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1956-06-02 第24回国会 参議院 本会議 第59号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年六月二日(土曜日)    午前零時三十三分開議   ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第五十九号   昭和三十一年六月二日    午前零時十分開議  第一 事務総長芥川治不信任決   議案江田三郎発議)(前会の続)  第二 余剰農産物資金融通特別会計法の一部を改正する法律案   (内閣提出衆議院送付) (委員長報告)  第三 国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律案内閣提出衆議院送付) (委員長報告)  第四 特定物資納付金処理特別会   計法案内閣提出衆議院送付) (委員長報告)  第五 金融制度調査会設置法案内閣提出衆議院送付) (委員長報告)  第六 税理士法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) (委員長報告)  第七 物品税法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) (委員長報告)  第八 気象業務法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) (委員長報告)  第九 地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) (委員長報告)  第一〇 地方自治法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律の整理に関する法律案内閣提出衆議院送付) (委員長報告)  第一一 国防会議構成等に関する法律案内閣提出衆議院送付) (委員長報告)  第一二 通商産業省設置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) (委員長報告)  第十三 農林省設置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) (委員長報告)  第一四 昭和二十三年六月三十日以前に給与事由の生じた恩給等の年額の改定に関する法律案内閣提出衆議院送付) (委員長報告)  第一五 電源開発促進法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) (委員長報告)  第一六 千島歯舞諸島返還等に関する請願 (委員長報告)  第十七 千島列島返還等に関する請願 (委員長報告)  第一八 李承晩ラインによるだ捕抑留漁船乗組員釈放等請願 (委員長報告)  第一九 韓国抑留漁船乗組員の送還に関する請願(二件) (委員長報告)  第二〇 京都植物園接収解除促進に関する請願 (委員長報告)  第二一 名古屋市内駐留軍家族住宅移転促進に関する請願 (委員長報告)  第二二 駐留軍使用の大津水耕農園等の用地を地元被害農民に払下げするの請願 (委員長報告)  第二三 福岡地方簡易保険局大濠庁舎返還促進に関する請願 (委員長報告)  第二四 名古屋市白川町接収地域返還に関する請願 (委員長報告)  第二五 長崎県鳥島区域駐留軍爆撃演習廃止に関する請願委員長報告)  第二六 奄美大島知名町に米軍飛行場基地設定反対請願 (委員長報告)  第二七 日ソ日中国交回復促進に関する請願(二件) (委員長報告)  第二八 オットセイ保護条約締結進等に関する請願  (委員長報告)  第二九 太平洋水域における水爆実験中止請願(十件) (委員長報告)  第三〇 太平洋水域における水爆実験中止等請願(四件) (委員長報告)  第三一 原水爆実験禁止に関する請願(六件) (委員長報告)  第三二 原水爆実験禁止等に関する請願(七件) (委員長報告)  第三三 公海における水爆実験禁止請願 (委員長報告)  第三四 人権擁護事業予算増額に関する請願(二十件) (委員長報告)  第三五 高知地方法務局赤岡支局改築に関する請願 (委員長報告)  第三六 埼玉県皆野町に浦和地方法務局出張所設置請願 (委員長報告)  第三七 山口県宇部市に山口地方裁判所支部等設置請願 (委員長報告)  第三八 宮城築館簡易裁判所家庭裁判所併置請願 (委員長報告)  第三九 秋田県米内沢町に簡易裁判所等設置請願 (委員長報告)  第四〇 徳島刑務所移転に関する請願 (委員長報告)  第四一 売春問題に関する請願 (委員長報告)  第四二 売春禁止法制定促進に関する請願 (委員長報告)  第四三 売春防止法制定促進に関する請願(二件) (委員長報告)  第四四 戸籍法第百二十八条改正に関する請願 (委員長報告)  第四五 大阪拘置所都島区内移築反対に関する請願(三件) (委員長報告)  第四六 大阪拘置所移転にかかる国有財産不当処分反対請願 (委員長報告)  第四七 大阪拘置所茨田横堤移転に関する請願 (委員長報告)  第四八 長野伊那警察署不当取調調査に関する請願 (委員長報告)  第四九 中国における日本見本市開催に関する請願(八件) (委員長報告)  第五〇 中国向け木造船輸出特認に関する請願 (委員長報告)  第五一 木造船中国向け輸出禁止解除に関する請願 (委員長報告)  第五二 長野八ヶ岳いおう採掘反対に関する請願(二件) (委員長報告)  第五三 大分県新馬上金山鉱害による損害補償請願 (委員長報告)  第五四 道南地方地下資源調査に関する請願 (委員長報告)  第五五 北海道遠別町の地下資源開発促進に関する請願 (委員長報告)  第五六 石油資源開発株式会社に対する国家投資請願 (委員長報告)  第五七 山形県の石油等開発促進に関する請願 (委員長報告)  第五八 鉱害賠償及び鉱害復旧制度強化に関する請願 (委員長報告)  第五九 只見川電源開発促進等に関する請願 (委員長報告)  第六〇 国立只見資源公園設定に関する請願 (委員長報告)  第六一 北海道石崎川電源開発に関する請願 (委員長報告)  第六二 北海道落部、野田追両河川の電渡開発に関する請願 (委員長報告)  第六三 山形朝日川地区電源開発事業促進等に関する請願 (委員長報告)  第六四 長野松本市に商工組合中央金庫出張所設置請願(二件) (委員長報告)  第六五 余剰農産物見返円の中小企業導入に関する請願(二件) (委員長報告)  第六六 中小企業振興対策に関する請願 (委員長報告)  第六七 火災保険協同組合法制化に関する請願 (委員長報告)  第六八 中小企業等協同組合法第九条改正に関する請願(三件) (委員長報告)  第六九 在外財産処理促進に関する請願 (委員長報告)  第七〇 引揚者の在外財産補償に関する請願 (委員長報告)  第七一 福島県立たばこ試験場国立移管に関する請願 (委員長報告)  第七二 対日平和条約発効前の沖縄における米軍使用による土地等損失補償請願 (委員長報告)  第七三 信用保証協会国家財政資金導入等請願 (委員長報告)  第七四 鹿児島県桜島噴火降灰によるたばこ耕作被害対策請願 (委員長報告)  第七五 在外財産補償に関する請願 (委員長報告)  第七六 岩手県盛岡市附近に国立たばこ試験場設置請願 (委員長報告)  第七七 岩手県大船渡市に設置される東北製塩株式会社製塩許可促進請願 (委員長報告)  第七八 紅、おしろい等物品税軽減に関する請願 (委員長報告)  第七九 北海道滝川滝川電報電話局庁舎新築に関する請願 (委員長報告)  第八〇 新潟県にテレビジョン放送局設置促進請願 (委員長報告)  第八一 茨城県久慈川改修工事施行に関する請願 (委員長報告)  第八二 宮城広瀬川筋仙台評定河原橋災害復旧工事費国庫補助金早期交付等に関する請願 (委員長報告)  第八三 京都大野ダム建設に伴う損害補償等請願委員長報告)  第八四 茨城県横利根川ひ門開放に関する請願 (委員長報告)  第八五 一級国道三号線中久留米、八女両市間舗装工事施行に関する請願 (委員長報告)  第八六 放射第一号路線中五反田駅ガード築造等に関する請願 (委員長報告)   ━━━━━━━━━━━━━
  2. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。    ————————
  3. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) これより本日の会議を開きます。(「議長議事進行について」と呼ぶ者あり)  一言申し述べます。昨夜の会議で休憩しましたのは、開会に当り、手違いがあった点もあるからであります。(「何が手違いだ」と呼ぶ者あり)    ————————
  4. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 日程第一、事務総長芥川治不信任決議案江田三郎発議)を、前会に引き続き議題といたします。    ————————
  5. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 川村松助君外五名から、賛成者を得て……(「議事進行」「議長議事進行について」と呼ぶ者あり、その他発言する者多く、議場騒然発言は後ほど……(「何が後ほどだ」と呼ぶ者あり)議事進行についての発言に対しては後ほど……(「後ほどとは何だ」「議事進行なぜ許さぬか」と呼ぶ者あり、その他発言する者、離席する者多く議場騒然)  川村松助君外五名の賛成を得て……(「何を言うんだ、議事進行優先じゃないか」「進行々々」「開会の瞬間に要求しているじゃないか」「議事進行は最優先だ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多く議場騒然)  川村松助君ほか……。(「議事進行発言を許しなさい」と呼ぶ者あり、その他発言する者多く議場騒然)   〔重盛壽治発言許可を求む〕
  6. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 重盛壽治君、登壇を求めます。   〔重盛壽治登壇拍手
  7. 重盛壽治

    重盛壽治君 議事進行について一言発言をさしていただきたいと存じます。  まず最初に、どのような問題で議事が停頓しておるかを申し上げなければなりませんが、当面いたします第一点は、昨夜来のこの会議の席上におきまして、(発言する者多し)静粛に聞いていただきませんと、諸君のヤジの時間だけは延長することを、前もってお断わりをいたしておきます。(拍手松野議長の取り計らった態度がきわめて不明朗であり、しかも、その釈明に至っては、言語道断であり、私どもはただにこの釈明が、われわれ社会党に対して、いな、私どもに対しての釈明であるならば、あるいは認容することができるかもしれませんが、参議院議員全体の将来を考えまする場合に、いかにルールのない場合といえども、このような釈明によって容赦することは断じてでき得ないのであります。なおまた、このような混乱を何ゆえ引き起したかの原因を考えてみなければならぬのであります。  さらに言うならば、いま一点基本的な問題は、なぜ一体暁国会をやらなければならぬか、まだ会期はあすもある今日の段階において、暁国会をやらなければならないような事態がどこから生じたかということは、諸君が十分知っているはずだ。私はしいてこの暁国会を開かなければならぬ原因を考えてみまするならば、いわゆる議長の不手際は当然でありまするけれども、より肝心な問題は、今日の政府の考えている考え方原因が基因しているのであります。(拍手)その原因とは一体何であるか、この暁国会までして、しかも、この騒擾の中において決定をしようとする法案が、どの法案一体国民のために必要な法案でありましょうか。教育法案が、国民の生活の安定のために必要でありましょうか。あるいはまた健康保険の改悪が、あるいはまた国防会議法が、その一つ一つを考えてみまする場合、主権在民でありまする今日、九千万国民が、この議案のうち一点でも、ぜひ一つ作って下さいという議案があるならば、われわれは暁国会であろうとも、あるいは延長国会であろうとも、真剣になってこれを審議するであろう。(拍手)しかるに、今日提出されているところの議案一つ一つを考えてみまするならば、せっかくの日本の優位な立場一つ一つ破壊して行くところの反動立法であり、党利党略に基く法律であることを、私は申し上げたいのであります。(拍手)  なぜ反動立法であるのか、私は今さら諸君の前に、このような説明をしたくないのでありまするが、いわゆる日本平和憲法の二章の九条、戦争を放棄しているというらち内において、自民党が吉田内閣以来、今日までとってきた政策を考えますならば、一年々々、危険な方向にとうとうと進んでおる。この姿が、ついに今日では、いわゆる弱い国民に大きな圧力をかけ、多くの税を取って、そうしてどんどんと不必要な再軍備に移行しておるとき、この姿が今日の国会のいわゆるまとまらざる姿に現われて参っておるのであります。もっと私は、率直に時間がございませんから申し上げますならば、もし今日の自由民主党が、ほんとう国民立場に立って、今日の憲法の上に立っての運営がされておるならば、いつこのような延長国会になったり、あるいは議長の卓をたたいたりするような事態が起るでありましょうか。そのほんとうの精神を忘れて、いわゆる率直に、何であるかわからぬならば教えてあげましょう。諸君の目から見れば、強いという米国にぶら下って、安保条約行政協定というものにわたってこの線にぶら下り、しかも憲法改正しようというときは、戦争のあれは遺産だ、マッカーサー憲法だから変えようと言いながら、事実は、国民のために憲法を変えようとしておるかというと、そうではない。諸君のためであるならば、私は認容するのであるが、ダレスの圧力によって、米国のために日本憲法改正しようとしているではありませんか、(拍手)こうした間違った、いわゆる……、(「でたらめもほどほどにせよ」と呼ぶ者あり)でたらめであるかどうか聞きたまえ、君が発言するだけこの時間が延びますよ。弱い者に圧力をかけて、強い者にぶら下って行く。それだから、いわゆる正常なる外交がなし得なかった。私ども松本全権が失敗して帰ってきたから、あるいは河野農林大臣拙速協約によって、場合によっては、日本の将来の大きな希望も捨てなければならぬような姿の上に立って外交をやってくるという、この屈辱的な姿を見る場合に、何という情ないことであるのか。日本の力を、単なる米国にぶら下っておることが力であると考えたり、諸君年々歳々改正をしているところのいわめる自衛隊を強化して行く、このようなことが、日本の力であると考えておるというようなことは、錯覚でなくて何でありましょうか。このようなものは、日本の力でないことは、国民の九千万が知っております。今日の日本の力は、ただ一つ日本のあらゆる一人々々の民族が持っておる考え方である。諸君はそうでもないかしらぬけれども憲法の二章の九条で戦争を放棄しておるということは、日本を平和に持って行くということでなくて、世界を平和に築き上げて行くという大きな感覚があるはずである。(拍手)今、世界民族の中で、どこのどの民族戦争を好む民族があるでありましょう。この日本ほんとうの力を今日使い得るならば、堂々として米国にも発言権があるだろう。ソ連に対しても堂々と言い得るであろう。世界いずれに向っても、日本政府が、一ぺん体当りして、軍縮をやって、ほんとう世界の平和を打ち立てようじゃないかという号令をなぜかけないか。一ぺんもその運動をすることなく、追従外交に終始して、そして今日のような姿に追い込んで、やむなく憲法改正をしなければならぬという姿は、だれがやった仕事であるか、吉田内閣以来、自由党が、あるいは自由民主党が、これを中心として今日の日本の情ない姿に一歩々々追い込んで行っておるではありませんか。その現われが今日出てきておるところの国防会議法であり、あるいは憲法調査会設置、小選挙区制、何ですか、あの小選挙区制というようなぶざまなものを作って、そうしてじゃじゃ馬のような、諸君の仲間の衆議院議員を三十人もふやそうというようなことが、今日の正常な考え方ででき得るでありましょうか。それだけでは足りなくて、先ほど来、清瀬文相は、今おらぬが、同僚議員江田君が指摘したように、時代おくれの、すでに感覚のなくなった者の命令をこれ最上のものとして、教育法の二法を変えて、いわゆる中央集権を志すがごとき考え方から、ここに今日のような混乱原因が現われておるのであります。(拍手)従って私はこの壇上から諸君に申し上げたいことは、言うまでもなく日本国会衆議院参議院の二つに相なっておるのであります。衆議院には四百六十七名の議員がおって、ここで法律を作って参議院に送ってよこす。参議院は言うまでもなく二百五十名の諸君とともに、若干いわゆる国民立場に立ってこれを審議する。今日衆議院で作られておる法律が、一つでも国民中心とした法律があるであろうか。吉田内閣以来、すべて党利党略中心としたるもので、吉田内閣のときには、自由党政策が全部法律になって回ってきた。今日ではいわゆる自由民主党法律が今日参議院に回されてくる。私どもはこれをみる場合に、果してこれが日本国民生活安定に必要であるかどうかということを考えますならば、もし衆議院と同じように多数によってものが決せられ、力によって参議院を通過するとするならば、私は今日このときに限り、参議院必要性を否定しなければならないのであります。(拍手)けれども諸君が御承知のように衆議院が……(「わかった、わかった」と呼ぶ者あり)すでに、わかりましたか。わかったならば、大部分やめておきますが……
  8. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 重盛君、重盛君、時間がきました。
  9. 重盛壽治

    重盛壽治君(続) 私は、参議院はなくてもよいやに考えられると申し上げましたけれども、今日の衆議院の実態を見まするならば、決して、参議院はなくてはならない。ほんとう党利党略、多数横暴衆議院法案を通過してよこすといたしますならば、せめて参議院で修正をし、改正をし、そうして国民立場に立つ法案一つ一作り上げていくのが、今日われわれに与えられた任務であろうかと存ずるのであります。(拍手)  従って、私どもほんとう参議院の将来を考えますならば、私ども全部が満点であったとはわれわれも言い得ない、けれども、こうした原因を作った、しかも多数横暴によって、無理に委員会審議も省略いたしまして、本会議ですべてを決定しようという、参議院にもついに力の政治が現われてきたということでありますならば、私どもは断固としてこれを守って参らなければなりません。(拍手)われわれは諸君議長をとり、しかも副議長をおとりになるときに、参議院運営を御考慮願うならば、多数党が二人の正副議長をとることは、将来必ずや混乱を起すであろうということで反対をしたことは御承知通りである。果せるかな、議長といい、副議長は、私は今目の前におりまするから、いろいろ申し上げませんが、先ほどの松野議長のごとき態度のものが、党の立場から押されて、ほんとう参議院議長としての任務を遂行しないような粗雑なものであるということを……。
  10. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 重盛君、時間がきました。
  11. 重盛壽治

    重盛壽治君(続) われわれは考えた場合に、この議長があることによって参議院運営は円滑に参らない。私どもはこのように考えますならば、いわゆる議事進行せしめるためには、どうなさねばならぬか。まず、議長の昨夜来の大失敗をこの際明確にさせるべきである。一たび私は釈明と称して持ち出したものを読んでみましょう。「一言申し述べます。昨夜の会議で休憩しましたのは、開会に当り、手違いがあった点もあるからであります」と、こういう文章日本の国の文章にありますか、一体。(「何だ、それは」と呼ぶ者あり)「あった点もあるからであります」と書いてあるが、私は河野君にもああした事態、この事が、もう少し明確にされ、そして、謝罪をすべきものは謝罪をして、その後、副議長寺尾君がすわるべきである。寺尾君また党の要請によって、党利党略の片棒をかついで議長席に着いたとするならば、私は、この議長のもとにおける審議は、必ずや停頓するであろう。従って、何ゆえに私は、いわゆる議事進行発言したかといいますならば……。
  12. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 重盛君、時間が来ました。時間です。
  13. 重盛壽治

    重盛壽治君(続) 当然議長が出て参りまして、議長事故があるということが明瞭になり、われわれが議長態度を了とし、しかる後に寺尾君がすわるならば、これは了承し得るのであります。けれども、この手続ができておらぬということ、まだ余す会期があるのに暁国会を開かねばならぬという、こうした二点が議長によって明快にされない限りにおきましては、私は本日の会議を進めて行くことはでき得ないと考えるのであります。(拍手)そのような意味合いに立って、寺尾議長が盛んにベルを鳴らしておりまするから、私は、議事進行をするためには、この文章議長の手によって明確に書き直しなさい、われわれが納得する姿の文章をここにお出しを願うということが一点、暁国会を何ゆえやらねばならぬかということが一点、明確に御答弁願った上で議事に参与をいたしたいと考えておる次第であります。(「議長答弁しろ」「いかなる事故があるのか、議長は」と呼ぶ者あり)
  14. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 昨夜の休憩の事情は、先ほど申し上げた通りであります。  ただいま本会議を開いているのは、会期末を明日に控えている事情によるわけであります。(拍手議場騒然)    ————————
  15. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) ……(議場騒然、聴取不能)……賛成者を得て、本日の議事における発言時間は、委員長報告及び趣旨説明については二十分(「短かい」と呼ぶ者あり)質疑、討論その他の発言については一人十分に制限することの動議が提出されております。  これより本動議の採決をいたします。本動議の表決は、記名投票をもって行います。本動議賛成諸君白色票を、反対諸君青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  氏名点呼を行います。議場閉鎖を命じます。   〔議場閉鎖〕   〔参事氏名点呼〕   〔投票執行
  16. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) お早く御投票を願います。……すみやかに御投票を願います。(「こういう言論の統制をするようなのはなかなか応じられません」と呼ぶ者あり)お早く御投票を願います。(「反対投票がそんなにやすやすできるものか」と呼ぶ者あり)お早く御投票を願います。(「いやな投票がそうやすやすとできるか」と呼ぶ者あり)お早く御投票を願います。(「はあい」と呼ぶ者あり)すみやかに御投票願います。(「まだ四十七時間あるでしょう」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)お早く御投票を願います。(「はあい」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)お早く御投票願います。(「はあい」と呼ぶ者あり)すみやかに御投票願います。「曉国会ならゆっくりやるぞ」と呼ぶ者あり)お早く御投票願います。(「はあい」「四十七時間あるぞ、四十七時間」と呼ぶ者あり)お早く願います。(「はあい」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)すみやかに御投票を願います。(「どうした、衛視を呼んでおいで、衛視を」と呼ぶ者あり)お早く御投票を願います。(「はあい」と呼ぶ者あり)すみやかに御投票を願います。  ただいま行われております投票は……(発言する者多く、議場騒然、聴取不能)……分に制限をいたします。(「何だ、三十分か」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)お早く御投票を願います。(発言する者多し)お早く御投票を願います。(「投票くらいゆっくりやらせろ」「暁国会までやっているじゃないか」と呼ぶ者あり)すみやかに御投票願います。(「議長、もう少し変化のあることを言ってくれ」と呼ぶ者あり)あと八分でございます。(「芸がこまかいぞ」と呼ぶ者あり、その他発、言する者多し)お早く願います。(「寺尾議長にしては筋が通らぬ」と呼ぶ者あり)お早く御投票を願います。(「生命の保障に関する緊急動議を出さなければいかぬよ」「睡眠時間確保に関する緊急動議」と呼ぶ者あり)お早く願います。(「議長にそんな権限ないよ」と呼ぶ者あり)お早く御投票を願います。(「睡眠時間も食事の時間も無視するということは、たとえあしたが会期切れだって許されぬ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)御投票を願います。(「何時までやるか聞かせろ」と呼ぶ者あり)お早く願います。(「寺尾さん、投票くらいけちけちしなさんな」「暁国会までして」と呼ぶ者あり)お早く御投票願います。(「おいおい何を聞いたのだ」「はっきりせい、何か知恵つけたな」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)お早く御投票願います。(「女子の深夜業はいけないのだぞ」「国際的な問題になるぞ」と呼ぶ者あり)お早く御投票願います。(「労働強化だぞ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)お早く御投票願います。(「よろしい、もう一回お早くと言ったら入れる」と呼ぶ者あり)お早く御投票願います。(「よろしい」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)お早く御投票願います。(「人権無視だよ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)お早くお投票願います。(「詰めていきましょう、もう余り時間ないぞ」「閉鎖々々」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)お早く御投票願います。(一人々々、早く詰めて下さい、投票箱付近にいなければ」と呼ぶ者あり)お早く御投票願います。(「下手に投票箱を閉鎖したらわっとくるから用心しなければ」「歩け、歩け」と呼ぶ者あり)お早く御投票を願います。(「はい」「間もなく時間になるぞ」と呼ぶ者あり)お早く御投票を願います。(「黙って寝ておれ」と呼ぶ者あり)お早く御投票をお願いいたします。(「こっちも眠いから、なかなかそう早くはいかぬのだよ」と呼ぶ者あり)お早く御投票を願います。  時間が参りました。お早く願います。(「まだまだある」「議長、あわてるな」「議長、われわれはいつまでやったら眠れるのだ」「衛視引っ込め」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)すみやかに御投票をお願い申し上げます。……お早く願います。(「衛視、何で入ってくる」と呼ぶ者あり)すみやかに御投票を願います。(「議長、どこへ寝かしてくれるのですか」「衛視引っ込め」「衛視が引っ込むまで投票するな」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)お早く御投票を願います。  投票漏れはございませんか。……投票漏れはないと認めます。  これより開票いたします。投票を参事に計算いたさせます。議場の開鎖を命じます。   〔議場開鎖〕   〔参事投票を計算〕
  17. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数 百九十二票   白色票  百二十八票   青色票   六十四票  よって、本日の議事における発言時間は、委員長報告及び趣旨説明については二十分、質疑、討論その他の発言については、一人十分に制限することに決しました。(拍手)      —————・—————   〔参照〕  賛成者白色票)氏名      百二十八名       上林 忠次君    柏木 庫治君       井野 碩哉君    山川 良一君       赤木 正雄君    森田 義衞君       森 八三一君    村上 義一君       溝口 三郎君    三浦 辰雄君       廣瀬 久忠君    早川 愼一君       野田 俊作君    中山 福藏君       豊田 雅孝君    常岡 一郎君       田村 文吉君    竹下 豐次君       高橋 道男君    高木 正夫君       島村 軍次君    佐藤 尚武君       河野 謙三君    後藤 文夫君       武藤 常介君    大谷 瑩潤君       白波瀬米吉君    松原 一彦君       西岡 ハル君    井上 清一君       伊能 芳雄君    小沢久太郎君       青柳 秀夫君    佐藤清一郎君       酒井 利雄君    有馬 英二君       仁田 竹一君    滝井治三郎君       関根 久藏君    吉田 萬次君       白川 一雄君    木村 守江君       菊田 七平君    岡田 信次君       中川 幸平君    田中 啓一君       榊原  亨君    高橋進太郎君       上原 正吉君    大矢半次郎君       藤野 繁雄君    木島 虎藏君       西川甚五郎君    宮田 重文君       植竹 春彦君    谷口弥三郎君       三浦 義男君    左藤 義詮君       館  哲二君    石原幹市郎君       中川 以良君    池田宇右衞門君       鶴見 祐輔君    青木 一男君       野村吉三郎君    泉山 三六君       津島 壽一君    苫米地義三君       大野木秀次郎君    斎藤  昇君       佐野  廣君    小幡 治和君       宮澤 喜一君    大谷 贇雄君       石井  桂君    雨森 常夫君       西川弥平治君    白井  勇君       横山 フク君    高橋  衛君       深川タマヱ君    長島 銀藏君       宮本 邦彦君    最上 英子君       小滝  彬君    青山 正一君       紅露 みつ君    山本 米治君       秋山俊一郎君    石川 榮一君       石村 幸作君    剱木 亨弘君       加藤 武徳君    高野 一夫君       横川 信夫君    松岡 平市君       野本 品吉君    堀末  治君       西郷吉之助君    堀木 鎌三君       郡  祐一君    笹森 順造君       黒川 武雄君    一松 定吉君       木村篤太郎君    大屋 晋三君       石坂 豊一君    三木與吉郎君       新谷寅三郎君    小西 英雄君       井村 徳二君    島津 忠彦君       岡崎 真一君    重政 庸徳君       安井  謙君    入交 太藏君       小柳 牧衞君    川口爲之助君       木内 四郎君    深水 六郎君       古池 信三君    山縣 勝見君       重宗 雄三君    草葉 隆圓君       亀田 得治君    大和 与一君       加瀬  完君    千葉  信君     —————————————  反対者(青色票)氏名      六十四名       高田なほ子君    久保  等君       清澤 俊英君    山本 經勝君       山口 重彦君    安部キミ子君       岡  三郎君    海野 三朗君       河合 義一君    三輪 貞治君       田中  一君    永井純一郎君       上條 愛一君    東   隆君       荒木正三郎君    三橋八次郎君       小笠原二三男君    平林  剛君       竹中 勝男君    内村 清次君       赤松 常子君    山下 義信君       木下 源吾君    山田 節男君       藤原 道子君    野溝  勝君       栗山 良夫君    村尾 重雄君       相馬 助治君    佐多 忠隆君       市川 房枝君    須藤 五郎君       羽仁 五郎君    堀  眞琴君       木村禧八郎君    鈴木  一君       成瀬 幡治君    若木 勝藏君       千田  正君    江田 三郎君       小林 孝平君    矢嶋 三義君       菊川 孝夫君    片岡 文重君       小松 正雄君    重盛 壽治君       吉田 法晴君    藤田  進君       湯山  勇君    近藤 信一君       田畑 金光君    大倉 精一君       永岡 光治君    阿具根 登君       天田 勝正君    松浦 清一君       秋山 長造君    棚橋 小虎君       曾禰  益君    松澤 兼人君       中田 吉雄君    森下 政一君       小酒井義男君    戸叶  武君    ————————
  18. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 天田勝正君外一名から、賛成者を得て、直ちに休憩することの動議が提出せられました。  これより本動議の採決をいたします。表決は、記名投票をもって行います。本動議賛成諸君白色票を、反対諸君青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  氏名点呼を行います。議場閉鎖を命じます。   〔議場閉鎖〕   〔参事氏名点呼〕   〔投票執行
  19. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) お早く御投票を願います。(「議運開いて、ちゃんと、成規に乗せろ、相談して」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)お早く御投票を願います。(「これはいつ休みますか」「皆さんがきめろということなんだから、議運の理事会で打ち合せてくれ」「時間がきまるまで投票ストップ」と呼ぶ者あり)お早く御投票を願います。(「進行々々」「場内交渉でやれよ」と呼ぶ者あり)お早く御投票を願います。(「自民党さんの方もこの休憩には賛成なんだから、両派で休憩時間を話し合うことなんだ」と呼ぶ者あり)すみやかに御投票を願います。(「議長もう少し親切にやれ」と呼ぶ者あり)お早く御投票を願います。(「時間々々」「せめて寝る時間くらい協定したらどうだ」と呼ぶ者あり)すみやかに御投票願います。(「時間制限」と呼ぶ者あり)お早く御投票願います。(「寝ないでやろう」と呼ぶ者あり)すみやかに御投票を願います。(「話し合いを早くおつけなさい」「寝る時間も協定できぬというようなばかな話があるか」と呼ぶ者あり)すみやかに御投票願います。……お早く御投票願います。(「議長、こういう睡眠時間なんかでもめるというのはおかしいじゃないか」と呼ぶ者あり)すみやかに御投票を願います。(「自民党の休憩は三十分だそうだぞ」「三十分とは何ごとだ」「僕ら反対党は議場の中に寝る以外にはない」「与党にはちゃんと休憩時間をきめておいて、反対党にはいつ開くかわからない体制はどうなんだ」「われわれはここに寝る以外にはない、抜き打ちに開かれるのだから」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)お早く御投票願います。(「おれたちは議場に寝たらいい」と呼ぶ者あり)お早く御投票願います。(「投票して下さい、あとで副議長と一緒に相談することになりましたから」と呼ぶ者あり)  投票漏れはございませんか。……投票漏れないと認めます。  これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。   〔議場開鎖〕   〔参事投票を計算〕
  20. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 投票の結果を御報告いたします。   投票総数 百八十一票   白色票  百七十六票   青色票     五票  よって本動議は可決せられました。(拍手)      —————・—————   〔参照〕  賛成者白色票)氏名      百七十六名       森田 義衞君    森 八三一君       村上 義一君    溝口 三郎君       廣瀬 久忠君    野田 俊作君       中山 福藏君    豊田 雅孝君       常岡 一郎君    田村 文吉君       竹下 豐次君    高橋 道男君       高木 正夫君    島村 軍次君       佐藤 尚武君    河野 謙三君       後藤 文夫君    伊能繁次郎君       武藤 常介君    大谷 瑩潤君       白波瀬米吉君    松原 一彦君       西岡 ハル君    井上 清一君       伊能 芳雄君    小沢久太郎君       青柳 秀夫君    酒井 利雄君       有馬 英二君    仁田 竹一君       滝井治三郎君    関根 久藏君       吉田 萬次君    白川 一雄君       木村 守江君    菊田 七平君       岡田 信次君    中川 幸平君       田中 啓一君    榊原  亨君       高橋進太郎君    上原 正吉君       大矢半次郎君    藤野 繁雄君       木島 虎藏君    西川甚五郎君       宮田 重文君    植竹 春彦君       谷口弥三郎君    三浦 義男君       左藤 義詮君    館  哲二君       石原幹市郎君    中川 以良君       池田宇右衞門君    鶴見 祐輔君       青木 一男君    野村吉三郎君       泉山 三六君    津島 壽一君       苫米地義三君    大野木秀次郎君       斎藤  昇君    佐野  廣君       小幡 治和君    宮澤 喜一君       大谷 贇雄君    石井  桂君       雨森 常夫君    西川弥平治君       白井  勇君    横山 フク君       深川タマヱ君    長島 銀藏君       宮本 邦彦君    最上 英子君       寺本 廣作君    小滝  彬君       青山 正一君    紅露 みつ君       山本 米治君    秋山俊一郎君       石川 榮一君    石村 幸作君       剱木 亨弘君    加藤 武徳君       高野 一夫君    松岡 平市君       長谷山行毅君    野本 品吉君       平井 太郎君    川村 松助君       堀末  治君    西郷吉之助君       堀木 鎌三君    郡  祐一君       吉野 信次君    笹森 順造君       黒川 武雄君    小林 英三君       一松 定吉君    木村篤太郎君       高田なほ子君    久保  等君       清澤 俊英君    山本 經勝君       山口 重彦君    岡  三郎君       海野 三朗君    河合 義一君       三輪 貞治君    三木與吉郎君       新谷寅三郎君    小西 英雄君       田中  一君    永井純一郎君       上條 愛一君    島津 忠彦君       岡崎 真一君    重政 庸徳君       東   隆君    荒木正三郎君       三橋八次郎君    小笠原二三男君       入交 太藏君    小柳 牧衞君       川口爲之助君    平林  剛君       竹中 勝男君    内村 清次君       赤松 常子君    山下 義信君       木下 源吾君    山田 節男君       藤原 道子君    井上 知治君       栗山 良夫君    村尾 重雄君       相馬 助治君    佐多 忠隆君       市川 房枝君    須藤 五郎君       羽仁 五郎君    堀  眞琴君       木村禧八郎君    鈴木  一君       若木 勝藏君    千田  正君       江田 三郎君    亀田 得治君       小林 孝平君    矢嶋 三義君       菊川 孝夫君    片岡 文重君       重盛 壽治君    吉田 法晴君       大和 与一君    加瀬  完君       藤田  進君    湯山  勇君       千葉  信君    近藤 信一君       田畑 金光君    大倉 精一君       永岡 光治君    阿具根 登君       天田 勝正君    松浦 清一君       秋山 長造君    棚橋 小虎君       曾禰  益君    松澤 兼人君       中田 吉雄君    森下 政一君       小酒井義男君    戸叶  武君     —————————————  反対者(青色票)氏名      五名       上林 忠次君    井野 碩哉君       山川 良一君    赤木 正雄君       三浦 辰雄君    ————————
  21. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) これにて休憩いたします。    午前一時五十九分休憩    ————————    午前三時四十五分開議
  22. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 休憩前に引き続き、これより会議を開きます。(発言する者多く議場騒然)  天田勝正君から賛成者を得て、多数……(「醜態だぞ」「警察の管理のもとに行うのか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多く議場騒然)念のためにやり直します。(「何を言っているか」「あわてるな」と呼ぶ者あり)  天田勝正君から、賛成者を得て、多数の議員が疲労はなはだしきため、直ちに休憩し、十三時に再開せられんことの動議が提出されました。  これより本動議の採決をいたします。表決は記名投票をもって行います。本動議賛成諸君白色票を、反対諸君青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  氏名点呼を行います。議場閉鎖を命じます。(「議長、こういう所に警察官を多数控えてどうして」「なんで、そんなところをちょこちょこあけるんです」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)   〔議場閉鎖〕   〔参事氏名点呼〕   〔投票執行
  23. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) すみやかに御投票を願います。……お早く御投票を願います。「警察官がきているからゆっくりやれよ」と呼ぶ者あり)すみやかに御投票を願います。(「投票なんかできるかい」と呼ぶ者あり)すみやかに御投票を願います。(「警察を呼べば進行すると思っているのか」「警官を迫っ払うまで待ってるよ」と呼ぶ者あり)すみやかに御投票を願います。(「すみやかにやらなくたっていいじゃないか、時間を切るんじゃないか」と呼ぶ者あり)すみやかに御投票を願います。(「警察を入れるということはいけないよ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)  ただいま行われております投票については、自後十分間に制限をいたします。(「何でもいいよ、何でもおやりなさい」「いまだかつて警察官に取り巻かれて投票したことはない」「教育法律を通すのに警察を使うということは、後世の歴史が批判しますよ、教育の問題じゃないか」「時間々々」「廊下をのぞいてみろ」「一ぱい来ているから」「警察官を屋外に出しなさい」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)すみやかに御投票を願います。(「できるかい」「警察官に取り巻かれて自由投票ができますか」「議長投票しないから、こんなものはあずける」「時間」「時間の問題じゃない」と呼ぶ者あり、その他発言する者多く、議場騒然)  時間が参りました。投票閉鎖。(拍手)   〔投票閉鎖
  24. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) これより開票いたします。(拍手投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。   〔議場開鎖〕   〔参事投票を計算〕    〔「警官を動員した国会が、これが正常化された国会か」「これが投票というものか」「警官を動員しなければ議事運営ができないのか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多く、議場騒然
  25. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数 百三十九票   白色票     二票   青色票  百三十七票  よって本動議は否決せられました。(拍手)      —————・—————   〔参照〕  賛成者白色票)氏名      二名       高田なほ子君    市川 房枝君     —————————————  反対者(青色票)氏名      百三十七名       上林 忠次君    加賀山之雄君       梶原 茂嘉君    柏木 庫治君       井野 碩哉君    山川 良一君       赤木 正雄君    森田 義衞君       森 八三一君    村上 義一君       溝口 三郎君    三浦 辰雄君       廣瀬 久忠君    早川 愼一君       野田 俊作君    中山 福藏君       豊田 雅孝君    常岡 一郎君       田村 文吉君    竹下 豐次君       高橋 道男君    高瀬荘太郎君       高木 正夫君    杉山 昌作君       島村 軍次君    佐藤 尚武君       河野 謙三君    小林 武治君       後藤 文夫君    伊能繁次郎君       武藤 常介君    大谷 瑩潤君       白波瀬米吉君    松原 一彦君       西岡 ハル君    井上 清一君       伊能 芳雄君    小沢久太郎君       青柳 秀夫君    佐藤清一郎君       酒井 利雄君    有馬 英二君       仁田 竹一君    滝井治三郎君       関根 久藏君    吉田 萬次君       白川 一雄君    木村 守江君       菊田 七平君    岡田 信次君       中川 幸平君    田中 啓一君       榊原  亨君    高橋進太郎君       上原 正吉君    大矢半次郎君       藤野 繁雄君    木島 虎藏君       西川甚五郎君    宮田 重文君       植竹 春彦君    谷口弥三郎君       三浦 義男君    左藤 義詮君       館  哲二君    石原幹市郎君       中川 以良君    池田宇右衞門君       鶴見 祐輔君    青木 一男君       野村吉三郎君    泉山 三六君       津島 壽一君    苫米地義三君       大野木秀次郎君    斎藤  昇君       佐野  廣君    小幡 治和君       宮澤 喜一君    大谷 贇雄君       石井  桂君    雨森 常夫君       西川弥平治君    白井  勇君       横山 フク君    高橋  衛君       松平 勇雄君    深川タマヱ君       長島 銀藏君    宮本 邦彦君       最上 英子君    寺本 廣作君       小滝  彬君    青山 正一君       紅露 みつ君    山本 米治君       秋山俊一郎君    石川 榮一君       石村 幸作君    剱木 亨弘君       加藤 武徳君    高野 一夫君       横川 信夫君    松岡 平市君       長谷山行毅君    鈴木 強平君       野本 品吉君    川村 松助君       堀末  治君    西郷吉之助君       堀木 鎌三君    吉野 信次君       笹森 順造君    黒川 武雄君       小林 英三君    一松 定吉君       木村篤太郎君    大屋 晋三君       石坂 豊一君    三木與吉郎君       新谷寅三郎君    小西 英雄君       井村 徳二君    島津 忠彦君       岡崎 真一君    重政 庸徳君       安井  謙君    入交 太藏君       小柳 牧衞君    川口爲之助君       木内 四郎君    深水 六郎君       古池 信三君    井上 知治君       山縣 勝見君    重宗 雄三君       草葉 隆圓君    ————————
  26. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 三十分間休憩をいたします。    午前四時七分休憩    ————————    午前四時四十七分開議
  27. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 休憩前に引き続き、これより会議を開きます。  事務総長芥川治不信任決議案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。木下源吾君。  〔木下源吾君登壇拍手
  28. 木下源吾

