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1956-03-17 第24回国会 参議院 予算委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月十七日(土曜日)    午前十時四十四分開会     —————————————   委員異動 三月十六日委員菊川孝夫辞任につ き、その補欠として矢嶋三義君を議長 において指名した。 本日委員加藤正人辞任につき、その 補欠として片柳眞吉君を議長において 指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     西郷吉之助君    理事      三浦 義男君            秋山 長造君            吉田 法晴君            豊田 雅孝君            中山 福藏君    委員            青木 一男君            井上 清一君            伊能 芳雄君            西岡 ハル君            平林 太一君            藤野 繁雄君            吉田 萬次君            亀田 得治君            佐多 忠隆君            相馬 助治君            戸叶  武君            羽生 三七君            矢嶋 三義君            湯山  勇君            館  哲二君            八木 幸吉君   国務大臣    法 務 大 臣 牧野 良三君    外 務 大 臣 重光  葵君    大 蔵 大 臣 一萬田尚登君    文 部 大 臣 清瀬 一郎君    農 林 大 臣 河野 一郎君    国 務 大 臣 高碕達之助君    国 務 大 臣 船田  中君   政府委員    人事院総裁   淺井  清君    人事院事務総局    給与局長    瀧本 忠男君    防衛政務次官  永山 忠則君    防衛庁長官官房    長       門叶 宗雄君    防衛庁経理局長 北島 武雄君    防衛庁装備局長 久保 亀夫君    経済企画庁計画    部長      大来佐武郎君    外務事務官    (公使)    木村四郎七君    大蔵省主計局長 森永貞一郎君    大蔵省主計局次    長       原  純夫君    文部省大学学術    局長      稻田 清助君    厚生政務次官  山下 春江君    厚生大臣官房会    計課長     堀岡 吉次君    厚生省公衆衛生    局長      山口 正義君     —————————————    会計検査院院長 東谷伝次郎君   事務局側    常任委員会専門    員       正木 千冬君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○分科会設置の件 ○分科担当委員選任の件 ○昭和三十一年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十一年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十一年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) ただいまより予算委員会を開会いたします。  まず委員異動につきまして御報告申し上げます。菊川孝夫君並びに加藤正人君が辞任されまして、補欠として矢嶋三義君並びに片柳直吉君が選任されました。
  3. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 次に、来週からの分科会についてお諮りいたします。ただいま審議中の昭和三十一年度予算審査のため、四分科会を設けまして、その各分科会所管につきましては、第一分科皇室費、国会、裁判所、会計検査院内閣総理府防衛庁自治庁を除く)大蔵省及び郵政省所管並びに他分科会所管外事項。第二分科総理府防衛庁)、外務省及び通産省。第三分科総理府自治庁)、農林省、運輸省及び建設省所管。第四分科、法務省、文部省厚生省及び労働省所管とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 次に、分科担当委員選定につきましてお諮りいたします。  分科担当委員は、各理事と御相談いたしまして、委員長の指名に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたし、委員は公報をもって発表いたします。なお、その後の委員異動等による補欠選定につきましても、あらかじめ委員長に御一任願いたいと思います。  次に、今後の審査につきましては、お手上川に配付いたします日程表通りでございますから、御了承をお願いいたします。
  7. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 前日に引続きまして一般質疑を続行いたします。
  8. 羽生三七

    羽生三七君 時間がありませんので問題を提起するだけで終るようなことになるかも知れませんが、政府の答弁は一つ十分にお願いします。最初にお伺いしたいことは、政府の発表した経済自立五カ年計画は、これは三十一年度予算には具体的にどういうところへ特徴が示されておるのか、このことをまず最初にお伺いいたします。
  9. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。経済五カ年計画初年度といたしましては、過去の一年間の実績にかんがみまして、相当輸出増進いたしておりますけれども、この輸出増進というものにつきましては、なお不安の点がありますから、どうしてもさらにこの輸出増進ということについて力を注がなきゃならぬ、こういった意味から、三十一年度予算につきましても、輸出振興ということに一つ予算重点一つ置いております。  第二の問題といたしまして、輸出振興するためには産業基盤拡充しなきゃならぬ。で、この意味から申しまして、第二の点といたしましては、産業基盤拡充重点を赴いておる。  第三の重点といたしまして、失業問題というものが、この産業基盤拡充し、輸出振興のために合理化するということになれば、比較的予想よりも多くの失業者が出てくる、こういうふうのために、失業対策ということの点に第三の重点を置いております。  第四に、いずれにいたしましても、科学技術振興するということが非常に重要な点である、こう存じまして科学技術振興、こういう点に重点を置いて予算編成いたしたのであります。
  10. 羽生三七

    羽生三七君 私がこういうお尋ねをしたのは、特需依存をすみやかに脱却するように、政府日本経済自立について一定の計画を持たれたということは、非常に私は好ましいと思うのです。前の吉田総理は、計画という言葉を使うと、すぐそれは赤だと言われておった時代に比べると、非常な進歩だと思うのですが、しかし私がもし忌憚なく批評すれば、今長官から御指摘になったような点は確かにあります。予算上、若干の処置がありますけれども、全体から見るというとこの経済自立五カ年計画というものは一つ作文で、予算予算で別のもので、これはこれで作文予算は別にある。だからこの経済自立五カ年計画に基いて、昭和三十一年度予算にどのように具体的に盛り込まれておるかということになると、私は非常にその点は、今御説明の点はとにかくとして薄弱だと思う。というのは、言うまでもなく、日本政府社会主義政府であるはずがない。だから社会主義経済でもない。それからアメリカのニュー・ディールほどの、そういうにおいももちろんない。それからイギリスの社会保障制度ほどの強さも示しておらない。そうすると、日本の五カ年計画に基く三十一年度予算特徴は何かということになると、今お話のようなことがあったにしても、ほとんこどれという特徴がないのですよ、私からみて。防衛費が非常に多いとか何とかといこうとは別としまして、あまり特徴がない。だからそういうことから私がお尋ねをしたのでありますが、そこで一体五カ年計画ほんとうにやるとすると、ある程度コントロールというものを考えなければならぬと思うのですが、一体政府は徹底的な自由経済基盤の上に立って計画をお考えになるのかどうか、その点を一つ先に伺いたいと思う。
  11. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。この計画年次別に分けまして、それを徹底的に政府の力をもって実行するということになれば、これは一つの方法だと存じますけれども日本現状といたしまして、すべてが海外依存程度が多いのでありまして、たとえば本年度予算におきましても、また予定におきましても、計画におきまして取り込んでおりますように、国民の総生産の少くとも一一%は輸入品に仰がなければならぬ。で、経済を拡大して参りますについては、あるいはこれは一五%に上げなければならぬ、こういうようなことも考えられるのでありまして、これだけの輸入をいたさなければ、すべてが立っていかない、こういうのは情ない現状でございます。そういう点から考えますというと、ここに輸出増進しなければならぬ。輸出ということになればこれは相手国状況によって左右される。すこぶる薄弱なる現在の日本経済状態でありまして、これはやむを得ないことだと思います。もちろん持てる国は、資源を持っておるという国は、これは自給自足の経済ということを立てて、そして国民の努力によって計画経済を実行していくということになれば、これは私は可能だと存じますが、現在の日本におきましては、そういうふうな工合に海外依存度は非常に多いわけでございますから、これをかりに政府年次別計画立てて実行しても、これは一に外国の事情によってこれは行われない。こういうふうな結果にも相なるわけであります。かたがた現在の日本の国際的の地位、国際的の情勢等におきまして、これは国民の好むと好まざるとにかかわらず、現在の状況でやっていくことが実際上の問題だろうと存ずるわけでありまして、ある程度政府の力を伸ばし得る程度だけは、できるだけこれを政府の力をもって統制いたしていきたいと存じますが、基本的な考え方といたしましては、現状におきましては、国民の総意、自由主義経済ということに基調をおいてやっていっても、野放図に出たとこ勝負でやるよりも、現状におきましては、この一つ計画をもってやる方がもっといいだろうと私は信じておるわけであります。
  12. 羽生三七

    羽生三七君 いや、私は適当な規制と言ったのは戦時統制のようなことを今考えておるわけじゃないので、ただこれを実際に実行して、毎年度の、三十五年度までの予算にそれぞれ予算措置をしていく場合には、今お話のようなことを達成していくためにも、あるいはそれから起る障害を除去するためにも、適当な規制コントロールが必要になってくる。それは現にこの政府が発表した前書きにもうたっておるのです。だからほんとうにこの五カ年計画を達成なさそろうとするならば、問題によってはコントロール規制が必要である。私は戦時統制を言うのではありませんよ、あんなものは絶対にわれわれも賛成できませんから。しかしこれを達成するに足る必要な処置はあくまでおやりになるお考えがあるかどうか、それがなければできません。それは私は時間がないから言えませんが、それじゃどこに欠点があるかというならば、予算一つ一つについて御指摘できます。しかし時間がないからやめますが、しかし必要によってはその科度おやりになる御決心がおありですか。
  13. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答えいたします。現在私ども立てております五カ年計画というものは、研究いたしますといたしますほど、非常に困難性があるということもわかって参りまして、それを完璧を期するためには、まだまだ非常にこれに改正を加えて、改良を加えていかなければならぬという点に気づいておるわけであります。で、われわれの立てた五カ年計画、今日皆さんに御発表いたしました計画が、今お話したごとく、あるいは机上の空論でないかというような議論もあるかと思いますが、これにつきましてはできるだけ地固め、現状に即したる数字を積み上げて、そうして基本的のもっと数字を積んで、そうして私どもの確信のある完璧したる五カ年計画になってきたときには、私は相当これを基準として政府の力を使っていくことができるだろう、こう存じますが、現在におきましては、必要に応じて政府コントロールの力を伸ばしていく、こういう考えで進みたいと思うのでございます。
  14. 羽生三七

    羽生三七君 次に、これはやはり企画庁の長官かと思いますが、あるいは大蔵大臣になるかもしれませんが、政府がこういう経済大綱を発表して、その中にやはり国際収支についてのいろいろの見通し考え方を述べておるわけですが、それはそれとして、どうでしょうか、外貨受取勘定計画よりふえた場合ですね、非常にうまく実行ができて計画よりふえた場合に、何かその部分を日本経済基盤培養に使うとか、何か適当な別ワク処置するようなお考えというものはないでしょうか。ふえたものはふえただけで、その年は万々歳、ないときはないでこれはしまったということでなしに、計画より外貨受取勘定がふえた場合には、これを別ワクにして日本経済基盤培養なりなんなり、何か適当な処置考える、そういうお考えはないでしょうか。
  15. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。政府が各方面の意見を総合し、そうして最善を尽してやった計画というものは、その結果においては計画通りにいくべきものが当然でございまして、ところが今日私は白状いたしますと、三十年度のわれわれの計画は、これは幸いに輸出予定よりも非常な増加をしておるわけでありますけれども、これは考え方によれば、また政府のやった計画が間違っておって、逆にこういうことが起ることもあるだろうと考えなければならぬ、こう存ずるわけでございまして、その点につきましては、将来における見通し等考えまして、相当なやはり措置を講じていかなければならぬことと存じます。また足らぬときにはどうするか、あるいは余ったときにはどうするかという点につきましては、これにつきましては、そのときどきの措置を講ずべきことと存じております。
  16. 羽生三七

    羽生三七君 時間がないので食いかけみたいにみないってしまうのですが、次に、農林大臣お尋ねしたいのです。あまりにも時間が短いために非常な抽象的な議論になることは残念に思いますが、御承知のように世界農産物過剰傾向から、特にこれはアメリカ農産物の過剰から来ているのですが、政府日本農業に対する基本的な態度を変え始めたのじゃないかと私は考えておるのであります。というのは食糧自給度向上も大事には違いないが、安い食糧があったら外国から買ったらいいじゃないか、その方が得ではないか、そういう立場に転換しつつあるのではないかと思うのですが、どうでありましょうか。
  17. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 誤解があるといけませんから、明確にお答えいたしておきます。今多少変えております。変えておりますのは、お説のような趣旨で変えているのではないのでございまして、農家経済安定確立ということに変えた方がよろしい。今までは農家経済よりも、むしろ国民食糧拡充充実という点に非常な重点を置いて一途にやって参りましたが、今後は農家経済安定確立しつつ食糧自給度拡充を図っていきたい、こういう両立てで私はして参ることがいいのじゃないか。その面まで私は変えていきたい、こう考えております。
  18. 羽生三七

