまでいっていない、実際は、各府県の実態は。その段階で指定統計をされたために、こういう数字が出てきたと、こうしかとれないのです。そういう考え方は間違いでしょうか。自治庁の方、どうお考えになりますか。
  145. 柴田護

    説明員(柴田護君) なるほど三十年に三十四万の人員を見込みながら、三十年の五月一日現在の指定統計では三十三万六千四百八十一人だと、その間に差があるのはおかしいじゃないかというお尋ねでございますが、三十四万の計算をいたしました基礎は、十二月のたしか私の記憶がはっきりいたしませんけれども、十二月だったと思いますが、二十九年の十二月の現在員というものを基礎にして、そして、それに対して三十年度中に幾らふえるだろうかという増加人員を見込んで三十四万という数字が出た。そこで十二月から五月一日の間において増員もあれば減員もあるわけであります。それを差引いたしました結果が三十三万六千四百八十一人という数字になるのであって、なお五月一日以降において増員も減員もあるわけですから、そういうものを考えますと、私はさほど問題にするほど不思議な数字ではないと思います。
  146. 湯山勇

    湯山勇君 それは非常に問題で、十二月の実績が現実に近いか、二十九年の。あなたのおっしゃった五月の統計が実績に近いかといえば、これはやはり十二月が実績に近いはずです。そうでしょう。その実績に近い十二月の上へ生徒、児童増分一万三千をかぶせたのがこの自治庁の資料です。そうなりましよう。
  147. 柴田護

    説明員(柴田護君) 十二月の実績が近いか、指定統計の五月一日が近いかと言われますれば、私は五月一日の方が近いと思います。十二月から五月までの間に変化というものがあるわけでございまして、十二月から五月までの間においてちょうど地方財政も非常に詰ってきましたし、その間にいろろ合理化の措置も行われておるわけでありますから、さようなものをなにいたしましたむしろ五月一日の人員を取るのが現実に近いのじゃないかというふうに考えます。
  148. 湯山勇

    湯山勇君 こういうことですよ。よく聞いておって下さいよ、間違ったら困るから。私が言うのは、三十年度予算作成の基準としてとる数字は、よろしゅうございますか、二十九年の十二月が事実に近いか。三十年五月しかないのですからそのときの指定統計とどっちが近いです。
  149. 柴田護

    説明員(柴田護君) お説の意味では十一、月のが近いかと考えます。
  150. 湯山勇

    湯山勇君 そこでその実績に近いものの上に一万三千かぶせたのがこの地方財政計画です。これは局長もよくおわかりでし、出うね。それさえ消化されていないのですから、五月一日現在には。よろしゅうございますね。十二月の実績の上へ生徒、児童増分の一万三千をかぶせたのが三十四万何がしです、小学校で。ところが三十年の五月には、三十三万六千何がししかないのですから、この間に約三千五百、あるいは四千という数は消化しきれないで残っていたことになるのです。御了解できましたですか。局長いかがですか、そうでしょう。
  151. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) この年度間の増員の状況は、これはまちまちであろうと思いますけれども年度当初に増員をやった所もありましょうし、途中で増員をする場合もありましょうから、その点はいろいろ出入りがあると思います。ただ私ども正確に実績を捕えるのが五月の一日と考えましたので、それを基礎として増員を積みあげるという方式を、従来はずっととっているわけであります。国庫負担金といたしましてはこれは実績負担でございますから、これは予算の見積りでありますから、どうしたって実績とのズレは出て参りますので、それにつきましては、本年度において補正をしていく、これは御承知通りでございます。従来とも文部省の国庫負担金としましては、五月一日の指定統計を基礎にしてそれで積み上げる、こういう方式をとってきたわけであります。
  152. 湯山勇

    湯山勇君 その方式をとやかく言っているのではなくて、今申し上げましたように地方財政計画でみておっただけのものが消化されなかったという段階においての指定統計であったと、それには間違いないとお思いになるでしょうというのだから、間違っておるならば、それはどこが違っておると、これは小学校の算術ですよ、ここは。
  153. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 財政計画を消化する、しないということは、ちょっと私よく御趣意をとりかねているのでございますけれども、それだけの増員はまあできていなかったということは確かです。
  154. 湯山勇

    湯山勇君 そうするとここで約四千名の、小学校においてだけで四千名の未充足があります。その四千名充足できない状態の上に、今回かりに六千名増員されても、実際はこれは自治庁の方が実態に近いのです。さっき自治庁の御答弁があったように、自治庁の方が近いのです、十二月ですから。その信憑性のある自治庁の資料に基けば、結局四千ほど未消化があったわけですから、本年増加分というのは、実際わずか二千ぐらいにしかならない、こういうことになるわけですね。
  155. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 今年度の計算におきましては、先ほど自治庁からもお話がありましたように、基礎において変りはないわけなんで、両方合した数字というものを基礎の上に増員をやっておる。
  156. 湯山勇

    湯山勇君 よくわかるように申しますから、一つよく聞いていただきたいのです。つまり三十年の五月の指定統計というのは、今申しましたように、当然充足さるべきものが充足されない状態の数値であると、それが悪い、いいを言っておるのじゃないのですよ。当然四千ばかりを、当然じゃありませんが四千ばかり残った。つまり残した数、言いかえれば三十年五月には一万三千名ふえるはずのものが九千しかふえていない状態の数字である。その数字をもとにして計算されたものですから、あとの  一年の問題はそれは正しいとしても、この四千というものがつきまとっている。だから今日示された数字というものにはこの四千というものの措置が何にもなされていない、こういうことになるわけでございましょう。
  157. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 一万三千増員という、その一万三千でございますけれども、これをいっとるかということになると思います。この増員がどの程度加わったものがその三十年の五月一日にこの数字になって現れておるかどうかということでございまして、そこは若干のズレがあると存じます。
  158. 湯山勇

    湯山勇君 そうでしょう。若干のズレじゃなくて三十年度には一万三千ふえるということを文部省も国庫負担金で見ておったわけですね。それから自治庁もそれよりふえるのを見ておられたわけです。これも間違いありません。ところが指定統計でとってみますと、実際は一万三千ふえるはずのものが五月ではまだ九千しかふえていなかった。これも事実です。そうすると残った四千というものは、当然自治庁並びに文部省のお考えから言えば、三十年度の五月一日以降においてふえたと見なければなりません。あるいは六月の県議会でふえたのもありましょうし、その他のものもありますから、そこで四千がふえなかったと考えればこれはまた大へんな問題で、ですからこれはまあそれ以後の問題ですから、それ以後どれだけふえたかということは今回の予算には全然無視されておる。つまり昨年予算成立がおくれたことによって生じておる現場のしわは、三十一年度予算においてもそのまま持ち越されておる、こういうことになりましよう。
  159. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 実際に三十年度に何名の増員が行われたかということは、これはもう少し決算を待ちませんとよくわかりません。正確に言いますと今年の五月一日におきましてその間の増減がはっきり出てくるわけでありまして、何と申しましてもこれは途中でございますので、基準としては五月一日で考える、こういうことでございます。一万三千というのは予算の増員でございますから、この消化状況を正確に知るにはよほど年度を過ぎませんと、これは途中で増減がございますので、はっきりした把握ができていない状況のもとにこの予算は毎年組むわけであります。まあ前年の五月一日を基礎にしてとるわけであります。それから昨年の予算の成立がおくれましたが、地方予算としては最初予算委員会等で問題になりました時期にも相当な数が実は残っておりました。その後果してどれほどあれに加わりましたか、これも年度を過ぎて精算いたしませんと正確な数字はつかめないのです。
  160. 湯山勇

    湯山勇君 大体おわかりになっておってそういう御答弁になるのだろうと思いますから私も余計申しません。ただ昨年予算の成立がおくれたために、いろいろおっしゃいますが、一万三千が消化できないということが今日のこの数字の上からは旨えるわけです。指定統計というのをその年の教員定数だと見れば、実際は四千だけ穴があいているということは事実だ、その穴埋めのできていないのが今年度のこの予算だということになりますね。
  161. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 議事進行。速記をとめて下さい。
  162. 中山福藏