    ○木下源吾君 非常にこの圧迫感が強く、自由にどうも発言ができそうにないので、議長にその警察権の退去を一つ求めたいと思います。どうですか、議長、警察をのけてもらえませんか。
  29. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 御討論を願います。
  30. 木下源吾

    ○木下源吾君(続) その前に、非常に強迫感を持ち、威圧感を持っている。自由に発言させる気持で退去してもらえませんか。
  31. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 御討論を願います。
  32. 木下源吾

    ○木下源吾君(続) 何よりも私は、警察がいるので非常に強迫感を……(笑声、「笑い事じゃないよ」と呼ぶ者あり)自由な討論はなかなかできそうにはないのです。こういう事態を引き起していること、それ自身が芥川君、またその背後にある議長や、こういう人たちの信任をできないという、昨晩同僚の江田君から事務総長の不信任案が出た。これは、私は賛成します。表面上は、いろいろこの間から重なっておって、事務総長としての信任、これはできません。これはもう皆さんごらんの通りであります。加賀山君、何とかいう、文教委員長ですか、問題があるからということで問責決議案を出そう、一方でそういう相談がわが党の代表によって行われておるときに、副議長を使嗾して、そうしてあのようなやり方をやる。これはまことにだれが見ても、事務総長の適格者ではないことは明らかであります。また次から次へと起る事態国会らしくない、一つも。これは形の上に現われたのだけでも、もうそうであるばかりでなく、本質的には、彼はいわゆる反動資本家の手先になって、大衆労働者人民を押えつける有力な一翼になっておる。こういうような役人、とうてい国民の名において信任することはできない。やめてもらわにゃならぬ。  皆さん、今私は非常に圧迫感を感じておる。議場の周囲には警察予備隊が入っております。戒厳令下における……これが民主国家のありさまでありますか、これが。こういうところで自由の言論ができますか。保守党の諸君は、これらを召使のごとく思っておるでありましょうけれども、やがてこの人々が自覚したときに、どういう事態が起きる。この人々が自覚したときに、ストライキのような形を起したときには革命であるでしょう。このような態度を、この国会の中でお互いの論議を聞き、実際にこの予備隊の諸君が体験したならば、だれの一体味方をしていいかを、あの人たちははっきり見きわめめるのである。(拍手)そのときには、諸君が頼みにしておると思っておったら、もってのほかであります。今諸君がやられることは、日本の民主主義があの大きな戦争の革命によってでき上ったとするならば、今諸君がこの反革命の任務を遂行しつつあるのです。日本の歴史の歯車を逆転させようとしつつある。このようなときに対する抵抗が、この国会の中に先般来現われておるのが、その姿なのだ。(拍手)このような抵抗が、だれがしておるのであると諸君は考えるか。巷に飢えておる大衆、あの自分たちの骨肉を太平洋に、大陸に埋めたこの人々を諸君は忘れたか。その成果でできた民主主義がだ、今諸君の手によって逆転させられようとしているし、そうしてこの人々の固まりが、今諸君に抵抗しておる。その抵抗の姿は、あの投票の姿であり、われわれの戦いの姿であるのだ。(拍手諸君は、われわれを暴力とか、狂暴とかいうことをしいておるけれども、その根本は、どこにあるかを諸君みずからも知ってるはずである。知っておって、そうしてそういうことをしいておるということは、ごまかしておることである。諸君、お互いは、しかし悲しむべき状態にある。わが国は、今どういう状態にあるか、独立をしなければならないのだ。民族の独立が要請されておるのである、どこから独立するのであるか。あのアメリカの大きい手からのがれようとするのである。(拍手)われわれは、今国内において互いに戦わされておる。大きな手は何であるか。アメリカの帝国主義のあの手じゃないか、見えないか、諸君には。この独立をかち取らなくては日本民族の繁栄も何もありゃしない。私は九年間この議場でやって参りました。今、明日この議場から私は、(「消える」と呼ぶ者あり)消えるのであります。諸君、この最後に、過去九年間を顧みて、私ははっきり言うことができるのは、何と無力な指導者によって指導されておるわが国の国民であるかということである。(拍手)この現状を見なさい。私どもの先輩が民主主義をかち取ろうとして、どういう一体苦しみと戦いをやってきたかを。  芥川君、私は個人的には同情にも値するものであると考えておるし、またやむを得ず、そのようなところに当てはめられておる一つのかいらいであるとも考える。けれども、その彼の行なっていること、それはわが国国民大衆の生命を幾らかずつ奪い取る、こういう役割をしていると考えれば、われわれは断固として排撃する。(拍手)三十一年度予算は諸君の手によって通過した。今現に行われつつある。そしてあの予算は何を……、まごうかたなくアメリカを守る。国民の血税をもってアメリカを守る、それを献納したあれは予算であったろう。そしてこの軍事予算を裏づけるために、この国をあらゆる統制の中にぶち込もうとする、その法案が次々と出ている今の重要法案であるのだ。(拍手教育の内容を統制し、教育行政を統制し、だれかの手に思うがままに、われわれの子孫を引き戻そうとする意図が今始まろうとしているのである。われわれは手をこまねいてこれに抵抗しないでおられるか。ばかげた話だ。このような予算をわれわれは歯ぎしりをかんで抵抗したけれども通った。それと同じ考え、同じ決意をもって、今これらの法案を阻止するために必死の戦いを続けておるのである。諸君諸君は今警察に……(「時間時間」と呼ぶ者あり)
  33. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 木下君、時間であります。
  34. 木下源吾

    ○木下源吾君(続) 守られて何事かを遂行しようとし、そうして暴力をもって国民の自由を奪おうとしておる。反省しませんか。反省するならば芥川君の不信任案に賛成することをもってこれを実現しなさい。このような議事運営は、あなた方は率先して指導せられておるのです。国会には議運という、一つのやり方をちゃんときめておるのでありまして、議運を持ち得ずして、議長の職権をもってやるということは、これは民主主義でしょうか。子供でもわかるでありましょう。何のためにそういうことを強行しておるのでありますか。そういうことを強行するからこそ、もんちゃくが起きるのではありませんか。
  35. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 木下君、時間であります。
  36. 木下源吾

    ○木下源吾君(続) 教えておるのです。(拍手)このようなことを諸君が喜んでやっておるが、その議長がどういうことをやって参りましたか。自分自身の自主的な考えでこの議会の運営をやることができないで、ただ議長職権とはいうものの、背後の諸君のあやつりによって仕事をしようとするから、どじばかり踏んでおるではないか。そうして失敗をすれば、反対党の暴力であるとか、狂暴だとか、何を言っておるか。そういうばかげたことをおやめなさい。そうして夜も寝ないでこういうことをやることもやめなさい。諸君は今……(「時間々々」と呼ぶ者あり)
  37. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 木下君、時間でございます。
  38. 木下源吾

    ○木下源吾君(続) 清瀬君を呼んできておって、何をやる。言わずと知れた、暴力でもって、あの教育法を今無理やりに上程しようとしておるじゃないか。それは国民の意思によってではなく、警察権を乱用して、(「時間」と呼ぶ者あり)そうしてこの法律を作り上げようとしておる。今まで数々の反対があった。それは言葉であったが、諸君は今実行、行動によってこれを行なおうとしておるではないか。(拍手、「時間」と呼ぶ者あり)あらゆる反動立法のうちでも、最も悪質であるこの教育法、私は諸君に対して、まじめに真剣に訴える。(「降壇々々」と呼ぶ者あり)それは諸君だけではなく、諸君だけのことは捨てて、自分の子供、自分の孫、そうして日本の将来のために、もう一度胸に手を当ててゆっくり考えて、そうして行動しなさい。さよなら。(拍手)   —————————————
  39. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 鈴木一君。   〔鈴木一君登壇拍手
  40. 鈴木一

    ○鈴木一君 もう時間は五時を過ぎております。私も全く疲れました。皆様もお疲れだろうと思います。私たちはなぜ、個人々々は、一人々々は、りっぱな良識を持ちながら、今日こういうような、子供でさえ笑うような会議をしなければならないかということに関しまして、お互いに反省をしてみたいと思うのであります。  私が申し上げたのでは、皆様たちもお聞き苦しいと思いますので、ちょうど五月三日、衆議院で小選挙区の法案が問題になりましたときに、自由民主党の幹部でありますところの三木武夫氏の、五月三日の読売新聞に、「二大政党下の国会運営」「共通の広場へ努力を」「世論は政界安定望む」という記事が載っておりました。私は、今これからこれを朗読いたします。決して私は議事を引き延ししようとか、そういう意図はございません。お互いにこの三木武夫氏の言われていることをよく吟味、そしゃくいたしまして、今日のこの非常事態の解消を、今からでもおそくはないのでありますから、はかりたいと、そういう意図でございます。  「小選挙区制問題をめぐる今度の国会の紛糾事件は、われわれに、いろいろのことを教えている。われわれは、この教訓を、健全なる政党政治の発展のために生かして行かなくてはならない。先ず第一に指摘すべきことは、世論の力を、これほど感じさせられたことはないということだ。社会党が、あれほど執ように議事引延し作戦に出ても、世論は必ずしも社会党を非難しなかった。社会党の作戦が功を奏したかとみえるのは、一つに、世論のうしろだての結果である。  世論は、小選挙区制度そのものには、大して反対ではないようだが、区割りの仕方や、連座規定の削除や、立会演説会の廃止には強い不満の意を表明していた。こうした世論の批判に謙虚に耳を傾ける態度が民主政治には必要である。世論を無視し、ただただ「数の力」に頼って押しきって行くことは、民主政治のためにとるべきではない。  第二に、世論が何ゆえに批判的であったかが問題である。区割りのやり方にしても、もしも「調査会案」をそのまま採択していたならば、世論はおそらく大して反対はしなかったであろう。  世論が、連座規定や立会演説会を重要視したのは、小選挙区制に不可避の弊害を直感している証拠だと思う。  現在ですら、議員は、選挙区の「面倒をみる」ことで多くの時間と費用を費している。この慣習は、選挙区が小さくなればなるほど一そう強まると思う。冠婚葬祭から就職の世話にいたるまで、三百六十五日、選挙区の「めんどう」を見ることになりかねない。また、それを議員の側から積極的にやれば、三百六十五日の選挙運動である。世論は、こういう点を直感して取締規定の強化を求めたものと思う。しかし、問題を紛糾させた原因は、こうした小選挙区制や、その実施方法をめぐる論議ばかりではない。もっとさかのぼれば、二大政党制のあり方そのものにも触れなくてはならない。  そこで、第三の問題として、自由民主党と社会党とによる現在の二大政党制が、期待通り運営されているかどうか。もし、そうでないとしたら、その欠陥はどこにあるかを検討してみなければならない。政党政治の理想型が二大政党制だからといっても、その前提条件も中身も整わないのに、形ばかりの二大政党にしてみても、なかなかその長所が発揮されがたい。あたかも、小選挙区制の長所も、前提条件がそろわなければ発揮できないのと同様である。  二大政党制は、二つの政党の間に、ある程度の「共通の広場」なり「共通の言葉」がない限り円滑な運営を期待することはむづかしい。  自民党が、小選挙区制度を是とし、社会党がそれを非とする。自民党が憲法改正を是とし、社会党がそれを非とする。もしも、こういった工合に、それぞれの問題をはさんで二つの政党が、常に対角線的な対立を続けるのでは、そこからは何ら建設的なものは生まれてこない。それは政治のあるべき姿ではない。  政治の領分では原則論だけでなしに、もっと実際的な態度で議論しなければ「共通の広場」は見出せるものではない。選挙法の改正にしても、目標は、結局もっと公平に、選挙民にもっと便利に、そして、よい議員がもっと出やすくなるようにということである。それが小選挙区制と銘を打った形式に整理されなくても、目標により近づけば、それでよいのだと思う。  世論が二大政党制を強く求めたのは、政局安定を要望したからであった。小選挙区制も、初めはこれによって政界を二大政党に整理し、そして、政界安定をはかるというので世論にうけたのである。  しかし、現実に二大政党に整理されてみても、政界が絶対的に安定したとはだれも思っていない。「数の力」は多くとも、それだけの威力を発揮できないからであるが、さらに問題なのは、数の威力を発揮すべき目標が、世論の要望と合致しているかどうかである。これは結局政策の問題となる。  世論が政界の安定を求めたのは、現状維持的な安定を求めたからだとは思わない。国民に将来への希望を持たせ得る政治力を求めたからだと考える。それを、漸進的な革新によって実現することを保守合同に求めたのだと私は信じている。だから私どもは、人事問題よりも、政策問題がより多く話題になるような党風を養わなければいけないと思う。また、その政策問題も原則論の抽象論議の形でなしに、もっと現実に即した具体的な問題として取上げられるべきである。その点で一番重要視されなければならないのは、国民生活に直接関係のある政策問題について、われわれは、もっともっと深い関心を示さねばならぬ。  これを要するに、今度の国会紛糾事件の意味するものは、1 世論の動向を無視して政治は行えぬということと、2 二大政党制は、形ばかりで、いまだその体をなしていないということである。  そこで、われら何をなすべきかといえば、自由民主党も社会党も、双方とも歩みよって「共通の広場」を持つべく努力することである。しかし、そのためには、まず両党内部で、それぞれ脱皮、成長の過程をたどる必要があるであろうし、また、その前提としては、今日の政治の目標に関する再認識であろう。今日の政治のモットーは「富国強兵」から「生活水準の向上」に移っているのである。」  こういうことを保守党の三木さんが申しております。全くこういうことが議論されず、また、こういうことが実施されないで、幾ら小選挙区制をやってみたところで、あるいはまた教育委員会法案を通してみたところで、私は日本の政界は決して安定するものではないと思うのであります。  今日、私たちが常日ごろ何かとお世話になっておりますところの芥川さんが事務総長としての不信任案を出されております。もちろん私は、芥川さんの事務のやり方にも、個人としてはりっぱであったかと思いますけれどしも、常日ごろおつき合いしておりまして、あるいは議運の理事、あるいは議院運営委員、あるいはまた現在オブザーバーとして芥川さんに接しておりまして、どことなく事務総長としての才能に欠くるところがあるのではないかというような気もいたします。しかしそれは必ずしも責むべきことではないと思います。幾ら芥川君を責めてみたところで、私は決して、われわれが今日ここで警察官包囲の中で国会運営しなければならない、こういうような非常事態は、決して芥川君一人を責めてみたところで解決しない。むしろ問題はほかにある。私はそういうふうな意味合いから、この芥川君の本日の不信任決議案に対しまして反対の意を表しまして、諸君とともにこの事態を、今からでも決しておそくはないのでありますから、あと、きょうとあすとこの二日間、お互いが保守とか革新とかという、そういうイデオロギー以前の良識に戻って、この事態を収拾せられんことを、特に皆様に切望いたしまして、私の反対討論を終るものでございます。(拍手)   —————————————
  41. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 吉田法晴君。   〔「いつ眠らせるのだ議長」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕   〔吉田法晴君登壇拍手
  42. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 私は、ただいま議題となっておりまする参議院事務総長芥川治君不信任の動議に対して賛成の討論をするものであります。  ところがこの討論を、院の中にまで入ってきて参議院審議を威圧しようとする情勢の中で、しかもこの討論自身が、あすこに立っております衛視、その背後にある警察力によって、その衛視は今不信任案が提出せられておりまする芥川君の下にあります職員でありますが、こうした実力によって、本来自由であるべき議員の言論が抑圧せられるという姿の中で討論をしなければならぬということを、きわめて遺憾に思うものであります。(拍手)  芥川君の不信任の動議賛成をいたします理由の第一は、芥川治君が自民党の道具と化し去って、議会政治を終えんせしめようとするからであります。真の議会政治に終りを告げさせようとするからであります。たまたま手元にございました中央公論六月号の小松春雄君の「今更ながら議会政治の常識を」という文章、一文の中に、こういう文字がございます。「議会政治は、政権を握る多数派と、その反対者たる少数派とが平和的に共存する政治制度である。すなわち、少数派は陰謀者ないし反逆者の集団とはみなされず、公認の反対派として同居を許されているのである。また議会政治は、多数派と少数派とが、平和的に共存するばかりか、ともに相携えて政治を行う統治形態でもある。すなわち多数派は、政治的意見が多元的であるという前提に立って、少数派の批判の声に耳を傾け、両派に通じる最大公約数が何であるかを考慮することになっている。いわば、議会政治においては、多数派にとって少数派は不可欠のパートナーとされているのである。さらに議会政治は、多数派と少数派とが交互に政権の座を交替するという仕組みをとっている。すなわち、世論、特に総選挙の結果が、少数派を多数派にするならば、すみやかにかつ平和裏に政権担当者がかわることとなっている。このように本来不倶戴天の敵ともいうべきものが同居し、しかも一定のルールに従って、最も手放しがたい権力の座を譲り合うということは、人間性の醜悪面のみを考えるものにとっては、信じ得べからざることであろう。しかし、人類の文明は、ついにこの奇跡を実現し、比類のない政治制度を生み出したのである。」よく聞いておきなさい。「人類の文明は、ついにこの奇跡を実現し、比類のない政治制度を生み出したのである」と。  「さて、このような政治制度は、言うまでもなく、寛容の精神から生まれたものであり、また、この精神によって、初めて維持されるものである。すなわち、多数派が数をたのんで、少数派に対し野獣のような支配を行い、弱肉強食のジャングルの法則が支配することとなれば、議会政治は成り立たない。かつてイギリス保守党員L・S・アメリーが、「多数派は、それがただ多数であるという理由で、十分な討論も行わずに、自分の欲するとんな法案でも——それがもたらす変化についてはおかまいなく、またそのような変化に対する激しい反対を無視しても——押し通す資格があるという考え方、つまり多数派の布告、すなわち法律であるという考え方は、わが憲法の認めないところである」と述べたが、まさに、これが議会政治を成り立たしめている基本原則なのである。」途中で、これは私の言葉でありますが、この最後の部面はまさに今自民党が参議院においてやろうとしておるところであります。(「そのものだ」と呼ぶ者あり)もう一度繰り返して読み上げますが、かつてイギリス保守党員L・S・アメリーが、「多数派は、それがただ多数であるという理由で、十分な討論も行わずに、自分の欲するどんな法案でも——それがもたらす変化についてはおかまいなく、またそのような変化に対する激しい反対を無視しても——押し通す資格があるという考え方、つまり多数派の布告、すなわち法律であるという考え方は、わが憲法の認めないところである」と述べ、たが、まさに、これが議会政治を成り立たしめている基本原則なのである。」全部を読み上げる煩を省略いたしますが、「ジャーナリズムや公聴会に代表される有力な世論は完全に無視され、また少数派の激しい批判の声も聞き入れられずに、重大な法案が続々と強引な多数決戦法によって押し通されて行く、これは真の議会政治ではなく、単なる多数派政治である。このような議会政治の運営の仕方は、言葉を強めて言えば、立憲的手段による独裁であり、また武器なきクーデターにもひとしいものである。これはまさに重大な議会政治の危機である。」こう小松春雄氏は言っております。「かつて十八世紀末葉のイギリスにおいて、ジョージ三世が、腐敗行為によって御用党に多数を占めさせて立憲的独裁を行い、そのため政界が混乱の極に達したとき、あの保守主義の哲学者エドマンド・パークは、次のような憂慮の叫びを発している。「善良な人々は、悲しみと怒りとをもって、この混乱の姿を眺めている。彼らには、民衆の権力と政府の権力とを融和させる力はすべて、奪い取られている。ここにおいて、彼らは非常に困難な選択に直面する。しかし、同じ害悪を選ぶならば、永久の奴隷状態にあるよりは、一時的混乱の方を希望する。その間、法の声は聞かれない。民衆の激越な行為は、これに対し政府側からの暴力的な弾圧を生じる。かくて軍隊の武器が唯一の頼みとなり、ついには剣が統治することになる。」剣の統治は、すなわち議会政治の終えんなのである。」と書いてあります。最後の「善良なる人々は悲しみと怒りとをもって、この混乱の姿をながめている。彼らには民衆の権力と政府の権力とを融和させる力はすべて奪い取られている。ここにおいて彼らは非常に困難な選択に直面する。しかし同じ害悪を選ぶならば、永久の奴隷状態にあるよりは、一時的混乱の方を希望する。そうしてそのときの多数派あるいは政府は暴力的な弾圧を生ずる。かくて軍隊の武器が唯一の頼みとなり、ついには剣が統治することになる」と書いておりますが、内心じくじなるものがあり、腹の底にみずから顧みてやましいところがあるから、みずから良心の影におびえて、警察力を使わなければ多数の暴力を押し通すことができない。それが今の自民党の姿ではありませんか。そして警察力の行使によって議会政治が今や死滅に瀕せんとしておる。真の議会政治、民主政治が今や死に瀕しようとしておる。その議会政治の扼殺を、議会政治の終えんを告げさせようとする役割の一つを、参議院事務総長芥川治君が自民党の道具となって、今、議会政治の終りを告げさせようとする一つの役割を果しておるではありませんか。憲法調査会法案国防会議構成法案教育委員会法案、教科書法案、臨教審の法案……。
  43. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 時間が参りました。
  44. 吉田法晴

    ○吉田法晴君(続) 小選挙区制に関する選挙改正案、あるいは三等郵便局長すらも、自民党の組織として選挙に利用しようとする法案さえも、この国会に出しておる。あるいは必要であるならば、特飲店のおやじさんをも自民党に組織することの法律を作る。そういうむちゃさえもあえてするでありましょう。しかもそう無謀を、民主主義と民主憲法を扼殺する法案を、一つずつこわして行く法案を、この国会を通じて、多数にものを言わして強引にやろうとするその役割の一つを、芥川事務総長は果そうとするならば、それは私どもの断じて許すことのできないものであります。
  45. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 吉田君、時間であります。
  46. 吉田法晴

    ○吉田法晴君(続) 第二に、芥川治君は、参議院を殺そうとするこの自民党の横暴に対して(「社会党ではないか」と呼ぶ者あり)共同正犯あるいはむしろ教唆的な役割を果そうとしておるからであります。議会政治は、先ほど引きましたように、少数派の尊重の上に、従来の参議院の伝統の中に生きてきた。無理が通って道理が引っ込むのではなしに、無理のかわりに道理が通って行くというこの民主主義のルールの中で、議会政治の参議院の使命も初めて果され得るでありましょう。参議院は、私が言うまでもなく抑制機関として、衆議院における多数派の横暴を抑制し、押えるのが参議院の使命であります。
  47. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 吉田君、時間であります。
  48. 吉田法晴

    ○吉田法晴君(続) もしも、参議院衆議院における自民党の与党の横暴をそのままここで押し通そうとするならば、何で参議院の存在の価値がございましょうか。それは党派をこえて私どもが考えなければならぬ重大な問題であります。ところが、きょうの昼の休憩後のこの参議院開会にしても、参議院議長あるいは副議長というよりも、むしろ衆議院圧力によって開かれたというではありませんか。(拍手)先日来、衆議院の自民党の諸君は、あるいは国会開会運営についても、あるいは警察権の導入についても強大な圧力を加えておるではありませんか。
  49. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 吉田君、時間であります。
  50. 吉田法晴

    ○吉田法晴君(続) あしたにタベに議長室に押しかけて来、あるいは自民党の部屋に押しかけて来て強圧を加えているではありませんか。こういう衆議院における多数派の横暴参議院において是正されることなくして、あるいは議長、副議長、あるいは事務総長を通じ、諸君を通じて参議院の使命を果させようとせず、無理を押し通そうとするならば、どこに参議院の存在の価値がございますか。(「そうだ」と呼ぶ者あり)
  51. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 吉田君、時間であります。
  52. 吉田法晴

    ○吉田法晴君(続) 私は参議院昭和二十五年一月当選させてもらって以来、六年半の日子が経過いたしました。私は参議院に出て参りました当時、参議院の当時の実情に対して……。
  53. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 吉田君、降壇を上願います。
  54. 吉田法晴

    ○吉田法晴君(続) 抑制機関としての使命を果させてもらうだけでなく、道理が比較的通って参るという当時の実情に喜びを感じて参りました。参議院議員としての任務に誇りを感じて参りました。その当時、私が指摘するまでもなく、御承知のところでありますけれども、昨日指摘されましたように、破防法審議に当っても八十日の日時を割かれた、あるいはここにおられます木村禧八郎君からも、きのう指摘がございましたが、今は一兆円予算を審議するのに、わずか十分とか、十五分とかの時間さえ与えられない。小会派も……。
  55. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 吉田君に申し上げます。時間が参りました。降壇を命じます。
  56. 吉田法晴

    ○吉田法晴君(続) 一時間の質問時間が与えられました。当時の大蔵大臣池田勇人君と木村君との質疑は、党派を越えて私どもを傾聴せしめてくれた。
  57. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 吉田君、時間が参りました。
  58. 吉田法晴

    ○吉田法晴君(続) あの小会派にかかわらず、自由に許された質疑を通じてこそ、初めて参議院の使命は果されるのであります。(拍手
  59. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 吉田君、時間であります。降壇を命じます。
  60. 吉田法晴

    ○吉田法晴君(続) あるいは本会議においてすら、一人一党の小川友三君すら、本会議における一つ一つ法案について発言を許されました。これはたとえ一人一党であっても、小会派であっても、発言が許される。発言の制限がないところに、自由に許されるところに、初めて……。
  61. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 降壇を命じます。
  62. 吉田法晴

    ○吉田法晴君(続) 議会政治が……参議院の使命を発揮する基礎があるのであります。(拍手)先ほど来、昨日においても、指摘がございましたけれども、イギリスにおいても、アメリカにおいても、民主政治のもとにおいて、発言の制限されざるところに、初めて議会の存在価値がございます。民主主義の存在価値があります。参議院発言の制限という問題は、通常の場合、会派の申し合せによってきまるわけであります。本来あります議員発言権を、こうした警察権によって制限せられることは許されるでありましょうか。五月三十日、芥川治君の議院、国会運営についての解釈について、私と亀田君とが参りました際に、芥川君は、先例にもかかわらず、衆議院でどう行なっておろうとも、議長が、それが優先すると言うならば、国会の構成に関する不信任が出ておろうとも、議長の判断の方が優先をいたしますというような、民主主義の、国会の先例も、衆議院での実情も無視する解釈を芥川君はするのであります。それは松野議長の意思でもなければ、副議長の意思でもございません。それは自民党の諸君圧力によって、芥川君がしいて先例を無視して出した解釈であります。諸君、傍聴者を通じて訴えますが、本来あるべき、自由なるべき議員発言権が、この衛視によって、背後にある警察権によって制限せられるようなことで、果して国会存在の意義がございましょうか。(「議長々々」と呼ぶ者あり、その他発言する者多く、議場騒然)私どもは民主主義を、憲法を守り抜かなければなりません。  それでは結論を急ぎます。同僚の勧告によって結論を急ぎますが、芥川君は、かつて、先例や法律を無視して……、議長、結論を急ぎますが、衛視や警察の威力によって、本来奪うことのできない権利や議員発言権が制限せられることをきわめて遺憾に思いますが、同僚の勧告もございますので、結論を急ぎます。芥川治君は……。
  63. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 吉田君、降壇を命じます。
  64. 吉田法晴

    ○吉田法晴君(続) 先例あるいは法令にもかかわらず、自民党の意思を迎えて、あらゆる動議に先んじて何々をするという動議が、院の構成に関する不信任動議にも先んずるというような解釈を下そうといたしております。かくのごとき……。
  65. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 降壇を命じます。
  66. 吉田法晴

    ○吉田法晴君(続) 一方的な解釈は、これは参議院を殺すものであり、参議院を殺す役割をする芥川君には、私ども信任するわけには参りません。  あるいは個人的にも、芥川君の経歴、人物から申しまして、参議院事務総長として不適であると考えますが、その経歴、あるいは人物、あるいは本日における職員の使用方法等についても、何百人の職員、あるいは婦人の職員の深夜禁止の国際的な慣行を無視して働かせるような事務総長を、私どもは信任するわけには参りません。(拍手)  かくてここに……。
  67. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 降壇を命じます。
  68. 吉田法晴

    ○吉田法晴君(続) 江田君より提出されました参議院事務総長芥川治君の不信任の動議賛成の討論をなすものであります。(拍手
  69. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 川村松助君ほか五名から、成規の賛成者を得て、討論終局の動議が提出されております。  これより本動議の採決をいたします。本動議の表決は記名投票をもって行います。本動議賛成諸君白色票を、反対諸君青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  氏名点呼を行います。議場閉鎖を命じます。   〔議場閉鎖〕   〔参事氏名点呼〕   〔投票執行
  70. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) すみやかに御投票をお願い申し上げます。(「まだ早い」「何をあわてる」「議長、警察はどうした」と呼ぶ者あり)すみやかに御投票をお願い申し上げます。(「休憩しろ休憩を」「警察はどうしました、警察は」と呼ぶ者あり)すみやかに御投票を願います。  ただいま行われております投票については、十分間に制限いたします。(「警察はどうした、警察は」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)すみやかに御投票を願います。(「警察官包囲のもとにばかばかしくて投票ができるか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)投票をすみやかに願います。(「警察を使わなければ運営ができないか」と呼ぶ者あり)あと五分であります。(「こんなのは国会運営ではありません」と呼ぶ者あり)あと三分であります。(「自由な投票ができません」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)  時間が参りました。投票閉鎖。   〔投票閉鎖
  71. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。   〔議場開鎖〕   〔参事投票を計算〕
  72. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数 百四十二票   白色票  百三十三票   青色票     九票  よって討論は終局することに決しました。      —————・—————   〔参照〕  賛成者白色票)氏名      百三十三名       上林 忠次君    加賀山之雄君       梶原 茂嘉君    柏木 庫治君       井野 碩哉君    山川 良一君       赤木 正雄君    森田 義衞君       森 八三一君    村上 義一君       溝口 三郎君    三浦 辰雄君       廣瀬 久忠君    早川 愼一君       野田 俊作君    中山 福藏君       豊田 雅孝君    常岡 一郎君       田村 文吉君    竹下 豐次君       高橋 道男君    高瀬荘太郎君       高木 正夫君    杉山 昌作君       島村 軍次君    佐藤 尚武君       河野 謙三君    小林 武治君       後藤 文夫君    伊能繁次郎君       武藤 常介君    大谷 瑩潤君       白波瀬米吉君    松原 一彦君       西岡 ハル君    井上 清一君       伊能 芳雄君    小沢久太郎君       青柳 秀夫君    佐藤清一郎君       酒井 利雄君    有馬 英二君       仁田 竹一君    滝井治三郎君       関根 久藏君    吉田 萬次君       白川 一雄君    木村 守江君       菊田 七平君    岡田 信次君       中川 幸平君    田中 啓一君       榊原  亨君    上原 正吉君       大矢半次郎君    藤野 繁雄君       木島 虎藏君    西川甚五郎君       宮田 重文君    植竹 春彦君       谷口弥三郎君    三浦 義男君       左藤 義詮君    館  哲二君       石原幹市郎君    中川 以良君       池田宇右衞門君    鶴見 祐輔君       青木 一男君    泉山 三六君       津島 壽一君    苫米地義三君       大野木秀次郎君    斎藤  昇君       佐野  廣君    小幡 治和君       宮澤 喜一君    大谷 贇雄君       石井  桂君    雨森 常夫君       西川弥平治君    白井  勇君       横山 フク君    高橋  衛君       松平 勇雄君    深川タマヱ君       長島 銀藏君    宮本 邦彦君       最上 英子君    寺本 廣作君       小滝  彬君    青山 正一君       紅露 みつ君    山本 米治君       秋山俊一郎君    石川 榮一君       石村 幸作君    剱木 亨弘君       加藤 武徳君    高野 一夫君       松岡 平市君    長谷山行毅君       /鈴木 強平君    野本 品吉君       川村 松助君    堀末  治君       西郷吉之助君    堀木 鎌三君       吉野 信次君    笹森 順造君       黒川 武雄君    小林 英三君       一松 定吉君    木村篤太郎君       大屋 晋三君    石坂 豊一君       三木與吉郎君    小西 英雄君       井村 徳二君    島津 忠彦君       岡崎 真一君    重政 庸徳君       安井  謙君    入交 太藏君       小柳 牧衞君    川口爲之助君       木内 四郎君    深水 六郎君       古池 信三君    井上 知治君       山縣 勝見君    重宗 雄三君       草葉 隆圓君     —————————————  反対者(青色票)氏名      九名       高田なほ子君    安部キミ子君       上條 愛一君    赤松 常子君       山下 義信君    木下 源吾君       市川 房枝君    棚橋 小虎君       曾禰  益君    ————————
  73. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) これより本案の採決をいたします。本案の表決は記名投票をもって行います。本案に賛成諸君白色票を、反対諸君青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  氏名点呼を行います。議場閉鎖を命じます。   〔議場閉鎖〕   〔参事氏名点呼〕   〔投票執行
  74. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) お早く御投票を願います。(「何だかの一つ覚えみたいだな」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)すみやかに御投票願います。(「警察を撤去させたまえ、われわれは快く投票するよ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)お早く御投票願います。  ただいま行われております投票については、以後十分間に制限いたします。(「早い早い」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)  時間が参りました。投票箱を閉鎖……。   〔投票閉鎖
  75. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。   〔議場開鎖〕   〔参事投票を計算〕
  76. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 投票の結果を報告いたします。  投票総数百三十七票……間違いました。   投票総数 百七十七票   白色票   四十九票   青色票  百二十八票  よって本決議案は否決せられました。(拍手)      —————・—————   〔参照〕  賛成者白色票)氏名      四十九名       高田なほ子君    久保  等君       山本 經勝君    山口 重彦君       海野 三朗君    河合 義一君       三輪 貞治君    田中  一君       永井純一郎君    上條 愛一君       東   隆君    荒木正三郎君       三橋八次郎君    平林  剛君       竹中 勝男君    内村 清次君       赤松 常子君    山下 義信君       山田 節男君    栗山 良夫君       村尾 重雄君    相馬 助治君       佐多 忠隆君    須藤 五郎君       堀  眞琴君    若木 勝藏君       亀田 得治君    小林 孝平君       矢嶋 三義君    菊川 孝夫君       片岡 文重君    小松 正雄君       重盛 壽治君    吉田 法晴君       大和 与一君    藤田  進君       田畑 金光君    大倉 精一君       永岡 光治君    阿具根 登君       天田 勝正君    松浦 清一君       秋山 長造君    棚橋 小虎君       曾禰  益君    松澤 兼人君       中田 吉雄君    森下 政一君       戸叶  武君     —————————————  反対者(青色票)氏名      百二十八名       上林 忠次君    加賀山之雄君       柏木 庫治君    井野 碩哉君       山川 良一君    赤木 正雄君       森田 義衞君    森 八三一君       村上 義一君    溝口 三郎君       三浦 辰雄君    廣瀬 久忠君       早川 愼一君    野田 俊作君       中山 福藏君    豊田 雅孝君       常岡 一郎君    田村 文吉君       竹下 豐次君    高橋 道男君       高瀬荘太郎君    高木 正夫君       杉山 昌作君    島村 軍次君       佐藤 尚武君    河野 謙三君       小林 武治君    後藤 文夫君       伊能繁次郎君    武藤 常介君       大谷 瑩潤君    白波瀬米吉君       松原 一彦君    西岡 ハル君       井上 清一君    伊能 芳雄君       小沢久太郎君    青柳 秀夫君       佐藤清一郎君    酒井 利雄君       有馬 英二君    仁田 竹一君       滝井治三郎君    関根 久藏君       吉田 萬次君    木村 守江君       菊田 七平君    岡田 信次君       中川 幸平君    田中 啓一君       榊原  亨君    上原 正吉君       大矢半次郎君    藤野 繁雄君       木島 虎藏君    西川甚五郎君       宮田 重文君    植竹 春彦君       谷口弥三郎君    三浦 義男君       左藤 義詮君    館  哲二君       石原幹市郎君    中川 以良君       池田宇右衞門君    鶴見 祐輔君       泉山 三六君    津島 壽一君       苫米地義三君    大野木秀次郎君       斎藤  昇君    佐野  廣君       小幡 治和君    宮澤 喜一君       石井  桂君    雨森 常夫君       西川弥平治君    白井  勇君       横山 フク君    高橋  衛君       松平 勇雄君    深川タマヱ君       長島 銀藏君    宮本 邦彦君       最上 英子君    寺本 廣作君       小滝  彬君    紅露 みつ君       山本 米治君    秋山俊一郎君       石川 榮一君    石村 幸作君       剱木 亨弘君    加藤 武徳君       高野 一夫君    松岡 平市君       長谷山行毅君    鈴木 強平君       野本 品吉君    川村 松助君       堀末  治君    西郷吉之助君       堀木 鎌三君    吉野 信次君       笹森 順造君    小林 英三君       一松 定吉君    木村篤太郎君       大屋 晋三君    石坂 豊一君       三木與吉郎君    新谷寅三郎君       小西 英雄君    井村 徳二君       島津 忠彦君    岡崎 真一君       重政 庸徳君    安井  謙君       入交 太藏君    小柳 牧衞君       川口爲之助君    木内 四郎君       深水 六郎君    古池 信三君       井上 知治君    山縣 勝見君       重宗 雄三君    草葉 隆圓君    ————————
  77. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 天田勝正君から、賛成者を得て、多数の議員が疲労のため審議に支障を来たすので、直ちに休憩せられんことの動議が提出せられました。(「その通り」と呼ぶ者あり)  これより本動議の採決をいたします。表決は記名投票をもって行います。本動議賛成諸君白色票を、反対諸君青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  氏名点呼を行います。議場閉鎖を命じます。   〔議場閉鎖〕   〔参事氏名点呼〕   〔投票執行
  78. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) すみやかに御投票を願います。(「よけいなおせっかい要らない」「議長、ここへ札預けていったのはどうなんだ」と呼ぶ者あり)  ただいま行われております投票については、自後十分間に制限いたします。(「反対々々」「そんなことが聞かれるか」「議長、労働基準法御存じですか」「いつ眠らせるのですか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)あと六分でございます。(「何分でもよろしい」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)あと四分でございます。(「さあ夜が明けたよ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)あと四分でございます。(「いつ寝かしてくれるのです」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)あと三分でございます。(「時計の番人になったか」「もうあと四十時間がんばればいい、たった四十時間」「すわり込み戦術はなれている」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)あと一分でございます。(「何が一分だ、汽車が出るようなことを言ってくれるなよ、全く」「居眠りしたら注意してやれ、休憩に反対の連中には、居眠りしたら一々注意してやれよ」「疲労困憊しているというのだ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)  投票漏れはございませんか。(「ある、ある」「四十八時間、全然寝せぬということがあるか」と呼ぶ者あり)  投票漏れはございませんか。……投票漏れないと認めます。  これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。   〔議場開鎖〕   〔参事投票を計算〕
  79. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数 百六十九票   白色票   四十四票   青色票  百二十五票  よって本動議は否決せられました。(拍手、「議長」「不信任案だ、不信任案だ」と呼ぶ者あり)      —————・—————   〔参照〕  賛成者白色票)氏名      四十四名       高田なほ子君    久保  等君       清澤 俊英君    山本 經勝君       山口 重彦君    安部キミ子君       海野 三朗君    河合 義一君       三輪 貞治君    東   隆君       荒木正三郎君    三橋八次郎君       小笠原二三男君    平林  剛君       内村 清次君    赤松 常子君       山下 義信君    木下 源吾君       山田 節男君    栗山 良夫君       村尾 重雄君    相馬 助治君       佐多 忠隆君    市川 房枝君       若木 勝藏君    小林 孝平君       矢嶋 三義君    菊川 孝夫君       重盛 壽治君    吉田 法晴君       大和 与一君    藤田  進君       近藤 信一君    田畑 金光君       永岡 光治君    阿具根 登君       天田 勝正君    松浦 清一君       棚橋 小虎君    曾禰  益君       松澤 兼人君    中田 吉雄君       小酒井義男君    戸叶  武君     —————————————  反対者(青色票)氏名      百二十五名       上林 忠次君    加賀山之雄君       梶原 茂嘉君    柏木 庫治君       井野 碩哉君    山川 良一君       赤木 正雄君    森田 義衞君       森 八三一君    村上 義一君       溝口 三郎君    三浦 辰雄君       廣瀬 久忠君    早川 愼一君       野田 俊作君    中山 福藏君       豊田 雅孝君    常岡 一郎君       竹下 豐次君    高橋 道男君       高木 正夫君    杉山 昌作君       島村 軍次君    佐藤 尚武君       河野 謙三君    小林 武治君       後藤 文夫君    伊能繁次郎君       武藤 常介君    大谷 瑩潤君       白波瀬米吉君    松原 一彦君       西岡 ハル君    井上 清一君       伊能 芳雄君    小沢久太郎君       青柳 秀夫君    佐藤清一郎君       酒井 利雄君    有馬 英二君       関根 久藏君    吉田 萬次君       木村 守江君    菊田 七平君       岡田 信次君    田中 啓一君       榊原  亨君    上原 正吉君       大矢半次郎君    藤野 繁雄君       木島 虎藏君    西川甚五郎君       宮田 重文君    植竹 春彦君       谷口弥三郎君    三浦 義男君       左藤 義詮君    館  哲二君       石原幹市郎君    中川 以良君       鶴見 祐輔君    青木 一男君       泉山 三六君    津島 壽一君       苫米地義三君    大野木秀次郎君       斎藤  昇君    佐野  廣君       小幡 治和君    宮澤 喜一君       大谷 贇雄君    石井  桂君       雨森 常夫君    西川弥平治君       白井  勇君    横山 フク君       高橋  衛君    松平 勇雄君       深川タマヱ君    長島 銀藏君       宮本 邦彦君    最上 英子君       寺本 廣作君    小滝  彬君       青山 正一君    紅露 みつ君       山本 米治君    秋山俊一郎君       石川 榮一君    石村 幸作君       剱木 亨弘君    加藤 武徳君       高野 一夫君    横川 信夫君       松岡 平市君    長谷山行毅君       野本 品吉君    堀末  治君       西郷吉之助君    吉野 信次君       笹森 順造君    黒川 武雄君       小林 英三君    一松 定吉君       木村篤太郎君    大屋 晋三君       石坂 豊一君    三木與吉郎君       新谷寅三郎君    小西 英雄君       井村 徳二君    島津 忠彦君       岡崎 真一君    重政 庸徳君       安井  謙君    入交 太藏君       小柳 牧衞君    川口爲之助君       木内 四郎君    深水 六郎君       古池 信三君    井上 知治君       山縣 勝見君    重宗 雄三君       草葉 隆圓君    ————————
  80. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 森下政一君から、委員会審査省略要求書を付して、副議長不信任決議案が提出せられました。(拍手)  これより直ちに……(議場騒然、聴取不能)……でございますが、私の一身上に関するものであり、なお、議長にも事故がありますので、このまま議事を進めまするには、まず仮議長選挙することに相なります。(「必要なし」と呼ぶ者あり)  よって、この席を事務総長に譲ります。(拍手、「御苦労さん」と呼ぶ者あり)   〔副議長退席、事務総長議長席に   着く〕
  81. 芥川治

