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1956-03-19 第24回国会 参議院 予算委員会第四分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月十九日(月曜日)    午前十時四十一分開会     ————————————— 三月十七日予算委員長において、左の 通り分科担当委員を指名した。            青木 一男君            井上 清一君            宮澤 喜一君            安井  謙君            吉田 萬次君            竹中 勝男君            矢嶋 三義君            湯山  勇君            館  哲二君            中山 福藏君     —————————————  出席者は左の通り。    副主査     安井  謙君    委員            吉田 萬次君            矢嶋 三義君            湯山  勇君            館  哲二君   国務大臣    厚 生 大 臣 小林 英三君    労 働 大 臣 倉石 忠雄君   政府委員    大蔵省主計局次    長       宮川新一郎君    厚生政務次官  山下 春江君    厚生大臣官房総    務課長     小山進次郎君    厚生大臣官房会    計課長     堀岡 吉次君    厚生省公衆衛生    局長      山口 正義君    厚生省公衆衛生    局環境衛生部長 楠本 正康君    厚生省医務局長 曾田 長宗君    厚生省医務局次    長       河野 鎮雄君    厚生省薬務局長 森本  潔君    厚生省社会局長 安田  巖君    厚生省児童局長 高田 浩運君    労働政務次官  武藤 常介君    労働大臣官房総    務課長     村上 茂利君    労働大臣官房会    計課長     三治 重信君    労働省労政局長 中西  實君    労働省労働基準    局長      富樫 總一君    労働省婦人少年    局長      谷野 せつ君    労働省職業安定    局長      江下  孝君   説明員    労働省労政局労    政課長     大野雄二郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○正副主査互選昭和三十一年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十一年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十一年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)     —————————————   〔年長者館哲二君仮主査となる〕
  2. 館哲二

    ○仮主査館哲二君) ただいまから予算委員会の第四分科会を開会いたします。  本院規則第七十五条によりまして、私が年長者のゆえをもちまして正副主査選挙管理をさせていただきます。これから正副主査互選を行いますが、互選は投票によらずに、便宜選挙管理者にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 館哲二

    ○仮主査館哲二君) 御異議はないようでありますから、さよう決定いたします。  それでは主査には中山福藏君、副主査には安井謙君を指名いたします。     —————————————   〔副主査安井謙主査席に着く〕
  4. 安井謙

    ○副主査安井謙君) 主査中山君が本日ちょっと所用で出張しておりますので、しばらくかわって私がいたします。  審査に入ります前に、議事の進め方につきましてお諮りをいたします。当分科会は、昭和三十一年度の一般会計予算、同特別会計予算及び政府関係機関予算中、法務省、文部省厚生省及び労働省所管について審査をいたすわけでありますが、委員長及び理事打合会の申し合せによりまして、本日より三日間行うことになっておりますので、この点あらかじめお含みの上御審議をお願いしたいと思います。  また本日は、このうち厚生省及び労働省所管につきまして審査をお願いし、明二十日に労働省所管を、二十二日は文部省所管につきまして御審査願うといった方法議事を進めて参りたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 安井謙

    ○副主査安井謙君) 御異議ないものと認めまして、さよう決定をいたします。  これより審査に入ります。まず昭和三十一年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、厚生省所管を議題にいたします。本件につきまして小林厚生大臣より御説明を願います。
  6. 小林英三

    国務大臣小林英三君) 昭和三十一年度の厚生省所管予定経費要求額概要について、御説明申し上げます。  昭和三十一年度の厚生省所管一般会計予算要求額は九百三億一千七百万円でありまして、これを昭和三十年度の当初予算八百四十六億一千二百五十五万九千円に比較いたしますと五十七億四百四十四万一千円の増加となっておりますが、更にこれを補正予算を加えての前年度予算総額八百六十六億六千八百七十五万四千円に比較いたしますと三十六億四千八百二十四万六千円の増加と相成ります。  次に、右予算のうち、特に重要な事項についてその概要を御説明申し上げます。  先づ第一は、社会保険整備育成施策に必要な経費であります。先づ政府管掌健康保険財政昭和二十九年度以来年々多額の赤字を出し、三十一年度においても六十七億円の赤字が予想されており、その抜本的再建方策樹立の必要に迫られているのであります。さて昨年来学識経験者からなる七人の委員保険財政再建強化施策につき調査審議を願いますとともに政府部内においても鋭意研究を重ねて参った次第でありますが、その結果、本年五月より医療給付費についての被保険者の一部負担実施標準報酬等級改訂等を行いますとともに国庫においても保険財政再建のための補給金三十億円を負担することといたしたのであります。  船員保険疾病部門についても健康保険と大体同様の措置を講ずるほか、疾病部門保険料率について若干の引上げを行います反面、財源に余裕のある失業保険部門料率引下げを行いますとともに、財政再建のための補給金一億円を国庫において負担することといたしているのであります。なお、三十年度以前の赤字補填のための借入金に対する償還財源として三十一年度に予定されていました一般会計より厚生保険特別会計及び船員保険特別会計に対する繰入れ措置は、借入金償還を三十二年度以降に繰り延べることといたしましたので、三十一年度はこれを行わないことと相なっております。  次に、国民健康保険については逐年その育成強化を図ってその普及に力を注いで参ったのでありますが、三十一年度においてはさらに、一そうの普及を期して被保険者を前年度の二千六百八十五万人より三千万人に推算いたしましたほか、受診率、一件当り点数及び一点当り単価についてもそれぞれ若干の上昇を織り込み、さきに改正を見ました国民健康保険法に基いて療養給付費の二割に相当する金額を六十三億六千七百万円と算定計上いたしました。  また事務員については人件費において若干の改善を行うこととし、その標準事務費の全額を補助するため二十億五千八百余万円を見込みましたほか、保健婦設置及び直営診療所整備のため三億七千余万円を計上いたしました。  さらに、国民健康保険運営改善強化を図るため、保険者等指導監督府県当局に委託して実施することとし、とのため、新規府県に各三人の指導職員設置する等に伴う経費として二千四百余万円を計上いたしておるのであります。  以上国民健康保険育成強化のため、合せて八十八億一千九百余万円を計上いたしておりまして、前年度より十五億七千三百余万円の増加と相なっているのであります。  次に、社会保障制度推進を図る上において医療保障の達成が当面最も緊要な課題とされておりますので、そのすみやかな実施を目途として、全国民対象とする医療保障制度を確立するため、臨時厚生省学識経験者からなる五人の委員を置いて、その具体的方策調査企画に協力を願うことといたしておるのでありまして、その設置並びに資料調査等のために必要な経費として九百余万円を新に計上いたした次第であります。  第二は、結核対策強化に必要な経費であります。結核は年々強力な撲滅策推進にかかわらず、今日なお国民生活に重大な脅威を与えている実情にありますので、引き続いてさらにその予防強化徹底を期することに努力を傾注いたして参ることといたしました。このため、健康診断予防接種徹底を図ることとし、特に従来最も不完全でありました一般住民健康診断徹底を図るため、実施率引上げ及び実施連絡費の計上を行いましたほか、中小企業、特に十人未満の事業場、事務所の健康管理徹底を期するため定期外健康診断を励行せしめる措置を講じますとともに、保健所検診機能強化のためX線自動車整備等に努めます等、予防施策充実強化のため四億七千余万円を計上いたしたのであります。また医療費公費負担のため十五億六千三百余万円を計上いたしているのでありまして、このうちには、社会保険の適用を受けていない人人に対し、外科手術に伴う入院料及び看護料公費負担するための経費が新たに見込まれているのであります。  結核病床整備はかなりの進捗を見ているのでありますが、地域的にはなお稀薄の地方も存在しているので三千床の増床予定し、出来るだけ稀薄な地域整備に力を注ぐこととして、一億二千二百余万円を計上いたしております。  右のほか、国立療養所老朽不良施設整備改良看護体制強化のため看護要員二百八人の増員を行います等・その経営充実をはかる予定でありまして、このため国立療養所経営のための経費として百十二億六百余万円を、結核回復者の後保護施設二ケ所の新設及びその維持経営のための赤字補助に必要な経費のほか、居宅隔離療養室千五百戸の設置助成に必要な経費等一億七千九百余万円を計上いたしております。  以上結核対策のための経費合せて百三十五億四千百余万円と相なり、前年度に比較しまして三億八千六百余万円の増加となっておるのであります。  第三は、医療機関整備拡充に必要な経費であります。まず国立病院施設整備改善のため、十二億二千六百余万円を国立病院特別会計に繰り入れて、引き続いて基幹病院整備を行いまして、その効率的経営指導的機能の発揮を期するとともに、老朽不良施設改善をはかることといたしたのであります。  次に、公的医療機関整備でありますが、一般病床は今日いまだ相当不足を告げているばかりでなく、その分布が依然として都市に集中しており、このため病床の稀薄または空白のままに放置されている地方がまだかなりありますので、都道府県単位医療サービス基幹となるべき病院整備を逐次行なって参ったのでありますが、引き続きその整備を行いますとともに、僻遠の地で経済的に民間診療所の開設を期待できない無医村に公立病院出張診療所を開設せしめるために必要な経費として四千五百万円を計上いたしております。  次に、精神病床は現在入院治療を必要とする患者に比して病床が過少な実情にありますので、引き続いて覚醒剤慢性中毒患者用の分を含め、三千三百床を整備拡充するため二億三千二百余万円を、また伝染病予防上必要であります伝染病院隔離病床一千三百四十床の整備に必要な経費一億一千余万円を計上いたしておるのであります。  第四は、公衆衛生改善等国民保険向上策施に必要な経費であります。  まず公衆衛生行政地方における第一線機関として重要な役割をになっております保健所機能強化充実をはかるため、C級からA級への格上げ九ヶ所、不良施設改良整備七ヶ所を予定いたしますとともに、エキス線装置等重要設備拡充整備を行うため、一億二千百余万円を計上いたしいるのであります。またその運営費については人件費において新たに期末勤勉手当所要経費を織り込む一方、従前補助対象とされておりました用人の諸給与はこれを交付税交付金一般財源に振りかえることといたしたのでありまして、このため、運営費において前年度に比して二億三百余万円の増加を示して約十八億四千七百万円と相なっておるのであります。  次に、水道施設整備については、農山漁村に対し、簡易水道普及をはかって伝染病発生予防生活改善に資するため、前年度同様八億四千万円を計上いたしまして、その布設を助成いたして参ることになっております。  また、下水道施設整備については、所要経費五億円を労働省所管特別失業対策事業費のうちに計上いたしており、実施の際は厚生省予算を移しかえの上実行される予定であります。このほか、特別鉱害復旧臨時措置法及び臨時石炭鉱害復旧法に基いて鉱害復旧事業のため一億四千八百余万円を見込んでいるのであります。  次に、清掃施設整備でありますが、近時都市糞尿処理困難性化学肥料普及発達によってその農村還元の困難に伴い一層倍して参っておりますので、その衛生的処理を促進するためさしあたり急を要する都市に対し、糞尿消化槽整備を助成し可及的すみやかにその合理的処理をはかることとして、これに必要な経費として五千万円を計上いたしたのであります。  次に、近く原子力平和的利用研究が開始される運びになっておりますのに対応し、放射線障害に対する予防治療研究を組織的に行います必要がありますので、その所要経費として一千七百余万円を新規に計上いたしましたほか、従来より行なっております広島、長崎地区におきまする原爆被爆者精密検診治療研究についても拡充いたすこととして、前年度に倍する二千五百余万円を計上いたしておるのであります。  第五は、生活保護に必要な経費であります。  最近経済基調に若干好転のきざしが見えているようでありますが、なお、過去のデフレ施策の浸透が引き続き予想されますので、三十一年度の生活保護費所要見込は、被保護人員について二・五%の増加を予想し、最近一ヶ年の実績単価をもって推算計上いたしました。なお、アメリカの余剰農産物による学校給食の拡大に伴い、教育扶助所要経費増加計上いたしましたほかは、扶助の種類及び保護基準は前年度同様となっております。従って三十一年度の扶助費総計は三百五十七億八千余万円となりますが、一方、旧軍人恩給裁定進捗及び日雇健康保険実施等による減少が十億円予想されますので差引三百四十七億八千余万円が生活保護費として計上されておるわけであります。今これを前年度予算に対比いたしますれば、十億三百余万円の減少となります。しかし前年度予算には過年度不足分が十億円含まれております上、旧軍人恩給復活等に伴う減少補正予算において二億円と、予想より少額にとどまったため、減少見込額において、三十一年度で八億円ふえたことによるものであります。  右のほか、保護施設整備のため二億一千二百余万円、施設事務費に八億四千九百余万円、法施行事務費に四億三千六百余万円を計上いたしておりますので、以上生活保護のための経費合せて三百六十二億七千八百余万円と相なります。  第六は、児童保護に必要な経費であります。   まず、児童福祉施設に収容している児童生活を保障する児童措置費については、施設増加に伴います児童増加を見込みますとともに、収容児童食糧費単価につき、若干の増額を行なってその改善をはかったほかは、大体前年度と同様でありますが、前年度予算には二億円の過年度不足分が含まれておりますので、これを除いたものと対比すれば三億四千三百余万円の増加を示して、五十六億八千四百余万円となるのであります。  次に、身体障害児福祉をはかるため、その身体的障害をでき得る限り早期に治療してへ正常な機能を回復せしめるため実施して参った育成医療については、その実施成果に照らし、さらに一そうこれを助成促進することとして、従前実施人員の約三倍の実施を見込んで八千三百余万円を計上いたしましたほか、補装具支給等身体障害児援護のため合せて一億一千二百余万円を計上いたしております。  次に、児童福祉施設整備についても、引き続いて保育所に重点を置いて拡充する予定でありまして、特に今回は新たに精神薄弱児通園指導センターを六大都市に各一ヶ所設置して、家庭にある精神薄弱児で、保護者のもとから通園できるものに対して生活指導を行なって、その福祉増進を期しているのでありまして、児童福祉施設整備のため四億円を計上いたしておるのであります。  また、母子福祉貸付金制度は、実施以来、好成績をおさめており、償還も順調に行われているのでありますが、最近に至り、地方財政窮迫等の事情により、やや消化難の傾向を示しておりますので、大体前年度程度の貸付予定し、既往貸付償還財源を考慮して四億五千万円を計上いたしました。  なお、修学資金貸付につきましては一部貸付限度額引上げを行う予定であります。  第七は、婦人保護その他社会福祉増進に必要な経費であります。  売春問題対策の一環としていわゆる転落婦人保護更生せしめてその自立を促進するため、新たに婦人保護相談事業等実施するほか、既設の婦人更生寮十七カ所の経営等に必要な経費として六千五百万円を計上いたしているのであります。  右のほか、身体障害者保護更生のため、更生医療実施補装具支給を行います等に必要な経費として約三億七千万円を、困窮世帯自立更生を促進する世帯更生運動実施助成のため一億円を、いわゆる同和地区生活改善をはかるため隣保館及び共同浴場整備のため、一千二百余万円を、庶民階層金融機関として重要な意義を持つ公益、質屋の整備のため一千六百余万円を、民間社会福祉施設整備充実を促進助成するため社会福祉事業振興会に対し、さらに追加出資を行うため一億円等を計上いたしておるのであります。  第八は、引揚者等戦争犠牲者援護に必要な経費であります。  まず、ソ連及び中共地域に残留する邦人の引き揚げにつきましては、一応三千百人と見込みましてその受入援護のため六千百余万円を計上いたしました。また引揚者定着援護に必要な引揚住宅につきましては新規引揚者分として二百三十戸、北海道にある老朽集園収容施設疎開用として五百戸を建設省において建設する第二種公営住宅の中より優先確保することになっており、前述の集団収容施設でなお使用可能の施設の補修のため七百余万円を前年度に引き続き計上いたしているのであります。  次に、戦傷病者戦没者遺族等援護法に基く遺族年金及び障害年金支給に必要な経費として三十五億二千四百余万円を、また、未帰還者留守家族援護法に基く留守家族手当障害一時金及び療養費支給等のため十四億四千四百余万円を計上いたしました。遺族年金及び留守家族手当はいずれも本年七月以降旧軍人恩給公務扶助料の引き上げに対応して増額支給予定しておりますほか、留守家族手当については過去七カ年以内に生存していたと認めるに足りる資料のない未帰還者留守家族に対しては、本年八月以降留守家族手当支給を打切ることに相なっておりますが、未帰還者の消息の究明調査進捗状況に照らし、さらに、その支給期限を延長することとしてその所要経費を折り込んでおる次第であります。  右に申し述べましたほか、受胎調節普及促進のため五千八百余万円、国立公園施設整備拡充のため七千四百余万円、保健婦等養成施設整備助成のための経費一千八百万円を計上いたしますとともに、医薬品の輸出振興のため香港に輸出斡旋所設置するための経費通産省所管に計上いたしました等、保険衛生社会福祉の各費目につきましてもそれぞれ所要経費を計上いたしておるのであります。  以上、昭和三十一年度厚生省所管一般会計予算についてその概要を御説明申し上げたのでありますが、次に昭和三十一年度厚生省所管特別会計予算の大要について御説明申し上げます。  まず第一は厚生保険特別会計についてでございます。さきに申し述べましたように、健康保険財政再建のため、一般会計より三十億円の補給金繰入れを見込みますとともに、標準報酬改訂等予定いたしました。右に要する経費として健康勘定におきましては歳入歳出とも五百九十五億一千五百四十五万八千円、日雇健康勘定におきましては歳入歳出とも二十五億七千六十六万二千円、年金勘定におきましては歳入四百七十一億三千六百二十万三千円、歳出百七億四千五百六十一万円、業務勘定におきましては歳入歳出とも三十五億三千四百八十三万二千円をそれぞれ計上いたしました。  第二は、船員保険特別会計についてでありますが、さきに申し述べましたように、大体健康保険と同様の措置をとろことといたしておるのでありまして、これに要する経費といたしまして、歳入五十一億七千四百十六万九千円、歳出四十三億三千五百十九万円を計上いたしております。  第三は、国立病院特別会計についてであります。さきに述べましたように、国立病院施設改善のため、所要財源一般会計より繰入れを予定いたしましたほか、三億円の国庫債務負担行為を計上いたしております。また新たに特殊小児疾患心臓病治療センター等をそれぞれ若干個所整備する予定でありまして、右に要する経費として、歳入歳出とも八十一億四千七百二十九万三千円を計上いたしておるのであります。  最後に、あへん特別会計についてでございます。本年度のあへん買氷予定量は輸入三十八トン、国内産三トンでありまして、一方製薬原料としての売り渡しは三十五トンを予定いたしております。この専売事業遂行のため一般会計より本特別会計運転資本として一千五百万円の追加出資予定いたしております。右に要する経費といたしましては歳入歳出とも二億五十九万七千円を計上いたしました。  以上、昭和三十一年度の厚生省所管一般会計及び各特別会計予算につきまして概略御説明申し上げたのでありますが、何とぞ本予算案の成立につきましては、格別のお力添えを御願い申し上げる次第であります。
  7. 安井謙

    ○副主査安井謙君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  8. 安井謙

    ○副主査安井謙君) 速記を始めて。  ただいま出席しております政府委員山下厚生省政務次官小山官房総務課長堀岡会計課長山口公衆衛生局長楠本環境衛生部長森本薬務局長安田社会局長高田児童局長河野医務局次長、そのほかに説明員といたしまして厚生省保険局山本庶務課長援護局瀬戸引揚課長援護局大崎援護課長等が列席しておりますので、逐次御質問をお願いしたいと思います。
  9. 湯山勇

    湯山勇君 今度の予算を拝見いたしますと、放射線衛生研究費というのが一千七百十一万五千円計上されておりますが、これはどういうことを研究されるのか、内容を少し詳細に御説明願いたいと思います。
  10. 山口正義

    政府委員山口正義君) お答え申し上げます。放射線衛生研究に関する障害防止に関する研究でございまして、これは最初私どもは放射線衛生研究所というものの設置を計画したのでございますが、原子力あるいは原子力委員会等ができまして、その後いろいろ折衝いたしました結果、一応研究所は将来の問題として、とりあえず三十一年度におきましては、原子力利用に伴う放射線による障害予防及び診断治療等に関する調査研究を行うということで、ただいま御指摘の一千七百十一万五千円の予算を計上しているわけでありますが、その内容を大きく分けますと、第一は予防、それから除染、これは汚染を除くことでございますが、除染等に関する調査研究費、それから第二の方は障害診断治療に関する研究費、大きく分けてそういうふうになるわけでございます。さらに第一の方の予防除染等に関する調査研究の内訳といたしましては、環境衛生、あるいは食品衛生、それから許容量、それから除染方法というようなことについて研究したいということでございます。それでそれをさしあたっては国立衛生試験所国立予防衛生研究所公衆衛生院それから国立病院、主として東京第一病院東京第二病院というようなところで研究をしてもらいたいというふうに考えているわけでありまして、一千七百余万円の予算をただいま申し上げましたような機関に配分していきたいというふうに考えております。それのためそれぞれ配分いたしました上には、ただいま申しましたような、研究に必要な事業用の器具費、消耗機材費というようなものを購入するというような計画になっているわけであります。
  11. 湯山勇

    湯山勇君 それではただいまのは原子力委員会の方から研究のテーマ等は示され、そのテーマに従ってこの費用を使って、ただいまおっしゃったような機関で研究するということになるわけでございますか。あるいは研究内容等については厚生省の方で独自の判断においてなされるということになるわけでしょうか。
  12. 山口正義

    政府委員山口正義君) もちろん原子力利用に伴う問題でございますので、原子力委員会とは連絡しながら事を進めるわけでございますが、ただいま申し上げましたような研究内容につきましては厚生省において立案していきたい、そういうふうに考えているわけであります。
  13. 湯山勇

    湯山勇君 今回の原子力の平和利用ということにつきましては、この放射能障害ということは非常に大きい問題で、これには特別な立法も必要であるというような建前からの研究もしなければならないことになっていると思います。そこでこの一般研究面の方には相当多額の経費が出ておりますけれども、こういう重要な基礎的なものにわずかにこの二千万足らずの経費しか出ていない。こういうことでは私ははなはだ片手落ちだと思うし、これで果して目的のような成果が上るかどうか、非常に疑問だと思うのですが、これはどうお考えですか、こういう点については。
  14. 山下春江

    政府委員山下春江君) 御指摘の通りこの予算額はこれで十分という金額ではございませんが、とりあえず今年度は初めてこういうことが開始されるのでございまして、明年度からは、三十二年度からは科学研究所の中に本格的なものが作られる予定になっておりまして、とりあえずこれによって事業の開始を行うという費用でございます。
  15. 湯山勇

    湯山勇君 三十二年度からもっと根本的におやりになるというので了解いたしまして、これと関連して局長にお尋ねしたいのは、従来このレントゲン機械を扱っておりますところの人たちのレントゲン障害、これがしばしば問題になっておりますが、今回のこの研究ではそういうものは対象にはなっていないのかどうか。あるいは現在のレントゲン技術者等に対してその後何か特別な対策が立てられたかどうか、お尋ねいたしたいと思います。
  16. 山口正義