    主査中山福藏君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  163. 中山福藏

    主査中山福藏君) それでは速記を起して下さい。
  164. 湯山勇

    湯山勇君 そこで大臣は中座していらっしゃいましたから、いきさつはよく御存じなかったかもしれませんけれども、三十年度、文部省もお考えになり、自治庁もお考えになり、大蔵省もお考えになっただけの教員増が行なわれておりません。五月の指定統計だけから見ますと、文部省の方で大体これくらいになるだろうとお考えになったより約四千名、おおざっぱな数字ですけれども減っておる。それだけのしわ寄せが――そこまでは大臣の責任じゃありませんけれども、清瀬文部大臣の責任ではないと言われればないのですけれども、その四千人減っておる上に、今年増だけをお考えになっておりますから、そこでそれだけの穴があいておることになるわけです。ただいま吉田さんが言われたように、人員整理などで減っておるものが若干はあると思いますけれども、それでもそれだけのしわ寄せがきておるということだけは事実です。そこで本年度七千五百名の増をお見込みいただいても、昨年のそれが四千名が三千名になっておるかどうかは別として、とにかく約四千名の穴があるのがそのまま持ち越されておることになりますと、大臣の頭の中にはこれだけふやしてやれば、ああいう教育ができるだろうと思っておられることとはだいぶん違った状態ができておる。たとえば一つのクラスに入れる子供の数をふやしますとか、あるいは定員内の教員を減すとか、養護教員をなくするとか、そういうことが大臣が予想されておられたよりも、四千名ばかりですから、はるかにといっていいと思いますけれども、はるかに大きい状態で出ております。これについて文部大臣は何か今後御善処いただけるかどうか。これについて大臣の御所見を伺いたいと思います。
  165. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) 今あなたのおっしゃる通りなれば、七千五百名ふやしても四千名の穴があくということで三千五百名しかふえない。果して実際においてその通りなことが起れば、これは非常の問題として善後処置を考えなければなりません。ただ、しかしながらまたそのうちに減もあるやに先刻以来ここでおっしゃる方もあるのでございます。この予算実行に当って、あなた方の今日おっしゃったことをよく記憶しておきまして、実際に弊害がないようにいたしたいと存じます。
  166. 湯山勇

    湯山勇君 大臣のその御答弁で私は満足することにいたしますが、なお大臣、これは局長からお聞きいただいてもわかりますが、私も一ぺんゆっくり図に書いて適当な機会に御説明いたします。そうしませんと、局長は非常に上手に大臣を説得するかもしれませんから、局長立ち会いの上で、場合によれば中山先生、吉田先生お立ち会いの上で一つ図に書いて御説明しますから、ぜひ御善処願いたいと思います。
  167. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) わかりました。この前文教委員会でも同様の御主張がありました。
  168. 湯山勇

    湯山勇君 私はそのことは文教委員会で申しておりません。
  169. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) いや、方向はその方向であったのです。本日よくわかりました。
  170. 湯山勇

    湯山勇君 もう一つ大臣は義務教育にはこういう問題では差別はつけないというお考えだろうと思いますが、ところが実際は差別がついておるのです。それはどこかと申しますと、政令県では十二分の十三、あるいは九分の十二、こういうことが一学級について認められております。これは算定の基礎だといえばそれまでですが、とにかくそこまでいき得る可能性を持っておるのです。ところが非政令県では一学級一名ということで頭をぴしゃっと押えられております。これは必ずしもそうとばかりは言い切れませんけれども、やはり一種の差別を生む可能性があるのですが、文部大臣はそういうお考えでなかったことを私はよく知っております。文部大臣は政令県も非政令県もともに十二分の十三、九分の十三にすべきだという御主張をなさり、文部省の要求はそうであったことも知っておりますけれども、結局大蔵省との折衝の最終的な段階において、そういうふうになったことは私は非常に遺憾だと思うのですが、大臣の御所見を伺いたいと思います。
  171. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) これも現実の問題にそうなる道理だということじゃなく、現実の問題を押えて悪いところがあれば、直していきたいと存じております。
  172. 湯山勇

    湯山勇君 あればというよりも、そういうふうに事実予算がなっておりますから、これにつきましても、今後の問題もありますから、十分一つ大臣の方でお心にとめておいていただいて、自後こういうことのないように御善処願いたいと思います。
  173. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) ありがとう。この国会でも済めば、各県の学校等をも私実地によく見まして、悪いところを直したいとほんとうに衷心思っております。
  174. 湯山勇

    湯山勇君 私はきょうこれで。
  175. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣に伺いますが、まず歳入の面から伺って参りますがね。文部省主管歳入予算明細書を見ますと、学校農場及演習林収入を昨年度の約五億九千万円から七億四千万円と約二億円近く増収を見込んでいるのですが、これはどういうお考えのもとにこういう歳入見積りをされたのかお答え願いたいと思います。国立学校で二億円も増収していたら大へんですよ。
  176. 天城勲

    政府委員(天城勲君) お答えいたします。これは農場におきましては、別途作付面積の拡大もございますし、演習林におきましては風倒木の処理等もございまして、増収を見込んでおるのでございます。
  177. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 農場の拡張というのはどのくらい拡張するのですか。答弁いただく前にね、私は増収がはかられるはずはないと思うのですよ。これはおそらく従来農場で生産したものをその大学の維持あるいは運営そういう方面に使っておったのを、この際強力なる国庫納入制に切りかえたものと私は考えるのですがね。そうなると半面において国立学校の経費というものを増額しなければ、私は農場並びに演習林の維持運営ができなくなるのじゃないかと、かようにこの予算から推察できるわけです。そこのところを納得できるようにしてもらいたい。若干農場を拡大したって、二億円からの増収を大学の実習農場、演習林で得られるはずはないと思うのですね。
  178. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 今詳しい資料がありませんので、正確に申し上げかねるのでございますが、従来農場あるいは演習林等におきまする収入は、これは全部国庫収入にいたしておりましたので、今御指摘のような形で何と申しますか、納入を特に別の意図をもって強化するという前提で上げたというわけではございませんで、やはり演習林収入、あるいは農場等の拡大に伴いまして実収が上るという見込みで増加を見込んでおるわけであります。
  179. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 詳細な資料がないそうでありますから、予算委員会分科会は本日で終りますが、いずれこれは私、文部委員会でさらに究明したいと思いますので、資料をお出しいただきたいと思います。  それからその次に、歳入面の手数料ですね。これは約二千八百万円から四千三百万円と実に千五百万円、三割以上手数料の増収を見積っておるわけですが、教科用図書の検定及び学位論文審査等の見込み件数によって算出したと言いますが、教科書法案等の通過によって、教科用図書の検定件数というものはむしろ減るのではないか。そのように文部省は予想しておられるのじゃないかと思いますが、これだけの増収を見込んだ根拠は何ですか。資料があったらお答え願いますが、もし資料がなかったら明日まででけっこうですから、現行と改正とを対照して、この積算の基礎を出していただきたい。今お答え願えれば聞かしていただきたい。
  180. 天城勲

