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1956-02-24 第24回国会 参議院 予算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月二十四日(金曜日)    午前十一時十八分開会     ―――――――――――――    委員異動 二月二十日委員小野義夫君、田中啓一 君、井村徳二君、藤野繁雄君及び永岡 光治君辞任につき、その補欠として三 浦義男君、木島虎藏君、伊能芳雄君、 高橋衛君及び阿具根登君を議長におい て指名した。 二月二十一日委員高橋衛君、木島虎藏 君及び阿具根登辞任につき、その補 欠として田中啓一君、藤野繁雄君及び 相馬助治君を議長において指名した。 本日委員酒井利雄君、赤松常子君及び 山本經勝君辞任につき、その補欠とし て平林太一君、吉田法晴君及び竹中勝 男君を議長において指名した。     ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     西郷吉之助君    理事           池田宇右衞門君            堀  末治君            三浦 義男君            安井  謙君            秋山 長造君            吉田 法晴君            館  哲二君            豊田 雅孝君    委員            青木 一男君            秋山俊一郎君            伊能 芳雄君            川村 松助君            小滝  彬君            佐野  廣君            西岡 ハル君            野村吉三郎君            藤野 繁雄君            吉田 萬次君            戸叶  武君            羽生 三七君            中山 福藏君            千田  正君   政府委員    経済企画庁調整    部長      小山 雄二君    大蔵省主計局長 森永貞一郎君    大蔵省主税局長 渡邊喜久造君    大蔵省理財局長 河野 通一君   事務局側    常任委員会専門    員       正木 千冬君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選公聴会開会に関する件 ○昭和三十一年度一般会計予算内閣  送付予備審査) ○昭和三十一年度特別会計予算内閣  送付予備審査) ○昭和三十一年度政府関係機関予  算(内閣送付予備審査) ○派遣委員の報告     ―――――――――――――
  2. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) ただいまより予算委員会開会いたします。  まず、本日は委員異動について御報告いたします。  去る二十一日、阿具根登君、高橋衛君及び木島虎藏君がそれぞれ委員辞任され、補欠として相馬助治君、田中啓一君及び藤野繁雄君が選任されました。  また本日、赤松常子君、酒井利雄君、山本經勝君辞任され、吉田法晴君、平林太一君、竹中勝男君が選任せられました。  以上御報告申し上げます。     ―――――――――――――
  3. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 次に理事補欠互選についてお諮りいたします。  委員辞任によりまして理事の欠員がございまするが、この補欠互選につきましては、先例によりまして委員長において指名することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 御異議ないと認めまして、理事三浦義男君及び吉田法晴君を指名いたします。     ―――――――――――――
  5. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 次に公聴会のことについてお諮りいたします。本予算案公聴会を開くことになっておりまするので、公聴会の日取り並びに公述人選定等一切のことにつきましては、委員長並びに理事に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) ではさように決定いたします。     ―――――――――――――
  7. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) つきましては、先般本予算案につきまして大蔵大臣より提案理由説明を求めましたが、政府委員補足説明が残っておりますので、順次説明をいたさせます。
  8. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 先般行われました大蔵大臣の説明の補足といたしまして、「昭和三十一年度予算の説明」というパンフレットがお配りしてございます。詳細な補足はこの資料にゆだねることにいたしまして、簡単に若干の点につきまして補足して申し上げたいと存じます。  実は御承知の通り、この本予算の提出後、三十年度の予算につきまして補正が行われたわけでございます。その結果、この三十一年度予算の説明中の前年度の数字に若干異同がございまして、目下その異同を調整いたしました説明の改訂版を作製いたしております。本日に間に合せたいと存じておりましたが、間に合いませんで、はなはだ恐縮でございます。従いまして、古い資料で御説明申し上げることになりまして、いろいろ御不便の点も少くないかと存じますが、その点はあらかじめ御了承をお願い申し上げたいと存じます。  この資料は総説、一般会計特別会計政府関係機関の四部からなっておりますが、総説につきましては、大蔵大臣の本会議並びに本委員会における説明に尽きておりますので、省略をさせていただきます。ただ、一、二の数字を特にお目をとめていただくとしますれば、二ページの予算の規模でございます。三十一年度の予算一般会計一兆三百四十九億でございまして、国民所得に対しまして一四・八%、三十年度は当初予算ではやはり一四・八%でございましたが、補正の関係で一兆百三十三億になりますと、国民所得に対する割合は一五・二%、それに対しまして三十一年度はわずかに割合が低下をいたしたということになるわけでございます。  財政金融一体化の観点から来年度は民間資金の活用ということを予算編成方針にうたっておるわけでございますが、その民間資金の活用を合せました財政規模がどうなるか、二ページの下の方にございますが、一般会計一兆三百四十九億、一般会計以外の財政投融資が二千五百七十二億、民間資金の活用千三百九十七億、合計一兆四千三百十八億でございまして、国民所得に対しまして二〇・五%ということに相なります。三十年度は補正前でございますと一九・七%でございましたが、補正後は一般会計がふくれまして、その結果、この割合も二〇・一%ということになるわけでございます。それに比べましてもごくわずかに三十一年度は膨脹をいたしておるということに相なるわけでございます。  次は、一般会計歳入歳出重要事項別内訳が五ページにございます。この表の三十年度は、ただいま申し上げましたように、補正の関係で相当調整を要しまして、これは一々申し上げますと、繁雑になりますので、いずれ刷り直したものを差し上げますから、それで御覧いただきたいと思いますが、ただ一つ申し上げますと、この十九番の公共事業関係費、ここにカッコをいたした数字が入っております。すなわち三十一年度はカッコのない数字が千四百十九億で、カッコのある数字が千五百、十八億、このカッコのある数字の注が抜けておりましたので申し上げたいと存じますが、これは失業対策費の中に含めておりまする特別失業対策事業及び臨時就労対策事業費を含めた金額でございます。そのことだけを付け加えておきたいと思います。  特別会計につきまして、その次の六ページに歳入歳出一覧表がございます。この内容を一々申し上げることは省略いたしますが、特別会計の数は全部で三十七でございます。来年度新たに設けますものが二つございます。この二つと申しますのは、賠償等特殊債務処理特別会計、それから特定物資納付金処理特別会計、この二つが新たに加わっております。なお特殊物資納付金処理特別会計、これは三十年度において予算は成立いたしましたが、関係法令審議未了のために、先般の補正の際にこれを削ることといたしまして御承認をいただいたわけでございます。特別会計の中の主なものにつきましては、後ほど申し上げます。  政府関係機関についても、八ページに収入支出一覧表がございます。政府関係機関の数は十でございます。ここでも一つふえましたのは、北海道開発公庫、この分が三十一年度追加になったわけでございます。  財政投融資資金計画、八ページ、九ページにございますが、原資並びに運用とも二千五百九十二億でございますが、これにつきましては理財局長から説明をいたすことになっておりますので、省略をいたします。  次は、一般会計の歳出の重要事項につきまして、順次申し上げて参りたいと思います。  生活保護費三百六十二億でございます。前年度の当初予算に比べますと十四億四千四百万円の増加でございましたが、先般補正によりまして前年度の予算が増額になりましたので、補正後の予算に比べますと九億一千二百万円の減少ということに相なっております。ただし、この前年度の数字の中には二十九年度の不足補てんの数字がはいっておりますので、その点を考慮いたしますれば、わずかの増加ということに相なっております。