    ○事務総長(芥川治君) 議長及び副議長に、ともに事故が生じましたので、これより仮議長選挙を行います。  念のため申し上げますが、この投票は、無名投票でございます。議席に配付してございます白色の単記無名投票用紙に被選挙人の氏名を記入して、白色の……(議場騒然、聴取不能)名刺とともに、御登壇の上、御投票願います。  氏名点呼を行います。   〔参事氏名点呼〕   〔投票執行〕   〔「時間制限」「時間制限だなんて、殺生なことを言うな」と呼ぶ者あり〕
  82. 芥川治

    ○事務総長(芥川治君) 投票漏れはございませんか。(「まだまだ、これからだ」「何を言っているのだ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)すみやかに御投票願います。(「われわれの投票を制約することができるか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)すみやかに御投票願います。(「警察を入れて管理さしたらどうだ」と呼ぶ者あり)すみやかに御投票願います。(「女子の深夜業はないはずだ」「何時間警察を入れておくのです」「何百人の警察官が国会の廊下で立ちん坊しておりますよ」「議長事故はどういうことだ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)すみやかに御投票を願います。(「投票するよ」「あまり何度も言うと、また荒れるぞ」「事故の理由を言いなさい」「議長は今どこにおるか」と呼ぶ者あり)すみやかに御投票願います。(「はい」「事務総長、心臓が苦しくなった、医者呼んでくれ」「議長を連れてこい、議長は寝ているんだぜ」「副議長もいないよ」「不信任を受けたらいなくたっていいじゃないか」「休憩々々」「苦しくてだれに投票していいか考えがつかぬ」「おい医者呼んでくれ、声の出るようにしてくれよ、耳鼻咽喉科の医者を呼んでくれ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)すみやかに御投票願います。(「議長を出しなさい」「六十何人しかいない、定足数不足だ」「羽仁さん顔色が悪い」「時間々々」「芥川仮議長、時間を制限せよ」「あまりいじめるな」「これから仮議長選挙するんだぞ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)すみやかに御投票願います。(「議長どこへ行った、議長を入れろ」と呼ぶ者あり)すみやかに御投票願います。(「今、病人が悪いのだから、よけいなことを言うな」「医者を入れて早くやりなさい」「休憩しよう」「休憩だ、休憩だ」と呼ぶ者あり)すみやかに御投票を願います。(「はい、はい」「午後一時くらいまで休憩するならいいけれども、三十分くらいじゃだめだ」「議長、出て来い」「病人が出ているのだ」「わからぬのか」「私の方は松本さんが倒れ、岡田さんが倒れ、さらに羽仁さんが倒れました、事務総長、あなたの御決意を聞きたい、事は人命に関することです、これでも投票なさいますか、これでも強行なされますか」「早く投票したらどうですか」「投票すれば次から次へやるじゃありませんか」「警察を先に出しなさい」「投票しないでそうやってがんばっていたってしょうがない」「休憩動議出しても諸君反対するじゃないか」「一人でも倒れたらどうするのだ」「議長、時間制限」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)すみやかに御投票を願います。(「はい」「早く投票しろ」と呼ぶ者あり)すみやかに御投票願います。(「だまっていろ」「生命の問題だ」「その通り」と呼ぶ者あり)すみやかに御投票を願います。(「投票じゃない、休憩をしろ」「せめて休憩くらいに賛成しろよ」「朝飯の時間だ」「時間制限」「何を言っているんだ」「特にたのまれれば入れないこともないが、警察を先に出しなさい」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)すみやかに御投票願います。(「はい」「休憩をしよう」と呼ぶ者あり)すみやかに御投票願います。(発言する者多し)すみやかに御投票を願います。(「少しこの辺で寝ろよ」「交渉する相手がいないんだ」「議長を連れてこいよ、議長は今寝ているのだよ」「総長、休憩しろ、休憩を」と呼ぶ者あり)すみやかに御投票を願います。(「議長ではないのだから、えらそうなことを言う資格はないのだぞ」と呼ぶ者あり)すみやかに御投票を願います。(「事務総長は何を言うか、その席を下りなさい」「三十分がんばれ」「これくらいのことは、われわれの消極的な抵抗なんだ」「警察入れたときの元気はどうした」「事務総長、しっかりしろ」「六年間もやってきた人の最後の別れをこんな別れ方で別れたらどうする」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)すみやかに御投票を願います……。すみやかに御投票を願います。(「睡眠時間、八時間休憩」「与党席少いぞ」「社会党が全部入口のところまで出たら定足数なし」と呼ぶ者あり)すみやかに御投票願います。(「早くやれ、早く、みんなのために」「休憩に反対されたんだから仕方がない」と呼ぶ者あり)
  83. 芥川治

    ○事務総長(芥川治君) 議長が出席されましたので、仮議長選挙投票を中止いたします。(拍手)    ————————   〔事務総長退席、議長着席〕
  84. 松野鶴平

    議長(松野鶴平君) ただいままで病気のため事故がありましたが、これより議事を主宰いたします。  議長が出席いたしましたので、仮議長選挙は必要がなくなりました。  副議長の不信任案は、一事不再議の原則により上程いたしません。(拍手議場騒然)    ————————
  85. 松野鶴平

    議長(松野鶴平君) 川村松助君ほか……(議場騒然、聴取不能)……教育行政の……(離席する者多く議場騒然、聴取不能)……運営に関する……(「席に着け」「全然わからない、議長、わからない」と呼ぶ者あり、その他離席する者、発言する者多く議場騒然、聴取不能)……賛成諸君白色票を……(議場騒然、聴取不能)……議場閉鎖を命じます。   〔議場閉鎖〕   〔「全然聞えない」「何を言っているんだ」と呼ぶ者あり、その他発言する者、離席する者多く、議場騒然〕   〔参事氏名点呼〕   〔投票執行〕    〔「何をやっているんだ」「何を上程されましたか」「何の投票だ」「おい君たち聞えたか」「はっきり明らかにしておけよ、速記は、何をやっているか」「議長不信任が出た、不信任案」「すぐ不信任案を」「不信任案が出てるじゃないか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多く議場騒然
  86. 松野鶴平

    議長(松野鶴平君) すみやかに御投票願います。(拍手、「何の投票ですか、議長」「投票の意味がわかりません」と呼ぶ者あり、議場騒然)すみやかに御投票願います。(「あなたの声が聞えませんでした」と呼ぶ者あり)すみやかに御投票願います。(「何の投票だ」「何も聞えない」と呼ぶ者あり)ただいま行われております投票は、自後五分間に制限いたします。(拍手議場騒然)すみやかに御投票願います。(「何ということをするか、議長」と呼ぶ者あり、その他発言する者多く、議場騒然)すみやかに御投票願います。(「投票はできない、私たちは」「審議中の案件を破棄してしまったじゃないか」「警察を直ちに退去させなさい」と呼ぶ者あり、その他発言する者多く議場騒然)すみやかに御投票願います。「何だ」「不信任案が出ているじゃないか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)  投票箱を閉鎖いたします。(「審議中の案件をどうしたのだ」「明らかにせい、明らかに」と呼ぶ者あり、その他発言する者多く議場騒然)   〔投票閉鎖
  87. 松野鶴平

    議長(松野鶴平君) 開票いたします。  投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。(拍手)   〔議場開鎖〕   〔参事投票を計算〕    〔「何だ、めちゃくちゃじゃないか」「うしろの衛視は何している」と呼ぶ者あり、その他発言する者多く議場騒然
  88. 松野鶴平

    議長(松野鶴平君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数 百十六票   白色票  百十六票   青色票    なし  よって文教委員会において審査中の地方教育行政の組織及び運営に関する法律案及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律施行に伴う関係法律の整理に関する法律案について、直ちに文教委員長の中間報告を求めることに決しました。(拍手議場騒然)      —————・—————   〔参照〕  賛成者白色票)氏名      百十六名       山川 良一君    赤木 正雄君       森田 義衞君    森 八三一君       村上 義一君    溝口 三郎君       三浦 辰雄君    廣瀬 久忠君       中山 福藏君    豊田 雅孝君       土田國太郎君    田村 文吉君       高橋 道男君    高瀬荘太郎君       高木 正夫君    島村 軍次君       佐藤 尚武君    河野 謙三君       後藤 文夫君    伊能繁次郎君       武藤 常介君    大谷 瑩潤君       白波瀬米吉君    松原 一彦君       西岡 ハル君    伊能 芳雄君       小沢久太郎君    青柳 秀夫君       佐藤清一郎君    酒井 利雄君       有馬 英二君    仁田 竹一君       滝井治三郎君    関根 久藏君       吉田 萬次君    木村 守江君       菊田 七平君    岡田 信次君       中川 幸平君    田中 啓一君       榊原  亨君    上原 正吉君       藤野 繁雄君    木島 虎藏君       宮田 重文君    谷口弥三郎君       三浦 義男君    左藤 義詮君       館  哲二君    石原幹市郎君       中川 以良君    池田宇右衞門君       鶴見 祐輔君    青木 一男君       野村吉三郎君    泉山 三六君       津島 壽一君    苫米地義三君       斎藤  昇君    佐野  廣君       小幡 治和君    宮澤 喜一君       大谷 贇雄君    石井  桂君       雨森 常夫君    西川弥平治君       白井  勇君    高橋  衛君       松平 勇雄君    深川タマヱ君       長島 銀藏君    宮本 邦彦君       最上 英子君    寺本 廣作君       小滝  彬君    青山 正一君       紅露 みつ君    山本 米治君       秋山俊一郎君    石川 榮一君       石村 幸作君    剱木 亨弘君       加藤 武徳君    高野 一夫君       横川 信夫君    松岡 平市君       長谷山行毅君    野本 品吉君       平井 太郎君    堀末  治君       西郷吉之助君    寺尾  豊君       吉野 信次君    笹森 順造君       黒川 武雄君    小林 英三君       一松 定吉君    木村篤太郎君       大屋 晋三君    石坂 豊一君       三木與吉郎君    新谷寅三郎君       小西 英雄君    井村 徳二君       島津 忠彦君    岡崎 真一君       重政 庸徳君    安井  謙君       入交 太藏君    小柳 牧衞君       川口爲之助君    木内 四郎君       深水 六郎君    古池 信三君       山縣 勝見君    重宗 雄三君    ————————
  89. 松野鶴平

    議長(松野鶴平君) これより文教委員長の中間報告を求めるのでありますが、荒木正三郎君から、委員会の審査省略要求書を付して、文教委員長加賀山之雄君解任決議案が提出されており、本案は中間報告……(議場騒然、聴取不能)……に関するものでありますから、まず、本案の委員会審査省略要求についでお諮りいたします。  右、要求の通り委員会の審査を省略し、日程に追加して、直ちに本案の審議に入ることについて、これより採決をいたします。(「何の採決か」「議長の不信任案はどうした」と呼ぶ者あり、その他発言する者多く議場騒然)表決は記名投票をもって行います。(発言する者多く議場騒然、聴取不能)……の通り委員会の審査を省略し、日程に追加して、直ちに本案の審議に入ることに賛成諸君白色票を、反対諸君青色票を、御登壇の上、御投票を願います。(拍手)  氏名点呼を行います。議場閉鎖を命じます。   〔議場閉鎖〕   〔参事氏名点呼〕   〔投票執行〕   〔「めちゃくちゃじゃないか」「参議院規則も何もないじゃないか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多く議場騒然
  90. 松野鶴平

    議長(松野鶴平君) すみやかに御投票願います。(「投票ができるか」と呼ぶ者あり)すみやかに御投票を願います。(「形式的なものだけじゃないか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)ただいま行われております投票については、五分間に制限いたします。(拍手、「それが正常化を約束した議長態度か」「議長は不信任されているのだぞ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多く議場騒然)すみやかに御投票願います。(「途中からこつ然と現われて、一切の議事を無視して、何をやっているのか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)時間が参りますれば、投票箱を閉鎖いたします。(「何を言っている」と呼ぶ者あり)  制限時間に達しました。投票閉鎖。   〔投票閉鎖
  91. 松野鶴平

    議長(松野鶴平君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。   〔議場開鎖〕   〔参事投票を計算〕    〔「議長不信任案を踏みにじるとは何事です」「議長不信任案は何ものにも優先するはずだ」と呼ぶ者あり〕
  92. 松野鶴平

    議長(松野鶴平君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数 百二十五票   白色票  百二十五票   青色票  なし  よって発議者要求の通り委員会審査を省略し、日程に追加して、直ちに本案の審議に入ることに決しました。   (「議長不信任案が出ているのをどうするのだ」と呼ぶ者あり)      —————・—————   〔参照〕  賛成者白色票)氏名      百二十五名       上林 忠次君    加賀山之雄君       柏木 庫治君    山川 良一君       赤木 正雄君    森田 義衞君       森 八三一君    村上 義一君       溝口 三郎君    三浦 辰雄君       廣瀬 久忠君    中山 福藏君       豊田 雅孝君    土田國太郎君       田村 文吉君    高橋 道男君       高瀬荘太郎君    高木 正夫君       島村 軍次君    佐藤 尚武君       河野 謙三君    後藤 文夫君       伊能繁次郎君    武藤 常介君       大谷 瑩潤君    白波瀬米吉君       松原 一彦君    西岡 ハル君       井上 清一君    伊能 芳雄君       小沢久太郎君    青柳 秀夫君       佐藤清一郎君    酒井 利雄君       有馬 英二君    仁田 竹一君       滝井治三郎君    関根 久藏君       吉田 萬次君    白川 一雄君       木村 守江君    菊田 七平君       岡田 信次君    中川 幸平君       田中 啓一君    榊原  亨君       上原 正吉君    大矢半次郎君       藤野 繁雄君    木島 虎藏君       宮田 重文君    谷口弥三郎君       三浦 義男君    左藤 義詮君       館  哲二君    石原幹市郎君       中川 以良君    池田宇右衞門君       鶴見 祐輔君    青木 一男君       野村吉三郎君    泉山 三六君       津島 壽一君    苫米地義三君       斎藤  昇君    佐野  廣君       小幡 治和君    宮澤 喜一君       大谷 贇雄君    石井  桂君       雨森 常夫君    西川弥平治君       白井  勇君    横山 フク君       高橋  衛君    松平 勇雄君       深川タマヱ君    長島 銀藏君       宮本 邦彦君    最上 英子君       寺本 廣作君    小滝  彬君       青山 正一君    紅露 みつ君       山本 米治君    秋山俊一郎君       石川 榮一君    石村 幸作君       剱木 亨弘君    加藤 武徳君       高野 一夫君    横川 信夫君       松岡 平市君    長谷山行毅君       野本 品吉君    平井 太郎君       川村 松助君    堀末  治君       西郷吉之助君    堀木 鎌三君       寺尾  豊君    吉野 信次君       笹森 順造君    黒川 武雄君       小林 英三君    一松 定吉君       木村篤太郎君    大屋 晋三君       石坂 豊一君    三木與吉郎君       新谷寅三郎君    小西 英雄君       井村 徳二君    島津 忠彦君       岡崎 真一君    重政 庸徳君       安井  謙君    入交 太藏君       小柳 牧衞君    川口爲之助君       木内 四郎君    深水 六郎君       古池 信三君    山縣 勝見君       重宗 雄三君    ————————
  93. 松野鶴平

    議長(松野鶴平君) 文教委員長加賀山之雄君解任決議案(荒木正三郎君発議)を議題といたします。  まず、発議者の趣旨説明を求めます。荒木正三郎君。……まず発議者の荒木正三郎君。……荒木正三郎君。    〔「ちょっと休憩しよう」「不信任案取り扱いを先にやりなさい」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕
  94. 松野鶴平

