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政府委員(
森永貞一郎君) 先般行われました
大蔵大臣の説明の補足といたしまして、「昭和三十一年
度予算の説明」というパンフレットがお配りしてございます。詳細な補足はこの資料にゆだねることにいたしまして、簡単に若干の点につきまして補足して申し上げたいと存じます。
実は御承知の通り、この本
予算の提出後、三十年度の
予算につきまして補正が行われたわけでございます。その結果、この三十一年
度予算の説明中の前年度の数字に若干異同がございまして、目下その異同を調整いたしました説明の
改訂版を作製いたしております。本日に間に合せたいと存じておりましたが、間に合いませんで、はなはだ恐縮でございます。従いまして、古い資料で御説明申し上げることになりまして、いろいろ御不便の点も少くないかと存じますが、その点はあらかじめ御了承をお願い申し上げたいと存じます。
この資料は総説、
一般会計、
特別会計、
政府関係機関の四部からなっておりますが、総説につきましては、
大蔵大臣の本会議並びに本
委員会における説明に尽きておりますので、省略をさせていただきます。ただ、一、二の数字を特にお目をとめていただくとしますれば、二ページの
予算の規模でございます。三十一年度の
予算は
一般会計一兆三百四十九億でございまして、
国民所得に対しまして一四・八%、三十年度は当初
予算ではやはり一四・八%でございましたが、補正の関係で一兆百三十三億になりますと、
国民所得に対する割合は一五・二%、それに対しまして三十一年度はわずかに割合が低下をいたしたということになるわけでございます。
財政金融一体化の観点から来年度は
民間資金の活用ということを
予算編成方針にうたっておるわけでございますが、その
民間資金の活用を合せました
財政規模がどうなるか、二ページの下の方にございますが、
一般会計一兆三百四十九億、
一般会計以外の
財政投融資が二千五百七十二億、
民間資金の活用千三百九十七億、合計一兆四千三百十八億でございまして、
国民所得に対しまして二〇・五%ということに相なります。三十年度は補正前でございますと一九・七%でございましたが、補正後は
一般会計がふくれまして、その結果、この割合も二〇・一%ということになるわけでございます。それに比べましてもごくわずかに三十一年度は膨脹をいたしておるということに相なるわけでございます。
次は、
一般会計歳入歳出の
重要事項別内訳が五ページにございます。この表の三十年度は、ただいま申し上げましたように、補正の関係で
相当調整を要しまして、これは一々申し上げますと、繁雑になりますので、いずれ刷り直したものを差し上げますから、それで御覧いただきたいと思いますが、ただ一つ申し上げますと、この十九番の
公共事業関係費、ここに
カッコをいたした数字が入っております。すなわち三十一年度は
カッコのない数字が千四百十九億で、
カッコのある数字が千五百、十八億、この
カッコのある数字の注が抜けておりましたので申し上げたいと存じますが、これは
失業対策費の中に含めておりまする
特別失業対策事業及び
臨時就労対策事業費を含めた金額でございます。そのことだけを付け加えておきたいと思います。
特別会計につきまして、その次の六ページに
歳入歳出の
一覧表がございます。この内容を一々申し上げることは省略いたしますが、
特別会計の数は全部で三十七でございます。来年度新たに設けますものが二つございます。この二つと申しますのは、
賠償等特殊債務処理特別会計、それから
特定物資納付金処理特別会計、この二つが新たに加わっております。なお
特殊物資納付金処理特別会計、これは三十年度において
予算は成立いたしましたが、
関係法令が
審議未了のために、先般の補正の際にこれを削ることといたしまして御承認をいただいたわけでございます。
特別会計の中の主なものにつきましては、後ほど申し上げます。
政府関係機関についても、八ページに
収入支出の
一覧表がございます。
政府関係機関の数は十でございます。ここでも一つふえましたのは、
北海道開発公庫、この分が三十一年度追加になったわけでございます。
財政投融資資金計画、八ページ、九ページにございますが、原資並びに運用とも二千五百九十二億でございますが、これにつきましては
理財局長から説明をいたすことになっておりますので、省略をいたします。
次は、
一般会計の歳出の
重要事項につきまして、順次申し上げて参りたいと思います。
生活保護費三百六十二億でございます。前年度の当初
予算に比べますと十四億四千四百万円の