    政府委員(天城勲君) 今積算の資料を持っておりませんから、あらためてお答えいたします。
  181. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次に、授業料、入学検定料これの収入面ですが、これは他の委員会でも再三質疑が行われたように、大幅な増収を見込んでおります。ここで大臣に念のため伺っておきますが、国立学校の授業料を五割値上げして年額九千円にした。その増額分は学生のためになるように還元をする方針だと、こういうことが閣議決定された当時、文部大臣の談話として発表されておりまして、学生諸君にもそういうふうにお答えになったようですが、その御方針間違いございませんね。
  182. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) それは間違いはございません。文教委員長にもそのことを別に申し上げようと思って私今準備しておるのでございます。
  183. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこで先般文部委員会でもこれを審議し、そして文部委員会として決議もなすっていずれ文部委員長からあなたの方に文書が手交されると思うのですが、しかし今の予算の組み方並びに説明によりますと、一部の大学、講座研究費を持っているような一部の大学にのみ還元さして、一般の大学の方はその恩恵に浴しないように予算が立てられているようなんですが、これは先ほどの大臣の基本方針からいりて、文教委員としては全国の大学に平等に還元されるようにしてほしいと、こういう意思決定をしているわけですが、この基本方針には大臣御同感でございますね。
  184. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) 過日文部委員会で御決定の趣意は、係より、私他の委員会におりましたが、持参相なりまして、これを尊重したいと思っておるのであります。すなわち授業料の方はこの予算においても授業料をここへ持ってきたということは、予算の組織ではいけませんけれども、授業料の増額よりも少し上回った金を学生経費に使っております。検定料等については、今の組織では完全にその通りに使うということもできませなんだけれども、御趣意を尊重して法律、規則並びに予算慣例等ででき得るだけのことはいたしたい、こういうお答えをしようと思って私出席しておるのでございます。あらためて文部委員長に申し入れをいたします。
  185. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣方針は授業料及び検定料についてともに関係方針としては同一方針でいかれると、こういうふうに私了承いたしておきます。
  186. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) 授業料は、現に授業料の額と同じより少し上回るくらいを学生経費に組み入れておるのであります。ほかのことについても、この決議にあることは、公平にやれということで、日本の法律の許す範囲においてはその方針で進みたいと、こう思っておるのであります。
  187. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私が懸念することは、授業料を引き上げたその年度だけ、そういうような学生経費に還元するようにして、翌年度からそれを忘れてしまって、当然国費によって学生経費を組む、その上にプラス・アルファとして授業料値上分が学生経費に向けられる。このことを第二年度第三年度以後忘れられないようにしていただきたい、かように私は要望いたします。
  188. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) ここで御発言のことが記録にも残りますから、次年度以後あなたの御希望の通りに措置いたしたいと思っております。
  189. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ここで今収入面に関連して、私は決算事項に関することを伺いたいと思うのですが、それは先ほど私学校農場、演習林収入等について質問したわけですが、この会計検査院の報告を見ますと、文部省の批難事項は幾つか指摘されたのがわかっているわけです。その中に一つ、私ここで取り上げて伺いたいのは、一橋大学の講堂使用料の問題が出ておるわけです。これを見ますと、大学当局はその当事者が着服したような事実はないようです。その使用料をどういうふうに使ったかということ、結局講堂を使用するというと、電気、水道料そういうものが非常に多くなってくると、そういう方面に使用料を流用したということが批難事項のおもなる内容になっているようです。それを指摘されているわけですが、この大学の経費というものは研究費までがガス、水道電気料に組まれるというような状況でして結局大学の経費が不十分なるがゆえに、こういうような使用料が流用されたり、あるいは実習農場あるいは演習林等の収入がそちらに向けられるということ自体が起っていると思う。これは会計の処理からいったら違法でしょうけれども、当事者の立場に立ってみると、悪意を伴ったものでなしに、私は非常に気の毒だと思っているわけなんですが、これは一にかかって会計事務を処理される人が、法規通りにやるというそういう順法精神も必要でありますし、それ以上にやはり今の大学経費というものが実情に沿わないところに一番大きな原因があると、かように今私は考えるわけですが、大臣はいかようにお考えになられますか、お答え願いたいと思います。
  190. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) この一橋大学の件のごときは、全く会計法規の誤解ということで、何びともこれを不正に使ったものはございませんので、こういうものを一々国家の収入にして、またこれを出すということではなく、その場で右から左へ残業手当のごときは、またそこでやらなければなりませんので、そこでこういうことになったのでございます。全体として会計検査院の指摘のうちには、国のために恐縮な相済まないところもあります。それなどは懲戒その他の方法で処理いたしましたが、いずれにしてもかような微細な違反といえども、将来なからしめるようには努力いたしたいと存じております。
  191. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣に私伺いたい点は、その批難事項の七百六十三の東京教育大学の人工真珠研究所、この問題にも関連してくるわけですが、これはちょうど今二億ばかりの増収をはかっている学校農場、演習林等も通ずるものがあるのではないかと思うのです。結局大臣に伺いたい点は、大学経費の不足と実情に沿わない予算が与えられるところに、私はこういう人工真珠研究所ができたものを売りさばいて流用する、もちろんこの場合には使途不明金が若干あるようですが、この点は非常に遺憾ですが、そういうようなことはあるのではないか。従って学校農場及び演習林で二億程度の増収をすると、他面経費を増額しなければ、当該の農場及び演習林は困る事態が起ってくるのじゃないか、かように考えられるわけなんです。その点を文部大晦はどういうふうに把握されているかということを承わりたいのが、私の質問の主眼点でありますがお答え願います。
  192. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) 学校の経営については、実際の便宜として七百六十三号のようなことも当時起ったかと思いまするけれども、しかしながら他の大学にも委託研究等のこともこれからときどき起るのでありまするから、わずらわしくはありますが、これらのことは会計法通りにこれからやっていただきたいと、かように思っておるのでございます。
  193. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大学学術局長答弁ありませんか。
  194. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 御指摘になりました東京教育大学光学研究所に関連いたしますこの件は、ただいま大臣が答えられましたように、これは全くその本来の大学の予定いたしました研究外のものを、外部の委託を受けて研究の余暇を見て引き受けたわけでございまして、本来の経費が足らないから、こういう研究を引き受けて、かような失態を生じたという事例ではないと思うのでございます。ただ、経常的な経費の充実というような点につきましては、御趣意もごもっともでございます。今後ともわれわれ努力したいと思っております。
  195. 吉田萬次

    ○吉田萬次君 授業料の還元の問題でありますが、還元という言葉は、この際語弊があるからやめるといたしまして、大体今年それだけの収入がありまして、そうしてそれがために、学生のためになるように予算を組んでいただいておる。しかしながら来年になりまするとこの金が倍になる、その翌年になると三倍になって参ります。そういう場合において、現在私は国立大学でも恩恵に浴しておらぬ所が相当あると思いますによって、いわゆる来年、再来年の、還元ではありませんけれども、この金を普遍的にというわけではありませんけれども一般の恩恵に浴するように一つ御配慮が願いたいという希望を持っております。
  196. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) 学生のためにすべきことは多々ありますので、たとえこれが倍になりましても、してやらなければならぬことが多々ありますから、お示しの趣意をよく個人としても記憶し、記録にもとめておきまして、そういうふうにいたしたいと思います。
  197. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 決算関係の出たついでに承わっておきたいと思うのですが、後ほど公立学校の施設、設備費関係については伺いますが、これが減額になった点については、私は遺憾に思っております。しかし、それに関連して今決算関係が出たついでに伺うわけですが、公立諸学校の施設設備費等に対する国庫補助金等の経理当を得ないものというのは、毎年の検査院の批難事項の中に相当数指摘されるのがならいになっていますが、これこそちょっと注意することによって十分私は防げることだと思います。ここで私伺いたい点は、責任者に対しては今後十分注意するよう厳重な指示をしたと言いますが、いかようにしてこういうことがないように努力されるつもりですか、御所見を承わりたいと思います。
  198. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) これはこの前の国会補助金の適正化法もできておりまするしいたしますので、これらの運用で、今後こういうことが起らぬようにぜひいたしたい。わが文部省においては、他省もそうでありましょうが、すでに起りましたものについては、相当厳重な処分をいたしております。ここに一覧の表もありまするが、指摘されましたものについては、一々わずらわしいから申し上げませんが、相当な処置をいたし、また今言ったような法規の励行によって、こういうあやまちを繰り返さないようにいたしたい、こう思っております。
  199. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 局長答弁ありませんか。
  200. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) ただいま大臣からお答え申しましたように、従来会計検査院の検査報告がありますたびに、公立文教施設関係の批難事項が出ておりますことは、御指摘の通りでございます。しかし、この数年の経過を見ますと、これはもちろんこの検査院の……。
  201. 中山福藏

