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1956-03-19 第24回国会 参議院 予算委員会第一分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月十九日(月曜日)    午前十時五十一分開会     ――――――――――――― 三月十七日予算委員長において、左の 通り分科担当委員を指名した。            石坂 豊一君            木内 四郎君            平林 太一君            藤野 繁雄君            三浦 義男君            秋山 長造君            相馬 助治君            山本 經勝君            田村 文吉君            廣瀬 久忠君            木村禧八郎君            八木 幸吉君     ―――――――――――――  出席者は左の通り。    主査      三浦 義男君    副主査     秋山 長造君    委員            石坂 豊一君            藤野 繁雄君            田村 文吉君            廣瀬 久忠君            八木 幸吉君   政府委員    皇室経済主管  高尾 亮一君    大蔵省主計局法    規課長事務代理 中尾 博之君   事務局側    事 務 総 長 芥川  治君    参     事    (庶務部長)  渡邊  猛君   衆議院事務局側    参     事    (庶務部長)  知野 虎雄君   裁判官弾劾裁判所事務局側    参     事    (事務局長)  隈井  亨君   裁判官訴追委員会事務局側    参     事    (事務局長)  野間  繁君   国立国会図書館側    副  館  長 中根 秀雄君    参     事    (管理部長)  山下 平一君   説明員    宮内庁長官   宇佐美 毅君    会計検査院事務    総局次長    小峰 保榮君    最高裁判所事務    総局事務次長  石田 和外君    最高裁判所事務    総局経理局主計    課長      上野  宏君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○正副主査互選昭和三十一年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十一年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十一年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)     ―――――――――――――   〔年長者石坂豊一君仮主査となる〕
  2. 石坂豊一

    ○仮主査石坂豊一君) これより第一分科会を開きます。  参議院規則第七十五条第三項によりまして、年長者のゆえをもって私が正副主査管理をいたします。  これより正副主査互選を行います。互選は先例によりまして管理者にその指名を一任されたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 めます。  それでは私から主査三浦義男君、副主査秋山長造君を指名いたします。     ―――――――――――――   〔三浦義男主査席に着く〕
  3. 三浦義男

    主査三浦義男君) ただいま管理者並びに皆さんの御推薦によりまして、私が主査の席を汚すことにいたします。何とぞ不なれのことでもございますが、皆さんの御指導と御後援とをお願いいたしまして、本分科会運営を行いたいと存じます。よろしくお願いいたします。  分科会は各派の申し合せにより、今日と明日、それに二十二日の三日間審査し、二十三日に委員会において報告することになっております。分科会所管皇室費国会裁判所会計検査院内閣、防衛庁、自治庁を除く総理府、大蔵省及び郵政省所管並びに他分科会所管外事項でございます。  本日は、午前中に皇室費及び国会、午後裁判所及び会計検査院について審査をいたしたいと思います。  まず、皇室費関係から御説明を願います。
  4. 高尾亮一

    政府委員高尾亮一君) 昭和三十一年度皇室費歳出予算についてその概要を御説明いたします。  本歳出予算に計上いたしました金額は、二億八千四百二十五万九千円でありまして、その内訳は、内廷費三千八百万円、宮廷費二億三千七百七十万九千円、皇族費八百五十五万円であります。  そのおもなるものについて、事項別に申し述べますと、内廷費は、天皇皇后、両陛下を初め、内廷にある、皇族日常費用、その他内廷諸費に充てるための経費でありまして、皇室経済法施行法に規定する定額を計上し、前年度同額になっております。  宮廷費は、内廷諸費以外の宮廷において、必要な経費を計上したものであります。  その内容といたしましては、従来と同じく、皇室の公的御活動、すなわち、儀典関係費行幸啓費等約二千五百万円、正倉院図書雅楽等経費約一千三百万円、その他皇室用財産維持管理に必要な経費約二億円等でありまして、特に新たな経費は計上されてありません。  三十年度予算二億二千二百八十一万円に比較いたしますと、一千四百八十九万九千円の増加となっておりますが、これは、前年度京都御所小御所復旧に必要な経費約二千三百万円が減少いたしましたのに対し、本年度宮殿簡易冷房装置の施工及び宮殿用備品整備等に必要な経費約三千四百万円並びに、陵墓濠等災害予防に必要な経費約一千二百万円等が増額して計上されたことによるものであります。  皇族費は、皇族としての品位保持の資に充てるための、秩父、高松、三笠の三宮家に対する経費で、皇室経済法施行法に基づく定額を計上し、前年度同額となっております。以上をもって、昭和三十一年度皇室費歳出予算概要説明を終ります。
  5. 三浦義男

    主査三浦義男君) 御質疑はございませんか。
  6. 八木幸吉

    八木幸吉君 ちょっと伺いますが、交際費が三十三万円出ておるのですけれども、これくらいのことで一体足りるのですか。どういうことにお使いになるのですか。
  7. 高尾亮一

    政府委員高尾亮一君) 御説明いたします。この交際費は三十三万円、昨年度と同様に計上されておりますが、このほかに宮廷費の中に会議費がございまして、会議費が同種類の目的に使われますので、あわせて御審議下さるとよろしいと思います。
  8. 秋山長造

    秋山長造君 会議費というのは幾らですか。
  9. 高尾亮一

    政府委員高尾亮一君) 八百九十六万五千円計上されております。
  10. 八木幸吉

    八木幸吉君 観菊御会などの費用はこの会議費の中に入っておりますか。
  11. 高尾亮一

    政府委員高尾亮一君) さようでございます。
  12. 八木幸吉

    八木幸吉君 それからもう一つ伺いたいのですが、この間新聞に出ておりましたけれども、御文庫と申しますか、両陛下が今お住いになっていらっしゃるところは、非常にコンクリートの壁が厚くて湿気が多いために健康に悪いということが新聞に出ておったのでございますが、時節柄でありますから何も大きいものは必要としませんけれども、健康的なお住居を新築するというようなことは最も必要なことじゃないかと思いますが、さような計画はおありにならぬのですか。
  13. 宇佐美毅

    説明員宇佐美毅君) 御文庫は御承知の通りに戦時中に一つ防空施設としてできましたので、ただいま御指摘のように壁も非常に厚うございますし、窓も比較的小さいということでございました。かねてから日常お住いのためには健康的にどうかということでいろいろ論議があったのでございますが、約一年以上にわたりまして湿度温度その他の点を科学的に研究いたしました結果、一昨年でございますか、もう三年ぐらい前になりますが、予算をいただきまして、ヴェンティレーションその他の設備をいたしまして、そういった数字的の意味におきましては何ら心配のない状況になっております。ただ、ただいま申し上げましたように、何分本来日常住居するというふうな建て方でございませんので、気分の方でどうかという問題は多少あろうかと思います。今後、宮殿復旧も将来の問題でございますし、そういうものとあわせて適当な時期において考慮すべきではないかというふうに考えておる次第であります。
  14. 八木幸吉

    八木幸吉君 私もかって工場経験でありますけれども、七階建の大きな寄宿舎の中で三千五百人の女工手をそこに収容した経験があるのでありますが、鉄筋建物は、在来の木造の建物と比べて、非常に実は科学的にはいいのだと思っておったのですが、それの健康状態をつぶさに調査いたしますと、鉄筋の方がかぜを引く率が非常に多いということで、いろいろその後苦心をいたしたような経験を持っておるわけであります。今の御説明を伺いますと、科学的には温度湿度、その他一応の合理的な数字が出ておるということではありますけれども、湿度の多い日本といたしましては、やはり住居として果して、ことに非常に厚い壁を持っておるところなどは、健康的に適正であるかどうかということについては、相当私、疑問があると思うのであります。そこでお願いしたいことは、宮殿全体の建物についてのことになりますと、相当費用もかさむことでありますから、これはおのずからその時期があろうかと思いますけれども、小さくてもきわめて健康的なやはり建物に御起居あそばすということが、日本国民の切なる希望であろうと思います。ことに皇后陛下におかせられましては、最近かぜがあまりよくおなおりにならぬというようなことが、新聞で伝えられておるときでもありますから、宮内庁当局におきましては、この辺について十分な一つ御配慮をあらんことを、この機会にお願いをしておきます。
  15. 秋山長造

    秋山長造君 この予算書を見ますと、宮廷費のところに項目別内訳が書いてあるのですが、この中で宮内庁職員の俸給は、庁費に入っているわけですか。
  16. 高尾亮一

    政府委員高尾亮一君) さようでございます。宮内庁費の方に入っております。
  17. 秋山長造

    秋山長造君 今、宮内庁職員定員はどういうことになっているか、ちょっと。
  18. 高尾亮一

    政府委員高尾亮一君) 一般職九百五人でございます。そのほかに特別職二十六人であります。
  19. 秋山長造

    秋山長造君 特別職は具体的にはどういうものですか。
  20. 高尾亮一

    政府委員高尾亮一君) 宮内庁長官、それから侍従長侍従女官東宮侍従東宮大夫式部官長、そういうような種類になっております。
  21. 秋山長造

    秋山長造君 この定員は、前年度とどうなんですか、増減は。
  22. 高尾亮一

    政府委員高尾亮一君) 予算に計上しました基礎になっておりますものは、前年度と変っておりませんでございます。ただし、別にこの国会定員法の改正が出ておりまして――そのことをちょっと申しますと、陵墓のお守りをしております皇宮警察官二十五名でございますが、それを三十一年度から宮内庁職員の方へ振りかえるということになっておりますが、その他につきましては、実質的には昨年度と同じでございます。
  23. 秋山長造

    秋山長造君 その点はわかりましたが、この内訳表の中に出ておる常勤労務者ですね、常勤労務者給与が千七百八十六万七千円という大きな額を占めておるのですが、常勤労務者というのはどういう労務者なんですか。
  24. 高尾亮一

    政府委員高尾亮一君) 常勤労務者の性質は、各官庁常勤労務者と事実違いませんでございます。二カ月、ことに更新いたしまして、ほとんど常時使用いたしております準公務員と申しますか、そういうような職員でございまして、別に各官庁職員と違っておりませんでございます。
  25. 秋山長造

    秋山長造君 これは常時何人ぐらい使っておりますか。
  26. 高尾亮一

    政府委員高尾亮一君) 百四十三人でございます。
  27. 秋山長造

    秋山長造君 それからこまかいことで恐縮なんですが、この常勤労務者給与のほかに、諸謝金報償費、それからその他ずっと項目が並べてあるわけでありますが、諸謝金だとか報償費だとかいうのは、これはどういう内訳になっておるのですか。その内容をちょっと伺いたい。
  28. 高尾亮一

    政府委員高尾亮一君) お答え申し上げます。諸謝金の例を申し上げますと、東宮様の御教育のために、内外の進講者を呼んで――先生でございますが、それに対する謝金が百二十万二千円、それから正倉院御物につきまして、戦後各種の調査をいたしておりますが、その調査委嘱に対する謝金が八十七万一千円でございます。それから次に報償費でございますが、報償費の方は、天皇としての公けの立場で御下賜になる賜金とか賜物、それに要する経費百七十四万円、それから行幸啓等がございますと、宿泊先に対する報償――宿賃に当りますか、その報償費が八十三万五千円、そういうものが諸謝金報償費内容でございます。
  29. 秋山長造

    秋山長造君 そういたしますと、この経費内訳を全般的に眺めて、京都御所施設費がだいぶ減っておるのは、これはわかるのですが、その他で減っておるのは、この報償費だけなんですね。報償費だけが六十八万円減っておるわけですが、この六十八万円減ったということは、何か特別な事情がおありなんでしょうか。たとえば御下賜金が今年は去年よりも減る見込みだとか、あるいは行幸啓なんかの回数が減る予定だとか、何かそういう特殊な事情があって六十八万円報償費が減ったのですか。
  30. 高尾亮一

    政府委員高尾亮一君) 今御説明申し上げました要素につきましては減っておりませんでございますが、御存じのように前年度といいますか、この年度でございますが、この年度は、昨年、義宮様の御成年式がおありになりましたので、その関係経費が含まれておりました。来年度は落ちますものですから、その分が減っております。主査三浦義男君) ほかに御質疑はございませんか。
  31. 八木幸吉

    八木幸吉君 ちょっとこれと離れますのではなはだ恐縮でございますが、簡単に申し上げます。正倉院の裏に観光道路ができて、正倉院御物汚染されるということが、去年の暮から問題になっておって、予算委員会でも私は高橋委員長に伺ったのですが、衆議院文教委員会でもいろいろ問題が大きくなってきているようであります。宮内庁関係のある事柄でありますが、何とかあれを阻止するという方に、何か特別に対策を講じておいでになれば、この機会にお漏し願えたら幸いであります。
  32. 宇佐美毅

    説明員宇佐美毅君) 正倉院の裏の観光道路の問題は、昨年以来の問題でございまして、文部省文化財保護委員会の方から宮内庁にあの道路に関する意見を問われておったのであります。宮内庁といたしましては、ああいうものができない方がもちろんいいのでありますが、しかし文化財保護委員会として、どうしても許可しなければならない理由があるならば、あの道路から生ずる、いろいろな予想される被害というものは、どうしても会社側相当施設をしてもらわなければならぬ。第一の問題は、あの道路ができますために、あの山一面に降ります水がせかれて相当の出水を見るのじゃないかというおそれが第一にあったのでありますが、これは各方面の技術的な検討の結果、その心配だけはまずないといった結論になっておるのであります。それから自動車が通るために起ります震動による被害ということにつきましても、昨年来調査いたしまして、直接にはその震動というものが正倉院建物御物に影響がないという結論が出ておるのであります。残るところは要するに塵埃による被害でございます。この点につきましては、あそこを鋪装してもらうということを頼んでおると同時に、一面昨年から各気象台その他の応援を得まして、塵埃調査をいたしておりますが、その塵埃というものが、自動車が通ればよけいになるだろうという常識的な見解は立つのでありますが、まだ調査の上にはっきり結論を得るところまで至っていないのでございます。その塵埃があの建物を通して中に、戸棚の中に入り、しかも絹で包んである品物にどう影響するかということを算出いたして参りますには相当の日数がいることと、不幸にしてあの道路ができる前の塵埃状況というものの調査がございませんので、どれだけふえたかということは今端的になかなかむずかしい問題でございます。しかし文化財保護委員会でも最近協同的に調査するということで、相協力いたしまして、陣容を強化して、その点を遺憾なく調査いたしております。それで問題になっておりまする観光道路予定線のほかに、これと正倉院の東側に道路がございまして、ここに一般自動車も通るわけでありますから、この方がむしろ塵埃が多いのではないかと想像されます。これは警察当局とも話し合いをいたしまして、なるべく自動車の通行をひかえるように措置をいたしまして、最近は大分減っておるのでございます。そういう点を科学的の調査と相まちまして、もっと有効適切にいたしたいと思います。要は、ああいった観光都市における道路というものが簡単に進められないようにわれわれといたしましても希望してやまないところでございます。
  33. 八木幸吉

    八木幸吉君 もう一点、今お話の最後の塵埃それから自動車のガスの問題ですね、去年の十二月の末に大阪の気象台ですかの調べをちょっと新聞で拝見したのですが、あのときですらすでに大都会の住宅地区ぐらいの汚染はある。いわんや四、五月になればおそらく大都市の工場地帯ぐらいの汚染状態になる、これでは大へんだということが新聞に出ておったわけですが、そこで私の伺いたいのは、一体あれをとめるのにはどこが力を持っているか。つまり観光道路なら観光道路はここを通っちゃいけないということを指図するのは、宮内庁が強く言えばできるのかどうか。あるいは奈良県庁でなければならないのか。文化財保護委員会がそれだけの力を持っているのか。どこが積極的に動けばその災害をなくする権能を持っているのかという点を、ちょっともう一点だけ伺ってみたいと思います。
  34. 宇佐美毅

    説明員宇佐美毅君) あの道路許可の問題につきましては、第一に道路といたしましての関係で建設省の許可が要ると考えます。同時にあそこが史蹟でございますから、文化財保護委員会許可が要るということになって、宮内庁といたしましては、道路の面あるいは史蹟というような面について何ら権限がないわけでございます。正倉院自体は非常に重要なものでございますが、あれは要するに史蹟の外になっております。そういう関係がございまして、文化財保護委員会としては大事な正倉院がございますので宮内庁意見も聞いてきたのだと考えるのでございますが、法律的に申しますと、今すぐ宮内庁からどうするということはできないわけでございます。現在の道路はまだ問題になっておりまして、文化財保護委員会といたしましては許可をいたしていないのでございます。しかし事実はできてしまっている、こういう厄介な問題になっているわけでございます。
  35. 八木幸吉

    八木幸吉君 そうすると、文化財保護委員会許可しなければその道路は使えない、こういうことですか。
  36. 宇佐美毅

    説明員宇佐美毅君) 許可のないものは第一作れないわけだと考えております。
  37. 三浦義男

    主査三浦義男君) ほかに御質疑はございませんか……。なければ皇室費に関する質疑は終了いたします。     ―――――――――――――
  38. 三浦義男

    主査三浦義男君) 次に、国会関係について御審議をわずらわすことにいたします。  まず、衆議院側から説明を願います。知野衆議院事務局庶務部長
  39. 知野虎雄

    衆議院参事知野虎雄君) 衆議院関係予算について御説明いたします。  昭和三十一年度国会所管衆議院関係予算要求額は、十八億五千六百六十五万三千円でございまして、これを前年度予算額十八億二千三百三十四万一千円に比較いたしますと、三千三百三十一万二千円の増加となっております。  次に、主要な事項について一応御説明申し上げます。まず、国会運営に必要な経費として十七億二千三百六十五万三千円を計上しております。そのうち主なものを申し上げますと、議員歳費通信手当旅費議員秘書給料及び立法事務費等議員に関する経費九億一千五百九十二万八千円。事務局法制局及び常任委員会における職員人件費旅費その他の事務費国政調査に要する旅費審査雑費及び証人等旅費議案類印刷費光熱及び水料通信費議員会館等維持管理並びに庁舎等建物修繕等に必要な経費七億六千六百六万五千円。行政監察特別委員会における職員手当事務費委員及び証人等旅費等に必要な経費一千七百十七万七千円。列国議会同盟日本議員団分担金及び列国議会同盟会議等海外派遣に必要な経費として、二千四百四十八万三千円が積算されてあります。  第二は、営繕施設に必要な経費として一億二千六百万円を計上いたしてあります。これは、衆議院庁舎増築に七千万円、衆議院議員宿舎増築に四千六百万円、各所新宮及び修繕に一千万円が積算されてあります。  第三は、予備金に必要な経費として前年度同額の七百万円を計上いたしてあります。  以上簡単ながら概略の御説明を申し上げます。  次に、訴追委員会関係予算につきましてあわせて御説明申し上げます。  昭和三十一年度国会所管裁判官訴追委員会関係予算要求額は、八百八十二万四千円でございまして、これを前年度予算額八百六十万三千円に比較いたしますと、二十二万一千円の増加となっております。これは、裁判官訴追委員会運営に必要な経費でありまして、委員旅費及び職務雑費並びに事務局職員に対する人件費事務費等に必要な経費が積算されてあります。  以上簡単ながら概略の御説明を申し上げます。
  40. 三浦義男