増加でございましたが、先般補正によりまして前年度の
予算が増額になりましたので、補正後の
予算に比べますと九億一千二百万円の減少ということに相なっております。ただし、この前年度の数字の中には二十九年度の
不足補てんの数字がはいっておりますので、その点を考慮いたしますれば、わずかの
増加ということに相なっております。この
生活保護費の積算の基礎になりまする
保護人員でございますが、三十年
度予算に対しまして二・五%の
増加を見込んでおります。三十年度までは対前年度五%の
増加を見ておりましたが、最近の
実績等にかんがみまして、二・五%の
増加を見込んで
予算を積算いたしております。
児童保護その他
社会福祉費七十五億九千五百万円でございまして、前年度に対しまして八千九百万円の
増加でございますが、この点につきましても前年度の数字が補正で動きまして、若干減少いたしました。その補正後の数字に比べますと、来年度は一億五千万円の
増加ということになっております。さらに、三十年度の数字が二十九年度の
不足補てんがはいっておりますので、その点をあわせて考えますと、さらに
増加いたしておるということに相なります。積算の根拠といたしましては、施設の
増加に伴う
保護人員の
増加並びに
食費等の単価の
引き上げを見ております。
その次の遺族及び
留守家族等援護費四十九億五千八百万円。三億五千二百万円の
増加でございます。この
増加は、昨年法律が通りました
軍人遺族恩給の
ベース・
アップに伴う
遺族年金、
留守家族手当等の増額が主たる原因でございます。他方において
失権等による減少がございますが、それを差し引きまして三億五千三百万円の
増加になっております。
社会保険費百六十億六千九百万円。三十年度の当初
予算に対しましては三十六億八千百万円の
増加、補正後に対しましても三十八億四千九百万円の
増加ということに相なっております。この
増加の理由は、二つございます。一つは、
政府管掌健康保険に対する
繰り入れ三十億でございます。御承知のように、一昨年度来
政府管掌健康保険に赤字が起っておりまして、その対策が問題になっておりましたが、来年度におきましてはその
根本的対策を立てることにし、被
保険者の一部負担、
標準報酬月額の
引き上げ、
薬価対策等とともに、国におきましても三十億円を
繰り入れることといたしておるわけでございます。他方におきまして昨年きまっておりました
借入金返済の財源のための十億ずつの
繰り入れは本年度は
借入金の返済を延期することといたしまして
繰り入れをいたしておりません。従って差引この関係で二十億円の
増加ということに相なるわけでございます。もう一つの
増加の要因は
国民健康保険の関係でございます。
国民健康保険のすみやかな普及をはかることといたしまして、被
保険者数を三千万人と予定いたし、また
事務費等につきましても単価の
引き上げをいたしております。この関係で約十五億の
増加となっております。
次は、
失業対策費三百五十一億六千七百万円でございまして、六十二億八千三百万円の
増加になっております。
増加いたしましたのは
失業対策事業費補助が二十三億六千万、
臨時就労対策事業費六十九億円、この
臨時就労対策事業費と申しますのは、
公共事業の中で特に
失業者の吸収に適する
道路事業を選びまして、
公共事業としての能率をあげると同時に、
失業者の吸収にも重きをおいて
事業の運営をしようという新たな項目でございまして、六十九億を計上いたしております。この
失業対策事業費補助と
臨時就労対策事業費と合せまして三十一年度の
失業者吸収人員は
一般失業対策が二十万八千人、
特別失業対策が二万人、
臨時就労対策が二万人、合計二十四が八千人、前年度より約三万人の
増加ということに相なっております。
失業保険費におきましては三十億円の減少になっておりますが、これは最近における
給付費の実績にかんがみまして事務的に計算いたしました
減少額を計上いたしております。
次は、
結核対策費でございます。百二十三億六千六百万円で三億七千百万円の
増加でございます。この項目の中で特に重点をおきましたのは
健康診断、
予防接種等の
予防対策の強化でございます。また
結核医療費の
公費負担の対象を拡張いたしまして、
社会保険の恩恵に浴さない患者につきましても
外科手術に伴う
入院料を
公費負担の対象といたしております。また
国立結核療養所の
看護体制の強化をはかっております。
次は、
義務教育費国庫負担金でございます。七百六十九億九千万、前年度当初
予算に比べますと三十二億五千万円の
増加でございます。この点につきましても補正が行われまして、前年