    政府委員山口正義君) 今回の予算内容といたしましては、先ほど御説明申し上げましたようなことでございますので、主として原子力利用に伴う障害防止というようなことでございます。つまり御指摘のレントゲン技術者に対する放射線の影響というようなことにつきましては、非常に重大な問題でございまして、従来調査いたしました成績からみましても、血液障害を起している人が相当あるというようなこと等もございまして、これにつきましては別途に昭和二十九年度から厚生科学研究費の中でレントゲンの障害防止について厚生省におきまして必要な研究を、調査を実施継続いたしております。そうしてその成績の出ました分につきましては、すでにその障害防止方法等について実地に移すというようなことをいたしておるのでございまして、今回予算に計上してございます保健所のエキス線の障害防止措置というようなこともその一端の現われでございます。
  17. 湯山勇

    湯山勇君 これは次官に一つお聞きとり願いたいと思うのですが、やはり現在レントゲンを扱っておる人の健康状態は決してよくありません。いろいろ御施策が立てられてはおりますけれども、やはり働く時間が長いものですから無理をして、今御期待になっているようなことにはならないと思います。この問題も原子力障害研究に先立ってぜひ解決願いたい問題だと思いますのと、それから先ほどの御説明で一応了解はいたしましたけれども、私は先般原子力基本法ができるときにも申し上げたのですが、京都の大学でやはり量子力学をやった人のむすこが今度大学に入ります。まあそういう親ですから、あなたの子供に一つ原子力研究をやらせたらどうかということを申しましたところが、いや日本のこういう状態ではとてもやらす気にはなれない、今原子力研究をさせるということは特攻隊にやるようなものだ、そういうことを申しておりました。従って三十二年度から根本的にこの放射線障害の御研究はなさるそうですけれども、これは将来の原子力産業ということを考えますと、よほど厚生省としては腹をきめてかかっていただかないと、現在のレントゲン技術者がみておるのと同じような目を原子力の産業関係者にみせるということになっては大へんですから、ぜひ一つ強力なこの面に対する施策をお願いいたしたいと思います。
  18. 山下春江

    政府委員山下春江君) 湯山先生御指摘の通りでございまして、私もこの原子力を早くから研究しておる町の研究家を友だちに持っておりまして、非常に難儀をしております実状を承知いたしております。まあそれやこれやもありまして、広島、長崎等の原爆治療費も今年は昨年度の倍にするために非常に努力をいたしましたが、この方面に対する施策が何しろ初めてのことだものですから、なかなか予算面で私どもの要望もいれられませんでしたけれども、御指摘の点をよく十分心得まして、明年度は手抜かりのないように絶対御期待に沿うようにいたしたいと存じております。
  19. 曾田長宗

    政府委員(曾田長宗君) ただいま政務次官及び公衆衛生局長から大体の御答弁があったのでありますが、それにちょっとつけ加えさせていただきたいと思うのですが、それは今後の原子力の利用ということについていろいろ衛生上の危害を生じないようにということについて一そう新たな注意を払うべきであるということは当然でございますが、ただいまも御質問がございましたように、今までといたしましても診療用のエキス線その他の放射線というようなものの利用をすでにやっておるのでありまして、そのためにいろいろ弊害も、あるいは障害も生じておる、これに対して手を打つべきであるという御意見につきましては、私どももさように考えまして、いろいろ専門の方々に御検討を願ったりしたの、でありますが、実は昨年からその具体化に着手いたしまして、本年早々医療法の施行規則の改正をいたしまして、診療用放射線の規制ということを法の中に加えまして、それを実施いたしますために必要な予算としては国立療養所国立病院、及びただいま公衆衛生局長からお話がありましたように、保健所に対する補助、こういうものは予算にも組んでいただいてあります。もちろん人の問題も大切でございまして、これは昨年の秋だと思いましたが、国立の病院、療養所のエキス線技師に対しましては、その勤務時間に応じました特別な勤務手当をつけるというような筋も出していただいたのであります。できるだけ各方面にわたっての措置を進めたいと、かように考えておる次第であります。
  20. 湯山勇

    湯山勇君 次にお尋ねいたしたいのは、本年度予算にやはり新たに血液製剤対策というのが出ております。この血液製剤対策というのは、具体的にはどういうことをされる御予定なのか。額も非常に小さいので、小さいだけにお尋ねしたいと思います。  なおつけ加えてお尋ね申し上げたいのは、昨年もずいぶん新聞等にも出ましたし、厚生大臣にもお話したことがあるのですが、血液を売るということに伴ういろいろな弊害、それから日雇労働者が血液を売るとか、学生が血液を売るとか、いろいろこれに伴った弊害等もありましたので、これらに対する抜本的な対策を立てる必要があるんじゃないかということを前の大臣には申し上げたことがあるのですけれども、それと今回のこれとは関係があるのかないのか。もし関係がなければ、問題になっておるただいまの血液売買等に関して何らかの対策があるかどうか、こういう点について尋ねいたしたいと思います。
  21. 森本潔

    政府委員森本潔君) ただいま御質問のございました血液製剤の点でございますが、これは予算面に出ておりますのは約四十力ほどでございまして、内容としましては血液製剤の規格その他について、製造規格について審議いたしますために、薬事審議会に特別の審議部会を設けるというのが一つでございます。これが約二十一万、それからもう一つは血液製剤技術者の指導講習会を開く。これが十九万、合せまして、今申しました薬事審議会の中の血液製剤の部会の費用とそれから血液製剤の技術者の指導の費用、合せまして四十万というのが組んでございます。血液製剤の間違いのないものが作れるようにという経費でございます。  それからもう一つ御質問のございました、学生その他労働者が血を売っておる、そうして健康を害しておる、あるいは搾取をされておる、これに対すろ取締りの問題でございますが、これにつきましては、先般法案としまして、採血及び供血あっせん業取締法という法案を作りまして御審議を願うよ、うに国会に提出いたしております。それによりまして今の、いろいろ問題がございます点は取り締って参りたい、かように考えております。
  22. 湯山勇

    湯山勇君 その取締りというのは骨子はどういう骨子になっておるのでございますか。
  23. 森本潔

    政府委員森本潔君) これは約三点ございまして、第一点は人の血液が入り用、真に必要でありますところの、医薬品以外に償われないようにする、これが第一点。  それから第二点は、この人血を採血しますブラッド・バンクがございます。これにつきましては、真にそういう人血が必要であるかどうかという点を審査して許可するようにするという許可制にしたことが一つ。  それから次は採血あっせん業者でございますが、これは従来何の規制もないのでございます。それで許可制にいたしまして、適当な規制を加えたい、特にあっせんの手数料でありますとか、そういう点について規制を加えたい。  以上の三点が眼目でございます。
  24. 湯山勇

    湯山勇君 次に、結核対策についてお尋ねいたしたいのですけれども、これはもう言い尽された問題が多いと思いますので、その中から幾つかの点だけ拾ってお尋ねいたしたいと思います。それは第一点はアフターケアですけれども、これは昨年もたくさん作る予定であった。今年度もたくさん作る予定が二カ所になりましたけれども、来年度予算におきましてもまた二カ所ということになっております。実際は非常に必要なものでありながら、その施設の伸展が期待したように見られないということについて、どういう理由がおありになるのでしょうか。地方財政が窮迫しておるからとても引き受ける県小がないのだということなのか、あるいはアフター・ケアに対するもう熱意を厚生省としては失われたのか、どちらかと思うのですが、いかがでしょうか。
  25. 安田巖

    政府委員安田巖君) お答え申し上げます。マフター・ケアの施設の必要なことは湯山先生のお説の通りでございまして、昭和二十八年度以降現在までに設置されましたものが約九カ所で、収容人員が六百名ばかりでございます。三十一年度におきましてもこれは二カ所でございまして、お話のように大へん少いと思います。いろいろ理由があると思いますけれども、地方庁でこの費用を負担するということが、地方財政窮迫等によりましてなかなかむずかしくなったというのも一つの原因でございます。  それからもう一つは、アフター・ケアの施設に収容して運営いたします場合の運営費というものが、現在のところでは二分の一補助になっておるのでございますけれども、これにつきまして各府県ではやはりもう少し高率の補助をもらえぬだろうかというような要望がございまして、そういうようなことが一つのネックになっておるのではないかというように考えておる次第でございます。
  26. 湯山勇

    湯山勇君 大蔵省はどなたかお見えになっておりますか。
  27. 安井謙

    ○副主査安井謙君) 大蔵省はただいまおりませんが、必要ならお呼びしましょうか。
  28. 湯山勇

    湯山勇君 一つ、主計局を呼んでいただきましょう。大体予算分科会には大蔵省のだれか担当の主計官が見えるはずなんですが。
  29. 安井謙

    ○副主賓(安井謙君) 今呼びにやりましたから。
  30. 湯山勇

    湯山勇君 じゃそれはあとにして。それからお尋ねしたいのは居宅隔離案の設置ですが、昨年もこれくらいじゃ少いのじゃないかという御意見を申し上げたと思うのですが、本年はまた昨年より予算面では減っておるようでございますが、これは実施した成績が悪かったのか、あまり希望がなかったのか、これはどういう理由によるのでしょうか。
  31. 山口正義

    政府委員山口正義君) 居宅隔離の制度は、昭和三十年度から初めて予算に計上されて実施されるようにねったのでございますが、三十年度の予算実施の状況を見ますと、実際のところ現在あまりそう進捗していないというような状況なのでございます。  その一つの理由は、昭和三十年一度の予算が当初暫定予算で、本予算の決定が相当遅れましたために、地方で当初予算に組んでなく、追加予算に組んでいかなければならないというような関係がございまして、地方財政か困難でございますので、こういう新規のものはなかなか組みにくいという状況が一つあったかと存じます。  それからもう一つは、やはりこの施設そのものにつきまして、機構の関係などもございまして、非常に風雨の強いあるいは積雪地帯というようなところでは、もう一ぺんよく検討してみなければならぬというような状況でございます。それで昭和三十一年度におきましては差しあたって三十年度の実施状況などから考えまして、千五百戸というようなことを予算に計上してあるわけでございます。ただいま申し上げましたような地域的な点をもう少し検討してみなければならない問題がございますので、それを十分検討した上でさらに前進して参りたい、さように考えております。
  32. 安井謙

    ○副主査安井謙君) 湯山さん、ただいま大蔵省の方は主計官がきょう病気で休んでおりまして、主査二人のうち一人がただいまこちらに参っておりますので、その方で間に合うようでしたら御答弁いたさせますから。
  33. 湯山勇

    湯山勇君 その人から大蔵省の意見というものは述べられるのでしょうか。
  34. 安井謙

    ○副主査安井謙君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  35. 安井謙

    ○副主査安井謙君) 速記を始めて。
  36. 湯山勇

    湯山勇君 そこでまあ昨年これができますときには、これは健康保険赤字等との関連もあって、こういうことによってその方も緩和していこうというような含みもあったかと思います。だから厚生省としてはかなりこれは自慢の政策であったはずなんですが、それがどうも今のお話では期待したほどの成果が得られなかった、果して今日この段階でこれを設置する地域とかなんとかいう問題もあるでしょうけれども、抜本的に考え直すという必要があるかどうか。やはりこれに対しては相当大きな期待を今日もお持ちになっておられるかどうか、そういう点についてはいかがでしょうか。
  37. 山口正義

    政府委員山口正義君) これは現在のように結核に対する治療が進歩して参りまして、科学療法炉相当広範囲に行われるというような状況になって参りまして、在宅治療ということが非常に従来より広く行われ得るようになって参りました。しかもなおやはり家族の状況によって隔離を必要とすら者が相当ございますので、私どもといたしまして結核対策を進めて参ります上から、この居宅隔離の制度はぜひ推進して参りたい、また先ほど御指摘の健康保険財政等の点も考え合せますれば、この点はぜひ推進して参りたいと、そういうふうに考えていろわけでございます。
  38. 湯山勇

    湯山勇君 それじゃ念のためにお尋ねいたしますが、いろいろ本年度の実績にかんがみて来年度これに対していろいろ検討をして、さらに三十二年度以降においては、これを拡大していこうという基本的な態度でおられるかどうか。
  39. 山口正義

    政府委員山口正義君) 現在までの状況とさらに今後の状況をにらみ合せる必要があると存じますが、私どもといたしましては、これを拡大して参りたいと、そういうふうに考えているわけでございます。
  40. 湯山勇

    湯山勇君 次に、大臣の御説明によりましても、保健所がやはり結核予防の非常に重要な役割りを演ずる、これの強化をはかっていきたいという御説明がありましたが、昨年は保健所のお医者さんの発足率が七二%かいくらか見ておられると思います。それに対して本年度の充足率は大体どんな程度であったかということと、それから三十一年度予算では充足率をどれくらいに見ておられるか、いかがでしょうか。
  41. 山口正義

    政府委員山口正義君) ただいま湯山先生御指摘の七二%と申しますのは、全職員を平均しての充足率でございまして、医師の充足率は残念ながらそれを下回っているというような状況でございます。現在のところ全部平均いたしまして大体七割見当というようなところでございまして、三十年度の場合におきましては、なかなか充足が思うようにできなかったというようなことでございます。三十一年度におきましては、一応予算の積算基礎といたしましては大体七二%程度、全体の考えはそれくらいでございます。ただ先ほど大臣の説明にもございましたように、用人は一応三十一年度からは補助対象から外したわけでございますが、しかしそのかわりに技官、事務官、それから雇員という用人以外の職員に対しましては、従来ついておりませんでした期末手当、勤勉手当を補助対象に加えました。そうして地方財政が困難な折りから、その予算化を容易にして従って充足が進められていくようにしたい、そういうふうに考えているわけでございます。
  42. 吉田萬次

    吉田萬次君 関連。今保健所の問題が出ましたが、保健所というのは私も非常に必要なものだと思います。しかしながらその機能というものが十分に発揮することができないというのは、経費が非常に少いということであります。今度の一億二千百余万円の計上というものは、これはここに書いてあろようにC級からA級への格上げの九カ所、それから改良整備の七カ所、それからさらにエキス線の装置のためにというふうな額としてこれはきわめて軽少のもののように思われます。元来どうかというと、この保健所というもののほんとうの機能を発揮せようとするならば、予算というものは相当計上されなければならぬものであって、大体はどうかというと、地方の会社、工場などに対しても寄付金によって設備をしておるところが非常に多いと思います。かようなことでは私は保健衛生というものに対して将来が非常に心細く思う。少くともこの問題はせっかく厚生省において保健所というものがこの機能を十分に発揮させようとするということであったならば、私は拡充整備のためにかようは軽少な費用ではなし得ないと思いますが、これに対してあらゆる方面に関係があるからといって押されてとこまで手が回らぬと言われれば仕方がありませんけれども、十分に考慮せられる意思があるかどうか。
  43. 山口正義

    政府委員山口正義君) ただいま吉田先生御指摘の通り保健所が非常に重要であるにかかわらず、なかなか整備されにくいということでございます炉、現在、保健所設置運営に対して、国が補助を出すととになっているのでございますが、新らしく作ります場合に、あるいは先ほど御指摘のCクラスからAクラスに格を上げるというようなときには、国庫の補助率は二分の一になっているわけでございますが、それでも従来単価が、地方単価と本省の考えております単価とが違うというような点で、地方によりましては、新しく保健所を作ります際に、地元の寄付を仰いだというようなことも聞いているわけでございます。そういうととはなくしていかなければならぬというふうに考えておるわけでございますが、運営につきましては大体国の補助率が三分の一、人件費を含めまして。そういう点で現在地方財政が非常に困難になって参っております。また先ほどちょっと申し上げましたが、従来の補助の対象が単に本俸だけになっておりまして、いろいろな手当を含んでおりませんでしたために、三分の一と申しながら、なおそれより下回るというような状況で、従って地方でなかなか人員の充足もできないというような状態でございますが、何とかして国の補助率をもっと高めるようにしたいということで、三十一年度の予算といたしまして、人件費といたしましては、少くとも二分の一にしたいということで、いろいろ折衝したのでございますが、諸般の関係からそれはできなかったわけでございます。ただ補助対象に期末手当、勤勉手当を加えたということにとどまっただけでございます。それから従来人件費が大体十三億九千万円であったのが十五億九千万円、二億ばかりふえたわけでございます。今後はさらにこの保健所整備するということのために、国の補助率というものを検討して、地方予算を組みやすいように持っていかなければならぬ、そういうふうに考えております。
  44. 湯山勇

    湯山勇君 ただいま吉田委員からも御指摘がありましたが、保健所のお医者さんが、悪い言葉で言えば——非常に熱心な人もありますけれども、今もかなり情熱を失っているのではないかというような懸念さえもあると思います。それは今までに御指摘になった通りですが、との点については抜本的な対策を立てないといけない段階じゃないかと思うのですが、これは非常に基本的な問題ですから、次官のお考えを伺いたいと思います。
  45. 山下春江

    政府委員山下春江君) 湯山先生御指摘の通りに、これは国民の保健衛生の第一線機関として非常な重要なものでございまして、ここが熱意を失うようね態勢でございますれば、国民の保健衛生の向上ということはから念仏になります。抜本的な方途を講じて情熱をわき立たせなければならないということは御指摘の通りでございまして、三十一年度におきましては、そのような風潮をも勘案いたしまして、最善の努力を傾けましたが、十分とは申されませんけれども、私どもはこの機関がほんとうに総意を結集して、国民の第一線の保健衛生を守っていただける態勢にいたさなければならないということは、今後も十分考えて参りたいと思っております。
  46. 湯山勇

    湯山勇君 ぜひ、抜本的な対策を早急にお立て願いたいと思います。  それから、こまかい問題ですけれども、局長にお尋ねしたいのですが、用人の給与を補助から交付税交付金対象にしたいということは、私は考え方によれば、かえって雇用人の数を減らされるような結果になるのじゃないかということを心配しております。雇用人の数が減るということになれば、結局、技官、医官等の雑務がふえて参りますから、ますますこの傾向に拍車をかけるということになるのではないかと思うのですが、この点についてはどういうふうにお考えになっておられますか。
  47. 山口正義

    政府委員山口正義君) 御指摘の点ごもっともだと存ずるのであります。そういう点から勘案いたしまして、一応最初三十一年度の予算編成途上におきましては、単に用人だけでなく、事務系統の人を全部交付税交付金の方に回したらというような意見も出たのでございます。が、しかしそれではただいま御指摘のように、技術職員の方に重荷がかかってくる。実際に地方予算化が行われません場合に、技術職員の方に重荷がかかってくるというふうに考えられますので、事務系統の職員、事務職員は補助の対象にするというふうにしたのでございます。用人の問題につきましては、ここ数年来いろいろ議論されておったのでございます。まあ考え方によりましては、ただいま湯山先生御指摘のようなことも言えろかと考えるのでございますが、しかし保健所の職員の中で、たとえば小使、給仕というような人たちは、地方自体の費用においてまかなってもらう、そうしてむしろ他の方を充実するというふうに考えるべきではないかと思います。決して保健所の中で小使の予算予算化しないというようなことは起らないように私ども考えるものでございますから、こういう措置をとったわけでございます。お尋ねの点は私ども十分注意して参らなければならないと存じております。
  48. 山下春江

    政府委員山下春江君) 湯山先生は小さい問題とおっしゃいましたが、小さくない、大へん大きな問題でございまして、御指摘の通り、もしこれが予算化されない、地方財政予算化されないというようなことがあれば、非常に保健所機能を低下させろと思いますので、私ども厚生省といたしましては、地方自治体に対しても極力督励をいたしまして、この予算の編成されるように努力を傾けて万全を期したいと、こう覚悟をいたしております。
  49. 湯山勇

    湯山勇君 むし今日の地方財政の状態あるいは再建整備法の適用等の関係から、従来よりも雇用人を減すというような事態が起った場合には、三十二年度においては従来通りやはり補助対象とするというようなお考えをお持ちでしょうか。
  50. 山下春江

    政府委員山下春江君) 三十二年度は、今年度の情勢を見ましてからということでなく、ぜひとも補助対象にいたしたいと努力いたすつもりでございます。
  51. 湯山勇

    湯山勇君 私よりもむっと積極的な御答弁をいただいたので大へんけっこうだと思います。ぜひそう願いたいと思います。  次に、保健所のお医者さんのことですね。これは局長にお尋ねしたいのですが、先ほど七〇%ぐらいな全体の充足率の中で、お医者さんはそれよりももっと低いということでございましたが、お医者さん確保の対策というものはないものでしょうか。
  52. 山口正義

    政府委員山口正義君) 保健所の医師の充足対策につきましては、保健所の一般の強化のほかに、特に医師充足対策という項目を私ども事務当局としては考えまして、そうしてもちろん俸給のベースを上げていくということは必要でございますが、しかし、俸給の待遇をよくしたというだけで保健所に医者が集まるようになるという点は望めない点もございますので、さらに現在予算に計上されております研究費増額、あるいは宿舎の問題、それから内地留学の問題、それから保健所のいろいろな図書、その他の勉強できるような施設整備するというようなことをいたしまして、そうして保健所にできるだけ医者を充足させるというふうに考えていきたいということで、三十一年度いろいろ折衝いたしましたが、なかなか実現せず、研究費の問題だけにとどまっているわけでございます。しかしこの問題は将来もぜひ推進して参りたいと存じております。また保健所に医師を充足するもっと根本的な問題は、現在の日本の医学教育にあるというふうにも考えられますので、これは私ども衛生行政をやっております者が、常に大学の医学部の先生方あるいは学生の人たちと連絡をとりながら、現在の日本の医科大学における学生の教育方法ということについて、将来公衆衛生に進みやすいように指導していただくというふうに考えて折衝しているわけでございます。さらにもっと根本的になれば、日本の今の医学の教育制度を変えるというようなことも考えていかなければならないのじゃないかと存じます。これは将来の問題、外国の例などもよく検討してやっていかなければならないと思います。
  53. 安井謙

    ○副主査安井謙君) 速記をとめて。   〔速記中止
  54. 安井謙

    ○副主査安井謙君) 暫時休憩いたしまして、一時半から再開いたしたいと思います。    午前十一時五十二分休憩      —————・—————    午後一時四十二分開会
  55. 安井謙

    ○副主査安井謙君) ただいまより再開いたします。
  56. 湯山勇

    湯山勇君 次に、この精神衛生対策についてお尋ねしたいのですが、まあ覚醒剤は、御努力によってだいぶ減ったことは大へん喜ばしいことですけれども、少くはなったけれども非常に悪質化してきておるということは御存じのことだと存じます。ところが本年の予算を見ますと、相当覚醒剤対策費というのが減額になっておりますが、これは今もう野放しでこういうふうに安心していいかどうか、この点についてはどうお考えでございましょうか。
  57. 堀岡吉次

    政府委員堀岡吉次君) 覚醒剤対策費の方で減額になっておりますとただいまお話でございますが、この点は大幅の問題は実はヘッドの問題でございまして、これは別途申し上げますが、啓発宣伝費の方は、実は昨年度国会におきまして御修正相なりまして、一千万円程度の増になったわけでございます。そこでこれは啓発宣伝費の宣伝費だけでありまして、主として基礎的な物品購入でございますとか、あるいは映画の作製とか、そういうことをやりましたので、本年度はその分に見合う程度のものは減額になったということでございます。  それからベッドの関係は、昨年度精神衛生の関係でベッドを増床いたしましたが、この中には御案内のように覚醒剤の患者を入れるヘッドということで、それも含めて増床したわけであります。これは精神衛生法が改正されまして、覚醒剤の患者は精神衛生法の純粋の精神病と同様な取り扱いをするということで、前年度大幅にベッドを、その方面を含めまして増床いたしましたので、経常的な増床ということで若干の金額が減少になっておるということであります。  覚醒剤の方は悪質になったというお話で、その点は確かにそういう方向に進んでおると思いますが、覚醒剤の関係を軽視して減らしたというふうな意味では毛頭ないのであります。
  58. 湯山勇