この生活保護費の積算の基礎になりまする保護人員でございますが、三十年度予算に対しまして二・五%の増加を見込んでおります。三十年度までは対前年度五%の増加を見ておりましたが、最近の実績等にかんがみまして、二・五%の増加を見込んで予算を積算いたしております。  児童保護その他社会福祉費七十五億九千五百万円でございまして、前年度に対しまして八千九百万円の増加でございますが、この点につきましても前年度の数字が補正で動きまして、若干減少いたしました。その補正後の数字に比べますと、来年度は一億五千万円の増加ということになっております。さらに、三十年度の数字が二十九年度の不足補てんがはいっておりますので、その点をあわせて考えますと、さらに増加いたしておるということに相なります。積算の根拠といたしましては、施設の増加に伴う保護人員増加並びに食費等の単価の引き上げを見ております。  その次の遺族及び留守家族等援護費四十九億五千八百万円。三億五千二百万円の増加でございます。この増加は、昨年法律が通りました軍人遺族恩給ベースアップに伴う遺族年金留守家族手当等の増額が主たる原因でございます。他方において失権等による減少がございますが、それを差し引きまして三億五千三百万円の増加になっております。  社会保険費百六十億六千九百万円。三十年度の当初予算に対しましては三十六億八千百万円の増加、補正後に対しましても三十八億四千九百万円の増加ということに相なっております。この増加の理由は、二つございます。一つは、政府管掌健康保険に対する繰り入れ三十億でございます。御承知のように、一昨年度来政府管掌健康保険に赤字が起っておりまして、その対策が問題になっておりましたが、来年度におきましてはその根本的対策を立てることにし、被保険者の一部負担、標準報酬月額引き上げ薬価対策等とともに、国におきましても三十億円を繰り入れることといたしておるわけでございます。他方におきまして昨年きまっておりました借入金返済の財源のための十億ずつの繰り入れは本年度は借入金の返済を延期することといたしまして繰り入れをいたしておりません。従って差引この関係で二十億円の増加ということに相なるわけでございます。もう一つの増加の要因は国民健康保険の関係でございます。国民健康保険のすみやかな普及をはかることといたしまして、被保険者数を三千万人と予定いたし、また事務費等につきましても単価の引き上げをいたしております。この関係で約十五億の増加となっております。  次は、失業対策費三百五十一億六千七百万円でございまして、六十二億八千三百万円の増加になっております。増加いたしましたのは失業対策事業費補助が二十三億六千万、臨時就労対策事業費六十九億円、この臨時就労対策事業費と申しますのは、公共事業の中で特に失業者の吸収に適する道路事業を選びまして、公共事業としての能率をあげると同時に、失業者の吸収にも重きをおいて事業の運営をしようという新たな項目でございまして、六十九億を計上いたしております。この失業対策事業費補助臨時就労対策事業費と合せまして三十一年度の失業者吸収人員一般失業対策が二十万八千人、特別失業対策が二万人、臨時就労対策が二万人、合計二十四が八千人、前年度より約三万人の増加ということに相なっております。失業保険費におきましては三十億円の減少になっておりますが、これは最近における給付費の実績にかんがみまして事務的に計算いたしました減少額を計上いたしております。  次は、結核対策費でございます。百二十三億六千六百万円で三億七千百万円の増加でございます。この項目の中で特に重点をおきましたのは健康診断予防接種等予防対策の強化でございます。また結核医療費公費負担の対象を拡張いたしまして、社会保険の恩恵に浴さない患者につきましても外科手術に伴う入院料公費負担の対象といたしております。また国立結核療養所看護体制の強化をはかっております。  次は、義務教育費国庫負担金でございます。七百六十九億九千万、前年度当初予算に比べますと三十二億五千万円の増加でございます。この点につきましても補正が行われまして、前年度予算増加いたしましたが、その補正後に比べましても八億一千万円の増加になっております。この増加の主たる理由は、三十一年度における児童生徒増加に伴う教職員の増加並びに昨年末行われました期末手当の増額、昇給原資等それらの要因によるものでございます。  国立学校運営費は三百三十三億八千二百万でございまして、二十五億二千万当初予算に比べて増加いたしております。補正後に対しましても二十四億余り増加いたしております。増加の主たる理由は、人件費自然増もございますが、教官研究費原子核研究所等施設整備費等には特に力を入れております。  次は、文教施設費八十億六千五百万でございまして、前年度当初予算に比較しますと三億九千五百万減少いたしておりまして、この減少は昨年度災害が少かったことによる災害復旧費関係の減少でございます。もっとも三十年度予算の補正の結果、前年度額が八十億九千八百力ということになりましたので、ほぼ剛年度と同額という結果に相なっております。  育英事業費四十二億百万円、ほぼ前年度と同額でございます。ただし育英貸付金の回収がだんだんふえて参りまして、その分を新たな貸付に回すことによりまして約二億円実質的に育英資金貸付額を増額し得る計画に相なっております。その増額いたしました資金をもちまして育英制度の内容の充実に努めておる次第でございます。  科学技術振興費百十四億四千六百万円、当初予算に比べますと三十億九千七百万円の増加でございます。補正後に比べまして二十九億四千五百万円の増加でございます。増加いたしましたのは、一番顕著なのは原子力の平和利用関係の経費あるいはまた南極探険の経費、国際地球観測年経費等でございますが、その他各省、各庁にわたりまして科学技術振興につきましては極力その充実存期しておる次第でございます。  国債費三百八十五億三千万円でございます。当初予算に比べて四十八億二千七百万円の減少でございます。補正によりまして三十年度の額がさらに増加いたしましたので、補正後に比べますと五十六億九千百万円の減少ということに相なります。この経費は国債償還利払いと両方に分れておりますが、償還の方は財政法の規定による二十九年度決算上の剰余金の半額を償還に充てております。利払いにつきましては国債の現在額に即しまして機械的に出て参りまする金額を計上いたしております。  文官等恩給費百七十二億九千八百万円、八億九千八百万円の増加でございます。この増加退官退職見込みによる自然増的なもののほかに、昭和二十三年六月三十日以前に退職いたしました者のいわゆる不均衡是正のための経費といたしまして三億円を計上いたしております。  次は、旧軍人遺族等恩給費七百二十六億二千九百万円でございまして、当物予算に比べて五十六億九千三百万、この経費も補正で十七億増額に相なりましたので、補正後に比べますと三十九億千九百万の増加に相なっております。この増加の内訳といたしましては、一番大きな原因は、昨年行われましたいわゆるベースアップによるもの、でございますが、そのほかに受給人員見込みの修正による増加も加わっております。他方において既定計画に基く年金及び一時金の減少がございまして、差引この金額に相なっております。  地方交付税交付金千六百二十七億九千八百万円でございまして、当初予算に比べて二百五十三億九千五百万、これも補正で百八十億九千万増額に触りましたが、その補正後に比べますと七十三億五百万円の増加に相なっております。この増加所得税法人税、酒税の自然増もございますが、最も大きい理由は従来の交付税率百分の二十二を百分の二十五にいたしたことによるものでございます。すなわち地方財政につきましてはその再建をはかるためいろいろ施策をいたしておるわけでございます。まず歳出面におきまして地方行政機構合理化を中心とした地方自治法の改正を行い、また教育委員会公選制廃止等を予定いたしまして歳出の削減をはかっております。さらにまた公共事業国庫補助率引上げ、またその他補助金の整理、合理化等を実施いたしまして、地方団体財政負担を軽減する措置を講じております。さらに歳入面におきましては、国鉄、電々、専売いわゆる三公社に対する固定資産税の課税、これはもっとも課税という形式をとらないで固定資産税の課税にかわる納付金というような形式にいたしておりますが、実質的には固定資産税の課税あるいは軽油引取税の新設、都市計画税の創設、さらに国及び地方団体所有資産に対する固定資産税の課税にかわる交付金制度の創設、そういったいろいろな措置を講じまして、実質的財源の充実もはかっております。さらにまた公債費の累増に上る地方財政負担の緩和の一助といたしまして、三十一年度に償還期の到来する地方債につきまして一部の借りかえを予定いたしております。また地方相互間の財源調整の観点から入場譲与税配分方法の改訂も予定いたしております。こういういろいろな方策を講じました後に、なお生じまする財源の不足額補てん策として、先ほど申し上げましたように交付税率二二%を二五%に引上げた次第でございまして、その結果、増額に相なったわけでございます。  それから防衛支出金四百五億六千五百万でございまして、五十三億九千九百万の減少に相なっております。その内訳は次のページにございますが、合衆国交付金におきまして三百億、前年に対し八十億の減少でございます。施設提供等諸費九十九億五千五百万でございまして二十五億八千百万円の増加でございます。軍事顧問団経費六億一千万でございまして、二千万円の増加でございます。この施設提供等諸費増加軍事顧問団経費増額合せて二十六億百万の増加でございますが、そのほかに次の防衛庁経費千二億、ここで百三十三億九千九百万円増加しておるわけでございまして、この増加いたしました三つの項目の増加額合計額百六十億の二分の一に相当する額を合衆国交付金から減額をいたしたわけでございまして、その結果三百億円ということに相なります。  