度予算が
増加いたしましたが、その補正後に比べましても八億一千万円の
増加になっております。この
増加の主たる理由は、三十一年度における
児童生徒の
増加に伴う教職員の
増加並びに昨年末行われました
期末手当の増額、
昇給原資等それらの要因によるものでございます。
国立学校運営費は三百三十三億八千二百万でございまして、二十五億二千万当初
予算に比べて
増加いたしております。補正後に対しましても二十四億余り
増加いたしております。
増加の主たる理由は、
人件費の
自然増もございますが、
教官研究費、
原子核研究所等の
施設整備費等には特に力を入れております。
次は、
文教施設費八十億六千五百万でございまして、前年度当初
予算に比較しますと三億九千五百万減少いたしておりまして、この減少は昨年度災害が少かったことによる
災害復旧費関係の減少でございます。もっとも三十年
度予算の補正の結果、前年度額が八十億九千八百力ということになりましたので、ほぼ
剛年度と同額という結果に相なっております。
育英事業費四十二億百万円、ほぼ前年度と同額でございます。ただし
育英貸付金の回収がだんだんふえて参りまして、その分を新たな貸付に回すことによりまして約二億円実質的に
育英資金貸付額を増額し得る計画に相なっております。その増額いたしました資金をもちまして
育英制度の内容の充実に努めておる次第でございます。
科学技術振興費百十四億四千六百万円、当初
予算に比べますと三十億九千七百万円の
増加でございます。補正後に比べまして二十九億四千五百万円の
増加でございます。
増加いたしましたのは、一番顕著なのは原子力の
平和利用関係の経費あるいはまた
南極探険の経費、
国際地球観測年の
経費等でございますが、その他各省、各庁にわたりまして
科学技術振興につきましては極力その充実存期しておる次第でございます。
国債費三百八十五億三千万円でございます。当初
予算に比べて四十八億二千七百万円の減少でございます。補正によりまして三十年度の額がさらに
増加いたしましたので、補正後に比べますと五十六億九千百万円の減少ということに相なります。この経費は
国債償還と
利払いと両方に分れておりますが、償還の方は
財政法の規定による二十九年度決算上の
剰余金の半額を償還に充てております。
利払いにつきましては国債の現在額に即しまして機械的に出て参りまする金額を計上いたしております。
文官等恩給費百七十二億九千八百万円、八億九千八百万円の
増加でございます。この
増加は
退官退職の
見込みによる
自然増的なもののほかに、昭和二十三年六月三十日以前に退職いたしました者のいわゆる不
均衡是正のための経費といたしまして三億円を計上いたしております。
次は、旧
軍人遺族等恩給費七百二十六億二千九百万円でございまして、当
物予算に比べて五十六億九千三百万、この経費も補正で十七億増額に相なりましたので、補正後に比べますと三十九億千九百万の
増加に相なっております。この
増加の内訳といたしましては、一番大きな原因は、昨年行われましたいわゆる
ベース・
アップによるもの、でございますが、そのほかに
受給人員の
見込みの修正による
増加も加わっております。他方において
既定計画に基く年金及び一時金の減少がございまして、差引この金額に相なっております。
地方交付税交付金千六百二十七億九千八百万円でございまして、当初
予算に比べて二百五十三億九千五百万、これも補正で百八十億九千万増額に触りましたが、その補正後に比べますと七十三億五百万円の
増加に相なっております。この
増加は
所得税、
法人税、酒税の
自然増もございますが、最も大きい理由は従来の
交付税率百分の二十二を百分の二十五にいたしたことによるものでございます。すなわち
地方財政につきましてはその再建をはかるためいろいろ施策をいたしておるわけでございます。まず
歳出面におきまして
地方行政機構の
合理化を中心とした
地方自治法の改正を行い、また
教育委員会の
公選制の
廃止等を予定いたしまして歳出の削減をはかっております。さらにまた
公共事業の
国庫補助率の
引上げ、またその他
補助金の整理、
合理化等を実施いたしまして、
地方団体の
財政負担を軽減する措置を講じております。さらに
歳入面におきましては、国鉄、電々、専売いわゆる三公社に対する
固定資産税の課税、これはもっとも課税という形式をとらないで
固定資産税の課税にかわる
納付金というような形式にいたしておりますが、実質的には
固定資産税の課税あるいは
軽油引取税の新設、
都市計画税の創設、さらに国及び
地方団体所有資産に対する
固定資産税の課税にかわる