    議長(松野鶴平君) これにて、暫時休憩いたします。    午前九時五分休憩    ————————    午前十時五十三分開議
  95. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 休憩前に引き続き、これより会議を開きます。  これより文教委員長加賀山之雄君解任決議案発議者の趣旨説明を求めます。荒木正三郎君。   —————————————   〔荒木正三郎君登壇拍手〕    〔「大臣来ていないぞ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕
  96. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 私は、ただいま議題となりました文教委員長加賀山之雄君の解任決議案の趣旨弁明をいたします。  私はこの趣旨弁明に入る前に、一言申し上げたいことは、休憩前における松野議長のとりました態度につきましては、全く国会法を無視し、じゅうりんするものであって、私どもの断じて許容することができないということであります。(拍手)すでに、副議長の不信任動議は成立をいたしまして議題になっておったのでございます。しかるにもかかわらず、松野議長は、一方的にこれを破棄するというふうな態度に出たのであります。さらに、われわれは松野議長に対しましては、不信任案を提出いたしまして、すでに議長の手元に届いておったのであります。しかるにもかかわらず、松野議長はこの不信任案を無視いたしまして、その後の議事進行をはかったということであります。これをもって国会法を無視しておらないということは断じて言えないのであります。(拍手)私どもは今日まで激しい戦いを続けて参りましたけれども、その基本的な態度は、国会法に基く闘争であったのであります。(笑声、拍手)私どもはこの国会法を無視し、じゅうりんした松野議長態度については、断じて許容できないばかりでなく、今後もあくまで追及するものであります。さらに、松野議長はこの神聖なる議場に警察官を導入し、わが参議院の歴史を汚したということは、何と申しましても、われわれの許すことのできない痛恨事であります。(拍手)私ども国会法を無視し、参議院の歴史を汚したこの松野議長に対して、あくまでも責任を追及するものであるということをこの際明言をいたしまして、議題の趣旨弁明に入りたいと思うものであります。  決議案の内容は、皆さんにもお配り申しましたように、「本院は、文教委員長加賀山之雄君を解任する。右決議する。」というのでございます。私がここにあえて加賀山委員長を解任する動議を提出いたしましたのは、個人的な情においては忍びないものがございます。しかし、私どもは今日まで新教育委員会法の重要案件を文教委員会審議して参りましたその過程において、加賀山委員長は重大なる過誤を犯しておるのであります。私どもが最も重視いたしました点は、この法案参議院においては慎重審議すべきである。このことが国民の要望でもあり、またわれわれに課せられたる最大の使命であったのであります。なぜかならば、衆議院におけるこの法案審議の経過を見ましても、わずかに第七条までしか質疑が行われておらないのであります。しかも中間報告という形において衆議院を通過し、参議院に送られて参ったのであります。われわれのみならず、国民のあらゆる人々が、この法案に対して参議院に期待するゆえんのものは、慎重審議という四字の言葉で尽きると申しても差しつかえないと思うのでございます。(拍手)このことは、加賀山委員長が四月二十日文教委員長に就任せられて、われわれにあいさつをなされた劈頭の言葉においても、この法案は慎重審議したいと、みずから言われたのであります。われわれもこの委員長の言を了とし、相ともに携えて、悔いなき審議をしたいという心がまえでこの審議を進めたのであります。しかし結果において、自由民主党諸君は、この法案審議ということに重点を置かないで、この法案をいつあげるかということに重点を置かれたために、ついに最終段階において衆議院と同様な結果を見るに至ったのであります。  私どもは五月二十二日、一般質疑を終了いたしまして、いよいよ逐条審議に入る段階になったのであります。その際、自民党の諸君とわれわれ社会党との間に、審議日数を幾らにきめるかということについて協議をいたしたのであります。その際、自民党の諸君は、逐条審議を廃し、直ちに質疑打ち切りを行い、討論、採決をすべきであると主張したのであります。しかし、私どもは五日間の要求を最小限度のものとして要求したのであります。このときに加賀山委員長は、ついに与党の要求に屈服して、われわれの主張であるこの逐条審議の五日間の要求を一蹴して、委員長職権によって文教委員会を開催、強行せんとしたのであります。  しかし皆さん、われわれが法案審議するということは、これは議員として最高の使命であると私は思うのであります。私は今、先ほど申し上げましたように、議長に取扱いについて幾多の不満、あるいは幾多の不平があるのでありまするが、あえてこの壇上に立っておるゆえんのものは、われわれ議員は、いかなる事態においても審議権を放棄することはできない、この信念であります。(拍手)もしわれわれが審議権を放棄する、これは議員を放棄するということであります。(拍手)その意味において、いかなる状態のもとにおいても、最後まで私ども審議権をあくまでも守り、その職責を尽さなければならぬ。かかる考えのもとに、ここに立っておるのであります。教委法案に対して、私どもが最小限度五日間の要求が通るならば、私はここに満足して、今日のような波乱、こういう経過を経ないで十分な審議が尽され、ここに平常なルールにおいて結末を見るに至ったことは疑いをいれないのであります。わずかに五日間、二十三日から五日間は二十七日であります。このことは私が言わなくても自民党の諸君もよく知っておられます。緑風会の諸君もよく知りておられます。具体的に私どもは五日という提案をいたしたのであります。これが取り上げられるに至らず、ついに私どもは第九条までしか審議していない。ここにおいて質疑打ち切りを行われることは、われわれの審議権を剥奪されるものであると考えたのであります。(拍手)ここに私は、いかなることがあってもこの審議権を守らなければならぬと、かたく決意をするに至ったのであります。ここに至りました根本の理由は、文教委員長として加賀山君が、与党の圧力に屈服して、ついに野党の要求を無視したというところにあるのであります。(拍手)私はこの一点において、多くのことは申しません。この一点において、加賀山委員長は解任に値するものであると確信をするのであります。(拍手)  ここに加賀山委員長が見えておられます。一言私は申し上げたい。それは、私は加賀山委員長に対して、文教委員会を通じていろいろ友情を受けております。個人的には信頼をしております。しかし二十六日、二十七日に新聞に掲載せられた記事を見まして、私はがく然といたしました。(拍手)私は今日なお加賀山君の潔白を信じたいのであります。しかし、これは決算委員会において、佐藤施設局長が説明をしておるところであります。それによりますと、私が今さら申し上げるまでもないのでございますが、国鉄総裁をやめられてから、相当長きにわたって総裁公邸にお住まいをせられたということであります。しかも、この公邸を将来にわたって使うために、他に家を買い求め、これを交換せられたのでございますが、その自宅というものは三十七万円で買われて、一カ月たつかたたないで、これは国鉄に二百万円の評価で売られておるという事実であります。(拍手)これは何としても、加賀山君のために私は身の潔白を解明すべきであると考えておるのであります。しかるに決算委員会でこのことが問題になりましたときに、社会党の諸君は、加賀山委員長の出席を求めて、この問題について釈明の機会を与えようと申したのにもかかわらず、自民党並びに緑風会の諸君は、多数をもってこれを押えた。これは何ということでありましょうか。疑惑を永久に疑惑として残しておくということは、果して加賀山君のためになるのでありましょうか。私は、もし加賀山君がほんとうにこれが誤まりであるというならば、みずから自党の委員を通じて解明の機会を求むべきであったと思う。このことは私は多くは申しません。なぜかと申しますと、文教委員会であるからであります。審議されておる法案が、教育に関する重大な問題であるからであります。この問題については全国の父兄が注視をしております。全国の教職員が注視しております。全国の学生や生徒が注視しております。この中において、法案が十分審議されないで、しかも非常な疑惑を受けた加賀山委員長が中間報告をなし、それによってこの法案が成立した、こういうことが純真なる子供にどういう影響を与えるか、私が申し上げるまでもないのであります。このことを考えるときに、加賀山君は、みずから退いて、この中間報告は他の理事に譲らるべきであると私は信ずるのであります。(拍手)  ここに加賀山委員長解任決議の趣旨を申し上げるとともに、善処を要望いたしまして、趣旨説明を終りたいと存じます。(拍手
  97. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 本案に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。秋山長造君。   〔「議長、ちょっと議事進行につい   て」と呼ぶ者あり〕
  98. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 訂正いたします。成瀬幡治君。   〔成瀬幡治君登壇拍手
  99. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 ただいま、同僚荒木議員から提案されました問題は非常に重大でございます。人が人をさばくという問題でございますから、慎重の上にも慎重を期さなければならないと思います。私は、たとえば五番町事件に見るがごとき誤まりを犯しては大へんな問題だと思うわけでございます。しかし、承わりますと、十分間に私の質疑を制限されておるのでございます。こういうことは、私たちは多数の暴力、多数の横暴と言うよりほかに道はないと思うのでございます。しかし、与えられたる時間が一応十分間であるというならば、一応それを私たちは守りましょう。  そこで、解任決議案の趣旨弁明を承わっておりますと、第一の理由は、委員長は、一体法案審議することが任務なのか、法案を上げることが任務なのか。任務を間違えて、審議することよりも、何か法案を先に上げさえすれば、それが任務であるかのごとくお考えになっておるというのが、解任の第一の趣旨のように承わるわけでございますが、これは間違いございませんか、これが第一点でございます。  先日来の議長の運びを見ておりましても、私はここで論議を尽すべきことをやるのが議長なんです。ただそれを、でくの坊じゃありませんけれども、ボタンだけ押すとか、「早く御投票願います。」これしかよう言わないような議長は、議長じゃない、参議院の。参議院に課せられたるところの任務をいかに遂行して行くか、国民がわれわれに負託したそれに、いかにこたえて行くかというのが、議長任務であるとともに、文教委員長の任務も、法律案を上げるだけではない、十分論議を尽して、そうしてその上においてやるのが、これが任務であるというふうに荒木君は主張されておるのでございますが、一体、しかりとすれば、何か承わるところによりますと、衆議院においても、この法律案は中間報告によって上ってきておるのでございます。しかも参議院におきまして逐条審議等を伺いますと、何か百六条ある法文のうち、たった九条しかやらなかったのでございますが、われわれは、文教委員の人たちが五日間を主張されたそれに対して、これをのまなかったとおっしゃるのでございますが、なぜそういうものに対して受け入れられなかったか、私はその間の事情をいま少し明らかにしていただきたいと思うのでございます。これが第一点でございます。  第二点に伺いたい点は、参議院においても、あるいは衆議院においても、りっぱな参考人を呼んで意見等を求めておいでになるのでございます。私は戦前あるいは——まあ戦前ですが、御用学者というものがあり、そういう人たちが戦後においても、また何か生まれかわったようなことを言っておりますが、そういう人たちを私は尊重はいたしません。戦前において、教育を守る、学問を守る、警官等の弾圧の中においても、自分たちの思想を、学問を守ってきたそういう人たちの意見というものは、ほんとうに尊重されなければならないものだと考えるのでございます。(拍手)従って、そういう人たちを呼んで、参考の御意見を承わっておられるようでございますが、その意見が、この法律案審議に当って、いかに反映をしておるか、どういう影響があるのか、そういう点が第二点に承わりたい点でございます。(拍手)  第三点に承わりたい点は、加賀山委員長のいわゆる住宅の問題でございますが、これは私たちはあまりにかれこれ深く申し上げることよりも、こういう問題が出たときに、加賀山委員長は、御自身の口からか、あるいは同僚緑風会の諸君の口を通しまして、たとえば社会党の文教委員の理事の諸君に対して、何らかの意思表示がなされておるかどうかということ、少くとも自分は文教委員長として、少くとも疑いの晴れるまでは何かするとか、どうとかというような意思表示が全然なされずに、ただ単に、盗人たけだけしい格好で、ほおかむりで過ごされるような私は加賀山委員長ではないと確信するわけでございますが、この点はいかがであったか。これが、三番目の質問でございます。  第四点として伺いたい点は、五月十二日の公聴会におけるところの、横浜市の教育委員の林知義君の公述内容をめぐりまして何か食い違いがあった。しかも、あらためて十七日に林知義君その他を参考人として喚問をしてお見えになるのでございます。こういうことは参議院においても衆議院においても前例のないことでございます。この前例のないことが、あえて繰り返されておるのでございますが、その間の経緯とその処理結果について詳細承わりたいと思うのであります。  第四番目に伺いたい点は、いわゆる清瀬暴言をめぐる点でございますが、何か三月八日に全教委の代表の人たちと清瀬文相とが会見をされた。あるいは電話で話があったとかいう話でございますが、そういうことよりも、一体教育委員のお方たちが、こういう重要な法律案に対して改正をするような場合には、なぜわれわれに対しても意見を求めてくれなかったか、こう要望されたことに対しまして、清瀬文部大臣は、宴会があって自分が酒に酔っぱらってきて、そしてその場へ出て、電話で出たか、あるいはその場に居合せたか、そこは私はわかりませんが、とにかく、監獄法の改正をするようなときには、一々服役者の意見等を聞いてやらないのだ、こういうような暴言を吐かれたと聞いております。それを、いわゆる五月二十一日に、そういうことを究明するために、東京都教育委員長松沢一鶴君を文教委員会は呼んでお見えになります。しかもこれは秘密会において呼んでお見えになるわけでございますが、一体どういう経緯なのか、その間の私は事情一つ皆さんの口から承わりたいと思うわけでございます。  以上、私は四点について承わりまして、なお時間が二分余っておるそうでございます。一番最初に申しましたように、人が人をさばくのでございます。もし間違って加賀山委員長に対して相済まない結果が出ては、私は、単に加賀山委員長個人の問題ではなくて、もちろんその家族にも非常に問題でございましょう。あるいは緑風会に対しても大へん申しわけない問題だと思うわけでございますから、一つ提案者より明確なる御答弁を承わりたいと思うわけでございます。(拍手)   〔荒木正三郎君登壇拍手
  100. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 ただいま成瀬議員から五点にわたりまして御質問がございました。私は、与えられたる時間の範囲内では、この全部の問題にお答えするということは困難であるかもしれません。相当内容の豊富な問題が含まれておるからであります。しかし私はできるだけ率直にお答えを申し上げたいと存じます。  で、この法律審議に当りまして、文教委員長がどういう態度審議に当ったか。私どもが加賀山委員長に一番要望した点は、十分に法案審議する、そのために結果として会期内に上らないという場合もあり得るのだ、こういう態度で臨んでもらいたい。しかし私どもは具体的な提案をいたしまして、会期内に上らないような提案は一回もありませんでした。しかも事実においては教科書法案もくることである、これも会期内に上げなければならぬ、だからもう法案審議は相当したのである、六十何時間したのである、こういう数字をあげて、しゃにむに法案を上げるという方向に私は努力が集中せられたと考えておって、この点は同僚の委員とともに非常に遺憾に感じておった点であります。これは私の見解であります。  次に、この法案はどの程度審議されたか。これは先ほども申しましたように、この法案の性質からいって、逐条審議が非常に重要な使命を持っておることは文教委員会でも確認をしたところであります。しかし事実においては、第九条までしか質疑が行われなかった。しかもこの九条の質疑の中においても重大な疑義がたくさん出てきたということであります。これは詳しく申し上げることはできませんが、政府の答弁も前後矛盾する、あるいは文部省あるいは法制局の見解が一致しない、そういうこともしばしばありまして、この範囲内においても疑義の解明ができなかったのであります。さらに湯山委員は、この法案全部を通してこれこれの点について疑義があるということを加賀山委員長にまで申し入れて、せめてこの疑義のある点だけは解明してもらいたいと再三再四要望したのでありまするけれども、それはついに実現するに至りませんでした。  次に、公聴会における公述人の貴重な意見が法案審議において反映されたかどうか。これは文教委員会において質疑、討論、採決をしておりませんので、私はここに申し上げるということは越権になると思うのです。あるいは質疑、討論した段階において、それらの意見が反映して修正案が出るという場合もあったかもしれないのであります 従ってここにはっきり責任をもって反映しておるとか、いないとかということは言えないと思うのでありますけれども、私はこれは一般論として重要な問題であると考えております。最近の公聴会は形式に流れておる。そういう点は私どもが、ひとり文教委員会のみならず、大いに反省しなければならない問題であるというように考えております。  住宅問題については、先ほど申し上げました通り、これに触れることをあまり好みませんので、御了承を願いたいと思います。  次北、五月十二日の公聴会に林知義君が出席して公述したこの件についていろいろ問題があったのじゃないか。これは文教委員として私ども社会党はきわめて重大な問題として、これを取り上げたのであります。なぜかならば、林知義君は横浜市の教育委員をし、今年の二月までは全国の地方教育連絡協議会の会長をしておったのであります。この人は今年の二月に大会を持って、そうして、もし文部省の考えておるような教委法案国会に出されて、そうしてこれが通るようなことがあれば総辞職をするという決定を、自分の会長のときにしておられるのであります。さらにこの会長名をもって、国会に対しても、私どもに対しても、絶対反対であるという意思表示をなさってきたのであります。ところが、この方が自民党の推薦で公聴会に出られまして述べられた公述は、この政府提案に全面的に賛成であるという意見を述べられたのであります。私どもはまことに不可解なことであると考えまして、そうしてその後明らかになったところによると、私どもに対して地教委の副会長から、あの林知義君の公述は、文部省の制圧によって本人の意思が曲げられているという、そういう情報を私どもに提供されたのであります。皆さん、公述人を呼び、公聴会において、提案者が公述人に働きかけて、本人の意思にあらざる公述をなさしめるということは、私は国会を冒涜しておると思うのです。(拍手)この問題は立法府にある者として軽視することはできない。この問題は幸い加賀山委員長も真相を究明する必要があるというので、参考人として国会に呼んだのであります。私はここに速記録を持っていますが、この公述内容を読み上げるには二十分や三十分かかります。(「読め読め」と呼ぶ者あり)この中に幾たびか、おれはこれから文部省へ行くのだ、きょうもまた原稿が直された、おれはいやでいやでたまらないのだと、何べんも何べんも繰り返しております。これは本人が言ったのでなしに、本人から、副会長が会ったときにそのことを申したのであります。おれは緒方に会って原稿を直された、竹尾に会って、ぜひ公聴会に出ていってもらいたい、こういうことを頼まれた。これは皆さん、重大であると考えるのは当然であると思うのであります。(拍手)しかし参考人として、副会長二人、林知義君本人を呼んで、別々に事情を聴取したのでありまするが、その間に食い違いがありました。そこで私どもは、これは証人として喚問して、あくまでも真相を究明して、事実が明確になれば、これは政府に対して重大な反省を求めるということは、立法府にある者としての当然の責務であると考えたのであります。しかし加賀山委員長は、与党の方々の意見に押されて、あるいは本人の意思であったかもしれません。この証人として呼ぶことについては絶対に反対された。ついに何人も納得する真相というものは調査されなかったのであります。私は、この問題はうやむやにしないのだ、あくまでも事実の究明をするのだとおっしゃった加賀山委員長が、この法案審議を促進するために、こういう問題をうやむやにせられた、そのことは事実であります。(拍手)私どもは特に遺憾に思っておる問題であります。  さらに、この問題と関連をして、衆議院における公聴会において、全国都道府県教育委員会委員協議会会長松澤一鶴氏、東京都教育委員長です。加賀山さんの友人です。この人は衆議院の公聴会において、文部大臣から発言内容について制圧を受けたという事実がある。このことが問題になったのであります。それは新聞にもその内容は出ましたので、簡単に申し上げますが、松澤氏から、この教委法案についてはぜひ教育委員会の意見を聞いてもらいたい、この申し入れに対して、文部大臣は、監獄を作るのに囚人の意見を聞くことがあるか、教育法律を作るのに教育委員会の意見を聞くことがあるか、こういうふうに返事をせられたのであります。私はこのこと自体が重要であると思います。皆さん、いかなる法案を作るときでもです、世論を聞き、国民の声を聞くということは、民主主義の根本であると思うのであります。(拍手)漁業の法案を作るのに漁民の意見を聞くばかがないということは、何ということですか。農業に関する法案を作るのに農民の意見を聞いてはならぬ、こういう考えが果して世論に耳を傾けるという態度でありましょうか。私どもは、その意味において重視したのであります。  しかし、さらに問題は、公聴会において、質問があっても、なかりしことにしてもらいたい、しゃべってはならぬぞと。これは公聴会の席上でです、松澤君がすわっているところへ文部大臣がわざわざ行って、耳打ちをしてとめたのであります。これは後日、松澤君を呼んで聞きましたところ、その通りだ、なかりし……、しゃべってはならぬぞと、わざわざ歩いて行って言った。これは加賀山委員長が結論として文教委員会でもおっしゃっております。これは間違いであるというのはおかしいのです。一致したのです。文教委員会として。そのために委員から質問があったけれども、松澤君はこのことには触れることができなかったのであります。これは私どもの考えでは、公述の内容について制圧が加えられた、このことは将来にもこういう事例を残してはならない。この意味において、私どもは軽い問題でないと考えておるのであります。(拍手)  こういう問題があったということをお答えいたしまして、一応終らしていただきたいと思います。(拍手
  101. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 秋山長造君……。   〔成瀬幡治君発言許可を求む〕
  102. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 訂正いたします。成瀬幡治君。   〔成瀬幡治君登壇拍手
  103. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私たちは、審議をするということが一番大事であって、法案を上げる、なるほど、これは文部省の官僚の諸君は、それを急ぐと思うのでございますが、われわれは議員である、立法府の議員である。そういう点について、委員長として適切な処置をとられなかったということは非常に遺憾だと思うわけでございますが、それよりも、より重大と申しますか、一応関連して承わりたい点は世論の点でございますが、たとえば健康保険法の改悪に当りましては、保険医の諸君は総辞退というものを表明をして、その意思表示をいたしました。この新しい教育委員会法に対しましては、教育委員の諸君が総辞職という線を打ち出して、一応見解を表明したのでございます。同じ総辞退であり、総辞職というような、言葉は一字ないし二字違っただけでございますが、しかし持っている意味というものは、全然違うのでございます。公選されたところの教育委員の諸君が辞任するということは、辞職するということは、重大な問題である。この点について、文教委員会は適切なる論議をしたかどうか、文教委員会においては、こういう問題を見すごしておったのかどうか、文部大臣等の考え方はどういうものであるかということを、文教委員会審議を通じて私は明らかにされておらなければならないと思うのでございますが、世論に耳を傾ける、何といったってこれは民主政治のスタートでございます。このことをなくし、このことをやらなくて何の政治でございますか。私はこうした問題について突っ込んだ論議がされておるものと確信するわけでございますから、この点を伺いまして、私の再質問を終るわけでございます。(拍手)   〔荒木正三郎君登壇拍手
  104. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 再度の成瀬議員の御質問にお答えを申し上げたいと思います。  文教委員会審議の過程におきまして、世論、国民の声、こういうものについては、私ども重大な関心を払って質疑をいたしたのでございます。しかし、文部大臣はしばしば答弁を繰り返されたのでありまするが、その要旨は、これは誤解に基くものである、そういう答弁で終始一貫したのであります。私どもは、大学の総長、良識の代表ともいうべき人たちの見解だ、文部大臣によって、これは誤解に基くものであるというふうな答弁が繰り返されたのでは、どうしても納得できなかったのであります。さらに、今度の法案につきましては、参議院において、おびただしい請願が送られました。その請願については、結論は出しておりませんが、中間の審議をいたしましたその段階においても、七百二十万という多数の国民が署名をして、国会に成規の手続をとって請願をしておられるのであります。この問題についても文部大臣に所見をただしました。しかし、それは誤解なんだ、わからないのだ、こういうことで片づけられ、まだその請願を見ていないのだ、こういうことで一蹴されてきたのであります。また、新聞論調についても見解をただしましたが、それも誤解なんだ、ここに今資料があります。それでは一体日本のおもな新聞は、全部をあげてこの法案は憂慮すべき法案だ、口をそろえて、教育の国家統制の憂えがある、心配がある、口をそろえて論陣を張ったのであります。こういう新聞の論調に対して、文部大臣はどう考えるかという質問に対して、それは誤解なんだ、それではその資料を提供してもらいたい。矢嶋委員から要求があった。こういう資料が出ました。それには、朝日新聞の記事として、この朝日新聞の論説の中には、次のような趣旨の記事があるが、これは法案に対する誤解に基くものと思われるとして、例をあげてあるのであります。私は時間の関係で一つだけ初めのを読みます。「自治体首長の任命になると、当然、教育委員会に政党色が濃厚となり、教育を政党が支配するおそれがでてくる」と書いてある。これは朝日新聞の論説の中の一文です。これが誤解だと文部大臣は言うのであります。こういうふうに、主要なる新聞の論説を誤解であるとして一蹴せられ、世論に耳を傾けず、こういうことについては一片の誠意もなかったということは、私は明言できると思うのであります。  以上で終らせていただきます。(拍手)   —————————————
  105. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 秋山長造君。   〔「名前が違う」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕
  106. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 御訂正いたします。村尾重雄君。   〔村尾重雄君登壇拍手
  107. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 ただいま議題になっております文教委員長加賀山之雄君の解任決議案について、提案者荒木さんに、突然のことでありますので、一点お尋ねしたい点があるのであります。  それは、加賀山委員長の責任が、単に文教委員長解任程度のことで責任が果されるかどうかという点であります。ちょうど一日違いの二年前、衆議院において警察法の審議に関連して、当時の議長から警察官の院内へ進入を要請した一事であります。当時二百名の警察官が衆議院に闖入したのでありますが、両院とも議席を埋めている人たちすべての者が、再びこういうことを繰り返してはならないと考えたことだと私は思うのであります。しかも、それが今日五百名の警察官が、良識をもって誇るわれわれ参議院にこれが進入いたしたのであります。議場内へも入ったのであります。この責任は一体、もとをただせばだれにあるかということであります。もとより清瀬文部大臣にもありましょう。また自由民主党にもありましょう。文部省にもありましょう。がしかし、直接のこの数日間の参議院混乱並びに本日の事態というものは、文教委員長としての加賀山君にあると私は言いたいのであります。(拍手)御承知のように、先ほど質疑が成瀬君によってなされた一点の中に明らかなように、この法案が、すなわち新しい教育法案、すなわち地方教育行政に関する組織と運営に関するこの法律案が、衆議院において異例の中間報告という処置がとられました。そのために委員会審議、討論を打ち切り、本会議における質問、また討論を打ち切って、社会党全部の拒否のうちに、棄権のうちに、この法案衆議院を通過するという処置がとられたのであります。このことについて、当時われわれ日本社会党は、益谷議長の取扱いについて異議を申し立てました。また、これの明確なる結果が出ない先に、参議院においてもこれを審議することについて考慮ありたしと、現議長まで党が申し出でたのであります。ところが両院議長ともに、これに対して拒否の態度をとられました。これを受けて加賀山さんが、わが参議院において、委員会において、これの審議に入られるについて、われわれはいろいろ異論があったのでありますが、この取扱いは当時議運に一任いたしたのであります。議運において、議運の関係者において、この法案の疑義について、この衆議院取扱いの疑義については、われわれは一任いたしまして、ともかく委員会審議に入ったのでありますが、なぜ入ったかといいますれば、当時、前の委員長が加賀山さんに交代されたのであります。その加賀山氏が衆議院におけるこの法案の取扱いについて幾多の疑義を持っておられたということであります。従って参議院においては、良識をもってこの法案の取扱い、審議については、参議院らしゅう慎重に審議したいというのが、加賀山さんの考え方だということをば、私、荒木さんから当時伺ったのであります。すなわち二十九年の教員の政治的中立の問題の、すなわち教育法案をばわが参議院で取扱ったときにも、教育委員であった加賀山さんが、いろいろとわが党との接触により、わが党との懇談において、いろいろこの法案の、すなわち修正に善処されたという努力をば、荒木さんから私はたびたび伺ったので、いな、教育委員会に非常に関連を持っている人たちから、私はすなわち加賀山さんの委員会におけるこの当時の審議の模様について、努力についてお伺いいたしまして、この加賀山さんが特に衆議院のあり方に批判を持ち、参議院においては、良識をもって参議院らしい取扱いをするということを非常に腹の中で決意し、委員長として委員会に臨まれたと、私はこう思ったのであります。  ところがどうでしょよう、私も文教委員としてその席を汚しまして関係いたしたものでありますが、その審議を非常に信頼いたしておりましたが、その結果というものは、今、成瀬氏からお話のあった通りであります。しかも、もし加賀山さんが良識を持って、ほんとうに持って、民主的な政治家であったならば、教育を真に憂い、日本の正しい教育のあり方を望まれるのでありましたならば、先月二十一日、二十二日と、いわゆる審議打ち切りをめぐっての、すなわちむだな時間を重ねることなくして、これを継続されていた場合においては、二十四日、二十五日、二十六日と、せめて三日の余裕があったならば、十分この法案審議の極を尽して、この法案はよかれあしかれ、参議院において正しい審議のもとに、これが成立を見ていることは明らかであったのであります。(拍手)私は非常にこの法案の取扱いについての、文教委員長としての取扱いに、今日非常に遺憾の意というよりか、この数日来の参議院混乱を見るときに、加賀山氏の委員長としての責任を私は最も追及したい一人であります。これが荒木さんから委員長解任の決議案が出されて、るるお話があり、その意思を私は伺って、もとより満足するものでありますが、今申し上げましたように、この加賀山さんが、たとえば与党の理事の理解なき申し出を、十分に自分の良心によってこれを克服して、もう三日、長くて四日の審議をやった場合において、こうしたわが国、民主政治、特に参議院において警察官の国会進入というような、こうした事態を起さずして、私は参議院の良識を守り得たと残念に思うのであります。(拍手)私はこういう意味合いにおいて、加賀山さんの私は個人的な人格はもとより知りませんが、私は加賀山さんの人格そのものには非常に敬意を持っておりますが、しかし文教委員長としての、すなわちこの法案の取扱い方というものに対して、文教委員長として加賀山さん自身の責任というものは、非常に私は重要なものがあろうと、こう思うのであります。こういう点から、単に文教委員長解任という程度で、提案者は事足れりとお考えになっているか。私はもっと重大な、この数日来、日本の民主政治のあり方、暴力を排し、独裁政治への傾向を絶対に防ごうと思っておられる人々が、参議院の数日来のあり方を見て、私は非常に悲しく思っておられると思います。また私自身今日来の状態を見て、われわれも考えなければならぬと思っております。反省もいたしておりますが、しかしこの責任というものは、一にこの法案を取り扱った委員長加賀山さんの責任最も重大だと思うのであります。(拍手)  こういう点から、単に解任程度のことで済まさるべきものかどうかということ、もっと議員としての責任を、政治的責任を追及すべきでないかと思うのですが、提案者はどうお考えになるかということを一点お尋ねいたしまして、私の質問を終りたいのであります。(拍手)   〔荒木正三郎君登壇
  108. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 村尾議員から非常に重大な質問があったわけでございます。この問題は、結論としてお答えするという筋合いの問題でないように私は考えます。ただ、この文教委員会にかかった教委法案が、この審議の経過が、今日まで参議院においてこういう事態を起したということは未だかつてなかった、このことについて、これはお互いに批判検討される問題であると思います。しかし、その経緯について、私はこの解任の決議案において申し述べましたように、この法案審議が尽されなかった、しかも第九条までしか行われなかった、こういう点がその原因になってきている。しかるに加賀山委員長は、委員長職権で文教委員会を強行する、しゃにむにこの法案を上げてしまおう、こういう態度が出発点になってきておった。この意味において、私は委員長の責任は非常に重大であると思うのであります。しかもこの法案は、私から申し上げるまでもなく、日本の良識が指摘しておりまするように、日本教育を官僚統制のもとに置く、政党支配のもとに置く、そういう心配が非常に多い、このことが指摘されておるきわめて重大な内容を持った法案であります。これが審議も尽されないで、そうして国会で成立せしめよう、こういう考え方が、私は、今日の事態を引き起す源となっておる、こういう点において、その責任は非常に重いと思うのであります。しかしこれには、私は、加賀山委員長だけでなしに、自民党に対し大きな責任があるということをこの際言わなければなりません。(拍手)自民党は多数による力によってしゃにむにこの法案を通そうと、審議が残っておろうが、残っておるまいが、何でもかんでも押し通そうと、ここに一番大きな私は理由があったと考えるのであります。この二、三日来、この本会議場を通じて現われた警察権の導入、これは直接の責任は議長にありまするが、その背後にある自民党の責任であると言わなければなりません。(拍手)  私は、この意味において加賀山委員長の責任を追及するとともに、さらに議長、自民党の責任は重大であるということを申し上げて答弁にかえたいと思います。(拍手
  109. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 川村松助君外五名から、成規の賛成者を得て、質疑終局の動議が提出されております。  これより本動議の採決をいたします。  本動議の表決は記名投票をもって行います。本動議賛成諸君白色票を、反対諸君青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  氏名点呼を行います。議場閉鎖を命じます。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名点呼〕    〔投票執行
  110. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) すみやかに御投票願います。……お早く御投票願います。(「議長議場はまだ包囲されておるようでございますから、そういう所で、私の投票権は行使するわけにはいきません。私は棄権いたします」と呼ぶ者あり、拍手)お早く御投票を願います。……お早く御投票を願います。  (「やっているじゃないか」と呼ぶ者あり)  投票漏れはございませんか。……(「ある、ある」と呼ぶ者あり)お早く御投票を順います。(「議長何分以内かい、今まで何分以内と言ったじゃないか」と呼ぶ者あり)すみやかに御投票を願います。(「すみやかということはないじゃないか、今まで何分と言うておった。慣習的に言うておったじゃないか、言うて下さい」と呼ぶ者あり)お早く御投票を願います。(「何分以内と言いなさい、今まで必ず言った、その通り議長の言う通りにしますよ」と呼ぶ者あり)すみやかに御投票下さい。(「何分以内です。何分以内と言って下さい」と呼ぶ者あり)すみやかに御投票下さい。(「時間が書いてあるでしょう、あなたのところに」と呼ぶ者あり)  御投票がなければ、投票箱を閉鎖いたします。(「投票はありますよ」と呼ぶ者あり)お早く御投票下さい。  投票漏れはございませんか。……投票漏れないと認めます。  これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。   〔議場開鎖〕   〔参事投票を計算〕
  111. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数 百七十二票   白色票  百三十三票   青色票   三十九票  よって質疑は終局することに決しました。      —————・—————   〔参照〕  賛成者白色票)氏名      百三十三名       上林 忠次君    梶原 茂嘉君       奥 むめお君    井野 碩哉君       山川 良一君    赤木 正雄君       森田 義衞君    森 八三一君       村上 義一君    溝口 三郎君       三浦 辰雄君    廣瀬 久忠君       早川 愼一君    野田 俊作君       中山 福藏君    豊田 雅孝君       常岡 一郎君    土田國太郎君       田村 文吉君    竹下 豐次君       高木 正夫君    杉山 昌作君       島村 軍次君    佐藤 尚武君       小林 武治君    後藤 文夫君       伊能繁次郎君    武藤 常介君       大谷 瑩潤君    白波瀬米吉君       松原 一彦君    西岡 ハル君       井上 清一君    伊能 芳雄君       小沢久太郎君    青柳 秀夫君       佐藤清一郎君    酒井 利雄君       有馬 英二君    仁田 竹一君       滝井治三郎君    関根 久藏君       吉田 萬次君    森田 豊壽君       白川 一雄君    菊田 七平君       岡田 信次君    中川 幸平君       田中 啓一君    榊原  亨君       上原 正吉君    大矢半次郎君       藤野 繁雄君    木島 虎藏君       西川甚五郎君    宮田 重文君       植竹 春彦君    谷口弥三郎君       三浦 義男君    左藤 義詮君       館  哲二君    石原幹市郎君       中川 以良君    中山 壽彦君       池田宇右衞門君    鶴見 祐輔君       青木 一男君    野村吉三郎君       泉山 三六君    津島 壽一君       苫米地義三君    大野木秀次郎君       斎藤  昇君    佐野  廣君       小幡 治和君    宮澤 喜一君       大谷 贇雄君    石井  桂君       雨森 常夫君    西川弥平治君       白井  勇君    横山 フク君       高橋  衛君    松平 勇雄君       深川タマヱ君    長島 銀藏君       宮本 邦彦君    最上 英子君       寺本 廣作君    小滝  彬君       青山 正一君    紅露 みつ君       山本 米治君    秋山俊一郎君       石川 榮一君    石村 幸作君       剱木 亨弘君    加藤 武徳君       高野 一夫君    横川 信夫君       松岡 平市君    長谷山行毅君       鈴木 強平君    野本 品吉君       平井 太郎君    川村 松助君       堀末  治君    西郷吉之助君       郡  祐一君    遠藤 柳作君       吉野 信次君    笹森 順造君       黒川 武雄君    小林 英三君       一松 定吉君    木村篤太郎君       大屋 晋三君    石坂 豊一君       三木與吉郎君    新谷寅三郎君       井村 徳二君    島津 忠彦君       岡崎 真一君    重政 庸徳君       入交 太藏君    小柳 牧衞君       川口爲之助君    木内 四郎君       深水 六郎君    古池 信三君       岩沢 忠恭君    重宗 雄三君       草葉 隆圓君     —————————————  反対者(青色票)氏名      三十九名       高田なほ子君    久保  等君       山本 經勝君    山口 重彦君       加藤シヅエ君    岡  三郎君       河合 義一君    田中  一君       永井純一郎君    上條 愛一君       東   隆君    三橋八次郎君       平林  剛君    赤松 常子君       山下 義信君    木下 源吾君       山田 節男君    村尾 重雄君       市川 房枝君    須藤 五郎君       石川 清一君    千田  正君       小林 孝平君    片岡 文重君       小林 亦治君    吉田 法晴君       藤田  進君    田畑 金光君       大倉 精一君    永岡 光治君       阿具根 登君    天田 勝正君       棚橋 小虎君    羽生 三七君       曾禰  益君    中田 吉雄君       森下 政一君    小酒井義男君       戸叶  武君    ————————
  112. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。有馬英二君。   〔有馬英二君登壇拍手
  113. 有馬英二

    ○有馬英二君 私はただいま議題となりました加賀山文教委員長解任の決議案に対しまして、反対の意を表明するものであります。  先ほど来、提案者の荒木氏から提案理由の説明をされました。いかにも加賀山氏がへんぱなやり方をやり、自民党の意を迎えて、そうして日をじんぜん過したかのようで、また質問の自由をいかにも束縛したかのごとき説明がありましたが、これは全く事実に反しているものであります。加賀山氏の質疑に対する態度はまことに公明正大、中正でありまして、不偏不党でありました。これは私が自民党であるからそういうことを申すのではありません。その意味は、加賀山氏自身が絶えず言われておったのでありまするが、私どもは、かえって加賀山氏がわれわれの意見を少しも聞いてくれないということを、たびたび、私もまた同僚の吉田君も申したくらいでありまして、加賀山氏は絶えず野党である社会党の委員の言われることをおもに聞いて、審議の日をきめ、また時間をきめてきたくらいでありました。でありまするから公聴会等も加えまして審議の時間は、衆議院において四十八時間にすぎなかったものが、わが参議院の文教委員会は七十一時間という長きにわたっておるのであります。(拍手)しかも、われわれの審議日は、御承知のように五月の一日から五月の六日までという、俗にいわれるゴールデン・ウィークをその中に含めておりましたので、はなはだしい時日のロスがあったのであります。しかも社会党の諸君は、五月一日メーデーは、これは祝日であるかのごとく言われるので、私どもも、その言う通りに加賀山さんに話をいたしまして、この日を休むことにいたしましたが、その前の日とそのあとの日くらいは、ぜひ審議をやりたいと申したのでありまするが、社会党諸君の非常な熱心なる御申し出によりまして、加賀山委員長はこれを聞き入れられたのであります。私どもはこれは、はなはだ不当というのではありませんけれども、時日が非常に少いのに、この三日を失うということは審議上非常な損失であると思ったのであります。でありまするから、この一日から……一日じゃない、その前の日の三十日を加えまして六日まで完全に休んだ。その中、一日、四日がありましたけれども、ほとんど一週間の空白を持たなければならぬような、時日の非常な損失を来たしたのであります。でありまするから、しかも最終日、五月の十七日、これが初め与えられた最終日でありまするから、加賀山委員長は、その間のこの審議に要する日をよく勘案されまして、大よそ二十日前ぐらいまでには、この文教二法案審議を終らなければなるまいというようなことを、後に考えられたのでありまするが、初めのうちは、どうしてもあとから上ってくるところの教科書法案のために、少くとも十日ぐらいの日を要するであろうそれを五月十七日までの間に繰り入れまして、その前の日をこの教育法案に充てられたのであります。これらの日の割当について、委員長としていかに苦心をされたかということを、私は理事の一人として、絶えず加賀山氏と交渉を持ちました関係者の一人として、まことに同情したのであります。しかも野党の人は、常に日が足りない、そのワクの中で操作するということに不満を抱いておられたようでありますが、これは委員長としては当然の苦心のあるところであろう。従いまして、私どもは後には毎日朝十時、正確に十時から夜の夕方の七時あるいは七時以後までも委員会を持ったのであります。かように精励な委員会は、おそらく十数の委員会がありましても、ほかには決してない。私は明言してはばからない。(拍手)  その委員会の精励恪勤であったこと、私どもは毎日、朝、少くとも私の党に関する限り、文教委員はすべて八時半に登院をいたしまして、それからいろいろ研究をいたしまして、十時かっきりには委員室に出頭しておったのであります。しかも、この時間を正確にするということは、委員長の非常な熱心なる努力で、その委員長の時間の正確さに私どもは引きずられまして、絶えずこれに追従して、そうしてこの審議を少しでも長く一分にやろうということに努力をしたのでありまして、これは一に委員長の精励恪勤のたまものであった。(拍手)このことは、はっきり私はここで申し上げることができる。この法案の内容が非常に充実した複雑なものであるということは、初めからよくわかっておったのであります。けれども、いかんせん衆議院から送付されましたのが、少しくおくれました関係上、われわれ参議院委員会としては非常にその間不便であり、また苦慮を要したところであるのでありまして、この点は私ども与党の委員としては、与党でないところの加賀山氏の御苦心のことを絶えず推測いたしまして、同氏のやり方に賛意を表しておったものであります。しかるに提案者は、何か私どもの意を迎えて、加賀山氏が上げることのみを急いで審議を行なったかのごとく、加賀山氏の悪口を言われるということは、私は全くこれは承知ができません。(拍手)そういうことは全くないということを、私ははっきり申し上げることができるのであります。  なお、公聴会のことも先ほどお話がありましたが、公聴会において、横浜の地方教育委員会の一人である林氏が、公述人として参加されたのでありますが、その公述が、社会党の諸君が期待されたのと全く正反対であったというために、いかにも林君の公述の内容を政府がしいたというような疑いを持ちまして、そうして特にそのあとに一日の参考人の公聴会を開きましたが、これは全く……。
  114. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 有馬君、時間が参りました。
  115. 有馬英二

    ○有馬英二君(続) 林君の自身の意思によったものであるということが、あとからはっきりわかりましたから、先ほどお述べになったようなことはないと私は思います。  なお、一言つけ加えておきますが、文部委員会と何ら関係のない加賀山氏個人の事件を、文部委員会のことに何らか関係のあるかのごとき口ぶりでお話しになったということは、全くこの問題に関係のないことをもって、人をしいるものであると私は思って、反対するものであります。(拍手)   —————————————
  116. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 近藤信一君。   〔近藤信一君登壇拍手
  117. 近藤信一

    ○近藤信一君 私は、同僚荒木正三郎君の発議によりまする加賀山之雄君の解任決議案に対しまして、賛成の意見を申し上げるものでございます。(拍手)  私どもが、本院の決算委員会におきまして、今日問題になっておりまする国鉄の国有財産経理並びに管理について、元大蔵省の印刷局長でございました井上君が住宅を不当取得をした、このような問題が本院の決算委員会において審議されておったのでございます。私どもがこの問題を審議しておりますと、これと同じようなケースが、ここに問題になっておりまする加賀山之雄君のところに疑いが来たのでございます。(拍手)そこで私どもは、去る二十四日の本院決算委員会におきまして、私どもが国鉄の資材局長らの出席を願って、どういう経路で、この国民の血税である国有財産が不当に処置されているかということを、私どもが質問をしたのでございます。そこで私どもは、最初、これは日ごろ人格高潔の評の高い加賀山之雄君のことでありまするから、私どもは万が一そんなことはない、こう思っておりまして、国鉄当局の施設局長を呼んでただしてみますると、徐々にこれが事実になって出てきたのでございます。そこで私どもは、これはどういうふうになっているのだということで、いろいろと審議をして行きますると、施設局長は、私でははっきり根本的な問題はわかりません、本人の加賀山君に聞いていただきたい、こういうお話でございます。そこで私どもは、当時、文教委員会で委員長という重要な役割をやっておられて、いろいろ忙しかったのでございまするから、本院の決算委員会に、わずか五分か三分でもよろしいから出席を願って、どういう経路で自分の家を入手して、そうして国鉄の公舎と交換したかという、この点を明らかにしてもらいたい、こう私ども委員会で主張いたしましたが、いわゆる与党の自民党の議員、さらに緑風会の議員諸君は、これに徹底的に反対いたしまして、ついに決算委員会へ私どもは来ていただくことはできなかったのでございます。ところが、翌日の新聞を見てみますると、大きな家の見出しと、小さな家と、両方で大きな写真が入りまして、事実のような新聞が出てきたのでございます。そこで私どもがさらに国鉄当局に、この真相を明らかにするために資料を出していただきたいといって、資料を要求したのでございます。そこで私は、以下申し上げますることは、新聞の記事でなくして、私どもが国鉄に要求いたしました資料の実際の面から、この点を明らかにしたいと思うのでございます。(拍手)  最初に申し上げたいことは、現在の住んでおられまする加賀山君の住宅は、松原町の住宅で、土地が二百十三坪、これは国鉄の公舎でございます。さらに建坪が六十二坪、そこで下代田町の家ば、これは借地でございます。土地は七十三坪、住宅の建坪は、これがわずか四十四・七坪、ところが、ここにおもしろい現象といたしまして現われて参りましたのは、(笑声)加賀山君が住宅を買い取りましたここに証明書が出ております。これによりますると、下代田町の住宅は、借地権によりまして三十七万四千五百円、ところが、この三十七万四千五百円が、この日付は昭和二十七年の十一月五日、これがわずか翌月の十二月となりますると、一体どれほど値上りしているかということでございまするが、驚くなかれ、この家が二百万と百十八円でございます。一方におきまして、国鉄の公邸は一体どうなっているか。この国鉄の公邸は、土地が三倍も広くて、家も広くて、これはわずか、価格によりまして土地ぐるみで二百十万九千四百七十一円でございます。その差額がわずか十万九千円、このわずか十万九千円で、土地は三倍の、家も大きいこの家が、国鉄の持物と加賀山君の下代田町の家とがすりかえられているのでございます。  皆さん、一体加賀山君は国鉄の公舎に入っておられまして、下代田の家を入るために買われたのかどうかということが、さらに一つ疑問でございます。国鉄をやめられましたのが、退任をされましたのが、二十四年の……、これは違う。(笑声、「二十六年の八月だ」と呼ぶ者あり)国鉄をやめられましてから、一年数カ月間、国鉄の公舎におられました。その間わずか六百円そこそこの家賃でございました。そうしていよいよ国鉄から請求されましたので、何とか自分の家を作らなければならぬということで、そうして自分が国鉄の公舎に、やめてからおりながら、下代田の家を買ったのでございます。自分の家には一日も入っていなかったという事実も、ここに出てきたのでございます。そういたしますると、この下代田町の住宅というものは、自分の私邸といいましても、これは単に国鉄にすりかえるために買ったとしか、われわれ断言できないのでございます。国鉄当局もこれを認めております。国鉄の幹部諸君は、私どももそうだと考えております。しかし、この点は加賀山君に聞いていただかなければわかりませんと、こう答弁をしたのでございます。そこで私どもは、加賀山君に、わずか三分か五分でもよろしいから、一つ返事をしてもらいたいと言ったが、ついに与党の諸君によってこの実現ができずして、今日に至っておりますのは、まことに残念なことだと思うのでございます。さらに、私が驚きましたことは、(「まだあるのか」と呼ぶ者あり)ある、ある。ちょうど五月の二十九日に、さらに私どもが資料を要求いたしておりましたところが、その朝の新聞に、十河総裁が、こんなに大きな記事によって、森田参議院議員、あそこにおられる(笑声、拍手)方でございまするが、「森田参議院議員告発か」という見出しのもとに出て、私はびっくりいたしました。こんなことはないだろうと思って、委員会に出てみますると、委員会に出されました資料の中に、明らかにこれが載っております。
  118. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 近藤君、時間が参りました。
  119. 近藤信一

    ○近藤信一君(続) この中に森田義衛君、東京鉄道管理局長を二十八年の三月の一日に退任して、今日なおその家に居すわっているというのが、あの森田義衛君でございます。この点、私どもは今日追及をしております。私どもはこの点につきましては、まだ国民の前にはっきりしなければなりません。さらに資料の要求をしております。さらに、ここに天坊前副総裁も載っております。これに対しましても、さらに何か、今年の選挙に出られるやに聞いておりまするが……。
  120. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 近藤君、時間が参りました。
  121. 近藤信一

    ○近藤信一君(続) そのために、いろいろと選挙運動が続けられております。(拍手)私どもが調べたとにろによりますると、この天坊前副総裁の選挙運動のために、関東資材部の橋本某なる人が、国鉄の各機関に多額の旅費を配分しているとのことでございます。(「もう時間だ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)そうして大きな穴を国鉄にあけてしまった。そこでこの穴を埋めるために、勝俣印刷所と結託しまして、ここからにせの領収証、請求書を出して、この穴埋めにしているやに聞いているのでございます。
  122. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 近藤君、時間が参りました。
  123. 近藤信一

    ○近藤信一君(続) このことは、われわれが本院の決算委員会におきまして、さらに追及の手を休めません。私のただいまのこの賛成演説に対しまして、そこらで大へんヤジがでましたが、私は同類の方々だと推測しても誤まりがないと思うのでございます。(拍手)   —————————————
  124. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 竹下豐次君。   〔竹下豐次君登壇拍手
  125. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 私は緑風会を代表して、加賀山文教委員長解任決議案反対の意を表するものであります。  加賀山君が、去る第十九国会において、教育の政治的中立確保に関する教育法案審議に当り、強い信念に基いて大いに活躍されましたことは、先ほど村尾君からお話のありました通りでありまして、諸君のよく御存じのところであります。昨年はまた、本決議案の提案者でありまする、大阪出身であったかと思いまするが、荒木正三郎君と協力して、大阪市立大学におけるアメリカ駐留軍の施設撤去問題解決に努力をいたし、ついにその目的を達せられる等、かねて文教に多大の熱意と努力を払ってこられたのであります。しこうして、本国会教育関係法案が提出せられまするや、わが緑風会におきましては、これらの法案が従来の教育制度の欠陥を是正し、わが国教育の正常なる発達の基礎を築く上において、きわめて重要なる法案であると考えまして、同君の人物を信頼し、かつ従来の実績にかんがみ、文教委員長としての最適任者として、その就任を要請した次第であります。  私は文教委員として、教育関係法案委員会に付託されて以来、理事会にも出席し、審議日程の計画等にも参与をしたのでありますが、委員長は、常にきわめて公正な立場に立って、与野党の主張を冷静に判断し、その調整を保つことに甚大な努力をなされ、議事の円滑なる運営をはかってこられました。かくて委員会においては、実に八十時間になんなんとする長時間にわたる審議を重ねることができたのであります。しかるに、会派間の意見は最後まで対立し、二十四日午後の委員長理事打合会は、ついに決裂のやむなき状態に至りましたので、委員長は、法案審議を正常に進めて行くためには、委員会を開く以外に道はないと判断されまして、委員会室に入られようとしましたが、廊下で阻止されて、ついに室に入ることができなかったのであります。加賀山君は、かかる状態が継続することは、国会の威信を失墜すること、まことにはなはだしいものがあると考え、一身の危険をも顧みず、翌日、二十五日も数回にわたり委員会開会を試みましたが、またまた非常なる抵抗をもって入室を阻止され、二十六日以後も同じ事態が繰り返され、ついに委員会議事を進めることができず、ついに議長から中間報告を要請されることになった次第であります。(拍手)  以上申し述べましたように、加賀山君は、文教委員長として最善の努力を払って、委員会の公正な運営をはかってこられたのであります。  しかるに、今突如として解任決議案が提出されるに至ったことは、何としても私の了解に苦しむところであります。(拍手)私は、加賀山君が長く長く委員長の職にとどまって、わが国文教のために活躍せられるよう、心から念願してやまないものであります。  以上をもって私の反対討論といたします。(拍手)   —————————————
  126. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 湯山勇君。   〔湯山勇君登壇拍手
  127. 湯山勇