    主査中山福藏君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  202. 中山福藏

    主査中山福藏君) 速記を始めて。
  203. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 会計検査院の検査は、必ずしもすべて補助金を受けるところのすべての学校にわたっての検査ではありませんけれども、しかし、ここ数年の経過を見ますと、批難の件数はこれは大分減ってきております。二十八年度と二十九度分を比べましても、二十八年度は大体批難の件数が三十二件、本年度はその半分ぐらいの数字になっております。これは御承知かと思いますが、この批難の一番大きな平田になりましたものがこれは御承知のように補助金の交付の基準が非常に窮屈でありましたために補助金を受ける市町村学校の設置者である市町村等におきましていろいろやり繰りをして、いわば数字をごまかす、たとえば児童生徒数を多く計算する、あるいは保有坪数を低く計算するといったようなことで、検査院の調書に載せられたというものが多いわけでありますが、この補助金の配賦基準に関する坪数につきましても、先年引き上げられました関係で、そういった無理も漸次なくなっていくことだと私ども考えております。また、文部省といたしましてもできるだけとにかく法令の解釈に誤りのないように、できるだけ注意を各府県教育委員会を通じてやっておりますので、まあ特に悪意のものは別といたしましても、今後そういった計算、誤り等に基くところの批難件数というものは、次第に減っていくのではないかというふうに考えております。
  204. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これは文部省で不正の問題が起るとすれば、施設費関係とそれから給食関係、それから今度教科書法案が通ったら教科書関係と、この三つが私は最たるものと思っております。その給食関係は若干現在起っておるようですから、これは大臣が来てから承わることにして、ただいまのあなたの決算一項のことはそこで一応切っておきます。  そこで先ほど大学のことを承わったついでに、国立大学の関係のことを続けて双わりますが、この予算を見ますと、国立大学の方は項目の9に校費というので一切まとめてあるわけですね、先般昨年でしたか、各大学の定員を法律でなくして政令事項と改める改正案国会に上程通過成立したのですが、私はあのときに反対した一人なんですが、こういうふうになっていきますと、東大の矢内原学長初め、文化国家の国立大学の学長が全く地方庁の財政課長のような姿に落ちぶれて文部省の階段を始終上り下りして、わが大学の予算を少しでも獲得しなければというようなそういう事態になるのではないか、また現在なっているのではないか、少くとも大学当局のいろいろの文部省に対する働きかけによって、大学の予算の配分状況が右に左に動くということは、私は決して好ましい様相ではない、かように考えて現在でも弊害があると私は思っています。この点が一点と、それからそれと関連するのですが、大学の予算の配分状況を見ると、稻田傾斜方式と世の中では呼んでいるようですが、非常に七十二の国立大学に差等をつけて配分されている。これは臨時教育制度審議会というものができれば、それにでも諮問して実行するに価するほど重大な予算配分方式じゃないかと思っているのですが、その二点について稲田局長どういう御感想を持っておられるか、またどういう御方針を持っておられるか承わりたいと思います。
  205. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 今の二点、御質問の御趣旨をよく了解しかねる点もあるのでございますけれども、また、私の局が予算の配分に出っているわけでもないのでございますが、大体私の存じておりますことを御説明申し上げれば、第一のこの校費という日、これが今に始まったことではなく、長い久しい間大学のこうした基準的な費用の中心が校費という目でまとめられておったと思うのであります。そうしてこれは長い歴史の上に立って年々の予算が組まれておりますから、各大学の基準的経費は各大学がそれぞれ御存じであります。また、各大学から新規事項として要求せられますことがその上に加わって予算化せられるのでありまするが、その経過及び結果につきましては、各大学とも予算政府案がきまります際には、十分どれだけふえたということは御存じであります。従いまして全くガラス箱の中で予算が細まれるようなわけでありまして、各大学はそれぞれの大学全体としての予算はよく御承知であります。従いまして第二の御質疑にありましたように、配分に際して各学長が非常に御心配になるというような状況は事実ないのであります。  また第二の点で、傾斜方式ということはいかなることだか存じませんけれども、学術研究に重点のある大学につきましては、特にその点を考慮して予算化し、またあるいは職業教育、あるいは社会人養成というような点に、いろいろ特免のある大学につきましては、それぞれの特色を見て予算化し、それぞれの学校、学校の特色を見て予算化している点につきましては、私ども別段の何というか偏見等は持ち合せないと考えております。
  206. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 名大学別に定員も法律にきめるし、それから予算国会審議を仰ぐという形態の方が、私は大学の自由、自主性を確立してゆく上から望ましいのではないか、かように私は考えるのですが、これに対して局長はどういう御見解を持っておられますか。
  207. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 大学の自主性という点から見まする場合におきましては、定員が法律できまりましょうと、あるいは政令ないし省令できまりましょうと、結局この定員というものは予算に照応して法制化せられるのでありまして、予算ができまする際におきましては、ただいまお答えいたしましたように、各大半とも自分のところの既定定員が何人明年度予算案においてふえるかということは、予算確定の際にはっきり大学が知っておりまするから、その点につきましてはこれが法律できめられようと省令できめられようと、大学がそのために特に心配するとかしないとかいう問題はなかろうかと存じます。  あとの校費の問題につきましては前のお答えを繰り返すことになりますけれども、基準的経費のうちに、いかなる新規専業が盛られて、いかに増減があるかということは、大学自身予算成立の経過において十分御存じであります。従いましてその点について特に御心配になるようなことはなかろうかと存じます。
  208. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私はあなたと必ずしも意見を同じくしていないんです。私討論になるといけませんから要望しておきますがね、二大政党になって一方の政党が非常に強力であり、半ば永久政権的な存在になってきた場合、しかもその政党に所属する人が文部大臣になって参りますと、もうすでに私はその徴候が現われていると思うのですが、有形無形の大学に対する圧力、言論、学問に対するところの制約というものが襲いかかることが予想されると思うのです。そうなりますと、それは大学の教授会、さらには学長のいかんにもよりましょうが、非常に時の権力に迎合するというような形が出てくるおそれがあると思います。それは私は戦時中のわが国の大学、学会を顧みれば予想されることで、そういうおもんばかりが私あるがゆえにこういう点をただしたわけでありまして、あなたの御所見の通りだったら心配要らないわけですが、必ずしも私は見解を同じくしておりません。従ってこれらの運用については、私の考えていることが杞憂となるように、十分御留意をして津川していただきたいということを要望申し上げておきます。  長くかかりませんが、簡単に若干伺って参りたいと思います。それは国語教育振興に必要な経費は例年通りになっているわけですが、わが国の将来を考える場合に国語政策というのはずいぶん重大な問題だと考えますが、当用漢字ですね、それからかな文字ですね、それから最近またローマ字の問題が起って参ったようですが、これらについてはどういうお考えを持っておられるのか承わります。
  209. 福田繁

    政府委員(福田繁君) ただいま御質問のございました当用漢字等の国語の問題でございますが、これは御承知のように国語審議会というのがございまして、当用漢字それから現代かなづかい等につきてまして、いろいろ審議の結果結論を出しております。ただいろいろ実際これを普及いたします際につきましては、政府の方でも大いにその審議会の答申を尊重いたしまして従前からやっておりますけれども、実際に民間その他あらゆる場所に、これが答申通りに使用されるということも、なかなか困難な場合がございます。そういった意味で特に新聞関係等におきましては、非常に熱心にやっておられますけれども、なおこの国語の問題につきましては、いろいろ研究すべき問題がございます。従ってそれらの当用漢字それからかなづかい、あるいは送りがな法といったようなものを総合的に検討いたしまして、さらに現在国語審議会におきましては、いかに正しく標準的に書くべきかというような正善法というようなものを取り上げて、そうしてそれらの関連したものを総合的にさらにまとめて普及したい、こういうような方針で実はやっておるわけでございます。
  210. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ローマ字は……。
  211. 福田繁