    主査三浦義男君) 次に、参議院の方に説明を願います。参議院庶務部長渡邊猛君。
  41. 渡邊猛

    参事渡邊猛君) 昭和三十一年度国会所管参議院関係歳出予算要求額は、十一億九千百四十九万一千円でありまして、これを前年度予算額十一億八千七百七十九万五千円に比較いたしますと三百六十九万六千円の増加となっております。  次に、この要求額を主なる事項別について御説明申し上げます。  まず、国会運営に必要な経費といたしまして十一億三百七十九万一千円を計上しております。これは議員歳費手当旅費及び立法事務費等議員にかんする経費四億九千九百三十五万五千円、事務局法制局及び常任委員会に要する職員人件費旅費その他の事務費国政調査にかんする旅費及び審査雑費議案類印刷費光熱水料通信費議員会館及び議員宿舎等維持管理並びに庁舎等建物修繕等に必要な経費五億八千八百九十九万二千円、国際会議出席等に必要な海外派遣旅費一千五百四十四万四千円であります。  次に、営繕工事に必要な経費といたしまして、八千三百七十万円を計上しております。これは庁舎増築費七千四百七十万円、各所新党及び庁舎等修繕費八百万円であります。  第三に、予備金に必要な経費として、前年度同額の五百万円を計上してあります。  以上簡単でありますが、概略説明を終ります。  次に、裁判官弾劾裁判所関係歳出予算について御説明申し上げます。  昭和三十一年度国会所管裁判官弾劾裁判所歳出予算要求額は、六百七十三万五千円でありまして、これを前年度予算額六百五十一万九千円に比較いたしますと二十一万六千円の増加となっております。  次にこの要求額事項別に御説明申し上げます。  まづ、裁判官弾劾裁判所運営に必要な経費といたしまして、六百十五万六千円を計上しております。  これは、当所の運営に必要な裁判員職務雑費調査旅費、並びに事務局人件費事務費等であります。  次に、裁判に必要な経費といたしまして、前年度同額の五十七万九千円を計上いたしております。  これは、「裁判官弾劾法」に基く裁判官弾劾裁判に必要な旅費庁費職務雑費等であります。  以上簡単でありますが、概略説明を終ります。
  42. 三浦義男

    主査三浦義男君) 次に、国立国会図書館についてお願いいたします。国会図書館管理部長山下平一君。
  43. 山下平一

    国立国会図書館参事山下平一君) 昭和三十一年度国立国会図書館予定経費要求について、御説明申し上げます。  昭和三十一年度国立国会図書館予定経費要求額は、五億七千八百六十二万円でありまして、これを前年度予算額三億四百八万五千円に比較いたしますと、二億七千四百五十三万五千円の増加となります。  次に、その内容事項ごとに申しますと、先づ国立国会図書館管理運営に必要な経費は、三億四千六十二万円でありまして、この経費は、図書館管理運営に要する人件費事務費及び図書購入費等であります。  この経費増加の主なものは、専門調査員十四名、調査員十四名、常勤労務者十四名の増加に伴う経費及び原子力関係資料購入費PBリポート複写費等であります。  次に国立国会図書館営繕工事に必要な経費は、二億三千八百万円でありまして、これは、庁舎新営に要する工事費二億三千五百万円、事務費三百万円であります。これにより基礎工事及び地階鉄骨工事を完成する予定であります。  以上概略の御説明でございます。
  44. 三浦義男

    主査三浦義男君) 御質疑ございませんか。
  45. 秋山長造

    秋山長造君 参議院予算についてお伺いしたいのですが、この営繕費がずいぶん大きな額を占めている。その大きな額を占めているのは、今建築中のあの事務局建物だろうと思います。あれを鹿島組が請け負っておりますが、あの鹿島組の社長はだれですか。
  46. 渡邊猛

    参事渡邊猛君) 鹿島守之助さんです。
  47. 秋山長造

    秋山長造君 私は実はあの問題がどうも納得がいかない。これは同僚の名前を申し上げて、ここで議論することははなはだこれは私本意でないのだけれども、ただやはり綱紀粛正というような建前から参議院の現職の議員参議院の建築工事を請け負うということははなはだ不穏当だと思う。法律的にはどうかしらないが、道義的に適当でないと私はこういう感じを持っている。あなたはそういうふうにお考えになりませんか。
  48. 渡邊猛

    参事渡邊猛君) 御承知の通り官庁のああいう建物の入札につきましては、会計法、財政法で指名競争入札に付するということに相なっております。そうして最も最低の価格で落札した者に対して工事を請け負わしめるということに根なっております。今そこに建築中の建物の入札に当りましては、日本の現在の建築業者の中で代表的と思われる十社を選びまして、そうして競争入札を行わせたわけであります。その結果、鹿島組が最低で落しましたので、鹿島組に請け負わしめた、こういうことでございます。
  49. 秋山長造

    秋山長造君 法律上の問題は一応そうなっている。だから僕は法律的に違法だとか何とかというのではないのだけれども、ただ参議院議員参議院のああいう大きな工事を請け負うということが違法ではないけれども、今の社会常識からみて、必らずしも適当でないのではないかという私は見解を持ったのです。これは個人的には、そういうことを同僚のことを申し上げるのははなはだ私は失礼だと思うのですけれども、これはたとえば今度提出されている地方自治法の一部改正法案なんかを見ると、地方議員は当該地方団体の請負工事は一切禁止されているのですよ。ややもすればこの議員が、議員という立場においてその特権を利用なり活用なりして、そうして当該団体の土木事業なんかを一方的に事業を請け負って、そうしていろいろやる。その間にややもすれば地方の土木工事等をめぐって、いろいろ官紀の頽廃というような弊害があるのにかんがみて、そうして政府は今度の地方自治法改正によって、もう地方議員は当該地方公共団体の土木工事は一切請け負えない、こういうきびしい禁止規定を設けているのです。地方自治法は国会には適用がないけれども、しかしその精神というものは当然国会においても私は尊重されてしかるべきだと思う。これは何も今度の改正ではない。去年の二十二国会で審議未了になった地方自治法にもやはりその点のきびしい禁止規定というものがあったわけなんです。これはまた世論が支持する禁止規定だと思います。特に国会のような場合は、何といってもこれは全国民の一番目にたつ立場にあるわけです。しかもその国会にああいう大きな工事が当該参議院に所属する参議院議員によって請け負わせるというようなことは、私は今の自治法の禁止規定からかんがみても、はなはだこれは不穏当な感じを持つのです。これについてそういうようにあなた方はお考えにならないかどうか、重ねてお伺いしたい。
  50. 渡邊猛

    参事渡邊猛君) 私たちは法律の規定に厳格に従いまして、日本の現在の水準からみまして、代表的と思われる十社を選びまして、それに入札を行わせたわけなのでありますが、その中にたまたま鹿島組が最低の価格で落しましたので、それに請け負わしめたのでありまして、もっぱら法律の規定に従ってやったということでございます。
  51. 秋山長造

    秋山長造君 この点については、これはもうあなたに幾ら聞いてもそういうお答えしかできないので、この問題はわれわれはあまり軽く考えちゃいかぬと思うのです。これはもう鹿島さん個人ということは別として、今後の問題がありますから、私はやはりこの問題は一つはっきりした責任者のお考えを伺いたいと思うので、この予算の執行の責任者に、議長か事務総長か、どちらか委員一つ、こちらへ御出席願いたい、そういうふうにお取り計らい願いたいと思います。
  52. 八木幸吉

    八木幸吉君 関連して。今十社指名競争入札というお話だったのですが、どこどこですか。金は……入札の結果を一つこの際公表した方が、鹿島君のために……。
  53. 渡邊猛

    参事渡邊猛君) 今資料を整えましてお答えいたします。
  54. 八木幸吉

    八木幸吉君 それからその間に、ついでに伺います。前にはこういう問題は禁止されている法律があったと思うのですね、逆だったかもしれぬが。政府の請負をする人は立候補できないというような規定が前にはありました。いつのまにかなくなっちゃいましたが、そのへんのこと、何か御記憶ありませんか。
  55. 田村文吉

    田村文吉君 関連して。今の問題ですがね。ひとり参議院だけじゃない。衆議院であろうが、国の営造物全部に関して関係する問題だと思うので、私は秋山委員の言われたことは非常にもっともな点があると思う。これはただ参議院とか衆議院だけの問題じゃないのだが、一体国がそういうことについてはもう少しはっきりした態度をきめていく必要があるのではないか。今の法制下においてはやむを得ないということになるのですかね。
  56. 渡邊猛

    参事渡邊猛君) 現在地方自治法の方は改正になるのでありますが、国の場合には別段そういった規定は現在ないと私は考えております。従いましてわれわれといたしましては、法律の規定に従いまして競争入札を行わせ、最低の価格で落したものに請け負わしめるという財政法会計法の規定に従って工事をやらしておると、こういうことでございます。
  57. 秋山長造

    秋山長造君 この請負契約はまた当然年度ごとに更新されるのですか。
  58. 渡邊猛

    参事渡邊猛君) さようでございます。
  59. 田村文吉

    田村文吉君 ついででありますから、衆議院で今度できます新築は、庁舎増築はどこなんでありますか。それから議員宿舎というものが今度できるのですが、これはどこへできるのでありますか。
  60. 知野虎雄

    衆議院参事知野虎雄君) 衆議院で今度予定しております議員宿舎の増築の方は、現在九段に議員宿舎がございまして、その方に増築をする予定になっております。それから庁舎の方は参議院と同じように、対象的に総理官邸の前のところに今建築中であります。
  61. 田村文吉

    田村文吉君 宿舎の方はこれで一段落になるのですか、まだこれはきりなく何だかできるような気がするのですが、どうですか。
  62. 知野虎雄

    衆議院参事知野虎雄君) 私の方で現在――この間の総選挙の結果に基きまして、一応終っておりました議員宿舎の建築に対しまして、三十人ぐらいの議員さんが会館に寝泊りされているような実情でありまして、その分を今度認めていただいたようなわけでございますが、現在の状況でございましたら一応一段落するというふうに考えております。
  63. 田村文吉

    田村文吉君 大へん安いといっては悪いけれども、非常に住みやすいような格好になっている、家賃も安いというようなことでございますから、これはほとんど全部の人が要求するようなことにだんだんなっていくので、これはある程度きりなくふえていくように私考えておるのですが、今のお話で、まずそれで一段落ということでございますが、実際それでおさまりますか。
  64. 知野虎雄

    衆議院参事知野虎雄君) 将来のことは申せませんが、現在困っておられます三十人くらいの方をめどにしましてやりましたので、将来、たとえば下宿をしておられる人がわしも入りたいから宿舎を作れというような要望があると、こういうような場合になりますと、これはちょっと今から何とも断定的に、これは全然ないというふうにも申し上げかねると思いますが、一応私の方で議院運営委員会なり庶務小委員会で、これで一応現在困っておられる方は何とかなるのではないかというふうに考えております。
  65. 田村文吉

    田村文吉君 御承知のように、民間では家がなくて困るので、住宅政策に非常に苦労している際でもありますので、あまり議員さんのために自由な、豊かな宿舎ができていくということで、しかも家賃といいますか、非常に安いというようなことが、いわゆる国民の反感を招くのではないか、こう思って実は心配しているのです。あなた方の方に伺ってもしょうがないけれども、たとえば、宿舎においてそういったものをもう少しモデレートにおやりにならないと、いつまでたってもこういう要求というものはだんだんふえる一方ではないか、こういう心配をするのです。
  66. 知野虎雄

    衆議院参事知野虎雄君) 宿舎料につきましては、現在のところでは大体坪数からいきますと、国家公務員の宿舎料がございます、それよりは割高になっているように思います。
  67. 田村文吉

    田村文吉君 国家公務員というものは、非常に安いときに入っているということになるのです、そうおっしゃると。われわれどうも常識で聞いた計算からいくと、議員宿舎というものはかなり私は安いと思っているのですが、それより公務員の方はもっと安いのですか。
  68. 知野虎雄

    衆議院参事知野虎雄君) それは私から申し上げる筋ではないかもしれないと思いますが、これは法律に基きまして定められておりまして、地域々々によって違うと思いますが、まあ公務員というものについては定められておるものと思います。
  69. 八木幸吉

    八木幸吉君 今の宿舎の話なんですが、大体今何人分あるのですか、現在数は。
  70. 知野虎雄

    衆議院参事知野虎雄君) 現在私の方は百二十七人くらい。
  71. 八木幸吉

    八木幸吉君 四千六百万円で何人分ですか。
  72. 知野虎雄

    衆議院参事知野虎雄君) これは大体三十人分ぐらい……。
  73. 八木幸吉

    八木幸吉君 そうすると一人当り百五十万円ということになりますね。四千六百万円で三十人とすると一人当り百五十万円。
  74. 知野虎雄

    衆議院参事知野虎雄君) 九段に現在私の方でできております議員宿舎は鉄筋鉄骨の建物でありまして、それと同じ建築費を用いまして作るのでございます。ただそのほかに敷地の整備でございますとか、現在そこに建っております若干の付属屋みたいなものを移築しますとか、そういうような費用を全部合せてのことでございます。
  75. 八木幸吉

    八木幸吉君 土地代は幾らかかるのですか。四千六百万円のうちで……。
  76. 知野虎雄

    衆議院参事知野虎雄君) 土地の買収費は入っておりません。ただ敷地の整備とか、そういうものも含んでおるということでございます。
  77. 八木幸吉

    八木幸吉君 私も麹町宿舎に御厄介になったことがあるのですが、そのときつくづくそう思ったのですけれども、今伺えばこの宿舎も一人当り百五十万円、どうも宿舎の建て方が、たとえば食堂であるとか廊下であるとか事務室であるとか、あるいはいろいろ手伝ってくれる女の方のおるところであるとか、付属の建物に非常に坪数をとり金もかかっておるのです。実際おるところは、私が御厄介になったところは八畳一間ですが、ランニング・ウオーターもない。われわれ単に入る方からいえばたとえば一人当り七坪の、かりにアパート式なものに作れば、五万円なら五七、三十五万円あるいは十万円なら七十万円、それにごく小さな廊下をつけてそれでもロックできるようにすれば、一人当り百五十万円なら家が建ちますよ。だから設計そのものがもう少し付属に坪数をとり金をかけるということをやめて、もっと集約的な、必要がなくなればアパートに変えられるといったような、設計にもう少し根本的な頭をお使いになる方がいいのじゃないか。というのは、付属のものが広ければ、それに対する使用人に対する金が非常にかかる。経常費も相当かかっておると思うのです。同じ四千六百万円お使いになるのなら、三十人でなくて私は四十人も五十人も六十人も、倍以上の人が収容できるような工夫は十分できるし、かつ経常費も少なくて済む。住む議員の方からいっても便利だという、つまりもっと工夫ができると思うのですが、その辺いかがですか。
  78. 知野虎雄

    衆議院参事知野虎雄君) 今のお話はまことにごもっともでございまして、私の方では当初計画しましたときは、今の八木先生が申されましたように、今のような宿舎を増築するつもりで実は計画を立てたのでございます。それで行きますと、やはり二十四室分ぐらいしかできないのであります。それでございますと、おっしゃられましたようにつなぎの廊下でございますとか、それから部屋の前の廊下でございますとか、こういうものは鉄筋鉄骨でやりますものですから、廊下だけに要する経費は実に膨大なものであります。そういうことを考えまして大蔵省にも御了承を得まして、そして今のようにアパート式のものに建築の計画をし直したのでございます。それによりまして私どもの方では三十くらいできるというふうに計画しておりまして、廊下とかそういうものはみんな取ってしまいました。それで今度は独立のアパート式のものを一むね作るということで、部屋数も三十に増したというのが実情でございます。
  79. 八木幸吉

    八木幸吉君 一人当りの坪数は幾らですか、固有の、つまり専用のですね。
  80. 知野虎雄

    衆議院参事知野虎雄君) 正確な坪数はちょっとわかりませんが、間数から申しますと八畳が一つと、それから四畳半が一つ、それに大体四畳くらいの台所と朝の食事くらいはできるような食堂兼用のものと、それからあと風呂場、便所という程度のものでございます。
  81. 八木幸吉

    八木幸吉君 一人々々全部風呂も便所もついているわけですか。
  82. 知野虎雄

    衆議院参事知野虎雄君) さようでございます。現在九段にあります宿舎で、八畳と三畳というのが最近できまして、今お使いになっておる一番新しい宿舎なんですが、それより四畳半で、ちょっと大きいという程度でございます。
  83. 八木幸吉

    八木幸吉君 使用人はどれくらいですか、全体で……。と申しますと、つまりその管理のために掃除婦だとか事務員だとか、いろいろな人がおられますね、それは何人くらい、三十人に対してお使いになるおつもりですか。
  84. 知野虎雄