    湯山勇君 この病床整備が大分できてきておるということはよくわかりますけれども、そういう表に出たものじゃなくて、非常に悪質な者がかえって多くなってきておるということから考えますと、たとえば取締りとかというようなものはもっと今年度よりも強化しなくちゃならないじゃないか。それから絶対量が少くなったというよりも、そういう悪質な者が潜行しておるということは、火山にたとえて言えば休火山の状態で、いつまた爆発するかわかりません。こういう状態に対して、昨年啓発宣伝の費用をそれだけ出した。特にこれは国会で修正したものですが、それを今回はまた大幅に減額しておる、半額程度にしておるというようなことは、非常に不安な要素を持っているじゃないかというように思いますけれども、そういう点についてはもう心配はないのでしょうか。
  59. 堀岡吉次

    政府委員堀岡吉次君) 今の、悪質なもので潜行している者が相当あるということはお話の通りだと思います。しかしながら、この点はそれでもって何といいますか、取締りを一般的にゆるめるというつもりは毛頭ありません。今後はその方面において重点的に進めていくということで、取締りの方は依然として主として警察でございますが、その方は進めていく。それで去年、おととしから非常に大問題になって大きな網を張ったわけであります。そういう関係上、ぐっと要点にしぼられてきておるということでございまして、予算減少はそれと直接どうこうというつもりでやったわけじゃございません。先ほど申し上げましたように、啓発宣伝の経常的な形に返ったということで八百万円の宣伝費を計上しているというふうに御了承願いたいと思います。
  60. 湯山勇

    湯山勇君 それじゃ取締りの費用というのは、法務省関係では相当多額に計上されておりますか。
  61. 堀岡吉次

    政府委員堀岡吉次君) 法務省あるいは警察庁の予算の方はつまびらかにいたしておりませんけれども、これは厳としてその手は一歩もゆるめないで進めておるということは大体御了察願えるかと思います。
  62. 湯山勇

    湯山勇君 それはまたあとで法務省関係のときにお尋ねすることにいたしまして、らい関係につきまして一点お尋ねしたいのは、らい患者生活援護委託費を減額しておられますが、これは何かそういう理由があったわけでしょうか。
  63. 山口正義

    政府委員山口正義君) これは実際に保護を受けておる世帯の実績から考えまして、大よそこれくらいを見込んでおるわけでございますが、現在実際保護をいたしております世帯数が九百世帯以下になっておりますものですから、大体少しの増加を見込んで今これだけ計上しておるわけでございます。
  64. 湯山勇

    湯山勇君 この説明書の摘要に世帯数九百三十四というのがあがっておりますが、これがこの予算計上の基礎数字になるわけでしょうか。現在九百以下というお話もありましたが。
  65. 山口正義

    政府委員山口正義君) この三十一年度の予算の積算基礎が九百三十四世帯ございまして、三十年の十一月の実施世帯が八百六十九世帯になっております。
  66. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 議事進行について。今湯山委員が質問されておるわけですが、もし湯山委員の御了解を得れば、この順序でいっておれば、その項目で質問事項があるときには、他の委員も質問さしていただくと進行上都合がいいのじゃないかと思いますので、委員長の方から一つそのようにおはからいを願います。
  67. 安井謙

    ○副主査安井謙君) 湯山委員の方に御異議なければそうしたいと思いますから……。そういうふうにはからいます。
  68. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 途中ですが、この質疑を続けていくに当って、私は一般的なことでちょっと聞きたいと思うのですが、それはわが国の現在の諸情勢から考えて、私は厚生行政の積極化というものは非常に重要だと思っております。欧米諸国の先進国以上に戦争という大きな犠牲をしいられた日本国においては、特に私は大事だと考えるのですが、そういう目からこの予算を考えますと、あらゆる部門がほとんど二分の一補助から八分の一補助とかというような格好になっているわけですね。そうなりますと、私は末端の事情はそう詳しく知らないが、最近の地方財政等の窮迫ということから、私は国に若干の補助が予算化されておっても、地方公共団体の財政が苦しいがゆえに受け入れ態勢がなくて、その結果として末端における厚生行政というものは非常に積極化でなくて、むしろ現状維持もできない、後退している面があるのじゃないかという、私は一つの例からそういうことを考えているのですが、そういう立場から考えた場合に、具体的な質問に入る前にまあ一般論を聞いているわけですが、こういう予算の組み方というものですね、どういうふうに事務当局がお考えになっておるか。全部が全部と言わなくても、たとえば私は精神薄弱児の問題とかあるいは身体障害者の問題とか、こういうような若干は国の責件においてやるべき事柄があるのじゃないかと思うのですが、そういう点についても事務当局はどういう御見解を持って、今までどういう善処をされておられるのか、それをまず承わっておきたい。
  69. 堀岡吉次

    政府委員堀岡吉次君) 補助率の問題につきましては、ただいま御指摘の通り、まあものによりましていろいろ差別があるわけでございます。国の責任の点は、これはまあものの性質によりまして、国の責任が、二分の一か三分の一かという予算の補助率に応じたものが国の責任だというわけには参らぬと思います。たとえば生活保護費とかあるいは児童措置費でございますとか、こういうものについては国が十分の八を負担する、十分の二は地方庁が負担する。これはまあ国全体の事柄でありますので、地方庁におきましても若干の負担はさせる。たとえば地方的な利益が非常に強いというふうなものにつきましては、特殊な施設等については三分の一とか、あるいは四分の一であるとかというふうになっておるわけであります。  そこで今御指摘の予算の消化の困難という問題は徐々にそういう傾向が出ておるということは、これは争えない事実だと思います。しかしながら国全体の財政もそうでありまするが、地方におきましても社会保障という問題につきましてはだんだん関心が深くなっております。地方議会等におきまする財政の議論を見ましても、その点は活発な議論が出ておりますので、地方庁におきましても予算編成上それを無視するわけにはいかないということで、非常に苦しい中から相当の無理をさせておるとは思いますが、厚生関係の経費あるいは社会保障一般と申しますか、そういう経費の消化については非常な御努力を願っております。従いまして全然だめになっておるというようなことは現在までは出ておりません。地方当局の財政上の苦心は、これはもうただいま御指摘の通り非常にわかりますが、現在の進行状況は大体そんなところでございます。そこでものによっては補助率の変更というようなことを予算要求の当初におきましては要求いたしておることは事実でございます。しかしながら、事柄のいかんによりまして、また国の財政の都合もありまして、必ずしも厚生当局が希望した通りになっておらぬということは、これは予算編成上のいつものおきまりでございますが、厚生省といたしましては、ものによりましては補助率を上げてもらいたいというような要求もいたしております。
  70. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一回それに関連して伺っておきたいと思いますが、それでは今、何ですか、あなたの方でこの部門は国の完全責任においてやりたいというようにお考えになっておられるのはどの部門か、それからまた特に現状からして補助率を急速に引き上げなければならぬと考えながらその志を得ずにおるものはどういうものがあるか、お教え願いたい。
  71. 堀岡吉次

    政府委員堀岡吉次君) 十割全部が全部ということで要求したものは、補助金としてはちょっと今のところ記憶しておるところではないと思いますが、補助率の引き上げでは、全部は今詳細に記憶いたしておりませんが、大きいもので申し上げますと、たとえば結核公費負担でございますが、この医療費公費負担等につきましては、補助率を国と地方との負担割合を一対二にしたい、国が二持つ、大きいものについてはそういうふうにしたいと思っておりましたが、これは前年通りということになりました。
  72. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は一つ具体的なことを伺います。この精神薄弱児の収容施設を私見たことがあるのですが、これは社会悪の温床にもなる事柄ですから、こういうのは国の責任で百パーセントやられるようにされたがよいのじゃないかと思いますが、これはどういうふうにお考えになっておられますか。
  73. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) お話のように精神薄弱児であるとか、それから肢体不自由児の対策については、私どももかねがね努力をいたし、また推進に努力をいたしておるのでございます。そこで精神薄弱児について全部国で見るかどうかという問題につきましては、一応私どもといたしましては、従来知能指数の非常に低い、いわゆる俗にいう白痴に属する者につきましては、これはやはり国ですべてのめんどうをみるという態勢にしなければ、とうていその救済等がうまくいかないのではないか、かように考えておりますけれども、それに至らない程度の、どちらかといえば知能指数のそれよりも少し高い者につきましては、一応現在のような、先ほど会計課長から申し上げましたように、八割を国でみる、二割を地方でみる、そういうような態勢でいくべきものと考えておりまして、一応知能指数の程度によりまして国で考えていかなければならぬのではないか、かように考えております。
  74. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 医療に関する質問はこの程度にしておきます。  そこで具体的に先ほどの湯山委員の質問に関連して伺いますが、八ページのらい対策の(4)の最後にらい研究所費というのが組まれておりますが、らい研究所の現状並びに今後の充実、年次計画について承わっておきたいと思います。
  75. 曾田長宗

    政府委員(曾田長宗君) らい研究所の設立は、昨年のたしか六月だったと思うのであります。御承知のようにらい対策は非常に困難であり、しかも重要な問題でございます。いろいろと学問的にも究明されておらない点が多々ございまするので、やはりかような欠陥を補わなければならぬというようなことで、最近設立されたものであります。これは療養所の運営というようなものとも非常に深い関係がございます。また研究の重要な部分が患者の診断、治療ということにもなりまするので、やはり患者のおりますところが便利であるというような考え方から、東京のこの全生園附近の敷地の一画をさきまして、ここに研究所ができたわけであります。ところが御承知のようにただいま国立の療養所は十一カ所ございますのですが、各地に散在しております。そこの療養所の職員、あるいは各地の大学あるいは医学関係の研究所、かような方面の方々からも御協力願わなければならぬというようなところから、この熊本の恵楓園にらい研究所の分室を設けまして、ただいま運営いたしておるような次第であります。おもな研究の題目といたしましては、非常に広範なものではございますけれども、その主要なものをとりまして、やはりらいの診断、治療方法、特に治療といたしましては治療薬の研究ということでございまして、また、ただいまのことを実施いたしますための基礎といたしましては、この病理、これはもちろん病理組織学的な研究だけではなしに、病態生理学的な研究というようなものも含んでおるわけであります。それとそれから病原体及び血清学的な研究、それからさらにこの病気の感染あるいは広くいいますならば、伝播の状況というようなものを見ますために、流行病学的ないわゆる疫学と申しますか、さような研究というようなことをあわせて実施いたしておるわけであります。いろいろそのうちでも治療薬の研究ということが直接にこの患者の関心もひいておりまして、力を入れてほしいというようなことを希望されておるのでありまして、その点に重点を置いておるわけであります。いろいろ考えられました治療薬というような中には、合成薬等もあるわけでありますが、こういうようなものの効果を調べますためには、それが患者の体組織のうち、いかようなところにこの薬品が親和性を持っておるかというようなことを調べて参りますためには、このためにいろいろな研究所に応用されております、いわゆる放射能を持っておりますアイソトープというようなものの応用も必要である。こういうような点から、かような方面の研究を要望されておるのでありますが、今のところアイソトープを使う施設はございません。ただいまいろいろ項目をあげて申しました各般のことについてこの研究に着手し始め、研究所の物的な研究施設としましては決して十分ではございませんけれども、かなり新しい機械等も入れていただいておるわけであります。ただいま申しましたようにこのアイソトープ等を応用する研究、こういうような点、あるいは新しい研究でありますために文献等も幾分不足いたしております。かような点を将来充実して参りたいと、かように考えております。
  76. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私がお伺いした重点は、ここに千四百七万五千円が予算化されているわけですが、これで一応態勢が整うのか、それともこの程度の予算では何年計画ぐらいで一応満足すべき施設設備というものが完備されるのか、それを簡単に伺いたいと思うのです。
  77. 曾田長宗

    政府委員(曾田長宗君) 実はこの種の研究所と申しますものは、私ども承知しております限りにおいては世界中でも他に例を見ないのでありまして、私どもとしましては、もっともっと内容充実したものを設けて研究成果のスピード・アップに努めたい、かように考えているのでありますけれども、まず他に比べましてもかようなものは類例がないというような状況でございますので、私どもとしてはせっかくこのちょうだいいたしました研究予算というものをできるだけ十分に活用してて参りたい、そうしてその成果の進んで参りますに応じてまた予算充実もはかって参りたい、かように考えている次第であります。
  78. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それではあとの性病予防のところに思想普及補助金というようなものが新らたに組まれておりますが、このらいに関しての啓蒙というのは、従来民間団体等においてもずいぶん努力されてこられたことを承知しておりますが、今・何ですか、この予算の中にはらいに関しての啓蒙費というようなものはどこに入っているのでございますか、またどの程度入っているのか。私は依然としてこのらいに関する啓蒙普及というのは大事ではないかと思うのですが、その点承わりたいと思います。
  79. 山口正義

    政府委員山口正義君) らいに対する啓蒙宣伝費、これは政府直接よりも、御案内の貞明皇后がなくなりまして、その記念財団としてできました財団法人藤楓協会の仕事として啓蒙宣伝をやってもらっているわけでございますか、従いまして、予算上ではただいまお手元でごらんいただいております研究所費の上の(2)のらい予防事業委託金百二十二万三千円、その中に六十一万二千円だけ思想普及費として藤楓協会に委託してやってもらうという予算が計上してございます。
  80. 湯山勇

    湯山勇君 次に水道についてお尋ねしたいのですが、水道全般については大臣がお見えになってから質問させていただきたいと思います。ここでは特別失業対策緊急下水道、これは今年実施した経験から各所に問題があるのじゃないかと思うのです。で、これの実施状況を簡単に御説明願います。
  81. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 昨年、本年度の予算におきまして、やはり一応五億円程度の仕事でございました。これは当初から失業対策事業の一環として行いますことを相談をいたしまして、実施をいたしたわけでございます。その結果数々失業救済的の意味があることがわかりました。たとえますれば、下水道事業が都市に集中いたしておりますために、ちょうど失業者の多い地域に限られておるというようなことから、労務者の輸送その他のことが省けるというような点がございます。なお労務の吸収率につきましては、非熟練労務者の吸収率が大体全吸収率の八〇%程度までも吸収ができますので、きわめて優秀な成績を上げた次第でございまして、これらの点から考えまして、本年度はこれを当初から失業対策事業として実施する方針といたしたわけでございます。ただし実施に当りましては、実施官庁たる厚生省予算を移しかえまして実施をすることになっております。  ただこの際ちょっと注意しなければなりませんことは、たまたま労働省におきまして失業対策事業として実施する個所が指定されます。その関係でたまたまその指定個所からはずれた場所に特に下水道が必要であるというようなことがありますと、ここにいささか不便な点が考えられますが、しかし由来下水は都市が重点でございます関係もありますので、かれこれ勘案いたしまして、たまたま国といたしましても失業対策事業がきわめて重要な意義を持っておりますときから、これに協力する意味でもさような措置をとった次第でございます。
  82. 湯山勇

    湯山勇君 これは昨年は労働省からの移管ではなくて、厚生省予算として計上されておったと記憶しますが、間違いだったでしょうか。
  83. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 御指摘の通りでございます。ただ本年はこの失業対策事業として当初から実施することといたしましたので、あらかじめ予算労働省予算に計上いたした次第でございます。しかしながら、ただいまも申し上げましたように、計画を実施する段階になりますと、これは当然実施官庁たる厚生省予算を移しかえて実施をすると、かようなことになっている次第でございます。従いましてその点では何ら不便がないわけでございます。
  84. 吉田萬次

    吉田萬次君 関連です。が、今水道の問題が出ましたから私も一、二御質問申し上げたいと思います。水道は非常に重大な関係を持っておるということば、都市についてでありますが、都市経営においての第一の要点というものは衛生であり、衛生の中に上下水道が含まれておるということは、これは当りまえのことであります。ことに昨年来たくさんな都市ができて参りました。都市ができてくるとすれば、上水道というものも必要というか、当然それはせなければならぬという関係から相当の予算がふえてくるべき性質のものだと思っておるのに、ここに減額せられておる、その理由を承わりたいと思います。それから今水道について拡張しておるたくさんな各都市がありまするが、すべてが減額せられておって困っておるような状態でありまするが、それに対してどういうお考えで削っていかれたかということ、それから簡易水道の問題でありまする、簡易水道というものの施設についても一定の指示というものが行われておるかどうか。現在簡易水道というもののために、非常に農村においても便利を受けておるというふう一のことは、これはだれでもよく知っておることであります。しかしながらどこに掘ったらいいか、あるいは水量がどれくらい出るだろうか、また必要な水量というものに対する関係の調査というものについて、地方でこれに対する知識があるかどうかというようなことを考えますと、現在の状況からいきますると、なるほど補助金はもらう、そして作る、作るけれども、ただ簡単に常識的にどこに作ったらいいかというようなことで作ったがために、一、二年にしてすでに水源の枯渇を来たす、だんだん掘り下げていく、しかしながら、どれだけ掘り下げていってそれで水が出るかというような方針もなしに、ただその場しのぎの方法によってそれが行われておるのでありまするが、少くともかような簡易水道というものを作らせるというふうのことであったならば、いかなる地点がいいか、水量はどうして出るかというようなことに対する指示というものがあるべきはずだと思いますが、かような問題について当局はどういうような方針のもとに指示を行なっておるのか。
  85. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 第一点の上水道の予算の点でございまするが、上水道につきましては、御指摘のように近年町村合併等の関係もございまして、とみにその要望が高まっております。これは昭和二十九年度までは一部補助事業として実施し、他の大部分をこの単独起債事業として実施をいたして参った次第でございます。しかしながら、この全事業量に対しましてはきわめて少額の補助金でありました関係で、昭和三十年以来この補助を打ち切りまして、もっぱら起債に依存する方針といたした次第でございます。従いまして、事業量の点から見ますると、いまだ来年度の事業量は起債面で確定いたしておりませんが、おおむね百五十億程度で実施する見込みでございますので、むしろ本年の百二十億より若干上回った事業量ができるのではなかろうかと存じております。従って上水道事業に関しましてはその事業の本質、特にその企業性等にかんがみまして、今後もこれを起債事業として推進する方針でございます。  次に簡易水道につきましては、御指摘のように私どもはかねて地方の技術力を培養することに努めて参っております。たとえますれば、設計あるいは構造の基準、あるいは維持管理の基準というようなものを定めまして、この基準に基いて地方庁を指導いたしております。ただいま御指摘のように水源の選び方等につきましてもそれらの一環として常に注意をいたしておりますが、これは技術的になかなかむずかしい点もございますので、私どもといたしましては、従来試掘をいたしまして、水量を見定めてから、その状況報告を受けてから認可あるいは補助の執行をしてゆく方針を立てております。しかしながら、ときたま試掘をして成績がよかったが、実際に水を出してみますると、試掘通りにいかなかったというようなこともきわめてまれにございます。ただいまさような点の御指摘かと存じますが、今後は時期等を選びまして、地下水の最も枯渇する時期を選んで、試掘された成績を基準として進んで参りたい、かように考えております。なお簡易水道の場合には原則といたしまして地下水、その他湧水等を水源といたしております関係で、河川の流水等を使うのはきわめてまれでございます。しかしこれらの場合におきましても、河川管理者たる都道府県知事の河川使用の許可書を必ず添付させまして、それによってかれこれ判断するということにいたしまして、間違いのないことを期しておる次第でございます。
  86. 安井謙

    ○副主査安井謙君) ちょっと委員の皆様に申し上げますが、午前中の御要望もありまして、大蔵省の宮川主計局次長も参っておりますので、お含みの上御質問を願います。  それから政府委員の方への質問もなかなか多いと思いますので、なるべく簡潔に一つ要点を御答弁願えればけっこうです。
  87. 吉田萬次

    吉田萬次君 今水源に対する調査は十分にしてあって枯渇するようなことはまれだということを言われましたが、私は愛知県ですけれども、あそこのデルタ地帯におきまして、当然水がなけらねばならぬと常識的にも考えられるところでありながら、相当掘り下げ掘り下げして、しかも現在苦しんでいるところがあります。私はこの問題については十分将来について考慮がしてもらいたいと思います。  それから方針としては、この上下水道の上水道を先へやるか、あるいは都市にこれから認可せられるについて下水道を先にやるかということについての一定の方針がありますか、どうですか。
  88. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 上下水道の関係はあたかも人体の動脈、静脈の関係にもたとえられることでございまして、同時に並行して進むことが最も理想的の姿でございます。しかし水の問題は一日として欠くことのできない問題でもあり、その頻用度から参りまして、切実感から参りまして、水の問題が切実性がありますために、従来施策の上としては上水道に勢い力が入って参るという結果になって参ります。しかし私どもはできるだけすみやかな機会に上下水道を並行して進むように、むしろ下水道の拡張をも、充実をもはかっていかなければならないものと考えております。
  89. 吉田萬次

    吉田萬次君 今の答弁はですね、私は非常に不可解な答弁だと思う。そればなるほど都市としてはもちろん急を要するものは上水道でしょう。だから上水道を早くやろうということを考えるのはこ木は当然かもしらぬ。しかしながらほんとうに衛生的見地から考えましたならば、私は下水道を先にやるべきものだと思う。恩恵を受けるのはなるほど上水道の方が眼に見えてそれは必要かもしれませんけれども、しかしながらほんとうの掘り下げを、厚生省の立場から衛生的というものを根幹として考え、また都市の模範的の経営とまではいかんでも経営させようという観念からいきましたならば、私は当然下水道を先にすべきである。一定の方針というものを本省が持っているのは当りまえかと思うが、そのときの方針が並行してやりたい。なるほど並行してやるのが一番いいかもしれないけれども、並行するのは相当な金がかかるのですよ。その金のかかる大事業に対し一定の方針を本省が持っているのは当然のことだと思う。それに対する上水道、下水道いずれを先にやるかという方針がないのは、すこぶる私はいかぬと思う。おそらくこれを私は識者に考えさせたならば、私は下水道を先にすべきものと考えますが、この点十分な御考慮が願いたいと思います。  それからもう一つこの起債の問題ですね。今おっしゃった起債の問題ですが、この起債というものはもちろん地方自治から、また地方財政に対しての相当な考慮が必要でありましょうけれども、必要なこの問題について、ことに衛生上最も重要な上下水道に対する起債というものはある程度まで緩和してもらって、そしてやらせてもらわなければいかぬと思うが、非常な窮屈になっておりますが、この点に対して十分な交渉をしてそして起債ができるようになっておりますか、どうですか。
  90. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 現在上下水道ともきわめて要望が多いために、できるだけの起債ワクは確保に努めてはおりますが、要望に比べますれば十分の一あるいは何分の一という少額になりますために、勢いその仕事に無理がかかってくるということは事実でございます。
  91. 吉田萬次