    政府委員(福田繁君) ローマ字につきましては、昨年でございましたか、一応終戦後のいろいろ混乱期もございましたけれども政府といたしましてはローマ字の使い方につきまして決定をいたしまして、これを普及いたしております。
  212. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私お伺いするわけは、毎年これだけ予算を組んでおるわけですが、国立の研究所も別途あるわけです。そういう研究の結果というものは、普及徹底させていかなければ、ただ研究されるだけでは困ると思うのです。そういう立場で私は伺っているのです。最近小学校でやる四年以上のローマ字は文部省の方ではやめたい意向を持っているというようなことも私は聞いているのですが、そうなんですか。
  213. 緒方信一

    政府婆員(緒方信一君) 今お話しに出ております、かなあるいは漢字、それからローマ字につきまして、学校教育の面でどういうふうに取り扱っていくかということにつきましては、小中学校の教育課程につきましてさらに検討いたしたいと考えまして、最近教育課程審議会を開催いたしまして、それに諮問をして慎重研究する。かように考えてその教育課程審議会を発足さしたばかりであります。
  214. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は本委員会をできるだけ早く終らせたいので、文部大臣、早急に一つ招致願いたいと思います。  文部大臣がお見えになるまで承わりますが、理科教育振興法に基くもの、それから学校図書館法に基く補助金等、これはいずれも本年度減額になっているわけですが、単価設定等が不適当なために実際運用する場合に非常に困る。これは何回も文部委員会等では出た問題ですが、必要な教材あるいは教科書を買うにも買えない、こういうような実情に沿わない面をぜひ是正して欲しいということは、再三再四叫ばれたと思うのですが、本年度はそういう考慮をなされたのですか。
  215. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 理科の設備につきましては、さほど今お話しのような点も少かったかと思いますけれども、学校図書館の図書の単価につきましては、従来非常に問題がございましたので、このたびの予算におきてましては予算の単価をそれぞれ改訂をいたしまして、前年度小学校につきましては百五十円のものを二百円といたしましたし、中学校、青ろうあ、養護学校におきましては二百円を二百三十円、高等学校におきましては二百五十円を二百六十円にいたして、こういう改訂をいたしたわけであります。ことに小学校におきましては百五十円が非常に少い、単価として不適当だという要望もございましたので、これは二百円に改訂をして予算を計上いたしております。
  216. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 理科教育振興法の面にはあまり問題がないというお話しですが、光栄機械なんかは今のあなたのところの内規にある単価では買えないそうですよ。そういうことは予算を編成するとぎには、竹内では問題になりませんでしたでしょうか。最近光学機械なんか進歩しているでしょう。あなた方が設定している金額と、実際のメーカーの販売している価格とつり念わなくて買えないというのですね。そういう声は聞きませんか。
  217. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 従来あまりそういう声は聞いておりませんけれども、標準の定価を使って算定いたしておりますので、従来はあまりそういうことも聞いておりませんが、またよく注意していきたいと思っております。
  218. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 さっそく、その点はよく御検討願いたいと思います。  それから次に承わりたい点は、盲学校の生徒の点字教科書については、二百万円で新たに機械を購入したということです。それから新たに奨励費の中に高等学校教科書に三分の一の補助をされておりますが、今の盲学校の点字教科書といったものは、昭和二十二年ごろ編集したものを使っていますね。社会科の教科書とか数学の教科書を見ましたが、もうこれは前時代的なものですね。ああいう教科書をしかも高く、盲教育を受けている人に使っていただくということは、ほんとうに気の毒だと思うのですが、本年中くらいに何ですか改訂ができますか。それから価格はどのくらい引き下げられ、生徒、父兄の負担というものはどの程度引き下げられることができる見通しであるのか、それを承りたいと思います。
  219. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) このたびの予算の面で考えましたことは、今お話しの通り一つは教科書の購入費でございます。これは補助費としましては三分の一でありますが、あとの三分の二は府県が負担するわけでありますので、盲学校の点字教科書は本人から申しますと無償で給与される、こういう形になるわけであります。  それからまあ今お話しのように、現在出ております教科書は相当古いものがございますし、これは改訂することも急がなきゃならぬわけでございますけれども、まあ第一今までの問題は、これを一般民間で出版しましても、非常に部数も少いし、勢い価格も高い。従ってまた生徒の側から申しますと、なかなか費えないということでございましたけれども、今度まあ高くても費えるような措置をこの予算面でいたしたわけでございまして、そうなりますとまた出版する側で申しましても、これを改訂をして出版することが容易になりますので、改訂の促進に相なることと存じております。なおまた、それをさらに助長する意味におきまして、点字機械を買いまして、これを民間団体に貸与いたしまして、そうして出版を促進する、両面から一つ促進いたしたいと、かように考えておるわけでございます。ただ、まあいつからこれが実現して、どれくらい安くなるかという点につきましては、これから予算が成立しました上で、さらに検討しなければならぬと思いますが、なるべく急いでやっていきたいと存じます。
  220. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ろう学校の小中学生に対しては二分の一補助で、高等学校では三分の一補助というのは、これは義務制と義務制でないところで区別したのだと思うのですが、これらを同様に二分の一にするのも一つの法でしょうし、さらに、ろう学校の高等部くらいは義務制にするというような考えはございますか。義務制にいかないまでも、せめて教科書の補助は二分の一、三分の一と、そうこまかく区別しなくても、特殊教育という立場から一律に二分の一程度にしてもいいんじゃないかと思うのですが、その義務制の問題と、それから補助率の問題についてお考えを承わっておきます。
  221. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) その補助率の点は、今、矢嶋さんもおっしゃいましたように、まあ大体義務制の小中学校につきましては二分の一、高等学校関係は三分の一ということですが、ほかの関係におきましても大体まあそれが原則でございまして、その原則にのっとってやるという計画をいたしているわけでございます。ただ、さらに青ろうあ学校の高等部を義務制にするという問題は、これはなお一つ検討を要することじゃないかと思います。たとえばほかのいろいろな問題もございまして、養護学校等の問題もありまして、それとあわしてよく検討しなきゃならぬ問題であると存じますけれども、今直ちに高等部、まああるいは幼稚部もございますが、これを義務制にしていくということは困難じゃないかと考えますが、なおよく検討してみたいと思います。
  222. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次に伺いたい点は、産業教育振興に基くところの補助ですが、これはわが国の艦業教育の振興に本日まで相当に私は貢献してきたことを認めます。この問題については晦等学校に限らず、これを中学校までに拡大してほしいというのが、法ができる当時からの要望であったと思うのです。それから九カ年間子供を学校にやって、そうして十分な職業教育、産業教育が行われないまま、父兄の手元に帰ってくるということについては、九カ年間も教育をさしただけに、父兄として私は御不満があるのはごもっともだと思うのです。特にこの中学校における職業教育方面が欠けているということは、今の六・三の教育の内容の面では一番大きな欠点じゃないかと、かように私は考えているわけですが、これを中学校に拡大しないのみならず、産業教育振興に必要な予算といろものが、減額方向に進んでいるわけですが、中学校に拡大するというようなお考えば、今のところ文部省はないのですか、それとも文部省にはそういう意向があるが、大蔵省との予算折衝の段階において、どうしてもこれを通し得ないのか、その点を承わりたいと思うのです。
  223. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 中学校におきまする産業教育の大事であることは、私どもも痛感いたしております。このたび教育の内容の面につきましては、中学校の職業教育内容を改訂いたしまして、実施したいと考えているわけでございます。そこでこの施設、設備の面につきましての補助関係につきましては、これは昨年も同様の御査問を矢嶋先生から私は伺ったように記憶いたしておりますけれども、文部省といたしましては、両方一緒にやれればよろしゅうございますけれども、財政の問題もございますので、まず高等学校について産業教育の設備を充実していくことが当面必要であろうと存じまして、そちらの方に力を入れたわけでございまして、ただ、まあこれは御承知でございましょうけれども、中等学校におきましても、指定をいたしました指定校につきましては、現在補助をいたしているわけでございまして、この方面から順次従来もやっておりますけれども、今後もこのようなことは文部省といたしまして力を尽していきたいと存じます。
  224. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 研究指定校では問題にならないんですよ、その程度では……。本年度ほこれはこの事項では予算要求を幾らいたしましたか。その中には中学校に拡大する内容のものを含んでおりましたか、それとも従来の方針要求したのですか。
  225. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 従来も含めて、これは研究指定校でございますけれども、研究指定校一校につきまして三十万円くらいの補助をしていく。それに対する補助率としては二分の一の補助をしていく、こういう予算要求されております。