    衆議院参事知野虎雄君) 今度は私の方はそういう意味では人件費は非常に少くて済むのじゃないかと思っております。
  85. 八木幸吉

    八木幸吉君 どれくらいですか。
  86. 知野虎雄

    衆議院参事知野虎雄君) 何といいますか、共同の関係の掃除人の部分がありますけれども、各部屋の中は各人がしていただくようにしますから、まだはっきりは建物を作ってみないとわかりませんが、普通の宿舎を建てますよりは費用は少くて済むと思っております。
  87. 八木幸吉

    八木幸吉君 食事はどうしますか。
  88. 知野虎雄

    衆議院参事知野虎雄君) 食事は大体普通の家庭と同じように自炊のできるようにしておりますが、各人が現在九段の宿舎がございますから、そちらの食堂がございますから、食堂に行こうと思えば行けるようにはなっております。ただし廊下等は付けてありません。
  89. 三浦義男

    主査三浦義男君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  90. 三浦義男

    主査三浦義男君) 速記を始めて。
  91. 八木幸吉

    八木幸吉君 今参議院庁舎費用が七千四百七十万円出ていますが、これだけでやはり仕事は終るわけでなくて、また来年度も同じような費用が出てくると思うのですが、それは一体各年度におそらく入札をするんでないから、来年度も当然今問題になっている鹿島建設がやるということになりますか。
  92. 渡邊猛

    参事渡邊猛君) これは継続費ではございませんで、毎年度九々々工事費が計上されていくという関係上、来年度新たに入札に付するということに相なるわけであります。従いまして来年度の入札に際して、従前やっておった請負業者が必ず入るということは、まあ保証されておらぬわけでございます。
  93. 八木幸吉

    八木幸吉君 先ほどお願いした入札の実績、あとで伺いたいと思います。
  94. 田村文吉

    田村文吉君 関連して。それは物件が全然別のものなんですか。一つの物件のものなんですか、どうなんですか。全然別の物件なら、翌年別の工専者に請負わすことができるのですが、一つの関連した物件だとそれがなかなかできないと思うのですが。
  95. 渡邊猛

    参事渡邊猛君) 実際の請負業者間のいろいろな慣行はよく知りませんのですが、法律の上では別な……、必ずしも従前やっておった者が必ず次の工事を請負うということには相ならぬ、まあそういう保証はないわけであります。
  96. 田村文吉

    田村文吉君 僕はそれを聞くのじゃなくて、今建っている建物というものが、来年もやはり継続してやる場合には、一つ建物一つの関連した建物なんですか、全然別の建物を考えているのかということです。
  97. 渡邊猛

    参事渡邊猛君) 全然別の建物ではございません。関連しております。
  98. 田村文吉

    田村文吉君 そうすると非常に不都合なんでしてね、もうそれじゃ入札も何もない。そんなの一体どうなるんです、今度は手をかえて、飯場をかえて、別に建物を建てる、仮設物を作ってやるということになったら大へんなことになる。ですから結局継続費でやるものと結果は同じだということになるのですよ。だからそれならば、そういうような継続費を要求して予算を立つべき問題であって、途中で切っておいて、自由にできるのですというお話が、ちょっと合点がいかないな。
  99. 渡邊猛

    参事渡邊猛君) これは大蔵省関係になると思いますが、今日継続質で工事を認めるということは、非常に大蔵省は厳格にやっているようでございまして、継続費ではなかなか認められがたいという関係もございますので、こういうような方法でやっているわけであります。
  100. 田村文吉

    田村文吉君 同じ問題で、衆議院はどうなんですか、庁舎増築の問題は、これは全く一件で、これで完了するものなんですか。
  101. 知野虎雄

    衆議院参事知野虎雄君) 参議院と同等でございますが、私どもの方は現在戸田組がやっておりますが、来年度は来年度で競争入札をやるということになっております。
  102. 秋山長造

    秋山長造君 さっきも話が出たのですが、午後は事務総長と一緒に官房長官を呼んでおいていただきたいと思います。全般の問題にも関連してお願いします。
  103. 三浦義男

    主査三浦義男君) それでは暫時休憩をいたします。    午前十一時五十五分休憩      ―――――・―――――    午後一時三十八分開会
  104. 三浦義男

    主査三浦義男君) 休憩前に引き続きまして分科会を再開いたします。国会関係についての御質疑をお願いします。
  105. 秋山長造

    秋山長造君 休憩前にお願いしておいた指名入札のときのいきさつを説明する資料はまだできませんですか。
  106. 芥川治

    ○事務総長(芥川治君) 私から……。先ほど本会議の開会の直前でありましたので、お呼び出しがありましたが参れませんで、ただいま参った次第であります。  先ほど庶務部長に御質問のありました請負関係のときの資料、これは印刷が間に合いませんので、便宜私から御報告申し上げます。  大建築業者八つを選びまして、名前を申し上げますと、鹿島建設、清水建設、鴻池組、大成建設、銭高組、安藤組、藤田組、戸田組、これは衆議院においても同様に十の土木建築業者を選びまして、これに指名競争入札をさせて鹿島組に落ちたと、こういう事情になっております。
  107. 秋山長造

    秋山長造君 ちょっとこの問題自体について質問する前に、もう少し資料の点で詳しい金額なんかの点を御説明願いたいと思います。
  108. 芥川治

    ○事務総長(芥川治君) 金額について順次申し上げますと、これは二十九年度予定価格が一千二百万円で、入札の結果、戸田組が一千三百三十五万円藤田組が一千三百二十五万円、安藤組が一千三百二十万円、銭高組が一千三百万円、大成建設が一千二百九十万円、鴻池組が一千二百七十八万円、清水建設が一千二百七十万円、鹿島組が一千二百五十万円でありまして、鹿島組と契約をいたした、こういうことになっております。なお、三十年度でございますが、三十年度予定価格が三千八百四十万円、この工事に関しましては清水建設が三千九百四十五万円、安藤組が三千九百四十万円、銭高組が三千九百三十万円、戸田組が三千九百万円、鴻池組が三千九百万円、大成建設が三千八百八十万円、藤田組が三千八百七十五万円、鹿島組が三千八百三十八万円でありまして、鹿島組に落札いたしまして、鹿島組と契約いたした。  以上であります。
  109. 秋山長造

    秋山長造君 私は午前中庶務部長に御質問したのですが、一体、国全体として、国の工事を、国会議員というような特定の仕事を持った人がどんどん請け負ってやるということについてもこれは問題がある。これはまあ後ほど官房長官が見えたらその点の究明をしたいと思っているのですが、今さしあたって問題になっているのは、この参議院の問題なんです。今、お話を聞きますと、二十九年度も三十年度も大体この八人の業者を同じように指名して、そうして入札をやっておられる。そうして偶然か何かしらぬけれども、どちらも鹿島組に結局落ちているわけなんですが、私がお尋ねしたいのは、一体参議院のこういう工事を、現に参議院に議席を持っておる人に請け負わせるということが適当であるかどうかということなんです。この点について事務総長はどのようにお考えになっておるか、その点まず……。
  110. 芥川治

    ○事務総長(芥川治君) お答え申し上げます。秋山委員のお尋ねでありますが、参議院議員が社長であるところの会社と請負契約をすることがいいか悪いか、こういうふうな御質問と考えます。私どもは事務的に考えまして、御承知のように、会計法二十九条で指名競争入札をいたすわけであります。日本全体から考えまして、資力、信用のあるこの八大土木建築業者を選びまして、それによって落札した者と契約をするということは、法の上から差しつかえないことと考えておるわけでございます。
  111. 秋山長造

    秋山長造君 午前中も庶務部長から同じような御答弁があったのです。私がお尋ねしているのは、この会計法の上からいって、別に禁じられていないということじゃないのです。その点はもう私も十分承知しているので、今別にそういうことを禁止する規定も、制限する気もないんですからね。だから法律で禁止されてないんだからかまわんじゃないかという、法律で禁止されてないんだからやったとおっしゃることは、これは一応わかります。一応わかりますけれども、私が問わんとしていることは、この法律で禁止されてなければ何をやってもいいんじゃないかということには私は直ちにならぬのじゃないかと思うのです。特に問題がこういう問題でもあり、それから今政界でも官界でも問題になっていることは、やはりこの網紀の粛正といいますか、官紀の明朗化といいますか、私はそういうことだと思うのです。しかもそれが問題になる一番大きな原因は、やはり国会議員だとか大臣だとか、あるいは官庁の幹部だとか、そういう人が特定の地位を利用して、ということは語弊があるかもしらんが、利用していろいろと業者との間に取引が行われる。そうしてそれに不明朗な影が伴いがちである。それからまた世間一般からもそういう目で見られがちである。だからそういう問題の扱いについては、その局に当る人は特に細心の注意を払って慎重にやらなければならぬということが問題だと思うのです。そうしてそれがまた今社会の要求でもあると思うのです。そういう道義的な、社会道義というようような見地から考えた場合に、やはり私は参議院の、まあその他の、衆議院でも何でも同じことだが、特に参議院の工事を、参議院の現職にある議員が請け負うということは、どうも私は違法ではないかと……これはまあ法律で禁止してないんだから違法ではない。違法ではないけれども、しかし適当ではない。道義的には非常に問題があると、私はどうしても考えざるを得ない。その点道義的にも何的でも、どんどんやって差しつかえないというように事務総長はお考えになるか、もう一度お尋ねしたい。
  112. 芥川治

    ○事務総長(芥川治君) お答えいいたします。秋山委員のお説は、一応私もごもっともな点があると思うのでありますが、特に参議院議員が社長であるところの土木建築業者を除くべしという制限のない限り、事務的にはもっとも資力、信用があると考えられる――これは衆参両院とも同様にやったわけでありますが、一応機会均等にしてそうして請け負わせるということは、私は何ら差しつかえないんじゃないかというように考えております。
  113. 秋山長造

    秋山長造君 これはあなたは、事務的に、事務的にということをおっしゃるけれども、私はこの事務的にということにもいろいろ問題があると思うのですが、いやしくも、やはりこういう問題をただ事務的に差しつかえないということだけで私は片づく問題ではないと思うんですがね。たとえばこの資格を持ったすべての業者に均等に入札に参加する機会を与えてしかるべきだという御意見なんだけれども、それは私も一応わかります。一応わかりますけれども、何も鹿島組だけが資格を持った会社だというわけじゃないし、現にそれと並んで八つの会社を同じように指名されているわけですしね。だからほかの問題、たとえば鹿島組があるいは衆議院なり、あるいはほかの方面の何か国の事業でも請け負うというような場合は、あるいはそれも必ずしも問題によってはすべての場合適当であるかどうかは私はわからんと思うのだけれども、しかしそんな議論をしてもしょうがないが、しかし、少くともこの参議院の仕事を請け負うということについては、私はどうも事務総長がおっしゃるように事務的にやった、法律上差しかえないということだけで私は片づくとは思わぬ。事務的にとおっしゃるけれども、やはり国会というものは国権の最高機関ということになっておるし、それからまた何かにつけて政治の中心であり、何かにつけてまたこれはすべての国民がひとしく国会の動きは注目されておるのですから、だからただ事務的に片づく問題もありましょうけれども、しかし、いやしくも対外的な面になったら、事務的だからという通り一ぺんの説明で私は片づく問題ではないと思う。やはりその影響するところは相当大きいと思う。  それから現に去年、二十二国会で出て、一たん審議未了になって、今度また政府から提案されております地方自治法の改正案なるものを見ますと、一切の地方議員は当該地方公共団体と請負契約を結ぶことができないという非常にきびしい規定が入っておる。しかも、これはまあ政府の方もよほどこういう問題についての理由があって出されたのだろうと思うが、同時に世論もおそらくこれは支持しておると思うのです。いわんやより大きな規模で行われている国の時業についてこういうそれを制限なり禁止する法律がないということは片手落ちだと思うけれども、しかし、そういうものが現にないにしても、地方自治法において、地方議員にこのくらいの制限規定を置くことがこれは当然のこととして世論から支持されておるという今の社会情勢から見ますならば、これは参議院に現に議席を持っている議員が同じ参議院の手業を請け食う、しかもどこかよその場所でということならともかくだけれども、この参議院の、議事堂のすぐ隣で鹿島組という看板を掲げて麗々しく、そうして法律で禁止されていないから当りまえだということでやらせるということは、これは鹿島さんの個人の問題は別ですけれども、これは参議院自体としてそういう扱い方は私は決して穏当な扱い方ではない。また、世人がそれに対して、どうも地方議員にはやかましく言うが、国会の方はまるであべこべではないかという感情を持つことは無理からぬことだと思う。そういたしますと、この扱い方は違法ではないけれども、これは穏当ではない、どうしてもそう思う。この八人の会社に何も鹿島さんを、必ず鹿島組を入れなければならないという理由はないけれども、入れてはならないという理由もないとおっしゃるだろうけれども、入れなければならぬ理由もない。しかも今私がるる申し上げましたように、この社会情勢のもとでこの問題を考えた場合に、当然これはこの参議院、少くとも参議院の工事に関する限りは、一応鹿島組も資格はあるけれども、一応やはり今の社会情勢にかんがみて御遠隔願った方がしかるべきではないか、そういうようなお感じを、この指名に入れられるときにお持ちにならなかったということは私は不思議なんです。いかがですか。
  114. 芥川治

    ○事務総長(芥川治君) 御意見はそのまま拝聴いたします。重ねて申しますように、私どもは事務的に扱っておったわけであります。ただいま地方自治法の改正にも議員関係の制限が今度出されておるということを拝聴いたしております。かりに国会においてもそういうことに制限が加えられることに相なりますれば、それはもとよりそれに従ってやるわけであります。直ちに私に意見を求められましてもこれ以上のお答えは私はいたしかねるのであります。
  115. 秋山長造

    秋山長造君 これは国会議員についても自治法と同じような規定ができればとまあおっしゃるのですが、それは当りまえのことですよ。それは当りまえのことですけれども、私はその法律よりもっと広い立場でこの質問をしておる。ただおれは事務総長だからものを事務的にやるのだということでは私は済まぬと思うのです。その済まぬ点を私は、しつこくなって恐縮ですけれども、質問しておるので、現に私はついせんだって地方からやってきた県会議員にその点は質問を受けたのです。県会議員はこの県庁の事業を請け負えぬということをきめながら、国会は、鹿島組はあれはどうなのだといって質問された。私はそういう感じは、これは素朴な一般国民の声としては当然われわれは尊重せなきゃならぬ、無視はできないと思うのです。それは事務的に間違いはないから、そんなことを考えるのは考える方が間違っておるというわけにはいかぬので、やはり僕はそれはもう真実だと思う。だから幾ら事務総長だから、ものを事務的にやりさえすればいいということにならぬので、やはり事務総長というものは議長と同じように、私はもう少くとも参議院のこれは代表的な立場において仕事をしておられるのだから、だからただ事務的に、法律的に、法律に違反しさえせねばということだけでやっておられるべきものでもないと思う。それは法律で制限していなくても、それはどんどんやっていいということと、それからある程度控え目にしなきゃならぬことぐらいのことは、これは当りまえの話なんでしてね、まあその点は事務総長は幾ら私が言いましても、やはり法律に禁止していないのだからという言葉で逃げられるのですけれども、しかし法律で禁止していなければ何をやってもいいということは私は断じてないと思う。それは詐欺をやれば詐欺罪になるけれども、詐欺にならぬ程度ならばうそを幾らついてもいいというわけにもいかぬので、やはりそこに人間の守らなきゃならぬ道義という一つの限界がある。まあそんなことをあなたに申し上げることは恐縮ですけれどもね、恐縮だけれども、しかしこの問題は私は虚心たんかいに考えていただきたいと思う。個人の問題は別として、これはこう今のような自治法で議員の請負行為を明文をもって禁止するという時代に、これはいやしくもこの国民注視の的である国会において、参議院において、参議院のああいう大きな工事を、まあ大きくとも小さくともいいのですけれども、参議院の工事を現職の参議院議員に請け負わせるということは、私は何といっても不当だと思う、道義的に。どうしてそこまでの気づかいをなされなかったかと思うのです。そういうことをじゃあ一応はお考えになったことはあるのですか、どうですか。
  116. 芥川治

    ○事務総長(芥川治君) 実は鹿島組は、参議院議員になられます前から請け負いをいろいろやっておられまして、社長が参議院議員になられましてからのこれは工事ではありますが、特に制限はないのに除くということは、かえって先ほど申しましたように不公平になるというふうに考えまして、指名競争入札に付したわけであります。衆議院も同じ計画の建物がありまして、衆議院も同様にこの八つの土木建築業者に指名競争入札をいたしまして、参議院だけが議員に社長がなっておるからという理由でこれを除くということはかえってどうかと思いまして、衆議院と同様に競争入札にいたしまして、いろいろ今御批判をいただいているような結果に相なっておるわけであります。
  117. 八木幸吉