    羽生三七君 私はその両立てがいいと思うのです。それで前の方の、大臣の言われた前の方の、日本国内食糧自給皮向上ということは私は別の意味があると思うのですね。それは日本のような国で外国から原料を入れて、それに加工して、世界加工貿易国家になっておる現状では、同時にまた原料を買うための資金手当が要ると思うのです。だから日本でもし外国輸入食糧千数百億の半ばを節約すれば、それだけ外貨払いが減るわけですから、国内的にはいろいろ問題が財政投融資とか補助とか、いろいろ問題があるにしても、私は国家的な意味では相当利益になる、だからやはり政府がこの方針を堅持してもらいたいと思うのです。  それからもう一つは、これはぜひ大臣に聞いておいてもらいたいと思うのですが、アメリカの百町歩農業その耕作面積は五十町歩ですが、所有面積は百町歩。デンマークの二十町歩、ドイツやフランスの七、八町歩、一戸当りの耕作面積は。日本は七、八反歩です。これが同じ対等の条件国際競争力に対応しようったってできるはずがないのです。私実際にプライベートなことを申し上げて恐縮ですが、私が三十何年前に社会運動に入ったそもそもの事の起りは、山村僻地農村生活を見て、それから私はそういう気持になったのですが、今日に至っても私は山の中に入ってみて、少しも農家生活は変りはない。中にはラジオをつけた人もあります。ミシンも持っているでしょう。しかし低位生産農家や、貧農というものの生活というものは、およそわれわれが今東京で考えているものと、私は非常に違ったものがあると思う。それを対等の世界のあらゆる国の農業と同じ条件で、裸で国際競争力に対応しようだってできるはずはない。それ故に政府はある程度保護政策をとっております。とってはおりますが、これを今お話のようでは農家経営の面と一それから国内自給度向上の面と二本立といわれましたが、それはそれとして、従来の保護政策を根本的に変更するものではないという御確約を得られますか。
  19. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 私も全く同感でございまして、その通りいたさなければならぬと思っております。従いまして米麦価の決定につきましても、現に明米穀年度予算におきましては約二百数十億の外米、外麦輸入の差益をもって内地米、内麦の価格維持に引き当てをしていきたいというふうに将来もしていかなければならぬのじゃないか、こう考えております。他の面から農家保護政策をとって参りますが、米麦価国際的価格の下降とまた国内米麦価維持という面につきましては、おおむね今申したような線を続けていかなきゃいかぬだろう、こういうふうに考えております。
  20. 羽生三七

    羽生三七君 いろいろこまかい点について私材料を持ってきたのですが時間がないのでこの一点で終りたいと思いますけれども、それはあとの方の大臣指摘された二本立あとの方のいわゆる農家経済の安定という立場で今度いろいろ若干の、非常に多いとは言いませんが、若干の予算措置をしてある。そこで適地適作による農村振興計画ですか、これも一つのアイデアだと思うのです。しかし私は率直に申し上げまして、この政策でいきますというと、低位生産地帯はほとんど立ち上れない。非常に恵まれた地帯はいいのですよ、それはよろしいのですが、低位生産地帯にはもう立ち上れる気力を与えなくなるし、これは個々の農家ではない、地帯では非常に立ち上れなくなると思う。このアンバランスを何か調整できるのですか。ここに私は一つ問題があると思う。これはいかがですか。
  21. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 私も御指摘の点につきましては十分考慮する必要があり、根本的な解決にはなりませんけれども、努めて多角経営の奨励をいたしまして、そうしてやっていく必要があるだろう。ただ一番注意しなければなりませんことは、同一の品目の生産過剰を来たすおそれがあるということも懸念しなければなりませんので、これらにつきましては県もしくは国にそれぞれの協議会を置いて、これを調整して参る。別に御承知通り積雪寒冷地帯でありますとか、急傾斜地帯でありますとかいうようなものについての助長の方針は、これはそのまま続けていくというふうに考えておるわけです。
  22. 羽生三七

    羽生三七君 それではもう一点だけで質問を終ります。この政府考えておる新農村政策ですね、これは運用を誤まると非常な陳情政治の悪弊を助長することになりはしないか、私はその危険が非常に多いと思うのです。これはもう河野農林大臣たるとどの大臣たるとを問わず、私はこのやり方を運用を誤まったならば、お互いに指定地域関係から何かから非常な陳情政治を激化してくる、その心配があるが、それはどういうふうに処置されるか、それが一点。  もう一つはこの農山漁村建設総合施設事業補助金は、五百地域十三億円を本年度予算に組んでおる。これはそうすると二年継続ですから来年度は倍額になるのか。それから五百町村を越えていく場合、そういう場合においては予算的にはダブっていくわけですね。その辺のところを、予算措置の点をちょっとお伺いいたします。
  23. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 今お話になりまする陳情政治という点でございますが、これは結局全国町村全国おおむね五千くらいに分けたいと思っておるわけであります。これは今の町村合併目標は三千四、五百の目標のようでございますが、これは都市を中心にしてやっておりますから、これとは全然別個におおむね一区域九百戸から千戸ということを目標にして、生産同一性、もしくは条件共同性の便宜なものというようなものを標準にしておおむね五千くらいに分けたい。その五千全部を実行するということにして、最初その一割の五百を予算関係でとったんでございますが、これを天体私の考えでは今後五ケ年と一応しておりますが、どんなに遅れても五ケ年の間には全部にわたってこの計画を推進したいというふうに考えております。従って早くやろうという陳情はあるかもしれないと思います。しかしこれは私の考えでは、そういうふうな共同性の強いところから、それから同時に企画の非常にすぐれたものからとって参るということにして、全国町村というものが一斉にこの方針によって企画をされ、その企画を県に持っていく。県は、県の知事はこれを県の協議会に諮問をいたしまして妥当であるということでありますものを中央に持ってくる。中央は、農林大臣はこれを協議会に諮問いたしまして、そうして初年度五百のものを指定するということでやっていきたい。従って予算は今申し上げますように二年度以降においてはダブって非常に大きくしていかなきゃならない、こういうつもりでおるわけでございます。これは今申しますようにすみやかに私は財政当局の十分なる協力を得てぜひ実現したい、こう思っておるわけであります。
  24. 亀田得治

    亀田得治君 外務大臣はまだですか。
  25. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 今呼んでおります。
  26. 亀田得治

    亀田得治君 それでは先に農林大臣にお聞きします。例の農業団体の再編成の問題、これは非常にいろいろな経過をたどってきたわけですが、この経過を私ども見ておりまして、農林大臣は大いにやりたいと言う、ところが他方与党の内部においては、なかなかそれに対するチェックがある、そういうことで何回も行ったり来たりして、そうして最終的な結論に到達したようですが、その間のいきさつをざっくばらんに一つ説明をまず願いたいと思います。
  27. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 御承知のように、農業団体の再編成と申しますか、新団体の結成につきましては、基本的に考え方農村問題を研究しておられる人の中に全然別個にあるわけでございます。一方は現行制度でありまする協同組合は、大きくかぶせてあります協同組合法によっていけばよろしいという考え方と、協同組合法は御承知通り非常にルーズな法律でございまして、だれでも十五名以上の者が集まって届出をすればどういう場合にもこの団体は認められる団体である。従って今日農村関係に雑多な協同組合が非常にたくさんある。この団体が非常に多いので農村には煩瑣である、かたがたまたこれに加えて農業委員会農業共済組合というようなものが入りまじって、非常に煩瑣になっておりまするから、これを整理統合したらよかろう、その統合に当っては、協同組合協同組合と申しますけれども、今私の申しました協同組合協同組合法によるのが本則でございますが、その中で、協同組合中、信用部を実施いたしておりまするものは同一地域に二つの重複した信用組合はできないという規定が一つあるわけでございますが、そういう関係で、信用部をあわせ行なっておりまする単位協同組合は、区域が二重になっていないということで、この団体だけが全農村に普遍的に行きわたっておる。その他のものは非常に今申すように、上から上からとかぶって煩瑣になっておるというようなことになっておりますので、私たちの考えとしましては、その信用部をあわせ行なっておりまする団体、いわゆる販連、購連、中金を一連の団体とした単位農協に至るまでのものと、それ以外のものとを分けて考えたらどうだろうかという考え方のもとにいろいろ意見の違いがあるわけでございます。そういうふうにして、また私としましては、農業共済についても何らかのここで処置をしなければならぬ段階に立ち至っておりまするし、また農業委員会にしましても、何らかの処置を講じなければいかぬ段階にきておりますので、この際、これらのものとを合せて農業団体の一ぺん考え直しをしてみたらどうだろうかということで、昨年の議会後に農業団体に向ってこれらに対する諮問を実はいたしたのでございます。ところがその諮問に対して農業団体の方からはしかるべき答申が得られなかった。それぞれの団体が皆一本の答申をまとめて出すことが、意見が根本的に違いましてできませんでございました。政府においてしかるべくというような意味合いの答申より以上に得られなかったのでございます。そういう関係から鋭意この問題の解決に努力をして参ったのですが、たまたま世上いわゆる平野案なるものが出まして、これが農林省の原案であるかのごとくに誤解を受けまして、農業団体の一部に非常に猛烈な反対が起ってきたわけでございます。そういうことのために無用な摩擦を起して非常に強く刺激いたしましたために、農業会議所案なるものを一応私は考えたのでございますけれども、これについてもまた非常に摩擦を起すというようなことで、いやしくも農村にあまり大きな摩擦を起しつつ団体の取りまとめをやることは妥当でない、一応平静に帰して、十分理解、納得の上で取り扱う方が妥当だろうというような考え方からいたしまして、今回は必要の最小限度の取りまとめをして、そうして結論を得て議会の御審議を願おうという経緯をたどって、一両日中に結論を得て議会の方に提案をいたしたい、こう考えておる次第でございます。
  28. 亀田得治

    亀田得治君 一両日中に提案したいと言いますのは、おそらく農業委員会法の一部の改正だと思いますが、これは単なる市町村区域の拡張なり、そういうことに応じた一種の事務的な改正の程度のものだと思うのですが、そういうふうに理解してよろしいでしょうか。
  29. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 事務的と御解釈をいただけば事務的かもしれませんし、われわれとしては当面必要な最小限度の施策として案を立てまして、私の心積りでは来週の火曜日の閣議くらいに大体——法律案の方が間に合えば——かけて決定をして議会に提案をしたい、こういうつもりでおりますから、両三日お持ちいただきますれば、具体的な案をお示しして御意見を拝聴することができるようになると思っております。
  30. 亀田得治

    亀田得治君 まあ最初から言われた農業団体編成がえ、そういう面から見たら今農林大臣がおっしゃった近日中に出すというものは、これは全く何と言いますか、本質的にこれは違った、まあそういう意味で一種の事務的と私申し上げた、そんな程度のものだと思うのであります。  そこでお聞きしたいのですが、農林大臣はこの問題に取っ組むに当りまして相当なやはり決意を表明されておやりになっておった。それは私ども知っておる。結局現状からいきますと、現状維持、こういうことに一応、大体においてそういう感じがするわけです。そこで農林大臣最初考えたいろいろな構想、そういう考え方農林大臣としてはもうやめてしまったのか、それは間違っているとして。あるいは時期が少し不適当だから、考えは変えておらぬけれども、ともかくこの程度にしておこう、こういうことなんでしょうか。その辺根本的に御説明願いたい。
  31. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 私の心境は、私の考えが間違っておったとは今なお考えていないのであります。今お話通り時期が不適当と思っております。しかしこれは独断になることをおそれますから、私といたしましては、この議会終了後、農業団体はいかにあるべきかという、各方面の権威の方々のお集まりを願って十分御審議を願って、そこに私の意見も十分申し上げて、その審議会の答申をもう一ぺん得るように努力をしてみたいと、こう考えております。
  32. 亀田得治

    亀田得治君 私どもいろいろな新聞その他のうわさを聞きますと、ともかく参議院選挙を前にして、農林大臣がこういう構想を強行することは与党にはなはだ不利である。こういう角度から与党の諸君がずいぶん内部において農林大臣の袖をひっ張った、こういうふうに私ども聞いておるのです。これはおそらく新聞等でもずいぶん書かれておることだから事実だろうと思うのです。そういう状態があるので、農林大臣としてはやむを得ず今のところこの程度にしておこうと、こうなったと思うのです。しかし根本的には考え方は変えておらないと今おっしゃっているわけですから、そうなりますと、やはりこれは参議院選挙終了後においては、やはり農林大臣の基本的な考えに立ったものが再びこの審議の対象になってくると、こういうふうに私ども理解するわけですが、それは間違いないでしょうか。
  33. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お答えいたします。世間でいろいろ言われておりますけれども、私は参議院の選挙に不利であるとか有利であるとかということをもって、自分の考えを変えようとは考えておりません。ただ先ほども申しますように、こういう問題を扱いますにはあまりに摩擦を多くして世上無用な混乱を、ことに農村の問題としては避けなければななぬと、私はこういう考えは持っております。で、十分論議を戦わし十分意見の交換をいたしまして、理解の上に立ってやっていかなければいけないというふうに考えますから、今申し上げますように、今回は平野案等によって無川な摩擦、刺激を与えた、これは非常にまずかったというふうに考えますし、また農村に非常な誤解もあるようでございますから、今回は必要の最小限度にとどめまして、なお、私といたしましては議会終了後に調査会を設けまして、各方面の有力な権威の方々の御意見を十分承わって今後どうするかということはきめて参りたい。私独断で一存で決して、この重大な問題を取り扱おうとは考えていないのでございまして、各方面の権威の方々の御意見によって今後問題をきめていくように取りはからいたい、こう考えておるのであります。
  34. 亀田得治

    亀田得治君 調査会を設けるとおっしゃるのですが、それはどういう構想の調査会をお作りになるお気持ですか。
  35. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) ただいま私の考えといたしましては、これら関係の方々、学識経験の方々のお集りを願って十分御審議をいただこうと思っております。
  36. 亀田得治

    亀田得治君 その関係といいますと、たとえば対象になっているいろいろな農業団体がたくさんある、そういう代表者は全部入る、そういうものでしょうか。
  37. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 別にまだ具体的にどうこうとは相談もいたしておりませんが、意見のある人はなるべく広範に入っていただいた方がいいのじゃないかと考えております。
  38. 亀田得治