    ○湯山勇君 私は、ただいま荒木議員発議による文教委員長加賀山之雄君の解任決議案賛成をいたすものでございます。(拍手)  今日このような暴力的な警官の包囲の中で、警官の力を背景として文教に関するこの法案が、このような形で上げられようとしておるその最大の責任は、やはり文教委員長としての加賀山君が負わなければならないのでございます。私はこの点につきまして、皆さんの御理解のいくように、経緯を追ってお話し申し上げたいのであります。  この法律は、衆議院におきましても、荒木議員の提案にありました通り、中間報告という形をとって上って参りました。新しい制度を実施するために、新たに設けられた制度や機構がたくさん入っております。これを十分審議して行くことが、われわれの役目だということで、ずいぶんきつい審議日程にも応じて参りました。加賀山委員長も、倒れて後やむ、そういう気持で審議してもらいたい、こういうことでございましたが、委員長は、審議する委員にはこういう要求をしておられましたけれども、最後の段階になりまして、自民党と私どもの意見が対立した段階に、つまり五月二十四日の朝、理事会はとうてい開いてもまとまる見込みがない、今から無協約で行くということを宣言したのでございます。倒れて後やむまで審議せよとわれわれに要求しておきながら、両派の調整をはかって行く努力を最後まで続けることなく、無協約の宣言をしたところに、今日のこの事態原因があるのでございます。(拍手)つまり、われわれが理事会を要求いたしましたところ、自民党との間の話がつけば委員長としては理事会に応ずる、こういう要求をされました。われわれは審議に応ずるために、審議を続けるために、自民党の理事代表の方に会いましたところ、委員長が無協約の宣言をした以上、あとは数の力でやって行こう、数にものを言わせようというので、自民党の理事各位から出された条件は、次のような過酷なものであったのでございます。つまり、委員会において、いつ上げる、委員会の討論採決をいつ終る、こういうことでは話に応ずるわけにはいかない。本会議を上げる日数を明確に示してこなければ、理事会開会に応ずることはできない、こういう条件でございました。この条件に応ずるためには、とうてい一文教委員会のよくなし得るところではございません。われわれは、これを会派の問題として、会派の責任者からお答え申し上げる、こういうお約束をしたのでございます。この不当な自民党の要求が、会派間の問題となり、さらにそのことが今日の大きな事態を起す要素となったのでございまして、委員に審議を要求しながら、しかも、みずから審議を続けるための努力を怠った委員長の責任は、今日この事態においてきわめて重大なものがあるのでございます。(拍手)さらに私が申し上げなければならないことは、この法律には、委員長みずから委員会に列席しておって、確認しておる不備、欠陥、疑義が幾多あるのでございます。これらの疑義をたださずして、これを法律として施行することは、国民を誤まるものでございまして、このような行為は、院の権威を傷つけ、議員たるの本分を忘れた行為になるのでございます。このような点が指摘されているにもかかわらず、委員長は、あえて質疑を打ち切ろうとする自民党の人の要求に応じて、委員長みずからの職責においてこれを解決する、解明する、そういう努力を続けなかったのでございます。今、自民党の方々や緑風会から、審議時間が七十時間、日数が何日、朝早くから夜おそくまでと、こういうお話がありましたけれども、時間の長いことをもって、あるいは日数の多いことをもって職責を尽したことにはならないのでございます。(拍手法案の内容が究明され、問題点が解明され、あやまちがただされてこそ、われわれの本分が尽されたことになるのでございまして、これを怠ったことは、まさに議員の本分に反するものであると言わなければなりません。  さらに、私が指摘したい点は、あの公聴会の問題でございます。公聴会を委員長職権をもって決定いたしまして、その手続を倉皇の間にしてしまったのでございます。このようなやり方の中から、先ほど荒木議員指摘の通り、きわめて不明朗な行政府の立法府関与の問題、あるいはまた文部大臣が、衆議院におきましては公述人あるいは公述内容変更の申し出をする、そういった事実も出て参ったのでございます。こういったことになった原因は、単に期間内に法律を上げる、期間内に法律を上げることが委員長の本分である、こういう誤まった考え方を持った委員長の運営によるものでございまして、おそらく本院始まって以来、ああいう形の公聴会は、また全会一致できめられなかった公聴会は、かつてその例を見ないのでございます。こういう不明朗な、一方的な運営をしたところに、今日の要素がやはり胚胎しておることを否定することはできません。(拍手)  最後に、また指摘いたしたいことは、先ほど近藤議員から、決算委員会の実情をこの壇上において発表されたのでございます。今、私ども審議いたしております地方教育行政の組織及び運営に関する法律の中には、教育委員は人格高潔、かつ教育に識見を有するものと明記されております。もし近藤議員指摘の通りであるとすれば、この法律を主宰して審議する資格が、果して加賀山委員長にありやなしや。(拍手)さらにまた、求められた中間報告をこの壇上においてなす資格ありやなしや、(拍手)このことを私は国民、児童、生徒、父兄、すべての名において申し上げたいのでございます。  願わくば、委員長は、このことによって、全国の父兄、児童生徒、その人たちの、この法案審議の過程におけるあらゆる不安と、あらゆる疑惑と、あらゆる不信を挽回するために、この演壇に立つことのないようにされることを、心から祈って私の賛成討論にかえる次第でございます。(拍手
  128. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 川村松助君外五名から、成規の賛成者を得て、討論終局の動議が提出されております。  これより本動議の採決をいたします。  本動議の表決は記名投票をもって行います。本動議賛成諸君白色票を、反対諸君青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  氏名点呼を行います。議場閉鎖を命じます。   〔議場閉鎖〕   〔参事氏名点呼〕   〔投票執行
  129. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) お早く御投票を願います。(「始まったばかりじゃないか」「あわてるな」と呼ぶ者あり)すみやかに御投票を願います。……お早く御投票を願います。……すみやかに御投票を願います。(「はい」と呼ぶ者あり)  ただいま行われております投票については、以後五分間に制限いたします。(「何を」と呼ぶ者あり)お早く御投票を願います。(「時間言うたら黙っていなさい、どうして議長不信任案をやりませんか」。「こういう前例をこしらえて」「これが前例ですか、悪例じゃないか」と呼ぶ者ありその、他発言する者多し)お早く御投票を願います。(「こんな審議の方法があるか」「先議案件をやらないで、あとで弁解の余地があるか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)お早く御投票を願います。(「出したまえ、警官を」「このまわり警官で一ぱいだ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)お早く御投票を願います。(「警察官を撤退させろ」「議長衛視がうしろにいなければ議事ができないのか」「議長の方へ不信任案を届けたのに、なぜそれを下げるのですか、国会法をあなたはどう考えているのですか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)  投票漏れはございませんか。……(「投票に関心がありませんわ、もう」「どういう意味の投票ですか、衛視に守られなければ運営ができないのじゃないか」「衛視はもっと離れていなさい」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)……投票漏れないと認めます。  これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。   〔議場開鎖〕   〔参事投票を計算〕   〔「国民国会法のじゅうりんを知らないのだ」「諸君はわれわれを暴力とか何とか言うけれども、あなた方のやっていることが暴力じゃないか」「こういうことをやるから混乱が起るのですよ」「議長不信任はどうしたのだ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕
  130. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数 百六十三票   白色票   百三十票   青色票   三十三票  よって討論は終局することに決しました。      —————・—————   〔参照〕  賛成者白色票)氏名     百三十名       上林 忠次君    河井 彌八君       梶原 茂嘉君    柏木 庫治君       奥 むめお君    井野 碩哉君       山川 良一君    赤木 正雄君       森田 義衞君    森 八三一君       村上 義一君    溝口 三郎君       三浦 辰雄君    廣瀬 久忠君       野田 俊作君    中山 福藏君       豊田 雅孝君    常岡 一郎君       土田國太郎君    田村 文吉君       竹下 豐次君    高橋 道男君       高瀬荘太郎君    高木 正夫君       杉山 昌作君    島村 軍次君       佐藤 尚武君    河野 謙三君       小林 武治君    後藤 文夫君       伊能繁次郎君    武藤 常介君       大谷 瑩潤君    白波瀬米吉君       松原 一彦君    西岡 ハル君       伊能 芳雄君    小沢久太郎君       青柳 秀夫君    佐藤清一郎君       酒井 利雄君    有馬 英二君       仁田 竹一君    滝井治三郎君       関根 久藏君    吉田 萬次君       森田 豊壽君    白川 一雄君       木村 守江君    菊田 七平君       中川 幸平君    榊原  亨君       上原 正吉君    大矢半次郎君       藤野 繁雄君    木島 虎藏君       宮田 重文君    谷口弥三郎君       三浦 義男君    左藤 義詮君       館  哲二君    石原幹市郎君       中川 以良君    中山 壽彦君       池田宇右衞門君    鶴見 祐輔君       青木 一男君    野村吉三郎君       泉山 三六君    津島 壽一君       苫米地義三君    大野木秀次郎君       斎藤  昇君    佐野  廣君       大谷 贇雄君    石井  桂君       雨森 常夫君    西川弥平治君       白井  勇君    横山 フク君       高橋  衛君    松平 勇雄君       長島 銀藏君    宮本 邦彦君       最上 英子君    寺本 廣作君       小滝  彬君    青山 正一君       紅露 みつ君    山本 米治君       秋山俊一郎君    石川 榮一君       石村 幸作君    剱木 亨弘君       加藤 武徳君    横川 信夫君       松岡 平市君    長谷山行毅君       鈴木 強平君    野本 品吉君       平井 太郎君    川村 松助君       堀末  治君    西郷吉之助君       堀木 鎌三君    郡  祐一君       遠藤 柳作君    吉野 信次君       黒川 武雄君    小林 英三君       一松 定吉君    木村篤太郎君       大屋 晋三君    石坂 豊一君       三木與吉郎君    新谷寅三郎君       井村 徳二君    島津 忠彦君       岡崎 真一君    重政 庸徳君       安井  謙君    入交 太藏君       小柳 牧衞君    川口爲之助君       木内 四郎君    深水 六郎君       古池 信三君    岩沢 忠恭君       山縣 勝見君    草葉 隆圓君     —————————————  反対者(青色票)氏名      三十三名       久保  等君    山本 經勝君       山口 重彦君    安部キミ子君       岡  三郎君    河合 義一君       三輪 貞治君    永井純一郎君       上條 愛一君    東   隆君       三橋八次郎君    平林  剛君       赤松 常子君    山下 義信君       山田 節男君    栗山 良夫君       村尾 重雄君    相馬 助治君       市川 房枝君    小林 孝平君       矢嶋 三義君    菊川 孝夫君       小林 亦治君    小松 正雄君       藤田  進君    田畑 金光君       松浦 清一君    棚橋 小虎君       曾禰  益君    松澤 兼人君       中田 吉雄君    小酒井義男君       戸叶  武君    ————————
  131. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) これより本案の採決をいたします。本案の表決は記名投票をもって行います。本案に賛成諸君は……(「それはだめだ」と呼ぶ者あり)  ただいまのは取り消しをいたします。(「よしよし」と呼ぶ者あり)  天田勝正君から賛成者を得て……(「落ちついて、落ちついて」「採決採決」と呼ぶ者あり)取り消しをいたします。(「落ちつけ、落ちつけ」「休憩はいつ取扱ってもいいわけだ」「休憩しなさい、休憩は議長の職権でできるじゃないか」「採決々々」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)  訂正をいたします。これより本案の採決をいたします。本案の表決は記名投票をもって行います。本案に賛成諸君白色票を、反対諸君青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  氏名点呼を行います。議場閉鎖を命じます。   〔議場閉鎖〕   〔参事氏名点呼〕   〔投票執行
  132. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) すみやかに御投票を願います。(「始まったばかりじゃないか」と呼ぶ者あり)自後五分間に御投票願います。(「議長、功名をあせるな」と呼ぶ者あり)お早く御投票を願います。(「議長不信任案を取り上げろ」と呼ぶ者あり)お早く御投票を願います。(「議長、警察を引きなさい、みっともない」と呼ぶ者あり)お早く御投票を願います。(「警察を帰しなさい、法規を守ってやったら、そういうことを言う必要はないんだ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多く、議場騒然)  これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。   〔議場開鎖〕   〔参事投票を計算〕
  133. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数 百八十五票   白色票   五十四票   青色票  百三十一票  よって本決議案は否決せられました。(拍手)      —————・—————   〔参照〕  賛成者白色票)氏名      五十四名       高田なほ子君    久保  等君       山本 經勝君    山口 重彦君       安部キミ子君    岡  三郎君       河合 義一君    三輪 貞治君       永井純一郎君    上條 愛一君       東   隆君    荒木正三郎君       三橋八次郎君    小笠原二三男君       平林  剛君    竹中 勝男君       内村 清次君    赤松 常子君       山下 義信君    山田 節男君       野溝  勝君    栗山 良夫君       村尾 重雄君    相馬 助治君       佐多 忠隆君    須藤 五郎君       堀  眞琴君    木村禧八郎君       成瀬 幡治君    江田 三郎君       亀田 得治君    小林 孝平君       矢嶋 三義君    菊川 孝夫君       片岡 文重君    小林 亦治君       小松 正雄君    吉田 法晴君       大和 与一君    加瀬  完君       藤田  進君    湯山  勇君       田畑 金光君    永岡 光治君       阿具根 登君    天田 勝正君       松浦 清一君    棚橋 小虎君       曾禰  益君    松澤 兼人君       中田 吉雄君    森下 政一君       小酒井義男君    戸叶  武君     —————————————  反対者(青色票)氏名      百三十一名       上林 忠次君    河井 彌八君       梶原 茂嘉君    柏木 庫治君       奥 むめお君    井野 碩哉君       山川 良一君    赤木 正雄君       森田 義衞君    森 八三一君       村上 義一君    溝口 三郎君       三浦 辰雄君    廣瀬 久忠君       野田 俊作君    中山 福藏君       豊田 雅孝君    常岡 一郎君       土田國太郎君    田村 文吉君       竹下 豐次君    高橋 道男君       高瀬荘太郎君    高木 正夫君       杉山 昌作君    島村 軍次君       佐藤 尚武君    河野 謙三君       小林 武治君    後藤 文夫君       伊能繁次郎君    武藤 常介君       大谷 瑩潤君    白波瀬米吉君       松原 一彦君    西岡 ハル君       伊能 芳雄君    小沢久太郎君       青柳 秀夫君    佐藤清一郎君       酒井 利雄君    有馬 英二君       仁田 竹一君    滝井治三郎君       関根 久藏君    吉田 萬次君       森田 豊壽君    白川 一雄君       木村 守江君    菊田 七平君       中川 幸平君    榊原  亨君       上原 正吉君    大矢半次郎君       藤野 繁雄君    木島 虎藏君       宮田 重文君    谷口弥三郎君       三浦 義男君    左藤 義詮君       館  哲二君    石原幹市郎君       中川 以良君    中山 壽彦君       池田宇右衞門君    鶴見 祐輔君       青木 一男君    野村吉三郎君       泉山 三六君    津島 壽一君       苫米地義三君    大野木秀次郎君       斎藤  昇君    佐野  廣君       大谷 贇雄君    石井  桂君       雨森 常夫君    西川弥平治君       白井  勇君    横山 フク君       高橋  衛君    松平 勇雄君       長島 銀藏君    宮本 邦彦君       最上 英子君    寺本 廣作君       小滝  彬君    青山 正一君       紅露 みつ君    山本 米治君       秋山俊一郎君    石川 榮一君       石村 幸作君    剱木 亨弘君       加藤 武徳君    高野 一夫君       横川 信夫君    松岡 平市君       長谷山行毅君    鈴木 強平君       野本 品吉君    平井 太郎君       川村 松助君    堀末  治君       西郷吉之助君    堀木 鎌三君       郡  祐一君    遠藤 柳作君       吉野 信次君    黒川 武雄君       小林 英三君    一松 定吉君       木村篤太郎君    大屋 晋三君       石坂 豊一君    三木與吉郎君       新谷寅三郎君    井村 徳二君       島津 忠彦君    岡崎 真一君       重政 庸徳君    安井  謙君       入交 太藏君    小柳 牧衞君       川口爲之助君    木内 四郎君       深水 六郎君    古池 信三君       岩沢 忠恭君    山縣 勝見君       草葉 隆圓君    ————————
  134. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 天田勝正君から、賛成者を得て、多数の議員が徹夜過労のため、審議に支障を来たしているので、直ちに休憩されんことの動議が提出されました。  これより本動議の採決をいたします。  表決は記名投票をもって行います。本動議賛成諸君白色票を、反対諸君青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  氏名点呼を行います。議場閉鎖を命じます。   〔議場閉鎖〕   〔参事氏名点呼〕   〔投票執行
  135. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) お早く御投票を願います。(「議長不信任案をやれ」と呼ぶ者あり)お早く御投票願います。(「議事規則を無視したことをやっているじゃないか」と呼ぶ者あり)お早く御投票を願います。(「休憩動議が取り上げられて、不信任動議がどうして取り上げられないか」と呼ぶ者あり)御投票を願います。……お早く御投票願います。……お早く御投票願います。……すみやかに御投票願います。……すみやかに御投票願います。……すみやかに御投票願います。(「議長不信任案を取り上げろ」と呼ぶ者あり)  投票漏れはございませんか。……投票漏れないと認めます。  これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。   〔議場開鎖〕   〔参事投票を計算〕    〔「成規の手続をなぜ取り上げないんだ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕
  136. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数 百八十四票   白色票   五十三票   青色票  百三十一票  よって本動議は否決せられました。(拍手)    〔「議事を正常に戻しなさい」「休憩動議を取り上げて、議長不信任案を取り上げないで議事を進めるのはどういうわけか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多く、議場騒然〕      —————・—————   〔参照〕  賛成者白色票)氏名      五十三名       高田なほ子君    久保  等君       山本 經勝君    山口 重彦君       安部キミ子君    岡  三郎君       河合 義一君    三輪 貞治君       永井純一郎君    上條 愛一君       東   隆君    荒木正三郎君       三橋八次郎君    平林  剛君       竹中 勝男君    赤松 常子君       山田 節男君    栗山 良夫君       相馬 助治君    佐多 忠隆君       市川 房枝君    羽仁 五郎君       堀  眞琴君    木村禧八郎君       鈴木  一君    成瀬 幡治君       千田  正君    江田 三郎君       小林 孝平君    矢嶋 三義君       菊川 孝夫君    片岡 文重君       小林 亦治君    小松 正雄君       吉田 法晴君    大和 与一君       加瀬  完君    藤田  進君       湯山  勇君    田畑 金光君       大倉 精一君    永岡 光治君       阿具根 登君    天田 勝正君       松浦 清一君    秋山 長造君       棚橋 小虎君    曾禰  益君       松澤 兼人君    中田 吉雄君       森下 政一君    小酒井義男君       戸叶  武君     —————————————  反対者(青色票)氏名      百三十一名       上林 忠次君    河井 彌八君       加賀山之雄君    梶原 茂嘉君       柏木 庫治君    奥 むめお君       井野 碩哉君    山川 良一君       赤木 正雄君    森田 義衞君       森 八三一君    村上 義一君       溝口 三郎君    三浦 辰雄君       前田 久吉君    廣瀬 久忠君       早川 愼一君    野田 俊作君       中山 福藏君    豊田 雅孝君       常岡 一郎君    土田國太郎君       田村 文吉君    竹下 豐次君       高橋 道男君    高瀬荘太郎君       高木 正夫君    杉山 昌作君       島村 軍次君    佐藤 尚武君       河野 謙三君    小林 武治君       後藤 文夫君    伊能繁次郎君       武藤 常介君    大谷 瑩潤君       白波瀬米吉君    松原 一彦君       西岡 ハル君    伊能 芳雄君       小沢久太郎君    青柳 秀夫君       佐藤清一郎君    酒井 利雄君       有馬 英二君    滝井治三郎君       関根 久藏君    吉田 萬次君       森田 豊壽君    白川 一雄君       木村 守江君    菊田 七平君       中川 幸平君    榊原  亨君       上原 正吉君    大矢半次郎君       藤野 繁雄君    木島 虎藏君       宮田 重文君    谷口弥三郎君       三浦 義男君    左藤 義詮君       館  哲二君    石原幹市郎君       中川 以良君    池田宇右衞門君       鶴見 祐輔君    青木 一男君       野村吉三郎君    泉山 三六君       津島 壽一君    苫米地義三君       大野木秀次郎君    斎藤  昇君       佐野  廣君    石井  桂君       雨森 常夫君    西川弥平治君       白井  勇君    横山 フク君       高橋  衛君    松平 勇雄君       長島 銀藏君    宮本 邦彦君       最上 英子君    寺本 廣作君       青山 正一君    紅露 みつ君       山本 米治君    秋山俊一郎君       石川 榮一君    石村 幸作君       剱木 亨弘君    加藤 武徳君       高野 一夫君    横川 信夫君       松岡 平市君    長谷山行毅君       鈴木 強平君    野本 品吉君       平井 太郎君    川村 松助君       堀末  治君    西郷吉之助君       堀木 鎌三君    郡  祐一君       遠藤 柳作君    吉野 信次君       黒川 武雄君    小林 英三君       一松 定吉君    木村篤太郎君       大屋 晋三君    石坂 豊一君       三木與吉郎君    新谷寅三郎君       井村 徳二君    島津 忠彦君       岡崎 真一君    重政 庸徳君       安井  謙君    入交 太藏君       小柳 牧衞君    川口爲之助君       木内 四郎君    深水 六郎君       古池 信三君    岩沢 忠恭君       井上 知治君    山縣 勝見君       草葉 隆圓君      —————・—————
  137. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 暫時、このまま休憩いたします。    午後二時三分休憩    ————————    午後四時三十二分開議
  138. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 休憩前に引き続き、これより会議を開きます。  これより地方教育行政の組織及び運営に関する法律案及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の……(離席する者、発言する者多く議場騒然、聴取不能)……法律案……(議場騒然、聴取不能)……委員長の中間報告を求めます。文教委員長加賀山之雄君。(離席する者、発言する者多く議場騒然)   〔加賀山之雄君登壇拍手
  139. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 ただいま議題となりました地方教育行政の組織及び運営に関する法律案並びに地方教育行政の組織及び運営に関する法律施行に伴う関係法律の整理に関する法律案につきまして、……(議場騒然、聴取不能)……審議の経過……(議場騒然、聴取不能)……御報告申し上げます。まず、初めに、地方教育行政の組織及び運営に関する法律案……(発言する者多く、議場騒然、聴取不能)……採用実施された制度でありまして、……(議場騒然、聴取不能)……検討を加えなければならない問題を含んでおり、公私の機関または団体から、種々この制度に対する改正意見が述べられて来たのであります。  かねてから、これら……(議場騒然、聴取不能)……研究し、教育委員会の……(議場騒然、聴取不能)……検討を……(聴取不能)……政府は、この際現行制度のとるべきはとり、改むべきは改め、加えるべきは付加して、新たな立法を行い、地方公共団体における教育行政と一般行政との調整を進めるとともに、教育の政治的中立と教育行政の安定を確保し、都道府県及び市町村一体としての教育行政制度を樹立する必要があるということをその前提の理由といたしております。  本法案は、この目的を達成いたしますために、第一に、教育委員会の……(聴取不能)……選任方法は、現行の直接公選の制度を改めまして、地方公共団体の長が議会の同意を得て……(議場騒然、聴取不能)……教育委員会と知事や、市町村長との間の権限に調整を加えて、いわゆる予算案、条例案の二本建制度を廃止いたしますほか、教育委員会の権限の一部を知事や市町村長に移すこととして、両君の関係を調整し、地方公共団体における教育行政の運営とその振興をはかることといたしております。  第二に、国、都道府県、市町村一体としての教育行政制度を樹立し、国の教育としての必要な水準を保持し、あるいは各都道府県内の教育運営の調整をはかるための措置として、文部大臣や、都道府県教育委員会の積極的な指導的地位を明らかにし、教育行政における中央と地方との相互連絡関係の保持をはかっております。なお、現行制度からの移行を円滑ならしめるために、本法の施行期日を本年十月一日といたしております。  次に、地方教育行政の組織及び運営に関する法律施行に伴う関係法律の整理に関する法律案について申し上げます。地方教育行政の組織及び運営に関する法律施行に関連して、多数の関係法律との調整をはかる必要が生ずるというのが本法案提出の理由でありますが、本法案において整理いたします法律は、その数二十に及んでおります。  本法案は、去る三月十二日に参議院会議において、内閣からその趣旨の説明があり、これに対して質疑応答が行われました上、同日、本委員会に予備付託され、四月十日に政府から提案理由の説明を聞きましたが、四月二十日に本付託と相なりまして以来、本委員会におきましては、ほとんど連日にわたって委員会を開きました。しこうして、本法案に対する世論のきわめて強い関心にもかんがみ、その審議には格段の慎重を期したのであります。すなわち、この間、五月十一日、十二日の両日公聴会を開きまして、十二名の公述人によって、学界を代表する学識経験者の両法案に対する意見を聴取いたしました。また、五月十四日には、地方行政委員会と連合審査を行なっております。なお、五月十七日には、公聴会における公述人の公述と関連して、三名の参考人より意見を聴取いたしました。委員会におきましては、文部当局はもちろん、総理大臣、自治庁長官、内閣法制局長官、内閣官房副長官等の出席を求め、あらゆる角度から周到、慎重な審査を行なって参りましたが、本委員会及び連合審査会の質疑過程において問題となりました主要点は、およそ次の諸点であります。  第一には、「現行教育委員会法第一条に目的として掲げられておる、教育が不当な支配に服することなく、国民全体に対して直接責任を負って行わるべきである云々の字句は、教育基本法の精神にのっとるものであるが、新法の目的には、教育基本法の精神を現わす字句が全然省かれておる理由いかん」という質問に対しましては、「教育に関する法令は、基本法の条文を一々引用せずとも、すべて基本法に由来し、その精神にのっとるものであることは、学校教育法の例にも見られることである。本法案も、もちろん教育基本法の趣旨にのっとって立法されたものである」旨の答弁でありました。  第二に、「教育委員の選任は、直接公選による現行制度こそ、教育委員会制度の本質的要素であると思うが、これを本案のごとき任命制に改めれば、地方公共団体の首長の権限が拡大され、教育委員会の自主性は著しく阻害されるのではないか、また、首長の政党色いかんによって、教育の中立性を守ることはきわめて困難となるのではないか」という質問に対しまして、政府から、首長の公選制を変える考えはない、民意を代表することと教育の中立性とは、本来命題を異にするものであって、将来二大政党の発展対立が予想されるわが国において、教育を政治のらち外に置き、これが安定をはかることはきわめて重大である。本案においては、公選による首長が公選による議会の同意を得て教育委員を任命するのであるから、民主主義の理念に反するものではなく、教育委員会の独自の権限は保持されているから、その自主性はそこなわれない。また、同一政党に所属する委員が定員の過半数を占めることは許されず、かつ政党に所属する委員に対しては、積極的政治活動と政党その他の政治団体の幹部たることを禁ずる制限規定も設けられていることゆえ、これによって教育の中立性は確保し得るものと信ずる」旨の答弁がありました。  次に第三には、「都道府県の教育長の任命に当り、文部大臣の承認を要することは、一面には、地方公共団体の自主性を阻害するものであり、他面、文部大臣の権限拡張により、教育中央集権化を招来するものではないか」との質問に対しましては、教育の目的を達成し、国としての一定の水準を維持せんがため、その中軸を文部大臣に置いたのであって、このことは英国のバトラー法にもその例を見るところであり、国、都道府県、市町村を貫くものがあることにより、中央と地方との相互連絡を保つことが、教育行政上必要であると考えた次第である」との答弁がありました。  第四に、「教育委員会の予算案の送付権、支出命令権等を地方公共団体の長に移すことは、教育委員会の権限を縮小し、その自主性を犯すものであり、ひいては教育費の削減を来たすおそれはないか」との質問に対しましては、「二本建予算による紛糾を避けることにより、教育行政と一般行政との調整をして和合をはかり、地方財政の再建に資せんとするものであって、教育委員会の執行機関としての職務権限は、依然として教育委員会に残されており、議案の作成に当っては、地方公共団体の長が教育委員会の意見を聞かなければならないことになっているから、その自主性が犯されるものではない。また、知事や市町村長の教育に対する熱意に徴しても、予算案の送付権の有無によって教育費のみが削減されるものとは考えられない」旨の答弁がありました。  第五には、「文部大臣が地方公共団体の長または教育委員会に対し措置要求権を持つことは、文部大臣の独断に陥るおそれがあるのみならず、背後にある政党の力の影響をも度外視することはできないから、適当な諮問機関を設けて、このことを取り扱う考えはないか」という質問に対しまして、「この措置要求は、教育本来の目的達成を阻害し、教育基本法に違反しておる場合等に限って、これを是正するために行われるものであって、文部大臣が総理大臣に協議して行われるものであるから、文部大臣の独断に陥るおそれはない」旨の答弁でありました。  第六に、「教科書以外の教材について、一々教育委員会に届け出させたり、承認を求めさせることは、やがて言論の自由、思想の自由も圧迫する前提となるものではないか」との質問に対しましては、「教育委員会がその規則を定める場合に、必要と認めないものは規則の中から除外すればよいのであって、その規定は各教育委員会の自治にまかすものである、決して言論の自由を圧迫するものではない」旨の答弁がありました。  第七といたしまして、「市町村教育委員会教育長は委員のうちから任命することになっておるが、委員が教育長を兼務することは、合議制の執行機関としての機能に支障を来たすことが予測されるではないか」との質疑に対しまして、「機構の簡素化を目的とし、あわせて財政の節減をもはかったものである」旨の答弁がありました。  なお、以上のほか、教員の研修、社会教育の振興、指導主事の命令、監督権等に関し、きわめて熱心に質疑応答が行われました末、五月二十二日総括質疑を終り、五月二十三日、二十四日の両日に行われました逐条審議におきましては、文部大臣の措置要求、教育長の兼任に伴う経過措置の問題等について、委曲を尽して質疑応答が展開されました。  これらの詳細については、いずれも会議録に譲りたいと思います。  かくして、本案の審議に費しました時間は、すでに七十九時間をこえましたが、この段階に至りまして、多数の委員から、本案の主要点はほとんど解明されたと思量されるから、質疑を結了すべきであるという要請がなされました。しかるに、質疑はいまだ終了していないので、さらに続行すべきであると主張する少数委員の意見がこれに対立し、両者の一致を見ることが困難となりました。しかして、五月二十五日には、委員長は四回にわたり委員室へ入室を阻止されましたため、委員会開会するに至りませんでした。二十六日後も、引き続き本日までこのような状態は解消せず、委員会は連日、開会に至らずして流会となりました。  右のような事態でありまするため、委員会審議を継続することができず、いまだ討論、採決に入ることが不可能な状況にありますことは、本委員会といたしまして、まことに遺憾とする次第であります。(拍手)  右、御報告申し上げます。(拍手
  140. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) ただいまの中間報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。秋山長造君。   〔秋山長造君登壇拍手
  141. 秋山長造

    ○秋山長造君 私は、本朝来の本議場が、警察官の重囲の中に、あたかも戒厳令下のごとき、まことに芝居がかった、ものものしい雰囲気のもとに、きわめて一方的、党利党略的な議長国会法並びに議事規則を全く無視したところの、きわめてへんぱな、しかも強引な議事運営によって進められつつあることを、衷心より遺憾とするものであります。(拍手)  第一、今、議長席に着いておられるところの寺尾議長に対しましては、けさほど、わが党から不信任案が提出され、そして事務総長が議長席に着かれまして、そして仮議長選挙をやっておったのであります。従いまして、副議長の不信任案は、すでに審議の途中にあった。そこに、のこのこと議長が入ってきまして、交代したものと思ったら、いきなり、すでに審議中の副議長不信任案を破って捨てて、そして独断的にわれわれの不信任動議というものは、うやむやに破棄されてしまった。さらにまた、その次にわが社会党から、松野議長に対する不信任動議を提出いたしました。不信任案というものは、およそ一切の案件に先だって先議せらるべきものであることは、国会法におきましても、議事規則におきましても、これは炳乎として一点疑う余地のない大原則なんです。(拍手)しかも、混乱の中に、手から手に手渡されたというようなものでなくて、周到なる手続を経て、そうして事務から事務総長へ、そうして事務総長の手から、静粛裏に、平和裏に、成規の手続をとって松野議長の手元に手渡されておるのであります。にもかかわらず、松野議長も、これをもみくちゃにして、あえて取り上げないし、さらに、これに代って議長席に着いたところの、議事運営のベテランなりと称せられているところの寺尾豊議長も、また成規の手続をもって議長の手元に提出されているところの、当然、松野議長から申し送られているところの議長不信任案は、いまだにこの期に及んでも、どういうわけか、言を左右にして、あえて議事規則に従わず、国会法を無視して、そうして与党自民党の一方的なる議事運営のコースに乗って行こうとされるのであります。そういう国会法を全く無視した、議事規則を頭から無視したところの、きわめて横車的な議長のやり方に対しまして、私どもは衷心より痛憤を感ずるものであります。(拍手)  従いまして、こういうむちゃくちゃな議長のもとで、私はものを言うのは、はなはだ不愉快でありますけれども、しかしながら、ものを言わねば、ますます皆さんは多数を頼んで、図に乗って、一瀉千里にこういう重要な問題を、重要法案を片づけてしまわれると困るから、やはりお互い、かわいい子供を持った親である、国民の一人一人の立場に立つときに、あえて私はこの不愉快な感情をかみ殺し、議長横暴なやり方に対する痛憤を腹の中におさめて、あえて登壇をして、この重要な教育委員会法律の問題について、ただいまの加賀山委員長の中間報告なるものに対して、若干の質疑をいたさんとするものであります。(拍手)  まず、第一に申し上げたいことは、一体今回のこの教育法案なるものは、私どもの子弟を預かるべき日本教育行政の基本を定めておるところの法案であることは申すまでもございません。きわめてこれは重要な法案です。日本の百年の運命を左右するほどの重要性を持った法案なんです。こういう教育の基本を定めるところの法律案審議は、およそ教育とは似ても似つかぬところの制服で、あごひもをかけたところの、ものものしい警察官の重囲のもとに、戒厳令下のごとき、ものものしいこの空気の中で審議されるということが、一体日本教育のために喜ぶべきことでございましょうか。私はこういう空気の中で、この重要な教育法案が審議されるということは、とりもなおさず、この教育法案なるものは、すでに生まれる前から、何か警察権力的ないわく因縁につきまとわれておるところの、きわめて不明朗な法案であるかの印象を濃くせざるを得ないのであります。(拍手)まさに本法案は、後ほど言及いたしますごとく、すでにその生みの悩みの当初におきまして、きわめて陰惨な不明朗な影を宿しておる。いわば、のろわれたる運命をになっておる法案ではないかと断言しても、あえて過言ではないと思うのであります。(拍手)  警察と教育、およそこれほど相隔たった概念はございません。ところが、故意か偶然か知らぬけれども、今度の教育法案の内容をぺらぺらとめくってみますと、見のがすことのできないこういう一点がある。今日までの制度のもとでは、小学校、中学校の校長先生、あるいは地方の教育行政の事務を預かっておるところの教育長、こういう人たちの任用には、教育公務員特例法によって一定の資格要件というものを必要としたのです。だれでもはなれなかった。ちょっと警察署長を、教員を取り締るのに便利だからといって引っぱってきて、教育長にしたり、校長にしたりすることはできなかったのです。やはりそれ相当の教育的な素養、資格要件を持った人でなければできなかった。ところが今度の法律案を見ますというと、そういう資格要件は一切外されてあるのです。従いまして、校長にだれをもってこようと、教育長にどういう人をもってこようと、一にかかって教育委員の胸三寸にある、大いに特高的な取締りを旨としようという方針ならば、警察署長上りの人を持ってきてもよろしい、あるいは、昔、特高警察をやっておったような人を連れてきてもよろしいのです。しかも従来は、地方の教育委員会が独自の権限で任命できておったところの教育長というものは、市町村の教育長は、都道府県の教育委員会が承認をしなければ任命できない、そこで一つくくられておる。また都道府県の教育長の任命には、文部大臣の承認が要るというところで、首根っ子を一つ押えられている。これはもう、体のいい、上意下達ということが戦争中言われましたが、全く上意下達の教育行政なんです、今度は。しかも今度の法案審議に当って、特に問題となりましたところの五十二条という条項があるのであります。これは、文部大臣の地方教育委員会あるいは地方公共団体の長に対する措置要求権ということを規定した条文なんです。どういうことかと言いますと、地方の府県知事や市町村長、あるいは地方の府県の教育委員会や市町村の教育委員会が、教育的に見て適当でないことをやっておると認めたときには、文部大臣がこれを是正しろという措置要求ができる。事によったらみずからやれると、こういうきわめて強力な権限を文部大臣に与える規定なんです。  先ほど私が申し上げました点、あるいは今申しました点、さらにまた、三十三条というところで、しばしば問題になっております学校で教員が教材を使うときに、一々教育委員会許可を得なければならないという条文がございます。これも非常に問題なんです。教材というものは森羅万象すべてが教材なのです。昔の教育のような、まるで木か石のような、木石のような、死んだ灰のような、味もすっぱもない教材ではないのです。今日の教育はきわめてバラエティに富んだ、生気あふるる、豊富な、森羅万象すべてのものを教材に使って行くという教育になっておる。その日の学校放送、その朝の新聞その他あらゆるものを使う。一々教育委員会に届け出て、許可を得なければならないということで、この豊富なバラエティに富んだ新教育というものができますか。(拍手)たちまちにして、これは枯木のごとく枯れてしまうことは火を見るごとく当然なんです。その他いろいろな点を総合的に見ますというと、どうも今日まで、横と横との関係で、教育行政が地方分権と地方の自主性というものが建前になって行われておったのが、文部大臣、そして府県の教育委員会、市町村の教育委員会、そうして現場の教員、全く上意下達、上から下への命令監督、指揮服従という関係においてつながれようとしておるのであります。で、こういう点は、幾らここで繰り返し強調いたしましても、強調し過ぎるということはございません。  そこで私は、加賀山文教委員長に対してお尋ねしたいことは、加賀山文教委員長は、従来から文教委員といたしまして、この教育問題に対しては相当の抱負と自負とを持ってこられたやに聞いておるのでありますが、ただいまの御報告によりますと、加賀山委員長御自身も、今日までの、現行の教育委員会制度よりも、今度の教育委員会制度の方がいいようなお話がございましたが、加賀山委員長御自身は、この点につきまして、いかようにお考えになっておるかということを、まず御質問したいと思うのであります。  第二は、ただいまの加賀山委員長の報告によれば、大体政府与党の線をそのまま受け売りされまして、ただいま提供されておるところのこの法案が、あたかも金科玉条であるかのごとくおっしゃったけれども、われわれ漏れ聞くところによれば、緑風会におきましては、この法案には、ただいま私が申し上げた点をも含めて、いろいろと非常な危険性がある。そこで、これを相当大幅に修正をしたいという話があったやに承わっておる。そして現実に、その修正点を盛り込んだところの相当大幅な修正案さえも準備されたやに聞いておるのでありますが、その修正案なるものが事実あったのかどうか。そうしてまた、その内容はどういう点だったのか、そしてまた、それがもし事実とするならば、緑風会自身ですら、良心的に考えた場合には、この法律をこのまま素通りさせたのでは、非常に日本教育のために危険であるということをお認めになっておることになると思うのでありますが、その点はいかがお考えになっておるのでございましょうか。(拍手)  さらにまた、聞くところによれば、緑風会が立案されたところの修正案について、政府与党との間にも、いろいろ意見の調整が行われたやに聞いております。そして緑風会の最初の原案通りではなかったけれども、緑風会の原案に盛られた幾つかの問題点の中の、その中の幾つかについては、自由党の方もこれをのもうという腹を一度はきめられたやに聞いておりますが、もしそういう点も、委員長から承われるならば、この際われわれは参考のために承わりたい。そしてまた、それが事実であるとすれば、これをしゃにむに多数の力をもって強行されようとしておるところの政府与党の部内ですら、この法案をこのまま素通りさせたのでは、ちょっと行き過ぎではないか、ちょっとこれは危ないぞということをお気づきになっておるこれは証拠だと思うのでありますが、その点についても、一つ率直に御意見をお伺いしたいと思うのであります。  さらに、ただいまの中間報告におきましては、きわめて事務的な報告に終始されまして、何ら今回のこの大きな法律案のはらんでおるところの重大性というものが盛り込まれていなかったのであります。  そこで、お伺いしたいのでありますが、今春来、この法案をめぐりまして、各方面にごうごうたる世論が巻き起っておることは、加賀山委員長御存じの通りであります。特に三月十九日に、東大の矢内原総長初め十人の大学総長クラスの学者の方々が、文教政策の傾向に関する声明という共同声明を発表されまして、そうしてこれが一つのきっかけになって、全国至るところの教育関係の団体あるいは大学教授の団体、さらにまた婦人団体、青年団体、PTA、さらにまた全国の新聞社説、こういうものが、もう筆をそろえて、この法案に対する疑問と不安と憂慮の情を表明されておるのでありますが、これらの点を加賀山委員長は、委員長個人として、また文教委員会審議の過程において、どのように批判検討をされたかどうか、この点についても詳細お承わりいたしたいと思うのであります。  さらにまた、この法案衆議院から参議院へ回って参りましたときに、世間の声は、衆議院では、いろいろな問題でごたごたしたために、この法案審議がごく上っつらだけに終って、ほんとうに内容に入った、実質に入ったところの審議というものは、ほとんどなされていなかった、現に逐条審議のごとき、わずかに第七条までしかやっていない、この法案は、本法が八十六カ条、そして付属法律、この法律施行に伴うところの、関係法律の整理に伴うところの法律案、つまり付属法規が二十カ条、合わせて百六カ条という膨大なる法案、きのう来の皆さんのお話によりますと、あの破防法は、これはごくわずかな条文です。あのわずかな条文の破防法ですら、当時八十数日の審議日程をかけられたということを聞いたのであります。でございますから、この大きな法案、しかも、ただいま端的に申し上げましたような、日本の将来を左右するところの、この重大な内容を含んでおるところのこの法案審議でございますから、衆議院のようなやり方では、これはとても世論が満足しない。そこで世論は、衆議院審議によって裏切られたところの期待を、すべて今後参議院の慎重審議に集中して参りました。そしてその世論の期待のさなかにおいて、加賀山委員長が脚光を浴びて文教委員長として登場されてきたのであります。加賀山委員長も、相当な抱負を持って就任されたと思う。四月二十日に、私どもは文教委員会において、加賀山委員長のごあいさつを受けました。非常に加賀山委員長は張り切られまして、そうして皆さんとともどもに、手を握り合って、皆さんの批判と指導とをよく聞いて、謙虚な気持で自分は自己反省をしつつ、この法案の慎重審議、世論の期待にこたえてこの法案の慎重審議に、一般質問から逐条審議、徹底的にやりたい、やりましょうということだった。
  142. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 時間です。
  143. 秋山長造

    ○秋山長造君(続) ところが、その後の経過というものを今振り返ってみましたときに、けさほど荒木正三郎議員から御指摘があった通り、私どもは非常に不満足な審議しかやれなかったのであります。これはもちろん加賀山委員長だけの責任であるとは私は申しません。むしろ加賀山委員長をして、何が彼をしてそうさせたかというところまでさかのぼって追及するのでなければ、この問題はほんとうには理解できない。(拍手
  144. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 秋山君、時間です。
  145. 秋山長造