  226. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 来年度はぜひ中学校まで高等学校並みに拡大されるように、御研究と、御努力を願いたいと思います。この点は要望いたしておきます。  それから私はこれは探したのですが、松村文部大臣当時に公約されました学生の健康保険の問題ですね、これは私探したのですが、みつからないんですが、その後いかようになっているか、お答え願いたいと思います。
  227. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 前大臣といえども、別に公約されたとは承わっておりませんし、記憶もないのでございますが、とにかく学生の健康保険というものは、学徒厚生審議会において、いろいろ研究していただきまして、その結果審議会からは答申案が文部大臣に出て参りました。その構想としては、大体結核については全額、その他の疾病については半額負担することとし、そのまた結核については半額、一般疾病については二割を国庫補助とするというような案であったのであります。このために国庫負担としておおよそ七億程度を要するのでありまするけれども、この案ができました場合に、われわれといたしましては、大学当局の意向を聞きたいと存じまして、国立大学協会、公立大学協会、私立大学連盟、私立大学協会、私立大学懇話会、私立短期大学協会、公立短期大学協会、これらのいろいろ会合を開いていただきまして、懇談いたしまして、その結果といたしまして国立ないし公立系といたしましては、相当大きな修正意見をもってして、なるべく早く実施してくれというような要望があったのでありまするけれども、私立大学系の説は、なおこの問題については十分検討を要するので、その当時の明年度、明年度実施については見合わしてもらいたいという、こういう意見でございましたので、われわれといたしましては、明年度予算化することをちゅうちょいたしまして、この問題については、なお各大学の関係者とともに、今後とも研究を続けて参りたいと思っております。
  228. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その件については、私は若干承知しているのですが、私立大学は理事者側がやはり若干負担しなければならないという立場において、学生諸君の意に反して、理事者側が学校経営という立場から反対しているものと私は了承しているのですが、いかがですか。
  229. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 私立大学の関係においての意見というのは、非常に区々でございます。それをまあ総合いたした結果が、なお検討すべき点が多々あるので、明年度実施は猶予せられたい、こういうことになって参りました。私立大学の中にはお話しのようなお考えを持っていらっしゃる方もありましょうけれども、また別途のお考えの方もあると思いますが、公け的に御返事のありましたことは、前に申した通りでありますので、内容を分析せずにわれわれといたしましては今後も折衝いたして参りたいと思います。
  230. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 本年度引き続き研究、成案を得られようとしているのだと思いますが、局長としては、その必要を認めて私は精力的にその実現のために御努力される立場をとられていると思いますが、念のために伺います。
  231. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 学生の健康保険的なものの必要だということは、私どもも痛感いたしております。ただ前に申しましたように、とにかくこれには関係当事者がございますので、関係当事者の十分な協力と同意を得なければ実施しかねるものだと考えまして、今後ともいろいろ了解を遂げることに努力いたしたいと思っております。
  232. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次に新規項目として、私立大学理科特別助成に必要な経費というのが五千万円計上されておりますが、これはまことに時宜に適したけっこうなことだと存じます。承わりたい点は、この配分方法その他についてはいかような構想を持たれているのか、承わりたいと思うのです。と申しますことは、従来奨励法等によって補助金政策がとられる場合に、いつもほんとうに補助を必要とするようなところば補助されないで、あるが上にさらにプラスするというような形がよくとられているわけなんですがね。これは産業教育振興法についても、理科教育振興法についても、いずれもそうです。それは結局文部省内において内規をきめるきめ方によって、そういう結果になるわけですけれども、そういう前例を私は知っているだけに、五千万円……わずかですがね。おそらくスズメの涙ほどになるのだろうと思いますが、いかような配分計画を構想として持たれているのか、それを承わりたいと思います。
  233. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 私立大学の理科教育の特別助成費でございますが、これはまあ私ども当初予算要求しましたときには、これは理工系ばかりでなくて、広く理科系たとえば農、医あるいは獣医その他のものについても、特に学生の教育面で必要な施設あるいは設備を補助したいということで要求をいたしたのでございますが、財政の都合でそれらのもののうち、重点を理工系に本年度は一応予算の額とにらみ合せましてしぼる必要があるのじゃないかと考えております。なお、本年度は施設の方は一応除外をいたしまして、設備を重点としてこれは補助をいたしたい、ただ、予算の配分に当りましては、ただいま御指摘もございましたように最上級のものを中心とするが、あるいは中くらいのものを最上級に高めるという点に主眼を置くか、いろいろ考えはあるわけでございます。文部省としてはこの点は慎重に検討しなければならんと思っておりますが、一応事務的な考えとしてはまあ大筋としては中程度のものを最上級のものへ高めるような方向でできるだけ善処をしたい、こういうふうに一応考えております。
  234. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次にお伺いいたしたい点は、準要保護児童に対する教科書並びに給食費の補助の問題ですが、教科誉については当初五億四千万円、給食費については三億四千万円要求をされたようですが、それが一億三千万円と五千万円に予算査定がなされ提案されておるわけですが、私伺いたい点は、日本の小学校の生徒で教科書が買えないという子供が一人もないようにする、それから給食費が払えないような子供が一人もないようにするためには、小学校、中学校それぞれどの程度の予算があれば、負担能力のない生徒全部を救済できるというような数字を持たれておるか、その数字をお出し願いたい。
  235. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) これは抽象的に申し上げますと、生活が困難であって、いわば最低生活が保障できないという者に対しましては、生活保護法がございまして、これが実施されておるわけでございますが、その面から申しますと、教科書が絶対的に買えないという者は大体その制度が十分に実施されますならば、ないはずでございます。御承知のように生活保護法の中でも教育費がございます。その中には教科書の費用も支給されることになっております。ただいま申しましたような理屈になると存じます。しかしながら、実際面といたしましては、生活保護法に規定いたしまするその限度まではいきませんでも、それに準ずる程度で相当生活の困難な者もあるわけでございますから、その面に対しまして少しずつでも補助金がもらえるようにしていきたいということで、今年度予算あるいは法案を提案いたしたわけでございます。ただ、今お問いの教科書を買えない者が現実に幾らあるかということになるわけでございますが、これはちょっと一概には申しかねるものでございます。理屈を申しますと生活保護法の実施によってそれはないはずでございますが、実際には買えないとまではいかぬでも、相当困難な者はその面において確保していきたい、こういうことで御提案申し上げたわけであります。
  236. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 生活保護法が適用にならない、しかも教科善を買うところの負担能力を持っていないいわゆる準要保護者に対して考慮をされたわけで、当初教科書について五億四千万円、それから給食補助として三億四千万円要求される数字をはじいておられましたが、これはいずれも二分の一補助だから倍額程度の予算があれば生活保護法と準要保護者に対する補助規定によって、一応教科書が買えない子供、給食費が払えない子供はいなくなる。かように了承していいわけですか。
  237. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) これは相対的な問題でございまして、どこまでを補助対象にしていくかは問題でございまして、まあ最初文部省といたしまして、これは教科書について申し上げますと、いろいろと計画はいたしましたけれども、これはまあどの程度に押えるかということにつきましては、財政の問題もありますし、そこで今度予算に計上いたしましたのは一億三千万円、今お話がございましたけれども、全額補助でございます。一億三千万円で二十一万人の小学校の生徒に補助をしていくと、こういう制度にいたしておるわけでございます。どこまでいったらということは、相対的な問題で、ちょっとどこまでだという点は、なかなかこれはむずかしいものであると存じます。
  238. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この教科書関係で一・七%という数字ばどういうふうにして出したんですか。
  239. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 予算額が一億三千万円でございまして、小学校の一人当り平均六百円、全教科計について支給いたしますと。ですから一・七%ということになります。それが二十一万であります。
  240. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 当初の四%はどういう立場から出したんですか。
  241. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) これはいろいろ研究もいたしましたが、教育扶助が大体三・三%くらいかと思います。教育扶助を受けている小学校の児童生徒の、小学校の全生徒数に対するパーセンテージがたしか三・三%であったと思います。大体そのくらいのパーセンテージを抑えて一応この計画を立てた次第でございます。