    亀田得治君 それからもう一つお聞きしますが、この農業団体編成の問題が取り上げられる、それと同時に農林大臣の新しい村作りの課題ですね、この問題がこれと一つになって出てきておると思うのです。私どもはそういうふうに実は理解しておった。ところがそっちの肝心の柱といいますか、そっちの方が現状のままになってしまって、そうして新しい村作りという問題だけは予算もとっておりまして、従って、それを何とか格好をつけなければならぬということで、それだけは残って、その予算の使い方響についてもいろいろすでに構想を持っておられるようですが、私は、これは出発点あるいは経過から見まするとちょっとおかしいのじゃないかと思うのですが、その点どういうふうにお考えでしょうか。
  39. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) それは全然違います。違いますということは、今申し上げました通り団体の問題につきましては、昨年の初めから各関係方面に諮問をして、これに対する答申をいただくようにしておるのであります。これはこれであります。新しい農村の建設の方は、今申し上げました通り食糧半値の変化、すなわち自立農村経済計画立てるということで、従来、あえて申しますれば、食、糧自給度の向上に非常に大きなウエートを置いておりましたものを、先ほど羽生さんにお答えいたしましたように、農業政策の行き方を二本立にして参りたい、二本立にする。すなわちその食糧自給一度の向上農家経済安定確立という、この一本の方の農家経済安定確立の第一の施策として、各農奴それぞれのあり方をみずからの手によって共同的に一つ施策をしていただく、これに対して政府補助をしていくということでございますから、これは全然成り立ちも違います。やって参る意図も違うのでございます。
  40. 亀田得治

    亀田得治君 もちろんこれは問題は別なんです。それは私も理解できるのですが、ただそういう新しい農村における運動を起そう、それと同町に従来の農業団体ではもうだめなんだ、そうしてこれを切りかえてやってゆかないとその構想が生きてこない、こういうふうに最初は結びつけておったのですよ。そういうふうに私どもはあの要綱等も拝見しておった。まあだからそこは少し議論になりますが、しかし違うといえば、これは確かに問題自身は違うのですから、一応そういうふうに了承しておきます。時間がないからこの程度農林大臣は……。  次に防衛庁長官お尋ねします。これは昨日も同僚の委員から質問が相当あった点でありますが、防衛庁の繰越額ですね、これが非常に多い。そうして今年も、昨日の答弁によりますと約二百億ですか、その程度を予想される、こういう状態ですが、そうしてまたそういうものが出る理由等についても昨日若干釈明がありましたが、まあああいう説明では私どもどうも納得がゆかないのです。それでやはり、毎年のことですから、これは相当程度予算を減しても少しも防衛庁の仕事に支障がないのだろう、こう実は考えておるのです。たとえば器材の規格の調整、これでなかなか時間がかかるのだ、こういうことを昨日一つの理由として言っておりましたが、この一つをとって考えても、器材の規格の調整に時間がかかるのは、こんなことは初めからわかっていることなんです。だからそういう規格を明確にことしならことしきちっときめて、それがきまった上で予算を来年度において請求してもいいわけですね。若干のものはそういうふうにやるべきだと思うのです。ほかの問題についてもそういうことが言えるのでして、一方では予算が、ともかく社会保障費等において詰っておるわけですからね。防衛庁の方だけでそういうへ理屈をつけてやはり必要なんだ、こういうふうなことはちょっとつり合いがとれないのじゃないかと思うのです。その点の説明がどうも納得がゆかない。どうしてもこれだけの繰越額が出ても、これはもう予算を削れないものかどうか、もう一度考え方をお伺いしたいと思います。
  41. 船田中

    国務大臣(船田中君) 防衛庁費につきまして毎年繰越額が相当多額に上っておるということは御指摘のようでございまして、これにつきまして本年度、三十年度におきましても御承知通り最初の三カ月が暫定予算で出ておりますために、ずいぶん努力はいたしておりますが、相当程度の繰り越しがあるであろうということは予想されます。しかしその原因につきましては、昨日も政府委員から詳細御説明申し上げましたような器材獲、施設費及び艦船等の建造費、いずれも特殊の事情があり、今御指摘がありましたように、一ぺん規格をきめたらそれでやれるじゃないかというようなお話もございますけれども、しかしこれは毎年やはり相当な新規の機軸を出してゆかなければならぬものもございます。また米軍の供与を受けなければならぬものもあります。それから艦船の建造等についても、昨日も御説明申し上げましたように、ボディは日本の方で作りますが、火器をアメリカ軍の供与に待つというようなことのために、時期的にずれる、いろいろなそういうような事情もございすので、相当程度の繰越額が出るということでございます。しかし、さればといってこれは決して余分なものを要求して、多額の予算を計上しておるという次第ではないのであります。なお詳細のことにつきましては経理局長から御説明をいたさせます。
  42. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) お答え申し上げます。できるだけ当該年度予算を切り詰めましてやるのが理想でございまして、防衛庁といたしましても当初から、支出されないであろうというような見込みをもちまして予算を計上いたしておるわけではございません。ただ昨日申し上げましたような理由によりまして、業務運営上思わぬ障害に遭遇して繰り越しせざるを得ないというようなのが実情でございます。予算がなくて、翌年度において実際必要なときにやればいいじゃないか、こういうお話もあるわけでありますが、たとえば土地買収の経費などでございますと、これは実は国庫債務負担行為というわけにはいかない性質のものであります。予算に計上されておりませんと、実際に土地を選定し、土地の所有者の方々とお打ち合せすることができないわけであります。御承知通りに土地の取得には相当の時間を費します。しかし、きまったところで予算を組めばいいじゃないかと言われますけれども、実は予算がございませんと、土地の買収につきましても初めから手がつけられないような状況でございます。そういうふうな事情によりまして、防衛庁におきましてはできるだけ繰り越しを少くするということはモットーにしておるのでありまして、現にこの数年間、年々繰り越しは減ってきてはおりますが、なお御期待に沿い得ないのはまことに残念でございますが、ただいま申しましたような理由によりまして、ある程度はどうしても思わぬ障害によりまして繰り越しを生ずる、こういうのが実情でございます。
  43. 亀田得治

    亀田得治君 ただいまこちらの説明をあまり言うと、時間が長くなるのですが、たとえば、土地の場合なんかに、これはなかなか防衛庁の場合は問題が起きますよ。おそらくこれは土地収用とかそういうことはできません、防衛庁の場合。これはやってみれば、おそらくこれは具体的な事件として違憲訴訟の対象になりますから、もう今日では具体的な事件となって自衛隊が裁判所で判断を受ければ、政府が負けるくらいのことは、これは常識ですから、おそらくそういう強制収用も自衛隊関係ではできないでしょうし、従ってそれは関係の農民だって、そういうことのわかっているところでは、なかなかこれは問題が簡単にいかないのです、初めから。だから、そういうことはわかっておるわけですから、まずやはり土地を手に入れて、それが土台がはっきりしてから次の予算を組むとか、それでもちっとも私は差しつかえないと思います。土地を認めておいて、その時の政府がその上に建てるものを認めないということは絶対にないでしょう。そんなことはあり得ないのですよ。土地を認めるということは、もうすでに上に建つものも認めておるので、それは差しつかえないのですよ。だから、それはそういうふうにおやりになれば、相当それだけでも予算が減せる。が、やむを得ない場合には、予算外の契約等をやればいいのでね。そんなのはそういう予算外契約に適しないものだ、そんなことは独断ですよ。
  44. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) お答え申し上げます。土地を買収いたしまして、その上にある建物を建てる、こういう計画がございますと、原則といたしまして、建物の方はこれは国庫債務負担行為においてお願いいたしております。それは、土地が取得されましてから現実に建てるようになればいいわけでございます。建物の方の経費は国庫債務負担行為の方にお願いいたしております。ただし、土地の買収費は、これは国庫負債負担行為ということは不適当な形式である。と申しますのは、御承知のように国庫債務負担行為というのは、後年度において実際に支出になるところの契約を当該年度において結ぶ、こういう契約でございますが、土地の買収につきましては、買収いたしますればすぐ金を払うわけでありまして、当該年度において予算がないと初めから契約もできず、支出もできない、こういう関係にございます。ところが、ただいまお話がありましたように、土地につきましてはなかなか意外な困難に逢着いたしますので、予算に計上いたしましても、その土地の経費が繰り越しになるということは相当あり得るのであります。ただし、土地の購入費の予算がございませんと、その土地の買収そのものも全然手がつけられない、こういう関係にございます。土地の上に建てます建物につきましては、初めから原則といたしまして、土地が取得できてから建物を建てる、こういう意味合いにおきまして国庫債務負担行為にお願いする、現実においてそれが支出されるときに予算に計上する、こういうやり方でございます。
  45. 亀田得治

    亀田得治君 まあ一つ一つのことを言い出すと切りがないのですが、会計検査院長、今日来ていますか。
  46. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 来ています。
  47. 亀田得治

    亀田得治君 あなたの方では、防衛庁予算の使用状況をお調べになって、そうして検査報告書にもいろいろな批難が書いてあるわけですが、予算がどうもこんなに要らんじゃないか、お調べになった結果そういうふうにお感じになっておるかどうか、もう少し減しても——要らんとは言えんかもしれんが、もう少し減しても例に事業の運行に差しつかえないじゃないかというふうにお感じになっていないかどうか、検査院の検査の立場から意見を聞きたい。
  48. 東谷伝次郎

    会計検査院長(東谷伝次郎君) なかなかむずかしい御質問でございまして、(「むずかしいことはない」「常識ですよ」「一番簡単だ」と呼ぶ者あり)繰り越しの状況は御案内の通りでありまして、繰り越しが非常に多い、こういう点から見ますると、従来の予算はあるいは減額する余地があった、もしくは予算外国庫負担の契約に移行する余地があったのではないかという考えもあるかもわからないのであります。ありますが、しさいに年度別を見ますると、御案内のように繰越額は年々絶対願においても減っております。比率で見ますると、また相当に減っております。その反対に予算は年々相当大きな幅でふえております。そういうことを頭に描いてみますると、これは防衛庁におかれまして非常に御勉強になって、装備器材の規格の決定であるとか、(「検査院長がそんなことを言いおったら検査できやせんよ」と呼ぶ者あり)あるいは艦船の設計その他のことが相当軌道に乗っておるというふうに考えられる節もございますし、にわかに予算の繰越額だけで予算を減額する余地があるのではないかというような断定はできかねるのではないかというふうに考えております。(「おかしいな」と呼ぶ者あり)
  49. 亀田得治

    亀田得治君 私は繰越額だけで言っておるわけじゃないのです。検査院の方では個々に実際にお調べになった。そうして検査報告書にはちゃんと批難が書いてあるわけです。(「書いてある」と呼ぶ者あり)私はその批難からいきますと、もう一つ延ばして先のことを言えば、これは少し予算を取り過ぎているのじゃないか、それが言えるか言えないかということを聞いているのです。あなたの検査報告のそれを基礎にして言って下さいよ。何も繰り越しの額が形式的にこれだけあるから、それからまた全体の防衛庁予算と比較してそれがどうとか、そんな抽象的なことを言っているのじゃない。検査報告書の中にあなたが書いたその結論を延長して言えば、私どもとしては、これは検査院長も予算が少し潤沢過ぎる、こういうふうに思っているのじゃないかと考えている。そうならぬということが番えるのかどうか、報告書から言って下さい。
  50. 東谷伝次郎

    会計検査院長(東谷伝次郎君) お答えいたします。繰越額の事由は、御承知のように、調べましても、私どもの方で不当な事項はないと考えております。繰り越し明許その他事故繰り越し、おのおの事由が立っておると見ております。ただ検査の結果で見ますると、検査報骨をごらんになりませばおわかり願うように、年度末、すなわち二十九年度で申し上げますと、三十年の二月、三月のころに予算を硬いましたもので、その年度予算を使わなくてもよろしい、その年度で購入しなくてもよろしいじゃないか、結局裏返せば不急のものを調達したのではないかというようなものも相当ございまして、これは検査報告に掲げてあります。これが約十件、三億くらいになっておるかと思うのでありますが、(「件数が一番多いんだ」と呼ぶ者あり)件数は十件ばかりでありますが、そういうようなわけで、私どもの方の検査の結果で見ますると、その年度において予算を使わんでもよかったじゃないかという決算上の批難から見ますと三億何がしでありまして、これをもって直ちに予算の減額をする余地があったのではないかということも断定いたしかねるかと思うのであります。
  51. 亀田得治

    亀田得治君 検査院長がそんなたよりないことをおっしゃちゃ困るのです。その買わなくてもよかったものを三億何がし、約四億近くですが、あなたの方の現実にお調べになっているのは、帳簿は全部調べるでしょうが、実体に当るやつは、これはまあ見本抜き、抜いてやるわけですね。そういう関係なんですからね、いやしくもあの三億幾らというものをこれは買わなくてもよかったというものが出ておれば、全体としては一体どれほど、相当まだあるのじゃないか、これはだれでも想像するところなんですよ。あなたがそれだけの数字をつかんでおりながら、どうも予算が潤沢過ぎるとは言えないようなことをおっしゃるのは、私はこれはちょっとどうかと思うんですがね。そんな返事をまさか私はここに聞こうとは思はなかった、あなたの職責からいって。そういうことをあなた自身としてここで言っていいのですか。三億という金は莫大なものでしょう。しかもそれは防衛庁の一部の調査ですよ。もっとはっきり言って下さい、考えを。
  52. 東谷伝次郎