    八木幸吉君 関連してちょっと事務総長に伺いますが、議員の職責の公平を保つという意味合いから、御承知の通り前には衆議院議員選挙法に被選挙権の制限に関する規定があったのであります。明治四十一年法律第五十八号ではその第十三条第二項に「政府ノ請負ヲ為ス者又ハ主トシテ政府ノ請負ヲ為ス法人ノ役員ハ被選挙権ヲ有セス」というこういう規定がございました。ところが大正八年法律第六十号によってこの規定が改正をされまして、「政府ニ対シ請負ヲ為ス者及其ノ支配人又ハ主トシテ同ノ行為ヲ為ス法人ノ無限責任社員、役員及支配人ハ被選挙権ヲ有セス、前項ノ役員トハ取締役、監査役及之ニ準スヘキ者並清算人ヲ謂フ」、こういう規定がありました。ところが大正十四年の法律第四十七号でこれは全廃されております。そこでなぜ全廃されたかということの理由を知るために、当時の衆議院議員選挙法改正法律案の貴族院の特別委員会の議事録を取り寄せて今見たところでありますが、大正十四年の三月十三日の貴族院のこの委員会で、花井卓蔵博士が、「現行法ニ於キマシテ政府ニ対シテ請負ヲナス者又請負ヲナス所ノ法人ノ無限責任社員、役員、支配人ニハ被選挙権ヲ与ヘヌト云フコトニナツテ居リマス、是ハ最モ現行法規ノ上ニ於テ宜キ規定デアルト思フテ居ルノデアル、」云々、こう言って、なぜ政府がこれをやめるかと質問しておられるのに対して、当時の政府委員の塚本清治さんが答えておられるのには、「政府ノ請負ヲナス者ヲ改正案ニ於キマシテ被選挙権ヲ有セシムルコトニ致シマシタ理由ハ、総テ請負ハ法規ノ規定ニ依リマシテ公明正大ニ行ハレルモノデアリマシテ、其間地位ヲ利用シテ不正ヲ図ルト云フヤウナ虞レハナイコト、認メタノデアリマス、従来ニ於キマシテモ名前ヲ他人ニ籍リマシテ其実請負ヲナシテ居ル者が議員タルコトモ屡〃アリマスルシ、殆ド現行法ノ法規ヲ潜ラレルコトモ少ナクナイ、而シテ其弊害ハ法規ニ依テ相当取締ノ下ニ防遇ノ出来ルモノデアリマスカラ弊害ヲ認メルコトガナイノデアリマスカラ、ソレ故ニ弊害が既ニナイトスレバ一般国民ト等シク権利ヲ享有セシメテ宜イデハナイカ、」こう言っておられるのですが、これは最も国民の重要なる権利である被選挙権さえも請負をするがために取ってしまうという規定を全廃するという理由として述べられたところでありますが、その次のところに一つ御注意をいただきたいのは、「殊ニ法人ニアリマシテハ政府ニ対シテ請負ヲナスト云フヤウナモノハ誠ニ少ナクゴザイマシテ、其法文ノ適用ヲ受ケルト云フ場合モ誠ニ少ナイノデゴザイマスソレ故ニ其害ノナイコトヲ認メマシテ、害ガナケレバ広ク一般ノ国民ト共ニ之ヲ享有セシムルコトニスルト云フ原則ニ復帰スルノ趣旨ニ外ナラナイノデアリマス」、でありますから被選挙権を請負をする者から取ってしまった規定を廃止するということも、一体こういう事態は少いであろうということが前提となってこの法律が廃止されたのであります。今秋山さんがるる申し述べましたように、やはり私は国会議員がこの国会の請負をする、その指名入札の中に入る、もしくは入れるということは、これは国民の道義と申しますか、常識上からいって穏当ではない。法律では差しつかえないのじゃないか、こう言われるが、もともと被選挙権さえもこういう制限規定があり、廃止されたときの政府委員の答弁でも、もうそういう事態が起らぬのじゃないかと言われておるくらいでありますから、今後はやはりお避けになる方がいいんじゃないか。ことに今、秋山委員から地方自治法に関連してのお話がありまして、私一々ごもっともであると思うので、将来はこの点は一つ改めたいと思うというだけの御言明は事務総長におかれましてもされるのが妥当ではないか、こう実は私は思います。  それからもう一つは、八人の名前をおあげになりましたが、異様に感じましたのは、大林組、竹中組は今お話しになりました請負業者と同等、もしくはある人に対してはより以上の人じゃないかと思うのです。なぜこの中から抜けておるのか、何か特別の理由がございますか。本人が辞退されたか、あるいはこちらからお抜きになったのか。大林組、竹中組というのは、ことに大林組などは五大建築業者だといわれておるのじゃないかと思うのですが、竹中組でも今言われた八人の中のそれより落ちるとは思われないのですがいかがでしょう。
  118. 渡邊猛

    参事渡邊猛君) 指名に当りまして竹中組、大林組を除きましたのは、実は竹中組につきましては、この庁舎の工事の始まる前に若干の工事を入札に付したことがあるのでありますが、その際工事が非常に遅延したような事実がございました。で、この国会建物を作る、この新しい庁舎を作る指名に際しましては遠慮してもらったのであります。それから大林組につきましては、これは衆議院の方の何かそういったような工事の遅延というようなことがございまして、そういう関係を考慮いたしまして、これは衆参両院、指名に参加する業者につきましては十分慎重に打ち合せをいたしまして、この八社を選んだわけであります。
  119. 秋山長造

    秋山長造君 十分に慎重にお選びになったという事務総長からもそういうお話があったのですけれども、そのお選びになったときに、まあ今までのことはともかくとして、参議院議員になられてからの鹿島組については、やはり今のこういう社会情勢ではあるし、ちょっと国会についてだけの、参議院についてだけはちょっとこの際遠慮してもらおうじゃないかという御考慮がなかったかどうかという事実を先ほど来お尋ねしておるのですけれども、それについてのはっきりした御答弁がないようですが、その点はどうですか。慎重に考慮という中にはそういう点までの考慮はなかったのですか。
  120. 芥川治

    ○事務総長(芥川治君) お答え申し上げます。私どもといたしましては、先ほどから申し上げましたように慎重に考慮いたしました結果、どういうふうになつたわけでございます。
  121. 秋山長造

    秋山長造君 依然とその点についてはっきりお答えにならぬのですが、まあ先ほど事務総長は参議院の現職議員なるがゆえにこれを除くことはかえって不公平になるからというようなお話があったのですが、その点は今八木さんから出た大林組なり竹中工務店なりを入れなかったということの理由と比べまして、別に大同小異であって、やはり除くことによる不公平ということと、それから加えることによる、先ほど言った道義的な一つの世間からの非難ということを比較考量された場合に、一体どちらが重いというようにお考えになっておるんでしょうか。
  122. 芥川治

    ○事務総長(芥川治君) お答え申し上げます。私どもはこの問題についていろいろとお尋ねがございますが、先ほど申しました通り、慎重に検討をした結果、指名いたしておりますので、ただいまのようなどちらがどうだという、こういうふうな御質問に対しては、私といたしましてもお答え申しかねるわけであります。
  123. 秋山長造

    秋山長造君 依然としてお答えないのですが、じゃこの八社を慎重に考慮してきめられたというのですが、この八社をきめるということは事務総長の責任においておやりになったことなのですか、どうですか。
  124. 芥川治

    ○事務総長(芥川治君) さようでございます。
  125. 秋山長造

    秋山長造君 じゃ一応その点について納得のいく説明がないので、これは幾らお尋ねしてもはっきりはお答えにならぬようですから、ちょっと一応それでおいて、道義的な問題として私が申し上げておることは事務総長は御了解になりますか、なりませんか。
  126. 芥川治

    ○事務総長(芥川治君) お答えいたします。秋山委員のお話は私もよくわかります。
  127. 秋山長造

    秋山長造君 そうといたしますならば、まあいずれにしてもこれは二十九年度、三十年度済んだことなんです。今後の問題として、また三十一年度はあらためて指名入札をおやりになる。それで今後はこの点について扱い方を改められる御意思はありませんか。
  128. 芥川治

    ○事務総長(芥川治君) いろいろ本日御意見を拝聴いたしましたので、慎重検討の上考えたいと思います。
  129. 田村文吉

    田村文吉君 ちょっと伺いたいのでありますが、これは何年に完成する予定になっておりますか。
  130. 芥川治

    ○事務総長(芥川治君) 三十一年度予算折衝の過程におきまして、議運の庶務小委員会等の御支持を得まして、今年度一ぱいに、三十一年度一ぱいに完成いたしたいということで予算要求いたしましたが、それは実現いたしませんで、三十一年と三十二年度、あと二カ年で完成するという予定に相なっております。
  131. 田村文吉

    田村文吉君 そこで問題は、こうやってこれだけの工事を四年にも分割してなさる場合に、たとえば暖房工事とか水道工事というものが離れているというのならばいいのですが、そうでない建築自体を四つにもお切りになるのは、どういうふうにして一体お切りになるのでございますか、そういうことが事実上できますかどうかということが一つ、そういうことをなさった場合には、やはりいろいろの小屋の建設であるとか、それから機械類を運んでくる関係だとかいう意味で非常に不経済になりはせぬか。たとえば必ずしも初めの人がそのまま入札をなすって落札して、ずっとおやりになるならばけっこうなんですが、もし落札者が変ってくると非常にそこにむだができる。安くできる工事もそれがために高くなる、こういうことが起ると思う。ちょうど区切りよく、暖房工事が残ったとか、水道工事が残ったというならば、別の方法があるのですが、一体こういうふうになさるのはどういうふうにして区切りをつけて今までやっておるのですか。
  132. 芥川治

    ○事務総長(芥川治君) 田村委員の御質問にお答えいたしますが、なるほどおっしゃいます通り予算が一ぺんに参りまして、こちらの要求した通り参りますといい区切りで工事がいくと思うのです。不幸にして毎年わずかずつ予算をもらい、その予算に合せまして設計の部分を分けて今やっておるようなわけであります。いろいろの点についていろいろ不便の点が、今後の工事の点につきましても、一ぺんに予算をもらって工事するよりも非常に不利であろうということは考えられると思います。
  133. 田村文吉

    田村文吉君 そこで問題は、あまり例はないけれども、こういうものにもやはり継続工事を認めてもらって、初めから全額の契約をしてしまう、そういうようなことはお考えになったり、あるいは政府と折衝なすったことはありますか、ないのですか。
  134. 芥川治

    ○事務総長(芥川治君) お答えいたしますが、私どもといたしましては、全額最初に継続工事として認められ、そうして工事にかかるということが一番いいと考えておりますが、希望は政府に申しております。それからまた予算をもらう場合にも、獲得いたします場合にも、庶務小委員会、議運等中心になりまして、大蔵省の担当官の方にもよく話をいたしておりますが、結果がこういうふうなったことは私どもとしてもまた遺憾に思っております。
  135. 田村文吉

    田村文吉君 大蔵政府委員一つお尋ねしたいのですが、こういうだれが見てもみすみす不経済なことであり、かりに今度入札をなさる場合になっても、やはり前の人がやらないと大へん不都合が出るというようなことも、非常に無理なことも起る。全然手を変えてしまうということになると、これは前の人がやるべきはずの工事であったのが抜けておったとかいうようなことが事実上想定されるのです。でありますから、どうしてもこういうものをやるならやるときまれば、継続工事でやらないと非常に国庫に損害を多く与えると思うのですが、それについては政府としては、大蔵省ではどういうふうに考えておられますか、まだ他に例がたくさんあると思うのですが……。
  136. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) ただいまの御質問の御趣旨はまさにその通りでございます。単年度予算になっておりますために、架設その他のもし重複を来たしますならば、それは向うが負担せざる限りにおきましては、結局回り回りまして、国費をよけい使うということになる結果が十分考えられるところであります。これに対しまして、例の継続費の問題でございますが、継続費の取扱いが実は現在そこまでまだ踏み切っておりません。従って本問題のような場合にはまだこれを継続費の取扱いにいたすということにいたしておらないわけであります。継続費につきまして現在例がないわけではございませんが、なお一般に広くこれを適用いたしませんゆえんのものを若干御説明いたしたいと思うのでありますが、もともと継続費は旧憲法時代には憲法の例外として既定費予算というものの基礎の一つの措置としてございますのでありますが、新憲法になりまして規定が大権経費その他とともになくなってしまったのであります。当時から継続費は全然廃止するということは適当でなかろうというのでいろいろ議論がございました。同時に継続費を一体新憲法のもとにおいて行い得るものであろうかどうかという点もいろいろ論議の存するところであったわけであります。しかしながら当時の態勢といたしましては、まあ新憲法の趣旨と申しまするのは、何事によらず国会を中心といたしまして、それの自由な御判断を随時尊重していくような態勢を考えるべきであるということが基本でございましたので、かたがた憲法にも、予算は毎会計年度予算について内閣がこれを作成して国会に出すというような規定もございましたので、むしろ多分に否定的にこれを解しておりました。継続費というものはこれは新憲法のもとにおきましてはとらない方がよろしい制度である、こういう考え方でおったのでございますが、基本的にはこの考え方は現存に至りまするまで変っておりません。しかしながら継続費の制度は、昭和二十七年以来実は会計法、財政法の改正によりましてこれを復活いたしたのでございます。しかしながら、これは単に数カ年にわたる工事についてこれを認めることができるということにいたしませんで、特別の事由がある場合に限ることにいたしまして、なおその辺の規定の趣旨といたしましては、きわめて例外の場合であるというふうに限定いたしておる次第であります。  なお私自身当時この仕事を担当しておったわけではございませんが、伝えられるところによりますと、当時国会における御論議におきましてもいろいろ御意見もございましたようで、むしろこれは広く行われることになるとまずいことであるというような御議論があったように私どもは承わっております。しかしながら特定の場合、特に当時要望されましたのは、主として土木の非常に大きい、何十億といったような総合的な計画に基きまする工事につきまして、この継続費の制度がございませんというといろいろな意味において適当でないということが主たる理由になりまして、そういう改正になったのでありまして、現在はその事態を予想してできました規定といたしまして運用いたしておるわけであります。非常に総合的な計画でございまして、その一部分といたしましては、工事は次々に完結し、分割して完了し得るものでございますが、それらのものが部分的なものとしてこれを考えました場合には、他のいろいろな工事等と比較いたしまして、必ずしも緊急性のあるものではない。しかしながらこれを総合的に一定の時期までに完成いたしますことによって、特定の河川の改修なり、ダムあるいは下流水路、流末の処理の水路なりという、総合された計画の中において初めてその妥当性を得るといったようなものにつきまして、これを一括して御議決を願うというような点が一つの点でございまするし、それからまたこれらのダム等につきましては、おそらく民間あるいは地方公共団体といったようなものもいろいろな御都合がつきまとうものでございまして、たとえば発電会社の工事といったようなものがこれにからみますると、財政資金の方は比較的予算ということが重く見られて使われて参るのでございまするが、民間資金等がこれに付随的について参りますると、非常にこれまた金利資産といったような面から考慮を要求してくるわけでありまして、それによってまたその全体の計画の妥当性をも左右することになりまするので、そういうような見地からと存じまするが、特に総合開発的な事業計画を持ちます大規模な土木工事といったようなものにこれを適用するという線で現在運用いたしております。  本件のような場合について申し上げまするならば、ただいま御質問にもございましたように、この例はきわめて多いのでございまして、小さな五百万円、六百万円といったような工事は別でございまするが、億をこえまするような工事になりまするというと、全体との計画から見まして、なかなか単年度では予算をつけることが困難だろうというのが財政の実情でございまするので、かかる例は数多く見られるわけであります。この際すべてこれを継続費の取扱いをいたすということは現在考えておりません。それは言うまでもなく、最初申し上げましたような、いわゆる毎年度予算というものの議決に対しまして、なるべく既定費的拘束を加えることを避けたいということがもちろん根本でございます。そのほかに毎年度の事業計画、予算による事業計画というものが、なるべくそのときの事情に即しまして運用できまするようにという実質的な事情も強く現在まだ意識されておる結果と考えております。
  137. 田村文吉

    田村文吉君 議論をしましても始まらない問題ですから、私は議論をしたくないのですけれども、小さいから大きいからといって、私は区別されるよりも、建物を一階まで建てて、あとは二階から予算が通らなかったらやめるというようなことがあり得ていいのかどうか、こういうことを考えてくると、もう少し私は政府事業というものは常識的にものをやってもらわんと困るのではないか、かりに二年目にきて、予算が通らないというと一階で建ちっぱなしにしてやめてしまう、しかし、そしてそれが一階までいくのか、どこでお切りになるのか、今も参議院にお伺いしてみると、必ずしも切れ目が、はっきり切るわけにいかない場合が多い、こういうのです。こういう点から大蔵省は根本的にお考えにならなければならぬので、この前継続費というものを認めようじゃないか、これは主としておっしゃる通り建設関係の問題として起ったのです。起ったのでありますが、建設関係だけではない、あらゆるものが、そういうような性質上やむを得ないものについては、はっきりと認めてお上げにならぬと、これがためにおそらく二割くらい損している。きっとこれは年度分けでおやりになると二割くらい損するのです。そういう不経済なことを国民の税金をとってやっているのである。もう少し考えてやっていかなければいかぬのではないかと思います。しかしこれはあなたにお話しても何ですから、大蔵大臣に――この問題は根本問題ですからお話をしてみたいと思います。建設省関係以外に継続費というのは今の防衛庁にありますね、その他にはありませんか。
  138. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) まずございません。大体建設省に似たようなもので北海道開発庁にございます。その程度でございます。  なお今の分で御質問の趣旨は私ども了解できるのでありますが、制度が何分にも予算の民主的な統制と、それから経済に即応した予算生活ということと、純粋に何でも安く上げるというその分とのかね合いの問題でございまして、これは方針の大きな、もちろん決断を要する問題でありますが、多分に技術的な問題と考えます。こういう機会に御意見を承わらしていただきまして、非常に幸いと思いますが、なお現在の制度につきましても、そういう点を全然考慮いたしておらないわけでもございませんので、まあ継続費ということになりまして、もう一回また来年度入札をするということになりますれば、国といたしましても、その際に業者が変ることは何かと不便もあることと思いますが、当該業者につきましても、非常に不利と申しますか、残念と申しますか、いろいろ事情がございまして、おのずから競争におきましても勉強した札入れになるだろうということも考えられますし、また何らかの事情によりまして、これが著しく不利である、こういうふうに考えました場合には、さらに事情によりましては随契の道も開かれておるのであります。もちろん随契も制度があるのでありますから、慎重なる考慮と手続をもって処理いたすのでございます。一応そういう配慮を等閑に付しているわけではございません。制度全般の問題といたしましては今後研究してみたいと思います。
  139. 田村文吉