    ○秋山長造君(続) そこで加賀山さんにお伺いしたいことは、この慎重審議をやろう、逐条審議は徹底的にやろうと言われておったのにもかかわらず、わずかに第九条、衆議院の七条に対して九条までで、もうそのあとをほうってしまわれた、たな上げにしてしまわれたというのは、一体どのような御心境と、どのような御事情があったのでありますか。これも、こういう神聖な議場でありますからして、一つ私情は抜きにして、私どもの前に御披露をお願いしたいと思うのであります。(拍手)  さらにまた、その次にお伺いしたいことは……。
  146. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 秋山君、もう時間が参りました。
  147. 秋山長造

    ○秋山長造君(続) さらにお伺いしたいことは、けさほどもちょっとどなたかお触れになりましたけれども、あの文教委員会の公聴会における横浜市教育委員の林知義氏の公述内容をめぐりまして疑問が起りました。そうしてその疑問を解くために、あらためて関係者三人の方を参考人として呼んで、いろいろと調査をいたしました。そうしてその結果に基いて、さらに事柄はうやむやにしないで、はっきりと結論をつけるという約束になっておったのでありますが、これもまた、いつの間にか、うやむやになってしまったような気持がいたすのでありますが、委員長として、この問題はもうこれぎりでほうっておかれるのか、さらに今後どのように始末をつけられるのか、この点をお伺いしたい。  さらに、これと関連いたしまして、これまたけさほど成瀬議員から質問が出ておりましたが、清瀬文部大臣の、あの監獄法の改正に囚人の相談は要らない云々という、きわめて不謹慎なあの発言、東京都教育委員長の松澤一鶴氏を相手とするところの、きわめてあの不謹慎な発言に関連し、さらにその発言に関連して、四月七日の衆議院の公聴会において、松澤公述人の公述前に、清瀬文部大臣がわざわざ松澤一鶴氏のところへ来て、頭をぺこんと下げて、あれだけは言って下さるなと、こう言って頼んで、そうしてまた、公述が済んだあとでは、またわざわざこられて、どうもありがとうござんしたと言って礼を言われたという問題がある。この問題についても、私どもは五月二十一日に松澤さんに御足労願って、秘密会を開いて、そうしてその真相を究明いたしました。そうして、その真相の究明をいたしたとともに、この問題は、やはりこれは重要な審議過程において起った問題ですから、必ずや、うやむやにはいたしません。委員長として、何とかこれをはっきり結末をつけましょうということを、再三再四私にも約束をされ、また委員会の席上でも約束されたにもかかわらず、これも今の中間報告には全然入っておらない。そこで、この問題についても一つあわせてお伺いをしたいと思うのであります。さらに……。
  148. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 秋山君、もう大へん時間が過ぎました。
  149. 秋山長造

    ○秋山長造君(続) もう一点お伺いしたいことは、これは結論的にお伺いします。もう一点お伺いしたいことは、加賀山委員長に対しましては、はなはだこれは失礼な申しにくい御質問でございますけれども、しかし、すでに世間にこれは出ておることでありますし、また先ほどわが党の近藤議員からも、決算委員会における調査結果の御発表があったことでもございますから……。
  150. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 秋山君、時間が参りました。
  151. 秋山長造

    ○秋山長造君(続) 一つこれは、私は端的に、加賀山委員長がこの点について詳細なる御釈明をなさってしかるべきだろうと思うのであります。特に今度のこの地方教育行政の組織及び運営に関する法律の第四条には、地方教育委員は……。
  152. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 秋山君、時間が……。
  153. 秋山長造

    ○秋山長造君(続) 「人格が高潔で、教育、学術及び文化に関し識見を有するもののうちから、」選ぶといことが書いてある。地方一町村、一町村の教育委員ですら、人格が高潔でなければならぬということをこの法律にあえてうたってある。(拍手)もちろん国会の文教委員長は、教育委員とは立場が違います。性格は異なりますけれども、しかし、そのよってもって立っておるところの基本的な意味合いというものは、何ら変りはないと思う。(拍手)むしろ考えようによっては、この法律そのものを生かす殺すの権限を持っておるところの国会の文教委員長でありますから、これは地方教育委員の場合よりは、もっともっと高い尺度において、高い程度において、人格高潔ということが要求されることは、これは当然過ぎるほど当然であると思うのであります。
  154. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 秋山君、時間……。
  155. 秋山長造

    ○秋山長造君(続) にもかかわらず、その任に当っておられるところの……。
  156. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 秋山君、簡単に願います。
  157. 秋山長造

    ○秋山長造君(続) 加賀山さんの身辺について、いろいろと疑惑の雲がかかっておるのでありますから、これは文教委員長の責任において、また加賀山さん個人の責任においても、この公開の席上において、国民に対してこの点について詳細な御釈明をし、そうしてその真相を明らかにされ、もしこれが事実であるならば、国民の前にこうべをたれて、おわびになってしかるべきだと思うのでありますが、この点についても、あえて失礼をも顧みず、お伺いをいたす次第でございます。(拍手)   〔加賀山之雄君登壇拍手
  158. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 秋山君の御質疑に対しまして、私として答えられる範囲のことをお答えいたします。  委員長といたしましては、委員会で申し上げました通り、努めて委員長としては、自分の意見を早く述べたり、この法案について意見を発表したりすることは委員長の努めでない。ただ委員長といたしましては、各委員が合理的に、能率的に、しかも精力的にこの重要法案と取っ組んで、そうしてよくこの結論をお出し願うことに努めるのが委員長の務めである。かように感じてやって参りました次第でございまして、ここにその内容について、現行法と改正法とがどちらがいいか、あるいは修正点があったんじゃないか、今、個人としての意見を求められたのでございますが、これは、ここで委員長が自分の意見を申し上げても、これは個人の意見として価値のないものであろう。かように考えますので、先ほど御報告申し上げたのが委員会の御意見、しかもこれは単に、委員長の意見は入っておりません。委員長報告と申しますものは、あくまでもそこに現われた客観的な質疑応答の状態、それから委員会運営につきまして御報告申し上げて、判断は各議員にお願いするものであると、私は考えておるのでございます。(拍手)もちろん世のごうごうたる世論のあることはよく承知しておりまして、私の先ほど御報告申し上げました中間報告にも、これをこのゆえに、あくまでも慎重を期したということは述べております。  それから次に、逐条審議が足りなかったんではないかという御意見でございますが、これは先ほどの報告にも申し上げました通り、委員長の見解でなくて、これは多数意見と少数意見が対立されて、委員長は不敏にしてこの意見を調整することができなかった。これはあくまでも私の不敏のゆえと思いますけれども、どうしてもそれができなかった。で、その点をお答えいたしたいと思うのであります。  なお、公聴会における林知義君の公述に、あるいはその後、公述人林君を参考人として呼んだということについて、何ら結論は得てないではないか。それから松澤一鶴君のことにも触れられたのでございますが、これは私の考えといたしましては、公聴会と申しますものは、あくまでもその後の審議に、有力な方々の御意見を承わって審議に資するべきものである、そうしてその点で、公述人の公述とか、それから政府がどういうことを言ったとかいうことが問題となるといたしますれば、これは公聴会の合法性または公述人の公述の信憑性の問題の判断にあろうと考えるのでございまして、その判断はそれぞれの私は委員がなすったらよろしい。従って裁判所と違うので、これを証人として、しかも名誉ある、地位ある方々を対決させるというようなことは、私はとるべきでないと、かく信じましたゆえに、かく方針をとった次第でございます。(拍手)  最後に、私の私事にわたりまして御言及されました。私の私事につきましては、ただいま本院の決算委員会で御審査をなすっておられるそうでございますので、十分なる御審査をお願いいたしたい。私として、はっきり申し上げられますることは、私として今日まで自分の利益だけを考えて、そうしてやって参ったつもりはございません。(拍手、「利益だけをとは何だ、利益をも考えておったのだな」「今の言い方はおかしいじゃないか、私の利益だけを考えたのじゃないというのはおかしいぞ」と呼ぶ者あり)   —————————————
  159. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 相馬助はる君。    〔「副議長、私の名前が一部違っている」と呼ぶ者あり〕
  160. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 訂正いたします、相馬助治君。   〔相馬助治君登壇拍手
  161. 相馬助治

    ○相馬助治君 加賀山さん、文教委員長としての加賀山さんに、今、私は国民の声を、僭越ではございまするけれども、代表するつもりで、国民全般が持つ疑念をお尋ねしたいという心境をもっていささか承わりたいと、かように思います。  事、冷静であるべき教育が、事情はともあれ、かかる喧騒のもとに審議され、全く議事規則を無視した中において、この法案が今やまさに議決されようとすることは、まさに重大でございまするけれども、このことを私はあなたに今とやかく言うものではございません。私はあなたに対して質問の予定をしておりませんでした。私の手元にあるのは、同僚湯山君から借りたわずか六枚の新聞の切り抜きだけでありまするが、私はあなたの報告を聞いて、どうしても尋ねなければならないという気持をもって、あえてみずから党の同僚諸君の了解を得てこの壇上に立たしていただきました。私の手元にあるところのある雑誌に、緑風会のことがこういうふうに書いてある。「緑風会の存在が再び思い出され、その動きが注目されている。それは小選挙法案教育法案について緑風会がどの程度の修正を試みるかが大きな問題だからである。緑風会は、かつて破防法案を修正したし、今度の教育法案でない、以前の教育法案にも修正を加えた。その修正はどちらかといって不十分であり、不徹底なものではあったけれども、原案の行き過ぎを押える意味があった。緑風会の良識、これに対して世間は拍手を送った。」こう書いてある。あなたはそうしてこの拍手を送られた中心の方であった。川村文教委員長のもとにおいて、同僚剱木君や荒木君とともに、あなたも理事の一人として、この修正には実に熱意を持たれたことを私は記憶しておる。しかし今日のあなたのこの報告をした態度と、その見解というものがきわめて重大であると、私は言わなければならない。またこの問題について、このものはこう書いておる。よく聞いていただきたい。「緑風会は選挙に先立っておのれの存在を鮮明にし、世間の注目を引こうとしておる。廣瀬君たちは憲法改正の鬼となると自称しながら、憲法改正の旗じるしをもって緑風会の存在をはっきりさせようと努力しておる。だがこれは利口な方法ではない。緑風会が国民の支持を得る道はもっともっと近いところにある。それは小選挙法案や新教育法案が持つ矛盾を、そうして、自民党との違いをいささかでも明らかにすることだ。国民は自民党のイミテーションには投票をしないであろう。五月、緑風会の名にふさわして再出発が望まれる。」と書いてある。(拍手)私はあえてこういうものを引用したというのは、緑風会を私は攻撃するためではありません。自民党の諸君は失笑をもって迎えているけれども、今、日本人が真剣に考えなければならないことは、かつて誤まれるあの戦争は、軍閥、官僚の罪ということと並び称して、教育者の負うべき責任は実に重大であると言われてきた。(拍手)そうしてそれは実に教育者個人の人格や識見の問題ではなくて、教育制度の一環の中におかれている教師そのものが問題にされてきた。私も十七ヵ年間、小学校、女学校の教師をした。私も教え子を戦線に送り、不肖私も陸軍二等兵として召集を受けた経験を持つ者である。戦争に敗れたとき、教育者が反省したと同時に、多くの人々は民主主義を守らなければならないと気づいたのである。あの廃墟の中に立ち上ったときに、戦争に敗れた国が義務教育の年限を延長されたという歴史が世界のどこの国にあったか。それにもかかわらず、われわれは困難なこの財政の負担に耐えて、今日まで日本国民は六三制を育ててきたことを思わなければならない。そうして、その中心は、あくまでも民主主義に徹し、平和を守れということだと、今、日本教育者は自信をもって教えている。(拍手)今やこの法律案によって、この基盤がくじかれようとしておるのであるが、加賀山委員長は、現在の日本の政治情勢をいかに判断するかということを私の質問の第一点としたい。  すなわち私見をもってするならば、現在日本には再軍備の声が非常に急である。再軍備のよしあしを私はここに論じない。現在の日本の政治のもとにおいて、再軍備というものを教育というものは、どのような関係にあると、あなたは考えるか、大砲もバターも可能であるとあなたは考えるか、教育を進めるには、しばらくは再軍備そのものは否定しなければならないと、あなたは考えるかどうか、この一点を承わりたい。  第二点は、今日大きな問題となっておることは、戦前及び戦争中、日本のファッショ化に対して積極的に活動したところの学問、教育、言論、思想、こういうような指導者は巣鴨の監獄につながれた。そのときにこの人たちは、国民に対して大きなあやまちを犯したからつながれたと了解された。個人的には気の毒な人もありましょう。しかし、今日これらの人々は、国民のために巣鴨に行っていた、という表現をしておる。このこと自体について、あなたはいかようにお考えであるか、これをお尋ねしたい。同時に、私がこのことを聞く意味は、あなたが、この法案をこのような手続をもって成立せしめたことの良否を判断する基礎であるから、私は尋ねなければならないのでありまするが、第三の問題は、今日言論と教育に対する国家的統制の動きが、あるいは放送法の改正、あるいは教育委員会法の改正となって現われておるが、そのような傾向が現実にあるとお考えであるか、ないとお考えであるか、この基本的な問題を私は質問の第一点といたします。  第二には、手続の点について承わりたい。一体、少数意見が幾らかあったと報告されたけれども、あなたの報告書は少数意見に対する報告がまことに少い。その少数意見は、いかなることを主張し、いかなることを言っていたか私は聞きたい。私は文部委員でないがゆえに、この委員会には、二、三度傍聴しただけでありますがゆえに、この少数意見が主張しているところの主点というものを、また包括する内容というものを明確に本議場を通じて国民に知らしていただきたい。  第三番目には、手続の点について、あなたは、議長の命令であるからしてここに上ると、こう申した。命令ならば、殺人もどろぼうも犯すものでないことはすべての人の知るところである。私はこの比喩はあまりにどぎつい、失礼である。私はあえてこれを知って言うことは、命令であるからとあなたはおっしゃるけれども、ここに尋ねねばならぬ心境をあなたは一言も触れなかった。あなたは、専門員の書いた原稿以外には発言することができないようなプアな頭を持っていないはずだ。少くとも原稿にない分で、このような手続のもとに報告しなければならないあなたの心境を明確に聞かしてもらいたい。(「主観を交えてはいかぬぞ」と呼ぶ者あり)質問というものは……発言というものは、多かれ少かれ主観のあるものである。人に書いてもらった原稿を私は読んでいるのではない。  その次の質問は、この法改正によって参議院の良識がどこに発揮されたかということである。この聞く理由というものは、御承知のように、衆議院における本法の成立もきわめて不幸であった。わが党の佐藤文教委員長も、その審議を尽し得なかったうらみを私に綿々と述べていた。少くとも参議院は、少くともその面については、衆議院において論じ得なかったことを論じ、衆議院において解明し得なかったことを解明し、衆議院において結論づけ得なかったことを結論づけるべきところの使命があったと思う。その面はいずこに現われておるか、これが、私の第三の質問である。  第四の質問は、どうも報告の範囲内においては、具体的な問題について明瞭性を欠いておる。この法律というものは御承知のように、教育の基本法と並んで、教育者が、また教育の任に当る者が、また子弟を教育する親が、あるいは地域社会におけるところの社会教育の担当者が、あるいはまた国民の一人々々が、教育を行う場合の一つの尺度とその進路を示すものである。そういう意味合いにおいて、具体的な解明が十分になされたかどうかを聞きたい。もしなされないとするならば、その理由は何であったか。しかもその理由が何であったかが解明された後において、かかる重要法案が具体的な質疑の解明もなしに、本院において成立せしめて、立法府として参議院自身が責任を将来に確保し得るかどうか、承わっておきたい。  第四には、世上うわさされるところによりますれば、衆議院参議院も本法の審議をめぐって、学校教育というワクの中の審議はかなり尽されたと言われておる。ところが、教育は御承知のように、並んで社会教育が重視されなければならない。むしろ、日本においてはこの面こそより重視しなければならない。本法における社会教育に関連のある条項について、いかなる論議がかわされ、いかなる批判が与えられ、いかなる賞賛が与えられ、いかなる結論があったかを、しさいに承わっておきたい。  その次、この法律の最も大きな点は、委員を任命制にするということである。ここにいらっしゃるところの同僚西岡ハル君の御夫君西岡竹次郎氏は、衆議院の公聴会に出て、原案に賛成をされましたけれども、言葉鋭く、都道府県教育長の任命に関して文部大臣の承認を必要とする部分は、不要であるばかりでなく、有害であると指摘している。(拍手)この法案中心をなすものが、権力による統制をおそれるところのPTAや、あるいは教育実践者や、教育従事者の不満の声というものが山野に満ちたと言うても過言ではない。これをまた文部省の方から見るならば、あれこれ、つべこべ答弁をするけれども、依然として、文部大臣はみずからの権力のもとに、教育を掌握せんとする意図ありと言われても仕方がない。(拍手)かりにそうでないとしても、今の議院内閣制度において、多かれ少かれ、文部大臣は今後政党員をもって占められるであろう。その場合においては、権力による統制というものが、実質的な問題として問題となるかどうか、しかも問題となるとするならば、いかなる点の保障によってこれを救済せんとするか、この本法の規定のどこにそれがあるのであるか、これは私は知らないから、承わりたい。  その次、問題は財政の面である。御承知のように、教育の問題は、多かれ少かれ財政の問題である。国家予算が今日、日本においてはきわめて脆弱であり、国民はひとしくこの国家予算の行使については、がまんをしなければならない。税金の負担もまた相当の重さにたえなければならない。しかし、ここで問題なのは、教育というものが常に農林予算、あるいはその他商工予算、特に最近に至っては防衛庁予算によってしわ寄せされているという現実である。しかも、このしわ寄せというものは、中央予算が地方財政に対してしわ寄せとなり、地方財政の中においても教育の面にしわ寄せとなる。その補償が、その救済がPTAの貧しき台所を預かる奥さん方のへそくりによってまかなわれているという現実を、われわれは忘れてはならない。この法律というものが、依然として市町村長の強い権限のもとに財政が縛られるということは、現実の問題として、教育にこれがどのような形で現われてくることを本法は予約するか、予見するかという点を承わりたい。
  162. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 相馬君、時間……。
  163. 相馬助治

    ○相馬助治君(続) そのようなことは問題でないと、人もあろうに有馬君は言うているが、いいかげんなヤジはやめなさい。あなた自身がよく知っている。あなたは良識あるジェントルマンだ、少くとも……。これは私の論旨が間違っているか、いないかは別として、真剣に聞いているのです。わかったですか。(「わかった」と呼ぶ者あり)わかりましたか。有馬さん、大へん失礼しました。わかっていただいてありがたいです。(笑声)  問題は、この法律は、財政の問題が大きいということなのです。法律はいかに体裁よく整っても、現実にPTAの奥さん方が出す費用が多くなるということを、この法律は予見し得るかどうかということを、加賀山委員長に私は聞いておるのでございます。  そうして加賀山さん、教育は冷静に考えなければならない。私の演説はいささか冷静を欠いたけれども、私はほんとうに感慨を含めて申し上げておる。私はかつてあそこにいらっしゃる八木秀次先生と旅行したときに、こういうことを聞いた。人間は常日ごろの行動も大切だが、決定的な瞬間にどのような態度をとるか、どのような考え方によって自己を律するかが最も大きな問題だとおっしゃった。私は、その言葉を今もってみずからの心の誓いとしております。加賀山さん、今まさに重大な時期です。今のあなたの心境を率直に承わりたい。そうして、先ほど秋山君が住宅の問題について触れられました。私はこの問題についてここで申し上げません。ただ、加賀山文教委員長がこの報告をここにおいてやり、この法案がかりに成立したときに、どのような感慨を持たれるか。この教育の新法によって日本教育は前進すると思うか、日本民族の明るい歴史と、明るい将来が予見されるとお考えか、それともまた戦争戦争へ、破滅へ破滅への道を驀進されるところの危険が、運営のいかんによってはあるとお考えであるか、その点についてしかと承わりたいと思うのであります。(拍手)   〔加賀山之雄君登壇拍手
  164. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 ただいま相馬君から、むしろ質疑というよりは、私に対しまして非常に該博ないろいろの御見解をお教えいただきましたことを、厚くお礼を申し上げます。  現在の政治情勢と教育の問題について論ぜられたようでございますが、私まだ政治に関しましては、いわばかけ出しでございますので、多く相馬先生から伺った方がいいのでございます。ただ、教育はもちろん政治から中立を要しますけれども、しかしやはり政治の進展、政治がよくなって参りますには、また教育が非常に大切であるということは、私どもよく承知いたしておるつもりでございます。  それから学問、思想、教育と並べましたが、もちろん学問や思想や研究は、最も自由であるべきであって、特に言論の自由等は言うまでもないことでございますが、教育の問題になって参りますと、私はちょっとそこに違った、この今までの自由とは違った感じが出てくるのではなかろうかというように考えるのでございます。私はこの法案を扱いまして、いろいろ世論の対立を見ましたときに、あくまでも、政治情勢から来ているかも存じませんが、お互いの対立された御意見の中には、非常な不信感、疑惑感がもとになっているように感ぜられまして、私といたしましてはまことに残念なことで、事、教育というようなものについては、最も共通の広場がなければならないものではなかろうかというように、つくづく感じた次第でございます。  手続の問題といたしまして、議長の命令に唯々諾々としてあることはよろしくないじゃないかというお話でございますが、私といたしましては、院議に従い、この院議を代表する議長の命令に基いて行動するのが、院内においては私としてはとるべき態度であると確信をいたしております。(拍手)  少数意見が現われていないではないかということでございますが、先ほど申し上げましたように、これは質疑中に、ずいぶん質疑の形をもって少数意見が現われているように思うのございまして、これはもちろん質疑の形で行われておりますので、私といたしましては、質疑の続行中にごく客観的にこの問題を取り上げております。きわめて具体的な質疑につきましても、特に社会教育に論及されたのでございますが、矢嶋君等の非常に緻密な社会教育面の質疑がなされておりますので、これは報告で申し上げましたように、どうぞ会議録でごらんを賜わりたいと、かように存ずるのでございます。  で、財政の問題に触れられましたが、これはむしろ私が申し上げるよりは、文部大臣、政府の問題であろうと思います。私、ただ文教委員会といたしましては、地方財政の困難な折から、文教委員といたしまして、もちろんこの重要な教育に、決して財源不足がしわ寄せされないように、これは文教委員会としては常に関心を持ち、努力を続けて参りたいと思っておる次第でございます。(拍手
  165. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 川村松助君外五名から、成規の賛成者を得て、質疑終局の動議が提出されております。  これより本動議の採決をいたします。本動議の表決は、記名投票をもって行います。本動議賛成諸君白色票を、反対諸君青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  氏名点呼を行います。議場閉鎖を命じます。   〔議場閉鎖〕   〔参事氏名点呼〕   〔投票執行
  166. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) お早く御投票を願います。(「悲しくて足が進まないよ」と呼ぶ者あり)すみやかに御投票を願います。……お早く御投票を願います。  ただいま行われております投票につきましては、自後五分間に願います。(「そんなことを言う資格があるか」「二人で打ち切るのも事によりけりだ」「中間報告するならば、質疑ぐらい三、四人許してもいいじゃないか、普通の動議とは違うのだ、二人で打ち切るとは何だ、質問の機会がない」と呼ぶ者あり)お急ぎ下さい。(「ゆっくりしろ、言論を尽さないところに問題が起きるのだ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)お急ぎ願います。(「投票するのに五分や六分いいじゃないか」と呼ぶ者あり)すみやかに御投票願います。……すみやかに御投票を願います。……お早く御投票を願います。(「議長、警察を引け」「議長不信任案を取り上げろ」と呼ぶ者あり)  投票漏れはございませんか。……投票漏れないと認めます。  これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。   〔議場開鎖〕   〔参事投票を計算〕
  167. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数 百六十九票   白色票  百三十二票   青色票   三十七票  よって質疑は終局することに決しました。      —————・—————   〔参照〕  賛成者白色票)氏名      百三十二名       上林 忠次君    加賀山之雄君       柏木 庫治君    井野 碩哉君       森田 義衞君    森 八三一君       村上 義一君    溝口 三郎君       八木 秀次君    三浦 辰雄君       廣瀬 久忠君    早川 愼一君       野田 俊作君    中山 福藏君       豊田 雅孝君    常岡 一郎君       土田國太郎君    竹下 豐次君       高橋 道男君    高木 正夫君       杉山 昌作君    島村 軍次君       佐藤 尚武君    河野 謙三君       小林 武治君    後藤 文夫君       伊能繁次郎君    武藤 常介君       大谷 瑩潤君    白波瀬米吉君       松原 一彦君    西岡 ハル君       伊能 芳雄君    小沢久太郎君       青柳 秀夫君    佐藤清一郎君       酒井 利雄君    有馬 英二君       仁田 竹一君    関根 久藏君       吉田 萬次君    白川 一雄君       木村 守江君    菊田 七平君       岡田 信次君    中川 幸平君       田中 啓一君    榊原  亨君       高橋進太郎君    上原 正吉君       大矢半次郎君    藤野 繁雄君       木島 虎藏君    西川甚五郎君       宮田 重文君    一松 政二君       植竹 春彦君    谷口弥三郎君       三浦 義男君    左藤 義詮君       館  哲二君    石原幹市郎君       中川 以良君    中山 壽彦君       池田宇右衞門君    鶴見 祐輔君       青木 一男君    西田 隆男君       野村吉三郎君    泉山 三六君       津島 壽一君    苫米地義三君       大野木秀次郎君    斎藤  昇君       佐野  廣君    小幡 治和君       宮澤 喜一君    大谷 贇雄君       石井  桂君    雨森 常夫君       西川弥平治君    白井  勇君       横山 フク君    高橋  衛君       松平 勇雄君    深川タマヱ君       長島 銀藏君    宮本 邦彦君       最上 英子君    寺本 廣作君       青山 正一君    紅露 みつ君       山本 米治君    秋山俊一郎君       石村 幸作君    剱木 亨弘君       加藤 武徳君    横川 信夫君       松岡 平市君    長谷山行毅君       鈴木 強平君    野本 品吉君       平井 太郎君    川村 松助君       堀末  治君    西郷吉之助君       堀木 鎌三君    遠藤 柳作君       吉野 信次君    笹森 順造君       黒川 武雄君    小林 英三君       木村篤太郎君    大屋 晋三君       石坂 豊一君    三木與吉郎君       新谷寅三郎君    小西 英雄君       井村 徳二君    島津 忠彦君       岡崎 真一君    重政 庸徳君       安井  謙君    入交 太藏君       小柳 牧衞君    川口爲之助君       木内 四郎君    深水 六郎君       古池 信三君    岩沢 忠恭君       小野 義夫君    井上 知治君     —————————————  反対者(青色票)氏名      三十七名       久保  等君    山口 重彦君       岡  三郎君    海野 三朗君       河合 義一君    三輪 貞治君       永井純一郎君    上條 愛一君       東   隆君    三橋八次郎君       平林  剛君    赤松 常子君       山下 義信君    木下 源吾君       栗山 良夫君    村尾 重雄君       相馬 助治君    市川 房枝君       須藤 五郎君    堀  眞琴君       木村禧八郎君    石川 清一君       小林 孝平君    矢嶋 三義君       小林 亦治君    重盛 壽治君       藤田  進君    田畑 金光君       永岡 光治君    阿具根 登君       天田 勝正君    松浦 清一君       棚橋 小虎君    曾禰  益君       松澤 兼人君    中田 吉雄君       小酒井義男君    ————————
  168. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 川村松助君外五名から、賛成者を得て、文教委員長から中間報告のあった地方教育行政の組織及び運営に関する法律案及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律施行に伴う関係法律の整理に関する法律案は、議事日程に追加し、ただちに一括議題とし、その審議を進めることの動議が提出されました。  これより本動議の採決をいたします。  本動議の表決は、記名投票をもって行います。本動議賛成諸君白色票を、反対諸君青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  氏名点呼を行います。議場閉鎖を命じます。   〔議場閉鎖〕   〔参事氏名点呼〕   〔投票執行〕   〔「総理はどうした」と呼ぶ者あり)
  169. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 鳩山総理は、ただいまこちらに参っておる途中でございます。(「議長投票中に何を言うのだ「不規則発言になぜ答えるのだ」と呼ぶ者あり)  お早く御投票願います。(「鳩山さんに言え」と呼ぶ者あり)お早く御投票を願います。(「総理を呼んでこい」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)  御静粛に願います。(「総理大臣としても総裁としても何もしていないじゃありませんか」と呼ぶ者あり、その他離席する者、発言する者多し)議席にお着き下さい。(「不信任案はいつですか、議長言って下さい」と呼ぶ者あり)御静粛に願います。議席にお着き下さい。(「総理、責任はあなたにも責任ありますよ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)御静粛に願います。すみやかに御投票願います。(「議長、あなたが間違うと、鳩山さんがこんな苦境に立つのですよ」と呼ぶ者あり)すみやかに御投票願います。  ただいま行われております投票につきましては、以後時間を三分に制限いたします。(発言する者多し)静粛に願います。御静粛に……、御静粛に願います。(発言する者多し)御静粛に願います。(発言する者多し)すみやかに御投票願います。(「警察を連れて帰れ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)御静粛に願います。(「議長、警察を帰せ、不信任案を取り上げろ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)  投票漏れはございませんか。……投票漏れないと認めます。  これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。   〔議場開鎖〕   〔参事投票を計算〕
  170. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数 百六十九票   白色票  百二十六票   青色票   四十三票  よって本動議は可決せられました。(拍手発言する者多し)      —————・—————   〔参照〕  賛成者白色票)氏名      百二十六名       上林 忠次君    河井 彌八君       柏木 庫治君    井野 碩哉君       森田 義衞君    森 八三一君       村上 義一君    溝口 三郎君       八木 秀次君    三浦 辰雄君       廣瀬 久忠君    早川 愼一君       野田 俊作君    中山 福藏君       豊田 雅孝君    常岡 一郎君       土田國太郎君    竹下 豐次君       高橋 道男君    高木 正夫君       杉山 昌作君    島村 軍次君       佐藤 尚武君    河野 謙三君       小林 武治君    後藤 文夫君       伊能繁次郎君    武藤 常介君       大谷 瑩潤君    白波瀬米吉君       松原 一彦君    西岡 ハル君       井上 清一君    伊能 芳雄君       小沢久太郎君    青柳 秀夫君       佐藤清一郎君    酒井 利雄君       有馬 英二君    仁田 竹一君       関根 久藏君    吉田 萬次君       白川 一雄君    木村 守江君       菊田 七平君    岡田 信次君       中川 幸平君    田中 啓一君       榊原  亨君    上原 正吉君       大矢半次郎君    藤野 繁雄君       木島 虎藏君    宮田 重文君       一松 政二君    谷口弥三郎君       左藤 義詮君    館  哲二君       石原幹市郎君    中川 以良君       池田宇右衞門君    鶴見 祐輔君       青木 一男君    西田 隆男君       野村吉三郎君    泉山 三六君       津島 壽一君    苫米地義三君       大野木秀次郎君    斎藤  昇君       佐野  廣君    小幡 治和君       宮澤 喜一君    大谷 贇雄君       石井  桂君    雨森 常夫君       西川弥平治君    白井  勇君       横山 フク君    高橋  衛君       松平 勇雄君    深川タマヱ君       長島 銀藏君    宮本 邦彦君       最上 英子君    寺本 廣作君       青山 正一君    紅露 みつ君       山本 米治君    秋山俊一郎君       石村 幸作君    剱木 亨弘君       加藤 武徳君    横川 信夫君       長谷山行毅君    鈴木 強平君       野本 品吉君    平井 太郎君       川村 松助君    堀末  治君       西郷吉之助君    郡  祐一君       遠藤 柳作君    吉野 信次君       笹森 順造君    黒川 武雄君       小林 英三君    木村篤太郎君       大屋 晋三君    石坂 豊一君       三木與吉郎君    新谷寅三郎君       小西 英雄君    井村 徳二君       島津 忠彦君    岡崎 真一君       重政 庸徳君    安井  謙君       入交 太藏君    小柳 牧衞君       川口爲之助君    木内 四郎君       深水 六郎君    古池 信三君       岩沢 忠恭君    小野 義夫君     —————————————  反対者(青色票)氏名      四十三名       久保  等君    山口 重彦君       岡  三郎君    海野 三朗君       河合 義一君    三輪 貞治君       永井純一郎君    上條 愛一君       東   隆君    荒木正三郎君       三橋八次郎君    平林  剛君       内村 清次君    赤松 常子君       山下 義信君    木下 源吾君       山田 節男君    栗山 良夫君       村尾 重雄君    相馬 助治君       市川 房枝君    須藤 五郎君       堀  眞琴君    木村禧八郎君       鈴木  一君    千田  正君       小林 孝平君    矢嶋 三義君       菊川 孝夫君    片岡 文重君       小林 亦治君    吉田 法晴君       藤田  進君    田畑 金光君       大倉 精一君    永岡 光治君       阿具根 登君    天田 勝正君       松浦 清一君    棚橋 小虎君       松澤 兼人君    中田 吉雄君       小酒井義男君    ————————
  171. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 天田勝正君から、賛成者を得て、疲労はなはだしく、かつ夕食時間のため、直ちに休憩することの動議が提出されております。  これより本動議の採決をいたします。  表決は記名投票をもって行います。本動議賛成諸君白色票を、反対諸君青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  氏名点呼を行います。議場閉鎖を命じます。   〔議場閉鎖〕   〔参事氏名点呼〕   〔投票執行
  172. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) すみやかに御投票願います。(「やっていますよ」「三十時間も続けてやらして早く歩けますか、人道上の問題じゃないか」「警察官の警戒体制を解きなさい、解いて堂堂とやりなさい」と呼ぶ者あり)お早く御投票願います。(「不信任案を次に頼みますぞ」「警官の人垣の中をくぐって来て、それで気持がいいと思うか、国会の中の警官の人垣の中をくぐって来てそれで気持がいいと思うか、どこに警官を配備しなければならぬ理由があるのだ」と呼ぶ者あり)御静粛に……、御静粛に願います。(「議長、不信任案を取り上げろ」と呼ぶ者あり)すみやかに御投票を願います。(「議長、総理のあの姿を見て下さい、見られますか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)すみやかに御投票を願います。  投票漏れはございませんか。(「あるよ」と呼ぶ者あり)投票漏れはございませんか。……投票漏れないと認めます。  これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。   〔議場開鎖〕   〔参事投票を計算〕
  173. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数 百七十一票   白色票   四十三票   青色票  百二十八票 よって本動議は否決せられました。(拍手)      —————・—————   〔参照〕  賛成者白色票)氏名      四十三名       高田なほ子君    久保  等君       山口 重彦君    安部キミ子君       岡  三郎君    海野 三朗君       河合 義一君    三輪 貞治君       田中  一君    永井純一郎君       上條 愛一君    東   隆君       三橋八次郎君    平林  剛君       内村 清次君    赤松 常子君       山下 義信君    木下 源吾君       野溝  勝君    栗山 良夫君       村尾 重雄君    相馬 助治君       市川 房枝君    木村禧八郎君       鈴木  一君    千田  正君       小林 孝平君    矢嶋 三義君       菊川 孝夫君    片岡 文重君       小林 亦治君    小松 正雄君       吉田 法晴君    藤田  進君       田畑 金光君    永岡 光治君       阿具根 登君    天田 勝正君       棚橋 小虎君    曾禰  益君       中田 吉雄君    小酒井義男君       戸叶  武君     —————————————  反対者(青色票)氏名      百二十八名       上林 忠次君    河井 彌八君       加賀山之雄君    柏木 庫治君       森田 義衞君    森 八三一君       村上 義一君    溝口 三郎君       八木 秀次君    三浦 辰雄君       廣瀬 久忠君    早川 愼一君       野田 俊作君    中山 福藏君       常岡 一郎君    土田國太郎君       田村 文吉君    高橋 道男君       高木 正夫君    杉山 昌作君       島村 軍次君    佐藤 尚武君       河野 謙三君    小林 武治君       後藤 文夫君    伊能繁次郎君       武藤 常介君    大谷 瑩潤君       白波瀬米吉君    松原 一彦君       西岡 ハル君    井上 清一君       伊能 芳雄君    小沢久太郎君       青柳 秀夫君    佐藤清一郎君       酒井 利雄君    有馬 英二君       仁田 竹一君    滝井治三郎君       関根 久藏君    吉田 萬次君       森田 豊壽君    白川 一雄君       菊田 七平君    岡田 信次君       田中 啓一君    榊原  亨君       高橋進太郎君    上原 正吉君       大矢半次郎君    藤野 繁雄君       木島 虎藏君    宮田 重文君       一松 政二君    植竹 春彦君       谷口弥三郎君    三浦 義男君       左藤 義詮君    館  哲二君       石原幹市郎君    中山 壽彦君       池田宇右衞門君    鶴見 祐輔君       青木 一男君    野村吉三郎君       泉山 三六君    津島 壽一君       苫米地義三君    大野木秀次郎君       斎藤  昇君    佐野  廣君       小幡 治和君    宮澤 喜一君       大谷 贇雄君    石井  桂君       雨森 常夫君    西川弥平治君       白井  勇君    横山 フク君       高橋  衛君    松平 勇雄君       深川タマヱ君    長島 銀藏君       宮本 邦彦君    最上 英子君       寺本 廣作君    紅露 みつ君       山本 米治君    石村 幸作君       剱木 亨弘君    加藤 武徳君       横川 信夫君    長谷山行毅君       鈴木 強平君    野本 品吉君       川村 松助君    堀末  治君       西郷吉之助君    堀木 鎌三君       郡  祐一君    遠藤 柳作君       吉野 信次君    笹森 順造君       黒川 武雄君    小林 英三君       木村篤太郎君    大屋 晋三君       石坂 豊一君    三木與吉郎君       新谷寅三郎君    小西 英雄君       井村 徳二君    島津 忠彦君       岡崎 真一君    重政 庸徳君       安井  謙君    入交 太藏君       小柳 牧衞君    川口爲之助君       木内 四郎君    深水 六郎君       古池 信三君    岩沢 忠恭君       小野 義夫君    井上 知治君       山縣 勝見君    草葉 隆圓君   —————————————
  174. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 地方教育行政の組織及び運営に関する法律案  地方教育行政の組織及び運営に関する法律施行に伴う関係法律の整理に関する法律案(いずれも内閣提出衆議院送付)  以上、両案を一括して議題といたします。(「反対々々」と呼ぶ者あり)   —————————————
  175. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 両案に対し質疑の通告がございます。順次発言を許します。湯山勇君。    〔「休憩動議を否決しておいて、きまったらすぐ与党が出ていくとは何だ」「議事進行」「議長、注意しなさい」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕
  176. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 静粛に願います。(「議事進行」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)湯山君、登壇を願います。湯山君、質疑をお始め下さい。……湯山君、御質疑をお始め願います。……湯山君、御質疑をお始め下さい。……湯山勇君、御質疑をお始め下さい。   〔湯山勇君登壇拍手
  177. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 湯山君、御質疑をお始め下さい。
  178. 湯山勇