    会計検査院長(東谷伝次郎君) 三億は少いというふうに申し上げたのではございませんのですが、私ども防衛庁の会計検査は相当綿密にやっているのでありまして、会計検査の結果は、まあ三億は、三十九年度で申しますと、二十九年度に買わなくてもよかった、三十年度に買えばよかったのではないか、あるいは次の年度に買えばよかったというふうな批難の仕方でありまして、どうも一つは、それでもって直ちに先ほど申しましたように、防衛庁予算がだぶつき過ぎているというふうにはとらないのでありまして、ほんとうにだぶついているものは、二十九年度で申しますと、不用額に立てまして、四十数億円というものを不用額に立てているのでありますから、私ども会計検査院はただいま申し上げましたような考えでいるわけであります。
  53. 亀田得治

    亀田得治君 ただいま、まあその買わなくてもいいものを買ったという問題が出ましたから、その点若干もう少しお聞きしますが、たとえば二十九年の八月に、アメリカから約七十万着の生地の援助物資としての提供がありましたね、ないのですか。
  54. 東谷伝次郎

    会計検査院長(東谷伝次郎君) あると思います。
  55. 亀田得治

    亀田得治君 これは検査報告にも書いてあるんです。あったにもかかわらず防衛庁の方でその後に約七万着のものを仕入れられた、約二億数千万円かけて。そういうことはなかったのでしょうか。
  56. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) お答え申し上げます。米軍から大量の冬服の供与を受けたことは事実でございます。供与を受けたにもかかわらず、あとで買ったという事実はないのでございます。検査院の御指摘も、くれるということがわかっておったのになぜ買ったか、こういう御指摘でございます。その点につきまして若干弁明申し上げたいと思うのでありますが、現在アメリカ軍から供与される物資につきましては、その時期につきましてきわめて不確定なことが多いのでありまして、一たん供与されるときまっておりましても、あとになりまして取り消されましたり、それからまた時期がずれるということも非常にございます。ことに増強の場合の編成装備品の物資につきましては、大体におきまして供与が確定されておりますが、臨時に供与されるものにつきましては、往々にしてそれが途中で流れる、あるいは時期がずれるということが多いのであります。この問題の冬服の点でございますが、経過を申し上げますと、昭和二十九年の七月の中旬ごろ、先方の担当官から陸上幕僚監部の補給関係の担当官に、場合によると冬服が自衛隊の方に譲渡できるかもしれないという通報がございました。口頭でございました。ただ当初におきましてはこれが有償譲渡であろうという話でございましたので、有償であるならば国内で調達した方がむしろ安くなるという考えでありましたので、有償では困るというふうにお答え申しておきました。ところが七月下旬になりまして、無償になるかもしれないという話がございましたので、無償ならというわけで防衛庁も非常に乗り気になりまして、その後、連絡担当官を置きまして、ほとんど毎週一回くらい相手方に打ち合せさしたのであります。八月下旬になりまして無償ということがほぼ確実ということになりましたが、時期とか規格、品質等につきましては一切不明でございました。その後二十九年の九月の中旬になりまして、冬服約三十五万着及び冬服の生地が約三十五万着分、あわせて七十万着程度のものが自衛隊に供与されるかもしれないという、米軍部内の通報の文書の写しを防衛庁が入手いたしましたので、そこで、さらにかけ合ったわけでありますが、ただし品質とかその程度、時期につきましては、一切不明でありました。しかし防衛庁におきましては一応譲渡の場合を予想いたしまして、受領方法につきまして検討を加えたのであります。その後、譲渡品の程度それから時期につきまして、早急に知らしてもらいたいということを、ひんぱんに軍事援助顧問団に要求したのでありますが、軍事援助顧問団におきましては、一切不明だということでありました。かつ二十九年の十月になりますと先方の担当官が交替いたしまして、さらに十月には釜山におけるアメリカ軍の補給所が火事で焼けたのであります。そこにおきまして、きわめてこの冬服の供与を受けるということが絶望という状態になりました。そこで防衛庁におきましては意を決しまして、既定の調達計画を実行いたしたのであります。その後十二月の末になりまして、先方の担当官から譲渡について打合せしたいという申し入れがありまして、直ちに受領態勢をとったのでありますが、一月上旬の予定期日になりましても実現を見ず、きわめて悲観的な応待をもってせられたような状態であります。これが二月になりましてさらに好転して、現実に二月から九月の間に授受が行われた、こういう結果でございます。防衛庁におきましては、もともと、いつどのくらいのものを自衛隊に供与されるということが確実でございますれば、もちろん既定の調達計画は実行するわけにはいきません。防衛庁におきましても非常に慎重な態度をもちまして、ひんぱんに先方に折衝いたしましたが、何分にも時期等は一切不明でございましたけれども、ところが三十年度になりまして一月から新隊員が入ってくるという状態でありまして、意を決しまして、万一これが、供与が実現できなかった場合におきましては、補給に不円滑、補給の困難を来たしますので、調達の責任者といたしましては意を決して、二十九年の十月に調達いたしたわけであります。
  57. 亀田得治

    亀田得治君 八月下旬に無償でくれるということがはっきりしたと、そうして米軍部内におけるそのことを書いた通報の文書の写しが防衛庁の方の手に入った、こういう趣旨のことが言われたのですが、その文書は現在あなたの方におありですね。
  58. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) ただいま手元に持っておりませんが、その写しはございます。
  59. 亀田得治

    亀田得治君 その文書にはどう書いてあるのです、具体的にはっきり言って下さい。
  60. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) その文書はただいま持っておりませんけれども防衛庁に幾ら渡すということでなくて、米軍の部隊内における移動、何万着がどこの倉庫に入るという通知であります。これを向うの担当官が、この服がお前の方に行くらしいという話なんであります。正式にこれを自衛隊に渡すというような文書ではありません。
  61. 亀田得治

    亀田得治君 その文書の写しは分科会に御提出願えますか。
  62. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) かしこまりました。御提出申し上げます。
  63. 亀田得治

    亀田得治君 それから二十九年の十月ですね、あなたの方で新しい服を約七万着用意した。この七万着はいつから使うべきものなんですか。
  64. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) ここで実は予算立て方を一応御説明申し上げないと御了解願えないかと思うのであります。検査院の御指摘にも、三十一年度に必要なものというような書き方が若干ございます。これは防衛庁予算立て方をまず申し上げますと、こういう被服費、それから編成装備費等におきましては、消耗の更新に備える場合二つの方法がございます。一つは全部一度にだめになったときに全面的に取りかえる方法、これは私の方でアトリション方式と申しております。それからもう一つはリプレース方式と申しまして、耐用命数分の一ずつ予算に計上する、こういう方法がございます。二つの予算計上方法があるわけなんです。この利害得失についてはいろいろあるわけでありますが、もし前者の方法、たとえば一度に消耗の時期が参りましたときに取りかえるという方法になりますと、年度によりまして非常に予算のでこぼこが出て参ります。ある年にはほとんど要らない、ある年には大量な被服を注文しなければならぬ、こういうことになりまして、財政負担の上におきましても均分されないわけです。それから調達計画の上から申しましても、いわゆる雨だれ発注ということになりまして、何年間に一ぺんどかんと大きな発注がある、こういうことになると、結局調達計画の方にも影響があって補給の面も円滑じゃないわけです。これはまあ旧陸海軍時代からでありますが、ことに被服費につきましては、当初増勢されました隊員に対する軍の消耗の更新費は毎年耐用命数分のずつということになっております。実際にはその予算をもちまして調達いたしましたのを、新隊員に対しまして新品一着、古品一着というふうに補給いたしております。そういたしませんと、たとえば六年たつまでの間、非常に補給の、何といいますか、不公平……
  65. 亀田得治

    亀田得治君 その中間の説明よりも、七万着はいつ使えるのか。
  66. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) そういう予算立て方がまず御理解願えないと、これは問題でございます。そういうふうにして毎年々々補給計画がきまっております。それで調達いたしまして、具体的にはそのときに入る隊員等も考えまして適時調整をいたしております。現実にもう当該被服費につきましては、三十一年度に必要だったということじゃなくて、もうすでに三十年の、検査院の御指摘になっておりますように、一月、二月には新隊員に着せなければならぬわけであります。
  67. 亀田得治

    亀田得治君 それは一部でしょう。大部分は三十一年度と違いますか。
  68. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) そこがただいま申し上げました補給の方法をよく御理解願えないと工合が悪いのであります。耐用命数分の一ずつ予算に組みまして、それだけ調達して補給の円滑化をはかるというのが趣旨なんでございます。現実にどかんと来たときに調達する方式ではございません。
  69. 亀田得治

    亀田得治君 検査院の報告は、これはおかしいですね。あなたの報告書には、アメリカ軍からの供与があるということを知りながら、ずっと先昭和三十一年度において使う予定の七万着をそういうことを知りながら購入した。これは不当な購入だ、こういう意味で書かれておるのですが、その点どっちがほんとうなんですか。
  70. 東谷伝次郎

    会計検査院長(東谷伝次郎君) お答えいたします。ただいまの洋服の問題でありますが、これは政府委員から御説明になりましたので詳しくは申し上げませんが、会計検査院の見るところでは、二十九年の八月に向うから大体七十万着くれるらしい、援助物資として。そういたしまして九月の十三日には出荷する文書が、非公式ではありますけれども来ておる。越えて十月でしたか、十一月でしたかに七万着をこちらが内地で買っておる。
  71. 亀田得治

    亀田得治君 十月です。
  72. 東谷伝次郎

    会計検査院長(東谷伝次郎君) 十月でございましたか、買っておる。こういうことを見ますと、なるほど早急に三十年の一月、二月に入り用な欠員補充に関する二万着というものは、アメリカから来るといたしましても、買うのもいいと思うのでありますが、その他の分は、ただいま申しましたように、九月十三日には、非公式ではありますが、そういうことが大体わかっておりまするので、差し控えておったらよかろう。すなわち二十九年度に買うのは二万着で、あとの五万着は購入を差し控えて持つべきである。現に三十年になれば七十万着が来ておるということを掲げまして、五万着は不急の物品を買ったという批判をしておるのであります。
  73. 亀田得治

    亀田得治君 その批判が私大体当ると思うのですが、そこで現実に七十万着がアメリカから防衛庁に渡されたのはいつですか。
  74. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 三十年の二月から五月にかけて逐次入荷いたしております。
  75. 亀田得治

    亀田得治君 そうすると、現在七十万着は全部受け取り済みですね。
  76. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 全部受領済みでございます。
  77. 亀田得治

    亀田得治君 そういうものは一体どういうふうにお使いになっておるのです、七十万着について。
  78. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 七十万着のうち三十五万着が既製品で、あとが生地でございますが、まずこの既製品につきましては、わが自衛隊と服制が若干違いますので、これを改造しなければならぬというので、昨年の十二月でございましたか、三十五万着のうちの八万四千五百着分をとりあえず改造に出しまして、三月末に一応改造が終了することになっております。その他の物品につきましては、現在松戸の需品補給所とそれから関西の宇治の需品補給所に収納してございます。
  79. 亀田得治

    亀田得治君 これはどなたが適当かわかりませんが、ともかく会計検査院の報告を見ると、はなはだこれはちょっと防衛庁の方としては軽率な点があると私ども思うのです。で、普通ならば、こういうことがあれば、これは必ず防衛庁のだれか係官と、それから出入りの生地屋と、洋服屋さんですね、それとなれ合ってやっておるのではないか。そんなことがあるもんだから、どんどん今のうちに入れてしまえというようなことをやったのじゃないか。これは常識上だれでも考えますよ。国費を使うわけですから。一方から来るかもしれないというのなら、それをあなた十分確かめて待つべきですよ。だから、その七万着の使用についても、これは全部おそらくそんな早い時期にこれは使っておるはずがない。それはもっと分科会等で私はっきりしてもらいたいと思うのですがね。こういうことがあれば、私はもっと官界を粛清するという意味で徹底的にやはり調査をしてほしいですね。普通の民間の関係であれば、それはちっとくさいということで、必ずそれは別な面からさらに調べを受けますよ。ところが自衛隊法によりますと、内部におけるそういう犯罪は自衛官が調べる、そういうふうになっておる。私はああいう規定は実にけしからぬと思っておるのですが、そういうことをやっておるもんですから、できるだけ、そういう不名誉な者のを出さんようにというので適当にやるのでしょうが、どうも説明が私は納得がいかない。防衛庁長官あとからこの事件を知っておるわけでしょうが、ともかく会計検査院からそういう大胆な批判を受けておるわけですから、私はよほど長官お調べになったと思うのですが、どういうふうなあなたはこの事件に対して御感想を持っておられますか。
  80. 船田中

    国務大臣(船田中君) この事件につきましては、先ほど経理局長から御説明申し上げましたように、米軍の供与というものが確定しておったのではございませんので、そうしてしかも他の火器類のようなものと違いまして、これは必ずくれなきやならぬというふうに約束しておったものでもありませんので、その時期、方法、品質等が確定しておらなかった、しかも一方新隊員の入ってくるのに対して準備をしなきゃならぬということでございますから、それを一昨年購入したということは、私はどうも事情やむを得ぬのじゃないかと、こういうふうに考えております。もちろんもっともっと注意をしなきゃならぬということは当然やらなきゃならぬことでございますから、十分将来のことについては対策は考えております。
  81. 亀田得治