    田村文吉君 一体この仕事が、かりに三年に分割した場合に、一年ごとに、三分の一ずつ利用ができるという性質のものなら私言わぬです。三年たたなければ役に立たないのです。そういうようなものを、金を一年も二年も政府の財政窮乏の折から金を使って、三年たたなければ役に立たない、こういう不経済なことを、もうわかっていながらそういうことをおやりになるということが、私は非常にあなたの今お話を聞いておっても納得できないのです。そういう点がぜひ一つ是正さるべきだ、金高が大きいとか少いとかいう問題じゃないです。それが三年で分けて三分の一ずつ使用ができていくのですということなら、これは私はまだ納得がいく。ところが三年たたないとこの建物は使えない、そういう場合に、そんなにすることよりは、ことしは衆議院のこれはやめて、参議院のこれに全力をあげてやるとか、ことしは参議院のこれはやめて衆議院のこの建物を建てるというふうにいかなければならぬものなんです。そんなわかりきったことができないということは、非常に私は大蔵省がもうちょっと常識的に働いてもらわなければいかんじゃないか、こう考えるのですが、一体そういう点についての考えはできませんか。
  140. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) ただいまの御意見でありますが、私もまことに同感でございます。のみならず少くとも予算を事務的に編成いたしておりまする大蔵当局といたしましても、常日ごろ戒心に努めておるところでございます。何分にも予算大蔵省だけで編成いたしますものでございませんので、各省との折衝によりまして内閣でこれをきめます。ことに本件のごとき独立機関の分でございますというと、さらにその点の手続きも慎重をきわめるわけでございます。今回の予算の編成に当りましても、まさに仰せのような趣旨から私ども努力をいたしましたところでございます。結果はなかなかそう参りませんけれども、総額の予算の方が確定されておりまして、御要望の緊急性によっていろいろなものが出て参ります。そういうような関係からこういうようなことになったのでありまして、なお予算の重点的、効率的使用ということにつきましては、もちろん私どもとして今後とも努力して参るところで、ただいまのような御発言が公けに承われましたことは非常に幸いと思っております。
  141. 田村文吉

    田村文吉君 だが大蔵省で、私らの方では思うようにいかぬのですとおっしゃっるけれども、今の参議院の方からいうと、何とかことしは完成してもらいたいと要求したところが、大蔵省で削ったと、こういうのです。だから私はそういう点は大蔵省がもう少し目があいてくれないと困るじゃないか、こう申し上げるのです。
  142. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) その点はなお努めて努力をいたします。そういう御発言によりまして、なお大かたの御協力も期待できるものと考えまして、非常に実はいい、予算を作ります上におきまして、時宜に適した御発言をいただいた、こう考えております。
  143. 田村文吉

    田村文吉君 むだ金を使っているということだな……。
  144. 八木幸吉

    八木幸吉君 ちょっと継続費のことを伺うのですが、たとえば三億円で三カ年継続しておる。ことしが一億で来年が一億で、次が一億という議決をしますね。ところが来年になってみてその一億円をこれは五千万円に削るとか、やめてしまうということはできるのですか。
  145. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) それはできます。決して覊絆力があるわけではございません。継続費の年割額をその当該年度予算に、または編成をいたします中に組んでいましても、もう一回その審査はやるわけでございます。従ってこれをあらためて御変更になることはできるわけです。
  146. 八木幸吉

    八木幸吉君 ゼロにすることができますか。
  147. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) 理論的には差しつかえございません。それを途中でやめることも差しつかえございません。ある年度だけゼロにするということもできるわけでございます。
  148. 八木幸吉

    八木幸吉君 ある年度だけでなく、それを全部やめてしまうこともできますか。
  149. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) それは予算といたしましては可能でございます。ただし継続費の場合におきましては、政府に契約権が与えられますので、もし相手方と契約をいたしておりました場合には、その契約が国と相手方の関係において残りますので、あるいは違約あるいは解約といったような措置を別途必要とするということになります。
  150. 八木幸吉

    八木幸吉君 もう一点簡単な希望でありますけれども、田村さんから経費の節約の面でるるお話がありました。私はこの継続費の必要なことについて、計画の全貌がわからぬということです。たとえば今問題になっている事務庁舎ですね。あれは三億円かかる。ところがわれわれ予算を見まして何千万円という予算が出ていると、つい見のがすおそれがある。私も実は新聞であそこに三億円であんなものが建つということを初めて見て、いろいろ調べてみたら、建つことは建つけれども、毎年わずかずつであるのでよくわからない。だから節約という面もあるけれども、同時にごまかすという面もあるのだが、わずかずつ一ぺん出しておいて基礎工率ならば基礎工事をやる、そうしてもうできているから次をやらざるを得ないというので、国民の方からいえば、あの庁舎を建てるのに三億円出す値打があるかないかということを考える場合に、三億円なんという値打はないけれども、千万円ならよろしいというかりに頭があって、千万円で予算に組まれていると、ついうかうかと賛成してしまうという……、つまり計画の全貌を見るために、やはり継続費ということがむずかしければ、これは何億円のうちの何ぼだということを、少くとも備考か何かにわかりやすく書いてもらわないと、ついごまかされてしまうというおそれが多分にあるわけです。これは大きな総合的の建設省の建設計画なんかでなしに、小さい庁舎一つでも、やはり親切にこの予算を審議させるためには、計画の全貌というものをどこかで予算審議のときにすぐわかるように備考あたりに一つ書いておいてもらいたいということを、私はこの機会に希望として申し上げておきます。
  151. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) お説のような点は確かに考えられまするので、形式はちょっと私もなお検討を要しますがなるべくそういうことが一目いたしましてわかりまするようになお工夫をこらしてみたいと思います。
  152. 八木幸吉

    八木幸吉君 先ほどの庁舎の問題なんですけれども、竹中組が工事がおくれたという具体的なことを一つ伺ってみたいのです。どういうわけで何年……、つまり指名からのけただけの理由をもう少し詳しく承わりたいのですね。衆議院の大林の方も同時に……
  153. 渡邊猛

    参事渡邊猛君) 竹中組が、今この横に議員面会所がございます。あれが元、今建築中の建物のところにあったわけでございます。あの工事の、あの建物の移転を指名競争入札で請け負わしたわけでございますが、その工事が非常に遅延いたしまして、最初の予定の期日より相当期間工事を遅延いたした、そういった事実からいたしまして、本工事の指名に際しては遠慮してもらった次第であります。
  154. 八木幸吉

    八木幸吉君 幾らの仕事で何日おくれたのですか、なるべく具体的に……簡単でいいですから具体的な話を聞かしてもらいたい。
  155. 渡邊猛

    参事渡邊猛君) それは三百六十五万円程度の工事です。
  156. 八木幸吉

    八木幸吉君 おくれた期日は……。
  157. 渡邊猛

    参事渡邊猛君) 三回ぐらい竣工期日の延長を申し出まして、あとで的確に調べて御報告いたしますが、三カ月以上遅延いたしたと思っております。
  158. 八木幸吉

    八木幸吉君 大林はいかがですか、衆議院の方で……。
  159. 知野虎雄

    衆議院参事知野虎雄君) 先ほど大林組が衆議院で遅延したというお話がございましたが、大林組は衆議院では一ぺんも工事したことはございません。衆議院関係というのではございませんで、衆議院参議院で相談をしてきめますときに、私の方からしたことはないのでございますので、御相談の上でこれはやめたというふうに聞いております。
  160. 八木幸吉

    八木幸吉君 先ほどの参議院説明はうそですか。
  161. 渡邊猛

    参事渡邊猛君) それは私の聞違いでございました。
  162. 八木幸吉

    八木幸吉君 事務総長の御発言が、非常に慎重にきめたというのに、おそらくビッグ・ファイブに入っているだろうという大林をのけたというのは、錯誤によってのけたというのは、ちょっとおだやかでないと思うのですが、いかがですか。
  163. 芥川治

    ○事務総長(芥川治君) その点につきましては、なお詳しく調べました上で次回にお答えいたします。
  164. 八木幸吉

    八木幸吉君 それからもう一つ突き進んで伺いたいのですが、図書館の建設、それから衆議院の宿舎等がありますが、これの入札は、今までのやはり八つですか、あるいは竹中、大林をお入れになりますか、鹿島組はどうなさいますか、その辺のことを関係各位から伺ってみたいと思います。図書館の方どうですか。
  165. 中根秀雄

    国立国会図書館副館長(中根秀雄君) ただいまの御質問につきまして、図書館の分につきましてお答え申し上げます。国会図書館の建築そのものにつきましては、三十一年度から着工いたしますので、その分の建築請負いの問題はまだございませんです。もう一つ申し上げますことは、図書館の建築の請負いにつきましては、建設省の方で全部その手続その他を委託して行なってもらうことになっております。
  166. 八木幸吉

    八木幸吉君 二億三千五百万円の中には、建築工事はあるのでございますか、ないのでございますか。
  167. 中根秀雄

    国立国会図書館副館長(中根秀雄君) 二億三千五百万円の全額が建築工事費でございます。
  168. 八木幸吉

    八木幸吉君 その指名入札をどこそこにするということは建設省に一切まかせて、あなたの方は何も御存じないと、こういうことですか。
  169. 中根秀雄

    国立国会図書館副館長(中根秀雄君) 建設省に委託することに相なっておりまして、私の方では直接いたしません。
  170. 八木幸吉

    八木幸吉君 衆議院の宿舎の方はいかがですか。
  171. 知野虎雄

    衆議院参事知野虎雄君) 衆議院は来年度議員宿舎につきましては、予算が決定されまして、実施の段階になりましてから業者の指名をきめようと思っております。まだ今までのところ大林がどうだのということについては具体的にきめておりません。
  172. 八木幸吉

    八木幸吉君 衆議院の方は、今のここでの質疑応答をお聞きになってどういうふうにお考えになっておりますか。つまり指名をだれにするか、鹿島組は除いた方がいいとか、大林を入れた方がいいか、そういうことは何も考えておりませんか、今の質疑応答をお聞きになって……。
  173. 知野虎雄

    衆議院参事知野虎雄君) 私の方は鹿島組は……、まあ衆議院はちょっと違いますけれども、今別にそれによってここで私自身がこれを除くとか何とかいうことは別にまだ考えておりません。
  174. 八木幸吉

    八木幸吉君 今の質疑応答は何らの感興を引かなかったと、こういう意味でございますか、多少の何か御参考になりましたか。
  175. 知野虎雄

    衆議院参事知野虎雄君) 大へん参考になりました。(笑声)
  176. 秋山長造

    秋山長造君 今の問題で、あす何か八木さんの御質問に対して資料を提出されるようですが、私その資料の点でもう一つお願いしておきたいのですが、先ほど事務総長が御説明になった八つの会社の名前と、それからその年度の工事の予定価格ですね、それから各会社が札を入れたその入札価格というようなものを一覧表にして、一つあすの朝出していただきたいということをお願いしておきます。
  177. 芥川治

    ○事務総長(芥川治君) 承知いたしました。
  178. 三浦義男

    主査三浦義男君) ほかに御質疑はございませんか。
  179. 八木幸吉

    八木幸吉君 この弾劾裁判所ともう一つの訴追委員会に超勤手当が、時間外勤務の手当が出ているのですが、時間外勤務というようなことがありますか、従来ございましたかしら。裁判官訴追委員会で十五万四千円、それから弾劾裁判所の方で十六万六千円出ておりますが、あそこはそう忙がしくないと思いますけれども、やはりありますか。
  180. 隈井亨

    裁判官弾劾裁判所参事隈井亨君) 弾劾裁判所の方もやはり超勤をいたします場合がございます。
  181. 八木幸吉

    八木幸吉君 ありますか。
  182. 隈井亨

    裁判官弾劾裁判所参事隈井亨君) はい。
  183. 野間繁

    裁判官訴追委員会参事(野間繁君) 訴追委員会の方も超勤をやっております。このごろは事件が非常に多いものですから。
  184. 八木幸吉

    八木幸吉君 やはりございますか。
  185. 野間繁

    裁判官訴追委員会参事(野間繁君) ございます。
  186. 三浦義男

    主査三浦義男君) それでは国会関係質疑は一応終ったのでありますが、明日は官房長官の出席を求めて、先ほど秋山委員から御質疑がございましたのにつきまして、質疑を行いたいと思います。     ―――――――――――――
  187. 三浦義男

    主査三浦義男君) 次に、裁判所関係について御説明を願いたいと思います。最高裁判所事務総局事務次長石田和外君。
  188. 石田和外

    説明員(石田和外君) それでは昭和三十一年度裁判所所管予定経費要求額について御説明申し上げます。  昭和三十一年度裁判所所管予定経費要求額は九十五億三百六十一万九千円でありまして、これを前年度予算額九十一億七千六百三十二万円に比較いたしますと、三億二千七百二十九万九千円の増加になっております。  この増加内訳は、一、職員の特別手当の〇・二五の増加及び昇給昇格に要する俸給手当の自然増等の人件費増加額一億九千百一万六千円、二、裁判に必要な経費の事件増による増加額八千四百三十二万三千円、三、裁判所庁舎等施設整備に要する営繕費の増加額三千万円、四、その他一般司法行政事務を行うために必要な旅費庁費等の増加額二千百九十六万円であります。  次に要求額に計上いたしましたおもな事項について御説明申し上げますと、第一に、最高裁判所及び下級裁判所の専務処理に必要な経費といたしまして七十二億二千六百八十八万八千円を計上いたしました。この内容は、職員の俸給その他の人件費が六十八億四千二百三十四万四千円でありまして、要求総額の七十二%となっております。残りの三億八千四百五十四万四千円は一般の司法行政事務を処理するために必要な旅費庁費等であります。  第二に、裁判所職員の研修に必要な経費でありまして、裁判官、司法修習生、裁判所書記官、家庭裁判所調査官、その他の職員の人格の向上を期するととともに、これら職員に司法に関する理論及び実務の研修をさせるための経費並びに裁判所書記官の調書作成の能率化をはかる目的のもとに、従来の要領筆記の方法にかえて速記タイプによる速記方法を裁判所職員に修得させるための経費といたしまして二億六千五百五十四万五千円を計上いたしました。  第三に、検察審査会に必要な経費でありまして、検察審査会法により、検察官の公訴を提起しない処分の適否及び検察事務の改善に関する建議、または勧告を行うため、地方裁判所及びその支部所在地二百四カ所に設置されております検察審査会の運営に必要な検察審査員、証人等の日当旅費、その他の旅費庁費等といたしまして五千三百一万八千円を計上いたしました。  第四に、裁判に必要な経費でありまして、国選弁護人の報酬、証人、調停委員等の日当、旅費、その他裁判に直接必要な旅費庁費等といたしまして十二億八千九百六十九万八千円を計上いたしました。  第五に、裁判所施設整備に必要な経費といたしまして、裁判所庁舎等の新改築工事を行うための裁判所庁舎新常費五億三千百六十七万八千円、法廷、調停案等の増改築を行うための裁判所庁舎等施設整備費二千五百万円を計上いたしました。  第六に、裁判所法の規定に基く予備金といたしまして八百万円を計上いたしました。  以上が昭和三十一年度裁判所所管予定経費要求額の大要でございます。何とぞ慎重御審議をお願いいたします。
  189. 三浦義男

    主査三浦義男君) 御質疑ございませんか。
  190. 田村文吉

    田村文吉君 ちょっと伺いますが、速記タイプというのはどういうことをやるのですか。
  191. 石田和外

    説明員(石田和外君) 普通、速記はここにございますように、手掛きで鉛筆である符号を書いておりますが、速記タイプは、これをタイプに仕込むのでありまして、記号を一定にしておきまして、タイプのように打つのでございます。
  192. 田村文吉

    田村文吉君 それ現に今どこでお使いになっておりますか。
  193. 石田和外

    説明員(石田和外君) これは約四、五年前からこの予算をいただきまして、裁判所書記官研修所という研修機関がございますが、そこで研修をいたして、養成をいたしております。すでに三百二十三名の卒業生を出しております。各裁判所に配置いたしまして、実際法廷で速記に従っております。
  194. 田村文吉

    田村文吉君 それは、それがために人手がセーブできるということになるのですか。
  195. 石田和外

    説明員(石田和外君) ただいまのところ顕著に人手をセーブするというところまでには至っておりませんが、まず要領調書に比べまして非常に正確性を期待することができますし、これが全国の裁判所に行きわたるようになりますと、今の訴訟の手続も相当大幅に変えまして、その暁には相当人手もセーブされることになる予定でございます。田村文吉君 それは発音されたままに、そのままタイプに打てるようになるのですか。
  196. 石田和外

    説明員(石田和外君) さようでございます。
  197. 田村文吉

    田村文吉君 あるいはきょう資料の持ち合せがないかもしれませんが、一体裁判の一件に対する日数というものは、近年一体どういうふうに短縮されつつあるのですか、その問題を一つ……。
  198. 石田和外

    説明員(石田和外君) 今御即答申し上げかねますが、いずれ調べまして……。
  199. 田村文吉

    田村文吉君 お手持がありませんでしたらば、分科会を開いておりますうちにその資料を御提出お願いいたしたいと思います。
  200. 石田和外

    説明員(石田和外君) 承知いたしました。
  201. 八木幸吉

    八木幸吉君 裁判所庁舎等の新改築工事のために五億三千百六十七万八千円出ておりますが、これは継続費の一部になっているのも多々あると思いますが、今、この五億何千万円かの庁舎しかかりのもの全部完成してしまったときの一体経費は幾らくらいかかるのですか、年度内に全部完成しますか。
  202. 石田和外

    説明員(石田和外君) 三十二億あまりということに一応予定しております。
  203. 八木幸吉

    八木幸吉君 そういたしますと、三十二億、この五億を除いてあとの二十七億まだ次年度から予定が要るということでございますか。
  204. 石田和外

    説明員(石田和外君) ただいまは三十二億あまりと申しましたが、そのうち二億八千万円ばかりは三十年度までに済んでおりまして、本年度中に、三十一年度に五億五千万計上しております。
  205. 八木幸吉

    八木幸吉君 そうすると、その以後は二十五億になりますか、三十二年度以後完成までは二十五億ということになりますね。
  206. 石田和外

    説明員(石田和外君) さようでございます。
  207. 八木幸吉

    八木幸吉君 そこで今お話の、その三十二億の、どこそこの裁判所に幾ら要るのだと、そうしてそれの年度計画を一覧表にして、これも分科会が終るまでに資料として御提出を願います。
  208. 石田和外

    説明員(石田和外君) 御要望に沿うようにいたします。
  209. 八木幸吉

    八木幸吉君 それから福井の裁判所を四億何千万円かでやられておって、一昨年か私拝見しましたが、まだ当時は完成しておりませんでしたが、もう完成しましたのですか。
  210. 石田和外