防衛庁経費は、ただいま申し上げましたように千二億でございまして、百三十三億九千九百、力の増加になっておりますが、その増加の基本になりました防衛計画を申し上げますと、陸上におきましては制服職員を一万人、一般職員を三百六十二人増加いたしまして、一混成団及び三特科大隊の新設を予定いたしております。海上関係艦船建造七隻、航空機の購入四機を計画いたしておりまして、このほかに米から艦船三十隻、航空機三十機の供与を受ける前提のもとに、人員では制服職員三千三百二十五人、一般職員三百四十八人を増加いたしております。航空関係は、航空団を一つ増設いたします。また操縦教育充実等をはかることといたしておりまして、これに関連して米国からの飛行機の供与を受けますものを百十一機、日本側の調達百二十機を予定いたしております。これを基礎といたしまして、人員の面では制服職員四千八十八人、一般職員七百七人を増加いたしております。官房、統幕会議等の若干の人員の増加もございますが、千二億円の予算額のほかに国庫債務負担行為として百四十二億八千二百万、継続費として二十七億千八百万円を計上いたしております。国庫債務負担行為の内訳は、装備品購入四億九千百万円、航空機購入九十九億四千七百万円、施設整備十四億百万円、艦船建造二十四億四千三百万円、かような内訳になっております。継続費潜水艦の建造のためのものでございまして、三カ年にわたる計画に相なっております。  次は、賠償等特殊債務処理費百億円でございます。前年度当初予算と同韻でございますが、前任、度予算は補正の結果七十億に減額されまして、この百億円は来年度新たに設けられます賠償等特殊債務処理特別会計にこれを受入れる予定でございます。この特別会計におきましては、従来二十九年度、三十年度との同系統の経費の不用額繰越見込額を受入れまして、会計二百二十億の収入、これをもって今後の外交交渉の進展に備えている次第でございます。  次は、公共事業関係費でございます。この点の説明は、非常に長くなっておりまして恐縮でございますが、極く要点だけを申し上げることといたします。計上額は千四百十九億四千三百万円、特別失業対策並びに臨時就労対策事業費を含めますと千五百十八億四千三百万円ということに相なっております。今年は公共事業の対象を若干広げております。すなわち新規の事業として工業用水道事業を加えまして、さらにまた空港整備事業も加えることにいたしました。さらに経済企画庁国土総合開発事業調整費を新たに計上することといたしまして、国土総合開発事業の実施の円滑を期しております。この公共事業費につきましても、三十年度の予算につきまして補正が行われたわけでございます。二十ページの合計の欄に前年度の数字が出ておりますが、カッコのない数字は千四百六十六億二千五百万でございまして、この数字は補正の結果千四百十億六百万と変りました。またカッコのある数字が、当初予算は千五百一億千五百万でございましたが、補正の結果千四百四十四億九千六百万円と変りました。従いまして対前年度の比較も、カッコのない数字で申し上げますと、九億三千六百万円の増加カッコのある数字で申し上げますと七十三億四千六百万円の増加ということに相なっております。補正後の数字を一々申し上げますと頓雑でございますので、その点はいずれ刷り直した後でごらんいただくことといたしまして、補正前の比較で申し上げますと、各事業種目別に申し上げますと、治山治水事業費は八億五千七百万円の減少でございます。道路整備事業費は八十四億一千万円の増加でございます。港湾漁港等整備事業費は七億四千二百万の増加でございます。食糧増産対策事業費は一億五千八百万円の増加でございます。災害復旧事業費は七十一億七千四百万円の減少でございます。鉱害復旧事業では五千三百万円の減少でございます。国土総合開発事業では五億円の増加でございます。すなわちこれを大観いたしますと、災害復旧費で大きく減少いたしまして、道路整備事業費で大きく増加いたしておる。この道路整備事業費増加揮発油税収入額道路整備事業に充てるという特別法の関係からくるものでございまして、そのうちの一部を先ほど申し上げました特別失業対策事業に活用しようというような構想に相なっております。そのほかの事業の費目につきましては増減さまざまでございますが、まあ大体において前年度の規模とそう大きくは変っていないわけでございます。  この総額の公共事業費予算を積算するに当りましてとりました基本方針でございますが、すでに引き続きまして総花性の排除を重点として施行するということに重きを置いたことはもちろんでございます。そのほかに特に三十一年度は先ほど申し上げました地方財政対策の一環といたしまして、全般的に補助率の引き上げを行いまするほか、事業量の調整を行いまして地方財政負担の軽減をはかっておるわけでございます。その結果、公共事業事業量の総量といたしましては当初予算に比較いたしますと若干の減少にならざるを得なかったのでございますが、他面道路公団の新設による有料道路整備事業の拡充、また昨年来行なっておりまする愛知用水公団、農地開発機械公団等の事業の促進、農林漁業関係事業費の増大がございますので、それらの点をあわせて考えました総事業量は必ずしも前年度より減少いたしていないのでございます。これらの政府機関ないしは準政府機関による事業量を含めました公共事業ないしは準公共事業による雇用量も前年度より減少いたしていないことを一言つけ加えて申し上げておきたいと存じます。  公共事業につきましての詳細は後の説明に譲りまして、次は住宅対策費でございます。百三億四千七百万円でございまして、当初予算に比し六十九億九千九百万円の減少に相なっております。この減少いたしましたのは主としては住宅公団並びに住宅金融公庫に対する出資の減少でございます。この出資にかわりまして他の財政資金でもって出資または融資をいたしておるわけでございまして、一般会計予算面こそ金額は減少いたしましたが、住宅対策費につきましてはむしろ前年度よりも発案されております。すなわち二十九ベージの表でごらんいただきますと、表の下から五段目くらいに小計という欄がございまして、そこに資金の合計が出ております。前年度は四百六十七億六千百万円、これは当初予算の数字でございますが、補正で若干減少いたしまして四百六十三億七千万円に触ります。それに対しまして三十一年度は五百十二億八千三百万円でございます。すなわち補正前に比べましても約四十五億、補正後に比べますと四十九億の増加に相なっておるわけでございます。建設の戸数は三十年度は政府資金によるものが十四万七千戸、もっともこれも補正で約二千戸が翌年度に送られることになりまして、十四万五千戸ということになりますが、それに対しまして三十一年度は十四万九千戸ということに相なっております。その他の住宅建築を合せまして三十一年度の住宅建設計画は四十三万二千戸ということに相なっている次第でございます。  出資及び投資は一般会計から落としまして他の財政投融資にゆだねておりますのでゼロでございます。  農業保険費百十一億六千百万円、補正前に比べまして三十四億一千八百万円の減少、補正後に比べましても六億一千八百万円の減少ということに相なっておりまして、この減少は昨年豊作でございましたために一般会計からの繰り入れが減少いたすその当然減少の要因に基くものが大部分でございます。補正の際の減少も同じような原因に基くものでございます。  外航船舶建造融資利子補給三十一億三千二百万、三億七千三百万円の減少でございます。補正後に比べますと二億四千七百万円の減少でございます。この減少は一般市中金利の低下に伴うものでございます。なお、新規の造船計画は二十二万トンを予定いたしておりまして、これに対する利子補給は従来の利子補給率の二分の一といたしております。  歳入でございます。歳入のうち租税及び印紙収入につきましては主税局長の説明に譲りまして一切省略をいたします。  専売納付金、三十二ページでございます。当初予算に比べまして四十七億七千六百万円を減じました千百二十四億が計上してございます。もっとも三十年度も補正減額をいたしましたので、補正減後に比べますと二億五百万、わずかに増加ということに相なっております。御承知のようにピース、光等の上級たばこの売れ行きが不振でございまして、三十年度も補正減を余儀なくされたのでございますが、来年度におきましては、品種の新設、価格体系の整備等あらゆる努力を加えることにいたしまして、三十年度の当初予算と同程度の益金を上げる目標のもとに三十一年度の予算を計上いたしております。ただたばこ消費税が三十一年度から増額いたしますので、その増額分だけが三十年度の当初予算に対する減少ということに相なっておりまして四十七億七千六百万円を減じた次第でございます。  官業益金及び官業収入直三十六億一千九百万円でございまして、補正前に比べて十四億千三百万、補正後に比べましても約十億の増加でございます。この増加の主なるものは官業収入の中の大学付属病院等の収入の増加でございます。  政府資産整理収入七十七億二千二百万円でございます。補任前の前年度に比べますと五億七千六百方の増加でございますが、補正で八十二億五千百万円ということに相なりました。それに比べますと来年度は五億二千九百万円の減少ということに相なります。この中で特に減少いたしておりますのは国有財産売払収入でございます。他方回収金収入におきましては若干の増加と相なっております。  雑収入でございます。