    ○湯山勇君 私は要望があります。国の最高責任者である総理に対する質問でございます、どうか警察官をこのまわりからのけて下さい。議長はあの総理大臣の姿が目に入りませんか、議長、まわりの警察をのけて下さい。そうでなければ自由な質問ができません。議長、お願いです。
  179. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 御質疑をお始め願います。
  180. 湯山勇

    ○湯山勇君(続) 議長、まわりの警官をのけて下さい。議長、これで質問ができますか、議長、あなたはあの総理が目に入りませんか、あの総理に質問ができますか、議長はこの中におりますから、まわりの様子がわかりません。議長、何とかして下さい。お願いです。議長、何とかして下さい。お願いです。
  181. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 御質疑をお始め下さい。
  182. 湯山勇

    ○湯山勇君(続) 総理に、こんな中で答弁させるのですか、あなたは……。
  183. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 時間が経過いたしますから、御質疑をお始め下さい。
  184. 湯山勇

    ○湯山勇君(続) 警官を引かせて下さい。警官を引かせて下さい。
  185. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 御質疑を開始して下さい。
  186. 湯山勇

    ○湯山勇君(続) せめて総理に質問する間だけでものけて下さい。それもできませんか、その間だけでものけて下さい。
  187. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 時間が経過するばかりですから、質疑をお続け下さい。(「警官を置いておく必要がどこにあるか」と呼ぶ者あり)
  188. 湯山勇

    ○湯山勇君(続) 警官をのけて下さい。
  189. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) すみやかに御質疑をお始め下さい。(「議長、のかせなさい」「何の必要があるのだ」と呼ぶ者あり)時間が経過するばかりですから、御質疑を願います。(「引かさないなら、その理由を言って下さい」「何の必要があるのです」と呼ぶ者あり)御質疑をお始め下さい。時間が経過するばかりですから……。(「総理の窮状を見ろ、恥しくて顔が上げられないじゃないか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  190. 湯山勇

    ○湯山勇君(続) 私は、日本の歴史この方、日本の憲政始ってこの方、最も悲しい総理に対する質問をしなければならないことを、きわめて痛恨に感じるものでございます。皆さんが御退場になられようとしたとき、私は、皆さんに待って下さい、こう訴えましたこの議場の中は平素の議場と少しも変ってはおりません。けれども、この議場を取り巻いておる雰囲気は、未だかってない異常な状態にあるのでございます。その異常な状態の中を通ってきた総理のこの悲痛な姿が、皆さんの目にはお入りになりませんか。皆さんは、あるいはこの法律が通ることに対して喜びを感じておられるかもしれません。けれども、この法律を通すために、ぬぐってもぬぐいきれないしみが、この議事堂に濃くつけられたのでございます。(拍手、「だれがそうさせたか」と呼ぶ者あり)私は自由民主党の総裁であり、一国の総理大臣である鳩山内閣総理大臣に、現在の心境と、これに対する責任をお尋ねいたしたいのでございます。(拍手)  総理大臣は、この法律の背後に三千万になんなんとする青少年達、そうしてまた数千万のこの子供の親たちがあることを十分お考えの上で、今の私の質問にお答えを願いたいのでございます。  総理に対しましては、この法律に関連していろいろお尋ねしたいことがあったのでございますけれども、今の総理の様子を見て、そうしてまた、ただいまのこの議場を取り巻く雰囲気を考えるときに、この議場のまわりに警官が立ち並んでいる、こういう状態を見るときに、単にこの法律の中身、そういうものだけについて総理に聞く気持はございません。ただ、この法律に対して世の親たちは何と言っておるか。この法律国民の手から、国民教育に直接関与しておる現在の教育委員会制度、国民の手から公選を廃して、任命することによって、国民から教育を取り上げ、さらに教育を取り上げたその手は、親の手から子供を取り上げるのではないか。(拍手)こういう親たちの心配を今日この状態の中で私は感ぜずにはいられません。  さらには、また学者や報道陣、文化人たち、この法律が実施されたときには、学問、言論、思想、教育の自由が侵されるのではないかという心配をし続けて参っております。皆さんは、そういうことはないとおっしゃいますけれども、また私も、そういうことのなかれかしと祈っておりましたけれども、今日、この言論の府が警官に取り巻かれている実情を見るときに、決してこれは杞憂とは言えないのでございます。(拍手)現実でございます。事実でございます。こういう事実を総理は、十分御認識願いたいのでございます。さきに衆議院におきまして、同じ中間報告という形において、この法律を上げて参りました。今また参議院におきましては、同じ形においてこれを強行しようとしております。あるいは総理はその間の経緯をよく御存じないかもしれませんけれども、この法律を強行するために、国会法を無視し、本院規則を無視して、ただいま議長議事が行われております。国会に長く議席を占められた鳩山総理は、そういう形で、かつてない警官の包囲の中で、子供たちのための教育法律審議されることをどうお感じになりますか。私はもしも総理がほんとうに国を思い、日本の将来を思い、さらにまた鳩山総理自身のことを真剣に考えるならば、このときこそ重大な決意をお願いいたしたいのです。(「それだから重大決意をしたのだよ」と呼ぶ者あり)その重大決意というのは、皆さんが認識しておられるようなものではありません。自由民主党の自由とは、警官に守られた自由ではないはずでございます。自由民主党の民主とは、警官によって言論を弾圧した民主ではないはずでございます。平和憲法を持ち、自由民主党を名乗る鳩山総理は、真に自由民主党の総裁として、日本の首班としての決意を固めていただきたい。党利党略ではありません。真に日本の責任者としての御決意を願いたいのでございます。  次に、この法律には、たくさんの欠陥、疑義がございます。間違っておるところもございます。この点については、今私は清瀬文部大臣の方へ指摘をいたします。総理はそれをよくお聞き下さって、最後に私のお尋ねにお答えいただきたいのでございます。  この法案の持つ欠陥、疑義あるいはこれを実施した場合には、重大な混乱が起る、そう考えられるところは幾つもございます。けれども、今日までの委員会における質疑、討論の過程において明らかになったものだけを数え上げてみましても、たとえば教育委員会会議制の執行機関である、こう言われております。けれども、今回の法律では三人の教育委員会が認められております。三人の場合、一人病気その他で欠けた場合には、合議性の本質が失われて、一人の意思で運営できるような、そういう仕組になっております。さらにまた、法の不備な点といたしましては、市町村の助役が教育長を兼務する場合、この法律によれば、本年九月末日までしか在任できません。関係法の整理によりますれば、地方自治法によって、来年の三月まで在任できることになっております。一体いずれが正しいのか、適用されたときに困るのは国民でございます。さらに申し上げたいのは、教職員に対して職階制をとる、こういうことが法文に明記されております。けれども教育という仕事は、職階をつけ得る性質のものではございません。かつて昭和二十七年に、人事院が、教員には職階制はとれないという結論を出しております。それをどうして府県に実施させることができますか。不可能なことをしいるものでございます。  その他、数えていけば、たくさんの不備と欠陥がございます。これらの不備、欠陥を知りながら通すということは、とうてい許されないことでございます。私どもの本分に反する行為であります。もし時間があれば、私はこれらの点を詳細に御説明申し上げる用意を持っております。
  191. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 湯山君、時間が来ました。
  192. 湯山勇

    ○湯山勇君(続) たとえば教材の問題にいたしましても、すべての教材を教育委員会に届出または報告しなければならない。こういうことで真に自由な教育の伸展が望めましょうか。あるいはまた、文部大臣が府県の教育長を承認する、こういう制度が立てられております。最初、文部大臣の御答弁によれば、それはきわめて形式的なものであって、府県からお申し出があれば、ほとんど全部承認するということでございました。けれども、だんだん追及して参りますと、承認する以上は責任を持たなければならない、そのためには、教育委員会以外の方法で調査をしなければならないと言っておられます。別な調査とは何か、こうお尋ね申したのに対して、特高警察やスパイを使うのではないということだけおっしゃって、あとはおっしゃっておりません。このあたりにも、学問の自由、言論の自由、教育の自由、そういうものに対する不安がひそんでおると思います。  他の各省大臣は、主管事務について、地方自治法の定めるところにより、総理大臣を通じて措置要求ができることになっております。各省大臣は総理大臣に頼んで措置要求をしてもらうのでございますけれども、文部大臣は、全部文部大臣によって措置要求を行います。総理は教育については一切そういうことをなさらないのでございます。これは教育を軽視しておる現われと見ることもできますし、文部大臣の権限がきわめて強化されたと見ることもできます。権力というものは、持っておれば使いたくなるものでございます。持っておる権力を使いたがるという事実は、今私はこの壇上でひしひしと感じておるのでございます。こういう欠陥を持ち、こういう不備な点を持ち、実施に当って、どうしていいかわからないような点を持ったこの法律を、総理はいかなる責任を持って国民に実施させるか。この点についても総理の責任ある御答弁をお願いいたしたいのでございます。以上をもって私の質問を終ります。(拍手)   〔国務大臣鳩山一郎君登壇拍手
  193. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) この法案について、先に答弁いたします。  この法案は、わが国の教育の真の民主化に役立つものと思っております。この法律案には、御指摘のような不備欠陥はないものと私は信じております。  警官を本院の中に入れたことについて答弁をいたします。  国会法第百十五条に基きまして、参議院議長から警察官派出の要求があったので、内閣はこれに基いて、その手続をとったのであります。あなた方は、警官が自由を破壊するような考え方で御質問になりますけれども、警官は自由を守るために入っておるのであります。(拍手、「国会法を無視して審議が進められているのじゃないか」「警官に守られる自由が何の自由だ」と呼ぶ者あり)   〔国務大臣清瀬一郎君登壇拍手
  194. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 湯山さんのお問いのうちには、一部、委員長よりすでに報告があったこともございまするが、しかしながら、煩をいとわず、逐次申し上げます。  教育委員会は、合議制であって執行機関でありまするが、三人の場合でも、五人の場合でも、一部死亡、病気等で欠けることもありまするけれども委員会自体は、やはり合議体の執行機関とごらん下さってよろしいと思います。  それからして、助役が教育長になることは、今回はやめたのであります。しかしながら、ことしは地方の事情によって、すでに予算措置まで済んでいることでありまするから、附則によりまして、九月末日までは在任するんでございます。また、その上に整理法の方の一条によって任命される場合には、昭和三十二年三月末日まで在任いたします。これは変則中の変則でございます。  それからして職階制のことでございまするが、教職員の職階制については、現行の教育公務員特例法にも規定されておるのでありまするが、今回は法第四十四条によりまして、国の法に準じてこれを作り、府県は条例を作って採用ができるようにしておるのであります。  それから教材のことは、全部を届出というのではありませんので、教材に関する規則を作りまして必要なものを届けるのであります。  教育長の承認は、やはり教育の連絡をつけるために、いいことと思っております。  措置要求のことには、やはり措置要求の制度を作って、文部省において適当な処理をすることが、日本教育のためには大へんいいことと考えておるのであります。(「逆コース」と呼ぶ者あり、拍手)   —————————————
  195. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 加瀬完君。   〔相馬助治君発言許可を求む〕
  196. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 相馬君、何ですか。
  197. 相馬助治

    ○相馬助治君 自席より、議事進行について発言を求めます。
  198. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 議長は、特に必要の発言とは思いませんが、加瀬君の質問が終りましてから、若干許します。加瀬君の質問が終りまして……。
  199. 相馬助治

    ○相馬助治君 質問に関連がありますから……。
  200. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 加瀬君の質問が終った後に許します。相馬君、加瀬君のあとにお願いします。   〔加瀬完君登壇拍手
  201. 加瀬完

    ○加瀬完君 私は、ただいま議題となりました教育関係二法案につきまして、総理並びに関係大臣にお尋ねをいたします。  だれかの言葉に、二十歳の青年を見れば、その国の十年後の将来がわかる。十歳の少年を見れば、二十五年後のその国の将来がわかる。こういう言葉がありましたが、私は日本の少年の運命を決するこの教育関係法案が、警察官の周囲を取り巻く留置場のごとき議事堂の中で審議されることを、非常に悲しく思うものでございます。(拍手)あのような法案が、このような方法で生まれて参りますときに、教育改革の日本教育の将来というものは、一体心配がないでありましょうか。この点をまず総理に伺いたいのであります。  今度の改正法案によりますと、教育委員会の現行法の第一条の目的、すなわち教育は不当なる支配に服することのないように、教育は地方の実情に応じて行われるように、こういう根本的な性格というものを全然取ってしまったのでございます。一体教育をいずれの方向に持って行こうとする政府の意図でありましょうか。たとえば不当なる支配ということを強く打ち出しました教育基本法なり、あるいは教育委員会法制定当時の議事録によりますと、中央集権的な文部行政の影響、軍部及び政党の干渉、地方内務官僚の影響が過去において教育を非常に毒したので、将来にわたりまして、一党一派の支配、こういう政治的勢力、あるいは文部官僚の復活支配、こういうものを防ぐために不当なる支配という言葉を入れたのであると、時の文部大臣は説明を加えておるのでございます。これを取りまして、今度は、たとえば指導主事の権限は、今までは指導並びに助言に限られておりましたものが、しかも、監督あるいは命令というものは、してはならないという付記がありましたものが、今度は上司の命令によれば、指導も監督もできるというふうに改められました。その指導主事や管理主事というものは、教育長によりまして選任をされるわけであります。その教育長は文部大臣の承認がなければ教育長に就任ができません。しかも、文部大臣の措置要求権と申しましょうか、いわゆる監督権というものは、教材あるいは教具の端に至るまで非常に強く打ち出されまして、五十二条には、教育の本来の目的の達成を阻害する一切のことは、文部大臣が監督をしていいことになりました。そういたしますると、「教育の本来の目的達成を阻害」ということは、文部大臣個人の見解によりまして、非常に幅を持つことになりまするから、これは政党の支配というものも当然介入いたしますれば、文部大臣個人の要求というものも介入するところの幅が生れてきてしまったのであります。不当なる教育に対する支配というものに、全然その権利の保有というものを認められなくなってしまったのでございます。現行法によりますと、地方の実情に即するということが非常に強く打ち出されておったわけでございますが、今度は地方教育委員会は、県教育委員会というものによって、その教育長が選任される形になっております。その県教育委員会の実質的な主権は教育長にあるわけでありますから、その教育長が文部大臣の承認ということになりますと、文部大臣の系統は津々浦々の市町村の教育委員にまで、監督権を及ぼすという人的な機構を構成するわけでございます。これでは地方の実情というものを、どうにも教育委員会が実現をして参るということにはなりかねてくる問題を生ずるわけでございます。  そこで私は総理大臣に伺いたいのでございますが、特に政争がこういうふうに激しくなって参りまして、特に小選挙区法によりましても問題になりました選挙の問題というものが激しくなって参りますると、教育も政治の中に巻き込まれざるを得ません。これを防ぐことこそ、今日最も必要であるべきものを、なぜ一体不当なる支配というものをはずしてしまわなければならなかったのか、あるいは地方の実情に応じてこそ、ほんとうの意味の教育というものは育つべきであるのに、なぜ一体地方の実情に応ずるという、この大原則というものを取り去ってしまわなければならない必要が政府においてあるのか、こういう点をまず伺いたいのでございます。  第二の問題は、将来の教育財政というものが新しい改正法によって守られるであろうか、こわされるであろうか、この問題でございます。今度の改正案によりますると、予算送付権というものは教育委員会の意見聴取というものに変えられてしまいました。教育財政の権利、あるいは教職員の定数、こういう現行教育委員会が財政権、管理権、定員の確保の権利、こういうものを持っておりましたものが、全部これは首相に移ってしまったのでございます。そうなって参りますると、一般行政と教育行政を調和させるために、教育委員会そのものは、若干後退せざるのやむを得なかったという文部大臣の言葉は、非常に財政的には危険を生じて参るのでございます。なぜかと申しますと、これは太田長官御存じのように、現在のあなた方が立てておる地方の財政計画に対する方針というものは一体どうなっておるか。第一にねらっておりますのが節減であります。機構の簡素化であります。地方財政再建整備の促進であります。こういう形によりまして、たとえば基準財政需要額というものを積み上げまして、基準財政収入額で足りない分は補給するということでございますが、その足りない分は何によって新規財政需要額が生れておるかと申しますと、昭和二十六年は九七%、昭和二十七年には九六%、これは全部国の政策のための影響のはね返りとして、新しい需要額というものが生じておるのであります。ところが国の影響によって生じた財源というものも、一つも今まで国はめんどうをみません。それでそれをどこへ持って行ったかと申しますと、節減額という形にいたしまして、昭和三十年度の財政計画によりますと、二百三十三億の新規財政需要額というものを、節減額による、たとえば旅費、物件費の節減額が八十四億、こういうような形でタコ配当といいますか、自分の手足を切って自分の食べものに充てる、こういう方式をとらせております。昭和三十一年度の地方財政計画は、先ほど申しました通りでありまして、これが特に給与費に、はっきりと打ち出されておるのであります。給与費によりますと、三十年度の実態調査によりますと、小学校は一万七千九百七十円、中学校は一万八千七百四十一円であります。ところがこの実態調査による金額というものよりも、はるかに下回る是正本俸というものをきめました。小学校は一万五千九百四十六円、中学校は一万六千七百八十三円、その差は小学校において二千二十四円、中学校において千九百五十八円、これだけ一人づつ足りない。これは高給者を整理するか、全体の人員を縮めるか、とにかく総ワクを押えるという方式をとって参りました。ほとんど地方財政の赤字の解消というものを義務教育の職員に押しつけるというような方法をとっておるのであります。  それでは一体教育費の現状というものはどうなっておるかと申しますと、教員数におきましても、昭和三十一年度は、学級数が小学校で五千九百十九、中学校で千二百九十九増学級されておるにもかかわらず、人員は三十年度よりも減っております。増加児童数の教員の配当率を見ますると、昭和二十九年は、小学校が一・二二、中学校が一・四七でありましたものが、ことしは一と一であります。一人の教員に対する受持の学級児童数というものが、小学校六十六、中学校が八十三、計算にならないところの数字で、赤字財政をごまかしたバランスを作っておるのであります。こういうことでありましては、一体これからの教育財政というものは確保できるのか、確保できなくなるのか、こういう問題があります。現在は、教育委員会に財政権というものがありまして、もしも不当であれば、自分で予算を作って送付をいたしまして、たとえば福岡県のように、これは県会で争うこともできた。ところが、その財政権というものは全然、今度の教育委員会法によりますと、なくなってしまうわけでありますから、そうでなくても、中央の政策というものが、財政政策というものが、地方の特に義務教育職員なんかの給与に押しかぶさっておりますときに、それを今度は、がっちり受けとめるだけの組織というものが、教育委員会法によってなくなってしまったならば、これは全然教育費の、特に給与費の確保というものは望みがなくなるわけでございます。こういうものを一体なぜ認めるか。私は委員会におきましても文部大臣に質問をしました。文部大臣は、そういうふうになるということを暗々に認めて、これは一般の行政と教育行政が一つになるためには、教育委員会の性格そのものが後退するのもやむを得ないと、これが文部大臣の表現でございました。一体今度の教育委員会改正法というものは、教育を前に進めるために作ったのか、後退させるために作ったのか。一般行政の中に入れるということは、結局これは時の政府、時の与党、こういう政治支配のもとにそっくり入ってしまうという形になるのであります。(拍手)これが一体教育委員会法の改正として、教育を進める改正と言い得るか、こういう点を、私はあらためて文部大臣に伺いたいのであります。  さらに、これは総理大臣に伺いたいのでありますが、こういうふうに財政を地方に押しつけてきている。そのもとはどこであるかということを、これを総理大臣に反省してもらいたい。金がないのか、そうではないのであります。その前に、どんなに窮迫しているかという一つの例を総理大臣にお聞かせいたしたい。今、たとえば三月に一回、六月に一回と、学校の先生方の月給が上る時期がきまっております。ところが、昨年の四月に上るべきもので上らなかったものは二十府県であります。それが七月になりますと、ふえまして三十四であります。ほとんどの大多数というものが財源がなくて、時期が来ても、学校の先生方の俸給を上げられない、待遇も与えられないところに、優秀な人材が集まりまして、われわれ将来の子供を熱心に教育してくれるということは、望む方が無理なのでございますが、そういう傾向になりつつあるのであります。あなた方の方の財政というのは、一体困っているかといいますと、私は必ずしもそうは思われない。たとえば一般会計は、二十八年を一〇〇%といたしますと、三十一年でも一〇一%、一%しかふえておりません。ところが防衛庁費は一五七%なのです。防衛関係は五七%もふやす幅を持っております。一般の会計というものは一%しかふえない。こういうウエートの置き方というものを押し進めて参りましたときに、教育財政というものはどうなるか。たとえば本年度の使用内訳のパーセントを見ますと、防衛費が二二%、それから文教関係が一三%、地方財政が一七%でございまして、この一七%というのは、二二%に非常に近い数でございますから、指数でありますから競合をいたします。競合をいたしますと、だんだん片方の一%に対して五七%の、一対五十七という性格が、この文教費なり地方財政なりの方にぐんぐん食い込んで参りますから、この政策の根本というものを変えて行かなければ、教育財政というものは立って行かないのであります。あなたは、一体教育財政という立場だけから見ても、今度の教育委員会法で教育財政を豊かにして、優秀な教育の条件を作ろうというお考えをお持ちになったのか、ならなかったのか、わからないのであります。どっちなんです。その点を明快にしていただきたい。(拍手)  それからさらにひどいのは、いわゆる地方財政再建整備法と呼ばれておるところの法律ができましてから、がんじがらめに地方をからめている。これは先般の自治法の改正のときにおきましても、もう赤字団体、いわゆる再建団体の公務員の俸給は当分上げることはできないということを自治庁当局も明言しておる。上げることは上げます、それには人間を減らしなさい。税金をたくさん取りなさい。これでは税金を取らない限り、あるいは人間を減らさない限り俸給を上げられない。こういう劣悪な条件というものを、一体総理は御存じかどうか、こういう点を伺いたいのでございます。  教育財政権というものは、うんと豊かに与えておきませんでは、教育はなかなかできないのであります。その教育財政権を取るような……、今でも、教育財政権があっても、教育費に非常に支障を来たしますのに、これを取り去るような法律改正というものをお考えになるのは何のためだ。教育にプラスかマイナスか、マイナスだということを、もう一回ここでも繰り返さざるを得ないのであります。  第三の質問は、臨教審の審議のときに、総理がおいでになりまして、現在の憲法について、委員の質問にこう答えられました。現行の憲法は生きているものとして、そのもとにおいて、これに違反しないように自分も当然努めるのだ。これは総理としては当然さようでございましょう。そこで、さらに私は打ち割って伺いたいのでございますが、現行憲法というものを非常に御順奉されるわけでございますから、長い間の総理は民主主義の選手でもございますので、議会政治というものは当然御尊重される立場をおとりになると思います。そこで、民主主義者である総理は、議会政治家として長い間その一生を貫いて参りました総理は、きょうのこの状態を好ましい状態とお考えになられるかどうか。
  202. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 加瀬君、時間が過ぎました。
  203. 加瀬完

    ○加瀬完君(続) それから民主主義というものを推し進めて参りますためには、どうしても、院なら院のルール、国会なら国会のルール、あるいは国なら国の法律、こういうルールというものが確実に守られるということが非常に大切なことだと思いますが、総理は、たとえば院のルール、国会法などというものに対しては、どういうふうにお考えになっておられますか、この点を一つ伺いたいと思うのであります。(拍手)   〔国務大臣鳩山一郎君登壇拍手
  204. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) ただいまの御質問に対してお答えをいたします。  この法案は、わが国の教育の真の民主化に役立つものと私は思っております。すなわち次の時代の民主政治に役立つ人物を作りたいということを目的としておるものと思っております。なお、従来の教育委員会制度のうち、わが国の実情に沿わない点を是正することを、やはり一つの目的としておることは当然でございます。この法律案によって、教育が一党一派の不当な意思に服するようなことになるような御質問がありましたけれども、そういうようなことはございません。むしろその逆であると私は考えております。  教育費の増額についての御意見がありましたが、もちろん教育費の増額ということは望ましいことであります。これを豊富にすることについて努力はいたしたいと思いますけれども、国費について、すべての部分にわたってバランスをとって行かなくてはなりませんから、思うように教育費の増額ができない状態にあるのであります。  なお、いろいろの点についてルールを尊重する意思があるかということをおっしゃいましたが、もとよりルールは尊重するということ、つまりフェア・プレーで行きたいと私は思っております。(拍手)   〔国務大臣清瀬一郎君登壇拍手
  205. 清瀬一郎

    ○国務大臣(清瀬一郎君) 加瀬さんから私に数点の御質問を受けましたが、初めの方の、上司の命を受けたり何かする規定があるとおっしゃったのは、この指導主事のことだろうと思います。なるほどその指導主事については、上司の命を受けて、学校における教育課程、学習指導をするという規則は設けておりますが、これは指導主事というのは、教育委員会の職務権限に属することをやる事務局の職員でございますから、上司、すなわち委員会の命に服することは当然でございます。現在でも地方公務員として命に服していると思います。  それから教育長の承認でございます。地方の教育長を府県委員会で、府県の教育長を文部省で承認するのでありまするが、これは決して統制強化というようなことではなく、日本国全体の教育について一つ連絡をとるということ……(「それが統制じゃないか」と呼ぶ者あり)そうじゃございませんです。一定のまた水準を設けるということも、日本のような一民族一国家の国において必要なのであります。これをばらばらにして置くよりは、この方がいいだろう。  それから最後に、委員会の権限が後退したとおっしゃるのは、おそらくは、かの二本建制度を廃止したことを主としておっしゃるのだろうと思います。国によって二本建制度をとっているところも多々あることは、加瀬さんも御承知通りであります。わが国の地方公共団体を一体の、一つの団体としてそこで見る場合に、教育委員会だけが別途の予算を出すということは、理屈においても、はなはだおもしろくなく、過去数年の経験で非常におもしろくない結果が生じたのであります。しかしながら、今回は、公共団体の予算を作る時分に、あらかじめ委員会の意見を聞かなければならぬことになっているのです。こういうふうに、内部的に聞いて一体の予算をする方が非常にいいだろう。これは今回の委員会法で、むしろ手柄と思っているところでございます。(拍手)   〔国務大臣太田正孝君登壇拍手
  206. 太田正孝

    ○国務大臣(太田正孝君) お答え申し上げます。教育と地方財政との関係についての御質問でございました。  第一点につきましては、ただいま文部大臣からお話になりました通り、原案送付権は廃止されましたが、一般行財政との調和総合性をはかるためでございます。しかも地方財政における教育費は非常に重要なものでございますので、教育委員会の意見を聞いて予算を定めることになっております。第二点といたしまして、国の財政と教育費の関係は、総理大臣より申された通りでございます。  給与につきましては、実態調査を基礎として、国家公務員並みに取り扱うことに定めております。地方財政の赤字を教育費で埋める考えも計画もございません。国の財政のしわ寄せを教育費に及ぼすことはございません。(拍手
  207. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 相馬助治君に、五分間発言を許します。   〔相馬助治君登壇拍手
  208. 相馬助治

    ○相馬助治君 ただいま議事進行に関する発言許可を得ましたので、この際、議事進行に関する発言をいたします。  先ほど同僚天田勝正君より、成規の手続を経て、議員諸君が疲労こんぱい、はなはだしきゆえをもって、暫時休憩せよとの動議が提出され、不幸にしてこの動議は成立をみておりませんが、その後かなりの時間が経過いたしましたし、ちょうど時間も食事と相なっておりまするし、また皆様方の面に表われた表情からいたしましても、天田君の言う疲労こんぱいの情、はなはだしき姿がいよいよ濃くなっていると思います。  なおかつ、先ほど湯山君その他より指摘いたされましたように、本来自由なるべき質疑あるいは討論が、御承知のように、廊下においては多くの警官がたむろし、この警官の包囲のもとに行われていることは、まことにゆゆしい問題でございます。これを措置するためにも、議長は若干の手続の時間を必要とするものだろうと私は思量いたします。  従いまして、以上二つの理由により、議長職権をもって開かれたる本会議でございますがゆえに、その議長職権をいたずらに悪用することのみに限定して使うことなく、この際、これを善用いたしまして、勇敢に議長職権をもって暫時休憩せられまするように、この際、発言をいたしておきます。(拍手
  209. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 川村松助君外五名から、成規の賛成者を得て、質疑終局の動議が提出されております。  これより本動議の採決をいたします。本動議の表決は記名投票をもって行います。本動議賛成諸君白色票を、反対諸君青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  氏名点呼を行います。議場閉鎖を命じます。(「無視するんですか」「議長答えろ」と呼ぶ者あり)   〔議場閉鎖〕   〔参事氏名点呼〕   〔投票執行
  210. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 相馬君の発言議事進行のようでございます。従って、これを動議といったような扱い方には参らぬではないか、御注意としてお聞きをいたしておきたいと、さように御承諾願います。(「承諾するかしないか、あなた自身の返事を聞かしてくれ」と呼ぶ者あり)  お早く御投票を願います。(「まだ二十八時間あるわ」と呼ぶ者あり)すみやかに御投票を願います。(「国会運営のルールを乱しておいて、あなた責任をとりなさい」と呼ぶ者あり)すみやかに御投票を願います。  ただいま行われております投票につきまして(「反対々々」「早い早い」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)五分間に制限をいたします。(「たまには十分か二十分にしたらいい」と呼ぶ者あり)お早く御投票を願います。……お早く御投票を願います。(「警察を退去させろ」と呼ぶ者あり)お早く御投票を願います。……すみやかに御投票を願います。(「なぜ警察を解かないのだ」と呼ぶ者あり)  投票漏れはございませんか。……投票漏れないと認めます。  これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。   〔議場開鎖〕    〔「休憩に反対して、退席すると    は何事だ」と呼ぶ者あり〕   〔参事投票を計算〕
  211. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数 百四十四票   白色票    百四票   青色票    四十票 よって質疑は終局することに決しました。      —————・—————   〔参照〕  賛成者白色票)氏名      百四名       上林 忠次君    河井 彌八君       赤木 正雄君    森田 義衞君       村上 義一君    溝口 三郎君       三浦 辰雄君    廣瀬 久忠君       早川 愼一君    野田 俊作君       中山 福藏君    豊田 雅孝君       土田國太郎君    田村 文吉君       高橋 道男君    高木 正夫君       杉山 昌作君    島村 軍次君       河野 謙三君    小林 武治君       後藤 文夫君    武藤 常介君       大谷 瑩潤君    白波瀬米吉君       伊能 芳雄君    小沢久太郎君       青柳 秀夫君    佐藤清一郎君       有馬 英二君    滝井治三郎君       関根 久藏君    吉田 萬次君       白川 一雄君    菊田 七平君       田中 啓一君    上原 正吉君       大矢半次郎君    藤野 繁雄君       木島 虎藏君    一松 政二君       植竹 春彦君    三浦 義男君       左藤 義詮君    館  哲二君       石原幹市郎君    中川 以良君       中山 壽彦君    池田宇右衞門君       鶴見 祐輔君    青木 一男君       野村吉三郎君    苫米地義三君       斎藤  昇君    佐野  廣君       小幡 治和君    宮澤 喜一君       大谷 贇雄君    石井  桂君       雨森 常夫君    西川弥平治君       白井  勇君    横山 フク君       高橋  衛君    深川タマヱ君       長島 銀藏君    最上 英子君       寺本 廣作君    青山 正一君       紅露 みつ君    石川 榮一君       石村 幸作君    剱木 亨弘君       加藤 武徳君    高野 一夫君       横川 信夫君    松岡 平市君       鈴木 強平君    野本 品吉君       平井 太郎君    川村 松助君       堀末  治君    西郷吉之助君       堀木 鎌三君    郡  祐一君       遠藤 柳作君    吉野 信次君       笹森 順造君    黒川 武雄君       小林 英三君    一松 定吉君       木村篤太郎君    石坂 豊一君       三木與吉郎君    新谷寅三郎君       井村 徳二君    重政 庸徳君       安井  謙君    川口爲之助君       木内 四郎君    古池 信三君       岩沢 忠恭君    小野 義夫君       井上 知治君    草葉 隆圓君     —————————————  反対者(青色票)氏名      四十名       久保  等君    加藤シヅエ君       岡  三郎君    海野 三朗君       河合 義一君    田中  一君       永井純一郎君    上條 愛一君       東   隆君    荒木正三郎君       三橋八次郎君    平林  剛君       内村 清次君    赤松 常子君       山下 義信君    木下 源吾君       相馬 助治君    市川 房枝君       須藤 五郎君    木村禧八郎君       鈴木  一君    千田  正君       矢嶋 三義君    片岡 文重君       小林 亦治君    小松 正雄君       吉田 法晴君    大和 与一君       加瀬  完君    田畑 金光君       永岡 光治君    阿具根 登君       松浦 清一君    棚橋 小虎君       曾禰  益君    松澤 兼人君       中田 吉雄君    森下 政一君       小酒井義男君    戸叶  武君    ————————
  212. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) なお、先ほど相馬助治君からの議事進行発言につきまして、私から返事をせよとのお言葉でありますが、それは、相馬君の議事進行の御発言を皆さんがお聞きになって、おのおの皆さんで、それに対してお考えをお持ちになる方がよかろうかと存じます。(「何を言ってるか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)  両案に対し討論の通告がございます。順次発言を許します。(「どうきめるのだ」「休憩すると言っておったじゃないか」と呼ぶ者あり)  それでは、相馬君の御発言に対しましてお諮りをいたしましょう。(「賛成」と呼ぶ者あり)相馬君の御主張のように、休憩することに御賛成の方の挙手を……。(「採決々々」と呼ぶ者あり)   〔賛成者挙手〕
  213. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 少数のようでございます。(「無効だ、無効だ」「採決しろ」「休憩」と呼ぶ者あり)  相馬君のお言葉がはっきり私に納得ができませんが、私において、これを特に正式にお取り計らいするものではないように聞いております。  本案に対し討論の通告がございます。順次許可をいたします。   〔相馬助治君「議長、諮って下さい」と述ぶ、「諮ったじゃないか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕
  214. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) それでは、すべて白紙に返しまして、相馬君からの御意見をお諮りいたします。(「諮れ、早く諮りなさい」と呼ぶ者あり)  相馬君の御趣旨はよくわかりました。議長において適当に取り計らうようにいたしたいと思います。(「適当とは何だ、適当とは」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)  両案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。矢嶋三義君。(「休憩に反対しながら、食堂に行くとは何事だ」「時計を見ろ、時計を」「矢嶋君、早くやれ」「議長進行」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)今相談しておりますから、少しお待ち下ざい。(「議長しっかり」と呼ぶ者あり)  矢嶋君、御登壇をお願いいたします。矢嶋君、御登壇を願います。矢嶋君、御登壇を願います。(「議長、全員を議場に入れて、議場閉鎖しろ」と呼ぶ者あり)   〔矢嶋三義君登壇拍手
  215. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となっておりまする地方教育行政の組織及び運営に関する法律案ほか一件につきまして、かたい反対の意を表明し、その討論を行わんとするものであります。(拍手)  日本全国に大きな世論を巻き起しましたこの重要な法律案が、わずか十分間程度の討論しか許されないということを非常に私は遺憾に思います。(拍手)願わくは、議長におかれましては、討論の時間について、しかるべくお取り計らいを願いたいことを、まずもってお願い申し上げておく次第でございます。  私は、討論の本論に入る前に、今、私が置かれておりますところの環境について一言所見を述べたいと思います。そのことは、その原因、経過はともかくといたしまして、日本の現代並びに、将来の子供に非常に影響のあるこの教育関係法律案、しかも国家百年の大計の基となるところの教育に関するところの法律案が、議長初め同僚諸君の疲労、混乱の中に審議されることにつきまして、その原因、経過は他日お互いに究明し、反省すべき点は反省し、全国民の期待に沿うところのわが愛する参議院の建設をはからなければなりませんが、ともかくこういう事態において、法案審議しなければならないということについて、私は本院の構成員の一人としまして、この壇上を通じて深甚なる遺憾の意を国民に表するものでございます。(拍手)  まず私は、総理もお見えになっておりまするから、訴えたいのでございまするが、松野議長は、私と同じ郷土、熊本の出身でございます。その人となりは私はよく知っておりまするが、しかし本日、副議長不信任案が上程され、その仮議長選挙が行われておるときに、突如として本議場に現われて、一事不再議の原則に基いて云々という理由をもって、直ちにこれを却下された点とか、あるいはわが党の議運理事を通じて正式に事務総長を通じ、松野議長の手元に議長不信任案が渡されておったにもかかわらず、これを一方的に無視破棄されて、そうして他の案件を取り扱われた、かような議事運営については絶対に納得することができません。  さらに、私はわが党を代表いたしまして、最近の清瀬文教政策について、さらには清瀬文部大臣の国会におけるところの答弁の内容並びにその態度について、問責に値するものがあるのゆえをもって、わが党の党議の決定に基いて、問責決議案を本会議に上程すべく成規の手続をとりました。しかるに議院運営委員会においては、与党の諸君が多数を占めているわけでございまするが、この問責決議案教育法案上程の前に上程することを拒否されました。諸君、まじめにお考えいただきたい。われわれ第二院は、内閣の不信任案、あるいは一国務大臣の不信任案の上程はできないでございましょう。しかしながら、われわれは国務大臣の問責決議をするところの権利は持っております。私は、たとえて言えば、運輸大臣の問責をやろうとしたのではないのです。この法律案提案の当面の責任者であるところの、その清瀬文部大臣の問責決議案を提案すべく要求した以上は、諸君、この法案審議の前に、当然その問責決議案は、本会議場において上程さるべきものと私は確信いたす次第でございます。(拍手諸君、私は今、私の置かれているところの環境ということを申し上げましたが、総理にお伺いいたしたい。あなたは人の親でございます。同僚諸君も人の父であり、母であり、さらに祖父母でございましょう。私自身四人の子供の父でございます。お互いのかわいい子供、孫の教育のためにお互いが真剣でございます。この教育の問題が、ともかくも参議院において初めて警察官が本議場にまで導入されるに至った事柄と、そうしてある時期に若干の混乱があったことは私も認めますが、しかし、ある段階からきわめて平穏となって、議事は進められております。しかるに諸君、この本会議場を取り巻くところのこの警官の数はいかがでございますか。警察官は絶対に必要ございません。かような状況下において本法案審議されるということについて、鳩山総裁としては十分に反省していただきたいと要求をいたすものでございます。(拍手)願わくば、すみやかに国会から警察官を撤去さしていただきたいことを要求いたしておきます。  次に、私は論を進めまするが、先刻、加賀山委員長の解任決議案が出ました。私は、加賀山委員長とともどもに本法案審議して参りましたが、相当発言も許されて、この点は感謝をいたしておりまするが、しかし加賀山委員長、一言お聞き願いたい。この二つの法案審議というものは、逐条審議をすることによって、初めてこの法案の内容、性格が明確となり、この法案成立後の運用の全きを期することができると思うのでございます。委員長御承知のように、本法案は、六十一カ条と付則二十五条から成っております。整理法案は、二十条と付則九項からなっております。御承知のように、衆議院においては、失礼ながら、他院のことをとやかく申したくありませんが、失礼ながら、わずか七条まで逐条審議をしただけで、一般に政治論が多く、実質的審議はされていませんでした。従って、わが参議院は、実質審議を十分しなければならないのに、わずか九条までしか審議は行われなかったわけでありまして、この点は、委員長としても責任を感じておられるだろうと思います。私は加賀山委員長とは、かつて議運の理事もともにやりました。その当時の加賀山議運理事と、文教委員長になられた加賀山委員長とには、相当の変化を発見せざるを得なかったことを非常に遺憾に存じております。たとえば、私も理事会に出ましたが、その際にあなたは、社会党の湯山理事と自民党の吉田理事、あるいは有馬理事に議論をさして、そうしてあなたが中に入って仲裁されるならばいいのでありますが、湯山理事と加賀山委員長が盛んに議論されて、そうして与党の理事が沈黙しているという場面が非常に多かったことは、私は非常におかしいと思っております。  さらに、公聴会開会日決定の際のごとく、たとえ与党の諸君がその開会日を社会党に対して譲られても、委員長として、絶対にかようなことは容認できないというような発言をされましたが、かようなことについては、本日、解任決議案が否決されましたので、私はあす任期満了でこの参議院を去りますが、加賀山委員長は、わが国の文教に関連のある本院の文教委員長として、今後在職されるわけでございますから、私は特にその点、御反省をお願い申し上げておく次第でございます。  私は、六カ年間、文教委員として諸君とおつき合いさしていただきましたが、緑風会は確かに文教問題については良識を持っておられました。かつては堀越委員長あるいは梅原委員長、飯島委員長等は、われわれ社会党、民主党、自由党、これらの文教に関するところの意見を適当に調整されて、参議院の良識をもって、参議院文教委員会は、ずいぶんと第二院の委員会として成果をあげてきたことを想起する次第でございます。本日、かくのごとき混乱のもとに、この重要な教育関係二法案審議されなければならないというこの事態は、すべてあなた方の責任とは申し上げませんけれども、現在の緑風会のあり方と、それから加賀山委員長の態度が相当影響したことを、ここに私は申し上げておかなければならないと思うものでございます。  いよいよこれから本論に入りまするが、それは、審議不十分のまま中間報告という形をもって、これほど重要なる法律案が衆参を通じて成立しなければならないという、このことでございます。まず私が申し上げたい点は、先刻荒木議員からもお話があっておりましたが、この国会に、この法案反対請願は、私の計算では、七百三十万人の署名のもとに出されておるのでございます、ところが、文教委員会審議してみまするというと、この法案を通してほしいという請願は、自民党の諸君承知通り、一件もなかったのでございます。署名者一人もなかったのでございます。この数字から見ましても、いかにこの法案国民がいかなる関心を持っておったかということがわかると思うのでございまするが、その重要な法律案が、衆参を通じて十分の逐条審議がなされることなく、中間報告という形をもって成立するということは、日本教育のためにまことに嘆かわしく、悲劇と言わざるを得ないと思う次第でございます。さらに、中間報告の形態をとったがために、先刻来、他の発言者からも出ましたところの林公述人に対する文部省官僚の関与、それから清瀬文部大臣が衆参の文教委員会を通じて虚偽の答弁をしたということと、そうして行政府の長が立法府におけるところの公述人の公述内容を変えさせるというところの意思をもって行動し、それに成功して、しかもその人に、ありがとうと言った。このことは、行政府と立法府のあり方という点から、絶対に私は看過することはできないことだと思うのでございます。諸君政府の提出した法律案賛成の公述をした人に、やあ御苦労でしたということはあり得ましょう。しかし、松澤公述人は徹底した百パーセントの反対の公述をなさったのでございます。その人のところにわざわざ行って、ありがとうと言ったということは、先刻来話が出ておりましたから、詳細に申し上げませんけれども、文部大臣のあの不謹慎な言葉を、公聴会で言ってもらいたくないというので、公聴会の開かれる前に、松澤公述人のそばに行って、言ってくれるなと頼んだのであります。その言葉に松澤公述人は動かされて、その発言をすることができなかったのでありますが、それに対してお礼を言って、しかも清瀬文部大臣は、その後の参議院文教委員会に参りまして、どうだ、衆議院のあの速記録を見てごらん、松澤公述人は何もしゃべっていないじゃないかと、かような逆襲的答弁をされたのでございまするが、その後、松澤公述人が意を決して、参議院文教委員会の参考人として出席されまして、そういう事実があったことを明白にされたのでございます。この問題が立法府と行政府の関係において処理解決されることなく、この法律案を私ども議了しなければならないことを、まことに遺憾に存ずるものでございます。  私は、これから討論を本法案の中核に進めたいと思いまするが、第一点として申し上げたい点は、法律案の提案経過でございます。諸君、御承知のように、平和条約が成立して、日本が独立後、日本教育制度を根本的に検討するという立場から、中央教育審議会が設けられ、現在、元文部大臣天野先生が会長でございまするが、この中央教育審議会に諮ることなく、独善的にこの法案が提案されたということは、第一に指摘しなければなりません。何がゆえに中央教育審議会に諮らなかったかと申しまするというと、今の中央教育審議会の構成委員は、現在の教育委員会制度を根本的に改悪することに反対でございます。たとえば、問題になっておりまするところの教育委員の公選制をやめるということについては、去る昭和二十八年に、適当でないという答申をしているのでございます。そこで、政府は中央教育審議会に諮問するというと、政府の期待するような答申がなされないという立場から、中央教育審議会に諮ることなく、一方的にこの法案を提出して参ったということでございます。  第二点として指摘しなければならないことは、現行教育委員会制度が、教育の自主性と民主化と地方分権を標榜して出発いたした次第でございまするが、教育の民主化が逆転するということでございます。この点については、ずいぶんと、文教委員会、あるいは本日この壇上から鳩山総理並びに清瀬文部大臣が答弁されておりますが、何と答弁されようとも、諸君、公選制をやめて、そうして地方公共団体の首長の任命制にしたならば、現在日本の民主化の程度と、民主主義の理念と、その実践の程度におきましては、必ずや教育の民主化というもめは阻害されて参けます。(拍手)現在の教育委員会制度が完璧だとは申しません。しかし諸君、都道府県教育委員会昭和二十三年に発足し、市町村教育委員会昭和二十七年に発足したばかりであります。それ以来、全国の教育委員諸君は懸命に日本教育の進展に努力されて参りました。この功績は大いに認めなければなりません。教育のことは国家百年の基をなすものでございます。決して朝令暮改であってはならないのであります。戦後の教育は、子供のお父さんお母さんに直接結びついて、非常に親しみを持って参ったのであります。うちの村の学校、町の学校と、教育ほんとうに、父兄、子供と密接に結びついて、いわゆる国民の、国民による、国民のための民主教育というものがつちかわれて参ったわけでございまするが、このたびの法案によりまするというと、諸君、たとえば甲なる町の教育委員はその町の住民でなくてもよろしいのです。鹿児島の教育委員を、北海道から、あるいは東北から持って来てもよろしい形に相なっているわけでございまして、かように公選制が任命制に改められたということは、教育の自主性と、その民主化とが逆転する点において、断固として反対せざるを得ないのでございます。(拍手)  第三点として申し上げたい点は、この法律案が出て参りました背景でございます。この点について、いろいろと所説をなす人がございまするが、現在のわが国の政治経済というものが、憲法改悪、再軍備の大きな方向を指向していることは、絶対に間違いがございません。(拍手)こういう立場から、この法案が、教育の国家統制、中央集権、官僚支配の野望を底意にはっきりと持っておるという点において、教育の民主化、教育の地方分権を阻害する点において、これまた断固反対せざるを得ないのでございます。(拍手
  216. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 時間が参りました。
  217. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君(続) 具体的に申しますならば、教育長の都道府県任命に文部大臣の承認を要するとか、あるいは文部大臣の措置要求権、あるいは文部大臣が、都道府県教育委員会、市町村教育委員会を指揮監督できるとか、さらに先ほどお話が出ましたように、指導主事が今までは教師の相談役であったのに、今度上司の命を受けて指揮監督ができるようになったという点等が、教育中央集権をもたらし、ひいては思想、言論の自由をおびやかすおそれが十分にあるのでございます。  諸君、私の所論が暴論だと自民党の諸君は考えられておるかもしれませんが、ちょっとお考え下さい。文部大臣がおられますが、この人は自民党に所属される方です。みずから自民党の小使だと清瀬さんは言われております。その文部大臣の承認を要するところの都道府県教育長のやることが気にくわない場合には、文部大臣は措置要求ができます。指揮監督もできます。そうしてこの教育長を監督するところの教育委員は任命制でございます。しかもこの都道府県教育委員会は、従来と違って、市町村教育委員会を指揮監督することができます。しかも文部大臣は、都道府県教育委員会を飛び越えて、市町村教育委員会を直接指揮監督することができるのでございます。さらに、文部省は学習指導要領、教科課程を制定するのであります。さらに、教科書法案審議未了になるようでございまするが、この法案において、教科書の検定権を強化して参ります。これらの要素がそろうならば、もし矢嶋を文部大臣にしたならば、私は絶対やりませんが、やろうと決意するならば、日本全国の学校教育、社会教育を自分の思う通りに動かすことができると思うのであります。かかるがゆえにこそ、全国の子供のお父さんお母さん、教育者、さらに青年、婦人、学生、さらに東大矢内原総長を筆頭とするところの全国の総長、学長、有識者が、断固として立ち上っている次第でございます。(拍手
  218. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 時間が参りました。(「まとまりがつくまでやれ」と呼ぶ者あり)
  219. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君(続) 大へん議長から催促されておりまするから急ぎます。  次に、先刻申し上げた点と若干関係がございまするが、この法案の三十三条によって、教材を届け出なければならないという点でございます。この点については、先刻秋山議員からも指摘されておりましたけれども、この法案賛成されるどなたも、この点については反対をいたしております。私のところには、日本放送協会その他あらゆる機関から、かような教材届出制が厳重に行われた場合においては、日本の学校教育、特に社会教育というものは窒息してしまう、かように意見が開陳されて参っている次第でございまして、ある段階には、緑風会におかれましても、ぜひともこれは修正しなければ、いわゆる民主教育というものは滅びてしまう、かような見解を表明されておったわけでございますが、自民党の諸君の強引なるこの法案の通過作戦のために、かような修正すらできなかったということは、まことに遺憾千万であります。
  220. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 矢嶋君、時間が大へん経過いたしました。
  221. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君(続) 第五点として申し上げたい点は、この法案の立案過程において、さらに審議過程において、世論が無視されたということを指摘しなければなりません。私は冒頭に申し上げましたように、中央教育審議会に諮ることなく、さらに東大矢内原総長以下、日本全国の総長、学長、有識者の本法案に対するところの警告を、文部省並びに与党はあざけり笑い、何らの反省がなく、これに耳を傾けることなく、ただこの法案を一日も早く通過さすことにのみ狂奔したことを、大いにここで力説し、それを追及しておかなければならないと思います。(拍手)  諸君、この数日間、確かに私並びにわが日本社会党は、自民党の多数の暴力と、その背後にあるところの警察権によってじゅうりんせられました。本法案の採決に負けることになりました。しかし、諸君、われわれは他日、いつの日か、必ずや日本の民主教育を守るために再起することをかたくお誓い申し上げ、諸君に覚悟を促がしておきたいと思います。諸君……。(「議長、時間々々」と呼ぶ者あり)
  222. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 時間が経過いたしました。(「よろしい、よろしい」と呼ぶ者あり)
  223. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君(続) 小選挙区制法案並びに本法案は、自民党の永久政権企図のもとに提案されたものであり、再軍備政策を強行するために、日本教育を政略の具に供そうとするその角度から、この教育法案か出てきているわけでございまして……。
  224. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 矢嶋君、非常に時間が経過いたしました。
  225. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君(続) 日本の民主教育を守り、日本の独立と平和を守り、民主日本の輝かしい建設をはかるために、私は日本社会党を代表して、断固この法律案反対を表明する次第でございます。  これをもって討論を終ります。(拍手)   —————————————
  226. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 吉田萬次君。   〔吉田萬次君登壇拍手
  227. 吉田萬次