    吉田萬次君 もう一つ。ただいま、そうして湯山委員からの御質問がありました、このいわゆる今度失業者がたくさんできるのに対するこれの一つの考え方として、そうしてこの方面へ労働力を持っていかれるということはこれはけっこうなことだと思います。しかしながらほかのことと違いましてこの上下水道というものはあとで修繕するのに非常に骨が折れる。そうしてまたその修繕する間待たせるということもでき得ないのです。従って私はこれは人夫としては最も優秀なものを使わなければならぬにもかかわらず、このニコヨンを使って一時それによって労働力を補充せようなんというのは、そういう考えをもっておってこの重大問題を解決するのに適正であるかどうかということを私はお尋ねしたい。
  92. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) この点は先ほども申し上げましたように本年度におきましていろいろ試験的に実施をしてみたわけでございます。もちろん御指摘のように技術力の点等も勘案して十分に調べたその結果は、熟練工を二〇%程度配置することによりましてりっぱに支障ない工事が完成できることが確かめられましたのでかような措置をとった次第であります。
  93. 湯山勇

    湯山勇君 今の水道につきましてですが、労働政策としては失業対策という名前をつけて水道工事をやるという行き方は下だと思うのです。実は水道工事をやる、上下水道工事をやるということで自然に失業者が収容されてくるという形が望ましい形であって、私はこのやり方は労働省予算に計上して、それを厚生省が移管してもらうということには私は反対です。こういうやり方は建設省も同じような例がありますけれども、将来改めるべきじゃないかという意見を述べまして、建設省も同意見である。昨年厚生省の方はそうでなかったのでいいと思っておったところが今年はまたそうなっておりますのではなはだこれは不満でありますから、適当な機会に是正願いたいと思います。また運営面で是正できると思いますから、来年度の部面は是正をぜひやっていただきたい。これは要望にとどめます。  なお御見解があれば政務次官から御見解を伺いたい。
  94. 山下春江

    政府委員山下春江君) 御指摘のような面は、水道というものは全く人間生活に非常に大切な部分でございますので、未熟練な者によって行われる工事をいいと考えておりませんが、いろいろ熟練工の配置等によって、他の工事面はさほど熟練していなくてもできるというような実績も上っておるのであります。しかしながらお説の通りの考えを私どもも持っておりますので、今後この点については一そう研究をいたしたいと存じております。
  95. 湯山勇

    湯山勇君 地盤変動水道を削った理由を承わりたい。これは大蔵省の方へお伺いする方がいいと思いますから、主計局の方の御見解を……。
  96. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 地盤沈下の問題につきましては、御承知のようにこれを実施いたしましてから相当年数も経過いたしております。で、今年五億円の特別失対関係の緊急下水道関係の予算の移しかえで減額になっておりますけれども、それを除きますれば簡易水道関係で約五千万円近く増額しておるような事情にありまして、財政の点を勘案いたしまして本年これを打ち切ることといたした次第でございます。
  97. 湯山勇

    湯山勇君 簡易水道増額だとおっしゃいますけれども、実際は当初予算においては増額になっておりませんのです。で、前年も大蔵省の方へもお聞きしたのですけれども、まあ大蔵省としては地盤変動の水道は打ち切りたい、そのかわりその分は簡易水道で埋め合せをするというような意味の御発言もありました。ところが先ほど大臣の御説明でもそうでありましたように、節約等によって補正した分は別としてそういうことはあとでできた事態ですから、当初予算編成の考え方から言えば少しもふえておりません。そこでこうなれば結局水道行政が大事だと言いながら簡易水道についても同じような……できたものは同じようなもので、性質は違いますけれども。とにかく全体のワクとしては縮んでおるというのだと思うのですが、これは私ははなはだ不満に思うのですけれども、次長、どういうふうにお考えでしょう。
  98. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 確かに、言われますように、大蔵省が当初査定いたしました金額は減額になっております。いろいろ党との折衝、その他でこういうふうになったわけでございますが、地盤沈下の関係は、御承知のように補助率が一般の簡易水道と違っております。その点の問題がございますが、簡易水道関係の予算額が、全体の財政需要等とにらみ合せの上でございますが、相当金額入っておりますならばこの金額の範囲内で地盤沈下の方へ、なお残りがありまするならば、失対の方を優先的にやっていくように配慮していく、こういうふうに運用して参りたいと思っております。
  99. 湯山勇

    湯山勇君 これは、将来当然簡易水道の方を増額しなければ今の趣旨は達しられ広いと思うのです。簡易水道に対する要求は非常に大きいのですから。また地盤沈下の残事業は相当あります。それをこういうふうにしてしぼってしまうということは、はなはだ不当だと思うのですが、将来増額しなければならないとお考えになるかどうか。どうですか。
  100. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 簡易水道につきましては、非常に要望も強く、また、その効果も非常に適切に現われておるということは拝承いたしております。従いまして、今後全体の財政需要ともにらみ合せて、財源とのにらみ合せでございますけれども、十分検討して参りたいと思っております。
  101. 湯山勇

    湯山勇君 厚生省の方へ、今のと関連してお尋ねいたしたいのは、今次長の御発言の中に、来年度の操作においても地盤沈下地帯は優先的に考えた方がいいのじゃないかというような意味の御発言がありました。そういう措置をお考えになっておられるかどうか、簡単にお答え願いたいと思います。
  102. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 簡易水道実施個所を選定いたします場合には、もちろん地方実情から緊急性のある所を優先して参っております。従いまして、この地盤沈下で、現に塩水を飲んでいるというような所は、これはきわめて緊要性の高いものといたしまして、私どもといたしましては極力簡易水道の幅の中で優先順位をつけて参りたい、かように考えておる次第でございます。
  103. 湯山勇

    湯山勇君 次にお尋ねしたいのは、し尿消化槽整備補助金ですが、これは法律ができたにもかかわらず、昨年予算が組まれてなくて、いろいろお話をいたしました結果、本年五千万円だけ組まれておりますが、相当消化槽というのは金を食いますので、あの法律にもあります通り予算措置はもちろんですが、同時に起債を相当考えなければ、せっかく組まれた予算が無意味なことになると思います。これの起債についてはどういうふうなことになっておりますか、これも簡単に御説明願いたいと思います。
  104. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 現在、し尿消化槽の補助率は四分の一でございまして、四分の三が地元負担となっております。この場合、地元負担の四分の三の引受分に対しまして、約半分程度の起債が承認されておる次第でございます。しかしながら、私どもといたしましては、なおこれにプラスして、さらに単独起債を確保することが適当と考えまして、その点は目下財務当局と折衝を重ねておる次第でございます。
  105. 湯山勇

    湯山勇君 これはぜひこの補助に見合うだけの起債の確保に御尽力願いたいと思います。  ちょっとあとへ返りますけれども、吉田委員からの御質問もございましたが、大都市はもちろんですが、中小都市等において下水が不備なために非常に困っています。この下水は、その完全なものを要しほいで、私どもの御里の方の中小都市について見ましても、非常に簡単なので十分効果が果せるような、そういう場所もたくさんあるのですけれども、そういった下水を、水道に簡易水道があるような形で、もっと簡単な下水というようなものをこの際考える余地はないものでしょうか。
  106. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) この点は全く御指摘の通りでございまして、私どもも日本全国大都市にふさわしい改良下水道一本で進んでいくということは果して実情に合うかどうかということを反省いたしております。従いまして、ただいま御指摘のような、実情等を見まして、小さな町あるいは市等におきましては、むしろ工事費のきわめて安い改良下水道以外の下水道を普及することも方法ではなかろうかと存じております。そこで、目下これらの点に関しましては、技術的にいろいろな面から検討を重ねておる次第でございます。
  107. 湯山勇

    湯山勇君 非常にこれは急を要する問題だと思います。別に複雑なものでもないし、検討といってもそうむずかしい検討は要らないで、ふたも要らない、三方かこえばいいような、そういう程度のものでも十分目的が達せられると思いますので、一つ早急に結論を出して実施できるようにお計らい願いたいと思います。
  108. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 一つ返りますが、ごく簡単にお答え願いたいと思います。それは、性病予防の(4)のところに、思想普及補助金とありますが、これはどういうことをやられるお考えか、学校教育と性教育の関連はどういうふうにお考えになっておられるか。それからごく簡単でけっこうですが、最近の性病の罹病率というものはどういうふうに動いておるか、さらに、罹病者の年令層はどういうところが最も計数上高くなっているか、概略でいいですから簡単にお答え願います。
  109. 山口正義

    政府委員山口正義君) 思想普及補助金、この内容は大体リーフレットを必要な人たちに配布する、それに対して国が二分の一補助する。その対象といたしましては、青年層に対するもの、あるいは妊産婦に対するもの、業態者に対するもの、それを積算基礎として人数を計算してございますが、今のお話の学校教育の関係につきましては、高等学校以上の学校の保健体育官というような人を青年層に対するものの中に含めてございます。それから性病罹病率のお尋ねでございますが、これは非常に疾病の性質上罹病率の調査ということはむずかしいわけでございます。特殊な対象者をつかんでの罹病率の調査はございます。たとえば、売淫常習の疑いのあるような人たちの罹病率、これは全般的に見まして、大体一七、八%というような成績が出ております。性病の患者の数につきましては、性病予防法に基きまして届出をさしているわけでございますが、その性病予防法によりましての届出の数は累年減ってきております。特に梅毒が減ってきております。これはいろいろな抗生物質あるいはそのほかの薬品の出現によりまして、顕症梅毒、表に現われます梅毒が非常に少くなって参っております。これは現実に一般の開業医の方に伺いましてもそういうことが証明されておりますので、梅毒は少くなってきておると思うのでありますが、淋病はそう顕著に減少しておるわけではございません。一年間の届出の数が昨年で約十八万というところでございます。しかし、実際の数は私はもっとたくさんあるだろうというふうに考えます。しかし、その実数をつかみますことは、先ほど申し上げました通り疾病の性質上なかなかむずかしいというふうになってくるわけでございます。また罹病率の年令層別のお尋ねでございますが、これは現在手元に正確に調べました年令別の統計数字を持参いたしておりませんので、お答えいたしかねるのでございますが、やはり青壮年層に比較的多く出ていると思うのでございます。正確な数字は手元に持ち合しておりませんので、後刻調査いたしましてお届けいたしたいと存じております。
  110. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 成年式というのがございますね。戦後の男女の罹病状況はどういうふうに推測されておりますか。
  111. 山口正義

    政府委員山口正義君) これの実態調査というようなことも一応考えたのでございますが、なかなか実施いたしますのにいろいろな問題を含んで参りますので、その調査が困難でございます。戦前は徴兵検査の際の調査がございましたが、最近ではそういう調査がございません、できませんので、はっきりした年令別の数字はつかんでいないわけでございますが、売淫常習の疑いのある人たちの調査でございますと、先ほど申し上げましたような数字が出ておりますが、全般的に見まして何パーセントとかというような数字は現在持ち合せておりません。
  112. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は性病予防の対策としては十七、八才から二十三、四才、この間の青年男女を対象に重点的に対策を講ずればよろしいのではないかと、かような私は考えを持っているのですが、どういうようにお考えになっていらっしやるか。
  113. 山口正義

    政府委員山口正義君) 疾病の性質上御指摘の通りでございます。性病予防はやはり思想を普及して、性病にかからないような注意をさせるということが最も大切だと存じます。そういう点から考えまして、先ほど御指摘のような年令層に特に重点を置いていくべきだというふうに考えるわけでございまして、今回計上してございます予算につきましても、先ほど御説明申し上げましたリーフレットの配布の対象、これは一つの現われにすぎないかと存じますが、先ほど申し上げましたように青年層に特に重点を置いて、高等学校以上の学校の保健体育官、あるいは青年団の指道者、あるいは事業所の衛生管理者、これは若い人が多いようでございますが、そういう人たちにこのリーフレットを配布して、そうして思想を普及して参りたい、そういうふうに考えているわけでございます。
  114. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次に飛んで、国立病院整備について政務次官にちょっと私は伺っておきたいと思うのですが、国立病院の七十四カ所の中には、旧陸海軍病院を終戦後国立病院として再生したものがずいぶんあるわけですが、現在の政府による自衛隊の増強敵策によって、このうちの若干を自衛隊の病院として復元する動きがあるのではないかとかように私は推測しているのですが、そういう交渉があったかどうか。もしかつての海軍病院を今度自衛隊の病院にしてほしい、そういうふうにしたいというような政府部内において話し合いがあった場合に、厚生当局としてはどういう態度をとられるのか、政務次官に念のため伺っておきたいと思います。
  115. 山下春江

    政府委員山下春江君) ただいまさような交渉は一切受けておりませんが、万一受けましたような場合でも現在使用いたしております国立病院というものは決して多きにすぎておるものではございませんから、そういう申し出には応じないつもりでございます。
  116. 湯山勇

    湯山勇君 今の医療機関整備の中で新たに僻地診療所というのが出ております。この僻地診療所というのは国保の直営診療所とどういう関係がありますか。それからこれで見ますと一千五百万円で三十二カ所、二分の一補助ですから一カ所総計費約六十万円ぐらいにしかなりません。それで果して診療所ができるのかどうか。これはせっかく組んだとしても消化されないんではないか、こんなものでは何にもならぬのではないかという懸念がありますから、その点と、もう一点は、僻地の診療所はお医者さんが行くのに非常に困ると思うのですが、これに対する特別の対策がなければ、せっかく作ってもこれまた無意味になると思いますので、以上三点について御説明願いたいと思います。
  117. 山下春江

    政府委員山下春江君) 概略申し上げまして詳しいことは政府委員からお答えをいたします。六十万円程度で果してこれを消化し得るかということでございますが、これはもう全く僻遠の地でございまして、自由開業による診療所等を作ったり、あるいは相当の規模の診療所を作りましても、とうてい引き合わないような全くの僻遠の地、これは政府におきまして将来国民皆保険をいたします場合にぜひともなくてはならないと考えまして基幹診療所の出張所のようなものでございますが、これは設備費はそうでございますが、この運営に当りましては八割国が出しまして、ほとんど国が直接やるような僻遠の地の対策を立てまして、従いましてこれはこの程度で作れる範囲のものを作って行きたい、こう考えております。そこに配置するお医者様に対しましては非常に困難をするであろうと考えております。それにつきましてはいろいろ考えて参ったのでありますが、予算として今現われてはおりませんけれども、その僻遠の地に行っていただくお医者さんにつきましては厚生省としてはいろいろ具体的に考えておりますが、予算を今回伴うことができなかったので、なお今具体的に考えつつあるわけでございます。詳しいことは政府委員からお答えさせます。
  118. 吉田萬次

    吉田萬次君 今僻地に対する医者の問題が出ましたので、私は医者である関係上希望を述べておきたいと思います、今の三十何万円ぐらいの補助では絶対にだめです。そんなわずかな考え方ではだめだと思います。なぜ医者が行かぬのだろうということを考えますと、お互いが医者でも子供があります、第一考えるのは自分の将来、自分の子孫の将来をどう開拓して行くかということをまず念頭におく。そうするとやはり山ぼけといいまして十年間僻地におりますると、もう普通の人間と変ってしまいます。従ってそういうところで子供の教育ができるかということを考えました場合に、できないという湾えと、もう一つはインテリである以上自分の子供に教養がしたいという考えを持つ。従ってさようなところへ行って、そうしてやろうというのは特殊な考えを持っておる人か、あるいは子供のない人なら行けるかもしれませんけれども、おそらくかようなところへ行く医者というものはないと思う。なぜ都市に集中するかということも私はそこに近因があると思う。従って僻地におけるところの医者を待遇するとかいうふうなてこについては相当の考慮を持ってもらわなければいかぬということを私は希望として述べておきます。
  119. 山下春江

    政府委員山下春江君) 御指摘の通りでございまして私言葉が大へん足りなかったと思いますが、基幹病院からそのお医者様を派遣するのでございますので、そこに定着していただくことは困難と思っております。基幹病院から派遣するにいたしましても設備内容等につきましては十分の考慮が必要と思いますので、御指摘の点は十分考慮いたします。
  120. 安井謙

    ○副主査安井謙君) 今矢嶋委員の御質問に関連して、公衆衛生局長からちょっと追加の御説明を申しておきます。
  121. 山口正義

    政府委員山口正義君) 先ほど矢嶋先生からお尋ねの性病の年令別の発生の数字にお答え申しておりませんでたが、全体の性病のうちで、やはり十才から二十四才が、これは届け出で患者でございますが、約半数を占めておりまして、最も多数でございます。次に二十五才から二十九才まで、次が十五才から十九才まで、あとは急激に減少いたしております。先ほど御指摘のように青少年層に重点を置いて対策を講ずべきだと、そういうふうに考えます。
  122. 安井謙

    ○副主査安井謙君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  123. 安井謙

    ○副主査安井謙君) 速記を始めて。
  124. 湯山勇

    湯山勇君 ずっと飛ばしてお聞きしますが、蚊とハエのない生活実践運動、これも大臣にあとで説明願いたいと思うのです。昨年川崎厚生大臣は三年計画で蚊とハエの撲滅運動をやるということを言っておられましたが、三年計画というのはおできになりましたでしょうか。これはこの記録にもちゃんと載っております。
  125. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 昨年六月三年間に蚊とハエのいない生活が全国に分布するように方針を決定いたしまして、昨年来これを実施して参っております。大体やり方といたしましては、地域的にかなり成績を上げている。いわゆるモデル地区というものがございます。かような地区を年々倍加して参りまして、三年目には全地域をモデル地域にしたい、こういうことで進めたわけでございますが、幸いにも、第一年目の昨年は、それまでのモデル地区がおおむね倍になりまして、予定通りの目標に達しておりますが、本年は一応この参加人員を約二千五百万人にもっていく計画でおるわけであります。来年はさらにその位田ということにいたしまして、おおむね蚊とハエの駆除を徹底いたしたい、かように考えておる次第であります。
  126. 湯山勇

    湯山勇君 それは口だけでおっしゃいましてもそんなにいくのじゃございません。昨年いろいろ例をあげてお話しになりましたので、私も非常に関心をもっておりました。ところがあのときは世論も非常にこれを支持するし、せめてこれだけでも厚生省やったらどうかというような話もありましてまあ大臣も非常に熱を入れておりましたので、非常に盛り上ったような空気になりましたけれども、これに対して厚生省の打つ手が何もない、皆無です。そのために、むしろ今日では冷却している、これは寒さのせいばかりではありません。全くしぼんできております。  そこでこれは政務次官の考えもあると思いますけれども、これで見ますとわずかに百五十万足らずしか計上されていない。昨年は新生活運動から一千万円くらい回してもらおうというので厚生大臣が実に動き回ったことも私よく知っております。そういう関連もありましてこの問題についてはですね、あとで厚生大臣にお伺いしたい。次官も御異議ないと思いますから、大臣にぜひ聞きたいと思いますので、留保いたしたいと思います。  それから次は生活保護のところで一つだけお聞きしたいのは教育扶助です。これが七千五百万円ばかり増加しております。このふえた内容の中に対象人員がどれくらいふえておるか、そのことについて資料があれば御説明願いたいと思います。
  127. 安田巖

    政府委員安田巖君) 対象人員は二万九千二百七十四人でございます。増でございます。
  128. 湯山勇

    湯山勇君 これは教育扶助の中で給食が今度ボーダーラインにこれに対してなされることに若干なっておりますし、教科書も二十万人ばかりに出されることになっておりますが、そういうことも考慮に入れての上でこうなっておるのでしょうか。
  129. 安田巖

    政府委員安田巖君) そういうことを考慮に入れましてなおけさほど大臣の説明がありましたけれども、余剰農産物の贈与の分がございますので、学校給食の範囲が拡大されると思います。そういったものを四千八百万円ばかりみまして、合計いたした数字でございます。
  130. 湯山勇

    湯山勇君 そうすると、この二万九千というのは、給食対象人員は今度文部省から出ておる法律では教科書の方が一億二、三千万円、給食の方は五千万円くらいしがなかったかと思うのです。そうすると二万九千人の増というのは、これは給食の方では何名と、それから教科書の方では何名というふうに差ができるのじゃないかと思うのですが、そういう点はどうなっておりますでしょうか。
  131. 安田巖

    政府委員安田巖君) これは実は一緒になっておるのでございますけれども、大体給食の方でございますと、三十年度の実績というのがございまして、それがたとえば小学校で申しますというと述べ完全給食が五百三十九万五千人、一部給食が百四十六万五千人と、こういう数字でございます。これに対して現在の保護率と申しますか、困窮率と申しますか、そういう生活扶助の方から出しておりますものが、大体完全給食におきましては三・二四%、一部給食におきましては二・五%になっております。これを今度三十一年度の推定になりますと、大体五百二十九万の完全給食というのが七百九万にふえるのでございます。そういうものについて計算いたしておるのでございます。
  132. 湯山勇

    湯山勇君 これは基本的な問題ですけれども、お尋ねしたいと思うのですが、文部省から今のように準要保護児童に対する給食費の扶助・教科書の扶助が出るようになりました。こういう法律が出るということは、私は厚生省としては非常に恥かしいことじゃないかと思うのです。閣議等において大臣がどういう発言をなさったかは存じませんけれども、とにかく国の費用の中から、すでにこういう制度がありながら、別途に法律を作って、とにかく五千万と一億三千万、二億足らずの金を別ワクで出さなければならない、こういうことは私はこの厚生行政としては非常にまずいやり方だという気がしてなりません。次官、どうお考えでしょうか。
  133. 山下春江

    政府委員山下春江君) この問題は私自身も厚生省がそういう行政をやるべきだという信念をむちまして、予算編成に当りましてもずいぶん論議をいたしましたけれども、進展いたしませんでした。私どもとしましては、こういうことが二本立てで、法律等ができまして、別途行われることに対しましては、やむを得ないこととはいいながら、非常に残念な姿だと存じます。
  134. 湯山勇

    湯山勇君 この点に関してなお大蔵省の方へもお尋ねしたいと思います。それは同じような貧困児に対して同じ国から今のような形で出すというやり方がいいかどうか、大蔵省の方ではどうお考えになられますか。
  135. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 今のこの問題は基本的にはいろいろ考えなければならない問題があると思いますが、一応生活扶助対象になっておりますものは、いわゆる生活保護を受ける人で、今回文部省で考えておりますのは、教科書といい、いずれも何と申しますか、要保護者に準ずる準要保護者というふうに思っておりまするので、そのような法律態勢をとったものと思われまするが、生活保護のあり方として、そういう準要保護者も含めて生活保護対象にするかどうかという問題は、社会保障制度の一環として今後十分検討していくべき問題じゃないかと考えます。
  136. 湯山勇

    湯山勇君 多くは申しませんけれども、準という名前をつけただけなんです。実際はつけようがつけまいが、とにかく生活扶助対象になるものであることだけは間違いがない。そうしてこの項目からいえば、教育扶助という境目があるのですから、それだけでやる道もあるのです。これは今度はまあこういうふうになって仕方がないとしても、今後の問題もありますから、ぜひ一つすみやかな機会にそういうことのないようにしていただきたいと、これは特に大蔵省の方へお願いしたい。次官の御見解を聞きましたから、大蔵省の方でぜひ御善処願いたいと思います。  それからずっと飛びまして売春対策ですね、これは売春禁止法が出る出ないという段階ですが、この予算はそれについてどれだけ計上されているのですか。いろいろあちこち探して見ているのですが、これかなと思うのもあるし、そうでないものもあるしわからないのですが、どれがそれかお示しを願いたいと思うのです。
  137. 安田巖