交付金制度の創設、そういったいろいろな措置を講じまして、
実質的財源の充実もはかっております。さらにまた
公債費の累増に上る
地方財政負担の緩和の一助といたしまして、三十一年度に
償還期の到来する
地方債につきまして一部の借りかえを予定いたしております。また
地方相互間の
財源調整の観点から
入場譲与税の
配分方法の改訂も予定いたしております。こういういろいろな方策を講じました後に、なお生じまする財源の
不足額の
補てん策として、先ほど申し上げましたように
交付税率二二%を二五%に
引上げた次第でございまして、その結果、増額に相なったわけでございます。
それから
防衛支出金四百五億六千五百万でございまして、五十三億九千九百万の減少に相なっております。その内訳は次のページにございますが、
合衆国交付金におきまして三百億、前年に対し八十億の減少でございます。
施設提供等諸費九十九億五千五百万でございまして二十五億八千百万円の
増加でございます。
軍事顧問団経費六億一千万でございまして、二千万円の
増加でございます。この
施設提供等諸費の
増加、
軍事顧問団経費増額合せて二十六億百万の
増加でございますが、そのほかに次の
防衛庁経費千二億、ここで百三十三億九千九百万円
増加しておるわけでございまして、この
増加いたしました三つの項目の
増加額の
合計額百六十億の二分の一に相当する額を
合衆国交付金から減額をいたしたわけでございまして、その結果三百億円ということに相なります。
防衛庁経費は、ただいま申し上げましたように千二億でございまして、百三十三億九千九百、力の
増加になっておりますが、その
増加の基本になりました
防衛計画を申し上げますと、陸上におきましては
制服職員を一万人、
一般職員を三百六十二人
増加いたしまして、一
混成団及び三
特科大隊の新設を予定いたしております。
海上関係は
艦船建造七隻、
航空機の購入四機を計画いたしておりまして、このほかに米から艦船三十隻、
航空機三十機の供与を受ける前提のもとに、人員では
制服職員三千三百二十五人、
一般職員三百四十八人を
増加いたしております。
航空関係は、
航空団を一つ増設いたします。また
操縦教育の
充実等をはかることといたしておりまして、これに関連して米国からの飛行機の供与を受けますものを百十一機、
日本側の調達百二十機を予定いたしております。これを基礎といたしまして、人員の面では
制服職員四千八十八人、
一般職員七百七人を
増加いたしております。官房、
統幕会議等の若干の人員の
増加もございますが、千二億円の
予算額のほかに
国庫債務負担行為として百四十二億八千二百万、
継続費として二十七億千八百万円を計上いたしております。
国庫債務負担行為の内訳は、
装備品購入四億九千百万円、
航空機購入九十九億四千七百万円、
施設整備十四億百万円、
艦船建造二十四億四千三百万円、かような内訳になっております。
継続費は
潜水艦の建造のためのものでございまして、三カ年にわたる計画に相なっております。
次は、
賠償等特殊債務処理費百億円でございます。前年度当初
予算と同韻でございますが、前任、
度予算は補正の結果七十億に減額されまして、この百億円は来年度新たに設けられます
賠償等特殊債務処理特別会計にこれを受入れる予定でございます。この
特別会計におきましては、従来二十九年度、三十年度との同系統の経費の
不用額、
繰越見込額を受入れまして、会計二百二十億の収入、これをもって今後の
外交交渉の進展に備えている次第でございます。
次は、
公共事業関係費でございます。この点の説明は、非常に長くなっておりまして恐縮でございますが、極く要点だけを申し上げることといたします。
計上額は千四百十九億四千三百万円、
特別失業対策並びに
臨時就労対策事業費を含めますと千五百十八億四千三百万円ということに相なっております。今年は
公共事業の対象を若干広げております。すなわち新規の
事業として
工業用水道事業を加えまして、さらにまた
空港整備事業も加えることにいたしました。さらに
経済企画庁に
国土総合開発事業調整費を新たに計上することといたしまして、
国土総合開発事業の実施の円滑を期しております。この
公共事業費につきましても、三十年度の
予算につきまして補正が行われたわけでございます。二十ページの合計の欄に前年度の数字が出ておりますが、
カッコのない数字は千四百六十六億二千五百万でございまして、この数字は補正の結果千四百十億六百万と変りました。また
カッコのある数字が、当初
予算は千五百一億千五百万でございましたが、補正の結果千四百四十四億九千六百万円と変りました。従いまして対前年度の比較も、