三百六十億八千六百万円、当初予算に比較いたしますと二十九億四百万円の減少、補正後は三十年度が四百八十三億と約九十億も増加いたしましたので、これに比較しますと百二十二億の減少ということに相なります。減少の主たる理由は日銀納付金でございます。金融の正常化に伴いまして日銀の貸し出しが減少いたしましたために、日銀の収益が減少いたしまして、そのために納付金が減少いたしましたのが最も大きな原因でございます。その他の理由といたしましては、補正の際に、特殊物資差益の納付金であるとか、あるいはタイ特別円に関連した日銀からの返償金であるとか、さような臨時的な収入が補正に追加されたのでございますが、これは一年限りの収入でございますので、来年度といたしましては大幅に減少せざるを得ないわけでございます。  前年度剰余金は二十九年度の決算上の剰余金をそのまま計上いたしております。  次は、特別会計でございますが、交付税及び譲与税配付金特別会計一般会計からの交付税を受け入れまして地方に配付いたしまするほかに、入場税と地方道路税を地方に譲与する機能をもっております。一言申し上げておきたいことは入場税でございます。前年度に引き続きまして三十一年度も入場税収入の全額を地方に譲与することといたしました。百六十二億を計上いたしておるわけでございます。  次に、資金運用部特別会計、産業投資特別会計、余剰農産物資金融通特別会計につきましては、財政投融資の際の説明に譲りまして省略いたします。  賠償等特殊債務処理特別会計につきましては先ほども申し上げましたが、一般会計からの受け入れ百億円のほか、二十九年度、三十年度の同系統の予算剰余金を百二十億受け入れまして二百二十億を歳入とし、これに対する歳出といたしましては、対外債務の支払いの確実度に従いまして百五十億円を賠償等特殊債務処理費、七十億円を予備費に計上いたしております。  厚生保険特別会計、それから船員保険特別会計につきましては、先ほど社会保険費の際に申し上げましたので省略をいたします。  次は、食糧管理特別会計でございます。これにつきましては、まず食糧管理制度につきましては、その急変を避けまして、差し当り普通外米の消費規制をはずすということを考えておりまするほかは、大体従前通り、すなわち米の集荷につきましては三十年度と同じく事前売渡申込制度を継続する、さような大前提の下に予算を編成いたしております。米麦の取扱い数量でございますが、米につきましては平年度作程度を考えまして、当年産米二千三百五十万石を考えております。また麦につきましては前年買入れ実績とほぼ同程度の数量を考えて侮ります。テンサイ糖、輸入飼料、澱粉、カンショ、菜種等につきましても従来通りの取扱いをいたしております。ただ一つ申し上げたいことは砂糖の問題でございます。砂糖の輸入差益につきましては、三十年度以来いろいろ問題がございましたが、三十一年度以降は砂糖輸入関税の引き上げによって輸入差益を吸収することといたしまして、糖価の安定につきましては別途関係業界の自主的調整措置を期待いたしております。しかしその自主的調整措置でもなお糖価の安定が得られないときは、この食糧管理特別会計におきまして、所量の売買を行い得る道を開いております。この点が取扱い品目で従来に加わった点でございます。米麦の買い入れ価格でございますが、これは三十年度の米麦の買い入れ価格の算定に準拠した方式によりまして、ただ農業パリティ指数のその後の変化を織り込んで予算上の米麦価を計算いたしております。すなわち米につきましては石当り九千九百六十円、以下省略をいたしますが、そういうパリティの推移を織り込んだ予算米麦価をもって予算を積算をいたしております。消費者価格は、米につきましては据え置きでございます。麦価につきましては昨年七月にきまりました価格を基準といたしまして、その後の実勢を考慮して改訂を予定して予算上の消費者麦価を計算いたしております。  次は、開拓者、国有林野、糸価安定等につきましては省略いたしまして、四十二ページの輸出保険特別会計でございます。この会計で新たなる計画といたしまして、海外投資の活発化をはかるために海外投資保険制度を新設をいたしておりまするが、そのほかに現行制度につきましても海外建設事業の請負代金及び技術の対価に輸出代金保険を拡張いたしまして、輸出の振興に寄与することを期しておるわけでございます。  それから特定物資納付金処理特別会計、これは新設でございまして、三十年度予算は成立いたしましたが、関係法案の不成立のため補正で削除していただきました特殊物資納付金にかかる新会計でございまして、取扱い品目といたしましてはバナナ、パイナップルのカン詰、時計、スジコ等の輸入利益の大きい物資を対象といたしておりまして、吸い上げます収益は十六億円を計上いたしております。  それから郵政事業特別会計でございますが、この会計に関連して一、二申し上げますと、郵便貯金の増加目標は九百九十億円でございます。また郵便局舎緊急改善八カ年計画の第二年度に当りますの、で、局舎その他の建設費は四十三億円を計上いたしております。  簡易保険、これも財政投資の際の説明にゆだねまして、最後に特定道路整備事業特別会計でございます。この会計は新しく設けられる予定の道路公団にその事業を引き継ぐわけでございますが、その引き継ぎまするまでの間の期間における特別会計予算を計上いたしておるわけでございまして、一、二カ月の後には道路公団にこの事業の引き継ぎを予定いたしております。  政府関係機関でございます。専売公社につきましては、先ほど簡単に納付金のことを申し上げましたので省略いたします。  日本国有鉄道でございますが、建設勘定の規模だけを申し上げます。四十六ページにございますように五百八十三億七千百万、前年度は五百二十六億でございまして、五、六十億の増加に相なっております。その内訳は新線建設費五十五億、通勤輸送五十七億三千万、幹線輸送二十六億、幹線電化八十億、この辺に最も力を入れております。交流電化二億五千万円、車両増備二十二億七千五百万円、取りかえおよび諸改良二百八十億三千二百万円、その他五十九億四千万、かような内訳に相なっております。この財源といたしましては損益勘定から受け入れまするもののほかに、借入金として五十五億、公募鉄道債券として二百四十億円、これがおもなものに相なっております。  日本電信電話公社につきましても建設勘定の規模だけを申し上げますと、四十七ページにございますように五百五十五億九百万、前年度は五百十三億四千八百万円でございます。その資金源といたしましては減価償却その他損益勘定より受け入れまするもののほか、電信電話債券といたしましては百四十億円、うち公募が八十五億円、五十五億円は受益者引受分、さような内訳に相なっております。  国民金融公庫、住宅金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫につきましては財政投資の説明のときに譲ります。  北海道開発公庫、これは新しく政府機関として発足を予定いたしておるものですが、その資金計画は合計八十億円でございまして、内訳といたしましては産特からの出資十億円、資金運用部からの借り入れ三十億円、北海道開発債券の発行四十億円、かような内訳に相なっております。  開銀、輸銀につきましても財政投資の際の説明に譲ることにいたしまして私の説明を終りといたします。
  9. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは次いで主税局長渡邊喜久造君。
  10. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) お手元に「租税及び印紙収入予算説明」という小さなパンフレットを御配付申し上げてあると思います。これによりまして簡単に御説明申し上げたいと思います。なお全体の計数、昭和三十年度分が補正前の数字になっておりまして、近くその点は訂正しましたものを御配付申し上げるつもりでございますが、その点御了承願いたいと思います。  一ページをごらん願いたいと思いますが、昭和三十年度一般会計における租税及び印紙収入予算額は八千二百六十七億円でございます。その額は三十年度予算額七千七百四十八億円に対して五百十八億円の増加となっておると響いてございますが、これは補正前の数字でございまして、補正後におきましては昭和三十年度予算額は百六十億ふえておりまして七千九百八億、従いまして補正後の予算額に比べましては三十一年度一般会計における租税及び印紙収入予算額増加額は三百五十八億という数字になります。この八千二百六十七億円、これは現行税法でもって一応見積りました八千二百六十七億円、これは今回の税制改正による減収百五十一億円を差し引き、同時に増収百五十億円を加える、こういった計算でやっております。なおついでに申し上げておきますが、昭和三十年度の税法、これは半年減税をやって参りまして、それが三十一年に至りますと一年減税になる。三十一年税法で三十年の半年減税法で計算した場合は、実はこの金額よりもう三百億ほど多いのでございますが、減税の平年度化によりまして三百億減収がふえます。その分が入りまして八千二百六十七億という結果になるわけでございます。なお交付税及び譲与税配付金特別会計の歳入となる入場税及び地方道路税の予算額、これは二百十八億でございまして、全体を加えまして国が徴収する税金、これは八千四百八十五億円ということになります。  予算の見積りに当りましては三十一年度の国民経済が輸出の好調を基調とする国民経済の正常な循環によりまして、昭和三十年度に引き続いて健全な発展を持続し、経済の正常化が一そう促進される、こういった想定に立っております。従いまして三十一年度におきましては鉱工業生産は昭和三十年度より約七%増す、物価はおおむね現在の水準に安定する、雇用量もある程度ふえ、個人の所得もふえる。