    亀田得治君 事実関係の究明が実は問題なのです。あなたの部下から報告だけを受けとって、聞いておったのじゃそういう結論にしかならぬと思う。そこで重要な問題ですからこの公文書に書かれておることをあなた自身がその当時の関係者に会って究明されたかどうかその点どうでしょうか。
  82. 船田中

    国務大臣(船田中君) 取り扱いの担当者を直接呼んだわけではございません。関係者を、責任者を呼んで、そうして事実を調べたのでございますが、先ほど経理局長が申しておりまするような事実でございまして、その間の衷情はやむを得ないものがあったと私は考えております。
  83. 亀田得治

    亀田得治君 大蔵大臣一つお聞きしたいのですが、いろいろまだほかにあるのですがとにかく会計検査院の検査報告等、こういうものは予算をお作りになるときに御参考にされておるのですかどうでしょうか。
  84. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) むろん参考にいたしております。
  85. 亀田得治

    亀田得治君 参考にしておれば、防衛庁予算なんかについてはもっとたとえば医療保険関係なんかずいぶん今やかましく言っておる。そういう方面に若干でも回せる余地があるのではないかと私考えるのですが、その点どういうふうにお考えになっておられますか。
  86. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 防衛庁のこの予算につきましては、特にお示しのように繰り越し等が非常に多いのであります。最近年々これが減額して参っており、そういう努力もみな払っておりますが、そういうこともあります関係から、予算編成に当りましては、特に事務当局にも命じまして、克明に積み上げまして、よけいなもののないように厳密な査定をいたしておるわけであります。
  87. 亀田得治

    亀田得治君 もう時間がありませんからこの程度にいたしますが、外務大臣にちょっと一点お聞きしたいと思うのですが、いませんからあと一問でいいから外務大臣が参りましてから質問いたします。
  88. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 外務大臣がおいでになりませんから、それでは相馬君にやっていただきまして、き次第亀田君の発言を願います。
  89. 吉田法晴

    吉田法晴君 関連質問。今の点、もう一点大蔵大臣に昨日も聞きましたが明らかでない、今も御答弁ございましたが明らかでないので、重ねて伺います。  私は総理大臣の憲法違反の疑いがあるというところに、これは今の政府立場から自衛隊をお作りになるとしても、ブレーキをかける、反省をすることがあると思う。そういう意味で疑いがあるという発言は私は大へん異議があると思う。あれだけのとにかくむだ使いをしておる、これは世論だと思います。一つの省にもなっていない庁ですが、実態は大きいにしろ、四億円なんというむだ使いをして、不当不正の使用がある、それから年々二百億を越す繰り越しがある、そうすると大蔵省から言いますならば、あるいは国民全体から言うならば、もっとこれは締めるべきだ。締めることの方が何と申しますか、予算を作って参りますのに間違いがないゆえんであろう、こう考えられるのであります。私はここに引き合いに出しませんけれども予算の問題について、ことしの予算について論議がなされている席上でそういう話が出ている。これはだれが言ったかということは今差し控えますが、これは世論だと思う。新聞で大きく取り扱われたりあるいは予算についてそういう意見が出るということは、同母の率直な意見だと思うのでありますが、大蔵大臣としてその点についてもう少しはっきり所見の御披瀝を願いたい。
  90. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) お答えします。大蔵大臣としましては、あるいはまたこれは一般の国民考えでもあると思いますが、防衛庁費というふうなものの費用が少く済むような国際情勢または社会情勢になることが望ましいのであります。こういうことを今ここで論議してもいたし方ございませんが、要するに今日の情勢に応じて、どういうような防衛力を持つかということがやはり基本になるのでありまして、必要とする防衛力を達成させるために、私としましては国力の範囲内におきましてこれは漸増して行く、こういうような形をとっておるわけであります。先ほどからのお話もありましたが、そういうような関係にありますから、いやしくもむだに、一銭でもむだに使うことがあってはならない、そういう点につきましては今後一そう注意を払って行きたいと考えるのであります。
  91. 相馬助治

    ○相馬助治君 私は外務大臣の出席を求めておりますが、まだお見えになっておりませんので、その質問は保留いたしまして、文部大臣、厚生大臣大蔵大臣人事院総裁お尋ねしたいと思うのですが、まず大蔵大臣と関連を持った人事院総裁並びに厚生大臣の質問からさせていただきます。  人事院総裁お尋ねしたいのですが、一昨年の八月ごろすなわち吉田内閣当時に人事院は地域給を勧告いたしましたが、その後解散があり、政治上の大きな変動がございまして、これが政治の面から置き去られて、忘れ去られたような形になっておりますが、この地域給の問題は今日抜本的に財政上からも考えなくちゃならない問題だと私は信じております。そこでお尋ねするのでございまするが、あの勧告はその後どうなったのでございますか。また人事院総裁としてはその勧告の実施の促進のために何らかその後内閣に手をお打ちになりましたか。その辺の経過をまずお聞きしたいと思います。
  92. 淺井清

    政府委員(淺井清君) お答えを申し上げます。お示しのように人事院はすでに一昨年地域給に関する勧告をいたしまして、問題は今内閣の方に移っております。すなわち内閣におきましては、この勧告を受け、かつ同時に地域給の抜本的な解決の問題と一緒に、ただいま公務員制度調査室において研究中のことと思うのでありますが、その結論はまだ出ていないように存じております。(「おそいおそい、何しているか」と呼ぶ者あり)
  93. 相馬助治

    ○相馬助治君 その結論は出ていないということは私も承知しておるので、その結論が出ていないということ自体に対して、全国の国家公務員、地方公務員の利益をある意味では代表するところの人事院総裁としては、その後どういう手を打たれたのだという私は政治的責任を追及する意味で尋ねているのでありまして、その意味合いを加味しての御答弁をお願いしたいと思います。
  94. 淺井清

    政府委員(淺井清君) お答えを申し上げます。人事院としての権限は勧告するにとどまるのでございまして、これを財政上の問題等とにらみ合せて解決するのはこれは内閣の方であろうと考えております。
  95. 相馬助治

    ○相馬助治君 人事院の法制上の文面にも、この勧告に対してその後請求したり監視したりというようなことが明確になっていないことは承知しておりますが、当然しかし公務員のストライキ権を剥奪したというようなあの立法の経過から見まして、人事院総裁はそういう法的な明文がないからして、それは勧告すれば事足りることだ、そういうようなことはいささか私どもとしては聞きがたいのでございまするが、とにかくこの問題についてはもう少し人事院総裁としては政治的責任を感ぜられて、公式に、あるいは非公式にこの問題について今後見守っていくべきだと思いまするが、さような積極的な意思はお持ちになりませんか。
  96. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 法制上の権限等を離れまして、人事院といたしましては、この地域給の問題について関心を持ち、また今後お示しのような努力はいたすつもりでおります。ただ問題は、ただいま申し上げましたように、根本的な解決をどうするかという問題とからみ合っておりまするので、おくれておるように思います。
  97. 相馬助治

    ○相馬助治君 大蔵大臣お尋ねしますが、今総裁が答えた通りに、根本的な問題と、もう一つはやはり財政上の理由、むしろこの方が大きいと私は思うのでございまするが、この財政上の理由をもって人事院勧告通りに現内閣地域給を実施しないのだと、かように存じまするが、大蔵大臣としては、この問題をどのように現在お考えでございますか。すなわち前の吉田内閣時代の勧告でございまするけれども、当然現内閣がこの勧告を実施すべき政治的責任を持つものでございまして、その点大蔵大臣より明確なる所見を承わりたいと思います。
  98. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 一つは人事院の勧告通りこれを実行するということは、今日の財政の状況が許しません。これは今の御所見にあった通りと思います。そこで政府といたしましては、公務員制度調査会の答申の線これは地域給を廃止することを目途といたしまして、これを簡素化しようと、こういう答申になっておりますので、その線に沿いまして今具体的に考究中であります。
  99. 相馬助治

    ○相馬助治君 抜本的にこの地域給を改革し、廃止する線に持っていくということについては、大方の意見が一致しておることは御存じの通りでありまするが、しかしそれは廃止するといっても、現在の地域給そのものをぽんと取ってしまうということではなくして、現在の公務員が保持しておるところの給与水準というものを下げないように、漸減的にある法則と方法とをもってこの問題を処置するという意味合いの地域給の廃止なのでございまして、これについては財政当局としては何らかの今日見解をお持ちでございますか。すなわちもう少し具体的に尋ねますと、地域給というものを現在の俸給に組み入れる方法等をとって、この問題を解決していく、こういうふうに考えておるのですか。それとも大蔵当局としてはいまださようなる具体的な考え方にまでは至っていない。あげてこの制度調査会の方にまかせておく段階だと、こういう立場でございますか。承わりたいと思います。
  100. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) ただいま御答弁申し上げましたように、目下のところにおきましては公務員制度調査会の答申の線に沿うて政府においても具体的に考究中であります。なおついでに申し上げますが、かりにこの人事院勧告の通りにこれを実行いたしますとすれば、おそらく財政負担が二百億を突破するだろうと私は思うのです。そういうふうなことは今日財政が許さない。はなはだ遺憾と存じます。
  101. 相馬助治

    ○相馬助治君 人事院の勧告が二百億を突破するとは私は承知していないのでありまして、その後衆議院、参議院における修正によればだいぶ莫大なものであったが、人事院の勧告は九十何億かと私は考えておりますが、ともかくこの問題については現鳩山内閣においても、もっと積極的に今後考究して、何らかの結論を一つお出し願いたいと考えております。
  102. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 地域給を設けましたやはり一番の理由は、経済状況が終戦後において非常にまちまちである。従ってまた生活の状態がまちまちである、こういうところに基因しておると思うのでありますが、そういうところが漸次平準化いたしまして、地域々々という観念はそうは重視しなくてもいい状況が今後一そうくるであろう、今日相当きておると思います。私自身といたしましては、地域給というものはあまり賛成していないのでありまして、これは一つのけたい、やめたいのでありますが、そこは財政の負担とのかね合いになるわけであります。そう御了承いただきたいと思います。
  103. 相馬助治

    ○相馬助治君 地域給を漸次のけたいということについては議論いたしませんし、また私も今地域給というものはとにかく何らかの形で抜本的な改革を必要とする段階に到達していると思うので、その点は大蔵大臣と見解を一つにしております。ただ問題は一昨年の八月に受けたこの勧告を、じんぜん日をむなしうしてほおかぶりをしておる現内閣の政治的責任と人事院総裁がこれをただ黙って見ているこの政治的責任を私は追及する意味において御見解を尋ねたのでございまして、この問題については一つ何らかの結論を一日も早く生むように私はこの際要請しておきたいと思います。  次に人事院総裁一つ承わりたいことは、新聞の伝えるところによりますと、十三日ごろ総裁は給与担当大臣でありまする倉石労相に対して、三公社五現業に対する調停案を政府が受諾して一時命を支給するというような場合になったならば、国家公務員にもこれを考慮すべきであるという非公式文書を出したと報ぜられておりまするが、その事実はございますか。
  104. 淺井清

    政府委員(淺井清君) お答えを申し上げます。これは政府内部の折衝の問題でございますから、いかがともお答えいたしかねます。
  105. 相馬助治

    ○相馬助治君 私はそれでは角度を変えてお尋ねいたします。この私の質問に対してお答えのないことは遺憾でありまするがそのまま引き下がるわけには参りません。むしろ私は突き進んでお尋ねしたいことは国家公務員法の二十八条の規定によって何故堂々とこの種の要求を政府に向ってしないのでございますか。それができないというならば、みずから人事院というものの存在価値を天下に向ってないものと認定するようなものでございまするが故に、政府に対して非公式にこういう文書を出したか出さぬかという質問をしばらく保留して、政府に対してこの種の要求をすべき政治的段階に到達していると人事院総裁はお考えでございますか、私はそうだと思います。しかもこの段階において何故国家公務員法二十八条の規定に基いて、そのような公式文書を政府に渡さないのでございますか。これは怠慢というべきだと思うのですが、一つ御見解を承わりたいと思います。
  106. 淺井清

    政府委員(淺井清君) お答えを申し上げます。新聞等の報道をもとにしての御質疑だと存じますが、一体人事院が給与の問題に関しまして内閣または大蔵省等々と折衝いたしまするのは、人事院の責務でもありまたこれはむしろ日常のできごとでございまして、特に新聞等をわずらわすような問題でもないと思っておりまするが、ただいま公務員法二十八条によってなぜ勧告をしないか云々の御質問がございまするが、私どもの解釈によりますれば、公務員法二十八条は俸給表に関する問題のように思っておりまするので、私どもはこの点において少し見解を異にしております。
  107. 相馬助治

    ○相馬助治君 私は人事院総裁が政治的理由をもってすなわち国家公務員あるいはこれに影響される地方公務員の利益を守るために、この段階においてはその御質問にはお答えしないことの方が、意味があるとでもいうのならば、これはまた私も考えなくちゃならないと思うのでございますが、その今、木で鼻をくくったように見解が違うと、こう申しておりまするけれども、国家公務員法二十八条の規定が何であるか私も承知しております。問題は三公社五現業に対する調停案を政府が受諾して、一時金を支給する場合には、当然これは国家公務員に対しても、政府自体が考慮すべき筋なのです。また人事院がこれに対して発言すべき筋なのです。それがなされないということになりますれば、国家公務員の団体が折からの春季闘争に照応いたしまして、ある種の行動を起す根拠とも相なりますると存じまするのでお尋ねしておるのでございまして、一つざっくばらんにこの辺の御見解を承わっておきたいと思います。
  108. 淺井清