    政府委員安田巖君) 売春対策というのは、今までの分が御承知の婦人保護費として二千五百万円ばかり計上しておりますが、これは既存の十七カ所の収容施設に対するこれは維持費といいますか、管理費でございます。それからもう一つ四千万円というのがあるわけでございますが……失礼いたしました、お手元にあります資料の中で六千五百万円となっておりまして、前年度の二千五百万円というのがそれに当る部分で、残りの四千万円の増が今度の売春対策費に相当するわけであります。実は今売春の方の審議会がございまして、そちらへ私どもの資料を持って行かせておりますものですから、今手元にちょうどありませんが、大体今考えておりますのは、これによりまして六大都市のあります府県、それから北海道と福岡、これは八カ所になると思いますが、八カ所の婦人相談所を作りまして、それに二十五人の一時収容所を作り、そこの方に必要な人員を見まして、なおそのほかに全国で四百八十六人だったかと思いますが、婦人相談員というものを設けまして、これを所要福祉事務所に配置をいたしまして、いろいろ保護の指導をしよう、こういうのがこの四千万円の内訳になっております。
  138. 湯山勇

    湯山勇君 これは四千万円ぐらいではまったく焼石に水のような感じがいたしますが、局長どうでしょうね、これでいけますか。
  139. 安田巖

    政府委員安田巖君) 私も実は同感でございますけれども、現在ちょうど売春対策審議会でいろいろと案が練られておりますので、取締法規がどういうふうにきまりますかということによりましても保護更生策も若干変ってくる点もあると思うのであります。もしこの法律が通りますならば、至急それに対してまた対策を立てなければならないと思いまして、四千万円で足りないようでございましたらば、また別のことも考えなければならぬというふうに私どもは考えております。
  140. 湯山勇

    湯山勇君 法律が出ましたら四千万円が骨組みになってこれに幾らか付け加えろのじゃまずいと思うのであります。私は一けたぐらい違っているのぢゃないかというふうな感じがいたしますがどうでしょうかね。この間東京のどこかでも廃止したが、廃止したとはいいながら、実際働いておった連中はほかの赤線に移って行った、法律が出る前に大体そういう態勢ができてなければ……、出てからでは間に合わないと思う。何か名案があるか、補正予算をするか、予備費から取るか、そういったような話合いは大体ついているのでしょうか。法律がで承ればということについて、大蔵省の方どうでしょうね。
  141. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 率直に申しまして、厚生省の要求された金額はけたが違うような金額でございます。もっともけたが違うといいましても、四千万円が四億というような数字ではございませんが、非常に隔たった金額でございます。私どもも売春対策の重要性を認識しているわけでございますが、いろいろな都合で今回四千万円でごしんぼう願っている次第であります。先ほど安田局長が答弁されましたように、一応四千万円でできるような仕組みで予算の配付と申しますか、使用計画を立てておりますが、売春対策審議会の審議の模様、あるいは法律の態様によりまして、なお付加すべき支出等につきまして、本年度内においてやるようなものがございますならば、機会を見まして予備費の支出等につきましては考えて参りたいと考えております。別にはっきりとお約束したような次第ではございませんが、そういう含みで考えております。
  142. 湯山勇

    湯山勇君 ぜひその点について御善処願いたいと思うのは、相談員も四百八十六人できて、四百八十六人の相談員が一人ずつ相談して更生補導しようと思っても、四千万円では無理です、実際問題として。相談員ができても相談員が相談に乗ることができない。これが今の予算の実態だと思いますので、ぜひ今のように早く御処置願いたいと思います。
  143. 吉田萬次

    吉田萬次君 その大都市だけに置かれるという話ですが、赤線区域というような方面に置かれる御意思はどうかということと、現在の赤線区域をやめさせようとしておられまするけれども、実際某方面では、自衛隊が今度新たにできるという所に対して、それを作ろうとして骨折っておる人がある。いわゆる知事といってはなんですけれども、作ろうと骨折っておる。しかしながらそれがどうかというと、今までのアメリカ人であれば相当に利益があるけれども、自衛隊、日本人の自衛隊というふうだと利益がないということから、業者がそれを作らぬというようなことまである。しかも一方これを防遏しようとするのには、これに対する費用が少な過ぎろ多過ぎるというようなこと以外に、置く場所というものも相当考究せなければ効果のないものだと思うのですが、どうですか。何か五大都市のようなもののある所あるいは北海道に局限して、そういう所へ置かれる、持っていかれた理由というものは、どういうために持っていかれたのか。ただ形式的にそういうものを配置するに適当だとお考えになってやったのかどうかということ。そしておそらくこの効果というものは私はないと思いますが、効果がなかったら試験的にまずやってみるというふうのものか。ちょっとその点だけお聞きしておきたい。
  144. 安田巖

    政府委員安田巖君) 六大都市と大阪、福岡へ置きましたのは、これは大体そういう所が保護の対象が多いからということで、予算の都合で集中したというだけのことでありまして、できますならば赤線区域は各府県にございますので、やはり各府県にそういうものが一カ所ずつ要るのじゃないかというふうな気持は持っておるわけでございます。
  145. 山下春江

    政府委員山下春江君) ただいま大蔵省の方では、もし法律ができて必要があれば、いろいろその財政措置は考えるというお話でございましたが、私どもがこの四千万円を引き受けますときには、全く暫定的に引き受けたのでありまして、これをもってこの対策が全きを期するとはいささかも思っておりませんが、この点に対しては、十分今後善処していきたいと考えております。
  146. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私はこの点について山下政務次官に伺いたいと思うのです。さつき蚊とハエというものの追放のなにがありましたが、あれなんか賞状を渡すらしいのですが、そういうような表彰をするようなことで、蚊とハエがいなくなるわけじゃない。それからまたこの売春の問題にしても、相談所を作って相談をするだけで解決できるものではなくて、あまりにも私は子供だましみたいになっておかしくなってくるのですが、もちろん売春の問題なんかは、政治的に考えた場合に、局部的な対症療法的なもので解決できるとは思っておりませんが、私は数ある自民党の議員諸君の中から、婦人議員としての山下代議士が政務次官に任命されたという点は、こういう問題のこの解決というものが、代議士の識見と手腕に私は期待されてなされたのじゃないかと思うのですが、私は伺いたい点は、かつてあなたは民主党におられる当時に、自分のこの政治的見解と相反するがゆえに、民主党を決然として脱党された過去があるように私記憶しておるのですが、こういう問題の対策、予算化等に当っては、私は自民党の中において、政務次官の職を賭してまで貫くだけの御決意があられるのではないかと、かように推察しておるわけです。最近日本の、ことに婦人層においても、また有識者層の間に、日本の売春問題が非常に取り上げられておることは御承知の通りで、まことにこれは情ないことだと思うのですが、私、昨年二カ月ばかり欧米の視察をする機会を持ったのですが、私、特別この方面に詳しいわけではないのですけれども、一つの研究題目として参りました。大使館、あるいは総領事館に行ったときに、ともかく僕はツーリストでわからぬから案内しろというので、大がいの所を案内してもらったわけですが、日本みたいな国はないですね。ことに私らみたいなツーリストに目につくような姿というものは、パリーとか、あるいはロンドンのピカデリーのごく一部にあるだけで、目につかないです。ところ、が久し振りに先般浅草へ行ってみました。一時より多くなっていますね。ものすごいものです。そうして交番の近くで白々どうですか、白黒いかがですか、こういうことを言うことが適当かどうかわからぬが、ここまで言わなければわからぬと思うのですが、こんな国は世界中探してもないのではないかと思うのです。従ってこれは厚生省だけで解決できる問題ではないけれども、少し筋金の入った強力な政策があって然るべきだと思う。その最も推進力となられるのが山下政務次官と、かように私は多くの方が期待されているのではないかと思うのですが、かつて民主党を脱党されたときのあの決意で私はこの問題に対処されるのではないかと思ったのですけれども、出てきた予算案というものはこういうもので、まことに遺憾だと思うのですが、あなたのお考え、それから御決意のほどをこの際承わっておきたいと思うのです。
  147. 山下春江

    政府委員山下春江君) お説の通りでございまして、私も一昨年欧米を回りまして、そのときに特に私は抑留者の早期帰還、戦犯釈放というような、別に議題を持っておりましたので、多く研究するひまはございませんでしたが、非常な強い関心をもつて、時間のありったけそういうことを研究して参りましたが、御指摘の通り非常に悲しい状態で、どこの国にも見られない状態であることはお説の通りであります。従いましてこの問題を四千万円で片づけろと言われましても片づくものではございません。私はこれは大蔵大臣にも、非公式ではございますが、念を押して、官房長官にも念を押して、この法律をお出しになる法務大臣にも念を押して、法律に伴いましてこの四千万円をもって然るべき方策を立てろとしいうことであるならば、この四千万円でお引き受けをいたしません。お受け取りをいたしませんと申し上げたのでございますが、そのときには断じて希望される金額を何とか工面をするということの御言明をいただいております。私どもはこの相談所を作りまして、いろいろ相談をいたしまして解決がつく問題ではございませんで、相当小さい子供のときからそういうことに酷使されております子供たちは、もう知能も非常に低下し、体も参っております。非常に治療等にも心をいたさなければ、人間として立ち戻れないという状態にまで進行しておる者も相当数おることを確認いたしておりますがゆえに、法律の推移に伴いまして、私はこの予算に対しましては、これを引き受けますときに、各要所々々に確認をいたしておりますので、何とか所期の目的を達し得るような予算をちょうだいいたす覚悟で、とりあえずこの予算の消化の方法を考えただけでございます。最善を尽して御期待に沿いたいと考えております。
  148. 湯山勇

    湯山勇君 これは私は毎年言い続けておるのですが、一向公約を守っていただけない問題で、お尋ねしたいのですが、社会福祉事業振興会の出資です。これは十億ずつ四カ年出すという約束をされてもう三年になりますけれども、ちっともこれは実現しないのですが、どういうわけでしょうか。
  149. 安田巖

    政府委員安田巖君) いろいろ国の方の財政の事情もございまして、当初三千万円、その次に一億、それから三十一年度に一億で、現在一億三千万円でございますが、三十一年度の予算が成立いたしますというと、二億三千万円でございます。まだ十分ではございませんけれども、しかし過去の実績を見ますというと、非常にまあこれで各種社会福祉事業施設が潤って行く……。まあ今後だんだん一つふやして参りたいと存じます。
  150. 湯山勇

    湯山勇君 これは民営競馬になるときの約束もございまして、あの法律が通ったときにも、約束は十億ずつ毎年出しますという約束であったのですけれども、いまだにその約束が果されない。競馬の方はちゃんと民営になっております。こういう約束は一つきちっとお果しになったらどうでしょうか。これはどちらに……、大蔵省にお聞きすべきか、厚生省に聞きすべきかわかりませんけれども、どうでしょうか。大蔵省の方いかがですか。私はもうこれはここへ出るたびに言います。何年でも……。
  151. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) ただいま湯山先生の仰せられました十億という点につきましては、私は昨年秋着任いたしたばかりで、今、事務官から聞きましたが、そういう話しははっきり伺っていないのでございますが、中央競馬会の民営の際に、国庫納付金の四分の一相当額を下回らないように社会福祉事業振興費を予算に組めということになっておったことは承知いたしております。今年度の予算もそれを上回るような金額になっております。で、社会福祉事業振興会への出資金につきましては、ただいま安田局長からお答えいたしましたまあ財政の事情その他から一億三千万ということになっております。これはこの点につきましても三十二年度予算編成の際に十分厚生省と御相談申し上げてやって行きたいと考えております。
  152. 湯山勇

    湯山勇君 これは二十八年に法律ができますときに、そういうことをちゃんと約束になっておられるので、競馬があるなしにかかわらず、千億ずつ出すということになっておりました。ましてその上に競馬の収入があるわけですから、その分だけ加わわっていいはずなんですけれども、実はこういう状態で、これは約束に違反しておりますから、一つ次長の方でもよよく二十八年の一当時の記録もお調べいただいて、ぜひ一つきちっと、約束ですからやっていただきたいと思います。  それから次に、ずっと飛ばしてお尋ねしたいのは、精薄児通園センター補助金というのが一千七百万ばかり組まれております。これは非常にいいこととは思いますけれども、文部省関係との打合せですね、これがどうなっておるでしょうか。
  153. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) これは従来御承知のように精神薄弱児につきましてはその収容施設を設けまして、そこで万般の世話をするというような方式のみでありましたのを、外国におきまする例、それからわが国におきまするささやかなテストの結果、通園によりまして生活上あるいは職業上の指導等を加えることによって相当効果をあげ得るという、そういう見解のもとに、まず六大都市を中心として、こうしたことを考えて予算に計上されておるわけでございます。従いましてこれは従来におきまするいわば精神薄弱児対策の延長でございまして、直接文部省と打ち合して、権限上のどうのこうのという問題はないのでございますが、文部省としてもおそらくこういう方式が私の省でできますことについては御満足のことと存じます。
  154. 湯山勇

    湯山勇君 文部省の方で養護学校というのをやろうとしております。それとはどういう関係になりますか。
  155. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 精神薄弱児と申しましても、先ほど申し上げましたように、知能の指数が非常に種々ございまして、大体おおむねの考えとしましては、知能指数の割合に高い精神薄弱児につきましては、これは学校に通って、すなわち養護学級の形式においてこれを処理する。それ以下のものにつきましては、私の省につきましてあるいは収容施設、あるいは今回の通園センター、あるいは将来考えなければならぬと思いますたとえば白痴の収容施設、そういったもので考えて行こうじゃないか。大体そういうような知能指数の程度によりまして、お互い協力し合ってやって行っているわけでございます。
  156. 安井謙

    ○副主査安井謙君) ちょっと湯山さん、どんなものでしょうか、時間が……。
  157. 湯山勇

    湯山勇君 私はあまり余計やりませんから……。
  158. 安井謙

    ○副主査安井謙君) 実は先ほど申し上げましたように、大臣以下全員待機して、待っておりますから、できればやはり今日かかった方がいいと思いますが……。大臣やはり夕方からちょっと用事があるそうでございますので……。
  159. 湯山勇

    湯山勇君 はい。で、ここで指導に当る人は、教員免状などは要しないのでしょうか。
  160. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 一応さように考えております。
  161. 湯山勇

    湯山勇君 要らない……。
  162. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) はあ。
  163. 湯山勇

    湯山勇君 次に季節保育所が、本年もやはり出てないようですが、昨年削除になるときに、ずいぶん問題がありまして、委員会においても、また予算委員会においても、非常に希望があったのですけれども、どうして復活されなかったか、理由は……。
  164. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) この季節保育所は、非常に今お話のように要望の強い施設でございまして、私どももぜひこれが復活をはかって行きたいと努力をいたしましたけれども、いろいろな都合で計上に至りませんでしたことは、大へん残念に思っております。今後とも努力いたしたいと思います。
  165. 湯山勇

    湯山勇君 いろいろな事情というときには、大蔵省に帰すれば間違いはないので、お聞きしなければならないのですが、実は季節保育所というのは、そう金を食わないんです。金額も少額でもって、しかも非常に効果があって、特に農村等は期待されているのですが、そういう関係もあって、昨年これを削除のときにずいぶん議論がありまして、大臣もできるだけ実現に努力するということを言っておられたのですけれども、一向実現してないので、はなはだ不満ですが、どういうわけでお出しにならなかったのでしょうか。
  166. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 厚生省からは強い御要望がございました。しかし私ども今年も、昨年も同様でございますが、昨年度同様補助金につきましては、国の財政負担をできるだけ少くする、並びに地方政政との関係を考慮いたしまして、昨年度に引き続いて今年度ももっと大幅に補助金の整理を行いたいと考えておったのであります。やって見ますと、なかなか思うように参りませんで、そう思い切った補助金整理はできなかったのでありますが、今問題になっておりまする季節保育所補助につきましては、御承知のようにすでに二年間にわたりまして、これを実施いたしておりまして、五千町村について年二回実施しております。その結果相当全国的に普及しておる実績が表われておりまして、この補助金を創設いたしました所期の目的が大体実現できておるのではないか。補助金を作ります場合に指導的と申しますか、啓蒙的と申しますか、国から何がしかの補助金を出すから一つ地方の方でやってもらいたいというふうに始めまして、それが相当の効果をおさめ得ました場合には、できるだけこれを廃止していきたいという考え方をとっております。  なお、この補助金は一件の金額が平均三千円ばかりの金でございまして、湯山先生が言われましたように、きわめてわずかな金額でございます。わずかな金額であるからやったらいいじゃないかという御意見もあろうかと思いますが、私どもといたしましては零細な金額で済むことならば、一つ地方の方でやっていただいたらどうか。国が三千円ばかりの金を補助をすることもないのではないかというような観点から、今年も引き続きまして厚生省の御要求をお取り下げ願ったというような次第でございます。
  167. 吉田萬次

    吉田萬次君 ちょっと関連して一言だけ。この問題は昨年予算委員会の予備審査のときに私が質問した問題です。そうしたら必ずこれは来年は実行させますということをはっきり大蔵省が言っておった。あなた方、引き継ぎがなかったのか。どういうわけか。ああいう所で言ったことは責任がないというのですか。
  168. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 私、引き継ぎは受けていないことは事実でございます。ただ国会におきまして政府が明言いたしましたことを、実行いたさないというととはこれはいけないことと思います。ただかりに明言いたしておりましても、これは国会でまた御審議願うわけでございますが、先ほど申しましたように、私どもといたしましては、前年度よりもさらに補助金整理を実行いたしたいという考え方のもとに行いましたので、あるいはその予備審査における政府委員の答弁と食い違っておるかもしれませんが、新しい私どもの考え方は間違っておるとお叱りを受けるかも知れませんが、私どもの考え方は一つ御了承願いたいと存じます。
  169. 吉田萬次

    吉田萬次君 それではあらためてこの際希望しておきます。来年度はぜひとも。
  170. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ここで聞いて適当かどうかわかりませんが、山下次官に御所見を承わっておきたいと思うのですが、幼児教育の重要性ですが、あなたも御承知の通り世界各国とも幼児教育ということについては非常に関心を払っているわけです。わが国でもこの幼児教育の義務制ということを唱えろ人もあるわけです。ところが現在の実情というものは、幼稚園とそれから厚生省から補助金が出る保育所というので、中には補助金ほしさに保育所に切りかえて、そうしてわが国の幼児教育というものはやや複線型になって混乱しているという実態ではないかと、かように思うわけなんですが、それでいろいろ考え方があるけれども、幼児教育の重要性から考えろと、義務制に移行し、一方この真に必要なものは、先ほどから意見の出ておった季節的なものというようないき方というものは考えられるのではないか。今の状況ではややわが国の幼児教育というものは確たる方針がなくて混乱して、世界の先進国の水準から劣っているのじゃないかと、かような私は見方をしているわけですが、次官の御見解はどういうものを持っておられるのか承わりたいと思います。
  171. 山下春江

    政府委員山下春江君) 今吉田先生からも強い御要望がありましたが、季節保育所というものに対する考え方が、大蔵省の御認識が足りないと私は思うのでありまして、これは金額はわずかだからもうそっちでできるじゃないか、相当啓蒙も徹底したという考え方は、もう根本から間違いなんでございまして、そういうことではなくて、非常に健闘これ努めましたが、遂に落された問題でありまして、常時常設の保育所ももちろん必要でございますが、今吉田先生仰せでございますが、教育という面は文部省の関係になりますが、しかしながらそれをも兼ね含めて幼児の保育ということに対しては厚生省は最も力を入れているところでございますが、なかんずく季節保育所は常時常設のものよりも地方においては非常な熱望をいたしております。前の大蔵省の言明も私委員として承知いたしておりますので、今年はもうぜひとも復活したいとあらゆる努力を傾けましたが、力至らずこれが実施できませんでしたことは非常に残念でございますが、この点に対しましては大蔵省は大いに認識を新たにしていただいて、三十二年度はぜひともこれは実施いたしたいと考えております。
  172. 安井謙

    ○副主査安井謙君) この程度で厚生省の質問一応終ることにいたしまして……
  173. 湯山勇

    湯山勇君 簡単に、もう少し……。じゃずらっと聞きますから全部まとめて。
  174. 安井謙

    ○副主査安井謙君) なるべく一つ簡単に。
  175. 湯山勇

    湯山勇君 母子福祉貸付金の額がふえていない。しかも修学資金の限度が引き上げてある。なるほど償還されたのを回すということを政府として言われるのはきまっているので、お聞きしたくありませんけれども、そういうお言葉で何にしてもこれは母子福祉貸付金がこういう状態では、先ほどのような対策もできないと思いますので、これは一つ十分今後御考慮願いたいというのが一点。  それから保険関係はいずれほかであると思いますから、それは申し上げないことにいたしまして、ただ一つ日雇いの傷病給付、これはぜひやってもらいたいというので昨年も申し上げました。やりたいけれども予算のワクが小さいので、そのワク内でやるとすればこれしかできないということですけれども、日雇いの傷病給付についてはぜひ一つ実現方を願いたい。  最後に、これはお礼を申し上げたいと思うのですが、国立公園等の整備費が昨年は落されて大分文句言いましたが、本年は非常にふえているのは大へん感謝にたえないところですけれども、しかしまだまだこれは不十分だと思います。前も申し上げましたように一度こわれたらもうこれは取り返しつかないなのですから、一つさらにこれにはお力を入れていただきたい。  なお、大臣に対する水道関係のことと、それから蚊とハエの撲滅運動のことは留保さしていただいて、以上で私は終ることにいたします。
  176. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ただいまの湯山委員に対する答弁の前に関連して一つだけ伺いますが、大蔵省の主計官に承わりたいと思うのですが、先ほど出ました母子福祉貸付金ですね、ワクは変っていない。そうして修学資金限度は引き上げて、さらにあなたの方では公立の授業料をお上げになった。それは私立大学の授業料の引き上げをもたらしました。また地方財政計画では、公立高等学校の授業料を大よそ二割程度引き上げるように財政計画をした。従って各県では全日制、定時制を通じて二割程度の授業料の引き上げが計画されております。そうなりますとこの母子福祉貸付金の実質的な向上というものは期待できないと思うのですが、授業料の引き上げその他の関連をどういうふうにお考えになっておられるのか承わりたいと思います。
  177. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 母子福祉貸付金につきましては、湯山先生の方では答弁要らぬと仰せられました通り、私の方では回収金がふえるので、前年度を上回る程度の資金貸付額という見込みで四億五千万円といたしたのでございます。  それからただいま矢嶋先生からのお尋ねの授業料の点につきましては、御承知のように大学の授業料が他に比べまして非常に低くなっておりまして、授業料を上げることは決していい政策とは思いませんが、一方大学のいろいろな施設改善等に要しまする財政需要も相当大きくなっておることにもかんがみまして、今回五割程度の授業料の値上げを行わさしていただくことにしたのでありますが、母子福祉貸付金関係につきましては、高等学校の奨学資金の貸付限度額は現在月額七百円となっております。これを千円に引き上げるようにいたそうと考えております。
  178. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ただいまの授業料の問題は、また他にやる機会があるからそれだけ承わっておきますが、最後に承わりたいのは、会計検査院の報告を見ますと、厚生省関係も相当批難事項が指摘されております。そしてこの国会に対する説明書を見ますと、かなり厚生省においてもそれを認められ、改正されている面がうかがえるわけでございますが、注意を与えるとかあるいは処分をしたとかいうようなことを書かれておりますが、およそどの程度の不都合のものに対しては取り扱いをされているのか。これは厚生省に限ったことではないのですが、ことに農林省、建設省関係、防衛庁関係が多いわけですが、もう少し厳重に取り締ったらどうですか、その点、どういうふうに扱われておるか。
  179. 堀岡吉次