  242. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 文部大臣に伺います。ただいま質問をしております準要保護児童に対する教科書とそれから給食費補助の問題ですね。これは今度の予算では小学校だけになってるんですね。普通の考えでいえば義務教育というところへ、くんじゃないかと思うのですけれども予算の折衝の段階において予算が獲得されなかったので、私は小学校に限定されたのではないかと思いますが、これは当然小中学校、少くともこの義務制の適令児童生徒になさるべきものと考えるわけですが、大臣どういうお考えを持っておられますか。
  243. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) お説の通りですが、本来は中学校もやりたかったのです。
  244. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 来年度はその方向に沿って努力されますね。
  245. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) 来年度は中学も及ぼし、またやる率も上げていきたいと思っております。
  246. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 参議院の文教委員会でよく問題になったことですが、定時制の高等学校、特に夜間の高等学校ですね、こういう生徒に給食費を補助する、まあ夜食のような形でパンと牛乳くらい出すわけですが、大した予算を伴わずに非常に私は効率的な予算の使用になるかと思うのですが、そういう点、大臣努力願えますか、どういうお考えを持っておられますか。
  247. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) そういう問題も過日承わりまして、大へんいいお考えだからして、できるだけ尽力しようと思っております。
  248. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そういう点について大蔵当局とかつて予算折衝等をなしたことは事務当局ございますかどうか。
  249. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) ただいま大臣からお答え申しました通り、夜間の定時制高校に対する給食でございますが、これは先般衆議駐の文教委員会で学校給食法の一部改正案が採決されますときにも、一応付帯決議がついたものでございまして、文部省としては今後努力をして参りたいと思っております。ただ、従来の経過を申しますと、これは現在学校給食法でいっておる学校給食とやや性質が異なっておりまして、もちろんこの夜間の定時制高校の教育効果を上げる上には非常に有益なものではあろうと思いますが、従来まだ中学校にも拡張されておらないときに、これをとび越して高校へ持っていくということがどうであろうかということの懸念から、従来ば財務当局との折衝はいたしておらなかったのでございますが、今後ただいま大臣からお答え申しましたように、そういう点についても十分検討し、努力をいたしたいと思います。
  250. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 管理局長に続いて承わりますが、今度の予算を見ますというと、施設費の補助については単価を引き上げ、また鉄筋ブロックの率を上げて内容的に向上しているようです。その結果としては事業量が少くなると思うのですね。あなたの方では昨年十二月に公立学校施設の現状と三十一年度実施計画という年次計画のしっかりした表を作っておられますが、これと予算とをあわせ考えるときには、この予算実情から言うと相当年数かかると思うが、大ざっぱに私ここで承わりたい点は、戦災復旧危険校舎、それから不正常授業の解消各項目のこの予算の組み方で一体何年で解消できるというふうにつかまれておるのか、大ざっぱでいいからお答え願いたいと思います。
  251. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 従来この予算の単価の問題、これが必ずしも実情に沿わないというので、地方からいろいろ不平もあったところでございます。また、最近は御承知のように鉄筋の比率を高めてもらいたいという構造比率上の要求も非常に強かったものでございますので、財務当局とお話し合いをいたしまして、それらを明年度予算から高めることにいたしたのであります。従ってただいまお尋ねの中にもございましたように、それらが上ってきます関係上、事業量はある程度減って参りますのでありますが、戦災復旧につきましては、小学校高等学校とも大体現在の予算額程度もらいますと、三十一年度から三カ年程度で、今日危険校舎につきましては御承知のように相当部分を起債でまかなっておる点がございますので、現在の予算状況から申しますと、大体役務制で三カ年程度、それから非義務制これは高等学校でございますが、これは、これでいきますと、高等学校分は実は本年度から発足したものでございますので、今後七カ年程度かかる予定でございます。また、小学校の不正常授業もこれは危険校舎と並んで起債で処理しておる部分が相当ございますので、これは今後とも大都市への集中ということが続くものと思いますが、これを一応除外いたしますと、現在程度の予算で今後三カ年程度で一応終るのではなかろうかというふうに考えております。
  252. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 中学校、小学校の基準に到達するのにはあと何年くらいかかりますか。
  253. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 年限延長に関連いたしますところの中学校校舎の整備でございますが、この点については文部省としても従来極力努力を払って参ったところでございますが、従って三十一年度予算も、本年度に参りましてやや増加をいたしておるのでありますけれども、現在要求しておりますところの予算領で参りますと、大体九カ年程度かかる予定でございます。ただし、これにつきましては御承知のように中学校の統合あるいは転用小学校等もございますのでそれらを加えますとやや短縮されるのではないかと思っております。
  254. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 中学校屋内運動場建設費の補助は運用の面において、暖地の方にもこの予算配分をするように方針をきめられたと承わっているのでありますが、ここに出ております四億二千三百四十六万一千円ですか、これを従来通り寒冷湿潤地帯と、それから暖地とではどういう比率程度で配分するお考えでありますか。
  255. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 中学校の屋体につきましては、ただいまお尋ねのございましたように、従来は積雲寒冷湿潤地帯にだけに限定しまして予算の配分を行なったのでございますが、かなり年次を経過して参りまして、その普及度もある程度まあ高まってきておりますのと、それからこの半面それ以外の地域におきましても、これはもちろん学校教育上屋体も必要でございまするし、また建設についての要望も非常に強いものがあったわけでございまして、明年度予算から一応もちろん従来通り従来の積雪寒冷地帯を重点とはいたしますけれども、一部弾力性を持たせる。それ以外の地域にもこの中学校屋内運動場の建設の補助金を出そうということにいたしておるわけでございます。従って重点は、ただいま申しましたように積寒地帯でございますが、その比率をたとえばどうするかということについては、暖地と積寒地との申請の工合等を見て今後検討したいと思っております。まだ現在のところその比率を幾らにするということをはっきりきめておるわけではありません。
  256. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この点については、今国会政府側から法律案の提案がないとすれば、議員立法の形で国会に法案を出す用意をいたしておるわけでありますが、事実上中学校は講堂も持たないし、屋内体操場もない。従って講堂兼屋内体操場という施設はぜひ必要だと考えますし、小学校はそれに比して若干講堂を持っている小学校もあるわけですが、これも約三割程度しか持っていないようです。従って今の新しい教育を推進していくに当っては、小中学校を通じて最少限講堂兼魔内体操場というのは必要とわれわれは考えますので、あなたの方で法案提出の用意がないようですから、議員立法したらどうかという話し合いが進められておりますが、これらの予算の配分については、そういう角度から御検討おき願いたいことを要望しておきます。  それから次に、この日本育英会育英資金ですね。これは昨年の二十三臨時国会では大臣は貸与人員とそれから貸付単価の引上げを企画されておったようですが、ごく一部に、一部貸付単価が引上げられただけで所期の目的は達しなかったようです。私が承わりたいのは、この単価を上げられて若干予算の額はふえておりますが、従来のこの貸与人員というものは従来通りで変化ないものと、この数字から推察するわけですが、そうでしょうね。
  257. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 国立学校の方の二千円の口と三千円の口とあったのでございますが、今度その三千円の口を五〇%にパーセンティジを上げておるのでございます。それからついでに、これはまあ単価もございますが、帯等学校の方は従来単価が七百円でございましたのを、今度は継続のうち八六%が千円、残りの一四%が七百円というふうに上げております。これはまあ単価もパーセンティジもというふうに了解していただいてけっこうだと思います。
  258. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 高等学校の貸与を受け得る学生は全生徒数の何%になりますか。
  259. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 三%でございます。
  260. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これを五%に引き上げるというのが多年の天野文部大臣以来の目標数字ですが、本年度予算折衝に当っては、どういう数字をもって予算折衝をされましたか。
  261. 稲田清助