    説明員(石田和外君) 経費の節約等のためにあのまま停頓しておるような次第でございます。
  211. 八木幸吉

    八木幸吉君 今の三十三億の計画の中にはあれを完成する費用も入っていますか。
  212. 石田和外

    説明員(石田和外君) それは今のところ予定しておりません。
  213. 八木幸吉

    八木幸吉君 どうもああいったのは、中途半端なものを置いて次々やるのはどうかと思うのが一つと、それからもう一つは、今の国力から見て、私は裁判所の建築そのものはぜいたくのものがあるとこう実は思っておりまして、私前の決算委員会でも一応そのことを申し上げたことがあるのですが、ここ五年ほどの間に、最初にお出しになった計画は百五十億ぐらいの金を裁判所の新庁舎建築にお使いになるお気持があったように思うのですが、ちょっと五年ほどさかのぼりまして、庁舎の改築に始めてから今までに幾らぐらいお金を使っているのですか。たとえば二十五年度なら二十五年度を起点にいたしまして……。
  214. 石田和外

    説明員(石田和外君) それも取り調べましてからお答えさしていただきたいと思います。
  215. 八木幸吉

    八木幸吉君 それからもう一つは福井のように一体未完成のものがほかにもございますか。
  216. 石田和外

    説明員(石田和外君) 福井は未完成ではございますが、あれでここしばらくの間は十分使えますので、私どもとしては大体完成したものとして扱っておるわけでございますが、福井以外にはそうないように思います。
  217. 秋山長造

    秋山長造君 今の裁判所庁舎の新改築工事ですが、これは何ですか、地方から寄付金を取っている例が相当あるのじゃないかと思うのですが、その地元寄付等の点はどうなっておりますか。
  218. 石田和外

    説明員(石田和外君) これまでの方針といたしましては、なるべく寄付等はいただかない、裁判所の性質上やたらに寄付をいただくということも問題でございますから、いただかない方針にしておりましたが、実際上は現地側の市会等の大多数の御賛同等がありまして、ぜひ寄付をしたいというふうな申し出がありました分につきましては、二、三寄付を受け入れた例がございます。
  219. 秋山長造

    秋山長造君 過去において二、三とおっしゃるのですけれども、それは二、三でなしに、大体もう例外なしに地元寄付というものをもらっておるのではないですか。
  220. 石田和外

    説明員(石田和外君) いや、その例外なしにもらっているというようなことは……。
  221. 秋山長造

    秋山長造君 新設の場合ですよ。
  222. 石田和外

    説明員(石田和外君) 新設の場合でもですね、新設の場合にはほとんどむしろ……。簡易裁判所等も含めまして十カ所ぐらいになるそうでございます。
  223. 秋山長造

    秋山長造君 現在、まあ過去は、これはいろいろ経済情勢もありましたから、だから国ばかりの経費を当てにしていましたならば、なかなか庁舎の改築だとか新築だとかいうものははかどらぬものだから、今おっしゃるような地元の方が、国の方が寄付を申しつけたものではなしに、地元が自発的に寄付をするのだからもらってもいいじゃないかということですけれども、これはただそういう方法をとったまでで、要するにこれは寄付の割当なんですよ、実際問題として、けれども現状はどうなんですか、五億三千万円というような相当膨大な新改築を行われるわけなんですが、現在はこれらのほかに地元寄付、その他予算に上ってない何か金がこれにプラスされているという例はございませんか。
  224. 石田和外

    説明員(石田和外君) 何しろ御承知のように相当戦災を受けておりますのみならず、すでに裁判所庁舎は明治二十年前後にできたもので、改築期になっているものが相当に多く、それから新制度になりましてから、家庭裁判所とか簡易裁判所とかいう新しいものができましたので、非常に急速に新築をするあるいは改築をする必要があるものもございますけれども、五億、六億という予算ではなかなか思うようにいかないわけではありますけれども、そのために特に寄付を要求するというふうな例は、進んで要求したというような例はもちろんございませんし、ただいまのところは大分の家庭裁判所につきまして寄付の申し出がありまして、それを受け入れたという例が本年度計画の中では一つあるだけであります。
  225. 秋山長造

    秋山長造君 大分だけですね、ほかにありませんね。
  226. 石田和外

    説明員(石田和外君) はあ。
  227. 秋山長造

    秋山長造君 この予算書に上っている以外に何か地元で寄付とは名がつかないにしても……。
  228. 石田和外

    説明員(石田和外君) 大分以外にはございません。
  229. 秋山長造

    秋山長造君 この予算書についてお伺いしたいのですが、予算の中に最高裁判所、それから高等裁判所、地方裁判所、家庭裁判所、みなそれぞれ交際費がついているのですが、この裁判所交際費というのは、これは最高裁にしても地方裁にしてもみな同じ性質のものですか。
  230. 石田和外

    説明員(石田和外君) 高等の長官あるいは地方、家庭の所長等に多少の交際費がついております。同じ性質のものでございます。
  231. 秋山長造

    秋山長造君 するとこれは最高裁の交際費というのは長行の交際費ですか。
  232. 石田和外

    説明員(石田和外君) 長官だけではなく、御承知のように会議体が主体でございますから、会議体の交際費と思っております。
  233. 秋山長造

    秋山長造君 そうすると最高裁の裁判官が十何人かおられますね、その十何人の共同の交際費、こういうように了解してよろしゅうございますか。
  234. 石田和外

    説明員(石田和外君) 大体さような性質のものと考えております。
  235. 秋山長造

    秋山長造君 そうすると同じ理屈で高等裁についても地方裁についても、家庭裁についてもみなそれぞれの所属する裁判官の共同の交際費、こういうように了解してよろしゅうございますか。
  236. 石田和外

    説明員(石田和外君) 大体同様かと思いますが、ごく僅少の額でございますから、とても大ぜいの……。
  237. 秋山長造

    秋山長造君 いや、まあ多い少いということでなしに、その性質を聞いているのです。大体今の御説明を承わりますと、やはり裁判官の共同の交際費ということになっておるのですが、そういたしますと、最高裁はまあ数が少い、十何人で百五十五万円ということになっているのですが、それから高等裁になるとうんと数がふえるわけですけれども、三十六万円ですね。それから地方裁になると一そう数はふえるわけですが、これは高等裁よりはちょっとふえておりますけれども九十五万円、それから家庭裁判所になると今度は数が減るのですが、同じく九十五万円、こういうことになっている。そこでやはりこの交際費というものは、この裁判官の頭数というものに按分して考えた場合に、相当不均衡になっているように思うのですね。だからこの交際費内容というものは、事実どういうことに使われるものなのか、ちょっと御説明願いたいと思うのです。私、別にこれをせんさくして多いとか少いとか言うわけではないのですが、ちょっと各裁判所を比べて見て、つり合いがとれないような感じを受けるのです。
  238. 上野宏

    説明員(上野宏君) 交際費内容といたしましては、各省の交際費と同様でございまして、この最高裁判所が中央官庁といたしまして、最高裁のいろいろな交際費に使うのであります。高等裁判所は八カ所、大体予算単価は同じ数で入っております。それから地方裁判所も四十九庁、同じ単価で入っております。家庭裁判所も四十九庁でございます。やはり各庁同じ単価で入っております。そうして高等裁判所長官の交際費、それから地方裁判所長及び家庭裁判所長との交際費の間の単価には開きがございます。
  239. 秋山長造

    秋山長造君 まあその点はその程度にしておきましょう。  それから最後の裁判費の中で身柄少年食糧費というのがありますね。これは前年度五十八万円で、本年度はだいぶ減って、三十八万二千円ということになっていますが、この身柄少年食糧費というものの内容と、それからそういうように急に減った理由をちょっとお伺いしたい。
  240. 上野宏

    説明員(上野宏君) まず身柄少年食糧費の内容でございますが、これは家庭裁判所へ送られます少年で、身柄が拘束されておる少年がございます。その少年の昼等の食糧を与えるというのが身柄少年食糧費でございます。前年度より減りました理由は、二十九年度の実績が三十四万二千円余りでございまして、それを基礎といたしまして、想定件数増加率が一・二九でございまして、それを掛けました数字が三十八万二千円になるわけであります。大体裁判費の予算の考え方に従っております。
  241. 秋山長造

    秋山長造君 食糧費というのは、単価はどのくらいに見積られておるのですか、それと身柄少年の数ですね。二十九年度三十年度あたりは、この身柄少年の人数はどのくらいになったのか、ちょっと御説明願いたい。
  242. 上野宏

    説明員(上野宏君) まず単価についてお答え申し上げますと、一番初めに食糧費を入れましたときに、一人一日五十円という単価でございました。
  243. 秋山長造

    秋山長造君 一日三食ですか。
  244. 上野宏

    説明員(上野宏君) はあ、三食になりますか、場合によって違いますが、要するに一人五十円の単価になりますが、それが後に節約とか、あるいは事件の件数、それから実績等によって毎年かげんしておりますので、今はちょっと単価と申しますと幾らかはっきりいたしませんが、初めこれを入れましたときは一人一日五十円という単価であります。それから後は実績と想定件数による増減を掛けて毎年やっております。
  245. 秋山長造

    秋山長造君 そうすると昨年は想定件数に比べて実績が非常に少なかったということになるんですね。昨年の予算を立てられるときは、やはりまた前年度の二十九年度のその実績ということをにらみ合わせて予算を立てたと思うのですが、そうすると身柄少年の件数は、二十九年度から三十年度が激減したということになるのですか。
  246. 上野宏

    説明員(上野宏君) 昨年度のが、三十八年度の実績を基礎にして増減率を掛けております。三十一年度の数字は、二十九年度の実績に上昇または下降の増減率を掛けておりまして、これは身柄少年の件数がふえたかどうかという場合もございますが、その少年が午前中に裁判所から帰ってしまうとか、あるいは午後までずっと調べが続いたとか、それから鑑別所へ送る場合の、裁判所職員が連れて参りますときの食糧費とか、そういう事件以外の要素も入ってございます。それで事件の増減ばかりでなく、そのときの事情によりまして、非常に増減が今までの経験上ございます。
  247. 秋山長造

    秋山長造君 そういたしますと、午前中に調べが済んで、飯を食わずに帰ってしまうというような例がまざってくるから、これは一がいには言えないと思うんですけれども、予算の大体の傾向としては、身柄少年は漸次減る傾向にあるんですか、その点はどうなんですか。
  248. 上野宏

    説明員(上野宏君) ちょっとただいま身柄を拘束されている少年のことにつきましては、資料を持ち合せがございませんが、少年事件一般といたしましては、大体少しずつふえております。たとえば二十九年度が二十八万件でございますが、三十年度は三十三万件というふうに、件数はふえております。
  249. 秋山長造

    秋山長造君 そういたしますと、結局裁判所の事務が非常に能率化されて、午後まで持ちこさぬでも、午前中にどんどんさばいてしまうという結論になるんですか、どうなんですか。その件数はふえる傾向にあるにもかかわらず、この食糧費は減っていっている。それともう一つは、食糧費の単価ですが、今度御承知のように、厚生省なんかの関係の収容施設の子供の食糧費の単価は、まあ少しですけれども、ふえてきておりますね。それから、おそらく法務省の少年院なんかの関係の食糧費も、単価が多少ふえているんじゃないかと思うんですが、この関係は単価は今まで通りですね。
  250. 上野宏

    説明員(上野宏君) まず件数増減の点について申し上げますと、件数が非常にふえましたのは、身柄少年以外に、交通事件関係の少年が非常にふえておりますので、身柄事件はそうふえていないだろうとただいま推測しております。それから今、厚生省、法務省関係のお話でございますが、これは裁判所といたしまして、それに相当いたします費用は、裁判費の中に、少年補導委託費というものがございます。それが大体厚生省関係の単価と同じように入れております。
  251. 秋山長造

    秋山長造君 そうすると、その補導委託費というのは食糧費に使うんですか。
  252. 上野宏

    説明員(上野宏君) これは少年を団体ないし個人に試験観察に付するわけでございます。その場合の少年の生活のいろいろな食糧費その他の雑費及び事務費、そういうものに適宜委託するための経費というわけでございます。
  253. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 私は地方法務局関係のことをお尋ねしたいと思うんですが、町村合併の結果、登記所の区域が市町村の区域とそごしておるような関係で、いろいろ町村行政に支障を来たした例が多々あると考えておりますが、そういうふうな関係の現在の状況がどうであるかということを承わりたい。
  254. 石田和外

    説明員(石田和外君) 登記所については法務省でございます。
  255. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それでは続いてさっきの速記タイプによる速記の方法ですね、これによっていったらば、どのくらいの人員が整理されるというようなことになりますか。あるいは人員の整理はできませんか。あるいは紙や何かの消耗品はうんと減ずるだろうと思っておりますが、そういうような節約見込み、人間を減らすならば減らすところの見込みはどういうふうになりますか。
  256. 石田和外

    説明員(石田和外君) 非常に私どもにとりましてはむずかしい御質問なんでございますが、実は速記タイプはどこの裁判所にでも、全国の裁判所に速記者が配置されるという情勢が参りますと、訴訟のやり方が変ってくるだろうと思うのです。御承知のように、速記は原紙を打ちまして、その打ちました原紙を言葉に直すのでありますけれども、それが非常に時間がかかりまして、ただいまのところ速記をとった時間の十倍近くも時間がかかりますので、そのままでは非常に能率が悪いのであります。それで将来原紙を符合で速記のあれを打ちまして、それを翻訳しないで――反訳と申しておりますが、反訳しないで、そのまま書類として置く。それで事件が確定しますればもうそれを反訳する必要はないわけでございます。たとえばその審級の裁判所裁判官は耳で聞いて判断するのが理想的なわけでありますから、紙に書いたものを当てにしなくてもいい。耳で聞いたところに従って判断をする。で、これは控訴にでもなりまして、上の審級にいきました場合、上の審級の控訴審の裁判官裁判をする場合にその速記の原紙のうちで、当事者が必要な部分だけを申し出れば、その部分だけ反訳して、それを上級審つまり控訴審の裁判の資料にするというふうにいたしますれば、紙の節約、人の節約が非常にできるわけでありますが、これは今申しましたように、全国の裁判所に速記者が十分行きわたった場合のことでありまして、それを目標にしてやっておりますけれども、その域になりますまでにはまだ相当日数もかかりますので、その計算が実はいたしかねるわけでありますので、この程度の説明で御了承願いたいと思います。
  257. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それから裁判の場合に一般の者が証人として呼び出されますね。証人として呼び出されるが、その証人として呼び出されたのが何時に出頭せよとかいうようなことを言われて、二時間も三時間も、あるいは午前呼ばれたのが午後になってもまだだというようなことになっておりますが、こういうようなのも、時間を励行するようなことに改めることはできないのでしょうか。
  258. 石田和外

    説明員(石田和外君) 俗に裁判所時間という言葉さえあるくらいでございまして、仰せのような事例が再々あるのでございますが、裁判官裁判所書記官等高等裁判所職員はそろっておりましても、何しろ関係人が多いわけでございますので、なかなか時間がそろわない。あるいは原告の代理、被告の代理あるいは証人と……、さようなために時間通りに来た人が待たされるというふうな不都合な結果もあるわけでございますが、そういうことがなるべくないように皆心がけてやっておるつもりでございますので、だんだんさような事例も少くなろうかと存じます。
  259. 田村文吉

    田村文吉君 今の問題に関連するのですが、いわゆる新生活運動が起っているのだから、裁判所でも一つ新生活運動として時間を厳守することを……これはまあ私は日本で一番先にやらなければならぬことじゃないか、こう思っております。希望を申し上げておきますが、ただ一つ、これは十年経ってもほとんど同じです。二十年経っても同じです。今になって努力している、努力しているとおっしゃるけれども、それはほとんど変らない。何とかこれはなさらないと、文化国民としてはなはだ困る、どうですか。
  260. 石田和外

    説明員(石田和外君) これも仰せの通りでございますが、大体午前中に調べられるのは午前中に呼ぶとか、あるいは午後になりそうなのは午後呼ぶとかということをいたしたり、最近は東京ではある裁判官のごときは、十時になりますと、関係人が来ても来なくても法廷に出まして待っている、これは非常な時間の不経済ではございますが、そういうようなことをやっておる裁判官もございますので、その辺の事情は御了承をいただきたいと思います。
  261. 田村文吉

    田村文吉君 それからさっき伺ったけれども、はっきりしなかったのですが、今の速記というやつですね、これは速記を用いるのは、まず普通の速記を裁判所に入れるのが順序なんで、タイプで打つ速記をお考えになって先におやりになるというのは何だか順序が転倒しているように私どもには思われるのですが、普通の速記さえお入れにならんでおいて、まずタイプを打つ速記を入れることを考えるのはあまりちょっと破天荒のように考えるのですが、どこか外国の裁判所ではやっておるのですか。
  262. 石田和外

    説明員(石田和外君) アメリカの裁判所でもやっておりますし、イギリスの裁判所でもやっておりますが、手書きの速記は速記した人でないと読めない、タイプで打ちましたものは符号さえ覚えればだれでも読める、そこに利点がありますので、だから速記に打ってさえおけば問題になったときに、だれでも読んで反訳ができる、手書きの速記は書いた人でなければ自分の癖がわからない。だから手書きの速記では速記をした効果が出ないと、こういうわけでございます。
  263. 田村文吉

    田村文吉君 さっき資料をお願いいたしましたが、言葉が足りなかったかもしれませんが、各裁判所別に件数、一件の時間というものが少くとも昭和二十五年くらいからどんなふうに推移してきているか。簡易裁判所もあるでしょう。家庭裁判所もあるでしょうが、件数がどのくらいになって、どういうふうに一件の日数は片づくようになるというふうなことを、おそれ入りますが、どうせ全部をお作りになるためには、各裁判のあれが要ると思うのですね、ですからその内訳を書いていただきたい。
  264. 石田和外