    政府委員堀岡吉次君) 不正事件につきましては必ず行政処分をいたしております。大体私どもの方としては原則といたしまして十分の一の減俸、こういう処罰をいたしております。それを加えまして、事の性質によりましては左遷といいますか、そういうようなことをやっております。それから補助金等の執行につきましての不当の批難事項がたくさんございます。これにつきましては問題の全部が地方の市町村県、そこにおける何といいますか、非常に端的に申し上げれば故意に書面を申請しましてやっておるという事項がありますので、なかなか発見が困難であり非常に遅れてもおります。そこで所管のそれを取り扱っております局長以下担当者としては、大臣から厳重なる注意をするということで終っております。事柄の性質によってこのような処分の種類を分けております。
  180. 安井謙

    ○副主査安井謙君) 以上をもって一応厚生省の質問を終りといたしまして、なおかつ大臣に対して保留されております答弁につきましては、両二日の間で適当な時間を見て答弁をさせたいと思いますが、ただ厚生大臣がただいま衆議院の方でここ二、三日重要法案のために非常に忙殺されていろ事情にありますので、質問時間につきましてはなるべく一つ御制限を御了解願いたい、かように思います。     —————————————
  181. 安井謙

    ○副主査安井謙君) それではただいまから労働省所管昭和三十一年度予算関係についての分科会を開きます。倉石労働大臣から説明がございます。
  182. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 今回提案されました、昭和三十一年度一般会計及び特別会計予算中、労働省所管分につきましてその概要を御説明申し上げます。  まず第一に、一般会計におきましては、歳入において総額四億一千七百六万三千円でありまして、前年度の三億十五万九千円に比較いたしますと、一億一千六百九十が四千円の増加となっております。  この歳入の主たるものは、「国家公務員等退職手当暫定措置法」に基き、退職した政府職員、日本国有鉄道、日本電信電話公社及び日本専売公社等の職員に対し、失業中の退職手当を支給するために必要な財源を、特別会計等から一般会計へ繰り入れまたは納付するための負担金であります。  一方歳出におきましては、総額三百三十八億五千九百八十七万一千円でありまして、前年度の三百三十九億九千七十三万八千円に比較いたしますと、一億三千八十六万七千円の減少となっております。  なお、このほか、建設省所管の官庁営繕費に、五千四百五十七万八千円を、労働省関係分として計上いたしておるのであります。  次に、この歳出内容について概略の御説明を申し上げたいと存じます。  その一は、失業対策の拡大強化に関する経費であります。  経済諸施策の進展に伴いまして、失業情勢は必ずしも楽観を許さない実情にありますので、三十一年度においても引き続き失業対策事業の拡大強化をはかる方針のもとに、吸収人員の増加、資材費の単価及び国庫補助率の引き上げ等を行うとともに、全国主要都市及び重要鉱工業地帯において、労働能力の比較的高い失業者を吸収するため生産的建設的事業を特別失業対策事業として実施するのほか、失業保険制度につきましては、さきに行われた失業保険法の改正の趣旨に即応して、一層その円滑なる運用をはかり失業者の生活の安定を期することとし、これに必要な経費として、失業対策事業費補助百五十六億八千万円、特別失業対策事業費補助三十五億円、失業保険費負担金八十七億一千七百万円、政府職員等失業者退職手当三億七千万円、合計二百八十三億六千七百万円を計上いたしております。その二は、労使関係の安定促進に関する経費であります。国民経済の自立達成の成果がようやくその曙光の見えました今日、国民全体の基盤に立って、多数の納得と協力が得られる労働政策を樹立推進するため、さき設置いたしました労働問題懇談会の一層円滑なる運営をはかるとともに、労使相互の信頼と納得とにより労使関係が円滑に処理されるよう労使の話し合いの場として、新たに正要産業ごとに協議会を設けるほか、中小企業の特殊性にかんがみ、労使当事者に対する指導援助を強化してその労働関係の合理化を進め、さらに労働教育を刷新強化して民主的な労働組合を育成し、もって労使関係の安定促進をはかることとし、これに必要な経費として、七千六百三十三万七千円を計上し、また労使関係の合理的、かつ、円滑なる調整をはかるため、中央労働委員会並びに公共企業体等労働関係調整委員会に必要な経費として一億一千九百一万九千円を計上いたしております。  その三は、労働保護行政に関する経費であります。  労働者の保護と福祉を積極的に推進し労働生産性の向上をはかるため、労働基準行政を刷新整備するとともに、最近特に産業災害の頻発している屋外労働に重点を指向して災害防止対策を一段と強化し、またさきに制定せられた「けい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護法」の施行に当りましては、引き続き対象労働者に対する健康診断実施、配置転換を要する労働者に対する就労施設設置等、これが予防及び特別の保護方途を講ずるの外、中小企業における労働者の技能水準の向上をはかるため、前年度に引き続き技能者養成施設に対し助成を行い、また新たに労働衛生研究所設置して、労働衛生及び災害医学に関する調査研究実施することとし、これに必要な経費として、十三億九千八百十九万七千円を計上いたしております。  その四は、婦人及び年少労働者保護に関する経費であります。  戦後における未亡人問題の重要性にかんがみ、婦人の職業対策をより一そう推進するため内職職業補導所、家事サービス職業補導所の整備充実をはかるとともに、婦人労働者及び年少労働者の保護と福祉増進をはかり、さらに一般婦人の社会的地位と生活の向上を期するため各種調査の実施、啓蒙資料の発行等を行う外、新たに売春問題の対策につきまして、保護更生を望む婦人に対する相談、職業補導等の機能強化することとし、これに必要な経費として、八千九百三十が三千円を計上いたしております。  その五は、就職対策に関する経費であります。  現下の雇用情勢にかんがみまして、就職の促進をより一そう強力に実施する必要がありますので、公共職業安定所の職業斡旋機能強化して、これが効率的運営を期するとともに、産業界の要求する技能労働力の円滑なる需給調整をはかるため、職業補導事業の充実整備を行うこととし、これに必要な経費として、三十三億三千二百八十八万五千円を計上いたしております。  その六は、労働統計調査の整備に関する経費であります。  労働経済に関する統計を迅速、かつ、的確に収集整備して、これを分析し労働行政施策の基礎資料とするとともに、労使その他関係方面に提供し、紛争議の合理的解決と生産の増強等に寄与するため、前年度に引き続き毎月勤労統計、職種別等賃金実態調査、労働生産性統計及びその他労働事情に関する統計調査を実施するのほか、新たに中小企業における雇用、賃金、その他労働条件等の実態並びに失業者の帰趨についての調査を実施することとし、これに必要な経費として、一億九千八百二十四万六千円を計上いたしております。  その七は、国際協力に関する経費であります。  国際労働憲章に規定されている義務を履行し、積極的にこれに協力するために必要な分担金、及びILO関係の諸会議への出席旅費等の経費、並びにわが国の労働事情に関し、海外広報活動を実施するための経費として、八千六百二十万四千円を計上いたしております。  その八は、労働保険の審査に関する経費であります。  労働者災害補償保険、失業保険等労働保険に関する審査の公正、かつ、統一ある運用を確保するため、中央に労働保険審査会を、地方に労働保険審査官を設けて、審査機構の整備をはかるとともに、審査手続の適正化を期することとし、これに必要な経費として、三百九十六万円を計上いたしております。  その九は、その他一般行政に関する経費であります。  以上の経費の外、大臣官房等における行政事務費として、二億八千八百七十二万円を計上いたしておるのでございます。  第二に、労働者災害補償保険特別会計につきまして申し上げます。  この会計の歳入歳出はいづれも二百五十三億五千九百四十三万九千円でありまして、前年度の二百三十二億五千六百七十三万円に比較いたしますと、二十一億二百六十九万九千円の増加となっております。  歳入のおもなるものは、保険料収入の、二百二十五億五百九十五万八千円と、支払備金受け入れの十八億七千八百七十八万二千円であります。又歳出のおもなるものは、労働者災害補償保険給付費の百七十九億五千三百万円でありますが、この外、労働者の業務災害被災者に対する療養給付の適正充実をはかるため、前年度に引き続き労災病院整備拡充を行うこととし、十二億三千六百万円を、又「けい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護法」に基き、けい肺患者及び外傷性せき髄損傷患者に対する療養、休業等の給付、けい肺健康診断実施、並びに配置転換労働者のための就労施設設置する等のため、一億九千三百六十三万五千円を計上いたしております。  なお、労災補償の事務につきましては、その内容が複雑多岐にわたり、かつ、最近事務量が急激に増加しておりますので、三十一年度におきましては労働基準局に労災補償部を設け、事務の適正迅速な処理と責任体制の確立をはかることといたしております。  第三に、失業保険特別会計につきまして申し上げます。  この会計の歳入歳出はいづれも三百五十二億九千五百六十三万二千円でありまして、前年度の四百五億九千三百五十八万四千円に比較いたしますと、五十二億九千七百九十五万二千円の減少となっております。  歳入の主たるものは、保険料収入の二百四十二億二千八百万円と、一般会計より受け入れの八十七億一千七百万円であります。又歳出の主たるものは、失業保険給付費の三百四十八億三千一百万円でありますが、この外、特に本年度におきましては、本会計の積立金より生ずる利子収入のおおむね二分の一を充当することにより、労働者の福祉増進をはかるため、職業補導施設及び宿泊施設等の保険施設拡充整備することとし、これに必要な経費として、六億円を計上いたしておるのでございます。  以上をもちまして、労働省所管関係予算の大要の説明を終ります。何とぞよろしくお願い申し上げます。
  183. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 議事進行について。労働大臣御多用のようだからまず労働大臣に質問の分だけ済まして、それからすぐ政府委員、事務当局に質問する、こういうふうに進んではいかがかと思いますが。
  184. 安井謙

    ○副主査安井謙君) 皆さんそういうふうにお願いしたいと思いますから、どうぞ御了承願います。
  185. 湯山勇

    湯山勇君 大臣はどれくらい時間かまわないでしょうか。
  186. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) どうぞもうしばらくよろしゅうございます。
  187. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 では簡単にやりましょう。労働大臣は現在の自民党の中では労働政策についてはエキスパートと、私はこの点では敬服をしておるわけですが、しかし大臣が就任以来のこの労働政策を見ていると、巨大なる与党に支えられている関係か、どうも弾圧的なにおいがするわけです。具体的に申し上げますと、労働争議に必要以上に介入するというような傾向があるのじゃないかと思うのです。衆参の委員会等でも論じられましたが、自衛隊を場合によったならば治安出動の形で出すとか、そこまでいかなくても準備態勢を増原次長の方から指示したとか、こういう点とか、あるいはここに新たな項目として労働問題の円滑なる運営をはかるとともに労使関係の安定促進に関する経費を組まれたと言っております。これも運用次第では、労働組合の自主性を侵して政府は介入するというようなおそれがあるのじゃないかと思うのですが、こういう基本的な問題について、労働大臣どういうふうにお考えになっておられますか、承わりたい。
  188. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 私は大へん今おほめにあずかりましたけれども、別にエキスパートでも何でもありませんで、労働問題を一生懸命やっておるというにすぎないのでありまして、今の御指摘のような点は、私は就任いたしましたときも申しておりますように、労働関係というものは、なるべく法律や規則で縛らないようにして、いい労働慣行を作っていくようにするのがいいのだと、こういうことを申しておりまして、いまだにその気持は変っておりません。労働運動に対して政府炉介入するというふうな御心配はないと思いますので、私がしばしば申しておりますように、国家公務員などのスケジュールなどを見ると、どうかと思われるようなことを宣言しておられるが、どうか一つその法律が認めておらない違法な行為はやめてもらいたい、正々堂々といい労働慣行を作ってもらいたいということを申しておるだけでありまして、従って、私はたとえばまあ最近では炭労の争議が始まっておりますが、こういう場合にもまず最初に経営側と労働側に来ていただいて、重要な産業であることであるからして、一つ円満にやってもらうように両者に御注意を申し上げる、こういうことで集まられました両代表は、まことになごやかに、その場で炭労の委員長経営側も、せっかく労働大臣がまあきょうは忠告ということでわれわれを集められたのだが、せっかくこうやってきょう当事者の代表が集まったのを機会に、これから一つ事務連絡をさっそくやって、団交の協議会を作っていこうではないかというようなはからざる成果をそこで収めて、それが始まりで御承知のように、両者から代表が選ばれて、事務的折衝が進められて、私としましてはそういうふうに話し合いでやっていくことがいい、こういうことでありますから、私が就任いたしましてから、前二代の大臣の間中絶しておりました労働問題懇談会も新たな方向で復活しまして、幸い御委嘱願いました労働組合代表、最も大きな組合の代表であります。それから経営側の代表、それから第三者的な学識経験者を集めて約三十一名と思いますが、これを再開いたしました。御都合の悪かった評論家一、二が欠席されただけで、非常に熱心に相談をされました。そういうような方向でもっていきたいと思っております。  それからここに今申し上げました重要産業別の業種別の、これは鉄鋼であるとか、造船であるとかいうようなおもなものを八つほど拾いまして、これらは業種別に一つ協議を持っていこうではないか、こういうのでありまして、その構想の中には、必要があれば労働省からもだれか参加することもあり得るが、必要があれれば当事者双方でやっていただいてけっこうなのでして、これは業種別にどこまでも、そのたとえば鉄鋼なら鉄鋼、造船なら造船の経営及び将来の見通しなどのことについては、経営側と従業員が一番深い関心を持っているのですから、そういう人たちで、一つこのわれわれの所属している企業はいかにあるべきかといったようなことについて、常時話し合いの場を持っていくことが非常に産業平和の上にいいことではねいかとこういうことでお願いをして始めよう、こういうわけでありまして、むしろ話し合いの場をよけい作っていこう、こういう考え方なのであります。
  189. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これは本委員会でも質問なされたことですが、あらためて私はここで大臣とお目にかかったから私として承わっておきたいのですが、自衛隊と労働争議の関係は、大臣今どういうふうにお考えになっておられますが、この席で承わりたいと思います。自衛隊の出動と労働争議との関係ですね。
  190. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 先ほどちょっとお話がありましてお答え漏れいたしましたが、私どもが今次のいわゆる春季闘争ということでも自衛隊を出動させる必要があるなどということを申したこともございませんし、そういうことを考えてはおりません。御承知のように、今までたとえば炭労の争議などにしばしば違法的な行為が行われた、そういうようなことが将来なく、よい労働慣行が作られていくということは非常にいいことだ。私は今度の炭労の争議などを見ておりまして、やはり組合側も非常に堂々たる主張をしておられる。経営側も法律の範囲内で自分たち自己の主張を主張しておられる、そういうような堂々たる労働争議が行われるということについては、当初から私ども申しておるように、民間産業の個々の争議に介入する意思は毛頭ありません。こういうふうに申し上げておるのでありますから、その気持ちは少しも変っておりません。ただ地方の山の中のことでありますし、非常にそれが治安に関係があるようなことにならないようにということだけは政府としては心配いたしておりますから、先ほど申し上げましたように、両当事者に来ていただいて御注意申し上げた、こういうことでありまして、従って私どもは、この労働争議に自衛隊を出動してもらってそれを鎮圧しなければならないとかどうというふうなことは、そもそも労働問題というのは治安の問題じゃありませんから、私どもは当初からそういう考えは持っておらないのであります。
  191. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣は労働界の裏面まで知り尽されていることが、私は自民党内において、最もあなたがエキスパートだという理由だと思うのですが、それだけに私はここで懇談的に申し上げているのですが、よほど労働組合員の腹の中までわかっておられるのだから、政府与党の中において、労使お互い、大きく言えば日本全国民、日本国のためになるように、よほど私はがんばっていただきたいと思うのです。なぜそういうことを申し上げるかと申しますと、私はここで与野党に分れて議論をしようとは思いませんが、何といっても今の政府与党の方向というものは、私は常軌を逸するおそれがあると思うのです。それの最も典型的なものは小選挙区制の実施の過程に現われていると思うのですね。従って労働争議についても必要以上に労働者を刺激するような言動というものが、政府側においても与党側においても非常に多くなってきていると思うのです。最近私は二、三の末端の労働者に会って、これは素朴なんですが、その人はどういうことを言っているかというと、最近の政府与党のやっている事柄、特に小選挙区制の区割りなんかに非常に激怒しておりましたが、われわれは民主主義、民主主義ということを言っておりますが、相手がこう出てくれば場合によっては力で切り抜ける以外にないのではないかと、そう思うようになったと、実におそるべき言葉を聞いたわけなんですが、こういう気持ちは、ほんとうに素朴な末端の労働者は最近相当持ちつつある、これはお互いに日本国のために私は非常に警戒しなければならぬと思うのですが、それというのも労働大臣が、今度の争議に当っては資本家側、使用者側もしっかりと腹をきめて対処してもらいたいと激励したとか、あるいはロックアウトをもってこれに対処すべきであると、そのくらいやるべきだということを、政府与党の中で非常に声が大きいというような、まあ必要以上に労働者を刺激するような言動というものが、こういう事態を私は招来していると思うのです。従ってこのままの情勢が続いていけば、私はまことにこの憂慮すべき事態が発生しないとも限らないと思うのですが、従って先ほど私が申し上げましたように、あなたは異論があるかもしらないが、現在の大与党を控えられている政府、その政府を含むところの与党は常軌を逸するような政策を行われるのではないかと、非常に私は、心配いたしております。従って先ほど申し上げましたように、労働行政について、さらにこの日本の労働組合の裏面まで知り尽されているところの労働大臣としては、政府与党内において、よほど私は慎重に対処していただきたいという希望と期待を常々持っていることを、こういうことを要望申し上げておるわけですが、そこでお答えとしては、当面起っておるロックアウト等は、どうもあなたの方から指導したもののようにとっておる労働者が多いし、私もそのにおいがするわけなんですが、こういう点については、あなた方政府与党の言動について反省されておる面はないかどうか、この点を承わっておきたいと思います。
  192. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) やはり所属の政党の立場は違いますが、矢嶋さんのただいまのお話というものは、日本の労働問題ばかりでなくて、日本の民主主義の将来について非常に重要な点をついておられると思うのです。私どもは自由民主党とか、社会党とかいうものは、こういう政党はやはり歴史の流れに従って常に浮き沈みのあるものでありまして、こういうものは任意的に考えていいが、日本民族の将来というものは永遠でなければならないのでありますから、たまさか間違ったことをやるというふうなことはお互いに反省していかなければならぬと思いますが、私がその今次の労働問題についての考え方は、せんだって参議院の本会議で、緑風会の加藤さんの御質問に対して、一言ちょっと触れておりますが、この加藤さんがそうだというわけではございませんけれども、とかくこの経営者側の立場に立っておられる方は、政府がもう少ししっかりしろとか、あるいは法律を改正してくれなければ、日本の労働問題というものは解決せぬという攻撃を承わりがちなんでありますが、私はそういうことを言う前に、経営者は法律に許されたる自分の権益すら十分に発揮し、主張をしておいでにならないではないか、こういうことを申したのであります。このことは誤解をされては困るのでありまして、私はなるべく人と人との関係を律す労働関係などは、法律、規則で縛ることを考えない方がいいんだと、よい労働慣行を作る方がいいんだと、こういう考えは基本的なものでありますが、とにかく現在ある労働組合法、労働関係調整法の中で許されたる自分の主張すら十分におやりにならないで、法改正などばかり言われるのはおかしいではないかと申したのでありまして、特に今度の今お話しのロックアウトの問題などは、決して私どもがそういうことを言うべき立場でもありませんし、また経営者に向ってお勧めしたこともありません。むしろ私は新聞などでときどき申しておりましたのは、部分ストというふうなことが行われることによって全山の作業が麻痺すると、そういうときには賃金カットという法もあるではないかと、こういうことは申しました。ところが賃金カットということをおやりにならないで、いきなりロックアウトに出てきた。ところが世間の一般の常識では、ロックアウトをされれば、その保安要員は引き上げるんじゃないかというふうに想像されておった。ところが非常におとなになっておられる炭労の指導者は、これをかえっておやめになった、ですから今は普通のありふれた、ありふれたと申しますか、普通の争議形態に入ってきているのです。私は非常にこれは両方当事者の良識を発揮された結果だと思うのです。こういうことなどは、日本の将来の労働運動に対して、明るい示唆を与えたものだと思っているのでありまして、従って私は、われわれが介入しようとは思いませんが、新聞の報道によれば、中山中労委会長が事情聴取を始めた。これなどは両方とも、組合側も経営側も、長期のストはお互いに損だということはわかり切っているのでありますけれども、さてまあ卑俗な話でございますが、お互いにけんかを始めても、だれか仲に入ってくれるやつはないかなというようなときもあるのでして、私は中山さんが事情聴取され始めたということは、非常にいいときに出てこられたと思うのです。そういうことで、なるべくならば経営側と組合側とが自主的に解決をしていただければいいのですが、自主的に解決されることを希望しておりますけれども、中山さんのような立場の方が出てこられて、事情聴取されて、そうして両方の間に入られて、これが妥結するということならば、それもけっこうだと、そういうことで見ているのでありまして、私どもは決して経営者を鞭撻してロックアウトせよなどということを申す立場でもありませんし、そういうことはいたしておりません。
  193. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 他の委員の質問もあるだろうと思いますから、もう一つだけ伺って、私は質問を終りたいと思いますが、それは私はここで申し上げるまでもなく、今の日本の政治の問題のうちの重要な一つとして、この雇用の問題があげられると思うのです。で、第二十三臨時国会の補正予算審議の場合に、大蔵大臣が就任直後でございましたが、雇用の拡大政策を述べられておりました。それを承わっておりました私としては、提出された予算案を見ますというと、期待にほど遠いように私は考えるのですが、この予算案と関連してここに……、ただいまのは取り消します。ここに提案されている予算内容と、当面の雇用の問題をいかように把握されているか。それから日本の国においては、他国に見られないほど雇用の問題は重要だと思うのですが、暫定的にでも私は失業対策事業というものは、国の百パーセントの責任において推進されるというのも、ある時期を限っては私は大切なのではないかと、こういう考えを持っているのですが、それに対してはどういうお考えを持っておられるか、以上を承わって、私の質問を終ります。
  194. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) ただいまの問題も一番大事な点でございまして、私どもも第三次鳩山内閣を作りまして、経済六カ年計画、三十年度から五カ年計画を策定いたしますについて、御承知のように、一番重点をおきましたのは、経済自立と完全雇用ということでございますが、まあいわゆる完全雇用ということについては、学者にもいろいろ御意見があるようでありまして、私どもから見まして、純粋の計画経済で労働力人口がどのくらいあるかと、それにどういうふうに人員を割り当てるかといったような徹底した計画経済が、実施されるということについては、私どもの方のものの考え方は自由経済の立場に立っておりますので、そういうことはやるべきでない、しかしながらこの私どもの策定いたしました五カ年計画では、すでにごらん下さっておると存じますけれども、とにかく昭和二十九年度予算以来デフレ経済をやった、そのデフレ経済の主たる。ねらいは、つまり日本の物価を安定して輸出の増進をやっていく、国際競争力を高めると、こういうねらいであります。幸いにして、国民の協力によってそれが成功したところへもってきて、三十年度は非常に海外の好況に幸いされまして輸出が伸びた、予想外の貿易の黒字のバランスであった、そこへさらに米の未曽有の豊作といったようなことでまず大体安定をしてきたと、そこでこれを基礎にして一つ五カ年の計画を立てようと、こういうことでありましたが、私どもの見るところ、三十年度ほど三十一年度の下期においては、その海外の好況を見通すことはなかなか困難であろうと、こういうことでありますから、政府も発表しておりますように、労働力率などもそう引き下げないで、大体三十年度よりちょっと下回った程度の計画しか立っておりませんが、最終年度の三十五年度には、今の内閣統計局の推定するところによる労働力人口は四千五百三十万と見ておりますが、その一%つまり四十五万人程度まで完全雇用を押える、そこまて持っていくためには、御承知のように、五カ年計画においていわゆる第二次産業に最も労働力の人口を吸収する、こういう計画であります。この計画が完全に成功するといたしましても、私どもは決して雇用の関係を楽観するわけにはいかないと思いますが、この第二次産業がそういうふうに増進される、増強されるということになりますと、これはしばしば国会で問題になっておりますけれども、それにつれてこのサービス業であるとか、自営業というものも従ってふえてくるだろうと、こういうことで五カ年計画を策定いたしたわけでありまして、われわれはその方面に全力をあげて参るつもりでありますが、そういう一方における経済自立の計画を片方に見ながら、私どもの受け持ちである失業対策事業については、三十年度はただいま御説明申し上げました予算で約二十四万八千人でありますが、そのほか例の川崎線の失対事業によって二千人を吸収する、二十五万人というところで大体よかろう、民間産業の伸びと、それに吸収される雇用だけでは安心ができませんからして、御承知のように、北海道開発公庫であるとか、道路公団であるとかいうような政府事業もそれに加えて計画をすることによって、その方にも雇用の増大をはかっていくと、こういう計画であります。
  195. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 失業対策事業は国の直轄でやるというようなお考えはありますか。
  196. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) その点については従来しばしば問題がございましたけれども、全部国家の負担においてこれをやるということはなかなか事情も許しませんし、それにいわゆる公共事業的性格を持っておるものでありますから、地元においても負担をしていただく、こういうことでありますが、御承知のように・三十一年度予算においては国の補助率などもふやしまして、地方財政赤字を幾らかでも補ってあげたい、ことにいわゆる失業者多発地帯といったようなところ、たとえば今しきりに問題になっております呉のような非常にたくさん出てくるような地域は、これは全地域の一割くらいだと思いますが、そういうところは五分の四の負担率に増額をいたしまして、こういうようなことでだんだんと国の負担がふえて地方負担は軽減されてくると、こういう傾向になっておると考えております。
  197. 湯山勇