    政府委員(淺井清君) ただいまの御質疑によって私は私の所信を申し述べる機会を得たことはむしろありがたいのでございます。人事院といたしましては、お示しのように、三公社、五現業の調停案がいかがになりますかわからないところもございますけれども、もしも歩み寄りまして、従来三公社、五現業の職員が得ておりましたよりも以上のものがここに得られたといたします、そういたしますれば、団交権を持っている職員のみが給与の改善をせられたという結果になりまして、団交権を持っていない職員が不利益を受けるという結果になることは、これは人事院としては忍びがたいことでございまして、これは一般職公務員の勤労意欲を低下せしめ、能率を阻害することともなりますので、もしもさような措置がなされますならば、一般職公務員についても均衡を保った措置がなさるべきものだと、私は確信をいたしておる次第であります。ことにさしずめ問題になりまする一時金の措置については、特にさように考えております。
  109. 相馬助治

    ○相馬助治君 御見解は明瞭になりました。従ってこのことは三公社、五現業に対する調停案を政府が受諾した場合という仮定の質問に立って、私は仮定の立場に立って質問したのですが、これが政府が受諾して一時金が支給されたという段階に参りましたならば、当然人事院といたしましても、団交権を持たないところの公務員の利益を代表して、何らかの政治的意思を明確にされるものであると期待をいたしまして、私はこの質問を終りますが、その了解は間違っておりませんですね。
  110. 淺井清

    政府委員(淺井清君) 人事院といたしましては、ここにお約束するとかなんとかいうことは変なことでございまするけれども、御趣旨はよく承わっておきたいと思います。
  111. 相馬助治

    ○相馬助治君 次に、大蔵大臣お尋ねをいたし、ついで厚生大臣に質問を進めて参りたいと思うのでございますが、今日健康保険法の改正問題にからみまして、日本の医療制度の歴史上いまだ類例をみないところの社会的な混乱が巻き起ろうとしております。厚生省はいろいろこれに対して健康保険法を改正しなければならぬ理由を述べておりますけれども、問題は現在の鳩山内閣において公約に違反をいたしまして、厚生関係の費用というものを大幅に削減している、また縮減の方向に向っておる、こういうところに端を発しておると思うのでございます。日本の財政規模からいたしまして、昭和三十一年度予算案に盛られました厚生関係予算というものは、適正規模であると大蔵大臣はお考えでございますか。適正規模ではないけれども、財政上の理由かくかくのことで、かように考えているというふうなお立場でございますか。基本的な御見解を承わっておきたいと思います。
  112. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 現内閣がこの社会保障等、この厚生省予算について考慮を払っていないかのようなお言葉は、はなはだ私は当を得ないと思っているわけであります。この今回の予算におきましても、社会保障費は千百三十四億程度盛ってあるのでありまして、この規模についての考え方は二つあると思うのです。もしも日本の財政が許すならば、私は理想的な考え方意味において、これは社会保障費をふやすことがむろん私は適当である。これはしかしどちらかといえば、現実を若干離れた理想的な問題になり、今日の財政状態において、特にまた三十一年度予算において、千百三十四億は適正であるかどうかといえば、私としては最も適当であると、かように考えるのであります。
  113. 相馬助治

    ○相馬助治君 私の質問を反駁されて、大蔵大臣が元気のいいところを見せられましたが、もちろん予算を出した責任者である大蔵大臣としては、さような答弁のほかに道はないと思うのであります。私自身も日本の財政規模を考えまするがゆえに、きわめて謙虚な態度でもって御質問をいたしているのでございます。で、それならば私はもう一度そのことを尋ねなくてはなりません。  一月三十日の鳩山さんの施政方針演説を聞きますと、こう申しております。「政府は、特に今まで、社会保障の拡充強化と住宅の建設、減税の三つに力点を置いて参りました。」云々とこう述べられまして、「将来、全国民を包含する総合的な医療保障を達成することを目標として、計画を、進めていくつもりでございます。」云々と述べられております。現在健康保険に入っていない者が、これは三千万もありまして、むしろここに医療保障というものを進めていかなければならない段階でございます。その際に、この健康保険の財政上の理由をもってこの法律を改悪し、また多くの世論が二割程度のものは国費をもって出すべきである、しかもこれを法制化すべきであるという世論に対して、耳をかさない向きがあるように思うのでございますが、将来大蔵大臣としては、財政的な立場から、この医療保障の問題をどのように構想されておりますか。将来に属することですけれども一つ委員会を通じて国民に安心のいくような、鳩山内閣言うところの弱い者に味方するのが政治だという本質を、一つこの際明確にしていただけたら、国民の喜びだと思うので、質問しておきます。
  114. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) これは一つ私は考え方を具体的に申し上げますが、いろいろ御意見もあると思いますが、今回健康保険に財政補助を三十億円いたしたのでありますが、これは他の機会に御答弁申し上げましたように、この社会保障の確立を促進しろ、これは医療対策にもなるのですが、そういうふうな意味をもちまして、このこういう財政補助の制度をした、これは私意義のある——見解はこれはいろいろ問題がありましょうが、何といっても私は政府の社会保障に対する考え方を一歩前進させたことに間違いない、かように考えているわけであります。  しからば今後どういうふうにするかといういろいろな問題があります。やはり私は一方今日この税金がやはり重いという点も考慮し、他面において私は税金をどしどし取ってよろしいという、こういうことであれば、これはまた一つの行き方だと思うのですが、そうもいかない。ですから今はやはり財政のかね合いでありまして、日本のようなこういう戦争に負けた、敗戦の国でありますと、そう一挙に理想的な状況が出現するものではありません。これは実際問題としてやはり漸を追うていく、その漸を追う場合にできるだけ大切なこと、重点的なことからいかなければならぬということに帰するわけでありまして、今政府考えておることは漸を追うてやっていくことと、さように考えております。
  115. 相馬助治

    ○相馬助治君 答弁は必ずしも私を満足させるものではありませんが、まあこの予算を再軍備予算であるときめつけております私ども立場と、あなたたちの立場は根本的に食い違いもございまするので、これ以上この問題について理論的な論争をいたしません。ただ今の言葉のように一つ将来は十分考えていただたい、かように要請しておきます。  次に厚生大臣お尋ねしたいのですが、現在結核患者の問題が、大きく健康保険の財政上の問題等もからんで出ていると思うのです。すなわち結核患者の死亡率が新薬の使用によって非常に低下してきている、死亡率がですね。ところが結核患者そのものは減らない。長期にわたって入院をして、社会保障上の財政上の、言葉はおかしいが食いつぶしが多い、こういうふうに言われておるわけでして、この問題に関しましては厚生当局は将来結核だけは健保その他からはずして特別立法をして、財政的に特別な措置をすべきであるという一部の世論があるわけですが、基本的にはどのように現在お考えでございましょうか。
  116. 山下春江

    政府委員(山下春江君) 相馬先生の御質問の点に関しましては、結核の取扱いというものが健康保険の中にありますことは、非常に健康保険の運営を不健全にする要素になる、将来これをどうしようとするのか、あるいは単独立法でもこしらえて、これらの処置に当る気持があるかということであったようでございますが、健康保険の中にありますことは、御指摘のように非常に健康保険の財政を困難に陥れている要素になっておりますが、また一面健康保険の中にありますことが、非常に早期発見、早期治療という健康保険のよさのために結核患者が早く治療を受けるというような点から非常に利益も得ておりますが、しかしながらこのままでよいとは存じませんので、幸いにいたしまして、三十一年度になりますれば医療保障委員会というものを設けまして、抜本的にこの問題を検討をいたしたいと存じております。
  117. 相馬助治

    ○相馬助治君 厚生省国民病であると言われまする結核対策について、より積極的にその取り組むべき段階にきていると思うので、先の質問をしたわけです。もう少し私は具体的にこれを聞きたいのでございますが、最近発表された結核患者動態調査の結果を見ますると、医療を受けなければならないと認められた者が三百九十二万、そのうち医療を受けつつある者がわずか三六%、入院が必要と判定された者が百三十七万、入院した者がそのうち一七%にすぎないと、こう言われております。ところが一方二十二万八千の全国結核ベッドのうち、六万四千を占める国立療養所だけにおいても七千ベッドの空床を数えております。私はこれは実に重大であると考えております。で、このように空床があるではないかということを指摘いたしまするというと、大蔵大臣も聞いていて、これは結核患者の方については財源をもう少し削ってもいいじゃないかというようなことでも考えられると、これは大ごとなんですが、まさか大蔵大臣はそう考えないと思うので、私は事実を事実としてあげて尋ねておるのですが、なぜこういう食い違いができておるのですか、この空床の問題は。
  118. 山下春江

    政府委員(山下春江君) お答えをいたします。相馬先生御指摘のように、確かに国立療養所にただいま相当数の空床がございますが、この空床の問題につきましては(相馬助治君「幾らありますか、相当——私の調査では七千あるということになっております」と述ぶ)大体その程度考えております。正確なことは政府委員から答弁をさせます。その原因は病院、診療所それ自体の側の問題と、患者の側の問題と画面から考えられると思うのでありますが、病院、診療所それ自体の側の原因といたしましては、国立療養所あるいは国立病院というものが非常に立地条件が劣悪でございまして、しかも非常に古い建物等を転用いたしましたために、設備施設が非常に老朽化しておりまして、まことにコンディションが悪い上に、患者からいたしますれば、僻遠の地に入院いたしますことは、家族がつき添う問題、あるいはその他の病院に入院しておる患者をいろいろ家族がめんどうをみる等の関係から、あまり僻遠の地に入院することが困難であるというような事態がございますので、自然に入院をいたさなければならないにもかかわらず、病院へ行かないというような問題、あるいはこの結核患者は、御承知のように非常に長期の療養を要しますし、多額の費用を要しますために、入院をしなければならない病人が、そういったような条件のために、思うように入院ができないというような点が、入院の患者が相当多数いるにもかかわらず空床ができたというような原因になっていると思います。従いましてこういう状態を解消いたしますために、政府といたしましては、今後結核病床整備につきまして特に立地条件等を十分考慮いたしまして、著しい病床不足を来たしております地域に結核病院を建てるというようなこと、及び患者が入院できやすいように費用を軽減する等の措置を講じたいと思っております。それにつきまして昭和三十一年度からは、外科手術に伴い必要な入院をいたします場合に、結核予防法による公費負担の対象といたす方針を決定いたす所存でございます。
  119. 相馬助治

    ○相馬助治君 政府当局の答弁は、故意に問題の本質をそらしているように思うのです。患者が入院したいが、立地条件が病院の方が悪いので行かないなどという問題ではなくて、財政上の理由で行けない方が私は当っていると思うのです。結核予防法の公費負担の割合なんかも現行法ではどうにもならないし、審査の結果医学的にパスしても、予算の不足から不承認になるものが非常に多いのでございまして、私のところにある統計を見ますと、愛媛県のごときは、医学的には入院すべきであるというふうに認められながらも、現実に審査をパスしたものはわずか二一%、こういうような数字すら出ているので、それはおわかりの通りでございまして、この問題は国の公費負担率、国庫負担分を高めない限り、結核予防法の矛盾は私は解決しないと、こういうふうに感じておるのですが、これは政府事務当局からでけっこうですから、この問題については大蔵省本年度予算ではどのように要求しておるのですか、承わっておきたいと思います。
  120. 山口正義

    政府委員(山口正義君) お答えいたします。地方財政が困難な折りから、結核予防法による公費負担の予算化が十分行われ御ないというような状況でございます。ただいま相馬先生から御指摘のように地方、府県によりましては、実際の承認をいたします率が非常に低いところもあることは事実でございます。従いまして、その結核予防法による公費負担につきまして国庫補助率をもっと上げたいということは、私ども厚生省部内におきましても、一応そういう考えのもとに、財政当局とも折衝をいたしたわけでございます。具体的に申し上げますれば、現在国の負担率が地方に対して二分の一になっておりますのを、三分の二程度まで引き上げたいということは一応考えたのでございますが、三十一年度におきましては、諸般の情勢から一応現行通りに進みたいということになったわけでございます。
  121. 相馬助治

    ○相馬助治君 その非常に莫大な空床を埋める具体策を、ここで明示して下さい。
  122. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 先ほど相馬先生から御指摘になりました、現在結核病床に、ある程度の空床ができてきておるということは事実でございますが、これは先ほど山下政務次官からも申し上げましたように、検討いたしますと、その原因はいろんな面がございまして、先ほど政務次官からも申し上げましたように、現実にやはり地域的な問題がございまして、設備の問題等も関係して、患者が入床を希望しないという点も出てきております。そういう点につきましては、施設の改善、特に国立の療養所につきましては、予算を計上して施設の改善をはかるということを考えておるのでございます。また一面、経済的な理由によりまして、入りたくても入れないという人のあることは、先ほど政務次官からもお答え申し上げた通りであります。その点につきましては、手術に伴う入院費を公費負担の対象に加えるというような措置を講じて、できるだけ必要のある人間は入院させるようにやっていきたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
  123. 相馬助治