    説明員(石田和外君) これも技術的になかなかむずかしいので、資料がそろっておるかどうか、その点もございますが、できるだけ一つ御要望に沿うようなものを作って出したいと思いますが、資料の点等も考えなければなりませんので……。
  265. 田村文吉

    田村文吉君 万一、明々後日までに間に合わなかったら一つ予算委員会があるうちにぜひ私はお願いしたいし、それくらいのことは一つ能率の増進をはからなければならぬ裁判所としてお考えになっていいじゃないか。あまりにも裁判日数が日本では長過ぎるという非難が多いのですから、そういうものはもう少し早くできるようにしたい、それには統計をちゃんとおとりになっているんじゃないかと、こう思ったのですが……。
  266. 石田和外

    説明員(石田和外君) 正確にどの事件について何日という統計はないのですが、たとえば三カ月以内に片づいたものはこれだけある、六カ月以内に片づいたものはこれだけあるというふうな統計はとっておりますから、これは出せると思います。
  267. 田村文吉

    田村文吉君 私のほしいのは、一つの事件について何日かかったという統計を各裁判所――地方裁判所、高等裁判所でちゃんととっておおきになっているんじゃないかと思うのですが、とっていませんか。
  268. 石田和外

    説明員(石田和外君) そのとり方は一つ一つ、一件について何日ということは、非常に手数がかかりますから、三カ月以内に片づいたのはどれくらいあるというふうに逆にとっておりますから……。
  269. 田村文吉

    田村文吉君 それはあとからおとりになるからそうなので、事件々々について、何日をもってこの事件が終結したということは、必ず事件についてわかっているはずだと思うのです。ですから、それを算術的にずっとお作りになっていただけばできるのでございますが、もしこういうものをお作りになっていないようでしたら、これは私はお願いしておきます。そうして一体、裁判所の能率というものはどういうふうに進んでおるということは、やはり御検討なさる必要がある。現にこの節は能率々々といって、盛んにはやりの時代でございますから、もしないようでしたら、今後そういうことをやっていただくように希望いたします。
  270. 石田和外

    説明員(石田和外君) 研究いたします。
  271. 八木幸吉

    八木幸吉君 今、裁判の時間の問題が出ておりますが、ちょっと問題が逸脱しますが、虎の門の公園の事件ですが、一体どうなんですか、自動車の修理工場が不法占拠しているので、国から早くのいてもらいたいという裁判を、もう二年くらいになりますが、あれはもう済みましたか。
  272. 石田和外

    説明員(石田和外君) 私どもにちょっとそういう事件のあることは、今はわからぬのですが、調べればわかると思います。
  273. 八木幸吉

    八木幸吉君 一ぺんあとで調べて何かの機会に。虎の門の公園を自動車の修理工場が不法占拠して、それをのいてくれということを国から裁判を起しておる。ところがまだ一向片づいていないように思うのですが、それを聞きたい。相手は国です。国がのいてくれというのです。  もう一つは、刑務所の作業収入は、あなたの方ですか。
  274. 石田和外

    説明員(石田和外君) 法務省です。
  275. 八木幸吉

    八木幸吉君 財団法人刑務協会という外郭団体みたいなものがありますが、これも法務省ですか。
  276. 石田和外

    説明員(石田和外君) これも法務省です。
  277. 三浦義男

    主査三浦義男君) ほかに御質疑はございませんか。――ございませんければ、裁判所関係質疑は終了いたします。     ―――――――――――――
  278. 三浦義男

    主査三浦義男君) 次に、会計検査院から御説明願います。会計検査院事務総局次長小峰保榮君。
  279. 小峰保榮

    説明員(小峰保榮君) 会計検査院所管昭和三十一年度歳出予算について御説明申し上げます。  歳出予算要求額は四億五千三百八十二万一千円でありまして、これは会計検査院が憲法第九十条の規定によりまして、国の収入支出の決算を確認するため常時会計検査を行い、会計経理を監督し、かつ、是正をはかる等のため必要な経費であります。  今申し上げました四億五千三百万円の要求額のおもなものについて申し上げますと、まず第一が人件費でございます。三億六千三百七十二万七千円を計上いたしております。これは職員総数千百七十八人分の給与手当等でありまして、先ほど申し上げました四億五千三百八十二万円の予算総額に対しまして八〇%に当っております。  第二が、検査旅費として五千二百三十三万円を計上いたしましたが、これは計算証明規則に基きまして各省各庁から提出いたします書類の検査と併行いたしまして、職員を現地に派遣いたしまして、実地について検査をするために必要な経費でございます。  第三に、庁費として三千三百八十八万一千円を計上いたしましたが、これは事務上必要な備品、消耗品及び印刷等に必要な経費でございます。  次に、本年度要求額を前年度予算額四億三千二十二万二千円に比較いたしますと、二千三百五十九万九千円の増加となっております。増加のおもなものについて申し上げますと、第一が、調査官設置に要する経費一千八十一万五千円、第二が、検査旅費といたしまして四百七十五万八千円、第三が、その他千六百六十五万七千円、合計三千二百二十三万円、これが増加いたしましたが、一方減額となりましたものは、庁舎増築費の八百六十三万一千円であります。これを差し引きますと、先ほど申し上げました三千三百五十九万九千円の増加となっております。  以上、はなはだ簡単ではございましたが、会計検査院所管昭和三十一年度歳出予算要求額の大要の説明をいたしました。  なお、詳細につきましては、御質問によりお答えいたしたいと思います。
  280. 三浦義男

    主査三浦義男君) 御質疑はございませんか。
  281. 田村文吉

    田村文吉君 会計検査院というのは、われわれが一番信頼を申し上げておるし、その活躍を大いに期待しておるものなんです。そこで現在の職員の数で十分かということを申し上げるというと、むろんあなた方は、足りないということをおっしゃるにきまっておるが、そういう意味ではなくて、むろん常識上の範囲内において、ものを判断しなければなりませんが、大体これで検査を十分にお尽しになっていらっしゃるおつもりでいらっしゃいますか。
  282. 小峰保榮

    説明員(小峰保榮君) 検査院の職員の数でございますが、これは御承知かと思いますが、昭和二十二年、現在の憲法ができましたときに、従来三百人余りの会計検査院職員が、急に千二百人ばかりに増員されたのでございます。昭和二十三年からすでに八、九年たっておりますが、その間、検査事項も非常にいろいろな問題が御承知のようにたくさん出まして、千二百人の職員が一生懸命に検査しておるわけでございます。初めは新しい職員で、なれない職員が非常に多かったわけでございます。それがだいぶ内容的に充実もして参りまして、それで相当程度、旧法時代よりも検査能力が上ったと、こう思っておるわけでございます。ところがこれでは不十分である、こういうようないろいろな、国会方面で御意見もございまして、昨年の八月一日に、従来検査の局が四つだったのでございますが、これを五つにいたしまして、人員は六十人――そう多い人数ではございませんが、一局増設いたしまして、それで現在に至っておるわけであります。検査はしようで、いろいろ深さを深くして参りますと、人が相当要るのでございますが、私どもといたしましては、現在の与えられた人員で、できるだけの努力をしていきたい、こう考えておる次第でございます。
  283. 田村文吉

    田村文吉君 もう一つ会計検査院の中に、地方に出て供応を受けたとか何とかいうようことの忌まわしいような話も聞かぬでもないのでありますが、これはわれわれ国民が一番頼りにしておる検査機関なんでありまして、そういう綱紀の粛正について遺憾の点がないと言いたいのですが、どうもそうもいかないような場合もあったかのように聞くのですが、これに対してどういう心がまえを持ってやっていらっしゃいますか。
  284. 小峰保榮

    説明員(小峰保榮君) 最近、会計検査院の綱紀が云々されまして、また地方に検査に参りましたときに供応を受けるというようなことが新聞記事にも出ましたし、それから国会の両院の決算委員会でも御指摘を受けたことは、私どもとしては非常に申しわけもないし、また残念に思っておるわけであります。今、田村先生仰せのように、会計検査院に対しまして国民が非常に信頼を寄せて下すっておるということも、私どもも十分自覚しております。今後、ああいうようなことが問題になるのはわれわれとしても実に遺憾でございまして、こういうようなことがないように、この間の問題を契機といたしまして、特に一そう注意をするように、現在院内でもそういう気がまえになっており、また四月から実地検査もたくさん行われるように相なるのでありますが、いろいろな忌まわしいことを言われないようにお互いにやっていくということを考えて、みな心がけておる次第でございます。
  285. 田村文吉

    田村文吉君 給料が少かったり旅費が少かったりすると、ややもすればそういうことに陥りやすいのは通弊なんですが、そこで検査官の方はずいぶん、いわゆるやぼというくらい、厳正にお考えになっておる方もむろんあるのですが、そうかといって、出られたら旅費が足りないというようなことでありますと、私は一番困ると思うのでありますが、そういう費用一般の公務員と何ら区別がないということは、私はむしろ遺憾だというくらいに思っておるのでありますが、そういう点についての御配慮が何かできないものでしょうか。
  286. 小峰保榮

    説明員(小峰保榮君) 会計検査院職員は御承知のように一般職でございまして、今仰せになりましたように、給与の点におきましてはほかの官庁の公務員と全く同じでありまして、裁判所のように特別のものではないのであります。私どもこれもやむを得ないことではないかと思っておるのであります。旅費の点でありますが、これも一般の公務員と同じ旅費旅費法によりまして受けて出張するわけでありまして、これが従来足りないというようなこともございましたのですが、これは御承知の通り、すでに法案が出ておりますが、四月から宿泊料にいたしまして約三割というものが増額になる予定でおります。大体これが増額になりますと、あまり著しく世間離れした安い旅費でないようになるのではなかろうか、こういうふうに考えておるわけであります。
  287. 田村文吉

    田村文吉君 そのくらいの旅費になれば大体それでやっていけますね。
  288. 小峰保榮

    説明員(小峰保榮君) これは検査に参りますと、いい旅館に泊るあるいは泊らせられる機会が多いのでありまして、相当の高級なところにも泊ることになる機会が多いわけでありまして、大きなところに泊りますとなかなか相当の金も払わざるを得ないわけであります。こういう点も、私どもといたしましては、御承知かと思いますが、公務員の共済組合の寮も全国に相当広く設置されております。これは主要な都市にかなり設置されまして、それから私どもの方で数年前から会計検査院の指定旅館という制度を実はとっております。旅館と個別に契約をいたしまして、あまり高くない旅費で検査院の出張者が泊れるような手配もしておるのであります。共済組合の寮も、そうそう検査院の職長のためばかり利用さしてもらうわけにも参りませんが、指定旅館制度と合せまして、なるべくこういうところに油って、あまり高い宿泊料は払わないでも済む、そうして二十日なり三週間なり出張いたしまして、全体をプールいたしますと、たまには高い旅館に泊らざるを得ない場合もありますが、全体としては足を出さないで何とか十分な検査をしていけるということは、実は前々から考えておるのでありまして、今度旅費が値上げになる機会に、一そうこの指定旅館制度というものを活用していきたい、こう考えておる次第であります。
  289. 八木幸吉

    八木幸吉君 今のお話の指定旅館には会計検査院が何か補助をお出しになっているのですか。
  290. 小峰保榮

    説明員(小峰保榮君) 補助はいたしておりません。大体二年間くらいの期間で、旅館と会計検査院の会計課と契約いたしまして、検査院の職員が出張した場合には幾ら幾らで泊めてもらうということを約束するだけであります。
  291. 八木幸吉

    八木幸吉君 補助を出すということは何か法律か規則に違反しますか。
  292. 小峰保榮

    説明員(小峰保榮君) ただいまの制度、予算では、補助を出すということはちょっと困難かと思います。
  293. 八木幸吉

    八木幸吉君 今検査の旅費は五千二百万あまり出ておりますが、これは何日間で平均幾らで人が出るという基礎はどこにありますか。
  294. 小峰保榮

    説明員(小峰保榮君) これは御承知のように会計検査院の実地検査は実は歴史が相当古うございまして、そうして従来の実績ということもよくわかっております。従来の実績というものを基準にいたしまして、三十一年度なら三十一年度にどのくらい検査をするのが私どもとして理想的か、こういう線を一応出すわけであります。そうして大体の計算のときには、大阪辺、九州あたりに行く場合もありましょうし、北海道に行く場合もあります。それから静岡とか山梨あたりの近いところもありますが、大体平均として大阪辺ということで汽車賃なんかを積算をしておるのであります。これは従来も相当細かい経験をもっておるものでございますから、これは大体従来の実績を基本にして、さらに検査を充実していくためにはどのくらい必要かということを毎年々々やっておるわけであります。
  295. 八木幸吉

    八木幸吉君 平均の宿泊料はどのくらいになっておりますか。
  296. 小峰保榮

    説明員(小峰保榮君) 宿泊料の平均という御質問でございますが、今までの計算はそういうあれではやっておりません。これは課別に検査を要する個所がどことどこに、どういう役所がある。こういうことで、前年の実績、たとえば補助工事なんかに参りますと、日当宿泊料の平均を出すということはあまり意味がない。実際と遊離してしまうおそれがあるわけです。従来たとえば農林の補助の検査だと、昨年、一昨年幾らで、そうして何個所の検査をした。このようなところからはじき出すのでありまして、そうして御承知のように私どもが理想的と思って要求した額が必ずしも通るわけじゃございません。毎年々々これは相当の査定を受けておる状態で、成立しました予算が、かりに八木先生が仰せのように平均宿泊料のような計算をいたしましたところで、成立しました予算がこれで説明できることにはならないわけでありまして、相当の査定を受けます関係で、私どもとしては、要求いたします予算の細かい内訳という段になりますと、なかなか細かい基礎をはじき出すことが、逆には困難になる、こういう実情でございます。
  297. 八木幸吉

    八木幸吉君 もしできましたら、この五千二百万円のうちに平均の宿泊料は一体どれくらいになっているのだというつかみは、今でなくてもようございますから、お調べおき願いたいと思います。今ちょっとわからぬのじゃないかと思いますが。
  298. 小峰保榮

    説明員(小峰保榮君) 大体大阪辺ということで計算いたしますと、汽車賃が今相当大きな比率を占めております。大体三五%ぐらいが汽車賃というのが従来の実績のようであります。そうして六五%が日当と宿泊料と合せた額、宿泊料の方がこれは相当大きな率を占める。こういうことになるかと思います。
  299. 八木幸吉

    八木幸吉君 だから一人当りとして平均幾らぐらいか、もし、つかむことができれば一ぺんお調べ願いたいと思います。  これはちょっと問題が逸脱しますけれども、官庁のいろいろ経費をお調べになるときに、遊興飲食税の公給領収書というのがありますね、一体、公船領収証で払っている金が全体の幾らであるか、これは非常に公給領収証というものがついていなければ認めないということにしておられるかどうか。その点いかがですか。
  300. 小峰保榮

    説明員(小峰保榮君) これは検査の面になるかと思いますが、御承知のように、先ほども裁判所の接待費の話が出ましたが、各所に接待費がございまして、この面で公給領収証ということが問題になりますと思いますが、検査の面でどういうふうにしておるか詳しくは存じませんが、おそらくこれは相当細かくつけなければいかぬという建前で検査はしていることと思います。
  301. 秋山長造

    秋山長造君 ちょっと、今の公給領収証というものは遊興飲食税でしょう。今八木さんの御質問は、この旅館が公給領収証を法律通り手渡しているかどうかを検査官が検査しておるかどうかという、そういう御質問だったのでしょう。
  302. 八木幸吉

    八木幸吉君 つまり、ちょっと補足しますが、ある交際費、たとば首相官邸で相当豪華な宴会をやりますね、その宴会の金を何万円か払うでしょう。その払う場合に、これは払ったことが正しかどうかということを会計検査院がお調べになる。ところが公給領収証を当然発行しなきゃならぬ金額になっておれば、公給領収証がついていなければ、これは不当支出だと、こうごらんになるか。公給領収証をおとりにならなくてもこの金額はやむを得ぬということであれば、公給領収証の制度をつまり無視した検査になりますか。そこを厳重にしておられるかどうか、こういうことなんです。
  303. 小峰保榮

    説明員(小峰保榮君) 先ほどの御質問で、接待費というところでお答えしたつもりでおります。接待費の検査――宿泊料とちょっと話が離れると思うのでありますが、接待費の検査となりましたらば、これは当然に今おっしゃられましたように、公給領収証が官庁側の証拠書類として当然出て参るわけであります。そういう趣旨で御説明申し上げたつもりであります。
  304. 秋山長造

    秋山長造君 さっきの御答弁にありました検査院の指定旅館を設けておるということ、これは各県に一つずつぐらい設けておるのですか。その数はどのくらい……。
  305. 小峰保榮

    説明員(小峰保榮君) 大体各県――北海道が割合まばらなんでありますが、それ以外のところには各県に一つ平均になっております。ただなかなか適当な所が見つかりませんために、置いていない県も幾つかあります。それから従来指定旅館にしてありましたものが廃業して、まだ補充していない、こういうところがございますが、大体全国で五十カ所に近い数字と、こう思っております。
  306. 秋山長造

    秋山長造君 この指定旅館という制度は、まあ国鉄なんかの場合いろいろ弊害があるということで、 これはもう、いっそのことやめようという気運が非常に強い。それで会計検査院の指定しておる指定旅館は、国鉄のとはだいぶ違うということは知っておるが、これは昔からそういうことでやっておられるのですか。戦後になってそういう新しい制度を始められたのですか。
  307. 小峰保榮

    説明員(小峰保榮君) これは戦後に始めた制度でございます。二十七年ごろかと思いますが、そのころからやって、ずっと続いている制度であります。国鉄あたりのとはだいぶ性質が違うことになるかと思います。
  308. 秋山長造

    秋山長造君 その国鉄などと非常に違うということはよくわかります。わかりますが、まあ会計検査院に指定してもらって、別にどれだけ客引きになる――むしろおそれて寄りつかぬかもしれぬけれども、その点は別としてですね、そういうような会計検査院御指定というような看板を下げることがやっぱり会計検査を能率的にやっていくためにいいですか。その成績をお調べになったかどうか……。
  309. 小峰保榮