カッコのない数字で申し上げますと、九億三千六百万円の
増加、
カッコのある数字で申し上げますと七十三億四千六百万円の
増加ということに相なっております。補正後の数字を一々申し上げますと頓雑でございますので、その点はいずれ刷り直した後でごらんいただくことといたしまして、補正前の比較で申し上げますと、各
事業種目別に申し上げますと、
治山治水事業費は八億五千七百万円の減少でございます。
道路整備事業費は八十四億一千万円の
増加でございます。
港湾漁港等整備事業費は七億四千二百万の
増加でございます。
食糧増産対策事業費は一億五千八百万円の
増加でございます。
災害復旧事業費は七十一億七千四百万円の減少でございます。
鉱害復旧事業では五千三百万円の減少でございます。
国土総合開発事業では五億円の
増加でございます。すなわちこれを大観いたしますと、
災害復旧費で大きく減少いたしまして、
道路整備事業費で大きく
増加いたしておる。この
道路整備事業費の
増加は
揮発油税収入額を
道路整備事業に充てるという
特別法の関係からくるものでございまして、そのうちの一部を先ほど申し上げました
特別失業対策事業に活用しようというような構想に相なっております。そのほかの
事業の費目につきましては増減さまざまでございますが、まあ大体において前年度の規模とそう大きくは変っていないわけでございます。
この総額の
公共事業費の
予算を積算するに当りましてとりました
基本方針でございますが、すでに引き続きまして
総花性の排除を重点として施行するということに重きを置いたことはもちろんでございます。そのほかに特に三十一年度は先ほど申し上げました
地方財政対策の一環といたしまして、全般的に補助率の
引き上げを行いまするほか、
事業量の調整を行いまして
地方財政負担の軽減をはかっておるわけでございます。その結果、
公共事業の
事業量の総量といたしましては当初
予算に比較いたしますと若干の減少にならざるを得なかったのでございますが、他面道路公団の新設による有料
道路整備事業の拡充、また昨年来行なっておりまする愛知用水公団、農地開発機械公団等の
事業の促進、農林漁業関係
事業費の増大がございますので、それらの点をあわせて考えました総
事業量は必ずしも前年度より減少いたしていないのでございます。これらの政府機関ないしは準政府機関による
事業量を含めました
公共事業ないしは準
公共事業による雇用量も前年度より減少いたしていないことを一言つけ加えて申し上げておきたいと存じます。
公共事業につきましての詳細は後の説明に譲りまして、次は住宅対策費でございます。百三億四千七百万円でございまして、当初
予算に比し六十九億九千九百万円の減少に相なっております。この減少いたしましたのは主としては住宅公団並びに住宅金融公庫に対する出資の減少でございます。この出資にかわりまして他の財政資金でもって出資または融資をいたしておるわけでございまして、
一般会計の
予算面こそ金額は減少いたしましたが、住宅対策費につきましてはむしろ前年度よりも発案されております。すなわち二十九ベージの表でごらんいただきますと、表の下から五段目くらいに小計という欄がございまして、そこに資金の合計が出ております。前年度は四百六十七億六千百万円、これは当初
予算の数字でございますが、補正で若干減少いたしまして四百六十三億七千万円に触ります。それに対しまして三十一年度は五百十二億八千三百万円でございます。すなわち補正前に比べましても約四十五億、補正後に比べますと四十九億の
増加に相なっておるわけでございます。建設の戸数は三十年度は政府資金によるものが十四万七千戸、もっともこれも補正で約二千戸が翌年度に送られることになりまして、十四万五千戸ということになりますが、それに対しまして三十一年度は十四万九千戸ということに相なっております。その他の住宅建築を合せまして三十一年度の住宅建設計画は四十三万二千戸ということに相なっている次第でございます。
出資及び投資は
一般会計から落としまして他の
財政投融資にゆだねておりますのでゼロでございます。
農業保険費百十一億六千百万円、補正前に比べまして三十四億一千八百万円の減少、補正後に比べましても六億一千八百万円の減少ということに相なっておりまして、この減少は昨年豊作でございましたために
一般会計からの
繰り入れが減少いたすその当然減少の要因に基くものが大部分でございます。補正の際の減少も同じような原因に基くものでございます。