    ○相馬助治君 次に、文部大臣お尋ねをしたいと思うのですが、問題になっておりまする教育委員会につきましては、最初伝えられたような現行法の改正でなくて、全く別の法律をもって、現在の新しい教育行政を作るというお考えのようでございますが、このことは教育が不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任をもって行わるべきであるという現行法の精神とはまるで違うように思うのですが、まず文部大臣はどのようにお考えでございますか、これを一点承わりたいと思います。  次に八日の夜、全教委の代表に清瀬文相が会ったときに、世間が全く納得しないような回答をして、これが問題になったとわれわれは承知いたしております。あの懲罰案が否決になったことは、あなたのためには非常にけっこうなことでございまするが、しかし日本の文教府の長でありますあなたが、国会においてそういう失言の問題に端を発してあれこれされるというようなことは、日本の将来のためにもこれはうれしいことではございません。その点はまことに私も遺憾なことだと思っておりまするが、あの辺の経過はどうういうことなのでございますか、そうして現在文相はそれに対してどういうふうにお考えでございますか。  第三点は清瀬文相の企図する教育委員会法の改正について、神奈川、鳥取などの教育委員が総辞職をするというようなことが報ぜられておりまするが、これは全国的に伸びていく傾向を持っていると思うのです。ちょうど今定期異動の折りでございまして、こういうことが不可能となりまして、教育行政が麻痺状態になるとするならば、これは実にゆゆしい問題であると考えておりまするが、文相はこの問題に対してどのようにお考えになり、どのような手を打たれんとするものでございますか。
  124. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) 今ちょっと聞きそこねましたが、二番目のことは何でしょうか、国会での私の懲罰のことでしょうか。
  125. 相馬助治

    ○相馬助治君 先日全教委に非常におかしな回答をしたというのは、私は信じられないのですが、そのことはほんとうですかということと、今どう考えているかということです。懲罰がどうなったかは私も承知しておりますから。
  126. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) わかりました。今お問いの順序によってお答えいたします。教育委員会の改革ということは、私の所属の党内も、それから現在の自由民主党以前に属しておりました党におきましても、非常に研究したことでございます。わが国の教育は、終戦以来よくなった点は確かにあるのです。自発的の研究を進めて、昔の詰め込みでなくなったということはこれはよくなっておる。けれども、世の中にはやはり日本の教育制度についていろいろと問題がある、私どもも選挙区から選挙された代議士で、いろいろ各区内からの訴えがあります。そのうち学校教育自身のことと、教育行政のこととありまするが、教育行政は御承知通り、教育委員会、だんだん研究していきますると委員会内部のことじゃなくして、委員会と外との関係ということも問題になってきたのです。そこで今回の案は、委員会内部のことも改革をしましたが、委員会と外部ですね、一方では長ですね、それからもう一つは行政の上級といいますか、機関との関係、すなわち教育行政全体から見る必要が起りましたから、それで今回は教育委員会法とするよりも、教育行政の組織運営、こういうことで法律の名前は変えたのでございます。内容の大部分はやはり委員会のことに関係いたしております。不日御審議を願いたいと思っておるのです。  三番目のことは、教育委員会じゃなく、私の団体全国都道府県教育委員委員協議会というものがあるのですね、この人たちはこの決議自身にある通り、過去半才に至るまで、たびたび文部大臣に協議も勧告もしたが、これを無視しておると、こういう御不満があるのです。たしか八日と思いましたが、私面会はしませんです。私の方へお電話がありまして、多少酒気でも帯びておったのでしょうか、本来私懇意な人でありましたから、お互いに無礼講で話をしたわけなんですよ、それで私の態度を非常に非難されて、なぜ一体その選挙されたわが委員会のいうことを君はきかぬかと、諮問といっても諮問機関じゃありませんから、なぜいうことをきかぬかとおっしゃるから、いろいろ話のついでに、それは君の言うこともよく聞いておる、話は今まで全部聞いたじゃないか、しかし教育委員会を改正するという際に、今までの教育委員会の人のいうことばかりはこれは聞いちゃおれぬ、ほかの人のいうことも開かなければ公正な判断ができぬというときに、私がこの例にとったことがちょっと工合が悪かったのです。(笑声)それで取り消しましたです。ここで言うことはかえっていかぬと思います、印象を深くするといけませんから。そこで翌朝お目にかかったときに、昨日あったことであの例だけは君取り消す、(「それはどういうことですか」と呼ぶ者あり)こう言ったところが、向うは、君は不道徳な男だと言うからして、それは聞き捨てならぬ、不道徳とは何だ、一体道徳とはどういうことだ、私はたたみかけたところが、話しが非常にしらけましたから、それじゃあ君が僕に向って不道徳漢と育ったことは取り消せ、僕が君に向って例を取ったことは取り消す、両方相打ちで、なかったことにしようと、こういうことになったのです。これはそれがやはりこの決議にあって、新聞に発表されております。これは私の名誉が傷ついたのか、委員会の名誉が傷ついたのか、まことに遺憾なことでございます。  それからして第三のお問いの、これらの人が総辞職する情勢にあるとおっしゃいました。私はその情勢はないのじゃないか。これらの人は教育に非常に熱心な方々ですから、最後まで私は日本の教育には尽力して下さると期待しておるのであります。
  127. 相馬助治

    ○相馬助治君 だんだんのお話を聞くと、私個人としてはわかるのですが、(「個人としてもわからない」と呼ぶ者あり)しかしあなたが文部大臣という立場にあってそしてこの引例されたことは、囚人に云々ということはこれは非常に大へんなことなので、向うも不道徳漢と言うたことを取り消したから相打ちになったのだと、そんな気楽なことを言うておって私は済ませ得る問題ではないと、かように考えておるのですが、そうすると何ですか、これは清瀬文相の個人としてつい口がすべってこういうことを言うたので、こういうことは考えていなかったというのですか、つい本音が出たというのですか、どっちなんですか。
  128. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) あれは公けの電話でもない。向うも何か宴会の席からおかけになったようですが、それは親しい者の間の話しで、公けのことではございません。それからまた私の言ったのも甘い過ぎであります。
  129. 湯山勇

    ○湯山勇君 文部大臣は相手が酒気をおびておったと、それから今また宴会の席だというようなことを言われましたが、これは私は非常に重大な点だと思います。果してそうであったかどうかお確かめになったかどうか。それから向うはあなたを不徳義漢とか、不道徳漢とかと言ったということを具体的に言っておられる。大臣は一体、向うに対してどういうふうに言ったかということはおっしゃらない、ここでは。それは片手落ちです。ですから文部大臣は一体どういうふうに言ったか、この点も明確にしてもらいたい。  それからその次にもう一つあるのです。そこでその問題はその問題として、私的な団体だとか、あるいはいろいろおっしゃいましたけれども大臣はこの協議会の性質をよく御存じだろうと思います。単なる私的な寄り集りではないはずです。この都道府県教育委員会連絡協議会がどういう集まりかということを大臣が御認識になっておれば、年度末を控え、さらに来年度の発足を控えて、地方の教育の責任者である都道府県の教育委員会の連合会が、文部大臣を信頼しないということになれば一体どうなりますか。教育の行政はこのことによって混乱して参ります。総辞職云々は別としても、大臣の気持がそれらの人に伝わらなければ、批判は批判としても大臣を信頼しないということからは決して文教政策はうまくいかない。そこで大臣としては今のようにあいこだとか、これで帳消しだというのではなくて、この際、これに対処する何らかの方法を見出さなくては大へんなことになると思う。大臣は今非常にふまじめな御答弁をなさいましたけれども、もう少し真剣に考えなければ大へんだと思う。今後どうなさるのか、どういうふうにしてこの事態を解決しようとしておられるのか、そういう点についてももう少し責任ある御答弁を願いたいと思います。
  130. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) あのときの私とそれから先方との話はなかったにしようという約束なんです。それゆえに、その内容を私は申し上げることはできません。向うの方の方は言われておりまするけれども、男子が、男と男で(笑声)もう話はなかったことにしようというのを、そのときにこういうことは言うべきものじゃありません、(「委員長」「委員長」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)それからして、まだお問について答え中でございます。お聞きを願いたいと思います。  この団体は本名はこう言うのです。全国都道府県教育委員委員協議会、こういうものであります。これがこの法律できめたものじゃございませんから、ここへ諮問せいとおっしゃっても、諮問の仕方がない。中央教育委員会にはこれは諮問せいとおっしゃれば、時間があれば諮問すべきものと思う。けれどもこの会は諮問すべき会じゃないのです。しかしながらこの会の方がおいでになって、過去半年におきまして、私は十一月に就任したのですが、それまでの間にたびたび文部省においでになって、六回ぐらいと思いますが、それは一々よく聞いております。親切丁寧におっしゃることはみな聞いておるのです。その上に諮問を出せとおっしゃってもそんなことは私はすべきじゃないと思います。だけれども、あなた方のおっしゃることは聞くと言って、その晩はおそかったから、今から来るとおっしゃったけれども、来ないでここで電話をしたらどうだというような話であったのです。これは堂々と日本の参議院のこういう席で内容をばらして、もう一ぺん不快な話を繰り返すには及ばぬと私は思っておるのです。(「酒気は帯びておったかどうか」と呼ぶ者あり)
  131. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 関連質問。相馬君が大臣に伺っている点は、いやしくも一国の文部大臣とそれから地方教育の責任の立場にいるところの全国教育委員諸君との間に伝えられるようなことが起ったことは、非常に遺憾であるという立場から大臣の所信を承わっている。これに対して、私は当然この席においては、大臣は厳粛な立場をとってこの釈明が私はあるだろうと予想しておったところが、あなたに何らの反省がない。これが問題なんです。私は日本国の参議院のこの席において町のよた者が相打ちをするようなそういうことを開きたくない。それが問題なんです。そのお言葉が出てくるそのことを自体に、あなたの根本的な考え方が誤まっている、そこを相馬君はただしている。で、私はそれに対してもう一回あなたの所信を承わりたいのと、さらにそれに関連して承わりますが、あなは教育委員諸君が諮問せいと言っているということをおっしゃたが、それは間違いですよ。そんなことを言っているはずがないのです。教育協議会に対して諮問すべきでないから諮問しなかったというが、ところがあなたは何じゃないですか、諮問しなければならぬ教育委員会に諮問していないじゃないですか。これは一体何ということです。教育委員会に諮問したら、あなたの希望通りに公選制廃止ということが出てこないであろうという予想のもとに、当然諮問しなければならないこの重大な問題を中央教育委員会にあなたは諮問しなかった。そういう立場で言えば私は不道徳漢と申しません、しかし私は独善家と断言します。これは何と返す言葉があるか承わりましょう。  もう一点は、先ほど相馬君への答弁の中に、現在の自民党においてもあるいは自民党ができる前の改進党時代においてもこの教育委員会制度に云々という言葉がありましたが、一体今の教育委員会法に基いてすべての市町村に教育委員会義務設置さしたのはだれだったのですか、その教育委員会が発足するときに日本はどういうものがあったのですか、それを強引に押し切ってすべての市町村に強引に教育委員会を設置さしたのはどの党であったのですか、だれだったのでありますか、承わりましょう。ただ変節者というようなことで許されないと思います。ここは参議院です。厳粛な気持で答弁していただきたい。
  132. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) ただいま相当多岐にわたってのお問いでありましたが、第一の、当夜のことを友人と友人との間で話しをして、それじゃなかったことにしようと言った場合は、日本の慣行としては再び口にしない方が私はいいと思うのであります。  それからしてこの教育委員会法は、あなた御承知通り、わが国の国会は通過いたしました。だれが作ったものでもない、わが国の国会が成立さしたものであります。しかしながら、施行の結果において悪い影響があるならば、同じ国会が改正することはちっとも妨げないと、私はかように考えておるのであります。(「了解」と呼ぶ者あり)
  133. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 相馬君、時間がありませんから、少し急いで下さい。
  134. 相馬助治

    ○相馬助治君 私は一国の文教の長でありまする文部大臣の所見をお尋ねしたいのは、この地方教育委員会とかようなトラブルが起きたということ自体は残念であるという建前をとったために、質問をしたのであって、当夜何を申したのだということをあえて私も聞かなかったのは、そういう意味なのでございまして、この問題についてはきわめて遺憾でございまするから、ゆえに大臣としては十分これらの人の意見を今後とも聞かれることを私は特に要請しておきます。しかもまた本委員会における御答弁は、私は満足せしめるものではございません。  次に、時間もありませんので、尋ねたいのですが、今日大学卒業生の就職難というものが非常にひどうございまして、大きな問題になっております。これは大学の各科卒業生の数が、まず国家社会の需要とマッチしていないという点をも見のがすことができません。従いまして、各大学、各学科、各学部募集定員の定め方等についても、この際抜本的に一つ考えるべきではないかと私は考えております。経済上、社会上の失業問題もさることながら、文部当局としては、これらの各大学の連絡調整等についても、国土計画に即応するところの積極的な手をこの際打つべきであろうと、かように私は考えるのでございます。で、私がこの問題について次に問題にしたいのは、私は栃木県でございますが、栃木県の宇都宮国立大学の特に学芸学部の卒業生が、これは教員たらんとして志願した者が大部分でございますが、その就職率というものが非常に悪いのです。従って、非常に妙な空気がびまんいたしております。私はこれは非常に問題だと思うのですが、何か文部当局においては、この大学生の就職の問題について積極的に今からでも打たんとする手がございますか、同時に、大学の制度それ自身を近く発足が予想される臨時教育審議会に諮るとか聞いておりまするけれども、一体どういう問題を諮問するつもりですか、その中にはこういう募集定員等の問題も含めて諮問されるつもりですか、大賞問題について文相の根本的な見解を一つ承わっておきたいと思います。
  135. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) 大学の問題、またわが国の国土計画並びに産業の長期計画等に照らし合しまして、大学の問題はぜひもう少し根本的に改革しなければならぬと考えております。この点は、今承わった限り、あなたと全然同一考えであります。そこで今の制度は大学設置の基準があって、基準に相当したものを委員会にかけて、いいといったら許すのが当然で、そいつを急にだめだというアウトローリィのことはできないようになっておるらしいのです。そこでこの間に最後に決裁したものを寄せますと、日本の大学は四百九十八になります。このままにしてふえるものをほうっておくと、これは容易ならないのであります。それから国民が要求している職業に比例した卒業生が出つつあるか、問題でございます。それゆえに、これらは人の権利に関する重要なことでありまするから、今度臨時教育審議会ができましたら、一番にこれは御研究願いたい、かように思っております。それまでの間は、どうかして行政手続で卒業生はすみやかに適当に就職をされるように、労働省とも連絡をとりまして十分やっております。本年は去年より少し傾向はいいのじゃないかと、かように私は見ているのであります。ごく最近の、きのうきょうまでの統計は見ておりません。
  136. 相馬助治