    湯山勇君 私も一つは失業問題についてお尋ねいたしたいと思います。今矢嶋委員から御質問がありましたから大綱はわかりましたが、本年度の、つまり三十年度の失業対策は二十九年度を上回らない、二十九年度程度に押える、こういうことが原則であったと思います。ところが実際の推移を見ておりますと、三十年度の上半期における失業者の数は非常に多くて、このままではとうてい当初計画された通りにはいかないだろうという予想をしておりました。まあ下半期になって若干好転はしたとは思いますけれども、しかしながらとうてい二十九年度の状態にまでは返らなかったと思うのですが、そういう点から見まして、この本年度の失業対策が計画通りいったかどうか、もう三月の終りですから大体のお見通しは立っておられると思います。で、もしそれでいかなかったとすれば、その分に対して、そういうことに対しての大臣の御所見を伺いたい、これが第一でございます。
  198. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 二十九年と三十年との比をまだよく知っておりませんから、安定局長から申し上げたいと思います。
  199. 江下孝

    政府委員(江下孝君) お話の通り、完全失業者の数が三十年度当初予想いたしましたより若干ふえましたので、途中におきまして年間平均を六十七万と改めました。それで一応現在までのところその大体年間平均でいきそうでございます。特に十一月、十二月に完全失業者の数が相当落ちましたので、一月はまた若干ふえておりますが、大体年間平均六十七万ということで、変更した案でいきそうでございます。
  200. 湯山勇

    湯山勇君 ただいまのように、六十七万に修正したことに対する予算措置等は、補正予算でちゃんとなっておるのでしょうか、ただ数を変更したというだけでしょうか。
  201. 江下孝

    政府委員(江下孝君) 御承知の通り、二十九年度から三十年度にかけましで、 特に失対事業、特別失対も含めまして五万人の増加をいたしております。そういう失業者の増加ということに対処いたしまして五万人の増加をする、なお六十七万人が年間平均の完全失業者と見ると、そういうことであります。
  202. 湯山勇

    湯山勇君 予算措置は。
  203. 江下孝

    政府委員(江下孝君) 予算措置はだから五万人増加予算措置を講じたわけであります。講じまして、なおかつ六十七万人の完全失業者が出ると、こういう計画になっております。
  204. 湯山勇

    湯山勇君 そこで労働大臣にお尋ねしたいのは、今日の経済基盤はこれは大臣がよく御存じのように決して安定しておりません。若干安定したかに見えるのは、それは見方のいかんによるものであって、そこで五カ年計画とかあるいは六カ年計画というような計画をお立てになってもそれは計画倒れになるのじゃないか、つまり二十九年度に計画して三十年度にこうということで、二十九年度よりは必ず下回るということをしばしば政府は御答弁になっておりながら、ただいまの御答弁のように途中で、一律たたないうちに修正しなければならない、一割近い修正をしなければならないというのが今日の実態だと思います。しかも、経済が不安定になっていっておる段階での見込み違いではなくて、どちらかといえば、安定しつつある段階においての見込み違いですから、この見込み違いの責任は非常に大きいと思うんです。そうなって参りますと、まあ大臣は五カ年計画と、そして最後の段階には四十万内外の失業者に押えるということをおっしゃっておられますけれども、これに対する信憑性ですね、これは大臣はどの程度にお持ちになっていらっしやるか、率直なところを一つお述べいただきたいと思います。
  205. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 今政府委員から申し上げましたように、三十年度六十七万と、そこで私どもはこれを五カ年計画で四十五万に引き下げると、こういう計画を策定いたしておるのでありますが、当初申し上げましたように、たとえ五カ年計画がわれわれの計画通り進行することができるとしても、日本の雇用、失対の問題はなかほかむずかしい問題であるということは、もうだれが何と言っても、私自身はそういう覚悟でございます。そのことは間違いないと思えるのでありますが、さて、そこで今私どもが申し上げました五カ年計画を策定いたしますについて、御承知のように三十年度は離職率がずっと減りまして、失業保険の受給者もずっと急カーブで下ってきている。こういうことは何であるかといえば、やはり三十曲度の貿易のバランスがよくなって、外国の好景気の影響を受けたにしても、とにかく日本の景気が非常に建て直ってきた、その結果であるということは争うことのできない事実であると思います。そこでそういう傾向をどうしても伸ばしていかなくちゃいけない、こういうことでありますからして、私どもといたしましては、先ほど申しましたように、第二次産業面を特に増強することを五カ年計画で計画を立てて、それからまた同時に政府の投融資なぞもその計画のもとにそういうところに重点的に融資をして、そうして第二次産業の振興、労働力の吸収をはかる、こういう計画で三十年度は労働力率の六八・五であったのを三十一年度には六八・四に引き下げる、こういう計画で今着々進め始めております。こういうところでありまして、これに自信があるかというお尋ねでございますが、私どもとしてはどこまでもこれを成功させるように、政府としては三十二年度にその努力を払うと、こういうつもりでおります。
  206. 湯山勇

    湯山勇君 まあ大臣のおっしゃる意味はよくわかりますが、しかしながらまあ第二次産業とおっしゃっても、かなりばく然たるものだと思います。そこでもう少し端的にお尋ねいたしたいのは、それじゃその中のどの部門がどうと、全部じゃなくてもけっこうですから、その最も特徴的なものを、これはこうなってこういくからこの部分についてはこういうことが言えるというような、具体的な例があれば一つお示しをいただきたいと思います。
  207. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 御承知のように、五カ年計画で私どもが策定いたしましたその事業は、主として民間産業の方面に、今申しましたように投融資なぞを重点的にやってその面をふやす、たとえば造船なども計画造船は去年より増強しておる、それからまた、国の方の事業でも、先ほどちょっと触れました北海道開発公庫であるとか、道路公団であるとかいうような、御承知のように第二次産業という部門に入っておりますのは、そういう重工業関係または建設業を数えておりますが、そういう方面の増強をするというのが五カ年計画に示しておりますあの計画であります。
  208. 湯山勇

    湯山勇君 そういう事業が果して期待通りできるかどうかということにつきましては、これは非常に不安定な要素が多いと思います。たとえば賠償問題にいたしましても、果してそれが失業問題に好影響を持つかどうかというような問題、それから愛知用水とか、北海道の開発とか、余剰農産物等の資金を使ってやる分についても、五カ年先の保障はなかなかできにくいのでは広いかというようなことを考えてみますど、かなり五カ年間で失業者をなくするという問題には、大臣がおっしゃる以上に私は不安が伴うのではねいかということを感じますのと、それからもう一つは、特に日本の特徴的なものとしての潜在失業者の問題があると思います。この潜在失業者を無視して、ただ表面的に出た完全失業者だけを対象としてお取扱いになりましても、これは泉の水を汲み出すごとく、泉にたまっておる分、たけ汲み出しても、あとからあとから出て参りますから、これも非常に重要な要素だと思いますので、その潜在失業者と、そうして今お立てになっておる失業対策、これとの関係が十分考慮されなければならないと思うのですが、その点についてはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  209. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 御承知のように、日本の経済機構というものは、私はアメリカとかイギリスとかいう国に比べて非常に変った形態を持っていると思うのです。たとえばアメリカやイギリスでは、いわゆる雇用契約を結んだ雇用関係に立っている者が、あろものは八〇%以上、あるいは九〇%くらいまでいっております。で、議会でしばしば御論議になりまするそういう英米のような雇用関係を持つにあらざれば、その者の生活が不安定だと、こういうことになればあるいはそうかもしれませんが、日本では、たとえば自由業、それから家内従業員と、こういったような形でそれ相当の生活を営んでおる。そういう者も、自分は家にいてこれだけの仕事をしなくてもよいのだからほかに出て働きたい、こういうようなものは、やはり人によってはいわゆる潜在失業という名前で呼ばれておるものもあるようであります。それからまた、労働者でいろいろ調査をいたしておりますもので、一週間のうち自分の希望しておるだけの時間が働けない、そういったような者も、いわゆる潜在失業者という名前で数えられておるようであります。従って、潜在失業というものの統計のとり方は、その基礎をどこに置くかということによっていろいろ違うと思いますが、やはり日本では終戦以来とにかく御承知のように、昭和十九年、二十年に非常な生めよふえよといったようなものの考え方の当時に、それから若い人たちが帰休してきて、その当時にできた子供たちが、今日ではいわゆる十四歳以上の労働力人口、生産力人口というところに入ってくるものですから、普通の人口増加率よりも、いわゆる生産力人口の増加率が多いことは事実であります。そこに私どもとしても、日本全体としても、やはり雇用及び失業の問題というものが、大きな問題として考えられる大きな原動力だと思うのでありますが、そこでそういう今申し上げましたような、私どもの計画による第二次産業の面に、できるだけその面を強化いたしていくことによって、その面に吸収される人口労働力もふえるでありましょうが、さらにまた、従ってそれらの産業がいんしんになるにつれて、それに伴ういろいろなサービス業であるとか、自営業であるとかというものも増加する、こういう見方をいたしておるのであります。そこでそれに吸収されておるものが完全な生計を営み得る雇用関係にないではないか、こういうことを論ぜられる向きもございますが、私どもとしてはどうも日本のこれは独得の形態、機構でありまして、その自営業や、サービス業でも、やはり相当の生活ができるというものは、必ずしもその潜在失業という中に数えなくてもいいのではないかというふうに考えておりますが、あなたの御指摘なような、私どももでき得べくんば第二次産業が発達してきて、そうして完全な雇用関係を持つものがふえていくことが、安定した日本の雇用関係である、こういうことには御同感であります。なるべくそういうものがふえていくように進めていきたい。
  210. 湯山勇

    湯山勇君 私は潜在失業者というものは、日本の非常に特殊な形態だと思いますので、労働問題の研究に当りましては、こういう問題こそ非常に力を入れてやっていただかなければ、結局労働問題の解決はできないと思いますので、これは一つぜひ大臣にお願いいたしたいと思います。  それから次に重要な点でもう一点お聞きしたいのは、中小企業の対策ですが、これは今回の予算にもそういうものが計上されておりますので、計上されたということは大へんけっこうなことだと思いますけれども、今日の中小企業の労使関係というものは、非常に深刻になっておることは、これは私よりも労働大臣の方がよく御承知だと思います。私の知っているところでは、小さな鉄工場でございますけれども、もう一カ月以上にわたってやっておりますが、この中小企業の争議につきましては、地方の労働委員会も手をあげております。県の方も手のつけようが広い。こういう状態でおりますが、これは今回労使関係指導費というので、三百万ばかり計上されておるようでございますけれども、一体これによってどういうことをされようとしておるのか。そうしてまたこれによって今日これだけ深刻化している中小企業の労使関係の調整なり、そういったことができるかどうか、その点について大臣から一つお願いしたいと思います。
  211. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 中小企業の問題は、日本の産業の最も大きな問題だと思います。従業員もまた組織化された大産業の従業員よりもはるかに上回っておるのでありまして、これを上手に解決していくということが政府に与えられた重要な仕事だと思うのでありますが、御承知のようにこの中小企業というものは、経営者と、それから働いていろ人々がもう全く利害関係もほとんど密着しておりまして、主人公と働らいておる者とがほんとうに一体となってやっておられる実情でありまして、しかも中小企業は、私どもも中小企業のいろいろな関係をいたしておりますが、中小企業というものこそ第一に、金融の面において、大産業ほど地方銀行でも信用力を与えてくれませんから、まあ金融の面においても非常に悩む、それから企業者の組合的な組織も御承知のように非常に貧弱でありまして、個々に分立しておりますから、これも弱い。こういうようなことであって、むしろ私はその労働問題というよりも、むしろこの中小企業をどうやって自立させていくか、育成していかということが非常にむずかしい問題だと思っております。このことは政府全体としても、ことに通商産業省なぞにおいても努力いたしておるところでありますが、この予算の中に申しておりますのは、この中小企業の労働関係をどうやったならば、この中小企業を成り立てて、しかもそこに働く労働者にまあまあ安心をして勤めてもらえるかということについて、この地方に相談所を設けて、そしてその相談所に上って、いろいろ労働省の立場として、政府に向って中小企業の存立育成のためにどういうふうなお手伝いをできるだろうかというふうなことをやっていく事務費でありまして、私どもはこれが決して非常に満足な計数ではないと思っております。ただしかし、労働省の立場としては、今申し上げましたようなことで、中小企業の存立を助けていこうとする一助にもならばと思って、こういう仕事を始めておるわけでございます。
  212. 湯山勇

    湯山勇君 なお、今の点についてもう一回お尋ねいたしたいのですが、この相談所というようななまぬるいことでは、今日のこの中小企業の労使関係はむずかしいのじゃないかと思います。昨日もラジオで言っておりましたが、あるところで労働組合を作るということに対して、経営者の方が非常にこれを非難しておりました。お聞きになったかもしれませんが、まあ親の代からとか何とかで、組合なんか作るというようなことはやめてもらいたい。しかし労政事務所へ相談にいけば、これは組合を作るべきだ、それから賃金は中小企業はみな低いですから、賃金も諸君のは低く過ぎるというようなことは当然言うだろうと思います。そうなってきたときには、これはわれわれは今まで知らなかったけれども、組合を作って賃金要求をしなくちゃならない、作っておるところは、もう少しこれはどの賃金ではやれないというようなことになってきて、下手に指導しますと、これは逆に争議を誘発することになる。かといって、それじゃまあまあしんぼうせよということでは、これは労働者の権利を守る、生活を守るとしいうということにならないと思います。そうなって参りますと、今日こういうものを置くことがいいかどうか。やるとすればむしろもっと徹底的に抜本的な施策を考えなければなるまい。それは大臣がおっしゃったように、中小企業を育成するという基本的な立場は、それはまあそれとして、これは大臣の直接の御所管じゃありませんから、そのことについてはお尋ねすることは控えますけれども、とにかく今日の事態における中小企業というのは、そう私は相談所程度のものでどうこうなるというのじゃなくて、相談所ができることが、かえってマイナスになるというようなことさえ毛心配するのですけれども、そういう点についてどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。それから今各県とも一・二は非常にむずかしい中小企業の争議があると思います。これらについて一体どういうふうにしていかれるのか、これを一つお願いしたいと思います。
  213. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) こういう問題になりますというと、明らかにこのことは労働省所管とか、通産省とかというふうなこともなかなかむずかしいと思いますが、政府、私どもの立場としては、との中小企業というものを育成して存立させるようにしていかなきゃ、そこに働いておる多数の人々も困るわけでありますから、そこで御承知のように、との中小企業で今賃金が低滞して未払になっていろというふうなところが相当ございます。これは基準局にもいろいろ訴えもございますし、そういうようなことも今度私どもが、これは新たに法律でお願いすることになっておりますが、下請業者に対する親会社の支払いを促進する法律といったようなものを設けて、中小企業がどうして困っておるか。御承知のように下請に依頼をした仕事を、親会社がそれを受取って、そうして注文先に納めて、すでに現金を取ってしまっておるのに、中小下請の業者に九十日の手形を払っておるといったようなことで、中小企業はそういう面では非常に不利な立場に立っておる。従って賃金の未払いは一体どういうところに原因しておるのであるとか、それからまたこの中小企業の争議が起きても、その中小企業自体が一体どういう立場に立っておるのかということを私どもの立場としても知っておく必要もございます。従ってそういう面でわれわれの仕事として与えられたできるだけの活動をし、それからまた地方にも委託費を出しましてそうして地方に十分な調査をして、そうして私どもとしてこの中、小企業を在立育成させるために、政府部内で通産省とも話し合う資料にもなりましょうし、そういう意味で私どもはやはり労働省がやっておりますこの中小企業の相談というものは、相当そういう面面に貢献するものであると存じまして、これはぜひ進めてゆきたいと思っております。
  214. 吉田萬次

    吉田萬次君 私は時間も時間ですから、簡単に質問したいと存じますが、今ちょうど春季攻勢のたけなわな時代であります。そこで大体争議というものの本来の性質から申しますと、経済闘争というものにあるべきものだと思います。しかしながら今日過激な団体といいますか、方面では、国がつぶれても何も差しつかえない、民族そのものは残るというような観点から争議を起しておるものもあるようにも聞いておりまするが、経済闘争というものを離れて、政治闘争の方へ相当走る傾向炉ありますが、この経済闘争と政治闘争との関係につきまして、大臣はどのようなお考えを持っておられますか。
  215. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 私はこの現在の日本の労働界がどういうふうな動き方をしておるかということについては、見る人によって非常に見方が違うだろうと思います。そこで私どもとしては、たとえば総評なら総評という大きな組合の上部団体と申しますか、こういう組織体を分析いたしまして、しかもその中に指導的立場に立っておられる方々のものの考え方などについて十分検討をいたしてはおりますが、私は労働運動というものは、あくまでも労働者の生活を向上させる経済的な団体だと、そういうふうに理解もし、また労働組合法も明らかにそういうことを命じて、期待いたしておるわけであります。しかし、ただいまの御指摘のように、これが政治的なねらいで労働大衆をただ扇動し、利用するだけで、政治的な変革の目的に利用されるというものの考ええ方をもって労働運動をおやりになるとすれば、私どもとしてはそういう人々に対してはそれなりの態度をもって臨まなければなりませんが、私の考えますのに、今日の組織労働者の大多数というものは、今御指摘のようなものの考え方は持っておらないと思います。それは指導者の中にはいろいろな野心と崩しますが、希望を持っておられる人もあるでありましょうが、労働大衆は決してそうではない。従って私ども政府の立場、ことに労働省の立場としてはじみちな労働運動、健全な労働運動は発達をしてゆくように、むしろ助成してゆきたい。健全な労働組合運動が行われることによって日本の産業は非常に伸びてゆくものだ、こういうものの考え方をいたしております。
  216. 吉田萬次

    吉田萬次君 それから生産性の問題でありまするが、いわゆる俗にいう生活給というものと能率給というふうのものについての考え方であります。これは産業の将来について非常な影響のあるものだと思います。従ってこの問題について大臣はどういうふうにしたらいいかとお考えになりますか。
  217. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 御承知のように、日本では終戦後いろいろな社会的事情に上って生活給的なものになりました。私は日本の生産力を増強するという意味では、やはりそれぞれの人人の持っておる特徴を生かして、これを効果的に発揮していただくことが、日本の産業の復興を助成する原動力でありますから、やはり能率給がいいとは思いますが、そういう点について、実は官吏の俸給などにつきまして、身分取扱いなどにつきまして、公務員制度調査会から俸給の制度について答申案が出ております。これらも非常に参考になる御意見がありますので、この公務員制度調査会の答申案について私は官吏などに対する俸給を根本的に再検討したいと思っておりますが、従ってそういうときに私どもの意見を決定して諸君にも申し上げたいと思っております。
  218. 吉田萬次

    吉田萬次君 それからことしの大学の卒業生の問題でありますが、大体十一万六千人といわれておりまするが、その十一万六千人の者が昨年の九月からもうすでに就職ということに対して狂奔し、そうしてあらゆる方法を講じ、手段によってあせっておる。しかも就職したという者は現在において約四万人、十一万六千人のうちでかりに六千人は何とか将来できるとして、六万人の失業者というものができることになりまするが、この大学の卒業生に対する失職というものに対して、大臣はどうしたらこの問題が解決するとお考えになっておりますか。
  219. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 御承知のように、昨年の卒業生よりも本年の卒業生の方が中学校、高等学校、大学をおしなべて就職率はずっと上回っております。特にその中でも高等学校の卒業生の就職率が最も優秀でありまして、その次が中学校、それから大学が御指摘のように一番悪いわけでありますが、大学につきましては、私どもは大学と労働省と協力いたしまして、大学卒業生の就職対策本部というものを設けまして、大学とそれぞれ求人される方の側との連絡をとりまして、との就職あっせんを努力いたしておりますが、大学卒業者が全部就職を希望いたすわけではございませんで、その希望いたしておる率に対して就職がどのくらいになるのか、ちょっと安定局の方から具体的に御説明申し上げます。
  220. 江下孝