ただ農業の所得は三十年は異常の豊作でありましたが、一応三十一年におきましてはこれを平年作と見積る、こういったようなこととともにあわせて、納税成績も漸次向上する、こういった前提に立っております。  なお、各税について簡単に要約して申しますと、源泉所得税につきましては、納税人員は三十年度に比べて二%増加する。それから給与水準は約四%増す。それから配当につきましては資本が増しただけ配当率はある程度下りますが、全体の額としましては一割程度増加すると考えております。  申告所得税につきましては、個人における生産量、販売量は全体として昭和三十年度より若干増加する。物価は今後おおむね現状維持、従って個人の営業所得は約五%ふえる。農業所得におきましては平年作を基準にして考えておる。そういった考え方に基いております。  また法人税につきましては、昭和三十一年上期は、これは昭和三十年の下期に比べるというと五%増す。昭和三十一年の下期は上期並みです。法人税は御承知のように三十一年の上期、下期がもう問題になっております。大体こうした考え方で進んでおります。  それから間接税のおもな税金といたしましては酒でございますが、酒の税金は清酒は三百万石、合成清酒七十四万石、しょうちゅう百六十万石、ビール二百三十万石であります。  砂糖は輸入原糖の溶糖量は百五万トンと見込んでおります。揮発油は消費量三百万キロリットル、これが見積りの基調になっております。  本年の税制改正といたしましては、大きな改正は明年度に見送りまして、特に負担の不均衡の是正ということだけを考えております。二十五ページをお読み願いたいと思います。そこに税制改正の要綱が簡単に書いてございます。おもな点は給与所得者の負担軽減のため給与所得控除を、現行は百分の十五でございますのを百分の二十に引き上げ、最高限度は現在は六万円でございますが、これを八万円にする。もっとも後に述べます財源の都合がありまして、三十一年におきましては半年減税、従って二〇%と言いましても、年間を通ずると一七・五%、最高七万円、こういったことを考えております。  これによる減収額が約百五十一億でございますが、これと見合うものとしましては、法人税におきまして、まず第一は交際費に対する課税、現在は昭和二十八年を基準年度にしまして、昭和二十八年からの実績に比べまして七割節減していただく。昭和二十八年に百万円であって現在が七十万円であるというなら、税の問題はございませんが、それがたとえば八十万円であったとしますと、七十万円と八十万円の差額十万円、これの二分の一、五万円はこれは損金に算入しないということに現在なっております。今度の改正では八十万円の場合は七十万円との差額十万円、これを全部損金に算入しないことにしよう、こういう考え方でございます。これによりまして約十億の増収を期待しております。平年度化しますと、この分が二十三億ございますが、本年の四月以降に開始する事業年度から適用するということを考えておりますので、初年度としましては四割五分を見込んでおります。  それから法人税の第二点は、退職給与引当金でございますが、これは現在は従業員が全員退職したと仮定した場合において支給する退職金の総額を積み立てることになっております。全員が退職するというのも普通の場合考えられないことでございますので、一応二分の一に頭打ちしようという考え方でございます。もっとも現在すでに六割、七割積んでおる人、会社、それをすぐこの際くずせという意味ではございません。現在は退職給与を出しますと、各人について積んだ引当金分だけをこの引当金から出しまして、残りの分は損金に算入できるということになっておりますが、この点を退職給与は引当金があれば全額をこの引当金からまず出していただく、こういう考え方にいたしまして、現在六割、七割積んでおります場合におきましては、引当金全額を出していくことによりまして、順々に引当金が五割へ近づいてくる。五割の限度をさらに下りましたらば、新しく積み立てができるようになっておる、それ以上は積み立て得ない、こういったような考え方で、急激な変動は避けよう、かように考えております。同時に特需会社などで、これはきわめてまれな例でございますが、幾つかやはり全員退職が考えられ得る場合があります。こういう会社につきましては、別途特例を設けまして、全額まで積み立ててよろしい。その場合におきましては、普通の場合でございますと、引当金の四分の一を定期預金等で積み立てることになっておりますが、特需会社のような場合には一〇〇%定期預金等で積み立てる、こういったような片方で制約を設けるとともに、全額積み立て得る道を開くと、かように考えております。これも初年度でございますと六割、平年度が六割五分になりますので、七十八億という増収になります。  いま一つ所得税の減税の財源としましては、第6にございます関税でございます。関税は現在従価税率になっておりまして、粗糖でございますと従価の二〇%になっております。従いまして高い砂糖が入ってくれば税金も高くなり、安い砂糖が入ってくれば税金も安いわけでありますが、一斤当りの平均、現状でございますと、大体これが四円五十八銭になっております。今度これを従量税に直しますと、一キログラム十四円ということになりますが、一斤当りにしまして約八円四十銭になります。この程度の引き上げを行うことによりまして、平年度約七十億、初年度約六十二億、この三つの財源をもちまして、冒頭に申しました所得税の給与所得控除の引き上げを行いたいというわけでございます。  他の点は比較的小さな改正でございますが、砂糖の消費税につきましては、現在は移出した日に納税義務が発生しまして、三カ月の猶予期間が認められており、実行上は二カ月の猶予をしておりますが、これを酒の税金と同じように一月じゅうに移出したものは翌月二月末日までに納付すると、こういったような制度に相なっております。一カ月の徴収猶予を認める制度を作っておりますが、当分はこれを執行しない、このやり方によりまして三十一年度は十三カ月分の税収が入って参ります。そういう改正法を行いたい。  それから揮発油税と地方道路税につきましては、これは航空機用の揮発油の免税の期間が切れますのでこれも延長したい。  それから物品税につきましては、これも期限立法でございますが、テレビジョンの小さなやつについて現在十五の税率の分が六月三十日で切れますので、これを二十に上げて同時に延長したい、こういう考え方を持っております。  それからなお残りました一つの問題、所得税の2にあります居住外国人に対する所得税課税の問題でございます。これは昨年までで期限が切れたのでございますが、従来二つの特例がありまして、一つは外資法人とか特殊な人たちだけでございますが、給与の分につきましてはその半額を課税する。二分の一課税ということをやっておりまして、それからもう一つは、日本国内で支払われた給与及び外国で支払われた分でも、日本国内へ送られてきた国内払いの分だけについて課税する、こういう二つの特典があったわけでございます。で、今度これが全部やまってしまいますので、実は所得税負担が四、五倍に上る場合が相当ございます。少し極端になるようでございますので、一応過渡的に緩和措置を講じつつ漸次通常の状態に持ってゆきたい。その考え方としまして、従来ありました半額課税、これは全部やめてしまいます。国内払い形式は一応存置させますが、本年は国内払いの分だけ、しかし三十二年度からは全体の所得の六割、国内払いの分と比較しまして、そのいずれか多いほう……。三十三年になりますと、それを七割に上げる、漸次八割、九割上げて参りまして、国内払いが少しでも、実際の所得が多い人は、その割合課税になる。結局は九割からその次十割になりますれば、もう国内払いが全然意味をなさなくなるといったところへ持ってゆくということで、経過的な措置を講じたいと、別途法律案を御提出申し上げております。  なお税法改正の問題としましては、これは歳入には直接関係がございませんが、租税滞納処分と民事上の強制執行関係とがとかく競合しておりまして、滞納処分をして長く差し押えたままでほうっておいて、債権者の利益を害するといったようないろいろな批判もございますので、別途二重差し押えができるようにしょう、同時に滞納処分がおくれたという場合には、場合によっては強制執行の方が先に行い得る、こういったような解決を求めるべく法案を近く提出したいと思っております。  税制改正による増減収の関係については、四ページにございますが、先ほども申し上げましたように、所得税関係で百五十一億減収になります。法人税関係で八十八億、関税の関係で六十二億、平年度にいたしますと、所得税の減百五十一億というのは二百二十六億になります。退職金の分が百二十億、交際費が二十三億、法人税の八十八億が平年度化しますと百四十三億、関税は六十九億、差し引きマイナス十二億、こういったような数字になります。こういったような関係にございますので、所得税の片方のかわり財源が初任度としてあるいは六割五分であり四割五分であるといったような関係からしまして、やむを得ず所得税の減税は半年減税、七月からの給与について減税するようにする考え方をとるということで御提案申し上げております。  各税の見積りにつきましては、大体従来のやり方を踏襲しておりますが、ごく簡単に申し上げます。所得税の源泉所得税につきましては、二十九年の納税者の数、給与の総額、これを考えまして、一応増加割合を、先ほど述べましたように、前年に比べまして納税人員で二%、給与でもって四・三%の増加をみる、こういうところでもって全体の歳入を見積っております。