外航船舶建造融資利子補給三十一億三千二百万、三億七千三百万円の減少でございます。補正後に比べますと二億四千七百万円の減少でございます。この減少は一般市中金利の低下に伴うものでございます。なお、新規の造船計画は二十二万トンを予定いたしておりまして、これに対する利子補給は従来の利子補給率の二分の一といたしております。
歳入でございます。歳入のうち租税及び印紙収入につきましては主税局長の説明に譲りまして一切省略をいたします。
専売
納付金、三十二ページでございます。当初
予算に比べまして四十七億七千六百万円を減じました千百二十四億が計上してございます。もっとも三十年度も補正減額をいたしましたので、補正減後に比べますと二億五百万、わずかに
増加ということに相なっております。御承知のようにピース、光等の上級たばこの売れ行きが不振でございまして、三十年度も補正減を余儀なくされたのでございますが、来年度におきましては、品種の新設、価格体系の整備等あらゆる努力を加えることにいたしまして、三十年度の当初
予算と同程度の益金を上げる目標のもとに三十一年度の
予算を計上いたしております。ただたばこ消費税が三十一年度から増額いたしますので、その増額分だけが三十年度の当初
予算に対する減少ということに相なっておりまして四十七億七千六百万円を減じた次第でございます。
官業益金及び官業収入直三十六億一千九百万円でございまして、補正前に比べて十四億千三百万、補正後に比べましても約十億の
増加でございます。この
増加の主なるものは官業収入の中の大学付属病院等の収入の
増加でございます。
政府資産整理収入七十七億二千二百万円でございます。補任前の前年度に比べますと五億七千六百方の
増加でございますが、補正で八十二億五千百万円ということに相なりました。それに比べますと来年度は五億二千九百万円の減少ということに相なります。この中で特に減少いたしておりますのは国有財産売払収入でございます。他方回収金収入におきましては若干の
増加と相なっております。
雑収入でございます。三百六十億八千六百万円、当初
予算に比較いたしますと二十九億四百万円の減少、補正後は三十年度が四百八十三億と約九十億も
増加いたしましたので、これに比較しますと百二十二億の減少ということに相なります。減少の主たる理由は日銀
納付金でございます。金融の正常化に伴いまして日銀の貸し出しが減少いたしましたために、日銀の収益が減少いたしまして、そのために
納付金が減少いたしましたのが最も大きな原因でございます。その他の理由といたしましては、補正の際に、特殊物資差益の
納付金であるとか、あるいはタイ特別円に関連した日銀からの返償金であるとか、さような臨時的な収入が補正に追加されたのでございますが、これは一年限りの収入でございますので、来年度といたしましては大幅に減少せざるを得ないわけでございます。
前年度
剰余金は二十九年度の決算上の
剰余金をそのまま計上いたしております。
次は、
特別会計でございますが、交付税及び譲与税配付金
特別会計は
一般会計からの交付税を受け入れまして地方に配付いたしまするほかに、入場税と地方道路税を地方に譲与する機能をもっております。一言申し上げておきたいことは入場税でございます。前年度に引き続きまして三十一年度も入場税収入の全額を地方に譲与することといたしました。百六十二億を計上いたしておるわけでございます。
次に、資金運用部
特別会計、産業投資
特別会計、余剰農産物資金融通
特別会計につきましては、
財政投融資の際の説明に譲りまして省略いたします。
賠償等特殊債務処理特別会計につきましては先ほども申し上げましたが、
一般会計からの受け入れ百億円のほか、二十九年度、三十年度の同系統の
予算の
剰余金を百二十億受け入れまして二百二十億を歳入とし、これに対する歳出といたしましては、対外債務の支払いの確実度に従いまして百五十億円を
賠償等特殊債務処理費、七十億円を予備費に計上いたしております。
厚生保険
特別会計、それから船員保険
特別会計につきましては、先ほど
社会保険費の際に申し上げましたので省略をいたします。
次は、食糧管理
特別会計でございます。これにつきましては、まず食糧管理制度につきましては、その急変を避けまして、差し当り普通外米の消費規制をはずすということを考えておりまするほかは、大体従前通り、すなわち米の集荷につきましては三十年度と同じく事前売渡申込制度を継続する、さような大前提の下に
予算を編成いたしております。米麦の取扱い数量でございますが、米につきましては平年度作程度を考えまして、当年産米二千三百五十万石を考えております。また麦につきましては前年買入れ実績とほぼ同程度の数量を考えて侮ります。テンサイ糖、輸入飼料、澱粉、カンショ、菜種等につきましても従来通りの取扱いをいたしております。ただ一つ申し上げたいことは砂糖の問題でございます。砂糖の輸入差益につきましては、三十年度以来いろいろ問題がございましたが、三十一年度以降は砂糖輸入関税の