    政府委員(稲田清助君) 育英会の関係の経費につきましては、ある年はパーセンテージの引き上げ、ある年は単価の引き上げというふうに年々増額を御考慮願ってきておりましたが、昨年度ばパーセンテージの方も引き上げをお願いいたしましたので、引き続きます本年要求いたしました明年度予算におきましては主として単価の引き上げ、ことに高等学校の継続者の単価の引き上げというような点も最も重点的に考えた次第でございます。従いましてただいま御側、間がありましたように、当初からパーセンテージの引き上げということは、明年度予算については要求いたしませんでした。
  262. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 文部大臣に伺います。高等学校への就学者というものは戦後非常にふえたわけで、ここは戦後の教育では多く変った二面だと思っております。育英資金の単価七百円を継続貸与者の約八六%に対して千円引き上げられたというのは、これはけっこうだと思いますが、私はこの段階ではこの五%という数字は私はある程度根拠があると前から思っておりますが、全生徒数の最小限五%程度まで引き上げるように私は努力して、ただきたいと思います。単価を引き上げること以上に、貸与率の引き上げというものが大切だと私まあ考えているわけですが、大臣の御所見を伺いたい。
  263. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) いずれ来年度の、この国会がしまえば、すぐ予算の編成にかからなければならないから、御意見のところは十分に参酌いたします。
  264. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それに関連するわけですが、高等学校の授業料は大臣のお考えに反して陸続として各県は平均二割程度の値上げをされておりますが、どういう御感想を持っておられますか。
  265. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) まだそうまできまったという情報は得ておりませんけれども、いずれ地方財政は御承知通りでありまするから、あるいはそういう方向に進みはせぬかと心配しております。なるべくは大きな引き上げがないようにいたしたいと希望しております。
  266. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 お疲れになったようですから、もうやめますけれども、私今三%を五%に上げることが必要だというようなのは、そういうところからも関連して起ったわけですが、国立大学の授業料を五割値上げした直後に、大臣は、高等学校の授業料については云々ということを発表されたときには、相当の成算があってなされたものと私は思ったのです。ところが閣議では地方財政計画のときにきわめて簡単に通したということを聞いて、私は非常に心外に思ったわけですが、この点自治庁、長官とどういうお話し合いになっておったのか、その点承わりたいと思います。特に、高等学校には、御承知のように勤労青年の教育のための定時制というのがあるわけですが、この定時制を含めて値上げをしているわけです。その影響というのは、非常に大きいものがあるわけですが、お伺いしたいと思います。
  267. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) 自治庁に官も学生諸君に負担をかけられることは好んでおられないのであります。私もむろん勤労学生が負担をすることは、非常に気の毒に思っております。ただしかし、矢嶋さん御承知通り、今日は地方分権の名のもとに、あまりこちらで押してそれを禁じるということもできないのです。これがまあ私が今回教育委員会法の改正を願わなければならぬその一つ理由のうちにも入っておるのです。しかし、世の中のことは法律一本でいくことではありませんから、地方都道府県になるべくそこは軽微な値上げで済むように勧奨したいと思っております。
  268. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣はある角度から見ると良心的ですが、ある角度から見ると非常に消極的だと思うのです。あなたのそういう態度、御見解というものは影響するところが大きいと思うのです。地方予算書を見てごらんなさい。今度再建整備法が成立したら起債が窮屈になるだろうというので、そんな起債の獲得のための交渉費というような名目で、小さい県が三百万とか五百万円というのを予算化しておるのですよ。これはあなたの所管ではないのですが、文部省はある程度こういう点については関心を持ってしかるべきだと思うのですが、国から起債を受けるために、その折衝費として、知事の交際費と別個に、そういうことを目的として三百万円、あるいは五百万円の県民税による予算が組まれているという実情なんですから、そういうことを考えれば、定時制の高等学校の生徒の授業料を上げるべきか、上げるべきじゃないか、これを阻止しようと思えば簡単にできると思うのです。大臣は、非常にあるいは消極的、あるいは良心的な立場に立っておられるが、一方ではそういうことが行われている。そういう点につきまして、私は大臣としては教育を守るという立場から、ことにこの教育機会均等を確立するという立場から、こういう点は少し閣議でがんばっていただかなければならぬと思うのですがね。いかがでしょうか。
  269. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) 閣議でがんばっただけではやはりいけないので、地方がやることですからね。
  270. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 しかし、財政計画に入れなければいいのじゃないですか。高等学校の授業料を平均二割しげるというのを財政計画に盛り込んできたでしょう。それが閣議にかかったでしょう。その閣議のときに大臣が抵抗してくれればいいわけですよ。簡単にのまれるからいけない。やはり閣議の問題ですよ。  最後質問します。ただい左のは答弁がないですから、もうこれで終りますが、それらは大略承わって、さらに他の委員会でも資料としていただいて詳細承わりたいと思うのですが、例の給食ミルクの問題ですね。これは非常に拡大して参ったようです、長崎を初めとして……。これに大臣は今どういう責任を感じておられるか。また、かような不正の防止策として、すでにどういう対策を講じたか。また、今後どうされようとしているか。それを今大臣に承わって、それから事務当局にほ、長崎、鹿児島、大分から徳島と全部で十数県起っているようですが、その資料をいずれ文部委員会でお聞きしますから、準備しておいていただきたいと思います。大臣のお答えを順います。
  271. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) そのことについちゃ私はもう初めから非常に注惹いたしておるのであります。ただ、刑事事件になりましたものは、検察庁で用心してすっかりまだ資料をこちらへくれませんです。しかしながら、来件の起っておることはよく承知いたしております。立法の措置といたしましては、給食ミルクのことは関税法の違反となるのですね。関税法の修正案を大蔵省と相談して衆議院へ出しました。つまり関税を通脱したものから……、買うた者には罪はないわけですね。それは非常に不備ですから、それも処罰するようにしたい。それから故意にやったやつは詐欺になるわけですね。長崎県のはやっぱり詐欺の法律で処罰されております。つまり、文部省をだましたという意味で、詐欺になっておるです。しかし、これも実は不備なことであって、今回は文部省がお人よしだったからそうであったので、こちらの方に悪い者があればこれは詐欺になりませんから、根本的に検討いたしたいと思っております。それから今のはミルクだけのことですが、パンの原料たる小麦についても同様に考えなければなりません。あれは特にアメリカからもらった小麦であったし、あるいは安く売ってもらったものでありますので、これについて問題が起ることは、アメリカ側へも弁解せんならぬような問題が起っておる。立法措置、行政措置は十分にいたそうと思います。だんだん事件が明らかになりまして、これが私の就任以後私の怠慢であったという証拠があれば、私はむろん考えなければならぬと思っております。
  272. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣衆議院の本会議のようですから、大臣はけっこうです。さらに資料ですがね。給食会館が先般落成しましたね。あの給食会館建設所要費の内訳ですね。これを詳細なものを出していただきたいと思います。私一部から聞くところによると、あの粉ミルクを一ポンド二十円で受けているというのですね。その横流しした差額の一部が給食会館の建設費に各県から供出されているということを承わっております。どうもこれは事実らしい。それで給食会館の建設の内訳、詳細なものを出して下さい。終ります。
  273. 中山福藏

    主査中山福藏君) ほかに御発言もございませんか。――御発言もないようでございますから、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  274. 中山福藏

    主査中山福藏君) それではこれにて質疑を終り、本分科会の審査を終了いたします。なお委員会に対する報告につきましては、主査に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  275. 中山福藏

    主査中山福藏君) 御異議ないと認めます。  これをもって本分科会を散会いたします。    午後四時四十一分散会