なお、給与所得以外の源泉所得につきましても、歳入につきましては、先ほど申しました通り退職所得、社会保険診療報酬等につきましても、最近の課税実績見込みまして、まず現行法を二千百四十七億にいたしまして、給与所得控除が上りますので、それによる減収を見込みまして換算し直しまして、改正後は一千九百九十六億という数字になります。  それから申告所得税は二十九年の課税実績をもとにしまして、これから生産の増加あるいは物価の状態、物価の増減というものを見合いまして計算してございますが、一言申し上げて幸いた方がいいと思いますのは、農業所得の関係であります。三十年度分の農業所得につきましては割当予約供出制度がありまして、従いまして予約供出の分につきましては石当り千四百円収入金額から差し引くという臨時特例ができております。この特例関係は一年限りのものでございまして、本年につきましてはまだ決定してございませんが、予約供出そのものが大体本年も同じような制度になるんじゃないかと一応予想されますので、現在の見積りは千四百円収入金額から控除するという制度はそのまま持続されるということを前提として歳入額を見積っております。  それから法人税でありますが、これは十二ページ以下に書いてございますが、計算の方法は従来と同じでございます。最近の一年をとりまして、調査課所管分と税務署所管分に分けまして、生産物価の相乗率をかけまして計算をしております。現行法で出しまして、先ほど申しました税制改正による増を見込んで、結局改正法といたしましては二千百九十億という見積りになっております。  相続税はこれも従来と同じようなやり方をとっておりますが、税額が少うございますので、説明省略さしていただきます。  再評価税は、大体いつもきまった税金で年度割が入ってくるのがおもであります。  酒の税金でございますが、これは先ほども申しましたように、清酒につきましては、最近の事情を考えまして、清酒が三百万石、合成酒が七十四万石、しょうちゅうが百六十万石、ビールが二百三十万石、この程度の出荷があるということを前提として見込んでございます。一千六百四十九億の税収を見込んでおるわけであります。  砂糖消費税につきましては、先ほども言いましたように、輸入原糖の溶糖量百五万トンを見込んでおります。そのほかに国内産の砂糖が少量ございまして、そうした点を考えまして一応見込みましたほか、先ほど申しました納付制度の改正による増収、これを四十億ほど、約一月分四十億ほど見込みまして、五百三十一億、十三カ月分の収入になるわけであります。  それから揮発油税については、消費の数量は三百万キロリットル、これに航空機用等揮発油の免税分が十万キロリットル欠減、これは法令にあるわけでありますが、三・七%の欠減を見込みまして二百七十九万三千キロリットル、これをもとにしまして三百七億という数字を出してございます。  物品税は、最近の実績が相当収入が大きく上ってきております。補正予算におきましても約三十五億の増収を見積っておりますが、その辺を考えまして二百八十七億、これが前年度の当初予算に比べますと五十六億ほどの増収になっておりますが、補正後の数字に比べますと二十一億という程度の増でございます。  有価証券取引税、通行税、これは説明省略さしていだきます。  関税でございますが、関税も最近の状況では相当入っております。当初予算で、二百三十億、補正で二百四十五億で、それを二百五十億と見積ったわけであります。同時に先ほど申しました砂糖に対する関税の税金を上げることによりまして、六十二億の増収を期待しまして、三百十七億見込んでございます。それからトン税、印紙収入は、これは特に申し上げることもございません。  交付税及び譲与税の特別会計において、入場税をこれは百六十二億見積ってございます。当初予算では百三十五億でございましたが、補正後日四十七億見積りかえをしております。そうした最近の収入状況も考えまして、明年度は百六十二億という見積りをしております。それから地方道路税は五十五億、これは揮発油税の見積りと右へならへをしたいうような格好で見積りがしてございます。  以上申しましたような関係で、一応租税負担分として国民所得に対する割合はどうなるかというような点、これは三十一ページにございます。三十一年度におき、まして、国税だけで見ますと一三・八%、地方税まで合せますと一九・四%、三十年度は一三・七%、総額一九・一%になっておりますが、これは、国民所得の方は最近の新しい数字予算の方は当初予算になっております。補正予算に直しますと一三・七という数字がこれが一三・九になります。それから一九・一というのも一九・三という数字になります。  それから直接税と間接税との比率といったことがよく問題になりますが、これは三十ページにございます。三十一年度におきましては、現行法のままでございますと、直接税が五一・七、改正後は五一、間接税の方が、改正前が四五・五で、改正後四六・二、漸次わずかではございますが、間接税の方にウエートが移動していくというわけでございます。なお三十年度割合は、補正後の予算によりますと、ここに書いてございます直接税の比率五一・六が五一・九、間接税の比率四五・七は四五・四、こういう数字になります。いずれ補正後の数字によって整理しまして、作り直しまして後日御配付申し上げたいと思っております。
  11. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) では続いて河野理財局長
  12. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 私から財政投融資の問題と国庫収支の問題について概略を御説明申し上げたいと存じます。  お手元に予算説明書がごいます。そのうち各所に出て参りますけれども、大体八ページから九ページのところを主としてごらんいただきたいと思うのであります。  まず財政投融資でございますが、この財政投融資計画を立てますに当りまして、まず基本的にとりました方針について申し上げておきたいと思います。  その第一は、政府資金、いわゆる財政投融資の狭い意味の対象になります政府資金は、原資といたしましては三十年度より多きを期待できないような状態になっております。三十年度と申しますが、もちろん三十年度当初の予算の際の数字でありますが、それに比較いたしましても多くを期待できないようなことであります。一方金融が次第にいわゆる正常化の方向をたどって参っておりますので、これによる一般市中金利の低下、また金融の緩和という事態が起って参っておりますので、従来財政資金をもってまかなうことが必要とされました部門でも民間資金でこれをまかなうことが可能になった部分が相当出て参っております。これらの事情にかんがみまして、従来政府資金によってまかなわれておりましたものを逐次民間資金に移していくという態度でこの財政投融資を考えて参りました。これが第一点。従いましてその限りにおきましては、無理をして財政資金資金源を調達するということはやらないという方針をとった次第でございます。  それから第二は、財政資金は、民間資金ではどうしてもまかない切れないという部面に重点的にこれを使っていくという方針にいたしたのであります。特に財政投融資本来の機能と考えられますところの、民間資金に対する質的な補完という点に重点をしぼっていくというふうに配慮をいたしたのであります。それから御案内のように、従来いわゆる財政投融資といわれておりますものには幾つかの機能があげられておるのでありますが、その機能のうちの、本来の機能を質的に補完をするという点に重点をしぼっていくという配慮をいたした次第であります。  それから第三は、これは当然今申し上げましたところと関連いたして参るのでありますが、経済を再建し、自立を達成いたしますために必要な資金は――財政資金と民間の資金とを合せて総合的に運用することによってこれを確保する。こういうふうな配慮で財政投融資計画を組んだのであります。  以上申し上げますところが大体基本的な考え方であります。この基本的な考え方に立ちまして、計数につきまして若干大まかな点を申し上げますと、まず財政投融資の総ワクといわれるものでありますが、これは今申し上げました八ページ、九ページのところに出ておりますが、昭和三十一年度は政府資金と公募債、借入金というのがあがっておりますが、この両者を合せました数字が三千四百九十二億円という数字に相なるわけであります。十ページの一番あとの合計の欄をごらん願いますとそういう数字が出て参ります。三十年度の当初の計画におきましては、これが三千二百八十七億という数字でありまして、この両者を比較いたしますと、二百億あまりの増加、こういうことに相なるわけであります。その内訳は、詳しくはその一覧表でごらんいただけばわかりますので、省略をいたしたいと思いますが、いわゆる私たちが民間資金活用ということを申しておりまするこの言葉のうちには、今申し上げました公募債、借入金というもののほかに、従来はあるいは開銀でありますとかあるいは輸出入銀行でありますとか、そういった政府金融機関によってまかなわれることを必要とした資金のうち、相当部分が民間に移すことができろ、これもやはり民間資金活用に待ったという数字というふうに考えられます。この両者を合せますと、大体三十一年度におきましては――これは計算の仕方によっていろいろ出て参りますので、これよりほか計算の方法はないというわけじゃありませんが、まあ私どもの計算いたしましたところでは大体それが千三、四百億円の数字になる、これが大体民間資金に期待のできるものである、こういうふうに考えています。