    説明員(小峰保榮君) おっしゃる通り会計検査院の指定ということになりましても、別に客が来るわけでもございませんしするのでありますが、御承知のようにこの会計検査というのは、相当検査の相手方によりましては、夜おそくなったりなんかもいたしまして、夜中に帰ってくるというようなこともございます。それから実地検査に参りますために、主任官が全体を常に掌握しているということが必要なものでございますから、県庁所在地の指定旅館に検査官が泊ったような場合に、現場を見にきて、相当遠くまで行って、そうして出た先に泊らないでその日のうちに必ず主任官のいるところに帰る。夜おそくなっても帰る。こういうようなことをやっておるわけであります。できない場合もございますが、そういうようなときに、指定旅館というものは検査院の検査というものをよく理解してくれまして、こういうときにいやな顔をしないで泊めてもらえるということも実は必要なわけでございます。こういうところが、現在全国で、数年間の指定旅館制度によって、旅館が検査院の検査というものに協力して、夜おそくなってもいやな顔をしないでやってくれる、こういうようなところも実はできているのでありまして、私どもあまり高い金をとられるのは実は困るわけでありますが、そればかりでなくて、今の私どもの仕事にいやな顔もしないで協力してくれる。ところによっては二度ともうごめんだ、検査院の人を泊めたために夜もおそくなって始末がつかない、こういうような苦情もまま聞くのでありますが、そういうようなことで協力してくれるというところも出ているのでありまして、私どもとしては、この指定旅館というものは縮小すべきではなくて、むしろできるだけ広めていった方がいろいろな弊害を起さないことになるのじゃないか、こう現在考えております。
  310. 田村文吉

    田村文吉君 今の指定旅館の問題が出たんですが、私は指定旅館というものができて、各府県などがそれに大へん便宜をはかってあげるというようなことが、かえってものを乱す端緒にもなるのだから、一利一害でありますから、そういうふうなところは良識によって適当におやりになるというところだろうと思うのです。  で、私が伺いたいのは、二十八年に百三十億未満の不正工事とか、あるいは不当支出とかいうものを検査院で摘発になった。それから昨年度二十九年度の分に対しては、やはり百八十億弱のものを掘り出してごらんになったのですね。私は大いにその検査院の検査を信頼、申し上げているのですが、あれをもって氷山の一角でしかないというようなことをよく世間では言うが、大体どのくらいの事件に対してどのくらいのパーセンテージで御調査なすった結果がああいうふうに出たのでございますか。そういう点についてはあるいは決算委員会等で御発表になっているか知りませんけれども、もし伺えればその点を。
  311. 小峰保榮

    説明員(小峰保榮君) 大体実地検査をすることを要する個所というのは今全部で三万三千カ所くらいございます。これは補助工事の現場というようなことは入れない数字でございます。役所の数が三万三千くらいあるわけでございます。この中には、特定郵便局、それから国鉄の駅、こういうようなものも全部一応公金の受け払いをするところとして入るわけでございますが、この三万三千のうち、比較的大きい、たとえば歳入徴収官とか支出官とかがいて大きな金も扱い、いろいろの検査の必要も多い、こういったようなところを拾い出してみますと、現在七千五百くらいになるわけでございます。三万三千のうち七千五百くらいになります。これに対しまして、最近の実績で申しますと――今の残りの二万六千というのは、郵便局とか、あるいは駅とか、非常に小さな、そうのべつ会計検査院が参らなくても、たまには行く必要もありますが、そう一年おきとか、三年、三年に一ぺんとか、必ず参らなければならん――行くに越したことはございませんが、そうまでしなくてもまあよかろう、こういう程度の官庁なり公共企業体の出先、こういうことになるわけであります。それで、できれば毎年行って見たい。少くとも一年おきにはぜひとも行って見たいというようなところが七千五百くらい現在あるわけであります。これに対しまして、実際に検査した数といいますと、約千九百、こういうことになっているのであります。七千五百のうち三割弱というものを現在実地検査をしている。これがかりに平均一年おきに全部行くといたしますと、大体七千五百の半分で三千七、八百は会計検査院が行かなくちゃならないわけでありますが、それを実際は千九百くらい検査をしている、こういう実情でございます。そうして二十八年度のいわゆる批難金額は、先ほど仰せになりましたが、検査報告に書きました批難金額は七十三億ですか、二十九年度は百八十七億であったわけですが、この批難金額というのは、今の千九百カ所、これ以外に都道府県の工事現場というのがございます。災害復旧なんかが多いわけでございますが、これが農林省、建設省、運輸省、こういうところを合せますと十万以上工事現場があるのであります。これは普通の、先ほど申し上げました七千五百とか三万三千といういわゆる検査個所、これとはまた考え方を変えなければいかんものであります。私どもとしてはこれは全部見るのがもちろん理想ではありますが、そうまで十万件もございますものをみな見るということも、これも実際上できかねるのであります。またその必要もないといえばないのであります。こういうもを全部検査いたしました結果はじき出した、一つ一つ細かいものを積み上げてできましたものが七十三億であります、この七十三億というのは決して推定金額とかそういうものは入っていないわけであります。これが全部かりに検査したら、あるいは半分検査したら一体どれくらい出るか、こういうことになりますと、私どもとしては実はお答えいたしかねる。もちろん全部検査しておりませんから、七十三億が一部分であるということはこれは申し上げられると思うのでありますが、そうだからといって、一体どれくらい全部検査したら見られるだろうかということは、ちょっと申し上げかねるかと思うのであります。ともかくも七千五百くらいぜひ一年おきくらいには検査したいというところがあるのに、現在ではこれが二年足らずということだけは、これは、はっきり申し上げられると思います。
  312. 田村文吉

    田村文吉君 二年に一ぺんでいいとおっしゃったのは、二年に一ぺん行って二年分をお調べになるのか、二年に一ぺん行って一年分だけをお調べになるのですか。
  313. 小峰保榮

    説明員(小峰保榮君) これは七千五百全部二年に一ぺんでいいと実は申し上げたつもりはないのでありまして、この中にはぜひ毎年行かなければならないようなところもございます。それからまた、現に大きなところで毎年必ず行っておるところも、そう多くはないが、ございます。それで、かりに一年置きに行った場合には二年分一緒に調べると、この点でありますが、これは書面検査というのと実地検査と両方あるわけでありますが、書面検査の方は、実地検査に行こうが行くまいが、必ず計算証明の書類を取りまして、東京で一応書面については検査するわけであります。それで実地検査はいわば補足的な検査として行うわけであります。それで、それは二年に一ぺんとか三年に一ぺんとかいうようなことになるわけでありますが、それで実地検査に参りました場合に、すでに前の年の分は検査が確定と申しますか、済んでしまっておるわけでございます。それで国会にも検査報告といたしまして、これだけの分は検査が済みました、こういう報告が済んだあとで行くことになるわけであります。それでどうしても実地検査の中心は、国会にまだ報告をしない、確認が済まない部分が中心になる。それから何か問題があるということで、前年度のものを未確認という手続もございます。もっとよく調べなければいかぬというものは未確認ということで、まだ確認しませんというようなことで、こういうのを国会に御報告しておるわけであります。こういうふうなものについては前年と同じような検査をするわけであります。
  314. 秋山長造

    秋山長造君 そうすると、国会へ出てくる検査報告にしても、あの中に出てきているのは、たまたま検査院が手の回る程度のものを検査したのが不当事項なり何なりとして出てきているのであって、検査の網にかからないがために、実際には不当不正なことが存在しておる、それがそのまま異状なしで国会へ報告されておるという場合があるわけですね。
  315. 小峰保榮

    説明員(小峰保榮君) ただいま申し上げましたように、書面検査は全部やっておるわけであります。護面検査として検査院へ送って参ります。計算書類は、会計査院としては全部網羅的にこれは検査いたしております。書面検査の結果わかりました事項がこれは検査報告に載るわけであります。実地検査で行かなければわからなかったというような事項もこれはあり得るわけであります。工事なんかはそういうものが多いのでありますが、こういもので、たまたま昨年は行ったが今年は行かなかった、こういうようなことのために、行けば見つかったものが漏れるということは相当あるかと、こう思います。
  316. 田村文吉

    田村文吉君 さっきのお話しの十万件くらいの公共企業体なんかの工事ですね。それは一体不正は、どのくらいお調べになった中であれだけの不正なんですか、十万件というのは。
  317. 小峰保榮

    説明員(小峰保榮君) 公共企業体とおっしゃいましたが、それは災害復旧関係のいわゆる公共事業でございますが、これは都道府県なり市町村、あるいは農林関係で申しますと、農業協同組合、こういうようなところが事業主体になってやっておる工事が多いのでありまして、これは従来の工事現場を見ました実績を大体平均いたしますと、大ざっぱに申しますと、建設関係が工事現場の大体一五%見当しか見られないのであります。それから農林関係が八%見当でありまして、七万件くらいございます。それから建設関係が三万あまりというのが大体毎年のあれでございますが、これは年によって違いますが、大ざっぱに申しますと、そんなことになります。運輸省関係はこれは二、三千件のあれで、ほかの省に比べますと港湾関係というのは非常に少いのであります。一番多いのは農林省でございます。それから建設省関係道路とか河川等の災害復旧関係、これが一番多いわけであります。こういうものを、今申し上げました農林関係八%とか、建設関係が一五%ないし一二、三%、この程度しか見られないのであります。その結果、補助工事につきましては、御承知のように、現在非常に検査報告に載る件数が多い、こういう結果になっておるわけでございます。
  318. 田村文吉

    田村文吉君 そうすると、大体一割くらいをお調べになった結果があれくらいに出たのだと、こう想像してよろしゅうございますか。
  319. 小峰保榮

    説明員(小峰保榮君) 一般官庁なり公共企業体の検査につきましては、先ほど申し上げましたように、もっと検査の密度が高いのであります。それから補助工事につきましては、大体仰せの通り、平均して、農林と建設を突っ込みにいたしまして計算いたしますと、せいぜい一割か一割ちょっとぐらいしか現在見ておりませんから、この程度見てああいうたくさんの批難件数が出たと、こう御了解願ってけっこうであります。ただ私ども検査に参りますと、大きな工事から見て参りますから、件数では今の一割見当と、こういうことになりますが、金額から申しますと、これはもう少し大きな金額を検査しておるということは言えると思います。一割ということは決してございません。
  320. 田村文吉

    田村文吉君 では、不正の件数とか不当の件数とかいうのが二千何百件と出ておりますね。そうすると十万の中で二千二百なんですが、一割しか見ておらぬとしても二万二千件の不正工事が起っておることになる。そうすると、工事というのはごく、二割二分とか二割五分くらいがみな不正にやられておるのではないかという疑心暗鬼を持つのですが、それはどうなんですか、どういう勘定になりますか。
  321. 小峰保榮

    説明員(小峰保榮君) これは検査報告に載せました二十九年度の分が二千二百四十六件は批難したのでありますが、このうち補助金関係が半分の千百十四件、こういうことになっております。現在会計検査の結果問題になります事業が補助事業について非常に多い。こういうことは確かに言えると思うのでありますが、ただ、今仰せのように、一割ぐらいしか見ないで千件も出たのだから、全部見たら一万件になるだろう、これはどうもちょっと私どもとして何とも申し上げかねるのでありまして、ただこれは検査に参ります者の勘といいますか、長年の経験で比較的問題のあるところにぶつかる。そこを選んで行って見るということもあるかと思います。それで全体を見ましてもこの割合で正比例的にふえていくということはまずないのじゃないだろうか、こういうように私どもとしては考えております。
  322. 田村文吉

    田村文吉君 そこで、その問題は大体勘でもって悪いようなところに行ったのだから、件数がよけい出たのだ。そういうふうに想像したいと、こうおっしゃるのですが、しかし一般から言うと、常識的には、補助件数のものに対して一割かりにあったとすれば一万件だ。そうすると十万件に対しては約一割、そうなると、金高にしてもごく……。一昨年の分ならば八百億だから八十億とか、七百四十億とか、こういうことで非常にこういう問題について国民は心配をしておる。これをさらに声を大にして言う場合がある。あるのだが、それで私が一番初めの御質問で申し上げたのは、そういう検査をなさるのに今の頭数でいいのかと最初に伺ったということは、そんなにかりに七四十億でなくても、かりに五百億でも、これは大へんなことになるのでございますが、その勘を、大体どのくらいが不正が行われておる……という言葉が悪ければ、行われやすい状態にあるという、勘でけっこうですが、どのくらいのものが不正があるだろうという勘がつきませんか。
  323. 小峰保榮

    説明員(小峰保榮君) 批難金額が七十三億、これはごく一部しか検査しない結果の金額ですが、全体についてはどうだろうかというような御質問は、実は方々でお受けするのですが、私どもとしては、どうもこれは推定で計算いたします根拠も実はないのでありまして、全体の補助工事でいいますと一割、それから補助以外のものでいいますと三割近いものを見ておりますが、その結果出た金額は、これは推定でこうやっていくということも私どもとしては申し上げかねるわけでございます。そういうことをいたしたこともございませんし、実は申し上げかねる、こう思うのであります。
  324. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 補助事業の関係で仕越工事ですね、仕越工事は違反と考えられておるのですか、違反でないと考えられておるのですか。
  325. 小峰保榮

    説明員(小峰保榮君) 仕越工事のお話でございますが、これは予算、工事を事業主体がやってしまったのに、政府の、国の、方の補助金が少いために補助金がまだ出ないと、こういう工事かと思いますが、これは長い間実はやっておるのでありますが、最近はいろいろ話題をまいておりますが、これはどうも違反といって会計検査院で文句を言ったことは実はございません。これは地元が、本来ならば補助金の予算がつきましてから、その年度でいくらこの工事について補助金がくるというのがわかってから工事に着手すれば、そういう問題は起きないかと思うのでありますが、地元といたしましてはそれを待っておれぬ。それからまた農林関係の工事なんかでありますと、植付時期ということを逃しますと相当大きな影響を来たすもので、補助金の来る来ないということにはおかまいなしに工事をやらざるを得ない。こういうようなところからおそらく仕越工事が多くなるかと思うのであります。こういうものを、だからといって政府の方のやり方が違反だ、違法だ、こういうことできめつけるのもいかがかというような議論が出るかと思います。私どもとしては今まで違反ということで文句を言ったことはないのであります。
  326. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 今の問題ですが、たとえば植付のために災害復旧を急がなければならない、しかしながら補助金はたとえば三十年度ではこれだけだと、それで、それだけではどうしても足らないから、植付のためには、ある程度次の年度に補助金があるなしにかかわらずやっていかなくちゃできない。そうして仕越工事をやった。今度はそれだったらば次年度にはこれだけの仕事をやったんだという決算報告を出して正当な手続をやった。ことに次年度には残ったところのものをやりましたという書類を出して補助金をもらうということであれば、今のお話のように違反行為ではないと、こういうふうなお考えですね、よろしゅうございますか、今のようで。
  327. 小峰保榮

    説明員(小峰保榮君) 実際の取扱いはいろいろあるかと思いますが、大体のものは、前年度に実際は工事をやりましても補助の対象に入れてもらえないという場合には、補助の対象に入れてもらった年の工事として処理していくのが従来普通でありまして、そういうのを会計検査院としては従来別に違反といって指摘しことはございません。
  328. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それから会計検査院の人でいろいろ本を作られる。そして本を作られたところのものをある程度買うように強く勧誘せられて問題を起したようなことはありませんか。
  329. 小峰保榮

    説明員(小峰保榮君) これは私のあれにもなりますが、会計検査院職員で書物を作るということは幾らか行われております。私自身も実は書いております。それでこれは御承知のように、出版のときには、もう著者はほとんど出版とか販売とかということになりますと、著者はほとんどもうこれは一般のあれとして関与いたしません。本屋の方でいろいろなことをやるわけでございますので、今仰せのようなことを私どもとして耳にすることも実はあるのでありますが、私どもとしてもそういうことは非常にいやなことでありまして、すぐによく調べるのでありますが、いろいろな誤解、それから注文書を出しておきながら、それで本屋がその通りに送ってやるわけでございますが、それに対してあとの処理というようなことで、いろいろなうわさをまくとかいうようなことは今まであったようでございますが、私どもとしては、はなはだ残念でございます。会計検査院といたしまして、ある特定の個人の書いた本に対して役所としてそれを買うように仕向けるとか、あるいは半強制的にするとか、こんなことは絶対にございません。それから推薦状を会計検査院から出しておるというようなことも、実はこの間、衆議院でも御質問がありましたが、こういうことも絶対にございません。その点は一つ御了承を願いたいと思います。
  330. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 私どもが聞き得た、あるいは聞いた話によれば、こういうふうな本を幾ら送るから幾ら金を送って来い、送れ、こういうふうなことで金を早く送らせて、そして本を送るというようなことがあったように聞き及んでおるんですが、そういうふうなことはありませんか。
  331. 小峰保榮

    説明員(小峰保榮君) 本のことにつきましてはいろいろなうわさもございますので、私どもとしてもいろいろ調べておりますが、今仰せのようなことは、会計検査院関係者に関する限り、まず私どもとしては聞いておりませんし、恐らくないと思います。こういうふうに考えております。
  332. 八木幸吉

    八木幸吉君 先ほど公共事業費十万件のうち批離件数が二十九年度千百十四件お調べになった、金額はどのくらいですか。調査件数は約一割強、公共事業費の調査金額は、全体の幾らですか。
  333. 小峰保榮

    説明員(小峰保榮君) 二十九年度調査金額というのは今ちょっと私、資料を持っておりませんが、私、実は公共事業費関係の局長をこの間までやっておりましたので、前からいろいろなデータを集めておりましたところでは大体件数で一割ということにいたしますと、金額にすると一五%近いもの、こういうふうなあれになっております。これは二十九年度の正確な実績は今のところちょっと資料を持っておりません。
  334. 三浦義男

    主査三浦義男君) ほかに御質疑はございませんか。ございませんければ会計検査院関係質疑は終了いたしました。  では本日はこれをもって散会いたします。    午後四時十七分散会