    ○相馬助治君 次に、あと一点だけ文相にお尋ねしておきたいと思うのです。この間、朝日新聞の横山泰三氏描くところの政治漫画の中に、文化勲章を胸に釣った老人が便所のような所のかたわらにお立ちになっていて、そして今のうちに十分これを佩用しておるのだという意味の、まことに漫画としてはおもしろい、またねらいの正確なものが出ておりました。ごらんになったでしょうか。これは私は非常に、文化勲章の取扱いは、文化国家建設を呼号する日本としては軽々しくこれは廃止すべきではないと、実はあの漫画を見て私は暗たんたる気持で考えたのですが、一体今度の栄典法案の要綱を見ますと、文化勲章を廃止するといっておりますが、結局これは勲章一本にするということ自体の意味はわかりますが、将来政治的、経済的権力者なんかが全部勲章を独占して、じみな、いわゆる文化的な仕事に当っている方なんかには押し及ぼさない危険性があるのではないか。吉田内閣当時に、あの内閣がろくなことをやらなかったが、文化勲章を作ったということだけはなかなかうまいことを、しかもいいことをやったと私は考えていたわけなんです。これは一体、文相としてはどういうふうに考えておりますか。そして今までの受章者の方をどういうふうに取り扱うつもりでございますか。この問題について率直な御見解を承わっておきたいと思います。
  137. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) 文化勲章のことについても、私はあなたと同じ感想を持っております。これは栄典審議会からして答申が出まして、答申について閣議でも一度相談をいたしたことがあるのであります。大体はこのようにしようと、しかしながらこれは法律できまることであるから、党の意見を聞こうといって、自由民主党に相談をいたしております。相談がきまってから、それを参酌して最後の政府方針がきまるものと思います。私自身としては、あなたのおっしゃる通り、わが国は文化国家という方針をきめたのだから、やはり文化勲章は置く方がいいと私は考えておるのであります。しかしながら、これを必ず置くか、必ずそうきめるかという最後の決は、まだ政府としてはいたしておりません。
  138. 相馬助治

    ○相馬助治君 十三日の閣議であなたは文化勲章は置けと主張されたと、新聞が報じておる。しかし大かたの閣僚の意見に押されて、あなたはへなへなと腰が折れて、文化勲章をやめることに最終的に賛成されたと新聞は報じておる。それはそうすると、全くでたらめなことですか。それとも、そういう信念は変らないのだが、清瀬文相政治的無力をもって屈せざるを得なかったというのですか。どういうことですか。肝心なところは強腰で、またこういうことに関すると閣議でもがんばれないと、こういうことですか。もう少し内容を聞かせて下さい。
  139. 清瀬一郎

    国務大臣(清瀬一郎君) 政治的無力ということは、これもあなたのおっしゃる通りかと思います。(笑声)しかしながら、これは最後決定じゃないのです。党の意見を聞きまして、最後決定ができて、それから法律案にとりかかるのであります。私は今に至るまで、置く方がいいと考えております。
  140. 相馬助治

    ○相馬助治君 私の持ち時間は切れました。従って、私は外務大臣に質問を予定していたのですが、同僚亀田氏にすべてを譲って外務大臣に対する質問を放棄いたします。
  141. 亀田得治

    亀田得治君 全く時間がありませんので全部質問事項を申し上げます、一緒に……。  第一は、日ソ交渉、本日も第二十三回目が開かれるということなんですが、結局の見通しをどうつけておるか。ともかく世間の一般の批判は、もうほとんどだめだろう、こういう観測が非常に強いわけです。その点に対する一つ率直な外相の御見解を聞きたい。  それから第二は、明日ダレスが日本に参りますが、日本政府としてダレスとの会談において用意をしておる課題ですね、どういう点について重点を置いて考えておられるか、これが第二点。  それから第三点は、昨日韓国の金公使がこちらに帰りまして、その談話によりますと、日韓交渉の再開に対しては非常に熱意を持っておる意味の談話を発表しております。そうして場合によってはアメリカの仲介も歓迎する、こういうことを明確にしておるのですが、外務大臣の方では、これを受けて、そうして適当な方法で日韓交渉を軌道に乗せる、そういうお考えがあるかどうか。  以上三点。
  142. 重光葵

    国務大臣(重光葵君) お尋ねの外交の諸問題、三つの点についてお答え申し上げます。私も時間の関係上、なるべく簡潔にお答えいたします。  第三の点からお答えいたします。日韓交渉も金公使が帰って来てこういう話をしておるということでございます。その金公使の意見がどういう意見であるかということは、まだ的確には突きとめておりませんけれども、今申されたような一般的な問題については、私は全然同様に考えております。一般交渉をなるべく早く始めたい、米国もこの問題については非常に重要に考えておるのであるから、そのあっせんも十分得たいと、こういうことは同感でございます。  それから第二の問題は、ダレス長官が見えるから、どういう交渉をするか、こういうことでございます。日米間の交渉案件はすべて、ワシントンのわが外交機関を通じ、また東京において外務省を通じて、すべての問題を取り扱っております。従いまして、今回ダレス長官が参りましたときには、その取り扱っております従来の交渉案件について意見を交換をする機会があることを希望しております。もっともダレス長官はわずか一日、それも米国の在外公館の会議を東京で開くというので、これに列席するのが主たる目的でございます。そこで、すべての問題について十分に意見の交換をすることができるかどうか、まだ予定がつきません。しかしながら時間の許す限り、全局面の問題から意見の交換をして疎通をはかりたいと、こう考えております。それはどういう交渉の内容の用意があるかというお問いであるとするならば、それは私は今申し上げにくい。いろいろ従来両国間に話し合いを遂げておる問題特に私はダレス長官と話すのが適当と考える問題を取り上げて、すべて話をしてみたいと、こう考えておる次第でございます。  それから日ソ交渉がもう最終段階に来ているのじゃないか、その状況を述べろという第一の御質問のようでございました。日ソ交渉はここで申し上げたと思いますが、再開以来、従来まで決定していない問題について順次に交渉を進めて参りました。そして一番困難を予想される領土問題は、まずこれを初めから話をしてもという何でございましたのでしょう、双方ともそれは後に回しまして、その他の問題、これもなかなか重要な問題が多いのでございます。たとえば通商の問題とか、漁業の問題とか、あるいはまたさらには内政不干渉の問題とか、賠償を相互に放棄する問題であるとか等々の問題がございました。これらの問題につきましては、今日まで話し合いは、報告によりますと、大体において順調に参っております。そこで領土問題について妥協ができるならば、この問題も、日ソ交渉も円満に進み得るわけでございますが、領土問題に対するソ連の考え方は、従来の考え方と変更はないという大体の打診でございます。そうでありますから、領土問題に対する妥結が非常に困難になり、重要であるということは、今日申して差しつかえのない事態になりました。さてこれをどう取り扱うべきかということに相なりますけれども、まだこれは交渉続行中でございます。領土問題も十分にこれから論議をしてみなければならぬ順序になってきております。従いまして、わが方はわが方の主張があります。堅持する主張がございますから、その主張を堅持して一つ交渉を進めていきたい、こういう段階に相なっております。それ以上は将来の見通しになりますが、領土問題については双方の主張がなかなか妥結困難なような見通しであるということは、私は今日でもおおよそそういうふうに申して差しつかえのない事態だとは思いますが、しかし今後も最善を尽してこの領土問題に対する交渉も進捗させたい、こういうふうに考えておることを申し上げておきます。  以上三点でございます。
  143. 吉田萬次

    吉田萬次君 関連して……。
  144. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 簡単に。
  145. 吉田萬次

    吉田萬次君 ただいまの日韓問題についてでありまするが、昨夜の放送によりますと、久保田発言を取り消してもいいというようなことをお考えになっておるようにラジオは放送しておりましたが、もし久保田発言というものを取り消すということになると、邦人のいわゆる在韓資産二千数百億というものに対する影響がありますが、久保田発言に対してはどうお考えになりますか。
  146. 重光葵

    国務大臣(重光葵君) 日韓との間の交渉は、これは私はぜひ開始をして、そしてどういう——目的は要するに日韓関係を回復するということでございますが、しかし、どこまで行き得るかということも十分に一つ突きとめなければなりません。これはぜひやりたいと思います。そういう場合に久保田発言が、このことはまあ深く入りませんけれども、その発言があるから、どうしても日韓交渉など始めない、こういう先方の何であり、これさえ取り消してくれれば交渉を進めていこう、こういうことであるならば、私はこの内容のことは、むろんこれは交渉の題目でございますから交渉していかなければなりませんけれども、さような障害になっておる発言があると向うが主張するならば、こちらの予期したところとは違いますけれども、これは私はあっさり一つ出直そうじゃないか、こう言って差しつかえないじゃないか、こういう考えを持っております。もっとも昨夜のラジオ放送というのは私には少しも関係のないことでございますけれども、私は実は、そのくらいなことで一つ熱意を示して交渉を進めていきたいとは考えております。そういうことで御了承願います。
  147. 亀田得治

    亀田得治君 そうすれば、この第三の問題ですが、日韓交渉についてですね、韓国側よりあらためて直接に交渉再開の申し込みがある、あるいはダレス氏が来たときに若干仲介の労を取るということが、前後の事情からすると推測もされるわけですが、そういうことがありました場合には、日本政府としては、その条件といいますか、一つの障害になっておる久保田発言等は取り消して、そうしてこの交渉を始める、こういうふうに受け取っていいですね。
  148. 重光葵

    国務大臣(重光葵君) 今向うから交渉を再開しようじゃないかというようなことを言って参っておることは、まだ私は承知をいたしておりません。すなわち、それがどういう工合に発展するかということは、今ここで申し上げることはできないのであります。これは新聞情報等はありますが、その程度に御了承願いたいと思います。  そこで、その内容はそれならばどうするか。私は今申した通り、でき得るだけ障害になっておるものは除去して、先に進めていくような機運を作りたい、またそれで進めていきたい、こういう考えを持っておるから、それによって大体御了承願いたいと思います。
  149. 亀田得治

    亀田得治君 その点はその程度にしておきます。先ほどの日ソ交渉の点ですが、結局まあ領土問題で行き詰ってだめだろう、こういうふうに外務大臣も内容的にはおっしゃっておるわけです。従って、その点についてどちらかが意見を変えなければ、これは進まないわけですね。こちらの方も変える意思がない、こういうわけですから、まあ必然的な結果というものは、一種の停滞状態というものがこれはもう常識的にほとんど予測されておる。そういう場合に、これを決裂という状態で処理されるのか、あるいは決裂ではなく、一種の中断といいますか、そういう形で一つの冷却期間を置く、こういうふうな考え方をお持ちなんでしょうか。おそらく、この段階まできてるのですから、そういう方式については若干お考えになっておると思いますが、差しつかえない程度にお答え願いたいと思います。
  150. 重光葵

    国務大臣(重光葵君) この点については、ただいま御心配をいただく点は、全く私の心配するところであります。日ソ交渉をいたしまして、国交を正常化しようという大目的、この大目的に進んでおる際に、その交渉が決裂をするということは私はあくまで避けたい、こう考えております。少くとも日本側は、そういう態度ではございません。しかしながら、それかといって、先方の言うことを全部——全部と申しますか、先方の希望するだけに日本が譲って、そうして妥結をするということも、領土問題の今日までのところ、先方が非常に譲ってくれればこれは別でございます。また譲ってくれることを私は衷心より希望するのでございますが、今日までの情報等を総合してみると、これも容易ではございません。しかし、いかなる場合においても、わが方としては、たとえ主張は堅持して進んでいくといっても決裂というようなことはあくまで避けたい、こういうふうに考えます。それじゃどういうふうな手段があとに残るかということについては、これは一つうちの方におまかせをいただきたいと思います。
  151. 亀田得治

    亀田得治君 まあその程度にしておきます。
  152. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 以上をもちまして一般質疑は終了いたしました。従って、来る月曜日、十九日より分科会を開始いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後一時二十八分散会