引き上げによって輸入差益を吸収することといたしまして、糖価の安定につきましては別途関係業界の自主的調整措置を期待いたしております。しかしその自主的調整措置でもなお糖価の安定が得られないときは、この食糧管理
特別会計におきまして、所量の売買を行い得る道を開いております。この点が取扱い品目で従来に加わった点でございます。米麦の買い入れ価格でございますが、これは三十年度の米麦の買い入れ価格の算定に準拠した方式によりまして、ただ農業パリティ指数のその後の変化を織り込んで
予算上の米麦価を計算いたしております。すなわち米につきましては石当り九千九百六十円、以下省略をいたしますが、そういうパリティの推移を織り込んだ
予算米麦価をもって
予算を積算をいたしております。消費者価格は、米につきましては据え置きでございます。麦価につきましては昨年七月にきまりました価格を基準といたしまして、その後の実勢を考慮して改訂を予定して
予算上の消費者麦価を計算いたしております。
次は、開拓者、国有林野、糸価安定等につきましては省略いたしまして、四十二ページの輸出保険
特別会計でございます。この会計で新たなる計画といたしまして、海外投資の活発化をはかるために海外投資保険制度を新設をいたしておりまするが、そのほかに現行制度につきましても海外建設
事業の請負代金及び技術の対価に輸出代金保険を拡張いたしまして、輸出の振興に寄与することを期しておるわけでございます。
それから
特定物資納付金処理特別会計、これは新設でございまして、三十年
度予算は成立いたしましたが、関係法案の不成立のため補正で削除していただきました特殊物資
納付金にかかる新会計でございまして、取扱い品目といたしましてはバナナ、パイナップルのカン詰、時計、スジコ等の輸入利益の大きい物資を対象といたしておりまして、吸い上げます収益は十六億円を計上いたしております。
それから郵政
事業特別会計でございますが、この会計に関連して一、二申し上げますと、郵便貯金の
増加目標は九百九十億円でございます。また郵便局舎緊急改善八カ年計画の第二年度に当りますの、で、局舎その他の建設費は四十三億円を計上いたしております。
簡易保険、これも財政投資の際の説明にゆだねまして、最後に特定
道路整備事業特別会計でございます。この会計は新しく設けられる予定の道路公団にその
事業を引き継ぐわけでございますが、その引き継ぎまするまでの間の期間における
特別会計予算を計上いたしておるわけでございまして、一、二カ月の後には道路公団にこの
事業の引き継ぎを予定いたしております。
政府関係機関でございます。専売公社につきましては、先ほど簡単に
納付金のことを申し上げましたので省略いたします。
日本国有鉄道でございますが、建設勘定の規模だけを申し上げます。四十六ページにございますように五百八十三億七千百万、前年度は五百二十六億でございまして、五、六十億の
増加に相なっております。その内訳は新線建設費五十五億、通勤輸送五十七億三千万、幹線輸送二十六億、幹線電化八十億、この辺に最も力を入れております。交流電化二億五千万円、車両増備二十二億七千五百万円、取りかえおよび諸改良二百八十億三千二百万円、その他五十九億四千万、かような内訳に相なっております。この財源といたしましては損益勘定から受け入れまするもののほかに、
借入金として五十五億、公募鉄道債券として二百四十億円、これがおもなものに相なっております。
日本電信電話公社につきましても建設勘定の規模だけを申し上げますと、四十七ページにございますように五百五十五億九百万、前年度は五百十三億四千八百万円でございます。その資金源といたしましては減価償却その他損益勘定より受け入れまするもののほか、電信電話債券といたしましては百四十億円、うち公募が八十五億円、五十五億円は受益者引受分、さような内訳に相なっております。
国民金融公庫、住宅金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫につきましては財政投資の説明のときに譲ります。
北海道開発公庫、これは新しく政府機関として発足を予定いたしておるものですが、その資金計画は合計八十億円でございまして、内訳といたしましては産特からの出資十億円、資金運用部からの借り入れ三十億円、北海道開発債券の発行四十億円、かような内訳に相なっております。
開銀、輸銀につきましても財政投資の際の説明に譲ることにいたしまして私の説明を終りといたします。