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秋山長造君 私はこういうような重大な問題について、これは二大
政党主義の根本の建前であるところの共通の基盤に立っての話し合いということが全然無視されるようなやり方を、何を好きこのんでこの際
総理大臣が強行されようとするのか、その点、非常に疑問を持っているのです。昨日の夜、岸幹事長が記者団に語ったところによれば、
総理大臣は健康その他の
理由によって、この
国会が終了次第参議院選挙前にやめるかもしれぬ、引退するかもしれぬ、こういうことを言われておる。また三木武吉氏あるいは
河野農林大臣、こういうような自民党の幹部の方々も、しばしばあるいは十月引退、あるいは参議院選挙直後引退、あるいは四月引退、いろいろなことを言っておる。また昨今来の
総理大臣の御健康状態を見ておりましても、これはもうだれが
考えても、
総理大臣はそう長くおやりになる御意思はないものと思わざるを得ない。また客観情勢からいってそう長くお続けになれないというのが、もうこれは
通り相場です。自民党の者さえみずからもうすでにそういう判断に立って動いておられるのではないかと思う。従いまして、はなはだ申しにくい
言葉ではあるけれども、余命幾ばくもないところの
鳩山総理大臣が、その政治的生涯の最後に当って、こういうような
憲法問題にしても、小選挙区の問題にしても、
国会において根本的にひびを入れるような、こういう禍いを後世に残すような、禍根を後世に残すようなことに血道を上げられることは、決して最後を飾るゆえんではないと思う。私はそうではなくして、二大
政党が共通の立場に立ってざっくばらんに話し合い、協力できる問題は、他にあると思うのです。日ソ交渉にしてもそうです。あるいは対米外交にしてもそうです。中共との国交回復問題にしてもそうです。あるいは国内の社会保障制度の問題にしてもそうです。こういう目先きの問題、しかも最も重要な火のついている問題に、もう少し二大
政党主義のルールに立って渾身の努力を注がれることこそ、民主政治家、
立憲政治家
鳩山総理の最後を飾るゆえんではないかと思うのであります。そういうような
意味におきまして、私は時間の関係から、まず中共との国交回復の問題について端的にお伺いしたい。
総理大臣は、
鳩山内閣成立以来中国との国交調整というスローガンを掲げて来られた。そしてそれが
鳩山内閣が一時的に人気をあおった最も著明なるスローガンの
一つであった。そしてこの正月の鈴木
委員長との対談におきましても「中国はすぐ隣りなんですから、この国と親密な国交を持つことは当然なことだと思います。だから私は、何も周恩来に会うこと、毛沢東に会うことを回避しているわけではないので、むろんそういう必要がある場合においては出かけたいと思っております」、こう言っておられる。また重光外務大臣は一月四日別府航路の船の上で、この
昭和三十一年の抱負を語られまして、「東亜の大きな問題は二つの中国の存在で、これはことしの世界の最大の問題となろう。
日本も中国との地理的関係から
現実にこの問題に取り組まなければならない時期に来ておる」、こうおっしゃっておる。私は全面的にこれに賛成です。ぜひそのようにやっていただきたいと思う。ところが遺憾ながら、一たび
国会議場に御出席になりますと、
総理大臣の施政演説を聞いても、重光外務大臣の外交演説を聞きましても、まことに奥齒に物のはさまったような煮え切らない外交方針しか承わることができないのです。はなはだ私は遺憾に思う。そこでこういう抱負をお述べになった
総理大臣なり外務大臣なりが、
一体今後具体的にどういうように一歩々々この方針を進めておいきになるおつもりであるか、この点をまず第一点として
総理並びに外務大臣にお伺いしたい。
それからついでにもう一点お伺いしておきます。第二点は
一体、将来の問題は今
お尋ねした第一点、過去において
鳩山内閣第一次以来もう一年と四カ月になる。で、この過去一年四カ月の間に
一体あの中国との国交調整というスローガンのもとに何をおやりになってきたか、たとえばいつも問題になる経済外交、まず貿易からということをおっしゃるが、貿易ということになれば、やっぱりココムなりチンコムなりの禁輸品目の解除ということが問題になる。
一体ココムの禁輸品目は
鳩山内閣になって何種類解除になったんですか。また今後の見通しはどういうことになっておるのですか。アメリカあるいはイギリスでいろいろな説がなされておりますが、それらの詳細についてお承わりしたいと思います。
総理大臣からます。