    ○吉田萬次君 私は自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました地方教育行政の組織及び運営に関する法律案並びに地方教育行政の組織及び運営に関する法律施行に伴う関係法律の整理に関する法律案に対して、賛成の意を表せんとするものであります。  この法律案の主眼とするところは、一つは、地方公共団体における教育行政と一般行政との調和を進めるとともに、教育の政治的中立と教育行政の安定を確保することであります。これがため、教育委員の公選制を廃止して任命制とし、また予算案、条例案の原案送付権を廃止することといたしております。  法案の要点の第二は、国、都道府県、市町村、一体としての教育行政制度を樹立しようとするところにあるのであります。これがため、小中学校の教育職員の人事権を都道府県の教育委員会に移すこととし、また、教育長の任命について、文部大臣あるいは都道府県教育委員会の承認を要することとし、さらに教育委員や地方公共団体の長の行う教育行政に法令違反等の事由がある場合、文部大臣がこれに対して是正の措置を要求し得ること等の改善策を講じております。これらの措置に対しては、これは教育におけるところの民主主義の放棄であるとか、あるいは教育に対する政治権力の支配を不当にしいるものであるとか、あるいは教育の政治的中立がそこなわれるとか、いろいろな反対論がございます。しかしながら、これらの措置は、占領下、早急に設けられた教育委員会制度が、わが国の実情に合致しない面を是正し、民主主義の原則をあくまでも厳守しつつ、教育行政の円滑な運営、ひいては教育の振興をはかろうとするものでありまして、反対論は、事態を誇張したものであるか、あるいは牽強附会の説にすぎないと思うのであります。  両法律案は、わが国教育行政の現状より見まして、きわめて時宜に適した措置であるとして賛成の意を表するのであります。  さらにここに私は、先ほど矢嶋氏が、民主自由党の方面には、陳情、請願一つもないというようなことを言われました。また社会党の方には、陳情、請願というものが七百二十万から出ているというようなことを言われましたけれども、今日の情勢におきまして、地方の市町村長あるいは地方の議会の議長という者、その他議員諸君が一丸となって、この法案の成立を期待しておるということは、よく皆さん御了承願えると思うのであります。今日各府県におきましては、市町村の、あるいは議会の議長、あるいはその他の諸君が、一県において四、五名ずつ東京に集まり、さらに集団的に一万五千の集合をして、一大センセーションを起すだけの力を持っておるということ、発揮しておるということは、本法律案がいかに重大であり、いかに地方の諸君が熱望しておるかということを明らかに表わしておるところの証拠であると思うのであります。私はさような意味におきまして、本案に賛成するものであります。(拍手)   —————————————
  228. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 秋山長造君。   〔秋山長造君登壇拍手
  229. 秋山長造

    ○秋山長造君 私は、先ほどの湯山君の質問に対する鳩山総理の御答弁を聞いておりまして、つい十数年昔の学生時代のことを思い出したのであります。ちょうど昭和十三、四年のころ、私がまだ学生であったのですが、そのころ鳩山さんはヨーロッパを漫遊して帰られて、私の学校へやって来て、そして「欧米をめぐりて」という講演をなさったのであります。そのときの鳩山さんは、全くファッショかぶれの一点張りで、ヒトラー、ムソリーニを大いに口をきわめて賛美された。そして、今日議会政治の祖国として大いに推賞されておるイギリスのごときは、そのときの鳩山さんの講演の中では、もはや老大国でとるに足らない、あんなものはもう、今後の世界はドイツとイタリア、ムソリーニとヒトラー以外にはないのだと、これは大いにやられた。そして特に、ムソリーニがドイツへ行けばドイツ語で演説をする、フランスへ行けばフランス語で演説する、まことに偉大なもんだということを、大いに口をきわめて強調されたことを、私は今はっきり覚えておる。だから私の頭にある政治家鳩山さんは、これはファッショの親玉だと思っておった。ところがです、ところが終戦後、日本自由党を結成され、そうして昭和二十一年三月六日、今日の日本憲法草案要綱が幣原内閣の手によって発表されたときに、当時、日本自由党の総裁であった鳩山さんは、自由党総裁の談話を発表されて、そうしてこの憲法改正草案要綱を全面的に支持する、全面的に支持するばかりではなしに、発表された憲法草案要綱というものは、これは、これこそわが日本自由党が昨年来、というのは、昭和二十年のことです。昨年来、練りに練ってきて掲げておったところの根本原則とそっくり一致する、まるで幣原内閣が発表したあの憲法改正の草案は、おれが作っておったのを盗んで発表したと言わんばかりの総裁の声明を発表された。これも私は今もはっきり覚えている。  一字一句違わぬくらいに覚えております。そこで、これは鳩山さんは、全くこれはもう敗戦とともに生れ変って、ほんとうにもう心髄からの自由主義政治家、議会政治家、民主主義政治家になられたと思って、はるかに敬意を表しておった。ところが、だんだんと五年たち、十年たちしている間に、やっぱりまた昔の生地が出て参られたとみえまして、当時それほど口をきわめて賛美されたところの日本憲法を、今日では、あの憲法改正の歌という、あの愛国行進曲もどきの歌を、まるで讃美歌か何かを歌うように、随喜の涙を流して歌っておられる。(拍手)これを見ておりまして、私はやはり鳩山さんはファッショじゃないかという気持がするんです、はなはだ失礼ですけれども。特にきのう、きょう、国会内外に数千名の警察力を動員して、そしてわれわれを無言の圧力をもって脅迫せられておるこの態度は、全くこれはファッショそのものです。(拍手)私は、この点は鳩山総理大臣が政治家として晩節を汚すものだと思う。どうか鳩山さん、すなおにこの事態を反省されて、直ちにこの警察力の重囲をどうぞ解いていただきたい。どうしてもそれを解かれないとするならば、私どもはその裏を考えざるを得ない。つまり国会の中は全く平穏無事で何もないにもかかわらず、あのように多数の警察力を動員して、何となく国会かいわいが、ものものしい雰囲気に包まれることによって、地方から上京して出入りするところの陳情者その他が見て、なるほど、これは新聞に書いてある通り大へんだと、これは社会党はおそろしいという感じを持って帰らせることが、やがて訪れるであろう参議院選挙の一番いい手だと考えておられる。まことにこれは大政党として、さもしい限りの私は態度であると思う。いずれにしても、こういうことは一刻もすみやかにやめていただきたい。そしてこういう雰囲気の中で審議されておるところのこの法案が、りっぱな法案であろうはずはございません。また憲法改正の歌を、あの音羽御殿で随喜の涙を流して歌っておられるのが鳩山総理大臣、そしてあの帝国ホテルの隣の東宝劇場で、ミーちゃん、ハーちゃんを何千人と集めて、そうして女優を大ぜい動員して、そしてそれで人を引きつけて憲法改正の歌をうたわせて、そうしてそれを傍聴されて、また老いの目に涙を浮かべて喜んでおられるのが清瀬文部大臣。(笑声、拍手)だから大体この法案というものの、よってもって立っておるところの雰囲気というものはわかります。これはもう論議する必要はない。これは逆コースではないと言っても、明らかに逆コースです。はっきりとしておる。  私どもは、最近いわゆる戦争責任者なる方々の言動に接する機会が非常にふえて参り、国会内外にもすいぶんそういう方々がおいでになります。いい悪いを言っているのじゃありません。いわゆる戦争責任者と言われておる方方が、国会内外にもだんだんふえてきておる。そうしてそういう人たちの言ったり、したりしておられることをずっと見ておりまして、一貫して流れておる態度考え方というものは何かといいますと、一番苦々しく思うことは、あれだけ日本の国に大きな犠牲をこうむらせた、何百万という国民を殺したあの戦争に対して、かけ声はかけておきながら、あの戦争に対する反省の言葉が一言もないということ、あの戦争に対する責任感というものが、これがもうみじんも感ぜられないということなんです。しかもそれらの人たちの口からは、敗戦ということに対するくやしみの言葉こそ出ますけれども、しかし、あの戦争の犠牲になった多数の同胞に対する、ほんとうに腹の底からの同情と、そうして謝罪の言葉というものは一言も出ない。出ないばかりじゃございません。最近はこの逆コースの空気に便乗して、まるで国民の犠牲になっておれが一人巣鴨に行ってきてやったと言わぬばかりの顔をしておる。こういう無反省な空気がとうとうとして流れておりまするから、だから巣鴨から出てきた人たちは、まるで大ぶろしきの吹きっぱなしです。去る四月十四日、十五日、二日連続して、文化放送のあの録音特集を聞かれた皆さんがおいでになるでございましょうが、全くこれは大ぼらの吹きちらかしです。一言半句の国民に対するおわびの言葉もないのです。戦争に対する一言半句の反省の言葉もない。私は、戦後のわが国の教育というものは、わが国の教育制度というものは、何と申しましても、あの大戦争に対する深刻な反省から出発しておると思う。かつて、鳩山総理、あなたが文部大臣をやっておられたころの、かつての戦前の日本教育というものは、これはもう全く今とは打って変った、これはもう国家統制一点張りの教育、明治初年以来、義務教育というものはすでに文部官僚が握っておった。これは御承知通りです。従いまして、日本教育は、日本の軍国主義を育てるところの有力な推進力、そうして日本の軍国主義を育て、そうしてこれをささえ、そしてついにはあの敗戦に持って行ったところの、誤まれる戦争に持って行ったところの最大の柱の一つだったと思う。この事実に対する深刻なる反省から出発するのでなければ、今日の日本教育のあり方、教育制度のあり方というものは、とうてい理解はつかない。(拍手)でございますから、私が先ほど、鳩山総理大臣の御言動なり清瀬文部大臣の御言動なりを、特に失礼を顧みず引用いたしましたのは、やはりこれが戦争というものに対する反省の気持が薄れているということを申し上げたい。すべてはそこから出発しておるのです。憲法改正の歌だってそうですよ。あの歌を読んでごらんなさい。あれは戦争中の大東亜行進曲と同じです。そこから出発しておりまするから、この法律案は、まことにこれはおそるべき法律案であるということを言わざるを得ない。(「議長、時間々々」と呼ぶ者あり、拍手)  そこで、私はこの法律案の具体的な内容について二、三意見を申し上げたいと思う。その前に、ただいま議題になっておる法律案は二つあります。本法の方と、そして整理法の方と二つある。ところが、この整理法の方は二十何カ条ございますけれども、これはもう一字一句も委員会審議をやっておりません。従いまして、一字一句も委員会審議をやっておらないような法案賛成できるはずはございません。これはもう論外です。(拍手)  それから、先ほど加賀山委員長の中間報告に対する質疑の中で言及しましたように、この本法の方も、第九条までしか逐条審議はやっておりません。やっておりませんけれども、しかし総括質問、一般質問の中で、あっちこっちかすって通っておりますから、この方は付属法令と違いまして、全然やってないということは言えない。しかしこれも逐条的に厳密に、いわゆる慎重審議という建前から言いますならば、ほんの一部しか触れていないことは事実です。従いまして、これまた、とうていこれを手つかずで通してしまうということは、これはもうお義理にもできない。これは与党の方だって、参議院の方だって同じお気持だろうと思う。ただ与党や参議院の方は、今は党派的な気持が先に立っておられるから、何でもかんでも、悪い点があろうとなかろうと、とにかく社会党が反対するものはみな通してしまえという気持で通しておる。それだけの話です。それが証拠には、あなた方は緑風会と一緒に修正案についての話し合いを行われたでしょう。修正案について話し合いを行うということは、とりもなおさず、この原案に対して十分な自信を持っておられないという証拠なんです。(拍手)  この公選の問題についても、単に公選をやめて任命にするという以上に深い意味がある。今日までの公選制度というものは、あるいは多少の欠陥はあるかもしれん、あるかもしれんけれども、少くとも子供の教育に対して最大の責任を持つところの親、父母というものの意思によって教育行政をやって行くという機会が、この公選制によって保障されておったのです。ところが今度のように任命制にしてしまったら、もはや、ほかの点では、あるいは文部大臣のおっしゃるような、いい点があるかもしれませんけれども、かりにあるとしても、子を持つ親の気持というものを、教育行政の上に、じかに生かしていく保障はないんです。つながりはないんです。この点が私は重大だと思う。この点を清瀬文部大臣にただしたところが……。
  230. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 秋山君、時間が参りました。
  231. 秋山長造

    ○秋山長造君(続) もうすぐ終ります。清瀬文部大臣は、いや、それはつながりがないことはない、教育委員がどうしても気にいらない場合は、この新しい法律によってリコールができるじゃないか、こうおっしゃった。それはリコールというつながりは、これはきわめて消極的なつながりです。りコール以外に父母とつながらないような教育行政が、ほんとうにこれが民主的な教育行政と言えるでしょうか。(拍手)  さらに、先ほど矢嶋議員からお話のありました教育長の任命の問題にしてもそうです。町村の教育長をなぜ県が承認権を持つんですか、県の教育長の任命に、なぜ文部大臣が承認権を持たねばならぬのですか。これは単なる連絡調整を密にするということ母上に深い意味がある。今日の地方財政が非常に困っていることは、皆さんも御承知通りです。教育財政において特にしかりです。そこで地方においては、もう文部省に頭が上らないんです。これは義務教育費国庫負担法によって、教職員の給与の半額は文部省からもらわなければならぬ、あるいは老朽校舎の復興にしても、あるいは六三制の校舎建築にしても、細大漏らさず、すべて文部省の御厄介にならなければいかぬ。そこで、どうしても地方の教育委員会において使うところの教育長というものは、何らかの手づるでもって文部省につながった人がほしいのです。そこで結局は、法律には、府県の教育委員会が文部大臣の承認を得て任命するということになっておるけれども、その実質は、文部大臣が府県の教育委員会に協議をして任命するという形になってくるのです。これはもう理の当然なんです。これがおそろしいのです。そのようにして、県の教育長は文部大臣の息がかかる、市町村の教育長は県の教育委員会の息がかかる、上からずっとつながってくる。そうして一番大もとを握っておる文部大臣というものは、おれは自民党の小使だという人が文部大臣になっておるのです。これで政治的中立が守れますか、皆さん。教育行政が文部大臣の政党色によって、一方的に色づけられるということは、これは火を見るよりも明らかです。これをもし政治的中立が確保されるというのなら、これはもう全く三百代言的の牽強附会のごまかしです。さらにまた、先ほどの教材の問題にしても、さらにまた、五十二条に書いてある文部大臣の措置要求権にしても、これはきわめて漠然とした自由裁量権を文部大臣に与えて、そうしてこれを伝家の宝刀として、そうして地方教育委員会を一手に握って、そうしてあわよくば、国のにらみ、権力のにらみをきかすことによって、日本教育行政というものを、再び戦前の姿に引き戻そうという陰謀です。  このような意味において、私どもは絶対に反対をいたします。(拍手)   —————————————
  232. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 高橋道男君。   〔高橋道男君登壇拍手
  233. 高橋道男

    ○高橋道男君 私は緑風会を代表いたしまして、ただいま上程されておりまする教育関係二法案賛成の意を表するものでございます。  われわれは本法案に対し、修正案の準備をしておったのでございまするが、本院並びに文教委員会の異常にして、かつ憂うべき運営の現実に押し流されまして、この修正案の提案の機会を得なかったことは、まことに遺憾しごくでございます。その遺憾の意をこめて賛成するものでございます。  教育委員会制度は、初めから問題をはらみつつ、不自然にできてきたものでございまするが、私はその業績を認めるにやぶさかのものではございません。しかしその業績が、教育委員会だけでなされたというように言う向きがございまするが、実際上、地方公共団体の協力なくしては得られないのでございまして、教育に対する地方公共団体の熱意もまた認めなければならぬと思うのでございます。(拍手教育委員会の真剣さに加えるに、地方公共団体の理解がなければ、教育行政の円滑を期することはできないのであります。すなわち、地方行政が事実上一体化しているところに円満な運営を見るのであって、これは一般行政と教育行政とを、制度上からも一そう緊密にして、調和をはかろうとする今回の法案一つのねらいと合致するものでございます。(拍手)今回の法案において、教育委員会の条例、予算の原案送付権が影をひそめることは、その権限に大きい変化を来たすものでございますけれども、地方公共団体の長が、これに関し、事前に教育委員会の意見を聞かなければならぬとあるところに、全体の調和の中に、教育委員会の特別の存在と発言権とが認められてあると思うのでございます。現在の教育委員会が、直接公選制による教育委員によって構成されていることは申すまでもないことでございます。教育基本法第十条及び現行教育委員会法第一条において、国民全体に直接に責任を負うとしるしてございます。その現行第一条が、今回抹殺されることには論議がございまするが、教育基本法を母法とする一体的、総合的の法体系であることを思うならば、その点は解明できるものと思うのでございます。その場合、国民全体に直接に責任を負うという具体的な形が、直接公選制による教育委員会制度であるということ、公選だけが直接責任体制であるということ、あるいは教育行政の民主制度として唯一のものなりと断定することには、にわかに同調できないのであります。(拍手)  この教育委員の選任方式につきましては、関係の諸機関で討議し、答申されております。すなわち、地方行政調査委員会議、政令改正諮問委員会、地方制度調査会等におきまして、地方公共団体の長がその議会の同意を得て選任する、いわゆる任命方式を答申いたし、教育委員会制度協議会においては、公選、任命の両論相半ばするため、結論を出さずに、審議経過を答申し、また、中央教育審議会におきましては、昭和二十八年でございまするが、現在通り公選を主張しておりますけれども、その選挙の方法は、なお検討を要するといたしているのでございます。本法案に対し、公聴会におきまして、教育委員会制度創設に関係した一公述人は、どんな制度でも公選制であれば民主的である、それが違うと非民主的であるというふうには考えないと述べられ、むしろ地方自治体との円滑な関係を考慮し、第一次原案としては、公正妥当な推薦母体で推薦された候補者の中から任命するという方式を構想しておることは、公選方式が最初から考えられたものではないという実証でございます。国会や地方議会が公選であると同じく、教育委員会でも、これと軌を一にした方法で委員を選出しなければ、ほかに方法がないとすることには、私は賛成できないのであります。質が違うのでございまするから、別の方法を検討する余地は十分にあると思うのでございます。(拍手)  教育委員会には、原則としていわゆるレーマン・コントロールが要請されております。ところが都道府県教育委員の大よそ六割が教員の職歴を持っておられる。また都道府県教育委員会中、教員経歴者で委員の過半数を占めておる所が半数の二十三あるのでございます。でございますから、少くとも形式的にはレーマン・コントロールに合致しないというありさまでございます。また、教育委員選挙投票率は、一般的にきおめて低く、多くの地方におきましては、候補者が調整されて、選挙を避けようとする一面のあることも、公選の意義を弱め、半面、任命制を肯定する傾向にあるということができると思うのでございます。(拍手)また、教育という特殊な領域でありまするがゆえに、任命方式によれば、選挙では得られない、いわゆる野にある遺賢について、特にまた教育に重要な役割を持つ婦人について、十分なる考慮を払うことができるのでございます。  今回の法案におきましては、文部大臣の権限が不当に拡大されて、中央集権、国家統制をはかるという印象を与えておることは、はなはだ遺憾でございます。現行法では、文部大臣の関与が、ほとんど地方に対しましては排除されまして、国の総合的見地からいたしますれば、まことにそぐわないものを感じさせておったのでございまするが、今回は、法文が与える印象は、逆に文部大臣の地方自治関与が深過ぎる感じが強く、かえって政府の真意を疑わしめるものがあるのであります。私の意見といたしましては、文部大臣が都道府県の教育長を承認する手続のごときは取りやめて、教育委員会の自主性を尊重する制度といたす方がよいのではないかと考えておるのでございます。また、本法案第五十二条の文部大臣の措置要求に当りましては、独断に陥らず、適正を期するための諮問機関を設けることが必要であると思うのでございます。これと並んで、地方の教育委員会の構成、教育委員、教育長の選任には合理性を欠くものがあり、特に教育長は、教育委員との兼任はいたさずに、専任制とすべきであると考えるのであります。(拍手)教材の取扱いに関する……(「議長、不公平だぞ」「社会党だけ時間制限しているじゃないか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)教材の取扱いに関する原案は、非常に窮屈な感じを与えるのでございまするが、文部当局の意向は、もっと実は寛大であって、必ずしもその通りに法文に盛られておるのではございません。本来、教育行政は取締りではなく、助長助成を目指すべきものでございまするから、その見地から……。
  234. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 時間でございます。
  235. 高橋道男

    ○高橋道男君(続) できるだけ早い機会に本法を改正し、またそれまでにおきましても、教材活用につきましては、一般に不安なからしめるように指導されることを期待するものでございます。  われわれ緑風会といたしましては、今申しました教材の使用、地方教育委員会の構成、教育委員の公選制にかわる推薦任命制、また大臣が地方に及ぼす権限の縮小是正等の点に検討を加え、修正案等の用意を進めてきたのでございまするが、先ほど申しまするように、委員長の行動の自由がしばしば阻止される等、長きにわたって文教委員会運営が正常を失ったために、ついにその機会までも失ったことは、まことに遺憾でございます。(拍手)  以上の諸点につきまして、政府におかれましては、十分の配慮をもって、なるべく早い機会に、法律改正の具体化をせられることを特に要望いたしまして、私の賛成討論を終りたいと思います。(拍手
  236. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) これにて討論の通告者の発言は、全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案の表決は記名投票をもって行います。両案に賛成諸君白色票を、反対諸君青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  氏名点呼を行います。議場閉鎖を命じます。   〔議場閉鎖〕   〔参事氏名点呼〕   〔投票執行
  237. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 投票漏れはございませんか。……投票漏れないと認めます。  これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。   〔議場開鎖〕   〔参事投票を計算〕
  238. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数 二百十二票   白色票  百四十三票   青色票   六十九票  よって両案は可決せられました。(拍手)      —————・—————   〔参照〕  賛成者白色票)氏名      百四十三名       上林 忠次君    河井 彌八君       加賀山之雄君    梶原 茂嘉君       柏木 庫治君    井野 碩哉君       赤木 正雄君    森田 義衞君       森 八三一君    村上 義一君       溝口 三郎君    三浦 辰雄君       廣瀬 久忠君    早川 愼一君       野田 俊作君    中山 福藏君       豊田 雅孝君    土田國太郎君       田村 文吉君    竹下 豐次君       高橋 道男君    高瀬荘太郎君       高木 正夫君    杉山 昌作君       島村 軍次君    佐藤 尚武君       河野 謙三君    小林 武治君       後藤 文夫君    伊能繁次郎君       武藤 常介君    大谷 瑩潤君       白波瀬米吉君    松原 一彦君       西岡 ハル君    井上 清一君       伊能 芳雄君    小沢久太郎君       青柳 秀夫君    佐藤清一郎君       酒井 利雄君    有馬 英二君       仁田 竹一君    滝井治三郎君       関根 久藏君    吉田 萬次君       白川 一雄君    木村 守江君       菊田 七平君    岡田 信次君       中川 幸平君    田中 啓一君       榊原  亨君    高橋進太郎君       上原 正吉君    大矢半次郎君       藤野 繁雄君    木島 虎藏君       西川甚五郎君    宮田 重文君       一松 政二君    植竹 春彦君       三浦 義男君    左藤 義詮君       館  哲二君    石原幹市郎君       中川 以良君    中山 壽彦君       池田宇右衞門君    鶴見 祐輔君       青木 一男君    野村吉三郎君       泉山 三六君    津島 壽一君       苫米地義三君    大野木秀次郎君       斎藤  昇君    佐野  廣君       小幡 治和君    宮澤 喜一君       大谷 贇雄君    石井  桂君       雨森 常夫君    西川弥平治君       白井  勇君    横山 フク君       高橋  衛君    松平 勇雄君       深川タマヱ君    長島 銀藏君       宮本 邦彦君    最上 英子君       寺本 廣作君    小滝  彬君       青山 正一君    紅露 みつ君       山本 米治君    秋山俊一郎君       石川 榮一君    石村 幸作君       剱木 亨弘君    加藤 武徳君       高野 一夫君    横川 信夫君       松岡 平市君    長谷山行毅君       鈴木 強平君    野本 品吉君       平井 太郎君    川村 松助君       堀末  治君    西郷吉之助君       堀木 鎌三君    郡  祐一君       遠藤 柳作君    杉原 荒太君       吉野 信次君    笹森 順造君       黒川 武雄君    小林 英三君       一松 定吉君    木村篤太郎君       大屋 晋三君    石坂 豊一君       三木與吉郎君    新谷寅三郎君       小西 英雄君    井村 徳二君       島津 忠彦君    岡崎 真一君       重政 庸徳君    安井  謙君       入交 太藏君    小柳 牧衞君       川口爲之助君    木内 四郎君       深水 六郎君    古池 信三君       岩沢 忠恭君    小野 義夫君       井上 知治君    山縣 勝見君       草葉 隆圓君     —————————————  反対者(青色票)氏名      六十九名       高田なほ子君    久保  等君       山口 重彦君    加藤シヅエ君       安部キミ子君    岡  三郎君       海野 三朗君    河合 義一君       三輪 貞治君    田中  一君       永井純一郎君    上條 愛一君       東   隆君    荒木正三郎君       三橋八次郎君    小笠原二三男君       平林  剛君    竹中 勝男君       内村 清次君    赤松 常子君       山下 義信君    木下 源吾君       藤原 道子君    栗山 良夫君       村尾 重雄君    相馬 助治君       佐多 忠隆君    市川 房枝君       須藤 五郎君    羽仁 五郎君       堀  眞琴君    木村禧八郎君       石川 清一君    鈴木  一君       成瀬 幡治君    若木 勝藏君       千田  正君    江田 三郎君       亀田 得治君    小林 孝平君       矢嶋 三義君    菊川 孝夫君       片岡 文重君    小林 亦治君       小松 正雄君    重盛 壽治君       吉田 法晴君    大和 与一君       加瀬  完君    藤田  進君       湯山  勇君    千葉  信君       近藤 信一君    田畑 金光君       大倉 精一君    永岡 光治君       阿具根 登君    天田 勝正君       松浦 清一君    秋山 長造君       棚橋 小虎君    羽生 三七君       曾禰  益君    松澤 兼人君       中田 吉雄君    森下 政一君       岡田 宗司君    小酒井義男君       戸叶  武君      —————・—————    ————————
  239. 寺尾豊

    ○副議長寺尾豊君) 本日は、これにて延会いたします。次会は、明日午前十時より開会いたします。議事日程は、決定次第公報をもって御通知いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後九時四十六分散会    ———————— ○本日の会議に付した案件  一、日程第一事務総長芥川治不信任決議案(前会の続)  一、仮議長選挙  一、文教委員会で審査中の地方教育行政の組織及び運営に関する法律案及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律施行に伴う関係法律の整理に関する法律案について直ちに文教委員長の中間報告を求めるの動議  一、文教委員長加賀山之雄君解任決議案  一、地方教育行政の組織及び運営に関する法律案及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律施行に伴う関係法律の整理に関する法律案の中間報告  一、地方教育行政の組織及び運営に関する法律案  一、地方教育行政の組織及び運営に関する法律施行に伴う関係法律の整理に関する法律案    ————————