    政府委員(江下孝君) ただいまお話しのありましたように、最近の統計では大学卒業者の就職希望が十一万何がし、そのうち約四万程度が就職しておる。少しこれはもっとも時期的にさかのぼりますので、ごく最近の統計はまだ調べておりません。そこで男子の大学卒業生はどこでもというわけにはゆかないということで、従来なかなか職業がなかったのでございますが、大臣から申し上げましたように、文部省と私の方でタイアップいたしまして、学生就職対策本部というのを主要府県で設けておりますが、ここで一つ中小企業であろうと、零細企業であろうと、この際大学卒業者ということを考えないで、就職第一義的に進んでいくという方向に学生の方も協力いたしますし、また業者の方にも御協力願う、こういう態勢で現在進んでおるわけでございます。で相当まあ私どもは、この運動によって成績を上げると思いますが、現在までのところは先ほど申し上げたような数字でございますが、いま少しくなおこの運動を促進いたして参りたい考えでございます。
  221. 吉田萬次

    吉田萬次君 昨年私は売春問題について相当深刻な質問を予算委員会においていたしました。今年いよいよこの法案が成立する見込みが立っておるように見受けられます。この失業者に対するいわゆる売春婦とそれを営業しておる者とを対象といたしまして、その救済方法というものはきわめてむずかしいものだと思いますのと、まだ今試験的な考えをもってそうして見るということもありましょうけれども、実際問題としてこの問題が解決するだろうかどうかということに対する大臣は見通しはどうお考えになりますか。
  222. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 婦人少年局長がその方の特別委員会に出ておりますので、婦人少年局長から申し上げます。
  223. 吉田萬次

    吉田萬次君 いや、私はそういうこまかい問題ならお尋ねする必要はないと思いますが、またそれの問題について、あるいは派生的の問題についてということなら、私は何回でも議論するだけの何は持っております。あなたの考えだけ簡単に承わりたい。見通しについて、これは解決するとお考えになるか、または漸進的にことを運んでいこうとせられるのか。
  224. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 私どももまだ第三次鳩山内閣に入る前に、この問題につきましては党内でもいろいろ論議もし、研究をいたしたのでありますが、私どもの考えとしても、売春をただ法律で禁止するというだけでは足りないのであって、それよりもとの売春婦がそういうふうになってくる社会的環境をどういうふうにやるべきかということが重点に考えられなければならない。同時にまた、落ち込んできたそういう人々を救済する道はどういうことかということでございまして、それにつきましては政府の方に、御承知かもしれませんが、いろいろな委員会を設けまして、労働省の方の側といたしましては、そういう人々が職がないために——自分で好んでおやりになるものはいたし方ないにしても、職を他に求めてなおかつできなかったというような人々が、そういうところへ落ち込んでいくというふうなものはぜひ、これは百パーセント救済しなければならぬということで、今度この予算にもございますように、そういう人々に対して職業補導をやっていく、それからまた御承知のように、労働省は婦人少年局が各県にございまして、かけ込んでくる御婦人たちのそういう点についての御相談を現在もいたしております。これをさらに強化して、まず事前にそういうことを防止していく、相当最近はわれわれの婦人少年局にかけ込んで救済を求めてくる婦人もございますから、私どもといたしましては、逐次そういうことで、そういったような婦人を救済していくことができるようにしていきたいと思っております。
  225. 吉田萬次

    吉田萬次君 なるほど今おっしゃるようなふうに考えていらっしゃるでしょう。しかしながら、この実情というものはだいぶん違ったものであるということ、それからもう一つは、そういうことに対して相当な考慮を払われるというふうなことであったら、予算があまり少な過ぎるうらみがあると私は思います。しかしながら、いずれにいたしましても、また、まあ直接直ちにくる問題とは考えられますけれども、まあ、やってみなければわからぬ問題のようにも考えられますので、私はこの程度で質問を終ります。
  226. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私もう一つだけ話が出なかったから承っておきたいと思うのですが、それは戦後職場に進出した日本の女性勤労者が最近職場から盛んに追われております。しかも筋の通らない形で追われつつあるということですね。たとえば一つ具体的に申し上げますというと、教育界には比較的に女子公務員、勤労者が多いわけですが、地方財政窮迫等も関連しているのでありますが、たとえば男性は五十才程度で、あるいは五十三、四才で一応ふるいにかける、しかし女性は四十三か、あるいは四十五ぐらいでやめていただこうというような人事行政というものが、全国至るところで行われようとしているわけですが、こういうことを労働大臣はどういうふうにお考えになられるかという労働大臣の答弁と、あわせて婦人少年局長からも答弁いただきたいのですが、こういう事態というものを婦人少年局長はどういうふうにお考えになっておられるかということと、それからこれに対してどういう意思表示を、政府部内においていかなる努力を過去においてされたか、また今後いかようにこれに対処されていこうとお考えになっていらっしやるか。まず労働大臣、続いて婦人少年局長から承わりたい。
  227. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 婦人の停年制のことでございますか。
  228. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それは一つの例ですね。
  229. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) このことはなかなかむずかしいものでございますから、一概に婦人は何才というふうな停年制をひくことはなかなか困難であると存じまして、今それはやっておりません。婦人の持っておる職場が男性によって失われつつある。この間私は外国の雑誌で同じようなことを見ました。そこで戦争中非常に男子が足りないので婦人が職場に進出した。男性が帰ってきて、だんだんそういう職場を奪回されるというふうなこともあったようでありますが、このことについて今申し上げました停年制のことは、私ども今申し上げたように、婦人はいろいろ事情が違うのでありますから、なかなか困難であると存じまして、そのことは今ちょっと考えておりませんですが、婦人少年局からあとのことをお答え申し上げることにいたします。
  230. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今の答弁私わからないのですが、そういう何ですか、男女差別取扱いをつけて、能力ある女性が筋の通らない形で職場から追われつつある。こういう事態をむずかしい、やむを得ないものだという立場において労働大臣はこれを黙認されるという立場をとられるのか。それともそういう事態というものは適当でないというので、これを是正されるべきものだという立場から対処されていかむとするのか、お考えどちらか明確に承わりたい。
  231. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 矢嶋さん御承知のように、この日本の憲法では、働く場合に男性と女性との間に区別をつけてはならないということになっておるのでありますから、故なくして女性が追改されていくというふうなことは、これは私どもとしては黙ってみておられないことであります。
  232. 安井謙

    ○副主査安井謙君) それでは労働大臣に対する質疑は、このくらいで切り上げまして、本日この委員会にはまだ武藤労働政務次官、村上官房総務課長、三治会計課長、中西労政局長、富樫労働基準局長、谷野婦人少年局長、江下職業安定局長、岡部労働統計調査部庶務課長、大野労政局労政課長、鈴木労働基準局庶務課長、辻監督課長、松永労災補償課長、渋谷職業安定局失業対策部長、住同庶務課長、和田失業保険課長、中村失業対策部企画課長等が参っておりますので、以下その方への御質問をお願いしたいと思います。  なお、矢嶋君の質疑に対して谷野婦人少年局長
  233. 谷野せつ

    政府委員(谷野せつ君) ただいま大臣からお答えいただきました婦人の雇用につきましては、憲法にきめられてありますように、男と女とに差別的な扱いをいたしますことにつきましては、私どもといたしましては、たとえば定年制の問題につきましても、あるいは結婚によります退職の問題につきましても、一律に事業場でそのような規定をもって女の人の就職を狭めるようなことにつきましては、私どもといたしまして、使用者にも、あるいはまた労働者の方にも、そのような原則が適当でないということをあらゆる機会に、たとえば年間に婦人の職業意識を高める運動というようなものを設けまして、あるいはいろいろな資料でわかっていただくような啓蒙活動を実施いたしておりますし、また労働者の方がそのような問題につきまして私どもに相談に参ります場合には、できるだけ使用者の方とお話し合いをいたしまして、その問題につきまして円満に解決をいたすようにお手伝いをいたしております。
  234. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 労働大臣は憲法は御承知だけれども、どうも黙認されてあまり関心がないようですから、婦人少年局長、よほど突っかい棒されないと、あなたの意に反して逆の方向に行くと思いますので、その点、今後労働大臣につっかい棒するように要望いたしておきます。
  235. 湯山勇

    湯山勇君 簡単にお尋ねいたしたいと思います。一点は、特別失対事業費の問題ですが、これが建設省にも回され、厚生省にも回され、しかも必ずしも事業のある地域と失業者のいる地域とが一致いたしません。そこで具体的に非常にひどい例を申し上げますと、たとえばある作業場等では実際に仕事を持っておる者が、失業者でなければ使えないというので、名目だけ失業者になってやっておるというような例も報告されております。これはもう武藤政務次官はこのことについては十分御承知のことでございます。従って、作業の能率の点からいっても、効果の点からいっても、事業さえできればそれで人員吸収はできるわけですから、むしろこういう形で特別失業対策費というものを組むことは、失業対策という名前がつくだけであって、実際は国の費用もむだになる面も多いというようなこともありますから、これはこういう形でおやりになるのは今後おやめになったらどうだろうと、端的に思いますが、政務次官いかがでしょうか。どうも政務次官には聞きにくいのですけれども……。
  236. 武藤常介

    政府委員(武藤常介君) 前年度は私も建設委員として、ただいま湯山委員が申されたように、非常に施行、実施に当りまして困難を感じておったのでありましたが、御承知のように、本年は特別失対のほかに緊急就労対策というものができまして、その扱いには相当本年は、昨年のような困難は打開されようと考えております。ただいま御心配の失業者でない者を失業者になぞらって、そうして工事をするというようなことはほとんどなく、大体各安定所の実際登録されておる失業者を調査いたしまして、それになるべく該当するような仕事を与えていくというようなことにしておりますので、大した心配はなかろうと思いますが……。
  237. 湯山勇

    湯山勇君 まあ建設関係は政務次官がよく御存じですけれども、厚生関係におきましても、たとえば浄化槽などを昨年はやらなければならなかったのですけれども、結局下水の方へ回すというようなことで、実際にやった事業は必ずしもその事業の目的を達しておりません。全部が全部とは申しませんけれども、かなり不要不急の面に使われた点があると思います。そこで私は失業対策というのは、失業対策という名前でやる事業というのが一番悪いので、下水工事なら下水工事、道路工事なら道路工事というところへ、自然にこれらの人が行って働くというような形になっても、結果においてはそれだけの人員は要るわけですから、変りないと思うのです。で、名前をことさらこうしなくてもいいということを、これはいまだにその考えは変えないのですけれども、まあ局長のお考え、あるいはまた大蔵省の次長ですか、こういう点、どういうふうにお考えになっておられるか、お伺いいたしたいと思います。
  238. 江下孝

    政府委員(江下孝君) この失業対策事業と申しますのは、先生御承知の通り、緊急失業対策法に基きまして実施をいたしておる失業対策事業でございますが、失業対策事業は安定所の窓口から失業者を雇い入れなきゃならぬ、こういう建前に相なっておるわけでございます。そこで同じ失業者と申しましても、ほんとうに困りました失業者は、最後の場合には安定所に参りまして、救済を求めるわけでございます。これらの最後のぎりぎりまで来ました失業者に、私どもといたしましては、最低の線ではございますが、生活の保障をしてやらなくてはならぬ。このために実施いたしておりますのが失業対策事業でございます。ところが、御承知の通り、失業対策事業は能率が上らぬ、働かぬじゃないかというような意見もございますが、それは従来からこの失業対策事業の予算単価、つまり内容が非常に貧弱でございまして、賃金と申しましても、資材費と申しましても、一般より相当少い。一般の公共事業と比べますと、相当低い額でございます。そこでこの批判にこたえまして、できるだけ失業対策事業を働くように持っていきたい、建設的な事業に切りかえていきたい、そういうことからいたしますと、何をやるかといいますと、結局は各省で従来実施されておりました公共事業、先ほどお話のありました下水道等の事業もその中にできれば入れていただく。もちろん全部と申し上げるわけじゃございません。安定所に救済を求めに来ました肉体労働者を吸収するために、お願いをする、こういう建前になっておるわけでございます。  そこで実は本年の問題でございますが、御承知の通り予算の通過がおくれまして、初めてこの特別失対というのを実施いたしましたので、さあ地方にこれを実施いたさせますにいたしましても、いろいろその間計画のそごがございましたために、おっしゃいましたような点が若干ございました点は私どもも認めますが、来年度におきましては、予算がこの通り本年度内に上りますならば、現在建設省、厚生省等と事務折衝をすでにいたしておりますので、ほぼ大体円滑に失業者の吸収もでき、事業効果も上るという方向に、ただいまのところは進んでおりますので、本年度のようなことは、私はないというふうに確信をいたしております。
  239. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 江下職業安定局長が御答弁いたしましたと同様の考え方を持っております。昨年度、三十年度におきましては、予算がおくれました関係、また初めての関係でございまして、多少当初のころ事務が円滑に行かないというような面もございましたが、その後非常に順調に参りまして、ことしたしか予算は三十億九千万円かと思っておりますが、おおむね消化できる見込みでございます。なおまた資材費の単価の是正等も行いましたので、三十一年度は三十年度のような問題もなく、円滑に行くものと思っております。  お説のように、それぞれ所管の省に計上して、そうして失業対策もあわせてやっていただいたらどうかと、こういう御意見かと思いますが、この点につきましては、本年度予算編成に当りましても、労働省の御言い分と、建設省等事業実施官庁の言い分等がいろいろございまして、大蔵省も間に立ちましていろいろ苦慮いたしたのでありますが、非常に円満に解決いたしまして、両省の間に十分事前連絡を行いまして円滑に実施できる見通しがつきましたので、このままで推移いたしたいと、かように考えております。
  240. 湯山勇

    湯山勇君 ただいまの両局長の御答弁で大体よくわかりましたが、指定の地域に事業がなかったり、いろいろな問題がありましたから、これは一つ十分効果の上るように、御善処願いたいと思います。  それから次には別な問題ですけれども、けい肺法、これはお聞きすれば長くなりますから、簡単にお聞きいたしますが、けい肺法が成立するときに付帯決議がなされまして、これについては労働省としても善処を約されたと思います。ところが、今回の予算を見ますと、さしてあの当時と改まった点がないように思うのですが、いかがでしょうか。
  241. 富樫總一

    政府委員(富樫總一君) あの付帯決議、第一に、けい肺の検診の結果、第三症度になって配置転換を要する、そういう者につきまして配置転換先がない場合には、国家的な就労施設を作るというのがたしか第一点でございます。これにつきましては、労使といろいろ協議したのでございまするが、なかなか、たとえば北海道の炭鉱の者を、たとえば現在第一の候補地になっておりまする兵庫県に牧場を作って、そこに収容するというような場合に、一体どういうふうにその賃金なり家族の移転計画なり健康管理なりするかというような、いろいろ問題点がございまして、こういう問題につきましては、今後検診の進行に基く対象労働者の実態と、それから今言ったような問題とをじっくり協議しょうじやないかということになっております。ただ、それだけでじっくりじっくりというのじゃ、いかにも役所の弁解がましい話になるというので、大蔵省ともお話しいたしまして、現在農林省が国営で全国に十数カ所の、種馬の改善とかなんとか、そういう農場を持っております。そこに、必要な者がさしあたり出ました場合には、委託収容していただくということで、わずかでございまするが、たしか三百五十万円ばかりの予算を組んでございます。  それから第二点は、この配置転換する場合に、通常給与が、たとえば坑内夫から坑外夫に変るという場合には賃金が下るというので、配置転換給付というものを平均賃金の三十日分支給する、この三十日分をできるだけ増額すべし、こういうのが第二の付帯決議でございます。これにつきましてもいろいろ研究はしてみたのでありまするが、現在民間におきまして一流会社におきましてはいろいろ、いわゆるけい肺協定ということで、この配置転換給付に準じたような給与を出しておる所がございます。またこの配置転換した場合の賃金の下り方が非常にでこぼこでございます。大体平均的な実態というものが過去の実績におきましてはいまだ出てございません。これも労使とも話し、大蔵省とも相談して、遺憾ながら今回の予算措置では一応見送る、この次の機会にはぜひ実現したい、こういう考えでございます。  それから第三点は、平均賃金のスライド制の問題でございます。これは現在、御承知のように、基準法の全面的な検討を臨時労働基準法調査会というものに依頼しておるのであります。ここの調査会におきましていろいろな問題点を整理検討しております。その一つのテーマとしてこの問題も御検討願っておりまするが、現在まで一般的な結論は出ておりませんが、この問題に関する限りは、調査会の空気は全面的に賛成の雰囲気でございまするので、将来この基準法改正の時期がございますればこれはもう間違いなく実現するであろうと、こういう感じでございます。  最後の問題点は、船員法の関係ですので、これは運輸省で御処置いたしております。
  242. 湯山勇

    湯山勇君 よくわかりましたが、まあ就労施設の問題はなお拡充の余地があると思いますし、それから転換給付はまあ来年から。それから最後の賃金スライドの問題は、これは調査会の結論が出れば必ず法律をお出しになると、こういう御予定でございますか。
  243. 富樫總一

    政府委員(富樫總一君) 調査会でとにかく全般的に検討しておられるわけでございます。どういう結論が出るか結論としてわかりませんが、一段落した場合におきましては、私どもといたしましては、その点につきまして今まで調査会はもちろん労使におきましても別段異存がないように見受けられまするので、改正の機会がありますれば、最優先的に実現したい。  それから、それならばなぜ今それだけ切り離してやらぬかという問題もあるかと存じます。これはまあ労働組合ともいろいろ話しておるわけなんですが、まあ現在は賃金は安定状況であります。かってのようにインフレ時代が続いたら、焦眉の急務でございますが、今のところまあ大した——あれは二〇%増額のスライド……。まあ今急にやって、組合の方で心配しておりまするいわゆる基準法改悪の道連れになるというような心配もあったりなんかいたしまして、まあ次の機会にぜひ実現する、こういうようなことでございます。
  244. 湯山勇

    湯山勇君 いろいろお尋ねしたいこともあるのですけれども、まあおそくなりましたから、最後に労働金庫のことを一点お尋ねいたしたいと思います。それは、まあ労働金庫が非常に順調に行っておることは喜ばしいことですけれども、最近社内貯金というのが非常に多くなりまして、その社内貯金というのはこれはかなり高利率で会社が借り受けております。しかもこれについては非常に不安定な要素を持っておりまして、会社がつぶれた場合にはもう払ってもらえないというようなところもあって、労働金庫育成の上からいっても非常に問題だと思いますし、それから金融政策の上からいっても非常に問題だと思うのですが、これらについて、労働省よりもこれは大蔵省ですか、大蔵省もこれは主計局とはちょっと違うような気もしますけれども、これについて何か対策をお持ちでしょうか。
  245. 安井謙

    ○副主査安井謙君) 私もちょっと関連して。労働金庫にまあときどき、新聞なんかで不正事件といったようなものを見受けるのですが、そういった最近の状況についてあわせて伺いたいと思います。
  246. 大野雄二郎

    説明員大野雄二郎君) 社内預金の問題につきましては、利率がかなり高いために、最近におきましては各企業によりましてはこれを非常に負担と感ずるようなものが一部に生じて参りました。従いまして、各企業におきましても、また経営者団体におきましても、この点は検討いたしております。それから私どもの方におきましても、金庫の発展の上から、十分この点は検討しておりますが、現在の段階におきまして、これが望ましいとか望ましくないとか、さような結論には今のところ到達しておりません。  それから不正事件におきましては、ときどき新聞をにぎわしておりますものがありますことは事実でございます。これに対しましては、定期的に行なっております金庫の検査によりまして、過去の不正事実がありましたならば、大きくなる前にそれを指摘して是正を求める。さらに金庫の連合会及び協会に対しまして、さような過ちのないように時々注意しております。この不正事件が昨年末にかなりありましたことにかんがみまして、こちらの方の注意にも基き、金庫側は十分自粛の態勢をとって、今後においてはかような問題がきわめて少くなるというふうに見通しを立てております。
  247. 湯山勇

    湯山勇君 今の社内貯金の問題ですね、結論に達していないと言われるのは少しおかしいと思うので、今おっしゃったように、これがかなり、中には、経営者の方の負担になっている所もある。しかもそういう所は非常に不安定になっております。それからまあ大きい所は大きい所なりにいろいろ問題を含んでおると思いますし、そういうことは実際は政府の方で企業の奨励の融資をするとかいうような場合においても、これはワク外になっておりますから、そうすると、そういうものの多い所と少い所とではこれは非常に条件が違ったことになるわけでして、いろいろな点から見てこれはおもしろくないと思うのですが、結論に達してないというのは、どういうわけで結論に達してないのか。
  248. 大野雄二郎

    説明員大野雄二郎君) 労働者が自分の余裕金をどこへ預けるかということは、その労働者の自主的に決定すべきものであることは、言うまでもございません。われわれのように、労働金庫を扱っている者からいえば、現在労働者が市中銀行に預けているものも労働金庫に預ければいいというふうに念願しておりますが、さようなことを強く言えないことは、御説明するまでもないと思います。また社内預金の総額も、これは正確に計算されておりませんが、労働金庫の預金残高よりははるかに多いものとわれわれの方は推測しております。あるいは二、三倍、もっとそれ以上あるものと考えております。ものによっては、御指摘のように、危ないものもあるかもしれません。しかしながらわれわれは、社内預金が会社が危殆に瀕したために払い戻せなくなったというような事例は、私どもは今日まで聞いておらないのでございます。最近におきましては聞いておらないのであります。もしこういうような事例が生じますれば、われわれとしては社内預金には危険なものがあるからより安全な労働金庫へというのは言いたいところでございますが、まださようなデータはこちらではつかんでおらないのであります。この点につきましては、金庫の方も、あるいは労働組合の持っております福祉対策協議会の方でも、検討しておりますので、さような事例があれば私どもの耳にすぐ入ると思っておりますが、今日までのところ聞いておりません。
  249. 湯山勇

    湯山勇君 聞いておる、聞いておらぬというようなことじゃなくて、それから労働者が銀行に預けるというのは、これは正規の金融機関ですから、けっこうです。けれども、そういう金融機関でない所がそういうものを扱う、しかもその社内の労働者からそういうものを集めるというやり方がいいかどうか、これは事故があるとかないとかいうことと別個に検討しなければならない問題だと思うのです。別にその社内貯金をやめて労働金庫にやれというようなことを言うのではなくて、社内貯金というのは工合が悪いというような結論が労働省として出せないというのは、私はおかしいと思うのですが。
  250. 大野雄二郎

    説明員大野雄二郎君) それが法律的にいいか悪いかということは、これは大蔵省の方にお願いしたいと存じております。われわれの方としましては、法律的な問題は別といたしまして、それが労働金庫の方にとって望ましいか望ましくないかという点から判断しておるわけでございます。
  251. 湯山勇

    湯山勇君 関係が違いますね。それじゃ、また別の機会にお尋ねいたします。
  252. 安井謙

    ○副主査安井謙君) それでは、以上をもって昭和三十一年度労働省所管予算案についての質疑を終了いたしました。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時三十七分散会