以上申し上げましたような計算の方法をとりまして、三十年度の当初の計画においてこの数字と同じような計算をやってみたのでありますが、それと三十一年度との比較をいたしますと、政府資金民間資金を合せて比較いたしますと、大体三十一年度は三十年度の当初に比較いたしまして、財政資金民間資金を合せて約六百億円の財政投融資的な資金活用ができる、こういうふうな数字に相なるわけであります。これは先ほど申し上げましたように計算の仕方はいろいろとございますので、これ以外の計算の方法がないということを申し上げるわけに参りませんが、私どもの試算をいたしますところでは大体そういうふうな計算になります。  次に、やや内訳について申し上げたいと思いますが、第一はその財政投融資原資であります。これは八ページの下のところに載っております。「昭和三十一年度財政投融資原資見込」というところをごらんいただけばわかりますが、おもな点だけを申し上げますと、まず一般会計からは、従来と違って財政投融資のための財源の投入は原則としてしない。ただ道路公団に対する出資金が、これは揮発油税との関係もありまして、その財源から二十億を一般会計から出資することといたしましたが、その例外を除いては一般会計から財政投融資財源を投入しないという方針をとっております。これがまず原資の中で三十一年度の特殊の事情と申しますか、特色であります。  それから第二に、今度は原資の量でありますが、資金運用部につきましては、全体の預託金の増加を一千三百八十一億円の増、それから回収金を三百十八億円見込みまして、合計資金の源としては一千六百九十九億円を見込んだのであります。この預託金のうち郵便貯金につきましては、本年度は当初増加額見込みましたのは一千百億円の増加を見込んだのでありますが、これは御案内のような特殊の事情によりまして、実績といたしましては、おそらく三十年度におきましては八百数十億の増加という程度にとどまるのではないかと考えられます。来年度におきましては国民所得の伸び等をも考慮いたしまして、この数字を九百九十億円の増というふうに見込んだのであります。三十年度の当初の増加見込み一千百億に対して百十億円の減、こういうふうに見込んであります。それから次は産業投資特別会計財源の問題でありますが、このうちには特定の輸入関係の物資、これはバナナでありますとかパイナッブルカン詰等でありますが、こういったものから出て参りまする輸入関係の利益の一部を徴収することといたしまして、その財源十五億円を産業投資特別会計財源に新たに見込んだ次第であります。以上のほか、余剰農産物資金につきましては、第二次の協定分といたしまして円貨にこれを直しまして百七十七億六千万円を見込んでございます。これは買付予定額は六千五百万ドル、約二百四十億ばかりでありますが、そのうちから日本側が借款をいたす予定になっております七五%、これは四千九百万ドルになりますが、これを円貨に直しまして百七十七億六千万円、これを余剰農産物関係資金として原資に見込んだ次第でございます。なお三十年度計画におきましてはこれが二百十四億という数字になっておりますので、若干の減少を見込んでおります。  以上が原資関係でありますが、次に運用の面におきまして簡単におもな点だけ申し上げます。運用資金の配分につきまして私ども考えましたおもな点は、先ほど申し上げました基本的な財政投融資計画を立てます場合の基本的な方針のほかに二、三つけ加えて申し上げておく次第でありますが、その第一は、一般会計の出資が先ほど申し上げましたように原則としてなくなったことに基きまして、資金コストの関係上あるいはその他の関係からどうしても出資をしなければならない種類の財政投融資先に対しては産業投資特別会計から新たに出資をする、こういうことにいたしました。たとえば住宅公団でありますとか、農林漁業金融公庫でありますとか、そういったものにつきまして従来産業投資特別会計から出資をいたしておらなかったのでありますが、これを新たに同会計から出資をする、こういうことにいたしました。  それから第二点は、北海道開発公庫でありますとか、石油資源開発会社といったような新らしい機関であって、国の政策上これに対する出資を必要とするというものにつきまして、やはり財政投融資対象に取り入れたのであります。これらのものにつきましても大体産業投資特別会計から出資をいたすことにいたしておるわけであります。  それから第三には、国民金融公庫、あるいは中小企業金融公庫、なおあわせて商工中金等、中小企業の金融に携わっております機関に対して、中小金融の重要性を十分に頭に置きました上で相当な、重点的な資金量の充実ということを配慮いたしました。また農林漁業関係の生産の増強というための資金といたしまして、これも重点的に配慮いたしたという点であります。  それから第四点は、地方債でありますが、地方財政における公債費の累増の傾向、これをできるだけ押えていくという配慮のもとに地方債計画、ことにこのうちでも普通事業債と申しますか、一般会計事業債、これを極力押えていく、減額していく、漸減の方針をとる、こういうことにいたしたのであります。  以上が運用の面における基本的な考え方でありますが、一、二具体的な問題でおもな点を申し上げますと、まず開発銀行であります。これは九ページの一番上に載っておりますが、これは先ほど申し上げましたように、金融の正常化の情勢に応じまして、電力でありますとか海運でありますとか、その他で民間の資金に移し得るものは極力移していく、そうしてなかなか民間に全部移すというわけに参りませんので、どうしても政府機関によってこれをまかなわなければならないものに限定していくということにいたしたのであります。従いまして、開発銀行の総資金運用量は、三十年度の当初に比較いたしまして相当程度減少いたしております。三十年度におきましては、その表にございますように総運用資金が五百九十五億ということになっておりますが、これを三十一年度におきましては三百六十億というように大幅に減額をいたしたのであります。それから電源開発会社の資金でありますが、これは三十年度比較いたしまして若干の増加見込みました。その資金のうちでは、先ほど申し上げました配慮のもとに、市中の調達ということを本年度、三十一年度から計画のうちに織り込みました。七十億円を社債の形で民間から調達をする、こういうようにいたしたのであります。この計画によりまして、電源開発の計画の遂行に支障のない計画が確立できることと考えております、それから次は北海道開発公庫、その他いろいろございますが、これは先ほど主計局長から簡単に御説明申し上げたので、時間がございませんので省略いたします。  輸出入銀行でありますが、これはこの表の中ごろのところにございますが、三十一年度見込みといたしましては、一般プラントにおいて大体一億六千二百万ドルが船舶、それから車両、電気機械等が三十年度より若干増加するといったようなことで、全体として三十一年度におきましては二億六千二百万ドルのプラットが出る。こういうことを前提にいたしまして、この資金計画を組んでおります。なお三十年度におきましては、この計画は大体二億六千万ドルと、こう見ておりますが、若干の増加を予定いたしまして、それに支障のないだけの資金の手当はできております。なお三十一年度におきましては、ビルマ等の経済協力、この賠償関係、経済協力関係資金が輸出入銀行を通じて調達されることに相なりますので、これらのための資金をも一応見込んであります。  農林漁業関係、中小企業関係は、先ほどちょっと申し上げましたところで省略をさしていただきます。それから住宅関係につきましては、先ほど一般会計の問題で主計局長から申し上げておりますから、これも省略させていただきます。  以上、非常に簡単でございましたが、運用の面につきましては、なお今申し上げましたその資料の四十五ページ以下に各政府関係機関の詳しい数字も載っておりますので、ごらんいただけばおわかり願えると思いますので、御説明省略いたしたいと思います。  それから最後に、ごく簡単でありますが、国庫収支の問題を申し上げておきたいと思います。これはお手元にたしか理財局関係というので資料がお配りしておりますので、この資料の一番あと、第三表、昭和三十一年度財政資金対民間収支見込みという表がございますから、これを、ごらんいただきたいと思います。そこにございますように国庫収支の見通しは、一般会計におきましては歳入歳出とも一兆三百四十九億ということで収支が均衡いたしておりますが、歳入の中には、昭和二十九年度中に生じた剰余金三百八十億円が財源として織り込まれております。これは三十一年度中の新たな対民間収入では広いわけでありますから、この三百八十億円だけが国庫収支という観点から見ますると、散布要因となるわけであります。これはお手元にあります表の一番上の一般会計というところに、三十一年度見込み三百八十億円散布要因とあがっておりますものがそれであります。  それから次に特別会計でありますが、まず食管会計におきましては、予算上は年度末におきまして食糧証券が五十億減少する、こういう計算になっておりますが、この五十億だけが計算上引き揚げの要因に相なるわけであります。それからその他の特別会計及び資金運用部資金の収支はほぼ均衡いたすわけでありますから、いわゆる外為資金関係を除いて考えますと、食管会計の五十億だけの引き揚げ要因、あとは収支均衡する、こういうことに相なるわけであります。  外為関係はどういうふうになるかというと、その三にあがっておりますが、これは経済の見通し、貿易の見通し等で計算がなかなか困難なのでありますが、ここで一応私が計算をいたしました根拠は、三十一年度におきまして国際収支の見込みといたしましては、一億七千五百万ドルの受取り超過である、このほかにユーザンスの関係増加が約三千万ドルあると見込まれますので、この両者を合せますと、円資金の収支は大体二億五百万ドルに見合うこの三百六十倍いたしました七百四十億の払い超というふうに見込んでおります。なおこのほかに別口外貨貸付返済が、円に直しまして約九十億円程度ありまして、これが引き揚げの要因に相なるわけでありますから、これを差し引きいたしますと、六百五十億程度外為資金としての円の散布超過の要因となると見込まれるわけであります。これを合計いたしますと、一番下の合計というところに載っておりますように九百八十億円の対民間散布超過、こういうふうに見込んでおります。なお同じような計算をいたしました三十年度見込みは、その左側の欄に載っておりますように、合計で約二千八百億円の散布超過というふうに見込まれます。これは三十年度の当初には、当委員会でも御説明申し上げたと思いますが、約七百億円の散布超過と当初見込んでおったわけであります。その後御案内のように一方で非常に米作の良好であったこと、それから国際収支が、輸出の伸びによりまして受け取りが非常にふえておる、これが円の際におきましても対民間に対する散布超過という形にほって表われまして、二千八百億円という散布超過になる見込みであります。  以上が資金計画及び国際収支といったような点を見込みまして算出いたしました国庫収支の見通しでありますが、この点は先ほど申し上げましたように食糧のでき工合、あるいは国際関係等の推移によってかなり大きく動くわけでありまして、現在の私どもの見通し得る範囲で一応の計算をいたしたものでありますから、実績がどういうふうになりますか、この点につきましては三十年度の当初の計画実績見込みとの間に非常な大きな食い違いの一事でもおわかり願えるように、なかなか的確な見通しということは困難であります。一応予算資金計画、国際収支の見込み等からはじき出しました数字が以上申し上げたものであります。  簡単でありますが私の説明を終ります。
  13. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) ついで経済企画庁小山調整部長。
  14. 小山雄二

    政府委員(小山雄二君) 時間がだいぶおそくなりましたので、簡単に十分以内に御説明いたします。  お手元に「昭和三十一年度経済計画の大綱」という薄いものが配布されております。この計画はいわゆる経済自立五カ年計画に基きまして、その初年度に当ります昭和三十一年度計画をきめたものでございますが、その中身といたしましては、1、計画の基調、2、主要計画目標、3、計画達成のために実施する施策の重点、この三項目にわたっておりますが、時間の関係もございますので、二ページのところにございます「主要計画目標」、これを中心といたしまして、主として計数的な御説明を申し上げたいと思います。  まず結論的な点から申し上げますと、国民経済規模を総括的に表わすものといたしまして、六行目、七行目にあります国民総生産、分配国民所得、この点でございますが、それぞれ三十一年度八兆二千六百三十億、六兆九千七百十億、三十年度に対しましてそれぞれ四・二、四・三%の増加となっております。五カ年計画におきましては、この伸びを大体年率五%と見ております。従ってこれに比べますとちょっと落ちるわけでございますが、三十年度が非常に伸びが高いわけでございますので、三十一年度の経済水準というものは大体五カ年計画で予定しております線をこえても、三十年度と合せますと若干上回るという結果に相なっております。主計局長、主税局長から説明されました財政規模国民所得に対する比率、税負担率の国民所得に対する比率、この数字等はこの国民所得の六兆九千七百十億に出てくるわけでございます。そうしてこういう総生産なり所得をささえますいろいろな要因につきまして逐次申し上げますと、まず需要の面でございますが、需要の面といたしましては輸出でございますが、輸出は「国際収支」とあります下の方にございますが、三十年度二十億五千万ドルに対して二十二億ドル、約一億五千万ドル、この輸出につきましても内外ともいろいろむずかしい問題があるのでございますが、経済発展の軸としてこの程度の輸出はぜひ達成いたしたいと、三十年度に比べまして七・三%の増加を見込んでおります。特需は五億五千五百万ドルが四億五千万ドルと約一億ドル程度減少を見込んでおります。  次は投資面でございますが、最近輸出が好調であり、また経済正常化が進んでおりますので、企業の投資力もぼつぼつ回復して参ったように見受けられますし、五カ年計画でも産業基盤の強化をはかるということを主要目的にいたしておりますので、資本形成はできるだけ充実していくという線で計画を立てております。一方先ほどお話のありましたように、政府でも積極的に民間資金活用しようということも考えておりますので、投資は相当進みまして、八行日あたりにございますように、民間資本形成は、三十年度に対しまして八・七%の増加を見込んでおります。  次に支出でございますが、消費支出は、大体総生産なり所得の伸びと経済発展に見合った支出が適当だということで、その下にございますように、三十年度に比べまして約四%の増加を見込んでおります。支出を一人当りの実績支出に換算いたしますとその下にございますように消費水準としては三十年度に対して約三%の増加となっております。  こういう需要面に対しまして供給の面でございますが、まず鉱工業生産は昭和九年から十一年を基準といたしまして、指数として一九六、三十年度に比べまして七・二%の増加であります。五カ年計画では大体年率七・三%を見ております。大体五カ年計画の線に沿った発展率を計画いたしております。  次に農林水産生産でございますが、ことしは非常に豊作でございましたが、来年は計画上平年作を前提といたしております。従って畜産、林産、水産は相当の伸びを見ておりますが、それを総合いたしますと、そこにありますように、三十年度に比べまして五・九%減りまして、三十年度対比の比率九四・一ということに相なるわけでございます。  以上のように内外需要、これに対応する生産の関係などから割り出しますと、これをささえていく輸入の関係でございますが、下から三行目にございますように総額二十一億九千万ドル、これにユーザンス等を加えますと二十二億二千万ドルこれはちょっと整理が悪くてはなはだ恐縮なんでございますが、中に紙が一枚はさんであると思いますが、これは実は統計上一般貿易外輸入に含めております綿花借款を考え、これはむしろ実質的には輸入でございますので、それを考えますと、三十年度の為替ベースの実質輸入は二十一億二千三百万ドル、ここに表にあります二十二億二千万ドルに綿花借款の額を入れますとそういうことになるわけでございます。それが三十一年度には二十二億九千万ドルになりまして、約一億六千七百万ドル……、輸出が一億五千万ドルの増加でございます。輸入が一億六千七百万ドルの増加と、こういうことに相なるわけでございます。書いてあることは同じなんでございますが、説明の便宜のためにそういう補足をさしていただきます。従って輸入もふえますので、国際収支のバランスも三十年度に比べまして若干悪くなりまして、一番下にございますように三十一年度は二億五百万ドル、これは実質黒字で計算いたしますと一億七千五百万ドルと、こういうことに三十年度より若干バランスは悪くなる、こういう関係になっております。  こういう経済循環の中で、さて就業関係はどうなるかということでございますが、上に参りまして、総人口は九千十七万、九十一が人ふえることになります。生産年令人口、満十四歳以上人口でございますが、六千二百三十五万人、百三十四万人ふえることになります。そのうち働く意思と能力を持っている労働力人口、これは四千二百六十五万人、八十八万人ふえることになっております。先ほど申しましたような鉱工業生産の伸びに伴う就業増加、それから経済発展に伴います商業関係あるいはサービス関係などの就業増加を考えましても、生産の伸び等も三十年度よりは少し下りますので、これでは必ずしも十分とは申せませんので、三十一年度におきましては特別失業対策臨時就労対策等の事業強化いたしまして、これらを合せまして就業は、そこにございますように、三十一年度四千二百万、三十年度に対して九十万就業増加があると、こういうことに計画いたしております。  最後に物価の関係でございますが、物価はおろし売物価、消費者物価、CPIとも三十年度の横すべり百パーセントということで計画いたしております。この経済計画を立てましたときに考えたそれぞれの経済要因の中には、それ自体物価を上げる要因というものはないと考えておりますが、この計画で考えております今申しましたような需要と供給のバランスが破れるようなことになりますと、計画自体が達成できないと、こういうことになりますので、物価に関する政策といたしましては、あとの方策のところにも書いてございますが、資金需給の均衡を保持して通貨価値の安定をはかっていくと、それから物資の面では食糧、原材料等の輸入物資の十分な確保をはかって参る、そうしてその需給を安定さすということを根本の方針といたしまして、物価は横すべりと、こういうことに計画いたしておるわけであります。  以上をもちましてはなはだ簡単でありますが、御説明を終ります。
  15. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 以上をもちまして補足説明を終ります。  なおお諮りいたしますが、先般実行いたしました委員派遣の報告についてでございますが、報告書がそれぞれ委員長の手元に提出されておりますので、この際口頭報告を省略いたしまして、報告書を会議録に掲載することといたしたいと存じますので、御了承をお願いいたします。  本日はこれで散会いたします。    午後一時十六分散会